JP5882198B2 - ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法 - Google Patents

ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法に関する。
ラミニンは様々な組織の基底膜に主として局在し、組織構造の維持及び細胞機能の制御において重要な役割を果たす細胞外マトリックスタンパク質である(Matrix Biol.,18:19−28,1999;Dev.Dyn.,218:213−234,2000)。
ラミニンの構造としては、α鎖、β鎖、γ鎖がそれぞれジスルフィド結合で連結されたヘテロ3量体分子であり、特徴的な十字架構造をとる。各鎖は複数のドメインからなり、ドメインIおよびIIはトリプルへリックスを形成している。本出願前に、ラミニン分子は5種類のα鎖(α1ないしα5)、3種類のβ鎖(β1ないしβ3)、3種類のγ鎖(γ1ないしγ3)の異なる組み合わせによって、少なくとも15種類が同定されており、実際にはその数倍の種類が存在することが示唆されている(Cancer Sci., 97,91−98, 2006;Dev.Dyn.,218,213−234,2000;J.Neurosci.,20:6517−6528,2000;Physiol Rev.85,979−1000,2005)。これらα、β、γ鎖はそれぞれ異なる遺伝子によってコードされており、それぞれのラミニンアイソフォームは特有の存在部位や機能があり、主に細胞膜受容体インテグリンを介して細胞接着、増殖、運動、分化などを調節している(Dev.Dyn.218, 213−234,2000;Physiol. Rev.85,979−1000,2005)。
例えば、生体内ではα2鎖は筋肉や神経組織を中心に存在しているのに対して、α3鎖は皮膚組織を中心に存在している。それぞれの機能も異なり、α2鎖の遺伝子異常は筋ジストロフィーを引き起こすのに対して、α3鎖の遺伝子異常は接合部型表皮水疱症という重篤な症状を引き起こす(Dev.Dyn.218, 213−234,2000)。また、in vitroの実験においても、全く異なる機能を示す。α2鎖を構成鎖として持つラミニン2やラミニン4は間葉系幹細胞に対して接着活性をほとんど示さないのに対して、α3鎖を構成鎖として持つラミニン5は非常に強い接着活性を示す(Stem Cell.24,2346−2354,2006)。このように各ラミニンアイソフォームを構成するα、β、γ鎖が異なると機能や活性も全く異なってくる。
表1に15種類のラミニン分子種とそのサブユニット構成を示す。
ラミニン分子は、3本鎖のアミノ(N)末端部分(短腕)で互いに会合したり、他のマトリックス分子と会合して、基底膜を構築する。一方、α鎖のカルボキシ(C)末端には5つの相同な球状ドメイン(G1―G5ドメインまたはLG1―LG5)が存在し、主にこの部分でインテグリンやその他のリセプターと結合する。
ラミニン5
ラミニン5(カリニン、エピリグリン、ナイセイン、ラドシンとも呼ばれる)はα3鎖、β3鎖、γ2鎖からなるラミニンアイソフォームの一つであり、複数の研究機関で別々の経緯で発見された(J. Cell Biol.114, 567−576,1991;Cell 65,599−610,1991;J. Invest Dermatol.101,738−743,1993;Proc.Natl.Acad.Sci.USA.90,11767−11771,1993)。
ラミニン5は各種細胞に対して強い細胞接着活性、細胞分散活性、細胞増殖活性等を示すことが報告されている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.90,11767−11771,1993;J. Biochem.116,862−869,1994;J. Cell Biol.125,205−214,1994;Mol.Biol.Cell.16,881−890,2005;Stem Cell.24,2346−2354,2006)。国際公開WO2007/023875は、ラミニン5を利用した間葉系幹細胞の培養技術を記載している。
しかしながら、各種細胞の培養においてラミニン5の種々の活性を一般に上昇させる効率的な方法は、本願発明前には得られていなかった。
国際公開WO2007/023875 国際公開WO2009/123349
Matrix Biol.,18:19−28,1999 Dev.Dyn.,218:213−234,2000 Cancer Sci., 97,91−98, 2006 J.Neurosci.,20:6 517−6528,2000 Physiol. Rev.85,979−1000,2005 J. Cell Biol.114, 567−576,1991 Cell.65,599−610,1991 J. Invest Dermatol.101, 738−743,1993 Proc.Natl.Acad.Sci.USA.90,11767−11771,1993 J. Biochem.116,862−869,1994 J. Cell Biol.125,205−214,1994 Mol. Biol. Cell.16,881−890,2005 Stem Cell.24,2346−2354,2006 Dev.Biol.163:p.288−292,1994 J. Cell Sci. 112, 1−10, 1999 Exp. Cell Res. 310, 256−269, 2005 J. Cell Sci. 119, 3206−3218, 2006
本発明は、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法において、ラミニン5の活性を上昇させる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法において、特定のポリペプチドをラミニン5とともに併用するとラミニン5の様々な活性が上昇することを見いだし本発明を想到した。
本発明は、好ましい態様として以下の態様を含む。
[態様1]
ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法において、
血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチドを培養系に含むことを特徴とする前記方法。
[態様2]
腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質が、受容体活性化因子NF(Bリガンド(RANKL)である、態様1に記載の方法。
[態様3]
ペプトンが、綿実由来ペプトン、大豆由来ペプトン、小麦由来ペプトン及びエンドウ豆由来ペプトンからなる群から選択される、態様1に記載の方法。
[態様4]
細胞培養容器を、ポリペプチドで処理した後にラミニン5で処理する、あるいは、ポリペプチドとラミニンで同時に処理する、態様1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
[態様5]
細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性及び多能性維持活性からなる群から選択される、ラミニン5の細胞に対する活性が上昇する、態様1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
[態様6]
細胞が、多能性幹細胞、組織幹細胞、体細胞、生殖細胞、及び肉腫細胞からなる群から選択される、態様1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
[態様7]
多能性幹細胞が、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖細胞、又は生殖幹細胞から選択され;
組織幹細胞が、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、神経幹細胞、皮膚幹細胞、又は造血幹細胞から選択され;あるいは、
体細胞が、肝細胞、膵細胞、筋細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、皮膚細胞、繊維芽細胞、膵細胞、腎細胞、肺細胞、又は、リンパ球、赤血球、白血球、単球、マクロファージ若しくは巨核球の血球細胞から選択される、
態様6に記載の方法。
[態様8]
細胞が、マウス、ラット及びヒトからなる群から選択される種に由来する、態様1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
[態様9]
ポリペプチドを1μg/mlないし200μg/mlの間の濃度で使用する、態様1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
[態様10]
ポリペプチドを3.125μg/mlないし12.5μg/mlの間の濃度で使用する、態様1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
[態様11]
2種類以上のポリペプチドを細胞培養系に含ませる、態様1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
[態様12]
血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド
を含む、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法に使用するための組成物。
[態様13]
さらにラミニン5を含む、態様12に記載の組成物。
[態様14]
