JP2001135217A - 回路遮断装置及びこれを用いたワイヤーハーネス装置 - Google Patents

回路遮断装置及びこれを用いたワイヤーハーネス装置

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JP2001135217A JP31597199A JP31597199A JP2001135217A JP 2001135217 A JP2001135217 A JP 2001135217A JP 31597199 A JP31597199 A JP 31597199A JP 31597199 A JP31597199 A JP 31597199A JP 2001135217 A JP2001135217 A JP 2001135217A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で且つ安全性を向上することができる回
路遮断装置及びこれを用いたワイヤーハーネス装置を提
供する。 【解決手段】 2以上の電源及び1以上の負荷に対して
1対1対応で設けられ且つ2以上の電源側及び1以上の
負荷側へ接続される3以上の接続端子11a〜11n
と、3以上の接続端子11a〜11nを相互に接続させ
る導電性を有する接続部材26と、車両の異常時に外部
からの遮断信号に基づいて、3以上の接続端子11a〜
11nから切り離すように接続部材26を移動させるこ
とにより3以上の回路を遮断する遮断手段28とを備え
る。1つの回路遮断装置により一度に全ての回路が遮断
されるので、安価で且つ安全性を向上することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリやオルタ
ネータ等の電源から負荷への電流が過電流となったとき
に、短時間で回路を遮断する回路遮断装置及びこれを用
いたワイヤーハーネス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両に設けられる電装システムでは、パ
ワーウインドウ等の負荷に何らかの異常が発生したり、
バッテリーと各負荷とを接続している複数の電線によっ
て構成されたワイヤーハーネス等に何らかの異常が発生
したとき、バッテリーと、ワイヤーハーネスとの間に介
挿されたヒューズ等を溶断させて、バッテリーと、ワイ
ヤーハーネスとの間を遮断する各種の回路遮断装置が開
発されている。
【0003】図13は従来の回路遮断装置を備えたワイ
ヤーハーネス装置の一例を示す回路構成図である。図1
3に示すワイヤーハーネス装置は、ヒュージブルリンク
F/L1〜F/L4を有する回路遮断装置103を備
え、この回路遮断装置103は、バッテリ101やオル
タネータ108から負荷105へ電流を供給するととも
に、負荷やワイヤーハーネスに何らかの異常が発生した
ときに負荷105への電流を遮断する。
【0004】ワイヤーハーネス装置において、バッテリ
101は、複数の電線から構成されるワイヤーハーネス
(以下、W/Hと称する。)からなる回路102aを介
してヒュージブルリンクF/L1の一端に接続され、ヒ
ュージブルリンクF/L1の他端は、W/Hからなる回
路102bを介してオルタネータ108に接続されてい
る。
【0005】ヒュージブルリンクF/L1の他端は、W
/HaとヒュージブルリンクF/L2と電線からなる回
路102cとを介してパワーウィンドウ等の負荷105
aに接続され、且つW/HaとヒュージブルリンクF/
L3と電線からなる回路102dとを介してサンルーフ
等の負荷105bに接続される。ヒュージブルリンクF
/L1の一端は、W/HbとヒュージブルリンクF/L
4と電線からなる回路102eとを介してファン等の負
荷105cに接続されている。
【0006】このような構成のワイヤーハーネス装置に
おいて、異常時に、ヒュージブルリンクF/L1の遮断
により、回路102bと、W/Haの下流の回路102
c,102dとが保護される。また、ヒュージブルリン
クF/L2の遮断により、回路102cが保護され、ヒ
ュージブルリンクF/L3の遮断により、回路102d
が保護され、ヒュージブルリンクF/L4の遮断によ
り、回路102eが保護される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図13
に示す従来のワイヤーハーネス装置にあっては、各負荷
への回路を保護するために、各回路に対応してそれぞれ
ヒュージブルリンクを設けなければならなかった。すな
わち、回路遮断装置103は、4つのヒュージブルリン
クを設けていたため、かなりのコストを要していた。
【0008】そこで、コストを低減する一つの方法とし
て、例えば、ヒュージブルリンクF/L2を削除し、負
荷105aが接続された回路102cを、回路102b
に直接接続する方法が考えられる。
【0009】しかしながら、このような接続を行うと、
オルタネータ108と負荷105aとの間は、ヒュージ
ブルリンク等の安全器がなくなることになり、負荷10
5aへの回路102cを保護することができなくなる。
このため、安全性に欠けるという問題がある。
【0010】本発明は、安価で且つ安全性を向上するこ
とができる回路遮断装置及びこれを用いたワイヤーハー
ネス装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、以下の構成とした。請求項1の発明は、図
1の回路遮断装置の原理図に示すように、2以上の電源
と1以上の負荷との間に設けられ、前記2以上の電源か
ら前記1以上の負荷に電流を供給するとともに、車両の
異常時に前記2以上の電源への2以上の回路及び前記1
以上の負荷への1以上の回路からなる3以上の回路を遮
断する回路遮断装置であって、前記2以上の電源及び前
記1以上の負荷に対して1対1対応で設けられ且つ前記
2以上の電源側及び前記1以上の負荷側へ接続される3
以上の接続端子11a〜11nと、この3以上の接続端
子11a〜11nを相互に接続させる導電性を有する接
続部材26と、前記車両の異常時に外部からの遮断信号
に基づいて、前記3以上の接続端子11a〜11nから
