JP2001150143A - プラズマ加工用の電極及びプラズマ加工機 - Google Patents

プラズマ加工用の電極及びプラズマ加工機

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JP2001150143A
JP2001150143A JP33559099A JP33559099A JP2001150143A JP 2001150143 A JP2001150143 A JP 2001150143A JP 33559099 A JP33559099 A JP 33559099A JP 33559099 A JP33559099 A JP 33559099A JP 2001150143 A JP2001150143 A JP 2001150143A
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hafnium
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plasma
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Yoshihiro Yamaguchi
義博 山口
Kazuhiro Kuraoka
一浩 蔵岡
Tetsuya Kahata
哲也 加端
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Komatsu Industries Corp
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05HPLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
    • H05H1/00Generating plasma; Handling plasma
    • H05H1/24Generating plasma
    • H05H1/26Plasma torches
    • H05H1/32Plasma torches using an arc
    • H05H1/34Details, e.g. electrodes, nozzles
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H05H1/3442Cathodes with inserted tip

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハフニウムまたはジルコニウムのインサート
をもつプラズマ加工用電極の電極寿命を向上させる。 【解決手段】 銅ホルダ22の先端部に挿入されたハフ
ニウムまたはジルコニウムのインサート21が、銅ホル
ダ22の先端面より前方に突出している。その突出長L
は、インサート直径D以下であり、望ましくは0.5mm
以下である。インサート突出部21aは尖った角の無い
丸い断面形状をもつ。インサート背面21は、電極内部
の冷却水路に露出する。少なくともパイロットアーク発
生時は5モル%以上の窒素を含むプラズマガスを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ加工機に
用いられるアーク発生用の電極に関し、特に、ハフニウ
ム、ジルコニウムまたはその合金製の耐熱インサートを
有した電極に関するもので、電極の耐久性の向上を目的
とした電極構造の改良に関する。
【0002】本発明は、特に、軟鋼材の切断に有効な酸
素プラズマ切断における電極寿命向上に寄与する。
【0003】
【従来の技術】プラズマ加工機、特にプラズマ切断機で
は、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)またはジコニ
ウム(Zr)などの耐熱性の高い金属を電極として用い
る。電極は、アーク発生中に3000℃を越える高温状
態となり、熱電子放出の作用により、陰極点を形成す
る。この電極は、その材料により次の2つのタイプに大
別できる。第1のタイプは、タングステンまたはタング
ステンに微量の他の元素を添加した材料を用いたもので
ある。第2のタイプは、ハフニウムあるいはジルコニウ
ムを用いたものである。
【0004】上記2つのタイプの電極は、プラズマガス
(作動ガス:アーク放電によりプラズマ状態になるガ
