JP2001133588A - 吸収棒、この挿入装置、キャスク、および使用済み核燃料集合体の搬送・貯蔵方法 - Google Patents

吸収棒、この挿入装置、キャスク、および使用済み核燃料集合体の搬送・貯蔵方法

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JP2001133588A JP31171399A JP31171399A JP2001133588A JP 2001133588 A JP2001133588 A JP 2001133588A JP 31171399 A JP31171399 A JP 31171399A JP 31171399 A JP31171399 A JP 31171399A JP 2001133588 A JP2001133588 A JP 2001133588A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PWR用の使用済み核燃料集合体に存在する
制御棒挿入空間および計測棒挿入空間を有効利用して使
用済み核燃料集合体間における未臨界を担保する距離を
短くして使用済み核燃料集合体の収納密度を高めるこ
と。 【解決手段】 原子炉内において炉心の反応度制御に用
いる円柱の制御棒の形状とほぼ同じ形状をもち、中性子
遮蔽能を有した吸収ロッド11を、核燃料集合体1の制
御棒案内管および計測管に挿入したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃焼を終えた使
用済み核燃料集合体の制御棒案内管に挿入される中性子
吸収能を有する吸収棒、吸収棒を制御棒案内管に挿入す
る挿入装置、使用済み核燃料集合体を収容、搬送、貯蔵
するキャスク、およびこの使用済み核燃料集合体の搬送
・貯蔵方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】核燃料サイクルの終期にあって燃焼を終
え使用できなくなった核燃料集合体を、使用済み核燃料
という。使用済み核燃料は、核分裂生成物など高放射能
物質を含むので熱的に冷却する必要があるから、原子力
発電所の冷却ピットで所定期間、冷却される。その後、
遮蔽容器であるキャスクに収納され、トラックや船舶等
で再処理施設や保管施設に搬送、貯蔵される。使用済み
核燃料集合体をキャスク内に収容するにあたっては、バ
スケットと称する格子状断面を有する保持要素を用い
る。この使用済み核燃料集合体は、バスケットに形成し
た複数の収納空間であるセルに1体ずつ挿入され、これ
によって、輸送中の振動などに対する適切な保持力を確
保している。
【0003】このようなキャスクの従来例としては、
「原子力eye」(平成10年4月1日発行:日刊工業
出版プロダクション)や特開昭62−242725号公
報などにて様々な種類のものが開示されている。
【0004】図13は、キャスクの一例を示す斜視図で
ある。図14は、図13に示したキャスクの軸方向断面
図である。キャスク500は、筒形状の胴本体501
と、胴本体501の外周に設けた中性子遮蔽体であるレ
ジン502と、その外筒503、底部504および蓋部
505から構成されている。胴本体501および底部5
04は、γ線遮蔽体である炭素鋼製の鍛造品である。ま
た、蓋部505は、ステンレス製等の一次蓋506およ
び二次蓋507からなる。胴本体501と底部504
は、突き合わせ溶接によって結合してある。一次蓋50
6および二次蓋507は、胴本体501に対してステン
レス製等のボルトによって固定されている。蓋部505
と胴本体501との間には、金属製のOリングが介在
し、内部の気密を保持している。
【0005】胴本体501と外筒503との間には、熱
伝導を行う複数の内部フィン508が設けられている。
内部フィン508は、熱伝導効率を高めるため、その材
料には銅を用いる。レジン502は、この内部フィン5
08によって形成される空間に流動状態で注入され、熱
硬化反応等で固化形成する。バスケット509は、69
本の角パイプ510を図14に示すように束状に集合さ
せた構造であり、胴本体501のキャビティ511内に
挿入してある。
【0006】角パイプ510は、挿入した使用済み核燃
料集合体が臨界に達しないように中性子吸収材(ホウ
素:B)を混合したアルミニウム合金からなる。なお、
キャスク本体512の両側には、キャスク500を吊り
下げるためのトラニオン513が設けられている(一方
のみを図示)。また、キャスク本体512の両端部に
は、内部に緩衝材として木材などを組み込んだ緩衝体5
14が取り付けられている(一方のみを図示)。なお、
515は使用済み核燃料集合体が収容されるセルであ
る。
【0007】ところで、軽水型原子力発電には、沸騰水
