JP2001151910A - アラミドフィルム - Google Patents

アラミドフィルム

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JP2001151910A
JP2001151910A JP33580599A JP33580599A JP2001151910A JP 2001151910 A JP2001151910 A JP 2001151910A JP 33580599 A JP33580599 A JP 33580599A JP 33580599 A JP33580599 A JP 33580599A JP 2001151910 A JP2001151910 A JP 2001151910A
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aramid
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aramid film
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JP33580599A
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Kohei Kita
孝平 北
Kenichiro Iwamura
賢一郎 岩村
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な電磁変換特性を長期にわたって維持で
きる耐久性に優れた磁気記録媒体を提供できる耐熱性ベ
ースフィルムおよびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 平均一次粒子径が20nm〜100nm
の粒子を含有するアラミドフィルムであって、該フィル
ムの少なくとも一面において、1mm2当たりの、高さ
が10nm以上20nm以下の突起の個数をN1、20
nmを超えて50nm以下の突起の個数をN2、50n
mを超える突起の個数をN3としたとき、3×106個/
mm2≧N1≧5×105個/mm2、(N1/15)≧
2、1×104個/mm2≧N3であるアラミドフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及び
そのベースフィルムとして用いられるアラミドフィルム
に関するものであり、更に詳しくは電磁変換特性と耐久
性を兼備した磁気記録媒体及びベースフィルムとして用
いられるアラミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハイビジョン等の映像信号の高密
度化やデジタル化、データバックアップ用途での情報量
の増大等、磁気テープの高記録容量化、高密度記録化へ
の要請はますます高いものがある。磁気テープの高記録
容量化のためには、磁気特性の向上、カセット当たりの
テープ長さ増大等の改良が進められているが、後者につ
いては、ベースフィルムの厚みを薄くできる利点から、
高強度、高弾性率のアラミドフィルムの採用が進んでい
る。また、磁性層の改良では、磁気特性に優れること、
磁性層を薄くできること等の利点から、Co、Ni、C
r、Fe等の金属やこれらの合金を、真空蒸着法や、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法等のベーパー
デポジット法でフィルム上に薄膜として形成した、金属
薄膜タイプの磁気テープが注目されている。
【0003】また、磁気記録システムの進歩及び社会的
要求により、磁気記録媒体の高密度化、高性能化が急速
に進み、磁気記録媒体用ベ−スフィルムとして、良好な
電磁変換特性を確保するための表面平滑性と高張力下に
長期間断続的に使用されても特性が維持される耐久性を
兼備していることに対する要求が高まっている。この良
好な電磁変換特性を確保するという要求に対しては、磁
気記録媒体用ベ−スフィルムの表面平滑性が重要である
が、あまりに平滑すぎると磁気ヘッドとの摩擦により走
行不良となったり磁性層が損傷を受けるために適度に荒
れていることが必要である。特にメタル蒸着型磁気記録
媒体としてはアラミドフィルム等のベ−スフィルム上に
0.2〜0.3μm程度の極めて薄い磁性層を積層する
ため、ベ−スフィルム上の凹凸はそのまま製品フィルム
の表面として反映されるため、ベ−スフィルムの表面性
を制御することは極めて重要になっている。
【0004】表面性を制御している磁気記録媒体用ベ−
スフィルムとして、例えば特開平8−147671号公
報、特開平8−281818号公報、及び特開平11−
152352号公報には、微粒子をフィルム中に含有さ
せることが記載されているが、該フィルムの表面に形成
される突起についての記載はない。特開平10−725
31号公報には、表面処理された粒子を用い、フィルム
の表面に形成された総突起数に対して高さ5nm〜40
nmの突起数が90%以上、且つ単一粒子指数が0.2
5以上のフィルムが記載されているが、本発明の必須要
件である10〜20nmの極く限られた高さの突起数に
ついての記載はない。
【0005】特開平10−265589号公報には、微
粒子をフィルム中に含有することによるフィルム表面上
の突起数が規定され、更に突起高さが20nm以上の突
起についても記載されているが、10〜20nmという
極く限られた高さ範囲の突起についての記載はない。特
開平9−169859号公報にはフィルム上の突起高
さ、突起個数が規定されているが、50nm以上の高さ
の突起については記載されているが、50nm以下の高
さの突起についての記載はない。
【0006】国際特許WO96/06128には10n
m以上、50nm以下の突起が102〜107個/mm2
であることが記載されているが本発明の必須事項である
10〜20nmの極く限られた高さの突起数についての
記載はない。国際特許WO97/39876には20n
m以上、50nm未満の突起個数が103〜106個/m
2で、高さ50nm〜100nmの突起個数が0〜3
×104個/mm2であることは記載されているが、10
〜20nmの高さの突起についての記載はない。上記し
たようにアラミドフィルムに含有される粒子は基本的に
凝集しており、一般に二次粒子の粒径をそろえることに
よってフィルム表面の突起高さを制御しているが、表面
制御が不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、良好な電磁
変換特性を長期にわたって維持できる耐久性に優れた磁
気記録媒体を提供できる耐熱性ベースフィルムおよびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酸性下も
しくは加熱下にシランカップリング剤で表面処理した粒
子を用いてアラミドフィルムを製造することで、フィル
ム表面の突起を単一粒子指数が0.6以上という高い割
合の一次粒子で形成することが可能になると共に、突起
の高さを極狭い範囲内に入るようコントロールすること
ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、(1) 平均一次粒
子径が20nm〜100nmの粒子を含有するアラミド
フィルムであって、該フィルムの少なくとも一面におい
て、1mm2当たりの、高さが10nm以上20nm以
下の突起の個数をN1、20nmを超えて50nm以下
の突起の個数をN2、50nmを超える突起の個数をN3
としたとき、 3×106個/mm2≧N1≧5×105個/mm2 (N1/15)≧N2 1×104個/mm2≧N3 であることを特徴とするアラミドフィルム、(2) 平
均一次粒子径が20nm〜100nmの粒子の、アラミ
ドフィルム中における単分散率が20〜100%である
ことを特徴とする上記1のアラミドフィルム、(3)
平均一次粒子径が20nm〜100nmの粒子の、アラ
ミドフィルム中における単一粒子指数が0.6以上0.
