JP3606778B2 - リチウムイオン二次電池の特性調整方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車や携帯用電子機器のバッテリーとして用いることのできるリチウムイオン二次電池の特性調整方法、たとえば、出荷前調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー問題及び環境問題を背景に、電力をより有効に活用する技術が求められている。そのためには、多量の電気を蓄え、かつ効率的にその蓄えた電気を取り出すことができる電気貯蔵手段が必要である。こうした電気の貯蔵手段としては、大きな放電容量と高い放電電圧をもち、かつ繰り返し充放電を行うことができる二次電池が最適である。
【0003】
このような二次電池として、充電時にはリチウムイオンが正極から放出されて負極に吸蔵される充電反応が生じ、放電時には負極から放出されて正極に吸蔵される放電反応が生じるリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池では、そのエネルギー密度および出力密度がいずれも高く、大きな放電容量と高い放電電圧とが得られる。また特に、リチウム−金属複合酸化物を正極活物質として正極を構成したリチウムイオン二次電池は、高容量であるので、実用的に優れているとして携帯用電子機器や電気自動車などのバッテリーなどへの利用が期待されている。
【0004】
このリチウムイオン二次電池の製造は、ケース内に正極、負極、セパレータをケース内に組み入れた後、電解液を注入、封口して行う。この段階では、電池として化成されていない。また、リチウムイオン二次電池は、最初の1、2サイクルの充放電時に負極で不可逆の反応が起きること、2サイクル目以降も充放電に伴い電池材料の状態が変化し容量特性や内部抵抗が変化することが知られており、電池容量等の電池特性が安定しない。したがって、一般的には、電池を製造後に、数サイクル以上の充放電を繰り返して電池特性を調整した後、電池特性の検査や出荷を行っている。しかし、電池製造において全数の電池の充放電および検査を行った場合、多大な設備費と工数を要することになる。
【0005】
従来、その解決策として、充電時間を短縮する試みがなされていた。たとえば、特開平10−321262号公報は、充電末期に充電時の電流を段階的に変化させることにより、また、特許第2793104号公報は、充電時の電流をパルス的に流す方法により、充電時間の短縮が図られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では、リチウムイオン二次電池に充電する時間の短縮はできるものの、電池の特性を安定化するためには依然として数サイクルの充放電を行う必要があるので、大幅な時間の短縮は期待できない。
【0007】
したがって、本発明では、リチウムイオン二次電池の電池特性を短時間で安定化させる方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意研究を行った結果、正極活物質として用いるリチウム−金属複合酸化物について結晶構造を安定化させることにより電池特性も安定化することを発見した。そして、リチウム−金属複合酸化物の結晶構造は、リチウムイオンの吸放出にともなう結晶構造の変化を繰り返すことによって安定化することを発見した。本発明者らは、以上の知見に基づいて以下の発明を行った。
【0009】
すなわち、上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出可能なリチウム−金属複合酸化物をもつ正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極とを有するリチウムイオン二次電池に複数回の充放電を行うことによりその特性を調整する方法において、前記充放電は、前記リチウムイオン二次電池の定格容量を100%としたときに、充電および放電を行う電気量がそれぞれ1回あたり20%以下であって、その充放電時に前記リチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化することを特徴とする。
【0010】
つまり、本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法は、電池特性を安定化させるメカニズムの発見に基づいて、リチウムイオン二次電池に適正な操作を行うことによって、極短時間で電池特性の安定化を図るものである。すなわち、リチウムイオン二次電池に対して、正極活物質として用いたリチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化する範囲で集中して充放電を行うことにより結晶構造を安定化させ、電池特性の安定化を達成できるのである。したがって、電池の特性調整のための前述の充放電時には、正極活物質に用いたリチウム−金属複合酸化物の結晶構造が少なくとも1回は変化する必要がある。
【0011】
たとえば、文献(W.Li et al. Solid State Ionics、67、123(1993);T.Ohzuku et al. J.Electrochem.Soc.、140、No.7、1862(1993);H.Arai et al. Solid State Ionics、80、261(1995))によると、リチウム−ニケッル複合酸化物(Li(1−x)NiO2:xは0〜1の範囲)では、図6に示すように、電池の充放電にともなうリチウム含有量が変化(xの値が0〜1に変化)するにしたがってその結晶構造が六方晶(H1)、単斜晶、そして六方晶(H2,H3)へと変化する。充放電は、この結晶構造が変化する部分を含む範囲で行われる必要がある。
【0012】
本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法を用いれば、短時間の充放電で電池を安定化することができ、充放電設備費の低減が可能となる。
【0013】
前述のリチウム−金属複合酸化物が、リチウムニッケル酸化物を含む場合には、前述の充放電の時に正極電位の変化する範囲が、金属リチウムの電位に対して3.7V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有することが好ましい。
【0014】
ここで正極電位の変化する範囲が3.7V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有するとは、以下の意味である。すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法における複数回行われる充放電の時にリチウムイオンの吸放出にともない正極の電位が変化する。その正極電位の変化する範囲が、3.7V〜3.9Vの範囲と一部分でも重なる部分を有するという意味である。これは、以下の電池電圧の範囲についても同様である。
【0015】
リチウムニッケル酸化物の結晶構造の変化は、リチウムイオン二次電池に用いる場合に正極電位が金属リチウムに対して+3.7V〜3.9Vの範囲であるので、充放電をこの範囲で行うこととしたのである。ただし、充放電時の正極電位の変化範囲は、電池に用いた正極活物質としてのリチウムニッケル酸化物について実際に結晶構造が変化する電位を含む必要がある。
【0016】
さらに、同じく前述のリチウム−金属複合酸化物が、リチウムニッケル酸化物を含み、負極に炭素系材料が用いられている場合は、前述の充放電の時にリチウムイオン二次電池の電池電圧の変化する範囲が、0.3V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有することが好ましい。
【0017】
リチウムニッケル酸化物の結晶構造の変化は、負極に炭素系材料を用いたリチウムイオン二次電池に用いる場合に電池電圧が0.3V〜3.9Vの範囲であるので、充放電をこの範囲で行うこととしたのである。
