JP2001147074A - 除霜水の強制蒸発機構 - Google Patents

除霜水の強制蒸発機構

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸発器からドレンパンに排出・貯留される除
霜水の水量に拘わらず、常に効率の良い強制蒸発処理を
行なうと共に、その制御機構を簡略化し得る。 【解決手段】 蒸発器30の除霜により発生する除霜水
は、蒸発器カバー48の排出管48aを介してドレンパ
ン36に排出・貯留される。ドレンパン36は、上方に
開口すると共に下方に突出する側面において略ホームベ
ース形状を呈する。ドレンパン36の底板36aは、そ
の断面形状が前後方向の中央において下向きに突出する
略V字形状に形成される。底板36aの前後両端部近傍
の外面に、加熱ヒータ38,38が、ドレンパン36の
全長に亘って配置される。ドレンパン36には、加熱ヒ
ータ38の配設位置の下方近傍で、除霜水が貯留される
内部温度を検知する、サーミスタ40が配設される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、除霜水の強制蒸
発機構に関し、更に詳細には、蒸発器の除霜に際して発
生する除霜水を効率的に蒸発処理し得る強制蒸発機構に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】被冷却物である食材等を冷却貯蔵するシ
ョーケースは、図11に示す如く、内装板20と外装板
22との間に断熱材を配設した断熱箱体18の内部に、
食材等を収納する冷却室12を画成すると共に、圧縮機
34や凝縮器32および蒸発器30等を備える冷却機構
16が、該断熱箱体18の上部に画成した機械室14内
に配置され、この冷却機構16によって冷却室12を冷
却するよう構成されている。このようなショーケースで
は、前記蒸発器30の運転を継続すると該蒸発器30の
表面に霜が層状に成長し、該霜が冷却能力を低下させて
しまうため、蒸発器30での着霜量が所定値を越えた場
合は、この蒸発器30での冷却を停止して除霜運転が行
なわれ、これにより除霜水が発生する。
【0003】また図12に示す如く、前記蒸発器30は
蒸発器カバー48で断熱的に覆われると共に、該カバー
48に、前記冷却室12への冷却空気の供給および吸入
の各経路が形成されている。この蒸発器カバー48の内
部に配置されている蒸発器30から排出される前記除霜
水は、該蒸発器カバー48の所定位置に取付けられた排
出管48aを介して、蒸発器カバー48に隣接して配設
されるドレンパン35に排出・貯留される。ドレンパン
35は、上方に開口した矩形の箱体形状を呈しており、
その底部下面にドレンパン35を介して除霜水を加熱す
るための加熱ヒータ37が配設されている。またドレン
パン35には、貯留される除霜水の水位検知のために水
位センサ50,50が上下に所定間隔離間して取付けら
れる。前記水位センサ50および冷却機構16は、図示
しない制御装置により制御されるようになっており、前
記加熱ヒータ37に対しては、該水位センサ50,50
から得られる水位情報によりON・OFF制御される。
【0004】すなわち、前記ドレンパン35に排出・貯
留された除霜水の量が増加して前記上側の水位センサ5
0まで水位が上昇した場合に、前記加熱ヒータ37への
通電がONされ、除霜水の強制加熱が開始されて順次強
制蒸発処理される。そして、水位が下側の水位センサ5
0を下回れば、前記加熱ヒータ37への通電がOFFさ
れるように制御されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記除霜水の強制蒸発
処理は、加熱ヒータ38によりドレンパン35自体を加
熱し、その後ドレンパン35を介して除霜水を加熱して
いる。この場合に、前述した従来のドレンパン35は矩
形の箱体形状であるため、該ドレンパン35に貯留され
る除霜水の水位はどの位置でも一定であり、従って除霜
水を強制蒸発処理するためには、ドレンパン35内に貯
留される除霜水全量を加熱しつつ、蒸発可能な温度に至
らす必要がある。この結果、除霜水の蒸発処理のために
要する時間が長くなると共に、エネルギーコストが嵩
み、効率的な蒸発処理を行なうのは困難であった。
【0006】また前記加熱ヒータ37の制御には、複数
の水位センサ50,50からの水位情報を基にON・O
FF制御するという最も単純な制御方法が用いられてい
る。しかしながら、この制御を行なうために複数の水位
