JP2001158791A - 1,3−ビス(カルボキシアルキル)テトラアルキルジシロキサンの製造方法 - Google Patents
1,3−ビス(カルボキシアルキル)テトラアルキルジシロキサンの製造方法Info
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Abstract
アルキルジシロキサンを効率よく製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 下記化合物(1)の加水分解縮合反応に
より下記化合物(2)を得、この化合物(2)を含水硫
酸の存在下で加熱して下記化合物(3)を得る。 【化1】 〔Xは加水分解性基(例:塩素原子)、R1は炭素数1
〜3のアルキル基(例:メチル基)、R2は炭素数3〜
5のアルキレン基(例:プロピレン基)。〕
Description
有するケイ素系化合物、詳しくは1,3−ビス(カルボ
キシアルキル)テトラアルキルジシロキサンの製造方法
に関する。本発明の方法により製造される化合物は、ア
ルカリ可溶性レジスト材料の組成物等に利用されるケイ
素系モノマーの主剤等として有用である。
ロピル)テトラメチルジシロキサンの製造方法として
は、下記反応式(a)〜(d)による方法が知られてい
る〔J.Am.Chem.Soc,75,2932-4(1593)、US Patent 2,63
5,109、同2,589,446〕。
た定量的に進行しない工程もあるため、収率が低く製造
コストの嵩むものであった。さらに、グリニャール法を
使用していることから、エーテル系溶媒を用いるので反
応および取り扱いに注意を要し、しかも副生するマグネ
シウム塩を系外に除去する操作が煩雑である。このよう
に、従来の製造方法は工業的に効率がよいとはいえない
ものであった。
3−ビス(3−カルボキシプロピル)テトラメチルジシ
ロキサン等の1,3−ビス(カルボキシアルキル)テト
ラアルキルジシロキサンを効率よく製造する方法を提供
することにある。
明の1,3−ビス(カルボキシアルキル)テトラアルキ
ルジシロキサンの製造方法は、下記式(1)に示す構造
式で表される化合物を加水分解させ縮合させて下記式
(2)に示す構造式で表される化合物を得、次いで該化
合物を水および硫酸の存在下で加熱することにより下記
式(3)に示す化合物を得ることを特徴とする。
解性基であり、R1は炭素原子数1〜3のアルキル基で
あり、R2は炭素原子数3〜5のアルキレン基であ
る。〕
く説明する。
す化合物(以下、「出発化合物」ともいう。)を用い
る。ここで、Xは加水分解性基であって、具体的には塩
素原子、臭素原子等のハロゲン原子またはメトキシ基、
エトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。このう
ち、合成が容易であり、また原料を入手しやすいことか
ら、Xがハロゲン原子である出発化合物を用いることが
好ましく、Xが塩素原子である出発化合物が特に好まし
い。また、Xがアルコキシ基である場合、その炭素原子
数は1〜3の範囲であることが好ましい。
化合物(以下、「目的化合物」ともいう。)をアルカリ
可溶性レジスト材料等の分野に適用する場合、この目的
化合物に含まれる珪素原子の割合は高いほうが通常は有
用である。このため、出発化合物から目的化合物に至る
まで変化しない部分であるR1およびR2のうち、R1は
炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましく、
メチル基であることが特に好ましい。一方、R2の炭素
原子数の下限を3とするのは、R2が炭素原子数2以下
のアルキレン基であると本発明の方法により目的化合物
を効率よく製造することができないためである。また、
R1と同様の理由からR2の炭素原子数の上限は5とし、
R2がプロピレン基であることが特に好ましい。
であり、Xが塩素原子である場合を例とすると、この出
発化合物は例えば下記反応式(4)に示されるヒドロシ
リル化反応により容易に製造することができる。
反応および縮合反応(以下、「加水分解縮合反応」とい
う。)させて、上記式(2)に示す構造式で表される化
合物(以下、「中間化合物」ともいう。)を得る。この
反応は、シアノ基を保護するとともにシロキサン結合を
速やかにかつ完全に生成させるために通常はアルカリ性
で行われ、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、
水酸化リチウム等のアルカリ性化合物の水溶液に、出発
化合物を徐々に滴下して攪拌する等の方法により実施す
ることができる。使用するアルカリ性化合物の量は、出
発化合物の量に対してモル比で1.0〜2.0倍(より
好ましくは1.1〜1.5倍)とすることが好ましい。
アルカリ性化合物の使用量が少なすぎると十分な反応速
度が得られず生産性が低下する。特にXがハロゲン原子
である場合には、加水分解により生じたハロゲン化水素
がアルカリ性化合物を中和するので、反応の進行ととも
に系が中性に近づいて反応速度が小さくなる。一方、ア
ルカリ性化合物の使用量が多すぎると、過剰のアルカリ
性化合物を除去または中和する手間がかかる。