ス)の種類に合わせて使い分けられる。すなわち、タン
グステン電極は、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒
素(N2)または水素(H2)の単体または混合ガスを、プ
ラズマガスとして使うプラズマ切断機に使用される。一
方、酸素あるいは空気をプラズマガスとして使うプラズ
マ切断機には、ハフニウムあるいはジルコニウムの電極
が使われる。要するに、プラズマガスに酸素を含まない
場合には、タングステン電極を使用し、酸素を含むプラ
ズマガスの場合には、ハフニウムまたはジルコニウムの
電極を使用する。その理由は、タングステンは、単体と
しては非常に高い融点(約3400℃)および沸点(約
5700℃)をもつが、酸化物になると、融点も沸点も
大幅に下がってしまうので(融点が約1500℃、沸点
が約2000℃)インサートとして使えなくなる。これ
に対し、ハフニウムとジルコニウムは、単体では融点が
若干低いが(ハフニウムで約2200℃)、酸化物にな
ると融点が高くなって(ハフニウムで約2800℃)イ
ンサートして十分使えるようになる為である。
【0005】ところで、プラズマ切断では、切断材の材
質により、良好な切断品質を得る為の、最適なプラズマ
ガスの組み合わせが存在する。特に、プラズマ切断の用
途の大きな割合を占める軟鋼材の切断においては、酸素
を含有するプラズマを用いる酸素プラズマ切断が、最も
良好な切断品質が得られ、また切断速度の点で優れてい
る。
【0006】通常、酸素プラズマ切断用の電極材料であ
るハフニウム(以下ハフニウムで説明するが、ジルコニ
ウムも同様である)は、熱伝導が非常に悪く、銅の十分
の一以下である為、ハフニウム単独で電極を形成する
と、冷却が不十分となり、ハフニウムが高温になり過
ぎ、急速に消耗が進行する。それを防止する為に、ハフ
ニウムを用いた電極は、通常、略円筒形の電極本体を銅
で作り、この銅製の電極本体(以下、ホルダという)の
陰極点となる先端部にハフニウム製の略円柱形の小片
(以下、インサートという)を挿入した構造になってお
り、銅ホルダを空冷あるいは水冷により冷却すること
で、その先端部のハフニウムインサートを銅製ホルダと
の熱伝導により冷却する仕組みになっている。
【0007】このように、酸素プラズマ切断では、ハフ
ニウムまたはジルコニウムのインサートを先端部にもっ
た電極が使用される。しかし、プラズマアーク発生中の
陰極点は3000℃を超える高温の状態にあるので、ハ
フニウムまたはジルコニウムのような高融点の酸化物を
形成する材料をもってしても、その消耗を無視できる程
度に軽減することは困難である。そこで、これまで、電
極消耗を軽減し電極の寿命を改善する為に、数々の技術
開発が行われてきた。
【0008】例えば、アーク着火直後の電流の立ち上が
りをスローアップさせることで、電極への熱衝撃を緩和
し、電極の消耗が急速に進行するアーク着火直後の消耗
を低減する方法(特開平5‐104251号)や、アーク起動
時に窒素でプラズマアークを発生し、その後、酸素に切
り替えることによりアーク着火直後の電極消耗を軽減す
る方法(特開平3‐258464号)などがある。また、電流
値に対してインサート直径を最適化することにより、電
極消耗を軽減する方法(特表平7‐506772号)も考案さ
れている。更に、インサートとホルダの間に、銀合金の
中間層を形成し、インサートとホルダ間の熱伝達を良く
することで、インサートの冷却を促進し電極寿命を改善
する方法(特開平4‐167996号)も考案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この様な数々
の技術改善が成されても、実際の酸素プラズマ切断にお
ける、電極の耐久性は数時間に止まり、更なる寿命向上
が望まれている。
【0010】図1は、アーク発生とともに電極が消耗し
ていく様子を模式的に示す。アーク発生により、まず電
極10の先端のインサート11のみが、すり鉢状に消耗
していく(図1(b))。インサート11の消耗速度
は、電流値、電極の冷却状況、プラズマガス組成、ガズ
圧等により変化する。更に、アーク発生を継続すると、
インサート11の消耗が円筒状となる(図1(c))。
そして、インサート11の消耗深さd(消耗したインサ
ート11表面の底から電極先端までの距離)が、限界値
dmaxに達すると、もはや、インサート11からの安定
