JP2001148257A - 電池用電解液および非水電解液二次電池 - Google Patents

電池用電解液および非水電解液二次電池

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JP2001148257A JP33150399A JP33150399A JP2001148257A JP 2001148257 A JP2001148257 A JP 2001148257A JP 33150399 A JP33150399 A JP 33150399A JP 33150399 A JP33150399 A JP 33150399A JP 2001148257 A JP2001148257 A JP 2001148257A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】負極にリチウムもしくはリチウム合金を用いて
も充放電電流密度に依存することなくサイクル特性の良
好な電池特性を達成できる電池用電解液、および、非水
電解液二次電池を提供すること。 【解決手段】本発明の電池用電解液は、リチウムイオン
の吸蔵および放出が可能な正極とリチウムもしくはリチ
ウム合金からなる負極とを用いた非水電解液電池用の有
機溶媒に有機支持塩を溶解させてなる電池用電解液であ
って、有機溶媒は、トリアゾール類を含有することを特
徴とする。つまり、トリアゾール類が負極表面に安定な
被膜を形成し、負極上の電流の集中や、電解液とリチウ
ムとの副反応を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の電解液に用
いることのできる電池用電解液、および電気自動車や携
帯用電子機器のバッテリーとして用いることのできる非
水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】エネルギー問題及び環境問題を背景に、
電力をより有効に活用する技術が求められている。その
ためには、多量の電気を蓄え、かつ効率的にその蓄えた
電気を取り出すことができる電気貯蔵手段が必要であ
る。こうした電気の貯蔵手段としては、大きな放電容量
と高い放電電圧をもち、かつ繰り返し充放電を行うこと
ができる二次電池が最適である。
【0003】このような二次電池として、充電時にはリ
チウムイオンが正極から放出されて負極に吸蔵される充
電反応が生じ、放電時には負極から放出されて正極に吸
蔵される放電反応が生じるリチウム二次電池がある。リ
チウム二次電池では、そのエネルギー密度および出力密
度がいずれも高く、大きな放電容量と高い放電電圧とが
得られる。また特に、リチウムもしくはリチウム合金に
よって負極を構成したリチウムイオン二次電池は、高容
量であるので、実用的に優れているとして携帯用電子機
器や電気自動車などのバッテリーなどへの利用が期待さ
れている。
【0004】しかしながら、リチウムもしくはリチウム
合金によって負極を構成したリチウムイオン二次電池
は、充放電の際に、負極にデンドライト状のリチウムが
生成するという不都合がある。このデンドライトの生成
によって、リチウムが滑落し、電気的に不活性なリチウ
ムを生成する。また、負極と電解液間の接触面積が増大
し、電解液とリチウムと間でリチウムを消費する副反応
が生じやすくなる。したがって、リチウムもしくはリチ
ウム合金によって負極を構成したリチウムイオン二次電
池は、サイクル特性に劣っていた。
【0005】近年、サイクル特性に優れたリチウムイオ
ン二次電池とする目的で、有機溶媒に有機支持塩を溶解
させてなる電解液が用いられている。このような非水電
解液二次電池の電解液に用いる有機支持塩には、パーフ
ルオロアルキルスルホン酸誘導体のリチウム塩(LiS
2CF3、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF
33)などがある。パーフルオロアルキルスルホン酸誘
導体のリチウム塩などの有機支持塩は、熱的および電気
的に安定である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機リ
チウム塩は、支持塩に用いると、低充放電電流密度では
サイクル特性が向上するものの、急速充電時のように充
放電時の電流密度を上昇させた場合のサイクル特性がそ
れほど良好ではないという不都合がある。
【0007】したがって、本発明では、負極にリチウム