血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド
を含む、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法に使用するための、キット。
[態様15]
さらにラミニン5を含む、態様14に記載のキット。
本発明において、ラミニン5と特定のポリペプチドを併用することにより、細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性及び多能性維持活性からなる群から選択される、ラミニン5の細胞に対する活性が上昇する。
図1は、精製した組換えヒトラミニン5をSDSポリアクリルアミドゲルにて電気泳動した図である。なお図1の右レーンが、1μgの組換えヒトラミニン5を電気泳動した結果である。 図2は、組換えヒトラミニン5(0.25μg/ml)と種々の血中タンパク質が、BRL細胞に対する細胞接着活性に及ぼす効果を示した図である。図2A−Dは、各々ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清(HS)およびIgGの図に示した各濃度(0−800μg/ml)の結果を示す。 図3は、横軸に示した各濃度(0−2μg/ml)の、組換えヒトラミニン5のBRL細胞に対する細胞接着活性を上昇させる、HSAの至適濃度を調べた結果を示す。
図3A
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ
白四角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 0.78125μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 3.125μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+HSA 12.5μg/ml
図3B
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ
白四角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 12.5μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 50μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+HSA 200μg/ml
図4は、横軸に示した各濃度(0−2μg/ml)の、組換えヒトラミニン5のBRL細胞に対する細胞接着活性を上昇させる、組換えHSA(rHSA)の至適濃度を調べた結果を示す。
図4A
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ
白四角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 0.78125μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 3.125μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 12.5μg/ml
図4B
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ
白四角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 12.5μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 50μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 200μg/ml
図5は、横軸に示した各濃度(0−2μg/ml)の、組換えヒトラミニン5のBRL細胞に対する細胞接着活性を上昇させる、ゼラチン(Gel)、sRANKLおよびペプトン(Pep)の効果を調べた結果を示す。
図5A
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ
白四角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 10μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+Gel 10μg/ml
図5B
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ
白四角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 12.5μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+sRANKL 50μg/ml
図5C
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ
白四角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 10μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+Pep 10μg/ml
図6は、横軸に示した各濃度(0−2μg/ml)の、組換えヒトラミニン5のBRL細胞に対する細胞接着活性を上昇させる、Pepの各濃度における効果を調べた結果を示す。
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ
白菱形印、 組換えヒトラミニン5+Pep 15.6μg/ml
黒四角印、 組換えヒトラミニン5+Pep 62.5μg/ml
白四角印、 組換えヒトラミニン5+Pep 250μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+Pep 1000μg/ml
図7は、組換えヒトラミニン5(0.25μg/ml)と種々の糖類が、BRL細胞に対する細胞接着活性に効果を及ぼすかを調べた結果を示した図である。図7A−Dは、各々キシロース(Xyl)、トレハロース(Tre)、マンノース(Man)およびラクトース(Lac)の図に示した各濃度(0−10μg/ml)の結果を示す。 図8は、組換えヒトラミニン5(0.25μg/ml)と種々の糖類がより高濃度において、BRL細胞に対する細胞接着活性に影響を及ぼすかを調べた結果を示した図である。図8Aは、100μg/mlのTreおよびManの結果を示す。図8Bは、100μg/mlのXylおよびLacの結果を示す。 図9は、組換えヒトラミニン5(0.25μg/ml)と種々のアミノ酸が、BRL細胞に対する細胞接着活性に効果を及ぼすかを調べた結果を示した図である。
図9A
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白四角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 10μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+グリシン(Gly) 10μg/ml
薄黒三角印、 組換えヒトラミニン5+Gly 100μg/ml
黒三角印、 組換えヒトラミニン5+Gly 1000μg/ml
図9B
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白四角印、 組換えヒトラミニン5+HSA 10μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+アルギニン(Arg) 10μg/ml
薄黒三角印、 組換えヒトラミニン5+Arg 100μg/ml
黒三角印、 組換えヒトラミニン5+Arg 1000μg/ml
図10は、2種類の血中タンパク質を用いた場合の、組換えヒトラミニン5の細胞接着活性に及ぼす相乗効果を示した図である。横軸に示した各血中タンパク質を各々示した濃度で使用した。 図11は、細胞培養器を処理する順番を検討した結果を示す。組換えヒトラミニン5は、横軸に示した濃度(0−2μg/ml)使用した。
黒菱形印、 rLm5のみ
白四角印、 細胞培養プレートをrHSAで処理した後にrLm5で処理(rHSA→rLm5)
白三角印、 細胞培養プレートをrHSAとrLm5で同時に処理(rLm5+rHSA)
バツ印、 細胞培養プレートをrLm5で処理した後にrHSAで処理(rLm5→rHSA)
図12は、横軸に示した各濃度(0−2μg/ml)の、組換えヒトラミニン5のHT1080細胞に対する細胞接着活性を上昇させる、組換えHSA(rHSA)の至適濃度を調べた結果を示す。
図12A
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白四角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 0.78125μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 3.125μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 12.5μg/ml
図12B
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白四角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 12.5μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 50μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 200μg/ml
