JP2001139616A - 銅化合物を用いた重合体の製造方法 - Google Patents

銅化合物を用いた重合体の製造方法

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JP2001139616A
JP2001139616A JP31981099A JP31981099A JP2001139616A JP 2001139616 A JP2001139616 A JP 2001139616A JP 31981099 A JP31981099 A JP 31981099A JP 31981099 A JP31981099 A JP 31981099A JP 2001139616 A JP2001139616 A JP 2001139616A
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Hiroyuki Hiraike
宏至 平池
Koichi Shibayama
晃一 柴山
Takeharu Morita
健晴 森田
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成が容易で、安価、安定な重合触媒及び/
又を重合開始剤として用い、ビニル系単量体の重合を容
易かつ低コストで行うことができる重合体の製造方法を
提供する。 【解決手段】 分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合
を有するビニル系単量体を重合させる重合体の製造方法
であって、触媒及び/又は重合開始剤として、一般式
(1);LCuXn + - 、又は、一般式(2);L
(L′)Cu +- で表される銅化合物(式中、L、
L′は、配位子を表し、同じであってもよい。Xは、ハ
ロゲン原子、アルコキシル基、チオキシ基、アリロキシ
基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、シア
ノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を表す。Y
は、対アニオンを表し、ホウ素化合物、アルミニウム化
合物、リン化合物、含酸素化合物、含ハロゲン化合物で
ある。nは、0〜2の整数である。)と有機金属化合物
とを用いる銅化合物を用いた重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅化合物を用いた
重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル系単量体は、従来より様々な方法
で重合されており、工業的には、ビニル系単量体にラジ
カル発生剤を添加し、高温高圧下でラジカル重合する方
法が殆どである。
【0003】最近では、分子量や分子量分布を制御可能
な重合方法として、例えば、アニオン重合、配位重合、
グループトランスファー重合等が実験室レベルで検討さ
れており、これらの重合においては、触媒等として遷移
金属錯体が用いられている。
【0004】しかしながら、この遷移金属錯体は、一般
的に多くの反応段階を経て合成されており、化学構造も
複雑である。このため、このような遷移金属錯体の合成
は容易ではなく、収率も低く、得られる遷移金属錯体は
高価なものとなってしまう結果、工業的な利用が難しか
った。
【0005】このような触媒系に用いられる遷移金属錯
体の金属については、前期遷移金属に属する4族遷移元
素のTi、Zr、Hf等が一般的に用いられている。最
近では、やや反応性は低下するものの、後期遷移金属で
ある10族遷移元素のNi、Pdなども、錯体の中心金
属として使用されている(JACS 117,No.2
3,6414(1995)等)。
【0006】また、アルミニウム等の金属ポルフィリン
錯体と有機アルミニウム化合物が使用された例がある
(特開平4−323204号公報)が、重合対象は、
(メタ)アクリル酸エステル、エポキシド、ラクトン等
の比較的極性の高いモノマーの重合に限られていた。
【0007】一方、銅を中心金属とする錯体は、安定性
に優れ、合成も容易であるという利点を有するものの、
一般的には、反応活性が低く、重合触媒としては有効な
ものでなかった。最近、本発明者らは、銅錯体を極性の
高いモノマーであるカルボジイミドの重合触媒として利
用することができ、リビング重合体を得ることができる
ことを発表している(Macromolecules
30,3159(1997))。
【0008】しかしながら、高い反応性の重合触媒を必
要とする比較的低極性のモノマーの重合については、塩
化銅等の銅塩に有機アルミニウム化合物を混合してエチ
レンの重合に適用された例がある(特公昭45−405
44号公報)ものの、この場合には、低分子量のオリゴ
マーしか得られておらず、このような重合は殆ど行われ
ていないのが現状である。
【0009】一方、2種以上のビニル系単量体を同一系
で重合させる、いわゆる共重合も、従来より様々な方法
で実現されている。ラジカル発生剤を用いた高温高圧下
での共重合や、上述したアニオン重合、配位重合、グル
ープトランスファー重合等による共重合である。
【0010】しかしながら、一般的に、これらの反応系
に用いられる重合触媒は、単独重合の場合と同じく遷移
金属錯体であり、上述のように、多くの反応段階を経て
合成されており、高価であった。
【0011】さらに、これらの重合触媒は、一般的に複
数のモノマーに対して重合活性を有しておらず、特に重
合反応性の異なる2種以上のビニル系単量体をこれらの
重合触媒を用いて共重合させることは非常に困難であっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記銅化合
物を用いた共重合体の製造方法に鑑み、合成が容易で、
安価、安定な重合触媒及び/又を重合開始剤として用
い、ビニル系単量体の重合を容易かつ低コストで行うこ
とができる重合体の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、分子内に1個
以上の炭素−炭素二重結合を有するビニル系単量体を重
合させる重合体の製造方法であって、触媒及び/又は重
合開始剤として、一般式(1);LCuXn + - 、又
は、一般式(2);L(L′)Cu +- で表される銅
化合物(式中、L、L′は、配位子を表し、同じであっ
てもよい。Xは、ハロゲン原子、アルコキシル基、チオ
キシ基、アリロキシ基、アミノ基、第2級アミノ基、第
3級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はア
リル基を表す。Yは、対アニオンを表し、ホウ素化合
物、アルミニウム化合物、リン化合物、含酸素化合物、
含ハロゲン化合物である。nは、0〜2の整数であ
る。)と有機金属化合物とを用いることを特徴とする銅