9以下であることを特徴とする上記1又は2のアラミド
フィルム、(4) 平均一次粒子径が20nm〜100
nmの粒子が表面処理された無機粒子であることを特徴
とする上記1、2又は3のアラミドフィルム、(5)
溶剤にアラミドを溶解後、エンドレスベルトにキャスト
するアラミドフィルムの製造方法において、酸存在下で
シランカップリング剤と反応することにより表面処理さ
れた無機粒子の水分散溶液を溶剤に添加し、その後に該
溶剤にアラミドを添加、溶解することを特徴とするアラ
ミドフィルムの製造方法、(6) 溶剤にアラミドを溶
解後、エンドレスベルトにキャストするアラミドフィル
ムの製造方法において、加熱下でシランカップリング剤
と反応することにより表面処理された無機粒子の水分散
溶液を溶剤に添加し、その後に該溶剤にアラミドを添
加、溶解することを特徴とするアラミドフィルムの製造
方法、(7) 上記5又は6のアラミドフィルムの製造
方法で得られ、0.01〜1重量%の無機粒子を含有す
るアラミドフィルム、(8) 上記1、2、3、4又は
7のアラミドフィルム上に金属磁性体層を形成した磁気
記録媒体、である。
【0010】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくともその片面に
おいて、フィルム表面の、高さ10nm以上20nm以
下の突起個数(N1)が3×106個/mm2以下5×1
5個/mm2以上であることが必要であり、好ましくは
2.5×106個/mm2以下8×105個/mm2以上、
より好ましくは2.0×106個/mm2以下1×106
個/mm2以上である。
【0011】また、20nmを超えて50nm以下の突
起の個数(N2)は高さ10nm以上20nm以下の突
起個数(N1)の1/15以下であることが必要であ
り、好ましくは1/18以下、より好ましくは1/20
以下である。高さ50nmを超える突起個数(N3)は
1×104個/mm2以下であることが必要であり、好ま
しくは8×103個/mm2以下、より好ましくは5×1
3個/mm2以下である。ここで10nm以上20nm
以下の突起は、特にメタル蒸着型磁気記録媒体として用
いた時に出力特性を高いレベルにするために必要であ
り、その個数(N1)は5×105個/mm2より少なく
とも、また3×106個/mm2より多くとも摩擦係数が
大きくなり望ましくない。
【0012】50nmを超える突起個数(N3)が1×
104個/mm2を越えると、メタル蒸着型磁気記録媒体
として用いた場合に経時的にこの高い突起が磁気ヘッド
との摩擦により研摩され、突起高さが変化し、摩擦係数
の変化が生じるため、これを越えてはならない。20〜
50nmの突起についても50nmを超える突起と同様
に極めて少ないことが重要で、その個数(N2)は10
〜20nmの突起の数の1/15以下であることが必要
である。このように50nmを超える突起が1×104
個/mm2以下で、且つ20nmを超えて50nm以下
の突起の個数(N 2)がN1の1/15以下である場合に
は、摩擦係数は単位面積当たりのN1の個数で支配され
るため特に重要である。
【0013】上記の各突起高さにおいて、記載した突起
個数を達成することによって初めて出力特性と走行安定
性が両立される。本発明のアラミドフィルムに用いられ
るアラミドとしては、次の構成単位からなる群より選択
された単位より実質的に構成される。 −NH−Ar1−NH− (1) −CO−Ar2−CO− (2) −NH−Ar3−CO− (3) ここでAr1、Ar2、Ar3は各々少なくとも1個の芳
香環を含む2価の基であり、構成単位(1)と(2)が
ポリマ−中に存在する場合には、両者は実質的に等モル
である。
【0014】本発明において、良好な機械的性能及び寸
法安定性を確保するために、Ar1、Ar2及びAr3
各々パラ配向型の基である。ここでパラ配向型とは、芳
香環における主鎖の結合方向がパラ位に位置している
か、または2つ以上の芳香環からなる残基において両端
の主鎖の結合方向が同軸又は平行であることを意味す
る。このような2価の芳香族基の代表例としては下記化
1に記載の芳香族基が挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】[式中、Xは−O−、−CH2−、−SO2
−、−S−、−CO−等である。]また、芳香環の環上
の水素の一部が、ハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、
アルコキシル基等で置換されているものも含む。特に全
ての芳香環の80モル%以上がパラに結合されているア
ラミドが望ましい。Ar1、Ar2、Ar3はいずれも2
種以上であっても良く、また相互に同じであっても異な
っても良い。本発明に用いられるポリマ−は、これまで
に知られていた方法により、各々の単位に対応するジア
ミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸より製造するこ
とができる。具体的にはカルボン酸基をまず酸ハライ