もしくはリチウム合金を用いても充放電電流密度に依存
することなくサイクル特性の良好な電池特性を達成でき
る電池用電解液を提供することを解決すべき課題とす
る。
【0008】また、負極にリチウムもしくはリチウム合
金を用いても充放電電流密度に依存することなくサイク
ル特性の良好な電池特性をもつ非水電解液二次電池を提
供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する目的
で本発明者らは鋭意研究を行った結果、有機溶媒に、ト
リアゾール類を含有させることにより、負極にリチウム
もしくはリチウム合金を用いても充放電電流密度に依存
することなくサイクル特性の良好な電池特性を達成でき
る電池用電解液となることを発見し、以下の発明をし
た。
【0010】すなわち、上記課題を解決する本発明の電
池用電解液は、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能
な正極とリチウムもしくはリチウム合金からなる負極と
を用いた非水電解液電池用の有機溶媒に有機支持塩を溶
解させてなる電池用電解液であって、有機溶媒は、トリ
アゾール類を含有することを特徴とする。
【0011】つまり、トリアゾール類が負極表面に安定
な被膜を形成し、負極上の電流の集中や、電解液とリチ
ウムとの副反応を抑制する。そのために、最終的に非水
電解液電池に本発明の電池用電解液を用いた場合に、サ
イクル特性の充放電電流密度依存性が低減される。これ
は、トリアゾール類がトリフルオロスルホン酸誘導体等
の有機支持塩より分子の大きさが小さく、また、リチウ
ムもしくはリチウム合金表面への親和性も高いことから
負極表面に緻密で均一な被膜が形成されるので、負極表
面の電流集中や、デンドライトの生成が抑制されるため
であると考えられる。
【0012】さらに、前記有機支持塩は、LiN(SO
2X2x+1)(SO2y2y+1):(x、yは各々1〜
4の整数を表す。ただし、x+yは3〜8の範囲であ
る。)で表される有機リチウム塩から選ばれる少なくと
も1種以上の化合物を含む物質であることが好ましい。
これらのリチウム塩は、有機リチウム塩のうちでも高い
導電性を有し、熱的および電気化学的安定性が高いの
で、支持塩として用いると、より高性能な電池が得られ
るからである。
【0013】また、前記トリアゾール類は、1,2,3
−ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3
−アミノ−1,2,4−トリアゾールから選ばれる少な
くとも1種以上の化合物であることが好ましい。
【0014】そして、さらに、これらの前記トリアゾー
ル類を有機溶媒中に添加する濃度は、5〜50mmol
/dm3であることが好ましい。添加濃度が5mmol
/dm3未満では、添加濃度が少ないために、負極の表
面に均一な吸着被膜が形成されず、保護被膜としての充
分な効果が得られない。逆に、添加濃度が50mmol
/dm3よりも多いと、負極の表面に過剰な吸着層が形
成され、負極と電解液との間の界面抵抗が高くなるばり
でなく、不必要な副反応も発生し、充放電効率が低下し
てしまうからである。より好ましい添加濃度としては、
トリアゾール類が均一に負極の表面に吸着をするために
必要充分な量である10〜30mmol/dm3の濃度
範囲である。
【0015】したがって、本発明の電池用電解液によれ
ば、負極にリチウムもしくはリチウム合金を用いても充
放電電流密度に依存することなくサイクル特性の良好な
電池特性を達成できる電池を得ることができるようにな
る。
【0016】また、前記課題を解決する本発明の非水電
解液二次電池は、リチウムイオンの放出および吸蔵が可
能な正極と、リチウムもしくはリチウム合金からなる負
極と、その正極およびその負極の間に介在し有機溶媒に
有機支持塩を溶解させてなる電解液とを備える非水電解
液二次電池であって、その電解液は、上述した本発明の
電池用電解液を用いていることを特徴とする。
【0017】本発明の非水電解液二次電池では、使用さ
れる電解液が負極の表面に安定な保護被膜を形成するの
で、負極にリチウムもしくはリチウム合金を用いても充
放電電流密度に依存することなくサイクル特性などの電
池性能に極めて優れる。
【0018】したがって、本発明の非水電解液二次電池
によれば、携帯用電子機器や自動車などを高機能で駆動
させることができるようになる上、長期にわたって繰り