切り離すように前記接続部材26を移動させることによ
り前記3以上の回路を遮断する遮断手段28とを備える
ことを特徴とする。
【0012】請求項1の発明によれば、導電性を有する
接続部材26は、3以上の接続端子11a〜11nを相
互に接続させているので、通常では、2以上の電源から
1以上の負荷に電流が供給される。車両の異常時には、
外部からの遮断信号に基づいて、遮断手段28が3以上
の接続端子11a〜11nから切り離すように接続部材
26を移動させることにより3以上の回路を遮断する。
すなわち、1つの回路遮断装置により一度に全ての回路
が遮断されるので、安価で且つ安全性を向上することが
できる。
【0013】請求項2の発明は、請求項1記載の回路遮
断装置において、前記遮断手段は、前記接続部材に加熱
剤が充填された加熱部と、前記遮断信号により着火剤に
着火することにより前記加熱剤を発熱させる着火部と、
この着火部及び前記加熱部を収納する外ケースと、伸縮
自在な弾性部材と、この弾性部材を圧縮状態で取り付け
るとともに前記外ケースに着脱自在であって、前記外ケ
ースに装着されたときに前記加熱部の近傍または接触し
て配置されるとともに前記加熱剤の熱により溶融する着
脱部材とを備えることを特徴とする。
【0014】請求項2の発明によれば、伸縮自在な弾性
部材を圧縮状態で取り付けた着脱部材は、外ケースに装
着されたときに加熱部の近傍または接触して配置され
る。そして、外部からの遮断信号により着火部が着火す
ると、加熱部に充填された加熱剤が発熱し、その熱によ
り着脱部材が溶融する。圧縮されていた弾性部材が伸張
して加熱部を跳ね上げるため、加熱部と3以上の接続端
子との電気的接続が一度に遮断されるから、安価で且つ
安全性を向上することができる。また、着脱部材は、外
ケースに着脱自在に構成されてなるため、着脱部材の着
脱作業が簡単になる。さらに、弾性部材を着脱部材で保
持しているため、3以上の接続端子と加熱部との接合部
に外力が加わらなくなる。
【0015】請求項3の発明は、請求項2記載の回路遮
断装置において、前記3以上の接続端子の内の前記2以
上の電源側に接続される2以上の接続端子の各接続端子
と前記着火部とに接触する熱伝導部材を備えることを特
徴とする。
【0016】請求項3の発明によれば、熱伝導部材に接
触した接続端子に過電流が流れると、過電流により接続
端子の温度が上昇し、接続端子の熱が熱伝導部材を介し
て着火部に伝導されて、この熱により着火部が着火する
と、加熱部に充填された加熱剤が発熱し、その熱により
着脱部材が溶融し、弾性部材が伸張して加熱部を跳ね上
げるため、加熱部と3以上の接続端子との電気的接続を
遮断できる。
【0017】請求項4の発明は、請求項2または請求項
3記載の回路遮断装置において、前記着火部は、前記車
両の異常時に外部に設けられた制御部から入力された遮
断信号により前記着火剤に着火して前記加熱剤を発熱さ
せることを特徴とする。
【0018】請求項4の発明によれば、着火部は、車両
の異常時に外部に設けられた制御部から入力された遮断
信号により着火剤に着火して加熱剤を発熱させるため、
遮断信号の入力によっても、回路を短時間で且つ確実に
遮断することができる。また、制御部等の故障により遮
断信号が着火部に入力されないために回路が遮断できな
い場合であっても、接続端子の温度により回路を短時間
で確実に遮断することができ、電気部品を保護すること
ができる。
【0019】請求項5の発明は、請求項4記載の回路遮
断装置において、前記着火部は、一対の着火部端子と、
この一対の着火部端子間に設けられた抵抗体と、この抵
抗体の近傍または接触して配置された前記着火剤とを有
し、前記一対の着火部端子の内の一方の着火部端子が前
記熱伝導部材の一端に接触し、他方の着火部端子が前記
制御部へ接続され、前記熱伝導部材の他端が前記一方の
接続端子に接触してなることを特徴とする。
【0020】請求項5の発明によれば、過電流により接
続端子の温度が上昇し、温度上昇による熱は、接続端
子、熱伝導部材、一方の着火部端子、抵抗体及び着火剤
と伝導されるため、この熱により着火剤を着火すること
ができる。また、他方の着火部端子が制御部へ接続され
ているため、制御部からの遮断信号が他方の着火部端子
を介して抵抗体に送られて抵抗体の発熱により着火剤を
着火することができる。
【0021】請求項6の発明は、請求項5記載の回路遮
断装置において、前記制御部は、前記遮断信号により励
磁電流が流れる電磁コイルと、一端が前記他方の着火部
端子に接続され他端がアースされ前記励磁電流によりオ
ンするスイッチとを有することを特徴とする。
【0022】請求項6の発明によれば、制御部におい
て、遮断信号により電磁コイルに励磁電流が流れると、
この励磁電流によりスイッチがオンする。このため、電
源から、接続端子、熱伝導部材、一方の着火部端子、抵
抗体、他方の着火部端子、スイッチ、アースの経路で電
流が流れ、抵抗体の発熱により着火剤を着火することが
でき、接続端子側に有する電源を流用して回路を遮断す
ることができる。
【0023】請求項7の発明は、請求項2乃至請求項6
のいずれか1項記載の回路遮断装置において、前記加熱
部の端部には側壁部が形成され、前記3以上の接続端子
のそれぞれの先端部と前記側壁部とを低融点材により接
合したことを特徴とする。
【0024】請求項7の発明によれば、3以上の接続端
子のそれぞれの先端部と側壁部とを低融点材により接合
したため、加熱剤の発熱により着脱部材及び低融点材が
溶融すると、加熱部が跳ね上がり、3以上の接続端子と
加熱部との電気的接続を遮断できる。
【0025】請求項8の発明は、2以上の電源と1以上
の負荷との間に設けられ、前記2以上の電源から前記1
以上の負荷に電流を供給するとともに、車両の異常時に
前記2以上の電源への2以上の回路及び前記1以上の負
荷への1以上の回路からなる3以上の回路を遮断する回
路遮断装置であって、分岐点を含む分岐部から放射状に
分岐するように配置され且つ前記2以上の電源及び前記
1以上の負荷に対して1対1対応で設けられ前記2以上
の電源側及び前記1以上の負荷側へ接続される3以上の
