JP2007314432A - 新規抗菌性ペプチド及び該抗菌性ペプチドを有効成分とする無血清培地 - Google Patents

新規抗菌性ペプチド及び該抗菌性ペプチドを有効成分とする無血清培地 Download PDF

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Nobue Hiromoto
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Abstract

【課題】高い抗菌効果、及び、自己血清もしくはウシ胎仔血清の代わりとなるような細胞増殖促進作用及び骨分化誘導作用を奏することが出来、無血清培地における活性成分として含有される新たなペプチドを提供すること。
【解決手段】特定のアミノ酸配列から成る抗菌性ペプチド、該ペプチドから成る抗真菌剤、該ペプチドを活性成分として有効量含む真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止作用を有する組成物、該ペプチドを含有し抗菌性が付与された医療用具・機器、該ペプチド等を投与することから成る、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止方法、抗菌性ペプチドから成る細胞増殖促進因子、骨分化誘導因子及び、該抗菌性ペプチドを含む無血清培地。
【選択図】図3

Description

本発明は、新規なペプチドに関し、特に、殺菌及び/又は発育阻止作用を有する、新規な抗菌性ペプチド及び該抗菌性ペプチドを含む組成物、並びに、該抗菌性ペプチドから成る細胞増殖促進因子又は骨分化誘導因子、及び該抗菌性ペプチドを有効成分とする無血清培地等に関する。
ヒトに病原性を有する真菌の多くは二相性であり、即ち、環境条件に応じて酵母形と、菌糸形の両者を取り得る。一部は二相性でないものもある。酵母型は卵円形の単細胞の状態であり、出芽により分裂増殖する。菌糸型は、円筒形の細胞が縦に連なったり、あるいは多核性の1個の細胞が長く延びて菌糸と呼ばれる糸状の構造が枝分かれたりしたりする状態を示すものである。
このような真菌として、カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルスなどを挙げることができる。カンジダは、正常人の口腔咽頭、消化器などに常在し、クリプトコッカスは、はとやネズミなどの糞、土の中などに多く含まれるほか、室内のごとき湿気の多い場所に多く存在し、空気に運ばれて人と接触している。アスペルギルスも昔から鳥の糞や土の中などに見つかっているが、最近では病院内のエアコンダクト、フィルタなどに多く見つかっている。これらの真菌は、正常人に対する感染能力は低いが、感染すると外毒素、内毒素、プロテアーゼなどの組織破壊物質を放出する。これらの真菌の多くは、抗癌剤、免疫抑制剤、ステロイド剤、広域抗生剤などの投与を受けている患者に発生し、日和見感染としての性格を有している。正常人ではこれら真菌に対して細胞性免疫が十分に働き、感染防御に役立っているが、上記患者ではそれが低下しているために感染を許すことになる。特に、悪性疾患患者、臓器移植患者あるいは集中治療室で治療を受ける患者等では深在性カンジダ症をはじめとする深在性真菌症あるいはカンジダ血症などを招き、重篤な転帰をとることが多い。
このような真菌によって引き起こされる真菌症の治療薬としては、ポリエン系のアンホテリシンBが知られている。また、フルシトシン、イミダゾール系のケトコナゾール、ミコナゾールなどの抗真菌剤も知られている。
しかしながら、これらの抗真菌剤は、用量依存的な腎毒性などの副作用が強いという問題点がある。特に、カンジダなどの真菌のエルゴステロールに作用起点を持つ抗真菌剤があり、該抗真菌剤が生体細胞膜のコレステロールなどのステロール類と類似しているために、副作用を生じるという問題がある。また、臓器機能の低下した患者に対しては、抗真菌剤の正常細胞に及ぼす影響が大きすぎて、従来の抗真菌剤の使用が困難である。また、特に、non‐albicans カンジダ属による感染には、抗真菌剤の効果が非常に低いことが報告されている。さらに、1970年後半ころよりポリエン系に対する耐性菌の出現が報告されるようになり,またこの近年はアズール系の抗真菌剤に対する耐性機構が存在する耐性菌が存在することが明らかとなった。したがって、臓器機能の低下した患者に対しても、副作用が問題とならず、かつ有効に抗菌効果を奏する抗真菌剤があれば望ましい。しかし、このような抗真菌剤はこれまで知られていない。
上記目的を達成するために、発明者らは、生体や牛乳に存在する抗菌性ペプチドを鋭意研究した結果、抗真菌剤として有力な機能を有するぺプチドを見出している(特許文献1及び特許文献2)。更に、このような抗菌性ペプチドには細胞増殖促進効果を見出している(特許文献3及び特許文献4)。
特許第3472821号 特許第3546231号 特開2005−154338号公報 特開2005−281225号公報 Oral Diseases (2004) 10, 221- 228, 「 Fungicidal effect of three new synthetic cationic peptides against Candida albicans」
