JP2001139856A - 静電インクジェットインク及びその色材帯電制御方法 - Google Patents

静電インクジェットインク及びその色材帯電制御方法

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JP2001139856A
JP2001139856A JP2000253745A JP2000253745A JP2001139856A JP 2001139856 A JP2001139856 A JP 2001139856A JP 2000253745 A JP2000253745 A JP 2000253745A JP 2000253745 A JP2000253745 A JP 2000253745A JP 2001139856 A JP2001139856 A JP 2001139856A
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JP
Japan
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ink
recording
dispersion medium
electrostatic
coloring material
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Application number
JP2000253745A
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English (en)
Inventor
Kenji Oshima
賢司 大島
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、色材凝集型の静電インクジェット
ヘッドにおいて、高濃度で滲みの少ないドットを高速で
安定に印字することができる静電インクジェットインク
及びその色材帯電制御方法を提供する事を目的とする。 【解決手段】 本発明の静電インクジェットインクは、
少なくとも、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする高電
気絶縁性の分散媒と、前記分散媒に不溶な色材と、少な
くとも下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含
む、前記分散媒に可溶な重合体と、金属石鹸とを含む。 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は直鎖ま
たは分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル基であって、
置換基を有していても良い。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電型等のインク
ジェットプリンターに用いるインクに関するものであ
り、特に、静電インクジェットインク及びその色材帯電
制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクを記録媒体に飛翔させ記録ドット
を形成することにより印字を行うインクジェット記録法
は、カラー化が容易で普通紙に直接記録できるノンイン
パクト記録法として関心を集めており、この方式を用い
たプリンターが種々実用化されている。インクジェット
記録法の一つとして、記録媒体に対向して配置された複
数の記録電極と記録媒体の背面に配置された対向電極と
に電圧を印加し、両電極間に生じた電位差により、記録
電極上に供給されたインクに静電力を作用させ、インク
を記録媒体上に飛翔させる、静電型のインクジェット記
録法がある。
【0003】これらの静電インクジェットプリンター
は、例えば“インクジェット記録技術”、株式会社トリ
ケップス発行(1989年)に紹介されている。このよ
うな静電インクジェット方式により構成された、ドロッ
プオンデマンド型のフルカラー記録ヘッドの一例が、例
えば特開昭58−215253号公報、電気通信学会論
文誌,Vol.J68−C,2(1985年)第93ペ
ージから第100ページに開示、発表されている。
【0004】この方式は、従来のインクジェットヘッド
におけるノズルの代わりに、内壁に多数の記録電極を有
する細長いスリット状のインク吐出口を用いている。こ
のため、インクの目詰まりに対する心配が少なく、また
ヘッドの構成が単純であることにより製造コストの低減
が期待でき、記録媒体の幅方向の広範囲をカバーできる
長さの、いわゆる長尺ラインヘッドを実現するためにも
有効な方法である。
【0005】この静電型インクジェットヘッドにおいて
は、有機溶剤に染料を溶解した油性インクが好適に用い
られ、インクの構成材料に関しては詳細に開示されては
いないが、電気通信学会論文誌,Vol.J68−C,
2,pp.93−100,(1985年)に見られる例
では、体積抵抗率(電気抵抗率)が107〜108Ω・c
m、表面張力が22mN/m、粘度が3.1〜6.9c
Pの物性値を有するインクが用いられている。
【0006】しかしながら、このような油性インクは、
他のインジェット方式において一般に用いられている水
性インクと比較し表面張力が低いために、記録紙への浸
透性が非常に大きく、特に普通紙に印字を行う場合にお
いて、印字濃度の低下やにじみ、裏写りを生じやすいと
いう問題があった。
【0007】これに対して、例えば特開平9−1147
5号公報、特開平9−118015号公報、特開平9−
193389号公報等には、帯電された色材粒子が電気
絶縁性の高い液体中に分散されたインクを用い、色材粒
子を電気泳動により吐出口部に集中させ、色材が高濃度
に濃縮された形でインク滴を飛翔させる静電インクジェ
ットヘッドが開示されている。
【0008】この方式では、その吐出原理の詳細は明ら
かにはされていないが、前述の方式とは異なり、インク
の構成成分が均一な状態で多量の液体成分を含んだまま
吐出されるのではなく、色材が凝集され液体成分が少な
い状態で吐出されることにより、上述の問題点が解決さ
れる。また、顔料を色材として用いることにより、従来
の染料を用いたインクジェットヘッドに比べ、印字画像
の耐水性、耐光性に関しても有利な結果が得られる。
【0009】この様な色材凝集型の静電インクジェット
インクにおいては、印字濃度が高く、にじみや裏写りを
生じない良好な印字特性を得るためには、まず第1にイ
ンクの体積抵抗率が十分大きい事が必要である。この事
により記録電極と対向電極により形成されインクに印加
された電界を色材粒子に到達させる事が可能となる。ま
た、インクの体積抵抗率が低いと、記録電極により印加
される電圧により、インクが電荷注入を受け帯電してし
まい、静電反発力によりインクが多量の液体成分を含ん
だまま吐出してしまう傾向が強くなる。次に、色材粒子
を十分な速度で電気泳動により吐出口部に集中させる必
要があるため、色材粒子が十分な帯電量を有している
事、すなわち色材粒子が正極性もしくは負極性の高いゼ
ータ電位を有している事が必要である。またさらに、吐
出性能と色材粒子の沈降防止との兼ね合いから、色材粒