接続端子と、前記車両の異常時に外部からの遮断信号に
基づいて、前記分岐部を切断させることにより前記3以
上の回路を遮断する遮断手段とを備えることを特徴とす
る。
【0026】請求項8の発明によれば、3以上の接続端
子は、分岐点を含む分岐部から放射状に分岐するように
配置されているので、通常では、2以上の電源から1以
上の負荷に電流が供給される。車両の異常時には、外部
からの遮断信号に基づいて、遮断手段が分岐部を切断さ
せることにより3以上の回路を遮断する。すなわち、1
つの回路遮断装置により一度に全ての回路が遮断される
ので、安価で且つ安全性を向上することができる。
【0027】請求項9の発明は、2以上の電源と1以上
の負荷との間に設けられ、前記2以上の電源から電線を
構成するワイヤーハーネスを介して前記1以上の負荷に
電流を供給するとともに、車両の異常時に前記2以上の
電源への2以上の回路及び前記1以上の負荷への1以上
の回路からなる3以上の回路を遮断する回路遮断装置を
備えたワイヤーハーネス装置であって、前記回路遮断装
置は、前記2以上の電源及び前記1以上の負荷に対して
1対1対応で設けられ且つ前記2以上の電源側及び前記
1以上の負荷側へ接続される3以上の接続端子と、この
3以上の接続端子を相互に接続させる導電性を有する接
続部材と、前記車両の異常時に外部からの遮断信号に基
づいて、前記3以上の接続端子から切り離すように前記
接続部材を移動させることにより前記3以上の回路を遮
断する遮断手段とを備えることを特徴とする。
【0028】請求項9の発明によれば、ワイヤーハーネ
ス装置に設けられた回路遮断装置において、車両の異常
時には、外部からの遮断信号に基づいて、遮断手段が3
以上の接続端子から切り離すように接続部材を移動させ
ることにより3以上の回路を遮断する。すなわち、1つ
の回路遮断装置により一度に全ての回路が遮断されるの
で、安価で且つ安全性を向上することができるワイヤー
ハーネス装置を提供することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の回路遮断装置及び
これを用いたワイヤーハーネス装置の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。
【0030】(第1の実施の形態)図2は本発明のワイ
ヤーハーネス装置の実施の形態の回路構成図である。図
3は図2に示すワイヤーハーネス装置に備えられた第1
の実施の形態の回路遮断装置の上面図である。図4は第
1の実施の形態の回路遮断装置のA−A間の遮断前の断
面図である。図5は第1の実施の形態の回路遮断装置の
A−A間の遮断前後の断面図及びその周辺回路図であ
る。
【0031】図2において、バッテリ1は、回路遮断装
置3に接続され、この回路遮断装置3は、ヒューズ4に
より構成される。このヒューズ4は、多回路2a〜2e
に接続される。回路aは、バッテリ1に接続され、回路
2bはオルタネータ8に接続され、回路2cは、負荷5
aに接続され、回路2dは、負荷5bに接続され、回路
2eは、負荷5cに接続される。
【0032】回路遮断装置3は、通常時には、バッテリ
1またはオルタネータ8から負荷5a,5b,5cに電
流を供給し、車両異常時には、1つのヒューズ4(安全
器)により多回路2a〜2eを一度に遮断する。このた
め、回路遮断装置3は、5つの回路2a〜2eに1対1
対応で接続端子としての5つのバスバーを有する。
【0033】ここでは、説明を簡単にするために、図3
乃至図5に示す回路遮断装置3は、例えば、回路2a,
回路2b,回路2cに対応して、第1のバスバー11
a,第2のバスバー11b,第3のバスバー11cを有
するものとして説明する。なお、ここでは、3つのバス
バーを設けたが、4以上の回路に対応して、4以上のバ
スバーを設けても良い。
【0034】図3に示す回路遮断装置3の上面図におい
て、第1乃至第3のバスバー11a〜11cのそれぞれ
は、板状をなし、例えば、銅または銅合金からなり、分
岐点Oから一定距離離れ且つ分岐点Oを中心として略1
20°等間隔に配置されている。第1のバスバー11a
は回路2aを介してバッテリ1に接続され、第2のバス
バー11bは回路2cを介して負荷5aに接続され、第
3のバスバー11cは、回路2bを介してオルタネータ
8に接続されている。
【0035】第1乃至第3のバスバー11a〜11cに
はこれらに対応して、電線を固定するための丸穴部12
a〜12cが形成され、第1乃至第3のバスバー11a
〜11cのそれぞれは、上方に略直角に折り曲げられて
おり、折り曲げられた部分が樹脂ケース14bを挿通し
ている。この樹脂ケース14bにはキャップ14aが被
せられ、キャップ14a及び樹脂ケース14bは、外ケ
ースを構成し、樹脂(熱可塑性樹脂)等の絶縁材料の容
器からなる。
【0036】樹脂ケース14bには、円筒状の接続部材
としてのテルミットケース26が収納されており、この
テルミットケース26には、加熱剤27とリード線31
が接続された着火部29とが収納されていて、加熱剤上
部には上蓋24が被せられている。
【0037】テルミットケース26は、熱伝導度が良
く、加熱剤27の発熱で溶けない、例えば、黄銅、銅、
銅合金、ステンレス等を用いると良い。テルミットケー
ス26は、金属の絞り加工等により成形され、円筒また
は直方体からなる。
【0038】着火部29は、図示しない着火剤を有し、
車両の衝突事故等の車両の異常時にリード線31に流れ
る電流によって発生する発熱により着火剤を点火して加
熱剤27にテルミット反応熱を発生させるようになって
いる。
【0039】第1乃至第3のバスバー11a〜11cの
それぞれの先端に形成されたバスバー先端部13a〜1
3cは、ハンダ(例えば、融点が200℃〜300℃)
等の低融点材としての低融点金属23により、テルミッ
トケース26の左右の側壁部に接合され、低融点金属2
3及びテルミットケース26を介して第1乃至第3のバ
スバー11a〜11cが相互に電気的に接続されてい
る。
【0040】低融点金属23としては、例えば、Sn、
Pb、Zn、Al及びCuから選ばれる少なくとも1種