化合物を用いた重合体の製造方法を提供する。また、本
発明の重合体の製造方法においては、上記銅化合物から
なる重合触媒及び/又は重合開始剤を用いて、ビニル系
単量体の少なくとも1種が、分子内に1個以上の炭素−
炭素二重結合を有する炭化水素系オレフィン、分子内に
1個以上のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を
有するビニル系単量体、アクリロニトリルもしくはメタ
クリロニトリル及び、これらの誘導体から選ばれるもの
である重合体の製造方法を提供する。以下に、本発明を
詳述する。
【0014】本発明の重合体の製造方法においては、上
記銅化合物からなる重合触媒及び/又は重合開始剤を用
い、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有するビ
ニル単量体を重合させる。
【0015】上記分子内に1個以上の炭素−炭素二重結
合を有するビニル系単量体としては特に限定されず、例
えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−
メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン;ブタジエン
等のジエン;(メタ)アクリル酸エステルやその誘導
体;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これらは
単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0016】これらのビニル系単量体のなかでは、極性
値eの絶対値が1.5以下であるものが好ましい。上記
極性値eは、二重結合を有する化合物の二重結合部の電
子密度を表す値であり、二重結合に電子が流れ込んでい
る場合には、負の値を示し、二重結合の電子が置換基に
より引っ張られている場合には、正の値を示す(「高分
子化学の基礎」、高分子学会編、東京化学同人)。上記
極性値eの値が1.5を超えると、ビニル系単量体の極
性が高すぎるため、有機金属化合物を助触媒として使用
する銅錯体触媒の系では触媒が失活してしまい、重合反
応がスムーズに進行しなくなる場合がある。
【0017】上記極性値eの絶対値が1.5以下である
ビニル系単量体としては、例えばオレフィン、α−置換
オレフィン等が挙げられる。
【0018】上記オレフィンは、一般的に炭化水素系オ
レフィンであり、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結
合を有するものであり、例えば、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘ
プテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等の
α−オレフィン;ブタジエン等のジエンが例示できる。
【0019】上記α−置換オレフィンは、一般式CH2
=CYE(式中Yはフェニル基、置換フェニル基又はシ
アノ基を示し、Eは水素原子又はアルキル基を示す)で
表されるものであり、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、α−エチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、o−塩化スチレン、p−塩化スチレ
ン、o−臭化スチレン、p−臭化スチレン、p−ニトロ
スチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレ
ン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニ
トリル、及びこれらの誘導体等が挙げられる。なお、例
えば上記(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸
エステル、又は、メタクリル酸エステルを意味する。
【0020】上記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、一般式(8); CH2 =C(R18)COOR19・・・(8) (式中、R18は、水素原子又はメチル基を表し、R
19は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は、官
能基を含む炭化水素基を表す。)で表される化合物が挙
げられる。上記一般式(8)で表される化合物におい
て、官能基を含む炭化水素基の官能基としては、例え
ば、ハロゲン原子、アミノ基、エポキシ基等が挙げられ
る。このエポキシ基を含む炭化水素基としては、例え
ば、エーテル残基が挙げられる。
【0021】上記一般式(8)で表される(メタ)アク
リル酸エステルとしては特に限定されず、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸
イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec
−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)ア
クリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オ
クチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリ
ル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸トリスチル、
(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステア
リル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸
ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリ
ル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)
アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、(メタ)
アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、(メタ)
アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−メト
キシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、
(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸テ
トラヒドロフルオリル、(メタ)アクリル酸2,3−ジ
ブロモプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチ
ル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフロロエチ
ル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3
−トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2
−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメ
チルアミノエチル、(メタ)アクリル酸tーブチルアミ
ノエチル等が挙げられる。
【0022】本発明では、触媒及び/又は重合開始剤と
して、一般式(1);LCuXn +- 、又は、一般式
(2);L(L′)Cu +- で表される銅化合物(式
中、L、L′は、配位子を表し同じであってもよい、X
は、ハロゲン原子、アルコキシル基、チオキシ基、アリ
ロキシ基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ
基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を表
す。Yは、対アニオンを表し、ホウ素化合物、アルミニ
ウム化合物、リン化合物、含酸素化合物、含ハロゲン化
合物である。nは、0〜2の整数である。)を使用す
る。
【0023】Xは、ハロゲン原子、アルコキシル基、チ
オキシ基、アリロキシ基、アミノ基、第2級アミノ基、
第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又は
アリル基を表すが、これらのなかでは、塩素、臭素等の
ハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキ
シ基、tーブトキシ基等のアルコキシル基;ジメチルア
ミノ基、ジエチルアミノ基等の第3級アミノ基が好まし
い。
【0024】Yは、対アニオンを表し、ホウ素化合物、
アルミニウム化合物、リン化合物、含酸素化合物、含ハ
ロゲン化合物を表すが、これらのなかでは、アルミニウ
ム化合物、ホウ素化合物を用いることが好ましい。
【0025】配位子L、L′の配位の仕方としては特に
限定されないが、その構造中に存在するN、S、O、P
等の不対電子による配位、シクロペンタジエニル基によ
る配位等が挙げられ、具体的には、アミン、2級アルキ
ルアミン、3級アルキルアミンによる配位;アミジンに
よる配位(アミジナト配位子)等のN配位;アルコキ
シ、アリールオキシによる配位の場合のO配位等が挙げ
られる。これらの配位の仕方のなかでは、N原子による
配位が好ましい。
【0026】すなわち、請求項2記載の如く、上記一般
式(1)又は上記一般式(2)で表される銅化合物のう
ちの少なくとも1種は、N原子の不対電子により配位す
る配位子をその構造中に有するものであることが好まし
い。
【0027】N原子による配位を行う配位子L、L′と
しては、例えば、ビピリジン、置換ビピリジン、ビスオ
キサゾリン、置換ビスオキサゾリンが挙げられるほか、
一般式(3);
【0028】
【化6】
【0029】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれ
ぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール
基、アリル基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原
子を表す。)、一般式(4);
【0030】
【化7】
【0031】(式中、R5 及びR6 はそれぞれ独立し
て、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、アリル
基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、
7 は2価の炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部
の炭素原子が窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪
素原子で置換された官能基である。)、一般式(5);
【0032】
【化8】
【0033】(式中、R8 及びR9 はそれぞれ独立し
て、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、アリル
基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、
10は2価の炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部
の炭素原子が窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪
素原子で置換された官能基である。)、又は、一般式
(6);
【0034】
【化9】
【0035】(式中、R11及びR12はそれぞれ独立し
て、2価の炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部の
炭素原子が窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪素
原子で置換された官能基である。)
【0036】で表される各種ジイミンやN,N′−ジメ
チルアミジナト、N,N′−ジエチルアミジナト、N,
N′−ジイソプロピルアミジナト、N,N′−ジ−t−
ブチルアミジナト、N,N′−トリフルオロメチルアミ
ジナト、N,N′−ジフェニルアミジナト、N,N′−
ジフェニルアミジナト誘導体、N,N′−ジトリメチル
シリルアミジナト、N,N′−ジメチルベンズアミジナ
ト、N,N′−ジエチルベンズアミジナト、N,N′−
ジイソプロピルベンズアミジナト、N,N′−ジ−t−
ブチルベンズアミジナト、N,N′−トリフルオロメチ
ルベンズアミジナト、N,N′−ジフェニルベンズアミ
ジナト、N,N′−ジトリメチルシリルベンズアミジナ
ト、N,N′−ジフェニルベンズアミジナト誘導体等の
各種アミジンによるアミジナト配位子等が挙げられる。
上記配位子のなかでは、ジイミンやアミジナト配位子が
好ましい。
【0037】N原子による配位とO原子による配位の両
方を行う配位子としては、例えば、8−キノリノール等
が挙げられる。
【0038】また、請求項6記載の如く、一般式(1)
で表される銅化合物のうちの少なくとも1種は、下記一
般式(7);
【化10】 (式中、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ独立し
て、アルキル基、ヘテロアトム置換アルキル基、アリー
ル基、ヘテロアトム置換アリール基、アリル基、水素原
子又はハロゲン原子を表す。R17は、フェニル基又は、