【0018】
そして、さらに同じく前述のリチウム−金属複合酸化物が、リチウムニッケル酸化物を含む場合は、リチウムイオン二次電池に対して、前述の充放電の前に定格容量の1/10〜1/2の電気量を充電することが好ましい。
【0019】
定格容量の1/10〜1/2の電気量を充電することによって、おおむね正極活物質のリチウムニッケル酸化物の構造変化が生起する前後のリチウム含量となるからである。
【0020】
また、前述の充放電は、180秒以内の充電、180秒以内の休止、180秒以内の放電、180秒以内の休止を行うことであって、その充放電の回数は、少なくとも5回であることが好ましい。充電時間、放電時間、休止時間をこれより長くしても電池の特性を調整する効果はそれ以上向上せず、かえって電池の特性安定化に長時間を要することとなるからである。
【0021】
そして、前述の充放電により行う総充電容量または総放電容量が、リチウムイオン二次電池の定格容量の1/18以上であることが好ましい。これより少ないと充分な効果が得られないからである。
【0022】
そしてまた、前述の充放電を行う時の電流値は、0.2C〜8Cであることが好ましい。
【0023】
電流値は、充放電設備の費用、電池の過電圧を考慮すると8C以下が好ましい。一方、充放電の電流が0.2Cを下回ると、充分な効果を得るためには、長時間を要するため0.2C以上が好ましい。なお、ここで「C」とは、放電率を表し、電池を定電流で放電したときに5時間で下限電圧まで放電しきる電流値が0.2Cとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態により限定されるものではない。また、図は模式図であり、寸法・形態等は正確なものではない。
【0025】
本実施形態のリチウムイオン二次電池の特性調整方法は、リチウムイオン二次電池に対して充放電を複数回繰り返すことによって行う。
【0026】
リチウムイオン二次電池は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出可能なリチウム−金属複合酸化物をもつ正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極とを有するリチウムイオン二次電池である。以下に本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法が適用できるリチウムイオン二次電池を具体例に基づいて説明する。
【0027】
本発明の適用できるリチウムイオン二次電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。本実施形態では、図1に示すような円筒型のリチウムイオン二次電池100に基づいて説明を行う。
【0028】
図1は、本実施形態における円筒型のリチウムイオン二次電池100の断面斜視模式図を示す。本実施形態のリチウムイオン二次電池100は、正極1および負極2をシート形状として両者をセパレータ4を介して積層し渦巻き型に多数回巻き回した巻回体を空隙を満たす電解液3とともに所定の円筒状のケース7内に収納したものである。正極1と正極端子部5とについて、そして負極2と負極端子部6とについては、それぞれ電気的に接合されている。
【0029】
正極1は、リチウムイオンを充電時には放出し、かつ放電時には吸蔵することができるリチウム−金属複合酸化物を正極活物質にもつ。リチウム−金属複合酸化物は、電子とリチウムイオンの拡散性能に優れるなど活物質の性能に優れる。そのため、このようなリチウムおよび遷移金属の複合酸化物を正極活物質に用いれば、高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得られる。さらに正極1は、正極活物質、導電材および結着材を混合して得られた正極合材が集電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。
【0030】
正極活物質には、リチウム−金属複合酸化物であれば特に限定されるものではなく、公知の活物質を用いることができる。たとえば、Li(1−X)NiO2、Li(1−X)MnO2、Li(1−X)Mn2O4、Li(1−X)CoO2や、各々にLi、Al、そしてCr等の遷移金属を添加または置換した材料等が挙げられる。なお、正極活物質としては、1種類の物質を単独で用いる場合に限定されず、複数の物質を混合して用いてもよい。そして、この正極活物質の例示におけるXは0〜1の数を示す。
【0031】
また、負極2については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。特に、負極活物質、導電材および結着剤を混合して得られた負極合材が集電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。負極活物質としては、その活物質の種類で特に限定されるものではなく、公知の負極活物質を用いることができる。中でも、結晶性の高い天然黒鉛や人造黒鉛などの炭素材料は、リチウムイオンの吸蔵性能および拡散性能に優れるなど活物質の性能に優れる。そのため、このような炭素材料を負極活物質に用いれば、高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得られる。さらには、負極2として金属リチウムもしくはリチウム合金を使用することが電池容量の観点からは、より好ましい。
【0032】
電解液3は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。
【0033】
有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート化合物、ラクトン化合物、エーテル化合物、スルホラン化合物、ジオキソラン化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、ハロゲン化炭化水素化合物等を挙げることができる。
【0034】
具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジメチルカーボネート、プロピレングリコールジメチルカーボネート、エチレングリコールジエチルカーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、スルホラン、3−メチルスルホラン等のスルホラン類、1.3−ジオキソラン等のジオキソラン類、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、アセトニトリル、ピロピオニトリル、パレロニトリル、ベンソニトリル等のニトリル類、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、その他のメチルフォルメート、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらを単独で、または、これらから選ばれる複数の有機溶媒を混合した混合物であっても良い。
【0035】
例に挙げたこれらの有機溶媒のうち、特に、カーボネート類、エーテル類からなる群より選ばれた一種以上の非水溶媒を用いることにより、支持塩の溶解性、誘電率および粘度において優れ、電池の充放電効率も高いので、好ましい。
【0036】
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF3)2およびLiN(SO3CF3)3から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0037】
この支持塩により、電池性能をさらに優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においてもさらに高く維持することができる上に、極めて難燃性に優れる。
【0038】