図13は、横軸に示した各濃度(0−2μg/ml)の、組換えヒトラミニン5のヒト間葉系幹細胞(hMSC)細胞に対する細胞接着活性を上昇させる、組換えHSA(rHSA)の至適濃度を調べた結果を示す。
図13A
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白四角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 0.78125μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 3.125μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 12.5μg/ml
図13B
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白四角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 12.5μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 50μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 200μg/ml
図14は、横軸に示した各濃度(0−16μg/ml)の、組換えヒトラミニン5のEB3細胞に対する細胞接着活性を上昇させる、組換えHSA(rHSA)の至適濃度を調べた結果を示す。
図14A
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白四角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 0.78125μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 3.125μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 12.5μg/ml
図14B
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白四角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 12.5μg/ml
白三角印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 50μg/ml
バツ印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 200μg/ml
図15は、図に示した各濃度の組換えヒトラミニン5に、rHSA(12.5μg/ml)を添加した場合の、EB3細胞の接着分析後の細胞形態を示す写真である。左側がrHSAを使用しない場合(対照)、右側がrHSAを使用した場合である。 図16は、HSAがヒトラミニン5以外の他のラミニンアイソフォームに対しても、ラミニン5と同様に細胞接着活性上昇効果が認められるかを調べた結果を示した図である。ラミニン5(0−2μg/ml)は各々横軸に示した濃度を用いた。
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白菱形印、 組換えヒトラミニン5+HSA 10μg/ml
図17は、rHSAがヒトラミニン5以外の他の細胞外マトリックスタンパク質やラミニンアイソフォームに対しても、ラミニン5と同様に細胞接着活性に対する上昇効果が認められるかを調べた結果を示した図である。他の細胞外マトリックスタンパク質としてビトロネクチン(Vn/SIGMA)、他のラミニンアイソフォームとしてラミニン2(Lm2/Millipore)を用いた。ラミニン5(0−2μg/ml)およびビトロネクチン(0−32μg/ml)、Lm2(0−32μg/ml)は各々横軸に示した濃度を用いた。
図17A
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白菱形印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 10μg/ml
黒丸印、 Vnのみ(対照)
白丸印、 Vn+rHSA 10μg/ml
図17B
黒菱形印、 組換えヒトラミニン5のみ(対照)
白菱形印、 組換えヒトラミニン5+rHSA 10μg/ml
黒四角印、 Lm2のみ(対照)
白四角印、 Lm2+rHSA 10μg/ml
図18は、横軸に示した各濃度(0−0.2μg/ml)の組換えヒトラミニン5のBRL細胞に対する細胞分散活性について、rHSA(10μg/ml)の活性上昇効果を調べた結果を示す。rLm5の濃度が0.02μg/mlの際に特にrHSAによる活性の上昇効果が著しいことが観察された。 図19は、各濃度(0−0.2μg/ml)の組換えヒトラミニン5のBRL細胞に対する細胞分散活性について、rHSA(10μg/ml)の活性上昇効果を調べた結果を示した写真である。 図20は、横軸に示した各濃度(0−0.1g/ml)の組換えヒトラミニン5のBRL細胞に対する創傷治癒活性について、rHSA(10μg/ml)の活性上昇効果を調べた結果を示す。rLM5の濃度が0.0125−0.05μg/mlの際に特にrHSAによる活性の上昇効果が著しいことが観察された。 図21は、各濃度(0−0.1g/ml)の組換えヒトラミニン5のBRL細胞に対する創傷治癒活性について、rHSA(10μg/ml)の活性上昇効果を調べた結果を示した写真である。 図22は、組換えヒトラミニン5のhMBC細胞に対する増殖活性について、rHSA(10μg/ml)の活性上昇効果を調べた結果を示した図である。
バツ印、 血清のみ コートなし
白四角印、 Panexin添加(P)
黒三角印、 P/rLm5 1μg/ml
白三角印、 P+F(bFGF)/コートなし
白丸印、 P+F/rLm5 1μg/ml
白菱形印、 P+F/rLm5 0.2μg/ml
黒四角印、 P+F/rLm5 0.2μg/ml+rHSA 10μg/ml
図23は、組換えヒトラミニン5のEB3細胞に対する増殖活性について、rHSA(10μg/ml)の活性上昇効果を調べた結果を示した図である。
白菱形印、 Lm5(2μg/ml)
黒四角印、 Lm5(0.2μg/ml)+rHSA 12.5μg/ml
薄黒四角印、 Lm5(0.2μg/ml)+rHSA 3.125μg/ml
白四角印、 Lm5(0.2μg/ml)
図24は、組換えヒトラミニン5のEB3細胞に対する増殖活性について、各種細胞支持材料を用いた場合における、rHSAの活性上昇効果を調べた結果を示した図である。
黒丸印、 増殖培地(S)+ウシゼラチン(G)
黒四角印、 KSR−GMEM(K)+Lm5(L)(0.05μg/ml)+rHSA(H) 12.5μg/ml)
白四角印、 KSR−GMEM(K)+Lm5(L)(0.05μg/ml)
図25は、図24で増殖の認められたS+G及びK+L(0.05μg/ml)+H(12.5μg/ml)について、未分化マーカーの検出を行った結果を示した図である。
本発明は、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法に関する。
本発明の方法は、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法において、
血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチドを培養系に含むことを特徴とする。
ラミニン5
本発明の方法は、多能性幹細胞の培養にあたり、ラミニン5を含んだ系で該多能性幹細胞を培養することを、最も顕著な特徴とする。
ラミニン5は、多くの細胞種に対して、他のラミニンアイソフォームを含めた各種細胞外マトリックスタンパク質と比べて強い接着活性を示すことが報告されている(J.Biochem.116,862−869,1994、J.Cell Biol.125,205−214,1994、Mol Biol Cell.16,881−890,2005)。
表1に示されるようにラミニン5は、α3鎖、β3鎖、γ2鎖からなるラミニン分子であり、表皮の真皮への結合に中心的な役割を果たしており、殆どの細胞においてインテグリンα3β1に優先的に結合するが、細胞によってはインテグリンα6β1、α6β4にも結合する。ラミニン5におけるα3鎖G2ドメインのα3G2A配列(RERFNISTPAFRGCMKNLKKTS)やG3ドメインのKRD配列がインテグリンに対する主要な結合部位であることが解明されている。
またラミニン5は3量体として分泌された後、プロテアーゼによる限定分解を受けてα3鎖のC末端に存在するG4およびG5ドメインが除去され、190kDa(非切断型)から160kDa(切断型)へ変換されることが知られている。通常の方法で単離されるラミニン5にはG4、G5ドメインが存在しない。このようなα3鎖切断型ラミニン5は非切断型ラミニン5に比べて高い細胞接着促進活性、運動促進活性、および神経再生促進活性を有することが知られている(J.Biol.Chem.,280(2005),14370―14377)。
本発明のラミニン5は、特に限定されず、G4及びG5ドメインを含むままの非切断型であってもよく、あるいはG4及びG5ドメイン全体あるいはその一部が除去された切断型であってもよい。