ド、酸イミダゾライド、エステル等に誘導した後アミノ
基と反応させる方法が用いられ、重合の形式もいわゆる
低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法
などを用いることができる。
【0017】本発明に用いる芳香族ポリアミドには上記
した以外の基が約10モル%以下共重合されたり、他の
ポリマ−がブレンドされたりしていても良い。本発明に
用いられる芳香族ポリアミドとして最も代表的なものは
PPTAである。本発明に用いる芳香族ポリアミドの重
合度は、あまりに低いと本発明の目的とする機械的性質
の良好なフィルムが得られなくなるため、通常1.5以
上の対数粘度(ηinh)(濃硫酸100mlにポリマ
−0.2gを溶解して30℃で測定した値を与える重合
度のものが選ばれる。
【0018】また、本発明のアラミドフィルムには、フ
ィルムの物性を損ねたり、本発明の主旨に反しない範囲
で、酸化防止剤、除光沢剤、紫外線安定化剤、帯電防止
剤等の添加剤や他のポリマ−が含まれていてもよい。本
発明のアラミドフィルムの弾性率は10〜25GPaで
あることが望ましい。弾性率が10GPa未満のフィル
ムは、もはや高剛性フィルムの範疇ではなくなり、薄膜
の高密度記録媒体を作ることができなくなる。一方、弾
性率が25GPaを越えるアラミドフィルムは、裂けや
すく、かつ脆くなりもはやフィルムとしての有用性が少
なくなってしまう。高い弾性率のフィルムは、分子構造
的にパラ配向成分を多くすること、製造時に相対的に高
い延伸倍率を適用して、分子鎖を高配向化することで実
現できる。
【0019】本発明のアラミドフィルムの好ましい膜厚
は0.5〜50μm、より好ましくは1〜20μm、さ
らに好ましくは2〜10μmである。本発明においてフ
ィルムの平均厚みに対する厚みバラツキは1〜8%であ
ることが好ましく、より好ましくは、この比は1〜5%
である。この比が8%を超えると、ロール状に巻き上げ
たフィルムの巻き姿が悪くなり、ロールからの解除その
ものや解除後のフィルムの加工性が悪くり、さらにはフ
ィルムの見かけの摩擦係数が大きくなって走行性が悪く
なる。
【0020】本発明は、好ましくは,吸湿膨張係数が1
00ppm/%RH以下のフィルムに適用される。吸湿
膨張係数が100ppm/%RHを超えるフィルムは、
湿度寸法安定性が実用に耐えがたいレベルになるからで
あり、より好ましくは、50ppm/%RH以下のフィ
ルムに適用される。本発明は、フィルムの物性がフィル
ム面内の全方向に一定のいわゆるバランスタイプには勿
論のこと、長さ方向または幅方向に強化されたテンシラ
イズドタイプにも適用することができる。
【0021】本発明のフィルムは、また、好ましくは、
5〜100%の伸度を持っている。5%未満の伸度のフ
ィルムは脆いことがおうおうにして見られるからであ
る。一方、伸度は一般に大きい方が望ましいが、実際的
には100%程度が上限になる。伸度は、ポリマーの種
類、重合度や延伸配向度、結晶化度等の調整によって達
成できる本発明のフィルムは0.01〜1重量%、好ま
しくは0.03〜0.5重量%の無機粒子を含有してい
る。この粒子は、フィルム同士の滑り性を良くしたり、
ブロッキング現象を防止するために含有させるものであ
るが、含有量が1重量%を超えるとフィルム表面の滑り
性はよいもののフィルムの表面突起が多くなって平滑性
が失われる。0.01重量%未満では突起の形成は不十
分で磁気フィルムとして用いたときにフィルムの走行性
が不良となりやすい。
【0022】本発明において無機粒子は通常、単粒子の
平均径として20〜100nm、より好ましくは25〜
80nm、更に好ましくは30〜50nmの範囲のもの
が用いられる。粒子はフィルムの厚さ方向に均一に含有
されているか、または、不均一であっても少なくとも一
方の面とその近傍に含有されていれば良い。本発明者ら
は、本発明の製造方法によれば、フィルム中でより高度
の分散が行われ、実質的に凝集体を含まない場合には、
添加している粒子径以上の高さの突起は形成されず、粒
径の1/2〜1/5程度の高さの突起のみがフィルム表
面に形成されることを見いだした。従って20〜100
nmの粒子の使用によって10〜20nmの高さの突起
を選択的に作成することが可能となる。
【0023】本発明において、粒子が20〜100%の
単分散率でフィルム中に存在することが、高密度記録の
磁気記録媒体のベ−スフィルムとして用いたときに好ま
しい。より好ましくは30〜100%、特に好ましくは
40〜100%の単分散率でフィルム中に存在すること
である。なぜなら、単分散率が大きいと、フィルムに含
有させる粒子径、粒子濃度を変化させることで、フィル
ムの滑り性を自由にコントロ−ルすることが可能となる
からである。
【0024】本発明において、粒子が0.6〜0.9の
単一粒子指数でフィルム中に存在することが、高密度記
録媒体のベ−スフィルムとして用いたときに好ましい。
より好ましくは0.65〜0.9、特に好ましくは0.
