JPWO2008099561A1 - 抗菌性ペプチドを用いた細胞増殖促進剤及び該細胞増殖促進剤を含有する無血清培地を用いる細胞増殖促進方法 - Google Patents

抗菌性ペプチドを用いた細胞増殖促進剤及び該細胞増殖促進剤を含有する無血清培地を用いる細胞増殖促進方法 Download PDF

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浩樹 二川
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延枝 廣本
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Abstract

本発明の目的は、軟骨細胞への分化や神経細胞への分化という点で、幹細胞よりも優れている滑膜細胞および羊膜由来細胞を大量に増殖させるために、生体に対しての副作用や阻害作用がきわめて小さく、かつ、有用な活性を有するペプチドを提供することである。本発明は、以下のアミノ酸配列から成るペプチドから成る羊膜由来細胞又は滑膜細胞増殖促進剤に関する:(1)以下のアミノ酸配列:Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Tyr(配列番号1)、又は(2)上記配列番号1のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加し、配列番号1のアミノ酸配列から成るペプチドと実質的に同等の細胞増殖促進活性を有するアミノ酸配列。

Description

本発明は、羊膜由来細胞および滑膜細胞に対して顕著な増殖作用及び殺菌作用を併せ持つペプチドから成る細胞増殖促進剤、及び該細胞増殖促進剤を含有する無血清培地を用いる細胞増殖促進方法等に関する。
再生医療において、幹細胞といわれる多分化能を有した細胞を患者より採取し、インビトロにおいて、この幹細胞を増殖させることがおこなわれているが、幹細胞以外にもある組織に分化させるにはより有利な細胞が存在している。例えば、滑膜細胞は軟骨分化という点で幹細胞よりも優れている。また、間葉系幹細胞から神経細胞に分化させることは容易ではないが、羊膜由来細胞は神経細胞への分化という点で非常に優れている。更に、このような幹細胞以外の細胞は生体から比較的容易に採取できるという利点を有する。
発明者らは、既に、間葉系幹細胞に対する抗菌性ペプチドの細胞増殖促進効果を見出している(特許文献1)。
特開2005−154338号公報
従来の方法を用いて細胞を大量に得るために、採取後、インビトロで連続的に継代培養する必要性があり、現段階では抗生物質及び/又は抗真菌剤に加えて自己血清もしくはウシ胎仔血清を組成として含む培地が不可欠である。しかし、抗生物質および抗真菌剤はその細胞毒性故に副作用を生ずることが知られている。また、自己血清は、採取量に限界があり、また他人の血清やウシ胎仔血清を使用する場合、BSEや未知のウイルスの感染など非常に危険性が高い。
従って、本発明が解決しようとする課題は、軟骨細胞への分化や神経細胞への分化という点で、幹細胞よりも優れている滑膜細胞又は羊膜由来細胞を大量に増殖させるために、生体に対しての副作用や阻害作用がきわめて小さく、かつ、有用な活性を有するペプチドを提供すること、及び、該ペプチドの細胞増殖促進剤を含有する無血清培地を用いて、これら細胞を増殖培養する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、新規抗菌ペプチドについて鋭意探索する中で、上記特許文献1に記載のペプチドが、滑膜細胞および羊膜由来細胞に対して優れた増殖促進作用があることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の態様に係るものである。
[1] 以下のアミノ酸配列から成るペプチドから成る羊膜由来細胞又は滑膜細胞増殖促進剤:
(1)以下のアミノ酸配列:
Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Tyr(配列番号1)、又は
(2)上記配列番号1のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加し、配列番号1のアミノ酸配列から成るペプチドと実質的に同等の細胞増殖促進活性を有するアミノ酸配列。
[2] 上記細胞増殖促進剤を有効量含有する無血清培地中で、羊膜由来細胞又は滑膜細胞を培養又は増殖する方法。