さて、再生医療において、幹細胞といわれる多分化能を有した細胞を患者より採取し、インビトロにおいてこの幹細胞を増殖させ、そのままの状態であるいは必要な組織に分化させた後に生体に移植される。ただし、幹細胞を大量に獲るためにインビトロで連続的に継代培養するには、現段階では抗生物質及び/又は抗真菌剤に加えて自己血清もしくはウシ胎仔血清を組成として含む培地が不可欠である。しかし、抗生物質および抗真菌剤はその細胞毒性故に副作用を生ずることが知られている。又、自己血清は採取量に限界があり、更に、他人の血清やウシ胎仔血清を使用する場合にはBSEやunknownなウイルスの感染など非常に危険性が高い。
そこで、本発明の目的は、臓器機能の低下した患者に対しても、副作用が問題とならず、更に高い抗菌効果、及び、自己血清もしくはウシ胎仔血清の代わりとなるような細胞増殖促進作用を奏することが出来、無血清培地における活性成分として含有される新たなペプチドを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、新規抗菌性ペプチドについて鋭意探索する中で、本発明者が人為的に設計した新規なアミノ酸配列を有する塩基性抗菌性ペプチドが、間葉系幹細胞や線維芽細胞のような細胞の増殖促進活性及び骨分化誘導活性を有することを見出し、更に、このような抗菌性ペプチドを無血清培地に含有させることによって、特に、各種の細胞を無血清の状態で長期間に亘り継代して培養することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の各態様にかかるものである。
[態様1]以下のアミノ酸配列から成る抗菌性ペプチド:
(1)以下のアミノ酸配列:
Arg-Arg-Arg-Pro-Arg-Pro-Pro-Thr-Leu-Pro-Arg-Pro-Arg-Pro-Pro-Pro-Phe-Phe-Pro-Pro-Arg-Leu-Pro-Pro-Arg-Ile-Gly-Phe-Pro-Pro-Arg-Phe-Pro-Pro-Arg-Phe-Pro(配列番号1)、又は
(2)上記配列番号1のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加し、配列番号1のアミノ酸配列から成るペプチドと実質的に同等の抗菌性を有するアミノ酸配列。
[態様2]態様1記載のペプチドから成る、抗真菌剤。
[態様3]真菌が、カンジダ、クリプトコッカス、又はアスペルギルスである、態様2記載の抗真菌剤。
[態様4]態様1記載のペプチドを活性成分として有効量含む、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止作用を有する組成物。
[態様5]医薬組成物である態様4記載の組成物。
[態様6]洗浄剤、抗かび剤、又は、うがい薬である態様4記載の組成物。
[態様7]真菌が、カンジダ、クリプトコッカス、又はアスペルギルスである、態様4〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様8]態様1記載のペプチドを含有し抗菌性が付与された医療用具・機器。
[態様9]態様1記載のペプチドを投与することから成る、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止方法。
[態様10]態様2記載の抗真菌剤を投与することから成る、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止方法。
[態様11]態様4記載の組成物を投与することから成る、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止方法。
[態様12]真菌が、カンジダ、クリプトコッカス、又はアスペルギルスである、態様9〜11のいずれか一項に記載の方法。
[態様13]態様1記載の抗菌性ペプチドからなる細胞増殖促進因子。
[態様14]細胞が間葉系幹細胞又は線維芽細胞である、態様13記載の細胞増殖促進因子。
[態様15]態様1記載の抗菌性ペプチドからなる骨分化誘導因子。
[態様16]細胞が間葉系幹細胞又は線維芽細胞である、態様15記載の骨分化誘導因子。
[態様17]態様1記載の抗菌性ペプチド、又は、以下のアミノ酸配列:Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Tyr
からなる塩基性抗菌性ペプチドを有効量含有することを特徴とする無血清培地。
[態様18]基本培地IMDMに抗菌性ペプチドを混合して得られる、態様17記載の無血清培地。
[態様19]更に、細胞接着因子及び/または細胞外基質が添加された態様17記載の無血清培地。
[態様20]更に、インシュリン、トランスフェリン及びセレナイトが添加された態様17記載の無血清培地。
[態様21]更に、成長因子が添加された態様17記載の無血清培地。
[態様22]更に、合成ステロイド及び/又はホルモン類が添加された態様17記載の無血清培地。
[態様23]更に、ビタミン類が添加された態様17記載の無血清培地。
[態様24]更に、白血病阻害因子が添加された態様17記載の無血清培地。
[態様25]更に、メルカプトエタノール、ソディウムボロハイドライド、ポリフェノール及び/又はセレンが添加された態様17記載の無血清培地。
[態様26]細胞増殖用である態様17記載の無血清培地。
[態様27]骨分化誘導用である態様17記載の無血清培地。
[態様28]更に、β−グリセロールホスフェートが添加された態様27記載の無血清培地。
[態様29]態様17記載の無血清培地を使用する、細胞の増殖方法。
[態様30]態様17記載の無血清培地を使用する、細胞の骨分化誘導方法。
