JP2002088280A - インクジェットインク、それを用いたインクジェット記録方法および記録装置 - Google Patents

インクジェットインク、それを用いたインクジェット記録方法および記録装置

Info

Publication number
JP2002088280A
JP2002088280A JP2000276009A JP2000276009A JP2002088280A JP 2002088280 A JP2002088280 A JP 2002088280A JP 2000276009 A JP2000276009 A JP 2000276009A JP 2000276009 A JP2000276009 A JP 2000276009A JP 2002088280 A JP2002088280 A JP 2002088280A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
recording
solvent
electrode
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000276009A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Oshima
賢司 大島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2000276009A priority Critical patent/JP2002088280A/ja
Publication of JP2002088280A publication Critical patent/JP2002088280A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、優れた印字性能を有するインクジ
ェットインク、それを用いたインクジェット記録方法お
よび記録装置を提供する事を目的とする。 【解決手段】 本発明のインクジェットインクは、非水
溶媒中に、少なくとも前記溶媒に不溶な色材と、前記溶
媒に可溶な樹脂を含有し、106Ω・m以上の体積抵抗
率を有するインクジェットインクであって、前記樹脂と
して、25℃における前記溶媒に対する溶解度が20重
量%以上である物を配合する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットイ
ンク、それを用いたインクジェット記録方法および記録
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクを記録媒体に飛翔させ記録ドット
を形成することにより印字を行うインクジェット記録法
は、カラー化が容易で普通紙に直接記録できるノンイン
パクト記録法として関心を集めており、この方式を用い
たプリンターが種々実用化されている。インクジェット
記録法の一つとして、記録媒体に対向して配置された複
数の記録電極と記録媒体の背面に配置された対向電極と
に電圧を印加し、両電極間に生じた電位差により、記録
電極上に供給されたインクに静電力を作用させ、インク
を記録媒体上に飛翔させる、静電型のインクジェット記
録法がある。これらの静電インクジェットプリンター
は、例えば、”インクジェット記録技術”、株式会社ト
リケップス発行(1989年)に紹介されている。
【0003】このような静電インクジェット方式により
構成された、ドロップオンデマンド型のフルカラー記録
ヘッドの一例が、例えば特開昭58−215253号公
報、電気通信学会論文誌,Vol.J68−C,2(1
985年)第93ページから第100ページに開示、発
表されている。この方式は、従来のインクジェットヘッ
ドにおけるノズルの代わりに、内壁に多数の記録電極を
有する細長いスリット状のインク吐出口を用いている。
このため、インクの目詰まりに対する心配が少なく、ま
たヘッドの構成が単純であることにより製造コストの低
減が期待でき、記録媒体の幅方向の広範囲をカバーでき
る長さの、いわゆる長尺ラインヘッドを実現するために
も有効な方法である。この静電型インクジェットヘッド
においては、有機溶剤に染料を溶解した油性インクが好
適に用いられ、インクの構成材料に関しては詳細に開示
されてはいないが、電気通信学会論文誌,Vol.J6
8−C,2,pp.93−100,(1985年)に見
られる例では、体積抵抗率(電気抵抗率)が105〜1
6Ω・m、表面張力が22mN/m、粘度が3.1〜
6.9cPの物性値を有するインクが用いられている。
しかしながら、このような油性インクは、他のインジェ
ット方式において一般に用いられている水性インクと比
較し表面張力が低いために、記録紙への浸透性が非常に
大きく、特に普通紙に印字を行う場合において、印字濃
度の低下やにじみ、裏写りを生じやすいという問題があ
った。
【0004】これに対して、例えば特開平9−1147
5号公報、特開平9−118015号公報、特開平9−
193389号公報等には、帯電された色材粒子(トナ
ー)が電気絶縁性の高い液体中に分散されたインクを用
い、記録電極と対向電極との間に形成された静電界によ
り、色材粒子を電気泳動により記録電極先端の吐出部に
集中させ、色材が高濃度に濃縮された形でインク滴を飛
翔させる静電インクジェットヘッドが開示されている。
この場合、通常、記録電極には色材の帯電極性と同極性
の電位を、対向電極には色材の帯電極性と逆極性の電位
を与える。この方式では、その吐出原理の詳細は明らか
にされていないが、前述の方式とは異なり、インクの構
成成分が均一な状態で多量の液体成分を含んだまま吐出
されるのではなく、色材が凝集され液体成分が少ない状
態でインクが吐出されることにより、上述の問題点が解
決される。また、顔料を色材として用いることにより、
従来の染料を用いたインクジェットヘッドに比べ、印字
画像の耐水性、耐光性に関しても有利な結果が得られ
る。
【0005】この様な色材凝集型の静電インクジェット
インクにおいては、印字濃度が高く、にじみや裏写りを
生じない良好な印字特性を得るためには、まず第1にイ
ンクの体積抵抗率が十分大きい事が必要である。この事
により記録電極と対向電極により形成されインクに印加