型原子力発電(BWR:boiling water reactor)と、
加圧水型原子力発電(PWR:pressurized water reac
tor)とがある。上述したキャスク500は、沸騰水型
原子力発電(BWR:boilingwater reactor)に用いら
れた使用済み核燃料集合体を収容するキャスクである。
BWR用の核燃料集合体は、図15に示す構成をもつ。
BWR用の核燃料集合体は、4つのチャネルボックス6
01が格子状に配列され、その中心部分に断面形状が十
字形状をもつ制御棒608が介在し、この制御棒608
の上下動によって燃料棒603の反応度が制御される。
【0008】核燃料集合体600は、8×8本の燃料棒
603が格子状に配列される。各燃料棒603は、4メ
ートル程度の長い棒であるため、燃料棒603を支持す
る支持格子607が設けられる。各燃料棒603は、粉
末状の酸化ウランを焼結した複数の円柱状のペレット6
31が核燃料として、ジルコニウム合金で構成される円
筒状の被覆管633内に挿入され、被覆管633の上部
に挿入されたスプリング632によって保持される。な
お、ハンドル610は、核燃料集合体600の上げ下げ
に用いられる。上述したキャスク500内のセル515
内に挿入されて収容される使用済み核燃料集合体は、図
15に示したBWR用の核燃料集合体600である。
【0009】これに対して、図16に示す核燃料集合体
は、加圧水型原子力発電(PWR:pressurized water
reactor)に用いられる。このPWR用の核燃料集合体
700は、燃料棒703の間に適宜、分散配置された制
御棒708が配列され、燃料棒703と制御棒708と
が17×17の格子状に配置されている。この17×1
7の核燃料集合体700では、中央に配置された1本の
計測管と24本の制御棒708が分散して配置される。
【0010】この制御棒708を上下動することによっ
て、炉心の反応度が制御される。各燃料棒703は、B
WR用の燃料棒603と同様に、4メートル程度の長い
棒であるため、燃料棒703を支持する支持格子707
が設けられる。各燃料棒703は、ジルコニウム合金で
構成された円筒状の被覆管733内に複数のペレット7
31が挿入され、被覆管733の上部に挿入されたスプ
リング732によって保持される。そして、キャスクに
は、この燃料集合体70単位で、使用済み核燃料集合体
としてセル内に収容される。
【0011】図17は、PWR用のキャスクの軸方向断
面図である。図17において、PWR用のキャスク80
0のキャビティ811内には、半径方向に延びるプレー
ト817を交互に組み合わせて断面が矩形状のセル81
5を形成したバスケット809を有する。各プレート8
17は、BWR用の角パイプ510と同様に、中性子吸
収材であるBを混合したアルミニウム合金によって構成
される。
【0012】ただし、各プレート817は、軸方向に延
びる冷却水流路816の貫通孔、いわゆるウォーターゾ
ーンを有し、使用済み核燃料集合体の冷却時に、各バス
ケットセル内およびこの貫通孔に水を満たし、中性子の
減速を行い、プレート817およびレジン802による
中性子吸収を効率的に行うようにしている。なお、この
冷却水流路816に満たされた水は、所定の冷却期間経
過後、水抜きが行われ、乾燥される。
【0013】冷却水流路816を設けたのは、PWR用
の核燃料集合体のウラン濃縮度が、BWR用の核燃料集
合体に比して高いこと、および核燃料集合体当たりのウ
ラン装荷量も多く、核燃料集合体断面積も大きいため、
これを配列した体系の反応度が高くなるためである。こ
こで、図17に示す距離ddは、使用済み核燃料集合体
が未臨界となることを担保する距離であり、PWR用の
距離ddは、BWR用の距離に比して大きな距離を持た
せる必要がある。また、各セル815の配置が格子状で
なく、位置ずれをしているのは、BWRの使用済み燃料
集合体に比してその核燃料集合体断面積が大きいPWR
用の使用済み核燃料集合体を効率的にキャビティ811
に配置するためである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したP
WR用の使用済み核燃料集合体は、格子状に配列された
燃料棒703の間に散在する制御棒708は引き抜かれ
た状態となっており、この制御棒708が引き抜かれた
状態の使用済み核燃料集合体700が、キャスク800
内のバスケット809によって形成されるセル815内
に挿入され、収容されることになる。
【0015】したがって、使用済み核燃料集合体内にお
ける制御棒708あるいは図示しない計測棒が引き抜か
れて出来た空間は無駄な空間となっており、この空間を
有効利用することが要望される。