子の平均粒径は、0.1〜4μm程度が好ましいとされ
る。
【0010】具体的には、例えば特開平9−19338
9号公報等には、電気抵抗率が10 10Ω・cm以上の誘
電性液体中に、前記誘電性液体に対するゼータ電位が6
0mV以上であり、かつ平均粒径が0.01及至5μm
の範囲内にある現像剤粒子(少なくとも着色材成分を有
する固形樹脂粒子)を分散させる事により、108Ω・
cm以上、最も好ましくは1010Ω・cm以上の電気抵
抗率を有するように調整されたインクの使用が開示され
ている。この様なインクは、例えば、絶縁性液体として
1010Ω・cm以上の体積抵抗率を有する炭化水素系溶
剤、色材として、カーボンブラックや有機顔料、並び
に、樹脂やワックスからなるバインダ中もしくは表面に
顔料を含有するものを用い、その他分散剤、帯電制御剤
等を加えた系で色材分散体を作製する事により調製する
事が出来るが、その組成並びに作成方法およびインク物
性値の調整方法の詳細は開示されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】プリンターの高速化、
高画質化への要求が高まるにつれ、上記のような色材凝
集型のインクジェットヘッドにおいても、色材が高濃度
に濃縮された微少なインク滴を安定かつ高速に吐出させ
る事により、より高精細な画像を高速に印字する技術が
必要とされている。
【0012】このような印字性能はインクの物性値に大
きく依存する事が確かめられており、十分な印字性能を
得るためには、従来の技術の項で述べたように、インク
を作製するにあたっては、好ましくは1010Ω・cm以
上といった高い体積抵抗率を維持しながら、色材に高い
ゼータ電位を付与する必要がある。色材のゼータ電位が
小さいと、色材を電気泳動により吐出口部すなわち吐出
電極先端部へ高速で移動させる事ができず、色材供給が
不十分となり、色材の凝集性が悪くなると共に吐出応答
周波数が低くなってしまう。
【0013】さらに、吐出電極表面と色材との電気的な
反発力が弱いため、吐出電極上に色材が付着、堆積する
事により安定吐出が出来なくなる場合がある。このよう
な理由により、十分な印字濃度が得られないと共に安定
かつ高速な印字が出来ないという問題が生じる。
【0014】このため、帯電制御剤として、分散媒に可
溶な金属石鹸やイオン性化合物や界面活性剤を加える事
により、インク中の色材を十分に帯電させる必要がある
が、先に述べたような、体積抵抗率等のインク物性に対
する要求を満足しつつ色材に十分に高いゼータ電位を付
与する事およびその調整は困難であり、有効な方法はこ
れまで開示されていない。
【0015】本発明者らは、上記のような問題点を解決
すべく、重合体と金属石鹸を用いる事によるインク中の
色材の帯電制御方法について検討した結果、本発明に至
った。本発明は上記従来の問題点を解決する物であり、
インク中の色材が高い正極性のゼータ電位を有する事に
より、高濃度で滲みが少ないドットを高速で安定に印字
することができる、色材凝集型の静電インクジェットヘ
ッド用のインクを提供する事、および非常に効果的な色
材凝集型静電インクジェットヘッド用インク中の色材の
帯電制御方法を提供する事、そして、静電インクジェッ
トインク及びその色材帯電制御方法を提供する事を目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のインクは、少な
くとも、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶
縁性の分散媒と、前記分散媒に不溶な色材と、少なくと
も下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む、前
記分散媒に可溶な重合体と金属石鹸とを含む事を特徴と
するものである。
【0017】
【化4】
【0018】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
R2は直鎖または分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル
基であって、置換基を有していても良い。) 本発明によれば、高いゼータ電位を有し、高濃度で滲み
が少ないドットを高速で安定に印字することができる、
色材凝集型の静電インクジェットヘッド用のインクを実
現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、インクを複数の記録電極が配置された記録ヘッドに
導入し、前記記録電極と前記記録電極に対向して配置さ
れた対向電極との間に電圧を印加し前記インクに静電力
を作用させることで、前記記録電極先端より前記インク
を飛翔させ前記記録電極と前記対向電極の間に配置され
た記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行う静電型イ
ンクジェット記録装置用のインクであって、少なくと
も、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性
の分散媒と、前記分散媒に不溶な色材と、少なくとも下
記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む、前記分
散媒に可溶な重合体と、金属石鹸とを含む事を特徴とす
る静電インクジェットインクであり、インク中の色材に
正極性の高いゼータ電位を与えるという作用を有する。
【0020】
【化5】
【0021】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
R2は直鎖または分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル
基であって、置換基を有していても良い。) 本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、
金属石鹸を構成する脂肪酸分子の炭素数が6〜12であ
る静電インクジェットインクであり、色材を帯電させる
のに十分なレベルの濃度において、金属石鹸に脂肪族炭
化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の分散媒に対
して十分な溶解性を持たせるという作用を有する。
【0022】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1,2において、金属石鹸を構成する脂肪酸分子がナフ
テン酸またはオクチル酸もしくはそれらの混合物である
事を特徴とする静電インクジェットインクであり、脂肪
族炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の分散媒
に対して優れた溶解性を有し、かつ色材に高い正極性の
ゼータ電位を与えるという作用を有する。
【0023】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1〜3において、分散媒が25℃において1013Ω・c
m以上の体積抵抗率を有すると共に、150〜350℃
の範囲の沸点を有するイソパラフィン系炭化水素である
