JP2001149471A - 中空糸型血液浄化器及びその包装方法 - Google Patents

中空糸型血液浄化器及びその包装方法

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JP2001149471A
JP2001149471A JP33840299A JP33840299A JP2001149471A JP 2001149471 A JP2001149471 A JP 2001149471A JP 33840299 A JP33840299 A JP 33840299A JP 33840299 A JP33840299 A JP 33840299A JP 2001149471 A JP2001149471 A JP 2001149471A
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blood
hollow fiber
dialysate
flow path
sterilization
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Kazuya Sakamoto
和也 坂本
Naoki Kato
直樹 加藤
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Nikkiso Co Ltd
Original Assignee
Nikkiso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】真空包装後、滅菌を施すことにより滅菌効果を
長期間持続させるとともに、真空包装による陰圧で潰れ
た中空糸膜の形状を、滅菌用包装袋の開封時、自然に回
復させることができる中空糸型血液浄化器及びその包装
方法を提供する。 【解決手段】滅菌用包装袋10に真空包装されるドライ
タイプの中空糸型血液浄化器13において、滅菌用包装
袋10の開封時、血液側流路2a内が外圧と略等しくな
るとともに、透析液側流路2b内が陰圧を保持するもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工透析時に使用
される中空糸型血液浄化器及びその包装方法に関し、特
に、滅菌のための滅菌用包装袋に真空包装される中空糸
型血液浄化器及びその包装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、血液透析において、長期透析で発
生する合併症に対し、大量液置換を伴う療法が採用され
ているが、その一例として逆濾過促進法がある。この逆
濾過を促進して大量液置換を簡単に行える透析濾過器
(血液透析器)としては、例えば特開平9−84873
号公報に開示されている中空糸型血液浄化器が挙げられ
る。
【0003】かかる中空糸型血液浄化器は、図5に示す
ように、血液が流れる第1の流路101と透析液が流れ
る第2の流路102が、中空糸膜103を隔てて形成さ
れており、透析液が流れる第2の流路102において、
中空糸膜103の束104と筒状ケーシング105内面
との間及び隣接する中空糸膜103同士の間隙に、透析
液潤性の介挿体106が設けられている。
【0004】そして、第2の流路102の抵抗を大きく
して透析液入口110側付近の圧力を高くし、血液出口
108側付近で多くの透析液逆濾過が起こり血液側に補
液されるようにし、透析液出口109側付近では圧力を
低くし、血液入口107側付近で多くの正濾過が起こり
血液側から除水されるように構成されたものである。
【0005】上記中空糸型血液浄化器は、血液入口10
7、血液出口108、透析液入口110、透析液出口1
09にそれぞれ必要に応じ各滅菌法にあわせて蓋をした
状態で上記中空糸型血液浄化器を滅菌用の包装袋内に入
れ、例えば蒸気滅菌、γ線滅菌、EOG(ethylene oxi
de gas)滅菌、又は電子線滅菌等の各種滅菌が施されて
いる。包装時には、包装袋内の圧力調整等を行わないた
め、常圧(大気圧と略同等の圧力)とされているのが一
般的であったが、滅菌効果の長期維持を図ることを目的
として、中空糸型血液浄化器を真空包装した後、滅菌を