7〜0.9の単一粒子指数でフィルム中に存在すること
である。なぜなら、単一粒子指数が大きいと、フィルム
上に存在する突起はフィルム中に単一に存在する粒子に
より形成される確率が高くなり、この結果、突起の高さ
をある一定範囲にコントロ−ルすることが可能となるか
らである。
【0025】本発明において高度の分散性は上記したよ
うに単一粒子指数、単分散率の2つの指標によって表現
される。それぞれの計算法は別途記載するが、単一粒子
指数はフィルム中に存在する粒子(二次粒子)中での単
一粒子の存在確率を表すもので、すなわちフィルム表面
での突起の状態を表しやすいものである。また、単分散
率はフィルム中に存在する一つ一つの一次粒子中での単
一に存在する粒子の存在確率を表すものであり、すなわ
ち全粒子数に対する単一に存在する粒子の割合を表し、
分散化技術のレベルを表すものである。分かりやすくす
るために具体的に例を挙げると、フィルム内をSEM等
で観察した際に1個、10個、20個という一次粒子か
ら形成される凝集体二次粒子が1つづつ、二次粒子数で
合計3個存在した場合にこの計算法を適用すると、単一
粒子指数は1/3=0.33となる。
【0026】一方、単分散率を計算すると、単分散率=
1/(1+10+20)×100=3.2%と算出され
る。単一粒子指数で判断するとおよそ表面に存在する突
起3個のうち1個がフィルム中で単一に分散する突起に
より形成されたことが分かり、しかし単分散率からはお
よそ粒子100個に3個程度しかフィルム中で単一な粒
子として存在せず、期待通りの高度な分散がフィルム中
で達成されていないことが分かる。
【0027】フィルム表面に突起を形成するために含有
する粒子としては、例えばSiO2、TiO2、ZnO、
Al23、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボ
ンブラック、ゼオライトなどの無機化合物を使用するこ
とができ、これらのうちの1種又は2種以上を選択して
用いる。中でも特にSiO2は容易にその表面を処理す
ることが可能であることから好ましい。また本発明の主
旨を外さない範囲で例えばテフロンやポリスルホン、架
橋ポリスチレン等の有機粒子を添加共存することも可能
である。
【0028】これらの無機粒子は一般にその表面はマイ
ナスの電荷を帯びている。また、表面に存在する水酸基
等の置換基は活性である。これらの無機粒子をアラミド
重合後、フィルムを成膜する際に混ぜ込む方法や、アラ
ミドを重合させる際に共存させることによりまぜこむ方
法をとることができるが、pH、温度等の環境の変化に
よって凝集し、所望の濃度で本来の粒子一つ一つをフィ
ルム中に含有させることはできなかった。ところが驚く
べきことに酸の存在下、あるいは加熱下で表面処理され
た無機粒子を硫酸やその他の有機溶剤に分散し、この分
散液を用いるとフィルム化した後にもなお、高度の分散
が達成されることが分かった。しかもこのような高度に
分散した微粒子を含むフィルムを用いてメタル蒸着型磁
気記録媒体を作った場合にはドロップアウトやノイズ等
の欠点が無いばかりか高い出力特性と経時的走行安定性
をも併せ持つことができる。
【0029】以下、本発明で使用する最も好ましい無機
粒子であるSiO2について説明する。SiO2は一般に
市販されているものを使用することができ、例えば触媒
化成工業社製のコロイダルシリカであるSI−80P、
SI−45P、SI−50や日産化学工業社製のST−
XL、ST−YL、ST−ZL、ST−20L、ST−
50、ST−OL等を使用することができる。コロイダ
ルシリカは水中で合成され、水中で均一に分散している
ものを使用することが望ましい。
【0030】また、コロイダルシリカ表面を表面処理、
すなわち粒子表面と化学的に反応する表面処理剤として
は一般に市販されているシランカップリング剤を使用す
ることができ、例えばトリメチルメトキシシラン、トリ
メチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、
メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジ
メチルビニルエトキシシラン、ジメチルビニルジメトキ
シシラン、ジメチルビニルジエトキシシラン、ジフェニ
ルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、エチルトリエト
キシシラン、ジエチルジエトキシシラン、エチルトリメ
トキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルフェニ
ルジメトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラ
ン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキ
シシラン、2−フェニルエチルトリエトキシシラン、2
−フェニルエチルトリメトキシシラン、γ−アニリノプ
ロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。
【0031】一般にSiO2の表面には100平方オン
グストロ−ム当たり2〜8個の水酸基が存在すると言わ
れている。また、シランカップリング剤は1分子で13
平方オングストロ−ムの被覆が可能と言われている。本
発明において粒子の表面処理とは無機粒子表面の活性な
置換基をシランカップリング剤で置換することを指し、
例えば、コロイダルシリカの場合は該表面に存在する水
酸基をシランカップリング剤で置換することを指す。該
置換を行なう場合、好ましくは表面に存在する水酸基の
100%をカップリングする事によってフィルム中でよ
り高い単分散率を得ることができるが、実質的に問題の
無い分散性は20%程度の置換でも十分に効果を得るこ
とが可能である。シランカップリング剤の添加量は処理
を行うコロイダルシリカ表面積に対してカップリング剤
の被覆可能面積が100%以上になるように添加するこ
とが好ましいが、使用するコロイダルシリカによって表
面に存在する水酸基の量が変化するため、これ以下の値
でも効果を得ることは可能である。また、100%以上
に過剰に添加してももちろん何等問題はない。
【0032】上記したシランカップリング剤はその構造
中にアルコキシル基を有する。使用に当たってはシラン
カップリング剤を水で溶解し、加水分解反応を生じさせ
アルコキシル基を水酸基とした後にコロイダルシリカ水
と混合することによって好ましくシリカ表面を処理する
ことができるが、コロイダルシリカ存在下で加水分解を
生じさせることも可能である。加水分解速度はカップリ
ング剤を溶解した溶剤、カップリング剤の濃度に依存す
るが、一般に水中で非常に早く、1時間もあれば十分に
