JP2000355607A - 銅化合物を用いた共重合体の製造方法 - Google Patents

銅化合物を用いた共重合体の製造方法

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JP2000355607A
JP2000355607A JP11225411A JP22541199A JP2000355607A JP 2000355607 A JP2000355607 A JP 2000355607A JP 11225411 A JP11225411 A JP 11225411A JP 22541199 A JP22541199 A JP 22541199A JP 2000355607 A JP2000355607 A JP 2000355607A
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JP11225411A
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English (en)
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Koichi Shibayama
晃一 柴山
Takeharu Morita
健晴 森田
Hiroyuki Hiraike
宏至 平池
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成が容易で、安価、安定な重合触媒を用
い、重合反応性の異なる2種以上のビニル系単量体の共
重合を安易かつ低コストで行うことができる共重合体の
製造方法を提供する。 【解決手段】 分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合
を有する少なくとも2種のビニル系単量体を共重合させ
る共重合体の製造方法であって、触媒及び/又は重合開
始剤として、一般式(1);LCuXn、又は、一般式
(2);L(L’)Cuで表される銅化合物(式中,
L、L’は、配位子を表し、Xは、ハロゲン原子、アル
コキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、第2
級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ア
ルキル基又はアリル基を表す。nは、0〜2の整数であ
る。)と有機金属化合物とを用いる銅化合物を用いた共
重合体の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅化合物を用いた
共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル系単量体は、従来より様々な方法
で重合されており、工業的には、ビニル系単量体にラジ
カル発生剤を添加し、高温高圧下でラジカル重合する方
法が殆どである。
【0003】最近では、分子量や分子量分布を制御可能
な重合方法として、例えば、アニオン重合、配位重合、
グループトランスファー重合等が実験室レベルで検討さ
れており、これらの重合においては、触媒等として遷移
金属錯体が用いられている。
【0004】しかしながら、この遷移金属錯体は、一般
的に多くの反応段階を経て合成されており、化学構造も
複雑である。このため、このような遷移金属錯体の合成
は容易ではなく、収率も低く、得られる遷移金属錯体は
高価なものとなってしまう結果、工業的な利用が難しか
った。
【0005】このような触媒系に用いられる遷移金属錯
体の金属については、前期遷移金属に属する4族遷移元
素のTi、Zr、Hf等が一般的に用いられている。最
近では、やや反応性は低下するものの、後期遷移金属で
ある10族遷移元素のNi、Pdなども、錯体の中心金
属として使用されている(JACS 117,No.2
3,6414(1995)等)。
【0006】また、アルミニウム等の金属ポルフィリン
錯体と有機アルミニウム化合物が使用された例がある
(特開平4−323204号公報)が、重合対象は、
(メタ)アクリル酸エステル、エポキシド、ラクトン等
の比較的極性の高いモノマーの重合に限られていた。
【0007】一方、銅を中心金属とする錯体は、安定性
に優れ、合成も容易であるという利点を有するものの、
一般的には、反応活性が低く、重合触媒としては有効な
ものでなかった。最近、本発明者らは、銅錯体を極性の
高いモノマーであるカルボジイミドの重合触媒として利
用することができ、リビング重合体を得ることができる
ことを発表している(Macromolecules
30,3159(1997))。
【0008】しかしながら、高い反応性の重合触媒を必
要とする比較的低極性のモノマーの重合については、塩
化銅等の銅塩に有機アルミニウム化合物を混合してエチ
レンの重合に適用された例がある(特公昭45−405
44号公報)ものの、この場合には、低分子量のオリゴ
マーしか得られておらず、このような重合は殆ど行われ
ていないのが現状である。
【0009】一方、2種以上のビニル系単量体を同一系
で重合させる、いわゆる共重合も、従来より様々な方法
で実現されている。ラジカル発生剤を用いた高温高圧下
での共重合や、上述したアニオン重合、配位重合、グル
ープトランスファー重合等による共重合である。
【0010】しかしながら、一般的に、これらの反応系
に用いられる重合触媒は、単独重合の場合と同じく遷移
金属錯体であり、上述のように、多くの反応段階を経て
合成されており、高価であった。
【0011】さらに、これらの重合触媒は、一般的に複
数のモノマーに対して重合活性を有しておらず、特に重
合反応性の異なる2種以上のビニル系単量体をこれらの
重合触媒を用いて共重合させることは非常に困難であっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記銅化合
物を用いた共重合体の製造方法に鑑み、合成が容易で、
安価、安定な重合触媒及び/又を重合開始剤として用
い、重合反応性の異なる2種以上のビニル系単量体の共
重合を容易かつ低コストで行うことができる共重合体の
製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明では、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合
を有する2種以上のビニル系単量体を共重合させる共重
合体の製造方法であって、触媒及び/又は重合開始剤と
して、一般式(1);LCuXn 、又は、一般式
(2);L(L′)Cuで表される銅化合物(式中、
L、L′は、配位子を表し、Xは、ハロゲン原子、アル
コキシル基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、第
2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、
アルキル基又はアリル基を表す。nは、0〜2の整数で
ある。)と有機金属化合物とを用いることを特徴とする
銅化合物を用いた共重合体の製造方法を提供する。ま
た、本発明の共重合体の製造方法においては、上記銅化
合物からなる重合触媒及び/又は重合開始剤を用いて、
2種以上のビニル系単量体の内、少なくとも2種が、分
子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素
系オレフィン、分子内に1個以上のアクリロイル基もし
くはメタクリロイル基を有するビニル系単量体、アクリ
