JPH07149637A - ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤 - Google Patents

ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤

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JPH07149637A
JPH07149637A JP5300673A JP30067393A JPH07149637A JP H07149637 A JPH07149637 A JP H07149637A JP 5300673 A JP5300673 A JP 5300673A JP 30067393 A JP30067393 A JP 30067393A JP H07149637 A JPH07149637 A JP H07149637A
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quinones
physiologically active
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culture
strain
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JP5300673A
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English (en)
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Hiroshi Ogawara
宏 小河原
Kyoichiro Azuma
恭一郎 東
Junko Takashima
純子 高嶋
Noriko Chiba
紀子 千葉
Nobuji Yoshikawa
展司 吉川
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤を提供
する。 【構成】 ドレクスレラ(Drechslera)属に属する微生
物を培養して、下記一般式(I)で表される生理活性キ
ノン類を培養物中に精製蓄積せしめ、その培養物から前
記生理活性キノン類を採取し、これをジアシルグリセロ
ールキナーゼ阻害剤の有効成分として配合する。 【化1】 但し、上記一般式中(I)中、Rは下記式(II)又は下
記式(III)で表される基を表わす。 【化2】 【化3】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジアシルグリセロール
キナーゼ阻害剤及びその製造法に関し、詳しくは生理活
性キノン類を有効成分とするジアシルグリセロールキナ
ーゼ阻害剤とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ホルモンや細胞増殖因子などで細
胞を処理するとホスファチジン酸(PA)が蓄積するこ
とに加え、PA自身も強い細胞増殖作用を有することが
わかってきた(Nature, 323, 171-173(1986))。
【0003】また、PAがras蛋白のGTPase活
性を調節することも報告され(Science, 243, 522-526,
(1989);Science, 250, 982-985,(1990))、セカンドメ
ッセンジャーとしてras蛋白をターゲットとする新た
なシグナル伝達機構も予想される。
【0004】さらに、PAは好中球や血小板の活性化に
も深く関与していることが知られている。このPAの産
生経路としては、現在2つの経路が考えられている。1
つは、ホスホリパーゼC(PLC)により生じたジアシ
ルグリセロール(DG)がジアシルグリセロールキナー
ゼ(以下、「DGキナーゼ」という)によりリン酸化さ
れてPAに変換するルートであり、もう1つは、ホスホ
リパーゼD(PLD)により直接PAが産生する経路で
ある。
【0005】したがって、このような反応を阻害するD
Gキナーゼ阻害剤は、好中球や血小板の活性化を抑える
ことにより、新しいメカニズムの抗炎症剤や抗動脈硬化
剤となることが期待される。
【0006】現在、癌の化学療法の分野において、多く
の化学物質が医薬品として実用化されているが、多くの
場合薬効が不十分なだけでなく、これらの薬剤に対する
腫瘍細胞の耐性化の問題も、臨床上の使用法を複雑にし
ている(第47回日本癌学会総会記事、12〜15頁
(1988年)参照)。このような状況下にあって、癌
治療の分野においては常に新規な抗腫瘍性物質の開発が
求められている。
【0007】また、従来の抗腫瘍性物質は、その作用機
序が細胞の分裂増殖の基本機構に対する抑制作用に基づ
いていることから、その作用は癌細胞のみに限定される
ものではなく、正常細胞に対しても非特異的に細胞毒作
用を与え、結果として薬物投与時に副作用をもたらすこ