本発明の抗菌性ペプチドは、他に報告されている抗菌性のペプチドや抗真菌剤と比較して非常に低濃度で、口腔内微生物に対しての広いスペクトルと真菌等に対して強い抗菌性を持っており、これらの微生物に対する有効な抗菌剤としての利用が可能であり、医療用あるいは研究用の抗菌薬として応用した場合に大きな利点があると考えられる。
更に、本発明の抗菌性ペプチドに類するものは本来自然界に存在するものであるので、生体に対しての副作用や阻害作用がきわめて小さく、生物に投与した場合に、安全に効能を発揮させることができ、抗生物質などのような生体に対する為害性や副作用を回避することが可能である。又、抗菌剤としての使用に対する耐性菌の出現に対しても、自然免疫の成分ということから現在、その可能性は非常に低いことが期待される。
又、本発明の抗菌性ペプチドは、細胞増殖促進剤として用いて、各種細胞、特に幹細胞などをインビトロ又はインビボの細胞増殖における有効な細胞増殖促進を行なうことができる。更に、本発明の新規な抗菌性ペプチドは低分子量分子である為に、合成上でコスト面等で非常に有利である為に塩基性FGFに比べて非常に安価であり、細胞増殖促進剤としての利用に際して、安価な薬剤としての利用が可能である。
特に、上記のような抗菌性ペプチドを無血清培地に有効量含有させることによって、約2週間に亘る長期間の培養において、血清添加培地を使用した場合と比べて約6〜8倍の細胞数に増殖させることが可能となった。
[新規抗菌性ペプチド]
本発明の抗菌性ペプチドは、配列番号1に示される37個のアミノ酸配列(以下、「PR37」ともいう)、又は、該アミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸を欠失、置換、又は付加し、配列番号1のアミノ酸配列から成るペプチドと実質的に同等の抗菌活性を有するアミノ酸配列から成るペプチドである。ここで、「抗菌活性」とは、本願明細書の実施例に具体的に示されている活性を意味する。
本発明の抗菌性ペプチドに関して、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、欠失、置換又は付加されるアミノ酸は、好ましくは、同族アミノ酸(極性・非極性アミノ酸、疎水性・親水性アミノ酸、陽性・陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸など)同士が置換されるか、又は、アミノ酸の欠失若しくは付加によって、ペプチドの三次元構造及び/又は局所的電荷状態に大きな変化が生じない、又は、実質的にそれらが影響を受けないようなものが好ましい。
本発明のペプチドは、当業者に周知の任意のぺプチド合成法で取得することができる。例えば、本発明のペプチドは、液相法及び固相法のいずれの方法も使用することができる。ここで、一般に、液相法は反応を溶液状態で行い反応混合物から生成物を単離精製し、この生成物を中間体として次のペプチド伸長反応に用いる方法である。又、固相法は、反応溶媒に不溶の固相担体にアミノ酸を結合させ、このアミノ酸に準じ縮合反応を行いペプチド鎖を伸長させていく方法である。
ペプチドの化学合成は、カルボキシル基を保護したアミノ酸にアミノ基を保護したアミノ酸を脱水縮合させ、ペプチド結合を形成させ、次にアミノ保護基を除去後、遊離したアミノ基に次のアミノ基保護アミノ酸を順次、C末端からN末端に向かって一つずつ延長していく方法が基本である。脱水縮合反応では、カルボキシル基を活性化して、結合させようとするアミノ基と反応させる。この活性化には、ジシクロへキシカルボジイミド(DCC)法、活性エステル法、酸無水物法、アジド法等があるがその反応性の高さとラセミ化その他の副反応を考慮して選ばれる。縮合反応時の副反応を防止するためにアミノ酸のアミノ基、カルボキシル基、側鎖(R)の官能基には保護基が導入される。これらの保護基は、縮合反応の条件で安定であり、必要なときには速やかに除去されるものが好ましい。また、アミノ基の保護基とカルボキシル基の保護基とは互いに選択的に除去されることが好ましい。
アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(Bz)、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、p-ビフェニルイソプロピロオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられる。カルボキシ基の保護基としては、たとえばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられる。但し、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下、あるいはN−保護アミノ酸活性エステル又はペプチド活性エステルを用いて実施する。
縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。さらに、本発明のペプチドは通常の方法に従い精製される。たとえば、イオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。こうして合成したペプチドは、エドマン分解法でC-末端からアミノ酸配列を読み取るプロティンシークエンサー、GC−MS等でそのアミノ酸配列を分析し確認することができる。