事を特徴とする静電インクジェットインクであり、イン
クの体積抵抗率を十分な値に保ち、かつインクの室温に
おける蒸発速度を適当な範囲とし、かつインクの安定性
および安全性を高め、かつインクの臭気を抑制するとい
う作用を有する。
【0024】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
1〜4において、インクの25℃における体積抵抗率が
1010Ω・cm以上であり、かつ色材のゼータ電位が9
0mV以上である事を特徴とする静電インクジェットイ
ンクであり、吐出電極先端部へ色材を十分な速度で供給
し、色材の凝集吐出性を高めると共に、吐出電極上への
色材の付着、堆積を抑制するという作用を有する。
【0025】本発明の請求項6に記載の発明は、インク
を複数の記録電極が配置された記録ヘッドに導入し、前
記記録電極と前記記録電極に対向して配置された対向電
極との間に電圧を印加し前記インクに静電力を作用させ
ることで、前記記録電極先端より前記インクを飛翔させ
前記記録電極と前記対向電極の間に配置された記録媒体
上に印字ドットを形成し記録を行う静電型インクジェッ
ト記録装置用のインクにおいて、少なくとも、脂肪族炭
化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の分散媒と前
記分散媒に不溶な色材により構成されるインクにおける
前記色材の帯電制御方法であって、少なくとも下記一般
式(I)で表される繰り返し単位を含む、前記分散媒に
可溶な重合体と金属石鹸とを前記インクに加える事を特
徴とする色材帯電制御方法であり、インク中の色材の高
ゼータ電位化およびその制御を効果的に行う事を可能と
するという作用を有する。
【0026】
【化6】
【0027】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
R2は直鎖または分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル
基であって、置換基を有していても良い。) 本発明の請求項7に記載の発明は、少なくとも、脂肪族
炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の分散媒
と、前記分散媒に不溶な色材と、少なくとも下記一般式
(I)で表される繰り返し単位を含む、前記分散媒に可
溶な重合体と、金属石鹸とを含む事を特徴とするインク
ジェットインクであり、色材を微粒子分散させると共に
分散媒中での分散性を向上させる事、即ち分散剤として
の作用、及び、記録媒体への色材の定着性を向上させる
事、即ちバインダーとしての作用を有する。
【0028】
【化7】
【0029】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
R2は直鎖または分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル
基であって、置換基を有していても良い。) 以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】本発明の静電インクジェットインクは、前
述のように、少なくとも、脂肪族炭化水素系溶剤を主成
分とする高電気絶縁性の分散媒と、前記分散媒に不溶な
色材と、少なくとも下記一般式(I)で表される繰り返
し単位を含む、前記分散媒に可溶な重合体と、金属石鹸
とを含む事を特徴とするものである。
【0031】
【化8】
【0032】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
R2は直鎖または分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル
基であって、置換基を有していても良い。) まず、それぞれの構成材料について説明する。
【0033】本発明における分散媒は、低誘電率、高電
気絶縁性である必要があるため、脂肪族炭化水素系溶剤
を主成分とする事が好ましい。分散媒に要求される特性
として、まず第1に、色材、重合体、金属石鹸等を混合
した後にインクの体積抵抗率が109Ω・cm、好まし
くは1010Ω・cmより低くならないようにする必要が
あり、1013Ω・cm以上の体積抵抗率を有しているも
のを用いる事が好ましい。また、誘電率としては3.0
以下の物が好ましい。
【0034】その他の要求特性としては、インク吐出口
における分散媒の蒸発を出来るだけ小さくでき、かつ印
字後のインクの速やかな乾燥、定着を行うために、室温
において適当な範囲の蒸発速度を有していること、また
引火を防止するため、少なくとも室温以上の引火点を有
していること、さらに、環境および人体に対する安全性
が高いことが挙げられる。
【0035】本発明のインクにおける脂肪族炭化水素系
溶剤を主成分とする分散媒は、以上のような要求を満た
す物であれば良く、特に限定される物ではないが、脂肪
族炭化水素系溶剤として特に好ましい物として、沸点が
150〜350℃の範囲にある高純度のイソパラフィン
系炭化水素溶剤が挙げられ、市販品としてはエクソン化
学製のアイソパーG,H,L,M,V(商品名)、ノー
パー12,13,15(商品名)、出光石油化学製のI
Pソルベント1620,2028(商品名)、日本石油
化学製のアイソゾール300,400(商品名)、丸善
石油化学製のマルカゾールR(商品名)等がある。これ
らの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素であ
り、引火点は40℃以上、25℃における粘度は3cS
t以下、25℃における表面張力は22.5〜28.0
mN/m、25℃における比抵抗は1013Ω・cm以上
である。さらに、反応性が低く安定であり、低毒性で安
全性が高く、臭気も少ないという特徴がある。
【0036】本発明においては、この様な脂肪族炭化水
素系溶剤を単独で、もしくは混合物として用いても良
く、さらに、前述のような要求特性を満たし、後述のよ
うな、本発明の特徴である重合体および金属石鹸の溶解
性を損なわない範囲であれば、脂肪族炭化水素系溶剤と
相溶性を有する炭化水素系以外の溶剤、例えばシリコン
オイル等との混合物を用いても良い。この様なシリコン
オイルの具体例としては、低粘度の合成ジメチルポリシ
ロキサンが挙げられ、市販品としては、信越シリコーン
製のKF96L(商品名)、東レ・ダウコーニング・シ
リコーン製のSH200(商品名)等がある。これらの
ジメチルポリシロキサンは、その分子量により非常に広
い粘度範囲の物が入手可能であるが、上述した要求を満
たすためには1〜20cStの範囲の物を用いるのが好
ましい。これらのジメチルポリシロキサンは、イソパラ
フィン系炭化水素同様、40℃以上の引火点と1013Ω
・cm以上の体積抵抗率を有し、高安定性、高安全性、
無臭性といった特徴を有している。
【0037】本発明における色材としては、顔料、もし
くは顔料を分散媒に不溶性の樹脂等に分散させたもの、
もしくは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用い
る事が出来る。
【0038】顔料としては、種々の無機および有機顔料