返し使用できるようになるなど電池性能が極めて高いも
のとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】(電池用電解液)本発明の電池用
電解液は、用いられる電池の種類で特に限定されるもの
ではなく、公知の種類の電池に用いることができる。ま
た、その電池は一次電池であっても二次電池であっても
よい。
【0020】本実施形態の電池用電解液は、リチウムイ
オンの吸蔵および放出が可能な正極とリチウムもしくは
リチウム合金からなる負極とを用いた非水電解液電池用
の有機溶媒に有機支持塩を溶解させてなる電池用電解液
であって、その有機溶媒に、トリアゾール類を含有す
る。
【0021】本発明に用いられる有機支持塩は、有機リ
チウム塩であり、LiN(SO2 X2x+1)(SO2
y 2X+1)で表される化合物を用いることが好まし
い。ここで、xおよびyは1〜4の整数を表し、また、
x+yは3〜8である。
【0022】具体的には、LiN(SO2CF3 )(S
2 2 5 )、LiN(SO2 CF3 )(SO2 3
7 )、LiN(SO2 CF3 )(SO2 4 9 )、
LiN(SO2 2 5 )(SO22 5 )、LiN
(SO2 2 5 )(SO23 7 )、LiN(SO
2 2 5 )(SO2 4 9 )等があげられる。なか
でも、LiN(SO2 CF3)(SO2 4 9 )、L
iN(SO2 2 5)(SO2 2 5 )を有機支持
質に使用すると、電気特性に優れるので好ましい。ま
た、有機リチウム塩は、4V以上の高電位で、正極集電
体であるアルミニウムを破壊する場合があるので、これ
を抑制するための添加剤として、LiPF 6 などの無機
支持塩を支持塩として添加してもよい。
【0023】上記有機支持塩は、その本電池用電解液中
の濃度が、0.1〜3.0mol/dm3、特に0.5
〜2.0mol/dm3となるように有機溶媒に溶解す
ることが好ましい。電解液中の濃度が0.1mol/d
3より小さいと充分な電流密度が得られないことがあ
り、3.0mol/dm3より大きいと粘度を増加さ
せ、電解液の導電性が低下する恐れがあるからである。
【0024】また、上記有機支持塩を溶解する有機溶媒
としては、非水電解液電池の電解液に用いることができ
る有機溶媒であれば特に限定されない。たとえば、カー
ボネイト化合物、ラクトン化合物、エーテル化合物、ス
ルホラン化合物、ジオキソラン化合物、ケトン化合物、
ニトリル化合物、ハロゲン化炭化水素化合物等が挙げら
れる。具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカー
ボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコー
ルジメチルカーボネート、プロピレングリコールジメチ
ルカーボネート、エチレングリコールジエチルカーボネ
ート、ビニレンカーボネート等のカーボネート類、γ−
ブチルラクトン等のラクトン類、ジメトキシエタン、テ
トラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テ
トラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル
類、スルホラン、3−メチルスルホラン等のスルホラン
類、1.3−ジオキソラン等のジオキソラン類、4−メ
チル−2−ペンタノン等のケトン類、アセトニトリル、
ピロピオニトリル、パレロニトリル、ベンソニトリル等
のニトリル類、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化
炭化水素類、その他のメチルフォルメート、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、ま
た、これらの複数の混合物であっても良い。これらの有
機溶媒のうち、特に、カーボネート類、エーテル類から
なる群より選ばれた一種以上の非水溶媒を用いることに
より、支持塩の溶解性、誘電率および粘度において優
れ、リチウム充放電効率も高いので、好ましい。
【0025】トリアゾール類は、トリアゾール骨格を有
する化合物で、トリアゾールおよびトリアゾール誘導体
のうちから選ばれる少なくとも1種以上の化合物(の混
合物)である。そのなかでも、好ましいトリアゾール類
としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,2,
