JP2001157491A - 超高速永久磁石式回転電機システム - Google Patents

超高速永久磁石式回転電機システム

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JP2001157491A JP33405099A JP33405099A JP2001157491A JP 2001157491 A JP2001157491 A JP 2001157491A JP 33405099 A JP33405099 A JP 33405099A JP 33405099 A JP33405099 A JP 33405099A JP 2001157491 A JP2001157491 A JP 2001157491A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、数百Hz以上の基本周波数で動作す
るインバータで駆動しても回転子の発生損失が少なく、
空気発生源の高効率化が図れることにある。 【解決手段】インバータと永久磁石式同期電動機間にリ
アクトルを挿入し、インバータから永久磁石式同期電動
機に供給される高調波電流成分の含有率を、基本波を1
00%とした場合、5次の含有率をA,7次の含有率を
B,11次の含有率をCとして、7次の含有率Bを10
%以下にすると共に、A<C<Bの関係を満足するよう
に総合含有率をある値以下に調整することにより、シャ
フトの高調波損失の他、ネオジム磁石の高調波損失が大
幅に減少し、回転子の損失を数百Wに低減でき、超高速
の永久磁石式回転電機システムを実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気圧縮機等を駆
動する超高速可変速電動機駆動システムに関し、特に超
高速永久磁石式回転電機システムを用いた空気発生源に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】永久磁石式同期電動機は、電動機効率が
高いことから、産業用駆動源として多用されている。電
動機の回転数が低い場合はシャフトに永久磁石を貼り付
けて使用されているが、電動機の回転数が高い場合は永
久磁石が飛散する恐れがある。
【0003】上記不具合を解決する手段として、超高速
の永久磁石式同期電動機においては、永久磁石の外周に
カーボン繊維やチタンリングを設ける方法が、特開平1
0−243586号公報で開示されている。
【0004】上記従来技術においては、永久磁石の飛散
を防止できるが、永久磁石式同期電動機がインバータで
運転され、高調波電流による脈動磁束が回転子側に入射
したときに、回転子に発生する損失については考慮され
ていない問題があった。また、超高速の永久磁石式同期
電動機を空気発生に用いたときの空気発生源駆動システ
ムの性能については考慮されていない問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、数百
Hz以上の基本周波数で動作するインバータで駆動して
も回転子の発生損失が少なく、空気発生源の高効率化が
図れる超高速の永久磁石式回転電機システムとこれを用
いた空気発生源を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、固定
子鉄心の複数のスロット中に電機子巻線を巻装した固定
子と、導電性で磁性体のシャフトの外周に導電性の永久
磁石、その外周にカーボン繊維からなる補強材を設けた
回転子を有する永久磁石式同期電動機と、永久磁石式同
期電動機を駆動するインバータとからなる超高速永久磁
石式回転電機システムにおいて、回転子のシャフトの外
周に磁性体の電磁鋼板リングを設けると共に、インバー
タと永久磁石式同期電動機間にリアクトルを挿入し、イ
ンバータから永久磁石式同期電動機に供給される高調波
電流成分の含有率を、基本波を100%とした場合、5
次の含有率をA,7次の含有率をB,11次の含有率を
Cとして、7次の含有率Bを10%以下とすると共に、
A<C<Bの関係を満足するようにしている。
【0007】請求項2の発明は、固定子鉄心の複数のス