された電界を色材粒子に到達させる事が可能となる。ま
た、インクの体積抵抗率が低いと、記録電極により印加
される電圧により、インクが電荷注入を受け帯電してし
まい、静電反発力によりインクが多量の液体成分を含ん
だまま吐出してしまう傾向が強くなる。次に、色材粒子
を十分な速度で電気泳動により吐出口部に集中させる必
要があるため、色材粒子が十分な帯電量を有している
事、すなわち色材粒子が正極性もしくは負極性の高いゼ
ータ電位を有している事が必要である。また、吐出性能
と色材粒子の沈降防止との兼ね合いから、色材粒子の平
均粒径は、0.1〜4μm程度が好ましいとされる。
【0006】具体的には、例えば特開平9−19338
9号公報等には、電気抵抗率が10 8Ω・m以上の誘電
性液体中に、前記誘電性液体に対するゼータ電位が60
mV以上であり、かつ平均粒径が0.01及至5μmの
範囲内にある現像剤粒子(少なくとも着色材成分を有す
る固形樹脂粒子)を分散させる事により、106Ω・m
以上、最も好ましくは108Ω・m以上の電気抵抗率を
有するように調整されたインクの使用が開示されてい
る。この様なインクは、例えば、絶縁性液体として10
8Ω・m以上の体積抵抗率を有する炭化水素系溶剤、色
材として、カーボンブラック顔料および有機顔料、並び
に、樹脂やワックスからなるバインダ中もしくは表面に
顔料を含有するものを用い、樹脂、分散剤、帯電制御剤
等を加えた系で色材分散体を作製する事により調製する
事が可能と考えられるが、好適なインクの組成と材料、
作製方法およびインク物性値の詳細は開示されていな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような色材凝集
型の静電インクジェットインクにおいては、色材の記録
媒体への結着性を高める事、および色材の分散性を向上
させる事を目的として、溶媒に可溶な樹脂をインクに配
合する事が望ましい。しかしながら、このような樹脂の
配合により、記録電極およびインク吐出部への色材を中
心とした固着物が生成し易くなり、インクの吐出が不安
定になるという問題があった。また、樹脂の配合によ
り、色材の凝集に伴い吐出部近傍のインクが高粘度化
し、同様にインクの吐出が不安定になったり、インク吐
出の応答周波数が低下するという問題があった。
【0008】本発明は上記従来の問題点を解決する物で
あり、優れた印字性能を有するインクジェットインク、
それを用いたインクジェット記録方法および記録装置を
提供する事を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
インクは、非水溶媒中に、少なくとも前記溶媒に不溶な
色材と、前記溶媒に可溶な樹脂を含有し、106Ω・m
以上の体積抵抗率を有するインクジェットインクであっ
て、前記樹脂として、25℃における前記溶媒に対する
溶解度が20重量%以上である物を配合する構成とし
た。
【0010】本発明によれば、優れた印字性能を有する
インクジェットインク、およびそれを用いた静電型イン
クジェット記録方法および装置を実現する事が出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、非水溶媒中に、少なくとも溶媒に不溶な色材と、溶
媒に可溶な樹脂を含有し、106Ω・m以上の体積抵抗
率を有するインクジェットインクであって、樹脂の25
℃における溶媒に対する溶解度が20重量%以上である
事を特徴とするインクジェットインクであり、記録電極
およびインク吐出部における固着物の生成を抑制すると
共に、インクの高粘度化を防止するという作用を有す
る。
【0012】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1において、インク中の溶媒に可溶な樹脂の濃度が2〜
15重量%であるインクジェットインクであり、インク
の高粘度化を抑制しつつ、色材の記録媒体への定着性を
確保するという作用を有する。
【0013】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1,2において、インク中の溶媒に不溶な色材の濃度が
1〜6重量%であるインクジェットインクであり、記録
ヘッドによる印字を行った場合に、インクの高粘度化を
抑制しつつ、記録紙に十分な印字濃度のドットを形成す
るという作用を有する。
【0014】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1,2において、非水溶媒が25℃において1010Ω・
m以上の体積抵抗率、および150〜350℃の範囲の
沸点を有する脂肪族炭化水素系溶剤であるインクジェッ
トインクであり、インクの体積抵抗率を十分な値に保
ち、かつインクの室温における蒸発速度を適当な範囲と
し、かつインクの臭気を抑制するという作用を有する。
【0015】本発明の請求項5に記載の発明は、25℃
において1010Ω・m以上の体積抵抗率、および150
〜350℃の範囲の沸点を有する脂肪族炭化水素系溶剤
を溶媒とし、少なくとも溶媒に不溶な色材を1〜6重量
パーセントと、25℃における溶媒に対する溶解度が2
0重量%以上である樹脂を2〜15重量%含有する事を
特徴とするインクジェットインクであり、記録ヘッドに
よる印字を行った場合に、記録紙に十分な印字濃度の印
字ドットを形成し、かつ記録電極およびインク吐出部に
おける固着物の生成を抑制すると共に、インクの高粘度
化を防止し、色材の記録媒体への十分な定着性を確保
し、さらに、インクの体積抵抗率を十分な値に保ち、か
つインクの室温における蒸発速度を適当な範囲とし、か
つインクの臭気を抑制するという作用を有する。
【0016】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項
1〜5いずれか1記載のインクジェットインクを記録電
極が配置された記録ヘッドに導入し、記録電極と記録電
極に対向して配置された対向電極との間に電圧を印加し
インクに静電力を作用させることで、記録ヘッドより前
記インクを飛翔させ記録電極と対向電極との間に配置さ
れた記録媒体上にドットを形成し記録を行う事を特徴と
する静電型インクジェット記録方法であり、インクが上