行うことが検討されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、真空包
装された中空糸型血液浄化器においては、内在する中空
糸膜が陰圧により潰れた形状となり、滅菌用包装袋を開
封した後も元の形状に回復し難くなっている。即ち、中
空糸膜103の内部に形成される第1の流路101とそ
の外部に形成される第2の流路102との体積を比較す
ると、第1の流路101の方が小さいため、真空包装の
ため滅菌用包装袋の空気を抜いていくと、第1の流路1
01の方が第2の流路102より早く空気が抜ける。こ
のため、第1の流路101の外部より内部の方が圧力が
小さくなり、この差圧で中空糸膜が潰れた形状となるの
である。一方、中空糸膜は、筒状ケーシングに装填し、
両端を固定するまでに紡糸、洗浄、乾燥、収束、シート
巻き、ケーシング装填、シート抜き取り等、多数の工程
のなかで機械的圧力が加わり、中空糸膜束の弱い部分で
膜が部分的に潰れることがあったが、包装前に全品に対
して行われるリークテストで形状を復元できるものが多
かった。このため、製造過程で生じた中空糸膜の潰れに
ついては、あまり問題とはならなかったが、リークテス
ト以後に真空包装する場合は、陰圧により潰れた中空糸
膜を復元できない。
【0007】このように中空糸膜が潰れた状態では、プ
ライミング(生理食塩水等を流して中空糸膜内のエアを
抜く作業)時に、エアの排出が困難となってしまい、こ
のエアを抜くために、生理食塩水が余分に必要になった
り、作業者が中空糸型血液浄化器を複数回殴打する等の
作業が別途必要になり、プライミング作業が繁雑になる
という問題がある。また、中空糸膜が潰れた状態では、
賦活を十分に行えず、使用前のリークテストでリークと
誤認する虞もあった。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、真空包装による陰圧で潰れた中空糸膜の形状
を、滅菌用包装袋の開封時、自然に回復させることがで
きる中空糸型血液浄化器及びその包装方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
筒状ケーシング内に複数本の中空糸膜を装填することに
よって、各中空糸膜の内胞で形成される血液側流路と、
中空糸膜の外周面と筒状ケーシングの内面との間及び隣
接する各中空糸膜間で形成される透析液側流路とを有
し、滅菌用包装袋に真空包装される中空糸型血液浄化器
において、前記滅菌用包装袋の開封時、前記血液側流路
内が外圧と略等しくなるとともに、前記透析液側流路内
が陰圧を保持することを特徴とする。
【0010】かかる構成によれば、滅菌用包装袋の開封
時、透析液側流路内と血液側流路内との差圧により、血
液側流路がその径を拡張する方向に膨張して、真空包装
前と略同等の径の血液側流路となる。
【0011】請求項2記載の発明は、前記血液側流路に
血液を流入する血液導入口、及び当該血液側流路の血液
を吐出する血液導出口には、外部との通気が可能な通気
型蓋が装着されるとともに、前記透析液側流路に透析液
を流入する透析液導入口、及び当該透析液側流路の透析
液を吐出する透析液導出口には、透析液側流路を密閉し
外部との通気がない密閉型蓋が装着されることを特徴と
する。
【0012】かかる構成によれば、滅菌用包装袋の開封
時、通気型蓋を通って血液側流路内に空気が入り込み、
常圧(大気圧)となる一方、密閉型蓋により透析液側流
路内に空気が入り込むのが阻害されているため、透析液
側流路内は陰圧の状態が保持される。これら血液側流路
内と透析液側流路内との差圧により、血液側流路がその
径を拡張する方向に膨張して、真空包装前と略同等の径
の血液側流路となる。
【0013】請求項3記載の発明は、前記血液導入口及
び血液導出口に前記通気型蓋を装着するとともに、前記
透析液導入口及び透析液導出口に密閉型蓋を半装着させ
た状態で中空糸型血液浄化器を前記滅菌用包装袋に挿入
した後、当該滅菌用包装袋内の空気を抜いて真空包装す
ることにより、半装着状態の前記密閉型蓋を装着状態と
することを特徴とする。
【0014】かかる構成によれば、真空包装時、滅菌用
包装袋内を減圧していくと、血液側流路内の空気は通気
型蓋を通過して外部に放出される一方、半装着された密
