JP2001143602A - 電界放出型冷陰極及びその製造方法 - Google Patents

電界放出型冷陰極及びその製造方法

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JP2001143602A
JP2001143602A JP32250199A JP32250199A JP2001143602A JP 2001143602 A JP2001143602 A JP 2001143602A JP 32250199 A JP32250199 A JP 32250199A JP 32250199 A JP32250199 A JP 32250199A JP 2001143602 A JP2001143602 A JP 2001143602A
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film layer
gate electrode
insulating film
cold cathode
field emission
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Hisashi Takemura
久 武村
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 絶縁膜とゲート配線のゲート開口を簡便に電
子放出特性を損なうことなく行える、カソード電極上に
形成された平坦な電子放出材料と絶縁膜を介して形成さ
れたゲート電極よりなる冷陰極装置とその製造方法を提
供する。 【解決手段】 基板上に形成されたカソード電極2、カ
ソード電極上に形成された電子放出材料3、電子放出材
料上に開口を有する絶縁膜4及び絶縁膜上に形成され電
子放出材料上に開口を有するゲート電極5よりなる電界
放出型冷陰極の製造方法で、電子放出材料層の上面部に
感光性特性を有する絶縁膜層と感光特性を有するゲート
電極膜層とを順次形成する工程(b)と、絶縁膜層及び
ゲート電極膜層の所望の領域を露光する工程(c)と、
現像処理により絶縁膜層及びゲード電極膜層をパターニ
ングする工程eとから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放出型冷陰極
及びその製造方法に関し、特に電子放出領域となるエミ
ッタ上部に開口を有する絶縁膜層およびゲート電極膜層
を有する電界放出型冷陰極及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電界放出型冷陰極はエミッタ
に電界をかけることにより、固体中から真空中に電子を
放出することができる。そこでエミッション電流制御に
ヒーターが必要な熱カソードに代わる電子銃として、近
年ディスプレイ応用などで注目されている。
【0003】特に微小な形状を有するコーン形状のエミ
ッタを用いる方法やダイヤモンドなどの材料で形成され
た平面状のエミッタを用いる方法が注目されている。
【0004】微小なコーン形状のエミッタを有する電界
放出型冷陰極は、半導体素子の微細加工技術が進展しミ
クロン以下の加工が可能になったことにより、容易にミ
クロンオーダーの微小電子源を形成することができるよ
うになっている。
【0005】しかしながら、微細加工技術を大面積のデ
ィスプレイ応用に適用するにはスループットなどの問題
があり簡略なプロセスで形成できる方法が求められてい
た。
【0006】一方、ダイヤモンドなどの平面型の電子放
出材料は先鋭なコーン形状を形成することなく電子を放
出できることが報告されており、簡便な工程で形成可能
であることから注目されている。
【0007】図4(a)から図4(e)は、従来に於け
る電界放出型冷陰極の工程手順の一例を示す断面図であ
る。
【0008】まず、図4(a)に示すように、シリコン
上に酸化膜を形成した基板、あるいはガラスよりなる基
板1上に例えば金属などの導電性材料よりなるカソード
電極2を堆積し、さらに電子放出材料3を堆積する。
【0009】次に図4(b)に示すように、カソード電
