JP2004082144A - 摩擦撹拌接合用ツール及び摩擦撹拌接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高融点の金属同士の接合を可能にする摩擦撹拌用ツールおよびこの摩擦撹拌接合用ツールを使用した摩擦撹拌接合方法を提供することにある。
【解決手段】摩擦撹拌接合用ツール1は、耐熱合金により形成された中心部材7と、その中心部材7の外周を覆うセラミック6とから構成する。セラミック6は、Siの窒化物からなり、中心部材7は、Fe、Ni、CoおよびWの少なくとも1種を主成分とする耐熱性の合金により形成する。
【選択図】図1
【解決手段】摩擦撹拌接合用ツール1は、耐熱合金により形成された中心部材7と、その中心部材7の外周を覆うセラミック6とから構成する。セラミック6は、Siの窒化物からなり、中心部材7は、Fe、Ni、CoおよびWの少なくとも1種を主成分とする耐熱性の合金により形成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦撹拌接合用ツール及び摩擦撹拌接合方法に関し、特に、高融点の金属同士の接合を可能にする摩擦撹拌用ツールおよびこの摩擦撹拌接合用ツールを使用した摩擦撹拌接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来の摩擦撹拌接合用ツールを示す。従来の摩擦撹拌接合用ツール10は、円筒状の本体12と、本体12の先端に形成され被接合材4a、4bに挿入されるピン部13と、ピン部13と本体12の下端周側12bとの間に形成されるショルダー部12aとから構成される。
【0003】
図4は、従来の摩擦撹拌接合方法の説明図である。まず、板状の被接合材4a、4bの1つの辺を突き合わせ部9で突き合わせ、それら被接合材4a、4bを固定する。突き合わせ部9の一方の端部付近において、回転方向20の方向に回転する摩擦撹拌接合用ツール10を押下していき、先端のピン部13を被接合材4a、4bに挿入する。回転するピン部13と被接合材4a、4bとの間の摩擦熱により被接合材4a、4bが軟化領域5の範囲において軟化する。このとき、摩擦撹拌接合用ツール10を進行方向21の方向に進行させると、進行方向の前方で軟化した被接合材4a、4bは矢印22,23方向に移動させられ、進行方向の後方側に撹拌・流動させられる。流動させられた被接合材4a、4bが冷却すると被接合材4a、4bが接合される。
【0004】
摩擦撹拌接合において、接合温度は、被接合材が流動を始める温度以上である必要があり、概ねその温度は被接合材の融点の0.6〜0.7倍の温度である。そのためアルミニウムや銅など比較的低融点の金属では、接合温度は400〜650℃程度であり、摩擦撹拌接合用ツールの材質は、FeやNiやCoなどの金属を主成分とした耐熱合金が使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の摩擦撹拌接合用ツールによると、融点が1500℃を超える鉄やチタンなどの金属を接合するためには、軟化温度を900〜1000℃という高温にしなければならないため、このような高温状態ではFeやNiやCoなどの金属を主成分とした耐熱合金の硬さが低下し、摩擦撹拌接合用ツールの先端のピン部が大量に摩耗してしまい、高融点の金属の摩擦撹拌接合は困難であるという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、高融点の金属同士の摩擦撹拌接合を可能にする摩擦撹拌用ツールおよびこの摩擦撹拌接合用ツールを使用した摩擦撹拌接合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、金属製ワークよりも硬い材質からなる摩擦撹拌接合用ツールを、一対の金属製ワークの突き合わせ部に回転させながら押圧、挿入して、前記金属製ワークを摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合用ツールにおいて、金属で形成される中心部材と、前記中心部材の少なくとも前記金属製ワークと摩擦接触する領域を覆うセラミック部材と、を有することを特徴とする摩擦撹拌接合用ツールを提供する。
【0008】
前記構成によれば、セラミックを使用することにより、高温における硬度低下を少なくすることができ、被摩擦撹拌金属との摩擦を小さくすることができる。また中心部材として、例えば、耐熱合金を使用することにより、靭性および中低温における強度を保つことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを示す。この摩擦撹拌接合用ツール1は、耐熱合金により形成された中心部材7と、その中心部材7の外周を覆う外周部を形成するセラミック6とから構成される。ピン部3およびショルダー部2aが形成される点は、従来の摩擦撹拌接合用ツールと同様である。
