JP2001140190A - アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤、並びに当該サイズ剤を含有する紙 - Google Patents

アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤、並びに当該サイズ剤を含有する紙

Info

Publication number
JP2001140190A
JP2001140190A JP31356499A JP31356499A JP2001140190A JP 2001140190 A JP2001140190 A JP 2001140190A JP 31356499 A JP31356499 A JP 31356499A JP 31356499 A JP31356499 A JP 31356499A JP 2001140190 A JP2001140190 A JP 2001140190A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sizing agent
succinic anhydride
alkenyl succinic
meth
asa
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP31356499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4359908B2 (ja
Inventor
Yasuhide Yoshimoto
康秀 吉本
Yoshiharu Hashiguchi
芳春 橋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Harima Chemical Inc
Original Assignee
Harima Chemical Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Harima Chemical Inc filed Critical Harima Chemical Inc
Priority to JP31356499A priority Critical patent/JP4359908B2/ja
Publication of JP2001140190A publication Critical patent/JP2001140190A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4359908B2 publication Critical patent/JP4359908B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルケニルコハク酸無水物(ASA)系の水性
エマルションサイズ剤において、乳化安定性を向上し、
優れたサイズ性を紙に付与する。 【解決手段】 ASAと両性(メタ)アクリルアミドポリ
マー水溶液を、複数の環状体が乳化機本体側に同心状に
固定されたステータと、複数の環状体が乳化機の回転軸
側に同心状に固定されたロータとから構成される高剪断
型回転式乳化機に通して、上記ステータとロータの各環
状体間で生じる高剪断力により、ASAを水中に乳化分
散したASA系エマルションサイズ剤である。ASAと
両性ポリマー水溶液を高剪断型回転式乳化機を通して乳
化分散すると、乳化物は適度な乳化粒子径と比較的狭い
範囲の粒度分布などを具備するため、少量のサイズ剤の
使用によっても、抄紙系の汚れを少なくでき、紙に高サ
イズ性を付与できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルケニルコハク酸
無水物系エマルションサイズ剤、並びに当該サイズ剤を
含有する紙に関して、中性域で紙を製造する際の抄紙系
の汚れを低減し、少量で効率良く紙にサイズ性を付与で
きるサイズ剤、並びに当該サイズ剤を用いた中性抄造紙
を提供する。
【0002】
【発明の背景】近年、紙の保存中の劣化を防止する見地
から、中性紙への製造指向が強まって来た。従来、中性
紙の製造に用いるサイズ剤としては、アルケニルコハク
酸無水物やアルキルケテンダイマー(AKD)系が常用さ
れているが、AKD系サイズ剤は抄紙系の汚れ、紙の滑
り、或はサイズ性の立ち上がりが遅いなどの問題が依然
として残っている。また、最近の中性ロジン系サイズ剤
を用いる方法では、抄造系のpHが7.0以上の場合、
或は填料として炭酸カルシウムを多用する場合に、高サ
イズ性が得にくいという問題が少し残っている。
【0003】
【従来の技術】一方、アルケニルコハク酸無水物系のサ
イズ剤を使用した抄造方法には様々な従来技術がある。
先ず、特公昭53−36044号公報には、アルケニル
コハク酸無水物を添加直前に、ポリオキシアルキレンア
ルキル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテ
ル、或は相当するモノ又はジエステルなどの乳化剤で乳
化分散して水性エマルションを製造し、抄紙系に添加す
る方法が開示されている。
【0004】また、アルケニルコハク酸無水物の乳化剤
にカチオン性ポリマーを使用する従来技術としては、特
開昭60−246893号公報に、少なくとも1万の分
子量を有する水溶性カチオンのビニル付加重合体をカチ
オン性ポリマーとする方法が、特公平6−33597号
公報に、カチオン性の(メタ)アクリルアミド系ポリマー
を油中水型界面活性剤と共に使用する方法が、特開平9
−111692号公報に、(メタ)アクリルアミドを含む
モノマー類をグラフト重合させたグラフト化カチオン澱
粉をカチオン性ポリマーとする方法が夫々開示されてい
る。
【0005】さらに、アルケニルコハク酸無水物を乳化
分散するために両性ポリマーを使用する従来技術として
は、特公平3−4247号公報に、特定の両性アクリル
アミド系ポリマーとカチオン性澱粉との混合物の存在下
にアルケニルコハク酸無水物を水中に乳化分散し、得ら
れたエマルションを用いて中性抄造する方法が開示さ
れ、特開昭58−45731号公報、特公平6−723
95号公報、特開平6−116894号公報、特開平6
−128896号公報、或は特開平6−166985号
公報に、同じく両性アクリルアミド系ポリマーとポリオ
キシエチレンアルキルエーテルサルフェート等の界面活
性剤との存在下に、アルケニルコハク酸無水物を水中に
乳化分散する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の方法で
