JP2006034118A - 間葉系幹細胞の効率的保存または調製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 間葉系幹細胞の細胞ソースからの回収のために:1)まず患者より採取した細胞ソースを安定に生存性を保持させる;2)さらに保存後、フィコールやパーコールなど医薬品として未承認の試薬を用いることなく、目的の間葉系幹細胞を迅速、安定に回収する手法の確立すること。
【解決手段】 そこで我々は細胞ソースの保存方法として種々検討を重ねた結果、より高い濃度での抗凝固剤の使用、およびこの高濃度の抗凝固剤を添加した保存後の細胞ソースに単純に遠心による洗浄する操作を加えた全骨髄細胞を培養することにより、長期間の保存後でも効率的に間葉系幹細胞の回収が可能であることを見出した。
【選択図】 なし

Description

本発明は骨髄の保存およびその保存した骨髄からの間葉系幹細胞の回収に係わる技術分野に属するものである。
再生医療において幹細胞、特に間葉系幹細胞の確保は最も重要なものであり、骨髄はその最も有望な細胞ソースと考えられている。
間葉系幹細胞は、脂肪、骨、軟骨、筋繊維などの結合組織を含む特殊な型の間葉あるいは結合組織に分化することのできる、骨髄、血液、真皮、および骨膜に見出される形成多能芽細胞あるいは胚状細胞である。これらの細胞は通常骨髄に非常に低い頻度で存在し、加齢とともにその頻度は低下し、未成年で数万分の一、成人で骨髄細胞数十万分の一程度である。組織培養でこれらの細胞の集団を分離し、精製し、また増幅させるプロセスは、フリーデンスタイン他により既に報告されている(非特許文献1)。
細胞ソースの保存は、血液の保存と同様に通常、抗凝固剤存在下で冷蔵保存する。用いる抗凝固剤にはEDTA、ヘパリン、クエン酸ナトリウム、ACD(acid citrate dextrose solution)などがあるが、それぞれ異なるメカニズムによるものであり、目的により適切な抗凝固剤を選択、使用する必要がある。例えばヘパリンはアンチトロンビンIIIの補因子として働き、アンチトロンビンの持つ抗トロンビン作用などを促進することにより抗凝固作用を示すという作用メカニズムであり、移植用の血液あるいは細胞ソースの凝固阻害剤としてよく用いられている。
細胞ソースからの間葉系幹細胞の回収には種々の方法があるが、フィコールやパーコール試薬を用いた密度勾配遠心分離がよく用いられている(非特許文献2,3)。この手法は単核球画分にある間葉系幹細胞をかなり高い純度で調製することを可能にするものである。しかし、これらの試薬は薬事法で未承認であり、医療目的では使用できないという問題がある。
Friedensteinら Cell Tissue Kinet.Vol.20,263−272(1987) Pittengerら Science Vol.284,143−147(1999) Mackayら Tissue Engineering Vol.4,415−428(1998)
間葉系幹細胞の細胞ソースからの回収においては、まず患者より採取した細胞ソースについて、間葉系幹細胞の分離および培養を開始するまでは如何に安定に細胞の生存性を保持するかが重要な課題である。採取場所である病院と培養施設は必ずしも同じ場所ではなく、場合によっては数百キロ、数千キロ離れている場合もある。したがって、細胞ソースの保存性を高めることが必要である。
通常、抗凝固剤、例えばヘパリンは1U/ml前後で用いられているが、この濃度では、長期間の保存で凝集形成を起こし、細胞数の大幅なロスにつながる可能性がある。また、抗凝固剤濃度を高めに設定すると、目的の間葉系幹細胞の回収率低下など細胞への悪影響の可能性もある。
また保存後の細胞ソースから間葉系幹細胞を調製する方法は、患者への負担、安全性を考慮し、フィコールやパーコールなど医薬品として未承認の試薬、器材を用いることなく、かつ簡便、迅速なものでなくてはならない。したがって、細胞ソースの保存方法として、間葉系幹細胞のより長期間の生存性を確保し、かつそこから十分な量の間葉系幹細胞の回収を可能にする手法の確立が待望される。
驚くべきことに、通常よりもより高い濃度での抗凝固剤の使用、および任意にこの高濃度抗凝固剤を添加した後の細胞ソースに洗浄する操作を加えた細胞画分を培養することにより、長期間の保存後でも、効率的に間葉系幹細胞の回収が可能であることを見出した。よって本発明は:
[1]
間葉系幹細胞の調製方法であって、
(a)間葉系幹細胞を含む細胞ソースを取得すること、