ロット中に電機子巻線を巻装した固定子と、導電性で磁
性体のシャフトの外周に導電性の永久磁石、その外周に
カーボン繊維からなる補強材を設けた回転子を有する永
久磁石式同期電動機と、永久磁石式同期電動機を駆動す
るインバータとからなる超高速永久磁石式回転電機シス
テムにおいて、回転子のシャフトの外周に磁性体の電磁
鋼板リングを設けると共に、インバータと永久磁石式同
期電動機間にリアクトルを挿入し、インバータから永久
磁石式同期電動機に供給される高調波電流成分の含有率
を、基本波を100%とした場合、5次の含有率をA,
7次の含有率をB,11次の含有率をC,13次の含有
率をD,17次の含有率をE,19次の含有率をFとし
て、(A2+B2+C2+D2+E2+F205で算出した総
合含有率が11%以下を満足するようにしている。
【0008】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
の永久磁石式同期電動機において、回転子のシャフトの
外周に設けた磁性体の電磁鋼板リングが引張強さ70k
g/mm2以上の高張力電磁鋼板を採用している。
【0009】請求項4の発明は、固定子鉄心の複数のス
ロット中に電機子巻線を巻装した固定子と、導電性で磁
性体のシャフトの外周に電磁鋼板リングを設け、電磁鋼
板リング内の永久磁石挿入孔に永久磁石を挿入した回転
子を有する永久磁石式同期電動機と、永久磁石式同期電
動機を駆動するインバータとからなる超高速永久磁石式
回転電機システムにおいて、インバータと永久磁石式同
期電動機間にリアクトルを挿入し、インバータから永久
磁石式同期電動機に供給される高調波電流成分の含有率
を、基本波を100%とした場合、5次の含有率をA,
7次の含有率をB,11次の含有率をC,13次の含有
率をD,17次の含有率をE,19次の含有率をFとし
て、(A2+B2+C2+D2+E2+F205で算出した総
合含有率が14%以下を満足するようにしている。
【0010】請求項5の発明は、請求項4の永久磁石式
同期電動機において、回転子のシャフトの外周に設けた
磁性体の電磁鋼板リングが引張強さ80kg/mm2
上の高張力電磁鋼板を採用している。
【0011】請求項6の発明は、請求項1から5のいず
れか1項に記載の超高速永久磁石式回転電機システムを
空気発生源の駆動源に用いたものである。
【0012】即ち、永久磁石の磁束は回転子のシャフ
ト、CFRPを介して固定子に導かれる。そして、永久
磁石式電動機を基本周波数の数百Hz以上のインバータ
で駆動したとき、インバータからの高調波電流に起因し
て高調波の磁束が発生する。この高調波の有力次数は基
本周波数の5倍,7倍,11倍,13倍,17倍,19
倍になり、各構成部材で高調波損失を発生させる。最も
高調波損失が大きいのは、種々実験の結果シャフトで数
kWにもなり、超高速の永久磁石同期式電動機が成立し
ない。
【0013】しかし、請求項1の超高速永久磁石式回転
電機システムであれば、回転子のシャフトの外周に磁性
体の電磁鋼板リングを設けると共に、インバータと永久
磁石式同期電動機間にリアクトルを挿入し、インバータ
から永久磁石式同期電動機に供給される高調波電流成分
の含有率を、基本波を100%とした場合、5次の含有
率をA,7次の含有率をB,11次の含有率をCとし
て、7次の含有率Bを10%以下とすると共に、A<C
<Bの関係を満足するように調整することにより、シャ
フトの高調波損失の他、ネオジム磁石の高調波損失が大
幅に減少し、回転子の損失を数百Wに低減できる超高速
の永久磁石式回転電機システムを提供できる。
【0014】請求項2の超高速永久磁石式回転電機シス
テムであれば、回転子のシャフトの外周に磁性体の電磁
鋼板リングを設けると共に、インバータと永久磁石式同
期電動機間にリアクトルを挿入し、インバータから永久
磁石式同期電動機に供給される高調波電流成分の含有率
を、基本波を100%とした場合、5次の含有率をA,
7次の含有率をB,11次の含有率をC,13次の含有
率をD,17次の含有率をE,19次の含有率をFとし
て、(A2+B2+C2+D2+E2+F205で算出した総
合含有率が11%以下を満足するように調整することに