フェニル基の一部の炭素原子がフッ素原子、メチル基も
しくはトリフルオロメチル基で置換された官能基であ
る。Xは、ハロゲン原子、アルコキシル基、チオキシ
基、アリロキシ基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級
アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル
基を表す。)で表される銅化合物が用いられる。
【0039】上記一般式(7)のR17は、具体的には例
えば、テトラフルオロ硼素、テトラフェニル硼素、テト
ラ(4−フルオロフェニル)硼素、テトラ(3,5−ジ
フルオロフェニル)硼素、テトラ(4−フルオロメチル
フェニル)硼素、テトラ(ペンタフルオロフェニル)硼
素、テトラ(p−トリル)硼素、テトラ(o−トリル)
硼素、テトラ(3,5−ジメチルフェニル)硼素、テト
ラ(パーフルオロフェニル)硼素などが挙げられる。
【0040】さらに、上記一般式(7)の銅化合物とし
ては、例えば、R13、R16がフェニル基、置換フェニル
基などのアリール基、アルキル基、置換アルキル基、ア
リル基であるものや、R14、R15が結合した環状炭化水
素基である各種ジイミノ配位子とX’がハロゲン原子、
アルコキシル基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ
基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、シアノ基、ニト
ロ基、アルキル基、アリル基であるもの、R17がフッ
素、フッ素置換フェニル基である銅化合物が挙げられ
る。
【0041】また、請求項3記載の如く、上記一般式
(1)で表される銅化合物中のCuに対する配位子Lの
配位数、又は、上記一般式(2)で表される銅化合物中
のCuに対する配位子LとL′との合計の配位数は、3
以下であることが好ましい。
【0042】上記一般式(1)又は上記一般式(2)で
表される銅化合物は、固体状態において、LCuXn +
- 、又は、L(L′)Cu+ - の2量体、3量体又
は複核錯体であってもよい。
【0043】これらの銅化合物が固体状態で2量体、3
量体又は複核錯体であっても、反応時の溶液中やモノマ
ー中では、単量体として存在していることが多いため、
この単量体の状態が、上記一般式(1)又は上記一般式
(2)で表される銅化合物に相当するものであれば、本
発明で用いることができる。
【0044】上記一般式(1)又は上記一般式(2)で
表される銅化合物は、安価なハロゲン化銅、例えば、塩
化銅(I)から容易に合成することができる。上記N配
位化合物である銅(II)アミジナト錯体の合成を例とし
て挙げると、例えば、塩化銅(II)無水物に当量のアミ
ジン化合物を加え、乾燥を行った有機溶媒中で数時間攪
拌することにより合成することができる。
【0045】上記一般式(1)又は上記一般式(2)で
表される銅化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。また、上記銅化合物を用いる際には、
炭化水素又はハロゲン化炭化水素で希釈して用いてもよ
い。
【0046】上記銅化合物は、粒子状担体に担持させて
用いてもよい。上記粒子状担体としては、例えば、Si
2 、Al2 3 、MgO、CaO、TiO2 、Zn
O、MgCl2 等の無機担体;ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体等の樹脂
等が挙げられる。
【0047】上記銅化合物と併用される上記有機金属化
合物としては、例えば、アルミノキサン、一般式
(9); AlR20 m 3-m ・・・・(9) (式中、R20は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、
Zは、水素、ハロゲン原子、アルコキシル基、アリロキ
シ基、シロキシ基を表す。mは、0〜3の整数であ
る。)で表される有機アルミニウム化合物、硼素原子を
有するルイス酸、硼素原子を有するイオン性化合物等が
挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0048】上記アルミノキサンは、一般式(10); R21{Al(R22)−O}p AlR23・・・(10) (式中、R21、R22、R23は、炭素数1〜10の炭化水
素基を表し、pは、2以上の整数を表す。)、又は、一
般式(11);
【0049】
【化11】
【0050】(式中、R24は、炭素数1〜10の炭化水
素基を表し、qは、2以上の整数を表す。)で表される
化合物である。
【0051】上記一般式(10)又は上記一般式(1
1)で表される化合物において、R21、R22、R23、R
24で表される炭化水素基の炭素数は、6以下であること
が好ましく、4以下であることがより好ましい。上記ア
ルミノキサンは、例えば、トリアルキルアルミニウムと
水との直接の反応や金属塩の水和物との反応により得る
ことができる。
【0052】上記一般式(9)で表される有機アルミニ
ウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウ
ム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミ
ニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルア
ルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;イソプレニ
ルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;ジメチル
アルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロラ
イド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジイソ
ブチルアルミニウムクロライド、ジオクチルアルミニウ
ムクロライド等のジアルキルアルミニウムモノクロライ
ド;メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアル
ミニウムセスキクロライド、イソプロピルアルミニウム
セスキクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロ
ライド、オクチルアルミニウムセスキクロライド等のア
ルキルアルミニウムセスキクロライド;メチルアルミニ
ウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、
イソプロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルア
ルミニウムジクロライド、オクチルアルミニウムジクロ
ライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;メトキ
シジエチルアルミニウム、ジイソプロポキシメチルアル
ミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム等のアルコ
キシル基含有アルミニウム化合物等が挙げられる。
【0053】上記硼素原子を有するルイス酸としては、
例えば、一般式(12);BR25 3(式中、R25は、フ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル等の置換基を
有してもよいフェニル基;フッ素原子を表す。)で表さ
れる化合物が挙げられる。
【0054】上記硼素原子を有するルイス酸の具体例と
しては、例えば、トリフルオロ硼素、トリフェニル硼
素、トリス(4−フルオロフェニル)硼素、トリス
(3,5−ジフルオロフェニル)硼素、トリス(4−フ
ルオロメチルフェニル)硼素、トリス(ペンタフルオロ
フェニル)硼素、トリス(p−トリル)硼素、トリス
(o−トリル)硼素、トリス(3,5−ジメチルフェニ
ル)硼素等が挙げられる。これらのなかでは、トリス
(ペンタフルオロフェニル)硼素が好ましい。
【0055】上記硼素原子を有するイオン性化合物とし
ては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,
N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウ
ム塩、トリアリールホスフォニウム塩等が挙げられる。
【0056】上記硼素原子を有するイオン性化合物の具
体例としては、例えば、トリエチルアルミニウムテトラ
(フェニル)硼素、トリプロピルアンモニウムテトラ
(フェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテ
トラ(フェニル)硼素、トリメチルアンモニウムテトラ
(p−トリル)硼素、トリメチルアンモニウムテトラ
(o−トリル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリプロピルアンモ
ニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)硼素、トリ
ブチルアンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニ
ル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフ
ルオロメチルフェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アン
モニウムテトラ(o−トリル)硼素等のトリアルキル置
換アンモニウム塩;N,N−ジメチルアニリニウムテト
ラ(フェニル)硼素、N,N−ジエチルアニリニウムテ
トラ(フェニル)硼素、N,N−2,4,6−ペンタメ
チルアニリニウムテトラ(フェニル)硼素等のN,N−
ジアルキルアニリニウム塩;ジ(1−プロピル)アンモ
ニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼素、ジシク
ロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)硼素等のジ
アルキルアンモニウム塩;トリフェニルホスフォニウム
テトラ(フェニル)硼素、トリ(ジメチルフェニル)ホ
スフォニウムテトラ(フェニル)硼素等のトリアリール
ホスフォニウム塩等が挙げられる。
【0057】また、上記イオン性化合物としては、例え
ば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボロネート、N,N−ジメチルアニリニ
ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート等が挙げられる。
【0058】さらに、上記イオン性化合物としては、例
えば、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボ
レート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカ
ボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウ
ンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウ
ム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモ
ニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブ
チル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレート、ト
リ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレー
ト、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデ
カボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カル
バドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1
−トリメチルシリル−1−カルバドデカボレート、トリ
(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカ
ボレート、ボラン及びカルボラン錯化合物;カルボラン
アニオンの塩;カルボラン及びカルボランの塩等が挙げ
られる。なお、これらのイオン性化合物において、対イ
オンは、一般例として、トリ(n−ブチル)アンモニウ
ム示しているが、これらに限定されない。
【0059】さらにまた、上記硼素原子を有するイオン
性化合物として、以下に示す金属カルボランの塩及び金
属ボランアニオンが挙げられる。すなわち、例えば、ト
リ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド
−1,3−ジカルバノナボレート)コバルテート(III)
、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハ
イドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)フェ
レート(鉄酸塩)(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニ
ウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウ
ンデカボレート)コバルテート(III) 、トリ(n−ブチ
ル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8
−ジカルバウンデカボレート)ニッケレート(III) 、ト
リ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドラ
イド−7,8−ジカルバウンデカボレート)キュプレー
ト(銅酸塩)(III) 等である。なお、これらのイオン性
化合物において、対イオンは、一般例として、トリ(n
−ブチル)アンモニウム示しているが、これらに限定さ
れない。
【0060】本発明においては、上記化合物に加え、必
要に応じて、安息香酸等の電子供与性化合物や分子中に
フェノール構造を有する化合物が添加されてもよい。こ
れらの化合物を加えると、著しく重合活性が向上するこ
とがあるからである。
【0061】上記分子中にフェノール構造を有する化合
物として、例えば、フェノール、クレゾール等の置換フ
ェノールが挙げられる。
【0062】本発明における重合のメカニズムの詳細に
ついては、明らかでないが、銅化合物が触媒及び/又は
重合開始剤として働き、銅化合物単独、銅化合物及び有
機金属化合物、ビニル系単量体(以下、モノマーともい
う)の相互活性により、モノマーの配位、挿入反応が加
速されるものと考えられる。反応の活性種としては、活
性の高い銅のカチオン種が考えられる。
【0063】上記一般式(1)又は上記一般式(2)で
表される銅化合物及び有機金属化合物の反応系への添加
時期については、ビニル系単量体の導入前、導入と同
時、導入の後のいずれであってもよいが、導入前が最も
好ましい。重合方法、重合条件は特に限定されず、連続
重合であってもよく、非連続重合であってもよい。
【0064】本発明の銅化合物を用いた重合体の製造方
法では、ビニル単量体を2種以上用いてもよい。上記の
如く2種以上のビニル系単量体を重合する場合のビニル
単量体の反応系への添加時期については、炭素数の最も
少ないものを最初に添加することが好ましく、この炭素
数の最も少ないモノマーが20重量%以上重合して消費
された後、他のモノマー添加することがより好ましい。
【0065】その理由は、炭素数の最も多い単量体を先
に添加するか、又は、全ての単量体を同時に添加する
と、炭素数の多い単量体の重合は、一般的に、低速であ
るために目的とする重合度の共重合体を得ることができ
ないからである。
【0066】また、上記添加時期については、極性の最
も小さいものを最初に添加することが好ましく、この極
性の最も小さいモノマーが20重量%以上重合して消費
された後、他のモノマー添加することがより好ましい。
【0067】その理由は、極性の最も大きい単量体を先
に添加するか、又は、全ての単量体を同時に添加する
と、触媒の周囲には、極性の大きい単量体ばかりが集ま
り、極性の大きい単量体の重合のみが早く進行してしま
い、目的とする共重合体を得ることができないからであ
る。
【0068】上記重合反応は、不活性雰囲気下にて行う
ことが好ましい。この不活性気体としては、例えば、窒
素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
【0069】重合において使用される溶媒としては、例
えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジク
ロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、
トルエン、キシレンのような炭化水素類;テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等が挙げら
れるが、本発明においては、溶媒を用いずに重合反応を
行うことも可能である。
【0070】重合温度は、用いた溶媒の融点から沸点ま
での温度範囲が好ましく、また、加圧下においては、常
圧での沸点以上の幅広い温度範囲において重合可能であ
る。例えば、室温においても、分子量分布の狭い重合体
を得ることができる。
【0071】具体的な重合温度としては、−20〜20
0℃が好ましく、0〜120℃がより好ましい。また、
具体的な重合圧力としては、大気圧〜100kgf/c
m2が好ましく、大気圧〜50kgf/cm2 がより好
ましい。
【0072】上記銅化合物の使用量は、重合容積1リッ
トル当たり、銅原子に換算して、約0.00005〜5
ミリモルが好ましく、0.0001〜1ミリモルがより
好ましい。
【0073】また、有機金属化合物の使用量ついては、
有機アルミニウム化合物の場合、銅化合物の銅原子1モ
ルに対し、アルミニウム原子が約1〜10000モルと
なる量が好ましく、2〜5000モルとなる量がより好
ましい。硼素原子を有するルイス酸又はイオン性化合物
の場合、銅化合物の銅原子1モルに対し、硼素原子が
0.1〜500モルとなる量が好ましく、1〜100モ
ルとなる量がより好ましい。
【0074】得られる重合体の分子量は、重合温度など
の条件を変更することや、公知の手段、例えば、水素を
使用することにより調節が可能である。
【0075】本発明では、上記した銅化合物(銅錯体)
を重合触媒及び/又は重合開始剤として用いることによ
り、他の遷移金属錯体系触媒を使用したときと同様に、
組成分布に優れる重合体を製造することができる。具体
的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)によるポリマーの解析において、本発明の製造方
法によって得られた重合体の分子量分布(Mw/Mn)
を求めると、1.1〜3.5と狭く、精密に制御された
重合体反応が行われていることを確認することができ
る。
【0076】(作用)上記目的を達成するために本発明
は、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有するの
ビニル系単量体を重合させる重合体の製造方法であっ
て、触媒及び/又は重合開始剤として、上記一般式
(1)又は、一般式(2)で表される銅化合物と有機金
属化合物とを用いる重合体の製造方法を採用した。本発
明における重合のメカニズムの詳細については、明らか
でないが、銅化合物が触媒及び/又は重合開始剤として
働き、銅化合物単独、銅化合物及び有機金属化合物、モ
ノマーの相互活性により、モノマーの配位、挿入反応が
加速されるものと考えられる。反応の活性種としては、
活性の高い銅のカチオン種が考えられる。そして、重合
は、銅化合物単独、銅化合物及び有機金属化合物、ビニ
ル系単量体の相互活性により、モノマーの配位、挿入反
応が加速されるものと考えられる。反応の活性種として
は、活性の高い銅のカチオン種が考えられる。本発明の
銅化合物は、銅化合物合成の反応段階が少なくてすむた
め、安価な重合触媒が得られ、空気中での安定性に優れ
るため、該銅化合物を利用した重合操作が容易に行え
