JP3942078B2 - 微細な突起を有する耐熱性フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ媒体用のベースフィルム等に好適に用いられる耐熱性フィルムに関する。詳しくは、強磁性金属薄膜層を設けて磁気記録媒体とした、いわゆる磁気テープに適した表面性を有する、高強度、高弾性率である磁気記録媒体用のベースフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録媒体は年々高密度化され、記録方式もアナログ方式からデジタル方式へと移っている。また、ベースフィルムの片側表面に強磁性金属薄膜層を設けて磁気記録媒体とする場合は、この強磁性金属薄膜層の厚さは通常0.04〜0.5μm程度で非常に薄いため、ベースフィルムの表面がそのまま強磁性金属薄膜層の表面形状となる。
【0003】
そのため、ベースフィルムとしては、電磁変換特性の低下防止を得るために、強磁性金属薄膜層を設ける表面は、突起高さを低くした平坦性を有し、かつ超微細な突起を高密度に形成させる必要性が高まっており、これらの要求を満足する表面を有するフィルムの開発が切望されている。
これらの磁気記録媒体分野のベースフィルムにおいては、微細な粒子をフィルム材料に添加し、フィルム表面に突起を設けたベースフィルムや、基材フィルムの片面に微細な不活性粒子を含有した有機高分子層を形成させたベースフィルムが知られている(例えば特開平3−119512号公報)。
【0004】
しかし、このような微細な粒子をベースフィルム材料に添加して突起を設けたベースフィルムや、微細な不活性粒子を含有した有機高分子層を形成させたベースフィルムは、フィルム製膜工程や加工工程において、搬送ロールとの摩擦係数を小さくして易滑性を付与するという効果はあるものの、このような方法による突起の形成は、凝集粒子による突起の形成は避けられず、耐久性のある均一な微細突起を高密度に生成することは困難である。さらに、均一な微細突起を形成できないことから、磁気テープとした時、電磁変換特性の低下が発生し易いという問題がある。
【0005】
また、ベースフィルムに強磁性金属薄膜層を設けて磁気記録媒体とする際に、加工工程での熱により、使用するベースフィルム材料や有機高分子によっては、フィルムの平坦性の悪化やオリゴマー発生による電磁変換特性の低下が発生し易いという問題もある。
これらの問題がない、さらに、磁気記録媒体を使用する所が高温であったりするため、フィルムが高温環境下でも品質低下しないフィルムが求められてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、磁気記録媒体としたときの磁気変換特性に優れ、かつ耐久性にも優れた耐熱性フィルムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)ユレア系化合物及び/又はメラミン系化合物で表面を処理した平均粒径0.005μmから0.1μmの微粒子の分散液を芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで熱処理して微粒子をフィルムに固着させることを特徴とする、微粒子が固着した構造の突起を有する耐熱性フィルムの製造方法。
(2)前記微粒子が予めシランカップリング剤で表面を処理したのち、ユレア系化合物及び/又はメラミン系化合物で表面を処理してなる微粒子であることを特徴とする(1)記載の耐熱性フィルムの製造方法。
である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる芳香族ポリアミドとしては、次の構成単位からなる群より選択された単位より実質的に構成される。
−NH−Ar1−NH− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−NH−Ar3−CO− (3)
ここでAr1、Ar2、Ar3は少なくとも1個の芳香環を含み、同一でも異なっていてもよい。これらAr1、Ar2、Ar3の代表例としては次式のものが挙げられる。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、 Xは−O−、−CH2−、−SO2−、−S−、−CO−等である。これらの芳香環は、芳香環上の水素の一部が、ハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基等で置換されているものも含む。 )
特に、全ての芳香環の80モル%以上がパラ位にて結合されている芳香族ポリアミドは、本発明のフィルムを製造する上で好ましい。