本発明の抗菌性ペプチドは、遺伝子工学的手法を用いて調製することもできる。遺伝子工学的手法としては、例えば、本発明の新規ペプチドをコードするDNA配列を合成し、該DNA配列からなる遺伝子が挿入された発現ベクターにより形質転換又は形質導入された宿主細胞を用いて遺伝子を発現し、新規ペプチドを生産する。該遺伝子工学的手法に用いられる宿主細胞としては、宿主細胞としては、真核細胞及び原核細胞のいずれをも用いることができる。真核細胞としては動物、植物、昆虫、酵母等の細胞が、また原核細胞としては大腸菌、枯草菌、放線菌等適宜の宿主細胞を用いることができる。また、該遺伝子工学的手法に用いられるベクターとしては、公知の宿主細胞に適合した適宜のベクターを用いることができる。
[抗真菌剤]
本発明のペプチドはとして有用である。本明細書において、「真菌」とは、例えば、カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルス、白癬菌等の当業者に公知の任意の属に含まれる菌を包含する。
本発明の組成物は本発明のペプチドを活性成分として有効量含み、従って、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止作用を有する。本発明組成物の用途は以下に記載するように多岐に亘る。更に、本発明は、該ペプチド、該ペプチドから成る抗真菌剤、又は該組成物等を投与することから成る、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止方法にも係る。
例えば、本発明の組成物が医薬組成物である場合には、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止作用を奏効するに十分な量の本発明のペプチドを有効量として含有させることが出来る。例えば、0.001〜0.01重量%、好ましくは、0.005〜0.01重量%の割合で含有させることができる。かかる範囲としたのは、0.001重量%未満とする本発明のペプチドの効果を得られない場合があり、0.02重量%以上では、溶血が起こらないからである。
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の任意の投与経路、例えば、経口投与、非経口投与、及び直腸内投与で投与することが出来るが、経口投与が好ましい。本発明の医薬組成物に含まれる本発明ペプチドの投与量は、投与方法、患者の症状、年齢等により異なるが、血液量が成人で約5Lと仮定すると、通常1回1〜10mg/kg、好ましくは、5〜10mg/kgを1日当たり1回 〜複数回(約5〜7回)である。
本発明の医薬組成物には、活性成分である本発明のペプチドのほかに、製剤用担体又は補助剤として当業者に公知の任意の物質が含まれていても良い。尚、かかる物質は本発明のペプチドと実質的に反応しない物質であることが必要である。
このような製剤用担体又は補助剤の具体的としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、でん粉、ショ糖、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軟質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ろう、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は投与経路、患者の症状、年齢等に応じて、任意の剤型をとることが可能である。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することが出来る。なお、液体製剤にあっては、適用に際して、水又は他の適当な溶媒に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤を、周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
更に、本発明組成物は、洗浄剤、抗かび剤、うがい薬などの各種用途を有する。
例えば、本発明の組成物を洗浄剤、抗かび剤又はうがい薬等として使用する場合には、洗浄する対象の医療機器、真菌による汚染の程度等に応じて、該組成物中の本発明ペプチドの最適量を適宜設定することが出来る。例えば、洗浄剤及びうがい薬中などに添加して使用する場合、洗浄剤中に含まれる本発明のペプチドの濃度を、0.1〜10μMの範囲とすることができる。このような低濃度であっても十分抗菌効果を発揮することができるからである。本発明のペプチドの濃度は、好ましくは、0.3〜5μMの範囲であり、更に好ましくは、0.6〜2.5μMの範囲である。もっとも、この範囲に特に限定されることはない。
尚、本発明の医薬組成物に準じて、上記の各種組成物中にも、活性成分である本発明のペプチドのほかに、適当な担体又は補助剤として当業者に公知の任意の物質が含まれていても良い。
更に、本発明のペプチドから成る抗真菌剤は、例えば、コンタクトレンズ等の各種医療用具・機器の材料(原料)物質に含有させることによって、例えば、抗菌性コンタクトレンズのような、本発明のペプチドを含有し抗菌性が付与された医療用具・機器を作製することも出来る。尚、このような本発明の医療用具・機器は、例えば、前記材料(原料)物質と本発明のペプチドを適当な方法で混合したり、又は、材料(原料)物質を成型した後、それらの表面を適当な方法(例えば、塗布又は噴霧)を用いて本発明のペプチドで被覆すること等の当業者に公知の任意の手段によって、上記材料(原料)物質に本発明のペプチドを含有させることにより、容易に作成することが出来る。