4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾ
ールから選ばれる少なくとも1種以上の化合物(の混合
物)が挙げられる。
【0026】トリアゾール類の有機溶媒への添加濃度
は、5〜50mmol/dm3の濃度範囲で添加するこ
とが効果的である。これより少ないと本発明の効果が低
下し、また、これより多いと電解液本来の機能を阻害す
る場合があるからである。より好ましい添加濃度として
は、10〜30mmol/dm3添加させる。
【0027】以上のように、本実施形態の電池用電解液
によると、負極にリチウムもしくはリチウム合金を用い
ても充放電電流密度に依存することなくサイクル特性の
良好な電池特性を達成できるという効果を有する。 (非水電解液二次電池)本発明の非水電解液二次電池
は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒
型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。
【0028】本実施形態では、とりあえず、図1に示す
ようなコイン型の非水電解液二次電池に基づいて説明を
行う。本実施形態の非水電解液二次電池は、ガスケット
7を介して接合された正極ケース4と負極ケース5との
内部にセパレータ6を介して接合された正極1と負極2
と空隙を満たす電解液3とからなる。正極1と正極ケー
ス4とについて、そして負極2と負極ケース5とについ
ては、それぞれ電気的に接合されている。
【0029】正極1については、リチウムイオンを充電
時には放出し、かつ放電時には吸蔵することができれ
ば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知
の材料構成のものを用いることができる。特に、正極活
物質、導電材および結着材を混合して得られた合剤が集
電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。
【0030】正極活物質には、その活物質の種類で特に
限定されるものではなく、公知の活物質を用いることが
できる。たとえば、TiS2 、TiS3 、MoS3 、F
eS 2 、Li(1-X) MnO2 、Li(1-X) Mn2 4
Li(1-X) CoO2 、Li(1 -X) NiO2 、V2 3
が挙げられる。なお、該正極活物質の例示におけるXは
0〜1の数を示す。
【0031】そのなかでも、LiCoO2や、LiNi
2、LiMn24などのリチウムおよび遷移金属の複
合酸化物は、電子とリチウムイオンの拡散性能に優れる
など活物質の性能に優れる。そのため、このようなリチ
ウムおよび遷移金属の複合酸化物を正極活物質に用いれ
ば、高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得られ
る。特に、LiMn24を用いれば、そのマンガンの資
源が豊富であることから低コスト化を図ることができ
る。
【0032】また、負極2は、電池容量に優れるリチウ
ムもしくはリチウム合金を使用する。
【0033】電解液3には、本発明の電池用電解液と同
じ形態の電解液を使用することができる。
【0034】正極ケース4、および負極ケース5は、特
に限定されるものではなく、公知の材料、形態で作成す
ることができる。
【0035】セパレータ6は、正極1および負極2を電
気的に絶縁し、電解液3を保持する役割を果たすもので
ある。たとえば、ポリエチレン等の微多孔質膜を用いれ
ばよい。なおセパレータ6は、正極1と負極2との絶縁
を担保するため、正極1および負極2よりもさらに大き
いものとするのが好ましい。
【0036】ガスケット7は、ケース4、5の間の電気
的な絶縁と、ケース4、5内の密閉性とを担保するもの
である。たとえば、ポリプロピレン等の電解液にたいし
て、化学的、電気的に安定な高分子等から構成できる。
【0037】上記構成からなる本発明の非水電池の製造
方法について説明する。
【0038】コイン型電池の作製方法の例を以下に述べ
る。正極としては、正極活物質としてのLiMn24
導電材としてのグラファイトと結着材としてのポリフッ
化ビニリデンとを混合して、正極材料とする。この正極
材料を分散材としてのN−メチル−2−ピロリドンに分
散させ、スラリー状とする。このスラリーをアルミニウ
ム製の正極集電体に塗布し、乾燥後、プレス成型して、