また、本発明で用いる芳香族ポリアミドには、フィルムの物性を損ねたり、本発明の目的に反しない限り、滑剤、酸化防止剤、その他の添加剤等や、他のポリマーが含まれていてもよい。
【0011】
本発明のフィルムの製造法については、特に限定されるものではなく、それぞれの樹脂に適した製造法がとられてよく、以下に簡単にフィルムの製造法を述べる。
芳香族ポリアミドが、有機溶剤可溶のものでは、直接溶剤中で重合し、単離しないでそのままその溶液を乾式法または湿式法にて製膜しても良いし、一旦ポリマーを単離した後再溶解する等して溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜しても良い。
【0012】
また、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下、PPTAと称す。)等の有機溶剤に難溶のものについては、濃硫酸等に溶解して溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜し、フィルムを形成する。
製膜法は、乾式法では溶液はダイから押し出され、金属ドラムやエンドレスベルト等の支持体上にキャストされ、キャストされた溶液が自己支持性あるフィルムを形成するまで乾燥が進められる。
【0013】
湿式法では、溶液はダイから直接凝固液中に押し出されるか、乾式と同様に金属ドラムまたはエンドレスベルト上にキャストされた後、凝固液中に導かれ、凝固される。
次いで、これらのフィルムは溶剤や無機塩等を洗浄し、延伸、乾燥、熱等の処理を受ける。
また、フィルムの滑り性を確保する目的で強磁性金属薄膜層を設けて磁気記録を行わない側の面に、本発明で言う微粒子が固着した構造の突起以外の突起を作成しても構わない。この突起は、高さ100nm以上、300nm以下の突起を0.5万個/mm2〜10万/mm2が好ましく、さらに好ましくは高さ100nm以上、200nm以下の突起が1万個/mm2〜5万/mm2である。
【0014】
この突起の作成方法はフィルム材料に微細な粒子を添加して製膜する方法や、金属ドラムにあらかじめ所定の形状を作成しておき、その形状をフィルムに転写させる方法、未凝固のフィルムに予め所定のくぼみや突起等を付けた転写ロールを押し当てて、その形状を転写させる方法でも構わない。また乾燥前に微細な粒子入り耐熱性の樹脂を塗工するか、あるいは、乾燥後に微細な粒子入りの樹脂を塗工しても構わない。
【0015】
ここで使用される微細な粒子はポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドもしくはポリアクリルニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の有機系微粉末、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二酸化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の無機系微粉末等が挙げられる。
【0016】
本発明における芳香族ポリアミドフィルムの厚みは、2μm〜30μmが好ましい。磁気記録媒体について使用する場合は、3μm〜8μmがより好ましい。また、本発明の耐熱性フィルムの少なくとも片面に固着する微粒子の平均粒径は0.005〜0.1μmであり、さらに好ましくは、0.01〜0.03μmである。この粒径が小さすぎる場合には、微粒子の凝集が強まり、凝集粒子が多くなる。大きすぎると所定の微細突起が得られず、また固着力が低下し、脱落しやすくなる。
【0017】
本発明において、微粒子が固着した構造とは、後述の微粒子の断面観察に記載の方法、即ちフィルムの磁気記録層形成面に対して垂直に切り出したものをエポキシ系樹脂に包埋し、ダイヤモンドナイフを使用したウルトラミクロトームで超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM2000FX)を用いて20万倍で観察した時、微粒子と芳香族ポリアミドフィルムの間に他の介在物を認めることができない状態で、微粒子と芳香族ポリアミドフィルムが接着していることを言う。
【0018】
本発明者は、この構造は芳香族ポリアミドフィルムの表面の極薄い層が熱処理によって融解し、熱処理時に塗布されていた微粒子が融解した層に付着することによって形成されたと推測している。
本発明において用いられる微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二酸化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の無機系微粉末等が挙げられ、特にシリカ、アルミナ、酸化チタン等が好ましい。