本発明の細胞増殖促進剤を使用することによって、無血清培地中で羊膜由来細胞又は滑膜細胞の増殖を顕著に促進させることが可能となる。
本発明ペプチドである(peptide 8194)を含有する無血清培地での細胞増殖促進作用を示すグラフである。
本発明において、「羊膜由来細胞」の代表例として、羊膜間質細胞及び羊膜上皮細胞を挙げることができる。又、「滑膜細胞」の代表例としては、骨変形性関節炎又はリウマチ性関節炎由来の線維芽細胞様滑膜細胞を挙げることができる。これらの細胞の好適例としては、哺乳類等の動物細胞、特にヒト由来の細胞である。
本発明のペプチドは、配列番号1に示される14個のアミノ酸配列(以下、「peptide 8194」とも表す)、又は、該アミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸を欠失、置換、又は付加し、配列番号1のアミノ酸配列から成るペプチドと実質的に同等の細胞増殖活性を有するアミノ酸配列から成るペプチドである。ここで、「細胞増殖活性」とは、本願明細書の実施例に具体的に示されている活性を意味する。
本発明のペプチドに関して、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、欠失、置換又は付加されるアミノ酸は、好ましくは、同族アミノ酸(極性・非極性アミノ酸、疎水性・親水性アミノ酸、陽性・陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸など)同士が置換されるか、又は、アミノ酸の欠失若しくは付加によって、ペプチドの三次元構造及び/又は局所的電荷状態に大きな変化が生じない、又は、実質的にそれらが影響を受けないようなものが好ましい。
本発明のペプチドは、当業者に周知の任意のぺプチド合成法で取得することができる。例えば、本発明のペプチドは、液相法及び固相法のいずれの方法も使用することができる。ここで、一般に、液相法は反応を溶液状態で行い反応混合物から生成物を単離精製し、この生成物を中間体として次のペプチド伸長反応に用いる方法である。又、固相法は、反応溶媒に不溶の固相担体にアミノ酸を結合させ、このアミノ酸に準じ縮合反応を行いペプチド鎖を伸長させていく方法である。
ペプチドの化学合成は、カルボキシル基を保護したアミノ酸にアミノ基を保護したアミノ酸を脱水縮合させ、ペプチド結合を形成させ、次にアミノ保護基を除去後、遊離したアミノ基に次のアミノ基保護アミノ酸を順次、C末端からN末端に向かって一つずつ延長していく方法が基本である。脱水縮合反応では、カルボキシル基を活性化して、結合させようとするアミノ基と反応させる。この活性化には、ジシクロへキシカルボジイミド(DCC)法、活性エステル法、酸無水物法、アジド法等があるがその反応性の高さとラセミ化その他の副反応を考慮して選ばれる。縮合反応時の副反応を防止するためにアミノ酸のアミノ基、カルボキシル基、側鎖(R)の官能基には保護基が導入される。これらの保護基は、縮合反応の条件で安定であり、必要なときには速やかに除去されるものが好ましい。また、アミノ基の保護基とカルボキシル基の保護基とは互いに選択的に除去されることが好ましい。
アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(Bz)、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、p-ビフェニルイソプロピロオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられる。カルボキシ基の保護基としては、たとえばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられる。但し、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下、あるいはN−保護アミノ酸活性エステル又はペプチド活性エステルを用いて実施する。
縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。さらに、本発明のペプチドは通常の方法に従い精製される。たとえば、イオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。こうして合成したペプチドは、エドマン分解法でC-末端からアミノ酸配列を読み取るプロティンシークエンサー、GC−MS等でそのアミノ酸配列を分析し確認することができる。