は、アルケニルコハク酸無水物の組成の不適合やカチオ
ン性ポリマーのカチオン種、その含有量と界面活性剤の
存在、或は、アルケニルコハク酸無水物とカチオン性ポ
リマーとの乳化方法の不適合などの理由により、当該従
来技術のアルケニルコハク酸無水物系サイズ剤を少量用
いて抄紙しても、高いサイズ性の紙は得られず、サイズ
性を高めるためにサイズ剤の添加量を増すと、抄紙系の
汚れを引き起こしてしまう。また、これらのアルケニル
コハク酸無水物の乳化物は安定性が悪く、乳化後に加水
分解を起こし易くて、加水分解したサイズ剤によって抄
紙系の汚れが増すなどの問題がある。
【0007】本発明は、アルケニルコハク酸無水物系の
水性エマルションサイズ剤において、乳化安定性を向上
して、中性域での抄紙系の汚れを低減し、優れたサイズ
性を紙に付与することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、第一に、
アルケニルコハク酸無水物と両性(メタ)アクリルアミド
ポリマー水溶液を特定の機種の回転式乳化機で乳化分散
すると、適正な平均粒子径の乳化物が得られて、抄紙系
の汚れを低減し、サイズ性を高められること、第二に、
アルケニルコハク酸無水物と両性(メタ)アクリルアミド
ポリマー水溶液の両者を特定種に限定したうえで乳化分
散すると、乳化機種の選別を離れた場合でも、乳化安定
性とサイズ性の両方を良好に確保できることなどを見い
出して、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明1は、アルケニルコハク酸無
水物と両性(メタ)アクリルアミドポリマー水溶液を高剪
断型回転式乳化機に通して得られるアルケニルコハク酸
無水物系エマルションサイズ剤において、上記高剪断型
回転式乳化機は、複数の環状体が乳化機本体側に同心状
に固定されたステータと、複数の環状体が乳化機の回転
軸側に同心状に固定されたロータとから構成され、ステ
ータとロータの複数の環状体同士が互い違いの積層状に
嵌挿して対向配置されて、当該高剪断型回転式乳化機の
ステータと高速回転するロータの各環状体間で生じる高
剪断力により、アルケニルコハク酸無水物を水中に乳化
分散することを特徴とするアルケニルコハク酸無水物系
エマルションサイズ剤である。
【0010】本発明2は、上記本発明1のアルケニルコ
ハク酸無水物が、炭素数16のα−位より内部に二重結
合を有する内部オレフィン60〜85重量%と炭素数1
8の上記内部オレフィン40〜15重量%から成る混合
オレフィンに、無水マレイン酸を付加させたものである
ことを特徴とするアルケニルコハク酸無水物系エマルシ
ョンサイズ剤である。
【0011】本発明3は、上記本発明1又は2におい
て、両性(メタ)アクリルアミドポリマーが、第4級アン
モニウム基含有カチオン性(メタ)アクリルアミド3.0
〜5.0モル%と、α,β−不飽和ジカルボン酸0.2〜
3.0モル%と、(メタ)アクリルアミド92.0〜96.
8モル%より成る混合モノマーの共重合体であることを
特徴とするアルケニルコハク酸無水物系エマルションサ
イズ剤である。
【0012】本発明4は、アルケニルコハク酸無水物と
両性(メタ)アクリルアミドポリマー水溶液を含有するア
ルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤におい
て、アルケニルコハク酸無水物が、炭素数16のα−位
より内部に二重結合を有する内部オレフィン60〜85
重量%と炭素数18の上記内部オレフィン40〜15重
量%から成る混合オレフィンに、無水マレイン酸を付加
させたものであり、両性(メタ)アクリルアミドポリマー
が、第4級アンモニウム基含有カチオン性(メタ)アクリ
ルアミド3.0〜5.0モル%と、α,β−不飽和ジカル
ボン酸0.2〜3.0モル%と、(メタ)アクリルアミド9
2.0〜96.8モル%より成る混合モノマーの共重合体
であることを特徴とするアルケニルコハク酸無水物系エ
マルションサイズ剤である。
【0013】本発明5は、上記本発明1〜4のいずれか
において、アルケニルコハク酸無水物中に含有される高
分子量の副生物が1重量%以下であることを特徴とする
アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤であ
る。
【0014】本発明6は、上記本発明1〜5のいずれか
において、界面活性剤の不存在下で、アルケニルコハク
酸無水物100重量部に対して、両性(メタ)アクリルア
ミド系ポリマー水溶液を固形分として10〜50重量部
含有することを特徴とするアルケニルコハク酸無水物系
エマルションサイズ剤である。
【0015】本発明7は、上記本発明1〜6のいずれか
において、エマルションの平均粒子径が0.7〜1.3μ
mであることを特徴とするアルケニルコハク酸無水物系
エマルションサイズ剤である。
【0016】本発明8は、上記本発明1〜7のいずれか
のアルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤と
炭酸カルシウムをパルプスラリーに含有させて、湿式抄
造した紙である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、第一に、アルケニルコ
ハク酸無水物と両性(メタ)アクリルアミドポリマー水溶
液を高剪断型回転式乳化機に通して得たアルケニルコハ
ク酸無水物系エマルションサイズ剤であり、第二に、所
定の混合オレフィンに無水マレイン酸を反応させた特定
のアルケニルコハク酸無水物と、第4級アンモニウム基
含有カチオン性(メタ)アクリルアミド及びα,β−不飽
和ジカルボン酸などを共重合させた特定の両性(メタ)ア
クリルアミドポリマー水溶液とを含有するアルケニルコ
ハク酸無水物系エマルションサイズ剤であり、第三に、
これらのサイズ剤を内添サイズ剤として含有する紙であ
る。尚、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドとメ
タクリルアミドの両方を包含する上位概念である。
【0018】上記アルケニルコハク酸無水物(ASA)
は、各種オレフィン類(プロピレン、ブテンのオリゴマ
ーなどを含む)に無水マレイン酸を付加反応させたもの
であり、具体的には、ヘキサデセニルコハク酸無水物、
ヘプタデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク
酸無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物、トリイソ