とが臨床上の大きな問題となっており、必ずしも満足す
べき状況ではない。従って、癌細胞に特異的に作用し、
正常細胞に副作用を持たない抗腫瘍剤の登場が望まれて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、新しいタイプの抗腫瘍剤、抗炎
症剤あるいは抗動脈硬化剤の開発を最終的な目的とし、
そのためにDGキナーゼ阻害剤を提供することを課題と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、微生物が抗
生物質等の生理活性物質を生産することに着目し、自然
界より多数の微生物を採取して、それらの微生物から分
離された多種類の培養物について検討を重ねた結果、ド
レクスレラ サッカリ(Drechslerasacc
hari)の培養物中に、DGキナーゼ阻害作用を有す
る物質が含有していることを見出し、その物質の構造を
明らかにして、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、下記一般式(I)で
表される生理活性キノン類を有効成分として含有するD
Gキナーゼ阻害剤である。
【0011】
【化4】
【0012】但し、上記一般式(I)中、Rは下記式
(II)又は下記式(III)で表される基を表わす。
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】尚、本明細書において、「培養物」とは、
菌体及び/又は培養上清をいうものとする。以下、本発
明を詳細に説明する。
【0016】<1>本発明のDGキナーゼ阻害剤 本発明のDGキナーゼ阻害剤は、上記一般式(I)で表
される生理活性キノン類(以下、単に「生理活性キノン
類」という。)を有効成分として含有する。この生理活
性キノン類は、真菌が産生する黄色色素として既に知ら
れている(Chem. Commun., 1971, 164-166、Tetrahedro
n Letters, 29, 2545-2548 (1974))。また、その生理活
性については、抗菌作用を有するという報告がある(Ca
nadian J. Microbiol., 14, 1015-1016 (1968))。しか
しながら、上記生理活性キノン類が、DGキナーゼ阻害
作用を有することは未だ報告されていない。本発明は、
生理活性キノン類がDGキナーゼ阻害作用を有すること
を初めて見出し、その知見に基づいてなされたものであ
る。尚、生理活性キノン類の物理化学的性質及びDGキ
ナーゼ阻害作用は、後記実施例に示した。
【0017】本発明のDGキナーゼ阻害剤は、これを医
薬として用いるに当たり、通常の製剤担体とともに投与
経路に応じた製剤とする事が出来る。例えば、経口投与
では錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等の形態に
調剤される。経口投与用固形製剤に調製するに当たり、
慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、その他着色剤、崩壊剤
等を用いることができる。
【0018】賦形剤としては、例えば、乳糖、デンプ
ン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロー
ス、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等が
挙げられ、結合剤としてはポリビニルアルコール、ポリ
ビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、シ
エラック、白糖等が挙げられ、滑沢剤としてはステアリ
ン酸マグネシウム、タルク等が挙げられる。その他、着
色剤、崩壊剤も通常公知のものを用いることができる。
【0019】尚、錠剤は周知の方法によりコーティング
してもよい。また液状製剤は水性または油性の懸濁液、
溶液、シロップ、エリキシル剤、その他であってもよ
く、通常用いられる方法にて調製される。注射剤を調製
する場合は、生理活性キノン類にpH調整剤、緩衝剤、
安定化剤、等張剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により
皮下、筋肉内、静脈内用注射剤を製造することができ
る。また、坐剤を製造する際の基剤としては、例えばカ
カオ脂、ポリエチレングリコール、ラノリン、脂肪酸ト
リグリセライド、ウイテプゾール(ダイナマイトノーベ
ル社の登録商標)等の油脂性基剤を用いることができ
る。
【0020】かくして調製される製剤は、各種ガンある
いは腫瘍、各種炎症、動脈硬化症等に対して治療効果が
期待される。投与量としては、患者の症状、体重、年齢
等によって異なり、一様に服用することは出来ないが、
生理活性キノン類の量として、通常成人1日当たり約1
0〜2000mgの範囲が好ましく、これを通常1日1
〜4回に分けて投与するのが望ましい。