進行する。この加水分解速度はNMR法により容易に定
量される。
【0033】また、シランカップリング剤を加水分解す
る溶剤は水で十分であるが、カップリング剤が水に対し
て溶解しにくい場合には予めアルコ−ル等の有機溶剤に
溶解した後に水と混合することによってできる。シリカ
表面とカップリング剤の水酸基との反応はコロイダルシ
リカとシランカップリング剤をただ混合するだけでは十
分な効果が得にくく、コロイダルシリカとシランカップ
リング剤をただ混合することによって表面改質を行なっ
た粒子をアラミドフィルムの製造に用いることによって
は粒子の凝集状態に変化は生じなかった。
【0034】本発明者らは、フィルム中で高度な分散を
達成するためにはコロイダルシリカ表面とシランカップ
リング剤を化学的に反応させることが必要があることを
見出した。例えばコロイダルシリカが水に分散している
場合には、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重
量%、更に好ましくは1〜2%の濃度で別に加水分解を
行なったシランカップリング剤含有水を混合し、水の還
流温度である100℃程度の温度で任意の時間10分〜
2日間、好ましくは30分〜1日、更に好ましくは1時
間〜6時間還流させるか、または硫酸や酢酸、塩酸、炭
酸、シュウ酸等の酸を添加共存することによって化学結
合を好ましく形成することができる。加熱あるいは酸の
添加はコロイダルシリカ表面の水酸基とシランカップリ
ング剤の水酸基の脱水反応を著しく促進するもので、こ
のようにして得られた表面処理を施した粒子を用いて得
られるアラミドフィルムは飛躍的に単分散率、単一粒子
指数が向上される。
【0035】酸を使用する場合においては、過剰の酸を
添加すると、粒子の表面状態が変化し凝集する。また、
濃度の高い酸を用いると凝集することがあり、2N以下
の濃度の希酸を用いることが望ましい。酸を添加する量
はシランカップリング剤に対して等モル〜10倍モル、
好ましくは2倍モル〜10倍モル程度の添加で、pHで
2〜9の領域、好ましくはpHで3〜6の領域で水中、
あるいは有機溶剤共存下の水中で処理を行う。処理時間
は添加する酸の量により変化するが、1時間以上の反応
で十分である。硫酸中、及びポリマ−溶液中で好ましく
分散が達成される粒子は、当然水中でも半永久的に分散
状態が維持されるので、この反応時間の上限は特にな
い。
【0036】コロイダルシリカ表面へのシランカップリ
ング剤の反応率はコロイダルシリカ、シランカップリン
グ剤の両者と何等反応を生じえない内部標準物質の存在
下で、コロイダルシリカ含有、あるいは不含のカップリ
ング水について1H−NMRを測定し、カップリング剤
の消失量から容易に定量ができる。本発明において粒子
の添加方法は、フィルム中で高度に粒子を分散するため
に、重合後に精製、乾燥したポリマ−粉末をこれを溶解
可能な溶剤、例えば硫酸やその他の有機溶剤に再溶解す
る工程において、ポリマ−を溶解する溶剤に、あらかじ
め表面処理した粒子を分散しておくことが望ましい。重
合時にあらかじめ粒子を存在させておく方法を取ること
も可能であるが、その場合には重合中の粘度変化や重合
後における中和剤等の添加、また乾燥により粒子が凝集
するために好ましい方法とは言えない。
【0037】本発明において、最終的にフィルム中で高
い単分散率を実現するためには表面処理前のコロイダル
シリカが水中で高度に分散していることは、非常に重要
であり、音波法等の有効な分散法を表面処理前後に施す
こと、粒子の凝集促進効果を有する多価イオンを溶剤か
ら除去すること、粒子の凝集物を好ましく濾過すること
を適宜組み合わせることが好ましい。本発明において使
用する粒子は粒径の異なる二種以上の粒子を混合して用
い、突起も高さについて高低の二種類を形成することは
容易であるが、その場合には磁気テ−プとして用いた場
合に、ヘッドとの摩擦によって高い突起が削れ易いため
摩擦係数が経時的に変化し、好ましくない。粒径のそろ
った一種の粒子を用いることが望ましい。また、粒子形
状としては均一な突起を形成させるために球状粒子を用
いることが望ましい。フィルム中の無機粒子の含有量は
フィルムを酸素雰囲気下で灰化し、残渣についてアルカ
リ性溶液に溶解しICPにより定量する方法を挙げるこ
とができる。
【0038】本発明のフィルムを製造する方法として
は、基本的に用いるポリマーに適した製造法が採用され
るが、本発明の特徴である特定の動的粘弾性特性、及び
表面処理した粒子の高い単分散率を実現させるに必要な
部分に工夫が必要である。本発明に用いるアラミドにつ
いて、有機溶剤可溶のものでは、直接溶剤中で重合する
か、一旦ポリマーを単離した後再溶解するなどして溶液
とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜する。また、
PPTA等の有機溶剤に難溶のものについては、濃硫酸
などに溶解して溶液とし、ついで乾式法または湿式法に
て成膜する。
【0039】ポリマ−溶液はキャストに先立って可能な
かぎり不溶性のゴミ、異物等の微細粒子を濾過によって
取り除いておく必要がある。このとき用いるフィルタ−
は3μmの大きさの粒子を80%以上除去できるフィル
タ−が望ましい。高精度の濾過を行うことにより、異物
等の除去を行い、意図しない粗大突起の生成の防止の面
で効果的である。フィルタ−を多段で用いるのも有用な
実施形態の一つである。また、溶解中に発生または巻き
込まれる空気等の気体を取り除いておくことが好まし
い。混入された微細な気泡は、フィルム表面の凹凸にな
るため、できるだけ除く必要がある。
【0040】乾式法では、溶液はダイから押し出し、金
属ドラムやエンドレスベルトなどの支持体上にキャスト
し、キャストされた溶液が自己支持性のあるフィルムを
形成するまで乾燥を進める。その後フィルムは支持面か
ら剥離され、必要に応じて浴中に導入する。この浴は一
般に水系媒体からなるものであり、水の他に有機溶媒や
無機塩等を含有していても良い。該浴中でフィルム中の
残存溶媒や無機塩を除去する。
【0041】一方、湿式法では、溶液はダイから直接凝
固液中に押し出すか、乾式と同様に金属ドラムまたはエ
ンドレスベルト上にキャストした後、必要ならば溶剤の
除去を一部行つた後、凝固液中に導き、凝固させる。ポ
リマ−溶液の凝固液として使用できるものは、使用した
溶剤に応じて、例えば、水、有機溶剤の水溶液、約75
%以下の硫酸、約20重量%以下の水酸化ナトリウム水
溶液およびアンモニア水、約10重量%以下の硫酸ナト
リウム、塩化ナトリウム水溶液等である。ポリマ−溶液
が光学異方性である場合には、ポリマ−溶液を凝固させ
る前に光学等方性溶液に添加させる必要がある。光学異
方性を有したまま凝固させると、得られるフィルムは一