の金属からなる。加熱剤27は、例えば、酸化鉄(Fe
23)等の金属酸化物の粉末、アルミニウムの粉末とに
よって構成され、リード線31の発熱によりテルミット
反応を起こして高熱を発生するテルミット剤である。こ
のテルミット剤は、防湿対策として金属製の容器である
テルミットケース26に封入される。なお、酸化鉄(F
23)を用いる代わりに、酸化クロム(Cr23)、
酸化マンガン(MnO2)などを用いても良い。加熱剤
27としては、B、Sn、FeSi、Zr、Ti及びA
lの中から選ばれる少なくとも1種の金属粉末と、Cu
O、MnO2、Pb34、PbO2、Fe34およびFe
23の中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物と、
アルミナ、ベントナイト、タルク等からなる添加剤の少
なくとも1種の混合物を用いても良い。
【0041】また、樹脂ケース14bの開口内にあって
且つテルミットケース26の下部には、樹脂部材からな
るリテーナ40が配置されている。このリテーナ40
は、圧縮バネ39aを圧縮状態で取り付けるとともに樹
脂ケース14bに着脱自在であって、樹脂ケース14b
に装着されたときにテルミットケース26の近傍または
接触して配置されるとともに加熱剤27の熱により溶融
する着脱部材を構成している。
【0042】また、回路遮断装置3は、図5に示すよう
に、第1乃至第3のバスバー11a〜11cのそれぞれ
に流れる電流を検出する電流センサ41と、車両の衝突
を検出する衝突センサ(Gセンサ)44と、電流センサ
41で検出した検出電流値がしきい値以上になった場合
に駆動制御信号を駆動回路47に出力またはGセンサ4
4で検出した検出加速度値が所定値以上になった場合に
駆動制御信号を駆動回路47に出力する制御回路45
と、制御回路45からの駆動制御信号により着火部29
内のヒータ49に回路を遮断させるための遮断信号(異
常信号)を印加する駆動回路47とを有している。
【0043】なお、回路遮断装置3は、過電圧を検出す
る電圧センサ42、温度を検出する温度センサ43を設
け、電圧センサ42からの出力、温度センサ43からの
出力を制御回路45に出力してもよい。
【0044】次に、このように構成された第1の実施の
形態の回路遮断装置の動作を図面を参照して説明する。
【0045】まず、通常の状態では、第1乃至第3のバ
スバー11a〜11cのそれぞれは、低融点金属23及
びテルミットケース26を介して相互に電気的に接続さ
れているため、例えば、バッテリ1から回路2a、第1
のバスバー11a、第2のバスバー11b及び回路2c
を介して負荷5aに電流が供給される。また、例えば、
オルタネータ8から回路2b、第3のバスバー11c、
第2のバスバー11b及び回路2cを介して負荷5aに
電流が供給される。
【0046】次に、車両に異常が発生して第1乃至第3
のバスバー11a〜11cのいずれかに過電流が流れる
と、電流センサ41がその電流を検出し、電流センサ4
1で検出した検出電流値がしきい値以上になった場合に
は、制御回路45は、駆動制御信号を駆動回路47に出
力し、駆動回路47は、制御回路45からの駆動制御信
号により着火部29内のヒータ49に遮断信号を印加す
る。このため、リード線31を通って着火部29のヒー
タ49へ電流が流れる。
【0047】すると、電流によりヒータ49が発熱し、
着火部29が発火するため、加熱剤27が以下の反応式
によりテルミット反応熱を発生する。
【0048】Fe23+2AL→AL23+2Fe+3
86.2Kcalこのテルミット反応熱によりテルミッ
トケース26が加熱され、加熱剤27の発熱とテルミッ
トケース26の熱により低融点金属23が溶融すると同
時に、圧縮バネ39aを圧縮した樹脂性のリテーナ40
の係止部分が前記熱によって溶融する。すると、図5に
示すように、圧縮バネ39aが伸張するため、テルミッ
トケース26がキャップ14aの方向に跳ね上がる(テ
ルミットケース26′で示す。)。
【0049】このため、テルミットケース26と、第1
乃至第3のバスバー11a〜11cとの電気的接続が切
断されるので、回路2a,2b,2cの全ての回路が一
度に遮断される。すなわち、1つのヒューズ4により、
多回路を一度に短時間で且つ確実に遮断することがで
き、電気部品を保護することができる。これによって、
安価で且つ小型でしかも安全性を向上することができ
る。
【0050】また、自動車等の車両には、バッテリ1と
オルタネータ8との2つの電源が配置されているので、
これら2つの電源から下流の回路を保護するためには、
通常2つ以上の安全器が必要であるが、第1の実施の形
態の回路遮断装置によれば、回路に対する安全器は1つ
で済むようになった。
【0051】また、圧縮バネ39aをリテーナ40によ
り保持しているため、第1乃至第3のバスバー11a〜
11cとテルミットケース26との接合部、すなわち、
低融点金属23に外力を加えることがなくなる。このた
め、接合部の信頼性を向上することができる。
【0052】また、樹脂ケース14bにキャップ14a
を被せるため、回路遮断時におけるテルミットケース2
6がキャップ14aから飛び出すことがなくなり、これ
によって、熱による火傷等を防止することができる。
【0053】次に、第1の実施の形態の回路遮断装置の
変形例を2つ例示して説明する。図6は第1の実施の形
態の回路遮断装置の第1の変形例の上面図である。図7
は第1の実施の形態の回路遮断装置の第1の変形例のA
−A間の遮断前の断面図である。
【0054】図6に示す回路遮断装置の上面図におい
て、第1乃至第3のバスバー11d〜11fのそれぞれ
は、板状をなし、例えば、銅または銅合金からなり、分
岐点Oを含む分岐部としての被切断部51から放射状に
配置されている。すなわち、バスバーは、分岐点Oを中
心として略120°等間隔に3分岐して配置されてい
る。第1のバスバー11dは、回路2aを介してバッテ
リ1に接続され、第2のバスバー11eは回路2cを介
して負荷5aに接続され、第3のバスバー11fは、回
路2bを介してオルタネータ8に接続されている。
【0055】第1乃至第3のバスバー11d〜11f
