JP2006193648A - インクジェット用インク組成物の製造方法およびインクジェット用インク組成物 - Google Patents

インクジェット用インク組成物の製造方法およびインクジェット用インク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 荷電の制御が容易で、経時安定性に優れ、低電圧、高周波数での吐出性に優れ、ノズル部、配管部等インクジェット記録装置内での、顔料粒子の付着、目詰まりが起きない、吐出安定性が優れた静電方式インクジェット用インク組成物を提供する。
【解決手段】 非水溶媒中、非水溶媒に不溶な被覆樹脂で被覆された樹脂被覆色材粒子、及び分散剤を含有する分散液を、該被覆樹脂のガラス転移点(Tg)以上として加熱分散処理することにより得た着色粒子をシード粒子として、一官能性重合性単量体の少なくとも一種と、重合開始剤の存在下に分散重合し、樹脂被覆着色粒子を作製することを特徴とするインクジェット用インク組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクを飛翔させ、記録紙等の被転写媒体上に文字や画像を形成するインクジェット用インク組成物の製造方法およびインクジェット用インク組成物に関するものであり、特に高濃度で滲みの少ないドットを高速で安定に印字することができるインクジェット用インク組成物の製造方法およびインクジェット用インク組成物に関するものである。
インクを記録媒体に飛翔させ記録ドットを形成することにより印字を行うインクジェット記録法は、カラー化が容易で普通紙に直接記録できるノンインパクト記録法として関心を集めており、この方式を用いたプリンターが種々実用化されている。インクジェット記録法としては、例えば非特許文献1(安居院猛他、「リアルカラー ハードコピー」、産業図書(株)、1993年)、非特許文献2(大野信、「ノンインパクトプリンティング−技術と材料−」、(株)シーエムシー、1986年)、非特許文献3(甘利武司、「インクジェットプリンタ−技術と材料」、(株)シーエムシー、1998年)等の成書に記載されており、オンデマンド(随意噴射)とコンティニアス(連続噴射)の方式がある。更に連続型では静電方式(Sweet型、Hertz型)、オンデマンド型ではピエゾ圧電方式、シェアモードピエゾ圧電方式、サーマルインクジェット方式と呼ばれる記録方式等が知られている。オンデマンド型インクジェット記録法の一つとして、非特許文献4(一ノ瀬進、大庭有二、電子通信学会論文誌、1983年、J66−C、1号、p.47)、非特許文献5(大野忠義、水口衛、画像電子学会誌、1981年、10巻、3号、p.157)等に記載の静電加速型インクジェットあるいはスリットジェットと呼ばれる方式が知られている。この方式では、記録媒体に対向して配置された複数の記録電極と記録媒体の背面に配置された対向電極とに電圧を印加し、両電極間に生じた電位差により、記録電極上に供給されたインクに静電力を作用させ、インクを記録媒体上に飛翔させるもので、具体的態様が、例えば特許文献1(特開昭56−170号公報)、特許文献2(特開昭56−4467号公報)、特許文献3(特開昭57−151374号公報)等に開示されている。この方式は、従来のインクジェットヘッドにおけるノズルの代わりに、内壁に多数の記録電極を有する細長いスリット状のインク吐出口を用いていて、このスリット状インク室にインクを供給し、これらの電極に選択的に高電圧を印加することにより、スリットと近接対向する記録紙に電極近傍のインクを噴射させて記録するものである。
このため、インクの目詰まりに対する心配が少なく、またヘッドの構成が単純であることにより製造コストの低減が期待でき、記録媒体の幅方向の広範囲をカバーできる長さの、いわゆる長尺ラインヘッドを実現するためにも有効な方法である。
このような静電加速型インクジェット方式により構成された、ドロップオンデマンド型のフルカラー記録ヘッドの一例が、例えば特許文献4(特公昭60−59569号公報)、非特許文献6(電気通信学会論文誌、1985年、J68−C、2号、p.93−100)に開示、発表されている。
しかしながら、このような油性インクは、他のインジェット方式において一般に用いられている水性インクと比較し表面張力が低いために、記録紙への浸透性が非常に大きく、特に普通紙に印字を行う場合において、印字濃度の低下やにじみ、裏写りを生じやすい。
スリット状の記録ヘッドを用いない色材濃縮吐出型の静電方式が、特許文献5(特開平
9−193389号公報)および特許文献6(特開平10−138493号公報)に開示されている。これは、インク中の色剤成分に静電力を作用させるための複数個の個別電極を、貫通孔の形成された絶縁性基板とこの貫通孔に対応して形成された制御電極とからなる制御電極基板と、この貫通孔のほぼ中心位置に配置された凸状インクガイドとから構成し、この凸状インクガイドの表面を表面張力でインクをインク滴飛翔位置まで運び、制御電極に所定の電圧を印加することで記録媒体にインク滴を飛翔させ記録するものである。
この色材濃縮吐出型の静電インクジェット方式では、色材粒子を電気泳動により吐出口部に集中させ、色材粒子が高濃度に濃縮された形でインク滴を飛翔させる。このため、前述の方式とは異なり、インクの構成成分が均一な状態で多量の液体成分を含んだまま吐出されるのではなく、色材粒子が凝集され液体成分が少ない状態で吐出されることにより、上述の問題点が解決される。また、顔料を色材として用いることにより、従来の染料を用いたインクジェットヘッドに比べ、印字画像の耐水性、耐光性に関しても有利な結果が得られる。
この様な色材濃縮吐出型の静電インクジェット用インクにおいては、印字濃度が高く、にじみや裏写りを生じない良好な印字特性を得るためには、まず第1にインクの体積抵抗率が十分大きいことが必要である。このことにより記録電極と対向電極により形成されインクに印加された電界を色材粒子に到達させることが可能となる。また、インクの体積抵抗率が低いと、記録電極により印加される電圧により、インクが電荷注入を受け帯電してしまい、静電反発力によりインクが多量の液体成分を含んだまま吐出してしまう傾向が強くなる。次に、色材粒子を十分な速度で電気泳動により吐出口部に集中させる必要があるため、色材粒子が十分な帯電量を有していること、すなわち色材粒子が正極性もしくは負極性の高い粒子電導度を有していることが必要である。
近年、プリンターの高速化、高画質化への要求が高まるにつれ、上記のような色材濃縮吐出型のインクジェットヘッドにおいても、色材が高濃度に濃縮された微少なインク滴を長期間安定かつ高速に吐出させることにより、より高精細な画像を高速に印字する技術が必要とされている。
このような印字性能はインクの物性値に大きく依存することが確かめられており、十分な印字性能を得るためには、前述のように、インクを作製するにあたっては、好ましくは108Ω・cm以上といった高い体積抵抗率を維持しながら、色材粒子に100pS/cm以上の高い粒子電導度を付与する必要がある。色材粒子の粒子電導度が100pS/cm未満で小さいと、色材粒子を電気泳動により吐出口部すなわち吐出電極先端部へ高速で移動させることができず、色材粒子供給が不十分となり、色材粒子の凝集性が悪くなると共に吐出応答周波数が低くなってしまう。
さらに、吐出電極表面と色材粒子との電気的な反発力が弱いため、吐出電極上に色材粒子が付着、堆積することにより安定吐出ができなくなる場合がある。このような理由により、十分な印字濃度が得られないと共に安定かつ高速な印字ができないという問題が生じる。
上記の色材粒子は、顔料等の色材と樹脂から構成されることが好ましく、色材を被覆させる樹脂としては、一般に、(1)顔料表面を十分に被覆して色材混和物を形成し、熱などにより適度の流動性を持つこと、(2)色材を被覆することにより分散媒中によく分散させること、(3)なるべく透明であること、(4)定着により記録媒体に固着して十分な耐擦過性を与えること等の特性を有することの他に、上記の静電インクジェット用インクでは、(5)色材粒子に正極性もしくは負極性の高い粒子電導度を付与することが望まれている。樹脂により色材が被覆された色材粒子は、色材を樹脂で被覆して着色混和物を
形成した後、前記着色混和物を非水溶媒中で分散することにより形成することができる。しかしながら、通常の分散では、粗大粒子状の色材粒子が生成したり、あるいは0.2μm以下の微粒子状の顔料微粒子が生成し、平均粒径が0.3〜4μm程度で粒径が揃っていて、かつ、0.2μm以下の微小な色材粒子が少ないものを分散で得ることは困難なのが実情であった。
また、上記のような樹脂による色材の被覆では、色材粒子の表面に顔料粒子が存在し、その影響により、荷電安定性が十分ではなかったり、ノズル部、配管部等インクジェット記録装置内での、粒子の付着、目詰まりの問題などがあった。
特許文献7(特開2004−2501号公報)では、着色成分微粒子をシード粒子とし、一官能性重合性単量体を分散重合させる方法が開示されている。しかしながら、この方法でも、シード分散物中に顔料の微小粒子が残り、モノマーを重合した後にも微小粒子が残存し、連続吐出安定性が十分でなかっり、また粒子サイズが小さくなる傾向があり、粒子の移動速度が遅く、低電圧、高周波数の条件下での吐出安定性が十分でなかったりすることがあった。
特開昭56−170号公報 特開昭56−4467号公報 特開昭57−151374号公報 特公昭60−59569号公報 特開平9−193389号公報 特開平10−138493号公報 特開2004−2501号公報 安居院猛他、「リアルカラー ハードコピー」、産業図書(株)、1993年 大野信、「ノンインパクトプリンティング−技術と材料−」、(株)シーエムシー、1986年 甘利武司、「インクジェットプリンタ−技術と材料」、(株)シーエムシー、1998年 電子通信学会論文誌、1983年、J66−C、1号、p.47 画像電子学会誌、1981年、10巻、3号、p.157 電気通信学会論文誌、1985年、J68−C、2号、p.93−100
本発明の目的は、荷電の制御が容易で、経時安定性に優れ、低電圧、高周波数での吐出性に優れ、ノズル部、配管部等インクジェット記録装置内での、顔料粒子の付着、目詰まりが起きない、吐出安定性が優れた静電方式インクジェット用インク組成物を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、下記構成により解決されることが見出された。
即ち本発明は以下の通りである。
(1)非水溶媒中、非水溶媒に不溶な被覆樹脂で被覆された樹脂被覆色材粒子、及び分散剤を含有する分散液を、該被覆樹脂のガラス転移点(Tg)以上として加熱分散処理することにより得た着色粒子をシード粒子として、一官能性重合性単量体の少なくとも一種と、重合開始剤の存在下に分散重合し、樹脂被覆着色粒子を作製することを特徴とするイン
クジェット用インク組成物の製造方法。
(2)上記(1)に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法において、分散剤が、下記一般式(1)で表される繰返し単位を主鎖に含むグラフトポリマーを含有することを特徴とするインクジェット用インク組成物の製造方法。
一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Xは、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、―OR1、−COOR1、―CON(R1)(R2)を表す。R1は炭素数1〜10の有機基、R2は水素原子または炭素数1〜10の有機基を表す。
(3)上記(1)または(2)に記載の方法によって作製した樹脂被覆着色粒子を含有することを特徴とするインクジェット用インク組成物。