より、シャフトの高調波損失の他、ネオジム磁石の高調
波損失が大幅に減少し、回転子の損失を数百Wに低減で
きる超高速の永久磁石式回転電機システムを提供でき
る。又上述の調整は、総合含有率が11%以下を関係を
満足するように、リアクトル13を0.2(Ω)から
0.1(Ω)の値に調整する。
【0015】請求項3の超高速永久磁石式回転電機シス
テムであれば、請求項1又請求項2の回転子で、シャフ
トの外周に設けた磁性体の電磁鋼板リングに引張強さ7
0kg/mm2以上の高張力電磁鋼板を採用しているの
で、回転子を超高速で回転できる。
【0016】請求項4の超高速永久磁石式回転電機シス
テムであれば、シャフトの外周に電磁鋼板リングを設
け、電磁鋼板リング内の永久磁石挿入孔に永久磁石を挿
入し、インバータと永久磁石式同期電動機間にリアクト
ルを挿入し、インバータから永久磁石式同期電動機に供
給される高調波電流成分の含有率を、基本波を100%
とした場合、5次の含有率をA,7次の含有率をB,1
1次の含有率をC,13次の含有率をD,17次の含有
率をE,19次の含有率をFとして、(A2+B2+C2
+D2+E2+F205で算出した総合含有率が14%以
下を満足するように調整することにより、電磁鋼板リン
グの高調波損失が大幅に減少し、回転子の損失を数百W
に低減できる超高速の永久磁石式回転電機システムを提
供できる。
【0017】請求項5の超高速永久磁石式回転電機シス
テムであれば、請求項4の回転子でシャフトの外周に設
けた磁性体の電磁鋼板リングに引張強さ80kg/mm
2以上の高張力電磁鋼板を採用しているので、回転子を
超高速で回転できる。
【0018】請求項6の超高速永久磁石式回転電機シス
テムを用いた空気発生源であれば、超高速永久磁石式回
転電機システムの効率が向上するので、同一入力で高出
力の空気発生源を提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図1な
いし図7に基づいて説明する。
【0020】図1に本発明の一実施例に係る永久磁石式
同期電動機の径方向断面図、図2に本発明の一実施例に
係る永久磁石式同期電動機の軸方向断面図を示す。図に
おいて、固定子1は固定子鉄心2に設けられた複数のス
ロット3中に巻装された三相U,V,Wの電機子巻線4
から構成される。回転子5は導伝性で磁性体のシャフト
6の外周に同一材料の中間スリーブ10を、中間スリー
ブ10の外周に高張力の積層電磁鋼板である電磁鋼板リ
ング7を、電磁鋼板リング7の外周に導伝性の永久磁石
8を、永久磁石8の外周に導伝性のカーボン繊維からな
る補強材のCFRP9から構成される。
【0021】この回転子5は中間スリーブ10の外周側
に電磁鋼板リング7、永久磁石8,CFRP9の順に配
置組み立て、中間スリーブ10の端部に封止材11で固
定した後、永久磁石8の着磁を行い、シャフト6に実装
される。固定子1と回転子5からなる永久磁石式同期電
動機は、永久磁石8の磁極位置に従って電機子巻線4に
インバータ12からリアクトル13を介し電流を供給す
ることにより、回転駆動される。
【0022】ここで、問題となるのはインバータ12か
らの高調波電流である。本発明の対象としている永久磁
石式同期電動機は、空気圧縮機などの羽根車を駆動する
もので、回転数が40,000rpm以上の超高速機で
ある。インバータの駆動周波数の関係から、電動機はお
のずと2極機となる。従って、駆動周波数は667Hz
以上となる。この667Hz以上のインバータからの電
流は、PWM(パルス幅変調)で印加電圧調整されるた
め、高調波が重畳され、周波数分析すると、基本周波数
の5倍,7倍,11倍,13倍,17倍,19倍が重畳
される。
【0023】この一例として、図3に本発明の一実施例
に係るインバータ運転時の電流波形、図4に本発明の一
実施例に係る電流の高調波含有率を示す。図3、図4に
おいて、電圧形インバータで回転数を調整する場合に
は、PWMで印加電圧を調整するため、電流波形には図
3に示すように、基本波以外の高調波が重畳されて歪ん
だ電流波形となり、周波数分析すると、図4に示すよう
