JP2001139577A - 新規抗生物質pf1185a物質、pf1185b物質及びpf1185c物質、並びにそれらの製造法及びそれらの用途 - Google Patents

新規抗生物質pf1185a物質、pf1185b物質及びpf1185c物質、並びにそれらの製造法及びそれらの用途

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JP2001139577A JP32769299A JP32769299A JP2001139577A JP 2001139577 A JP2001139577 A JP 2001139577A JP 32769299 A JP32769299 A JP 32769299A JP 32769299 A JP32769299 A JP 32769299A JP 2001139577 A JP2001139577 A JP 2001139577A
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pf1185b
pf1185a
pf1185c
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Masato Tani
匡人 谷
Hideaki Kobayashi
秀明 小林
Naoko Miike
直子 三池
Kinuko Nagase
きぬ子 長瀬
Takashi Yaguchi
貴志 矢口
Toru Sasaki
徹 佐々木
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】細胞増殖阻害活性を有し、各種の用途の医薬と
して有用な新規抗生物質を見出すこと。 【解決手段】細胞増殖阻害活性を有するPF1185A物質
(式I)、PF1185B物質及びPF1185C物質又はこれらの製
薬学的に許容される塩を提供する。また、それらの製造
法及びそれらのうちの少なくとも一つを含有する医薬組
成物を提供する。 【化1】次式(I)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規抗生物質PF11
85A物質、PF1185B物質及びPF1185C物質に関する。ま
た、本発明はそれらのPF1185A物質、PF1185B物質及びPF
1185C物質の製造法に関する。さらに本発明はPF1185A物
質、PF1185B物質又はPF1185C物質を有効成分として含む
医薬組成物に関する。さらにまた、本発明は、前記のPF
1185A物質、PF1185B物質及びPF1185C物質を生産する特
性を有する新規な微生物、PF1185株を包含する。
【0002】
【従来の技術】不治の病とされた癌は、近年における化
学療法、外科的な治療法、放射線療法、温熱療法など治
療技術の進歩及び診断技術の進歩に伴い、一部ではある
が治療できるようになってきている。特に、抗生物質の
投与による化学療法は、新しい抗癌剤の開発や各種抗癌
剤の併用療法の開発により、以前に比べて高い治療効果
を得るに至っている。
【0003】しかしながら、癌は今なお死亡率の上位を
占め、有効な治療法の確立には至っていない。また生活
の質の向上という観点から副作用の強い治療法は見直さ
れてきている。さらに化学療法に関しては、腫瘍細胞が
耐性を獲得して従来の抗生物質が効かなくなる現象が認
められている。
【0004】腫瘍細胞の耐性化については、薬剤を細胞
外へ排出するポンプとして働くP-糖タンパクの過剰発現
がその原因の一つと考えられており、ベラパミルやカル
モジュリンなどいくつかの薬剤がP-糖タンパクの機能を
阻害することにより腫瘍細胞の薬剤感受性を回復するこ
とが知られている(「Molecular and cellular biology
of multidrug resistance in tumor cells」、349‐37
2頁、1991年、PlenumPublishing社(ニューヨー
ク))。そのためP-糖タンパクを阻害する薬剤は、癌の
化学療法における多剤耐性克服剤としての有用性が期待
されており、MS-209など開発が進められている薬剤もあ
る(薬学雑誌、117巻、455-467頁、1997年)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況で、こ
れまでの抗腫瘍剤とは異なる構造及び作用機作を有する
新規抗腫瘍剤の開発が望まれている。またP-糖タンパク
による薬剤の細胞外への排出を阻害して、従来の抗腫瘍
剤あるいは免疫抑制剤の感受性を高める多剤耐性克服剤
の開発も期待される。
【0006】本発明の一つの目的は、癌の化学療法に有
効な新規抗腫瘍剤若しくは多剤耐性克服剤を提供するこ
とにある。
【0007】本発明の別の目的は、本発明の化合物の製
造法を提供することにある。本発明のさらに別の目的
は、医薬として有用である本発明の化合物の製造法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、細胞増殖
阻害活性を指標に新規抗腫瘍剤となり得る抗生物質を微
生物産物中より探索した。そして、本発明者らは、クリ
ソスポリウム属に属するPF1185菌株の培養物中に細胞増
殖阻害活性を有する物質の存在を認めた。次いで、培養
物中のその活性物質を、培養物から採取及び精製後、構