ロニトリルもしくはメタクリロニトリル及び、これらの
誘導体から選ばれるものである共重合体の製造方法を提
供する。また、本発明の共重合体の製造方法において
は、上記銅化合物からなる重合触媒及び/又は重合開始
剤を用いて、2種以上のビニル系単量体の内、少なくと
も1種が分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有す
る炭化水素系オレフィンであり、さらに少なくとも1種
が分子内に1個以上のアクリロイル基もしくはメタクリ
ロイル基を有するビニル系単量体、アクリロニトリルも
しくはメタクリロニトリル及び、これらの誘導体から選
ばれるものである共重合体の製造方法を提供する。以下
に、本発明を詳述する。
【0014】本発明の共重合体の製造方法においては、
上記銅化合物からなる重合触媒及び/又は重合開始剤を
用い、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する
ビニル単量体の少なくとも2種を共重合させる。
【0015】上記分子内に1個以上の炭素−炭素二重結
合を有するビニル系単量体としては特に限定されず、例
えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−
メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン;ブタジエン
等のジエン;(メタ)アクリル酸エステルやその誘導
体;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0016】これらのビニル系単量体のなかでは、極性
値eの絶対値が1.5以下であるものが好ましい。上記
極性値eは、二重結合を有する化合物の二重結合部の電
子密度を表す値であり、二重結合に電子が流れ込んでい
る場合には、負の値を示し、二重結合の電子が置換基に
より引っ張られている場合には、正の値を示す(「高分
子化学の基礎」、高分子学会編、東京化学同人)。上記
極性値eの値が1.5を超えると、ビニル系単量体の極
性が高すぎるため、有機金属化合物を助触媒として使用
する銅錯体触媒の系では触媒が失活してしまい、重合反
応がスムーズに進行しなくなる場合がある。
【0017】上記極性値eの絶対値が1.5以下である
ビニル系単量体としては、例えばオレフィン、α−置換
オレフィン等が挙げられる。
【0018】上記オレフィンは、一般的に炭化水素系オ
レフィンであり、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結
合を有するものであり、例えば、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘ
プテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等の
α−オレフィン;ブタジエン等のジエンが例示できる。
【0019】上記α−置換オレフィンは、一般式CH2
=CYE(式中Yはフェニル基、置換フェニル基又はシ
アノ基を示し、Eは水素原子又はアルキル基を示す)で
表されるものであり、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、α−エチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、o−塩化スチレン、p−塩化スチレ
ン、o−臭化スチレン、p−臭化スチレン、p−ニトロ
スチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレ
ン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニ
トリル、及びこれらの誘導体等が挙げられる。なお、例
えば上記(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸
エステル、又は、メタクリル酸エステルを意味する。
【0020】上記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、一般式(7); CH2 =C(R13)COOR14・・・(7) (式中、R13は、水素原子又はメチル基を表し、R
14は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は、官
能基を含む炭化水素基を表す。)で表される化合物が挙
げられる。上記一般式(7)で表される化合物におい
て、官能基を含む炭化水素基の官能基としては、例え
ば、ハロゲン原子、アミノ基、エポキシ基等が挙げられ
る。このエポキシ基を含む炭化水素基としては、例え
ば、エーテル残基が挙げられる。
【0021】上記一般式(7)で表される(メタ)アク
リル酸エステルとしては特に限定されず、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸
イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec
−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)ア
クリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オ
クチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリ
ル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸トリスチル、
(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステア
リル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸
ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリ
ル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)
アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、(メタ)
アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、(メタ)
アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−メト
キシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、
(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸テ
トラヒドロフルオリル、(メタ)アクリル酸2,3−ジ
ブロモプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチ
ル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフロロエチ
ル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3
−トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2
−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメ
チルアミノエチル、(メタ)アクリル酸tーブチルアミ
ノエチル等が挙げられる。
【0022】また、請求項2記載の如く、2種以上のビ
ニル系単量体の内、少なくとも2種が、分子内に1個以
上の炭素−炭素二重結合を有するオレフィン、分子内に
1個以上のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を
有するビニル系単量体、アクリロニトリルもしくはメタ
クリロニトリル及び、これらの誘導体から選ばれること
が好ましい。
【0023】さらに、請求項3記載の如く、2種以上の
ビニル系単量体の内、少なくとも1種が分子内に1個以
上の炭素−炭素二重結合を有するオレフィンであり、さ
らに少なくとも1種が分子内に1個以上のアクリロイル
基もしくはメタクリロイル基を有するビニル系単量体、
アクリロニトリルもしくはメタクリロニトリル及び、こ
れらの誘導体から選ばれることが好ましい。
【0024】本発明では、触媒及び/又は重合開始剤と
して、一般式(1);LCuXn 、又は、一般式
(2);L(L′)Cuで表される銅化合物(式中、
L、L′は、配位子を表し同じであってもよい、Xは、
ハロゲン原子、アルコキシル基、チオキシ基、アリロキ
シ基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、シ
アノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を表す。n
は、0〜2の整数である。)を使用する。Xは、ハロゲ
ン原子、アルコキシル基、チオキシ基、アリロキシ基、
アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ
基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を表すが、これ
らのなかでは、塩素、臭素等のハロゲン原子;メトキシ
基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tーブトキシ基等
のアルコキシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ
基等の第3級アミノ基が好ましい。
【0025】配位子L、L′の配位の仕方としては特に
限定されないが、その構造中に存在するN、S、O、P
等の不対電子による配位、シクロペンタジエニル基によ
る配位等が挙げられ、具体的には、アミン、2級アルキ
ルアミン、3級アルキルアミンによる配位;アミジンに
よる配位(アミジナト配位子)等のN配位;アルコキ
シ、アリールオキシによる配位の場合のO配位等が挙げ
られる。これらの配位の仕方のなかでは、N原子による
配位が好ましい。
【0026】すなわち、請求項4記載の如く、上記一般
式(1)又は上記一般式(2)で表される銅化合物のう
ちの少なくとも1種は、N原子の不対電子により配位す
る配位子をその構造中に有するものであることが好まし
い。
【0027】N原子による配位を行う配位子L、L′と
しては、例えば、ビピリジン、置換ビピリジン、ビスオ
キサゾリン、置換ビスオキサゾリンが挙げられるほか、
一般式(3);
【0028】
【化5】
【0029】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれ
ぞれ独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール
基、アリル基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原
子を表す。)、一般式(4);
【0030】
【化6】
【0031】(式中、R5 及びR6 はそれぞれ独立し
て、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、アリル
基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、
7 は2価の炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部
の炭素原子が窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪
素原子で置換された官能基である。)、一般式(5);
【0032】
【化7】
【0033】(式中、R8 及びR9 はそれぞれ独立し
て、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、アリル
基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、
10は2価の炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部
の炭素原子が窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪
素原子で置換された官能基である。)、又は、一般式
(6);
【0034】
【化8】
【0035】(式中、R11及びR12はそれぞれ独立し
て、2価の炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部の
炭素原子が窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪素
原子で置換された官能基である。)で表される各種ジイ
ミンやN,N′−ジメチルアミジナト、N,N′−ジエ
チルアミジナト、N,N′−ジイソプロピルアミジナ
ト、N,N′−ジ−t−ブチルアミジナト、N,N′−
トリフルオロメチルアミジナト、N,N′−ジフェニル
アミジナト、N,N′−ジフェニルアミジナト誘導体、
N,N′−ジトリメチルシリルアミジナト、N,N′−
ジメチルベンズアミジナト、N,N′−ジエチルベンズ
アミジナト、N,N′−ジイソプロピルベンズアミジナ
ト、N,N′−ジ−t−ブチルベンズアミジナト、N,
N′−トリフルオロメチルベンズアミジナト、N,N′
−ジフェニルベンズアミジナト、N,N′−ジトリメチ
ルシリルベンズアミジナト、N,N′−ジフェニルベン
ズアミジナト誘導体等の各種アミジンによるアミジナト
配位子等が挙げられる。上記配位子のなかでは、ジイミ
ンやアミジナト配位子が好ましい。
【0036】N原子による配位とO原子による配位の両
方を行う配位子としては、例えば、8−キノリノール等
が挙げられる。
【0037】また、請求項5記載の如く、上記一般式
(1)で表される銅化合物中のCuに対する配位子Lの
配位数、又は、上記一般式(2)で表される銅化合物中
のCuに対する配位子LとL′との合計の配位数は、3
以下であることが好ましい。
【0038】上記一般式(1)又は上記一般式(2)で
表される銅化合物は、固体状態において、LCuXn 、
又は、L(L′)Cuの2量体、3量体又は複核錯体で
あってもよい。
【0039】これらの銅化合物が固体状態で2量体、3
量体又は複核錯体であっても、反応時の溶液中やモノマ
ー中では、単量体として存在していることが多いため、
この単量体の状態が、上記一般式(1)又は上記一般式
(2)で表される銅化合物に相当するものであれば、本
発明で用いることができる。
【0040】上記一般式(1)又は上記一般式(2)で
表される銅化合物は、安価なハロゲン化銅、例えば、塩
化銅(I)から容易に合成することができる。上記N配
位化合物である銅(II)アミジナト錯体の合成を例とし