極2および電子放出材料3を所望の配線パターンに通常
のフォトリソグラフィ技術で加工する。ついでシリコン
酸化膜などよりなる絶縁膜8を堆積する。
【0010】次に図4(c)に示すように、絶縁層8上
にゲート電極9を堆積する。
【0011】次に図4(d)に示すように、所望の配線
パターンにゲート電極9をフォトリソグラフィ技術によ
り加工し、更にレジスト10を塗布しフォトリソグラフ
ィ技術によりゲート開口のマスクとなるレジスト10を
加工し電子放出材料上に開口を有するマスクを形成す
る。次にレジスト10の開口に露出したゲート電極9を
異方性のイオンエッチング技術により除去する。
【0012】次に図4(e)に示すように、異方性のイ
オンエッチングにより絶縁膜8に開口を形成し、電子放
出材料3を露出させる。これにより、平坦膜よりなる電
子放出材料のエミッタを有する冷陰極が形成できる。こ
のような平坦膜のエミッタでは、コーン形状のエミッタ
形成工程が必要でなく工程を簡略化できる利点がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上記した
従来技術に於いては、電子放出材料よりなるエミッタ上
に絶縁膜を形成した後、エミッタ上に開口を形成する方
法で、エッチングによる衝撃でエミッタ表面が変質しエ
ミッション特性が変化するという問題点がある。
【0014】ここでいう変質とは、エミッタ先端の電子
放出点の形状が鈍化することにより電界集中度が低減し
エミッションが低下する現象と、エミッタ先端の例えば
低仕事関数の領域が除去され高仕事関数材料が露出す
る、あるいは低仕事関数領域上に高仕事関数の材料が付
着することによりエミッションが低下する現象のことで
ある。
【0015】これはエミッタ上の絶縁膜に開口を形成す
る際に、絶縁膜のエッチィング工程でエミッタ表面もエ
ッチィングにさらされるためにエミッタ材料もエッチィ
ングの影響を受けるために生じるのである。
【0016】特に、絶縁膜の膜厚が厚い場合にドライエ
ッチングにより開口を形成する場合は、スループットを
あげるためにパワーを上げエッチングレートを上げる
と、より顕著にこの問題は生じることとなる。
【0017】例えばこの電界放出型冷陰極をディスプレ
イなどに応用した際は、これによりエミッション特性が
ばらつくこととなり、ディスプレイの均一性の障害にな
る。
【0018】又、絶縁膜に開口を設けるためにエッチン
グを用いるとスループットの問題や上記のような問題が
発生するために、絶縁膜に感光性の特性を持たせ現像処
理で開口を形成する方法も有る。
【0019】しかしながら、上面にゲート電極を形成す
る必要があるために、ゲート電極形成後に開口を形成し
ようとすると現像処理後の加熱工程で発生する絶縁膜の
収縮により、ゲート電極が変形する問題が発生する。
【0020】また、絶縁膜の開口後にゲート電極を形成
すると絶縁膜厚が厚いために、開口内のゲート電極を除
去し電子放出材料を露出させるために追加工程が必要と
なりコストが増加するという問題が生じていた。
【0021】さらにゲート電極と絶縁膜に開口を設ける
フォトリソグラフィの工程を分ける必要が有るためにゲ
ート開口を自己整合的に形成できず、ゲート電極と絶縁
膜の開口がずれるために開口マージンが必要であり、微
細化に障害となっていた。
【0022】一方、特開平7−192609号公報に
は、電界放出型電子放出素子に関して記載されている
が、絶縁膜層及びゲート電極膜層に感光性材を含む材料
を使用する技術に関しては開示が無い。
【0023】更に、特開平7−320636号公報に
は、フォトレジストを使用して、エッチング処理する電
子放出素子の製造方法に関して記載されてはいるが、絶
縁膜層及びゲート電極膜層に感光性材を含む材料を使用
する技術に関しては開示が無い。
【0024】又、特開平10−31954号公報にも、
特開平7−320636号公報と同様にフォトレジスト
を使用して、エッチング処理する電子放出素子の製造方
法に関して記載されてはいるが、絶縁膜層及びゲート電