造解析を行い、それらの物質が後述の式(I)〜式(II
I)で表される新規の化学構造を有することを見出し
た。
【0009】さらに精製したこれらの物質が、細胞増殖
阻害活性と、多剤耐性細胞における薬剤排出作用を阻害
する活性を併せ持つことを明らかにし、本発明を完成し
た。
【0010】即ち、第1の本発明においては、次式
(I)
【0011】
【化4】 で表わされるPF1185A物質が提供される。
【0012】第2の本発明においては、次式(II)
【0013】
【化5】 で表わされるPF1185B物質が提供される。
【0014】第3の本発明においては、次式(III)
【0015】
【化6】 で表わされるPF1185C物質が提供される。
【0016】次に本発明であるPF1185A物質、PF1185B物
質及びPF1185C物質の各物質の物理化学的性状を記載す
る。
【0017】第1の本発明によるPF1185A物質は前述の式
(I)で表され、下記の物理学的性状を有する。 (1)色及び性状:無色針状結晶 (2)分子式:C29H28N2O5 (3)マススペクトル(FAB-MS):m/z 485 (M+H)+ (4)比旋光度:[α]D=−34.1°(c 0.4, CHCl3, 25
℃) (5)融点:114℃〜116℃ (6)紫外線吸収スペクトル(MeOH溶液) λmax, nm(ε):208 (70325), 238s (21296), 290s
(3872) (7)赤外線吸収スペクトル(KBr錠) νmax, cm-1:1647, 1510, 1452, 1431, 1317, 1294, 1
267, 1194, 1134,1103, 1089, 1039, 702 (8)1H-NMRスペクトル(CDCl3, 400 MHz) 互変異性体による2種類のシグナルが観測された。ここ
では主成分のシグナルについて記載する。 δ(ppm):1.72 (3H, s), 2.90(1H, dd), 2.94(1H, d
d), 2.99(2H, m), 3.72(1H, m), 3.90 (3H, s), 4.04
(1H, m), 4.08 (1H, m), 4.62 (1H, dd), 4.88 (1H, d
d), 5.99(1H, d), 5.99 (1H, d ), 6.37 (1H, d), 6.40
(1H, d), 6.86 (1H, dd), 7.18 (2H, d), 7.26 (1H,
d), 7.32 (2H, dd), 7.39 (1H, ddd), 7.42 (1H, ddd),
8.22 (1H, dd) (9)13C-NMRスペクトル(CDCl3, 100 MHz) 互変異性体による2種類のシグナルが観測された。ここ
では主成分のシグナルについて記載する。 δ(ppm):20.9, 36.2, 41.6, 45.3, 47.9, 56.1, 56.
8, 59.2, 101.6,102.8, 108.8, 127.0, 127.0, 127.5,
127.6, 128.4, 128.9(×2), 129.2(×2), 132.6, 133.
9, 134.9, 137.4, 139.4, 143.8,149.5, 164.9, 169.4 (10)溶解性:メタノール、クロロホルム、酢酸エチ
ル及びジメチルスルフォキシドに可溶、ヘキサン及び水
に不溶である。
【0018】第2の本発明によるPF1185B物質は前述の式
(II)で表わされ、下記の物理化学的性状を有する。 (1)色及び性状:無色針状結晶 (2)分子式:C29H26N2O6 (3)マススペクトル(FAB-MS):m/z 499 (M+H)+ (4)比旋光度:[α]D=+43.4°(c 0.4, CHCl3, 25
℃) (5)融点:177℃〜180℃ (6)紫外線吸収スペクトル(MeOH溶液) λmax, nm(ε):208 (73156), 238 (32419), 285s (5
976) (7)赤外線吸収スペクトル(KBr錠) νmax, cm-1:1693, 1647, 1637, 1510, 1462, 1448, 1
431, 1417, 1373, 1344, 1317, 1294, 1269, 1230, 121
1, 1192, 1134, 1101, 1037, 692 (8)1H-NMRスペクトル(CDCl3, 400 MHz) 互変異性体による2種類のシグナルが観測された。ここ
では主成分のシグナルについて記載する。 δ(ppm):1.98 (3H, s), 3.49 (1H, dd), 3.64 (2H,
d), 3.90 (3H, s), 3.92 (1H, dd), 4.21 (1H, d), 4.9
6 (1H, dd), 5.99 (1H, dd), 6.02 (2H, s ), 6.39 (1
H, d), 6.43 (1H, d), 6.79 (1H, dd), 7.34 (1H, dd
d), 7.38 (1H, ddd), 7.48 (2H, ddd), 7.59 (1H, dd),
7.95 (2H, dd), 8.10 (1H, dd) (9)13C-NMRスペクトル(CDCl3, 100 MHz) 互変異性体による2種類のシグナルが観測された。ここ
では主成分のシグナルについて記載する。 δ(ppm):21.2, 41.2, 46.9, 47.5, 54.7, 56.8, 59.