て挙げると、例えば、塩化銅(II)無水物に当量のアミ
ジン化合物を加え、乾燥を行った有機溶媒中で数時間攪
拌することにより合成することができる。
【0041】上記一般式(1)又は上記一般式(2)で
表される銅化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。また、上記銅化合物を用いる際には、
炭化水素又はハロゲン化炭化水素で希釈して用いてもよ
い。
【0042】上記銅化合物は、粒子状担体に担持させて
用いてもよい。上記粒子状担体としては、例えば、Si
2 、Al2 3 、MgO、CaO、TiO2 、Zn
O、MgCl2 等の無機担体;ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体等の樹脂
等が挙げられる。
【0043】上記銅化合物と併用される上記有機金属化
合物としては、例えば、アルミノキサン、一般式
(8); AlR15 m 3-m ・・・・(8) (式中、R15は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、
Zは、水素、ハロゲン原子、アルコキシル基、アリロキ
シ基、シロキシ基を表す。mは、0〜3の整数であ
る。)で表される有機アルミニウム化合物、硼素原子を
有するルイス酸、硼素原子を有するイオン性化合物等が
挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0044】上記アルミノキサンは、一般式(9); R16{Al(R17)−O}p AlR18・・・(9) (式中、R16、R17、R18は、炭素数1〜10の炭化水
素基を表し、pは、2以上の整数を表す。)、又は、一
般式(10);
【0045】
【化9】
【0046】(式中、R19は、炭素数1〜10の炭化水
素基を表し、qは、2以上の整数を表す。)で表される
化合物である。
【0047】上記一般式(9)又は上記一般式(10)
で表される化合物において、R16、R17、R18、R19
表される炭化水素基の炭素数は、6以下であることが好
ましく、4以下であることがより好ましい。上記アルミ
ノキサンは、例えば、トリアルキルアルミニウムと水と
の直接の反応や金属塩の水和物との反応により得ること
ができる。
【0048】上記一般式(8)で表される有機アルミニ
ウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウ
ム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミ
ニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルア
ルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;イソプレニ
ルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;ジメチル
アルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロラ
イド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジイソ
ブチルアルミニウムクロライド、ジオクチルアルミニウ
ムクロライド等のジアルキルアルミニウムモノクロライ
ド;メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアル
ミニウムセスキクロライド、イソプロピルアルミニウム
セスキクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロ
ライド、オクチルアルミニウムセスキクロライド等のア
ルキルアルミニウムセスキクロライド;メチルアルミニ
ウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、
イソプロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルア
ルミニウムジクロライド、オクチルアルミニウムジクロ
ライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;メトキ
シジエチルアルミニウム、ジイソプロポキシメチルアル
ミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム等のアルコ
キシル基含有アルミニウム化合物等が挙げられる。
【0049】上記硼素原子を有するルイス酸としては、
例えば、一般式(11);BR20 3(式中、R20は、フ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル等の置換基を
有してもよいフェニル基;フッ素原子を表す。)で表さ
れる化合物が挙げられる。
【0050】上記硼素原子を有するルイス酸の具体例と
しては、例えば、トリフルオロ硼素、トリフェニル硼
素、トリス(4−フルオロフェニル)硼素、トリス
(3,5−ジフルオロフェニル)硼素、トリス(4−フ
ルオロメチルフェニル)硼素、トリス(ペンタフルオロ
フェニル)硼素、トリス(p−トリル)硼素、トリス
(o−トリル)硼素、トリス(3,5−ジメチルフェニ
ル)硼素等が挙げられる。これらのなかでは、トリス
(ペンタフルオロフェニル)硼素が好ましい。
【0051】上記硼素原子を有するイオン性化合物とし
ては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,
N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウ
ム塩、トリアリールホスフォニウム塩等が挙げられる。
【0052】上記硼素原子を有するイオン性化合物の具
体例としては、例えば、トリエチルアルミニウムテトラ
(フェニル)硼素、トリプロピルアンモニウムテトラ
(フェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテ
トラ(フェニル)硼素、トリメチルアンモニウムテトラ
(p−トリル)硼素、トリメチルアンモニウムテトラ
(o−トリル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ
(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリプロピルアンモ
ニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)硼素、トリ
ブチルアンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニ
ル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフ
ルオロメチルフェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アン
モニウムテトラ(o−トリル)硼素等のトリアルキル置
換アンモニウム塩;N,N−ジメチルアニリニウムテト
ラ(フェニル)硼素、N,N−ジエチルアニリニウムテ
トラ(フェニル)硼素、N,N−2,4,6−ペンタメ
チルアニリニウムテトラ(フェニル)硼素等のN,N−
ジアルキルアニリニウム塩;ジ(1−プロピル)アンモ
ニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼素、ジシク
ロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)硼素等のジ
アルキルアンモニウム塩;トリフェニルホスフォニウム
テトラ(フェニル)硼素、トリ(ジメチルフェニル)ホ
スフォニウムテトラ(フェニル)硼素等のトリアリール
ホスフォニウム塩等が挙げられる。
【0053】また、上記イオン性化合物としては、例え
ば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボロネート、N,N−ジメチルアニリニ
ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート等が挙げられる。
【0054】さらに、上記イオン性化合物としては、例
えば、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボ
レート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカ
ボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウ
ンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウ
ム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモ
ニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブ
チル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレート、ト
リ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレー
ト、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデ
カボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カル
バドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1
−トリメチルシリル−1−カルバドデカボレート、トリ
(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカ
ボレート、ボラン及びカルボラン錯化合物;カルボラン
アニオンの塩;カルボラン及びカルボランの塩等が挙げ
られる。なお、これらのイオン性化合物において、対イ
オンは、一般例として、トリ(n−ブチル)アンモニウ
ム示しているが、これらに限定されない。
【0055】さらにまた、上記硼素原子を有するイオン
性化合物として、以下に示す金属カルボランの塩及び金
属ボランアニオンが挙げられる。すなわち、例えば、ト
リ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド
−1,3−ジカルバノナボレート)コバルテート(III)
、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハ
イドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)フェ
レート(鉄酸塩)(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニ
ウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウ
ンデカボレート)コバルテート(III) 、トリ(n−ブチ
ル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8
−ジカルバウンデカボレート)ニッケレート(III) 、ト
リ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドラ
イド−7,8−ジカルバウンデカボレート)キュプレー
ト(銅酸塩)(III) 等である。なお、これらのイオン性
化合物において、対イオンは、一般例として、トリ(n
−ブチル)アンモニウム示しているが、これらに限定さ
れない。
【0056】本発明においては、上記化合物に加え、必
要に応じて、安息香酸等の電子供与性化合物や分子中に
フェノール構造を有する化合物が添加されてもよい。こ
れらの化合物を加えると、著しく重合活性が向上するこ
とがあるからである。
【0057】上記分子中にフェノール構造を有する化合
物として、例えば、フェノール、クレゾール等の置換フ
ェノールが挙げられる。
【0058】本発明における重合のメカニズムの詳細に
ついては、明らかでないが、銅化合物が触媒及び/又は
重合開始剤として働き、銅化合物単独、銅化合物及び有
機金属化合物、ビニル系単量体(以下、モノマーともい
う)の相互活性により、モノマーの配位、挿入反応が加
速されるものと考えられる。反応の活性種としては、活
性の高い銅のカチオン種が考えられる。
【0059】上記一般式(1)又は上記一般式(2)で
表される銅化合物及び有機金属化合物の反応系への添加
時期については、ビニル系単量体の導入前、導入と同
時、導入の後のいずれであってもよいが、導入前が最も
好ましい。重合方法、重合条件は特に限定されず、連続
重合であってもよく、非連続重合であってもよい。
【0060】上記2種以上のビニル系単量体の反応系へ
の添加時期については、炭素数の最も少ないものを最初
に添加することが好ましく、この炭素数の最も少ないモ
ノマーが20重量%以上重合して消費された後、他のモ
ノマー添加することがより好ましい。
【0061】その理由は、炭素数の最も多い単量体を先
に添加するか、又は、全ての単量体を同時に添加する
と、炭素数の多い単量体の重合は、一般的に、低速であ
るために目的とする重合度の共重合体を得ることができ
ないからである。
【0062】また、上記添加時期については、極性の最
も小さいものを最初に添加することが好ましく、この極
性の最も小さいモノマーが20重量%以上重合して消費
された後、他のモノマー添加することがより好ましい。
【0063】その理由は、極性の最も大きい単量体を先
に添加するか、又は、全ての単量体を同時に添加する
と、触媒の周囲には、極性の大きい単量体ばかりが集ま
り、極性の大きい単量体の重合のみが早く進行してしま
い、目的とする共重合体を得ることができないからであ
る。
【0064】上記重合反応は、不活性雰囲気下にて行う
ことが好ましい。この不活性気体としては、例えば、窒
素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
【0065】重合において使用される溶媒としては、例
えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジク
ロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、
トルエン、キシレンのような炭化水素類;テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等が挙げら
れるが、本発明においては、溶媒を用いずに重合反応を
行うことも可能である。
【0066】重合温度は、用いた溶媒の融点から沸点ま
での温度範囲が好ましく、また、加圧下においては、常
圧での沸点以上の幅広い温度範囲において重合可能であ
る。例えば、室温においても、分子量分布の狭い重合体
を得ることができる。