は、略直角に折り曲げられており、折り曲げられた折曲
部50が樹脂ケース14dを挿通している。この樹脂ケ
ース14dにはキャップ14cが被せられ、このキャッ
プ14cと樹脂ケース14dとの間に形成された空洞部
59には、第1乃至第3のバスバー11d〜11fのバ
スバー先端部である平坦状の被切断部51が配置されて
いる。
【0056】また、樹脂ケース14dの開口には、リー
ド線31が接続された発熱手段としてのヒータ49とこ
のヒータ49の熱により爆発する火薬53とを収納した
火薬収納部55が配置され、この火薬収納部55の上部
には先端部が尖り且つ被切断部51の略中央に配置され
車両異常時に被切断部51を切断するための切断部材5
7が設けられている。キャップ14cの内壁には、被切
断部51を挟んで切断部材57に対向する位置に、切断
部材57の先端部の形状と略同一形状をなす溝部58が
形成されている。
【0057】次に、このように構成された第1の実施の
形態の回路遮断装置の第1の変形例の動作を説明する。
まず、通常の状態では、第1乃至第3のバスバー11d
〜11fは、分岐点Oから3分岐するとともに、相互に
電気的に接続されているため、例えば、バッテリ1から
回路2a、第1のバスバー11d、第2のバスバー11
e及び回路2cを介して負荷5aに電流が供給される。
また、例えば、オルタネータ8から回路2b、第3のバ
スバー11f、第2のバスバー11e及び回路2cを介
して負荷5aに電流が供給される。
【0058】車両の異常時には、遮断信号がリード線3
1を介してヒータ49に印加されるため、このヒータ4
9の発熱により火薬53が爆発する。この爆発力により
切断部材57が上方に溝部58まで跳ね上がるため、被
切断部51が切断される。このため、第1乃至第3のバ
スバー11d〜11fのそれぞれが一度に相互に分離さ
れる。すなわち、1つのヒューズにより多回路を一度に
遮断することができる。従って、第1の実施の形態の回
路遮断装置の第1の変形例によっても第1の実施の形態
の回路遮断装置の効果と同様な効果が得られる。
【0059】図8は第1の実施の形態の回路遮断装置の
第2の変形例の上面図である。図9は第1の実施の形態
の回路遮断装置の第2の変形例のA−A間の遮断前の断
面図である。
【0060】図8に示す回路遮断装置の上面図におい
て、第1乃至第3のバスバー11g〜11iのそれぞれ
は、板状をなし、例えば、銅または銅合金からなり、分
岐点Oから一定距離離れ且つ略120°等間隔に配置さ
れている。
【0061】第1のバスバー11gは、回路2aを介し
てバッテリ1に接続され、第2のバスバー11hは回路
2cを介して負荷5aに接続され、第3のバスバー11
iは、回路2bを介してオルタネータ8に接続されてい
る。
【0062】第1乃至第3のバスバー11g〜11i
は、略直角に折り曲げられており、折り曲げられた部分
が樹脂ケース14fを挿通している。この樹脂ケース1
4fにはキャップ14eが被せられている。
【0063】また、樹脂ケース14fの開口には、リー
ド線31が接続されたヒータ49とこのヒータ49の熱
により爆発する火薬53とを収納した火薬収納部55が
配置され、この火薬収納部55の上部には、円筒状の段
部62が形成された可動部材61が配置されている。段
部62の外周面には全周にわたって導電性を有する可動
接点63が形成され、この可動接点63は、第1乃至第
3のバスバー11g〜11iの先端であるバスバー先端
部13a〜13cに圧接している。
【0064】次に、このように構成された第1の実施の
形態の回路遮断装置の第2の変形例の動作を説明する。
まず、通常の状態では、第1乃至第3のバスバー11g
〜11iは、可動接点63を介して相互に電気的に接続
されているため、例えば、バッテリ1から回路2a、第
1のバスバー11g、第2のバスバー11h及び回路2
cを介して負荷5aに電流が供給される。また、例え
ば、オルタネータ8から回路2b、第3のバスバー11
i、第2のバスバー11h及び回路2cを介して負荷5
aに電流が供給される。
【0065】車両の異常時には、遮断信号がリード線3
1を介してヒータ49に印加されるため、ヒータ49の
発熱により火薬53が爆発する。この爆発力により可動
部材61が上方に跳ね上がるため、可動接点63がバス
バー先端部13a〜13cから切断される。このため、
第1乃至第3のバスバー11g〜11iのそれぞれが一
度に相互に分離される。すなわち、1つのヒューズによ
り多回路を一度に遮断することができる。従って、第1
の実施の形態の回路遮断装置の第2の変形例によっても
第1の実施の形態の回路遮断装置の効果と同様な効果が
得られる。
【0066】(第2の実施の形態)図10は第2の実施
の形態の回路遮断装置の遮断前の断面図である。図11
は第2の実施の形態の回路遮断装置に設けられた熱伝導
端子及びその周辺部の詳細図である。図12は第2の実
施の形態の回路遮断装置に接続される制御部の回路構成
図である。第2の実施の形態の回路遮断装置は、制御部
等の故障により着火部に遮断信号が入力されないために
回路が遮断できない場合でも過電流によるバスバーの温
度上昇の熱により回路を遮断することを特徴とする。第
2の実施の形態の回路遮断装置の上面図は、図3に示す
回路遮断装置の上面図と同一であり、図10では、図3
に示す回路遮断装置のA−A間の断面図を示している。
【0067】図10に示す回路遮断装置において、樹脂
ケース14bの開口内にあって且つテルミットケース2
6の下部には樹脂部材からなるリテーナ40aが配置さ
れている。リテーナ40aは、先端に形成された一対の
リテーナ係止部67を有し、一対のリテーナ係止部67
が樹脂ケース14bに装着されるようになっている。リ
テーナ40aには圧縮バネ39aが圧縮された状態で挟
み込まれている。
【0068】着火部29は、一対の着火部端子30c,
30d、この一対の着火部端子30c,30d間に設け
られた抵抗体30b、この抵抗体30bの近傍または接
触して配置された着火剤30aを有する。
【0069】また、バッテリ1側に接続される第1のバ
スバー11aの折り曲げ部分と着火部端子30cとに接