て反応温度0〜100℃(より好ましくは5〜50
℃)、反応時間24時間以下(より好ましくは0.5〜
2.0時間)とすることが好ましい。反応温度が低すぎ
ると十分な反応速度が得られず、温度が高すぎると副生
化合物が多くなるため好ましくない。この加水分解縮合
反応はほぼ定量的に進行させることができるので、出発
化合物に対する中間化合物の収率は80%以上とするこ
とができ、より好ましい条件では90%以上とすること
ができる。
溶解しないため、反応液は静置すると水層と油層とに分
離する。Xがハロゲン原子である場合には、中和により
生じた塩を水層とともに反応系から容易に除去すること
ができる。得られた油層に対し、有機溶媒による抽出や
減圧蒸留などを行って、第2の反応工程に進む前に中間
化合物を精製してもよい。また、上記反応はほぼ定量的
に進行するので、油層をそのまま第2の反応工程に使用
してもよい。
を含水硫酸により酸化して目的化合物を得る。この反応
工程においては、当初はSi−O−Si結合の切断、S
iとCN基との間のアルキレン鎖の切断等の副反応が起
こることが懸念された。ところが、本発明者の研究によ
り、意外にもこの副反応は実質的に生じず、目的化合物
が高収率で得られることが発見された。中間化合物およ
び目的化合物は、いずれも酸性の水には実質的に溶解し
ないため、水層と油層とを攪拌混合しながら反応を進行
させることが好ましい。反応系の水層における硫酸の濃
度は30〜90重量%であることが好ましく、50〜8
0重量%であることがより好ましい。硫酸の濃度が高す
ぎると(例えば98重量%以上)反応が十分に進行せ
ず、また有機物が分解する恐れもある。この含水硫酸と
中間化合物とを攪拌しながら、常圧において温度70〜
140℃(より好ましくは100〜130℃)で1〜8
時間(より好ましくは2〜4時間)反応させることによ
り、中間化合物のシアノ基がカルボキシル基となった目
的化合物が得られる。この目的化合物は、例えば低極性
溶媒から再結晶させることにより精製することができ
る。
にほぼ定量的に進行させることができるので、中間化合
物に対する目的化合物の収率は80%以上とすることが
でき、より好ましい条件では90%以上とすることがで
きる。また、本発明の製造方法によると、出発化合物に
対する目的化合物の収率を60%以上(より好ましい条
件では80%以上)とすることができ、さらには目的化
合物をほぼ定量的に得ることも可能である。なお、第1
の反応工程および第2の反応工程はいずれも有機溶媒を
使用することなく行うことができるが、必要に応じて有
機溶媒を用いてもよい。
らに具体的に説明する。なお、以下において「部」とは
「重量部」を示す。
記式(1)におけるR 1がメチル基、R2がプロピレン基
であり、Xが塩素原子である出発化合物を合成した。以
下、この化合物を「MS−CN」ともいう。乾燥窒素雰
囲気下、攪拌機および冷却管を備えた500mLの反応
器にシアン化アリル134.2g(2.0mol)を仕
込み、さらに触媒としてのH2PtCl66(H2O)の
小片を加え、攪拌しながら系内を70℃前後に加熱し
た。ここにジメチルクロロシラン200.0g(2.1
mol)を徐々に滴下してヒドロシリル化反応を開始さ
せた。その後、系内の温度が80〜90℃に保たれるよ
うにジメチルクロロシランの滴下量および加熱温を調節
しながら反応を進行させた。滴下終了後、そのまま同温
度で一時間攪拌放置して反応を完結させた。目的物であ
るMS−CNを反応液から減圧蒸留により精製した。こ
の化合物の沸点は82℃/6.7hPa(5.0mmH
g)、上記製造における単離収率は94.7%であっ
た。
より、上記合成例1で得られたMS−CNをアルカリ加
水分解させ縮合させて中間化合物(以下、「DS−C
N」という。)を合成した(第1の反応工程)。次い
で、下記式(6)に示す反応式により、上記第1の工程
で得られたDS−CNを酸化して目的化合物(以下、
「DS−COOH」という。)を合成した(第2の反応
工程)。
る。 (1)第1の反応工程 水酸化カリウム67.3g(1.2mol)をイオン交
換水150mLに溶解させた溶液を調製し、500mL
の反応器に仕込んだ。系内を5℃前後に冷却し、MS−
CN161.7g(1.0mol)を徐々に滴下して加
水分解縮合反応を進行させた。滴下終了後、そのまま同
温度で一時間攪拌放置して反応を完結させた。生成物を
n−ヘキサンで抽出し、有機層を水で数回洗浄した。こ
の有機層を分取、脱水した後に溶媒を除去し、さらに減
圧蒸留を行って目的物であるDS−CNを精製した。こ
の化合物の沸点は155℃/1.3hPa(1.0mm
Hg)、上記製造における単離収率は89.6%であっ
た。得られたDS−CNの13C−NMRスペクトルおよ
び各ピークの帰属を図1に示す。ニトリル炭素に起因す
るシグナルが119.5ppmに観測された。
−CN67.1g(250mmol)を300mLの反
応器に仕込んで系を加熱し、攪拌しながら還流雰囲気下
で4時間反応させた。その後、200mLのn−ヘキサ
ンで生成物を抽出し、この溶液を−50℃に冷却して白
色固体を再結晶させた。上記反応における収率は93.