【0067】具体的な重合温度としては、−20〜20
0℃が好ましく、0〜120℃がより好ましい。また、
具体的な重合圧力としては、大気圧〜100kgf/c
m2が好ましく、大気圧〜50kgf/cm2 がより好
ましい。
【0068】上記銅化合物の使用量は、重合容積1リッ
トル当たり、銅原子に換算して、約0.00005〜5
ミリモルが好ましく、0.0001〜1ミリモルがより
好ましい。
【0069】また、有機金属化合物の使用量ついては、
有機アルミニウム化合物の場合、銅化合物の銅原子1モ
ルに対し、アルミニウム原子が約1〜10000モルと
なる量が好ましく、2〜5000モルとなる量がより好
ましい。硼素原子を有するルイス酸又はイオン性化合物
の場合、銅化合物の銅原子1モルに対し、硼素原子が
0.1〜500モルとなる量が好ましく、1〜100モ
ルとなる量がより好ましい。
【0070】得られる重合体の分子量は、重合温度など
の条件を変更することや、公知の手段、例えば、水素を
使用することにより調節が可能である。
【0071】本発明では、上記した銅化合物(銅錯体)
を重合触媒及び/又は重合開始剤として用いることによ
り、他の遷移金属錯体系触媒を使用したときと同様に、
組成分布に優れる重合体を製造することができる。具体
的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)によるポリマーの解析において、本発明の製造方
法によって得られた重合体の分子量分布(Mw/Mn)
を求めると、1.1〜3.5と狭く、精密に制御された
重合体反応が行われていることを確認することができ
る。
【0072】(作用)上記目的を達成するために本発明
は、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する2
種以上のビニル系単量体を共重合させる共重合体の製造
方法であって、触媒及び/又は重合開始剤として、上記
一般式(1)又は、一般式(2)で表される銅化合物と
有機金属化合物とを用いる共重合体の製造方法を採用し
た。本発明における重合のメカニズムの詳細について
は、明らかでないが、銅化合物が触媒及び/又は重合開
始剤として働き、銅化合物単独、銅化合物及び有機金属
化合物、モノマーの相互活性により、モノマーの配位、
挿入反応が加速されるものと考えられる。反応の活性種
としては、活性の高い銅のカチオン種が考えられる。そ
して、重合は、銅化合物単独、銅化合物及び有機金属化
合物、ビニル系単量体の相互活性により、モノマーの配
位、挿入反応が加速されるものと考えられる。反応の活
性種としては、活性の高い銅のカチオン種が考えられ
る。本発明の銅化合物は、銅化合物合成の反応段階が少
なくてすむため、安価な重合触媒が得られ、空気中での
安定性に優れるため、該銅化合物を利用した重合操作が
容易に行える。さらに、他の銅化合物と比べ重合活性が
高いため、分子量の高い重合体が得られる。また、極性
の異なるモノマー間でも重合活性を有するため、重合反
応性の異なる2種以上のビニル系単量体の共重合を容易
かつ低コストで行うことができる共重合体の製造方法を
提供することができる。このため、本発明の共重合体の
製造方法においては、重合触媒及び/又は重合開始剤と
して、上記銅化合物と有機金属化合物を用いることによ
り、2種以上のビニル系単量体の内、少なくとも2種
が、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する炭
化水素系オレフィン、分子内に1個以上のアクリロイル
基もしくはメタクリロイル基を有するビニル系単量体、
アクリロニトリルもしくはメタクリロニトリル及び、こ
れらの誘導体から選ばれるモノマー、或いは、2種以上
のビニル系単量体の内、少なくとも1種が分子内に1個
以上の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素系オレフィ
ンであり、さらに少なくとも1種が分子内に1個以上の
アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有するビニ
ル系単量体もしくはアクリロニトリルもしくはメタクリ
ロニトリル及び、これらの誘導体から選ばれる極性の異
なるモノマーの共重合をより容易に行うことができる。
【0073】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、下記の実施例において、特に記載した
もの以外は、乾燥蒸留した試薬を用いた。
【0074】(実施例1)ジイミン銅(II)化合物の合成 ジムロー冷却還流管を装備した250mlシュレンクフ
ラスコを窒素置換した後、アセナフテンキノン2.50
g、無水塩化銅(II)1.85g、氷酢酸150ml
を加えた。30分攪拌後、2,6−ジイソプロピルアニ
リン5.20mlをシリンジにて滴下した。次いで、オ
イルバスにて加熱し(湯温120℃)、加熱還流を行っ
た。2時間後、系の温度を常温に戻し、生成した暗緑色
結晶を濾過し、トルエン・メタノールで再結晶させるこ
とにより、下記構造式(12)を有するジイミン銅(I
I)化合物6.96gを得た。同定はIR及び元素分析
により行った。
【0075】
【化10】
【0076】共重合体の合成 300mlの耐圧ガラス容器をアルゴン置換した後、ト
ルエン100mlを加え、上記(1)で合成したジイミ
ン銅(II)化合物38mg、メチルアルミニウムビス
(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシド)926
mg〔下記構造式(13)〕、トリイソブチルアルミニ
ウム(東ソーアクゾ社製、20%トルエン溶液)、N,
N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェ
ニル)ボレート〔下記化学式(14)〕48mg、乾燥
トルエン87mlを加えた。次いで、エチレンガスを容
器内に導入し、系内を1.1kg/cm2 に保ちなが
ら、0℃で4時間重合を行った後、反応溶液に1−ヘキ
セン3.0gを入れて、20℃で5時間攪拌した。その
後、メタノール150mlを加えて反応を停止させ、沈
殿した重合物を回収して、ポリオレフィン0.92gを
得た。
【0077】
【化11】
【0078】
【化12】
【0079】得られたポリオレフィンについて、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び示差
走査熱量計(DSC)によりポリマーの解析を行った。
GPCの溶媒には、o−ジクロロベンゼンを用いた。重
量平均分子量は、540000、数平均分子量は183
000であり、分子量分布を示す重量平均分子量と数平
均分子量の比Mw/Mnは、2.95であった。また、
DSCによる融解曲線のピークである融解温度は95℃
であり、エチレンヘキセン共重合であることがNMRよ
り確認された。
【0080】(実施例2)共重合体の合成 300mlの耐圧ガラス容器をアルゴン置換した後、ト
ルエン100mlを加え、実施例1で調製したジイミン
銅錯体(II)化合物26mg、メチルアルミニウムトリ
(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシド)926
mg、トリイソブチルアルミニウム(東ソーアクゾ社
製、20%トルエン溶液)、N,N−ジメチルアニリニ
ウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート32.