本発明のインク組成物の製造方法により、色材を均一に微粒子分散し、色材粒子表面の色材を樹脂で完全に覆うことにより、荷電の制御が容易で経時安定性に優れた、低電圧、高周波数での、吐出性に優れ、ノズル部、配管部等インクジェット記録装置内での、顔料粒子の付着、目詰まりが起きない、吐出安定性が優れた静電方式インクジェット用インク組成物を提供することができる。
すなわち、分散剤を用いて非水溶媒中に分散した、被覆樹脂と色材とを含有する粒子を、該被覆樹脂のTg以上の温度で加熱分散により粒子を融合し、その後、単量体の重合により、粒子表面を更に樹脂で覆うことにより、色材のみからなる粒子、色材が表面に存在する粒子の存在が抑制され、樹脂被覆着色粒子の均一な分散が可能となり、上記諸性能に優れたインクジェット用インク組成物が得られる。
なお、分散剤として、非水溶媒中にて、被覆樹脂と色材とを含有する粒子の分散に寄与するが、色材のみからなる粒子の分散には寄与しない分散剤(色材分散性を有さない分散剤)を用いることが、インク組成物中における、色材のみからなる粒子の存在がより抑制されて好ましい。
上記一般式(1)で表される繰返し単位を主鎖に含むグラフトポリマーは、上記のような色材分散性を有しない分散剤であるとともに、分散物の加熱時の安定性が高く、被覆樹脂のTg以上の温度での加熱分散、そして、その後の重合において、安定した粒子の維持に寄与し特に好ましい。
以下に本発明について詳細に述べる。
〔非水溶媒〕
本発明で使用される非水溶媒は、比誘電率1.5〜20および表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非極性の絶縁性溶剤が好ましく、毒性の少ないこと、引火性が少ないこと、臭気が少ないものがよい。このような非水溶媒の例としては、直鎖状
もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、石油ナフサおよびこれらのハロゲン置換体等から選ばれた溶媒が挙げられる。例えばヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、エクソン社のアイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、フィリップ石油社のソルトール、出光石油化学社のIPソルベント、石油ナフサではシェル石油化学社のS.B.R.、シェルゾール70、シェルゾール71、モービル石油社のベガゾール等から選ばれた溶媒を単独あるいは混合して用いる。
好ましい炭化水素溶剤としては、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度のイソパラフィン系炭化水素が挙げられ、市販品としては前述のエクソン化学製のアイソパーG、H、L、M、V(商品名)、ノーパー12、13、15(商品名)、出光石油化学製のIPソルベント1620,2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール300、400(商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)等が挙げられる。これらの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素であり、25℃における粘度は3cSt以下、25℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、25℃における比抵抗は1010Ω・cm以上である。また、反応性が低く安定であり、低毒性で安全性が高く、臭気も少ないという特徴がある。
ハロゲン置換の炭化水素系溶媒としてフルオロカーボン系溶媒があり、例えばC716、C818などのCn2n+2で表されるパーフルオロアルカン類(住友3M社製「フロリナートPF5080」、「フロリナートPF5070」(商品名)等)、フッ素系不活性液体(住友3M社製「フロリナートFCシリーズ」(商品名)等)、フルオロカーボン類(デュポンジャパンリミテッド社製「クライトックスGPLシリーズ」(商品名)等)、フロン類(ダイキン工業株式会社製「HCFC−141b」(商品名)等)、[F(CF24CH2CH2I]、[F(CF26I]等のヨウ素化フルオロカーボン類(ダイキンファインケミカル研究所製「I−1420」、「I−1600」(商品名)等)等がある。
本発明で使用される非水溶媒として、更に高級脂肪酸エステルや、シリコーンオイルも使用できる。シリコーンオイルの具体例としては、低粘度の合成ジメチルポリシロキサンが挙げられ、市販品としては、信越シリコーン製のKF96L(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン製のSH200(商品名)等がある。
シリコーンオイルとしてはこれらの具体例に限定されるものではない。これらのジメチルポリシロキサンは、その分子量により非常に広い粘度範囲のものが入手可能であるが、1〜20cStの範囲のものを用いるのが好ましい。これらのジメチルポリシロキサンは、イソパラフィン系炭化水素同様、1010Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、高安定性、高安全性、無臭性といった特徴を有している。またこれらのジメチルポリシロキサンは、表面張力が低いことに特徴があり、18〜21mN/mの表面張力を有している。
これらの有機溶媒とともに、混合して使用できる溶媒としては、アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)およびハロゲン化炭化水素類(例えばメチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等)、等の溶媒が挙げられる。
〔色材〕
色材としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料および無機顔料、もくしは顔料を分散媒に不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。
有機顔料および無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等)、 C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、 C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、 C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
マゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、 C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、 C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、 C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、 C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、 C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、 C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
シアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、 C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、 C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
ブラック色を呈する顔料として、BK−1(アニリンブラック)の如きアニリンブラック系顔料等の有機顔料や酸化鉄顔料、およびファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料類が挙げられる。カーボンブラック顔料の具体例としては、三菱化学(株)のMA−8,MA−10,MA−11,MA−100,MA−220,#25,#40,#260,#2600,#2700B,#3230B,CF−9,MA−100R、MA−200RBや、デグサ社のプリンテックス75,90、キャボット社のモナーク800,1100などが挙げられる。また、金、銀、銅などの色再現のために金属粉も使用できる。
その他、ロジンエステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等に顔料微粒子を分散させ
た加工顔料が市販されており、これを用いてもよい。市販加工顔料の具体例としては、チバスペシャリティケミカルズ社のマイクロリス顔料等が挙げられ、好ましい加工顔料の例としては、ロジンエステル樹脂で顔料を被覆したマイクロリス−T顔料が挙げられる。
本発明において、色材(顔料)の濃度は、インク組成物の総量に対して0.5〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%の範囲であることが好ましい。色材の濃度を0.5質量%以上にすることでより十分な印字濃度が得られる。また、色材の濃度を20質量%以下にすることでインク組成物の粘度が著しく増大することなく、より安定なインク吐出が行える。
〔非水溶媒に不溶な樹脂〕
次に非水溶媒に不溶な樹脂について説明する。
上記の非水溶媒に不溶な樹脂としては、種々公知の天然もしくは合成樹脂を用いることができる。例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリル樹脂等がある。これらの樹脂に前記の顔料類を分散させる手法としては、電子写真用トナーの製造プロセスに見られるような、種々公知の方法を用いればよい。
その他、市販の樹脂で被覆された色材粒子を用いることができ、具体的には前述のロジンエステル樹脂で顔料を被覆したマイクロリス−T顔料が挙げられる。
好ましい樹脂としては、顔料に吸着し、かつ非水溶媒中によく分散する機能を有するために、溶媒に溶媒和する部分と溶媒に溶媒和しにくい部分および極性基を有する部分を持っている樹脂が好ましい。例えば、重合後に溶媒に溶媒和するモノマーとしては、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等が挙げられる。重合後に溶媒に溶媒和しにくいモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。極性基を含むモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸またはそのアルカリ塩などの酸性基モノマーと、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、ビニルラクタムなどの塩基性基モノマーが挙げられる。
〔樹脂被覆色材粒子〕
非水溶媒に不溶な樹脂により色材が被覆された粒子(樹脂被覆色材粒子)は、色材を前述の非水溶媒に不溶な樹脂(以降、単にバインダー樹脂ともいう)で被覆して着色混和物とし、該着色混和物を、好ましくは粉砕後、非水溶媒中で分散することにより形成することができる。着色混和物は例えば以下の方法で調製する。
(1)顔料等の色材とバインダー樹脂とを、バインダー樹脂の軟化点以上の温度でロールミル、バンバリミキサー、ニーダー等の混練機を用いて溶融混練し、冷却後に粉砕して着色混和物を得る方法。