[細胞増殖促進因子及び骨分化誘導因子]
本発明の抗菌性ペプチドは、細胞増殖促進作用及び骨分化誘導作用を有しており、従って、細胞増殖促進因子及び骨分化誘導因子としての用途も有する。本発明の抗菌性ペプチドにより増殖の促進が見られる細胞としては、例えば、間葉系幹細胞等の幹細胞及び線維芽細胞を挙げることが出来る。又、骨分化誘導の促進が見られる細胞としては、例えば、間葉系幹細胞等を挙げることができる。
幹細胞の具体的な例として、骨髄未分化間葉系幹細胞、骨格筋幹細胞、造血系幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、脂肪組織幹細胞、脂肪前駆細胞、血管内皮前駆細胞、軟骨前駆細胞、リンパ球系前駆細胞、NK前駆細胞、及び、胚性幹細胞等を挙げることができ、中でも骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、筋肉細胞、腱細胞、歯根膜、セメント質などの細胞へと分化しうる又はそれらの修復を促進しうる多能性を有する未分化な細胞である間葉系幹細胞を適合した対象として挙げることができる。幹細胞の場合、本発明の細胞の増殖方法には、細胞の分化誘導培養方法も含まれ、例えば、間葉系幹細胞の分化誘導培養は、特開2003−52360号公報に記載の方法で行うことができる。
非ヒト動物体内などインビボで細胞を増殖又は分化させる場合、本発明の各因子を局所に添加することにより対象とする細胞を、汚染微生物の増殖抑制下に増殖又は分化させることができる。この場合、抗菌性ペプチドを発現しうるDNAベクターの形態で添加することもできる。インビトロや、細胞が生体から摘出され、一時的にインビトロで培養されて、生体内に戻されるエクスビボで細胞を増殖又は分化させる場合、当該細胞の培養に通常用いられている培地条件下で培養することができる。
従って、本発明は、上記の各因子を用いて、インビトロ又はインビボで各種細胞、特に幹細胞などの細胞を増殖(促進)又は分化する方法にも関するものである。特に、インビトロにおける細胞の増殖(促進)、又は骨等への分化誘導方法では、塩基性抗菌性ペプチドを有効量含有することを特徴とする無血清培地、特に、以下に記載するような無血清培地を有利に使用することができる。
[細胞増殖用無血清培地]
従って、本発明は更に、上記の新規な抗菌性ペプチド(PR37)、又は、抗真菌剤として有力な機能を有するぺプチド(JH8194)として既に特許文献1に記載されている以下のアミノ酸配列Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Tyr からなる塩基性抗菌性ペプチドから成る抗菌性ペプチドを有効量含有することを特徴とする無血清培地、特に、細胞増殖用無血清培地にも関するものである。
上記無血清培地を調製する際の基本培地としては、IMDM、DMEM及びMEM等の当業者
に公知の任意の培地を使用することが出来る。更に、該無血清培地には、例えば、タイプIまたはIVコラーゲン及びフィブロネクチン等の当業者に公知の任意の細胞接着因子及び/または細胞外基質;インシュリン(Insulin)、トランスフェリン(Transferrine)及びセレナイト(Selenite)(これら三種類をまとめて「ITS」と略す);FGF及びEGF等の当業者に公知の任意の成長因子;デキサメサゾン(dexamethasone)等の合成ステロイド及び/又はホルモン類;アスコルビン酸及びNEAA(Non Essential Amino Acid)等の当業者に公知の任意のビタミン類及びアミノ酸;白血病阻害因子;並びにメルカプトエタノール、ソディウムボロハイドライド、ポリフェノール及び/又はセレン等から選択された各種物質を適当量添加することによって、細胞増殖促進効果をより一層高めることが出来る。又、培養プレート等の培養装置としては、表面をコラーゲン又はフィブロネクチン等の当業者に公知の任意の細胞接着因子でコーティングしたものを使用することが好ましい。
[骨分化誘導用無血清培地]
成分は基本的に上記の細胞増殖用無血清培地と同様であるが、更に、β−グリセロールホスフェート(β-Glycerophosphate)を適当量添加することによって、骨分化誘導促進効果をより一層高めることが出来る。
尚、かかる無血清培地に含有される上記抗菌性ペプチドの有効量は、基本培地、培養の対象となる細胞の種類、上記各種の添加物の種類・添加量等に応じて、当業者が適宜選択することが出来るが、通常、1nM〜100μM、好ましくは、0.1〜10μMである。
以下、実施例に則して本発明を更に詳しく説明する。尚、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって何等制限されるものではない。尚、本明細書中で引用される技術文献の内容は、本明細書の開示内容の一部と見なされる。
[実施例1:抗菌作用(1)]