ブテニルコハク酸無水物、1−メチル−2−ペンタデセ
ニルコハク酸無水物などが挙げられるが、好ましくは、
炭素数16(即ち、C16)のα−位より内部に二重結合を
有する内部オレフィン60〜85重量%、炭素数18
(即ち、C18)の同内部オレフィン40〜15重量%を含
む混合オレフィンに、無水マレイン酸を付加することに
より生成したASAである。C15以下のオレフィンに無
水マレイン酸を付加したものや、上記組成以外のオレフ
ィンに無水マレイン酸を付加した場合には、乳化した後
の安定性が不良になったり、サイズ性が低下する。ま
た、二重結合位置がα位にある、いわゆるα−オレフィ
ンを原料に用いると生成物が固体になったり、サイズ性
で劣るため、オレフィンはα−位より内部に二重結合を
有する内部オレフィンが好適である。
【0019】また、混合オレフィンに無水マレイン酸を
付加させる通常の反応では着色成分や高分子量の副生成
物を生じるが、この成分が1重量%を越えるとサイズ性
が低下することから、例えば、GPC(Gel Permeation
Chromatography;ゲル浸透クロマトグラフィー)による
測定でメインのASAより高分子量の成分が1重量%以
下とした精製ASAが好適である。ASAは、蒸留、吸
着除去、或はその他の常法により、上記不純物を1重量
%以下にまで精製される。
【0020】一方、上記両性(メタ)アクリルアミドポリ
マー水溶液は、(メタ)アクリルアミドとカチオン性モノ
マーとアニオン性モノマー、或は他のモノマーを共重合
させたり、この共重合体にホフマン分解反応やマンニッ
ヒ反応を適用した後にカチオン性基やアニオン性基を導
入したり、また、ポリ(メタ)アクリルアミドにカチオン
性基とアニオン性基を導入することなどにより得られ
る。好ましくは、第4級アンモニウム基含有カチオン性
アクリルアミド系単量体3.0〜5.0モル%とα,β−
不飽和ジカルボン酸0.2〜3.0モル%と(メタ)アクリ
ルアミド92.0〜96.8モル%を含む混合単量体の共
重合体から成る両性(メタ)アクリルアミド系ポリマー
水溶液である。当該両性ポリマーの分子量は1万〜50
万が好ましい。
【0021】上記第4級アンモニウム基含有カチオン性
アクリルアミド系単量体としては、(メタ)アクリルアミ
ドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)
アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウム
クロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジエチルベ
ンジルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−
(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム
クロライドなどが挙げられる。第4級アンモニウム基以
外のカチオン基では乳化後のASAが加水分解し易くな
ったり、パルプスラリーに添加したときのASAの繊維
への定着性が劣る。第4級アンモニウム基含有カチオン
性アクリルアミド系単量体の含有率が3.0モル%未満
ではパルプスラリーに添加したときのASAの繊維への
定着性が劣り、逆に、5.0モル%を越えるとASAの
乳化後の加水分解が速くなって好ましくない。
【0022】上記α,β−不飽和ジカルボン酸として
は、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げら
れ、イタコン酸がより効果的である。α,β−不飽和ジ
カルボン酸の含有率が0.2モル%未満では乳化すると
きの効果が低く、逆に、3.0モル%を越えるとサイズ
性が劣る。また、モノカルボン酸を使用するとサイズ性
が劣る。
【0023】第4級アンモニウム基含有カチオン性アク
リルアミド系単量体とα,β−不飽和ジカルボン酸と(メ
タ)アクリルアミドから上記両性(メタ)アクリルアミド
ポリマー水溶液を合成する方法としては、これら構成モ
ノマーとしての3化合物と水を混合し、開始剤類を添加
して加熱して重合する方法、加熱水中に単量体類と開始
剤類を滴下して重合する方法、或はその他の一般的な水
溶液重合方法により合成される。上記開始剤類として
は、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナト
リウム等の過硫酸塩、過酸化水素等の過酸化物、アゾイ
ソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、或はレドックス開
始剤などが用いられる。前述の通り、上記両性ポリマー
の分子量は1万〜50万が好ましく、50万を越えると
ASAの乳化性が低下する。当該分子量は、水系連鎖移
動剤やアルコールの添加、或は重合温度のコントロール
などにより調整できる。
【0024】本発明に用いる高剪断型回転式乳化機は、
複数の環状体が乳化機本体側に同心状に固定されたステ
ータと、複数の環状体が乳化機の回転軸側に同心状に固
定されたロータとから構成され、ステータとロータの複
数の環状体同士が互い違いの積層状に嵌挿して対向配置
されて、このステータと高速回転するロータの各環状体
間で生じる高剪断力により、ASAを水中に乳化分散す
る形態の乳化機であり、具体的には、ウルトラ・タラッ
クスやディスパックス・リアクター(共にIKA社製)、
エバラマイルダー(荏原製作所製)、キャビトロン(CA
VITRON社製)を初め、同様の構造を持つ乳化機が
望ましい。
【0025】上記高剪断型回転式乳化機の基本構造を図
4に基づいて説明すると、当該乳化機1は乳化機本体1
0とこれに締結具9を介して着脱可能に固定した蓋体1
1とから構成され、乳化機本体10の乳化室6内に臨ま
せてステータ2とロータ3から成るジェネレータ部8が
形成され、ステータ2は蓋体11に、また、ロータ3は
乳化機本体10に夫々設けられ、当該ロータ3は電動源
(図示省略)に連動連結される。上記ステータ2には3層
の櫛歯型環状体4が同心状に固定され、同様に、ロータ
3にも3層の櫛歯型環状体5が同心状に固定されてお
り、ステータ2の櫛歯型環状体4とロータ3の櫛歯型環
状体5同士が互い違いの積層状に嵌挿して対向配置され
る。当該高剪断型回転式乳化機1の乳化機本体10内に
設けた搬入路(図示省略)から乳化室6内に送給されたA
SAと両性ポリマー水溶液は、ステータ2と高速回転す
るロータ3の各櫛歯型環状体4・5の隙間で生じる周方
向の高剪断力を受け、或はこれに加えてキャビテーショ