(2)バインダー樹脂を溶剤に溶解し、色材材を加え、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー等で湿式分散し、溶剤を蒸発させて着色混和物を得るか、または、分散物を前記バインダー樹脂の非溶剤中に注ぎ、沈殿させて混和物を得、その後乾燥させて着色混和物を得る方法。
(3)フラッシング法で、色材の含水ペースト(ウェットケーキ)を樹脂または樹脂溶剤と共に混練し、水を樹脂または樹脂溶液で置換した後、水および溶剤を減圧乾燥して着色混和物を得る方法。
次に上記で得た着色混和物を、好ましくは乾式粉砕し、通常、体積平均粒径(平均体積
直径)として5〜1000μm、好ましくは5〜100μmの粒子とし、その後、非水溶媒中で分散剤と共に、分散液とし、非水溶媒中に樹脂被覆色材粒子を分散する。
この分散工程においては、一般的には、着色混和物100質量部に対し、分散剤を一般的には5〜100質量部、好ましくは10〜50質量部使用し、非水溶媒中、分散処理を行うものである。分散処理時の温度は、一般的には10℃以上が好ましい。
なお、分散処理時の温度は、樹脂被覆色材粒子間で熱融合を起こし、微小な色材粒子の割合を減少させる点で、色材を被覆している非水溶媒に不溶な樹脂のTg以上の温度が好ましく、前記非水溶媒に不溶な樹脂のTg+1℃〜Tg+30℃がより好ましい。
分散時間は1〜15時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
Tgの測定は、示差熱測定装置、粘弾性測定装置を用いて測定できる。
なお、色材分散性を示さない分散剤を使用することにより、顔料の微粒子の生成が抑制できる。さらに、前記非水溶媒に不溶な樹脂のTg以上の温度での分散処理によって、平均粒径が0.2μm以下の色材粒子(樹脂被覆色材粒子)間で熱融合が起こり、平均粒子径が0.3〜4μmの色材粒子(着色粒子)を得ることができる。即ち、0.2μm以下の微小な色材粒子の割合を減少でき良好な吐出安定性が得られる。
加熱分散処理時間は、1〜10時間が好ましい。
また、色材分散性を持たない分散剤の使用は、色材のみからなる微小粒子が存在しない分散物を得る点で好ましい。
分散工程で用いる分散機としては、特に制限はなく、市販の湿式分散機を使用することができる。例えば、ボールミル、サンドミル、アトライターなどであり、溶剤の蒸発を防止するため、密閉型のものが、一般に用いられている。サンドミルは、タテ型、ヨコ型があり、ディスクあるいはピンを取付けたシャフトを周速3〜15m/sで回転させることにより分散する。連続式サンドミルを数台直列に並べ、分散度に応じてメディアの径を変えて分散すると、効率よくインク組成物ができる。また、連続式サンドミルで粒子径の大きな顔料を分散する場合はプレ分散が必要になるが、この場合はプレ分散機としてディスパーザ、ボールミル、バッチ式サンドミルなどを用いる。
ヨコ型サンドミルの具体例としては、ダイノーミル、ダイノーミルECM(スイス、WAB社)、パールミル、DCP(ドイツ、ドライス社)、アジテーターミル(ドイツ、ネッチェ社)、スーパーミル(ベルギー、サスマイヤー社)、コボルミル(スイス、フリーマ社)、スパイクミル(井上製作所)等が挙げられる。
ボールミル、サンドミル用のメディアには、ジルコニア、チタニア、アルミナ、ガラス、スチール、窒化ケイ素などいろいろな材質のものを使用できる。分散液の粘度、プレ分散の度合いなどにあわせて、メディアの比重、耐磨耗性等の観点からメディアの材質は選択される。
メディア径は特に限定されるものではないが、例えば直径0.1mm〜10mm程度のものが使用できる。一般的には、メディアが大きいほど粒径分布が広くなり、小さいほど小粒径まで分散できる傾向にある。また、メディアの充填率も特に限定されるものではないが、50%〜90%のメディア充填率が好ましい。メディアの充填率と分散性能は密接な関係があり一般的に充填率を高くできれば分散効率が向上することが知られている。横型のミルの場合、たて型と比較して起動時のメディアのロック現象が全く起こらないため、ベッセル容量に対して充填率を80〜85%とするのが好ましい。
分散液の液温度の制御方法としては、特に制限はないが、例えば、分散機の周りにジャケットを設け冷水等冷媒で冷やす、または分散機の吐出側に熱交換器を設け、分散液の温度を監視し、分散液温度の変化に応じて冷媒の温度をコントロールすることで分散液の液温度を制御することができる。
分散液温度の制御方法としては、分散工程での冷媒の温度を一定に設定して目的の分散液温度に調節してもよく、また、何度かに分け分散液温度を上昇させて目的の分散液温度に調節してもよい。
着色混和物100質量部に対し分散剤を5質量部以上使用することにより、粗大粒子が生成せず、より良好な分散安定性が得られる。また、分散剤を50質量部以下にすることにより0.2μm以下の微小な色材粒子の割合を減少でき、より良好な吐出安定性が得られる。
また分散処理温度を前記非水溶媒に不溶な樹脂のTg以上にすることにより、0.2μm以下の微小な色材粒子の割合を減少でき良好な吐出安定性が得られる。
さらに好ましい分散剤の使用割合は、着色混和物100質量部に対し、5〜40質量部であり、特に好ましくは5〜30質量部である。
着色粒子の平均体積直径は、0.3〜4μmが好ましく、より好ましくは0.3〜3μmmの範囲で、特に好ましくは0.4〜2μmの範囲である。また、0.2μm以下の微小な粒子の割合は、体積基準で5%以下が好ましく、より好ましくは4%以下の範囲で、特に好ましくは3%以下の範囲である。
〔分散剤〕
分散処理工程では、樹脂被覆色材粒子を微粒子状に分散させ、かつ非水溶媒中での分散を安定化させるために分散剤を使用する。分散剤の使用方法としては、例えば次のような方法がある。
1.着色混和物と分散剤を予め混合した顔料組成物を非水溶媒中に添加して分散する;
2.非水溶媒に着色混和物と分散剤を別々に添加して分散する;
等の方法があり、これらのいずれによっても目的とする効果が得られる。
本発明では、分散剤として、公知の分散剤を使用することができ、例えは、非水溶媒中で適用される一般の顔料用分散剤が使用できる。
本発明においては、特に非水溶媒中で色材分散性を有しない分散剤を使用することが好ましい。
「色材分散性を有しない分散剤」とは、非水溶媒中、表面に樹脂を有する色材(樹脂被覆色材粒子)の分散に寄与するが、色材のみからなる粒子の分散には寄与しない分散剤であり、より具体的には、非水溶媒、色材、分散剤を含有する系において、非水溶媒に、体積平均粒径が小さい(例えば0.5μm以下)色材粒子を分散安定化させない性質を有する分散剤であり、例えば、以下の方法により評価することができる。
色材1質量部、分散剤0.2〜2質量部を、非水溶媒中の色材濃度5〜50質量%の範囲内の条件下において、前記の分散機を使用して、体積平均粒径0.5μm以下の色材粒子を得ることができないような分散剤を意味する。
好ましくは、色材1質量部に対して、分散剤0.5質量部、非水溶媒10質量部、メディアとしてガラスビーズ35質量部を用い、分散機としてはペイントシェイカー、ダイノミルを用いる。分散条件としては、1〜6時間行い、分散過程での体積平均粒径を評価する。本発明の分散剤は、0.5μm以下の色材粒子を得ることができない分散剤を意味する。
このような分散剤の具体例としては、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等)、ポリエチレ
ングリコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等)、脂肪族ジエタノールアミド系などのノニオン系界面活性剤、および高分子系分散剤としては、分子量1000以上の高分子化合物がよく、例えば、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製のウレタン系高分子化合物)、EFKA−47、LP−4050(EFKA社製のウレタン系分散剤)、ソルスパース24000(ゼネカ社製のポリエステル系高分子化合物)、ソルスパース17000(ゼネカ社の脂肪族ジエタノールアミド系)等が挙げられる。
高分子系分散剤としては上記の他に更に、溶媒に溶媒和するラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等のモノマーと、溶媒に溶媒和しにくいメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等のモノマーおよび極性基を有する部分からなるランダム共重合体、あるいは特開平3−188469号公報に開示されているグラフト共重合体が挙げられる。上述の極性基を含むモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸またはそのアルカリ塩などの酸性基モノマーと、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、ビニルラクタムなどの塩基性基モノマーが挙げられる。また、この他にはスチレン―ブタジエン共重合体、特開昭60−10263号公報に開示されているスチレンと長鎖アルキルメタクリレートのブロック共重合体、特開平6−95436号公報に開示されているブロック共重合体等が挙げられる。また、特開平4−350669号公報や特開平5−188657号公報で開示されているグラフト共重合体や、特開平11−43638号公報に開示されているグラフト基含有の非水溶媒に可溶性のランダム共重合体、特開平10−316917号公報に開示されている部分架橋重合体、特開平10−316920号公報に開示されている主鎖末端にグラフト基含有の部分架橋重合体などが顔料分散剤として挙げられる。好ましい顔料用分散剤としては、特開平3−188469号、特開平4−350669号、特開平5−188657号各公報に開示されているグラフト共重合体等が挙げられる。しかしながら、顔料分散剤としてはこれらに限定されるものではない。
色材分散性を有しない分散剤として、さらには分散物の加熱時の安定性が高いという点で、一般式(1)で表される繰返し単位を主鎖に含むグラフトポリマーが好ましい。
上記一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Xは、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、―OR1、−COOR1、―CONR12を表す。R1は炭素数1〜10の有機基、R2は水素原子または炭素数1〜10の有機基を表す。
1及びR2の有機基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基等)、または、アリール基(フェニル基、トリル基等)を挙げることができる。
上記グラフトポリマーとして、特に、下記一般式(1)で表される構造単位と、一般式(2)で表される構成単位を少なくとも含有する質量平均分子量1000以上のポリマーが好ましい。該ポリマーの質量平均分子量は1000〜200000が好ましく、10000〜100000がより好ましい。
当該グラフトポリマーは、上記一般式(1)で表される繰返し単位を主鎖に有することが好ましい。
上記一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Xは、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、―OR1、−COOR1、―CONR12を表す。R1は炭素数1〜10の有機基、R2は水素原子または炭素数1〜10の有機基を表す。
一般式(2)中、
21及びR22は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子またはメチル基を示す。
21は、単結合または、C、H、N、O、S、Pより選ばれた2種以上の原子よりなる総原子数が50個以下の2価の連結基を示す。