【0010】
セラミック6は、Si3N4系のものを使用する。これは、1000℃においてビッカース硬度Hvが1000程度の硬度を有するため、耐熱合金が1000℃においてビッカース硬度Hvが200程度の硬度であるのと比較して有利だからである。
【0011】
本発明の第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを使用した摩擦撹拌接合方法について説明する。板状の被接合材4a、4bの1つの辺を突き合わせ部9で突き合わせ、それら被接合材4a、4bを固定する。突き合わせ部9の一方の端部付近において、回転する摩擦撹拌接合用ツール1を押下していき、先端のピン部3を被接合材4a、4bに挿入する。回転するピン部3と被接合材4a、4bとの間の摩擦熱により被接合材4a、4bが軟化領域5の範囲において軟化する。このとき、摩擦撹拌接合用ツール1を進行させると、進行方向の前方で軟化した被接合材4a、4bは進行方向の後方側に撹拌・流動させられる。流動させられた被接合材4a、4bが冷却すると被接合材4a、4bが接合される。
【0012】
本発明の第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールによれば、摩擦撹拌接合用ツールの被接合材と接する外周部分をセラミックにより形成したため、硬度の低下が小さく被接合材との摩擦によって生じる摩耗を小さくできる。また中心部材を、靭性および中低温での強度の点でセラミックよりも優れている耐熱合金により形成するため、摩擦撹拌接合用ツールの欠損が最も起こりやすい接合初期の温度が低い状態においては、耐熱合金部の強度によりセラミック単体のときに比べ摩擦撹拌接合用ツールの強度が大となり摩擦撹拌接合用ツールの欠損を防止することができる。
【0013】
図2は本発明の第2の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを示す。この摩擦撹拌接合用ツール11は、耐熱合金により形成された中心部材7と、その中心部材7の外周を覆う外周部を形成するセラミック6とから構成され、ピン部3およびショルダー部2aが形成される点は、第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツール1と同様である。この実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールは、中心部材7の耐熱合金の部分に冷却水を流すことができる冷却水路8を設けた。なお、符号5は、回転するピン部3と被接合材4a、4bとの間の摩擦熱により被接合材4a、4bが軟化する軟化領域5である。
【0014】
この摩擦撹拌接合用ツールによれば、冷却水路8に水などの冷却剤を流して耐熱合金を冷却することにより耐熱合金が高温となることによる強度低下を防止できるため、より摩擦撹拌接合用ツールの欠損を防止することができる。
【0015】
【実施例】
図1に示す摩擦撹拌接合用ツールを使用した。外周部は、Si3N4系のセラミック6とし、中心部材7はNiを主成分とする耐熱合金であるASME規格のSA637とした。ショルダー部2aの径はφ15mm、ピン径はφ8mmであり、Si3N4の被覆厚さは2mmである。この摩擦撹拌接合用ツールを用いJIS規格のSS400の接合を行った。比較として、Si3N4及びSA637単体のツールでも接合を行った。摩擦撹拌接合による接合結果を表1に示す。Si3N4単体の摩擦撹拌接合用ツールは接合開始直後にピン部の根元から欠損し接合できなかった。これは、セラミックは、一般に脆く割れやすいためと考えられる。Si3N4の破壊靱性は、10MN/m3/2以下であり、SA637の半分以下である。また、SA637単体については接合開始直後からピン部の摩耗が進行し、1mの接合後にはピン部が消滅してしまった。
【表1】
表1は、Si3N4系のセラミック単体、ASME規格のSA637単体および本発明に係る摩擦撹拌接合用ツールについて、ツールとしての寿命および接合状態の比較表である。
【0016】
本発明の摩擦撹拌接合用ツールは、ピン部が欠損することなく10mも接合することができた。また、10mの接合後もピン部に摩耗はなく、接合したSS400も接合の最初と接合の最後で接合強度の違いがなく接合することができた。
【0017】
この実施例の摩擦撹拌接合用ツールによれば、高融点の材料の接合に耐えることができる。
【0018】