【0019】
芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に形成される、微粒子の固着した構造による突起の高さおよびその数は、原子間力顕微鏡を用い、30μm×30μm内の表面形状を測定し、得られた3次元データから最小二乗近似によって曲面を求めてフィッティングし、傾きを補正した後、この補正された3次元データより高さ平均を求め、この平均値に対して平行な面を基準面とし、この基準面に平行な平面で切断したとき両者の交線で囲まれており、かつ平行な平面から上に出ている部分の数を数え、この数が100個になる高さを0nmとした。また、これより高さが例えば10nm、30nmとなる平行な面で切断したとき両者の交線で囲まれており、かつ平行な平面から上に出ている部分の数を数えることにより、30μm角中の測定した突起高さの突起数とした。
【0020】
この様にして求めた時の突起高さ及びその数は、高さ10nm以上の突起が50〜2000万個/mm2、かつ高さ30nm以上の突起が0.3万個/mm2以下であることが電磁変換特性上、好ましく、さらに高い電磁変換特性を得るためには、突起高さが高さ10nm以上の突起が100〜1000万個/mm2あり、かつ高さ30nm以上の突起が0.1万個/mm2以下であることが好ましい。
【0021】
また、強磁性金属薄膜層を設けて磁気記録媒体とする磁気記録媒体においては、芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に高さの低い、しかも高密度の突起を形成した耐熱性フィルムが好ましく、より好ましくは片面にこの高さの低い、しかも高密度の突起を形成し、もう一方の面に、フィルムの易滑性を良くするために高さ100μm以上の突起を0.5万個/mm2〜10万/mm2程度形成することである。
【0022】
本発明の耐熱性フィルムを製造する方法を説明する。
芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に、微粒子の固着した構造の突起を形成する際に用いる該微粒子は、乳化剤等を用いて水性分散液としたものであっても、有機溶剤中に分散されたものであっても、また微粉末状であっても良いが、作業性の点から水性分散液が好ましい。
使用できる有機溶剤は、エタノール、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、キシレン・ブタノール、エチレングリコール−モノ−n−プロピルエーテル、ジメチルアセトアミド、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤が挙げられる。
【0023】
本発明の耐熱性フィルムの製造方法においては、上記の微粒子をあらかじめ表面処理剤で処理することが必要である。ここで用いられる表面処理剤としては、メチロール化ユレア、エチロール化ユレア、プロパノール化ユレア等のユレア系化合物やメチロール化メラミン、エチロール化メラミン、プロパノール化メラミン等のメラミン系化合物が挙げられ、特に固着性を高めるにはメチロール化メラミンが好ましく、さらに好ましくはトリメチロールメラミンが好ましい。
【0024】
表面処理の方法を好ましい水性分散液の場合を例として説明する。有機溶剤中に分散する場合には水の代わりに有機溶剤を使用する。まず、微粒子濃度が0.05wt%〜1wt%、好ましくは0.1wt%〜0.8wt%になるように純水で希釈し、水性分散液を調製する。これにユレア系化合物及び/又はメラミン系化合物を、該微粒子の水性分散液に対して0.01〜0.5wt%、好ましくは0.05〜0.3wt%の量を添加した後、撹拌する。
【0025】
また、微粒子をユレア系化合物やメラミン系化合物で表面処理する際に、前もって該微粒子をシランカップリング剤等で表面処理しても構わない。シランカップリング剤としてはビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0026】
これらのシランカップリング剤を、微粒子濃度0.1〜10wt%となるように純水で希釈された分散液に対して0.1〜5wt%濃度になるように添加し、充分な攪拌を行い、さらに攪拌を続けながら、1〜8時間処理する。また、微粒子の分散を良くするためにはシランカップリング処理時ならびに処理後に超音波方式や撹拌方式のホモジナイザーで攪拌することが好ましい。
ユレア系化合物及び/又はメラミン系化合物を添加し、攪拌した後、この分散液を耐圧容器に入れ、密栓した後、50℃で3時間処理した。
【0027】