なアーク放電が不能となり、アーク発生が困難となった
り、銅ホルダ12からアーク放電が起こり、銅ホルダ1
2から急速に電極10が消耗して電極10が破壊に至っ
たりする(図1(d))。
【0011】電極をより長時間使用する為には、電極の
消耗速度が同じであれば、インサートの体積を増やすこ
とにより、長時間の使用が可能になると考えられる。し
かし、単純に、インサート11の直径Dを大きくする
と、ハフニウムの熱伝導が悪いため、ハフニウム中心部
の温度が上昇し、体積が増えた分以上に、消耗速度が加
速し、却って、電極寿命が短縮する虞がある。つまり、
インサート直径Dには、最適値があり、それ単独で大き
くしても有効ではない(インサート直径の最適化に関す
る発明:特表平7‐506772号参照)。また、インサート
11の埋め込み深さHを深くしても、限界深さdmax以
上には消耗は進行しない。限界深さdmaxは、プラズマ
ガス流の旋回強度や、電極の冷却の状況、あるいは電流
値により変わるが、概ね1mm〜2mm程度であり、ハフニ
ウムの埋め込み深さHには依らない。従って、埋め込み
深さHは最低限dmax以上であれば良く、それ以上Hを
大きくしても効果が無く、却って、高価なハフニウムを
余分に使用することになり不経済である。
【0012】従って、本発明の目的は、ハフニウムまた
はジルコニウムのインサートをもつプラズマ加工用電極
の電極構造を、電極寿命を向上させるように改良するこ
とにある。
【0013】本発明の別の目的は、上記の改良されたプ
ラズマ加工用電極のアーク発生条件を、電極寿命を向上
させるように改良することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によるプラズマ加
工用の電極は、電極本体としてのホルダと、このホルダ
の先端部に挿入されて接合されたインサートとを有し、
インサートの材料はハフニウム、ジルコニウム、ハフニ
ウム合金及びジルコニウム合金の群から選ばれており、
そして、インサートがホルダの先端面から前方へ突出し
た突出部を有している。この突出部の分だけ、インサー
トを長くでき、消耗に関わるインサートの体積を増やせ
るので、電極寿命が延びる。
【0015】好適な実施形態では、インサートは略円筒
形であり、このインサートの突出部のホルダ先端面から
の突出長は、インサートの直径以下、例えば0.5mm以
下である。
【0016】好適な実施形態では、インサートの突出部
は、尖った角の無い丸みをおびた外形をもつ。
【0017】好適な実施形態では、インサートとホルダ
の接合には、熱伝導を良好にする観点から、銀蝋接のよ
うな冶金的接合方法を用いるが、圧入やかしめのような
機械的接合方法を用いることもできる。
【0018】好適な実施形態では、冷却効果を高めるた
めに、電極内部に冷却水を流す水冷方式を採用し、イン
サートはホルダ先端部を貫通して、インサート背面が電
極内部の冷却水路に露出している。
【0019】好適な実施形態では、このプラズマ加工用
電極を使用するとき、少なくとも第1回目のアーク起動
時には、5モル%以上の窒素を含有するプラズマガスを
用いる。とりわけ、酸素プラズマ切断での電極寿命を最
大限延ばすために、アーク起動時には純窒素のプラズマ
ガスを用い、メインアーク移行時に酸素75〜95モル
%、窒素25〜5モル%の混合プラズマガスを用いる。
【0020】ところで、従来において、インサートをホ
ルダの先端面から突出させた構造は、タングステンの電
極では知られていた。しかし、ハフニウム(ジルコニウ
ムも以下同様)のインサートを用いた電極では、この突
出インサート構造は以下の致命的な問題があるために、
実用不可能と考えられていた。それは、タングステンと
ハフニウムの電極としての特性が違うことに依ってい
る。すなわち、アーク発生中の熱電子放出において、タ
ングステン電極では、最も高温になっている陰極点近傍
は別にして、電極表面は固体状態を保っている。しか
し、ハフニウムのインサートでは、インサート表面のか
なりの部分が液体状態になっていると推定される。その
ため、もし、このハフニウムまたはジルコニウムのイン
サートがホルダよりも先方へ突出していると、その突出
した部分が液体状態にあるために、この部分が吹き散っ
てしまう。このインサートの飛び散りが起きると、それ
が電極と対向するノズル内壁面に付着し、プラズマガス
の安定な流れを乱し、切断不良の原因になったり、状況
