JP2001329193A - インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置 - Google Patents

インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置

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JP2001329193A
JP2001329193A JP2000149393A JP2000149393A JP2001329193A JP 2001329193 A JP2001329193 A JP 2001329193A JP 2000149393 A JP2000149393 A JP 2000149393A JP 2000149393 A JP2000149393 A JP 2000149393A JP 2001329193 A JP2001329193 A JP 2001329193A
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Kenji Oshima
賢司 大島
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた印字性能を有し、さらに一般の家庭や
オフィス環境での使用に適したインクジェットインク、
それを用いた静電型インクジェット記録方法及び装置を
提供する事を目的とする。 【解決手段】 本発明のインクジェットインクは、電気
絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも前記非水溶媒に不溶
な色材を含有する構成を有し、106Ω・m以上の体積
抵抗率を有するインクジェットインクであって、前記溶
媒がアニリン点77〜92℃の炭化水素系溶剤である事
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットイ
ンク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び
記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクを記録媒体に飛翔させ記録ドット
を形成することにより印字を行うインクジェット記録法
は、カラー化が容易で普通紙に直接記録できるノンイン
パクト記録法として関心を集めており、この方式を用い
たプリンターが種々実用化されている。インクジェット
記録法の一つとして、記録媒体に対向して配置された複
数の記録電極と記録媒体の背面に配置された対向電極と
に電圧を印加し、両電極間に生じた電位差により、記録
電極上に供給されたインクに静電力を作用させ、インク
を記録媒体上に飛翔させる、静電型のインクジェット記
録法がある。これらの静電インクジェットプリンター
は、例えば、”インクジェット記録技術”、株式会社ト
リケップス発行(1989年)に紹介されている。
【0003】このような静電インクジェット方式により
構成された、ドロップオンデマンド型のフルカラー記録
ヘッドの一例が、例えば特開昭58−215253号公
報、電気通信学会論文誌,Vol.J68−C,2(1
985年)第93ページから第100ページに開示、発
表されている。この方式は、従来のインクジェットヘッ
ドにおけるノズルの代わりに、内壁に多数の記録電極を
有する細長いスリット状のインク吐出口を用いている。
このため、インクの目詰まりに対する心配が少なく、ま
たヘッドの構成が単純であることにより製造コストの低
減が期待でき、記録媒体の幅方向の広範囲をカバーでき
る長さの、いわゆる長尺ラインヘッドを実現するために
も有効な方法である。この静電型インクジェットヘッド
においては、有機溶剤に染料を溶解した油性インクが好
適に用いられ、インクの構成材料に関しては詳細に開示
されてはいないが、電気通信学会論文誌,Vol.J6
8−C,2,pp.93−100,(1985年)に見
られる例では、体積抵抗率(電気抵抗率)が105〜1
6Ω・m、表面張力が22mN/m、粘度が3.1〜
6.9cPの物性値を有するインクが用いられている。
しかしながら、このような油性インクは、他のインジェ
ット方式において一般に用いられている水性インクと比
較し表面張力が低いために、記録紙への浸透性が非常に
大きく、特に普通紙に印字を行う場合において、印字濃
度の低下やにじみ、裏写りを生じやすいという問題があ
った。
【0004】これに対して、例えば特開平9−1147
5号公報、特開平9−118015号公報、特開平9−
193389号公報等には、帯電された色材粒子(トナ
ー)が電気絶縁性の高い液体中に分散されたインクを用
い、吐出電極と対向電極との間に形成された静電界によ
り、色材粒子を電気泳動により吐出電極先端の吐出部に
集中させ、色材が高濃度に濃縮された形でインク滴を飛
翔させる静電インクジェットヘッドが開示されている。
この場合、通常、吐出電極には色材の帯電極性と同極性
の電位を、対向電極には色材の帯電極性と逆極性の電位
を与える。この方式では、その吐出原理の詳細は明らか
にされていないが、前述の方式とは異なり、インクの構
成成分が均一な状態で多量の液体成分を含んだまま吐出
されるのではなく、色材が凝集され液体成分が少ない状
態でインクが吐出されることにより、上述の問題点が解
決される。また、顔料を色材として用いることにより、
従来の染料を用いたインクジェットヘッドに比べ、印字
画像の耐水性、耐光性に関しても有利な結果が得られ
る。
【0005】この様な色材凝集型の静電インクジェット
インクにおいては、印字濃度が高く、にじみや裏写りを