閉型蓋と透析液導入口及び透析液導出口との間から透析
液側流路内の空気も外部に放出され、透析液側流路内の
陰圧作用により密閉型蓋が透析液導入口及び透析液導出
口に嵌入して装着された状態となる。また、滅菌用包装
袋の開封時は、請求項2記載の発明の作用と同様であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら具体的に説明する。本発明の中空
糸型血液浄化器は、図1で示すように、筒状ケーシング
1、ヘッダ3、密閉型蓋8、通気型蓋9を主な外観要素
としたドライタイプのものであって、滅菌用包装袋10
にて包装されたものである。
【0016】筒状ケーシング1は、中空糸型血液浄化器
13の筐体を成しており、内部の視認性を確保するた
め、透明又は半透明部材から成るものである。この両端
部には、筒状ケーシング1の軸と直交する方向に、中空
糸型血液浄化器13内に透析液を流入するための透析液
導入口7及び中空糸型血液浄化器13外に透析液を吐出
するための透析液導出口6が形成されている。
【0017】また、筒状ケーシング1は、その内部に複
数本(通常、数百〜数万本)の中空糸膜2を充填したも
のであり、この複数本の中空糸膜2によって、筒状ケー
シング1内に血液側流路2a(図4(c)参照)と透析
液側流路2bとが形成されている。
【0018】即ち、血液側流路2aは、その両端部の開
口が血液導入口4及び血液導出口5にそれぞれ連通する
多数本の中空糸膜2の内胞(中空部内)によって形成さ
れるとともに、透析液側流路2bは、透析液導入口7及
び透析液導出口6に連通し、中空糸膜2の外周面と筒状
ケーシング1の内面間及び隣接する各中空糸膜2間に形
成される多数の流路によって形成されている。
【0019】尚、筒状ケーシング1内に装填される中空
糸膜2は、封止剤で固着された両端部の封止部11によ
って一体化されるとともに、Oリング12によってシー
ル(液密)されている。
【0020】筒状ケーシング1の両端には、ヘッダ3が
それぞれ螺着されており、このヘッダ3突端における筒
状ケーシング1の軸方向には血液を血液側流路2aに流
入するための血液導入口4、及び血液側流路2a内の血
液を外部に吐出する血液導出口5が形成されている。
【0021】そして、図示しない透析装置によって、透
析液は透析液導入口7から透析液導出口6にむかって透
析液側流路2bを流れ、血液は、血液導入口4から血液
導出口9にむかって血液側流路2aを透析液に対向して
流れる。血液側流路2a通過中に、中空糸膜を介して血
液中の老廃物は透析液側に透析除去されるよう構成され
ている。
【0022】上記中空糸型血液浄化器13は、使用上の
目的から滅菌用包装袋10に入れて滅菌を施す必要があ
る。本実施形態に係る中空糸型血液浄化器13に対する
滅菌は、γ線滅菌のように通気部のない滅菌用包装袋1
0で行われる方法が好ましいが、蒸気滅菌やEOG滅菌
のように滅菌用包装袋に和紙等の通気部を有する場合で
も本発明を適用することができる。
【0023】即ち、通気部を滅菌用包装袋の一端に設け
ることにより蒸気滅菌やEOG滅菌の際の通気を確保す
るとともに、滅菌後、当該通気部から空気を抜いて滅菌
用包装袋内を真空として密封シールし、必要に応じて通
気部を切除するようにしてもよい。
【0024】また、滅菌用包装10は、真空包装が可能
で、滅菌保証期限内の無菌性が保証されれば材質に関し
特に制限はないが、PE、NY、PP、EVAL、アル
ミ等、既知のラミネートフィルムから成るものが好まし
い。
【0025】また、中空糸型血液浄化器13を滅菌用包
装袋10に入れる際し、血液導入口4及び血液導出口5
には通気型蓋9を装着し、透析液導入口7及び透析液導
出口6には密閉型蓋8を半装着する。ここでいう半装着
とは、密閉型蓋8を透析液導入口7又は透析液導出口6
に完全には密栓させず、これらの間に空気が出入りでき
る隙間を有した状態に置くことをいう。
【0026】密閉型蓋8は、図2で示すように、円柱状
の蓋部8aと、該蓋部8aから図中下方に延設されると
ともに先端側の外周面にリブ8baが形成されたボス部
8bとから成り、このリブ8baの一部を切り欠いて形
成したリブ切欠き部8bbを有するため、該リブ切欠き