電極とする。負極は、リチウム箔を円形に打ち抜き、使
用する。正極と負極とをセパレータとしてのポリエチレ
ン製のフィルムを介し、ケース内に内接し、前述の電池
用電解液を満たした後、ケース4、5を圧接・接合し
て、コイン型電池を作製することができる。
【0039】図2は、本実施形態における円筒型の非水
電解液二次電池の概念図であり、図2aは電池の断面斜
視模式図であり、図2bは電極部分を示す説明模式図を
示す。図2に示す円筒型の非水電解液二次電池について
の製造方法について、さらに、説明する。
【0040】円筒型非水電解液二次電池10は、コイン
型で使用したのと同じ正極と、同等の材料から形成され
た負極集電体にリチウム箔を圧着して形成した負極と
を、シート形状として、両者をセパレータを介して積層
し、渦巻き型に多数回巻き回して巻回体として、所定の
円筒状のケース内に収納したものである。
【0041】すなわち、電極の構成は、図2bに示すよ
うに負極集電体12上に圧着形成されたリチウム箔11
と、正極集電体14に形成された正極合剤13とが合剤
面が相対するように配置され、その間にセパレータ16
と電解液15が介在して巻き回して巻回体とし絶縁板を
介して図2aに示す電池缶の中に収納されて構成され
る。
【0042】この巻回体の負極集電体12端部には負極
リード12’が溶接され端部にニッケル製の負極端子1
8が電流遮断用薄板22を介してを介してケース21に
溶接される。一方、正極集電体14に溶接された正極リ
ード14’には端部にアルミニウム製の正極端子17が
取り付けられ、電流遮断用薄板22を介して電池蓋とし
て固定される。その結果、ケース21の底部が負極端子
部18となり、ケースの蓋部分が正極の端子部17とな
る。ケース21に収納された巻回体には、上記の非水電
解液15が注入されガスケット23で密封され安全蓋2
4を配備され、大きさが直径18mm、高さ65mmの円筒
型非水電解液二次電池が形成できる。
【0043】なお、円筒型電池の作製方法は、上述と同
様の方法で、正極、負極、電解液を作製し、厚さ25μ
mの微孔ポリエチレン製フィルムをセパレータとし、前
述の正極および負極を順々積層してから渦巻き型に多数
回巻回すことにより巻回体を形成する。次に電池缶の底
部に絶縁体を挿入し、上記巻回体を収納した。そして、
負極、正極の端子を電池缶の底および蓋に接続させ上述
の非水電解液を、上述のようにして作製した電池缶に注
入し、密封することで円筒型非水電解液二次電池を作製
できる。
【0044】以上のように、本実施形態の非水電解液二
次電池によると、負極にリチウムもしくはリチウム合金
を用いても充放電電流密度に依存することなくサイクル
特性の良好な電池特性をもつという効果を有する。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。しかしながら、本発明は下記の実施例に限定さ
れるものではない。
【0046】(実施例1)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとテトラヒドロピランの等体積混合溶媒に、
有機支持塩としてのLiN(SO2252を0.9m
ol/dm3の濃度に溶解させ、さらに、LiPF6
0.1mol/dm3の濃度に溶解させた。そして、ト
リアゾール類としての1,2,3−ベンゾトリアゾール
を10mmol/dm3 の濃度となるように、溶解させ
たものを非水電解液として、以下の方法でリチウム充放
電効率測定用セルを作製した。
【0047】〈リチウム充放電効率測定用セルの作製方
法〉リチウム充放電効率測定には、図3のコイン型セル
を使用する。作用極60には、厚さ100μmのリチウ
ム箔を直径15mmに打ち抜いて使用し、対極50に
は、厚さ400μmのリチウム箔を直径15mmに打ち
抜いて使用した。これらリチウム箔をケースに圧着し、
厚さ40μmのポリエチレン製のフィルム70を介し、
非水電解液を含有させてリチウム充放電効率測定用セル
とした。
【0048】(実施例2)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとテトラヒドロピランの等体積混合溶媒に、
有機支持塩としてのLiN(SO2252を0.9m
ol/dm3の濃度に溶解させ、さらに、LiPF6
0.1mol/dm3の濃度で溶解させる。そして、ト
リアゾール類としての1,2,3−ベンゾトリアゾール
を30mmol/dm3 の濃度に溶解させたものを非水