これらの処理を行った微粒子の分散液を、芳香族ポリアミドフィルム上にメタライジングバーコーターやグラビアコーター、コンマコーター等を用い、乾燥前の塗布液厚みが1〜60μmになるように塗布する。この際、処理を行った微粒子の分散液濃度はメタライジングバーコーターやグラビアコーター、コンマコーター等の塗工条件により、水性分散液の場合は純水で、また有機溶剤中に分散する場合には水の代わりに有機溶剤で、10〜1000倍、好ましくは50倍〜300倍に希釈して構わない。乾燥前の塗布液厚みは厚いほど厚さの制御が行いやすくなるが、乾燥時の加熱負荷を低減するためには薄く塗工するのが好ましく、3〜10μmが好ましい。
【0028】
これにより、微粒子表面にユレア系化合物またはメラミン化合物の層が形成される。この層が芳香族ポリアミドフィルムの表面の極薄い層が熱処理によって融解した際の芳香族ポリアミドフィルムとの親和性を高める効果を持つ。また最終的にはこの層は熱処理によって分解され、昇華し、微粒子表面上には残留しないと推測される。
ここで言う芳香族ポリアミドフィルムとは乾燥、延伸後のフィルムでも良いし、乾燥前のフィルムでも構わない。また乾燥前のフィルムの場合は延伸の有無を問わない。この分散液中の微粒子の分散性と芳香族ポリアミドフィルム上に塗布時の濡れ性、及び乾燥時の微粒子の凝集を防ぐために、高分子化合物を分散液の総質量に対して0.0001wt%〜0.02wt%、さらに好ましくは、0.001〜0.01wt%添加することが好ましい。
【0029】
上記の高分子化合物としては、例えば、澱粉、メチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸、アラビアゴム、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニールアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、エステル系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エーテル系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂及びこれらを水性化したものが好ましい。
【0030】
エステル樹脂としては、テレフタール酸などの芳香族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体や、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのジオールとの反応物が使用できる。水性化するにあたっては、スルホン酸基を有する化合物を上記の成分とともに共重合するのが良く知られた方法であり、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩がよく使われる。
【0031】
アクリル系樹脂としては、主要な成分がアルキルアクリレート、またはアルキルメタクリレートにカルボキシル基またはその塩類、アミド基、アミノ基、水酸基、エポキシ基などの反応性の官能基を有するビニル系単量体を共重合した水性アクリル系樹脂を使用することができる。
本発明に用いる水性高分子には必要に応じて硬化剤を加えることができる。
このような高分子および低分子量体を処理して得た高分子を2種類以上使用することもできる。
【0032】
乾燥は急激な加熱を行うと微粒子の凝集が起こったり、塗工膜の濡れ性が失われる恐れがあるため、徐々に温度を上げるのが好ましい。好ましい例としては乾燥温度を段階的に100〜130℃で5〜50秒乾燥し、さらに130〜200℃で5〜50秒乾燥する。この乾燥後、熱処理として300〜500℃で10〜300秒熱処理する。この熱処理に際しては微粒子の固着性を確保するためには、400〜500℃で10〜120秒の熱処理が好ましく、さらに微粒子の固着を強固にし、微粒子の脱落を防ぎ、耐削れ性を向上させるには450〜480℃で20〜60秒の熱処理がさらに好ましい。
【0033】
また、必要に応じ塗工後又は塗工前にフィルムの延伸を行っても構わない。
この熱処理によって固着した微粒子を有する本発明の耐熱性フィルムが得られる。熱処理温度が300℃未満の場合、該フィルムの弾性率が低下し、本発明の範囲を満たさない場合がある。また500℃を越えると結晶化が進みすぎて堅くてもろいフィルムとなる場合がある。
また、これらの工程の任意の工程で、各種の仕上げ処理、例えば、染色、コロナ処理、加湿処理等を施すことも、それが本発明の効果を損なわない限り行われてよい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に実施例により本発明をさらに説明する。また、例中特に表示のない%はwt%である。