センサ50が必要となり、製造コストが上昇する。また
水位センサ50,50の配設位置によって、加熱ヒータ
37のON,OFFが過剰に行なわれ、該ヒータ37が
短期間で劣化する難点も指摘される。
【0007】なお、蒸発器30から排出される除霜水の
排出構造としては、図13に示す如く、該蒸発器30の
下部に設けた排水受31に除霜水を一旦受容し、該排水
受31および蒸発器カバー48の所定位置に取付けた排
出管48aをドレンパン35の上方に臨ませ、該排出管
48aからドレンパン35に除霜水を排出するものがあ
る。しかるにこの構成では、前記排水受31から導出さ
れている排水管48aの配設位置が、前記ドレンパン3
6の上方に位置することになり、前記蒸発器30の配設
位置が高くなってしまう。このため、機械室14自体を
コンパクトにまとめられなくなってしまう欠点が指摘さ
れる。このような欠点を回避するため、図14に示す如
く、前記排水管48aの配設位置を下方に移動させて、
前記ドレンパン36の内底面近傍の高さ位置に取付ける
構成が提案される。この構成であると、前記排水管48
aが取付けられる排水受31の取付位置を低くできるの
で、結果として前記蒸発器30および排水受31が収納
される蒸発器カバー48の全高を小さく抑えることが可
能となる。
【0008】しかしこの構成の場合、前記ドレンパン4
8と排水受31とが排水管48aを介して連通状態とな
り、図15に示す如く、ドレンパン48内における除霜
水の水位によっては排水受31内に除霜水が残留するこ
とになる(図15(a)参照)。前記除霜水の排出が増加
し、前記ドレンパン48での蒸発処理が間に合わない場
合、該ドレンパン48内の除霜水の水位上昇に従って、
排水受31内の除霜水水位も上昇することになる(図1
5(b)参照)。この結果、前記排水受31内に貯留され
る除霜水の水面が前記蒸発器30に接近し、該除霜水が
凍結してしまうことがあった。このような状態になる
と、以後に発生する除霜水の処理が不可能となり冷却能
力が低下するばかりか、冷却機構16全体に過大な負荷
が掛かってしまう問題も指摘される。
【0009】
【発明の目的】本発明は、前述した従来の技術に内在し
ている前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案
されたものであって、蒸発器からドレンパンに排出・貯
留される除霜水の水量に拘わらず、常に効率の良い強制
蒸発処理を行なうと共に、その制御機構を簡略化し得る
除霜水の強制蒸発機構を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を好適に達成するため本発明に係る除霜水の強制
蒸発機構は、蒸発器から発生した除霜水を貯留して蒸発
させる強制蒸発機構であって、前記蒸発器からの除霜水
が貯留され、その底板が傾斜するドレンパンと、前記底
板の外面における傾斜上端近傍に配設された加熱ヒータ
と、前記ドレンパンにおける加熱ヒータの配設位置より
下方に配設され、前記加熱ヒータを制御するための温度
検知手段とから構成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る除霜水の強制
蒸発機構につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参
照しながら以下説明する。
【0012】実施例に係る除霜水の強制蒸発機構を採用
した冷蔵ショーケース10は、図1,図2および図3に
示す如く、内装板20、外装板22および内装板20と
外装板22との間に充填される断熱材24から構成され
た断熱箱体18の内部に、冷却室12が断熱的に画成さ
れると共に、断熱箱体18の上部に配設されたキャビネ
ット25内に機械室14が画成されている。冷却室12
を画成する断熱箱体18の前部および後部に開設した夫
々の開口部18a,18bには、ガラス等を嵌込んだ引
戸26,26が、冷蔵ショーケース10の長手方向(図3
における左右方向)に自在に摺動可能に取付けてある。
また前記冷却室12における底部の所定位置には、前記
断熱箱体18を貫通して該冷却室12内に溜った露等を
外部に排出するための排水部28が設けられている。
【0013】前記機械室14内には、図3に示す如く、
蒸発器30、凝縮器32および圧縮機34等から構成さ
れる冷却機構16が設置されており、図示しない制御装
置によって、前記冷却室12内を設定温度に維持するよ
う運転制御される。前記蒸発器30は、前記冷却室12
との空気の循環経路となると共に、前記機械室14内と