触する熱伝導部材としての例えば、銅、銅合金等からな
る熱伝導端子32が設けられている。この熱伝導端子3
2は、図11に示すように、略L字状をなしており、熱
伝導端子本体32aと、第1のバスバー11aに圧接す
るために円弧状に突起したバスバー接触片32cと、着
火部端子30cに面接触する着火部接触片32bとが形
成されてなり、樹脂ケース14bの下方から挿入される
ようになっている。着火部端子30dは、リード線31
を介して図12に示す制御部70へ接続されている。
【0070】また、オルタネータ8側に接続される第3
のバスバー11cの折り曲げ部分と着火部端子30cと
に接触する熱伝導部材としての例えば、銅、銅合金等か
らなる熱伝導端子32が設けられている(図示せず)。
第2のバスバー11bは、負荷5a側に接続される。
【0071】制御部70は、図12に示すように、第1
乃至第3のバスバー11a〜11cのそれぞれに流れる
電流を検出する電流センサ71と、Gセンサ73と、電
流センサ71で検出した検出電流値がしきい値以上にな
った場合に駆動制御信号を遮断信号として駆動回路77
に出力またはGセンサ73で検出した検出加速度値が所
定値以上になった場合に駆動制御信号を電磁リレー77
に出力する制御回路75と、制御回路75からの駆動制
御信号により動作する電磁リレー77とを有している。
【0072】この電磁リレー77は、遮断信号(ここで
は、駆動制御信号のこと)により励磁電流が流れる電磁
コイル78と、一端aがリード線31を介して着火部端
子30dに接続され他端bがアースされ励磁電流により
オンするスイッチ79とを有する。
【0073】なお、回路遮断装置は、過電圧を検出する
電圧センサ、温度を検出する温度センサを設け、電圧セ
ンサからの出力、温度センサからの出力を制御回路75
に出力するようにしてもよい。
【0074】遮断信号は、前記電流の値がしきい値以上
になった場合に着火部29に入力され、第1のバスバー
11aを介する熱伝導端子32からの熱により加熱剤2
7が発熱するときの前記電流の値は、前記しきい値を超
えた値に設定されている。
【0075】次に、このように構成された第2の実施の
形態の回路遮断装置の動作を図面を参照して説明する。
【0076】まず、電流センサ71、Gセンサ73、制
御回路75等が正常であり、車両の異常時に遮断信号が
着火部29に送られてくる場合の動作を説明する。車両
に異常が発生して第1乃至第3のバスバー11a〜11
cに過電流が流れると、電流センサ71がその電流を検
出し、電流センサ71で検出した検出電流値がしきい値
以上になった場合には、制御回路75は、駆動制御信号
を電磁コイル78に出力するため、電磁コイル78に励
磁電流が流れて、この励磁電流によりスイッチ79がオ
ンする。
【0077】すると、バッテリ1から、第1のバスバー
11a、熱伝導端子32、着火部端子30c、抵抗体3
0b、着火部端子30d、リード線31、スイッチ7
9、アースの経路で電流が流れる。このため、抵抗体3
0bが発熱し、抵抗体30bの温度が350℃以上とな
ると、着火剤が着火して、テルミット剤である加熱剤2
7が以下の反応式によりテルミット反応熱を発生する。
【0078】このため、低融点金属23が溶融すると同
時に、樹脂性のリテーナ係止部67が溶融すると、圧縮
バネ39aが伸張するため、テルミットケース26がキ
ャップ14aの方向に跳ね上がる。このため、テルミッ
トケース26と、第1乃至第3のバスバー11a〜11
cとの電気的接続が一度に切断される。すなわち、第1
の実施の形態の回路遮断装置の効果と同様な効果が得ら
れる。また、バッテリ1からの電源電圧を流用して、遮
断信号による回路遮断を行うことができる。
【0079】次に、電流センサ71、Gセンサ73の破
損、制御回路75の断線等が発生し、車両の異常時に遮
断信号が着火部29に送られない場合の動作を説明す
る。この場合には、電磁リレー77に有するスイッチ7
9はオフである。
【0080】まず、第1のバスバー11aに前記しきい
値を超える過電流が流れると、第1のバスバー11aの
温度が上昇し、その温度が例えば、350℃以上とな
り、温度上昇による熱は、第1のバスバー11a、熱伝
導端子32、着火部端子30c、抵抗体30b及び着火
剤30aと伝導される。
【0081】このため、この熱(例えば、温度が350
℃以上となったとき)により着火剤30aが着火して、
加熱剤27が発熱して、この熱によりテルミットケース
26が加熱され、加熱剤27の発熱とテルミットケース
26の熱により低融点金属23が溶融すると同時に、リ
テーナ係止部67が溶融する。すると、圧縮バネ39a
が伸張するため、テルミットケース26がキャップ14
aの方向に跳ね上がる。このため、テルミットケース2
6と、第1乃至第3のバスバー11a〜11cとの電気
的接続が一度に切断される。
【0082】すなわち、制御部70の故障等により回路
を遮断することができない場合でも、過電流時のバスバ
ーの温度上昇による熱により、回路を短時間で且つ確実
に遮断することができる。
【0083】また、電流センサ71等のセンサがなくて
も、温度検出によって回路を遮断することができる。さ
らに、回路部材を溶断する方式に比較して、第2の実施
の形態の回路遮断装置は、熱伝導端子32を用いている
から、ヒューズの回路抵抗を小さくできるため、自然遮
断等がなくなり、安全性を向上することができる。
【0084】また、遮断信号は、電流の値がしきい値以
上になった場合に着火部29に入力され、第1のバスバ
ー11aを介する熱伝導端子32からの熱により加熱剤
27が発熱するときの電流の値は、しきい値を超えた値
に設定されてなるため、制御部70からの遮断信号によ
り回路を遮断できない場合には、第1のバスバー11a
を介する熱伝導端子32からの熱により回路を遮断でき
るとともに、遮断信号による回路遮断よりも先に、熱伝
導端子32からの熱による回路遮断が行われることがな
くなる。
【0085】さらに、第1の実施の形態の回路遮断装置
の第1の変形例において、着火部端子30cを熱伝導端
子32を介して第1のバスバー11aに接触させ、着火