【0016】また、PWR用のバスケットを形成するプ
レートあるいは角パイプは、冷却水流路816を形成し
なければならず、プレートあるいは角パイプの生成がB
WR用のプレートあるいは角パイプの生成に比して複雑
であり、時間と労力がかかるという問題点があった。
【0017】さらに、PWR用の使用済み核燃料集合体
自体の核燃料集合体断面積が矩形で大きく、しかも冷却
水流路816を設ける必要があるため、キャスクに対す
る使用済み核燃料集合体の収納効率が悪いという問題点
があった。
【0018】この発明は上記に鑑みてなされたもので、
PWR用の使用済み核燃料集合体に存在する制御棒挿入
空間および計測棒挿入空間を有効利用して使用済み核燃
料集合体間における未臨界を担保する距離ddを短くし
て、使用済み核燃料集合体の収納密度を高めることがで
きる吸収棒、この挿入装置、キャスク、および使用済み
核燃料集合体の搬送・貯蔵方法を提供することを目的と
する。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1にかかる吸収棒は、原子炉内において炉心
の反応度制御に用いる円柱のPWR用制御棒の形状とほ
ぼ同じ形状をもち、中性子遮蔽能を有することを特徴と
する。
【0020】この発明によれば、原子炉内において炉心
の反応度制御に用いる円柱のPWR用制御棒の形状とほ
ぼ同じ形状をもち、中性子遮蔽能を有する吸収棒を設
け、この吸収棒を使用済み核燃料集合体の制御棒案内管
あるいは計測管を含む制御棒案内管に挿入するようにし
ている。
【0021】また、請求項2にかかる吸収棒は、上記の
発明において、PWR用使用済み核燃料集合体の制御棒
案内管あるいは計測管を含む制御棒案内管の断面位置に
対応した位置に前記吸収棒を固定する固定部材をさらに
有したことを特徴とする。
【0022】この発明によれば、PWR用使用済み核燃
料集合体の制御棒案内管あるいは計測管を含む制御棒案
内管の断面位置に対応した位置に前記吸収棒を固定する
固定部材を設け、この固定部材によって、複数の吸収棒
を一括して使用済み核燃料集合体の制御棒案内管あるい
は計測管を含む制御棒案内管に挿入することができる。
【0023】また、請求項3にかかる吸収棒は、上記の
発明において、前記吸収棒は、AlまたはAl合金粉末
に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加
したAl複合材またはAl合金によって構成されること
を特徴とする。
【0024】この発明によれば、吸収棒を、Alまたは
Al合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物
の粉末を添加したAl複合材またはAl合金によって構
成し、使用済み核燃料集合体内部において中性子吸収を
行うようにしている。
【0025】また、請求項4にかかるキャスクは、原子
炉内において炉心の反応度制御に用いる円柱のPWR用
制御棒の形状とほぼ同じ形状をもち、中性子遮蔽能を有
した吸収棒群と、前記吸収棒群が挿入される制御棒案内
管あるいは計測管を含む制御棒案内管群を有したPWR
用使用済み核燃料集合体と、前記吸収棒群が挿入された
PWR用使用済み核燃料集合体を収納する格子状セルを
形成したバスケットと、前記バスケットを内部に収納
し、外周に中性子遮蔽体を有し且つγ線の遮蔽を行う胴
本体と、前記吸収棒群が挿入されたPWR用使用済み核
燃料集合体を前記格子状セルに出し入れするために前記
胴本体の開口部に設けられた着脱可能な蓋部とを備えた
ことを特徴とする。
【0026】この発明によれば、原子炉内において炉心
の反応度制御に用いる円柱のPWR用制御棒の形状とほ
ぼ同じ形状をもち、中性子遮蔽能を有した吸収棒群を、
使用済み核燃料集合体の制御棒案内管あるいは計測管を
含む制御棒案内管群に挿入した使用済み核燃料集合体を
キャスク内に収納し、使用済み核燃料集合体から外部に
放射される中性子数を減少し、使用済み核燃料集合体間
の離隔距離を小さくすることができる。
【0027】また、請求項5にかかるキャスクは、上記
の発明において、前記吸収棒はPWR用制御棒であるこ
とを特徴とする。
【0028】この発明によれば、PWR用制御棒自体が
回収されるような場合に、吸収棒をPWR用制御棒自体
とし、制御棒を挿入したままの使用済み核燃料集合体と
している。
【0029】また、請求項6にかかるキャスクは、上記
の発明において、PWR用使用済み核燃料集合体に挿入
された吸収棒の断面積の対応分、当該キャスク内部にお
いて前記PWR用使用済み核燃料集合体を保持するバス
ケットを構成するプレートあるいは角パイプの中性子吸
収能あるいは中性子減速能に対応した等価厚みを、前記