に、基本周波数1次の5倍である5次,7次,11次,
13次,17次,19次が重畳される。
【0024】この奇数次の電流成分は回転周波数とは非
同期であるので、高調波の磁束が回転子側へ入射する。
回転子側は導伝性の永久磁石やシャフト(中間スリー
ブ)が存在するので、この高調波磁束を打ち消すように
うず電流が流れ、うず電流損を発生させる。回転子トー
タルのうず電流損は、各高調波成分によるうず電流損の
加算となり、出力が180kWの回転子で実測すると、
5kWにもなり、超高速の永久磁石式同期電動機が実現
できない。即ち、損失は磁石を温度上昇させ、有効磁束
が減少し、所望の出力が得られないことになる。種々実
験を行った結果、高調波磁束による損失は永久磁石8が
10%、中間スリーブ10が90%を占める事が判明し
た。
【0025】これに対し、本発明では、中間スリーブ1
0の外周に電磁鋼板リング7を設けているため、図5の
本発明の一実施例に係る永久磁石式同期電動機の磁束流
れ図に示すように、高調波磁束22が電磁鋼板リング7
を迂回して通るため、中間スリーブ10に損失が発生せ
ず、損失が永久磁石8の10%と電磁鋼板リング7の鉄
損の数%に低減でき、回転子トータルでは数百Wとなる
ことを実験で確認した。これにより、永久磁石8の温度
上昇が緩和され、有効磁束が得られ、超高速の永久磁石
式同期電動機が実現できる。
【0026】しかしながら、回転子に発生する損失は電
動機の効率、発熱に関係するが、本超高速の永久磁石式
同期電動機を空気圧縮機に適用した場合は、システムと
して成り立つか否かを左右する。
【0027】図6には本発明の一実施例に係る空気圧縮
機を示す。空気圧縮機14はフレーム15(全部の収納
フレームを総称する)中に、シャフト6が磁気軸受1
6,17で支承され、シャフト6に回転子5(中間スリ
ーブ10,永久磁石8,CFRP9,封止材11で構成
されたもの)が嵌合され、電機子巻線4を巻装した固定
子鉄心2が収容されている。空気圧縮工程はシャフト6
の一方の軸端に設けられた第1段の圧縮段である羽根車
18で空気20dを圧縮して空気20aを排出する。
【0028】空気20aの一部である空気20bを中間
冷却器23で冷却し、その冷却された空気20h,バル
ブ21cを介して磁気軸受16を冷却し、冷却された空
気20g,バルブ21bを介して永久磁石式同期電動機
1を冷却し、冷却された空気20a,バルブ21aを介
して磁気軸受17を冷却し、それらの冷却空気は集めら
れて排出される構成となっている。第2段の圧縮段であ
る羽根車19は第1段の圧縮段である羽根車18で圧縮
した空気20e(第1段の圧縮空気は20eと20bの
和となる)を圧縮して、空気圧縮機14の出力である空
気20cを排出する構成となっている。
【0029】ここで、重要なことは空気圧縮機14の出
力である空気を永久磁石式同期電動機1の冷却空気とし
て使用していることである。永久磁石式同期電動機1の
電機子巻線4は直接冷却された空気20gで冷却できる
が、回転子5の冷却効率が悪い。その理由は永久磁石式
同期電動機1が超高速で回転しているため、回転子5の
外周は超高速で回転している空気の層が存在し、冷却空
気20gを回転子5に当てても発生した熱を奪い去り難
いことによる。これより、回転子5に発生する損失が大
きい場合は冷却空気20gの量も大きくせざるを得なく
なり、その値は数10kWにもなり、空気圧縮機の効率
が悪くなる。
【0030】また、回転子に発生した損失はシャフト6
に熱伸びを与える。シャフト6の熱伸びはシャフト6を
磁気軸受16,17で支持しているため、mm単位を許
容できず、μm単位が限界となる。シャフト6に伸び検
出用リング24を設け、変位センサ25でシャフト6の
熱伸びを測定し、許容できるシャフト6の熱伸びは数百
μmであることが判明した(磁気軸受16,17の制振
効果を加味)。
【0031】本発明はこれに鑑み、シャフト6の熱伸び
とインバータからの高調波電流の関係を種々の実験を通
して明確化したものである。
【0032】
【表1】
【0033】表1に本発明に係る電流の高調波含有率と
シャフト伸び率の関係を示す。表1は出力180kWの
永久磁石式同期電動機を用いたケース1〜7に対する高