本発明の摩擦撹拌接合用ツールは、中心部材の周囲をセラミックで覆う構造としたが、種々の変形例が可能である。例えば、ピン部をセラミックで覆う構造、ピン部およびショルダー部をセラミックで覆う構造、ピン部およびショルダー部を含む摩擦撹拌接合用ツールの先端部を、セラミックで覆う構造としてもよい。このような構造であっても、セラミックが高温での使用に耐え、中心部材により靭性を持たせることができるため、高軟化温度の被接合材の接合に使用することができる。また、本発明の摩擦撹拌接合用ツールは、回転により摩擦撹拌するものであるが、往復運動により摩擦撹拌するものであってもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係る摩擦撹拌接合用ツールによれば、セラミックを使用することにより、高温における硬度低下を少なくすることができ、被摩擦撹拌金属との摩擦を小さくすることができ、また、中心部材として耐熱合金を使用することにより、靭性および中低温における強度を保つことができるため、高融点の金属同士の摩擦撹拌接合を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを示す。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを示す。
【図3】従来の摩擦撹拌接合用ツールを示す。
【図4】従来の摩擦撹拌接合方法の説明図である。
【符号の説明】
1 摩擦撹拌接合用ツール
2 ショルダー部
3 ピン部
4a 被接合材
4b 被接合材
5 軟化領域
6 セラミック
7 中心部材
8 冷却水路
8 耐熱合金
9 突き合わせ部
10 摩擦撹拌接合用ツール
11 摩擦撹拌接合用ツール
12 本体
12a ショルダー部
12b 下端周側
13 ピン部
20 回転方向
21 進行方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦撹拌接合用ツール及び摩擦撹拌接合方法に関し、特に、高融点の金属同士の接合を可能にする摩擦撹拌用ツールおよびこの摩擦撹拌接合用ツールを使用した摩擦撹拌接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来の摩擦撹拌接合用ツールを示す。従来の摩擦撹拌接合用ツール10は、円筒状の本体12と、本体12の先端に形成され被接合材4a、4bに挿入されるピン部13と、ピン部13と本体12の下端周側12bとの間に形成されるショルダー部12aとから構成される。
【0003】
図4は、従来の摩擦撹拌接合方法の説明図である。まず、板状の被接合材4a、4bの1つの辺を突き合わせ部9で突き合わせ、それら被接合材4a、4bを固定する。突き合わせ部9の一方の端部付近において、回転方向20の方向に回転する摩擦撹拌接合用ツール10を押下していき、先端のピン部13を被接合材4a、4bに挿入する。回転するピン部13と被接合材4a、4bとの間の摩擦熱により被接合材4a、4bが軟化領域5の範囲において軟化する。このとき、摩擦撹拌接合用ツール10を進行方向21の方向に進行させると、進行方向の前方で軟化した被接合材4a、4bは矢印22,23方向に移動させられ、進行方向の後方側に撹拌・流動させられる。流動させられた被接合材4a、4bが冷却すると被接合材4a、4bが接合される。
【0004】
摩擦撹拌接合において、接合温度は、被接合材が流動を始める温度以上である必要があり、概ねその温度は被接合材の融点の0.6〜0.7倍の温度である。そのためアルミニウムや銅など比較的低融点の金属では、接合温度は400〜650℃程度であり、摩擦撹拌接合用ツールの材質は、FeやNiやCoなどの金属を主成分とした耐熱合金が使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の摩擦撹拌接合用ツールによると、融点が1500℃を超える鉄やチタンなどの金属を接合するためには、軟化温度を900〜1000℃という高温にしなければならないため、このような高温状態ではFeやNiやCoなどの金属を主成分とした耐熱合金の硬さが低下し、摩擦撹拌接合用ツールの先端のピン部が大量に摩耗してしまい、高融点の金属の摩擦撹拌接合は困難であるという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、高融点の金属同士の摩擦撹拌接合を可能にする摩擦撹拌用ツールおよびこの摩擦撹拌接合用ツールを使用した摩擦撹拌接合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、金属製ワークよりも硬い材質からなる摩擦撹拌接合用ツールを、一対の金属製ワークの突き合わせ部に回転させながら押圧、挿入して、前記金属製ワークを摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合用ツールにおいて、金属で形成される中心部材と、前記中心部材の少なくとも前記金属製ワークと摩擦接触する領域を覆うセラミック部材と、を有することを特徴とする摩擦撹拌接合用ツールを提供する。