生じない良好な印字特性を得るためには、まず第1にイ
ンクの体積抵抗率が十分大きい事が必要である。この事
により記録電極と対向電極により形成されインクに印加
された電界を色材粒子に到達させる事が可能となる。ま
た、インクの体積抵抗率が低いと、記録電極により印加
される電圧により、インクが電荷注入を受け帯電してし
まい、静電反発力によりインクが多量の液体成分を含ん
だまま吐出してしまう傾向が強くなる。次に、色材粒子
を十分な速度で電気泳動により吐出口部に集中させる必
要があるため、色材粒子が十分な帯電量を有している
事、すなわち色材粒子が正極性もしくは負極性の高いゼ
ータ電位を有している事が必要である。また、吐出性能
と色材粒子の沈降防止との兼ね合いから、色材粒子の平
均粒径は、0.1〜4μm程度が好ましいとされる。
【0006】具体的には、例えば特開平9−19338
9号公報等には、電気抵抗率が10 8Ω・m以上の誘電
性液体中に、前記誘電性液体に対するゼータ電位が60
mV以上であり、かつ平均粒径が0.01及至5μmの
範囲内にある現像剤粒子(少なくとも着色材成分を有す
る固形樹脂粒子)を分散させる事により、106Ω・m
以上、最も好ましくは108Ω・m以上の電気抵抗率を
有するように調整されたインクの使用が開示されてい
る。この様なインクは、例えば、絶縁性液体として10
8Ω・m以上の体積抵抗率を有する炭化水素系溶剤、色
材として、カーボンブラック顔料および有機顔料、並び
に、樹脂やワックスからなるバインダ中もしくは表面に
顔料を含有するものを用い、その他分散剤、帯電制御剤
等を加えた系で色材分散体を作製する事により調製する
事が可能と考えられるが、好適なインクの組成と材料、
作製方法およびインク物性値の詳細は開示されていな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような色材凝集
型の静電インクジェット記録方式においては、色材粒子
を非水溶媒中に分散させた構成のインクを用い、スリッ
ト状の開口部を形成する基板上等に設けられた吐出電極
先端の吐出部に、インク中の色材粒子を電気泳動により
集中させ、色材が高濃度に濃縮された形でインク滴を飛
翔させる構成のため、開口部からの非水溶媒溶媒の揮
発、吐出電極への色材粒子並びに不純物の付着等によ
り、吐出電極先端部近傍におけるインクの高粘度化や色
材粒子の固着(こびりつき)等が発生し、インクの吐出
が不安定になったり、インク吐出の応答周波数が低下す
るという問題があった。また、分子量が高く揮発性の低
い溶媒を使用すると開口部からの溶媒の揮発は抑制され
るが、インクの高粘度化による流動性の低下や色材粒子
の泳動速度低下により、同様にインクの吐出が不安定に
なったり、インク吐出の応答周波数が低下するという問
題があった。さらに、非水溶媒を用いるため、溶媒の分
子構造、揮発性、不純物の含有量等の原因により臭気が
発生し、特に一般の家庭やオフィス環境での使用に際し
問題となる場合があった。
【0008】本発明は上記従来の問題点を解決する物で
あり、優れた印字性能を有し、さらに一般の家庭やオフ
ィス環境での使用に適したインクジェットインク、それ
を用いた静電型インクジェット記録方法及び装置を提供
する事を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
インクは、電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも前記
非水溶媒に不溶な色材を含有する構成を有し、前記溶媒
がアニリン点77〜92℃の炭化水素系溶剤である構成
とした。
【0010】本発明によれば、優れた印字性能を有し、
さらに一般の家庭やオフィス環境での使用に適したイン
クジェットインクを実現することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも非水溶媒に
不溶な色材を含有する構成を有し、106Ω・m以上の
体積抵抗率を有するインクジェットインクであって、溶
媒がアニリン点77〜92℃の炭化水素系溶剤である事
を特徴とするインクジェットインクであり、溶媒である
炭化水素系溶剤中のナフテン類や芳香族類の含有量を非
常に少なくすると共に、溶剤を構成する炭化水素類の分
子量を適当な範囲とするという作用を有する。
【0012】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1において、炭化水素系溶剤の沸点範囲が、150〜2
60℃であることを特徴とするインクジェットインクで
あり、室温におけるインク溶媒の揮発性および粘度を適
当な範囲とするという作用を有する。
【0013】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1,2において、炭化水素系溶剤がノルマルパラフィン
類、イソパラフィン類もしくはそれらの混合物である事
を特徴とするインクジェットインクであり、インクの臭
気を非常に小さくするという作用を有する。
【0014】本発明の請求項4に記載の発明は、アニリ
ン点77〜92℃、沸点範囲150〜260℃の、ノル
マルパラフィン類、イソパラフィン類もしくはそれらの
混合物を溶媒とし、少なくとも溶媒に不溶な色材を含有
する構成を有し、107Ω・m以上の体積抵抗率を有す
る事を特徴とするインクジェットインクであり、溶媒中
の芳香族類や不純物の含有量が非常に少なく、室温にお
いて適当な範囲の揮発性および粘度を有し、臭気が非常
に小さいインクジェットインクの作製を可能とすると共
に、高濃度でにじみの少ない記録画像の形成を可能にす
るという作用を有する。
【0015】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
1〜4いずれか1記載のインクジェットインクを記録電
極が配置された記録ヘッドに導入し、記録電極と記録電
極に対向して配置された対向電極との間に電圧を印加し
前記インクに静電力を作用させることで、記録ヘッドよ
り前記インクを飛翔させ記録電極と対向電極との間に配
置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行う事
を特徴とする静電型インクジェット記録方法であり、室
温において適当な範囲の揮発性および粘度を有している
ので、インクの吐出が安定であると共に、インク吐出の
応答周波数の低下を抑制することが可能であり、インク
の臭気も非常に小さいものであり、高濃度でにじみの少
ない記録画像の形成を可能にするという作用を有する。
【0016】本発明の請求項6に記載の発明は、少なく
とも記録電極が配置された記録ヘッドと、記録電極に対
向して配置された対向電極とを有し、請求項1〜4いず
れか1記載のインクジェットインクを記録電極が配置さ
れた記録ヘッドに導入し、記録電極と記録電極に対向し
て配置された対向電極との間に電圧を印加しインクに静
電力を作用させることで、記録ヘッドよりインクを飛翔
させ記録電極と対向電極との間に配置された記録媒体上
に印字ドットを形成し記録を行う事を特徴とする静電型
インクジェット記録装置であり、室温において適当な範
囲の揮発性および粘度を有しているので、インクの吐出
が安定であると共に、インク吐出の応答周波数の低下を
抑制することが可能であり、インクの臭気も非常に小さ
いものであり、高濃度でにじみの少ない記録画像の形成
を可能にするという作用を有する。
【0017】以下、本発明の実施の形態について説明す
る。
【0018】本発明のインクジェットインクは、前述の
ように、電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも前記非
水溶媒に不溶な色材を含有する構成を有し、前記溶媒が
アニリン点77〜92℃の炭化水素系溶剤である事を特
徴とするものである。まず、本発明の特徴である溶媒に
ついて詳細に解説する。
【0019】先に述べたような色材凝集型の静電インク
ジェット記録装置においては、インクに106Ω・m以
上、好ましくは107Ω・m以上といった高い体積抵抗
率が要求されるため、使用する溶媒は108Ω・m以上
程度の体積抵抗率を有している必要があること、また反
応性が低く安定で安全性が高いことが必要であるといっ
た要求から、極性の低い炭化水素系溶剤は好適であると
考えられるが、本発明のインクは、アニリン点が77〜
92℃の炭化水素系溶剤を溶媒として用いる事を最大の
特徴とするものである。
【0020】ここで、炭化水素系溶剤のアニリン点につ
いて解説する。アニリン点とは、炭化水素または炭化水
素混合物が等容積のアニリンと互いに溶解し均一な溶液
として存在しうる最低温度をいう。アニリン点は炭化水
素の種類および分子量と密接な関係があり、等しい分子
量であれば、パラフィン類が最も高く、ナフテン類はそ
れより低く、芳香族類は最低の値を示す。また、同属列
では分子量が大きくなるほど高い値となる。従って、例
えば、ある一定の沸点範囲で精製したパラフィン類に混
入しているナフテン類、芳香族類等の含有量が多くなる
ほどアニリン点は低くなるため、パラフィン類の精製度
の指標として用いられる。また、炭化水素類の組成が等
しければ、その分子量に依存するため、炭化水素系溶剤
の蒸発速度(揮発性)および粘度と密接な関係がある。
石油製品のアニリン点試験方法は、JIS K 225
6に規定されている。
【0021】色材凝集型の静電インクジェット記録装置
においては、先に述べたように、吐出電極先端部近傍に
おけるインクの高粘度化や色材粒子の固着等が発生し、
インクの吐出が不安定になったり、インク吐出の応答周
波数が低下するという問題があった。これは、開口部か
らの溶媒の揮発や吐出電極への色材粒子並びに不純物の
付着が原因であると考えられる。分子量が高く揮発性の
低い溶媒を使用すると開口部からの溶媒の揮発は抑制さ
れるが、インクの高粘度化による流動性の低下や色材粒
子の泳動速度低下により、同様にインクの吐出が不安定
になったり、インク吐出の応答周波数が低下するという
問題が生じる場合がある。アニリン点が77〜92℃の
炭化水素系溶剤を溶媒として用いる事で、これらの問題
が改善され、吐出安定性が高く、応答周波数の高いイン
クを実現する事が出来る。これは、インク溶媒のアニリ
ン点を77〜92℃の範囲内とすることで、溶媒の揮発
性、不純物含有量、粘度が好ましい範囲に調節されたた
めであると考えられる。更にこの事によって、インクの
臭気は非常に少なくなるため、本発明のインクは一般の
家庭やオフィス環境での使用に適する物である。アニリ
ン点が77℃より低くなると、溶剤の揮発性、もしくは
不純物の含有量が高くなりすぎるため好ましくなく、特
にアニリン点が60℃未満程度の物は、芳香族類の含有
量が高いため、臭気が強く、安定性および安全性の面か
らも好ましくない。また、アニリン点が92℃を越える
と、溶剤の揮発性が小さくなりすぎると共に、粘度が高
くなりすぎるため好ましくない。
【0022】また、アニリン点が77〜92℃の範囲に
ある炭化水素系溶剤で、沸点範囲が150〜260℃の
ものを用いると、高い吐出安定性と応答周波数を実現で
き、特に優れた性能が得られる。沸点範囲が150℃よ
り低くなると溶剤の揮発性が高くなりすぎ、色材固着等
も生じやすくなるため、インク吐出が不安定になりやす
く、また、沸点範囲が260℃より高くなると、溶剤の
粘度が高いために吐出応答周波数が低下する傾向が生じ
る。一般に、石油系溶剤の沸点は、蒸留範囲すなわち初
留点(℃)と乾点(℃)、もしくは終点(℃)で表さ
れ、本発明における沸点範囲の定義もこれと同義であ
る。
【0023】上記の様な性状を有する炭化水素系溶剤
は、一般に脂肪族系溶剤であり、芳香族系溶剤は含まれ
ず、より具体的には主に、ノルマルパラフィン類、イソ
パラフィン類、ナフテン類の何れかもしくはそれらの混
合物であるが、ノルマルパラフィン類、イソパラフィン
類はナフテン類と比較してより臭気が少ないため、ノル
マルパラフィン類、イソパラフィン類極もしくは両者の
混合物を用いると、臭気を端に少なくする事が出来る。
ここでいう、ノルマルパラフィン類、イソパラフィン類
もしくは両者の混合物とは、高度に精製された、ノルマ
ルパラフィン類、イソパラフィン類もしくは両者の混合
物を主成分とする溶剤を意味するが、一般には非常に高
度に精製されたこれらの溶剤にも、ppmレベルから最
大0.5%以下程度の微量のナフテン類、芳香族類が混
入している。しかしながら、これら微量の成分が臭気に
与える影響は非常に小さくほぼ無視できる。従って、こ
こでいうノルマルパラフィン類、イソパラフィン類もし
くは両者の混合物とは、上記のような微量不純物レベル
以上の量のナフテン類および芳香族類を含まないものを
意味する。
【0024】本発明のインクジェットインクにおける炭
化水素系溶剤を用いた溶媒は、前記のような要求を満た
す物であれば良く、特に限定される物ではないが、アニ
リン点が77〜92℃の範囲内にある市販の炭化水素系
溶剤の例としては、エクソン化学製のイソパラフィン系
溶剤であるアイソパーG,H,L,M(商品名)、エク
ソン化学製のイソパラフィン系溶剤であるノーパー1
2,13,15(商品名)、エクソン化学製のパラフィ
ン/ナフテン混合系溶剤であるエクソールD110,D
130(商品名)、出光石油化学製のイソパラフィン系
溶剤であるIPソルベント1620,2028(商品
名)、日本石油化学製のノルマルパラフィン系溶剤であ
るノルマルパラフィンSL,L,M,H(商品名)、日
本石油化学製のイソパラフィン系溶剤であるアイソゾー
ル300,400(商品名)、丸善石油化学製のイソパ
ラフィン系溶剤であるマルカゾールR(商品名),シェ
ルジャパン製のイソパラフィン系溶剤であるシェルゾー
ル70,シェルゾール71,シェルゾール72(商品
名)、シェルジャパン製のパラフィン/ナフテン混合系
溶剤であるシェルゾールD100(商品名)がある。こ
れらの炭化水素系溶剤製品は、少なくとも1010Ω・m
以上の高い体積抵抗率を有している。さらに、反応性が
低く安定であり、低毒性で安全性が高く、臭気も少ない
という特徴がある。このうち、沸点範囲が150〜26
0℃の範囲にあるものは、アイソパーG,H,L,M
(商品名)、ノーパー12,13(商品名)、IPソル
ベント1620(商品名)、ノルマルパラフィンSL,
L,M、アイソゾール300,400(商品名)、マル
カゾールR(商品名),シェルゾール70,シェルゾー
ル71,シェルゾール72であり、また、ノルマルパラ
フィン類、イソパラフィン類もしくはそれらの混合物で
あるものは、アイソパーG,H,L,M(商品名)、ノ
ーパー12,13,15(商品名)、IPソルベント1
620,2028(商品名)、ノルマルパラフィンS
L,L,M,H(商品名)、アイソゾール300,40
0(商品名)、マルカゾールR(商品名),シェルゾー
ル70,シェルゾール71,シェルゾール72である。
さらに、アニリン点77〜92℃、沸点範囲150〜2
60℃の、ノルマルパラフィン類、イソパラフィン類も
しくはそれらの混合物に該当する物としては、アイソパ
ーG,H,L,M(商品名)、ノーパー12,13(商
品名)、IPソルベント1620(商品名)、ノルマル
パラフィンSL,L,M(商品名)、アイソゾール30
0,400(商品名)、マルカゾールR(商品名),シ
ェルゾール70,シェルゾール71,シェルゾール72
があり、これらの製品を用いると、先述の様な理由から
特に優れた性能が得られる。
【0025】本発明のインクにおける溶媒の性状は上記
のような物であるが、インク化に際し、前記のようなイ
ンク物性の要求特性を満たす範囲で、少量の、例えばア
ルコール類等の炭化水素系溶剤以外の溶剤、また炭化水
素系溶剤に可溶性の物質を添加する事は当然可能であ
る。
【0026】続いて、本発明に関わるインクジェットイ
ンクを構成するその他の材料について説明する。
【0027】本発明のインクジェットインクにおける、
溶媒に不溶な色材としては、顔料、もしくは顔料を溶媒
に不溶性の樹脂等に分散させたもの、もしくは顔料表面
に樹脂をグラフト化したもの等を用いる事が出来る。顔
料としては、種々の無機および有機顔料を用いることが
出来、例えば、カーボンブラック、β−ナフトール系ア
ゾ顔料、ピラゾロン系アゾ顔料、アセト酢酸アリリド系
アゾ顔料、縮合アゾ顔料、ジスアゾ顔料、アントラピリ
ジン顔料、インダンスレン顔料、フタロシアニン系顔
料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、イソインドリノ
ン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、フタロペリ
ノン顔料、キノフタロン顔料、二酸化チタン等がある。
また、溶媒に不溶性の樹脂としては、種々公知の天然も
しくは合成樹脂を用いることが出来るが、例えばアクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂
等がある。これらの樹脂に顔料を分散させる手法として
は、電子写真用トナーの製造プロセスに見られるよう
な、種々公知の方法を用いれば良い。その他、ロジンエ
ステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等に顔料微粒
子を分散させた加工顔料が市販されており、これを用い
ても良い。本発明のインクにおける、色材の濃度は、イ
ンクの総量に対して0.5〜15重量%、特に好ましく
は2〜10重量%の範囲であることが好ましい。色材の
濃度が0.5重量%より少なくなると、十分な印字濃度
が得られず好ましくない。また、15重量%より多くな
ると、インクの粘度が著しく増大し、安定なインク吐出
が行えなくなる傾向が生じ好ましくない。
【0028】上記の様な色材を溶媒中に微粒子分散させ
ると共に分散安定性を向上させる事、すなわち分散剤と
しての機能、並びに、紙等の記録媒体への色材の定着性
を向上させる事、すなわち定着用バインダーとしての機
能を主たる目的として、溶媒に可溶もしくは部分的に可
溶な樹脂を加える事ができる。このような樹脂は、好ま
しくは、分散剤としての効果を考慮すれば、色材との親
和性が高い物が良く、また、バインダーとしての効果を
考慮すれば樹脂単体では室温で固体であるか、もしくは
非常に高粘度の液体である物が好ましい。このような要
求を満たす物であれば、樹脂の種類は特に限定される物
ではないが、例えば炭化水素系の樹脂、アルキド樹脂、
アクリル系樹脂等が好適な物として挙げられる。本発明
のインクおける樹脂の濃度は、インクの総量に対して、
0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%の
の範囲である事が好ましい。樹脂の濃度が0.1重量%
より少なくなると、色材の分散性を向上させる効果、ま
たは記録媒体への色材の定着性を向上させる効果がほと
んどなく、20重量%より多いとインクの粘度が増大し
安定なインク吐出が行えなくなる傾向が生じ何れも好ま
しくない。
【0029】さらに、本発明におけるインクジェットイ
ンクには、色材を任意の極性および電荷量に帯電させる
ために、帯電制御剤を加える事が好ましい。帯電制御剤
としては、ナフテン酸、オクチル酸、ステアリン酸等を
脂肪酸成分とする金属石鹸、アルキル硫酸の金属塩、ア
ルキルリン酸の金属塩、脂肪酸、レシチン等を用いるこ
とが出来、また、前記のような溶媒に可溶性の樹脂も帯
電制御剤として機能する場合がある。色材を正極性に帯
電させる場合には金属石鹸が特に好ましく、特に、カウ
リブタノール値の非常に低い(30未満)高純度の脂肪
族炭化水素溶剤に対しても高い溶解性を有しているこ
と、および顔料を帯電させる効果が高い事から、ナフテ
ン酸およびオクチル酸を脂肪酸成分とする金属石鹸が特
に好ましい。これら金属石鹸の金属原子としては、マン
ガン、鉛、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、ジルコニ
ウム、銅、鉄等が使用可能である。好ましい金属石鹸の
具体例としては、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、
ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸ジルコニウム、オクチ
ル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸ニッケル、オ
クチル酸ジルコニウム等がある。顔料および樹脂の構造
や表面処理の影響により、特に帯電制御剤を加えなくて
も、色材が帯電する場合もあるが、このような帯電制御
剤を用いると、より確実かつ効果的に色材を帯電させる
事が可能となると共に、その添加量により色材の帯電量
やゼータ電位およびインクの体積抵抗率を調整する事が
可能となる。本発明における帯電制御剤の濃度は、イン
クの総量に対して0.001〜2.0重量%の範囲であ
ることが好ましい。金属石鹸の濃度が0.001重量%
より少ないと、色材に十分な帯電量を付与する効果が小
さく、2.0重量%より多いとインクの体積抵抗率低下
のため、印字濃度が低下する傾向が生じるため、何れも
好ましくない。
【0030】本発明における基本的な構成材料は以上の
ような物であるが、このほかに分散剤、界面活性剤、ワ
ックス、染料等の添加剤を適宜加えても良い。ただし、
このとき、インクの体積抵抗率が106Ω・m、好まし
くは107Ω・mより低くならないように注意する必要
がある。
【0031】次に、インクの作成方法について説明す
る。インクの作製は、種々の一般的な顔料系インク、ト
ナー等の作製プロセスと同様に行うことができ、例え
ば、樹脂、金属石鹸、分散剤その他の補助添加剤を適当
な粘度範囲になるように溶媒に混合溶解した物に顔料を
加え、ビーズミル、アトライター、ボールミル、ペイン
トシェイカー等の分散機を用いて、数時間から数十時間
程度混合粉砕する事により、数百nm〜数μm程度の色
材が分散されたインクの濃縮液を作製した後、使用する
際の所定濃度まで分散倍で希釈しインクを作製する方法
がある。
【0032】上記の様な材料および作製方法により、ア
ニリン点77〜92℃の炭化水素系溶剤を溶媒として用
いたインクを作製することによって、吐出安定性が高
く、高い応答周波数を有し、臭気の非常に少ない静電型
インクジェット記録装置用インクを作製することができ
る。
【0033】
【実施例】次に、本発明を具体例により説明する。
【0034】(実施例1)丸善石油化学製の高純度イソ
パラフィン系溶剤であるマルカゾールR(商品名)、6
3.7gに、p−メチルスチレン/イソブチルメタクリ
レート/2−エチルヘキシルアクリレート共重合体(モ
ル比で55/35/10、以下樹脂aと記す)7.50
gとオクチル酸ジルコニウム0.060gを加え、樹脂
aとオクチル酸ジルコニウムが完全に溶解するまで室温
で混合攪拌した。ここで、マルカゾールRは、メーカー
発行の資料によると、イソパラフィン100%(ガスク
ロマトグラフィーによる試験)であり、アニリン点は8
7.8℃、沸点範囲は178.5〜181℃である。こ
の混合溶液に、BASF社製のフタロシアニンブルー顔
料であるヘリオゲンブルーD7072DD、3.75g
を加えた後、直径1mmのジルコニア製ビーズと共にメ
ノウ製の粉砕容器に入れ、ペイントシェイカーを用いて
4時間混合粉砕し、顔料濃度5.0%のシアン顔料分散
液を作製した。この顔料分散液をマルカゾールR(商品
名)で希釈し、下記のような組成のインクAを作製し
た。
【0035】 マルカゾールR 92.5重量% ヘリオゲン・ブルーD7072DD 2.5重量% 樹脂a 5.0重量% オクチル酸ジルコニウム 0.04重量% インクAは107Ω・m以上の体積抵抗率を有してい
た。ここで、体積抵抗率の測定には、キースレー651
7型高抵抗系(商品名)および東洋真空工業1型液体電
気抵抗測定用電極(商品名)を用い25℃の恒温槽中で
行った。また、大塚電子ELS−6000型ゼータ電位
計(商品名)を用いて、顔料のゼータ電位を測定したと
ころ、プラス120mVと十分に高い値を有していた。
ここでゼータ電位の測定に際しては、インクを溶媒(本
実施例ではマルカゾールR)で約1000倍に希釈し、
25℃に保持した低誘電率用測定セルに導入し行った。
また、インクの臭気に関し、良好な健康状態を有する成
人男女30名による官能試験を行い、4:ほとんど無臭
(特に良好)、3:低臭(良好)、2:有臭(不良)、
1:きつい有臭(不良)の4段階で評価を行った結果、
30人の平均値を四捨五入すると、4:ほとんど無臭と
判定された。これらの物性値の測定条件および臭気の評
価条件は以下の実施例および比較例についても同様であ
る。
【0036】このインクAを次のような静電型インクジ
ェットヘッドを用いて吐出、印字評価した。
【0037】ここで、図1は、本実施例におけるインク
の評価に用いた静電型インクジェットヘッドの構成を示
す斜視図である。
【0038】図1において、1はインクジェットヘッ
ド、2はインクに記録信号となる電圧パルスを与えてイ
ンク液滴を吐出させるための金属製の記録電極、3は複
数の記録電極2が形成された電極基板、4はプラスチッ
ク製のヘッドブロック上板、5は同じくプラスチック製
のヘッドブロック下板、6はヘッドブロック上板4とヘ
ッドブロック下板5によって形成され、インクタンク
(図示せず)とインク流路(図示せず)で連結されたイ
ンク充填部、7はヘッドブロック上板4端部とヘッドブ
ロック下板5端部によって形成されたスリット状の開口
部、8はインク中の色材を効率的に記録電極先端部近傍
に泳動させるための泳動電極、9は記録電極2に対向し
て配置された金属製の対向電極、10は対向電極に密着
する形で、インクジェットヘッド1の長手方向と垂直に
移動可能に配置された記録紙である。インク流路(図示
せず)から供給されたインク(図示せず)はインク充填
部6に充填され、開口部7においてインクブロック上板
4と電極基板3および記録電極2先端との間でメニスカ
スを形成する。本実施例においては、ヘッドブロック上
板4端部と電極基板3との間の間隔すなわちスリット幅
は約150μm、記録電極2の幅は約60μm、記録電
極2の配列間隔は約85μm、記録電極2先端と記録紙
との間隔は0.7mmとした物を用いた。このような構
成のインクジェットヘッドにおいて、プラス帯電性の色
材を分散させたインクを用いる場合には、対向電極9に
は常に一定のマイナス電圧を印加し、さらに泳動電極8
に一定のプラス電圧を印加しながら、記録紙10をイン
クジェットヘッド1の長手方向と垂直に移動させなが
ら、記録電極2に記録信号となるプラスの電圧パルスを
一定の周波数で印加することで、記録電極2の先端より
対向電極9に向かって静電引力によりインク滴を吐出さ
せ、記録紙状に一定の周期のドットを形成する。
【0039】このインクジェットヘッドを用いて、イン
クAについて、対向電極電圧−1.2kV、記録電極電
圧+400V、泳動電極電圧+200Vの条件でコピー
用紙に連続してドット印字を行い、吐出の安定性、記録
周波数への応答性と印字濃度(光学濃度)を評価した。
反射濃度の測定には、グレタグ濃度計D19Cを用い
た。この結果、光学濃度1.4以上という、市販のイン
クジェットプリンター同等以上の印字濃度で、滲みの少
ない均一なドットがを2kHzの記録周波数でドット抜
けなく安定に記録する事が可能であった。また、5万ド
ットの印字を、インクジェットヘッドを解放した状態で
の10分間の休止を挟んで10回繰り返した後のインク
ジェットヘッドにつき、記録電極先端部近傍の様子を光
学顕微鏡により観察したところ、色材の固着ははほとん
ど見られなかった。
【0040】
【表1】
【0041】(表1)は、実施例1および以降に示す実
施例2〜11と比較例1〜4における溶媒の物性値およ
び印字と臭気の評価結果の一覧である。
【0042】ここで、印字評価の項は、光学濃度1.4
以上のドットが、ドット抜けの発生確率が市販のインク
ジェットプリンターと同様の0.05%未満で印字でき
る記録周波数が、2kHz以上であった場合は◎(特に
良好)、1kHz以上2kHz未満であった場合は○
(良好)、1kHz以下もしくは安定印字が行えなかっ
た場合は×(不良)とした。臭気の項は、前述の官能評
価における4段階評価の結果を示し、3以上の場合は良
好であると判断できる。上記印字評価、臭気、色材固着
状態の評価条件は、以下の実施例2〜11及び比較例1
〜4についても同様である。
【0043】(実施例2〜6)実施例1のインクAにお
けるマルカゾールRの代わりに、シェルジャパン製のシ
ェルゾール70(商品名)、出光石油化学製のIPソル
ベント1620(商品名)、シェルジャパン製のシェル
ゾール72(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール
400(商品名)、エクソン化学製のアイソパーM(商
品名)をそれぞれ溶媒として用い、実施例1と同様にし
てインクB,C,D,E,Fを作製した。これらの溶媒
は何れもイソパラフィン100%である。
【0044】インクB〜Fは、何れもインクAと同様
に、107Ω・m以上の体積抵抗率と高いゼータ電位を
有していた。
【0045】インクB〜Fにつき、それぞれの溶媒のア
ニリン点と沸点範囲、および実施例1と同様の印字評
価、臭気の評価を行った結果を(表1)に記載した。こ
のように、何れのインクもインクAと同様に良好な特性
を有していた。また、何れのインクを用いた場合も、印
字評価後のインクジェットヘッドの記録電極先端部にお
ける色材固着ははほとんど見られなかった。
【0046】(実施例7〜9)エクソン化学製のノルマ
ルパラフィン100%の溶剤であるノーパー12,1
3,15(商品名)をそれぞれ溶媒として用い、実施例
1と同様にしてインクG,H,Iを作製した。これらの
インクは、何れもインクAと同様に、107Ω・m以上
の体積抵抗率と高いゼータ電位を有していた。
【0047】インクG〜Iにつき、それぞれの溶媒のア
ニリン点と沸点範囲、および実施例1と同様の印字評
価、臭気の評価を行った結果を(表1)に記載した。こ
のように、何れのインクも良好な特性を示した。ただ
し、インクIは吐出周波数が2kHz未満と、上記その
他の実施例に比べ低く、この原因として、沸点範囲が高
い溶媒を用いた事によるインクの粘度上昇が考えられ
る。また、何れのインクを用いた場合も、印字評価後の
インクジェットヘッドの記録電極先端部における色材固
着ははほとんど見られなかった。
【0048】(実施例10,11)実施例1のインクA
におけるマルカゾールRの代わりに、エクソン化学製の
パラフィン/ナフテン混合溶剤であるエクソールD11
0,D130(商品名)をそれぞれ溶媒として用い、実
施例1と同様にしてインクJ,Kを作製した。これらの
インクは、何れもインクAと同様に、107Ω・m以上
の体積抵抗率と高いゼータ電位を有していた。インク
J,Kにつき、それぞれの溶媒のアニリン点と沸点範
囲、および実施例1と同様の印字評価、臭気の評価を行
った結果を(表1)に記載した。このように、何れのイ
ンクも良好な特性を有していたが、実施例1と比較する
と、応答周波数が低かった。これは、インクIの場合と
同様に、沸点範囲が高い溶媒を用いた事によるインクの
粘度上昇によるものと考えられる。臭気に関しては、イ
ソパラフィン溶剤もしくはノルマルパラフィン溶剤を用
いたインクA〜Iと比較すると、やや臭気が強く、これ
は、溶媒中に多量のナフテン分が存在しているためであ
ると考えられる。また、何れのインクを用いた場合も、
印字評価後のインクジェットヘッドの記録電極先端部に
付着物はほとんど確認されなかった。
【0049】(比較例1)実施例1のインクAにおける
マルカゾールRの代わりに、出光石油化学製のイソパラ
フィン100%の溶剤であるIPソルベント1620
(商品名)を溶媒として用い、実施例1と同様にしてイ
ンクLを作製した。
【0050】インクLは、何れもインクAと同様に、1
7Ω・m以上の体積抵抗率と高いゼータ電位を有して
いた。
【0051】インクLにつき、溶媒のアニリン点と沸点
範囲、および実施例1と同様の印字評価、臭気の評価を
行った結果を(表1)に記載した。このように、インク
Lでは良好な印字結果が得られず、さらに、印字評価後
のインクジェットヘッドの記録電極先端部には、固着物
が確認された。また、150℃以上の沸点範囲を有する
イソパラフィン系もしくはノルマルパラフィン系溶剤を
用いたインクA〜Iと比較すると、やや臭気が強く感じ
られた。
【0052】(比較例2,3)実施例1のインクAにお
けるマルカゾールRの代わりに、エクソン化学製のイソ
パラフィン100%溶剤であるアイソパーV(商品
名)、出光石油化学製のイソパラフィン100%の溶剤
であるIPソルベント2835(商品名)をそれぞれ溶
媒として用い、実施例1と同様にしてインクM,Nを作
製した。
【0053】インクM,Nは、何れもインクAと同様
に、107Ω・m以上の体積抵抗率と高いゼータ電位を
有していた。
【0054】インクM,Nにつき、それぞれの溶媒のア
ニリン点と沸点範囲、および実施例1と同様の印字評
価、臭気の評価を行った結果を(表1)に記載した。こ
のように、何れのインクも臭気に関しては良好であった
が、良好な印字結果が得られなかった。これは、溶媒の
アニリン点および沸点範囲が高すぎる事により、インク
の粘度が高くなりすぎたであると考えられる。何れのイ
ンクを用いた場合も、印字評価後のインクジェットヘッ
ドの記録電極先端部における色材固着ははほとんど見ら
れなかった。
【0055】(比較例4)実施例1のインクAにおける
マルカゾールRの代わりに、エクソン化学製のパラフィ
ン/ナフテン混合溶剤であるエクソールD30(商品
名)を溶媒として用い、実施例1と同様にしてインクO
を作製した。インクOは、何れもインクAと同様に、1
7Ω・m以上の体積抵抗率と高いゼータ電位を有して
いた。
【0056】インクOにつき、溶媒のアニリン点と沸点
範囲、および実施例1と同様の印字評価、臭気の評価を