記請求項1〜5の作用で説明した特性を有しているの
で、インクの吐出が安定であると共に、インク吐出の応
答周波数の低下を抑制することが可能であり、高速で安
定に、高濃度で記録媒体への十分な定着性を有する記録
画像の形成を可能にするという作用を有する。
【0017】本発明の請求項7に記載の発明は、少なく
とも記録電極が配置された記録ヘッドと、記録電極に対
向して配置された対向電極とを有し、請求項1〜5いず
れか1記載のインクジェットインクを記録電極が配置さ
れた記録ヘッドに導入し、記録電極と記録電極に対向し
て配置された対向電極との間に電圧を印加しインクに静
電力を作用させることで、記録ヘッドよりインクを飛翔
させ記録電極と対向電極との間に配置された記録媒体上
に印字ドットを形成し記録を行う事を特徴とする静電型
インクジェット記録装置であり、インクが上記請求項1
〜5の作用で説明した特性を有しているので、インクの
吐出が安定であると共に、応答周波数の低下を抑制する
ことが可能であり、高速かつ安定に、高濃度で記録媒体
への十分な定着性を有する記録画像の形成を可能にする
という作用を有する。
【0018】以下、本発明の実施の形態について説明す
る。
【0019】本発明のインクジェットインクは、前述の
ように、非水溶媒中に、少なくとも前記溶媒に不溶な色
材と、前記溶媒に可溶な樹脂を含有し、106Ω・m以
上の体積抵抗率を有するインクジェットインクであっ
て、前記樹脂の25℃における前記溶媒に対する溶解度
が20重量%以上である事を特徴とするものである。ま
ず、本発明のインクを構成する材料について説明する。
【0020】本発明における非水溶媒は、低誘電率、高
電気絶縁性である必要があるため、炭化水素系溶剤を主
成分とする事が好ましい。分散媒に要求される特性とし
て、まず第1に、にじみが少なく十分な印字濃度の記録
画像を得るために色材、樹脂、その他の添加剤を混合し
た後にインクの体積抵抗率が106Ω・m、より好まし
くは107Ω・mより低くならないようにする必要があ
り、109Ω・m以上、より好ましくは1010Ω・m以
上の体積抵抗率を有しているものを用いる。また、誘電
率としては3.0以下の物が好ましい。
【0021】その他の要求特性としては、インク吐出口
における分散媒の蒸発を出来るだけ小さくでき、かつ印
字後のインクの速やかな乾燥、定着を行うために、室温
において適当な範囲の蒸発速度を有していること、また
引火を防止するため、少なくとも室温以上の引火点を有
していること、さらに、環境および人体に対する安全性
が高いことが挙げられる。
【0022】本発明のインクにおける炭化水素系溶剤を
主成分とする非水溶媒は、以上の様な要求特性を満た
し、後述のような樹脂との組み合わせにおいて十分な樹
脂の溶解性を確保できる範囲であれば、特に限定される
物ではないが、炭化水素系溶剤として特に好ましい物と
して、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度の脂
肪族炭化水素溶剤が挙げられ、市販品としてはエクソン
化学製のアイソパーG,H,L,M,V(商品名)、ノ
ーパー12,13,15(商品名)、出光石油化学製の
IPソルベント1620,2028(商品名)、日本石
油化学製のアイソゾール300,400(商品名)、丸
善石油化学製のマルカゾールR(商品名)等がある。こ
れらの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素溶
剤であり、引火点は40℃以上、25℃における粘度は
3cSt以下、25℃における表面張力は22.5〜2
8.0mN/m、25℃における比抵抗は1010Ω・m
以上である。さらに、反応性が低く安定であり、低毒性
で安全性が高く、臭気も少ないという特徴がある。本発
明においては、この様な炭化水素系溶剤を単独で、もし
くは混合物として用いても良く、さらに、前述のような
要求特性を満たし、後述のような樹脂との組み合わせに
おいて十分な樹脂の溶解性を確保できる範囲であれば、
炭化水素系溶剤と相溶性を有する炭化水素系以外の溶
剤、例えばシリコンオイル等との混合物を用いても良
い。
【0023】本発明のインクにおける非水溶媒の性状は
上記のような物であるが、インク化に際し、前記のよう
なインク物性の要求特性を満たす範囲で、アルコール類
等の炭化水素系溶剤以外の溶剤、また炭化水素系溶剤に
可溶性の物質を添加する事が可能である。
【0024】本発明のインクジェットインクにおける、
溶媒に不溶な色材としては、顔料、もしくは顔料を溶媒
に不溶性の樹脂等に分散させたもの、もしくは顔料表面
に樹脂をグラフト化したもの等を用いる事が出来る。顔
料としては、種々の無機および有機顔料を用いることが
出来、例えば、カーボンブラック、β−ナフトール系ア
ゾ顔料、ピラゾロン系アゾ顔料、アセト酢酸アリリド系
アゾ顔料、縮合アゾ顔料、ジスアゾ顔料、アントラピリ
ジン顔料、インダンスレン顔料、フタロシアニン系顔
料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、イソインドリノ
ン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、フタロペリ
ノン顔料、キノフタロン顔料、二酸化チタン等がある。
また、溶媒に不溶性の樹脂としては、種々公知の天然も
しくは合成樹脂を用いることが出来るが、例えばアクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂
等がある。これらの樹脂に顔料を分散させる手法として
は、電子写真用トナーの製造プロセスに見られるよう
な、種々公知の方法を用いれば良い。その他、ロジンエ
ステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等に顔料微粒
子を分散させた加工顔料が市販されており、これを用い
ても良い。本発明のインクにおける、色材の濃度は、イ
ンクの総量に対して1〜6重量%、特に好ましくは2〜
5重量%の範囲であることが好ましい。色材の濃度が1
重量%より少なくなると、十分な印字濃度が得られず、
また、6重量%より多くなると、インク粘度の増大、お
よび色材の固着が生じやすくなることにより、安定なイ