は断熱された蒸発器カバー48により覆われている。ま
た蒸発器30は、凝縮器32と圧縮機34との間に配置
されると共に、該凝縮器32を挟んで蒸発器30とは反
対側に、凝縮器32を空冷する凝縮器ファン32aが配
置される。そして、凝縮器ファン32aからの風が凝縮
器32を冷却(熱交換)することで生じる温排風が、前記
蒸発器カバー48からの除霜水を貯留・処理するドレン
パン36(後述)に接触するように構成されている。
【0014】図4に示す如く、前記蒸発器カバー48の
内部に配置されている蒸発器30の除霜により発生する
除霜水は、この蒸発器カバー48の所定位置に取付けら
れた排出管48aを介して、該蒸発器カバー48に隣接
して配設(凝縮器32とは反対側に配設)されるドレンパ
ン36に排出・貯留される。このドレンパン36は、上
方に開口すると共に、下方に突出する側面において略ホ
ームベース形状を呈している。すなわち、本実施例で採
用されるドレンパン36の底板36aは、その断面形状
が前後方向の中央において下向きに突出する略V字形状
に形成され、ドレンパン36の内部に貯留される除霜水
の深さが各部位で異なるよう構成される。ちなみに、底
板36aの内面側における両傾斜面の角度は、略162
度(各傾斜面が水平面に対して略9度で傾斜する)となる
よう設定されている。またドレンパン36の前後には、
底板36aの最下端(折曲部)より下方に延出する支持脚
36b,36bが設けられ、該支持脚36b,36bを介
してドレンパン36を断熱箱体18の天井面に配設する
ことで、前記外装板22から底板36aの最下端が所定
間隔離間し、冷却室12に対して熱を伝えないよう構成
される。なお、前記排出管48aは、図4に示すように
ドレンパン36の上端より上方に位置し、ドレンパン3
6に貯留される除霜水が排出管48aを介して逆流しな
いようになっている。
【0015】前記底板36aの前後両端部近傍(底板3
6aの最も高くなる傾斜上端近傍)の外面に、加熱ヒー
タ38,38が、ドレンパン36の全長(図3における左
右方向)に亘って配置されている。この加熱ヒータ38
は、底板36aの下面に取付けられるので、除霜水と直
接接触することなく、ドレンパン36を介して除霜水を
加熱することができ、また除霜水による汚れを防止でき
る。なお、前記ドレンパン36の総容量は、発生する除
霜水理論量の6時間分に設定されている。この容量の設
定値は、大きすぎると冷蔵ショーケース10自体の大き
さに影響を与え、一方小さすぎると発生した除霜水のオ
ーバーフローの危険があるのでこのように設定されてお
り、また材質としては熱伝導率の高い、例えばアルミ金
属等が好適に採用される。
【0016】前記ドレンパン36には、前記加熱ヒータ
38の配設位置の下方近傍で、除霜水が貯留される内部
温度を検知する、温度検知手段としてのサーミスタ40
が配設されており、該サーミスタ40からの温度情報に
より、前記制御装置が加熱ヒータ38への通電のOFF
制御を行なっている。実施例のサーミスタ40による検
知温度(設定温度)は、水分が蒸発するのに充分で、かつ
高温による危険性が低い105℃に設定されている。ま
た加熱ヒータ38への通電のON制御は、図示しないタ
イマにより、所要時間(例えば3時間)毎に行なうよう設
定される。なお、サーミスタ40の配設位置は、前記加
熱ヒータ38の配設位置に近接しており、該加熱ヒータ
38による温度上昇を迅速に検知し得るようになってい
る。
【0017】本実施例では前記加熱ヒータ38として、
自律制御可能なPTC(サーミスタ)を備えた自律制御型
のヒータを採用している。このPTCヒータは、予め設
定された自律設定温度を維持し得るよう自律的に電源の
ON・OFF制御がなされるものであり、その自律設定
温度は前記サーミスタ40の設定温度よりは高く設定さ
れる。すなわち、前記サーミスタ40等の故障が発生し
たとしても、加熱ヒータ38自体が自律的に自律設定温
度を維持するよう制御されて、ドレンパン36から除霜
水が溢れるのを防止し得るよう構成される。
【0018】
【実施例の作用】次に、前述した実施例に係る除霜水の
強制蒸発機構の作用につき説明する。前記冷蔵ショーケ
ース10の冷却運転が開始されると共に、前記蒸発器3
0の除霜運転が行なわれて除霜水が発生しているものと
する。
【0019】前記蒸発器30から発生した除霜水は、前
記排水管48aを介してドレンパン36に送られ順次貯
留される。前記ドレンパン36に対しては、常に凝縮器
32からの温排風が接触されるよう構成されているの