PWR用使用済み核燃料集合体に挿入された吸収棒の中
性子吸収能あるいは中性子減速能に対応した等価断面積
分、薄くしたことを特徴とする。
【0030】この発明によれば、前記PWR用使用済み
核燃料集合体に挿入された吸収棒の断面積の対応分、当
該キャスク内部において前記PWR用使用済み核燃料集
合体を保持するバスケットを構成するプレートあるいは
角パイプの中性子吸収能あるいは中性子減速能に対応し
た等価厚みを、前記PWR用使用済み核燃料集合体に挿
入された吸収棒の中性子吸収能あるいは中性子減速能に
対応した等価断面積分、薄くしたバスケット形状にし、
特にウラン濃縮度の高いPWRのバスケットに設けられ
るウォーターゾーンを一層狭くでき、もしくはウォータ
ゾーンを削除したバスケット形状とすることができよう
にしている。
【0031】また、請求項7にかかるキャスクは、上記
の発明において、前記吸収棒および前記バスケットは、
AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまた
はB化合物の粉末を添加したAl複合材またはAl合金
によって構成されることを特徴とする。
【0032】この発明によれば、吸収棒およびバスケッ
トを、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつ
BまたはB化合物の粉末を添加したAl複合材またはA
l合金によって構成し、使用済み核燃料集合体内部およ
び周囲において中性子吸収を行うようにしている。
【0033】また、請求項8にかかる挿入装置は、PW
R用使用済み核燃料集合体の制御棒案内管あるいは計測
管を含む制御棒案内管の断面位置に対応した位置に、炉
心の反応度制御に用いる円柱のPWR用制御棒の形状と
ほぼ同じ形状をもち、中性子遮蔽能を有した吸収棒群を
固定部材によって固定し、PWR用使用済み核燃料集合
体の上部ノズル開口部を介して該上部ノズル内部に前記
固定部材が挿入可能な吸収棒体と、PWR用使用済み核
燃料集合体の上部ノズル開口部を介して該上部ノズル内
部に挿入可能で、前記制御棒案内管あるいは計測管を含
む制御棒案内管の断面位置に対応した位置に前記吸収棒
群が挿入可能な貫通孔を有し、静止時に前記吸収棒群の
先端が該貫通孔に挿入された状態で前記固定部材に懸装
される案内部材と、前記吸収棒体の固定部材を着脱自在
に懸吊し、着装時に該吸収棒体を上下動させる吊り部
と、前記案内部材に設けられ、前記案内部材に設けられ
た貫通孔群の配置位置とこれに対応する前記PWR用使
用済み核燃料集合体の制御棒案内管群の配置位置との相
対位置関係を検出する位置検出手段とを備え、前記位置
検出手段の検出結果をもとに前記貫通孔群と前記制御棒
案内管群との相対位置とを合わせ、前記吸収棒群を降下
させて前記吸収棒群を前記制御棒案内管あるいは計測管
を含む制御棒案内管に挿入させることを特徴とする。
【0034】この発明によれば、位置検出手段の検出結
果をもとに案内部材の貫通孔群と使用済み核燃料集合体
の制御棒案内管群との相対位置とを合わせ、前記吸収棒
体を降下させることによって貫通孔群が案内孔として作
用し、長い吸収棒群を確実に制御棒案内管あるいは計測
管を含む制御棒案内管の中に挿入させることができる。
【0035】また、請求項9にかかる挿入装置は、上記
の発明において、前記吊り部と前記固定部材との距離が
所定距離内になったことを検出する距離検出手段をさら
に備えたことを特徴とする。
【0036】この発明によれば、距離検出手段が、吊り
部と固定部材との距離が所定距離内になったことを検出
し、制御棒案内管等に吸収棒群が確実に挿入されたこと
を検知し、挿入途中における吸収棒群の落下を防止す
る。
【0037】また、請求項10にかかる使用済み核燃料
集合体の搬送・貯蔵方法は、原子炉内において炉心の反
応度制御に用いる円柱のPWR用制御棒の形状とほぼ同
じ形状をもち、中性子遮蔽能を有した吸収棒群を、PW
R用使用済み核燃料集合体の計測管を含む制御棒案内管
群に挿入する挿入工程と、前記吸収棒群が挿入された状
態で前記PWR用使用済み核燃料集合体を搬送し、貯蔵
する搬送・貯蔵工程とを含むことを特徴とする。
【0038】この発明によれば、挿入工程によって、原
子炉内において炉心の反応度制御に用いる円柱のPWR
用制御棒の形状とほぼ同じ形状をもち、中性子遮蔽能を
有した吸収棒群を、PWR用使用済み核燃料集合体の計
測管を含む制御棒案内管群に挿入し、その後、搬送・貯
蔵工程によって、前記吸収棒群が挿入された状態で前記
PWR用使用済み核燃料集合体を搬送し、貯蔵するよう
にし、使用済み核燃料集合体間の離隔距離を小さくでき
るようにしている。
【0039】また、請求項11にかかる使用済み核燃料
集合体の搬送・貯蔵方法は、上記の発明において、前記