を用いることが出来、例えば、カーボンブラック、β−
ナフトール系アゾ顔料、ピラゾロン系アゾ顔料、アセト
酢酸アリリド系アゾ顔料、縮合アゾ顔料、ジスアゾ顔
料、アントラピリジン顔料、インダンスレン顔料、フタ
ロシアニン系顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、
イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔
料、フタロペリノン顔料、キノフタロン顔料、二酸化チ
タン等がある。
【0039】また、分散媒に不溶性の樹脂としては、種
々公知の天然もしくは合成樹脂を用いることが出来る
が、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢
酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン
−ブタジエン樹脂等がある。これらの樹脂に顔料を分散
させる手法としては、電子写真用トナーの製造プロセス
に見られるような、種々公知の方法を用いれば良い。そ
の他、ロジンエステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル樹
脂等に顔料微粒子を分散させた加工顔料が市販されてお
り、これを用いても良い。
【0040】本発明のインクにおける、色材の濃度は、
インクの総量に対して0.5〜15重量%、特に好まし
くは2〜10重量%の範囲であることが好ましい。色材
の濃度が0.5重量%より少なくなると、十分な印字濃
度が得られず好ましくない。また、15重量%より多く
なると、インクの粘度が著しく増大し、安定なインク吐
出が行えなくなる傾向が生じ好ましくない。
【0041】上記の様な色材を微粒子分散させると共に
分散媒中での分散性を向上させる事、すなわち分散剤と
しての機能、並びに、記録媒体への色材の定着性を向上
させる事、すなわちバインダーとしての機能を主たる目
的として、分散媒に可溶もしくは部分的に可溶な樹脂を
加える事ができる。このような樹脂は、好ましくは、分
散剤としての効果を考慮すれば、色材との親和性が高い
物が良く、また、バインダーとしての効果を考慮すれば
樹脂単体では室温で固体であるか、もしくは非常に高粘
度の液体である物が好ましい。このような要求を満たす
物であれば、樹脂の種類は特に限定される物ではない
が、例えば炭化水素系の樹脂、アルキド樹脂、アクリル
系樹脂等が好適な物として挙げられる。本発明のインク
おける樹脂の濃度は、インクの総量に対して、0.1〜
20重量%、特に好ましくは1〜15重量%の範囲であ
る事が好ましい。樹脂の濃度が0.1重量%より少なく
なると、色材の分散性を向上させる効果、または記録媒
体への色材の定着性を向上させる効果がほとんどなく、
また20重量%より多いとインクの粘度が増大し安定な
インク吐出が行えなくなる傾向が生じ何れも好ましくな
い。
【0042】なお、後述する、本発明の特徴である重合
体として、使用する色材との親和性を考慮した組成およ
び十分な分子量を有する物を用いることにより、本発明
の目的である色材帯電機能に加え、上記の分散剤機能お
よびバインダー機能を併せ持たせる事が可能であり、そ
の場合は必ずしも別途上記の様な樹脂を加える必要は無
い。
【0043】本発明のインク組成における第1の特徴で
ある、少なくとも下記一般式(I)で表される繰り返し
単位を含む、前記分散媒に可溶な重合体としては、前記
繰り返し単位に由来するアルキルエステル部を側鎖に有
する、ホモポリマー、ランダム共重合体、ブロック共重
合体、グラフト共重合体等を用いることが出来る。
【0044】
【化9】
【0045】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
R2は直鎖または分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル
基であって、置換基を有していても良い。) 脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする分散媒との親和性
の点から、アルキル基は4〜22の炭素原子を有するも
のが好ましい。
【0046】このような繰り返し単位を形成するための
モノマーの具体例としては、イソブチルメタクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、
オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレー
ト、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、
ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレー
ト、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリ
レート等がある。
【0047】これらのポリマーに共重合可能なモノマー
としては、置換されていても良いアルケン類(例えばブ
テン、ヘキセン、オクテン、2−エチルヘキセン、デセ
ン、ドデセン、ヘキサデセン、オクタデセン)、置換さ
れていてもよいアルキルビニルエーテル(アルキル基と
して例えば、メチル、エチル、ブチル、ヘキシル、オク
チル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ヘキサ
デシル、オクタデシル)、置換されていても良いシクロ
アルキルビニルモノマー(例えばビニルシクロペンタ
ン、ビニルシクロヘキサン)、置換されていても良いビ
ニル芳香族モノマー(例えばスチレン、2−メチルスチ
レン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−
エチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−ブチルス
チレン、4−t−ブチルスチレン、4−ヘキシルスチレ
ン、4−オクチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレ
ン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン)、
置換さていても良いアクリレートモノマー(例えば、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアク
リレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチ
ルアミノエチルアクリレート、テトラオキシエチルアク
リレート)、置換さていても良いメタクリレートモノマ
ー(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、プロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチル
メタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト)、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が