調波電流の含有率を、基本波を100%として、A:5
次,B:7次,C:11次,D:13次,E:17次,
F:19次の高調波含有率を示し、併せて許容できるシ
ャフトの伸び率を100%として、それぞれのケースで
のシャフトの伸び率を、(A2+B2+C2+D2+E2
205で算出した総合含有率、A<BとA<C<Bと
B<10%に対する満足判定を〇×で示している。
【0034】ここで、高調波含有率を調整するのはPW
Mの搬送周波数だけでは微少な調整が難しいので、イン
バータと永久磁石式同期電動機間に電線を空心で巻いた
リアクトルを挿入して調整した。使用したリアクトルは
数十μHである(1m当たりのインダクタンスは1μH
であるから、数十mの電線を7種類準備した)。
【0035】表1より、シャフトの伸び率が許容値10
0%以下なのはケース1,ケース2,ケース3及びケー
ス7である。この条件を見ると、総合含有率で11.1
9%以下、A<Bは全てのケースで当てはまるから排除
し、A<C<BとB<10%がケース1,ケース2,ケ
ース3及びケース7のみに当てはまることが分かる。言
い換えると、超高速の永久磁石式同期電動機1を駆動源
に持つ空気圧縮機14が実現できる条件は、1つはA<
C<Bで、かつB<10%と、総合含有率が11%以下
の場合である。総合含有率が11%以下を満足するに
は、リアクトル13を0.2(Ω)から0.1(Ω)の
値に調整する。この理由は、0.1(Ω)以下の場合に
は、高調波電流が大きくなり、発生熱が増加し、シャフ
トの伸び率(%)が大きくなり、使用できない。また
0.2(Ω)以上になると、モータの電圧降下が大きく
なり、負荷が増加した状態と同じにり、運転できない。
【0036】また、電磁鋼板リングを超高速の永久磁石
式同期電動機に適用にするに際しては遠心力による伸び
を考慮する必要がある。ただし、本発明の対象としてい
る40、000rpm以上の超高速の永久磁石式同期電
動機1に電磁鋼板リング7を適用した場合、電磁鋼板リ
ング自体にも引張強さがあり、最大で55kg/mm2
を超え、超高速の永久磁石式同期電動機が成立しない。
これに対し、電磁鋼板リング7に引張強さが70kg/
mm2以上の高張力電磁鋼板を適用すると超高速の永久
磁石式同期電動機が実現できることを種々の実験を通し
て確認した。
【0037】図7に本発明の他の実施例に係る永久磁石
式同期電動機の径方向断面図を示し、図1と同一物には
同一符号を付してある。図7の構成で図1と異なるの
は、シャフト6の外周に電磁鋼板リング28を設け、電
磁鋼板リング28に設けた複数の永久磁石挿入孔27中
に永久磁石28を挿入したことにある。
【0038】
【表2】
【0039】表2に表1の実施例に係る電流の高調波含
有率とシャフト伸び率の関係を示す。表2は表1と同一
固定子を用いているが、電動機定数のリアクタンスが異
なるので、表1と同一のリアクタンスとなるように、電
線を空心で巻いたリアクトルの値を調整した。表2にお
いて、180kWの永久磁石式同期電動機を用いたケー
ス5〜11に対する高調波電流の含有率を、基本波を1
00%として、A:5次,B:7次,C:11次,D:
13次,E:17次,F:19次の高調波含有率を示
し、併せて許容できるシャフトの伸び率を100%とし
て、それぞれのケースでのシャフト伸び率、(A2+B2
+C2+D2+E2+F205で算出した総合含有率を示し
ている。
【0040】表2より、シャフトの伸び率が許容値10
0%以下なのはケース5,ケース6,ケース7,ケース
10及びケース11である。この条件を見ると、各次数
の関係では表せず、総合含有率が14%以下のみに当て
はまることが分かる。言い換えると、電磁鋼板リング中
に永久磁石を埋め込んだ超高速の永久磁石式同期電動機
1を駆動源に持つ空気圧縮機14が実現できる条件は、
総合含有率が14%以下の場合である。
【0041】尚、シャフト伸び率の値が表1と表2で異
なるのは、図7の構成電磁鋼板リング28が回転子5の
表面にあるため、空気20gで冷却されるためである。
また、電磁鋼板リングを超高速の永久磁石式同期電動機
に適用にするに際しては、永久磁石の配置も加味して遠