ン作用を受けて、適正な粒子径と粒度分布を持った乳化
物になり、乳化機本体10の搬出路7から搬出される。
【0026】本発明の高剪断型回転式乳化機は、基本的
に1パスでの乳化を目的としたものであり、ステータ2
とロータ3を組み合わせたジェネレータ部8は、図4に
示すように、乳化室6内に1対だけ設けても良いし、直
列状に複数対並設しても差し支えない。ジェネレータ部
8の対数が増すと1パスでの乳化効率が向上する。ま
た、ステータ2とロータ3に設ける環状体4・5の形態
としては、対向配置する環状体4・5が複数層で噛み合
う構造であれば良い。環状体4・5自体の形状も櫛歯型
に限らず、単なる円筒体や周壁に丸孔、スリットなどの
各種形状の透孔を開けた円筒体などでも良い。当該高剪
断型回転式乳化機を用いた乳化方法では、ASAと両性
ポリマーの混合液を乳化機に供給する方式が一般的であ
るが、ASAと両性ポリマーを別々に乳化機に供給する
こともできる。
【0027】ちなみに、固定側の翼と高速回転する撹拌
翼との間で樹脂粒子を乳化分散することを基本原理とす
るホモジナイザー、ホモミキサー、ラインミキサー、或
はコロイドミルなどは、機械的な剪断力で乳化分散する
点で本発明の高剪断型回転式乳化機と共通するが、その
一方で、ステータとロータの複数の環状体同士が積層状
に噛み合って対向配置され、互いに噛み合うこの環状体
同士の夫々で剪断力が発生する構造を具備しない点で、
本発明の高剪断型回転式乳化機とは根本的に異なる。従
って、公知のホモジナイザー、ホモミキサー、ラインミ
キサー、超音波乳化機、或はオリフィス型乳化装置など
に比べて、本発明の高剪断型回転式乳化機では、ASA
を乳化するに際して、強過ぎない一定の剪断力が付与さ
れるので、適正な平均粒子径を具備するとともに、乳化
粒子径分布の比較的狭い乳化物が得られる。このため、
有効に作用しない大粒径粒子と極小粒子が少なくなっ
て、使用したASAの全てを有効に乳化させることがで
き、少量のASAの添加量で高サイズ度の中性紙が得ら
れる。
【0028】乳化時のASAと両性(メタ)アクリルアミ
ド系ポリマーの含有量としては、ASA100重量部に
対して両性ポリマー水溶液を固形分として10〜50重
量部の割合で混合し、界面活性剤を含有させずに、上記
高剪断型回転式乳化機を用いてASAの平均粒子径を
0.7〜1.3μmに乳化分散することが有効である。上
記両性ポリマー水溶液の含有量が固形分として10重量
部未満であれば、乳化粒子径は大きくなって乳化物の安
定性が低下する。逆に、含有量が50重量部を越える
と、この乳化物を使用して得られる紙のサイズ性が劣
る。また、乳化工程では、上述のように、界面活性剤を
用いないで乳化分散することが好ましく、これは、界面
活性剤を使用すると、極小粒径の乳化物が多くなり、A
SAが加水分解され易くなって、サイズ剤として有効に
作用しないためである。高剪断型回転式乳化機を用いて
ASAと両性ポリマー水溶液を乳化する場合、その平均
粒子径は0.7〜1.3μmが好ましく、より好ましくは
0.9〜1.2μmである。平均粒子径が0.7μm以下
では加水分解し易くなったり、抄紙系でパルプ繊維への
定着が不良になって、サイズ性が低下するためである。
逆に、平均粒子径が1.3μm以上では乳化物の安定性
が悪くなり、サイズ性が低下したり、抄紙系の汚れを引
き起こすからである。
【0029】本発明8は、安価な填料である炭酸カルシ
ウムの存在下で、本発明1〜7のASA系エマルション
サイズ剤を内添サイズ剤としてパルプスラリーに添加し
て、中性湿式抄造した紙である。パルプスラリーを構成
するパルプ繊維には、製紙用に通常使用されるNBK
P、LBKP等の木材パルプ、脱墨パルプ(DIP)など
の外、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパル
ト草、ワラ等の非木材パルプ、レーヨン、アセテート等
の半合成繊維、或は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポ
リエステル等の合成繊維などを使用できる。上記パルプ
スラリーには、炭酸カルシウム以外の填料、染料、紙力
増強剤、歩留り向上剤、消泡剤などを必要に応じて添加
できることはいうまでもない。湿式抄造で得られる紙
は、電子写真用紙、インクジエット用紙等の印刷・筆記
・図画用紙、新聞紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙、或は
板紙、厚紙などを含む広い概念である。
【0030】
【作用】ASAと両性(メタ)アクリルアミド系ポリマー
水溶液を高剪断型回転式乳化機を用いて乳化分散する
と、当該乳化機のステータとロータの互い違いに嵌挿し
た複数層の環状体同士の間で生じる剪断力により、適正
な平均粒子径の乳化物が得られ、また、乳化物の粒度分
布も比較的狭い範囲に揃うため、乳化物が加水分解され
にくいうえ、パルプ繊維にスムーズに定着して、乳化安
定性とサイズ性が向上するものと推定できる。一方、所
定の混合内部オレフィンと無水マレイン酸を反応させた
特定のASAと、第4級アンモニウム基含有カチオン性
(メタ)アクリルアミド及びα,β−不飽和ジカルボン酸
などを共重合させた特定の両性(メタ)アクリルアミドポ
リマー水溶液を上記高剪断型回転式乳化機で乳化分散す
ると、乳化安定性とサイズ性のさらなる改善が望める
が、ASAと両性ポリマーの両方をこのように特化する
ことにより、乳化機を機種選別しない状況下でも、乳化
安定性やパルプへの定着性が増大し、引いてはサイズ性
などを実用レベル程度、或はそれ以上に有効に改善する
ことができる。
【0031】
【発明の効果】後述の試験例に示すように、ASAと両
性(メタ)アクリルアミドポリマー水溶液を高剪断型回転
式乳化機を用いて乳化分散すると、乳化物は適度な乳化
粒子径と比較的狭い範囲の粒度分布などを具備するた
め、少量のサイズ剤の使用によっても、抄紙系の汚れを
少なくでき、高サイズ度の紙が円滑に得られる。また、
上記高剪断型回転式乳化機で乳化分散する際に、ASA
と両性ポリマーの両者を反応物や組成などで特定化する
と、乳化安定性やサイズ性が顕著に改善される。以上の
ように、ASAと両性ポリマーの乳化分散では、乳化安
定性やサイズ性の面で、乳化機種を高剪断型回転式乳化
機に特定化した場合の優位性が顕著なのであるが、その
一方で、ASAと両性ポリマーの両者を特定化すると、
後述の試験例に示すように、乳化機種の選別を離れた場
合でも、高剪断型回転式乳化機がもたらすのに準じた効