吸収棒は、PWR用制御棒であることを特徴とする。
【0040】この発明によれば、PWR用制御棒が回収
されるような場合に、吸収棒をPWR用制御棒自体と
し、PWR用制御棒を挿入したままの使用済み核燃料集
合体となるようにしている。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、この
発明にかかる吸収棒、この挿入装置、キャスク、および
使用済み核燃料集合体の搬送・貯蔵方法の好適な実施の
形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこ
の発明が限定されるものではない。
【0042】(実施の形態1)まず、この発明が適用さ
れる使用済み核燃料集合体について説明する。図1は、
PWR用の使用済み核燃料集合体の構成を示す斜視図で
ある。図1において、使用済み核燃料集合体である核燃
料集合体1は、燃料棒4と制御棒案内管5と計測管6と
が格子状に束ねられ、その断面が14×14のマトリッ
クス配置となっている。このマトリックス配置は、燃料
棒4、制御棒案内管5、および計測管6の長手方向の適
宜な箇所に設けられた支持格子7によって支持される。
また、制御棒案内管5および計測管6は、上部ノズル2
および下部ノズル3によって支持される。
【0043】すなわち、制御棒案内管5と計測管6は、
円筒形状を有し、制御棒案内管5と計測管6のマトリッ
クス状の配置位置に対応して設けられた上部ノズル2と
下部ノズル3との貫通孔によって保持される。制御棒案
内管5は、原子炉内において中性子吸収能を有する制御
棒が挿入され、この制御棒の挿入本数および挿入深さに
よって炉心の反応度が制御される。制御棒案内管5は、
マトリックス配置上、分散して配置される。計測管6
は、原子炉内において図示しない計測棒が定期的に挿入
され、温度あるいは放射線量が計測され、炉心管理の情
報として用いられる。しかし、使用済み核燃料集合体と
して収納される場合、制御棒案内管5に挿入される制御
棒は引き抜かれており、同様に計測管6は計測棒が引き
抜かれている。
【0044】そこで、図2に示すように制御棒案内管5
および計測管6に挿入される制御棒および計測管と同じ
円柱形状をもち、中性子吸収能を有する複数の吸収ロッ
ド11を新たに形成し、この吸収ロッド11を核燃料集
合体1の制御棒案内管5および計測管6に挿入する。吸
収ロッド11の一端は、上部ノズル2の上部開口部から
内部に挿入可能な矩形の板状部材である端板12に接合
され、他端は、テーパ状を形成し、制御棒案内管5およ
び計測管6に挿入しやすいようになっている。
【0045】また、吸収ロッド11の長さは、燃料有効
長さを包絡する長さとする。さらに、吸収ロッド11の
半径は、制御棒案内管5および計測管6の内径未満の値
を有し、可能な限り、制御棒案内管5および計測管6の
内径に近いものが好ましいが、約4メートルの長さを有
するため、ある程度のクリアランスを持たせる必要があ
る。
【0046】図3は、図2(b)に示した核燃料集合体
1の平面図である。図3に示した上部ノズル2は、マト
リックス配置に対応して制御棒案内管5と計測管6とが
配置される。また、原子炉内における軽水の流路21の
貫通孔が複数設けられている。吸収ロッド11は、この
制御棒案内管5および計測管6を貫通して挿入される。
【0047】また、図4は、図2(b)に示した核燃料
集合体1の支持格子7のA−A線断面図である。支持格
子7は、燃料棒4、制御棒案内管5、および計測管6か
らなる14×14の格子状態を保持する。吸収ロッド1
1は、図4に示した支持格子7の制御棒案内管5および
計測管6を貫通して挿入される。
【0048】したがって、図2(a)に示した端板12
は、吸収ロッド11が制御棒案内管5および計測管6に
挿入された状態を保持するように吸収ロッド11を接合
する。この複数の吸収ロッド11と端板12とが接合さ
れた吸収ロッド体10を用いることによって、複数の吸
収ロッド11を一括して制御棒案内管5および計測管6
に挿入することができる。なお、端板12を用いて吸収
ロッド11を接合せずに各吸収ロッド11を個別に各制
御棒案内管5および計測管6に挿入するようにしてもよ
い。ただし、核燃料集合体1に吸収ロッド11が挿入さ
れた状態で運搬する場合には、吸収ロッド体10を用い
る方が吸収ロッド11の保持が容易である。
【0049】図5は、燃料棒4の構成を示す正面図であ
る。図5において、燃料棒4は、ジルコニウム合金で構
成された円筒状の被覆管33内に複数のペレット31が
挿入され、ペレット31は、被覆管33内の上部に挿入
されたスプリング32によって保持される。この燃料棒
4は、上述したように使用済み核燃料集合体を主として
構成するものである。