0%であった。なお、出発化合物に対する目的化合物の
収率は83.3%である。得られた白色固体の13C−N
MRスペクトルおよび1H−NMRスペクトル、ならび
に各ピークの帰属を図2および図3に示す。13C−NM
Rでは、カルボニル炭素に起因するシグナルが180.
3ppmに観測された。また、1H−NMRではカルボ
ン酸、メチレンおよびメチル基の水素原子に起因するシ
グナルの値および存在比は、得られた白色固体が目的化
合物であるDS−COOHであることを支持していた。
Nを用いて、実施例1とは異なる操作によりDS−CO
OHを合成した。すなわち、実施例1と同様に第1の反
応工程を行った後、反応液の下層(水層)を反応容器か
ら除去した。反応容器内に残された有機層に、実施例1
と同量のイオン交換水および98%硫酸を添加して同様
の反応条件で第2の反応工程を行い、その反応液に対し
て実施例1と同様にn−ヘキサンによる抽出および再結
晶を行った。得られた白色結晶の13C−NMRスペクト
ルおよび1H−NMRスペクトルは、実施例1により得
られたものと実質的に同一であった。この実施例2で
は、出発化合物に対する目的化合物の収率は90.2%
であり、第1の反応工程後に中間化合物を精製する操作
を行わなくても高収率が得られた。実施例2の製造方法
によると、単一の反応容器を用いて第1の反応工程およ
び第2の反応工程を行うことができるという利点があ
る。
(d)に示す従来の製造方法に比べて反応工程の数が少
ないので明らかに製造効率がよい。しかも、各工程にお
いて反応はほぼ定量的に進行するので、従来の方法に比
べて目的化合物の収率を大幅に向上させることができ
る。この製造方法は、グリニャール反応を利用する従来
の方法とは異なり有機溶媒を必要としないので、作業環
境の点からも好ましく、また反応容器の容量に対して仕
込み可能な反応基質の量を多くすることができるので、
1バッチ当たりの生産量を多くすることができる。さら
に、実施例2のように単一の反応容器を用いて出発化合
物から目的化合物に至る反応を行うことも可能なので、
製造上極めて有利である。
13C−NMRスペクトルを示すチャートである。
Hの13C−NMRスペクトルを示すチャートである。
Hの1H−NMRスペクトルを示すチャートである。
Claims (1)
- 【請求項1】 下記式(1)に示す構造式で表される化
合物を加水分解させ縮合させて下記式(2)に示す構造
式で表される化合物を得、次いで該化合物を水および硫
酸の存在下で加熱することにより下記式(3)に示す化
合物を得ることを特徴とする1,3−ビス(カルボキシ
アルキル)テトラアルキルジシロキサンの製造方法。 【化1】 【化2】 【化3】 〔ただし、上記式(1)〜(3)において、Xは加水分
解性基であり、R1は炭素原子数1〜3のアルキル基で
あり、R2は炭素原子数3〜5のアルキレン基であ
る。〕
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34110199A JP3864648B2 (ja) | 1999-11-30 | 1999-11-30 | 1,3−ビス(カルボキシアルキル)テトラアルキルジシロキサンの製造方法 |
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---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7307178B2 (en) | 2003-09-25 | 2007-12-11 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Processes of making γ,δ-unsaturated carboxylic acid and silyl ester thereof, carboxyl group-containing organosilicon compound and process of making |
-
1999
- 1999-11-30 JP JP34110199A patent/JP3864648B2/ja not_active Expired - Fee Related
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