果が期待できるのである。さらには、ASAの乳化分散
に際して界面活性剤を使用すると、乳化物の粒子径が微
小化し、加水分解を受け易くなってサイズ性が低下する
などの弊害があるが、本発明においては界面活性剤を添
加する必要がないため、このような弊害がない。
【0032】
【実施例】以下、両性(メタ)アクリルアミドポリマー水
溶液の合成例、当該両性ポリマーを用いたASA系エマ
ルションサイズ剤の製造実施例、当該サイズ剤で内添サ
イジングした中性紙のサイズ性試験例を順次説明する。
また、以下の合成例、実施例、試験例などの「部」、
「%」は、特に限定しない限り、「重量部」、「重量
%」を指す。尚、本発明は下記の実施例、試験例などに
拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内
で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0033】《両性(メタ)アクリルアミドポリマー水溶
液の合成例》そこで、先ず、界面活性剤の不存在下で、
第4級アンモニウム基含有カチオン性(メタ)アクリルア
ミドと、α,β−不飽和ジカルボン酸と、(メタ)アクリ
ルアミドとを構成モノマーとして特定割合で混合し、当
該混合モノマーを共重合させて製造した各種の両性(メ
タ)アクリルアミドポリマー水溶液の合成例1〜4を示
す。
【0034】(1)合成例1 攪拌機、温度計、及び窒素ガス導入管の付いた1Lの4
つ口フラスコに、水460gと、アクリルアミドプロピ
ルトリメチルアンモニウムクロライドの75%水溶液2
0.3gと、イタコン酸1.5gと、アクリルアミドの5
0%水溶液250gと、チオグリセロール2.5gを入
れ、窒素ガスを吹き込んでフラスコ内の空気を置換し
た。フラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱し、8%
過硫酸アンモニウム水溶液2.5gを加え、次いで3%
重亜硫酸ナトリウム水溶液1.8gを加えて、20分で
90℃まで温度上昇した。そして、60分熟成した後、
冷却して、濃度20%まで水で希釈した。合成したポリ
マー水溶液を水系GPC検出器(LS−8000;東ソー社製)
で測定したところ、分子量は21万であった。
【0035】(2)合成例2〜4 上記合成例1を基本として、各モノマー種、含有量を図
1に示す通りに変化させて、合成例1と同様の条件で反
応させて、合成例2〜4の両性(メタ)アクリルアミドポ
リマー水溶液を得た。
【0036】そこで、上記合成例1〜4の各種両性ポリ
マーと、各種のASA(即ち、後述の(a)〜(c)種のA
SA)とを高剪断力型回転式乳化機を通して乳化分散し
たASA系エマルションサイズ剤の実施例1〜5及び比
較例1〜4を示す。尚、ASAのGPC測定では、Shod
ex GPC SYSTEM−21Hを用いた。
【0037】《実施例1》炭素数16の内部オレフィン
を80%、炭素数18の内部オレフィンを18%の割合
で含有する混合オレフィンに無水マレイン酸を付加した
後、蒸留処理によって、GPC測定での高分子量の副生
物の含有量を0.5%以下に精製した(a)種のASAを
製造した。そして、上記(a)種のASAと前記合成例1
の両性ポリマー水溶液を図2の混合割合により、各々1
00g/分と75g/分の二つの条件下で、ジェネレー
タ部が直列状に3対並設された高剪断型回転式乳化機
(ディスパックス・リアクター;IKA社製)に注入して連
続乳化した。その後、連続的に水希釈してASA濃度
1.5%のエマルションサイズ剤を得た。当該ASA系
エマルションサイズ剤の平均粒子径は1.2μmであっ
た。
【0038】《実施例2》上記実施例1の(a)種のAS
Aと前記合成例2の両性ポリマー水溶液を図2の混合割
合により、上記実施例1と同様の条件で高剪断型回転式
乳化機に注入して連続乳化した後、連続的に水希釈して
ASA濃度1.5%のエマルションサイズ剤を得た。当
該ASA系エマルションサイズ剤の平均粒子径は0.9
μmであった。
【0039】《実施例3》炭素数16の内部オレフィン
を55%、炭素数18の内部オレフィンを40%の割合
で含有する混合オレフィンに無水マレイン酸を付加し
て、(b)種のASAを製造した。このASAは、GPC
測定により高分子量の副生物を1.2%含有していた。
そして、上記(b)種のASAと前記合成例2の両性ポリ
マー水溶液を図2の混合割合により、前記実施例1と同
様の条件で高剪断型回転式乳化機に注入して連続乳化し
た後、連続的に水希釈してASA濃度1.5%のエマル
ションサイズ剤を得た。当該ASA系エマルションサイ
ズ剤の平均粒子径は1.1μmであった。
【0040】《実施例4》上記実施例1の(a)種のAS
Aと前記合成例3の両性ポリマー水溶液を図2の混合割
合により、上記実施例1と同様の条件で高剪断型回転式
乳化機に注入して連続乳化した後、連続的に水希釈して
ASA濃度1.5%のエマルションサイズ剤を得た。当
該ASA系エマルションサイズ剤の平均粒子径は1.0
μmであった。
【0041】《実施例5》上記実施例1の(a)種のAS
A8gと、前記合成例1の両性ポリマー水溶液8gと、
水517.3gを1000mL家庭用ミキサー(MX−X1
5;松下電器産業社製)に入れ、1分間撹拌してASA濃
度1.5%のエマルションサイズ剤を得た。当該ASA
系エマルションサイズ剤の平均粒子径は1.2μmであ
った。
【0042】《比較例1》上記実施例1の(a)種のAS
A100gと、前記合成例3の両性ポリマー水溶液10
0gを500mLト−ルビーカーに入れ、回転式撹拌型
のホモミキサー(T.K.ホモミキサー4C;特殊機化工業社
製)で2分間乳化した後、水希釈してASA濃度1.5%
のエマルションサイズ剤を得た。当該ASA系エマルシ
ョンサイズ剤の平均粒子径は2.2μmであった。
【0043】《比較例2》前記実施例3の(b)種のAS
A200gと、前記合成例4の両性ポリマー水溶液40
0gを混合して、高圧乳化機(15M−8TA;GAULIN社製)に
て200kg/cm2で乳化した後、水希釈してASA
濃度1.5%のエマルションサイズ剤を得た。当該AS
A系エマルションサイズ剤の平均粒子径は0.6μmで
あった。
【0044】《比較例3》炭素数16の内部オレフィン
を5%、炭素数18の内部オレフィンを90%の割合で
含有する混合オレフィンに無水マレイン酸を付加して、
(c)種のASAを製造した。このASAは、GPC測定
により高分子量の副生物を2.4%含有していた。上記
(c)種のASA8gと、前記合成例3の両性ポリマー水