また、ラミニン5タンパク質は天然型であっても、あるいはその生物学的活性、特に細胞接着促進活性保持したまま1又はそれ以上のアミノ酸残基が修飾された修飾型であってもよい。また、本発明におけるラミニン5タンパク質は本明細書に記載した特徴を有する限り、その起源、製法などは限定されない。即ち、本発明のラミニン5タンパク質は、天然産のタンパク質、遺伝子工学的手法により組換えDNAから発現させたタンパク質、あるいは化学合成タンパク質の何れでもよい。
ラミニン5タンパク質の由来は特に、限定されないが、好ましくは、ヒト由来のものである。再生医療の材料を得る目的などでヒト多能性幹細胞を培養する場合には、他の動物に由来する材料の使用を避けるという意味で、ヒト由来のラミニン5を用いることが好適である。
本明細書中の配列表の配列番号1−6は、ヒトラミニン5のα3鎖、β3鎖及びγ2鎖の塩基配列及びアミノ酸配列を示す。本発明で使用するラミニン5タンパク質は、好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているアミノ酸配列を有するα3鎖(アミノ酸残基No.1―No.1713)(J.Biol.Chem.269, 22779―22787, 1994)、配列番号4のアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているアミノ酸配列を有するβ3鎖(アミノ酸残基No.1―No.1170)(J.Biol.Chem.269, 11073―11080、1994)、及び配列番号6のアミノ酸配列、またはこの配列において1またはそれ以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているアミノ酸配列を有するγ2鎖(アミノ酸残基No.1―No.1193)(J.Cell.Biol.119,679―693、1992)の各サブユニットからなるタンパク質である。
α3鎖の球状ドメイン(G1―G5ドメイン)はそれぞれ、配列番号1のアミノ酸残基No.794―No.970、No.971―No.1139、No.1140―No.1353、No.1354―No.1529およびNo.1530―No.1713に相当する。
ラミニン5の各鎖は、対応する配列番号で示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加、または置換されているアミノ酸配列を有するものであってもよい。このような天然のタンパク質と相同なアミノ酸配列を有するタンパク質も、本発明において使用可能である。変更可能なアミノ酸数は、α3鎖、β3鎖及びγ2鎖の各アミノ酸配列において、限定されるわけではないが、好ましくは1ないし300アミノ酸残基、1ないし200アミノ酸残基、1ないし150アミノ酸残基、1ないし120アミノ酸残基、1ないし100アミノ酸残基、1ないし80アミノ酸残基、1ないし50アミノ酸残基、1ないし30アミノ酸残基、1ないし20アミノ酸残基、1ないし15アミノ酸残基、1ないし10アミノ酸残基、1ないし5アミノ酸残基である。公知の部位特異的突然変異法で修飾可能な数のアミノ酸残基、例えば、1ないし10アミノ酸残基、1ないし5アミノ酸残基がより好ましい。
アミノ酸の保存的置換を行って元の機能を保持しているタンパク質またはポリペプチドを得ることができることは、当技術分野においてよく知られている。そのような置換には、アミノ酸を類似の物理化学的特性を有する残基で置き換えること、例えば、1つの脂肪酸残基(Ile、Val、LeuまたはAla)を別なもので、または塩基性残基LysとArg、酸性残基GluとAsp、アミド残基GlnとAsn、ヒドロキシル残基SerとTyr、または芳香族残基PheとTyrの間で置換することが含まれる。
また、本発明で用いるラミニン5は、配列番号2、4、6に記載されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性を有し、かつ細胞接着活性を促進することができるタンパク質であってもよい。
同一性は、同一である残基の数を、既知の配列または既知の配列のドメイン中の残基の総数で割り、100を乗ずることにより計算する。標準的なパラメーターを用いて配列の同一性を決定するためのコンピュータープログラムは、例えば、Gapped BLAST PSI―BLAST(Nucleic Acids Res.25, 3389―340, 1997)、BLAST(J.Mol.Biol.215:403―410, 1990)、およびSmith―Waterman(J.Mol.Biol.147:195―197, 1981)が利用可能である。好ましくは、これらのプログラムのデフォルト設定を用いるが、所望によりこれらの設定を変更してもよい。
本発明におけるラミニン5タンパク質は本明細書に記載した特徴を有する限り、その起源、製法などは限定されない。即ち、本発明のラミニン5タンパク質は、ラミニン5を分泌するヒト或いは動物細胞の培養液上清、あるいはそこから精製した天然型ラミニン5タンパク質であってもよい。しかしラミニン5は、当該技術分野において知られる組換えDNA技術を用いて各サブユニットを発現させることにより遺伝子組換えタンパク質として効果的に製造することができる。しかし不必要な動物性の因子を避けるという意味から、ラミニン5をヒト組換えタンパク質として得ることは特に好ましい。
ラミニン5のα3鎖をコードする、配列番号1の核酸残基No.1―No.5139を含むDNA配列、β3鎖をコードする配列番号3の核酸残基No.121―No.3630及びγ2鎖をコードする配列番号5の核酸残基No.118―No.3696の塩基配列に基づいてプライマーを設計し、適切なcDNAライブラリーをテンプレートとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により目的とする配列を増幅することにより製造することができる。このようなPCR手法は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、“PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications”,Academic Press,Michael,et al.,1990に記載されている。
ラミニン5の各鎖遺伝子をコードするDNAを、適当なベクター中に組み込み、これを真核生物または原核生物細胞のいずれかに、各々の宿主で発現可能な発現ベクターを用いて導入し、それぞれの鎖を発現させることにより所望のタンパク質を得ることができる。ラミニン5を発現させるために用いることができる宿主細胞は特に限定されるものではなく、大腸菌、枯草菌等の原核宿主細胞、および酵母、真菌、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核生物宿主が挙げられる。
ラミニン5を発現するように構築したベクターを、トランスフォーメーション、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション等により、上記の宿主細胞中に導入することができる。ベクターを含む細胞を適当な培地中で成長させて、本発明で使用するラミニン5タンパク質を産生させ、細胞または培地から精製することにより、ラミニン5タンパク質を得ることができる。精製はサイズ排除クロマトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、および免疫アフィニティークロマトグラフィー等を用いて行うことができる。
ラミニン5については、特開2001―172196に詳細な記載があり、本明細書中に援用する。
ラミニンの構造としては、α鎖、β鎖、γ鎖がそれぞれジスルフィド結合で連結されたヘテロ3量体分子であり、特徴的な十字架構造をとる。各鎖は複数のドメインからなり、ドメインIおよびIIはトリプルへリックスを形成している。本出願前に、ラミニン分子は5種類のα鎖(α1ないしα5)、3種類のβ鎖(β1ないしβ3)、3種類のγ鎖(γ1ないしγ3)の異なる組み合わせによって、少なくとも15種類が同定されており、実際にはその数倍の種類が存在することが示唆されている。代表的なラミニンであるラミニン1はα1、β1、γ1で構成されるヘテロ3量体分子であり、本出願にて用いているラミニンであるラミニン5はα3、β3、γ2で構成される。例えば、ラミニン1とラミニン5のポリペプチド鎖の相同性をGenetyxなどのソフトウエアーで解析するとα1とα3の相同性は42%、β1とβ3の相同性は41%、γ1とγ2の相同性は54%である。したがって、同じラミニンという名前がついていても、ラミニン1とラミニン5はそれぞれ(α1、β1、γ1)と(α3、β3、γ2)という全く異なる3つの遺伝子によってコードされたα鎖、β鎖、γ鎖から構成され、また同じα鎖の中でもそれぞれ異なる2つの遺伝子でコードされるα1とα3の相同性はたかだか42%であり、ラミニン1とラミニン5は異なった性質を示すと考えられている。
実施例3の中で示したように、他の細胞外マトリックスであるビトロネクチン、他のラミニンアイソフォームであるラミニン2は、HSAによる活性上昇作用は認められなかった。(図17)。以上のことから、活性上昇作用は細胞外マトリックスタンパク質全般に起こる現象ではなく、さらにラミニンであってもどのアイソフォームでも起こる共通の現象でないことが分かった。
ポリペプチド
本発明は、細胞培養において、Lm5を含む細胞培養系において、特定のポリペプチドを併せて使用することにより、種々のLm5の活性を上昇させることを特徴とする。
ポリペプチドは、血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択される。
1)血中タンパク質
本発明においては、好ましくは、血中タンパク質、より好ましくは、細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質をラミニン5タンパク質とともに使用する。