本発明ペプチドの抗菌効果を確認するために、カンジダに対する抗菌作用を調べた。尚、本発明ペプチドは常法のアミノ酸合成法により、島津製のペプチドシンセサイザーを使って行った。Edgertonらの方法(Edgerton M, Koshlukova SE, Lo TE, Chrzan BG, Straubinger RM, Raj PA. Candidacidal activity of salivary histatins. Identification of a histatin 5-binding protein on Candida albicans.J Biol Chem. 1998 Aug 7;273(32):20438-47)により、C. albicans IFO 1385の菌液(濃度1.8×105 cfu/mL)を20マイクロリットルと、等量のペプチド溶液(濃度0.325μM〜25μM)とを混和し、90分間37℃で反応させた後,Yeast Nitrogen Base培地を添加して反応を止めた。その後、サブロー寒天培地上に播種し、37℃で48時間培養後に、生菌数をコロニーカウントによって求め、ペプチド溶液の代わりに1mMリン酸緩衝液を用いた対照溶液と菌液を反応させた場合のコロニー数(100%)と比較したときの残存率(%)を算出した。
本発明の抗菌性ペプチド(PR37)の抗菌実験結果を図1に示す。又、コントロールとして、ヒト上皮組織から分泌されるCathelisine Family に属する抗菌ペプチドで、ロイシン−ロイシンの配列で始まり37個のアミノ酸で構成されるペプチド(LL37)を使用して得られた抗菌実験結果を図2に示す。図の縦軸は、カンジダ菌の残存率を示す。横軸は、本ペプチドの濃度を示す。
図1及び図2を比較すると明らかなように、本発明の抗菌性ペプチド(PR37)はLL37に比べて、非常に優れた抗菌作用を示した。又、ラクトフェリン、ヒスタチン、及びヒスタチン変異体(Dhvar5)と比較しても本発明の抗菌性ペプチド(PR37)の抗菌作用は有意に高いものであった。
[実施例2:細胞増殖促進作用]
使用細胞:ヒト腸骨由来骨髄間葉系幹細胞(Cambrex Bio Science Walkersville, Inc., Walkersville, MDより購入)(Product Code: PT-2501. LotNumber:4F0218)はCD29、44、105、166 がポジティブで、CD14、34、45がネガティブであること、及び、骨、軟骨、脂肪への分化能をもつことが確認されている:以下「MSC」と略する。)は、最終濃度100 unit/mLのペニシリンG、最終濃度100μg/mLの硫酸ストレプトマイシン、最終濃度0.0085%のアンホテリシンB(以下、抗生物質液:GIBCO社)、及び10%牛胎児血清(FBS)を含むDulbecco’s Modified Eagle Media(Sigma Co. St. Louis, Mo)(以下、「培地A」と略する)にて2回継代培養したものを凍結保存した。各実験には凍結保存した細胞を毎回融解し、培地Aにて培養したものを実験に用いた。
無血清培地A:Iscove’s Modified Dulbecco’s Media (以下IMDM, Product Code:I3390) (Sigma Co. St. Louis, Mo)に、以下の表1に示す添加物を最終濃度で添加したものを実験に用いた。

Figure 2007314432
以上の添加物を含む培地を以下無血清培地Aとする。更に、その他、以下の表2に示した添加物を含むこともある。
Figure 2007314432
培養皿:BIOCOAT(登録商標) (Mouse collagen Type IV又はHuman fibronectin でコーティングされたMultiwell(登録商標)plates (BD Biosciences, Bedford, MA )、又は、Multiwell(登録商標) cell culture plates (BD Biosciences, Bedford, MA ) (以下、「TC plate」)の24 wellを用いた。
無血清培養法:培地Aで培養したMSCをφ10 cmの培養皿上で80%コンフルエントの状態で、FBSの割合のみを2%に減少した培地で交換し、さらに6時間後にFBSの割合のみを0.5%に減少した培地で交換し、一晩培養した。次にMSCを0.2% Trypsin/EDTA (GIBCO社)処理して細胞を培養皿から剥離し集め、培地Aを加えて280 x gで遠心することでTrypsin/EDTA の処理を終了させ、FBSを含まず、抗生物質液のみを含むIMDM(以下、「無血清IMDM」という)で再度洗浄することにより細胞懸濁液を洗浄した。1 x 104 cells/well になるようにMSCを無血清IMDMにてそれぞれのBIOCOAT (登録商標)あるいはTC plateに播種し、8時間後に、各添加物を含む培地に交換した。その後2あるいは3日おきに培地を交換し、7日後に24well plateの細胞を0.2% Trypsin/EDTA (GIBCO社)で処理して細胞を培養皿から剥離し集め、培地Aを加えて280 x gで遠心することでTrypsin/EDTA の処理を終了させ、無血清IMDMで再度洗浄することにより、細胞懸濁液を洗浄した。集めた細胞懸濁液の1/5量を再びそれぞれの24well plateへ播種し、2あるいは3日おきにそれぞれの培地を交換し、7日後に24well plateの細胞を0.2% Trypsin/EDTA (GIBCO社)で処理して培養皿から剥離し集めParticle Counter (Z1 Coulter, Beckman Coulter, Inc., Fullerton, CA)にて全細胞数を測定した。IMDM+Serum (2%, 10%)とはそれぞれ無血清IMDMにFBS 2%, 10%を含有する培地で培養した状態を示す。