溶液2gと、水523.3gを前記実施例5と同様の1
000mL家庭用ミキサーに入れ、1分間撹拌してAS
A濃度1.5%のエマルションサイズ剤を得た。当該A
SA系エマルションサイズ剤の平均粒子径は1.3μm
であった。
【0045】《比較例4》上記実施例1の(a)種のAS
A100gと、前記合成例4の両性ポリマー水溶液40
0gを前記実施例5と同様の1000mL家庭用ミキサ
ーに入れて2分間攪拌した後、水希釈してASA濃度
1.5%のエマルションサイズ剤を得た。当該ASA系
エマルションサイズ剤の平均粒子径は1.0μmであっ
た。
【0046】そこで、上記実施例1〜5及び比較例1〜
4の各ASA系エマルションサイズ剤を用いて、炭酸カ
ルシウムを填料とした湿式抄造によって各種の中性紙を
製造し、サイズ性試験を行った
【0047】《ASA系エマルションサイズ剤を含有す
る紙のサイズ性試験例》 パルプ:LBKP C.S.F:430ml 上記パルプの2.5%分散スラリーに、攪拌しながら軽
質炭酸カルシウム(タマパールTP−121;奥多摩工業社
製)を20%(対絶乾パルプ固形分量)添加した後、糊化
したカチオン化デンプン(Cato102;日本エヌエスシー社
製)を0.8%(対絶乾パルプ固形分量)添加した。次い
で、硫酸バンドを0.5%(対絶乾パルプ量)添加して攪
拌を続け、乳化直後の上記実施例1〜5並びに比較例1
〜4の各ASA系エマルションサイズ剤を0.08%と
0.1%(対絶乾パルプ固形分量)の2つの条件下で夫々
添加した(図3参照)。次に、歩留まり剤(ハイモロックN
R12MLH;ハイモ社製)を0.05%(対絶乾パルプ固形分
量)添加し、定法に従って角形シートマシンで抄造pH
を7.5に調整して抄紙し、ドラムドライヤーにて10
0℃、90秒の条件で乾燥して、坪量75g/m2の中
性紙を製造した。得られた中性紙は、温度20℃、湿度
65%の恒温・恒湿室内に1日放置して調湿した後、ス
テキヒト法(JIS P8122)によりサイズ剤の各添加量ごと
にサイズ度を測定した。
【0048】図3はその試験結果を示す。実施例1〜2
は、C16の内部オレフィン60〜85%とC18の内部オ
レフィン40〜15%の混合オレフィンを無水マレイン
酸に反応させた特定のASAと、第4級アンモニウム基
含有カチオン性アクリルアミド3.0〜5.0モル%及び
α,β−不飽和ジカルボン酸0.2〜3.0モル%及び(メ
タ)アクリルアミド92.0〜96.8モル%を構成モノ
マーとして共重合させた特定の両性ポリマーとを、高剪
断型回転式乳化機で乳化分散したサイズ剤であるため、
当該サイズ剤を用いて中性抄造した紙は顕著なサイズ性
を示した。実施例3は、C16の内部オレフィンの含有量
が55%であり、高分子量の副生物を1.2%含有する
(b)種のASAと、上記実施例2と同様の両性ポリマー
から得られたサイズ剤であり、また、実施例4は、実施
例1と同様のASAと、第4級アンモニウム基含有カチ
オン性アクリルアミド1.5モル%及びα,β−不飽和ジ
カルボン酸0.3モル%及び(メタ)アクリルアミド98.
2モル%を構成モノマーとして共重合させた特定の両性
ポリマーとから得られたサイズ剤であり、実施例3〜4
を用いた紙は共に実施例1〜2に準じる良好なサイズ性
を示した。また、実施例5に示すように、上記実施例1
と同様の特定のASAと特定の両性ポリマーを使用した
場合には、高剪断型回転式乳化機に替えて家庭用ミキサ
ーで乳化分散しても、得られたサイズ剤を用いた中性紙
は、やはり実施例1〜2に準じる良好なサイズ性を示す
ことが確認できた。
【0049】これに対して、比較例1は、上記実施例1
と同様のASAと上記実施例4と同様の両性ポリマーを
ホモミキサーで乳化分散したサイズ剤であり、当該サイ
ズ剤を用いた紙のサイズ性は低かった。比較例2は、上
記実施例3と同様の(b)種のASAと、第4級アンモニ
ウム基含有カチオン性アクリルアミド8.0モル%とα,
β−不飽和ジカルボン酸0.5モル%と(メタ)アクリル
アミド91.5モル%を構成モノマーとして共重合させ
た特定の両性ポリマーとを高圧乳化機で乳化分散したサ
イズ剤であり、当該サイズ剤を用いた紙のサイズ性は低
かった。比較例3は、C16の内部オレフィン5%とC18
の内部オレフィン90%の混合オレフィンを無水マレイ
ン酸に反応させた高分子量の副生物を2.4%含有する
(c)種のASAと、上記実施例4と同様の両性ポリマー
とを家庭用ミキサーで乳化分散したサイズ剤であり、ま
た、比較例4は上記実施例1と同様のASAと上記比較
例2と同様の両性ポリマーとを同じく家庭用ミキサーで
乳化分散したサイズ剤であって、比較例3〜4を用いた
紙のサイズ性は共に低かった。
【0050】以上のように、上記実施例1〜4並びに比
較例1〜4を対比すると、サイズ性の面で、ASAと両
性ポリマーの乳化分散においては、乳化機の機種を高剪
断型回転式乳化機に特定化することの優位性が明らかに
なった。また、実施例5に示すように、ASAと両性ポ
リマーの両方を反応物、組成などで特定化すると、乳化
機種が高剪断型回転式乳化機でない場合でも、比較例1
〜4に比べて良好なサイズ性を確保できることが明らか
になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】両性(メタ)アクリルアミドポリマーを構成する
各モノマーの種類と混合割合などを示す図表である。
【図2】実施例1〜5及び比較例1〜4の各ASA系エ
マルションサイズ剤に使用したASA、両性ポリマーの
種類、混合割合、乳化機の種類などを示す図表である。
【図3】実施例1〜5及び比較例1〜4の各ASA系エ
マルションサイズ剤で内添サイジングした中性紙のサイ
ズ性試験の結果を示す図表である。
【図4】高剪断型回転式乳化機の基本構造を示す要部分
解斜視図である。
【符号の説明】
1…乳化機、2…ステータ、3…ロータ、4…ステータ
の櫛歯型環状体、5…ロータの櫛歯型環状体、6…乳化
室、7…搬出路、8…ジェネレータ部、10…乳化機本
体、11…蓋体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G065 AA01 AA07 AB01Y AB05Y AB11X AB11Y AB14Y AB17Y AB18Y AB21Y AB29Y AB38Y BA07 BB06 CA02 DA07 EA01 EA02 EA03 GA01 4L055 AG11 AG12 AG41 AG70 AG72 AG73 AG97 AH01 AH12 AH33 AH50 EA16 EA29 EA30 EA32 FA17 FA30 GA34