Gは、下記一般式(3)で示される構成単位を少なくとも含む質量平均分子量が500以上のポリマー成分、または、質量平均分子量500以上のポリジメチルシロキサン基を示す。
一般式(3)中、
31およびR32は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子またはメチル基を示す。
33は、水素原子または、置換基を有していてもよい炭素数1から30の炭化水素基を示す。R33の炭化水素基中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、カーバメート
結合、アミノ基、ヒドロキシル基、または、ハロゲン置換基を含んでいても良い。
31は、単結合または、C、H、N、O、S、Pより選ばれた2種以上の原子よりなる総原子数が50個以下の2価の連結基を示す。
本発明において好適に用いる一般式(1)で表される構成単位と一般式(2)で表される構成単位とを少なくとも含有するグラフトポリマーは、一般式(1)に対応するラジカル重合性モノマーと一般式(2)に対応するラジカル重合性マクロモノマーとを、公知のラジカル重合開始剤を用いて、重合することにより得ることができる。ここで一般式(1)に対応するモノマーとは、下記一般式(1M)で示されるモノマーであり、一般式(2)に対応するマクロモノマーとは、下記一般式(2M)で示されるマクロモノマーである。
尚、一般式(1M)及び(2M)中の各記号は、一般式(1)及び(2)におけるものと同じ意味である。
一般式(2M)で表されるマクロモノマーは、一般式(3)に対応する下記一般式(3M)のラジカル重合性モノマーを、必要に応じて連鎖移動剤存在下で重合し、得られたポリマーの末端にラジカル重合性官能基を導入することにより得られる末端にラジカル重合性官能基を有するポリマーである。
なお、一般式(2M)で表されるマクロモノマーの質量平均分子量は500〜500,000の範囲内であり、かつ多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜7.0の範囲内であるマクロモノマーが好ましい。また、一般式(2M)で表されるマクロモノマーは、末端にラジカル重合性官能基を有するポリジメチルシロキサンであってもよい。
尚、一般式(3M)中の各記号は、一般式(3)におけるものと同じ意味である。
一般式(3M)で表されるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、及び、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等のスチレン類、1−ブテン等の炭化水素類、及び酢酸ビニル類、ビニルエーテル類、ビニルピリジン類等が挙げられる。
グラフトポリマー主鎖部分は、前記非水溶媒に不溶である。グラフト主鎖には、その他のラジカル重合性モノマーを共重合することができる。主鎖中の前記一般式(1)で表される繰返し単位の割合は、1〜100モル%、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは、75〜100モル%である。
本発明に用いるグラフトポリマーは、一般式(1)および(2)で示される構成単位のみを有していてもよいが、他の構成成分を含有していても良い。他の構成単位を共重合させることができるラジカル重合性モノマーとしては、例えば下記一般式(4M)のモノマーが挙げられる。
一般式(4M)中、
41、R42は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子またはメチル基を示す。
43は、水素原子または、置換基を有していてもよい炭素数1から30の炭化水素基を示す。R43の炭化水素基中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、カーバメート結合、アミノ基、ヒドロキシル基、または、ハロゲン置換基を含んでいても良い。
41は、単結合または、C、H、N、O、S、Pより選ばれた2種以上の原子よりなる総原子数が50個以下の2価の連結基を示す。
一般式(4M)で表されるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、及び、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等のスチレン類、1−ブテン等の炭化水素類、及び酢酸ビニル類、ビニルエーテル類、ビニルピリジン類等が挙げられる。
分散処理工程で使用する分散剤の使用量は、着色混和物100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、より好ましくは5〜40質量部、特に好ましくは5〜30質量部である。分散剤の添加量が5質量部以上とすることで色材分散効果が充分発現し、50質量部以下とすることで微小粒子の割合をより減少させることができる。
以下に本発明のグラフトポリマーの好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
〔一官能性重合性単量体(M)を添加して分散重合〕
本発明の製造方法においては、前述のようにして非水溶媒中に分散した着色粒子を、シード粒子として、一官能性重合性単量体(M)を加えた重合系を、重合開始剤の存在下に重合させることにより、色材を内包した樹脂被覆着色粒子を得る。
一官能性重合性単量体(M)は、該非水溶媒に可溶であるが重合することによって該非水溶媒に不溶性となる重合性単量体であることが好ましい。
一官能性重合性単量体(M)として、例えば、下記一般式(MI)で表される重合性単
量体(MI)が挙げられる。
一般式(MI)中、X1は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO2−、−CON(Z1)−、−SO2N(Z1)−、またはフェニレン基(以下、フェニレン基を「−Ph−」と記載することもある。なお、フェニレン基は1,2−、1,3−および1,4−フェニレン基を包含する。)を表す。ここでZ1は、水素原子または炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。
1は水素原子または炭素数1〜6の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−エトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、2−カルボキシアミドエチル基、3−スルホアミドプロピル基、2−N−メチルカルボキシアミドエチル基、シクロペンチル基、クロロシクロヘキシル基、ジクロロヘキシル基等)を表す。
1およびa2は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基等)、−COO−L1または−CH2−COO−L1ここでL1は水素原子、または置換されてもよい炭素数10以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基等を表す)を表す。
重合性単量体(MI)の具体例としては、例えば、炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、モノクロロ酢酸、トリフロロプロピオン酸等)のビニルエステル類あるいはアリルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜4の置換されてもよいアルキルエステル類またはアミド類(アルキル基として例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−カルボキシエチル基、4−カルボキシブチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カルボキシアミドエチル基等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、メトキシメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、p175〜184、培風舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
一官能性重合性単量体(M)は、上記の中から少なくとも一種以上選択されたモノマーであることが好ましい。
なお、共重合可能な他の単量体を併用してもよい。
〔塩基性単量体(B)〕
他の単量体としては、例えば、一般式−N(R3)(R4)で示されるアミノ基を含有する、塩基性の単量体(B)を挙げることができる。
共重合成分としてアミノ基含有の塩基性単量体(B)を用いることで、着色樹脂粒子の表面が正荷電を発現し、非水系溶媒中に分散された粒子の分散安定性が向上する。これは粒子同志の近接時の荷電反発効果によるものと推測される。
上記一般式−N(R3)(R4)において、R3及びR4は、各々同じでも異なってもよく、好ましくは水素原子又は炭素数1〜22の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレイル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)または炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
また、R3及びR4は環を形成しても良く、具体的には、ヘテロ原子(例えば酸素原子、窒素原子、イオウ原子等)を含有してもよい環形成の有機残基を表す。形成される環状アミノ基としては、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジニル基、イミダゾリル基、キノリル基等が挙げられる。これらのアミノ基は、塩基性単量体の分子中に複数個含有されていてもよい。
塩基性単量体(B)は、重合性単量体(M)の総量に対して、好ましくは1〜45質量%、より好ましくは3〜30質量%で用いる。
以下に、塩基性単量体(B)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
〔酸性単量体(A)〕
また、共重合可能な他の単量体として、−PO32基、−SO3H基及び−SO2H基から選ばれる少なくとも1つの酸性基を含有する酸性単量体(A)を挙げことができる。
酸性単量体(A)は、分子中に複数個の上記酸性基を含有してもよい。共重合成分として酸性単量体(A)を用いることにより、着色樹脂粒子の表面が負荷電に発現する事ができ、非水系溶媒中に分散された粒子の分散安定性が向上する。
酸性単量体(A)は、重合性単量体(M)の総量に対して、好ましくは1〜45質量%、より好ましくは3〜30質量%で用いる。
以下に、酸性単量体(A)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない(但し下記具体例中、Yは−SO3H基、−SO2H基、−PO32、または−OPO32基を表す)。
〔長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)〕
更に単量体として、長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)を併用することができる。長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)を用いることにより、着色樹脂粒子の分散安定性、再分散性が更に向上する。これは単量体(L)に対応する共重合成分が、溶媒との親媒和性が高いことで粒子表面部分に配向し、そのことで粒子自身の表面の溶媒との親媒和性が高まり、粒子同志の凝集・沈殿を抑制するためと推定される。