ンク吐出が行えなくなる傾向が生じ、いずれも好ましく
ない。
【0025】上記の様な色材の紙等の記録媒体への定着
性を向上させる事、すなわち定着用バインダーとしての
機能、加えて、色材を溶媒中に微粒子分散させる事、す
なわち分散剤としての機能を主たる目的として、溶媒に
可溶な樹脂を加える。このような樹脂は、バインダーと
しての効果を発揮させるためには、樹脂単体では室温で
固体であるか、もしくは非常に高粘度の液体である物が
好ましく、また溶媒への溶解性を確保するため、溶媒と
の親和性が高い化学構造(構成単位)を有している事が
必要である。このような要求を満たす物であれば、樹脂
の種類は特に限定される物ではないが、例えば炭化水素
系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂等が好適な物
として挙げられる。このような樹脂の濃度は、上述のよ
うな色材の分散性および定着性を確保するためには、イ
ンクの総量に対して2〜15重量%、より好ましくは3
〜10重量%の範囲である事が好ましい。樹脂の濃度が
2重量%より少なくなると、記録媒体への色材の定着性
を向上させる効果が小さくなり、15重量%より多いと
インクの粘度が増大する事により、色材の泳動速度低下
とインク流動性の低下を生じ、安定なインク吐出と良好
な印字結果が得られなくなる傾向が生じ何れも好ましく
ない。しかしながら、このような樹脂を配合することに
より、前述のように、記録電極およびインク吐出部へ色
材を中心とした固着物が生成し易くなり、インクの吐出
が不安定になるという問題や、色材の凝集に伴い吐出部
近傍のインクが高粘度化し、同様にインクの吐出が不安
定になったり、インク吐出の応答周波数が低下する場合
があった。そこで、本発明者はこのような問題を改善す
るため、溶媒に対する樹脂の溶解性に着目し検討を行っ
た結果、25℃における溶媒に対する溶解度が20重量
%以上である樹脂を用いる事で、前期問題点を解決でき
る事を見いだした。このような構成を用いれば、色材の
凝集に伴う記録電極やインク吐出部への固着物の生成
や、インクの高粘度化を抑制できるため、十分な印字定
着性を確保しつつ、吐出安定性が高く良好な印字結果を
得ることができる。
【0026】なお、本発明における溶解度とは、25℃
において、樹脂を溶媒と混合かく拌する事により、固
形、もしくは膨潤状態の樹脂が残存せず、透明な均一混
合溶液となった状態において、その時の均一混合溶液の
濃度を意味し、溶液に対する溶解した樹脂の重量比であ
り、単位は重量%である。
【0027】さらに、本発明におけるインクジェットイ
ンクには、色材を任意の極性および電荷量に帯電させる
ために、帯電制御剤を加える事が好ましい。帯電制御剤
としては、ナフテン酸、オクチル酸、ステアリン酸等を
脂肪酸成分とする金属石鹸、アルキル硫酸の金属塩、ア
ルキルリン酸の金属塩、脂肪酸、レシチン等を用いるこ
とが出来、また、前記のような溶媒に可溶性の樹脂も帯
電制御剤として機能する場合がある。色材を正極性に帯
電させる場合には金属石鹸が特に好ましく、特に、高純
度の脂肪族炭化水素溶剤に対しても高い溶解性を有して
いること、および顔料を帯電させる効果が高い事から、
ナフテン酸およびオクチル酸を脂肪酸成分とする金属石
鹸が特に好ましい。これら金属石鹸の金属原子として
は、マンガン、鉛、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、
ジルコニウム、銅、鉄等が使用可能である。好ましい金
属石鹸の具体例としては、ナフテン酸マンガン、ナフテ
ン酸鉄、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸ジルコニウ
ム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸ニ
ッケル、オクチル酸ジルコニウム等がある。顔料および
樹脂の構造や表面処理の影響により、特に帯電制御剤を
加えなくても、色材が帯電する場合もあるが、このよう
な帯電制御剤を用いると、より確実かつ効果的に色材を
帯電させる事が可能となると共に、その添加量により色
材の帯電量やゼータ電位およびインクの体積抵抗率を調
整する事が可能となる。本発明における帯電制御剤の濃
度は、インクの総量に対して0.001〜2.0重量%
の範囲であることが好ましい。金属石鹸の濃度が0.0
01重量%より少ないと、色材に十分な帯電量を付与す
る効果が小さく、2.0重量%より多いとインクの体積
抵抗率低下のため、印字濃度が低下する傾向が生じるた
め、何れも好ましくない。
【0028】本発明における基本的な構成材料は以上の
ような物であるが、このほかに顔料分散剤、界面活性
剤、ワックス、染料等の添加剤を適宜加えても良い。た
だし、このとき、インクの体積抵抗率が106Ω・m、
好ましくは107Ω・mより低くならないように注意す
る必要がある。
【0029】次に、インクの作成方法について説明す
る。インクの作製は、種々の一般的な顔料系インク、ト
ナー等の作製プロセスと同様に行うことができ、例え
ば、樹脂、金属石鹸、分散剤その他の補助添加剤を適当
な粘度範囲になるように溶媒に混合溶解した物に顔料を
加え、ビーズミル、アトライター、ボールミル、ペイン
トシェイカー等の分散機を用いて、数時間から数十時間
程度混合粉砕する事により、数百nm〜数μm程度の色
材が分散されたインクの濃縮液を作製した後、使用する
際の所定濃度まで分散倍で希釈しインクを作製する方法
がある。
【0030】上記の様な材料および作製方法により、非
水溶媒中に、少なくとも前記溶媒に不溶な色材と、前記
溶媒に可溶な樹脂を含有し、106Ω・m以上の体積抵
抗率を有するインクジェットインクであって、前記樹脂
として、前記溶媒に常温で20重量パーセント以上可溶
である物を配合する構成としたインクを作製する事によ
り、優れた印字性能を有するインクジェットインクを実
現することができる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を具体例により説明する。
【0032】(実施例1)エクソン化学製の高純度脂肪
族炭化水素溶剤であるアイソパーG(商品名)、81.