(b)該細胞ソースを抗凝固剤と混合すること、および
(c)(b)の混合物から間葉系幹細胞を分離すること
を含む方法;
[2]
(c)が、(c−1)(b)の混合物から、細胞画分を取得すること、および、(c−2)該細胞画分から間葉系幹細胞を分離すること、
を含む[1]の方法;
[3]
(c―1)が、(b)の混合物を遠心分離することを含み、かつ、(c−2)が、細胞画分を、間葉系幹細胞が付着性を有する材料に接触させることを含む、[2]の方法;
[4]
(b)の混合物から抗凝固剤を除去することを、さらに含む、[2]または[3]の方法;
[5]
[1]ないし[4]いずれかの調製方法によって間葉系幹細胞を調製すること、および
該間葉系幹細胞を医療用具として許容される多孔質体に播種すること、を含む、間葉系幹細胞と多孔質体の複合体の製造方法;
[6]
[1]ないし[4]いずれかの調製方法によって間葉系幹細胞を調製すること、および
該間葉系幹細胞を製薬的に許容される担体と混合すること、を含む、医薬組成物の製造方法;
[7]
間葉系幹細胞を調製し得る細胞ソースの保存方法であって、細胞ソースを、10U〜200U/mlの濃度の抗凝固剤の存在下、0℃ないし10℃の冷蔵状態に置くことを含む方法;
を提供する。
すなわち、効率的かつ簡便な間葉系幹細胞の回収方法として、抗凝固剤濃度を通常用いられる濃度より高く、さらに必要により保存した細胞ソースの遠心後の赤血球を含む細胞画分をそのまま、あるいは必要により1回以上生理食塩水、PBSもしくは無血清の培地で洗浄した後に培養シャーレ等培養器具に加え、培養処理することで効率的に付着細胞である間葉系幹細胞の回収を行う手法の開発に成功した。この場合、細胞ソースの長期間保存が可能となる。
長時間保存した細胞ソースから効率的に、再生医療分野で最も有望とされる、間葉系幹細胞を回収する手段を提供するものであり、本発明により再生医療が大きく加速される。細胞ソースの長期間の保存後でも、効率的に間葉系幹細胞の回収が可能である。フィコールやパーコールなど医薬品として未承認の試薬、器材を用いることなく、かつ簡便、迅速に間葉系幹細胞を調製できる。
間葉系幹細胞が存在する細胞ソースは、間葉系幹細胞が含まれる任意の細胞集団を使用できる。細胞ソースは、骨髄、血液、例えば末梢血、リンパ液、真皮、脂肪、骨格筋、滑膜、軟骨膜、骨および骨膜を含む。好ましくは、骨髄液を使用する。
抗凝固剤は、例えば抗凝血剤を含む。抗血液凝固剤は、血液の凝固を防止する任意の物質を使用できる。例は、EDTA、ヘパリン、クエン酸ナトリウム、ACD(acid citrate dextrose solution)などを含む。好ましくは、抗凝固剤は、ヘパリン、例えばヘパリンナトリウム、ヘパリンリチウムなどを含む。さらに好ましくは、ヘパリンナトリウムが含まれる。
本発明において、細胞ソースを、抗凝固剤と混合する。添加する濃度は、細胞ソースの凝固が十分抑制される濃度である。該濃度は、例えば約10ないし200U/mlである。保存期間によって、その濃度を選択することが望ましい。例えば、約24時間以内の保存の場合、約100U/ml以下、また約24時間を越える保存の場合は約100〜200U/mlの濃度を選択することが望ましい。細胞への影響が少ない観点からは、濃度は好ましくは約10ないし50U/ml、より好ましくは約10ないし30U/ml、もっとも好ましくは約10ないし20U/mlであり得る。細胞ソースの保存性を高める観点から、該濃度は、好ましくは約50ないし200U/ml、より好ましくは約100U/mlないし200U/mlであり得る。もっとも、該濃度は細胞ソースの状態または保存条件に依存して、当業者が実験的または経験的に適宜に決定することができる。なお骨髄液のヘパリン濃度は市販製品の仕様説明に記載された濃度を基準に決定できるが、自ら発色性合成基質法(SRL総合検査案内)によって測定することが可能である。添加時期は特に限定されないが、好ましくは、細胞ソース採取後の細胞ソースに直ちに本発明に記載した濃度になるように抗凝固剤を添加する。その時、抗凝固剤の添加前後あるいは同時に細胞ソースに、等量あるいはそれ以上の量の生理食塩水、PBSあるいは無血清の培地を添加し細胞ソースを希釈することが望ましい。その時、抗凝固剤の濃度は希釈後の液量に対して、本発明記載の濃度になるように添加する。
抗凝固剤を添加した細胞ソースの保存温度は、例えば約0ないし約37℃である。冷媒等通常冷却操作で設定できる約0ないし10℃が好ましく、より好ましくは約4ないし8℃である。