2, 101.7, 102.5, 108.9, 127.2, 127.2, 127.4, 128.3
(×2), 128.4, 128.7(×2), 132.4, 133.4, 133.4, 13
4.8, 135.0, 139.8, 143.9, 149.6, 164.0, 169.9, 19
7.0 (10)溶解性:メタノール、クロロホルム、酢酸エチ
ル及びジメチルスルフォキシドに可溶、ヘキサン及び水
に不溶である。
【0019】第3の本発明によるPF1185C物質は前述の式
(III)で表わされ、下記の物理化学的性状を有する。 (1)色及び性状:無色針状結晶 (2)分子式:C22H20N2O5 (3)マススペクトル(FAB-MS):m/z 393 (M+H)+ (4)比旋光度:[α]D=−132.5°(c 0.4, CHCl3, 25
℃) (5)融点:164℃〜166℃ (6)紫外線吸収スペクトル(MeOH溶液) λmax, nm(ε): 210 (65738), 238 (33829), 280s
(13328), 290 (14268), 317 (14072) (7)赤外線吸収スペクトル(KBr錠) νmax, cm-1:1637, 1508, 1458, 1423, 1392, 1338, 1
307, 1275, 1246, 1232, 1136, 1103, 1091, 1039, 101
6, 750 (8)1H-NMRスペクトル(CDCl3, 400 MHz) 互変異性体による2種類のシグナルが観測された。ここ
では主成分のシグナルについて記載する。 δ(ppm):2.17(3H, s), 2.91(1H, dd), 3.91(3H, s),
4.08(1H, d), 4.19(1H, ddd), 4.54(1H, ddd), 6.01(1
H, d), 6.03(1H, d), 6.20(1H, dd), 6.41(1H, d), 6.4
2(1H, d), 6.73(1H, dd), 7.02(1H, d), 7.37(1H, dd
d), 7.38(1H, ddd), 8.14(1H, dd) (9)13C-NMRスペクトル(CDCl3, 100 MHz) 互変異性体による2種類のシグナルが観測された。ここ
では主成分のシグナルについて記載する。 δ(ppm):21.1, 43.2, 47.8, 56.8, 57.9, 101.7, 10
2.9, 108.3, 109.3, 110.9, 127.1, 127.4, 127.6, 12
8.4, 131.8, 132.7, 135.2, 139.9, 144.0, 149. 7, 15
9.7, 166.9 (10)溶解性:メタノール、クロロホルム、酢酸エチ
ル及びジメチルスルフォキシドに可溶、ヘキサン及び水
に不溶である。
【0020】さらに、第4の本発明においては、クリソ
スポリウム属に属して且つ前記の式(I)のPF1185A物
質、前記の式(II)のPF1185B物質及び前記の式(III)
のPF1185C物質のうちの少なくとも一つを生産する菌を
培養し、その培養物からPF1185A物質、PF1185B物質及び
PF1185C物質のうちの少なくとも一つを採取することを
特徴とする、PF1185A物質、PF1185B物質及び/又はPF11
85C物質の製造法が提供される。
【0021】第4の本発明における製造法に使用されるP
F1185A物質、PF1185B物質及びPF1185C物質のうち少なく
とも一つを生産する菌(以下、「PF1185物質生産菌」と
略記することもある。)の一例としては、クリソスポリ
ウム属に属する糸状菌PF1185株が挙げられる。本PF1185
株の菌学的性状は以下の通りである。
【0022】尚、PF1185株は他のカビに見られるように
その性状が変化し易く、PF1185株に由来する突然変異
株、形質接合体若しくは遺伝子組換体であっても、PF11
85A物質、PF1185B物質及びPF1185C物質のうち少なくと
も一つを生産する能力を有している菌であれば、PF1185
物質生産菌としていずれを用いても良い。
【0023】1.PF1185株の菌学的性状 (1)コロニーの性状 ツァペック酵母エキス寒天培地上でやや抑制的な生育を
示し、25℃、14日間の培養でコロニーの直径は17 mm〜2
0 mmに達する。白色〜淡黄色、ベルベット状、密な菌糸
層からなり、分生子をまばらに形成する。裏面は濃茶色
となる。オートミール寒天培地上では生育は良好で、25
℃、14日間の培養でコロニーの直径は20 mm〜25 mmに達
する。紫灰色、ベルベット状〜粉状、密な菌糸層からな