部8bbまでの密閉型蓋8の透析液導入口7及び透析液
導出口6に対する嵌入では、ボス部8bと透析液導入口
7又は透析液導出口6との間に隙間ができる。
【0027】尚、密閉型蓋8は、シリコン、熱可塑性エ
ラストマー、その他ゴム類から成るのが好ましいが、空
気圧760mmHg昇圧後、密閉型蓋8からの空気通過
が圧降下量として1分あたり1mmHg以下のものであ
れば本発明に適用できる。
【0028】一方、通気型蓋9は、図3で示すように、
中央及び縁部が図中上方へ突出した蓋部9aと、該蓋部
9aから図中下方へ延設された円筒状部9bとから成
り、円柱状部9b内周には、円筒状部9bの軸方向に延
びるリブ9baが等間隔で四方に形成されている。よっ
て、同図の二点鎖線のように血液導入口4を円筒状部9
b内に挿入すると、リブ9baによって血液導入口4と
通気型蓋9との間に隙間tが生じるよう構成されてい
る。
【0029】尚、上記の如く通気型蓋9と血液導入口4
及び血液導出口5との間に隙間を持たせて通気を確保す
るものの他、蓋の全部又は一部が和紙や不織布から成る
ものを用いて通気を確保してもよい。この通気型蓋9の
材質としては、PE、PP等が好ましい。
【0030】上記状態で、滅菌用包装袋10の一部(例
えば、図1中左端)から図示しない負圧発生器等で空気
を抜くことにより、中空糸型血液浄化器13を真空包装
する。滅菌用包装袋10内の空気を抜いていくと、図4
(a)で示すように、透析液導入口7(透析液導出口
6)においては、密閉型蓋8のリブ切欠き部8bbが成
す隙間から矢印aの如く空気が抜け、血液導入口4(血
液導出口5)においては、通気型蓋9のリブ9baが成
す隙間から矢印bの如く空気が抜ける。
【0031】そして、透析液側流路2b内の空気が抜け
きると、a方向の空気の流れによる抵抗がなくなって、
密閉型蓋8が同図(b)の如く図中下方に移動し、透析
液導入口7(透析液導出口6)を密栓する。尚、密閉型
蓋8が十分に下方に移動せず、透析液導入口7(透析液
導出口6)を密栓しない場合、作業者が滅菌用包装袋の
上から手で密栓してもよい。この状態でγ線滅菌等を施
した後、病院や医療機関等へ真空包装のまま出荷する。
但し、蒸気滅菌やEOG滅菌を行う中空糸型血液浄化器
については、滅菌後に真空包装を実施し、病院や医療機
関等に出荷する。
【0032】上記の如く、出荷する中空糸型血液浄化器
13を真空包装したので、滅菌用包装袋10内に酸素が
ほとんど存在せず、酸化膜劣化を有効に防止することが
できるとともに、全体の体積が抜き出した空気の分だけ
減少するので、包装品の小型化を実現することができ
る。また、例えば滅菌用包装10が破れると、内部に空
気が入り込んで膨らむので、包装不良品の識別が容易で
ある。
【0033】このように真空包装された中空糸型血液浄
化器13は、陰圧の影響で、内在する中空糸膜2が潰れ
た状態(中空糸膜2の径が縮小した状態)、即ち血液側
流路2aの径が小さい状態となっているが、この状態で
滅菌用包装袋10を開封すると、通気型蓋9からは空気
が入り込んで血液側流路2aが常圧(大気圧)となる一
方、密閉型蓋8からは空気が入り込めず、透析液側流路
2bは陰圧のままとなっているため、その差圧により血
液側流路2aが拡径し、中空糸膜2が真空包装される前
の状態まで回復する。
【0034】これにより、真空包装しないものに比べ
て、プライミング時のエア抜き性を向上させることがで
きるとともに、エア抜きのためにヘッダ3を殴打する回
数が減るため、作業者の負担の軽減を図ることができ、
中空糸膜2に加わる衝撃が減少して中空糸膜2のリーク
を抑制することができる。
【0035】また、プライミング時において生理食塩水
が中空糸膜2の径方向にも引っ張られるので、賦活を十
分に行うことができ、使用直前のリークテストでリーク
と誤認することがなくなる。
【0036】更に、滅菌用包装袋10内で透析液導入口
7及び透析液導出口6に密閉型蓋8が装着された状態な
ので、開封後すぐに血液側流路2a側のプライミングが
可能であり、作業性を向上することができる。尚、上記
効果に加え、中空糸膜2の潰れを解消しているので、透
析終了、血液回収時の残血を減少させることができる。
【0037】尚、リークテストのように中空糸膜の内側