る。さらに、他の銅化合物と比べ重合活性が高いため、
分子量の高い重合体が得られる。また、極性の異なるモ
ノマー間でも重合活性を有するため、重合反応性の異な
る2種以上のビニル系単量体の共重合を容易かつ低コス
トで行うことができる共重合体の製造方法を提供するこ
とができる。
【0077】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、下記の実施例において、特に記載した
もの以外は、乾燥蒸留した試薬を用いた。
【0078】(実施例1)ジイミン配位子の合成 ジムロー冷却還流管を装備した250mlシュレンクフ
ラスコをアルゴン置換した後、テトラヒドロフラン(T
HF)で再結晶精製したアセナフテンキノン2.50
g、氷酢酸150mlを加え、オイルバスにて80℃に
加熱し均一溶液とした。30分攪拌後、2,6−ジイソ
プロピルアニリン5.20mlをシリンジにて滴下し
た。次いで、オイルバスにて加熱し(120℃)、加熱
還流を行った。2時間後、系の温度を常温に戻し、生成
した橙色結晶を濾過し、THFで再結晶させることによ
り、下記構造式(13)を有するジイミン配位子4.5
gを得た。同定は1H−NMR及びIRにより行った。
【0079】
【化12】
【0080】ジイミンジクロロ銅(II)化合物の合成 ジムロー冷却還流管を装備した250mlシュレンクフ
ラスコに、上記ジイミン配位子を5mmol、塩化銅
(II)5mmol、氷酢酸150mlを加え、オイル
バスにて2時間加熱攪拌し(110℃)加熱し、常温に
戻した。生成した暗緑色結晶を濾過し、アセトンで再結
晶させることにより、下記構造式(14)を有するジイ
ミンジクロロ銅(II)化合物2.65gを得た。同定
はIR及び元素分析により行った。
【0081】
【化13】
【0082】カチオン性ジイミンジクロロ銅(II)化
合物の合成 グローブボックス中にて、50mlシュレンクフラスコ
に合成した上記ジイミンジクロロ銅(II)化合物0.
2mmolにTHF5mlを加え、さらに、テトラフル
オロボレート銀0.2mmolを加え室温で1時間攪拌
した。析出した塩を濾過し、溶媒をエバポレーションさ
せることにより、下記構造式(15)を有するカチオン
性ジイミンジクロロ銅(II)化合物2.65gを得
た。同定はIR及び元素分析により行った。
【0083】
【化14】
【0084】重合体の合成 100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した
後、トルエン20mlを加え、上記合成したカチオン性
ジイミンジクロロ銅(II)化合物10mg、メチルア
ルミノキサン10%トルエン溶液(アルドリッチ社製)
5mlを加えた。次いで、アクリル酸n−ブチルモノマ
ー2gを、上記フラスコに加え、20℃で7.5時間重
合を行い、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応
を停止させた。触媒残さを除いた後、クロロホルムに溶
解させた反応物に、過剰のn−ヘキサンを加えて沈殿し
た重合物を回収して、ポリマー0.95gを得た。
【0085】得られたポリアクリル酸ブチルについて、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
よりポリマーの解析を行った。GPCの溶媒には、TH
Fを用いた。ポリスチレン換算の重量平均分子量は、3
4500、数平均分子量は24300であり、分子量分
布を示す重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mn
は、1.42であった。
【0086】(実施例2)重合体の合成 50mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後、
上記合成したカチオン性ジイミンジクロロ銅(II)化
合物6.9mgを取り、トルエン10mlを加え、さら
にトリイソブチルアルミニウム20%トルエン溶液(東
ソーアクゾ社製)0.5mlを加えた。次いで、反応溶
液を0℃に冷却し、エチレンガスを容器内に導入し、常
圧0℃で24時間重合を行った。反応後反応溶液にメタ
ノール150mlを加えて反応を停止させ、沈殿した重
合物を回収して、ポリエチレン0.04gを得た。
【0087】得られた重合体についてはフーリエ変換型
赤外分光光度計(FT−IR)を用いて解析した。IR
ではポリエチレン由来のメチレン719cm-1付近及び
1460cm-1付近のピークが認められた。
【0088】(実施例3)重合体の合成 300mlの耐圧ガラス容器をアルゴン置換した後、上
記合成したカチオン性ジイミンジクロロ銅(II)化合
物69mg、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレート32.8mg〔下記構
造式(16)〕に乾燥トルエン100mlを加え、これ
に、メチルアルミニウムトリ(2,4,6−トリ−t−
ブチルフェノキシド)926mg〔下記構造式(1
7)〕を加えた。次いで、エチレンガスを容器内に導入
し、系内を4.5kg/cm2 に保ちながら、0℃で2
4時間重合を行った後、反応溶液ににメタノール150
mlを加えて反応を停止させ、沈殿した重合物を回収し
て、重合体0.5gを得た。
【0089】
【化15】
【0090】
【化16】
【0091】得られたポリエチレンについて、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び、示差
走査熱量計(DSC)によりポリマーの解析を行った。
GPCの溶媒には、O−ジクロロベンゼンを用いた。ポ
リスチレン換算の重量平均分子量は、580000、数
平均分子量は232000であり、分子量分布を示す重
量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnは、2.5
0であった。また、DSCによる融解曲線のピークであ
る融解温度は136℃であり、60℃以下には融解ピー
クは観測できなかった。
【0092】(比較例1、2)上記カチオン性ジイミン
ジクロロ銅(II)化合物を用いなかったこと以外は実
施例2、3と同様に行ったが、ポリマーを得ることがで
きなかった。
【0093】
【発明の効果】本発明では、分子内に1個以上の炭素−
炭素二重結合を有するビニル系単量体を重合させる重合
体の製造方法であって、触媒及び/又は重合開始剤とし
て、上記一般式(1)又は、一般式(2)で表される銅
化合物と有機金属化合物とを用いているので、ビニル系
単量体の重合を容易かつ低コストで行える。また、該銅
化合物の合成は反応段階が少なくてすむため、安価な重
合触媒が得られ、安定性に優れるため、重合操作が容易
に行える。さらに他の銅化合物と比べ重合活性が高いた
め、分子量の高い重合体が得られる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合