ここで、長鎖の脂肪族基は炭素数7以上の脂肪族基であることが好ましい。具体例としては、総炭素数10〜32の脂肪族基(脂肪族基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基等の置換基を含有していてもよく、または酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のヘテロ原子でその主鎖の炭素−炭素結合が介されてもよい)を有するアクリル酸、α−フルオロアクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸の如き不飽和カルボン酸のエステル類(脂肪族基として、例えばデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オレイル基、リノレイル基、ドコセニル基等が挙げられる);上記不飽和カルボン酸のアミド類(脂肪族基として、上記エステル類で示したと同様のものが挙げられる);高級脂肪酸のビニルエステル類あるいはアリルエステル類(高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、べヘン酸等が挙げられる);及び総炭素数8〜32の脂肪族基が酸素原子に結合したビニルエーテル類(脂肪族基としては、上記の不飽和カルボン酸エステル類で例示した脂肪族基と同じものが挙げられる)等を挙げることができる。
単量体(L)を用いる場合の使用量は、重合性単量体(M)の総量中、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
〔重合開始剤〕
色材を内包した樹脂被覆着色粒子を製造するには、非水溶媒中に、分散させた着色粒子をシード粒子とした中で、一官能性重合性単量体(M)の少なくとも1種を含有する重合系を、過酸化ベンゾイル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル又はブチルリチウム等の重合開始剤の存在下に重合させればよい。また、必要に応じ前記分散剤を添加しても良い。
具体的には、非水溶媒中に、分散剤を用い、被覆樹脂及び色材を含有する樹脂被覆色材粒子の、加熱分散処理によって得られた着色粒子を、シード粒子とした非水溶媒中に、重合性単量体と重合開始剤とを加える方法としては、
(1)重合性単量体と重合開始剤とを非水溶媒中に混合溶解した溶液を滴下する方法、又は一括もしくは分割して添加する方法、
(2)重合性単量体と分散剤と重合開始剤とを非水溶媒中に混合溶解した溶液を滴下する方法、又は一括もしくは分割して添加する方法、
(3)非水溶媒中に分散させた樹脂被覆色材粒子に対し、分散化剤を溶解した溶液を加え、次に重合性単量体と重合開始剤とを滴下、又は一括もしくは分割して添加する方法、
(4)非水溶媒中に分散させた樹脂被覆色材粒子に対し、重合性単量体及び重合開始剤を非水溶媒中に混合溶解した溶液の一部を加え分散重合させた後に、残りの重合性単量体、及び重合開始剤の混合物を任意に添加する方法、
(5)非水溶媒中に分散させた樹脂被覆色材粒子に対し、重合性単量体、分散剤及び重合開始剤を非水溶媒中に混合溶解した溶液の一部を加え分散重合させた後に、残りの重合性単量体、分散剤及び重合開始剤の混合物を任意に添加する方法、
(6)非水溶媒中に分散させた樹脂被覆色材粒子に対し、重合性単量体の一部を加えてシード粒子へのモノマー吸収を促進させ、次に残りの重合性単量体及び重合開始剤を滴下、又は一括もしくは分割して添加する方法、
(7)非水溶媒中に分散させた樹脂被覆色材粒子に対し、重合性単量体の一部を加えてシード粒子への単量体の吸収を促進させ、次に残りの重合性単量体、分散剤及び重合開始剤を滴下、又は一括もしくは分割して添加する方法等が挙げられ、いずれの方法を用いても製造することができる。
上記重合系において、シード粒子と、重合性単量体(M)の総量{すなわち、単量体(MI)、(B)、(A)及び(L)などの総量}との使用割合(質量比)は、5/95〜95/5が好ましく、より好ましくは10/90〜80/20である。
重合性単量体の総量の仕込み量は、一般的には、非水溶媒100質量部に対して5〜80質量部程度であり、好ましくは10〜50質量部である。可溶性又はコロイド状に分散している分散剤は、一般的には、上記で用いる全単量体100質量部に対して1〜100質量部であり、好ましくは3〜50質量部である。
重合開始剤の量は、全単量体の0.1〜5モル%が一般的である。また、重合温度は一般的には20〜180℃程度であり、好ましくは30〜120℃である。反応時間は1〜15時間が好ましい。
上記のよう重合を行い、樹脂被覆着色粒子の平均体積直径を0.2〜5μmとすることが好ましく、0.5〜2μmとすることがより好ましい。
反応に用いた非水溶媒中に、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が残存する場合、及び前記したアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性溶媒を併用した場合、あるいは重合造粒化される単量体の未反応物が残存する場合、該溶媒あるいは単量体の沸点以上に加温して留去するか、又は減圧留去することによって除くことが好ましい。
以上のようにして製造された、表面が重合により形成された樹脂で覆われた樹脂被覆着色粒子は、色材が均一に微粒子分散され、粒子表面がポリマーで覆われており、荷電安定性、粒子再分散性に優れ、ノズル部等での目詰まりが起きない吐出安定性の高いインクジェットプリンタ用油性インクを提供することができる。また、記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れており、且つ高度の耐擦過性を有する。
更に、非水系溶媒中で均一に微粒子分散された色材粒子(樹脂被覆着色粒子)を容易に得ることができ、荷電極性の制御、荷電の経時安定性に優れたインクジェットプリンタ用油性インク、及びその安価な製造方法を提供するものである。また、重合性単量体を適切に選択することにより、容易に、定着性、荷電性などの機能を色材粒子に導入することができる。
[荷電調整剤]
樹脂被覆着色粒子の荷電量を制御するために、インク組成物には、荷電調整剤を添加することが好ましい。
好適な荷電調整剤としては、ナフテン酸ジルコニウム塩、オクテン酸ジルコニウム塩等の有機カルボン酸の金属塩、ステアリン酸テトラメチルアンモニム塩等の有機カルボン酸のアンモニム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸マグネシウム塩等の有機スルホン酸の金属塩、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機スルホン酸のアンモニウム塩、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーをアミンで変性したカルボン酸基を含有するポリマー等の側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、メタクリル酸ステアリルとメタクリル酸のテトラメチルアンモニウム塩の共重合体等の側鎖にカルボン酸アニオン基を有するポリマー、スチレンとビニルピリジンの共重合体等の側鎖に窒素原子を有するポリマー、メタクリル酸ブチルとN−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムトシラート塩との共重合体等の側鎖にアンモニウム基を有するポリマー等が挙げられる。中でも、本発明においては、長時間安定性した荷電を保持する観点から、ポリマーの荷電調整剤を用いることが好ましい。なお、粒子に付与される荷電は、正荷電であっても負荷電であっても良い。
インク組成物全体に対する荷電調整剤の含有量は、0.0001〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.001〜5質量%がより好ましい。この範囲内において、吐出に必要な粒子の荷電量が充足され、また荷電量が適度となる。
[その他の成分]
本発明においては、さらに、腐敗防止のために防腐剤や、表面張力を制御するための界面活性剤等を目的に応じて含有することができる。
[インク組成物の物性値]
以上のようにして作製したインク組成物を、インクジェット記録方式により、被記録媒体へ記録するが、長時間のインクジェット記録において常に安定してインク滴を吐出するため、本発明の製造方法により、下記条件(A)〜(D)のすべてを満足するインク組成物とすることが好ましい。
以下、荷電粒子は、前述の樹脂被覆着色粒子が相当する。
(A)インク組成物の20℃での電気伝導度が、10nS/m〜300nS/mの範囲内である。
(B)荷電粒子の電気伝導度が、インク組成物の電気伝導度の50%以上である。
(C)荷電粒子の平均体積直径が、0.2〜5.0μmの範囲内である。
(D)インク組成物の20℃での粘度が、0.5〜5mPa・sの範囲内である。
インク組成物の20℃での電気伝導度は、10nS/m〜300nS/mの範囲内であることが好ましい。インク滴の吐出の点で10nS/m以上が好ましく、インクジェット
装置のヘッド(吐出部)における導通、ヘッドの損傷防止の点で300nS/m以下が好ましい。さらに好ましくは、30nS/m〜200nS/mである。
粒子の電気伝導度は、インク組成物を遠心沈降し、粒子を沈降させた上澄み液の電気伝導度を測定し、インク組成物の電気伝導度から差し引いた値である。
本発明では、粒子の電気伝導度が、インク組成物の電気伝導度の50%以上であることが好ましい。静電界を利用したインクジェット記録方式では、インク滴が吐出する際、荷電粒子の濃縮が起こり、これにより被記録媒体に記録された際インクのにじみが発生する場合があるが、これを防止する点から50%以上が好ましい。さらに好ましくは60%以上である。
また、粒子の荷電量は、5〜200μC/gの範囲が好ましい。荷電量が5μC/g以上の場合に、濃縮が十分であり、また、過度の濃縮なく、ヘッド吐出口でのインクの詰まりを防止する点で200μC/g以下が好ましい。より好ましくは10〜150μC/g、更に好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
粒子の平均体積直径は、例えば、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA−700(堀場製作所(株)製)等の装置を用い、遠心沈降法により測定できる。荷電粒子の平均体積直径が、0.2〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。0.2μm以上の場合、粒子の濃縮が十分となり、結果として、非記録媒体に記録された際、インクのにじみが防止できる。また、5.0μm以下の場合、ヘッド吐出口の詰まりの問題が生じない。さらに好ましくは、0.5〜2.0μmである。粒度分布は、狭く均一なほうが好ましい。
本発明では、インク組成物の粘度が、0.5〜5mPa・sの範囲内であることが好ましい。粘度が0.5mPa・s以上の場合には、ヘッドのインク吐出口からインク組成物が液だれしてしまうという問題が生じず、また、5mPa・s以下の場合に、インク滴の吐出が良好である。さらに好ましくは、0.8〜4mPa・sの範囲内である。
また、インク組成物の表面張力は、10〜70mN/mの範囲内であることが好ましい。表面張力が10mN/m以上の場合に、ヘッドのインク吐出口からインク組成物が液だれしてしまうという問題が生じず、また、70mN/m以下の場合に、インク滴の吐出が良好である。さらに好ましくは、15〜50mN/mの範囲である。
[インクジェット記録装置]