支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、支持塩および有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
【0039】
セパレータ4は、正極1および負極2を電気的に絶縁し、電解液3を保持する役割を果たすものである。たとえば、ポリエチレン等の微多孔質膜を用いればよい。なおセパレータ4は、正極1と負極2との絶縁を担保するため、正極1および負極2よりもさらに大きいものとするのが好ましい。
【0040】
ケース7は、特に限定されるものではなく、公知の材料、形態で作成することができる。
【0041】
ガスケット72は、ケースと端子部5、6の間の電気的な絶縁と、ケース7内の密閉性とを担保するものである。たとえば、電解液にたいして、化学的、電気的に安定であるポリプロピレンのような高分子等から構成できる。
【0042】
上記構成からなるリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
【0043】
以下に上述した円筒型電池の作製方法の例を以下に述べる。正極活物質としてのLiNiO2と導電材としてのアセチレンブラックと結着材としてのポリフッ化ビニリデンとを混合して、正極合材とする。この正極合材を分散材としてのN−メチル−2−ピロリドンに分散させ、スラリー状とする。このスラリーをアルミニウム製の正極集電体11に塗布し、乾燥した後にプレス成型して図2に示すように、正極合材層12を形成し、正極1とする。負極活物質としてのグラファイトを結着材としてのポリフッ化ビニリデンとを混合して、負極合材とする。この負極合材を分散材としてのN−メチル−2−ピロリドンに分散させ、スラリー状とする。このスラリーを正極1と同様に銅製の負極集電体21にに塗布し乾燥後、プレス成型して負極合材層22を形成し、負極2とする。
【0044】
この正極1および負極2を、シート形状として、両者をセパレータ4を介して積層し、渦巻き型に多数回巻き回して巻回体として、所定の円筒状のケース7内に収納したものである。
【0045】
すなわち、電極の構成は、図2に示すように負極集電体21に形成された負極合材22と、正極集電体11に形成された正極合材12とが合材面が相対するように配置され、その間にセパレータ4と電解液3が介在して巻き回して巻回体とし絶縁板を介して図1に示すケース7の中に収納されて構成される。
【0046】
この巻回体の負極集電体21端部には負極リード23が溶接され端部にニッケル製の負極端子部6が電流遮断用薄板71を介してを介してケース7に溶接される。一方、正極集電体11に溶接された正極リード13には端部にアルミニウム製の正極端子部5が取り付けられ、電流遮断用薄板71を介して電池蓋として固定される。その結果、ケース7の底部が負極端子部6となり、ケースの蓋部分が正極端子部5となる。ケース7に収納された巻回体には、上記の電解液3が注入されガスケット72で密封され安全蓋73を配備され、大きさが直径18mm、高さ65mmの円筒型リチウムイオン二次電池100が形成できる。
【0047】
円筒型リチウムイオン二次電池100は、上述と同様の方法で、正極1、負極2、電解液3を作製し、厚さ25μmの微孔ポリエチレン製フィルムをセパレータ4とし、前述の正極1および負極2を順々積層してから渦巻き型に多数回巻回することにより巻回体を形成する。次にケース7の底部に絶縁体71を挿入し、上記巻回体を収納した。そして、負極、正極の端子部6、5をケース7の底および蓋に接続させ上述の電解液3を、上述のようにして作製したケース7内に注入し、密封することで作製できる。
【0048】
充放電は、特性調整の目的で行うものであり、リチウムイオン二次電池の定格容量を100%としたときに、充電および放電を行う電気量がそれぞれ1回あたり20%以下であって、その充放電時に前記リチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化するように行う。さらに好ましくは、充電および放電を行う電気量はそれぞれ1回あたり7%以下である。この充放電の前後に、特性調整の目的で行う以外の充電もしくは放電を行ってもよいことは言うまでもない。本明細書において「充放電」という場合には、特に断りがない限り「特性調整の目的で行う充電および放電」を意味するものとする。この充放電時の充電もしくは放電時の電気量は、できるだけ少ない方が電池特性調整に要する時間が短縮できるので好ましい。しかしながら、その電気量は、最低でも正極活物質として用いたリチウム−金属複合酸化物がその充放電の際に結晶構造の変化を生起する電気量であることが必要である。ここで定格容量とは、電池特性が安定した後に、完全充電した電池から、0.2Cの放電率で放電したときに取り出せる容量をいう。
【0049】
このようにリチウムイオン二次電池に充放電を繰り返すことによって、電池特性の安定化の一因であるリチウム−金属複合酸化物の結晶構造の変化を集中的に繰り返すことで、電池特性の安定化が短時間に達成できる。
【0050】
充放電は、正極活物質としてのリチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化するリチウム含有量を含む範囲で行われる。
【0051】
したがって、充放電を複数回行う前には、リチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化するリチウム含有量程度となるように、リチウムイオン二次電池に充電もしくは放電を行う。その充電量としては、定格容量の1/10〜1/2の電気量であることが好ましい。
【0052】
また、リチウム−金属複合酸化物にリチウム−ニッケル酸化物を用いる場合は、充放電の時に正極電位の変化する範囲が、金属リチウムの電位に対して+3.7V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有するように、充放電前に電池に充電を行うことが好ましい。
【0053】
さらに、同じく前述のリチウム−金属複合酸化物が、リチウムニッケル酸化物を含み、負極に炭素系材料が用いられている場合は、前述の充放電の時にリチウムイオン二次電池の電池電圧の変化する範囲が、0.3V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有するように、充放電前に電池に充電を行うことが好ましい。
【0054】
また、充放電は、180秒以内、より好ましくは60秒以内の充電と、180秒以内、より好ましくは60秒以内の休止と、180秒以内、より好ましくは60秒以内の放電と、180秒以内、より好ましくは60秒以内の休止とを行うことであって、その充放電の回数は、少なくとも5回であることが好ましい。充電時間、放電時間、休止時間がこれより長くても電池の特性調整効果は向上しないからである。
【0055】
そして、充放電の回数は、総充電容量または総放電容量が、リチウムイオン二次電池の定格容量の1/18以上、より好ましくは1/9以上となるようにすることが好ましい。これより少ないと充分な効果が得られないからである。また、この時の充放電の繰り返し回数は、5回以上とすることが好ましい。
【0056】
また、充放電を行う時の電流値は、0.2C〜8C、より好ましくは0.5C〜4Cであることが好ましい。これより多くても少なくても充分な効果が得られないからである。
【0057】
本実施形態の方法を用いれば、短時間の充放電で電池を安定化することができ、充放電設備費等の低減が可能となる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0059】
正極活物質にリチウムニッケル酸化物、負極活物質にグラファイトを用いた18650サイズの電池を作製して、電池製造後の初期充放電条件が、その後の電池特性に与える影響を評価した。
【0060】
〈試験用リチウムイオン二次電池の作成〉