極膜層に感光性材を含む材料を使用する技術に関しては
開示が無い。
【0025】従って、本発明の目的は、エミッタ形成後
に絶縁膜層を形成する電界放出型冷陰極の製造方法にお
いて、絶縁膜層のエッチング工程に於て、当該エミッタ
用の電子放出材料層表面がアタックされて変質する事を
抑制し、エミッションの均一性、再現性の高い電界放出
型冷陰極を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を
達成するため、以下に記載されたような技術構成を採用
するものである。
【0027】即ち、本発明に係る第1の態様としては、
基板上に形成されたカソード電極膜層、当該カソード
電極膜層上に形成された電子放出材料層、当該電子放出
材料層上に開口を有する絶縁膜層及び当該絶縁膜層上に
形成され当該電子放出材料層上に開口を有するゲート電
極膜層よりなる電界放出型冷陰極であって、少なくとも
当該絶縁膜層及び当該ゲート電極膜層は、感光性特性を
有している電界放出型冷陰極であり、又、本発明に係る
第2の態様としては、基板上に形成されたカソード電
極、当該カソード電極上に形成された電子放出材料、当
該電子放出材料上に開口を有する絶縁膜及び当該絶縁膜
上に形成され当該電子放出材料上に開口を有するゲート
電極よりなる電界放出型冷陰極の製造方法において、当
該電子放出材料層の上面部に感光性特性を有する当該絶
縁膜層と感光性特性を有する当該ゲート電極膜層とを順
次形成する工程と、当該絶縁膜層および当該ゲート電極
膜層の所望の領域を露光する工程と、現像処理により当
該絶縁膜層及びゲート電極膜層をパターニングする工程
とから構成されている電界放出型冷陰極の製造方法であ
る。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明に係る当該電界放出型冷陰
極及び電界放出型冷陰極の製造方法は、上記した様な技
術構成を採用しているので、特に、ゲート電極配線のゲ
ート電極膜層の開口と絶縁膜層の開口のためのエッチン
グ工程が不要となり、さらに、ゲート電極膜層の開口部
と絶縁膜層の開口が自己整合的に形成できるため、簡略
にゲート電極膜層の開口部を形成できる利点がある。さ
らに、エッチングで絶縁膜層に開口を形成しないため
に、電子放出領域上をアタックされることが無く電子放
出が場所により変化することはないと言う利点が有る。
【0029】
【実施例】以下に、本発明に係る電界放出型冷陰極及び
その製造方法の一具体例の構成を図面を参照しながら詳
細に説明する。
【0030】即ち、図1(e)は、本発明に係る当該電
界放出型冷陰極の一具体例の構成を示す断面図であっ
て、図中、基板1上に形成されたカソード電極膜層2、
当該カソード電極膜層2上に形成された電子放出材料層
3、当該電子放出材料層3上に電子放出領域を形成する
開口部7を有する絶縁膜層8及び当該絶縁膜層8上に形
成され当該電子放出材料層3上にも開口部7を有するゲ
ート電極膜層9よりなる電界放出型冷陰極100であっ
て、少なくとも当該絶縁膜層8及び当該ゲート電極膜層
9には、感光性材料が含まれている電界放出型冷陰極1
00が示されている。
【0031】本発明に係る当該電界放出型冷陰極100
に於て、当該基板は、ガラス基板であっても良く又、シ
リコン基板であっても良い。
【0032】特に当該基板としてシリコン基板を使用す
る場合には、その表面は適宜の絶縁膜で被覆されている
ものである事が望ましい。
【0033】一方、本発明に於いて使用される当該カソ
ード電極膜層2は、特に限定されるものではないが、例
えば、ニッケル、白金、タングステン、クロム、アルミ
等の金属、或いは導電性のシリコンなどよりなる導電性
の材料を使用する事が可能である。
【0034】又、本発明に於いて使用される当該電子放
出材料層3も特にその材料が特定されるものでは無い
が、例えばダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン
(DLC)或いはカーボンナノチューブのような材料を
使用する事が可能である。