【0021】<2>本発明に用いる生理活性キノン類の
製造法 本発明に用いる上記生理活性キノン類は、例えば、これ
を産生する微生物を培養し、その培養物、すなわち菌体
及び/又は培養上清から生理活性キノン類を単離するこ
とによって得られる。本発明の生理活性キノン類の製造
法においては、使用される微生物は、ドレクスレラ属に
属する微生物であって、生理活性キノン類を産生する能
力があればいかなるものであってもよい。例えば、ドレ
クスレラ・サッカリ等が挙げられ、より好ましくは後述
のドレクスレラ・サッカリ D2597株が挙げられ
る。
【0022】以下に、上記微生物の培養、生理活性キノ
ン類の単離、精製について詳しく例示する。
【0023】(1)培養 本発明においては、ドレクスレラ属に属し生理活性キノ
ン類を産生する微生物を、通常の微生物が利用しうる栄
養物を含有する培地で培養する。炭素源としては、クル
コース、水アメ、デキストリン、シコクロース、デンプ
ン、糖蜜、動・植物油等を使用できる。また窒素源とし
ては、大豆粉、小麦胚芽、コーンスティープ・リカー、
綿実粕、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモ
ニウム、硝酸ソープ、尿素等を使用できる。その他必要
に応じて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネ
シウム、コバルト、塩素、リン酸、硝酸およびその他の
イオンを生成することのできる無機塩類を添加すること
は有効である、また菌の生育を助け生理活性キノン類の
生産を促進するような有機および無機物を適当に添加す
ることができる。
【0024】培養法としては、好気的条件下での培養
法、特に寒天培地等を用いた表面培養法が最も適してい
る。培養に適当な温度は10〜30℃であるが、多くの
場合、20〜27℃付近で培養する。生理活性キノン類
の生産は、培地や培養条件により異なるがフラスコ内の
寒天培地表面培養法では、通常7〜21日の間、その蓄
積が最高に達する。培養物中の生理活性キノン類の蓄積
量が最高になった時に培養を停止し、培養物から生理活
性キノン類を単離精製する。
【0025】(2)生理活性キノン類の単離、精製 本発明に用いる生理活性キノン類は、脂溶性物質である
ので、培養物から単離精製するにあたっては、この特性
を利用して行うことができる。すなわち、例えば酢酸エ
チル、クロロルホルム等による溶媒抽出法;シリカゲ
ル、アルミナ、ODS、ダイヤイオンHP−20(三菱
化成(株)製)等の合成吸着剤や、セファデックスLH
−20(ファルマシア社製)等のゲルろ過剤等を用いた
カラムクロマトグラフィー、あるいは高速液体クロマト
グラフィー;さらにシリカゲル等を担体とした分取薄層
クロマトグラフィー等が有効である。
【0026】<3>生理活性キノン類の製造に用いる新
規菌株 上記生理活性キノン類を産生するドレクスレラ属に属す
る微生物として、本発明者により新たに植物落葉落枝上
より分離された不完全菌類ドレクスレラ・サッカリ D
2597株(以下、「本菌株」または「D2597株」
と略記する。)について説明する。本菌株の微生物学的
性質は下記の通りである。
【0027】(1)形態学的性状 本菌株を、LCA(三浦培地)上で27℃、7日間培養
したときのコロニーの生育は旺盛であり、コロニー表面
は綿毛状であり、培養初期はオリーブ色、培養が長くな
ると暗い黄茶色を呈する。また、コロニーの裏面は灰色
がかった黄茶色を呈する。
【0028】基底菌糸は分岐し、巾は4.5−6.6μ
mであり、隔壁を有し、無色〜淡褐色を呈する。気生菌
糸は豊富に生じ、分岐し、無色〜淡褐色を呈し、巾は
5.6−7.8μmである。
【0029】分生子柄は、基底菌糸あるいは気生菌糸よ
り単生し、通常無分岐であるがまれに分岐し、まっすぐ
又はやや屈曲した形状であり、先端でジグザグ状とな
り、数個〜15個の分生子をつける。分生子柄は、31
2〜938×5.6×7.2μmの大きさであり、淡褐
色を呈し、表面は平滑であり、隔壁を有する。また、分
離痕(Scar)は明瞭である。
【0030】分生子はポロ型分子であり、通常倒棍棒形
であり、先端に向って細まり、やや湾曲するが、ときに
円筒形〜細長い楕円形で真っ直ぐである。また、表面は
平滑であり、黄金褐色を呈し、3〜9個の偽隔壁を有
す。大きさは24.6〜87×10.8〜17μmであ
り、分生子基部のへそ(hilum)は小形で不明瞭で
ある。
【0031】(2)各種培地上における特徴 ボテト・デキストロース寒天培地(PDA)上で27
℃、2週間培養したときの性状 コロニーの生育は旺盛であり、表面は綿毛状を呈し、培
養初期は明るいオリーブ色〜オリーブ色、培養が長くな
ると黄褐色を呈する。また、コロニーの裏面は茶灰色を
呈する。基底菌糸は分岐し、隔壁を有し、無色〜淡褐色
を呈する。気性菌糸は豊富に生じ、分岐し、淡褐色を呈
し、分生子を豊富に形成する。