正極は、活物質、導電剤、バインダを溶剤に混合した後アルミニウム箔の集電体に塗工、プレスして製作した。正極の電極面積は、900cm2 とした。負極は、活物質とバインダを溶剤に混合した後、銅箔集電体上に塗工、プレスして製作した。セパレ−タには25μmのポリエチレン製の微孔フィルムを使用し、ケースサイズが直径18mm、高さ65mmのスパイラル状の円筒型電池を製作した。その後、電解液を注入し、封口した。電解液は、LiPF6をエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で3:7の混合後溶媒に1mol/L溶解したものを用いた。電池の1Cは1000mAであった。
【0061】
〈電池特性測定〉
上記要領で製作した電池について、以下に示す各実施例、各比較例の条件でそれぞれ特性調整を行った後に電池特性を測定した。電池特性の測定は、充放電評価試験とインピーダンス測定試験とを行った。
【0062】
充放電サイクル評価は、定電流−定電圧(電流1C、電圧4.1V)で2.5時間の充電を行い、定電流(1/3C)で3Vとなるまで放電を行うことを1サイクルとして10サイクル行い各サイクル毎の放電容量を測定した。インピーダンス測定試験は、上記充放電評価試験前後に電池の電池電圧を3.6Vに調整して測定した。
【0063】
(実施例1)
初期充電を定電流(0.5C)で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0064】
この電圧を中心として、定電流(2C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(2C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計30回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0065】
この初期充放電時の電池電圧の変化を、図3に示す。
【0066】
(実施例2)
初期充電を電流0.5Cの定電流で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0067】
この電圧を中心として、定電流(4C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(4C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計3回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0068】
(実施例3)
初期充電を電流0.5Cの定電流で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0069】
この電圧を中心として、定電流(4C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(4C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計5回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0070】
(実施例4)
初期充電を電流0.5Cの定電流で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0071】
この電圧を中心として、定電流(4C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(4C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計10回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0072】
(実施例5)
初期充電を電流0.5Cの定電流で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0073】
この電圧を中心として、定電流(4C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(4C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計30回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0074】
(比較例)
比較例の電池は、充電を1C、41Vの定電流−定電圧で合計2.5時間行い、放電を2C、3V、の定電流放電を行った。その後、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行った。
【0075】
〈結果〉
充放電試験の結果を図4に、インピーダンス測定試験の結果を図5にそれぞれ示す。
【0076】
特性調整において充放電の繰り返しを行っていない比較例の電池は、充放電評価試験でサイクルの回数が進むにつれて徐々に容量が増加し、容量が安定していない。一方、繰り返し充放電を行った実施例1の電池は、比較例に対し容量が直後から安定することがで分かった。インピーダンス測定試験の結果から電池の電荷移動抵抗も同様に初期調整後に安定できることがで分かった。
【0077】
実施例2、3、4、5について充放電評価試験の結果は、充放電の回数が増加するにつれてよくなった。特に、充放電の回数を5回以上とすると、その後の充放電評価試験において最初から安定した結果を得ることができた。
【0078】
この傾向は、充放電評価試験のみならず、インピーダンス測定試験で得られた内部抵抗値の安定化についても同様の結果を得た。この充放電回数が5回の時に(実施例3)おいて、浅い充放電時の定電流容量、放電総容量は、ともに電池容量の約1/18となった。
【0079】
浅い充放電の電流は、2Cと4Cで同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池の断面斜視模式図である。
【図2】本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池の電極部分の模式説明図である。
【図3】実施例1の特性調整における電池電圧の変化を示した図である。
【図4】実施例の充放電試験の結果を示した図である。
【図5】実施例のインピーダンス測定試験の結果を示した図である。
【図6】Li(1−x)NiO2についてxの値の変化による結晶構造の変化を示した図である。
【符号の説明】
100:リチウムイオン二次電池(円筒型)
1:正極 11:正極集電体 12:正極合材層 13:正極リード
2:負極 21:負極集電体 22:負極合材層 23:負極リード
3:非水電解液 4:セパレータ 5:正極端子部 6:負極端子部
7:ケース
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車や携帯用電子機器のバッテリーとして用いることのできるリチウムイオン二次電池の特性調整方法、たとえば、出荷前調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー問題及び環境問題を背景に、電力をより有効に活用する技術が求められている。そのためには、多量の電気を蓄え、かつ効率的にその蓄えた電気を取り出すことができる電気貯蔵手段が必要である。こうした電気の貯蔵手段としては、大きな放電容量と高い放電電圧をもち、かつ繰り返し充放電を行うことができる二次電池が最適である。
【0003】
このような二次電池として、充電時にはリチウムイオンが正極から放出されて負極に吸蔵される充電反応が生じ、放電時には負極から放出されて正極に吸蔵される放電反応が生じるリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池では、そのエネルギー密度および出力密度がいずれも高く、大きな放電容量と高い放電電圧とが得られる。また特に、リチウム−金属複合酸化物を正極活物質として正極を構成したリチウムイオン二次電池は、高容量であるので、実用的に優れているとして携帯用電子機器や電気自動車などのバッテリーなどへの利用が期待されている。