【0035】更に、本発明に於いて使用される当該絶縁
膜層8及び当該ゲート電極膜層9には、それぞれの膜層
8、9を構成する主たる構成材料内に、適宜の感光性材
料が混入されている事が望ましい。
【0036】当該感光性材料としては特に限定されるも
のではなく、従来周知である、特定の光波長に対して感
光感度を有するものが使用される。
【0037】当該感光性材料としては、例えばペースト
状に形成されていても良く、当該絶縁膜層8がガラスで
あって、当該ガラス基板内に当該感光性材料の一つが、
ペースト状で混入、混在せしめられているもので有って
も良い。
【0038】同様に、当該ゲート電極膜層9に銀が使用
される場合に於いては、当該銀中に当該感光性材料の一
つが、ペースト状で混入、混在せしめられているもので
有っても良い。
【0039】更に、本発明に係る当該電界放出型冷陰極
100に於て、当該電子放出材料層3の表面は、略平坦
であるが微細な凹凸が複数形成されている事が望まし
い。
【0040】以下に本発明に係る当該電界放出型冷陰極
100のより詳細な具体例を図1及び図2を参照しなが
ら説明する。
【0041】先ず、本発明に係る当該電界放出型冷陰極
100の使用例を図2に示す。
【0042】即ち、本発明に係る電界放出型冷陰極10
0は、図2の平面図に示す様に、個々の電界放出型冷陰
極100がマトリックス状に配列されて、例えば画像情
報を検出するとか画像情報を表示する装置として使用さ
れるものであって、図中、A−B線で見た断面図が、前
記した図1(e)の断面図に相当する。
【0043】つまり、本具体例に於いては、2のように
ゲート電極5とカソード電極2の交点にゲート電極の開
口部が形成され電子放出領域7が形成されている。
【0044】本具体例ではカソード電極2上に電子放出
材料3を直接的に且つ全面的に形成されている例を示し
たが、本発明はこれに限られるものでは無く、例えばゲ
ート電極5の開口の電子放出領域7内に電子放出材料3
が局所的に配置されていても構わない。
【0045】その場合には、ゲート電極5の開口を形成
後に電子放出材料3をゲート電極開口内の電子放出領域
7内に選択的に形成する方法も可能である。
【0046】この選択的な形成方法としては、エッチン
グによるパターニングや、リフトオフ法、選択的なCV
D法などが有る。
【0047】或いは、上記具体例に於ける当該ゲート電
極膜層5を介して当該カソード電極膜層2と反対側にア
ノード電極を設ける事も可能であり、更には、当該アノ
ード電極と当該ゲート電極膜層5との間に蛍光板を配置
する事も可能である。
【0048】本発明に係る当該電界放出型冷陰極100
の製造方法としては、例えば、カソード電極2と、カソ
ード電極2上に形成された電子放出材料3と電子放出材
料3上に開口を有する絶縁膜4と絶縁膜4上に形成され
電子放出材料3上に開口を有するゲート電極5よりなる
電界放出型冷陰極の製造方法において、感光性の特性を
有する絶縁膜4と感光性の特性を有するゲート電極5を
順次形成する工程と、絶縁膜4およびゲート電極5の所
望の領域を露光する工程と、現像処理により絶縁膜4及
びゲート電極5をパターニングする工程を有しているも
のである。
【0049】さらに本発明に於ては、ゲート電極5と絶
縁膜4を同時に露光する工程と、現像処理する工程を有
している事も望ましく、さらにはゲート電極5と絶縁膜
4の感光特性が同じ波長に露光感度を有し、それにより
同時に又は異なる工程で、ゲート開口を形成する様に構
成されているものであっても良い。
【0050】或いは、当該ゲート電極5と絶縁膜4の感
光特性が異なる波長に露光感度を有し、ゲート開口とゲ
ート配線加工工程を同時に行う工程を有しているもので
あっても良い。
【0051】さらには、ゲート電極5と絶縁膜4が塗布
形成される工程と現像処理後に加熱処理される工程を有
し、加熱処理工程でのゲート電極5と前記絶縁膜4の収
縮率がほぼ同じとなる様に構成する事も可能である。
【0052】次に、本発明に係る当該電界放出型冷陰極
100の製造方法の一具体例について図面を参照して説
明する。