結果:本培養方法では14日間もの長期間無血清状態で培養を行い、しかもその間一度継代を行った。その結果、図3に示されたように、無血清培地A+LIFを含む培地での14日間の培養では、collagen Type IV上で従来の培養法IMDM+Serum (10%)と比較して約8倍以上の細胞、TC plate上では同様に約6倍の細胞、Fibronectin 上では同様に約7倍の細胞を得ることができた。いずれのプレート上でもGHの添加は強い影響を示さなかった。データには示していないが、collagen Type I上での無血清培養でも同様に多くの細胞を得ることができた。このように、本発明の無血清培地を使用する培養方法によって、従来の血清含有培地と比較して無血清状態でさらに多くのMSCが得られることが示された。
[実施例3:骨分化誘導能]
実施例2と同じヒト腸骨由来骨髄間葉系幹細胞(Cambrex Bio Science Walkersville, Inc., Walkersville, MDより購入)(Product Code: PT-2501. LotNumber:4F1560)を使用した。培地Aにて2回継代培養したものを凍結保存した。各実験には凍結保存した細胞を毎回融解し、培地Aにて培養したものを実験に用いた。
無血清培地(B):Iscove’s Modified Dulbecco’s Media (以下IMDM, Product Code:I3390) (Sigma Co. St. Louis, Mo)に、以下の添加物を最終濃度となるように添加したものを無血清培地(B)として実験に用いた。
Figure 2007314432
骨誘導培地:培地Aに、以下の添加物を最終濃度となるように添加したものを骨誘導培地として実験に用いた。
Figure 2007314432
無血清骨誘導培地:無血清培地Bに以下の添加物を最終濃度となるように添加したものを無血清骨誘導培地として実験に用いた。尚、無血清培地Bには始めからSodium L-ascorbate 50mg/mlとDexamethasone 50nMが含有されている。
Figure 2007314432
培養皿:BIOCOAT TM (Mouse collagen Type IV) MultiwellTM plates (BD Biosciences, Bedford, MA )(以下Type IV Col plate)あるいはMultiwellTM cell culture plates (BD Biosciences, Bedford, MA ) (以下TC plate)いずれもφ35mmを用いた。
培養法:凍結保存してあるMSCを培地AでTC plateにて、あるいは無血清培地BでType IV Col plateにて4日間培養した。次にこれらMSCを0.2% Trypsin/EDTA (GIBCO社)処理して細胞を培養皿から剥離し集め、培地Aにて培養した細胞は、培地Aを加えて280 x gで遠心することでTrypsin/EDTA の処理を終了させ、IMDM(FBSを含まず、抗生物質液のみを含む:以下無血清IMDM)で再度洗浄することにより細胞懸濁液を洗浄した。また、無血清培地Bで培養した細胞は、Trypsin Inhibitor をTrypsin/EDTAの5倍量加えて同様に280xgで遠心することでTrypsin/EDTAの処理を終了させ、無血清IMDMで再度洗浄して細胞懸濁液を洗浄した。3 x 105 cells/dish になるようにMSCを培地Aおよび無血清培地BにてそれぞれType IV Col plate あるいはTC plateに播種し、その後2あるいは3日おきに培地を交換し、コンフルエント到達後に(共に7日後に)培養皿上の細胞を従来の骨誘導培地あるいは無血清骨誘導培地に交換した。その後2あるいは3日おきに培地を交換し、14日後に骨分化程度をアリザリンレッド染色にて確認した(図4)。
結果:従来技術では骨誘導培地で培養2週間後には培養皿から剥離して、丸まってしまったため、明らかな骨誘導効果は確認できなかった(時としてこのような現象が起きることは多い)。それに比較し、本発明方法(新法1)(無血清培地で増殖後に、骨誘導培地で培養)では細胞層が剥離することなく、強力に骨分化が誘導された。更に、本発明方法(新法2)(無血清培地で増殖後に、無血清骨誘導培地で培養)でも強力に骨分化が誘導された。以上の結果から、Type IV Col plate上で無血清培地を使って増殖させる方法はMSCの骨分化能を維持していた。さらに、Type IV Col plate上で無血清培地を使って増殖後に無血清骨誘導培地へ交換すればMSCの骨分化も誘導できることが示された。
[実施例4:抗菌作用(2)]
方法:48穴培養皿にDMEM(抗生物質液不含)を200μl入れ、試験群を図中の3群(各々16穴ずつ)、(1)アンホテリシンB(AB)なし,抗菌ペプチドなし、(2)アンホテリシン有,抗菌ペプチドなし(通常の培地と同様のもの)、(3)アンホテリシンBなし、抗菌ペプチド(PR37)有の3群に分けた。蓋を開けたまま、研究室の床に8時間放置し、その後細胞培養と同じ条件(37℃、5% CO2含有)で培養皿をインキュベートし、2,5,12日後に細菌が増殖した穴の数,すなわち微生物のコンタミネーションが起こったウェル数を目視で計測して算定した。
結果:(2)は抗生剤を含むことから、12日間全く微生物の増殖を認めなかったが、(3)群でも培養後5日間全く増殖を認めず、継代の間隔が1〜3日であるので、本発明の抗菌ペプチドの使用により抗生剤フリーにできる可能性が示唆された.