【0004】
このリチウムイオン二次電池の製造は、ケース内に正極、負極、セパレータをケース内に組み入れた後、電解液を注入、封口して行う。この段階では、電池として化成されていない。また、リチウムイオン二次電池は、最初の1、2サイクルの充放電時に負極で不可逆の反応が起きること、2サイクル目以降も充放電に伴い電池材料の状態が変化し容量特性や内部抵抗が変化することが知られており、電池容量等の電池特性が安定しない。したがって、一般的には、電池を製造後に、数サイクル以上の充放電を繰り返して電池特性を調整した後、電池特性の検査や出荷を行っている。しかし、電池製造において全数の電池の充放電および検査を行った場合、多大な設備費と工数を要することになる。
【0005】
従来、その解決策として、充電時間を短縮する試みがなされていた。たとえば、特開平10−321262号公報は、充電末期に充電時の電流を段階的に変化させることにより、また、特許第2793104号公報は、充電時の電流をパルス的に流す方法により、充電時間の短縮が図られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では、リチウムイオン二次電池に充電する時間の短縮はできるものの、電池の特性を安定化するためには依然として数サイクルの充放電を行う必要があるので、大幅な時間の短縮は期待できない。
【0007】
したがって、本発明では、リチウムイオン二次電池の電池特性を短時間で安定化させる方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意研究を行った結果、正極活物質として用いるリチウム−金属複合酸化物について結晶構造を安定化させることにより電池特性も安定化することを発見した。そして、リチウム−金属複合酸化物の結晶構造は、リチウムイオンの吸放出にともなう結晶構造の変化を繰り返すことによって安定化することを発見した。本発明者らは、以上の知見に基づいて以下の発明を行った。
【0009】
すなわち、上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出可能なリチウム−金属複合酸化物をもつ正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極とを有するリチウムイオン二次電池に複数回の充放電を行うことによりその特性を調整する方法において、前記充放電は、前記リチウムイオン二次電池の定格容量を100%としたときに、充電および放電を行う電気量がそれぞれ1回あたり20%以下であって、その充放電時に前記リチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化することを特徴とする。
【0010】
つまり、本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法は、電池特性を安定化させるメカニズムの発見に基づいて、リチウムイオン二次電池に適正な操作を行うことによって、極短時間で電池特性の安定化を図るものである。すなわち、リチウムイオン二次電池に対して、正極活物質として用いたリチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化する範囲で集中して充放電を行うことにより結晶構造を安定化させ、電池特性の安定化を達成できるのである。したがって、電池の特性調整のための前述の充放電時には、正極活物質に用いたリチウム−金属複合酸化物の結晶構造が少なくとも1回は変化する必要がある。
【0011】
たとえば、文献(W.Li et al. Solid State Ionics、67、123(1993);T.Ohzuku et al. J.Electrochem.Soc.、140、No.7、1862(1993);H.Arai et al. Solid State Ionics、80、261(1995))によると、リチウム−ニケッル複合酸化物(Li(1−x)NiO2:xは0〜1の範囲)では、図6に示すように、電池の充放電にともなうリチウム含有量が変化(xの値が0〜1に変化)するにしたがってその結晶構造が六方晶(H1)、単斜晶、そして六方晶(H2,H3)へと変化する。充放電は、この結晶構造が変化する部分を含む範囲で行われる必要がある。
【0012】
本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法を用いれば、短時間の充放電で電池を安定化することができ、充放電設備費の低減が可能となる。
【0013】
前述のリチウム−金属複合酸化物が、リチウムニッケル酸化物を含む場合には、前述の充放電の時に正極電位の変化する範囲が、金属リチウムの電位に対して3.7V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有することが好ましい。
【0014】
ここで正極電位の変化する範囲が3.7V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有するとは、以下の意味である。すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法における複数回行われる充放電の時にリチウムイオンの吸放出にともない正極の電位が変化する。その正極電位の変化する範囲が、3.7V〜3.9Vの範囲と一部分でも重なる部分を有するという意味である。これは、以下の電池電圧の範囲についても同様である。
【0015】
リチウムニッケル酸化物の結晶構造の変化は、リチウムイオン二次電池に用いる場合に正極電位が金属リチウムに対して+3.7V〜3.9Vの範囲であるので、充放電をこの範囲で行うこととしたのである。ただし、充放電時の正極電位の変化範囲は、電池に用いた正極活物質としてのリチウムニッケル酸化物について実際に結晶構造が変化する電位を含む必要がある。
【0016】
さらに、同じく前述のリチウム−金属複合酸化物が、リチウムニッケル酸化物を含み、負極に炭素系材料が用いられている場合は、前述の充放電の時にリチウムイオン二次電池の電池電圧の変化する範囲が、0.3V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有することが好ましい。
【0017】
リチウムニッケル酸化物の結晶構造の変化は、負極に炭素系材料を用いたリチウムイオン二次電池に用いる場合に電池電圧が0.3V〜3.9Vの範囲であるので、充放電をこの範囲で行うこととしたのである。
【0018】
そして、さらに同じく前述のリチウム−金属複合酸化物が、リチウムニッケル酸化物を含む場合は、リチウムイオン二次電池に対して、前述の充放電の前に定格容量の1/10〜1/2の電気量を充電することが好ましい。
【0019】
定格容量の1/10〜1/2の電気量を充電することによって、おおむね正極活物質のリチウムニッケル酸化物の構造変化が生起する前後のリチウム含量となるからである。
【0020】
また、前述の充放電は、180秒以内の充電、180秒以内の休止、180秒以内の放電、180秒以内の休止を行うことであって、その充放電の回数は、少なくとも5回であることが好ましい。充電時間、放電時間、休止時間をこれより長くしても電池の特性を調整する効果はそれ以上向上せず、かえって電池の特性安定化に長時間を要することとなるからである。
【0021】
そして、前述の充放電により行う総充電容量または総放電容量が、リチウムイオン二次電池の定格容量の1/18以上であることが好ましい。これより少ないと充分な効果が得られないからである。
【0022】
そしてまた、前述の充放電を行う時の電流値は、0.2C〜8Cであることが好ましい。
【0023】