心力による伸びを考慮する必要がある。但し、本発明の
対象としている40,000rpm以上の超高速の永久
磁石式同期電動機1に電磁鋼板リング28を適用した場
合、電磁鋼板リング自体にも引張強さがあり、最大で5
5kg/mm2を超え、超高速の永久磁石式同期電動機
が成立しない。
【0042】これに対し、電磁鋼板リング28に引張強
さが80kg/mm2以上の高張力電磁鋼板を適用する
と、CFRP9による補強がなくても、超高速の永久磁
石式同期電動機が実現できることを種々の実験を通して
確認した。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
インバータと永久磁石式同期電動機間にリアクトルを挿
入し、インバータから永久磁石式同期電動機に供給され
る高調波電流成分の含有率を、基本波を100%とした
場合、5次の含有率をA,7次の含有率をB,11次の
含有率をC,13次の含有率をD,17次の含有率を
E,19次の含有率をFとして、(A2+B2+C2+D2
+E2+F205で算出した総合含有率をある値以下に収
まるように調整することにより、シャフトの高調波損失
の他、ネオジム磁石の高調波損失が大幅に減少し、回転
子の損失を数百Wに低減できるので、高速の永久磁石式
同期電動機システムとそれを用いた空気圧縮機を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る永久磁石式同期電動機
の径方向断面図である。
【図2】図1の一実施例に係る永久磁石式同期電動機の
軸方向断面図である。
【図3】図1に本発明の一実施例に係るインバータ運転
時の電流波形図である。
【図4】図4に本発明の一実施例に係る電流の高調波含
有率を示す図である。
【図5】図1に本発明の一実施例に係る永久磁石式同期
電動機の磁束流れを示す図である。
【図6】図1を空気圧縮機に実施した概略断面図であ
る。
【図7】本発明の他の実施例に係る永久磁石式同期電動
機の径方向断面図である。
【符号の説明】
1…永久磁石式同期電動機、2…固定子鉄心、3…スロ
ット、4…電機子巻線、5…回転子、6…シャフト、7
…電磁鋼板リング、8…永久磁石、9…CFRP、10
…中間スリーブ、11…封止材、12…インバータ、1
3…リアクトル、14…空気圧縮機、15…フレーム、
16,17…磁気軸受、18…第1段の羽根車、19…
第2段の羽根車、20…冷却空気、21…バルブ、22
…電機子反作用磁束、23…中間冷却器、24…伸び検
出用リング、25…変位センサ、26…電磁鋼板リン
グ、27…永久磁石挿入孔、28…永久磁石。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 司 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 山本 弘毅 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 菊地 聡 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 高橋 身佳 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 三浦 治雄 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日 立製作所土浦事業所内 (72)発明者 福島 康雄 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社日 立製作所土浦事業所内 Fターム(参考) 5H576 AA10 BB02 BB05 DD02 DD07 EE11 FF08 HA10 HB01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定子鉄心の複数のスロット中に電機子
    巻線を巻装した固定子と、導電性で磁性体のシャフトの
    外周に導電性の永久磁石、その外周にカーボン繊維から
    なる補強材を設けた回転子を有する永久磁石式同期電動