以上に記述したインク組成物を、インクジェット記録方式により、被記録媒体へ記録するが、本発明においては、静電界を利用したインクジェット記録方式を用いることが好ましい。静電界を利用するインクジェット記録方式は、制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、インク組成物の荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から記録媒体へ飛翔させる方式である。制御電極と背面電極間に印加する電圧は、例えば荷電粒子が正の場合、制御電極が正極であり背面電極が負極となる。背面電極へ電圧を印加する代わりに被記録媒体に帯電を行っても同様の効果が得られる。
インクを飛翔させる方式として、例えば、注射針のようなニードル状の先端からインクを飛翔させる方式があり、本発明のインク組成物を用いることで、短時間の記録が可能である。
一方、吐出開口を有するインク室内にインクが循環されており、吐出開口周縁に形成された制御電極に電圧を印加することによって吐出開口中に存在し、先端が被記録媒体側に向いたインクガイド先端から濃縮されたインク滴が飛翔する方法では、インクの循環による荷電粒子の補給と、吐出位置のメニスカス安定性を両立することができるため、長期間安定に記録を行うことができる。さらに本方式ではインクが外気と接する部分が吐出開口部だけと非常に少ないため、溶媒の蒸発を抑え、インク物性が安定化するため、本発明において好適に使用することができる。
本発明のインク組成物を適用するに適したインクジェット記録装置の構成例を以下に示す。
まずは、図1に示す記録媒体に片面4色印刷を行う装置の概要について説明する。
図1に示されるインクジェット記録装置1は、フルカラー画像形成を行うための4色分の吐出ヘッド2C、2M、2Y及び2Kから構成される吐出ヘッド2にインクを供給し、さらに吐出ヘッド2からインクを回収するインク循環系3、図示されないコンピュータ、RIP等の外部機器からの出力により吐出ヘッド2を駆動させるヘッドドライバ4、位置制御手段5を備える。またインクジェット記録装置1は、3つのローラ6A、6B、6Cに張架された搬送ベルト7、搬送ベルト7の幅方向の位置を検知可能な光学センサなどで構成された搬送ベルト位置検知手段8、記録媒体Pを搬送ベルト上に保持するための静電吸着手段9、画像形成終了後に記録媒体Pを搬送ベルト7から剥離するための除電手段10及び力学的手段11を備える。搬送ベルト7の上流、下流には、記録媒体Pを図示されないストッカーから搬送ベルト7に供給するフィードローラ12及びガイド13、剥離後の記録媒体Pへインクを定着させると共に図示されない排紙ストッカーに搬送する定着手段14及びガイド15が配置されている。またインクジェット印刷装置1の内部には、搬送ベルト7を挟んで吐出ヘッド2に対向する位置には、記録媒体位置検出手段16を有し、さらにインク組成物から発生する溶媒蒸気を回収するための排出ファン17及び溶媒蒸気吸着材18からなる溶媒回収部が配置され、装置内部の蒸気は該回収部を通って装置外部に排出される。
フィードローラ12は公知のローラが使用でき、記録媒体に対するフィード能力が高まるように配置される。また記録媒体P上には垢・紙粉等が付着していることがあるため、それらの除去を行うことが望ましい。フィードローラによって供給された記録媒体Pは、ガイド13を経て、搬送ベルト7に搬送される。搬送ベルト7の裏面(好ましくは金属裏面)はローラ6Aを介して設置されている。搬送された記録媒体は、静電吸着手段9により搬送ベルト上に静電吸着される。図1では、負の高圧電源に接続されたスコロトロン帯電器により静電吸着がなされる。静電吸着手段9により、記録媒体9が搬送ベルト7上に浮き無く静電吸着されると共に、記録媒体表面を均一帯電する。ここでは静電吸着手段を記録媒体の帯電手段としても利用しているが、別途設けてもよい。帯電された記録媒体Pは、搬送ベルト7によって吐出ヘッド部まで搬送され、帯電電位をバイアスとして記録信号電圧を重畳することにより静電インクジェット画像形成がなされる。画像形成された記録媒体Pは、除電手段10により除電され、力学的手段11により搬送ベルト7により剥離されて定着部へ搬送される。剥離された記録媒体Pは、画像定着手段14に送られ、定着がなされる。定着された記録媒体Pは、ガイド15を通って図示されない排紙ストッカーに排紙される。また、該装置は、インク組成物から発生する溶媒蒸気の回収手段を有する。回収手段は溶媒蒸気吸収材18からなり、排気ファン17により機内の溶媒蒸気を含む気体が吸着材に導入され、蒸気が吸着回収された後、機外に排気される。該装置は、上記例に限定されず、ローラ、帯電器等の構成デバイスの数、形状、相対配置、帯電極性等は任意に選べる。また上記システムでは4色描画について記述しているが、淡色インクや特色インクと組み合わせて、より多色のシステムとしてもよい。
上記インクジェット印刷方法に使用されるインクジェット記録装置は、吐出ヘッド2、インク循環系3からなり、インク循環系3は、さらにインクタンク、インク循環装置、インク濃度制御装置、インク温度管理装置等を有し、インクタンク内には撹拌装置を含んでいてもよい。
吐出ヘッド2としては、シングルチャンネルヘッド、マルチチャンネルヘッド、又はフルラインヘッドを使うことができ、搬送ベルト7の回転により主走査を行う。
本発明で好適に使用されるインクジェットヘッドは、インク流路内での荷電粒子を電気
泳動させて開口付近のインク濃度を増加させ、吐出を行うインクジェット方法であり、主に記録媒体又は記録媒体背面に配置された対向電極に起因する静電吸引力によりインク滴の吐出を行うものである。従って、記録媒体又は対向電極がヘッドに対向していない場合や、ヘッドと対向する位置にあっても記録媒体又は対向電極に電圧が印加されていない場合には、誤って吐出電極に電圧が印加された場合や振動が与えられた場合でもインク滴の吐出は起こらず、装置内を汚すことはない。
上記インクジェット装置に好適に使用される吐出ヘッドを図2及び図3に示す。図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド70は、一方向のインク流Qが形成されるインク流路72の上壁を構成する電気絶縁性の基板74と、インクを記録媒体Pへ向けて吐出する複数の吐出部76とを有する。吐出部76には、いずれもインク流路72から飛翔するインク滴Gを記録媒体Pへ向けて案内するインクガイド部78が設けられ、基板74には、インクガイド部78がそれぞれ挿通する開口75が形成されており、インクガイド部78と開口75の内壁面との間にはインクメニスカス42が形成されている。インクガイド部78と記録媒体Pとのギャップdは200μm〜1000μm程度であることが好ましい。また、インクガイド部78は、下端側で支持棒部40に固定されている。
基板74は、2つの吐出電極を所定間隔で離して電気的に絶縁している絶縁層44と、絶縁層44の上側に形成された第1吐出電極46と、第1吐出電極46を覆う絶縁層48と、絶縁層48の上側に形成されたガード電極50と、ガード電極50を覆う絶縁層52とを有する。また、基板74は、絶縁層44の下側に形成された第2吐出電極56と、第2吐出電極56を覆う絶縁層58とを有する。ガード電極50は、第1吐出電極46や第2吐出電極56に印加された電圧によって隣接する吐出部に電界上の影響が生じることを防止するために設けられる。
更に、インクジェットヘッド70には、インク流路72の底面を構成すると共に、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加されたパルス状の吐出電圧によって定常的に生じる誘導電圧により、インク流路72内の正に帯電したインク粒子(荷電粒子)Rを上方へ向けて(すなわち記録媒体側に向けて)泳動させる浮遊導電板62が電気的浮遊状態で設けられている。また、浮遊導電板62の表面には、電気絶縁性である被覆膜64が形成されており、インクへの電荷注入等によりインクの物性や成分が不安定化することを防止する。絶縁性被覆膜の電気抵抗は、1012Ω・cm以上が好ましく、より望ましくは1013Ω・cm以上である。また、絶縁性被覆膜はインクに対して耐腐食性であることが望ましく、これにより、浮遊導電板62がインクに腐食されることが防止される。また、浮遊導電板62は下方から絶縁部材66で覆われており、このような構成により、浮遊導電板62は完全に電気的絶縁状態にされている。
浮遊導電板62は、ヘッド1ユニットにつき1個以上である(例えば、C、M、Y、Kの4つのヘッドがあった場合、浮遊導電板数は最低各1個ずつ有し、CとMのヘッドユニット間で共通の浮遊導電板とすることはない)。
図3に示すように、インクジェットヘッド70からインクを飛翔させて記録媒体Pに記録するには、インク流路72内のインクを循環させることによりインク流Qを発生させた状態にし、ガード電極50に所定の電圧(例えば+100V)を印加する。更に、インクガイド部78に案内されて開口75から飛翔したインク滴G中の正の荷電粒子Rが記録媒体Pにまで引きつけられるような飛翔電界が、第1吐出電極46及び第2吐出電極56と、記録媒体Pとの間に形成されるように、第1吐出電極46、第2吐出電極56及び記録媒体Pに正電圧を印加する(ギャップdが500μmである場合に、1kV〜3.0kV程度の電位差を形成することを目安とする)。
この状態で、画像信号に応じて第1吐出電極46及び第2吐出電極56にパルス電圧を印加すると、荷電粒子濃度が高められたインク滴Gが開口75から吐出する(例えば、初期の荷電粒子濃度が3〜15%である場合、インク滴Gの荷電粒子濃度が30%以上になる)。
その際、第1吐出電極46と第2吐出電極56の両者にパルス電圧が印加された場合にのみインク滴Gが吐出するように、第1吐出電極46と第2吐出電極56とに印加する電圧値を調整しておく。
このように、パルス状の正電圧を印加すると、開口75からインク滴Gがインクガイド部78に案内されて飛翔し、記録媒体Pに付着すると共に、浮遊導電板62には、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加された正電圧により正の誘導電圧が発生する。第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加される電圧がパルス状であっても、この誘導電圧はほぼ定常的な電圧である。従って、浮遊導電板62及びガード電極50と、記録媒体Pとの間に形成される電界によって、インク流路72内で正に帯電している荷電粒子Rは上方へ移動する力を受け、基板74の近傍で荷電粒子Rの濃度が高くなる。図3に示すように、使用する吐出部(すなわちインク滴を吐出させるチャンネル)の個数が多い場合、吐出に必要な荷電粒子数が多くなるが、使用する第1吐出電極46及び第2吐出電極56の枚数が多くなるため、浮遊導電板62に誘起される誘導電圧は高くなり、記録媒体側へ移動する荷電粒子Rの個数も増大する。
上記では、樹脂被覆着色粒子が正荷電に帯電している例について説明したが、樹脂被覆着色粒子は負荷電に帯電されていてもよい。その場合には、上記の帯電極性は、すべて逆極性となる。
なお、本発明においては、被記録媒体へのインク吐出後、適切な加熱手段によりインクを定着することが好ましい。用いられる加熱手段としては、ヒートローラー、ヒートブロック、ベルト加熱等の接触式加熱装置、及びドライヤー、赤外線ランプ、可視光線ランプ、紫外線ランプ、温風式オーブン等の非接触式加熱装置を用いることができる。これらの加熱装置は、インクジェット記録装置と連続し、一体となっていることが好ましい。定着時の被記録媒体の温度は、定着の容易さから、40℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、定着の時間は、1マイクロ秒〜20秒の範囲内であることが好ましい。