8mg、乾燥トルエン58mlを加えた。次いで、エチ
レンガスを容器内に導入し、系内を1.1kg/cm2
に保ちながら、0℃で4時間重合を行った後、反応溶液
にアクリロニトリル25mlを加えて、50℃で10時
間反応を行った。反応後、系内にメタノール150ml
を加えて反応を停止させ、沈殿した重合物を回収して、
重合体1.9gを得た。
【0081】得られた重合体についてはジメチルホルム
アミド溶媒50ml×4で洗浄した後、フーリエ変換型
赤外分光光度計(FT−IR)を用いて解析した。IR
ではポリエチレン由来のメチレン719cm-1のピーク
及びポリアクリロニトリル由来のCN三重結合2244
cm-1のピークが認められた。
【0082】(実施例3)N,N′−ビストリメチルシリルベンズアミジナト銅
(II)化合物の合成 (a)前駆体(N,N,N′−トリス(トリメチルシリ
ル)ベンズアミジン)の合成 充分アルゴン置換した250mlシュレンクフラスコに
テトラヒドロフラン40mlを加え、−78℃に冷却し
た。次に、このフラスコに、1,1,1,3,3,3−
ヘキサメチルジシラザン10mlを加え、市販の1.6
M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液30.5mlを
20分かけて滴下し、30分攪拌後、ベンゾニトリル
4.90mlを10分かけて滴下した。次に、この溶液
を常温に戻した後、10時間攪拌し、減圧することによ
り、溶媒を留去し、フラスコ内に残った固体にトルエン
50mlを加え、トリメチルシリルクロライド12.2
mlを滴下した。この後、フラスコに冷却管を取り付
け、加熱還流を10時間行った後に濾過を行い、濾液か
ら溶媒を減圧にて留去し、目的物の粗精製物を得た。そ
して、この粗精製物を減圧蒸留により精製し、白色結晶
のN,N,N′−トリス(トリメチルシリル)ベンズア
ミジン11.0gを得た。
【0083】(b)N,N′−ビストリメチルシリルベ
ンズアミジナト銅(II)化合物の合成 充分アルゴン置換した50mlシュレンクフラスコに、
N,N,N′−トリス(トリメチルシリル)ベンズアミ
ジン1.3gと無水塩化銅0.28gを加え、続いて、
無水アセトニトリル(和光純薬工業社製)15mlを加
えて均一溶液とした。15時間経過後、濾過を行い、濾
過液から、溶媒を減圧蒸留にて留去し、目的物の粗精製
物を得た。そして、この粗精製物を、テトラヒドロフラ
ン/n−ヘキサンで再結晶させ、緑色結晶の下記の化学
式(15)で表される銅錯体0.65gを得た。なお、
下記の(15)式中、TMSは、トリメチルシリル基を
表す。また、下記化合物の同定は、IR及び元素分析に
より行った。
【0084】
【化13】
【0085】共重合体の合成 100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した
後、トルエン20mlを加え、上記方法により製造した
N,N′−ビストリメチルシリルベンズアミジナト銅
(II)化合物10.0mg、メチルアミノキサン10%
トルエン溶液(アルドリッチ社製)5mlを加えた。次
に、アクリル酸n−ブチルモノマー(e値:1.06)
2.0gをフラスコ内に導入し、20℃で7.5時間重
合反応を行い、反応溶液を、GPC用として1.0ml
サンプリングした後、アクリロニトリルモノマー(e
値:1.20)2.0gを加えた。
【0086】24時間反応させた後、反応溶液にメタノ
ール30mlを加え、反応を停止させ、触媒残渣を取り
除いた後、クロロホルムに溶解させた重合物に過剰のn
−ヘキサンを加え、沈殿した重合物を回収して、ポリマ
ー1.20gを得た。アクリロニトリル添加前にサンプ
リングした反応液についても、同様の処理を行い、ポリ
アクリル酸ブチル61mgを得た。
【0087】得られたポリマー及びポリアクリル酸ブチ
ルの解析は、GPCにより行った。なお、GPCの溶媒
には、ジメチルホルムアミド(DMF)を使用した。
【0088】アクリロニトリル添加前のポリアクリル酸
ブチルのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)
は、36500、数平均分子量(Mn)は、25600
であり、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分
子量との比(Mw/Mn)は、1.43であった。
【0089】また、アクリロニトリル添加後のポリマー
のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、59
400、数平均分子量(Mn)は、34800であり、
分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量との
比(Mw/Mn)は、1.71であった。赤外吸収スペ
クトルには、ポリアクリロニトリルのCN三重結合を示
す2243cm-1の吸収、及び、ポリアクリル酸ブチル
のカルボニル基を示す1740cm-1の吸収が観察され
た。
【0090】(実施例4)共重合体の合成 100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した
後、トルエン20mlを加え、実施例3と同様の方法に
より製造したN,N′−ビストリメチルシリルベンズア
ミジナト銅(II)化合物10.0mg、メチルアミノキ
サン10%トルエン溶液(アルドリッチ社製)5mlを
加えた。次に、アクリル酸n−ブチルモノマー2.0g
(e値:1.06)をフラスコ内に導入し、20℃で3
時間重合を行った。反応溶液を、GPC用として1.0
mlサンプリングした後、アクリロニトリルモノマー
(e値:1.20)2.0gを加えた。
【0091】3時間反応させた後、反応溶液にメタノー
ル30mlを加え、反応を停止させ、触媒残渣を取り除
いた後、クロロホルムに溶解させた重合物に過剰のn−
ヘキサンを加え、沈殿した重合物を回収して、ポリマー
0.61gを得た。アクリロニトリル添加前にサンプリ
ングした反応液についても、同様の処理を行い、ポリア
クリル酸ブチル29mgを得た。
【0092】得られたポリマー及びポリアクリル酸ブチ
ルの解析は、GPCおよびフーリエ変換型赤外分光光度
計(FT−IR)により行った。なお、GPCの溶媒に
は、ジメチルホルムアミド(DMF)を使用した。
【0093】アクリロニトリル添加前のポリアクリル酸
ブチルのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)
は、15900、数平均分子量(Mn)は、12100
であり、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分
子量との比(Mw/Mn)は、1.31であった。
【0094】また、アクリロニトリル添加後のポリマー
のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、23
900、数平均分子量(Mn)は、16100であり、
分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量との
比(Mw/Mn)は、1.48であった。赤外吸収スペ
クトルには、ポリアクリロニトリルのCN三重結合を示
す2243cm-1の吸収、及び、ポリアクリル酸ブチル
のカルボニル基を示す1740cm-1の吸収が観察され
た。
【0095】
【発明の効果】本発明では、分子内に1個以上の炭素−
炭素二重結合を有する2種以上のビニル系単量体を共重
合させる共重合体の製造方法であって、触媒及び/又は
重合開始剤として、上記一般式(1)又は、一般式
(2)で表される銅化合物と有機金属化合物とを用いて