電流値は、充放電設備の費用、電池の過電圧を考慮すると8C以下が好ましい。一方、充放電の電流が0.2Cを下回ると、充分な効果を得るためには、長時間を要するため0.2C以上が好ましい。なお、ここで「C」とは、放電率を表し、電池を定電流で放電したときに5時間で下限電圧まで放電しきる電流値が0.2Cとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態により限定されるものではない。また、図は模式図であり、寸法・形態等は正確なものではない。
【0025】
本実施形態のリチウムイオン二次電池の特性調整方法は、リチウムイオン二次電池に対して充放電を複数回繰り返すことによって行う。
【0026】
リチウムイオン二次電池は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出可能なリチウム−金属複合酸化物をもつ正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極とを有するリチウムイオン二次電池である。以下に本発明のリチウムイオン二次電池の特性調整方法が適用できるリチウムイオン二次電池を具体例に基づいて説明する。
【0027】
本発明の適用できるリチウムイオン二次電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。本実施形態では、図1に示すような円筒型のリチウムイオン二次電池100に基づいて説明を行う。
【0028】
図1は、本実施形態における円筒型のリチウムイオン二次電池100の断面斜視模式図を示す。本実施形態のリチウムイオン二次電池100は、正極1および負極2をシート形状として両者をセパレータ4を介して積層し渦巻き型に多数回巻き回した巻回体を空隙を満たす電解液3とともに所定の円筒状のケース7内に収納したものである。正極1と正極端子部5とについて、そして負極2と負極端子部6とについては、それぞれ電気的に接合されている。
【0029】
正極1は、リチウムイオンを充電時には放出し、かつ放電時には吸蔵することができるリチウム−金属複合酸化物を正極活物質にもつ。リチウム−金属複合酸化物は、電子とリチウムイオンの拡散性能に優れるなど活物質の性能に優れる。そのため、このようなリチウムおよび遷移金属の複合酸化物を正極活物質に用いれば、高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得られる。さらに正極1は、正極活物質、導電材および結着材を混合して得られた正極合材が集電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。
【0030】
正極活物質には、リチウム−金属複合酸化物であれば特に限定されるものではなく、公知の活物質を用いることができる。たとえば、Li(1−X)NiO2、Li(1−X)MnO2、Li(1−X)Mn2O4、Li(1−X)CoO2や、各々にLi、Al、そしてCr等の遷移金属を添加または置換した材料等が挙げられる。なお、正極活物質としては、1種類の物質を単独で用いる場合に限定されず、複数の物質を混合して用いてもよい。そして、この正極活物質の例示におけるXは0〜1の数を示す。
【0031】
また、負極2については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。特に、負極活物質、導電材および結着剤を混合して得られた負極合材が集電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。負極活物質としては、その活物質の種類で特に限定されるものではなく、公知の負極活物質を用いることができる。中でも、結晶性の高い天然黒鉛や人造黒鉛などの炭素材料は、リチウムイオンの吸蔵性能および拡散性能に優れるなど活物質の性能に優れる。そのため、このような炭素材料を負極活物質に用いれば、高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得られる。さらには、負極2として金属リチウムもしくはリチウム合金を使用することが電池容量の観点からは、より好ましい。
【0032】
電解液3は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。
【0033】
有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート化合物、ラクトン化合物、エーテル化合物、スルホラン化合物、ジオキソラン化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、ハロゲン化炭化水素化合物等を挙げることができる。
【0034】
具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジメチルカーボネート、プロピレングリコールジメチルカーボネート、エチレングリコールジエチルカーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、スルホラン、3−メチルスルホラン等のスルホラン類、1.3−ジオキソラン等のジオキソラン類、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、アセトニトリル、ピロピオニトリル、パレロニトリル、ベンソニトリル等のニトリル類、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、その他のメチルフォルメート、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらを単独で、または、これらから選ばれる複数の有機溶媒を混合した混合物であっても良い。
【0035】
例に挙げたこれらの有機溶媒のうち、特に、カーボネート類、エーテル類からなる群より選ばれた一種以上の非水溶媒を用いることにより、支持塩の溶解性、誘電率および粘度において優れ、電池の充放電効率も高いので、好ましい。
【0036】
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF3)2およびLiN(SO3CF3)3から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0037】
この支持塩により、電池性能をさらに優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においてもさらに高く維持することができる上に、極めて難燃性に優れる。
【0038】
支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、支持塩および有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
【0039】
セパレータ4は、正極1および負極2を電気的に絶縁し、電解液3を保持する役割を果たすものである。たとえば、ポリエチレン等の微多孔質膜を用いればよい。なおセパレータ4は、正極1と負極2との絶縁を担保するため、正極1および負極2よりもさらに大きいものとするのが好ましい。
【0040】
ケース7は、特に限定されるものではなく、公知の材料、形態で作成することができる。
【0041】
ガスケット72は、ケースと端子部5、6の間の電気的な絶縁と、ケース7内の密閉性とを担保するものである。たとえば、電解液にたいして、化学的、電気的に安定であるポリプロピレンのような高分子等から構成できる。
【0042】
上記構成からなるリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
【0043】