本発明の抗菌性ペプチドは、インビボにおける実際の臨床応用における組織移植の際の細胞増殖促進剤又は骨分化誘導促進剤として有効に利用することができる。かかる場合に抗菌性を有するペプチドとしての細胞の移植後組織内での増殖促進は、術後感染の防止という観点からも非常に重要な意味を持つものである。非ヒト動物体内などインビボで細胞を増殖させる場合、本発明の細胞増殖促進因子を局所に添加することにより対象とする細胞を、汚染微生物の増殖抑制下に増殖することができる。この場合、抗菌性ペプチドなどの細胞増殖促進因子を発現しうるDNAベクターの形態で添加することもできる。インビトロや、細胞が生体から摘出され、一時的にインビトロで培養されて、生体内に戻されるエクスビボで細胞を増殖させる場合、当該細胞の培養に通常用いられている培地条件下で培養することができる。
本発明ペプチド(PR37)の抗菌効果を示すグラフである。 コントロールのペプチド(LL37)の抗菌効果を示すグラフである。 抗菌性ペプチドによる細胞増殖促進効果を示すグラフである。 抗菌性ペプチドによる骨分化誘導方法の概略及び結果を示す図である。 抗菌性ペプチドによる抗菌作用を示す落下細菌実験の結果を示すグラフである。

Claims (30)

  1. 以下のアミノ酸配列から成る抗菌性ペプチド:
    (1)以下のアミノ酸配列:
    Arg-Arg-Arg-Pro-Arg-Pro-Pro-Thr-Leu-Pro-Arg-Pro-Arg-Pro-Pro-Pro-Phe-Phe-Pro-Pro-Arg-Leu-Pro-Pro-Arg-Ile-Gly-Phe-Pro-Pro-Arg-Phe-Pro-Pro-Arg-Phe-Pro(配列番号1)、又は
    (2)上記配列番号1のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加し、配列番号1のアミノ酸配列から成るペプチドと実質的に同等の抗菌性を有するアミノ酸配列。
  2. 請求項1記載のペプチドから成る、抗真菌剤。
  3. 真菌が、カンジダ、クリプトコッカス、又はアスペルギルスである、請求項2記載の抗真菌剤。
  4. 請求項1記載のペプチドを活性成分として有効量含む、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止作用を有する組成物。
  5. 医薬組成物である請求項4記載の組成物。
  6. 洗浄剤、抗かび剤、又は、うがい薬である請求項4記載の組成物。
  7. 真菌が、カンジダ、クリプトコッカス、又はアスペルギルスである、請求項4〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 請求項1記載のペプチドを含有し抗菌性が付与された医療用具・機器。
  9. 請求項1記載のペプチドを投与することから成る、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止方法。
  10. 請求項2記載の抗真菌剤を投与することから成る、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止方法。
  11. 請求項4記載の組成物を投与することから成る、真菌に対する殺菌及び/又は発育阻止方法。
  12. 真菌が、カンジダ、クリプトコッカス、又はアスペルギルスである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1記載の抗菌性ペプチドからなる細胞増殖促進因子。
  14. 細胞が間葉系幹細胞又は線維芽細胞である、請求項13記載の細胞増殖促進因子。
  15. 請求項1記載の抗菌性ペプチドからなる骨分化誘導因子。
  16. 細胞が間葉系幹細胞又は線維芽細胞である、請求項15記載の骨分化誘導因子。
  17. 請求項1記載の抗菌性ペプチド、又は、以下のアミノ酸配列:Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Tyr
    からなる塩基性抗菌性ペプチドを有効量含有することを特徴とする無血清培地。
  18. 基本培地IMDMに抗菌性ペプチドを混合して得られる、請求項17記載の無血清培地。
  19. 更に、細胞接着因子及び/または細胞外基質が添加された請求項17記載の無血清培地。
  20. 更に、インシュリン、トランスフェリン及びセレナイトが添加された請求項17記載の無血清培地。
  21. 更に、成長因子が添加された請求項17記載の無血清培地。
  22. 更に、合成ステロイド及び/又はホルモン類が添加された請求項17記載の無血清培地。
  23. 更に、ビタミン類が添加された請求項17記載の無血清培地。
  24. 更に、白血病阻害因子が添加された請求項17記載の無血清培地。
  25. 更に、メルカプトエタノール、ソディウムボロハイドライド、ポリフェノール及び/又はセレンが添加された請求項17記載の無血清培地。
  26. 細胞増殖用である請求項17記載の無血清培地。
  27. 骨分化誘導用である請求項17記載の無血清培地。
  28. 更に、β−グリセロールホスフェートが添加された請求項27記載の無血清培地。
  29. 請求項17記載の無血清培地を使用する、細胞の増殖方法。
  30. 請求項17記載の無血清培地を使用する、細胞の骨分化誘導方法。
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