[インク組成物の補充]
静電界を利用したインクジェット記録方式では、インク組成物中の荷電粒子が濃縮されて吐出する。したがって、長時間インクの吐出を行うと、インク組成物中の荷電粒子が減量し、インク組成物の電気伝導度が低下する。また、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度との割合が変化する。さらに、吐出の際、直径の小さな荷電粒子よりも大きな荷電粒子が優先して吐出する傾向にあるため、荷電粒子の平均体積直径が小さくなる。また、インク組成物中の固形物の含有量が変化するため、粘度も変化する。これら物性値の変化により、結果として、吐出不良を起したり、記録された画像の光学濃度の低下やインクのにじみが発生する。このため、当初インクタンクへ仕込んだインク組成物よりも、高濃度(固形分濃度が高い)のインク組成物を補充することにより、荷電粒子の減量を防止し、インク組成物の電気伝導度や、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度との割合を一定の範囲に留めることができる。また、平均体積直径や粘度も維持することができる。さらに、インク組成物の物性値を、一定の範囲内に保つことにより、インク吐出が長時間安定して均一に行われる。この際の補充は、例えば、使用しているインク液の電気伝導度や光学濃度等の物性値を検出し、不足量を算出して、機械的または人力で成されることが好ましい。また、画像データを基に使用するインク組成物の量を算出し、機械的または人力で成されてもよい。
[被記録媒体]
本発明においては、用途に応じて様々な被記録媒体を用いることができる。例えば、紙、プラスチックフィルム、金属、及び、プラスチックまたは金属がラミネートまたは蒸着された紙、金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルム等を用いれば、インクジェット記録することにより、直接印刷物を得ることができる。被記録媒体の形状は、シート状のように平面的であっても、円筒形状のように立体的であってもよい。
[定着]
本発明においては、被記録媒体へのインク吐出後、適当な加熱手段によりインクを定着することが好ましい。用いられる加熱手段としては、ヒートローラー、ヒートブロック、ベルト加熱等の接触式加熱装置および、ドライヤー、赤外線ランプ、可視光線ランプ、紫外線ランプ、温風式オーブン等の非接触式加熱装置を用いることができる。これらの加熱装置は、インクジェット記録装置と連携し、一体となっていることが好ましい。
以上記述した本発明のインク組成物を用いることにより、インク滴の吐出を長時間安定して行うことができる。さらに、上述したインクジェット記録装置を用いることにより、インクにじみがなく、かつ画像濃度の高い高画質の画像記録物を、長時間に渡って得ることができる。この効果の要因は明確ではないが、分散剤としてグラフトポリマーを用いた粒子は、インク吐出の際発生するヘッド内壁でのズリ応力や濃縮に対して、粒子凝集せず、安定して存在するためと推測できる。さらにこの要因は、本発明のグラフトポリマーが、被覆剤または色材への吸着力が高く、かつ、分散媒への溶解能力が高いことによるものと推測できる。また、インクジェット記録し定着した画像記録物(印刷物)同士を重ね合わせた際のブロッキングを防止できる。この効果の要因も明確ではないが、本発明のグラフトポリマーは、粒子に対する親和性が高く、かつ画像形成前の裏面との親和性が低いためと推測できる。
以下の実施例で、本発明のインク組成物がインクジェットプリンタ用油性インクとして有用なことを示す。インクジェットプリンタとしては、静電方式のインクジェットプリンタを例にして説明するが、これらの方式に限定されずに、ピエゾ方式、サーマル方式やNTTなどのスリットジェットに代表されるインクジェットプリンタにも適用できる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[合成例1:グラフトポリマーP−4の合成]
メタクリル酸ステアリルを、メルカプトプロピオン酸の存在下ラジカル重合させ、末端カルボン酸のポリマーを得た。次にこのポリマーをジシクロヘキシルカルボジイミドを縮合剤に用い、メタクリル酸ヒドロキシエチルと反応させることにより、末端にメタクリロイル基を有するメタクリル酸ステアリルのポリマーを得た。質量平均分子量は10000であった。これのポリマー55質量部とp−アセトキシスチレン45質量部とをラジカル重合させることにより、グラフトポリマーP−4を得た。質量平均分子量は、65000であった。
前記例示した、他のグラフトポリマーも対応するモノマーの組み合わせを変えることにより同様に合成することができる。
<色材分散性評価−1>
色材として、顔料リノールブルーFG−7350(Pigment Blue15:3東洋インキ社製)10質量部、アイソパーG80質量部、グラフトポリマーP−4をアイソパーGに加熱溶解して調液した20質量%溶液を25質量部、および3G−Xガラスビーズ350質
量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で30分間予分散した後、ダイノミルKDL型(シンマルエンタープライズ社)にて2000rpmで恒温槽NESLAB RTE7(エムエス機器(株))を用いて、分散液の液温度を30℃に制御しながら5時間湿式分散した。分散終了後、分散液中の樹脂被覆色材粒子(非水溶媒に不要な樹脂で被覆された色材)の平均体積直径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、1.3μmであった。更に分散を続けたが平均体積直径はそれ以下にはならず、色材を分散できないことがわかった。
<色材分散性評価−2>
色材として、リノールブルーFG−7350のかわりに、黒色顔料であるカーボンブラック(MA100、三菱化学(株)製)を用い、グラフトポリマーP−4の代わりにP−7を用いた他は、色材分散性評価―1と同様にして、分散を行った。平均体積直径は、1.2μmであった。更に分散を続けたが平均体積直径はそれ以下にはならず、色材を分散できないことがわかった。
<色材分散性評価−3>
顔料としてリノールブルーFG−7350のかわりに、マゼンタ顔料として、モノアゾレーキ顔料C.I.Pigment Red(57:1)(Symuler Brilliant Carmine 6B229、大日本インキ化学工業(株)製)を用い、グラフトポリマーP−4の代わりにP−11を用いた他は、色材分散性評価―1と同様にして、顔料分散を行った。体積平均粒径は、1.2μmであった。更に分散を続けたが体積平均粒径はそれ以下にはならず、顔料を分散できないことがわかった。
<色材分散性評価−4>
顔料としてリノールブルーFG−7350のかわりに、黄色顔料として、ジスアゾ顔料C.I.Pigment Yellow180(Toner Y HG、クラリアント(株)製)を用い、グラフトポリマーP−4の代わりにP−12を用いた他は、色材分散性評価―1と同様にして、顔料分散を行った。体積平均粒径は、1.3μmであった。更に分散を続けたが体積平均粒径はそれ以下にはならず、顔料を分散できないことがわかった。
[実施例1:インク組成物IJ−1]
<シード粒子の作製>
青色顔料としてリノールブルーFG−7350(Pigment Blue15:3東洋インキ社製)100質量部、樹脂としてメチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/ステアリルメタクリレート/トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート(陰イオン、p−トルエンスルホン酸イオン)共重合体(38/47/10/5(質量比)、質量平均分子量:10000、ガラス転移温度Tg:40℃)200質量部をトリオブレンダーで予備粉砕しよく混合した後に、100℃に加熱した卓上型ニーダーPBV(入江商会社製)で溶融混練(120分)した。上記の顔料混練物(着色混和物)をピンミルで粉砕した。次に粉砕した顔料混練物10質量部、アイソパーG80質量部、グラフトポリマーP−4をアイソパーGに加熱溶解して調液した20質量%溶液を12.5質量部、および3G−Xガラスビーズ350質量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で30分間予分散した後、ダイノミルKDL型(シンマルエンタープライズ社)にて2000rpmで恒温槽NESLAB RTE7(エムエス機器(株))を用いて、分散液の液温度を30℃に制御しながら4時間湿式分散し、次いで60℃に昇温して2時間湿式分散した。分散終了後、ガラスビーズをろ過により除去し、樹脂被覆色材粒子を加熱分散して形成した着色粒子の分散物PD−1を得た。分散液中の着色粒子の平均体積直径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定したところ、1.02μmであった。また、0.2μm以下の微粒子の割合は体積基準で0.2%であった。
<シード重合及びインク組成物の作製>
前記で得た分散物PD−1を40質量部、アイソパーG13質量部を、三口フラスコ中に秤取り、よく攪拌した。ついでフラスコ中に、乾燥窒素を25mL/分で送り、45分間70℃に加温した後、メタクル酸メチル1.2質量部、アクリル酸メチル1.8質量部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル0.3質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.9質量部、アイソパーG13.2質量部を溶解した溶液を、3時間にわたり滴下した。滴下終了後、同温度で1時間加熱攪拌し、シード重合を行い、室温まで冷却した。
上記のようにして、着色粒子をシード粒子として重合を行った分散液中の樹脂被覆着色粒子の平均体積直径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定したところ、1.14μmであった。また、0.2μm以下の微粒子の割合は体積基準で0.3%であった。分散液を走査電子顕微鏡にて観察し、着色粒子がポリマーによって均一に覆われていることが判明した。
上記のシード重合により得た分散物を、アイソパーGで樹脂被覆着色粒子が7.0質量%になるように希釈し、荷電調整剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を0.1質量%になるように添加し、インク組成物IJ−1を作製した。
インク組成物IJ−1の物性値は以下の通りであった。
インク組成物の20℃での電気伝導度を、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)及び液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数lkHzの条件で測定したところ、160nS/mであった。
インク組成物を、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度20℃の条件で30分間、遠心分離し荷電粒子を沈降させた後、上澄み液の電気伝導度を測定したところ、40nS/mであった。荷電粒子の電気伝導度は、1120nS/mであり、インク組成物の電気伝導度に対して75%であった。また、荷電粒子の荷電は正であった。
インク組成物の20℃での粘度を、東京計器(株)製E型粘度計で測定したところ1.5mPa・sであった。また、インク組成物の20℃での表面張力を、協和界面科学(株)製FACE自動表面張力計で測定したところ、25mN/mであった。また、インク組成物を、45℃の条件下、2週間保存した後のインク物性に変動がなかった。