り、分生子を豊富に形成する。コロニー表面に透明の抽
出液及び寒天中に黄緑色の可溶性色素を生じる。裏面は
暗緑色となる。37℃の培養では、どの培地上でも生育し
ない。 (2)形態的性状 分生子は、菌糸の先端もしくは短い分枝より生じ、アレ
ウロ型、楕円形〜洋なし形、下端は裁断状、粗面、大き
さ1.5〜2μm×2〜3μmである。
【0024】以上の菌学的性状より、PF1185株を、クリ
ソスポリウム(Chrysosporium)属に属するカビと同定
した。尚、PF1185株は工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM P-17603として寄託されている。
【0025】次に、第4の本発明の方法によって、PF118
5A物質、PF1185B物質及びPF1185C物質のうち少なくとも
一つを製造する具体的な方法を記載する。
【0026】2.PF1185物質生産菌の培養法 第4の本発明の方法では、PF1185物質生産菌、好ましく
はPF1185株を通常の微生物が利用し得る栄養物を含有す
る培地で培養する。使用される培地は、天然培地、合成
培地のいずれでも良い。栄養源としては、従来カビの培
養に利用されている公知のものが使用できる。例えば、
炭素源としては、ぶどう糖、しょ糖、水飴、デキストリ
ン、澱粉、グリセロール、糖蜜、動植物油等を使用し得
る。また、窒素源としては、大豆粕、小麦胚芽、コーン
・スティープ・リカー、綿実粕、肉エキス、ペプトン、
酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素
等を使用し得る。尚、これらの炭素源、窒素源はそれぞ
れ併用することができる。
【0027】その他必要に応じてナトリウム、カリウ
ム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、塩素、燐
酸、硫酸及びその他のイオンを生成することができる無
機塩類を添加することは有効である。菌の発育を助け、
PF1185A物質、PF1185B物質及びPF1185C物質の生産を促
進するような有機物及び無機物を適当に添加することが
できる。また、培地が発泡する場合には、液体パラフィ
ン、動物油、植物油、鉱物油又はシリコン等を添加する
ことができる。
【0028】PF1185物質生産菌の培養は、好気的条件で
の培養法、特に静置培養法が最も適している。培養に適
当な温度は、PF1185物質生産菌が目的物質を生産する範
囲内で適宜変更可能であるが、好ましくは下限が25℃で
あり、上限が30℃で、多くの場合は26℃付近で培養する
のが望ましい。培養時間は培地又は培養条件によって異
なるが、静置培養、振とう培養、タンク培養のいずれに
おいても、通常2日間から14日間でその蓄積が最高に達
する。培養液中のPF1185物質の蓄積が最高になった時に
培養を停止し、培養物から目的物質であるPF1185物質の
少なくとも一つを精製する。
【0029】3.PF1185物質の精製法 微生物培養物からの本発明のPF1185物質の精製に当たっ
ては、その性状を利用した通常の分離手段、例えば溶剤
抽出法、吸着剤を用いた吸脱着法、各種樹脂を用いたク
ロマトグラフ法及び沈殿法等を適宜組み合わせて精製す
ることができる。例えばPF1185株の培養物に67 %アセト
ン水溶液を加えて目的物質を抽出し、アセトン留去後酢
酸エチルで抽出する。これをシリカゲル、LH-20の各カ
ラムにかけて順次精製を進め、最後にHPLCもしくはTLC
による分画操作を行なうことによりPF1185物質の各々を
単離することができる。
【0030】本発明のPF1185物質は、後述の試験例で示
すように細胞増殖阻害活性を有し、ヒトを含む動物に医
薬として投与することが有用である。具体的には癌の治
療及び予防に効果がある。
【0031】また、本発明のPF1185物質は後述の試験例
で示すようにP-糖タンパクによる薬剤の細胞外への排出
を阻害する。そのため従来の抗腫瘍剤若しくは免疫抑制
剤に対して耐性化した細胞の薬剤感受性を高めることが
でき、多剤耐性克服剤として有効である。
【0032】本発明のPF1185物質を医薬として投与する
場合、種々の投与形態又は使用形態に合わせて、常法に
従い製剤化する。
【0033】経口投与のための製剤としては、錠剤、丸
剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロッ
プ剤、舌下剤等が挙げられる。また非経口投与のための
製剤としては、注射剤、経皮吸収剤、吸入剤、坐剤等が