以下に上述した円筒型電池の作製方法の例を以下に述べる。正極活物質としてのLiNiO2と導電材としてのアセチレンブラックと結着材としてのポリフッ化ビニリデンとを混合して、正極合材とする。この正極合材を分散材としてのN−メチル−2−ピロリドンに分散させ、スラリー状とする。このスラリーをアルミニウム製の正極集電体11に塗布し、乾燥した後にプレス成型して図2に示すように、正極合材層12を形成し、正極1とする。負極活物質としてのグラファイトを結着材としてのポリフッ化ビニリデンとを混合して、負極合材とする。この負極合材を分散材としてのN−メチル−2−ピロリドンに分散させ、スラリー状とする。このスラリーを正極1と同様に銅製の負極集電体21にに塗布し乾燥後、プレス成型して負極合材層22を形成し、負極2とする。
【0044】
この正極1および負極2を、シート形状として、両者をセパレータ4を介して積層し、渦巻き型に多数回巻き回して巻回体として、所定の円筒状のケース7内に収納したものである。
【0045】
すなわち、電極の構成は、図2に示すように負極集電体21に形成された負極合材22と、正極集電体11に形成された正極合材12とが合材面が相対するように配置され、その間にセパレータ4と電解液3が介在して巻き回して巻回体とし絶縁板を介して図1に示すケース7の中に収納されて構成される。
【0046】
この巻回体の負極集電体21端部には負極リード23が溶接され端部にニッケル製の負極端子部6が電流遮断用薄板71を介してを介してケース7に溶接される。一方、正極集電体11に溶接された正極リード13には端部にアルミニウム製の正極端子部5が取り付けられ、電流遮断用薄板71を介して電池蓋として固定される。その結果、ケース7の底部が負極端子部6となり、ケースの蓋部分が正極端子部5となる。ケース7に収納された巻回体には、上記の電解液3が注入されガスケット72で密封され安全蓋73を配備され、大きさが直径18mm、高さ65mmの円筒型リチウムイオン二次電池100が形成できる。
【0047】
円筒型リチウムイオン二次電池100は、上述と同様の方法で、正極1、負極2、電解液3を作製し、厚さ25μmの微孔ポリエチレン製フィルムをセパレータ4とし、前述の正極1および負極2を順々積層してから渦巻き型に多数回巻回することにより巻回体を形成する。次にケース7の底部に絶縁体71を挿入し、上記巻回体を収納した。そして、負極、正極の端子部6、5をケース7の底および蓋に接続させ上述の電解液3を、上述のようにして作製したケース7内に注入し、密封することで作製できる。
【0048】
充放電は、特性調整の目的で行うものであり、リチウムイオン二次電池の定格容量を100%としたときに、充電および放電を行う電気量がそれぞれ1回あたり20%以下であって、その充放電時に前記リチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化するように行う。さらに好ましくは、充電および放電を行う電気量はそれぞれ1回あたり7%以下である。この充放電の前後に、特性調整の目的で行う以外の充電もしくは放電を行ってもよいことは言うまでもない。本明細書において「充放電」という場合には、特に断りがない限り「特性調整の目的で行う充電および放電」を意味するものとする。この充放電時の充電もしくは放電時の電気量は、できるだけ少ない方が電池特性調整に要する時間が短縮できるので好ましい。しかしながら、その電気量は、最低でも正極活物質として用いたリチウム−金属複合酸化物がその充放電の際に結晶構造の変化を生起する電気量であることが必要である。ここで定格容量とは、電池特性が安定した後に、完全充電した電池から、0.2Cの放電率で放電したときに取り出せる容量をいう。
【0049】
このようにリチウムイオン二次電池に充放電を繰り返すことによって、電池特性の安定化の一因であるリチウム−金属複合酸化物の結晶構造の変化を集中的に繰り返すことで、電池特性の安定化が短時間に達成できる。
【0050】
充放電は、正極活物質としてのリチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化するリチウム含有量を含む範囲で行われる。
【0051】
したがって、充放電を複数回行う前には、リチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化するリチウム含有量程度となるように、リチウムイオン二次電池に充電もしくは放電を行う。その充電量としては、定格容量の1/10〜1/2の電気量であることが好ましい。
【0052】
また、リチウム−金属複合酸化物にリチウム−ニッケル酸化物を用いる場合は、充放電の時に正極電位の変化する範囲が、金属リチウムの電位に対して+3.7V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有するように、充放電前に電池に充電を行うことが好ましい。
【0053】
さらに、同じく前述のリチウム−金属複合酸化物が、リチウムニッケル酸化物を含み、負極に炭素系材料が用いられている場合は、前述の充放電の時にリチウムイオン二次電池の電池電圧の変化する範囲が、0.3V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有するように、充放電前に電池に充電を行うことが好ましい。
【0054】
また、充放電は、180秒以内、より好ましくは60秒以内の充電と、180秒以内、より好ましくは60秒以内の休止と、180秒以内、より好ましくは60秒以内の放電と、180秒以内、より好ましくは60秒以内の休止とを行うことであって、その充放電の回数は、少なくとも5回であることが好ましい。充電時間、放電時間、休止時間がこれより長くても電池の特性調整効果は向上しないからである。
【0055】
そして、充放電の回数は、総充電容量または総放電容量が、リチウムイオン二次電池の定格容量の1/18以上、より好ましくは1/9以上となるようにすることが好ましい。これより少ないと充分な効果が得られないからである。また、この時の充放電の繰り返し回数は、5回以上とすることが好ましい。
【0056】
また、充放電を行う時の電流値は、0.2C〜8C、より好ましくは0.5C〜4Cであることが好ましい。これより多くても少なくても充分な効果が得られないからである。
【0057】
本実施形態の方法を用いれば、短時間の充放電で電池を安定化することができ、充放電設備費等の低減が可能となる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0059】
正極活物質にリチウムニッケル酸化物、負極活物質にグラファイトを用いた18650サイズの電池を作製して、電池製造後の初期充放電条件が、その後の電池特性に与える影響を評価した。
【0060】
〈試験用リチウムイオン二次電池の作成〉
正極は、活物質、導電剤、バインダを溶剤に混合した後アルミニウム箔の集電体に塗工、プレスして製作した。正極の電極面積は、900cm2 とした。負極は、活物質とバインダを溶剤に混合した後、銅箔集電体上に塗工、プレスして製作した。セパレ−タには25μmのポリエチレン製の微孔フィルムを使用し、ケースサイズが直径18mm、高さ65mmのスパイラル状の円筒型電池を製作した。その後、電解液を注入し、封口した。電解液は、LiPF6をエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で3:7の混合後溶媒に1mol/L溶解したものを用いた。電池の1Cは1000mAであった。
【0061】
〈電池特性測定〉
上記要領で製作した電池について、以下に示す各実施例、各比較例の条件でそれぞれ特性調整を行った後に電池特性を測定した。電池特性の測定は、充放電評価試験とインピーダンス測定試験とを行った。
【0062】
充放電サイクル評価は、定電流−定電圧(電流1C、電圧4.1V)で2.5時間の充電を行い、定電流(1/3C)で3Vとなるまで放電を行うことを1サイクルとして10サイクル行い各サイクル毎の放電容量を測定した。インピーダンス測定試験は、上記充放電評価試験前後に電池の電池電圧を3.6Vに調整して測定した。
【0063】
(実施例1)
初期充電を定電流(0.5C)で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0064】