本発明のペプチドは、遺伝子工学的手法を用いて調製することもできる。遺伝子工学的手法としては、例えば、本発明の新規ペプチドをコードするDNA配列を合成し、該DNA配列からなる遺伝子が挿入された発現ベクターにより形質転換又は形質導入された宿主細胞を用いて遺伝子を発現し、新規ペプチドを生産する。該遺伝子工学的手法に用いられる宿主細胞としては、宿主細胞としては、真核細胞及び原核細胞のいずれをも用いることができる。真核細胞としては動物、植物、昆虫、酵母等の細胞が、また原核細胞としては大腸菌、枯草菌、放線菌等適宜の宿主細胞を用いることができる。また、該遺伝子工学的手法に用いられるベクターとしては、公知の宿主細胞に適合した適宜のベクターを用いることができる。
更に、本発明は、上記細胞増殖促進剤を有効量含有する無血清培地中で、羊膜由来細胞又は滑膜細胞を培養又は増殖する方法に係る。
上記無血清培地を調製する際の基本培地としては、IMDM、DMEM及びMEM等の当業者に公知の任意の培地を使用することが出来る。更に、該無血清培地には、例えば、タイプIまたはIVコラーゲン及びフィブロネクチン等の当業者に公知の任意の細胞接着因子及び/または細胞外基質;インシュリン(Insulin)、トランスフェリン(Transferrine)及びセレナイト(Selenite)(これら三種類をまとめて「ITS」と略す);FGF及びEGF等の当業者に公知の任意の成長因子;デキサメサゾン(dexamethasone)等の合成ステロイド及び/又はホルモン類;アスコルビン酸及びNEAA(Non Essential Amino Acid)等の当業者に公知の任意のビタミン類及びアミノ酸;白血病阻害因子;並びにメルカプトエタノール、ソディウムボロハイドライド、ポリフェノール及び/又はセレン等から選択された各種物質を適当量添加することによって、細胞増殖促進効果をより一層高めることが出来る。又、培養プレート等の培養装置としては、表面をコラーゲン又はフィブロネクチン等の当業者に公知の任意の細胞接着因子でコーティングしたものを使用することが好ましい。
尚、かかる無血清培地に含有される上記ペプチドから成る細胞増殖促進剤の有効量は、基本培地、培養の対象となる細胞の種類、上記各種の添加物の種類・添加量等に応じて、当業者が適宜選択することが出来るが、通常、1nM〜100μM、好ましくは、0.1〜10μMである。
以下、実施例に則して本発明を更に詳しく説明する。尚、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって何等制限されるものではない。尚、本明細書中で引用される技術文献の内容は、本明細書の開示内容の一部と見なされる。
[無血清培地による様々な細胞の増殖能の検討]
使用細胞:
(1)ヒト歯肉線維芽細胞(GFB):広島大学病院にて患者の智歯抜歯時に余剰となった歯肉より患者の同意を得て採取(歯学部倫理委員会承認済み)
(2)ヒト皮膚線維芽細胞(DFB):健全皮膚線維芽細胞(Cambrex Bio Science Walkersville, Inc., Walkersville, MDより購入)
(3)ヒト腸骨由来骨髄間葉系幹細胞(MSC):ヒト腸骨由来骨髄間葉系幹細胞(Cambrex Bio Science Walkersville, Inc., Walkersville, MDより購入)(Product Code: PT-2501. Lot Number:4F0218)はCD29、44、105、166 がポジティブで、CD14、34、45がネガティブであること、および骨、軟骨、脂肪への分化能をもつことが確認されている:以下MSCと略する。
(4)ヒト成人皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC):倉敷紡績株式会社より購入。至適培地としてCambrex Bio Scienceより購入した血管内皮細胞用増殖培地(EBM-2にEGM-2を添加したもの:ウシ胎児血清を2%含有)を用いた。
(5)ヒト臍帯静脈由来内皮細胞(HUVEC):Cambrex Bio Scienceより購入。至適培地としてCambrex Bio Scienceより購入した血管内皮細胞用増殖培地(EBM-2にEGM-2を添加したもの:ウシ胎児血清を2%含有)を用いた。