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルケニルコハク酸無水物と両性(メタ)
    アクリルアミドポリマー水溶液を高剪断型回転式乳化機
    に通して得られるアルケニルコハク酸無水物系エマルシ
    ョンサイズ剤において、 上記高剪断型回転式乳化機は、複数の環状体が乳化機本
    体側に同心状に固定されたステータと、複数の環状体が
    乳化機の回転軸側に同心状に固定されたロータとから構
    成され、ステータとロータの複数の環状体同士が互い違
    いの積層状に嵌挿して対向配置されて、 当該高剪断型回転式乳化機のステータと高速回転するロ
    ータの各環状体間で生じる高剪断力により、アルケニル
    コハク酸無水物を水中に乳化分散することを特徴とする
    アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤。
  2. 【請求項2】 請求項1のアルケニルコハク酸無水物
    が、炭素数16のα−位より内部に二重結合を有する内
    部オレフィン60〜85重量%と炭素数18の上記内部
    オレフィン40〜15重量%から成る混合オレフィン
    に、無水マレイン酸を付加させたものであることを特徴
    とするアルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ
    剤。
  3. 【請求項3】 両性(メタ)アクリルアミドポリマーが、
    第4級アンモニウム基含有カチオン性(メタ)アクリルア
    ミド3.0〜5.0モル%と、α,β−不飽和ジカルボン
    酸0.2〜3.0モル%と、(メタ)アクリルアミド92.
    0〜96.8モル%より成る混合モノマーの共重合体で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルケニ
    ルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤。
  4. 【請求項4】 アルケニルコハク酸無水物と両性(メタ)
    アクリルアミドポリマー水溶液を含有するアルケニルコ
    ハク酸無水物系エマルションサイズ剤において、 アルケニルコハク酸無水物が、炭素数16のα−位より
    内部に二重結合を有する内部オレフィン60〜85重量
    %と炭素数18の上記内部オレフィン40〜15重量%
    から成る混合オレフィンに、無水マレイン酸を付加させ
    たものであり、両性(メタ)アクリルアミドポリマーが、
    第4級アンモニウム基含有カチオン性(メタ)アクリルア
    ミド3.0〜5.0モル%と、α,β−不飽和ジカルボン
    酸0.2〜3.0モル%と、(メタ)アクリルアミド92.
    0〜96.8モル%より成る混合モノマーの共重合体で
    あることを特徴とするアルケニルコハク酸無水物系エマ
    ルションサイズ剤。
  5. 【請求項5】 アルケニルコハク酸無水物中に含有され
    る高分子量の副生物が1重量%以下であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルケニルコ
    ハク酸無水物系エマルションサイズ剤。
  6. 【請求項6】 界面活性剤の不存在下で、アルケニルコ
    ハク酸無水物100重量部に対して、両性(メタ)アクリ
    ルアミド系ポリマー水溶液を固形分として10〜50重
    量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    1項に記載のアルケニルコハク酸無水物系エマルション
    サイズ剤。
  7. 【請求項7】 エマルションの平均粒子径が0.7〜1.
    3μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    1項に記載のアルケニルコハク酸無水物系エマルション
    サイズ剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のア
    ルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤と炭酸
    カルシウムをパルプスラリーに含有させて、湿式抄造し
    た紙。
JP31356499A 1999-11-04 1999-11-04 アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤、その製造方法、並びに当該サイズ剤を含有する紙 Expired - Fee Related JP4359908B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31356499A JP4359908B2 (ja) 1999-11-04 1999-11-04 アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤、その製造方法、並びに当該サイズ剤を含有する紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31356499A JP4359908B2 (ja) 1999-11-04 1999-11-04 アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤、その製造方法、並びに当該サイズ剤を含有する紙