【0053】図1(a)〜(e)は本発明の第1の具体
例の工程順断面図である。
【0054】図1(a)において、基板1として例えば
ガラス基板を用意する。基板はこれに限ったものではな
く例えば絶縁膜層で覆われたシリコン基板でも良い。
【0055】この基板1の上にカソード電極2となる金
属、例えばニッケル、白金、タングステン、クロム、ア
ルミ、導電性のシリコンなどよりなる導電性の材料層
を、例えば200nm厚にCVD法あるいはスパッタ法
などの方法で形成する。
【0056】さらに、例えばダイヤモンドなどの電子放
出材料3をCVD法などの方法により100nmから5
μmの膜厚に堆積する。
【0057】ここでCVD法によるダイヤモンド形成の
一例としては熱フィラメントCVD法がある。
【0058】この工程で形成条件をCH/H
量比が5%以下、ガス圧が15〜25Torr、成長時
の基板温度を800℃から900℃とすることにより、
図1(a)のようにカソード電極上には連続膜であるダ
イヤモンドよりなる電子放出材料3が形成される。
【0059】ここではダイヤモンドを形成した条件を示
したがCVD成長時のCH/H 流量比が50%
〜70%、ガス圧が5〜10Torr、成長時の基板温
度を400度から650度とする事によりダイヤモンド
ライクカーボン(DLC)をこのように形成することも
可能である。
【0060】また、カーボンナノチューブのような電子
放出材料を塗布することによって形成することも可能で
ある。
【0061】次いで、図1(b)に示すように、カソー
ド電極2および電子放出材料3を通常のフォトリソグラ
フィ法により加工しカソード配線2をパターニングした
後、感光性の特性を有するガラスペーストよりなる絶縁
膜層4を1μm〜50μmなどの膜厚に形成し、さらに
同様の感光性の特性を有する例えば銀ペーストを塗布し
たゲート電極5を約0.2μm〜5μm膜厚に堆積す
る。
【0062】絶縁膜層4はこの実施例ではガラスで説明
しているが、これに限ったものではなく感光性の特性を
有した絶縁性の材料で有れば例えばポリイミドなど他の
材料でも構わない。また、ゲート電極5の材料も導電性
材料として銀を利用した例を示したが、これに限ったの
ではなく他の導電性材料でも構わない。
【0063】次に図1(c)に示すように、ゲート電極
膜層5および絶縁膜層4のゲート開口予定領域7に露光
6を施す。この露光6は感光性のゲート電極膜層5およ
び絶縁膜層4の感光感度のある波長領域で露光可能な通
常の装置で行えばよい。
【0064】次に図1(d)に示すように、現像処理を
行うことによりゲート電極膜層5および絶縁膜層4の所
望領域7に開口を形成する。
【0065】その後、120℃から650℃の加熱処理
を行うことにより、ゲート電極膜層5および絶縁膜層4
を焼きしめる。ここで形成されたゲート電極膜層5の開
口が電子放出領域7となる。
【0066】次に図1(e)に示すように、フォトリソ
グラフィ法によりゲート電極膜層5をパターニングしゲ
ート配線20を分離させ冷陰極装置100が形成でき
る。
【0067】ここで、ゲート電極膜層5の配線工程はゲ
ート開口形成後に行った例を示したが、これはゲート開
口形成前に配線形成の加工を施しても構わない。
【0068】その場合には、ゲート電極膜層5の形成工
程(図1(b))においてスクリーン印刷法によりゲー
ト配線塗布と同時にパターニングする方法が簡便で有効
な方法の一つである。
【0069】このように、ゲート電極膜層5と絶縁膜層
4とを同時に現像処理により開口を形成することによ
り、開口形成時に電子放出材料3の表面をドライエッチ
ングにさらすことが無いためにエミッションの電子放出
点が受けるダメージを抑制することが可能となる。
【0070】さらに、厚い絶縁膜に開口を形成する場合
でも現像処理工程だけで形成できエッチング工程を削除
できるために、スループット向上にも効果がある。さら
にはゲート配線と絶縁膜のゲート開口を同時に形成でき
るため、ゲート開口が自己整合的に形成でき位置合わせ
精度の向上といった利点も有る。