(6)ヒト線維芽細胞様滑膜細胞(骨変形性関節炎由来)(SCOA):Cell Applications, INC., 5820 Oberlin Drive, Suite 101, San Diego, CAより購入。至適培地として同社が提供しているヒト滑膜細胞増殖促進培地を用いた。
(7)ヒト線維芽細胞様滑膜細胞(リウマチ性関節炎由来)(SCRA):Cell Applications, INC.より購入。至適培地として同社が提供しているヒト滑膜細胞増殖促進培地を用いた。
(8)ヒト羊膜由来間質細胞 (AmMSC01およびAmMSC02):広島大学病院にて予定帝王切開患者の出産後に不要となった羊膜を患者の同意を得て採取し、酵素処理により羊膜上皮及び間質を分離し、間質部分をさらに酵素処理して間質細胞を単離した(広島大学病院倫理委員会承認済み)。01と02は異なる2名の患者から採取した細胞である。
(9)ヒト羊膜由来上皮細胞 (AmEC01):上記と同様に患者の羊膜から上皮及び間質を分離し、上皮部分をさらに酵素処理して上皮由来細胞を単離した(広島大学病院倫理委員会承認済み)。至適培地としてCambrex Bio Scienceより購入した表皮角化細胞用増殖培地(KBM-2にKGM-2を添加したもの:無血清培地)を用いた。
培養皿:
BIOCOAT(登録商標) (Mouse collagen Type IV) MultiwellTM plates (BD Biosciences、 Bedford, MA )、及び、Tissue culture plates (BD Biosciences, Bedford, MA ) (以下TC-plate)を用いた。
使用培養液と培養法:
培地A:Dulbecco’s Modified Eagle Media(Sigma Co. St. Louis, Mo)(以下DMEM)(最終濃度100 unit/mLのペニシリンG、最終濃度100μg/mLの硫酸ストレプトマイシン、最終濃度0. 0085%のアンホテリシンB(以下抗生物質液:GIBCO社)および10%牛胎児血清(FBS)を含む)。
無血清培地:Iscove’s Modified Dulbecco’s Media (以下IMDM, Product Code:I3390) (Sigma Co. St. Louis, Mo)に、以下の表1に示す添加物を最終濃度となるように添加したものを実験に用いた。
Figure 2008099561
培養法:
細胞(1)〜(3)及び(8)については培地Aで培養し、その後培地A中のDMEMをIMDMに変更して血清濃度を約半日ごとに5%、 2%、 0.5%へ減少させた培地で培養した。その後培地Aあるいは無血清培地へそれぞれ培地を交換し、0.2% Trypsin/EDTA処理により細胞を剥離、計測して1.5 x104 個/wellとなるよう細胞を培養皿から剥離し集め、培地Aで培養する細胞はTC-plateで、無血清培地で培養する細胞はBIOCOAT(登録商標)(collagen Type IV)上で培養した。なお、無血清培地にて培養した細胞は、Trypsin Inhibitor をTrypsin/EDTAの5倍量加えて同様に280xgで遠心することでTrypsin/EDTAの処理を終了させ、無血清IMDMで再度洗浄して細胞懸濁液を洗浄した。その後2あるいは3日ごとにそれぞれの培地を交換し、7日後に培養皿上の細胞を0.2% Trypsin/EDTAで処理して剥離し集めParticle Counter (Z1 Coulter, Beckman Coulter, Inc., Fullerton,CA)にて一定溶液中の細胞数を計測し、全細胞数を算出した。
細胞(4)〜(7)及び(9)についてはそれぞれ上記の至適培地で培養し、その後専用培地と無血清培地の比率を約半日ごとに1:1、 2:8、 5:95、 0:100 へと減少させた培地で培養した。その後、専用培地あるいは無血清培地へ培地を交換し、0.2% Trypsin/EDTA処理により細胞を剥離、計測して1。5 x104 個/wellとなるよう細胞を培養皿から剥離し集め、専用培地で培養する細胞はTC-plateで、無血清培地で培養する細胞はBIOCOAT(登録商標) (collagen Type IV)上で培養した。なお、無血清培地にて培養した細胞は、Trypsin Inhibitor をTrypsin/EDTAの5倍量加えて同様に280xgで遠心することでTrypsin/EDTAの処理を終了させ、無血清IMDMで再度洗浄して細胞懸濁液を洗浄した。その後2あるいは3日ごとにそれぞれの培地を交換し、7日後に培養皿上の細胞を0.2% Trypsin/EDTAで処理して剥離し集めParticle Counter (Z1 Coulter, Beckman Coulter, Inc., Fullerton, CA)にて一定溶液中の細胞数を計測し、全細胞数を算出した。