で、前記除霜水が少量の場合には、該温排風のみで充分
に強制蒸発処理が行なわれる。このときの蒸発熱は、廃
棄すべき凝縮器32の廃熱の有効利用となるので省エネ
となる。
【0020】前記ドレンパン30に貯留される除霜水の
前記加熱ヒータ38による強制蒸発処理に関しては、冷
蔵ショーケース10の運転が開始されてから、タイマに
設定された設定時間(3時間)が経過した時点で、加熱ヒ
ータ38への通電が開始(ON)され、先ず前記ドレンパ
ン36の底板36aが加熱される。底板36aが加熱さ
れると、該底板36aを介して前記加熱ヒータ38近傍
(底板36aの高さ位置の高い方)に貯留されている除霜
水から順次加熱され、該除霜水が蒸発処理される。ドレ
ンパン36内における除霜水の水位は、図5に示す如
く、底板36aの傾斜のために一定しておらず殆どゼロ
の部分も存在しており、またこの水位が殆どゼロに近い
部位は、底板36aの傾斜の向きにより常に前記加熱ヒ
ータ38側となる。従って、除霜水の加熱は均一に行な
われるのではなく、水位がゼロに近く、前記底板36a
に近接している位置に効率的に伝達されることになる。
従って傾斜が施されている底板36aを越えて除霜水が
貯留されなければ、常に上記の加熱状態が再現されるこ
とになり、常に効率の良い強制蒸発処理が可能となる。
また前記加熱ヒータ38による蒸発処理には、前述した
凝縮器ファン32aからの温排風による蒸発処理の効果
も加わるので、より効率的なものとなっている。ここで
蒸発処理された除霜水蒸気は、前記凝縮器ファン32a
からの送風により常時機外へ排出されるので、機械室1
4内にこもって悪影響を与えることがない。
【0021】前記加熱ヒータ38の制御は、図6に示す
如く、冷蔵ショーケース10の運転開始時を起点とし
て、該運転開始時および以後3時間毎に加熱ヒータ38
がONとなるように設定されている。この場合に、前記
加熱ヒータ38の加熱運転間隔は3時間であるので、前
述したように前記ドレンパン36の総容量が除霜水理論
発生量の6時間分に対して充分な余力を持った設定とな
っており、常に前記ドレンパン36内の除霜水が少ない
状態で蒸発処理が施されることになる。また、常に変動
する除霜水水位を検知して加熱ヒータ38のON,OF
Fを制御しないから、該加熱ヒータ38が短期間で劣化
するのを防止し得る。
【0022】前記ドレンパン36内に貯留された除霜水
の水面が、前記サーミスタ40を越えている場合、前記
加熱ヒータ38からの熱は該除霜水の蒸発処理に使用さ
れるので、該サーミスタ40で検知される温度は100
℃を超えることはなく、除霜水の蒸発処理が継続され
る。除霜水の蒸発によりその水面がサーミスタ40を下
回ると、加熱ヒータ38からの熱が前記ドレンパン36
を介してサーミスタ40に直に伝達されるので、該サー
ミスタ40で検知される温度は100℃から上昇する。
そして、サーミスタ40が設定温度である105℃を検
知すると、前記加熱ヒータ52への通電がOFFされ
る。なお、加熱ヒータ52がOFFされた以後であって
も、前記凝縮器ファン32aからの温排風による蒸発処
理がなされる。また加熱ヒータ38のOFF以降は、運
転開始からの運転時間を算出して、この時間が3の倍
数、すなわち3時間毎に該加熱ヒータ38への通電のO
Nを繰返すように制御される。この設定により、加熱ヒ
ータ38は頻繁なON・OFF制御されない。
【0023】ここで、前記加熱ヒータ38として自律制
御して自律設定温度を維持するPTCヒータを採用して
いるので、前記サーミスタ40が故障してOFF状態へ
の移行が出来なくなっても、加熱ヒータ38は自律設定
温度(除霜水を蒸発し得る温度)に維持され、これ以上に
は上昇しないので高熱となって安全性を害したり、除霜
水の蒸発処理が行なわれずにオーバーフロすることはな
い。なお、サーミスタ40の故障は、作業者に対して適
宜の手段で表示して警告を促すよう構成することが推奨
される。
【0024】
【別実施例】図7〜図10は、別実施例に係る除霜水の
強制蒸発機構を示すものであって、基本的な構成は前述
した実施例と同じであるので、異なる部分についてのみ
説明する。なお、前述した実施例と同一部材には同じ符
号を付して示す。
【0025】図7および図8に示す如く、前記蒸発器カ
バー48の内部には、前記蒸発器30の下方に排水受3
1が配置され、蒸発器30からの除霜水が該排水受31
に一旦受容されるようになっている。この排水受31の
所定位置に取付けられた排水管48aは、前記蒸発器カ