から圧力を加える場合と本実施形態の如く外側から圧力
を加える場合とを比較すると、中空糸膜の膜厚分だけそ
の内径より外径の方が大きくなっているため、中空糸膜
の内側の方が外側より単位長さあたりの表面積が小さく
なっている。これにより、絶対値が同じ圧力を加える場
合、中空糸膜の内側から圧力を加えるよりも、本実施形
態の如く外側から圧力を加えた方が有利である。
【0038】また、リークテストのような内側からの加
圧の場合、中空糸膜の連続した閉塞部の中央部には圧力
が加わりにくいのに対し、本実施形態のような外側から
の加圧の場合、閉塞部を含む中空糸膜全体に力が加わる
こととなり、この点においても本実施形態の方が有利で
ある。
【0039】以上、本実施形態について説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、滅菌用包装袋の
開封時、血液側流路内が外圧と略等しくなるとともに、
透析液側流路内が陰圧を保持するよう構成したものであ
れば、他の手段としてもよい。
【0040】また、中空糸型血液浄化器がドライタイプ
であれば、中空糸膜の材質に関しては特に制限はない
が、血液側流路2aと透析液側流路2bとの差圧をプラ
イミング開始時まで維持できることが必要であることか
ら、中空糸膜の空気透過性は、血液側流路2aの一端を
閉塞して内部を加圧した場合において、1製品あたり7
60mmHg昇圧時、1分の自然圧降下量が100mm
Hg以下、望ましくは30mmHg以下が好ましい。
【0041】尚、中空糸膜を疎水性膜やポアサイズ(膜
孔径)の大きなものとした場合、ドライ状態では空気の
透過性が大きく、滅菌袋開封時の透析液側流路内の陰圧
が維持できず、血液側流路内との差圧がなくなるため本
発明による効果が十分得られない虞があるが、中空糸膜
の製造過程である紡糸から洗浄・巻き取りまでの工程に
おいて、ポア(膜孔)内をグリセリン等の湿潤剤で満た
すようにして、空気透過性を調整することができる。
【0042】
【実施例】以下、図3の実験値に基づき、本発明を実施
例により更に具体的に説明する。実施例は本発明を例示
的に示すものであり、本発明を制限するものではない。
【0043】セルロースアセテート製の中空糸膜を有す
る膜面積1.5mの中空糸型血液浄化器において、血
液の導入口および導出口に通気性の高いPP製の蓋を装
着するとともに、透析液の導入口および導出口に通気性
がないシリコン製の蓋を半装着した。
【0044】そして、PEとNYのラミネート滅菌袋に
上記中空糸型血液浄化器を入れ、設定圧を740mmH
g以下として真空包装を行ったところ、半装着状態であ
ったシリコン製の蓋は、所定の位置まで押し込まれてい
た。この後、γ線滅菌を行って、これを実施例とした。
【0045】一方、実施例と同様、血液の導入口および
導出口に通気性の高いPP性の蓋を装着した後、透析液
の導入口および導出口には蓋を装着しないで、滅菌袋内
を常圧で窒素置換したものとし、これを実施例と同様、
γ線滅菌したものを比較例とした。
【0046】(1)透析液流路の真空度調査 実施例と比較例の透析液側流路内の圧力をマノメータで
測定したところ、実施例は3サンプルの平均値で−70
0〜750mmHgであるのに対し、比較例は3サンプ
ルの平均値が大気圧であった。
【0047】これにより、実施例においては透析液側流
路が陰圧になっていることが確認された。中空糸膜の劣
化防止のため、陰圧は真空に近いほどよいが、負圧発生
器等の機械能力、作業時間等の作業性を考慮すると−7
00mmHg、好ましくは−740mmHg以下がよ
い。
【0048】(2)プライミング時のエア抜け調査 毎分100mLで脱気水を血液側流路に流し、エア抜き
に使用した水量を測定したところ、実施例は3サンプル
の平均値で265mLであるのに対し、比較例は3サン
プルの平均値で440mLであった。これにより、実施
例のプライミングに要した脱気水の量は、明らかに比較
例より少なく、エア抜けの改善が認められた。
【0049】(3)残血調査 実施例及び比較例により同一の牛の血液を、QB=200[mL/
min]、QD=500[mL/min]、QF=600[mL/hr]で4時間再循環