(特性の測定法)
本発明の特性値の測定法は次の通りである。
(1)微粒子の平均粒径の測定及び断面観察
フィルムの磁気記録層形成面に対して垂直に切り出したものをエポキシ系樹脂に包埋し、ダイヤモンドナイフを使用したウルトラミクロトームで超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM2000FX)を用いて、20万倍で観察し、同時に、この超薄切片中の100個の微粒子について、その円相当粒径の合計を100で割ることで算出した。また原料微粒子の測定も同様の方法を用いて測定した。
(2)フィルムの厚み、強度、伸度、弾性率の測定法
フィルムの厚みは、直径2mmの測定面を持つダイヤルゲージで測定する。強度、伸度、弾性率は、定速伸長型強伸度測定機(島津製作所製、AGS−100)を用い、測定長100mm、引っ張り速度50mm/分で測定した。測定はロール巻き取り方向と、それと直交する方向の2方向で実施した。
【0035】
(3)突起高さ、突起数の測定
表面形状の測定は原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ(株)製、SPI−3800)を用い、30μm×30μm内の表面形状を測定し、得られた3次元データから最小二乗近似によって曲面を求めてフィッティングし、傾きを補正する。この補正された3次元データより高さ平均を求め、この平均値に対して平行な面を基準面とし、この基準面に平行な平面で切断したとき両者の交線で囲まれており、かつ平行な平面から上に出ている部分の数を数え、100個になる高さを0nmとした。またこれを基準高さとして高さが10nm、30nm、100nmとなる平行な面で切断したとき両者の交線で囲まれており、かつ平行な平面から上に出ている部分の数を数えることにより、30μm角中の測定した突起高さの突起数を測定した。これを1サンプル当たり5回行ってその平均値を突起数とした。
(4)耐削れ性
フィルムを幅1.27cmのテープ状にスリットしたものに片刃を垂直に押し当て、さらに0.5mm押し込んだ状態で10cm走行させる(走行張力:100g、走行速度:3.3m/分)。
この時、片刃の先に付着したフィルム表面の削れ物の高さを顕微鏡で読みとり、削れ量とした。磁性層を塗布する面について、この削れ量が20μm以下の場合は耐削れ性:優、20μm以上50μm以下の場合は、耐削れ性:良、50μmを超える場合は、耐削れ性:不良と判定した。
【0036】
【実施例1】
100.6wt%の濃硫酸を5μmカットのステンレス鋼製焼結不織布フィルターにてろ過した。この濃硫酸を用いて対数粘度(ηinh)が6.02のPPTAをポリマー濃度が12.5wt%になるように溶解し、PPTAのドープを調整した。ドープは撹拌時に光を乱反射し、また、光学顕微鏡下の観察で、偏光顕微鏡のクロスニコルの暗視野を明視野にする光学的異方性を示す等、液晶状態にあることが分かった。このPPTAドープを5μmカットのステンレス鋼の焼結不織布製のフィルターでろ過した後、ダイからエンドレスベルト上にドラフト率が2.1となるようにキャストした。次いで、ベルト上で加熱と同時に吸湿処理して、ドープを液晶相から等方相に相転換した後、10℃の30wt%硫酸中にて凝固させ、中和、水洗し、縦方向に1.1倍に延伸した。
【0037】
この縦延伸フィルムに、下記の表面処理を施した微粒子を分散させた処理液Aをメタライジングバーで塗布厚みが6μmとなるように、片面に塗布し、クリップテンターにより横方向に1.1倍の延伸を施し、定長状態を保ちつつ、100℃×30秒、180℃×30秒熱風乾燥し、次いでテンターでフィルムを保持したまま450℃×30秒で熱処理した後、コロナ放電処理を処理電力200W、電極からフィルムまでの距離3mmで施した。
【0038】
このフィルムの塗工しなかった面に処理液Bをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥温度120℃、乾燥フード内滞留時間120秒、乾燥機内の平均風速は5m/minで乾燥した。塗工はマイクログラビアコーター(安井精機(株)製、CAD―280)を使用し、乾燥後の被覆層の厚みが乾燥後に0.2μmになるようにフィルム速度、グラビアロール回転数等を調節した。
(処理液A)
シリカ微粒子(日産化学(株)製 IPA−ST、シリカ含有量20wt%)を精製水(和光純薬(株)製)で100倍に希釈し、これにメチロール化メラミン(大日本インキ化学(株)製 ベッカミンAPM)をこの希釈液に対して0.1wt%を添加し、超音波方式のホモジナイザー(超音波工業(株)製、U−300Z)で充分攪拌した。この液を耐圧容器に入れ、密栓した後、50℃で3時間処理した。また、塗工に際してこの処理液を精製水で100倍に希釈し、処理液Aとした。