によっては、直ちに電極破壊に至るアーク不安定の原因
となったりする。そこで、この液体状態のハフニウムを
保持する為に、従来のハフニウムインサートを用いた電
極においては、新品の状態においてインサートの表面
は、ホルダの先端面と同一高さか、あるいは若干奥へ窪
んだ形状になっている。インサート表面をホルダ先端面
から更に窪ませる理由としては、新品の電極で最初にア
ークを発生させる際には、2回目以降よりも大量にハフ
ニウムが消耗する。これは、新品電極のハフニウム表面
には、酸化ハフニウムが形成されていない為に、消耗速
度が速くなるからである。そこで、インサート表面を窪
ませることにより、インサートの冷却効率を高め、最初
の消耗を減らす効果を狙っている。いずれにしても、従
来、ハフニウムのインサートをもつ電極において、ハフ
ニウムが銅ホルダよりも突出している構造は実用不可能
と考えられていた。
【0021】本発明は、この従来の観念から完全に脱却
した画期的なものである。すなわち、発明者らは、数多
くの実験を積み重ねた結果、ハフニウムインサートが突
出していたとしても、その突出部がアーク発生により必
ずしも吹き散るわけではなく、電極先端に保持されてい
る場合もあるという、全く新規な知見を得たものであ
り、この知見をもとに、本発明をなしたのである。発明
者らは、更に実験を重ねることで、インサート突出部が
安定して電極先端に保持され、且つ突出部分の体積が有
効に電極寿命の延長に寄与するための幾つかの具体的な
条件も追求し、それらの条件は以下に詳細に説明する好
適な実施形態に反映されている。
【0022】
【発明の実施の形態】図2は、本発明の一実施形態にか
かるアーク加工用電極の中心軸に沿った縦断面図であ
る。図3は、図2のうち電極先端近傍の部分を拡大して
示したものである。
【0023】電極20は、銅製の略円筒形のホルダ22
と、このホルダ22の先端部22aに挿入されたハフニ
ウム製の小さい略円柱形のインサート21とから構成さ
れている。ホルダ22の内部の空洞は、冷却水の流路
(矢印のように流れる)としての役割をもつ。
【0024】プラズマトーチに電極20を取りつけたと
きにノズル(図示せず)と対向することになるインサー
ト21の先端部21aは、ホルダ22の先端面より前方
に(つまり、ノズルの方へ)突出している。その突出長
L(ホルダ先端面22bからインサート先端面21bま
での距離)は、インサート21の直径Dよりも小さい
(L≦D)。これは、インサート21の突出長Lが長く
なると、この突出したインサート先端部21aの温度が
上昇し過ぎて、この突出部分21aが一瞬にして吹き飛
んでしまうからである。インサート21の直径Dは一般
に1〜2mm程度であるから、インサート21の突出長L
は1〜2mm以下であり、実験によれば、とりわけ略0.
5mm以下であることが好ましい。更に、このインサート
突出部21aは、尖った角部の無い、丸くなった断面形
状に加工されている。その理由は、角部があると、その
部分に熱が集中しやすく、温度が上昇し、角部から吹き
飛びが起き易いからである。
【0025】また、インサート21を効率よく冷却する
為に、インサート21とホルダ22の間は、冶金的接合
方法、典型的には銀蝋23で蝋接合され、熱伝達が良好
になっている(次善の方法として、圧入やかしめのよう
な機械的接合方法を採用することもできる)。インサー
ト21はその背側(ノズルに対向する面の反対側)を流
れる冷却水により冷却される。この水冷の効果を高める
ため、インサート21はホルダ先端部22aを貫通して
インサート背面21cがホルダ内側の冷却水路に露出し
且つ湾曲した形状をもつことで、広い面積をもって冷却
水に直接触れるようになっている。これにより、インサ
ート21は先端側の突出部21aまで良好に冷却される
為、その突出部21aが吹き散ることが無い。インサー
ト32を効率よく冷却する、特に、その突出部21aを
良好に冷却する観点から、空冷よりは水冷の方が望まし
く、また、インサート21とホルダ22の結合は機械的
な圧入やかしめよりも、冶金的な蝋接合の方が好まし
い。
【0026】また、この電極20を使用した酸素プラズ
マ切断装置及び方法では、アーク着火時には、窒素を5
モル%以上含む酸素‐窒素混合ガス(酸素95モル%以
下、窒素5モル%以上)をプラズマガスとして使用する
ことが好ましい。これは、100モル%酸素のプラズマ