方向に裂けやすく、フィルムとして用いることができな
い。光学等方性への転化は、支持面上に流延後、転化さ
せる方法が好ましく用いられる。ポリマ−がPPTAの
場合、例えば特公平3−52775号公報、特公平2−
57816号公報、特公平4−6738号公報、特開昭
63−99241号公報等に記載されている方法を用い
ることができる。
【0042】乾燥、熱処理は一般的に100〜600℃
の加熱条件下で行われる。これらのうち、乾燥と熱処理
とをわけて行なうのが好ましく用いられる。フィルムを
乾燥させる場合、急激に加熱するとフィルム内にボイド
が発生し、表面平滑性が失われ、また、破断伸度も低下
する傾向があるため、100〜300℃、特に150〜
250℃の加熱条件下行なうのが好ましい。フィルムの
熱処理は必要に応じて行えばよく、熱処理によってフィ
ルムの弾性率、熱寸法安定性を向上させることができ
る。
【0043】しかしながら、熱処理温度が高すぎるとポ
リマ−の劣化が生じ表面平滑性が失われ、また、フィル
ムの機械物性の低下も生じる。これらのことからフィル
ムの熱処理を行なう場合、300〜500℃が好ましく
用いられる。熱処理の時間としては0.5秒〜10分が
好ましく用いられる。熱処理時間が短すぎると処理効果
を十分得ることができず、また、長すぎるとポリマ−の
劣化が生じ、表面平滑性が失われ、また、フィルムの機
械物性の低下も生じる。熱処理方法としては接触式、非
接触式いずれを用いても良く、例えば温度コントロ−ル
したロ−ルに接触させる方法、赤外線加熱、板状ヒ−タ
−間で非接触で加熱する方法等がある。
【0044】本発明のフィルムの製造に用いられる成膜
設備は、耐食性の金属材料、高分子材料等で作られる。
また、本発明のフィルムは単層フィルムで好ましく用い
られるが、もちろん積層フィルムとして最外層が本発明
で好ましく規定する表面性を有するフィルムとして用い
ることもできる。次に、本発明のアラミドフィルムを用
いたメタル蒸着型磁気記録テープの製造方法について説
明する。
【0045】メタル蒸着型磁気テープ用のべースフィル
ムとして用いる場合には、フィルムの片面に磁性層を形
成する。磁性層形成法としては、酸化鉄、酸化クロム、
バリウムフェライト、金属鉄、鉄一コバルト合金等の強
磁性粉を、蒸着法、スパツタリング法、イオンプレーテ
ィング法等の気相析出法により金属薄膜として積層する
方法等がある。磁性層を形成した後、磁性層を形成した
裏面にテープの走行性を向上させる等の目的で、公知の
組成のバックコート層を公知の方法で形成することも好
ましい。このようにして磁性層が形成されたフィルムを
所定の幅にスリットして、必要であればカセットに収納
して、磁気テープとして使用する。また、本発明のフィ
ルムは、昇華型ビデオプリンターのインクリボンのべー
スフィルム、電気絶縁基板、電線被覆材、音響用振動板
等にも使用できる。
【0046】
【発明の実施の形態】<特性値の測定法> (1)フィルムの厚み、厚みバラツキの測定法 フィルムの厚みは、デジタル電子マイクロメータ(アン
リツ(株)製 K351C型)により直径2mmの測定
子を用いてフィルムの全幅及びそれと同じ長さのサンプ
ルにつきそれぞれ5等分した線分に沿ってそれぞれの方
向に厚みを測定し、フィルムの平均厚みは全測定値の平
均値で、厚みバラツキは全測定値中の最大値と最小値の
差で表す。 (2)平均一次粒子径の測定法 フィルム表面から約50nmの深さを電子線を用いて削
り、次いで表面走査型電子顕微鏡(SEM)で観察す
る。ここで一次粒子100個以上についてSEM写真か
ら粒子径を求め平均したものを平均一次粒子径とした。 (3)表面の突起の測定法 得られたフィルムを4mm×4mmに切り出し、原子間
力顕微鏡(セイコ−電子工業(株)製 AFM(SPI
−3800))を用いて30μm×30μm四方の表面
突起を測定した。測定は5回行い、平均値を求めた後1
mm2当たりに換算した。フィルムベ−ス面から10n
m以上、20nm以下の高さを有する突起個数(N
1)、20nmを超えて50nm以下の高さを有する突
起個数(N2)、50nmを超える高さを有する突起個
数(N3)についてそれぞれ求めた。
【0047】(4)粒子の単分散率 フィルム表面から約50nmの深さを電子線を用いて削
り、次いで表面走査型電子顕微鏡(SEM)で観察す
る。この測定において、粒子の一次粒子総個数をA、こ
のうちの単一粒子の個数をBとしたとき、((B/A)
×100)で定義し、一次粒子数で1000個以上の粒
子を数え単分散率を算出した。 (5)単一粒子指数 上記(4)の測定において二次粒子(単一粒子を含む)
の総個数をA、このうちの単一粒子の個数をBとしたと
き、(B/A)で定義し、一次粒子数で1000個以上
の粒子を数え単一粒子指数を算出した。 (6)フィルム中の粒子含有量 アラミドのフィルム2gを白金皿に乗せ、空気中、電気
炉で500℃、1日放置しアラミドを灰化した。この
後、残渣について四ほう酸ナトリウム、炭酸カリウムナ
トリウム等のアルカリ溶液にて残渣中に含まれるシリカ
を溶解し、ICP法にて定量した。 (7)磁気テ−プの電磁変換特性の測定法 JIS X 6129−1993に準じて、短波長での
特性を把握するために、出力特性を4499.8ftp
mmに規格を変更して測定した。
【0048】<粒子分散体の調製> (粒子分散体1)触媒化成工業社製のコロイダルシリカ
SI45P(シリカ40.5重量%)2.27Kgを
0.1M酢酸44.56Kgで希釈した。蒸留水14K
gにシランカップリング剤N−(β−アミノエチル)−
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.144
Kgを混合した。上記のコロイダルシリカの0.1M酢
酸分散水とシランカップリング剤水溶液を混合して表面
処理を行なったコロイダルシリカ水を得た。
【0049】(粒子分散体2)触媒化成工業社製のコロ
イダルシリカSI45P(40.5%)2.27Kgを
蒸留水44.56Kgで希釈した。蒸留水14Kgにシ
ランカップリング剤ジメチルジメトキシシラン0.14
4Kgを混合した。上記のコロイダルシリカ分散水とシ
ランカップリング剤水溶液を混合し1時間100℃で還
流を行なって表面処理を行なったコロイダルシリカ水を
得た。 (粒子分散体3)触媒化成工業社製のコロイダルシリカ
SI80P(40.5%)2.27Kgを蒸留水8.0
5Kgで希釈した。蒸留水5Kgにシランカップリング
剤ジメチルジメトキシシラン0.05Kgを混合した。
上記のコロイダルシリカ分散水とシランカップリング剤
水溶液を混合し1時間100℃で還流を行なって表面処
理を行なったコロイダルシリカ水を得た。 (粒子分散体4)触媒化成工業社製のコロイダルシリカ
SI45P(40.5%)2.27Kgを蒸留水58.