【0071】次に、本発明に係る当該電界放出型冷陰極
100の製造方法の第2の具体例を図3を参照しながら
説明する。
【0072】即ち、図3(a)〜(e)は、本発明に係
る当該電界放出型冷陰極100の製造方法の第2の具体
例の工程順断面図である。
【0073】図3(a)において、基板1として例えば
ガラス基板を用意する。基板はこれに限ったものではな
く例えば絶縁膜で覆われたシリコン基板でも良い。
【0074】この基板1の上にカソード電極2となる金
属、例えばニッケル、白金、タングステン、クロム、導
電性のシリコンなどよりなる導電性の材料層を、例え
ば、200nm厚にCVD法あるいはスパッタ法などの
方法で形成する。
【0075】さらに、例えばダイヤモンドなどの電子放
出材料3をCVD法などの方法により100nmから5
μmの膜厚に堆積する。
【0076】ここでCVD法によるダイヤモンド形成の
一例としては熱フィラメントCVD法がある。この工程
で形成条件をCH/H流量比が5%以下、ガス
圧が15〜25Torr、成長時の基板温度を800℃
から900℃とすることにより、カソード電極上には連
続膜であるダイヤモンドよりなる電子放出材料3が形成
される。
【0077】ここではダイヤモンドを形成した条件を示
したが、CVD成長時のCH/H 流量比が50
%〜70%、ガス圧が5〜10Torr、成長時の基板
温度を400度から650度とする事によりダイヤモン
ドライクカーボン(DLC)をこのように形成すること
も可能である。
【0078】また、カーボンナノチューブのような電子
放出材料を塗布することによって形成することも可能で
ある。
【0079】次いで、図3(b)に示すように、カソー
ド電極2および電子放出材料3を通常のフォトリソグラ
フィ法により加工しカソード配線2をパターニングした
後、第1の波長領域、例えば350nmに感光性の特性を
有するガラスペーストよりなる絶縁膜層41を1μm〜
50μmなどの膜厚に形成し、さらに第2の波長領域例
えば450nmに感光性の特性を有する例えば銀ペースト
を塗布したゲート電極膜層5を約0.2μm〜5μm膜
厚に堆積する。
【0080】ここで第1の波長領域と第2の波長領域と
はほとんど重ならない波長領域になっている。絶縁膜層
4はこの実施例ではガラスで説明しているが、これに限
ったものではなく感光性の特性を有した絶縁性の材料で
有れば例えば有機絶縁膜など他の材料でも構わない。
【0081】また、ゲート電極膜層51の材料も導電性
材料として銀を利用した例を示したが、これに限ったの
ではなく他の導電性材料でも構わない。
【0082】次に図3(c)に示すように、第1の波長
領域と第2の波長領域での露光61をゲート電極膜層5
および絶縁膜層4のゲート開口予定領域7に行う。
【0083】さらに、第2の波長領域での露光62をゲ
ート配線形成領域21に行う。
【0084】次に図3(d)に示すように、現像処理を
行うことによりゲート電極膜層51および絶縁膜層41
の所望領域に開口7が形成されるとともにゲート電極膜
層51の配線パターン20が形成される。
【0085】その後、120℃から650℃の加熱処理
を行うことにより、ゲート電極膜層51および絶縁膜層
41を焼きしめる。ここで形成されたゲート電極膜層5
1の開口内が電子放出領域7となる。
【0086】このように、ゲート電極膜層51と絶縁膜
層41の感光する波長領域を変えることにより、1回の
現像処理でゲート配線のパターニングと電子放出領域を
露出させるゲート開口のパターニングを同時にできる利
点がある。
【0087】このように、感光性の材料を絶縁膜層とゲ
ート電極膜層材料に用いることにより容易に数μm以上
の膜厚の絶縁膜を有する電界放出型冷陰極が形成でき
る。この場合、現像後に加熱処理を行い有機成分を焼成
し絶縁膜の絶縁性を高めるとともに膜中からの脱ガスを
防止する必要がある。
【0088】この加熱処理の工程では膜から溶剤が放出
されるために膜が収縮する。そこで膜収縮によるゲート
配線と絶縁膜の収縮率をほぼ合わせることにより、焼成
時の膜剥がれやクラックの発生を防止できる。このよう