16gに、脂環族飽和炭化水素樹脂(ガラス転移点55
℃、重量平均分子量1000、以下、樹脂Aと記す)1
2.0g、高分子系顔料分散剤0.76g、帯電制御剤
であるオクチル酸ジルコニウム0.08gを加え、樹脂
Aおよび顔料分散剤、オクチル酸ジルコニウムが完全に
溶解するまで室温で混合撹拌した。
【0033】ここで、前記樹脂Aは、常温ではペレット
状の固形樹脂であるが、炭化水素系溶剤に対し高い溶解
性を有し、アイソパーGに対しては25℃で30重量%
可溶であった(溶解度30重量%)。ここで、上述した
ように溶解とは、樹脂を溶媒と混合かく拌する事によ
り、固形、もしくは膨潤状態の樹脂が残存せず、透明な
均一混合溶液となった状態を意味する。
【0034】この混合溶液と、色材としてフタロシアニ
ンブルー顔料であるPigmentBlue 15:
3、6.0gをジルコニア製ビーズと共にメノウ製の粉
砕容器に入れ、ペイントシェイカーで4時間混合粉砕
し、色材濃度6.0%の顔料分散液を作製した。この顔
料分散液を、アイソパーGで希釈することにより、下記
のような組成の顔料分散インクAを作製した。
【0035】 アイソパーG 90.58重量% Pigment Blue 15:3 3.0重量% 樹脂A(脂環族飽和炭化水素樹脂) 6.0重量% 高分子系顔料分散剤 0.38重量% オクチル酸ジルコニウム 0.04重量% インクAの体積抵抗率は107Ω・m以上であり、顔料
は正極性に帯電していた。ここで、体積抵抗率の測定に
は、キースレー6517型高抵抗系(商品名)および東
洋真空工業1型液体電気抵抗測定用電極(商品名)を用
い25℃の恒温槽中で行った。顔料の帯電状態は、大塚
電子製ELS−6000型ゼータ電位計(商品名)によ
り顔料のゼータ電位を測定する事により調べた。これら
の物性値の測定条件は以下の実施例についても同様であ
る。
【0036】このインクAを次のような静電型インクジ
ェットヘッドを用いて吐出、印字評価した。
【0037】ここで、図1は、本実施例におけるインク
の評価に用いた静電型インクジェットヘッドの構成を示
す斜視図である。
【0038】図1において、1はインクジェットヘッ
ド、2はインクに記録信号となる電圧パルスを与えてイ
ンク液滴を吐出させるための金属製の記録電極、3は複
数の記録電極2が形成された電極基板、4はプラスチッ
ク製のヘッドブロック上板、5は同じくプラスチック製
のヘッドブロック下板、6はヘッドブロック上板4とヘ
ッドブロック下板5によって形成され、インクタンク
(図示せず)とインク流路(図示せず)で連結されたイ
ンク充填部、7はヘッドブロック上板4端部とヘッドブ
ロック下板5端部によって形成されたスリット状の開口
部、8はインク中の色材を効率的に記録電極先端部近傍
に泳動させるための泳動電極、9は記録電極2に対向し
て配置された金属製の対向電極、10は対向電極に密着
する形で、インクジェットヘッド1の長手方向と垂直に
移動可能に配置された記録紙である。インク流路(図示
せず)から供給されたインク(図示せず)はインク充填
部6に充填され、開口部7においてインクブロック上板
4と電極基板3および記録電極2先端との間でメニスカ
スを形成する。本実施例においては、ヘッドブロック上
板4端部と電極基板3との間の間隔すなわちスリット幅
は約150μm、記録電極2の幅は約60μm、記録電
極2の配列間隔は約85μm、記録電極2先端と記録紙
との間隔は0.7mmとした物を用いた。このような構
成のインクジェットヘッドにおいて、プラス帯電性の色
材を分散させたインクを用いる場合には、対向電極9に
は常に一定のマイナス電圧を印加し、さらに泳動電極8
に一定のプラス電圧を印加しながら、記録紙10をイン
クジェットヘッド1の長手方向と垂直に移動させなが
ら、記録電極2に記録信号となるプラスの電圧パルスを
一定の周波数で印加することで、記録電極2の先端より
対向電極9に向かって静電引力によりインク滴を吐出さ
せ、記録紙状に一定の周期のドットを形成する。
【0039】このインクジェットヘッドを用いて、イン
クAについて、対向電極電圧−1.2kV、記録電極電
圧+400V、泳動電極電圧+200Vの条件でコピー
用紙に連続してドット印字を行い、吐出の安定性、記録
周波数への応答性と印字濃度(光学濃度)を評価した。
光学濃度の測定には、グレタグ濃度計D19C(商品
名)を用いた。この結果、光学濃度1.4以上という、
市販のインクジェットプリンター同等以上の印字濃度
で、滲みの少ない均一なドットがを2kHzの記録周波
数でドット抜けなく安定に記録する事が可能であった。
また、5万ドットの印字を、インクジェットヘッドを解
放した状態での10分間の休止を挟んで10回繰り返し
た後のインクジェットヘッドにつき、記録電極先端部近
傍の様子を光学顕微鏡により観察したところ、色材の固
着ははほとんど見られなかった。
【0040】さらに上記のようにして作製した印字物に
対して、記録画像の定着性を評価するため、次のような
定着強度試験を行った。まず、印字面を内側にして印字
部の中央付近が折り曲げ部となるように記録紙を二つ折
りにし、その折り曲げた部分の上に直径約3cmの金属
製円筒を、その長手方向が印字物の折り曲げた方の端と
交差する様に乗せた。次に、金属製円筒の上部を掴み、
軽く力を加えながら印字物の折り曲げた部分の上を、折
り曲げた方の端と平行に10往復なぞった。その後、印
字面の折り曲げた部分を開き、印字面の折り曲げていた
部分の様子を目視および光学顕微鏡により観察した。そ
の結果、目視では印字面の剥離は確認されず、また光学
顕微鏡観察においても顕著な顔料の剥離は確認されなか
った。
【0041】比較のため、市販の水性カラーインクジェ
ットプリンターおよび市販のカラーレーザープリンター
について、上記実施例と同じ普通紙にべた印字を行った
印字物について、上記実施例と同様に印字部の定着強度
試験を行った。ここで、水性カラーインクジェットプリ
ンターは染料インクを用いており、印字部の印字濃度
は、実施例1の印字物に比べ低かった。また、カラーレ
ーザープリンターは、乾式トナーを用いており、熱定着
機構を備え、普通紙印字物の印字濃度は、実施例1と同
等以上であった。その結果、市販の水性カラーインクジ
ェットプリンターの印字物においては、目視および光学
顕微鏡観察において、印字面の剥離は確認されなかっ