結果:
本実験では9種類の細胞についてそれぞれの至適培地の割合を少しずつ減少させ、最終的には全て無血清培地となる状態から細胞をBIOCOAT(登録商標) (collagen Type IV)上へ播種し直し、7日後の細胞数を計測した。その結果、図1のように歯肉由来線維芽細胞(GFB)および2種類の血管内被細胞(HMVEC、 HUVEC)ではそれぞれ従来の至適培地で培養した方が多くの細胞数を得ることができた。一方で、皮膚由来線維芽細胞(DFB)、間葉系幹細胞(MSC)、2病態由来の滑膜細胞(SCOA、 SCRA)、さらにはヒト羊膜由来間質細胞(AmMSC)はそれぞれの至適培地に比べて無血清培地でより多くの細胞数を得ることができた。特に羊膜由来間質細胞は従来の培地で培養を行った細胞と比較して、無血清培地で培養を行った細胞はAmMSC01で約3倍、AmMSC02で約12倍の増殖を示した。またデータには示していないが、DFB、 MSC、 SCOA、 SCRA、 AmMSCでは今回のように徐々に培地の割合を減少せずに、細胞播種時に突然培地を無血清培地に変換してもその至適培地よりも多くの細胞を得ることができた(データ示さず)。このように、本発明の細胞増殖促進剤を含有する無血清培地で培養することによって、ヒト皮膚線維芽細胞、ヒト腸骨由来骨髄間葉系幹細胞、ヒト線維芽細胞様滑膜細胞、ヒト羊膜由来間質細胞の4種の細胞において高い増殖能力を示した。
本発明の細胞増殖促進剤を使用することによって、無血清培地中で羊膜由来細胞又は滑膜細胞の増殖を顕著に促進させることが可能となる。その結果、この方法を用いて、生体から比較的容易に採取できる細胞、即ち、滑膜細胞から軟骨分化させたり、羊膜由来細胞を神経細胞へ分化させたりすることが可能となる。

Claims (14)

  1. 以下のアミノ酸配列から成るペプチドから成る羊膜由来細胞又は滑膜細胞増殖促進剤:
    (1)以下のアミノ酸配列:
    Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Tyr(配列番号1)、又は
    (2)上記配列番号1のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加し、配列番号1のアミノ酸配列から成るペプチドと実質的に同等の細胞増殖促進活性を有するアミノ酸配列。
  2. 羊膜由来細胞が羊膜間質細胞である、請求項1記載の細胞増殖促進剤。
  3. 滑膜細胞が線維芽細胞様滑膜細胞である、請求項1記載の細胞増殖促進剤。
  4. 線維芽細胞様滑膜細胞が骨変形性関節炎又はリウマチ性関節炎由来である、請求項3記載の細胞増殖促進剤。
  5. 羊膜由来細胞又は滑膜細胞がヒト由来である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞増殖促進剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞増殖促進剤を有効量含有する無血清培地中で、羊膜由来細胞又は滑膜細胞を培養又は増殖する方法。
  7. 無血清培地が基本培地Iscove’s Modified Dulbecco’s Media (IMDM)である、請求項6記載の方法。
  8. 無血清培地が細胞接着因子及び/または細胞外基質を含有する、請求項6記載の方法。
  9. 無血清培地がインシュリン、トランスフェリン及びセレナイトを含有する、請求項6記載の方法。
  10. 無血清培地がplatelet-derived growth factor及び/又は成長因子を含有する、請求項6記載の方法。
  11. 無血清培地が合成ステロイド及び/又はホルモン類を含有する、請求項6記載の方法。
  12. 無血清培地がビタミン類を含有する、請求項6記載の方法。
  13. 無血清培地が白血病阻害因子を含有する、請求項6記載の方法。
  14. 無血清培地がメルカプトエタノール、ソディウムボロハイドライド、ポリフェノール及び/又はセレンを含有する、請求項6記載の方法。
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