抗凝固剤の添加によって、細胞ソースは長期間保存できる。抗凝固剤の種類、その濃度、細胞ソースの状態、保存条件例えば保存温度によって保存可能期間は異なる。望ましい実施態様では、約24時間、より望ましくは約72時間、もっとも望ましくは約168時間保存可能である。
抗凝固剤を添加した細胞ソースより、間葉系幹細胞を分離する。該分離工程は、当業界公知の、物理学的、化学的または生物学的手段を使用して実施できる。好ましくは、抗凝固剤を添加した細胞ソースより、細胞画分を取得し、次いで該細胞画分から間葉系幹細胞を分離する。
抗凝固剤添加の細胞ソースより細胞画分を取得する手法として、細胞ソースを静置して細胞画分を沈殿させるなど、当業者既知の方法により、細胞画分を分離することができる。簡便には、細胞ソースを遠心分離することによって細胞画分を分離することもできる。遠心分離の強度は、実験的または経験的に当業者が過度の実験なくして設定しうる。間葉系幹細胞の分離の効率化のため、遠心分離の際にフィコール、パーコール、HES(ヒドロキシエチルスターチ)などの遠心助剤を通常は添加する。しかし、本発明では、このような遠心助剤は必ずしも必要ではない。好ましい実施態様では、医薬品として未承認の試薬であるフィコール、パーコールを添加しない。それでなお、間葉系幹細胞を高純度で調製できる。細胞画分は、間葉系幹細胞を含む画分であれば、任意の細胞画分であり得るが、通常は全細胞画分である。
遠心分離操作を行うことで形成された下層、すなわち赤血球を含む細胞画分は、本発明では、抗凝固剤を含んでいる。抗凝固剤がその後の目的のために必要ではない、または好ましくはない場合、抗凝固剤を除去するため細胞画分を処理してもよい。当該処理は、好ましくは、細胞画分の洗浄操作である。抗凝固剤の除去により、混合物中の抗凝固剤は実質的に減少する。ここでいう洗浄操作は、遠心で得られた細胞画分に、必要な量、例えばそれと等量の液体、例えば生理食塩水、PBS、バッファあるいは無血清の培地を添加し、混和後、再度遠心処理し、細胞画分を分離する一連の工程を指す。
洗浄操作は、添加した抗凝固剤濃度によってその回数を調整することが望ましい。例えば、約100U/ml以下の場合は、洗浄無しもしくは約1回の洗浄が好ましく、約100U/mlを越える場合は約2回以上の洗浄が好ましい。
得られる細胞画分には、間葉系幹細胞が含まれており、したがってある実施態様では、該間葉系幹細胞を、所望の目的、例えば再生医療のために使用できる。
細胞画分より間葉系幹細胞を分離する手法として、前記で調製された細胞画分を、間葉系幹細胞が付着性を有する材料と接触させ、間葉系幹細胞を細胞画分から分離することができる。所望により該付着した間葉系幹細胞を液体、例えば生理食塩水、PBS、バッファあるいは無血清の培地で洗浄することによって、さらに間葉系幹細胞の純度を高めることもできる。該洗浄操作によって、抗凝固剤も除去できる。
ここでいう間葉系幹細胞が付着性を有する材料は、間葉系幹細胞が付着性を有する任意の有機または無機性材料を使用しうる。使用しうる材料は限定されないが、ガラス、樹脂例えばポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステルなどを含む。好ましくはポリスチレンを使用する。好ましい実施態様では、遠心分離などにより得られる細胞画分を、所望による洗浄操作の後、前記材料で作成された培養シャーレ等の容器に加え、培養する。その結果、付着細胞である間葉系幹細胞は、容器壁面に付着する。該付着した間葉系幹細胞を、付着した材料表面、例えば培養シャーレの底面から、物理的、化学的または生物的手段によって、回収できる。好ましくは、該付着している間葉系幹細胞を、酵素処理、例えばトリプシン処理することによって、間葉系幹細胞を高濃度で容易に回収しうる。
所望により、細胞画分が底部に付着した上記培養シャーレに、前記液体を添加し、前記と同様の洗浄操作を加える。該洗浄操作によって、間葉系幹細胞を洗浄し、抗凝固剤を除去しつつ、間葉系幹細胞を遠心管内壁に付着させる。該間葉系幹細胞を、所望の目的、例えば再生医療のために使用できる。
該培養のために、間葉系幹細胞の培養に使用される任意の既知の培養液を使用しうる。好ましくは約15%自己血清あるいは約15%ウシ血清を含むαMEM培地を使用する。