【0050】なお、吸収ロッド11は、AlまたはAl
合金粉末に中性子吸収能をもつB(ホウ素)またはB化
合物の粉末を添加したAl複合材またはAl合金によっ
て構成され、使用済み核燃料集合体自体が内部から臨界
に達しないようにしている。また、吸収ロッド11は、
Al複合材またはAl合金によって構成されるので、軽
量であり、中性子遮蔽能で核燃料集合体間の距離を小さ
くできるので、同じ核燃料収容体数でよいならばキャス
クの軽量化が一層、促進される。なお、中性子吸収能を
有するのであれば、Al複合材あるいはAl合金に限ら
ず、他の材料を用いてもよい。したがって、吸収ロッド
11に代えて、制御棒4そのものを挿入してもよい。
【0051】この実施の形態1によれば、中性子吸収能
を有する吸収ロッド11を使用済み核燃料集合体の制御
棒案内管5および計測管6に挿入するようにしているの
で、制御棒案内管5および計測管6の空間を有効に利用
して中性子を吸収することができ、使用済み核燃料集合
体内部から中性子の放出を低減するようにし、使用済み
核燃料集合体間における未臨界のための離隔距離を低減
できる。また、複数の吸収ロッド11を端板12によっ
て接合した吸収ロッド体10を用いることによって、吸
収ロッド11を一括して制御棒案内管5および計測管6
に挿入することができ、作業効率が向上する。
【0052】(実施の形態2)つぎに、実施の形態2に
ついて説明する。この実施の形態2は、上述した実施の
形態1による吸収ロッド11が挿入された使用済み核燃
料集合体を収納するキャスクであり、このキャスクにお
けるバスケットのプレートに設けられた冷却流水路が削
除された構成となっている。
【0053】図6は、キャスクの径方向断面図であり、
図17に示した従来のPWR用のキャスクを改良したも
のである。図17に示したプレート817は、PWR用
の使用済み核燃料集合体のウラン濃縮度が高いこと、お
よびBWR用と比して核燃料集合体当たりのウラン装荷
量も多く、核燃料集合体断面積も大きいため、これを配
列した体系の反応度が高くなることから、冷却時におけ
る中性子を減速させて中性子吸収を効率的に行わせるた
めに、中性子減速材としての水を冷却水流路816内に
満たすようにしていた。しかし、上述した実施の形態1
で説明した吸収ロッド11を挿入した使用済み核燃料集
合体は、使用済み核燃料集合体内部に中性子吸収材を含
んでいるため、使用済み核燃料集合体自体から外部に放
出する中性子が低減されることになる。
【0054】この結果、使用済み核燃料集合体の冷却時
における未臨界のための離隔距離を短くすることがで
き、冷却時における冷却水流路816を設ける必要がな
い。そのため、図6に示したPWR用のキャスク40の
バスケット49を構成するプレート50は、BWR用の
バスケット構造と同様に、冷却水流路を設けていない。
【0055】この結果、図6に示したPWR用のキャス
ク40では、図17に示したPWR用のキャスク800
のキャビティ811と同じキャビティ容積にもかかわら
ず、プレート50の厚みを薄くすることができるので、
一層多くの使用済み核燃料集合体を格納することができ
る。たとえば、図17に示したキャスク800では、1
9体の使用済み核燃料集合体を収納することができる
が、図6に示したキャスク40では、32体の使用済み
核燃料集合体を収納することができ、この実施の形態2
におけるキャスク40を適用することによって、13体
の使用済み核燃料集合体をさらに収納することができ
る。換言すれば、使用済み核燃料集合体の集積密度を高
めて収納することができる。
【0056】なお、バスケット形状を図17に示した形
状のままで、実施の形態1を適用した使用済み核燃料集
合体を収納すると、中性子の放出量が低減されるため、
レジンの厚みを薄くすることも可能である。これによっ
て、同じ体数の使用済み核燃料集合体を収納する場合に
おけるキャスク全体の大きさを小型化することも可能で
ある。
【0057】なお、上述した実施の形態2では、プレー
ト50を格子状に組み合わせて、セル55を形成する構
成としたが、これに限らず、角パイプによってセルを構
成してもよい。
【0058】この実施の形態2では、実施の形態1にお
ける使用済み核燃料集合体を収納する場合、キャスクの
バスケットを構成するプレートの厚みを、使用済み核燃
料集合体に挿入された吸収ロッドによる中性子吸収能に
対応させて薄くすることができ、結果的にキャスク内に
収容される使用済み核燃料集合体の体数を多くすること
ができる。また、PWR用のキャスクの特徴である冷却
水流路をプレートあるいは角パイプに設ける必要がな
く、BWR用のプレートあるいは角パイプと同様な単純
構造のプレートあるいは角パイプを用いることができ
る。