56Kgで希釈した。 (粒子分散体5)触媒化成工業社製のコロイダルシリカ
SI45P(40.5%)2.27Kgを蒸留水58.
56Kgで希釈した。このコロイダルシリカ希釈水に東
芝シリコ−ン社製シランカップリング剤0.144Kg
を混合し、攪拌した。
【0050】
【実施例1】0.1μmのポリテトラフルオロエチレン
製フィルタ−で予め濾過した100%硫酸(金属分合有
率1ppm)1000リットル(1830Kg)に対し
て上記粒子分散体1を10リットル添加し、ポリマ−溶
解用の硫酸とした。ゲル透過クロマトグラフで測定した
数平均分子量に対する重量平均分子量の比が3.1であ
るポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)2
21Kg(ηinh=6)を、上記のポリマ−溶解用硫
酸に溶解及び減圧下脱気し、3μmの大きさの粒子を8
0%以上除去するフィルタ−で濾過した後、ダイから吐
出して2.4のドラフトがかかるようにエンドレスベル
ト上にキャストした。キャストしたポリマ−の硫酸溶液
はベルト上で加熱と同時に吸湿処理して、該ポリマ−溶
液を液晶相から等方相に相変換した後、15℃の50%
硫酸中にて凝固させ、その後、中和、水洗し、長さ方向
に1.05倍の延伸を施した後クリップテンタ−により
1.1倍に横延伸し次に定長状態を保ちつつ150℃で
熱風乾燥し、次いで400℃で緊張熱処理した後、最後
に210℃にて弛緩熱処理してロ−ル上に巻き上げた。
得られたフィルムから4mm四方を切り出し、原子間力
顕微鏡(AFM)にて得られたフィルムの10nm以
上、20nm以下の突起個数(N1)を測定したところ
1.38×106個/mm2で、20nmを超えて、50
nm以下の突起個数(N2)は8.2×104個/m
2、50nmを超える突起個数(N3)は1.11×1
3個/mm2であった。含有粒子の平均一次粒子径は4
5nm、単分散率は48%、単一粒子指数は0.70で
あった。また、フィルム中におけるシリカ含有量は0.
06重量%で、初期仕込み濃度がフィルム中においても
そのまま保たれた。
【0051】
【実施例2】10リットルの粒子分散体1を硫酸中に分
散して5日間放置した後にポリマ−を溶解して成膜した
以外は実施例1と同様に行なった。得られたフィルムか
ら4mm四方を切り出し、AFMにて得られたフィルム
の10nm以上、20nm以下の突起個数(N1)を測
定したところ1.38×106個/mm2で、20nmを
超えて、50nm以下の突起個数(N2)は8.2×1
4個/mm2、50nmを超える突起個数(N3)は
1.11×103個/mm2であった。含有粒子の平均一
次粒径は45nm、単分散率は48%、単一粒子指数は
0.70、フィルム中におけるシリカ含有量は0.06
重量%であり、表面処理を行うことにより硫酸中でシリ
カ分散状態は安定で凝集が経時的に進行するものではな
いことが分かった。
【0052】
【実施例3】粒子分散体を15リットルの粒子分散体1
に変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られた
フィルムから4mm四方を切り出し、AFMにて得られ
たフィルムの10nm以上、20nm以下の突起個数
(N1)を測定したところ2.13×106個/mm
2で、20nmを超えて、50nm以下の突起個数
(N2)は1.1×105個/mm2、50nmを超える
突起個数(N3)は1.11×103個/mm2であっ
た。含有粒子の平均一次粒径は45nm、単分散率は4
7%、単一粒子指数は0.70であり、硫酸中での粒子
濃度と単分散率は関係がないことが分かった。また、フ
ィルム中におけるシリカ含有量は0.09重量%であっ
た。
【0053】
【実施例4】粒子分散体を10リットルの粒子分散体2
に変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られた
フィルムから4mm四方を切り出し、AFMにて得られ
たフィルムの10nm以上、20nm以下の突起個数
(N1)を測定したところ1.38×106個/mm
2で、20nmを超えて、50nm以下の突起個数
(N2)は8.2×104個/mm2、50nmを超える
突起個数(N3)は1.11×103個/mm2であっ
た。含有粒子の平均一次粒径は45nm、単分散率は4
8%、単一粒子指数は0.70であった。また、フィル
ム中におけるシリカ含有量は0.06重量%であった。
【0054】
【実施例5】粒子分散体を10リットルの粒子分散体3
に変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られた
フィルムから4mm四方を切り出し、AFMにて得られ
たフィルムの10nm以上、20nm以下の突起個数
(N1)を測定したところ1.00×106個/mm
2で、20nmを超えて、50nm以下の突起個数
(N2)は6.0×104個/mm2、50nmを超える
突起個数(N3)は1.11×103個/mm2であっ
た。含有粒子の平均一次粒径は80nm、単分散率は7
0%、単一粒子指数は0.85であった。また、フィル
ム中におけるシリカ含有量は0.27%であった。
【0055】
【実施例6】実施例1で得られたフィルムを用いてメタ
ルパウダ−を磁性層とする磁気テ−プを試作し、DVC
−PRO規格のカ−トリッジに組み込んで磁気特性を測
定したところ、市販のDVC−PRO規格のテ−プ対比
で出力140%と優れたものであった。また、DVC−
PROシステムに組み込んでの走行テストを1000時
間にわたって行ったが、テ−プの表面突起高さの変化は
全く無く、磁気特性の低下も見られなかった。
【0056】
【比較例1】粒子分散体を10リットルの粒子分散体4
に変更した以外は実施例1と同様に行なった。得られた
フィルムから4mm四方を切り出し、AFMにて得られ
たフィルムの10nm以上、20nm以下の突起個数
(N1)を測定したところ1.5×105個/mm2で、
20nmを超えて、50nm以下の突起個数(N2)は
8.6×104個/mm2、50nmを超える突起個数