に収縮率を合わせるためには、ゲート配線と絶縁膜用の
塗布膜中の固形成分と溶剤成分の比をほぼ同じようにす
ることで収縮率を合わせることが可能となる。
【0089】以上の説明から明らかな様に、本発明に係
る当該電界放出型冷陰極の製造方法の基本的な構成とし
ては、基板上に形成されたカソード電極、当該カソード
電極上に形成された電子放出材料、当該電子放出材料上
に開口を有する絶縁膜及び当該絶縁膜上に形成され当該
電子放出材料上に開口を有するゲート電極よりなる電界
放出型冷陰極の製造方法において、当該電子放出材料層
の上面部に感光性特性を有する当該絶縁膜層と感光性特
性を有する当該ゲート電極膜層とを順次形成する工程
と、当該絶縁膜層および当該ゲート電極膜層の所望の領
域を露光する工程と、現像処理により当該絶縁膜層及び
ゲート電極膜層をパターニングする工程とから構成され
ている電界放出型冷陰極の製造方法である。
【0090】そして、上記本発明に係る電界放出型冷陰
極の製造方法に於いては、当該ゲート電極膜層と当該絶
縁膜層を同時に露光する工程と、現像処理する工程を有
していることも好ましく、又、当該ゲート電極膜層と当
該絶縁膜層の感光特性が同じ波長領域に露光感度を有し
ていることも望ましい。
【0091】更には、本発明に於いては、当該ゲート電
極膜層と当該絶縁膜層が塗布形成される工程と当該絶縁
膜層および当該ゲート電極膜層の所望の領域を露光現像
処理する工程と当該ゲート電極膜層と当該絶縁膜層とを
現像処理後に加熱処理する工程とを有し、当該加熱処理
工程での当該ゲート電極膜層と当該絶縁膜層の収縮率が
ほぼ同じとなる様に処理する様に構成する事も望まし
い。
【発明の効果】以上説明したように本発明の電界放出型
冷陰極の製造方法は、ゲート配線と絶縁膜を感光性の特
性を有する材料で形成することにより、ゲート配線のゲ
ート開口と絶縁膜の開口のためのエッチング工程が不要
となり、さらに、ゲート電極の開口部と絶縁膜の開口が
自己整合的に形成できるため、簡略にゲート開口を形成
できる利点がある。さらに、エッチングで絶縁膜に開口
を形成しないために、電子放出領域上をアタックされる
ことが無く電子放出が場所により変化することはない利
点が有る。
【0092】これは、感光性の特性を有するゲート配線
及び絶縁膜でゲート開口を形成することによりエッチン
グ工程が不要となるばかりでなく、ゲート配線と絶縁膜
のパターニングを同時に行うことにより工程の短縮と電
子放出面の保護を可能とし電子放出特性をゲート開口に
より損なうことなく可能となる。
【0093】また、ゲート配線のパターニングとゲート
開口のためのゲート配線と絶縁膜のパターニングをゲー
ト配線の露光波長域と絶縁膜の露光波長域とを変えた設
定とする事により従来配線工程とゲート開口の工程を分
けて行っていた製造方法から配線工程とゲート開口の工
程を同時に行い工程の短縮を行うことが可能となった。
【0094】このように、ゲート配線と絶縁膜のゲート
開口を1回の露光で行うことにより、ゲート配線と絶縁
膜の開口が自己整合的に形成され、従来の感光性材料を
用いた絶縁膜形成に比較して、工程の短縮ばかりで無く
位置合わせ精度の向上といった利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の具体例の電界放出型冷
陰極の製造方法を示す工程順断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の具体例の電界放出型冷
陰極の模式的平面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の具体例の電界放出型冷
陰極の製造方法を示す工程順断面図である。
【図4】図4は、従来例の電界放出型冷陰極の製造方法
を示す工程順断面図である
【符号の説明】
1…基板 2…カソード電極 3…電子放出材料 4、41、8…絶縁膜層 5、51、9…ゲート電極膜層 6…露光領域 61…第1露光領域 62…第2露光領域 7…電子放出領域 10…レジスト 20…配線層 21…露光領域 100…電界放出型冷陰極