た。市販のカラーレーザープリンターの印字物において
は、目視では折り曲げた部分が細線状に白くなっている
のが確認され、光学顕微鏡観察では、顕著な色材(トナ
ー)の剥離により、紙面が露出しているのが確認され
た。
【0042】(表1)は、実施例1および以降に示す実
施例および比較例におけるインク組成および印字評価結
果の一覧である。
【0043】
【表1】
【0044】ここで、印字性能の項は、光学濃度1.4
以上のドットが、ドット抜けの発生確率が市販のインク
ジェットプリンターと同様の0.05%未満で印字でき
る記録周波数が、2kHz以上であった場合は○(良
好)、1kHz以上2kHz未満であった場合は△、1
kHz以下もしくは安定印字が行えなかった場合、もし
くは光学濃度が1.4未満であった場合は×(不良)と
した。
【0045】また、定着性の項は、上記のような定着強
度試験により、目視および光学顕微鏡観察により顔料の
剥離がほとんど見られなかった場合もしくは微少と判断
された場合(市販のカラーレーザープリンターを上回
る、もしくは市販のインクジェットプリンター同等の定
着強度)を○(良好)、目視により折り曲げ部が細線状
に白くなっているのが確認された場合や、光学顕微鏡観
察により顕著な顔料の剥離が確認された場合(市販のカ
ラーレーザープリンターの印字物と同等以下の定着強
度)を×(不良)とした。
【0046】更に、固着物の項は、前述の繰り返し条件
で吐出を行った後の記録電極先端部近傍の様子を光学顕
微鏡により観察した時、色材の固着が全く確認されなか
った場合、もしくは微少であった場合を○(良好)、固
着が明瞭に確認された場合を×(不良)とした。
【0047】(実施例2)実施例1における樹脂Aの代
わりに、p−t−ブチルスチレン/イソブチルメタクリ
レート/2−エチルヘキシルアクリレート共重合体樹脂
(ガラス転移点56℃、重量平均分子量50000、以
下樹脂Bと記す)を用いた以外は、実施例1と同様の方
法および配合比でインクBを作製した。
【0048】ここで、樹脂Bは、常温ではフレーク状の
固形樹脂であるが、炭化水素系溶剤に対し高い溶解性を
有し、アイソパーGに対しては25℃で20重量%可溶
であった(溶解度20重量%)。
【0049】インクBは、インクAと同様に、体積抵抗
率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に帯電して
いた。
【0050】インクBにつき、実施例1と同様に印字評
価および定着性試験、固着物の観察を行った結果を(表
1)に記載した。このように、インクAと同様に良好な
特性を有していた。
【0051】(実施例3)実施例1における樹脂Aの代
わりに、大日本インキ化学工業製の塗料用アクリル樹脂
(以下、樹脂Cと記す)を用いた以外は、実施例1と同
様の方法および配合比でインクCを作製した。
【0052】樹脂Cは、炭化水素系溶剤に対して高い溶
解性を有しており、アイソパーGを溶媒とする50重量
%の溶液状態(溶解度50重量%)で供給されており、
樹脂単体での物性は不明であるが、アイソパーGを揮発
させることにより固化し、塗膜を形成する。インクの調
合に際しては、インク中Cの樹脂固形分が実施例1と同
様に6重量%となるように樹脂溶液を配合した。
【0053】インクCは、インクAと同様に、体積抵抗
率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に帯電して
いた。
【0054】インクCにつき、実施例1と同様に印字評
価および定着性試験、固着物の観察を行った結果を(表
1)に記載した。このように、インクAと同様に良好な
特性を有していた。
【0055】(比較例1)実施例1における樹脂Aの代
わりに、p−メチルスチレン/イソブチルメタクリレー
ト/2−エチルヘキシルアクリレート共重合体樹脂(ガ
ラス転移点55℃、重量平均分子量80000、以下樹
脂Dと記す)を用いた以外は、実施例1と同様の配合比
のインクDを作製した。
【0056】ここで、樹脂Dは、常温ではフレーク状の
固形樹脂であるが、炭化水素系溶剤に対する溶解性は樹
脂A〜Cと比較すると低く、アイソパーGに溶解可能な
濃度は25℃で11重量%であった(溶解度11重量
%)。
【0057】インクDは、インクAと同様に、体積抵抗
率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に帯電して
いた。
【0058】インクDにつき、実施例1と同様に印字評
価および定着性試験、固着物の観察を行った結果を(表
1)に記載した。インクAと比較すると、記録応答周波
数が低く、良好な印字性能が得られなかった。また、印
字評価後のインクジェットヘッドの記録電極先端部付近
に固着物が確認された。
【0059】(比較例2)実施例1における樹脂Aの代
わりに、淡色ロジン系樹脂(ガラス転移点40℃、以下
樹脂Eと記す)を用いた以外は、実施例1と同様の配合
比のインクEを作製した。ここで、樹脂Eは、常温では
ブロック状の固形樹脂であるが、炭化水素系溶剤に対す
る溶解性は樹脂A〜Cと比較すると低く、アイソパーG
に溶解可能な濃度は25℃で9重量%であった(溶解度
9重量%)。
【0060】インクEは、インクAと同様に、体積抵抗
率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に帯電して
いた。
【0061】インクEにつき、実施例1と同様に印字評
価および定着性試験、固着物の観察を行った結果を(表
1)に記載した。インクAと比較すると、記録応答周波
数が低く、良好な印字性能が得られなかった。また、印
字評価後のインクジェットヘッドの記録電極先端部付近
に固着物が確認された。
【0062】(比較例3)実施例1におけるアイソパー
Gの代わりに、丸善石油化学製の高純度脂肪族炭化水素
溶剤であるマルカゾルRと東レ・ダウ・コーニング・シ
リコーン製のシリコンオイルであるSH200−1CS
との重量比で8:2の混合液を用いた以外は、実施例1
と同様の配合比のインクFを作製した。
【0063】ここで、前記混合液は、アイソパーGと比
較し樹脂Aの溶解力が低く、樹脂Aが前記混合液に溶解
可能な濃度は25℃で12重量%であった(溶解度12
重量%)。
【0064】インクFは、インクAと同様に、体積抵抗