電解液として、実施例1と同様の作成方法で図3に示す
リチウム充放電効率測定用セルを作製した。
【0049】(実施例3)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとテトラヒドロピランの等体積混合溶媒に、
有機支持塩としてのLiN(SO2252を0.9m
ol/dm3の濃度に溶解させ、さらに、LiPF6
0.1mol/dm3の濃度で溶解させる。そして、ト
リアゾール類としての1,2,3−ベンゾトリアゾール
を50mmol/dm3 の濃度に溶解させたものを非水
電解液として、実施例1と同様の作成方法で図3に示す
リチウム充放電効率測定用セルを作製した。
【0050】(実施例4)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとテトラヒドロピランの等体積混合溶媒に、
有機支持塩としてのLiN(SO2252を0.9m
ol/dm3の濃度に溶解させ、さらに、LiPF6
0.1mol/dm3の濃度で溶解させる。そして、ト
リアゾール類としての1,2,4−トリアゾールを30
mmol/dm3 の濃度に溶解させたものを非水電解液
として、実施例1と同様の作成方法で図3に示すリチウ
ム充放電効率測定用セルを作製した。
【0051】(実施例5)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとテトラヒドロピランの等体積混合溶媒に、
有機支持塩としてのLiN(SO2252を0.9m
ol/dm3の濃度に溶解させ、さらに、LiPF6
0.1mol/dm3の濃度で溶解させる。そして、ト
リアゾール類としての3−アミノ−1,2,4−トリア
ゾールを30mmol/dm3 の濃度に溶解させたもの
を非水電解液として、実施例1と同様の作成方法で図3
に示すリチウム充放電効率測定用セルを作製した。
【0052】(比較例1)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとテトラヒドロピランの等体積混合溶媒に、
有機支持塩としてのLiN(SO2252を0.9m
ol/dm3の濃度に溶解させ、さらに、LiPF6
0.1mol/dm3の濃度で溶解させたものを非水電
解液として、実施例1と同様の作成方法で図3に示すリ
チウム充放電効率測定用セルを作製した。
【0053】(比較例2)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとテトラヒドロピランの等体積混合溶媒に、
有機支持塩としてのLiN(SO2252を0.9m
ol/dm3の濃度に溶解させ、さらに、LiPF6
0.1mol/dm3の濃度で溶解させる。そして、ト
リアゾール類としての1,2,3−ベンゾトリアゾール
を3mmol/dm3 の濃度に溶解させたものを非水電
解液として、実施例1と同様の作成方法で図3に示すリ
チウム充放電効率測定用セルを作製した。
【0054】(比較例3)有機溶媒としてのエチレンカ
ーボネートとテトラヒドロピランの等体積混合溶媒に、
有機支持塩としてのLiN(SO2252を0.9m
ol/dm3の濃度に溶解させ、さらに、LiPF6
0.1mol/dm3の濃度で溶解させる。そして、ト
リアゾール類としての1,2,3−ベンゾトリアゾール
を100mmol/dm3 の濃度に溶解させたものを非
水電解液として、実施例1と同様の作成方法で図3に示
すリチウム充放電効率測定用セルを作製した。
【0055】(リチウム充放電効率測定試験)作用極か
ら0.6mA/cm2の定電流密度で、電荷量7.5C
/cm2 のリチウムを溶出(放電)させた。次に、対極
から作用極に対して、定電流密度で、電荷量7.5C/
cm2 のリチウムを析出(充電)させた。電流密度は
0.2mA/cm2、0.3mA/cm2、0.6mA/
cm2の3水準で測定した。この充放電を20サイクル
繰り返した後に、0.6mA/cm2の定電流密度で、
終止電圧を1Vとして、作用極上に残った電気化学的に
活性なリチウム容量を測定した。その結果から次式を用
いてリチウム充放電効率を測定した。
【0056】リチウム充放電効率(%)=100×(1
−1/FOM) FOM=(充放電を繰り返した場合の充電容量の総和)
/{(充填したリチウム容量)−(残った電気化学的に
活性なリチウム容量)} (結果)実施例1〜5、比較例1〜3のリチウム充放電
効率測定結果を表1にまとめる。