血中タンパク質は、好ましくは血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンから選択される。これらはいずれも細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質である。
「細胞外マトリックス」とは、細胞外の空間を充填する物質であると同時に骨格的役割(例:動物の軟骨や骨)、細胞接着における足場の役割(例:基底膜やフィブロネクチン)、細胞増殖因子などの保持・提供する役割(例:ヘパラン硫酸に結合する細胞増殖因子FGF)などを担う。多細胞生物を構成する個々の細胞の多くは細胞外マトリックスのベッドあるいは巣に埋もれて生活しているとも言える。ヒトを含めた脊椎動物の細胞外マトリックスに顕著な成分は、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンやラミニンといった糖タンパク質(一部は細胞接着分子)である。「細胞外マトリックスタンパク質」とは、このような細胞外マトリックスを構成するタンパク質を意味する。
本発明における、「細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質」とは、血中タンパク質のうちでも、細胞接着等に関与する細胞外マトリックスタンパク質以外のものを意味する。これらは、いずれも公知のタンパク質であり当業者は適宜入手することが可能である。
「細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質」は、限定されるわけではないが、好ましくは、ヒト血清アルブミン(HSA/例えば、Nacalaiより入手可能)、組換えヒト血清アルブミン(rHSA/例えば、SIGMAより入手可能)、またはウシ血清アルブミン(BSA/例えば、SIGMAより入手可能)である。
「細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質」は、あるいは、免疫グロブリンであってもよい。免疫グロブリンは当業者に周知であり、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEなどが含まれる。例えば、ヒト免疫グロブリン(IgG/例えば、オリエンタル酵母工業株式会社より入手可能)を使用することができる。
2)ゼラチン
ゼラチンとは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加えて抽出したもので、タンパク質を主成分とする。
3)腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質
「腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor、TNF)」は、サイトカインの一種であり、狭義にはTNFはTNF−α、TNF−β(リンホトキシン(LT)−α)およびLT−βの3種類である。「TNFファミリーに属するタンパク質」には、受容体活性化因子NFkBリガンド(RANKL)、Fasリガンド、CD40リガンド等の少なくとも19種類以上の分子が含まれる。
本発明において、「TNFファミリーに属するタンパク質」の例として、好ましくは、受容体活性化因子NF(Bリガンド(RANKL)が使用されうる。
4)ペプトン
「ペプトン」とは、タンパク質をタンパク質分解酵素で分解したものである。生体内ではタンパク質が胃でペプシンにより消化されてペプトンとなり、膵臓で分泌される膵液や空腸で分泌される腸液によりさらにアミノ酸まで消化される。
微生物の栄養源として適しているため、培地においてしばしば添加される。この培地栄養源としてのペプトンは、蛋白質をアミノ酸および低分子量のペプチドまで加水分解したもので、一般には牛乳の蛋白質(ミルクカゼイン)を酵素分解(豚の膵臓から抽出したパンクレアチンなどのプロテアーゼを使用)したものが一般的に使用されている。
限定されるわけではないが、ペプトンは好ましくは植物由来のものが使用される。例えば、綿実由来ペプトン、大豆由来ペプトン、小麦由来ペプトン及びエンドウ豆由来ペプトンからなる群から選択される。
実施例1に示されるように、アミノ酸単体では、ラミニン5の活性を上昇させるという本発明の効果は得られなかった。よって、本発明において、「ペプトン」は、アミノ酸単体まで消化されたものは含まない。
細胞
本発明の方法において培養される細胞の種類、由来は特に限定されない。
好ましくは、多能性幹細胞、組織幹細胞、体細胞、生殖細胞、及び肉腫細胞からなる群から選択される。限定されるわけではないが、好ましくは、多能性幹細胞は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖細胞、又は生殖幹細胞から選択される。好ましくは、組織幹細胞は、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、神経幹細胞、皮膚幹細胞、又は造血幹細胞から選択される。好ましくは、体細胞は、肝細胞、膵細胞、筋細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、皮膚細胞、繊維芽細胞、膵細胞、腎細胞、肺細胞、又は、リンパ球、赤血球、白血球、単球、マクロファージ若しくは巨核球の血球細胞から選択される。
細胞が由来する生物種も特に限定されない。好ましくは、マウス、ラット、ヒト、サル、ブタ、イヌ、ヒツジ、ヤギなどの哺乳類、並びに、ニワトリなどの鳥類などに由来する。より好ましくは、マウス、ラット及びヒトからなる群から選択される種に由来する。
本発明において「多能性幹細胞」とは、あらゆる組織の細胞へと分化する能力(分化多能性)を有する幹細胞の総称することを意図する。本明細書において後述する実施例ではES細胞(EB3細胞)を用いて検討を行っているが、本発明の方法に使用できる多能性幹細胞には、胚性幹細胞のみに限らず、哺乳動物の成体臓器や組織の細胞、骨髄細胞、血液細胞、更には胚や胎児の細胞等に由来する、胚性幹細胞に類似した形質を有する全ての多能性幹細胞が含まれる。この場合、胚性幹細胞と類似の形質とは、胚性幹細胞特異的な遺伝子の発現や内胚葉、中胚葉、外胚葉の全ての胚葉への分化能を有するといった、胚性幹細胞に特異的な細胞生物学的性質をもって定義することができる。
限定されるわけではないが、本発明の方法で増殖させることができる細胞の具体例としては、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性生殖幹細胞(EG細胞)、生殖幹細胞(GS細胞)等が挙げられる。なお本発明における多能性幹細胞として、ES細胞とiPS細胞が好ましい。iPS細胞は倫理的な問題もない等の理由により特に好ましい。多能性幹細胞としては公知の任意のものを使用可能であるが、例えば、国際公開WO2009/123349(PCT/JP2009/057041)に記載の多能性幹細胞を使用可能である。
「組織幹細胞」とは、分化可能な細胞系列が特定の組織に限定されているが、多様な細胞種へ分化可能な能力(分化多能性)を有する幹細胞を意味する。例えば骨髄中の造血幹細胞は血球のもととなり、神経幹細胞は神経細胞へと分化する。このほかにも肝臓をつくる肝幹細胞、皮膚組織になる皮膚幹細胞などさまざまな種類がある。
「体細胞」とは、多細胞生物を構成する細胞のうち生殖細胞以外の細胞のことを言う。有性生殖においては次世代へは受け継がれない。本明細書においては、「多能性幹細胞」、「組織幹細胞」以外の種々の細胞を意味する。
ラミニン5を含んだ系
本発明においては、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する。本発明で「ラミニン5を含んだ系」とは、細胞の培養システム中に何らかの形でラミニン5を含むことを意味するものであり、その態様は特に限定されない。
本発明において、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養するのに、ラミニン5で処理した、特にラミニン5でコーティングした培養容器を用いることが好適な態様である。
本発明において「細胞培養容器」とは、は特に限定されるものではなく、細菌の混入を防ぐために滅菌処理され、かつ細胞を培養するのに適した任意の材料、任意の形状の容器を用いることができる。そのような培養容器の例として、本技術分野で一般的に用いられている培養用ディッシュ、培養用フラスコ、培養用シャーレ、96ウェル、48ウェル、12ウェル、6ウェル、4ウェル等の培養用プレート、培養用ボトルなどを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
本発明においては、細胞培養においてラミニン5及びポリペプチドを使用することを特徴とする。好ましくは、細胞培養容器の表面にラミニン5及びポリペプチドを固相化する(コーティングする)などの処理を施す。培養容器の表面にラミニンを固相化する処理技術は本技術分野で公知であり、当業者は本発明の目的に応じて任意の培養容器を採用して該容器をラミニン5及びポリペプチドで処理し、該容器を本発明の方法で細胞を培養するのに用いることができる。
細胞培養容器の処理に使用されるラミニン5の量は特に限定されない。好ましくは、0.01μg/ml以上、好ましくは0.1〜15μg/ml、より好ましくは0.1μg/ml−2μg/mlのラミニン5溶液で処理した場合、良好な結果が得られる。