<インクジェット記録>
図1〜3に示すインクジェット記録装置のヘッドにつながるインクタンクにインク組成物IJ−1を充填した。ここでは吐出ヘッドとして図2に示すタイプの150dpi(チャンネル密度50dpiの3列千鳥配置)、833チャンネルヘッドを使用し、また定着手段として1kWのヒータを内蔵したシリコンゴム製ヒートローラを使用した。インク温度管理手段として投げ込みヒータと攪拌羽をインクタンク内に設け、インク温度は30℃に設定し、攪拌羽を30rpmで回転しながらサーモスタットで温度コントロールした。ここで攪拌羽は沈澱・凝集防止用の攪拌手段としても使用した。またインク流路を一部透明とし、それを挟んでLED発光素子と光検知素子を配置し、その出力シグナルによりインクの希釈液(アイソパーG)あるいは濃縮インク(上記インク組成物の固形分濃度を3倍に調整したもの)投入による濃度管理を行った。被記録媒体としてオフセット印刷用微コート紙を使用した。エアーポンプ吸引により被記録媒体表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを画像形成位置まで被記録媒体に近づけ、記録すべき画像データを画像データ演算制御部に伝送し、搬送ベルトの回転により被記録媒体を搬送させながら吐出ヘッドを逐次移動しながらインク組成物を吐出して2400dpiの描画解像力で画像を形成した。搬送ベルトとして、金属ベルトとポリイミドフィルムを張り合わせたものを使用し、このベルトの片端付近に搬送方向に沿ってライン状のマーカーを配置し、これを搬送ベルト位置検知手段で光学的に読みとり、位置制御手段を駆動して画像形成を行った。この際、光学的ギャップ検出装置による出力により吐出ヘッドと記録媒体の距離は0.5mmに保った。また吐出の際には被記録媒体の表面電位を−1.5kVとしておき、吐出をおこなう際には+450Vのパルス電圧を印加し(パルス巾50μsec)、15kHzの駆動周波数で画像形成を行った。画像記録後すぐに、ヒートローラーを用いて定着した。定着時のコート紙の温度は90℃であり、ヒートローラーとの接触時間は0.3秒であった。
得られた画像記録物(印刷物)は、筋ムラ、インクのにじみがなく極めて鮮明な画像であった。画像形成不良等は全く見られず、また外気温の変化、記録時間の増加によってもドット径変化等による画像劣化は全く見られず、良好な画像形成が可能であった。記録終了後は、インクジェットヘッドを保護するためにインクジェット記録装置を搬送ベルトと近接した位置から50mm退避させた。また記録終了後に10分間、ヘッドにインクの代わりにアイソパーGを供給してクリーニングした後、アイソパーGの蒸気を充満させたカバーにヘッドを格納しておくことにより、ヘッド及び、配管への顔料の付着がなく、2ヶ月間、保守作業の必要なしに、良好な画像記録物を作製できた。
[実施例2:インク組成物IJ−2]
実施例1のインク組成物IJ−1の作製において、リノールブルーFG−7350の代わりに、黒色顔料としてカーボンブラック(MA100、三菱化学(株)製)、グラフトポリマーP−4の代わりにP−7(質量平均分子量55000)を用いた他は、実施例1と同様にしてインク組成物を作製した。インク組成物中の顔料樹脂粒子の平均体積直径は、1.0μmであった。また、0.2μm以下の微粒子の割合は体積基準で0.1%であった。
実施例1と同様にしてシード重合を行った。重合後の樹脂被覆着色粒子の平均体積直径は1.13μmであった。分散液を走査電子顕微鏡にて観察し、樹脂被覆着色粒子の表面が樹脂によって均一に覆われていることを確認した。また、実施例1と同様にして、アイソパーG、荷電調整剤を添加し、インク組成物IJ−2を得た。
インク組成物IJ−2の物性値を実施例1と同様の方法、条件で測定した。得られた結果は以下の通りであった。
インク組成物の20℃での電気伝導度:150nS/m
インク組成物の上澄み液の電気伝導度:35nS/m
インク組成物の荷電粒子の電気伝導度:105nS/m(インク組成物の電気伝導度に対して70%)
荷電粒子の荷電:正
インク組成物の20℃での粘度:1.5mPa・s
インク組成物の20℃での表面張力:24mN/m
また、インク組成物を、45℃の条件下、2週間保存した後のインク物性に変動がなかった。
更に、上記インク組成物IJ−2を、実施例1と同様にして、インクジェット記録を行ったところ、得られた画像記録物(印刷物)は、筋ムラ、インクのにじみがなく極めて鮮明な画像であった。画像形成不良等は全く見られず、また外気温の変化、記録時間の増加によってもドット径変化等による画像劣化は全く見られず、良好な画像形成が可能であった。また、ヘッド及び、配管への顔料の付着がなく、2ヶ月間、保守作業の必要なしに、良好な画像記録物を作製できた。
[実施例3:インク組成物IJ−3]
実施例1のインク組成物IJ−1の作製において、リノールブルーFG−7350 の代わりに、マゼンタ顔料として、モノアゾレーキ顔料C.I.Pigment Red(57:1)(Symuler Brilliant Carmine 6B229、大日本インキ化学工業(株)製)、グラフトポリマーP−4の代わりにP−11(質量平均分子量48000)を用いたほかは、実施例1と同様にしてインク組成物を作製した。インク組成物中の顔料樹脂粒子の平均体積直径は、1.26μmであった。また、0.2μm以下の微粒子の割合は体積基準で0.3%であった。
実施例1と同様にしてシード重合を行った。重合後の樹脂被覆着色粒子の平均体積直径は1.13μmであった。分散液を走査電子顕微鏡にて観察し、顔料樹脂粒子表面がポリマーによって均一に覆われていることを確認した。また、実施例1と同様にして、アイソパーG、荷電調整剤を添加し、インク組成物IJ−3を得た。
インク組成物IJ−3の物性値を実施例1と同様の方法、条件で測定した。得られた結果は以下の通りであった。
インク組成物の20℃での電気伝導度:150nS/m
インク組成物の上澄み液の電気伝導度:45nS/m
インク組成物の荷電粒子の電気伝導度:105nS/m(インク組成物の電気伝導度に対して70%
インク組成物の20℃での粘度:1.4mPa・s
インク組成物の20℃での表面張力:23mN/m
また、インク組成物を、45℃の条件下、2週間保存した後のインク物性に変動がなかった。
更に、上記インク組成物IJ−3を、実施例1と同様にして、インクジェット記録を行ったところ、得られた画像記録物(印刷物)は、筋ムラ、インクのにじみがなく極めて鮮明な画像であった。画像形成不良等は全く見られず、また外気温の変化、記録時間の増加によってもドット径変化等による画像劣化は全く見られず、良好な画像形成が可能であった。また、ヘッド及び、配管への顔料の付着がなく、2ヶ月間、保守作業の必要なしに、良好な画像記録物を作製できた。
〔実施例4:インク組成物IJ−4〕
実施例1のインク組成物IJ−1の作製において、リノールブルーFG−7350 の代わりに、黄色顔料として、ジスアゾ顔料C.I.Pigment Yellow180(Toner Y HG、クラリアント(株)製)、グラフトポリマーP−4の代わりにP−12(質量平均分子量50000)を用いたほかは、実施例1と同様にしてインク組成物を作製した。インク組成物中の顔料樹脂粒子の平均体積直径は、1.06μmであった。また、0.2μm以下の微粒子の割合は体積基準で0.2%であった。
実施例1と同様にしてシード重合を行った。重合後の樹脂被覆着色粒子の平均体積直径は1.18μmであった。分散液を走査電子顕微鏡にて観察し、顔料樹脂粒子表面がポリマーによって均一に覆われていることを確認した。また、実施例1と同様にして、アイソパーG、荷電調整剤を添加し、インク組成物IJ−4を得た。
インク組成物IJ−4の物性値を実施例1と同様の方法、条件で測定した。得られた結果は以下の通りであった。
インク組成物の20℃での電気伝導度:150nS/m
インク組成物の上澄み液の電気伝導度:51nS/m
インク組成物の荷電粒子の電気伝導度:99nS/m(インク組成物の電気伝導度に対して66%)
荷電粒子の荷電:正
インク組成物の20℃での粘度:1.5mPa・s
インク組成物の20℃での表面張力:25mN/m
また、インク組成物を、45℃の条件下、2週間保存した後のインク物性に変動がなかった。
更に、上記インク組成物IJ−4を、実施例1と同様にして、インクジェット記録を行ったところ、得られた画像記録物(印刷物)は、筋ムラ、インクのにじみがなく極めて鮮明な画像であった。画像形成不良等は全く見られず、また外気温の変化、記録時間の増加によってもドット径変化等による画像劣化は全く見られず、良好な画像形成が可能であった。また、ヘッド及び、配管への顔料の付着がなく、2ヶ月間、保守作業の必要なしに、良好な画像記録物を作製できた。
本発明に用いるインクジェット印刷装置の一例を模式的に示す全体構成図である。 本発明のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの構成を示す斜視図である(判りやすくするために、各吐出部でのガード電極のエッジは描いていない)。 図2に示す、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が多いときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である(図2の矢視X−Xに相当)。
符号の説明
G 飛翔したインク滴
P 被記録媒体
Q インク流
R 荷電粒子
1 インクジェット記録装置
2 吐出ヘッド
3 インク循環系
4 ヘッドドライバ
5 位置制御手段
6A〜6C 搬送ベルト張架ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ベルト位置検知手段
9 静電吸着手段
10 除電手段
11 力学的手段
12 フィードローラ
13 ガイド
14 画像定着手段
15 ガイド
16 記録媒体位置検知手段
17 排出ファン
18 溶媒蒸気吸着材
38 インクガイド
40 支持棒部
42 インクメニスカス
44 絶縁層
46 第1吐出電極
48 絶縁層
50 ガード電極
52 絶縁層
56 第2吐出電極
58 絶縁層
62 浮遊導電板
64 被覆膜
66 絶縁部材
70 インクジェットヘッド
72 インク流路
74 基板
75、75A、75B 開口
76、76A、76B 吐出部
78 吐出部

Claims (3)

  1. 非水溶媒中、非水溶媒に不溶な被覆樹脂で被覆された樹脂被覆色材粒子、及び分散剤を含有する分散液を、該被覆樹脂のガラス転移点(Tg)以上として加熱分散処理することにより得た着色粒子をシード粒子として、一官能性重合性単量体の少なくとも一種と、重合開始剤の存在下に分散重合し、樹脂被覆着色粒子を作製することを特徴とするインクジェット用インク組成物の製造方法。
  2. 該分散剤が、下記一般式(1)で表される繰返し単位を主鎖に含むグラフトポリマーであることを特徴とするインクジェット用インク組成物の製造方法。
    一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Xは、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子、−OR1、−COOR1、−CON(R1)(R2)を表す。R1は炭素数1〜10の有機基、R2は水素原子または炭素数1〜10の有機基を表す。
  3. 請求項1又は2に記載の方法によって作製した樹脂被覆着色粒子を含有することを特徴とするインクジェット用インク組成物。
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