    機と、該永久磁石式同期電動機を駆動するインバータと
    から成る超高速永久磁石式回転電機システムにおいて、
    前記回転子の前記シャフトの外周に磁性体の電磁鋼板リ
    ングを設けると共に、前記インバータと前記永久磁石式
    同期電動機間にリアクトルを挿入し、該インバータから
    該永久磁石式同期電動機に供給される高調波電流成分の
    含有率を、基本波を100%とした場合、5次の含有率
    をA,7次の含有率をB,11次の含有率をCとして、
    7次の含有率Bを10%以下にすると共に、A<C<B
    の関係を満足するようにしたことを特徴とする超高速永
    久磁石式回転電機システム。
  2. 【請求項2】 固定子鉄心の複数のスロット中に電機子
    巻線を巻装した固定子と、導電性で磁性体のシャフトの
    外周に導電性の永久磁石、さらにその外周にカーボン繊
    維からなる補強材を設けた回転子を有する永久磁石式同
    期電動機と、該永久磁石式同期電動機を駆動するインバ
    ータとからなる超高速永久磁石式回転電機システムにお
    いて、前記回転子の前記シャフトの外周に磁性体の電磁
    鋼板リングを設けると共に、前記インバータと前記永久
    磁石式同期電動機間にリアクトルを挿入し、該インバー
    タから該永久磁石式同期電動機に供給される高調波電流
    成分の含有率を、基本波を100%とした場合、5次の
    含有率をA,7次の含有率をB,11次の含有率をC,
    13次の含有率をD,17次の含有率をE,19次の含
    有率をFとして、(A2+B2+C2+D2+E2+F205
    で算出した総合含有率を11%以下となるようにしたこ
    とを特徴とする超高速永久磁石式回転電機システム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載において、前記電
    磁鋼板リングが引張強さ70kg/mm2以上の高張力
    電磁鋼板であることを特徴とする超高速永久磁石式回転
    電機システム。
  4. 【請求項4】 固定子鉄心の複数のスロット中に電機子
    巻線を巻装した固定子と、導電性で磁性体のシャフトの
    外周に電磁鋼板リングを設け、該電磁鋼板リング内の永
    久磁石挿入孔に永久磁石を挿入した回転子を有する永久
    磁石式同期電動機と、該永久磁石式同期電動機を駆動す
    るインバータとからなる超高速永久磁石式回転電機シス
    テムにおいて、前記インバータと前記永久磁石式同期電
    動機間にリアクトルを挿入し、該インバータから該永久
    磁石式同期電動機に供給される高調波電流成分の含有率
    を、基本波を100%とした場合、5次の含有率をA,
    7次の含有率をB,11次の含有率をC,13次の含有
    率をD,17次の含有率をE,19次の含有率をFとし
    て、(A2+B2+C2+D2+E2+F205で算出した総
    合含有率を14%以下となるようにしたことを特徴とす
    る超高速永久磁石式回転電機システム。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記電磁鋼板リング
    が引張強さ80kg/mm2以上の高張力電磁鋼板であ
    ることを特徴とする超高速永久磁石式回転電機システ
    ム。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれか1項に記載に
    おいて、空気発生源に前記超高速永久磁石式回転電機シ
    ステムを用いたことを特徴とする超高速永久磁石式回転
    電機システム。
  7. 【請求項7】総合含有率が11%以下を満足するには、
    リアクトル13を0.2(Ω)から0.1(Ω)の値に
    調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の超高
    速永久磁石式回転電機システム。
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