本発明にしたがって得られる間葉系幹細胞を、医療用具として許容される多孔質体に播種することもできる。播種された多孔質体は、間葉系幹細胞と多孔質体の複合体を形成する。播種は、間葉系幹細胞を、多孔質体に内在化させる任意の工程によることができる。簡便には、間葉系幹細胞が懸濁された液体、例えば生理食塩水、PBS、バッファあるいは無血清の培地を多孔質体に滴下またはシリンジ等によりインジェクトする。該播種された多孔質体を、in vitro またはin vivoで培養し、組織、好ましくは軟骨組織、または臓器を形成し得る。ここでいう医療用具として許容される多孔質体は、生物適合性かつ/または生物分解性材料で構成され、内部に多数の孔隙を有する三次元成型物である。好ましくは、多孔質体は、内部に連通する多数の微細な孔または空隙を有する成形物である。例えば、多孔質体は、間葉系幹細胞を播種した場合、血清成分や栄養因子、また老廃物等の循環が円滑に行われるような構造を持つ、細胞培養のための支持体であってもよい。
多孔質体の形状は、三次元であれば限定されないが、球状、粒状、平膜状、繊維状、中空糸状、直方体、立方体、平板状等いずれも有効に用いられる。多孔質体が球状または粒状であるばあい、平均粒径は約5μmから1000μmであることが好ましく、より好ましくは約20〜800μm、最も好ましくは約30〜600μmである。形状は、厚み方向に縦長な形状の孔が面方向に並列的に配置された概平板状形状を有し、一方の面が開孔処理されているものである、前記多孔質体を含む。概平板状形状とは、完全な平板形状はもちろんのこと、平板形状に近い形状であるものをすべて含む。
多孔質体は、限定されないが、例えばガラスビーズ、シリカゲルなどの無機多孔質体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストリンなどの多糖類からなる有機多孔質体、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラスさらにはこれらの組み合わせによって得られうる有機−有機、有機−無機などの複合多孔質体などが代表例としてあげられる。
無機多孔質体について、活性炭、及びガラスビーズなどが挙げられるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。その他の多孔質体の材料は、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ポリエチレン、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン、ポリ(トリフルオロエチレン)、ポリ(クロロトリフィルオロエチレン)、ポリ(テレフタル酸エチレン)、ポリプロピレン、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリアクリル酸エステル、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアミドなどの合成高分子化合物、またはヒドロキシアパタイト、βTCP(β-三リン酸カルシウム)などのセラミック化合物からなる群より選択されるがこれらに限定されない。
好ましくは、生体適合性かつ/または生物分解性材料は、コラーゲンやキチン、キトサン等の生体由来物質、αまたはβ−ヒドロキシカルボン酸の加水分解性ポリマー、例えばPGA(ポリグリコール酸重合体)、PLGA(ポリ乳酸−グリコール酸共重合体)、PLLA(ポリL−乳酸重合体)等の人工物、あるいはそれらのうち2種以上の物質の複合体等前述の構造を実現できる材料であれば特に限定されることはない。
特に好ましくは、グリコール酸と乳酸の共重合体(PLGA)であって、グリコール酸と乳酸の重量比が、約99:1−1:99、特に約75:25−25:75であるである。なお好ましくは、多孔質体は、孔径約10μm以上500μm以下、孔長約20μm以上1cm以下の縦長形状の孔が並列的に配置され、並置された各孔間は、孔径約10μm以下の小孔で連通した構造を有する、三次元多孔質体を含む。
孔径約10μm以下の小孔で連通した構造とは、上記縦長形状の孔の全個数の約50%以上、好ましくは約70%以上が、孔径約10μm以下である小孔で互いに連結された構造を意味する。またこの多孔質体を作製する方法に関しても前述の構造を実現できるものであれば特に限定されることはない。さらに、この多孔質体の構造も前述の特徴を実現できるものであれば、スポンジ状のものであっても不織布であっても、あるいはそれ以外のものであってもよく、特に限定されるものではない。前記多孔質体は、例えばWO2004/035101号公報に見出されるような公知の方法で製造できる。簡単には、多孔質体材料を有機溶媒に溶解し、調製した溶液を型枠に流し込んだ後、約3℃/分以上の冷却速度で凍結し、凍結した溶液を真空乾燥して、有機溶媒を除去する、ことによって製造する。