バー48を貫通してドレンパン36の内部下方位置に延
出しており、該排水管48aを介して排水受31の除霜
水がドレンパン36に排出・貯留される。前記排水受3
1は、前記蒸発器30の下方に所定距離離間して、この
蒸発器30からの除霜水を全て回収し得るように、該蒸
発器30より一回り大きな受皿状に形成されている。ま
た排水受31の底面は、前記蒸発器30からの除霜水を
効率的にドレンパン36に排出するために、該ドレンパ
ン36側が傾斜下端となる所定角度の傾斜を有してお
り、この傾斜下端部に前記排水管48aが接続してあ
る。なお排水管48aも、排水受31の底面の傾斜に合
わせて同様に傾斜して設置されている。
【0026】前記ドレンパン36の底板36aにおける
内面側には、図9に示す如く、ドレンパン36の下方に
突出した最下端辺を中心線として左右対称位置に、2枚
のスペーサ52,52が、底板36aと略平行な状態で
前記各加熱ヒータ38の配設位置から下方に延在するよ
う配設される。各スペーサ52は、ドレンパン36の全
長(図8において左右方向)に亘って臨み、該ドレンパン
36における略V字形状の両側面(図8において左右方
向の側面)に溶接等の手段を用いて固定されている。ま
た各スペーサ52と底板36aの内面との間には、毛細
管現象により下方に貯留されている除霜水を加熱ヒータ
38の配設側へ引上げ得る隙間54が画成される。な
お、各スペーサ52の下端位置は、前記排水受31に除
霜水が残留しない状態時のドレンパン36における水位
位置付近(排水管48aの連通位置近傍)に、また上端位
置は、少なくとも前記加熱ヒータ38の配設される下端
位置より上方となるように夫々設定される。
【0027】前述した別実施例に係る除霜水の強制蒸発
機構では、前記の実施例と同様に、前記ドレンパン36
に貯留される除霜水は、前記各加熱ヒータ38により効
率的に蒸発処理される。また、除霜水の量が加熱ヒータ
38の配設位置より減少しても、図10に示す如く、底
面36aとスペーサ52との間に画成される隙間54の
毛細管現象により、下方に貯留されている除霜水が加熱
ヒータ38の配設位置近傍に引上げられる。そして、こ
の加熱ヒータ38近傍にて、除霜水が効率良く加熱され
て蒸発処理される。このようにして前記加熱ヒータ38
近傍の除霜水が完全に蒸発すれば、順次下方より除霜水
が引上げられて蒸発処理される。従って、除霜水の水位
が前記加熱ヒータ38の下端部近傍を下回っても、該除
霜水の水位が前記スペーサ52の下端部を下回るまで蒸
発処理が順次少量づつ継続するものである。
【0028】すなわち、前記スぺーサ52と底板36a
との間に画成される隙間54の毛細管現象により、加熱
ヒータ38の熱が充分に伝達されない位置の除霜水を随
時加熱ヒータ38近傍に移動させて、効率の良い除霜水
処理を行なうことができる。これにより、ドレンパン3
6に貯留される除霜水の水位を、前記排水受31に除霜
水が殆ど残留しないか、または非常に低い水位とし得る
状態とすることができ、前記蒸発器30の冷気により排
水受31内の除霜水が凍結して、冷却運転の効率が低下
する現象を回避できる。また、排水受31を低い位置に
設置し得るから、前記蒸発器カバー48をコンパクトに
まとめることが可能となる。更に、ドレンパン36内に
おける低い位置の除霜水まで蒸発処理し得るので、当該
ドレンパン36における除霜水の貯留容量を増加するこ
とができる。
【0029】実施例や別実施例では、ドレンパンの底板
を、断面略V字形状としたが、片側にのみ傾斜する形状
としたり、あるいは複数のVまたはレ字状が繰返される
形状としてもよい。また実施例では、冷蔵ショーケース
を好適例として説明したが、本発明に係る強制蒸発機構
はこれに限定されるものではなく、冷蔵庫、冷凍庫等に
も好適に採用可能である。更に温度検知手段としては、
サーミスタ以外のものであってもよい。なお、前記スペ
ーサは、ドレンパンの左右方向の全長に亘って配設され
る1枚物に限らず、複数のスペーサを左右方向に所定間
隔離間して配設した構成を採用し得る。また、スペーサ
をドレンパンの一部分にのみ配設してもよい。
【0030】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係る除霜水
の強制蒸発機構では、除霜水の強制蒸発処理を行なうド
レンパンの底板に傾斜を設け、その傾斜上端近傍に加熱
ヒータを配設したので、水位が低い部位の除霜水を専ら
加熱して蒸発させることができ、効率的な蒸発処理が達
成される。また、加熱ヒータの配設位置より下方に温度