【0059】(実施の形態3)つぎに、実施の形態3に
ついて説明する。実施の形態1では、複数の吸収ロッド
11を有する吸収ロッド体10を用いることによって、
複数の吸収ロッド11を一括して挿入し、作業効率の向
上を図るようにしていたが、この実施の形態3では、さ
らに、複数の吸収ロッド11の使用済み核燃料集合体へ
の挿入を容易かつ安全確実に行うようにしている。
【0060】図7は、この実施の形態3が適用される挿
入装置の構成を示す図である。図7において、この挿入
装置は、吸収ロッド11が接合された上部端板61、吸
収ロッド11の案内を行う下部端板62、および上部端
板61を移動させる吊り部64を有する。
【0061】上部端板61は、吸収ロッド体10に対応
する。上部端板61と下部端板62とは、吊具63によ
って懸吊される。図8は、下部端板62のB−B線断面
図であり、下部端板62は、吸収ロッド11を案内する
案内孔77を有する。この案内孔77は、制御棒案内管
5および計測管6の位置に対応して設けられる。また、
上部端板61と下部端板62とが吊具63によって懸吊
される場合、静止時あるいは初期状態においては、吸収
ロッド11の先端が少なくとも案内孔77に挿入された
状態でなければならない。また、上部端板61と下部端
板62の水平方向の幅は、上部ノズル2の上部開口部か
ら挿入できる幅である必要があり、少なくとも制御棒案
内管5および計測管6の案内孔77を設けられる幅であ
ることが必要である。
【0062】上部端板61のほぼ中央部には、吊り孔7
8が設けられ、吊り孔78の内壁には、後述する拘束具
65のつめ69が掛かるくぼみ70を有する。拘束具6
5は、上部端板61に対応した平板である吊り板60に
設けられた支点68を中心に自在に回動するが、拘束具
65の上部に設けられ、互いに拘束具65の上部を引き
付ける引張バネ66によって、拘束具65の下部に設け
られたつめ69を常に開脚させる状態にし、これによっ
て上部端板61を保持する。上部端板61の保持を解除
する場合、すなわち、上部端板61および下部端板62
と、吊り部64とを切り離す場合には、拘束具65の上
部を相互に接続するエアシリンダ67によって、拘束具
65の上部を引張バネ66の引張力に打ち勝って押し広
げる。これによって、つめ69は、くぼみ70から離
れ、吊り孔78を介してそれぞれ分離される。
【0063】吊り板60とロードセル81とはロープ8
4を介して懸吊され、さらにロードセル81は、懸吊す
る負荷を検知しながら、ロープ83を介してフック82
に吊され、このフック82は、図示しない揚重機に接続
される。図示しない揚重機は、吊り部64全体を移動さ
せ、特に上下動させるとともに、拘束具65を介して結
合される上部端板61および下部端板62を同時に移動
させることができる。
【0064】吊り板60上には、巻取部73を介して光
ファイバ71が下部端板62の上下動に対応して巻き回
される。光ファイバ71は、吊り板60の貫通孔76お
よび上部端板61の貫通孔75を貫通し、下部端板62
の撮像孔94まで延びる。光ファイバ71の先端には光
ファイバ71のレンズ72を有し、レンズ72は撮像孔
94を介して下部に向けられる。光ファイバ71の先端
には、おもり91が設けられ、光ファイバ71のレンズ
72を圧し、画像を安定して撮像できるようにしてい
る。光ファイバ71の他端は、巻取部73を介して図示
しない撮像部に接続され、カメラ等によってレンズ72
近傍の画像が撮像される。
【0065】また、吊り板60には、下部に突起をもつ
検出器92を有する。さらに、この検出器92に対応し
た下部端板62上には、検出突起93を有し、この検出
突起93は、上部端板61の貫通孔74を介して検出器
92の下部突起に当接することができる。この検出突起
93と検出器92の下部突起とが当接する場合は、吸収
ロッド11が制御棒案内管5および計測管6に全て挿入
された場合である。この当接は、検出器92によって検
出され、検出結果は図示しない検出部に出力される。
【0066】ここで、さらに図9〜図11を参照して、
挿入装置による吸収ロッド11の挿入動作について説明
する。図7に示した状態は、挿入の初期状態であり、上
部端板61が吊り部64に結合され、吊具63が延びき
った状態である。この状態において、光ファイバ71の
レンズ72を介して下部端板62の位置と上部ノズル2
の位置との相対位置関係を検出する。この相対位置関係
の検出は、画像処理を行うことによって行われ、たとえ
ばパターンマッチングによって相対位置ずれが所定値以
下であるか否かを決定し、所定値以下の場合には、おお
よそ下部端板62と上部ノズル2との位置が一致した、
すなわち下部端板62の案内孔77のそれぞれと、上部
ノズル2の制御棒案内管5のそれぞれとが一致する相対