ある。
【0048】重合体を構成するモノマー種の数は特に限
定されるものでは無く、前記一般式(I)で規定される
繰り返し単位を形成するためのモノマーを単独で重合し
た物、もしくは組み合わせたコポリマー、ターポリマ
ー、テトラポリマー等の共重合体でも良いし、上記のよ
うなその他のモノマーと組み合わせたコポリマー、ター
ポリマー、テトラポリマー等の共重合体でも良い。
【0049】この時、重合体が分散媒に溶媒和され十分
な溶解性が得られるためには、上記の例のようなモノマ
ーの組み合わせおよびそれらの構成比率により、脂肪族
炭化水素系溶剤を主成分とする分散媒と類似の構造、も
しくは共重合の極性が分散媒と同様の極性を持つように
する必要がある。このような条件が満たされる限り、例
えば、メチルアクリレート/オクタデシルアクリレー
ト、スチレン/ドデシルアクリレート、スチレン/トリ
デシルアクリレート、ドデシルメタクリレート/ブチル
アクリレート、オクチルメタクリレート/ブチルアクリ
レート、ドデシルメタクリレート/グリシジルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル
酸、イソデシルメタクリレート/ジエチルアミノエチル
メタクリレート、ドデシルメタクリレート/ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート/
ジエチルアミノエチルメタクリレート、ドデシルメタク
リレート/p−メチルスチレン、ドデシルメタクリレー
ト/p−ジメチルアミノスチレン等のコポリマー、ドデ
シルメタクリレート/イソデシルメタクリレート/メチ
ルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート/シク
ロヘキシルアクリレート/メタクリル酸、オクチルアク
リレート/クロトン酸/ドデシルメタクリレート、グリ
シジルメタクリレート/オクタデシルメタクリレート/
ドデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート/オ
クチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート、イ
ソデシルメタクリレート/オクタデシルメタクリレート
/アクリル酸、p−メチルスチレン/テトラデシルメタ
クリレート/イソブチルメタクリレート、スチレン/オ
クタデシルメタクリレート/ジメチルアミノメチルメタ
クリレート、スチレン/ドデシルアクリレート/トリデ
シルアクリレート、p−メチルスチレン/イソブチルメ
タクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート、p−
t−ブチルスチレン/イソブチルメタクリレート/2−
エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート/オ
クタデシルアクリレート/テトラオキシエチルアクリレ
ート等のターポリマー、N−ビニルピロリドン/ブチル
アクリレート/ドデシルメタクリレート/オクタデシル
メタクリレート、アクリル酸/オクタデシルアクリレー
ト/メチルメタクリレート/イソデシルアクリレート等
のテトラポリマーなどのランダムポリマー、ブロックポ
リマー、グラフトポリマー等を好適に用いる事が出来
る。また、これらの重合体は、分散媒に可溶もしくは部
分的に可溶な、分散剤およびバインダーとしての機能を
主たる目的として加える樹脂と併用しても良い。下記式
(1)〜(14)で示される化合物は好ましい重合体の
具体例である。
【0050】
【化10】
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】
【化13】
【0054】本発明における金属石鹸としては、前述の
ような脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁
性の分散媒に対する溶解性の点から、炭素数6〜12の
脂肪酸成分により構成される物が好ましい。
【0055】特に、カウリブタノール値の非常に低い
(30未満)の高純度の脂肪族炭化水素溶剤に対しても
高い溶解性を有していること、および高い帯電性能が得
られる事から、ナフテン酸およびオクチル酸を脂肪酸成
分とする金属石鹸が特に好ましい。
【0056】これら金属石鹸の金属原子としては、マン
ガン、鉛、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、ジルコニ
ウム、銅、鉄等が使用可能である。好ましい金属石鹸の
具体例としては、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、
ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸ジルコニウム、オクチ
ル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸ニッケル、オ
クチル酸ジルコニウム等がある。
【0057】これらの金属石鹸と前記重合体を組み合わ
せて使用することにより、色材に正極性の高いゼータ電
位を付与する事が可能となる。本発明における金属石鹸
の濃度は、インクの総量に対して0.01〜2.0重量
%の範囲であることが好ましい。金属石鹸の濃度が0.
01重量%より少ないと、色材に高いゼータ電位を付与
する効果がほとんどなく、2.0重量%より多いとイン
クの体積抵抗率低下のため、印字濃度が低下する傾向が
生じるため、何れも好ましくない。
【0058】本発明における基本的な構成材料は以上の
ような物であるが、このほかに分散剤や界面活性剤、ワ
ックス、染料等の添加剤を適宜加えても良い。
【0059】次に、インクの作製方法について説明す
る。インクの作製には、各種顔料インクの作製方法とし
て公知である一般的な手法を用いることが出来る。例え
ば、所定の配合比になるように秤量した色材、樹脂、本
発明の特徴である重合体および金属石鹸、その他の補助
添加剤を適当な粘度範囲になるように分散媒と混合した
物を、ビーズミル、アトライター、ボールミル等の分散
機を用いて、数時間から数十時間程度混合粉砕する事に
より、数百nm〜数μm程度の色材が分散されたインク
の濃縮液を作製した後、使用する際の所定濃度まで分散
倍で希釈し、インクを作製する方法がある。また、色
材、樹脂、補助添加剤を同様に混合粉砕、希釈した後
に、本発明の特徴である重合体および金属石鹸を加える
方法もある。また、色材、樹脂、本発明の特徴である重
合体、補助添加剤を同様に混合粉砕、希釈した後に、金
属石鹸を加える方法もある。いずれの方法を用いても同
様の効果が得られる。
【0060】
【実施例】次に、本発明を具体例により説明する。
【0061】(実施例1)エクソン化学製のイソパラフ
ィン系炭化水素であるアイソパーG(商品名)82.3
gに、p−メチルスチレン/イソブチルメタクリレート
/2−エチルヘキシルアクリレート共重合体(モル比で
56/34/10、重量平均分子量80000、以下共
重合体aと称す。)5.0gとナフテン酸マンガン2.