部端子30dをリード線31を介して制御部70に接続
するように構成しても良い。また、第1の実施の形態の
回路遮断装置の第2の変形例において、着火部端子30
cを熱伝導端子32を介して第1のバスバー11aに接
触させ、着火部端子30dをリード線31を介して制御
部70に接続するように構成しても良い。このように構
成すれば、第2の実施の形態の回路遮断装置の効果と同
様な効果が得られる。
【0086】なお、本発明は前述した第1及び第2の実
施の形態の回路遮断装置及びこれを用いたワイヤーハー
ネス装置に限定されるものではない。第1及び第2の実
施の形態の回路遮断装置では、圧縮バネ39a及び低融
点金属23を設け、リテーナ40及び低融点金属23が
溶融したときに回路を遮断したが、例えば、低融点金属
23を設けることなくリテーナ40のみを設け、リテー
ナ40が溶融したときに回路を遮断しても良い。また、
第1及び第2の実施の形態では、リテーナ40として樹
脂部材を用いたが、リテーナ40は、加熱剤27の熱に
より溶融するハンダ(例えば、融点が200℃〜300
℃)等の低融点金属を用いても良い。
【0087】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、車両の異常時
には、外部からの遮断信号に基づいて、遮断手段が3以
上の接続端子から切り離すように接続部材を移動させる
ことにより3以上の回路を遮断する。すなわち、1つの
回路遮断装置により一度に全ての回路が遮断されるの
で、安価で且つ安全性を向上することができる。
【0088】請求項2の発明によれば、伸縮自在な弾性
部材を圧縮状態で取り付けた着脱部材は、外ケースに装
着されたときに加熱部の近傍または接触して配置され
る。そして、外部からの遮断信号により着火部が着火す
ると、加熱部に充填された加熱剤が発熱し、その熱によ
り着脱部材が溶融する。圧縮されていた弾性部材が伸張
して加熱部を跳ね上げるため、加熱部と3以上の接続端
子との電気的接続が一度に遮断されるから、安価で且つ
安全性を向上することができる。また、着脱部材は、外
ケースに着脱自在に構成されてなるため、着脱部材の着
脱作業が簡単になる。さらに、弾性部材を着脱部材で保
持しているため、3以上の接続端子と加熱部との接合部
に外力が加わらなくなる。
【0089】請求項3の発明によれば、熱伝導部材に接
触した接続端子に過電流が流れると、過電流により接続
端子の温度が上昇し、接続端子の熱が熱伝導部材を介し
て着火部に伝導されて、この熱により着火部が着火する
と、加熱部に充填された加熱剤が発熱し、その熱により
着脱部材が溶融し、弾性部材が伸張して加熱部を跳ね上
げるため、加熱部と3以上の接続端子との電気的接続を
遮断できる。
【0090】請求項4の発明によれば、着火部は、車両
の異常時に外部に設けられた制御部から入力された遮断
信号により着火剤に着火して加熱剤を発熱させるため、
遮断信号の入力によっても、回路を短時間で且つ確実に
遮断することができる。また、制御部等の故障により遮
断信号が着火部に入力されないために回路が遮断できな
い場合であっても、接続端子の温度により回路を短時間
で確実に遮断することができ、電気部品を保護すること
ができる。
【0091】請求項5の発明によれば、過電流により接
続端子の温度が上昇し、温度上昇による熱は、接続端
子、熱伝導部材、一方の着火部端子、抵抗体及び着火剤
と伝導されるため、この熱により着火剤を着火すること
ができる。また、他方の着火部端子が制御部へ接続され
ているため、制御部からの遮断信号が他方の着火部端子
を介して抵抗体に送られて抵抗体の発熱により着火剤を
着火することができる。
【0092】請求項6の発明によれば、制御部におい
て、遮断信号により電磁コイルに励磁電流が流れると、
この励磁電流によりスイッチがオンする。このため、電
源から、接続端子、熱伝導部材、一方の着火部端子、抵
抗体、他方の着火部端子、スイッチ、アースの経路で電
流が流れ、抵抗体の発熱により着火剤を着火することが
でき、接続端子側に有する電源を流用して回路を遮断す
ることができる。
【0093】請求項7の発明によれば、3以上の接続端
子のそれぞれの先端部と側壁部とを低融点材により接合
したため、加熱剤の発熱により着脱部材及び低融点材が
溶融すると、加熱部が跳ね上がり、3以上の接続端子と
加熱部との電気的接続を遮断できる。
【0094】請求項8の発明によれば、3以上の接続端
子は、分岐点を含む分岐部から放射状に分岐するように
配置されているので、通常では、2以上の電源から1以
上の負荷に電流が供給される。車両の異常時には、外部
からの遮断信号に基づいて、遮断手段が分岐部を切断さ
せることにより3以上の回路を遮断する。すなわち、1
つの回路遮断装置により一度に全ての回路が遮断される
ので、安価で且つ安全性を向上することができる。
【0095】請求項9の発明によれば、ワイヤーハーネ
ス装置に設けられた回路遮断装置において、車両の異常
時には、外部からの遮断信号に基づいて、遮断手段が3
以上の接続端子から切り離すように接続部材を移動させ
ることにより3以上の回路を遮断する。すなわち、1つ
の回路遮断装置により一度に全ての回路が遮断されるの
で、安価で且つ安全性を向上することができるワイヤー
ハーネス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回路遮断装置の原理図である。
【図2】本発明のワイヤーハーネス装置の実施の形態の
回路構成図である。
【図3】図2に示すワイヤーハーネス装置に備えられた
第1の実施の形態の回路遮断装置の上面図である。
【図4】第1の実施の形態の回路遮断装置のA−A間の
遮断前の断面図である。
【図5】第1の実施の形態の回路遮断装置のA−A間の
遮断前後の断面図及びその周辺回路図である。
【図6】第1の実施の形態の回路遮断装置の第1の変形
例の上面図である。
【図7】第1の実施の形態の回路遮断装置の第1の変形
例のA−A間の遮断前の断面図である。
【図8】第1の実施の形態の回路遮断装置の第2の変形
例の上面図である。
【図9】第1の実施形態の回路遮断装置の第2の変形例