ガス中でアークを起動すると、特に電極20が新品であ
る第1回目のアーク着火時には、図4(a)に示すよう
に、インサート突出部21aがまだ融点の低い純粋なハ
フニウムだけからなるため、インサート突出部21aの
飛び散りが起き易い為である。従って、少なくとも第1
回目のアーク着火時には、窒素が5モル%以上含まれて
いる酸素‐窒素の混合ガスを使用することで、インサー
ト突出部21aの吹き飛びが防止される。第1回目のア
ーク発生が終われば、図4(b)に示すように融点の高
い酸化ハフニウム(Hf02)の再凝固固層21dがインサ
ート突出部21bの表面に形成される(因みに、参照番
号21eはハフニウムの再凝固層、参照番号21fは溶
融せず固体を維持したハフニウムの部分を示す)。よっ
て、第2回以降は、融点の高い酸化ハフニウム層21d
がインサート突出部21bの表面を保護するので、純酸
素でアーク起動しても、第1回目ほどの飛び散りの問題
はない。
【0027】しかし、電極寿命を最長とするには、発明
者らが特願平11−124479号(本出願の出願時点で未公
開)で提案しているように、いずれの回でも、アーク起
動時(パイロットアーク発生時)は純窒素ガスをプラズ
マガスに使用し、切断時(メインアーク移行からメイン
アーク消火までの間)は70モル%〜95モル%の酸素
と30モル%〜5モル%の窒素(より望ましくは、80
モル%〜95モル%の酸素と20モル%〜5モル%の窒
素)の混合ガスをプラズマガスに用いるのが良い。更
に、メインアーク消火後に、純窒素のプラズマガスを流
すようにしてもよい。
【0028】以上のような構造の電極20を、以上のよ
うなプラズマガス条件で使用すると、ハフニウムインサ
ート21の突出部21bが飛び散ること無く、電極先端
部に保持される。その理由として、インサート21の短
い突出長Lや、良好な冷却効果や、プラズマガスの窒素
含有などの条件が相俟って、アーク発生によりインサー
ト突出部21bが溶融状態となっても、突出部21bを
保持するのに十分な程度に液体ハフニウムの表面張力が
大きいことや、プラスマアークからの圧力がハフニウム
の溶融池を電極側に押し上げるように働く為に、突出部
21aの散逸が抑制されること、などがあるものと推測
される。
【0029】こうして、ハフニウムインサート21の突
出部21aが電極先端部に保持される結果として、消耗
に関わるハフニウムの体積が実効的に増加する為、増加
分電極寿命が延長する。その実験結果を図5に示す。
【0030】この実験は、120Aのメインアーク電流
で、6秒間メインアークを発生して鋼板に孔を穿つとい
うピアッシング運転を、電極が破壊するまで多数回繰り
返しつつ、各回終了時のインサートの消耗深さd(図1
に示したように、ホルダ先端面の位置を基準にしたイン
サート先端面の底部の位置であり、ホルダ先端面から凹
んでいればプラス、突出していればマイナス)を測定し
たものである。各回において、プラズマガスとして、ア
ーク起動時(パイロットアーク発生時)には純窒素を使
用し、メインアーク移行時に80モル%の酸素と20モ
ル%の窒素との混合ガスに切り替えて、メインアーク発
生中はこの混合ガスを使用した。電極試料として、ハフ
ニウムインサートの先端面がホルダ先端面と面一である
従来構造の電極試料と、ハフニウムインサートの先端面
のホルダ先端面より突出長L=0.5mmだけ突出した本
発明に従う電極試料の、2本を使用した。双方の電極試
料とも、ハフニウムインサートは円柱形で1.6mmの直
径Dをもち、同一の形状とサイズの銅製ホルダに銀蝋接
されており、ホルダは内側で水冷された。図5の縦軸
は、電極試料の消耗深さdを示し、横軸はアーク発生回
数(ピアッシング運転回数)を示す。縦軸の消耗深さd
は、ホルダの先端面位置をゼロとしてある為、従来の電
極試料のプロット(曲線A)はd=0から開始するが、
本発明の電極試料のプロット(曲線B)は、突出長Lに
相当するマイナス0.5mmの位置から開始する。ま
た、この実験条件では、ハフニウムインサートの限界消
耗深さdmaxは、電極形状に依らず約1.5mmであっ
た。
【0031】図5から分るように、従来の電極試料はア
ーク発生約700回で限界消耗深さdmaxに達した。一
方、本発明による電極試料は、限界消耗深さdmaxに達
するまでに、約1000回のアーク発生が可能であっ
た。図5から明らかなように、インサートの突出長0.