67gを加え、共重合体およびナフテン酸マンガンが完
全に溶解するまで室温で混合撹拌した。この混合溶液
と、色材としてクラリアント製の顔料であるリフラック
ス・ブルーR54(商品名)10.0gをジルコニア製
ビーズと共にメノウ製の粉砕容器に入れ、遊星型ボール
ミル装置で24時間混合粉砕し、色材濃度10.0重量
%の顔料分散体を作製した。この顔料分散体を、アイソ
パーG(商品名)で希釈し、下記のような組成のインク
Aを作製した。
【0062】 アイソパーG 94.7重量% リフラックス・ブルーR54 3.0重量% 共重合体a 1.5重量% ナフテン酸マンガン 0.8重量% インクA中の顔料の25℃におけるゼータ電位は120
mVと非常に高い値を示した。またインクAは1010Ω
・cm以上の体積抵抗率を有していた。
【0063】ここで、ゼータ電位の測定には、大塚電子
ELS−6000型ゼータ電位計(商品名)を用い、分
散媒で約1000倍に希釈したインクを25℃に保持し
た低誘電率用測定セルに導入し測定した。また、体積抵
抗率の測定には、キースレー6517型高抵抗系(商品
名)および東洋真空工業1型液体電気抵抗測定用電極
(商品名)を用い25℃の恒温槽中で行った。これらの
物性値の測定条件は以下の比較例および実施例について
も同様である。またインクの体積抵抗率は、以下の比較
例および実施例についても1010Ω・cm以上となるよ
うに重合体および金属石鹸の組成と添加量を調整した。
【0064】このインクAを次のような静電型インクジ
ェットヘッドを用いて印字評価した。図1は、本実施例
におけるインクの評価に用いた静電型インクジェットヘ
ッドの構成を示す斜視図である。
【0065】図1において、1はインクジェットヘッ
ド、2はインクに記録信号となる電圧パルスを与えてイ
ンク液滴を吐出させるための金属製の記録電極、3は複
数の記録電極2が形成されたプラスチック製の下板、4
は同じくプラスチック製の上板、5は同じくプラスチッ
ク製の側板、6は記録電極に対向して配置された金属製
の対向電極である。
【0066】また、インクジェットヘッド1と対向電極
6との間には、対向電極に密着する形で、記録媒体であ
る記録紙(図示せず)がインクジェットヘッド1の長手
方向と垂直に移動可能に配置される。
【0067】図1において、下板3と上板4および側板
5は、細長いスリット状のインク吐出口を形成してお
り、ヘッド背面に形成されたインク流路(図示せず)か
ら供給されたインク(図示せず)はこのスリット状のイ
ンク吐出口に充填され、記録電極2先端と上板4の間で
メニスカスを形成する。
【0068】本実施例においては、下板3と上板4との
間の間隔すなわちスリット幅は約150μm、記録電極
2の幅は約60μm、記録電極2の配列間隔は約85μ
m、記録電極2先端と記録紙との間隔は約1mmとした
物を用いた。
【0069】このような構成のインクジェットヘッドに
おいて、対向電極6には常に一定のマイナス電圧を印加
し、記録電極2との間に一定のバイアス電界を形成して
おき、記録紙をインクジェットヘッド1の長手方向と垂
直に移動させながら、記録電極2に記録信号となるプラ
スの電圧パルスを一定の周波数で印加することで、記録
電極2の先端より対向電極6に向かって静電引力により
インク滴を吐出させ、記録紙状に一定の周期の印字ドッ
トを形成する。
【0070】このインクジェットヘッドを用いて、イン
クAについて、対向電極電圧−1kV、記録電極電圧+
500V、記録信号パルス印加時間200μ秒、記録周
波数2kHzの条件で、コピー用紙に200万ドットの
印字を行い、記録周波数への応答性と印字濃度を評価し
た。
【0071】この結果、光学濃度1.4以上で、光学顕
微鏡観察による官能評価でも市販のインクジェットプリ
ンター以上の濃度を有する、滲みの少ない均一なドット
が2kHzの周期でドット抜けなく安定に印字されてい
た。(表1)はインクの組成と評価結果の一覧である。
【0072】
【表1】
【0073】ここで、印字評価の項は、2kHzの記録
周波数で光学濃度1.4以上の印字が安定に行われ、か
つ印字物のドット抜けが市販のインクジェットプリンタ
ーと同様に0.05%未満の場合を○で表し、それ以外
の場合、すなわち吐出応答周波数が2kHz未満であっ
た場合、もしくはドット抜けが0.05%以上であった
場合、もしくは連続安定印字が出来なかった場合を×で
表す。以下の実施例および比較例についても同様であ
る。
【0074】(実施例2)実施例1におけるナフテン酸
マンガンの代わりにオクチル酸ジルコニウムを用いて、
実施例1と同様の手順で下記のような組成のインクBを
作製した。
【0075】 アイソパーG 95.2重量% リフラックス・ブルーR54 3.0重量% 共重合体a 1.5重量% オクチル酸ジルコニウム 0.3重量% インクBについて実施例1と同様に顔料のゼータ電位の
測定および印字評価を行った。インクBの組成とゼータ
電位および印字評価の結果は(表1)の様である。この
ように、インクBは実施例1と同様に非常に高いゼータ
電位を有しており、良好な印字結果が得られた。
【0076】(比較例1)共重合体aを加えない以外
は、実施例1と同様にしてインクCを作製し、実施例1
と同様に顔料のゼータ電位の測定および印字評価を行っ
た。インクCの組成とゼータ電位および印字評価の結果
は(表1)の様である。このように、共重合体aを加え
た実施例1と比較し顔料のゼータ電位が大幅に小さく、
良好な印字結果が得られなかった。
【0077】(比較例2)共重合体aを加えない以外
は、実施例2と同様にしてインクDを作製し、実施例1
と同様に顔料のゼータ電位の測定および印字評価を行っ
た。インクDの組成とゼータ電位および印字評価の結果
は(表1)の様である。このように、共重合体aを加え
た実施例2と比較し顔料のゼータ電位が大幅に小さく、
良好な印字結果が得られなかった。
【0078】(比較例3)金属石鹸を加えない以外は、
実施例1および実施例2と同様にしてインクEを作製
し、実施例1と同様に顔料のゼータ電位の測定および印
字評価を行った。インクEの組成とゼータ電位および印
字評価の結果は(表1)の様である。このように、金属
石鹸を加えた実施例1および実施例2と比較し顔料のゼ
ータ電位が大幅に小さく、良好な印字結果が得られなか
った。
【0079】(実施例3)実施例1における共重合体a
の代わりに、ドデシルメタクリレート/ジエチルアミノ
エチルメタクリレート共重合体(モル比で90/10、
重量平均分子量10000、以下共重合体bと称す。)
を用いて、実施例1と同様の手順で下記のような組成の
インクFを作製した。
【0080】 アイソパーG 95.0重量% リフラックス・ブルーR54 3.0重量% 共重合体b 1.2重量% ナフテン酸マンガン 0.8重量% インクFについて実施例1と同様に顔料のゼータ電位の
測定および印字評価を行った。インクFの組成とゼータ
電位および印字評価の結果は(表1)の様である。この
ように、インクFは非常に高いゼータ電位を有してお
り、良好な印字結果が得られた。
【0081】(実施例4)実施例3におけるナフテン酸