【0032】麦芽寒天培地上で27℃、2週間培養し
たときの性状 コロニーの生育は旺盛であり、表面は綿毛状を呈し、培
養初期は明るいオリーブ色〜オリーブ色、培養が長くな
ると黄褐色となる。コロニーの裏面は、黄褐色〜暗い黄
色を呈する。
【0033】基底菌糸は分岐し、隔壁を有し、無色〜褐
色を呈する。気性菌糸は豊富に生じ、分岐し、淡褐色〜
褐色を呈する。分生子形成は中程度である。
【0034】(3)生理学的性状 生育の範囲 生育温度:10〜37℃(PDA上、5日間培養) 生育pH:3〜9(LCA液体培地上、27℃、5日間
培養)
【0035】至適生育範囲 至適温度:27〜30℃ 至適pH:4〜6
【0036】(4)分類学的考察 本菌株は、分生子柄は通常無分岐であり、まれに分岐
し、真っ直ぐか又はジグザグ状に屈曲する、分生子形
成細胞は、頂生であり、形状は円筒形で先端部がやや膨
れ、多数の分生子をつける、分生子形成様式はポロ
型、分生子は偽隔壁を有し、黄金褐色を呈する。以上
の性状より、本菌株は、不完全菌亜門(Deuteromycotin
a)−不完全糸状菌綱(Hyphomycetes)のドレクスレラ
(Drechslera)属に帰属する。
【0037】M.B.EllisのDematiaceous Hyphomycetes
P.403〜452 (1971)によれば、ドレクスレラ属には48
種が含まれており、その後、Ellisは、more Dematiaceo
us Hyphomycetes, P.396〜403 (1976)において、本属に
9種を記載している。これらの菌種は、分生子の形状、
大きさ、隔壁数、分生子基部に形成されるへそ(hilu
m)の発達度合、分生子柄の特徴(分岐、二次分生子柄
の形成)によって区別されている。
【0038】一方、本菌株は、イ)分生子は24.6〜
8.7μm×10.8〜17μm(平均61.7μm×
14.3μm)であり、倒棍棒形で先端に向って細ま
り、やや湾曲し、時々円筒形〜細長いだ円形で真っ直ぐ
であり、表面は平滑で、黄金褐色を呈する、ロ)3〜9
個の偽隔壁(通常8隔壁)を有する、ハ)分生子基部の
へそ(hilum)は小形で不明瞭である、ニ)二次分生子
柄を形成しない特徴を有する。
【0039】このような本菌株の特徴から、上記Ellis
(1971、1976)の文献に従って種の検索を行なったとこ
ろ、本菌株は、ドレクスレラ・サッカリ、ドレクスレラ
・ユーフォルビア(Drechslera euphorbiae)及びドレ
クスレラ・セタリア(Drechslera setaria)に類縁の種
であることが示唆された。
【0040】本菌株と後者の3種を比較したところ、表
1に示すように、本菌株はドレクスレラ・サッカリの変
異の巾の中に含まれることが判った。従って本菌株は、
ドレクスレラ・サッカリと同定された。
【0041】
【表1】
【0042】尚、D2597株は、工業技術院生命工学
工業技術研究所に、FERM P−13719として寄
託されている。一般に、ドレクスレラ属菌は他の菌類の
場合にみられるように、その性状が変化しやすいが、D
2597株に由来する突然変異株(自然発生または人為
誘発性)も、本発明に使用することができる。また、本
菌株に由来する形質接合体や遺伝子組換え体であって
も、生理活性キノン類の産生能を有するものは、すべて
本発明の方法に使用することができる。
【0043】
【作用】本発明に用いる生理活性キノン類は、後記実施
例で示すように低濃度でDGキナーゼ阻害活性を有する
ことから、これを含有するDGキナーゼ阻害剤は、抗腫
瘍剤、抗炎症剤、抗動脈硬化剤となることが期待され
る。
【0044】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。 <1>生理活性キノン類の製造 ポテトデキストロース寒天培地(pH6.0)を40l
ずつ200mlの三角フラスコ20本に分注し、121
℃において20分間高圧滅菌した。これに、ドレクスレ
ラ・サッカリ D2597株を5白金耳ずつ植菌し、2
6℃において14日間静置培養した。
【0045】得られた培養物に、フラスコ1本当たり8
0mlの50%アセトン水を添加し、撹拌抽出して、1
lのアセトン水溶液を得た。これを減圧下でアセトンを
留去した後、水500mlと酢酸エチル500mlを加
え、水層を塩酸でpH2に調整して抽出した。酢酸エチ
ル層を分取し、減圧留去して400mgの残渣を得た。
これを蒸留水に溶解し、シリカゲル100gを充填した
カラムに通した後、クロロホルム500ml、メタノー
ル−クロロホルム混液(1:99)500ml、メタノ
ール−クロロホルム混液(1:49)500ml、メタ
ノール−クロロホルム混液(1:19)300mlで洗
った後、メタノール−クロロホルム混液(1:19)2
00mlで溶出した画分を減圧下濃縮し、240mgの
粗生理活性キノン類混合物を得た。
【0046】これを、さらにCAPCELL PAK C
18カラム(30mm×250mm)(資生堂(株)製)