率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に帯電して
いた。
【0065】インクFにつき、実施例1と同様に印字評
価および定着性試験、固着物の観察を行った結果を(表
1)に記載した。このように、インクAと比較すると、
記録応答周波数が低く、良好な印字性能が得られなかっ
た。また、印字評価後のインクジェットヘッドの記録電
極先端部付近に少量の固着物が確認された。
【0066】(比較例4)実施例2におけるアイソパー
Gの代わりに、出光石油化学製の高純度脂肪族炭化水素
溶剤であるIPソルベント2028を用いた以外は、実
施例2と同様の配合比のインクGを作製した。
【0067】ここで、IPソルベント2028は、アイ
ソパーGと比較し平均分子量が高いため、アイソパーG
と比較して樹脂Bの溶解力が低く、樹脂Bが溶解可能な
濃度は25℃で10重量%であった(溶解度10重量
%)。
【0068】インクGは、インクBと同様に、体積抵抗
率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に帯電して
いた。
【0069】インクGにつき、実施例1と同様に印字評
価および定着性試験を行った結果を(表1)に記載し
た。インクBと比較すると、記録応答周波数が低く、良
好な印字性能が得られなかった。また、印字評価後のイ
ンクジェットヘッドの記録電極先端部付近に固着物が確
認された。
【0070】(実施例4〜6)実施例1における樹脂A
の配合比を、それぞれ2、10、15重量%とした以外
は、実施例1と同様の方法および配合でインクH、I、
Jを作製した。
【0071】インクH、I、Jは、インクAと同様に、
体積抵抗率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に
帯電していた。
【0072】インクH、I、Jにつき、実施例1と同様
に印字評価および定着性試験を行った結果を(表1)に
記載した。このように、インクAと同様に良好な特性を
有していた。
【0073】(比較例5〜7)実施例1における樹脂A
の配合比を、それぞれ0、0.5、20重量%とした以
外は、実施例1と同様の方法および配合でインクK、
L、Mを作製した。
【0074】インクK、M、Lは、インクAと同様に、
体積抵抗率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に
帯電していた。
【0075】インクK、M、Lにつき、実施例1と同様
に印字評価および定着性試験を行った結果を(表1)に
記載した。インクK、Lでは、定着性試験において顔料
の剥離が確認され、また、インクMでは記録応答周波数
が低く、いずれも良好な結果が得られなかった。
【0076】(実施例7、8)実施例1におけるフタロ
シアニンブルー顔料の配合比を、それぞれ1、6重量%
とした以外は、実施例1と同様の方法および配合でイン
クN、Oを作製した。
【0077】インクN、Oは、インクAと同様に、体積
抵抗率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に帯電
していた。
【0078】インクN、Oにつき、実施例1と同様に印
字評価および定着性試験を行った結果を(表1)に記載
した。このように、インクN、OのいずれもインクAと
同様に良好な特性を有していた。
【0079】(比較例8、9)実施例1におけるフタロ
シアニンブルー顔料の配合比を、それぞれ0.4、10
重量%とした以外は、実施例1と同様の方法および配合
でインクP、Qを作製した。
【0080】インクP、Qは、インクAと同様に、体積
抵抗率は107Ω・m以上であり、顔料は正極性に帯電
していた。
【0081】インクP、Qにつき、実施例1と同様に印
字評価および定着性試験を行った結果を(表1)に記載
した。インクPでは、十分な印字濃度を得ることができ
ず、インクQでは、応答周波数が低く、安定な印字を行
うことができなかった。また、インクQでは、印字評価
後のインクジェットヘッドの記録電極先端部付近に固着
物が確認された。
【0082】以上の実施例および比較例で示したよう
に、樹脂として、25℃における前記溶媒に対する溶解
度が20重量%以上である物を配合する構成とし、さら
に、樹脂の濃度を2〜15重量パーセント、色材の濃度
を1〜6重量パーセントの範囲とすることで、記録電極
付近における固着物の生成を抑制しつつ、十分な印字濃
度と定着性を有するのドットを安定かつ高速に印字する
事が可能なインクジェットインクを実現する事ができ
る。
【0083】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、優れた印
字性能と定着性を有するインクジェットインク、それを
用いたインクジェット記録方法および記録装置を実現す
る事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例におけるインクの評価に用いた静電型
インクジェットヘッドの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 記録電極 3 電極基板 4 ヘッドブロック上板 5 ヘッドブロック下板 6 インク充填部 7 開口部 8 泳動電極 9 対向電極 10 記録紙

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非水溶媒中に、少なくとも前記溶媒に不溶
    な色材と、前記溶媒に可溶な樹脂を含有し、106Ω・
    m以上の体積抵抗率を有するインクジェットインクであ
    って、前記樹脂の25℃における前記溶媒に対する溶解
    度が20重量%以上である事を特徴とするインクジェッ
    トインク。
  2. 【請求項2】インク中の溶媒に可溶な樹脂の濃度が2〜
    15重量%である事を特徴とする請求項1記載のインク
    ジェットインク。
  3. 【請求項3】インク中の溶媒に不溶な色材の濃度が1〜
    6重量%である事を特徴とする請求項1,2いずれか1
    記載のインクジェットインク。
  4. 【請求項4】非水溶媒が25℃において1010Ω・m以
    上の体積抵抗率、および150〜350℃の範囲の沸点
    を有する脂肪族炭化水素系溶剤である事を特徴とする請
    求項1〜3いずれか1記載のインクジェットインク。