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成されたカソード電極膜層、
    当該カソード電極膜層上に形成された電子放出材料層、
    当該電子放出材料層上に開口を有する絶縁膜層及び当該
    絶縁膜層上に形成され当該電子放出材料層上に開口を有
    するゲート電極膜層よりなる電界放出型冷陰極であっ
    て、少なくとも当該絶縁膜層及び当該ゲート電極膜層
    は、感光性特性を有している事を特徴とする電界放出型
    冷陰極。
  2. 【請求項2】 当該絶縁膜層及び当該ゲート電極膜層に
    は、それぞれの膜層の構成材料内に感光性材料が混入さ
    れている事を特徴とする請求項1記載の電界放出型冷陰
    極。
  3. 【請求項3】 当該電子放出材料層の表面は、略平坦で
    あるが微細な凹凸が複数形成されている事を特徴とする
    請求項1又は2に記載の電界放出型冷陰極。
  4. 【請求項4】 基板上に形成されたカソード電極、当該
    カソード電極上に形成された電子放出材料、当該電子放
    出材料上に開口を有する絶縁膜及び当該絶縁膜上に形成
    され当該電子放出材料上に開口を有するゲート電極より
    なる電界放出型冷陰極の製造方法において、当該電子放
    出材料層の上面部に感光性特性を有する当該絶縁膜層と
    感光性特性を有する当該ゲート電極膜層とを順次形成す
    る工程と、当該絶縁膜層および当該ゲート電極膜層の所
    望の領域を露光する工程と、現像処理により当該絶縁膜
    層及びゲート電極膜層をパターニングする工程とから構
    成されていることを特徴とする電界放出型冷陰極の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 当該ゲート電極膜層と当該絶縁膜層を同
    時に露光する工程と、現像処理する工程を有しているこ
    とを特徴とする請求項4記載の電界放出型冷陰極の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 当該ゲート電極膜層と当該絶縁膜層の感
    光特性が同じ波長領域に露光感度を有していることを特
    徴とする請求項4又は5に記載の電界放出型冷陰極の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 当該ゲート電極膜層と当該絶縁膜層の感
    光特性が異なる波長領域に露光感度を有していることを
    特徴とする請求項4又は5に記載の電界放出型冷陰極の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 当該ゲート電極膜層と当該絶縁膜層を個
    別に露光する工程と、現像処理する工程を有しているこ
    とを特徴とする請求項4又は7に記載の電界放出型冷陰
    極の製造方法。
  9. 【請求項9】 当該絶縁膜層及び当該ゲート電極膜層に
    は、それぞれの膜層の構成材料内に感光性材料を混入せ
    しめる事を特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載の
    電界放出型冷陰極の製造方法。
  10. 【請求項10】 当該ゲート電極膜層と当該絶縁膜層が
    塗布形成される工程と当該絶縁膜層および当該ゲート電
    極膜層の所望の領域を露光現像処理する工程と当該ゲー
    ト電極膜層と当該絶縁膜層とを現像処理後に加熱処理す
    る工程とを有し、当該加熱処理工程での当該ゲート電極
    膜層と当該絶縁膜層の収縮率がほぼ同じとなる様に処理
    することを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の
    電界放出型冷陰極の製造方法。
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