本発明の一態様において、培養容器の内部表面にラミニン5を塗布した後に乾燥するなどして培養容器をラミニン5で処理してもよい。ラミニン5処理した培養容器にGMEM(GIBCO)やDMEMなどの細胞の培養に一般的に使用される培地を入れ、その培地中に多能性幹細胞を添加する。次いで、公知の適切な培養条件下、例えば限定するわけではないが37℃、5%二酸化炭素気層条件下などで細胞の培養を行う。
本願発明では、好ましくは、細胞培養容器をラミニン5及びポリペプチドで処理する(コーティングする)。細胞培養器を処理する順番は特に限定されないが、好ましくは、ポリペプチドで処理した後にラミニン5で処理する、あるいは、ポリペプチドとラミニンで同時に処理する。
よって、本発明は前述のポリペプチドを含む、細胞培養容器コーティング用の組成物、又は細胞培養容器コーティング剤も提供する。本発明の組成物又は剤は、ポリペプチドとともにラミニン5を同時に含んでもよい。本願発明はさらに、前述のポリペプチドを含む細胞培養用培地を含む、キットも提供する。前述のポリペプチド及びラミニン5を含む細胞培養用培地を含む、キットも提供される。本発明のキットは、上記細胞培養用培地の他に、さらに、プレコート培養ディッシュ、プレコート培養プレート等を含んでもよい。
本発明と組成物、剤及びキットは、ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法に使用することができる。
ポリペプチドの使用量
本発明において、ポリペプチドの使用量は特に限定されない。当業者は使用するポリペプチドの種類等に要素に応じて適切な量を適宜選択することが可能である。
限定されるわけではないが、好ましくは、ポリペプチドは1μg/mlないし200μg/mlの間の濃度で使用する、実施例1において、HSA、BSA、HS、IgGなどの血中タンパク質を用いた場合、3.125μg/mlないし12.5μg/mlの間の濃度で使用すると特に好ましいことが明らかにされた。また、綿実由来ペプトンを使用した場合、より高濃度、好ましくは15.6μg/mlないし1000μg/mlで使用すると、ラミニン5の細胞活性上昇効果を示すことが認められた。
ポリペプチドの併用
本発明の好ましい1態様において、2種類以上のポリペプチドを細胞培養系に含ませる。実施例1において、ポリペプチドとしてrHSAとIgGを併用すると、各々を単独で使用した場合では大きな効果が確認できないくらいの低濃度(0.25μg/ml)であっても、両者を併用することにより、rHSA 10μg/mlを使用した場合と同程度の強い接着活性上昇効果が認められた。よって2種以上のポリペプチドの併用により相加効果ではなく、相乗効果が得られると考えられる。
本発明の効果
本発明において、ラミニン5タンパク質が細胞培養において奏する種々の活性が、ポリペプチドとの併用において上昇される。限定されるわけではないが、ラミニン5タンパク質の効果としては、細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性及び多能性維持活性が含まれる。
「細胞接着活性」とは、細胞を接着させる効果を意味する。図2、図3及び図4において、rLm5(0.125μg/ml)にHSAを併用することで、rLm5(2μg/ml)と同等の接着活性が得られた。また、同様に、図13において、よりrLm5(0.5μg/ml)にHSAを併用することで、rLm5(2μg/ml)と同等の接着活性が得られた。よって、本願発明においてポリペプチドの使用により、ポリペプチドを使用しない場合と比較して好ましくは、細胞接着活性が1.2倍以上、より好ましくは4倍以上、もっとも好ましくは8倍以上上昇する。
「細胞分散活性」とは、細胞を分散させる効果を意味する。本願発明においてポリペプチドの使用により、ポリペプチドを使用しない場合と比較して好ましくは、細胞分散活性が2倍以上上昇する。
「創傷治癒活性」とは、傷を治癒する効果を意味する。即ち、物理的に外傷を受けて細胞がいなくなった部分に、例えばラミニン5などを塗布することで、塗布した部分に周りから細胞を遊走させてくる活性である。傷を治癒する効果は、例えば、損傷を受けてから一定時間(例えば16時間経過後)の傷の幅を測定することによって治癒率を確認することが可能である。実施例5では、ヒトラミニン5に加えてポリペプチド(rHSA)を併用することにより傷の治癒率が60%から80%に上昇した。
「増殖促進活性」とは、細胞の増殖を促進させる効果を意味する。例えば、細胞行ってから一定期間経過後の細胞数を測定することによって、細胞増殖の効果を確認することが可能である。
「未分化維持活性」とは、培養される細胞が未分化の細胞、例えば、多能性幹細胞、組織幹細胞の場合、その未分化の状態を維持することを意味する。ラミニン5でこれらの細胞を培養する場合、細胞の分化は進まず、未分化の状態が維持される。本発明において、ラミニン5とポリペプチドを併用した場合も未分化の状態が維持されることが確認された(実施例7、図25)。例えばSox2、Nanog、Oct4などの未分化マーカーを測定することにより、培養中に組織幹細胞が分化していないか評価することができる。
「多能性維持活性」とは、培養される細胞が多能性を有する細胞、例えば、多能性幹細胞の場合、その多能性を維持することを意味する。本発明において、ラミニン5とポリペプチドを併用した場合も、多能性が維持される。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 組換えヒトラミニン5(rLm5)の調製
本実施例では、公知の方法に従って組み換えヒトラミニン5タンパク質を調製した。
α3鎖(配列番号1)、β3鎖(配列番号3)、γ2鎖(配列番号3)のcDNAを導入したヒト胎児腎細胞株HEK293(Lm5−HEK293)から回収した無血清培養上清を4℃、3000rpmで5分遠心した。ヒト胎児腎細胞株HEK293は、J.Biochem.132,607−612(2002)に従って得た。次いで、Heparin sepharose CL−6B(GE healthcare)にかけ、溶出した。マウス抗Lm−α3(抗ラミニンα3)モノクローナル抗体(BG5)をProteinA sepharose CL−6B(GE healthcare)に共有結合させた抗体カラムにrLm5含有画分を通し、次いで溶出した。なお、モノクローナル抗体BG5はラミニンα3B鎖N末端断片を抗原として公知のモノクローナル抗体作成方法に従って、本発明者らが作製した抗体である。
1μgの精製rLm5を還元条件にて変性した後、5−20%ゲルを用いSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にてα3鎖、β3鎖、γ2鎖のサイズ、純度を確認したところ、それぞれ160kDa、135kDa、105kDaのバンドが確認できた。図1に精製rLm5についてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った結果の写真を示す。CS−Analyzerを用いて解析した結果、精製rLm5の純度は約98%であった。このようにして調製したrLm5を以下の実施例において使用した。
実施例2 細胞接着アッセイ
本実施例では、各種細胞に対するrLm5およびrLm5に添加物を加えた際の接着アッセイの結果を示す。
細胞はラット肝細胞株(BRL)、マウスES細胞株(EB3)、ヒト肉腫細胞株(HT1080)、ヒト間葉系幹細胞(hMSC)の4種類を用いた。BRLは横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科 ゲノムシステム科学専攻から提供を受けた。EB3は、大阪大学医学系研究科 未来医療開発専攻G6 分子治療学講座 幹細胞制御分野から提供を受けた。HT1080は理化学研究所バイオリソースセンターより入手した(RCB1956)。hMSCはロンザ社(LONZA)より入手した。
各種細胞は以下の培地を用いて培養・増殖させた。BRLは10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM/F12、EB3は10%FBS、0.1mM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、1000U/ml ESGRO(Millipore)、及び10-4M 2−メルカプトエタノール(WAKO)を添加したGMEM(GIBCO)、HT1080は10%FBSを添加したMEM(SIGMA)、hMSCはMSCGM(LONZA)を用いた。ただし、接着アッセイではこれらの培地から血清を除いた無血清培地を用いた。
濃度調製したrLm5で96ウェルプレート(Corning)を37℃で2時間または4℃で一晩処理し、PBS(−)で処理表面を洗浄後、1.2%BSA(SIGMA)溶液にて37℃で1時間ブロッキング処理を行った。必要に応じてrLm5の処理はヒト血清アルブミン(HSA/Nacalai)、組換えヒト血清アルブミン(rHSA/SIGMA)、ヒト血清(HS/OYC)、ウシ血清アルブミン(BSA/SIGMA)、ヒト免疫グロブリン(IgG/OYC)、ウシゼラチン(Gl/SIGMA)、組換えヒトReceptor Activator of NF−κB Ligand(sRANKL/OYC)、綿実由来ペプトン(Pep/DMV)、グリシン(Gly/Nacalai)、アルギニン(Arg/Nacalai)、トレハロース(Tre/SIGMA)、キシロース(Xyl/Wako)、マンノース(Man/Wako)、ラクトース(Lac/Wako)を混ぜて処理を行った。各種細胞は血清を添加しない無血清培地にて洗浄後、20000個/ウェルで播種し、37℃、5%CO2、95%空気の気層条件下で1時間培養を行った。ただし、EB3は30000個/ウェルで播種した。培養後、ボルテックスミキサーで軽く震動させて接着の弱い細胞をプレート表面から浮遊させ、パーコール(GE healthcare)処理にて該細胞を除いた。接着した細胞を25%グルタルアルデヒド(Nacalai)で固定し、2.5%クリスタルバイオレット(Nacalai)にて染色してOD595を測定することで様々な条件でのrLm5の接着活性を評価した。