この電圧を中心として、定電流(2C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(2C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計30回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0065】
この初期充放電時の電池電圧の変化を、図3に示す。
【0066】
(実施例2)
初期充電を電流0.5Cの定電流で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0067】
この電圧を中心として、定電流(4C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(4C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計3回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0068】
(実施例3)
初期充電を電流0.5Cの定電流で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0069】
この電圧を中心として、定電流(4C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(4C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計5回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0070】
(実施例4)
初期充電を電流0.5Cの定電流で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0071】
この電圧を中心として、定電流(4C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(4C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計10回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0072】
(実施例5)
初期充電を電流0.5Cの定電流で、30分間行った。充電容量は、電池容量の1/4であった。初期充電後の電池電圧は3.54V、正極電位は3.8V(金属Liに対して)を示した。
【0073】
この電圧を中心として、定電流(4C)で10秒間の充電、10秒間の休止、定電流(4C)で10秒間の定電流放電、10秒間の休止を1ユニットとして合計30回繰り返した。その後、定電流−定電圧(2C、4.1V)で90分間の充電、定電流(2C)で3V迄放電、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行い電池の初期調整を行った。
【0074】
(比較例)
比較例の電池は、充電を1C、41Vの定電流−定電圧で合計2.5時間行い、放電を2C、3V、の定電流放電を行った。その後、定電流−定電圧(2C、3.6V)で45分間の充電を行った。
【0075】
〈結果〉
充放電試験の結果を図4に、インピーダンス測定試験の結果を図5にそれぞれ示す。
【0076】
特性調整において充放電の繰り返しを行っていない比較例の電池は、充放電評価試験でサイクルの回数が進むにつれて徐々に容量が増加し、容量が安定していない。一方、繰り返し充放電を行った実施例1の電池は、比較例に対し容量が直後から安定することがで分かった。インピーダンス測定試験の結果から電池の電荷移動抵抗も同様に初期調整後に安定できることがで分かった。
【0077】
実施例2、3、4、5について充放電評価試験の結果は、充放電の回数が増加するにつれてよくなった。特に、充放電の回数を5回以上とすると、その後の充放電評価試験において最初から安定した結果を得ることができた。
【0078】
この傾向は、充放電評価試験のみならず、インピーダンス測定試験で得られた内部抵抗値の安定化についても同様の結果を得た。この充放電回数が5回の時に(実施例3)おいて、浅い充放電時の定電流容量、放電総容量は、ともに電池容量の約1/18となった。
【0079】
浅い充放電の電流は、2Cと4Cで同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池の断面斜視模式図である。
【図2】本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池の電極部分の模式説明図である。
【図3】実施例1の特性調整における電池電圧の変化を示した図である。
【図4】実施例の充放電試験の結果を示した図である。
【図5】実施例のインピーダンス測定試験の結果を示した図である。
【図6】Li(1−x)NiO2についてxの値の変化による結晶構造の変化を示した図である。
【符号の説明】
100:リチウムイオン二次電池(円筒型)
1:正極 11:正極集電体 12:正極合材層 13:正極リード
2:負極 21:負極集電体 22:負極合材層 23:負極リード
3:非水電解液 4:セパレータ 5:正極端子部 6:負極端子部
7:ケース
Claims (7)
- 正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出可能なリチウム−金属複合酸化物をもつ正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極とを有するリチウムイオン二次電池に複数回の充放電を行うことによりその特性を調整する方法において、
前記充放電は、前記リチウムイオン二次電池の定格容量を100%としたときに、充電および放電を行う電気量がそれぞれ1回あたり20%以下であって、
該充放電時に前記リチウム−金属複合酸化物の結晶構造が変化することを特徴とするリチウムイオン二次電池の特性調整方法。 - 前記リチウム−金属複合酸化物は、リチウムニッケル酸化物を含み、
前記充放電の時に前記正極電位の変化する範囲が、金属リチウムの電位に対して+3.7V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の特性調整方法。 - 前記リチウム−金属複合酸化物は、リチウムニッケル酸化物を含み、かつ前記負極は、炭素材料から構成されており、
前記充放電の時に前記リチウムイオン二次電池の電池電圧の変化する範囲が、0.3V〜3.9Vの範囲と重なる部分を有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の特性調整方法。 - 前記リチウム−金属複合酸化物は、リチウムニッケル酸化物を含み、
前記リチウムイオン二次電池に対して、前記充放電の前に前記定格容量の1/10〜1/2の電気量を充電する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の特性調整方法。 - 前記充放電は、180秒以内の充電、180秒以内の休止、180秒以内の放電、180秒以内の休止を行うことであり、
該充放電の回数は、少なくとも5回である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の特性調整方法。 - 前記充放電により行う総充電容量または総放電容量が、前記リチウムイオン二次電池の定格容量の1/18以上である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の特性調整方法。
- 前記充放電を行う時の電流値が、0.2C〜8Cである請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の特性調整方法。
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