【0008】
前記構成によれば、セラミックを使用することにより、高温における硬度低下を少なくすることができ、被摩擦撹拌金属との摩擦を小さくすることができる。また中心部材として、例えば、耐熱合金を使用することにより、靭性および中低温における強度を保つことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを示す。この摩擦撹拌接合用ツール1は、耐熱合金により形成された中心部材7と、その中心部材7の外周を覆う外周部を形成するセラミック6とから構成される。ピン部3およびショルダー部2aが形成される点は、従来の摩擦撹拌接合用ツールと同様である。
【0010】
セラミック6は、Si3N4系のものを使用する。これは、1000℃においてビッカース硬度Hvが1000程度の硬度を有するため、耐熱合金が1000℃においてビッカース硬度Hvが200程度の硬度であるのと比較して有利だからである。
【0011】
本発明の第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを使用した摩擦撹拌接合方法について説明する。板状の被接合材4a、4bの1つの辺を突き合わせ部9で突き合わせ、それら被接合材4a、4bを固定する。突き合わせ部9の一方の端部付近において、回転する摩擦撹拌接合用ツール1を押下していき、先端のピン部3を被接合材4a、4bに挿入する。回転するピン部3と被接合材4a、4bとの間の摩擦熱により被接合材4a、4bが軟化領域5の範囲において軟化する。このとき、摩擦撹拌接合用ツール1を進行させると、進行方向の前方で軟化した被接合材4a、4bは進行方向の後方側に撹拌・流動させられる。流動させられた被接合材4a、4bが冷却すると被接合材4a、4bが接合される。
【0012】
本発明の第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールによれば、摩擦撹拌接合用ツールの被接合材と接する外周部分をセラミックにより形成したため、硬度の低下が小さく被接合材との摩擦によって生じる摩耗を小さくできる。また中心部材を、靭性および中低温での強度の点でセラミックよりも優れている耐熱合金により形成するため、摩擦撹拌接合用ツールの欠損が最も起こりやすい接合初期の温度が低い状態においては、耐熱合金部の強度によりセラミック単体のときに比べ摩擦撹拌接合用ツールの強度が大となり摩擦撹拌接合用ツールの欠損を防止することができる。
【0013】
図2は本発明の第2の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを示す。この摩擦撹拌接合用ツール11は、耐熱合金により形成された中心部材7と、その中心部材7の外周を覆う外周部を形成するセラミック6とから構成され、ピン部3およびショルダー部2aが形成される点は、第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツール1と同様である。この実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールは、中心部材7の耐熱合金の部分に冷却水を流すことができる冷却水路8を設けた。なお、符号5は、回転するピン部3と被接合材4a、4bとの間の摩擦熱により被接合材4a、4bが軟化する軟化領域5である。
【0014】
この摩擦撹拌接合用ツールによれば、冷却水路8に水などの冷却剤を流して耐熱合金を冷却することにより耐熱合金が高温となることによる強度低下を防止できるため、より摩擦撹拌接合用ツールの欠損を防止することができる。
【0015】
【実施例】
図1に示す摩擦撹拌接合用ツールを使用した。外周部は、Si3N4系のセラミック6とし、中心部材7はNiを主成分とする耐熱合金であるASME規格のSA637とした。ショルダー部2aの径はφ15mm、ピン径はφ8mmであり、Si3N4の被覆厚さは2mmである。この摩擦撹拌接合用ツールを用いJIS規格のSS400の接合を行った。比較として、Si3N4及びSA637単体のツールでも接合を行った。摩擦撹拌接合による接合結果を表1に示す。Si3N4単体の摩擦撹拌接合用ツールは接合開始直後にピン部の根元から欠損し接合できなかった。これは、セラミックは、一般に脆く割れやすいためと考えられる。Si3N4の破壊靱性は、10MN/m3/2以下であり、SA637の半分以下である。また、SA637単体については接合開始直後からピン部の摩耗が進行し、1mの接合後にはピン部が消滅してしまった。
【表1】