挙げられる。製剤化に際しては、界面活性剤、賦形剤、
安定化剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解補助剤、等張剤、緩衝
剤、着色料、着香料等の医薬用添加剤を適宜使用する。
【0034】医薬としての投与量は、患者の年齢、体
重、疾病の種類や程度、投与経路により異なるが、ヒト
に経口投与する場合には成人一人当たり一日に0.02 mg/
kg〜200 mg/kg、静脈投与の場合には同じく0.01 mg/kg
〜100 mg/kgの範囲内で投与する。
【0035】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、ここに示さなかった変法
あるいは修飾手段の全てを包括する。
【0036】実施例1 発酵によるPF1185物質の生産 1. PF1185物質生産菌の培養 種培地として、澱粉2.0 %、ぶどう糖1.0 %、ペプトン
0.5 %、小麦胚芽 0.6 %、酵母エキス 0.3 %、大豆粕 0.
2 %及び炭酸カルシウム 0.2 % の組成からなる培地(殺
菌前pH 7.0)を用いた。また、生産培地としては、十分
水を吸収させた米に、大豆粕 2.5 %を添加した固形培地
を用いた。前記の種培地20 mlを分注した100 ml容三角
フラスコを120℃で15分間殺菌し、これにPF1185株(FER
M P-17603)の斜面寒天培養の1白金耳を植菌後、25℃
で3日間振とう培養した。次いで、生産培地100 gを分注
した500 ml容三角フラスコを120℃で15分間殺菌し、こ
れに上記種培養液を4 mlずつ植菌し、良く撹拌後、28℃
で14日間静置培養した。
【0037】2.活性物質の精製 こうして得られた培養物1 kgに67 %アセトン2 Lを加え
て抽出し、そのろ液から減圧下でアセトンを留去した
後、1 Lの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を減圧
下濃縮したところ粗抽出物530 mgが得られた。粗抽出物
はメタノール10 mlに溶解し、2 gのシリカゲル(ワコー
ゲルC300、和光純薬社製)を加えて減圧下乾固した。シ
リカゲルに吸着させた粗抽出物をグラスフィルター上の
シリカゲル5 gに重層し、クロロホルム140 mlで溶出後
乾固して304 mgの溶出物を得た。これを少量のクロロホ
ルムに溶解後、クロロホルム:メタノール=1:10の溶
媒に懸濁して充填したセファデックスLH-20(直径3 cm
×80 cm、ファルマシア社製)に重層し、同じ溶媒で溶
出した。溶出量380 ml〜416 ml及び430 ml〜480 mlの画
分から、PF1185A物質及びPF1185B物質の混合物142 mg及
びPF1185C物質52 mgをそれぞれ得た。PF1185A物質及びP
F1185B物質の混合物はさらにシリカゲルカラムを用いて
分離した。ヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶媒にシリカ
ゲル14 gを懸濁してカラムに充填し、試料を重層後、ヘ
キサン:酢酸エチル=1:1及びヘキサン:酢酸エチル=
2:3の溶媒各々200 mlで溶出し、PF1185A物質を58 mg、
PF1185B物質を79 mg得た。
【0038】試験例1 細胞増殖阻害活性 マウス脾臓細胞を用いて3H-チミジンの細胞内取り込み
量を指標にPF1185A物質、PF1185B物質及びPF1185C物質
の細胞増殖阻害活性を測定した。6週齢のBALB/c系雄マ
ウスより脾臓細胞を摘出し、コンカナバリンA(終濃度
1.0μg/ml)及び試料を添加して37℃で培養した。3日間
培養後、3H-チミジンを添加してさらに6時間培養し、ろ
取した細胞の3H含量を測定した。細胞増殖率は、試料無
添加のものを100 %、コンカナバリンA無添加のものを0
%として算出した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】試験例2 耐性株における薬剤排出阻害作
用 アドリアマイシン耐性のMCF-7細胞を用いて、細胞内に
取りこまれたローダミン6 Gを細胞外に排出する作用に
対する、PF1185A物質の阻害活性を測定した。継代培養
したMCF-7細胞に試料とローダミン6 G(終濃度1.0μM)
を添加して1時間培養後、細胞内に蓄積されたローダミ
ン6 Gを比色定量した。阻害率は試料無添加時を0%、試
料の代わりにフルペンチゾール5.0μMを添加した場合を
100 %として算出した。その結果、PF1185A物質はローダ