【0039】
(処理液B)
水分散型ポリウレタン樹脂(三洋化成(株)製、ユーコートUX−4300)
10.0質量部
シリカ微粒子(日産化学(株) IPA−ST、シリカ含有量20wt%) 0.1質量部
シリカ微粒子(日産化学(株) EG−ST−ZL、シリカ含有量20wt%)
0.02質量部
精製水(和光純薬(株)製) 89.88質量部
上記の混合液を処理液Bとした。
得られたフィルムの物性はすべて表1に示す。また、フィルムの断面観察では、磁気記録媒体として利用する面側に微粒子が固着しており、フィルム表面及び微粒子の表面に芳香族ポリアミドフィルム以外の有機高分子由来の層は確認できなかった。
【0040】
【実施例2】
実施例1において、処理液A塗布後の熱処理温度480℃とし、その他は同様の条件で製膜フィルムを得た。
得られたフィルムの物性はすべて表1に示す。フィルムの断面観察では、磁気記録媒体として利用する面側に微粒子が固着しており、フィルム表面及び微粒子の表面に芳香族ポリアミドフィルム以外の有機高分子由来の層は確認できなかった。
【0041】
【実施例3】
処理液Aの組成を下記の様に変更した以外は実施例1と同様に試作を行った。
(処理液A)
リカ微粒子(日産化学(株)製 IPA−ST、シリカ含有量20wt%)を精製水(和光純薬(株)製)で100倍に希釈し、これにメチロール化メラミン(大日本インキ化学(株)製 ベッカミンAPM)をこの希釈液に対して0.1wt%を添加し、超音波方式のホモジナイザー(超音波工業(株)製、U−300Z)で充分攪拌した。この液を耐圧容器に入れ、密栓した後、50℃で3時間処理した。また、塗工に際してこの処理液を精製水で100倍に希釈し、処理液Aとした。
【0042】
シリカ微粒子(日産化学(株)IPA−ST、シリカ含有量20wt%)を精製水(和光純薬(株)製)で100倍に希釈し、これにメチロール化メラミン(大日本インキ化学(株) ベッカミンAPM)とエポキシ系樹脂(大日本インキ化学(株)製 ディックファインEN−0270)をこの希釈液に対してそれぞれ0.1wt%と0.005wt%添加し、超音波方式のホモジナイザー(超音波工業(株)製、U−300Z)で充分攪拌した。この液を耐圧容器に入れ、密栓した後、50℃で3時間処理した。また、塗工に際してこの処理液を精製水で100倍に希釈し、処理液Aとした。
【0043】
得られたフィルムの物性はすべて表1に示す。フィルムの断面観察では、磁気記録媒体として利用する面側に微粒子が固着しており、フィルム表面及び微粒子の表面に芳香族ポリアミドフィルム以外の有機高分子由来の層は確認できなかった。
【0044】
【実施例4】
実施例3において、処理液A塗布後の熱処理温度480℃とし、その他は同様の条件で製膜フィルムを得た。
得られたフィルムの物性はすべて表1に示す。フィルムの断面観察では、磁気記録媒体として利用する面側に微粒子が固着しており、芳香族ポリアミドフィルム以外のフィルム表面及び微粒子の表面に有機高分子由来の層は確認できなかった。
【0045】
【比較例1】
実施例1において、処理液A塗布後の熱処理温度200℃とし、その他は同様の条件で製膜フィルムを得た。
得られたフィルムの物性はすべて表1に示す。フィルムの断面観察では、フィルム表面に微粒子が固着していたが、フィルム表面及び微粒子の表面に芳香族ポリアミドフィルム以外の有機高分子由来の層が確認できた。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、芳香族ポリアミドフィルムの表面上の少なくとも片面に微粒子が固着した構造を有し、この微粒子が削れにくい特性を有するため、磁気変換特性、耐久性に優れた蒸着用磁気記録媒体に適した磁気記録媒体用ベーステープを提供することができる。
Claims (2)
- ユレア系化合物及び/又はメラミン系化合物で表面を処理した平均粒径0.005μmから0.1μmの微粒子の分散液を芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで熱処理して微粒子をフィルムに固着させることを特徴とする、微粒子が固着した構造の突起を有する耐熱性フィルムの製造方法。
- 前記微粒子が予めシランカップリング剤で表面を処理したのち、ユレア系化合物及び/又はメラミン系化合物で表面を処理してなる微粒子であることを特徴とする請求項1記載の耐熱性フィルムの製造方法。
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