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001140190A true JP2001140190A (ja) 2001-05-22
JP4359908B2 JP4359908B2 (ja) 2009-11-11

Family

ID=18042837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31356499A Expired - Fee Related JP4359908B2 (ja) 1999-11-04 1999-11-04 アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤、その製造方法、並びに当該サイズ剤を含有する紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4359908B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120510A (ja) * 2003-10-16 2005-05-12 Nippon Paper Industries Co Ltd 連続記録用紙
JP2006052506A (ja) * 2004-08-13 2006-02-23 Seiko Pmc Corp 板紙の製造方法
WO2006025521A1 (ja) * 2004-09-03 2006-03-09 Idemitsu Kosan Co., Ltd. 内部オレフィン組成物及び該組成物を含む石油掘削基油
JP2010030060A (ja) * 2008-07-25 2010-02-12 Nippon Paper Industries Co Ltd 感熱記録体
US7718580B2 (en) 2004-09-03 2010-05-18 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Internal-olefin composition and base oil comprising the composition for oil drilling

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6349239A (ja) * 1986-08-19 1988-03-02 Ebara Corp 乳化分散機
JPH06128896A (ja) * 1992-10-16 1994-05-10 Mitsubishi Oil Co Ltd アルケニルコハク酸系エマルションサイズ剤
JPH06166985A (ja) * 1992-10-02 1994-06-14 Mitsubishi Oil Co Ltd アルケニルコハク酸無水物エマルションサイズ剤
JP2761891B2 (ja) * 1988-08-05 1998-06-04 日本ピー・エム・シー株式会社 製紙用サイズ剤組成物及びサイジング方法
JPH10226981A (ja) * 1997-02-17 1998-08-25 Nippon P M C Kk ロジン系物質の水性エマルションの製造方法、その水性エマルション組成物及びサイズ剤

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6349239A (ja) * 1986-08-19 1988-03-02 Ebara Corp 乳化分散機
JP2761891B2 (ja) * 1988-08-05 1998-06-04 日本ピー・エム・シー株式会社 製紙用サイズ剤組成物及びサイジング方法
JPH06166985A (ja) * 1992-10-02 1994-06-14 Mitsubishi Oil Co Ltd アルケニルコハク酸無水物エマルションサイズ剤
JPH06128896A (ja) * 1992-10-16 1994-05-10 Mitsubishi Oil Co Ltd アルケニルコハク酸系エマルションサイズ剤
JPH10226981A (ja) * 1997-02-17 1998-08-25 Nippon P M C Kk ロジン系物質の水性エマルションの製造方法、その水性エマルション組成物及びサイズ剤

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120510A (ja) * 2003-10-16 2005-05-12 Nippon Paper Industries Co Ltd 連続記録用紙
JP4529408B2 (ja) * 2003-10-16 2010-08-25 日本製紙株式会社 連続記録用紙
JP2006052506A (ja) * 2004-08-13 2006-02-23 Seiko Pmc Corp 板紙の製造方法
JP4635512B2 (ja) * 2004-08-13 2011-02-23 星光Pmc株式会社 板紙の製造方法
WO2006025521A1 (ja) * 2004-09-03 2006-03-09 Idemitsu Kosan Co., Ltd. 内部オレフィン組成物及び該組成物を含む石油掘削基油
JP2006070208A (ja) * 2004-09-03 2006-03-16 Idemitsu Kosan Co Ltd 内部オレフィン組成物及び該組成物を含む石油掘削基油
US7718580B2 (en) 2004-09-03 2010-05-18 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Internal-olefin composition and base oil comprising the composition for oil drilling
JP2010030060A (ja) * 2008-07-25 2010-02-12 Nippon Paper Industries Co Ltd 感熱記録体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4359908B2 (ja) 2009-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2008251478B2 (en) ASA sizing emulsions for paper and paperboard
EP3189190B1 (en) Sizing composition, its use and a method for producing paper, board or the like
AU2006236578B2 (en) The use of alkenyl succinic anhydride compounds derived from symmetrical olefins in internal sizing for paper production
JP2006510822A (ja) 無水アルケニルこはく酸表面塗布系及びその使用方法
EP2888403A1 (en) Method for making paper product and paper product
KR20080006546A (ko) 습부 적용을 위한 전단이 감소된 셀룰로오스 반응성사이징제
JP2000503734A (ja) 内部サイズ処理したセルロース生成物及びその製造方法
EP0341509B1 (en) Sizing composition and sizing method
JP2001140190A (ja) アルケニルコハク酸無水物系エマルションサイズ剤、並びに当該サイズ剤を含有する紙
JPS6328999A (ja) 製紙方法
CN105386366A (zh) 松香系乳液施胶剂和纸
JP6070071B2 (ja) 紙の製造方法
JP3491413B2 (ja) 製紙用サイズ剤組成物
JP2007301532A (ja) 置換環状ジカルボン酸無水物の分散液の調製方法及び分散液
JP3095906B2 (ja) アルケニルコハク酸無水物エマルションサイズ剤
JP3223649B2 (ja) 中性抄紙用サイズ剤、その製造方法、サイジング方法及びサイジング紙
JPS61234927A (ja) 置換コハク酸無水物の水性分散液及びその製造方法
JP3477932B2 (ja) 製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤および紙サイジング方法
JP2610488B2 (ja) 製紙用サイズ剤組成物
JP2000265389A (ja) 紙のサイジング方法
JP5958135B2 (ja) アルキルケテンダイマー系製紙用サイズ剤用のサイズ性発現促進助剤、製紙用サイズ剤、これらを用いて得られる紙および紙の製造方法
CA2395644C (en) Emulsification of alkenyl succinic anhydride size
JPS60246896A (ja) 製紙用サイズ剤組成物
JP2007197855A (ja) 製紙用密度低下剤、当該製紙用密度低下剤を用いた製紙方法及び当該製紙用密度低下剤を含有した紙
JPH04289295A (ja) 製紙用サイズ剤及びサイジング方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061005

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090123

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090407

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090721

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4359908

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090123

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150821

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees