JP2001123095A - インクジェットインクおよび静電型インクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットインクおよび静電型インクジェット記録方法

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JP2001123095A
JP2001123095A JP30504799A JP30504799A JP2001123095A JP 2001123095 A JP2001123095 A JP 2001123095A JP 30504799 A JP30504799 A JP 30504799A JP 30504799 A JP30504799 A JP 30504799A JP 2001123095 A JP2001123095 A JP 2001123095A
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JP
Japan
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ink
recording
dispersion medium
resin
electrostatic
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JP30504799A
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English (en)
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Kenji Oshima
賢司 大島
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、普通紙においても、高濃度でにじ
みが少なく、かつ高い定着強度を有する記録画像を形成
することができる、インクジェットインクおよび静電型
インクジェット記録方法を提供する事を目的とする。 【解決手段】 インクを複数の記録電極が配置された記
録ヘッドに導入し、前記記録電極と前記記録電極に対向
して配置された対向電極との間に電圧を印加し、前記イ
ンクに静電力を作用させることで、前記記録ヘッドより
前記インクを飛翔させ前記記録電極と前記対向電極の間
に配置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行
う静電型インクジェット記録装置用のインクであって、
25℃における体積抵抗率が109Ω・cm以上であ
り、少なくとも、炭化水素系溶剤を主成分とする高電気
絶縁性の分散媒と前記分散媒に不溶な色材と常温におい
て塗膜形成可能な樹脂とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットイ
ンクおよび静電型インクジェット記録方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】インクを記録媒体に飛翔させ記録ドット
を形成することにより印字を行うインクジェット記録法
は、カラー化が容易で普通紙に直接記録できるノンイン
パクト記録法として関心を集めており、この方式を用い
たプリンターが種々実用化されている。インクジェット
記録法の一つとして、記録媒体に対向して配置された複
数の記録電極と記録媒体の背面に配置された対向電極と
に電圧を印加し、両電極間に生じた電位差により、記録
電極上に供給されたインクに静電力を作用させ、インク
を記録媒体上に飛翔させる、静電型のインクジェット記
録法がある。これらの静電インクジェットプリンター
は、例えば、"インクジェット記録技術"、株式会社トリ
ケップス発行(1989年)に紹介されている。
【0003】このような静電インクジェット方式により
構成された、ドロップオンデマンド型のフルカラー記録
ヘッドの一例が、例えば特開昭58−215253号公
報、電気通信学会論文誌,Vol.J68−C,2(1
985年)第93ページから第100ページに開示、発
表されている。この方式は、従来のインクジェットヘッ
ドにおけるノズルの代わりに、内壁に多数の記録電極を
有する細長いスリット状のインク吐出口を用いている。
このため、インクの目詰まりに対する心配が少なく、ま
たヘッドの構成が単純であることにより製造コストの低
減が期待でき、記録媒体の幅方向の広範囲をカバーでき
る長さの、いわゆる長尺ラインヘッドを実現するために
も有効な方法である。この静電型インクジェットヘッド
においては、有機溶剤に染料を溶解した油性インクが好
適に用いられ、インクの構成材料に関しては詳細に開示
されてはいないが、電気通信学会論文誌,Vol.J6
8−C,2,pp.93−100,(1985年)に見
られる例では、体積抵抗率(電気抵抗率)が107〜1
8Ω・cm、表面張力が22mN/m、粘度が3.1
〜6.9cPの物性値を有するインクが用いられてい
る。しかしながら、このような油性インクは、他のイン
ジェット方式において一般に用いられている水性インク
と比較し表面張力が低いために、記録紙への浸透性が非
常に大きく、特に普通紙に印字を行う場合において、印
字濃度の低下やにじみ、裏写りを生じやすいという問題
があった。
【0004】これに対して、例えば特開平9−1147
5号公報、特開平9−118015号公報、特開平9−
193389号公報等には、帯電された色材粒子が電気
絶縁性の高い液体中に分散されたインクを用い、色材粒
子を電気泳動により吐出口部に集中させ、色材が高濃度
に濃縮された形でインク滴を飛翔させる静電インクジェ
ットヘッドが開示されている。この方式では、その吐出
原理の詳細は明らかにはされていないが、前述の方式と
は異なり、インクの構成成分が均一な状態で多量の液体
成分を含んだまま吐出されるのではなく、色材が凝集さ
れ液体成分が少ない状態でインクが吐出されることによ
り、上述の問題点が解決される。また、顔料を色材とし
て用いることにより、従来の染料を用いたインクジェッ
トヘッドに比べ、印字画像の耐水性、耐光性に関しても
有利な結果が得られる。
【0005】この様な色材凝集型の静電インクジェット
インクにおいては、印字濃度が高く、にじみや裏写りを
生じない良好な印字特性を得るためには、まず第1にイ
ンクの体積抵抗率が十分大きい事が必要である。この事
により記録電極と対向電極により形成されインクに印加
された電界を色材粒子に到達させる事が可能となる。ま
た、インクの体積抵抗率が低いと、記録電極により印加
される電圧により、インクが電荷注入を受け帯電してし
まい、静電反発力によりインクが多量の液体成分を含ん
だまま吐出してしまう傾向が強くなる。次に、色材粒子
を十分な速度で電気泳動により吐出口部に集中させる必
要があるため、色材粒子が十分な帯電量を有している
事、すなわち色材粒子が正極性もしくは負極性の高いゼ
ータ電位を有している事が必要である。またさらに、吐
出性能と色材粒子の沈降防止との兼ね合いから、色材粒
子の平均粒径は、0.1〜4μm程度が好ましいとされ
る。具体的には、例えば特開平9−193389号公報
等には、電気抵抗率が1010Ω・cm以上の誘電性液体
中に、前記誘電性液体に対するゼータ電位が60mV以
上であり、かつ平均粒径が0.01及至5μmの範囲内
にある現像剤粒子(少なくとも着色材成分を有する固形
樹脂粒子)を分散させる事により、108Ω・cm以
上、最も好ましくは1010Ω・cm以上の電気抵抗率を
有するように調整されたインクの使用が開示されてい
る。この様なインクは、例えば、絶縁性液体として10
10Ω・cm以上の体積抵抗率を有する炭化水素系溶剤、
色材として、カーボンブラックや有機顔料、並びに、樹
脂やワックスからなるバインダ中もしくは表面に顔料を
含有するものを用い、その他分散剤、帯電制御剤等を加
えた系で色材分散体を作製する事により調製する事が出
来るが、その組成並びに作成方法およびインク物性値の
調整方法の詳細は開示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような色材凝集型のインクジェット記録方式において
は、顔料に代表される不溶性の色材が凝集され液体成分
が少ない状態で吐出されることにより、普通紙に記録を
行う場合における印字濃度の低下やにじみ、裏写りとい
った問題を改善できる反面、記録紙を構成する繊維への
色材の浸透性および結着性が低いため、色材の凝集吐出
性を高め、高い印字濃度を得ようとすると、記録画像の
記録紙への定着性が低く、摩耗や折り曲げに対する記録
画像の耐久性が低くなるという問題があった。また、画
像記録後に熱圧着の行程を導入する事で記録画像の定着
性を向上させる事も可能であるが、この場合、装置の複
雑化と大型化、コスト上昇、記録スピードの低下を招く
という問題があった。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決する物で
あり、普通紙においても、高濃度でにじみが少なく、か
つ高い定着強度を有する記録画像を形成することができ
る、色材凝集型のインクジェットインクおよび静電型イ
ンクジェット記録方法を提供する事を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のインクは、少な
くとも、炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の
分散媒と前記分散媒に不溶な色材と常温において塗膜形
成可能な樹脂とを含む事を特徴とするものである。
【0009】本発明によれば、高濃度で滲みが少なく、
かつ高い定着強度を有する記録画像を形成することがで
きる、色材凝集型のインクジェットインクを実現するこ
とができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、インクを複数の記録電極が配置された記録ヘッドに
導入し、前記記録電極と前記記録電極に対向して配置さ
れた対向電極との間に電圧を印加し前記インクに静電力
を作用させることで、前記記録ヘッドより前記インクを
飛翔させ前記記録電極と前記対向電極との間に配置され
た記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行う静電型イ
ンクジェット記録装置用のインクであって、25℃にお
ける体積抵抗率が109Ω・cm以上であり、少なくと
も、炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の分散
媒と前記分散媒に不溶な色材と常温において塗膜形成可
能な樹脂とを含む事を特徴とするインクジェットインク
であり、色材の凝集吐出性を高め、かつ、記録媒体への
色材の結着力を高めるという作用を有する。
【0011】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1において、前記樹脂が、常温において固体であり、か
つ常温において前記分散媒に可溶である事を特徴とする
インクジェットインクであり、記録ドットを形成したイ
ンク滴中の前記分散媒が揮発し、インク滴中に存在する
前記樹脂が固化する事で、記録媒体へ色材を強固に結着
させるという作用を有する。
【0012】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1,2において、分散媒が25℃において1013Ω・c
m以上の体積抵抗率、および150〜350℃の範囲の
沸点を有する脂肪族炭化水素系溶剤である事を特徴とす
るインクジェットインクであり、インクの体積抵抗率を
十分な値に保ち、かつインクの常温における蒸発速度を
適当な範囲とし、かつインクの臭気を抑制するという作
用を有する。
【0013】本発明の請求項4に記載の発明は、前記共
樹脂を前記分散媒に溶解した溶液と前記分散媒に不溶な
色材とを混合粉砕する事により、色材を前記分散媒中に
分散させる行程を含む事を特徴とする請求項1〜3何れ
か1記載のインクジェットインクの製造方法であり、色
材を分散媒中に微少分散させるという作用を有する。
【0014】本発明の請求項5に記載の発明は、25℃
における体積抵抗率が109Ω・cm以上であり、少な
くとも、炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の
分散媒と前記分散媒に不溶な色材と常温において塗膜形
成可能な樹脂とを含むインクを、複数の記録電極が配置
された記録ヘッドに導入し、前記記録電極と前記記録電
極に対向して配置された対向電極との間に電圧を印加し
前記インクに静電力を作用させることで、前記記録ヘッ
ドより前記インクを飛翔させ前記記録電極と前記対向電
極との間に配置された記録媒体上に印字ドットを形成し
記録を行う事を特徴とする静電型インクジェット記録方
法であり、高濃度で滲みが少なく、かつ高い定着強度を
有する記録画像の形成を可能にするという作用を有す
る。
【0015】請求項6に記載の発明は、25℃における
体積抵抗率が109Ω・cm以上であり、少なくとも、
炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の分散媒と
前記分散媒に不溶な色材と常温において塗膜形成可能な
樹脂とを含む事を特徴とするインクジェットインクであ
り、記録媒体への色材の結着力を高めるという作用を有
する。
【0016】以下、本発明の実施の形態について説明す
る。
【0017】本発明のインクは、前述のように、少なく
とも、炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の分
散媒と前記分散媒に不溶な色材と常温において塗膜形成
可能な樹脂とを含む事を特徴とするものである。
【0018】まず、それぞれの構成材料について説明す
る。
【0019】本発明における分散媒は、低誘電率、高電
気絶縁性である必要があるため、炭化水素系溶剤を主成
分とする事が好ましい。分散媒に要求される特性とし
て、まず第1に、にじみが少なく十分な印字濃度の記録
画像を得るために色材、樹脂、その他の添加剤を混合し
た後にインクの体積抵抗率が109Ω・cm、より好ま
しくは1010Ω・cmより低くならないようにする必要
があり、1013Ω・cm以上の体積抵抗率を有している
ものを用いる事が好ましい。また、誘電率としては3.
0以下の物が好ましい。その他の要求特性としては、イ
ンク吐出口における分散媒の蒸発を出来るだけ小さくで
き、かつ印字後のインクの速やかな乾燥、定着を行うた
めに、常温において適当な範囲の蒸発速度を有している
こと、また引火を防止するため、少なくとも常温以上の
引火点を有していること、さらに、環境および人体に対
する安全性が高いことが挙げられる。本発明のインクに
おける炭化水素系溶剤を主成分とする分散剤は、以上の
ような要求を満たす物であれば良く、特に限定される物
ではないが、炭化水素系溶剤として特に好ましい物とし
て、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度の脂肪
族炭化水素溶剤が挙げられ、市販品としてはエクソン化
学製のアイソパーG,H,L,M,V(商品名)、ノー
パー12,13,15(商品名)、出光石油化学製のI
Pソルベント1620,2028(商品名)、日本石油
化学製のアイソゾール300,400(商品名)、丸善
石油化学製のマルカゾールR(商品名)等がある。これ
らの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素溶剤
であり、引火点は40℃以上、25℃における粘度は3
cSt以下、25℃における表面張力は22.5〜2
8.0mN/m、25℃における比抵抗は1013Ω・c
m以上である。さらに、反応性が低く安定であり、低毒
性で安全性が高く、臭気も少ないという特徴がある。本
発明においては、この様な炭化水素系溶剤を単独で、も
しくは混合物として用いても良く、さらに、前述のよう
な要求特性を満たし、後述のような常温において塗膜形
成可能な樹脂との組み合わせにおいて樹脂が溶解可能な
範囲であれば、炭化水素系溶剤と相溶性を有する炭化水
素系以外の溶剤、例えばシリコンオイル等との混合物を
用いても良い。この様なシリコンオイルの具体例として
は、低粘度の合成ジメチルポリシロキサンが挙げられ、
市販品としては、信越シリコーン製のKF96L(商品
名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン製のSH20
0(商品名)等がある。これらのジメチルポリシロキサ
ンは、その分子量により非常に広い粘度範囲の物が入手
可能であるが、上述した要求を満たすためには1〜10
cStの範囲の物を用いるのが好ましい。これらのジメ
チルポリシロキサンは、前記の様な高純度の炭化水素溶
剤同様、40℃以上の引火点と1013Ω・cm以上の体
積抵抗率を有し、高安定性、高安全性、無臭性といった
特徴を有している。
【0020】本発明における色材としては、顔料、もし
くは顔料を分散媒に不溶性の樹脂等に分散させたもの、
もしくは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用い
る事が出来る。顔料としては、種々の無機および有機顔
料を用いることが出来、例えば、カーボンブラック、β
−ナフトール系アゾ顔料、ピラゾロン系アゾ顔料、アセ
ト酢酸アリリド系アゾ顔料、縮合アゾ顔料、ジスアゾ顔
料、アントラピリジン顔料、インダンスレン顔料、フタ
ロシアニン系顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、
イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔
料、フタロペリノン顔料、キノフタロン顔料、二酸化チ
タン等がある。また、分散媒に不溶性の樹脂としては、
種々公知の天然もしくは合成樹脂を用いることが出来る
が、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢
酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン
−ブタジエン樹脂等がある。これらの樹脂に顔料を分散
させる手法としては、電子写真用トナーの製造プロセス
に見られるような、種々公知の方法を用いれば良い。そ
の他、ロジンエステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル樹
脂等に顔料微粒子を分散させた加工顔料が市販されてお
り、これを用いても良い。本発明のインクにおける、色
材の濃度は、インクの総量に対して0.5〜15重量
%、特に好ましくは1〜10重量%の範囲であることが
好ましい。色材の濃度が0.5重量%より少なくなる
と、十分な印字濃度が得られず好ましくない。また、1
5重量%より多くなると、インクの粘度が著しく増大
し、安定なインク吐出が行えなくなる傾向が生じ好まし
くない。
【0021】続いて、本発明の特徴となるインク構成成
分である、常温において塗膜形成可能な樹脂について説
明する。本発明のインクは、常温の環境下で使用され
る。常温の環境下とは、一般に人が日常生活を行う事が
可能な温度範囲を意味し、本発明においては、少なくと
もプリンターが稼働される事を想定した温度の範囲を指
すものであり、概ね0〜40℃の範囲である。従って、
本発明における常温の範囲とは、概ね0〜40℃の範囲
であると定義される。よって、常温において塗膜形成可
能とは、0〜40℃の範囲のいずれかで塗膜が形成可能
であることを言う。
【0022】前記樹脂は、常温において前述のような分
散媒に可溶であり、かつ、インクが記録ヘッドより飛翔
し記録媒体へ着弾した後に、インク中の前記分散媒が蒸
発するに伴い濃縮され、分子間力が増大し塗膜を形成す
る事が可能である必要がある。この事により、樹脂は記
録媒体上にインク中の色材を取り込んだ塗膜を形成する
か、もしくは部分的に色材を記録媒体に結合させる事に
よって、色材の記録媒体への結着強度を高める事ができ
る。よって、樹脂は炭化水素系溶剤を主成分とする分散
媒に対する溶解性を確保するため、炭化水素系溶剤と類
似の化学構造上の構成要素もしくは同程度の極性を持
ち、かつ単体では常温で固体であるか、もしくは非常に
高粘度の液体である事が必要である。
【0023】このような要求を満たす物であれば、樹脂
の種類は特に限定される物では無く、種々の天然樹脂も
しくは合成樹脂を用いる事ができ、例えば炭化水素樹
脂、アルキド樹脂、アクリル系樹脂、ロジン系樹脂、テ
ルペン系樹脂等が挙げられる。
【0024】特にこのような樹脂の中で、常温より高
い、つまり約40℃以上のガラス転移温度を有する物を
用いると、常温において強固な塗膜を形成できるため、
記録画像の定着強度を高める上で非常に効果的である。
このように、約40℃以上のガラス転移温度を有し、炭
化水素系溶剤に可溶で、塗膜形成が可能な合成樹脂製品
としては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン
株式会社製の熱可塑型アクリル樹脂であるパラロイドB
−67,F−10(商品名)、日本石油化学株式会社製
のシクロペンタジエン系炭化水素樹脂である日石ネオレ
ジン540,560,580(商品名)、ヤスハラケミ
カル株式会社製のテルペン系樹脂であるYSポリスター
T−145,T−130,T−115,T−100(商
品名)、荒川化学工業株式会社製の脂環族飽和炭化水素
樹脂であるアルコンP−90,P−100,P−11
5,P−125,P−140(商品名)、荒川化学工業
株式会社製のロジン系樹脂であるKR−610(商品
名)等がある。本発明のインクおける樹脂の濃度は、イ
ンクの総量に対して、0.1〜20重量%、特に好まし
くは1〜15重量%のの範囲である事が好ましい。共樹
脂の濃度が0.1重量%より少なくなると、記録媒体へ
の記録画像の定着性を向上させる効果がほとんどなく、
また20重量%より多いとインクの粘度が増大し安定な
インク吐出が行えなくなる傾向が生じ何れも好ましくな
い。また、このような樹脂として、使用する色材との親
和性を考慮した組成および十分な分子量を有する物を用
い、樹脂をあらかじめ分散媒中に溶解した溶液と色材と
を混合粉砕しインクもしくはインク原液を作製する事に
より、色材を分散媒中に微少分散させる役割、すなわち
分散剤としての機能を併せ持たせる事が可能である。
【0025】さらに、本発明のインクにおいては、イン
ク中の色材を帯電させ十分なゼータ電位を与えるため
に、帯電制御剤を加える事が望ましい。帯電制御剤とし
ては、ナフテン酸、オクチル酸、ステアリン酸等の金属
石鹸、アルキル硫酸の金属塩、アルキルリン酸の金属
塩、脂肪酸、レシチン等を用いることが出来る。特に色
材を正極性に帯電させる場合には金属石鹸を好適に用い
る事ができ、前述のような炭化水素系溶剤を主成分とす
る高電気絶縁性の分散媒に対する溶解性の点から、炭素
数6〜12の脂肪酸成分により構成される金属石鹸が好
ましい。中でも、カウリブタノール値の非常に低い(3
0未満)の高純度の脂肪族炭化水素溶剤に対しても高い
溶解性を有していること、および高い帯電性能が得られ
る事から、ナフテン酸およびオクチル酸を脂肪酸成分と
する金属石鹸が特に好ましい。これら金属石鹸の金属原
子としては、マンガン、鉛、亜鉛、カルシウム、アルミ
ニウム、ジルコニウム、銅、鉄等が使用可能である。好
ましい金属石鹸の具体例としては、ナフテン酸マンガ
ン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸ジ
ルコニウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オク
チル酸ニッケル、オクチル酸ジルコニウム等がある。ま
た、このような帯電制御剤は、色材の分散性および分散
後の安定性を向上させる機能、すなわち分散剤としての
機能も有する。本発明における帯電制御剤の濃度は、イ
ンクの総量に対して0.001〜2.0重量%の範囲で
あることが好ましい。帯電制御剤の濃度が0.001重
量%より少ないと、色材に高いゼータ電位を付与する効
果がほとんどなく、2.0重量%より多いとインクの体
積抵抗率が著しく低下し、印字濃度が低下する傾向が生
じるため、何れも好ましくない。
【0026】本発明における基本的な構成材料は以上の
ような物であるが、このほかに分散剤や界面活性剤、ワ
ックス、染料等の添加剤を適宜加えても良い。ただし、
このとき、インクの体積抵抗率が109Ω・cmより低
くならないように注意する必要がある。
【0027】次に、インクの作成方法について説明す
る。インクの作製は、種々の一般的なインク作製方法に
より行うことができ、例えば、本発明の特徴である樹
脂、帯電制御剤、分散剤その他の補助添加剤を適当な粘
度範囲になるように分散媒に混合溶解した物に色材を加
え、ビーズミル、アトライター、ボールミル、ペイント
シェイカー等の分散機を用いて、数時間から数十時間程
度混合粉砕する事により、数百nm〜数μm程度の色材
が分散されたインクの濃縮液を作製した後、使用する際
の所定濃度まで分散倍で希釈しインクを作製する方法が
ある。また、色材、分散剤その他の補助添加剤等を同様
に混合粉砕し作製した色材分散液に、本発明の特徴であ
る樹脂を加え溶解するか、もしくは樹脂をあらかじめ分
散媒に溶解した溶液と前記色材分散液とを混合し作製す
る方法もある。いずれの方法を用いても同様の定着性付
与効果が得られるが、前述のように、樹脂として、色材
との親和性を考慮した組成および十分な分子量を有する
物を用いる事により、樹脂に分散剤としての機能を併せ
持たせる事が可能であり、樹脂をあらかじめ分散媒中に
溶解した溶液と色材とを混合粉砕する方法を用いる事に
より、色材の分散性を向上させ、1μm以下の微小な粒
径を有する色材分散インクを作製する事ができ、記録画
像の高精細化およびインクの安定性向上の点で有利な効
果が得られる。
【0028】
【実施例】次に、本発明を具体例により説明する。
【0029】(実施例1)出光石油化学製の高純度脂肪
族炭化水素溶剤であるIPソルベント1620(商品
名)、69.4gに、荒川化学工業株式会社製の脂環族
飽和炭化水素樹脂であるアルコンP−125(商品
名)、16.6gと帯電制御剤としてナフテン酸マンガ
ン4.0gを加え、アルコンP−125およびナフテン
酸マンガンが完全に溶解するまで常温で混合撹拌した。
ここで、アルコンP−125は、約80℃のガラス転移
温度を有し、常温ではペレット状の固形樹脂であるが、
IPソルベント1620の様な高純度の脂肪族炭化水素
溶剤に対して良好な溶解性を有していた。この混合溶液
と、フタロシアニンブルー顔料であるPigment
Blue 15:3、10.0gをジルコニア製ビーズ
と共にメノウ製の粉砕容器に入れ、遊星型ボールミル装
置で24時間混合粉砕し、色材濃度10.0%の顔料分
散液を作製した。この顔料分散液を、IPソルベント1
620で希釈することにより、下記のような組成のイン
クAを作製した。
【0030】 IPソルベント1620 90.8重量% Pigment Blue 15:3 3.0重量% アルコンP−125 5.0重量% ナフテン酸マンガン 1.2重量% インクAの体積抵抗率は1010Ω・cm以上、顔料のメ
ヂアン径は0.5μmであった。ここで、体積抵抗率の
測定には、キースレー6517型高抵抗系(商品名)お
よび東洋真空工業1型液体電気抵抗測定用電極(商品
名)を用い25℃の恒温槽中で行った。メヂアン径の測
定には、ホリバLA−700型粒度分布計(商品名)を
用い、分散媒を測定用希釈溶媒として用い、バッチセル
で常温にて行った。これらの物性値の測定条件は以下の
実施例についても同様である。
【0031】このインクAを次のような静電型インクジ
ェットヘッドを用いて吐出、印字評価した。
【0032】図1は、本実施例におけるインクの評価に
用いた静電型インクジェットヘッドの構成を示す斜視図
である。図1において、1はインクジェットヘッド、2
はインクに記録信号となる電圧パルスを与えてインク液
滴を吐出させるための金属製の記録電極、3は複数の記
録電極2が形成されたプラスチック製の下板、4は同じ
くプラスチック製の上板、5は同じくプラスチック製の
側板、6は記録電極に対向して配置された金属製の対向
電極である。また、インクジェットヘッド1と対向電極
6との間には、対向電極6に密着する形で、記録媒体で
ある記録紙(図示せず)がインクジェットヘッド1の長
手方向と垂直に移動可能に配置される。図1において、
下板3と上板4および側板5は、細長いスリット状のイ
ンク吐出口を形成しており、ヘッド背面に形成されたイ
ンク流路(図示せず)から供給されたインク(図示せ
ず)はこのスリット状のインク吐出口に充填され、記録
電極2先端と上板4の間でメニスカスを形成する。本実
施例においては、下板3と上板4との間の間隔すなわち
スリット幅は約150μm、記録電極2の幅は約60μ
m、記録電極2の配列間隔は約85μm、記録電極2先
端と記録紙との間隔は約1mmとした物を用いた。この
ような構成のインクジェットヘッド1において、対向電
極6には常に一定のマイナス電圧を印加し、記録電極2
との間に一定のバイアス電界を形成しておき、記録紙を
インクジェットヘッド1の長手方向と垂直に移動させな
がら、記録電極2に記録信号となるプラスの電圧パルス
を一定の周波数で印加することで、記録電極2の先端よ
り対向電極6に向かって静電引力によりインク滴を吐出
させ、記録紙状に一定の周期の印字ドットを形成する。
【0033】このインクジェットヘッド1を用いて、イ
ンクAについて、対向電極電圧−1kV、記録電極電圧
+500V、記録周波数1kHzの条件で、コピー用普
通紙にべた印字を行った。この結果、印字部は印字後速
やかに乾燥し、光学濃度1.4以上で、光学顕微鏡観察
による官能評価でも市販のインクジェットプリンター以
上の濃度を有する、滲みの少ない印字物が得られた。
【0034】上記のようにして作製した印字物に対し
て、記録画像の定着性を評価するため、次のような試験
を行った。まず、印字面を内側にして印字部の中央付近
が折り曲げ部となるように記録紙を二つ折りにし、その
折り曲げた部分の上に直径約3cmの金属製円筒を、そ
の長手方向が印字物の折り曲げた方の端と交差する様に
乗せた。次に、金属製円筒の上部を掴み、軽く力を加え
ながら印字物の折り曲げた部分の上を、折り曲げた方の
端と平行に10往復なぞった。その後、印字面の折り曲
げた部分を開き、印字面の折り曲げていた部分の様子を
目視および光学顕微鏡により観察した。その結果、目視
では印字面の剥離は確認されず、また光学顕微鏡観察に
おいても顕著な顔料の剥離は確認されなかった。
【0035】(実施例2)エクソン化学製の高純度脂肪
族炭化水素溶剤であるアイソパーL(商品名)56.3
gと、東レ・ダウコーニング・シリコーン製の高純度ジ
メチルポリシロキサン溶剤であるSH200−1cSt
(商品名)24.1gとの混合溶媒に、荒川化学工業株
式会社製の脂環族飽和炭化水素樹脂であるアルコンP−
100(商品名)6.0gと帯電制御剤としてオクチル
酸ジルコニウム1.60gを加え、アルコンP−100
およびオクチル酸ジルコニウムが完全に溶解するまで常
温で混合撹拌した。ここで、アルコンP−100は、約
55℃のガラス転移温度を有し、常温ではペレット状の
固形樹脂であるが、上記混合溶媒に対し良好な溶解性を
有していた。この混合溶液と、色材としてチバ・スペシ
ャリティー・ケミカルズ製のカーボンブラック加工顔料
であるMICROLITH Black C−T(商品
名)12.0gをジルコニア製ビーズと共にメノウ製の
粉砕容器に入れ、遊星型ボールミル装置で24時間混合
粉砕し、色材濃度12.0重量%の顔料分散液を作製し
た。この顔料分散液を、前記混合溶媒と同組成の溶媒で
希釈し、下記のような組成のインクBを作製した。
【0036】 アイソパーL 63.1重量% SH200−1cSt 27.1重量% MICROLITH Black C−T 6.0重量% アルコンP−100 3.0重量% オクチル酸ジルコニウム 0.8重量% インクBの体積抵抗率は1010Ω・cm以上、顔料のメ
ヂアン径は0.7μmであった。
【0037】インクBについて実施例1と同様に印字評
価を行った。この結果、印字部は印字後速やかに乾燥
し、光学濃度1.4以上で、光学顕微鏡観察による官能
評価でも市販のインクジェットプリンター以上の濃度を
有する、滲みの少ない印字物が得られた。また、実施例
1と同様に定着強度試験を行った結果、目視では、印字
面の剥離は確認されず、また光学顕微鏡観察においても
顕著な顔料の剥離は確認されなかった。
【0038】(実施例3)エクソン化学製の高純度脂肪
族炭化水素溶剤であるアイソパーG(商品名)とアイソ
パーM(商品名)との等量混合物67.3gに、p−メ
チルスチレン/イソブチルメタクリレート/2−エチル
ヘキシルアクリレート共重合体(モル比で56/34/
10、重量平均分子量80000、以下重合体aと称
す。)20.0gと帯電制御剤としてナフテン酸マンガ
ン2.67gを加え、重合体aおよびナフテン酸マンガ
ンが完全に溶解するまで常温で混合撹拌した。ここで、
重合体aは、56℃のガラス転移温度を有し、常温では
粉末状の固形樹脂であるが、高純度の脂肪族炭化水素溶
剤に対して良好な溶解性を有していた。この混合溶液
と、色材としてアルカリブルー顔料であるPigmen
t Blue 61、10.0gをジルコニア製ビーズ
と共にメノウ製の粉砕容器に入れ、遊星型ボールミル装
置で24時間混合粉砕し、色材濃度10.0重量%の顔
料分散液を作製した。この顔料分散液を、アイソパーG
(商品名)とアイソパーMとの等量混合物で希釈し、下
記のような組成のインクCを作製した。
【0039】 アイソパーG 45.1重量% アイソパーM 45.1重量% Pigment Blue 61 3.0重量% 重合体a 6.0重量% ナフテン酸マンガン 0.8重量% インクCの体積抵抗率は1010Ω・cm以上、顔料のメ
ヂアン径は0.4μmであった。
【0040】インクCについて実施例1と同様に、印字
評価を行った。この結果、印字部は印字後速やかに乾燥
し、光学濃度1.4以上で、光学顕微鏡観察による官能
評価でも市販のインクジェットプリンター以上の濃度を
有する、滲みの少ない印字物が得られた。また、実施例
1と同様に定着強度試験を行った結果、目視では、印字
面の剥離は確認されず、また光学顕微鏡観察においても
顕著な顔料の剥離は確認されなかった。
【0041】(実施例4)丸善石油化学製の高純度脂肪
族炭化水素溶剤であるマルカゾールR(商品名)78.
8 gに、重合体a12.0gと、ゼネカ製の高分子顔
料分散剤であるSOLSPERSE(商品名)1.0g
と、帯電制御剤としてオクチル酸ジルコニウム0.2g
を加え、重合体aとSOLSPERSEとオクチル酸ジ
ルコニウムが完全に溶解するまで常温で混合撹拌した。
この混合溶液と、フタロシアニンブルー顔料であるPi
gment Blue 15:3、8.0gをジルコニ
ア製ビーズと共にメノウ製の粉砕容器に入れ、遊星型ボ
ールミル装置で24時間混合粉砕し、色材濃度8.0重
量%の顔料分散体を作製した。この顔料分散体を、マル
カゾールRで希釈し、下記のような組成のインクDを作
製した。
【0042】 マルカゾールR 89.4重量% Pigment Blue 15:3 4.0重量% 重合体a 6.0重量% SOLSPERSE 0.5重量% オクチル酸ジルコニウム 0.1重量% インクDの体積抵抗率は109Ω・cm以上、顔料のメ
ヂアン径は0.3μmであった。
【0043】インクDについて実施例1と同様に、印字
評価を行った。この結果、印字部は印字後速やかに乾燥
し、光学濃度1.4以上で、光学顕微鏡観察による官能
評価でも市販のインクジェットプリンター以上の濃度を
有する、滲みの少ない印字物が得られた。また、実施例
1と同様に定着強度試験を行った結果、目視では、印字
面の剥離は確認されず、また光学顕微鏡観察においても
顕著な顔料の剥離は確認されなかった。
【0044】(比較例1)アルコンP−125を加えな
い以外は、実施例1と同一の配合比および手順で顔料濃
度3重量%のインクEを作製した。インクEの体積抵抗
率は1010Ω・cm以上、顔料のメヂアン径は1μm以
上であった。
【0045】インクEについて実施例1と同様に印字評
価を行った結果、実施例1と同様に高い印字濃度を有す
る印字物が得られたが、実施例1と同様の定着強度試験
を行った結果、目視では折り曲げた部分が所々細かい傷
状に白くなっているのが確認され、光学顕微鏡観察で
は、所々で顔料が剥離しているのが確認された。
【0046】(比較例2)比較例1と同様に、それぞれ
の樹脂を加えない以外は、実施例2〜4のそれぞれと同
一の配合比および手順で、インクB〜Dにおいてそれぞ
れの樹脂を配合しない場合に相当する3種類のインクを
作製した。この3種類のインクは、何れも体積抵抗率1
10Ω・cm以上、顔料のメヂアン径は1μm以上であ
った。
【0047】この3種類のインクについて、実施例1と
同様に印字評価を行った結果、実施例1〜4および比較
例1と同様に高い印字濃度を有する印字物が得られた
が、実施例1と同様の定着強度試験を行った結果、何れ
のインクにおいても比較例1と同様に、目視では折り曲
げた部分が所々細かい傷状に白くなっているのが確認さ
れ、光学顕微鏡観察では、所々で顔料が剥離しているの
が確認された。
【0048】(比較例3)市販の水性カラーインクジェ
ットプリンターおよび市販のカラーレーザープリンター
について、上記実施例と同じ普通紙にべた印字を行った
印字物について、上記実施例と同様に印字部の定着強度
試験を行った。ここで、水性カラーインクジェットプリ
ンターは染料インクを用いており、印字部の印字濃度
は、実施例1〜4の印字物に比べ低かった。また、カラ
ーレーザープリンターは、乾式トナーを用いており、熱
定着機構を備え、普通紙印字物の印字濃度は、実施例1
〜4と同等以上であった。その結果、市販の水性カラー
インクジェットプリンターの印字物においては、目視お
よび光学顕微鏡観察において、印字面の剥離は確認され
なかった。市販のカラーレーザープリンターの印字物に
おいては、目視では折り曲げた部分が細線状に白くなっ
ているのが確認され、光学顕微鏡観察では、顕著な色材
(トナー)の剥離により、紙面が露出しているのが確認
された。
【0049】以上の実施例および比較例より、少なくと
も、炭化水素系溶剤を主成分とする高電気絶縁性の分散
媒と前記分散媒に不溶な色材と常温において塗膜形成可
能な樹脂とを含み、109Ω・cm以上の体積抵抗率
と、微少な粒径の色材が分散した構成を有する本発明の
インクを用いて静電型インクジェット記録方式により作
製した印字物の印字面は、高濃度でにじみの少ない印字
を実現しているのと同時に、分散媒の自然乾燥による自
己定着のみで十分に高い定着強度を有している事が分
る。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、普通紙に
おいても、高濃度でにじみが少なく、かつ、高い定着強
度を有する記録画像を形成することができる、インクジ
ェットインクおよび静電型インクジェット記録方法を提
供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例におけるインクの評価に用いた静電型
インクジェットヘッドの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 記録電極 3 下板 4 上板 5 側板 6 対向電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インクを複数の記録電極が配置された記録
    ヘッドに導入し、前記記録電極と前記記録電極に対向し
    て配置された対向電極との間に電圧を印加し、前記イン
    クに静電力を作用させることで、前記記録ヘッドより前
    記インクを飛翔させ前記記録電極と前記対向電極との間
    に配置された記録媒体上に印字ドットを形成し記録を行
    う静電型インクジェット記録装置用のインクであって、
    25℃における体積抵抗率が109Ω・cm以上であ
    り、少なくとも、炭化水素系溶剤を主成分とする高電気
    絶縁性の分散媒と前記分散媒に不溶な色材と常温におい
    て塗膜形成可能な樹脂とを含む事を特徴とするインクジ
    ェットインク。
  2. 【請求項2】前記樹脂が、常温において固体であり、か
    つ常温において前記分散媒に可溶である事を特徴とする
    請求項1記載のインクジェットインク。
  3. 【請求項3】分散媒が25℃において1013Ω・cm以
    上の体積抵抗率、および150〜350℃の範囲の沸点
    を有する脂肪族炭化水素系溶剤である事を特徴とする請
    求項1,2いずれか1記載のインクジェットインク。
  4. 【請求項4】前記樹脂を前記分散媒に溶解した溶液と前
    記分散媒に不溶な色材とを混合粉砕する事により、色材
    を前記分散媒中に分散させる行程を含む事を特徴とする
    請求項1〜3いずれか1記載のインクジェットインクの
    製造方法。
  5. 【請求項5】25℃における体積抵抗率が109Ω・c
    m以上であり、少なくとも、炭化水素系溶剤を主成分と
    する高電気絶縁性の分散媒と前記分散媒に不溶な色材と
    常温において塗膜形成可能な樹脂とを含むインクを、複
    数の記録電極が配置された記録ヘッドに導入し、前記記
    録電極と前記記録電極に対向して配置された対向電極と
    の間に電圧を印加し前記インクに静電力を作用させるこ
    とで、前記記録ヘッドより前記インクを飛翔させ前記記
    録電極と前記対向電極との間に配置された記録媒体上に
    印字ドットを形成し記録を行う事を特徴とする静電型イ
    ンクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】25℃における体積抵抗率が109Ω・c
    m以上であり、少なくとも、炭化水素系溶剤を主成分と
    する高電気絶縁性の分散媒と前記分散媒に不溶な色材と
    常温において塗膜形成可能な樹脂とを含む事を特徴とす
    るインクジェットインク。
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