マンガンの代わりにオクチル酸ジルコニウムを用いて、
実施例1と同様の手順で下記のような組成のインクGを
作製した。
【0082】 アイソパーG 95.5重量% リフラックス・ブルーR54 3.0重量% 共重合体b 1.2重量% オクチル酸ジルコニウム 0.3重量% インクGについて実施例1と同様に顔料のゼータ電位の
測定および印字評価を行った。インクGの組成とゼータ
電位および印字評価の結果は(表1)の様である。この
ように、インクGは実施例3と同様に非常に高いゼータ
電位を有しており、良好な印字結果が得られた。
【0083】(比較例5)金属石鹸を加えない以外は、
実施例3および4と同様にしてインクHを作製し、実施
例1と同様に顔料のゼータ電位の測定および印字評価を
行った。インクHの組成とゼータ電位および印字評価の
結果は(表1)の様である。このように、実施例3およ
び実施例4と比較し顔料のゼータ電位が大幅に小さく、
良好な印字結果が得られなかった。
【0084】(比較例6)共重合体aの代わりに、前記
一般式(I)で表される繰り返し単位を含まない重合体
であるアルキド樹脂(重量平均分子量3000)を用い
た以外は、実施例1と同様にしてインクIを作製し、実
施例1と同様に顔料のゼータ電位の測定および印字評価
を行った。インクIの組成とゼータ電位および印字評価
の結果は(表1)の様である。このように、実施例1と
比較し顔料のゼータ電位が大幅に小さく、良好な印字結
果が得られなかった。
【0085】(比較例7)共重合体aの代わりに、前記
一般式(I)で表される繰り返し単位を含まない重合体
である脂肪族炭化水素樹脂(重量平均分子量1000
0)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクJを
作製し、実施例1と同様に顔料のゼータ電位の測定およ
び印字評価を行った。インクJの組成とゼータ電位およ
び印字評価の結果は(表1)の様である。このように、
実施例1と比較し顔料のゼータ電位が大幅に小さく、良
好な印字結果が得られなかった。
【0086】(実施例5)丸善石油化学製のイソパラフ
ィン系炭化水素であるマルカゾールR(商品名)78.
3gに、共重合体a10.0gとナフテン酸マンガン
1.67gを加え、共重合体aおよびナフテン酸マンガ
ンが完全に溶解するまで室温で混合撹拌した。この混合
溶液と、色材としてキャボット・スペシャリティー・ケ
ミカルズ・インク社製のカーボンブラック顔料であるモ
ナーク120(商品名)10.0gをジルコニア製ビー
ズと共にメノウ製の粉砕容器に入れ、遊星型ボールミル
装置で24時間混合粉砕し、色材濃度10.0重量%の
顔料分散体を作製した。この顔料分散体を、マルカゾー
ルR(商品名)で希釈し、下記のような組成のインクK
を作製した。
【0087】 マルカゾールR 93.5重量% モナーク120 3.0重量% 共重合体a 3.0重量% ナフテン酸マンガン 0.5重量% インクKについて実施例1と同様に顔料のゼータ電位の
測定および印字評価を行った。インクKの組成とゼータ
電位および印字評価の結果は(表1)の様である。この
ように、インクKは非常に高いゼータ電位を有してお
り、良好な印字結果が得られた。
【0088】(実施例6)実施例5におけるナフテン酸
マンガンの代わりにオクチル酸ジルコニウムを用いて、
実施例5と同様の手順で下記のような組成のインクLを
作製した。
【0089】 マルカゾールR 93.88重量% モナーク120 3.0重量% 共重合体a 3.0重量% オクチル酸ジルコニウム 0.12重量% インクLについて実施例1と同様に顔料のゼータ電位の
測定および印字評価を行った。インクLの組成とゼータ
電位および印字評価の結果は(表1)の様である。この
ように、インクLは実施例5と同様に非常に高いゼータ
電位を有しており、良好な印字結果が得られた。
【0090】(比較例8)共重合体aを加えない以外
は、実施例5と同様にしてインクMを作製し、実施例1
と同様に顔料のゼータ電位の測定および印字評価を行っ
た。インクMの組成とゼータ電位および印字評価の結果
は(表1)の様である。このように、実施例5と比較し
顔料のゼータ電位が大幅に小さく、良好な印字結果が得
られなかった。
【0091】(比較例9)共重合体aを加えない以外
は、実施例6と同様にしてインクNを作製し、実施例1
と同様に顔料のゼータ電位の測定および印字評価を行っ
た。インクNの組成とゼータ電位および印字評価の結果
は(表1)の様である。このように、実施例6と比較し
顔料のゼータ電位が大幅に小さく、良好な印字結果が得
られなかった。
【0092】(比較例10)金属石鹸を加えない以外
は、実施例5および6と同様にしてインクOを作製し、
実施例1と同様に顔料のゼータ電位の測定および印字評
価を行った。インクOの組成とゼータ電位および印字評
価の結果は(表1)の様である。このように、実施例5
および実施例6と比較し顔料のゼータ電位が大幅に小さ
く、良好な印字結果が得られなかった。
【0093】(実施例7)実施例5における共重合体a
の代わりに前記共重合体bを用いて、実施例5と同様の
手順で下記のような組成のインクPを作製した。
【0094】 マルカゾールR 95.3重量% モナーク120 3.0重量% 共重合体b 1.2重量% ナフテン酸マンガン 0.5重量% インクPについて実施例1と同様に顔料のゼータ電位の
測定および印字評価を行った。インクPの組成とゼータ
電位および印字評価の結果は(表1)の様である。この
ように、インクPは実施例5と同様に非常に高いゼータ
電位を有しており、良好な印字結果が得られた。
【0095】(実施例8)実施例7におけるナフテン酸
マンガンの代わりにオクチル酸ジルコニウムを用いて、
実施例5と同様の手順で下記のような組成のインクQを
作製した。
【0096】 マルカゾールR 95.68重量% モナーク120 3.0重量% 共重合体b 1.2重量% オクチル酸ジルコニウム 0.12重量% インクQについて実施例1と同様に顔料のゼータ電位の
測定および印字評価を行った。インクQの組成とゼータ
電位および印字評価の結果は(表1)の様である。この
ように、インクQは実施例7と同様に非常に高いゼータ
電位を有しており、良好な印字結果が得られた。
【0097】(比較例11)金属石鹸を加えない以外
は、実施例7および実施例8と同様にしてインクRを作
製し、実施例1と同様に顔料のゼータ電位の測定および
印字評価を行った。インクRの組成とゼータ電位および
印字評価の結果は(表1)の様である。このように、実
施例7および実施例8と比較し顔料のゼータ電位が大幅
に小さく、良好な印字結果が得られなかった。
【0098】以上の結果より、インクが共重合体aもし
くは共重合体bと、ナフテン酸マンガンもしくはオクチ
ル酸ジルコニウムとを含む場合には、顔料のゼータ電位
は90〜130mVと非常に高い値となり、これにより
良好な印字特性が得られている事がわかる。
【0099】これに対し、共重合値aもしくは共重合体
bを含むがナフテン酸マンガンもしくはオクチル酸ジル
コニウムを含まない場合、もしくはナフテン酸マンガン