表1は、Si3N4系のセラミック単体、ASME規格のSA637単体および本発明に係る摩擦撹拌接合用ツールについて、ツールとしての寿命および接合状態の比較表である。
【0016】
本発明の摩擦撹拌接合用ツールは、ピン部が欠損することなく10mも接合することができた。また、10mの接合後もピン部に摩耗はなく、接合したSS400も接合の最初と接合の最後で接合強度の違いがなく接合することができた。
【0017】
この実施例の摩擦撹拌接合用ツールによれば、高融点の材料の接合に耐えることができる。
【0018】
本発明の摩擦撹拌接合用ツールは、中心部材の周囲をセラミックで覆う構造としたが、種々の変形例が可能である。例えば、ピン部をセラミックで覆う構造、ピン部およびショルダー部をセラミックで覆う構造、ピン部およびショルダー部を含む摩擦撹拌接合用ツールの先端部を、セラミックで覆う構造としてもよい。このような構造であっても、セラミックが高温での使用に耐え、中心部材により靭性を持たせることができるため、高軟化温度の被接合材の接合に使用することができる。また、本発明の摩擦撹拌接合用ツールは、回転により摩擦撹拌するものであるが、往復運動により摩擦撹拌するものであってもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係る摩擦撹拌接合用ツールによれば、セラミックを使用することにより、高温における硬度低下を少なくすることができ、被摩擦撹拌金属との摩擦を小さくすることができ、また、中心部材として耐熱合金を使用することにより、靭性および中低温における強度を保つことができるため、高融点の金属同士の摩擦撹拌接合を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを示す。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る摩擦撹拌接合用ツールを示す。
【図3】従来の摩擦撹拌接合用ツールを示す。
【図4】従来の摩擦撹拌接合方法の説明図である。
【符号の説明】
1 摩擦撹拌接合用ツール
2 ショルダー部
3 ピン部
4a 被接合材
4b 被接合材
5 軟化領域
6 セラミック
7 中心部材
8 冷却水路
8 耐熱合金
9 突き合わせ部
10 摩擦撹拌接合用ツール
11 摩擦撹拌接合用ツール
12 本体
12a ショルダー部
12b 下端周側
13 ピン部
20 回転方向
21 進行方向
Claims (4)
- 金属製ワークよりも硬い材質からなる摩擦撹拌接合用ツールを、一対の金属製ワークの突き合わせ部に回転させながら押圧、挿入して、前記金属製ワークを摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合用ツールにおいて、
金属で形成される中心部材と、
前記中心部材の少なくとも前記金属製ワークと摩擦接触する領域を覆うセラミック部材と、を有することを特徴とする摩擦撹拌接合用ツール。 - 前記セラミック部材は、Siの窒化物からなり、前記中心部材は、Fe、Ni、CoおよびWの少なくとも1種を主成分とする耐熱性の合金であることを特徴とする請求項1記載の摩擦撹拌接合用ツール。
- 前記中心部材は、冷却剤により冷却する冷却手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の摩擦撹拌接合用ツール。
- 接合する金属製ワークの1つの辺同士を突き合わせて前記金属製ワークを固定する第1のステップと、
前記金属製ワークの突き合わせ部に摩擦撹拌用ツールを挿入して、前記金属を軟化し、軟化した前記金属製ワークを撹拌しながら前記摩擦撹拌用ツールを移動させる第2のステップと、
移動に伴って、軟化した前記金属製ワークが冷却することにより前記金属製ワーク同士を接合する第3のステップを含む摩擦撹拌接合方法において、
前記第2のステップで用いられる摩擦撹拌用ツールは、金属で形成される中心部材と、前記中心部材の少なくとも前記金属製ワークと摩擦接触する領域を覆うセラミック部材と、からなることを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002243850A JP2004082144A (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | 摩擦撹拌接合用ツール及び摩擦撹拌接合方法 |
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2002
- 2002-08-23 JP JP2002243850A patent/JP2004082144A/ja active Pending
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