いるので、重合反応性の異なる2種以上のビニル系単量
体の共重合を容易かつ低コストで行える。また、該銅化
合物の合成は反応段階が少なくてすむため、安価な重合
触媒が得られ、安定性に優れるため、重合操作が容易に
行える。さらに他の銅化合物と比べ重合活性が高いた
め、分子量の高い重合体が得られる。さらに、請求項2
又は3記載の本発明では、2種以上の上記ビニル系単量
体の共重合をより効果的に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J015 DA04 DA05 DA13 DA32 DA37 4J100 AA02P AA02Q AA03P AA03Q AA04P AA04Q AA07P AA07Q AA16P AA16Q AA17P AA17Q AA19P AA19Q AB02P AB02Q AB03P AB03Q AB04P AB04Q AB07P AB07Q AL03P AL03Q AL04P AL04Q AL05P AL05Q AL08P AL08Q AL10P AL10Q AL11P AL11Q AL75P AL75Q AM02P AM02Q AS02P AS02Q BA04P BA04Q BA08P BA08Q BA31P BA31Q BA41P BA41Q BB01P BB01Q BB03P BB03Q BC04P BC04Q BC08P BC08Q BC43P BC43Q BC49P BC49Q CA04 FA03 FA08 FA35

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合
    を有する2種以上のビニル系単量体を共重合させる共重
    合体の製造方法であって、触媒及び/又は重合開始剤と
    して、 一般式(1);LCuXn 、又は、一般式(2);L
    (L′)Cu で表される銅化合物(式中、L、L′は、配位子を表
    し、同じであってもよい。Xは、ハロゲン原子、アルコ
    キシル基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、第2
    級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ア
    ルキル基又はアリル基を表す。nは、0〜2の整数であ
    る。)と有機金属化合物とを用いることを特徴とする銅
    化合物を用いた共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 2種以上のビニル系単量体の内、少なく
    とも2種が、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を
    有するオレフィン、分子内に1個以上のアクリロイル基
    もしくはメタクリロイル基を有するビニル系単量体、ア
    クリロニトリルもしくはメタクリロニトリル及び、これ
    らの誘導体から選ばれるものであることを特徴とする請
    求項1記載の銅化合物を用いた共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 2種以上のビニル系単量体の内、少なく
    とも1種が分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有
    するオレフィンであり、さらに少なくとも1種が分子内
    に1個以上のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基
    を有するビニル系単量体、アクリロニトリルもしくはメ
    タクリロニトリル及び、これらの誘導体から選ばれるも
    のであることを特徴とする請求項1又は2記載の銅化合
    物を用いた共重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記一般式(1)又は、一般式(2)で
    表される銅化合物のうちの少なくとも1種は、N原子の
    不対電子により配位する配位子をその構造中に有する請
    求項1〜3いずれか1項に記載の銅化合物を用いた共重
    合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記一般式(1)で表される銅化合物中
    のCuに対する配位子Lの配位数、又は、一般式(2)
    で表される銅化合物中のCuに対する配位子LとL′と
    の合計の配位数は、3以下である請求項1〜4いずれか
    1項に記載の銅化合物を用いた共重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記一般式(1)又は、一般式(2)で
    表される銅化合物のうちの少なくとも1種は、アミジナ
    ト配位子を有する請求項1〜5いずれか1項に記載の銅
    化合物を用いた共重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(1);LCuXn 、又は、一般
    式(2);L(L′)Cuで表される銅化合物のうちの
    少なくとも1種は、下記一般式(3); 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立し
    て、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、アリル
    基、置換アリル基、水素原子又はハロゲン原子を表
    す。)、下記一般式(4); 【化2】 (式中、R5 及びR6 はそれぞれ独立して、アルキル
    基、置換アルキル基、アリール基、アリル基、置換アリ
    ル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、R7 は2価の
    炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部の炭素原子が
    窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪素原子で置換
    された官能基である。)、下記一般式(5); 【化3】 (式中、R8 及びR9 はそれぞれ独立して、アルキル
    基、置換アルキル基、アリール基、アリル基、置換アリ
    ル基、水素原子又はハロゲン原子を表し、R10は2価の
    炭化水素基、又は、前記炭化水素基の一部の炭素原子が
    窒素原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪素原子で置換
    された官能基である。)、及び、下記一般式(6); 【化4】 (式中、R11及びR12はそれぞれ独立して、2価の炭化
    水素基、又は、前記炭化水素基の一部の炭素原子が窒素
    原子、硫黄原子、酸素原子もしくは珪素原子で置換され
    た官能基である。)からなる群より選択される少なくと
    も一種の配位子を有する請求項1〜6いずれか1項に記
    載の銅化合物を用いた共重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 炭素数の最も小さいビニル系単量体の重
    合を開始した後に、重合系内に他の単量体を添加するこ
    とを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の銅化
    合物を用いた共重合体の製造方法。
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