検知手段を配設することで、該ヒータの配設位置より除
霜水の水位が低い場合の温度上昇を容易に検知すること
ができ、加熱ヒータによる過剰加熱を防止し得る。更
に、ドレンパン内にスペーサを配設して毛細管現象を起
こす隙間を画成したことにより、加熱ヒータの熱が充分
に伝達されない位置の除霜水を随時加熱ヒータ近傍に移
動させて、より効率の良い除霜水処理を行なうことがで
きる。
【0031】前記加熱ヒータとして自律制御型のヒータ
を用いることにより、温度検知手段等の不具合による制
御が不能となった場合であっても、自律設定温度以上に
は上昇しないので、蒸発処理を安全的に継続可能であ
る。また、加熱ヒータを一定時間間隔毎にON制御する
ので、該ヒータを頻繁にON,OFFすることによる早
期の劣化を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施例に除霜水の強制蒸発機
構を採用した冷蔵ショーケースを示す斜視図である。
【図2】 実施例に係る冷蔵ショーケースを示す側断面
図である。
【図3】 実施例に係る冷蔵ショーケースを一部切欠い
て示す正面図である。
【図4】 実施例の蒸発器カバーおよびドレンパンを示
す斜視図である。
【図5】 実施例のドレンパンを示す断面図である。
【図6】 実施例に係る加熱ヒータの制御を示すフロー
チャート図である。
【図7】 別実施例に係るドレンパンを蒸発器カバーと
共に示す斜視図である。
【図8】 別実施例に係るドレンパンを蒸発器カバーと
共に示す縦断正面図である。
【図9】 別実施例に係るドレンパンを示す断面図であ
る。
【図10】 別実施例に係るスペーサにより画成される
隙間の毛細管現象を示す状態図である。
【図11】 従来の技術に係るショーケースを一部切欠
いて示す正面図である。
【図12】 従来の技術に係る蒸発器カバーおよびドレ
ンパンを示す斜視図である。
【図13】 別の従来の技術に係る蒸発器カバーおよび
ドレンパンを示す斜視図である。
【図14】 更に別の従来の技術に係る蒸発器カバーお
よびドレンパンを示す斜視図である。
【図15】 図14に示す従来の技術に係る排水受に貯
留される除霜水の状態を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
30 蒸発器,36 ドレンパン,36a 底板,38 加
熱ヒータ 40 サーミスタ(温度検知手段),52 スペーサ,5
4 隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 和彦 愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザキ 電機株式会社内 Fターム(参考) 3L048 AA01 AA02 AA08 CA02 CB03 CB05 DA03 DB05 EA01 EA04 FA02 GA02 GA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸発器(30)から発生した除霜水を貯留し
    て蒸発させる強制蒸発機構であって、 前記蒸発器(30)からの除霜水が貯留され、その底板(36
    a)が傾斜するドレンパン(36)と、 前記底板(36a)の外面における傾斜上端近傍に配設され
    た加熱ヒータ(38)と、 前記ドレンパン(36)における加熱ヒータ(38)の配設位置
    より下方に配設され、前記加熱ヒータ(38)を制御するた
    めの温度検知手段(40)とから構成したことを特徴とする
    除霜水の強制蒸発機構。
  2. 【請求項2】 前記底板(36a)の内面側には、前記加熱
    ヒータ(38)の配設位置から下方に延在するスペーサ(52)
    が、該底板(36a)に対して毛細管現象により下方の除霜
    水を加熱ヒータ(38)の配設側へ引上げ得る隙間(54)を画
    成した状態で配設されている請求項1記載の除霜水の強
    制蒸発機構。
  3. 【請求項3】 前記加熱ヒータ(38)は、自律制御可能な
    自律制御型のヒータである請求項1または2記載の除霜
    水の強制蒸発機構。
  4. 【請求項4】 前記加熱ヒータ(38)は、一定時間間隔毎
    に通電がONされると共に、前記温度検知手段(40)が設
    定温度を検知した際に通電がOFFされる請求項1,2
    または3記載の除霜水の強制蒸発機構。
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