させ、生理食塩水で血液を回収した後、各中空糸型血液
浄化器において、残血が認められる中空糸膜の本数を比
較したところ、実施例は2サンプルの平均値で1〜2本
であるのに対し、比較例は2サンプルの平均で約100
本であり、明らかに実施例の残血した中空糸膜の本数は
少なかった。
【0050】(4)プライミング後の落差リーク調査 生理食塩水を使用した血液側流路のプライミング完了
後、血液導入口側の回路をクランプした状態で、血液導
出口側回路の先端を中空糸型血液浄化器より1m下方に
位置させて1mHOの陰圧が加わるように設定して、
使用直前のリークテストを行ったところ、実施例は50
サンプル中ヘッダ内に気泡が発生するリーク品はなかっ
たのに対し、比較例は50サンプルのうちヘッダ内に気
泡が発生したものが10本あった。この10本の透析側
流路及び血液側流路に水を充填し、血液側流路に空気圧
をかけて水没試験したところ、中空糸膜のリークは全品
認められなかった。これにより、実施例では正常品をリ
ークと誤認することがなかったことが認められる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、真空包装後、滅菌を施
すことにより滅菌効果を長期間持続させるとともに、真
空包装による陰圧で潰れた中空糸膜の形状を、滅菌用包
装袋の開封時、自然に回復させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中空糸型血液浄化器を示す一部断
面図
【図2】(a)本発明に係る中空糸型血液浄化器の密閉
型蓋を示す正面図及び側面図、(b)(a)中X−X線
断面図
【図3】本発明に係る中空糸型血液浄化器の通気型蓋を
示す正面図、上面図、及び下面図
【図4】(a)本発明に係る中空糸型血液浄化器を真空
包装している最中の空気の流れ、及び密閉型蓋の位置を
示す説明図、(b)本発明に係る中空糸型血液浄化器を
真空包装した後の密閉型蓋の位置を示す説明図、(c)
(b)中Y部拡大模式図
【図5】従来の中空糸型血液浄化器を示す模式断面図
【符号の説明】
1…筒状ケーシング 2…中空糸膜 2a…血液側流路 2b…透析液側流路 3…ヘッダ 4…血液導入口 5…血液導出口 6…透析液導出口 7…透析液導入口 8…密閉型蓋 8a、9a…蓋部 8b…ボス部 8ba、9ba…リブ 8bb…リブ切欠き部 9…通気型蓋 9b…円筒状部 10…滅菌用包装袋 11…封止部 12…Oリング 13…中空糸型血液浄化器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筒状ケーシング内に複数本の中空糸膜を装
    填することによって、各中空糸膜の内胞で形成される血
    液側流路と、中空糸膜の外周面と筒状ケーシングの内面
    との間及び隣接する各中空糸膜間で形成される透析液側
    流路とを有し、滅菌用包装袋に真空包装される中空糸型
    血液浄化器において、 前記滅菌用包装袋の開封時、前記血液側流路内が外圧と
    略等しくなるとともに、前記透析液側流路内が陰圧を保
    持することを特徴とする中空糸型血液浄化器。
  2. 【請求項2】前記血液側流路に血液を流入する血液導入
    口、及び当該血液側流路の血液を吐出する血液導出口に
    は、外部との通気が可能な通気型蓋が装着されるととも
    に、 前記透析液側流路に透析液を流入する透析液導入口、及
    び当該透析液側流路の透析液を吐出する透析液導出口に
    は、透析液側流路を密閉し外部との通気がない密閉型蓋
    が装着されることを特徴とする請求項1記載の中空糸型
    血液浄化器。
  3. 【請求項3】前記血液導入口及び血液導出口に前記通気
    型蓋を装着するとともに、前記透析液導入口及び透析液
    導出口に密閉型蓋を半装着させた状態で中空糸型血液浄
    化器を前記滅菌用包装袋に挿入した後、当該滅菌用包装
    袋内の空気を抜いて真空包装することにより、半装着状
    態の前記密閉型蓋を装着状態とすることを特徴とする請
    求項2記載の中空糸型血液浄化器の包装方法。
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