(N3)は1.66×104個/mm2であった。含有粒
子の平均一次粒径は45nm、単分散率は9%、単一粒
子指数は0.30であった。また、フィルム中における
シリカ含有量は0.06重量%であった。
【0057】
【比較例2】10リットルの粒子分散体5を硫酸中に分
散した以外は実施例1と同様に行なった。得られたフィ
ルムから4mm四方を切り出し、AFMにて得られたフ
ィルムの10nm以上、20nm以下の突起個数
(N1)を測定したところ2.18×105個/mm
2で、20nmを超えて、50nm以下の突起個数
(N2)は8.6×104個/mm2、50nmを超える
突起個数(N3)は1.66×104個/mm2であっ
た。含有粒子の平均一次粒径は45nm、単分散率は1
5%、単一粒子指数は0.33であり、単にコロイダル
シリカとシランカップリング剤を水中で混合したものを
用いてはフィルム中で高度の分散は達成されず、フィル
ム表面の10〜20nmに主に突起を形成することはで
きなかった。
【0058】
【比較例3】10リットルの粒子分散体5を硫酸中に分
散して5日間放置した後にポリマ−を溶解して成膜した
以外は比較例2と同様に行なった。得られたフィルムか
ら4mm四方を切り出し、AFMにて得られたフィルム
の10nm以上、20nm以下の突起個数(N1)を測
定したところ1.5×105個/mm2で、20nmを超
えて、50nm以下の突起個数(N2)は8.6×104
個/mm2、50nmを超える突起個数(N3)は1.3
6×104個/mm2であった。含有粒子の平均一次粒径
は45nm、単分散率は9%、単一粒子指数は0.30
であり、単にコロイダルシリカとシランカップリング剤
を水中で混合したものを用いてはフィルム中で高度の分
散は達成されないばかりか硫酸中で経時的に凝集が進行
し、安定したフィルム表面を作りえないことが分かっ
た。
【0059】
【比較例4】比較例1で得られたフィルムを用いてメタ
ルパウダ−を磁性層とする磁気テ−プを試作し、DVC
−PRO規格のカ−トリッジに組み込んで磁気特性を測
定したところ、市販のDVC−PRO規格のテ−プ対比
で出力70%と小さく、また、DVC−PROシステム
に組み込んでの走行テストを1000時間にわたって行
ったところ、テ−プの表面突起高さは著しく変化し、走
行安定性において安定しなかった。
【0060】
【発明の効果】本発明のアラミドフィルムは、磁気記録
媒体のベ−スフィルムとして用いたとき、良好な電磁変
換特性と走行安定性が達成することを可能にすることか
ら、産業上、大いに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/733 G11B 5/733 // B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA56 AB18 AB21 AB26 AD02 AD06 AE17 AH14 BA02 BB02 BC01 BC14 BC15 4F205 AA30 AB11 AG01 GA07 GB02 GC07 GF02 GF24 4J002 CL061 DA036 DE106 DE136 DE146 DE236 DG046 DJ006 DJ016 FB096 FD016 GS01 5D006 CB03 CB06 CB07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均一次粒子径が20nm〜100nm
    の粒子を含有するアラミドフィルムであって、該フィル
    ムの少なくとも一面において、1mm2当たりの、高さ
    が10nm以上20nm以下の突起の個数をN1、20
    nmを超えて50nm以下の突起の個数をN2、50n
    mを超える突起の個数をN3としたとき、 3×106個/mm2≧N1≧5×105個/mm2 (N1/15)≧N2 1×104個/mm2≧N3 であることを特徴とするアラミドフィルム。
  2. 【請求項2】 平均一次粒子径が20nm〜100nm
    の粒子の、アラミドフィルム中における単分散率が20
    〜100%であることを特徴とする請求項1記載のアラ
    ミドフィルム。
  3. 【請求項3】 平均一次粒子径が20nm〜100nm
    の粒子の、アラミドフィルム中における単一粒子指数が
    0.6以上0.9以下であることを特徴とする請求項1
    又は2記載のアラミドフィルム。
  4. 【請求項4】 平均一次粒子径が20nm〜100nm
    の粒子が表面処理された無機粒子であることを特徴とす
    る請求項1、2又は3記載のアラミドフィルム。
  5. 【請求項5】 溶剤にアラミドを溶解後、エンドレスベ
    ルトにキャストするアラミドフィルムの製造方法におい
    て、酸存在下でシランカップリング剤と反応することに
    より表面処理された無機粒子の水分散溶液を溶剤に添加
    し、その後に該溶剤にアラミドを添加、溶解することを
    特徴とするアラミドフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 溶剤にアラミドを溶解後、エンドレスベ
    ルトにキャストするアラミドフィルムの製造方法におい
    て、加熱下でシランカップリング剤と反応することによ
    り表面処理された無機粒子の水分散溶液を溶剤に添加
    し、その後に該溶剤にアラミドを添加、溶解することを
    特徴とするアラミドフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6記載のアラミドフィルム
    の製造方法で得られ、0.01〜1重量%の無機粒子を
    含有するアラミドフィルム。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4又は7記載のアラ
    ミドフィルム上に金属磁性体層を形成した磁気記録媒
    体。
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