5mm分が有効に電極寿命延長に寄与して、700回から
1000回へと約40%の電極寿命を向上させた。
【0032】図6は、本発明による電極の製造方法の一
実施態様を、従来電極の製造方法の一態様と対比して示
す。
【0033】いずれの製造方法でも、まず、図6(a)
に示すように前加工で電極の最終形状よりも大きな形状
の銅ホルダ32を製作し、次に、図6(b)に示すよう
に銅ホルダ32の先端部の挿入穴に、最終形状よりも長
いハフニウム棒31を挿入し、銀蝋付けあるいは圧入な
どにより銅ホルダ32とハフニウム棒31を接合する。
なお、銀蝋付けを行う場合には、一方法として、図6
(a)に示すように銅ホルダ32の先端部の挿入穴に先
ず銀蝋の小片33を入れ込んでから、次にハフニウム棒
31を挿入し、次いでそれらを加熱して銀蝋を溶融させ
た状態でハフニウム31を挿入穴へ奥深く押し込むこと
により、溶融した銀蝋が銅ホルダ32とハフニウム棒3
1間の隙間にく回り込んで隙間を完全に埋め、その後に
冷却すれば、図6(b)に示すような銅ホルダ32とハ
フニウム棒31の蝋接合体が完成する。
【0034】次いで、従来電極を作る場合には、図6
(c)に示す仕上げ加工で、切削により銅ホルダ32と
ハフニウム棒31の突出した先端部分34を完全に除去
して、電極先端面を平らな最終形状に仕上げる。また、
本発明による電極を作る場合には、図6(d)に示す仕
上げ加工で、ハフニウムインサートの突出部分を残すよ
うにして、銅ホルダ32とハフニウム棒31の余計な部
分35を切削で除去する。更に、図示を省略してある
が、インサート背面をホルダ内部の冷却水路に露出させ
るための中刳りも仕上げ加工で行われる。
【0035】以上の従来電極と本発明電極の製造工程か
ら分るように、本発明電極を製造する場合、従来電極の
場合より余分にインサート材料を必要とする訳ではな
く、単に仕上げ加工での最終的な電極表面形状が異なる
にずぎず、更には、従来は仕上げ加工により除去して捨
てていたインサート材料を有効活用できるというメリッ
トもある。
【0036】以上、本発明の実施形態を説明したが、こ
れらの実施形態はあくまで本発明の説明のための例示で
あり、本発明をこれら実施形態にのみ限定する趣旨では
ない。従って、本発明は、その要旨を逸脱することなし
に、上記実施形態以外の様々な形態でも実施することが
できる。例えば、ハフニウムだけでなくジルコニウムや
ハフニウム合金やジルコニウム合金のインサートをもる
電極にも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アーク発生とともに電極が消耗していく様子を
模式的に示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるアーク加工用電極
の中心軸に沿った縦断面図。
【図3】図2の電極先端近傍の部分の拡大図。
【図4】同実施形態の電極の消耗状況を示す図。
【図5】従来電極と本発明電極の寿命をテストした実験
結果を示す図。
【図6】従来電極と本発明電極の製造方法の実施形態を
示す図。
【符号の説明】 20 電極 21 ハフニウムインサート 21a インサート突出部 22 同ホルダ 23 銀蝋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加端 哲也 石川県小松市八日市町地方5 コマツ産機 株式会社内 Fターム(参考) 4E001 AA01 BA04 CA01 DD05 LH09 ME04 4K001 FA12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極本体としてのホルダと、 前記ホルダの先端部に挿入されて接合されたインサート
    とを有し、 前記インサートの材料がハフニウム、ジルコニウム、ハ
    フニウム合金及びジルコニウム合金の群から選ばれた材
    料であり、 前記インサートが前記ホルダの先端面から前方へ突出し
    た突出部を有するプラズマ加工用電極。
  2. 【請求項2】 前記インサートは略円筒形であり、 前記インサートの突出部の前記ホルダ先端面からの突出
    長が、前記インサートの直径以下である請求項1記載の
    プラズマ加工用電極。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のプラズマ加工用電極を使
    用し、 少なくとも第1回目のアーク起動時には、5モル%以上
    の窒素を含有するプラズマガスを用いるプラズマ加工
    機。
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