    を有するビニル系単量体を重合させる重合体の製造方法
    であって、触媒及び/又は重合開始剤として、一般式
    (1);LCuXn + - 、又は、一般式(2);L
    (L′)Cu +-で表される銅化合物(式中、L、
    L′は、配位子を表し、同じであってもよい。Xは、ハ
    ロゲン原子、アルコキシル基、チオキシ基、アリロキシ
    基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、シア
    ノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を表す。Y
    は、対アニオンを表し、ホウ素化合物、アルミニウム化
    合物、リン化合物、含酸素化合物、含ハロゲン化合物で
    ある。nは、0〜2の整数である。)と有機金属化合物
    とを用いることを特徴とする銅化合物を用いた重合体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 上記一般式(1);LCuXn + -
    又は、一般式(2);L(L′)Cu +- で表される
    銅化合物のうちの少なくとも1種は、N原子の不対電子
    により配位する配位子をその構造中に有する請求項1記
    載の銅化合物を用いた重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記一般式(1);LCuXn + -
    表される銅化合物中のCuに対する配位子Lの配位数、
    又は、一般式(2);L(L′)Cu +-で表される
    銅化合物中のCuに対する配位子LとL′との合計の配
    位数は、3以下である請求項1または2に記載の銅化合
    物を用いた重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記一般式(1);LCuXn + -
    又は、一般式(2);L(L′)Cu +- で表される
    銅化合物のうちの少なくとも1種は、アミジナト配位子
    を有する請求項1〜3いずれか一項に記載の銅化合物を
    用いた重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(1);LCuXn + - 、又
    は、一般式(2);L(L′)Cu +- で表される銅
    化合物のうちの少なくとも1種は、下記一般式(3); 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立し
    て、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、アリル
    基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原子を表
    す。)、下記一般式(4); 【化2】 (式中、R5 及びR6 はそれぞれ独立して、アルキル
    基、置換アルキル基、アリール基、アリル基、置換アリ
    ル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、R7 は2価の
    炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部の炭素原子が
    窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪素原子で置換
    された官能基である。)、下記一般式(5); 【化3】 (式中、R8 及びR9 はそれぞれ独立して、アルキル
    基、置換アルキル基、アリール基、アリル基、置換アリ
    ル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、R10は2価の
    炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部の炭素原子が
    窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪素原子で置換
    された官能基である。)、及び、下記一般式(6); 【化4】 (式中、R11及びR12はそれぞれ独立して、2価の炭化
    水素基、又は、前記炭化水素基の一部の炭素原子が窒素
    原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪素原子で置換され
    た官能基である。)からなる群より選択される少なくと
    も一種の配位子を有する請求項1〜4いずれか一項に記
    載の銅化合物を用いた重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(1);LCuXn + - で表さ
    れる銅化合物のうちの少なくとも1種は、下記一般式
    (7); 【化5】 (式中、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ独立し
    て、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、アリル
    基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
    17は、フェニル基又は、フェニル基の一部の炭素原子
    がフッ素原子、メチル基もしくはトリフルオロメチル基
    で置換された官能基である。X’は、ハロゲン原子、ア
    ルコキシル基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、
    第2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ
    基、アルキル基又はアリル基を表す。)である請求項1
    〜5いずれか一項に記載の銅化合物を用いた重合体の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 ビニル系単量体の少なくとも1種が、分
    子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有するオレフィ
    ン、分子内に1個以上のアクリロイル基もしくはメタク
    リロイル基を有するビニル系単量体、アクリロニトリル
    もしくはメタクリロニトリル及び、これらの誘導体から
    選ばれるものであることを特徴とする請求項請求項1〜
    6いずれか一項に記載の銅化合物を用いた重合体の製造
    方法。
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