本発明にしたがって得られる間葉系幹細胞を、許容される製薬手法に従って、製薬的に許容される担体と混合することによって、医薬組成物を製造できる。そのような医薬組成物は好適な形態、例えば経口使用のための、注射のための、経鼻スプレー投与のため、注射のためなどの組成物にもたらすことができる。そのような医薬組成物は、当業界に周知であるように、製薬的に許容される担体材料、または希釈剤と組み合わせた前記間葉系幹細胞の有効量を含む。
担体は、経口、経腸、経皮、皮下、または非経腸投与のため好適な任意の不活性、有機または無機材料であり得、例えば水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、微結晶性セルロース、スターチ、ナトリウムスターチグリコレート、燐酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイド性二酸化ケイ素、などであることができる。そのような医薬組成物はまた、他の薬理学的活性な物質および慣行の添加物、例えば安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味剤、緩衝剤、などを含みうる。本発明の医薬組成物は、経口投与のため例えば固体または液体形態に作成でき、例えば非経腸投与、スプレー、例えば経鼻スプレー、伝達可能調製品、例えばパッチなどのための、滅菌溶液、懸濁、乳化液の形態の錠剤、丸薬、カプセル、粉末、シラップ、エリクシル、分散可能顆粒、カシェ、座薬などであり得る。
(実施例1)
骨髄液は米国Allcell社より、インフォームドコンセントの確認等、適正な手順を経て購入したものを用いた。骨髄液に等量のPBSを加えた後にヘパリンを終濃度で10、50、100、200U/mlになるように添加し、4℃での生存性を調べた。生存性はトリパンブルー染色により検定した。結果、生存性は24時間まではすべての濃度で80%以上を確保しており、72時間以降70%以上、また96時間後でも65%以上の生存性を示した。なお10U/ml以下のヘパリン添加では24時間以降、凝集が見られた。
Figure 2006034118
(実施例2)
実施例1で記載の骨髄液/PBSにヘパリンを100および200U/mlになるよう添加し、4℃で96時間保存した後、同細胞液を75cm2培養フラスコあたり2mlの骨髄液/PBS溶液を入れ、15mlの培地(αMEM15%血清)を加え培養を行った。培地交換は2〜3日に一回の割合で実施。回収率評価は培養で培養フラスコの底面に形成したコロニーの数を数えることにより行った。洗浄は600g、5分間の遠心で3回実施した。結果、ヘパリン100、200U/ml添加系ともに洗浄有りが無しよりも有意に良好な回収率を示した。
Figure 2006034118

Claims (7)

  1. 間葉系幹細胞の調製方法であって、
    (a)間葉系幹細胞を含む細胞ソースを取得すること、
    (b)該細胞ソースを抗凝固剤と混合すること、および
    (c)(b)の混合物から間葉系幹細胞を分離すること
    を含む方法。
  2. (c)が、(c−1)(b)の混合物から、細胞画分を取得すること、および、(c−2)該細胞画分から間葉系幹細胞を分離すること、
    を含む請求項1の方法。
  3. (c―1)が、(b)の混合物を遠心分離することを含み、かつ、(c−2)が、細胞画分を、間葉系幹細胞が付着性を有する材料に接触させることを含む、請求項2の方法。
  4. (b)の混合物から抗凝固剤を除去することを、さらに含む、請求項2または3の方法。
  5. 請求項1ないし4いずれかの調製方法によって間葉系幹細胞を調製すること、および
    該間葉系幹細胞を医療用具として許容される多孔質体に播種すること、を含む、間葉系幹細胞と多孔質体の複合体の製造方法。
  6. 請求項1ないし4いずれかの調製方法によって間葉系幹細胞を調製すること、および
    該間葉系幹細胞を製薬的に許容される担体と混合すること、を含む、医薬組成物の製造方法。
  7. 間葉系幹細胞を調製し得る細胞ソースの保存方法であって、細胞ソースを、10U〜200U/mlの濃度の抗凝固剤の存在下、0℃ないし10℃の冷蔵状態に置くことを含む方法。
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