を装着した分取高速液体クロマトグラフィーにより精製
した。上記で得られた粗生理活性キノン類混合物を、上
記カラムに注入し、アセトニトリル−水のグラジエント
(アセトニトリル濃度50〜90%、流速9ml/分)
で、95分間溶出を行った。溶出液を、溶出開始30分
後から1分毎のフラクションに分画し、画分1(フラク
ション36〜38)と画分2(フラクション45〜5
2)を得た。
【0047】(1)コクリオキノンAの精製 上記で得られた画分2のフラクションを集めて減圧濃縮
し、n−ヘキサンから結晶化して、70mgの黄色針状
晶を得た。こうして精製された生理活性キノン類は、下
記の理化学性質より構造解析をした結果、前記化4中、
Rが化6で表されるコクリオキノンA(Cochlioquinone
A)であると同定された。
【0048】1)融点: 130〜132℃
【0049】2)EI マススペクトル: 532(M+), 514, 499, 473, 441, 43
【0050】 3)1H−NMRスペクトル(CDCl3 )8ppm: 〜0.78(6H,m,26,28-H) 0.91(3H,S,20-H) 〜1.06(9H,m,18,19,27-H) 1.22(3H,S,21-H) 1.62(1H,d,J=10.5Hz,8-H) 1.87(3H,S,30-H) 2.51(1H,S,17-OH) 3.05〜3.15(3H,m,12,16,22-H) 3.73(1H,S,7-OH) 4.82(1H,d,J=10.5Hz,7-H) 4.91(1H,dd,J=6Hz,6Hz,23-H) 6.43(1H,S,2-H)
【0051】4)13C−NMRスペクトル(CDCl
3 )δppm: 181.35(s,1-C) 133.49(d,2-C) 148.10(s,3-C) 188.4
8(s,4-C) 151.93(s,5-C) 118.74(s,6-C) 62.77(d,7-C) 51.4
6(d,8-C) 82.86(s,9-C) 38.28(t,10-C) 21.28(t,11-C) 84.49
(d,12-C) 36.46(s,13-C) 37.22(t,14-C) 24.97(t,15-C) 83.49
(d,16-C) 71.58(s,17-C) 23.62(q,18-C) 25.80(q,19-C) 12.34
(q,20-C) 20.81(q,21-C) 34.21(d,22-C) 78.05(d,23-C) 35.94
(d,24-C) 26.11(t,25-C) 13.04(q,26-C) 17.13(q,27-C) 11.21
(q,28-C) 170.32(s,29-C) 20.58(q,30-C)
【0052】上記物理化学的データは、コクリオキノン
Aの文献値(J. C. S. Perkin I, 2837-2839(1972))と
一致した。
【0053】(2)ステンフォンの精製 前記で得られた画分1を濃縮して、24mgの固形物を
得た。これを、YMC−Pack Polymer C18
カラム(30mm×300mm)(YMC社製)を装着
した分取高速液体クロマトグラフィーにより精製した。
アセトニトリル−水のグラジエント(アセトニトリル濃
度50〜70%、流速9ml/分)で、60分間溶出を
行った。溶出液を、溶出開始10分後から1分毎のフラ
クションに分画し、画分3(フラクション40〜41)
を得た。これを減圧濃縮し、n−ヘキサンから結晶化し
て、8mgの黄色針状晶を得た。こうして精製された生
理活性キノン類は、下記の理化学性質より構造解析をし
た結果、前記化4中、Rが化5で表されるステンフォン
(Stemphone)であると同定された。
【0054】1)融点: 160〜162℃
【0055】2)EIマススペクトル: 530(M+), 497, 471, 454, 439, 43
【0056】 3)1H−NMRスペクトル(C66 )δppm: 0.78(3H,s,20-H) 0.83(3H,d,J=7.5Hz,27-H) 0.89(3H,s,21-H) 1.15,1.17(各3H,s,18,19-H) 1.36(3H,d,J=6.5Hz,26-H) 1.49(3H,d,J=6.5Hz,28-H) 1.52(3H,s,30-H) 1.61(1H,d,J=10.5Hz,8-H) 3.24(1H,m,22-H) 4.10(1H,brs,7-OH) 4.80(1H,d,J=10.5Hz,7-H) 5.39(1H,d,J=9.5Hz,23-H) 5.51(1H,m,J=6.5Hz,25-H) 6.51(1H,s,2-H)
【0057】4)13C−NMRスペクトル(C66
δppm: 181.45(s,1-C) 133.08(d,2-C) 148.76(s,3-C) 188.9
7(s,4-C) 151.88(s,5-C) 119.40(s,6-C) 63.53(d,7-C) 51.8
7(d,8-C) 82.82(s,9-C) 38.80(t,10-C) 21.68(t,11-C) 85.38