行った結果を(表1)に記載した。このように、インク
Oでは良好な印字結果が得られず、さらに、印字評価後
のインクジェットヘッドの記録電極先端部には、固着物
が確認された。また、臭気に関しても良好な結果が得ら
れなかった。
【0057】以上の実施例および比較例で示したよう
に、アニリン点が77〜92℃の炭化水素系溶剤を溶媒
として用いたインクでは、臭気が少なく、安定に応答周
波数の高い印字を実現することが出来る。また、沸点範
囲が150〜260℃でアニリン点が77〜92℃の炭
化水素系溶剤を用いると特に応答周波数の高い印字を実
現することが出来る。さらに、このような炭化水素系溶
剤として、ノルマルパラフィン類もしくはイソパラフィ
ン類を用いると、インクの臭気を非常に少なくすること
が出来る。またこの場合、ノルマルパラフィン類とイソ
パラフィン類の混合物でも同様であることは説明を要し
ない。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、優れた印
字性能を有し、さらに一般の家庭やオフィス環境での使
用に適したインクジェットインク、それを用いた静電型
インクジェット記録方法及び装置を実現する事が出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例におけるインクの評価に用いた静電型
インクジェットヘッドの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 記録電極 3 電極基板 4 ヘッドブロック上板 5 ヘッドブロック下板 6 インク充填部 7 開口部 8 泳動電極 9 対向電極 10 記録紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FA07 FC01 2C057 AF27 AG22 AH20 BD07 2H086 BA02 BA54 BA55 BA60 4J039 AD01 AD03 AD05 AD09 AE05 BA04 BA13 BA35 BC02 BC39 BC40 BC41 BC50 BC53 BC60 BE01 CA07 EA41 EA46 GA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気絶縁性の非水溶媒中に、少なくとも前
    記非水溶媒に不溶な色材を含有する構成を有し、106
    Ω・m以上の体積抵抗率を有するインクジェットインク
    であって、前記溶媒がアニリン点77〜92℃の炭化水
    素系溶剤である事を特徴とするインクジェットインク。
  2. 【請求項2】前記炭化水素系溶剤の沸点範囲が、150
    〜260℃であることを特徴とする請求項1記載のイン
    クジェットインク。
  3. 【請求項3】前記炭化水素系溶剤がノルマルパラフィン
    類、イソパラフィン類もしくはそれらの混合物である事
    を特徴とする請求項1,2いずれか1記載のインクジェ
    ットインク。
  4. 【請求項4】アニリン点77〜92℃、沸点範囲150
    〜260℃の、ノルマルパラフィン類、イソパラフィン
    類もしくはそれらの混合物を溶媒とし、少なくとも前記
    溶媒に不溶な色材を含有する構成を有し、107Ω・m
    以上の体積抵抗率を有する事を特徴とするインクジェッ
    トインク。
  5. 【請求項5】請求項1〜4いずれか1記載のインクジェ
    ットインクを記録電極が配置された記録ヘッドに導入
    し、前記記録電極と前記記録電極に対向して配置された
    対向電極との間に電圧を印加し前記インクに静電力を作
    用させることで、前記記録ヘッドより前記インクを飛翔
    させ前記記録電極と前記対向電極との間に配置された記
    録媒体上に印字ドットを形成し記録を行う事を特徴とす
    る静電型インクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】少なくとも記録電極が配置された記録ヘッ
    ドと、前記記録電極に対向して配置された対向電極とを
    有し、請求項1〜4いずれか1記載のインクジェットイ
    ンクを前記記録電極が配置された記録ヘッドに導入し、
    前記記録電極と前記記録電極に対向して配置された対向
    電極との間に電圧を印加し前記インクに静電力を作用さ
    せることで、前記記録ヘッドより前記インクを飛翔させ
    前記記録電極と前記対向電極との間に配置された記録媒
    体上に印字ドットを形成し記録を行う事を特徴とする静
    電型インクジェット記録装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7393884B2 (en) 2002-06-20 2008-07-01 Hitachi Maxwell, Ltd. Pigment ink composition
EP2395057A1 (en) 2010-06-09 2011-12-14 FUJIFILM Corporation Ink composition for inkjet recording, inkjet recording method and printed material obtained by inkjet recording
JP2019161213A (ja) * 2018-03-09 2019-09-19 株式会社リコー アクチュエータ、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置

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