ミン6 Gの細胞外への排出を阻害し、その50 %阻害濃度
は0.21μg/mlであった。
【0041】
【発明の効果】本発明のPF1185A物質、PF1185B物質及び
PF1185C物質はいずれも細胞増殖抑制作用を有するため
抗腫瘍剤として有用である。また、従来の抗腫瘍剤若し
くは免疫抑制剤に対する耐性を獲得した細胞において、
P-糖タンパクによる細胞外への薬剤排出を阻害すること
から、多剤耐性克服剤としても有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 17/18 C12P 17/18 B //(C12N 1/14 (C12N 1/14 A C12R 1:645) C12R 1:645) (C12P 17/18 (C12P 17/18 C12R 1:645) C12R 1:645) (72)発明者 長瀬 きぬ子 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治製 菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 矢口 貴志 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治製 菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 佐々木 徹 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治製 菓株式会社薬品総合研究所内 Fターム(参考) 4B064 AE58 BA04 BA05 BC02 BC03 BE07 BE09 BE14 BE19 BG01 BG09 BH01 BH02 BH04 BH05 BH06 BH07 CA05 DA05 4B065 AA58X BA22 CA18 CA44 4C065 AA03 AA18 BB12 CC09 DD02 EE02 HH04 JJ04 KK02 KK09 LL01 PP03 PP18 QQ07 QQ08 QQ10 4C086 CB09 GA02 NA14 ZB26 ZC75

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式(I) 【化1】 で表わされるPF1185A物質。
  2. 【請求項2】次式(II) 【化2】 で表わされるPF1185B物質。
  3. 【請求項3】次式(III) 【化3】 で表わされるPF1185C物質。
  4. 【請求項4】クリソスポリウム属に属し、請求項1に記
    載の式(I)のPF1185A物質、請求項2に記載の式(II)
    のPF1185B物質及び請求項3に記載の式(III)のPF1185
    C物質のうちの少なくとも一つを生産する菌を培養し、
    その培養物からPF1185A物質、PF1185B物質及びPF1185C
    物質の少なくとも一つを採取することを特徴とする、PF
    1185A物質、PF1185B物質及びPF1185C物質の製造法。
  5. 【請求項5】PF1185A物質、PF1185B物質及びPF1185C物
    質の少なくとも一つを生産する菌が工業技術院生命工学
    工業技術研究所にFERM P-17603の寄託番号で寄託されて
    あるPF1185株である請求項4に記載の製造法。
  6. 【請求項6】請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載
    の式(I)のPF1185A物質、式(II)のPF1185B物質又は
    式(III)のPF1185C物質を、製薬学上許容し得る担体と
    ともに含んでなる医薬組成物。
  7. 【請求項7】抗腫瘍剤若しくは多剤耐性克服剤として用
    いられる請求項6記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】クリソスポリウム属に属する微生物であっ
    て、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の式
    (I)のPF1185A物質、式(II)のPF1185B物質及び式(I
    II)のPF1185C物質を生産する特徴を有し、工業技術院
    生命工学工業技術研究所におけるFERM P-17603の寄託番
    号を有するPF1185株。
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