もしくはオクチル酸ジルコニウムを含むが共重合値aも
しくは共重合体bを含まない場合には、顔料のゼータ電
位は30mV以下となり、良好な印字特性が得られない
事が分かる。
【0100】上記の例の様に、本発明によれば、一般式
(I)で表される繰り返し単位を含む、分散媒に可溶な
重合体と、金属石鹸とを含む事により、高い体積抵抗率
を有しインク中の色材が正極性の高いゼータ電位を有す
るインク、具体的には、25℃における体積抵抗率が1
10Ω・cm以上であり、かつインク中の色材のゼータ
電位が90mV以上であるインクを実現することが可能
となり、高濃度で滲みが少ないドットを高速で安定に印
字することができる、色材凝集型の静電インクジェット
ヘッド用のインクを実現することができる。また、重合
体および金属石鹸の組成と含有量を変化させる事により
顔料のゼータ電位を調製することが可能であり、色材凝
集型静電インクジェットヘッド用インク中の色材の帯電
制御を効果的に行うことが出来る。
【0101】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高濃度で
滲みが少ないドットを安定に印字することができる、色
材凝集型の静電インクジェットヘッド用のインクを提供
することが可能となる。併せて、非常に効果的な色材凝
集型静電インクジェットヘッド用インク中の色材の帯電
制御方法を提供する事が可能であり、静電インクジェッ
トインク及びその色材帯電制御方法を提供する事が出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例におけるインクの評価に用いた静電型
インクジェットヘッドの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 記録電極 3 下板 4 上板 5 側板 6 対向電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インクを複数の記録電極が配置された記録
    ヘッドに導入し、前記記録電極と前記記録電極に対向し
    て配置された対向電極との間に電圧を印加し前記インク
    に静電力を作用させることで、前記記録電極先端より前
    記インクを飛翔させ前記記録電極と前記対向電極の間に
    配置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行う
    静電型インクジェット記録装置用のインクであって、少
    なくとも、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする高電気
    絶縁性の分散媒と、前記分散媒に不溶な色材と、少なく
    とも下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む、
    前記分散媒に可溶な重合体と、金属石鹸とを含む事を特
    徴とする静電インクジェットインク。 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は直鎖ま
    たは分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル基であって、
    置換基を有していても良い。)
  2. 【請求項2】金属石鹸を構成する脂肪酸分子の炭素数が
    6〜12である事を特徴とする請求項1記載の静電イン
    クジェットインク。
  3. 【請求項3】金属石鹸を構成する脂肪酸分子がナフテン
    酸またはオクチル酸もしくはそれらの混合物である事を
    特徴とする請求項1,2いずれか1記載の静電インクジ
    ェットインク。
  4. 【請求項4】分散媒が25℃において1013Ω・cm以
    上の体積抵抗率を有すると共に、150〜350℃の範
    囲の沸点を有するイソパラフィン系炭化水素である事を
    特徴とする請求項1〜3いずれか1記載の静電インクジ
    ェットインク。
  5. 【請求項5】インクの25℃における体積抵抗率が10
    10Ω・cm以上であり、かつ色材のゼータ電位が90m
    V以上である事を特徴とする請求項1〜4いずれか1記
    載の静電インクジェットインク。
  6. 【請求項6】インクを複数の記録電極が配置された記録
    ヘッドに導入し、前記記録電極と前記記録電極に対向し
    て配置された対向電極との間に電圧を印加し前記インク
    に静電力を作用させることで、前記記録電極先端より前
    記インクを飛翔させ前記記録電極と前記対向電極の間に
    配置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行う
    静電型インクジェット記録装置用のインクにおいて、 少なくとも、脂肪族炭化水素系溶剤を主成分とする高電
    気絶縁性の分散媒と前記分散媒に不溶な色材により構成
    されるインクにおける前記色材の帯電制御方法であっ
    て、少なくとも下記一般式(I)で表される繰り返し単
    位を含む、前記分散媒に可溶な重合体と金属石鹸とを前
    記インクに加える事を特徴とする色材帯電制御方法。 【化2】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は直鎖ま
    たは分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル基であって、
    置換基を有していても良い。)
  7. 【請求項7】少なくとも、脂肪族炭化水素系溶剤を主成
    分とする高電気絶縁性の分散媒と、前記分散媒に不溶な
    色材と、少なくとも下記一般式(I)で表される繰り返
    し単位を含む、前記分散媒に可溶な重合体と、金属石鹸
    とを含む事を特徴とするインクジェットインク。 【化3】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は直鎖ま
    たは分岐鎖状の炭素数4〜22のアルキル基であって、
    置換基を有していても良い。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006083341A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Fuji Photo Film Co Ltd インクジェット記録用インク組成物及びインクジェット記録方法
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US7296883B2 (en) 2002-09-24 2007-11-20 Seiko Epson Corporation Ink composition for ink-jet recording, recording method using same, and record

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