(d,12-C) 36.80(s,13-C) 37.71(t,14-C) 25.24(t,15-C) 83.79
(d,16-C) 71.49(s,17-C) 24.30(q,18-C) 26.26(q,19-C) 12.48
(q,20-C) 20.79(q,21-C) 35.27(d,22-C) 81.32(d,23-C) 132.40
(s,24-C) 125.60(d,25-C) 12.98(q,26-C) 16.70(q,27-C) 11.39
(q,28-C) 169.19(s,29-C) 20.42(q,30-C)
【0058】上記物理化学的データは、ステンフォンの
文献値(Tetrahedron Letter 29, 2545-2548 (1974))
と一致した。
【0059】<2>生理活性キノン類のDGキナーゼ阻
害作用 上記で得られた生理活性キノン類について、DGキナー
ゼの阻害活性を測定した。この測定は、F. Sakaneらの
方法(FEBS Lett., 255, 409-413 (1989))に準じて、
牛の胸腺から精製したDGキナーゼを用いて行った。
【0060】すなわち、1,2−ジラウロイルグリセロ
ール(C12:0)219μM、[α-32P]ATP(0.5〜1.0μCi)10
0μM、50mM Tris-HCl(pH7.5)、50mM NaCl、0.1% BSA、
0.5mMEGTA、5mM MgCl2、0.04%デオキシコール酸ナトリ
ウム、40ngの牛胸腺部分精製DGキナーゼ、並びに微生
物から抽出した生理活性キノン類試料を含む反応溶液5
0μlを、37℃で20分間インキュベートした。
【0061】500μlのクロロホルム/メタノール/
濃塩酸(200:100:1、(V/V/V))を加え反応を停止させた
後、125μlの1N塩酸を加え混合し、遠心分離(1
6,000rpm、10秒)により2層に分離した。上層を除い
た後、下層の溶媒を留去し、得られた反応生成物をクロ
ロホルム10μlに溶解して薄層板(シリカゲル60F
254)にスポットした。
【0062】スポット後、薄層板をクロロホルム/メタ
ノール/酢酸/水(170:25:25:6、(V/V/V/V))により展
開した。展開後の薄層板におけるホスファチジン酸画分
をオートラジオグラフィーにより確認した。さらに、こ
の画分を切り出してバイアル瓶に入れ、メタノール4m
lを加えた後、チェレンコフ効果により液体シンチレー
ションカウンターを用いて定量した。
【0063】その結果、系にキャリアーのATPを加え
ずに測定したコクリオキノンAの50%阻害活性は2.
26μM、ステンフォンの50%阻害活性は3.32μ
Mであった。この結果から明らかなように、本発明に用
いる生理活性キノン類は、低濃度でDGキナーゼ阻害活
性を有する。
【0064】
【発明の効果】本発明に用いる生理活性キノン類は、低
濃度でDGキナーゼ阻害作用を示すので、これを含有す
るDGキナーゼ阻害剤は、抗腫瘍剤、抗炎症剤、抗動脈
硬化剤として期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 9/99 // C12P 17/18 D 7432−4B (C12P 17/18 C12R 1:645) (72)発明者 千葉 紀子 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地三菱 化成株式会社総合研究所内 (72)発明者 吉川 展司 愛知県安城市日の出町4−15ワコウビル 402号

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される生理活性キ
    ノン類を有効成分として含有するジアシルグリセロール
    キナーゼ阻害剤。 【化1】 但し、上記一般式(I)中、Rは下記式(II)又は下記
    式(III)で表される基を表わす。 【化2】 【化3】
JP5300673A 1993-11-30 1993-11-30 ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤 Pending JPH07149637A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016153167A1 (ko) * 2015-03-24 2016-09-29 경북대학교 산학협력단 흰등멸구를 접종한 벼로부터 크리소에리올을 분리하는 방법
US10562911B2 (en) 2015-03-24 2020-02-18 Kyung Min Kim Method for isolating flavonoids from rice plant inoculated with whitebacked planthopper

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