図2〜11にBRLを用いた接着アッセイの結果を、図12にHT1080を用いた接着アッセイの結果を、図13にhMSCを用いた接着アッセイの結果を、図14、15にEB3を用いた接着アッセイの結果を示す。
0.25μg/mlのrLm5にて処理する際にHSA、BSA、HS、IgGを併用すると併用しない時と比較して接着活性の上昇が認められた。このことから血中タンパク質にrLm5の接着活性を上昇させる効果があることが分かった(図2)。HSAの至適濃度を検討するため、0〜200μg/mlのHSAを併用したところ、3.125〜12.5μg/mlに至適濃度があることが分かった(図3)。さらに、この活性上昇作用を示す物質を特定するために0〜200μg/mlのrHSAを併用したところ、HSAと同じく3.125〜12.5μg/mlに至適濃度があることが分かった。このことから、活性上昇作用を示す物質は天然型タンパク質に含まれる不純物等ではないことが分かった(図4)。
次にHSA、BSA、HS、IgGなどの血中タンパク質以外のタンパク質でも同様の作用があるかをGl、sRANKL、Pepで検討したところ、それぞれの物質にて作用に多少の違いは認められたが、HSAのような接着活性上昇作用が認められた(図5)。Pepにおける活性上昇作用はわずかであったが、より広範囲で濃度(0〜1000μg/ml)を検討したところ、高濃度で強い活性上昇作用を示すことが分かった(図6)。以上のことからポリペプチド、或いはペプチドであれば活性上昇作用を示すことが分かった。
次に糖類を検討した。0.25μg/mlのrLm5にXyl、Man、Lac、Treを併用したところ、ポリペプチド、或いはペプチドのような活性上昇作用は認められなかった(図7)。より高濃度(100μg/ml)で併用してもHSAのような強い活性上昇作用は認められなかった(図8)。
次にアミノ酸を検討した。rLm5に0〜1000μg/mlのGly、Argを併用したところ、糖類と同様にrHSAのような強い活性上昇作用は認められなかった(図9)。Argについては活性減少が認められた。
以上のことから、糖類やアミノ酸のような低分子では活性上昇作用は示さないことが分かった。
次に複数のタンパク質の併用を検討した。0.125μg/mlのrLm5に0.5μg/mlのrHSAのみ、或いは0.25μg/mlのIgGのみを併用した時には、10μg/mlのrHSAを併用した時に比べて接着活性は低かったが、0.5μg/mlのrHSAと0.25μg/mlのIgGを組み合わせて併用したところ、10μg/mlのrHSAを併用した時と同等の接着活性を示した(図10)。このことから複数種のタンパク質を組み合わせてもrLm5の接着活性を上昇させ得ることが分かった。
次に併用方法について10μg/mlのrHSAを用いて検討した。rHSAにて処理した後にrLm5で処理した場合(rHSA→rLm5)、これまでと同様にrHSAとrLm5を同時に処理した場合(rLm5+rHSA)、rLm5で処理した後にrHSAで処理した場合(rLm5→rHSA)を比較検討した。その結果、前処理と同時は接着活性上昇作用を示すのに対して、後処理では接着活性上昇作用を示さないことが分かった(図11)。
次にBRL以外の細胞においても同様の活性上昇作用が認められるかをHT1080、hMSC、EB3を用いて検討した。検討では0〜200μg/mlのrHSAの併用を検討した。その結果、細胞種によって活性上昇作用に多少の違いは認めらたが、全ての細胞で活性の上昇が認められ、さらにBRLと同様に3.125〜12.5μg/mlに至適濃度があることが分かった(図12〜14)。EB3について接着アッセイ後の細胞形態を図15に示す。
以上のことから、ポリペプチド、或いはペプチドを併用して処理することで、様々な細胞に対してrLm5の接着活性を上昇させられることが分かった。また、併用の際のポリペプチド濃度は3.125〜12.5μg/mlが至適であり、併用方法としては同時でなくても良く、事前に処理しておくだけで十分にrLm5の活性を上昇させることが出来ることが分かった。
実施例3 他の細胞外マトリックスタンパク質やラミニンアイソフォームにおける活性上昇作用の検討
本実施例では、ヒトビトロネクチン(Vn/SIGMA)、ヒトラミニン2(Lm2/Millipore)を用いて、他の細胞外マトリックスタンパク質やラミニンアイソフォームにもrLm5と同様の活性上昇作用が認められるかをラット肝細胞株(BRL)を用いた接着アッセイにて検討した結果を示す。アッセイは実施例2記載の方法に準じて行った。
図16に10μg/mlのHSAを、図の17に10μg/mlのrHSAを併用した際の接着アッセイの結果を示す。その結果、rLm5のようにHSAやrHSAを併用することによる活性上昇作用は、VnやLm2では一切認められなかった。以上のことから、活性上昇作用は細胞外マトリックスタンパク質全般に起こる現象ではなく、さらにラミニンであってもどのアイソフォームでも起こる共通の現象ではないことが分かった。
実施例4 BRL細胞を用いた細胞分散アッセイ
本実施例では、ラット肝細胞株(BRL)細胞に対するrLm5およびrLm5に添加物を加えた際の細胞分散アッセイの結果を示す。BRLは横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科 ゲノムシステム科学専攻から提供を受けた。
BRL細胞は10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM/F12を用いて培養・増殖させた。ただし、細胞分散アッセイでは1%FBSを添加したDMEM/F12培地を用いた。
濃度調製したrLm5で24ウェルプレート(Nunc)を4℃で一晩処理し、PBS(−)で処理表面を洗浄後、1%BSA(SIGMA)溶液にて37℃で1時間ブロッキング処理を行った。必要に応じてrLm5の処理はrHSAを混ぜて行った。rLm5処理表面をPBS(−)にて洗浄後、細胞を1%FBS培地にて洗浄し、7000個/ウェルで播種の後に37℃、5%CO2、95%空気の気層条件下で40時間培養を行った。培養後、ボルテックスミキサーで軽く震動させて接着の弱い細胞をプレート表面から浮遊させ、パーコール処理にて該細胞を除いた。接着した細胞を25%グルタルアルデヒドで固定し、ランダムな3視野の写真を撮り、単一細胞数を数えた。
図18および19に細胞分散アッセイの結果を示す。Lm5が低濃度(0.02μg)の際にrHSAを加えた場合は有意に細胞分散活性の上昇が認められた。
以上のことから、rHSAをはじめとするポリペプチドの併用は細胞接着活性だけでなく、rLm5の活性としてすでに報告されている細胞分散活性についても活性上昇作用が認められた。
実施例5 BRL細胞を用いた創傷治癒アッセイ
本実施例では、ラット肝細胞株(BRL)細胞に対するrLm5およびrLm5に添加物を加えた際の創傷治癒アッセイの結果を示す。BRLは横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科 ゲノムシステム科学専攻から提供を受けた。
BRLは10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM/F12を用いて培養・増殖させた。ただし、創傷治癒アッセイでは前記培地の他に培地から血清を除いた無血清培地を添加した培地を用いた。
24ウェルプレート(Nunc)に細胞を10%FBS培地にて160000個/ウェルで播種し、37℃、5%CO2、95%空気の気層条件下で3時間培養を行った。培養後各ウェルの接着細胞集団にブルーチップを用いて一定幅の傷をつけ血清を除いた無血清培地にて2回洗浄を行った。無血清培地にて濃度調製したrLm5で各ウェルを37℃で1時間処理した。必要に応じてrLm5の処理はrHSAを混ぜて行った。rLm5処理後、血清を除いた無血清培地で処理表面を2回洗浄し、無血清培地を添加した。また顕微鏡にて観察し、傷をつけた付近の写真を撮影した。その後無血清培地にて37℃、5%CO2、95%空気の気層条件下で16時間培養を行い、同一部位付近の写真を撮影し(図21)、傷の治り具合を開始時の傷と16時間後の傷の幅を測定し、創傷治癒率を計算した。
図20に得られた創傷治癒率の結果を示す。Lm5にrHSAを加えた場合は有意に創傷治癒活性の上昇が認められた。
以上のことから、rHSAをはじめとするポリペプチドの併用は細胞接着活性や細胞分散活性だけでなく、rLm5の活性としてすでに報告されている創傷治癒活性についても活性上昇作用が認められた。
実施例6 ヒト間葉系幹細胞を用いた増殖アッセイ
本実施例では、各種細胞支持材料を使用した場合におけるhMSCを用いた増殖アッセイの結果を示す。
増殖アッセイでは10%FBSの代わりに、5%Panexin(PAN−biotech社)を添加した培地(P)と5%Panexin及び1ng/mlのbFGF(Wako Pure Chemical社)を添加した培地(P+F)を用いた。また比較のため、10%FBSを含有する維持培地(Serum)も用いた。濃度調製した各種細胞外マトリックスタンパク質にて処理した6ウェルプレート(NUNC)に、各培地に置き換えたhMSCを38400個/ウェルで播種した。37℃、5%CO2、95%空気の気層条件下で10日間培養し、3日後、7日後、10日後にそれぞれ酵素処理により細胞を回収し、血球計算盤にて細胞数を計測した。