【0057】
【表1】
【0058】比較例1では、添加剤を含有していないた
めに、充放電電流密度が増加するにつれ、リチウム充放
電効率が低下した。また、比較例3では、3mmol/
dm 3 の1,2,3−ベンゾトリアゾールを添加してい
るものの添加量が少ないために被膜形成が充分でなく、
比較例1と同様に、リチウム充放電効率の低下の防止効
果は充分でなかった。
【0059】これに対し、1,2,3−ベンゾトリアゾ
ールを10〜50mmol/dm3添加した実施例1〜
3では、トリアゾール類の効果が発現され、比較例1よ
りもリチウム充放電効率が高く、充電電流密度が増加し
ても、リチウム充放電効率の低下が少なかった。
【0060】しかしながら、100mmol/dm3
1,2,3−ベンゾトリアゾールを添加した比較例3で
は、リチウム充放電効率の低下を防止する効果は充分で
なかった。この原因は、添加量が過剰であるために負極
表面で副反応が発生して、リチウムが消費されてしまう
ためと推定される。
【0061】以上の結果より、リチウム充放電効率を向
上させ、かつ、充電電流密度依存性を低減するための添
加剤の添加量は、5〜50mmol/dm3 が適当であ
るといえる。
【0062】また、実施例4、5では、添加剤として、
1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2−4−
トリアゾールをそれぞれ30mmol/dm3 添加し
た。同添加濃度の実施例2と同様に、比較例1よりも充
放電効率が高く、充電電流密度が増加しても、リチウム
充放電効率の低下が少なかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の非水電解液二次電池を概略的に示
す電池の縦断面図である。
【図2】本実施形態の非水電解液二次電池の概略を示す
円筒型電池の説明図であり、2aは筒型電池の断面斜視
図であり、2bは電極部分を説明する説明模式図であ
る。
【図3】本実施例の充放電効率試験に用いたセルの縦断
面図である。
【符号の説明】
1:正極 2:負極 3:非水電解液 4:正極
ケース 5:負極ケース 6:セパレータ 7:
ガスケット 10:円筒型電池 11:リチウム箔 12:負極
集電体 12’:負極リード 13:正極合剤
14:正極集電体 14’:正極リード 15:電解液 16:セパレータ 17:正極端子
18:負極端子部 50:対極 60:作用極 70:ポリエチレン製
フィルム(セパレータ)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムイオンの吸蔵および放出が可能
    な正極とリチウムもしくはリチウム合金からなる負極と
    を用いた非水電解液電池用の有機溶媒に有機支持塩を溶
    解させてなる電池用電解液であって、 前記有機溶媒は、トリアゾール類を含有することを特徴
    とする電池用電解液。
  2. 【請求項2】 前記有機支持塩は、LiN(SO2X
    2x+1)(SO2y2y +1):(x、yは各々1〜4の整
    数を表す。ただし、x+yは3〜8の範囲である。)で
    表される有機リチウム塩から選ばれる少なくとも1種以
    上の化合物を含む請求項1に記載の電池用電解液。
  3. 【請求項3】 前記トリアゾール類は、1,2,3−ベ
    ンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−ア
    ミノ−1,2,4−トリアゾールから選ばれる少なくと
    も1種以上の化合物を含む請求項1に記載の電池用電解
    液。
  4. 【請求項4】 前記有機溶媒には、前記トリアゾール類
    が5〜50mmol/dm3添加されている請求項1に
    記載の電池用電解液
  5. 【請求項5】 リチウムイオンの放出および吸蔵が可能
    な正極と、リチウムもしくはリチウム合金からなる負極
    と、該正極および該負極の間に介在し有機溶媒に有機支
    持塩を溶解させてなる電解液とを備える非水電解液二次
    電池であって、 前記電解液は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の電
    池用電解液であることを特徴とする非水電解液二次電
    池。
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