  5. 【請求項5】25℃において1010Ω・m以上の体積抵
    抗率、および150〜350℃の範囲の沸点を有する脂
    肪族炭化水素系溶剤を溶媒とし、少なくとも前記溶媒に
    不溶な色材を1〜6重量%と、25℃における前記溶媒
    に対する溶解度が20重量%以上である樹脂を2〜15
    重量%含有する事を特徴とするインクジェットインク。
  6. 【請求項6】請求項1〜5いずれか1記載のインクジェ
    ットインクを記録電極が配置された記録ヘッドに導入
    し、前記記録電極と前記記録電極に対向して配置された
    対向電極との間に電圧を印加し前記インクに静電力を作
    用させることで、前記記録ヘッドより前記インクを飛翔
    させ前記記録電極と前記対向電極との間に配置された記
    録媒体上に印字ドットを形成し記録を行う事を特徴とす
    るインクジェット記録方法。
  7. 【請求項7】少なくとも記録電極が配置された記録ヘッ
    ドと、前記記録電極に対向して配置された対向電極とを
    有し、請求項1〜5いずれか1記載のインクジェットイ
    ンクを前記記録電極が配置された記録ヘッドに導入し、
    前記記録電極と前記記録電極に対向して配置された対向
    電極との間に電圧を印加し前記インクに静電力を作用さ
    せることで、前記記録ヘッドより前記インクを飛翔させ
    前記記録電極と前記対向電極との間に配置された記録媒
    体上に印字ドットを形成し記録を行う事を特徴とするイ
    ンクジェット記録装置。
JP2000276009A 2000-09-12 2000-09-12 インクジェットインク、それを用いたインクジェット記録方法および記録装置 Pending JP2002088280A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000276009A JP2002088280A (ja) 2000-09-12 2000-09-12 インクジェットインク、それを用いたインクジェット記録方法および記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000276009A JP2002088280A (ja) 2000-09-12 2000-09-12 インクジェットインク、それを用いたインクジェット記録方法および記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002088280A true JP2002088280A (ja) 2002-03-27

Family

ID=18761545

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000276009A Pending JP2002088280A (ja) 2000-09-12 2000-09-12 インクジェットインク、それを用いたインクジェット記録方法および記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002088280A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2867491B2 (ja) 画像記録用インク
JP4629335B2 (ja) 顔料配合インク組成物
DE19521960A1 (de) Tinten-Zusammensetzung und diese verwendendes Aufzeichnungsverfahren
JPH0245663B2 (ja)
DE60303533T2 (de) Farbzusammensetzung auf Ölbasis für Tintenstrahldrucker
DE602004006685T2 (de) Tintenzusammensetzung für elektrostatische Tintenstrahlaufzeichnung und Tintenstrahlaufzeichnungsverfahren
JP2007505953A (ja) マーキング液体の調製方法およびそれによって製造された生成物
EP1674536B1 (en) Inkjet ink composition
US7264344B2 (en) Electrostatic inkjet ink composition
US20060116441A1 (en) Process for producing ink composition
JP3089639B2 (ja) 画像記録用インク
JPS6218585B2 (ja)
JP2001279139A (ja) 静電インクジェット記録装置用ブラックインク及びその製造方法
JP2000248218A (ja) 静電式インクジェット用インク
JP2005060567A (ja) インクジェットインク組成物の製造方法およびインクジェットインク組成物
JP2002088280A (ja) インクジェットインク、それを用いたインクジェット記録方法および記録装置
US20060011096A1 (en) Producing method for ink for inkjet recording
JP2001329193A (ja) インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置
DE602004003437T2 (de) Tintenzusammensetzung und Methode für den Tintenstrahldruck
US20020058729A1 (en) Electrostatic ink jet ink and method of controlling electrostatic charges of color material in the ink
JP2000119576A (ja) 静電インクジェット用インク
JP2001139856A (ja) 静電インクジェットインク及びその色材帯電制御方法
KR100393247B1 (ko) 잉크젯잉크
JP2000303007A (ja) 静電型インクジェット記録用インク
JP2002327139A (ja) 静電インクジェットインク、それを用いた静電型インクジェット記録方法及び記録装置