細胞支持材料は、1mg/mlのrLm5、0.2μg/mlのrLm5、0.2μg/mlのrLm5に10μg/mlのrHSAを添加したものにそれぞれ調製した。
図22に、各培養条件下でhMSCの増殖に対する影響を検討した結果を示す。0.2μg/mlのrLm5に対して、rHSAを添加した場合、有意に細胞増殖の上昇が認められた。
以上のことから、rHSAをはじめとするポリペプチドの併用は細胞接着活性や細胞分散活性、創傷治癒活性だけでなく、rLm5の活性としてすでに報告されている間葉系幹細胞の増殖促進活性についても活性上昇作用が認められた。このことから、rHSAをはじめとするポリペプチドの併用はrLm5の持つ活性の全てについて上昇させることが出来ることが予想された。
実施例7 EB3を用いた増殖アッセイ
本実施例では、rLm5を細胞支持材料として用いた場合におけるEB3を用いた増殖アッセイの結果を示す。
EB3の維持培地は実施例2に記載の増殖培地の10%FBSの代わりに、10%ノックアウトTM血清代替添加物(KSR)(Invitrogen)を添加した培地(KSR−GMEM)を用いた。濃度調製した各種細胞外マトリックスタンパク質にて処理した12ウェルプレート(NUNC)に、EB3を43000個/ウェルで播種した。37℃、5%CO2、95%空気の気層条件下で2日間培養後、酵素処理により細胞を回収し、血球計算盤にて細胞数を計測した。
再び、濃度調製したrLm5にて処理した12ウェルプレートにEB3を43000個/ウェルで播種した。この操作を繰り返すことで、EB3に対する各条件でのrLm5の増殖効果を比較した。rLm5は、2μg/ml(L(2))、0.2μg/ml(L(0.2))、0.2μg/mlのrLm5に3.125μg/mlのrHSAを添加したもの(L(0.2)+H(3.125))、0.2μg/mlのrLm5に12.5μg/mlのrHSAを添加したもの(L(0.2)+H(12.5))にそれぞれ調製した。
図23に、各培養条件下でEB3を5回継代した際に最終的に理論上何倍に増殖したかを算出した結果を示す。図23の結果から、0.2μg/mlのrLm5のみに比べて0.2μg/mlのrLm5にrHSAを加えた実験区では約3倍の細胞増殖が認められ、2μg/mlのrLm5を用いた場合と同等であった。
以上のことから、マウスES細胞の増殖においてもrHSAの併用効果が認められた。
実施例8 EB3を用いた増殖アッセイと未分化マーカーの検出
本実施例では、各種細胞支持材料を使用した場合におけるEB3を用いた増殖アッセイの結果とRT−PCRによる未分化マーカーの検出結果を示す。
EB3の増殖アッセイにて播種した細胞数および継代間隔は実施例7と同様に行った。増殖アッセイに用いた培地は実施例2に記載の増殖培地(S)とKSR−GMEM(K)を用いた。また、12ウェルプレートを処理した各種細胞外マトリックスタンパク質は、1mg/mlのGl、0.05μg/mlのrLm5(L0.05)、0.05μg/mlのrLm5に12.5μg/mlのrHSAを添加したもの(L0.05+H12.5)を用いた。
図24に、各培養条件下でEB3を3回継代した際に最終的に理論上何倍に増殖したかを算出した結果を示す。図24の結果から、0.05μg/mlのrLm5のみでは途中で増殖が止まってしまったのに対して0.05μg/mlのrLm5にrHSAを加えた実験区では増殖が認められた。
次に、増殖の認められたS+G、K+L(0.05)+H(12.5)についてマウスES細胞の未分化マーカーとして知られるOct4、Sox2、Nanogの遺伝子に関してRT−PCRにて未分化マーカーの検出を行った。なお、S+Gの条件よりマウスES細胞の未分化維持因子として知られるLIFを除いた状態で同様の期間維持した実験区を陰性の対照区(S(LIF−)+Gl)として設定した。
RNAは3回継代培養したEB3からTRIZOL(Invitrogen)を用いて全RNAを抽出した。抽出後、ThermoScript RT−PCR System(Invitrogen)を用いて逆転写反応によりcDNA合成を行った。合成したcDNAを鋳型として表2に示すプライマーを用いてPCR反応を行った。
各遺伝子の変性反応は94℃ 30秒、アニーリング反応は30秒、伸長反応は72℃ 20秒で行った。アニーリング反応はOct4は61℃、Sox2、Nanogは54℃の温度で行った。
図25にRT−PCRにて未分化マーカーを検出した結果を示す。図25の結果より、S+Glと同様にK+L(0.05)+H(12.5)では3つの未分化マーカーを発現していることが分かった。このことから、rLm5にrHSAを併用した場合でもEB3は未分化性を維持していることが示唆された。
以上のことから、rLm5とrHSAとの併用は増殖において効果があるだけでなく、維持されたマウスES細胞は未分化性を正常に維持していることが示唆された。
<配列番号1>
配列番号1は、ヒトラミニンα3鎖の塩基配列を示す。
<配列番号2>
配列番号2は、ヒトラミニンα3鎖のアミノ酸配列を示す。
<配列番号3>
配列番号3は、ヒトラミニンβ3鎖の塩基配列を示す。
<配列番号4>
配列番号4は、ヒトラミニンβ3鎖のアミノ酸配列を示す。
<配列番号5>
配列番号5は、ヒトラミニンγ2鎖の塩基配列を示す。
<配列番号6>
配列番号6は、ヒトラミニンγ2鎖のアミノ酸配列を示す。
<配列番号7−14>
配列番号7−14は、EB3細胞における未分化マーカー検出のための、RT−PCR用プライマーの塩基配列を示す。

Claims (13)

  1. ラミニン5を含んだ系で細胞を培養する方法において、
    血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチドと、ラミニン5を固相化した条件下で前記細胞を培養することを含む、
    ここにおいて、細胞培養容器を、1μg/mlないし200μg/mlの間の濃度の前記ポリペプチドで固相化した後にラミニン5で固相化する、あるいは、1μg/mlないし200μg/mlの間の濃度の前記ポリペプチドと、ラミニン5で同時に固相化する、
    前記方法。
  2. 腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質が、受容体活性化因子NFkBリガンド(RANKL)である、請求項1に記載の方法。
  3. ペプトンが、綿実由来ペプトン、大豆由来ペプトン、小麦由来ペプトン及びエンドウ豆由来ペプトンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 細胞接着活性、細胞分散活性、創傷治癒活性、増殖促進活性、未分化維持活性及び多能性維持活性からなる群から選択される、ラミニン5の細胞 に対する活性が上昇する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 細胞が、多能性幹細胞、組織幹細胞、体細胞、生殖細胞、及び肉腫細胞からなる群から選択される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 多能性幹細胞が、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖細胞、又は生殖幹細胞から選択され;
    組織幹細胞が、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、神経幹細胞、皮膚幹細胞、又は造血幹細胞から選択され;あるいは、
    体細胞が、肝細胞、膵細胞、筋細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、皮膚細胞、繊維芽細胞、膵細胞、腎細胞、肺細胞、又は、リンパ球、赤血球、白血球、単球、マクロファージ若しくは巨核球の血球細胞から選択される、
    請求項5に記載の方法。
  7. 細胞が、マウス、ラット及びヒトからなる群から選択される種に由来する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  8. ポリペプチドを3.125μg/mlないし12.5μg/mlの間の濃度で使用する、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 2種類以上のポリペプチドを固相化する、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチド
    1μg/mlないし200μg/mlの間の濃度で含む、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法に使用するための、組成物。
  11. さらにラミニン5を含む、請求項10に記載の組成物。
  12. 血清、血清アルブミン、プレアルブミン、免疫グロブリン、α−グロブリン、β−グロブリン、α1−アンチトリプシン(α1−AT)、へプトグロビン(Hp)、α2−マクログロブリン(α2−M)、α−フェトプロテイン(AFP)、トランスフェリン、レチノール結合タンパク(RBP)又はアディポネクチンである細胞外マトリックスタンパク質以外の血中タンパク質、並びに、ゼラチン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属するタンパク質、ペプトン、からなるグループから選択されるポリペプチドを、1μg/mlないし200μg/mlの間の濃度で用いて固相化した、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法に使用するための、キット。
  13. さらにラミニン5を固相化した、請求項12に記載のキット。
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