のA−A間の遮断前の断面図である。
【図10】第2の実施の形態の回路遮断装置の遮断前の
断面図である。
【図11】第2の実施の形態の回路遮断装置に設けられ
た熱伝導端子及びその周辺部の詳細図である。
【図12】第2の実施の形態の回路遮断装置に接続され
る制御部の回路構成図である。
【図13】従来の回路遮断装置を備えたワイヤーハーネ
ス装置の一例を示す回路構成図である。
【符号の説明】
1 バッテリ 3 回路遮断装置 5 負荷 8 オールタネータ 11a 第1のバスバー 11b 第2のバスバー 11c 第3のバスバー 13 バスバー先端部 14a キャップ 14b 樹脂ケース 23 低融点金属 24 上蓋 26 テルミットケース 27 加熱剤 29 着火部 30a 着火剤 30c,30d 着火部端子 31 リード線 32 熱伝導端子 39a 圧縮バネ 40 リテーナ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2以上の電源と1以上の負荷との間に設
    けられ、前記2以上の電源から前記1以上の負荷に電流
    を供給するとともに、車両の異常時に前記2以上の電源
    への2以上の回路及び前記1以上の負荷への1以上の回
    路からなる3以上の回路を遮断する回路遮断装置であっ
    て、 前記2以上の電源及び前記1以上の負荷に対して1対1
    対応で設けられ且つ前記2以上の電源側及び前記1以上
    の負荷側へ接続される3以上の接続端子と、 この3以上の接続端子を相互に接続させる導電性を有す
    る接続部材と、 前記車両の異常時に外部からの遮断信号に基づいて、前
    記3以上の接続端子から切り離すように前記接続部材を
    移動させることにより前記3以上の回路を遮断する遮断
    手段と、を備えることを特徴とする回路遮断装置。
  2. 【請求項2】 前記遮断手段は、前記接続部材に加熱剤
    が充填された加熱部と、 前記遮断信号により着火剤に着火することにより前記加
    熱剤を発熱させる着火部と、 この着火部及び前記加熱部を収納する外ケースと、 伸縮自在な弾性部材と、 この弾性部材を圧縮状態で取り付けるとともに前記外ケ
    ースに着脱自在であって、前記外ケースに装着されたと
    きに前記加熱部の近傍または接触して配置されるととも
    に前記加熱剤の熱により溶融する着脱部材と、を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の回路遮断装置。
  3. 【請求項3】 前記3以上の接続端子の内の前記2以上
    の電源側に接続される2以上の接続端子の各接続端子と
    前記着火部とに接触する熱伝導部材を備えることを特徴
    とする請求項2記載の回路遮断装置。
  4. 【請求項4】 前記着火部は、前記車両の異常時に外部
    に設けられた制御部から入力された遮断信号により前記
    着火剤に着火して前記加熱剤を発熱させることを特徴と
    する請求項2または請求項3記載の回路遮断装置。
  5. 【請求項5】 前記着火部は、一対の着火部端子と、こ
    の一対の着火部端子間に設けられた抵抗体と、この抵抗
    体の近傍または接触して配置された前記着火剤とを有
    し、前記一対の着火部端子の内の一方の着火部端子が前
    記熱伝導部材の一端に接触し、他方の着火部端子が前記
    制御部へ接続され、前記熱伝導部材の他端が前記一方の
    接続端子に接触してなることを特徴とする請求項4記載
    の回路遮断装置。
  6. 【請求項6】 前記制御部は、前記遮断信号により励磁
    電流が流れる電磁コイルと、一端が前記他方の着火部端
    子に接続され他端がアースされ前記励磁電流によりオン
    するスイッチとを有することを特徴とする請求項5記載
    の回路遮断装置。
  7. 【請求項7】 前記加熱部の端部には側壁部が形成さ
    れ、前記3以上の接続端子のそれぞれの先端部と前記側
    壁部とを低融点材により接合したことを特徴とする請求
    項2乃至請求項6のいずれか1項記載の回路遮断装置。
  8. 【請求項8】 2以上の電源と1以上の負荷との間に設
    けられ、前記2以上の電源から前記1以上の負荷に電流
    を供給するとともに、車両の異常時に前記2以上の電源
    への2以上の回路及び前記1以上の負荷への1以上の回
    路からなる3以上の回路を遮断する回路遮断装置であっ
    て、 分岐点を含む分岐部から放射状に分岐するように配置さ
    れ且つ前記2以上の電源及び前記1以上の負荷に対して
    1対1対応で設けられ前記2以上の電源側及び前記1以
    上の負荷側へ接続される3以上の接続端子と、 前記車両の異常時に外部からの遮断信号に基づいて、前
    記分岐部を切断させることにより前記3以上の回路を遮
    断する遮断手段と、を備えることを特徴とする回路遮断
    装置。
  9. 【請求項9】 2以上の電源と1以上の負荷との間に設
    けられ、前記2以上の電源から電線を構成するワイヤー
    ハーネスを介して前記1以上の負荷に電流を供給すると
    ともに、車両の異常時に前記2以上の電源への2以上の
    回路及び前記1以上の負荷への1以上の回路からなる3
    以上の回路を遮断する回路遮断装置を備えたワイヤーハ
    ーネス装置であって、 前記回路遮断装置は、 前記2以上の電源及び前記1以上の負荷に対して1対1
    対応で設けられ且つ前記2以上の電源側及び前記1以上
    の負荷側へ接続される3以上の接続端子と、 この3以上の接続端子を相互に接続させる導電性を有す
    る接続部材と、 前記車両の異常時に外部からの遮断信号に基づいて、前
    記3以上の接続端子から切り離すように前記接続部材を
    移動させることにより前記3以上の回路を遮断する遮断
    手段と、を備えることを特徴とするワイヤーハーネス装
    置。
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