位置関係にあると判断する。
【0067】具体的には、図9(a)に示すように相対
位置ずれのない基準画像を取得しておく。下部端板62
が図上、右上に位置ずれしている場合には、図9(b)
に示すように流路21および制御棒案内管5が図上、左
下に位置し、上部ノズル2の壁面上端であるノズル筐体
100の領域が大きくなる。一方、下部端板62が図
上、左下に位置ずれしている場合には、図9(c)に示
すように流路21および制御棒案内管5が図上、右上に
位置し、ノズル筐体100の領域が小さくなる。したが
って、図9(b),(c)に示した画像と図9(a)に
示した基準画像とのパターンマッチングを行うことによ
って、下部端板62の位置ずれ、すなわち吸収ロッド1
1の位置ずれを検出することができる。この位置ずれの
情報は、揚重機を操作する操作員に伝達され、操作員
は、この位置ずれの情報をもとに揚重機を操作して位置
ずれをなくすように操作する。
【0068】この位置ずれの補正が終わると、操作員は
揚重機を下降させ、上部端板61を下降させることによ
って、吸収ロッド11を下降させ、案内孔77を介して
吸収ロッド11が制御棒案内管5および計測管6に挿入
される。この場合、下部端板62は、位置ずれのない位
置で上部ノズル2の内部上面に載置された状態となる。
【0069】制御棒案内管5等に対する吸収ロッド11
の挿入が終了すると、検出器92の突起と検出突起93
とが当接し、この検出結果が図示しない検出部に出力さ
れる。この検出結果をもとに、操作員は、エアシリンダ
67を押し広げる操作を行い、つめ69の引っかかりを
なくす。その後、操作員は、揚重機を上昇させて上部端
板61と吊り部64とを切り離す。実際に切り離された
か否かは、ロードセル81によって確認することができ
る。
【0070】この結果、図11に示すように、吸収ロッ
ド11は、制御棒案内管5等に挿入され、吸収ロッド1
1を保持している上部端板61および吸収ロッド11を
案内した下部端板62は、上部ノズル2の内部に収ま
り、上部ノズル2の形状を超えることがない。したがっ
て、吸収ロッド11を挿入しない使用済み核燃料集合体
と同じ形状の使用済み核燃料集合体となる。
【0071】なお、上述した検出器92と検出突起93
との当接は、磁気的あるいは電気的手段によって検出す
ることができる。また、検出器92を光検出器とし、光
学的な手段によって距離を測定し、距離が所定値以下に
なった場合に挿入が完了したものと判断するようにして
もよい。
【0072】また、上述した上部端板61と下部端板6
2とをそれぞれ吸収ロッド11と同様に、B−Al材等
の中性子吸収能をもった材質によって形成することによ
って、水に浸けた状態で保存する湿式のキャスクの場合
に蓋部方向のレジンの厚みを薄くすることができる。
【0073】この実施の形態3によれば、挿入装置を用
いて吸収ロッドと制御棒案内管5等の相対位置ずれを検
出し、大まかな位置補正を行って吸収ロッドと制御棒案
内管5等の相対位置を一致させ、吸収ロッドの先端のテ
ーパ形状を用いて、確実かつ容易に吸収ロッドを制御棒
案内管5に挿入することができる。また、挿入完了の検
出を行うようにしているので、挿入時における安全も確
保することができる。
【0074】(実施の形態4)つぎに、実施の形態4に
ついて説明する。実施の形態2は、実施の形態1による
使用済み核燃料集合体をキャスクに収納するものであっ
たが、この実施の形態4では、貯蔵プールに使用済み核
燃料集合体を貯蔵する場合における貯蔵方法を示してい
る。
【0075】図12は、使用済み核燃料集合体としての
核燃料集合体101をプール102内に貯蔵する場合の
配置を示す模式図である。図12において、実施の形態
1で示した吸収ロッド11が挿入された核燃料集合体1
01は、水103が満たされたプール102内に配置さ
れたラック104内のラックセルに貯蔵される。ここ
で、核燃料が未臨界を担保する離隔距離d分、相互に離
隔してプール103内に貯蔵されるが、各核燃料集合体
101には、中性子吸収能を有した吸収ロッド11が挿
入されているため、吸収ロッド11を挿入しない場合に
おける離隔距離dに比較して、離隔距離dを短くするこ
とができる。
【0076】したがって、この実施の形態4によれば、
各核燃料集合体101は、高密度に配置することがで
き、貯蔵可能な核燃料集合体101数の増加、あるいは
プール102の小型化を促進することができる。
【0077】なお、上述した実施の形態1〜4では、1
4×14のPWR用の使用済み核燃料集合体を例にあげ
て説明したが、これに限らず、たとえば図16に示した
ように、17×17あるいは15×15等のPWR用の
使用済み核燃料集合体にも同様に適用できるのは明らか
である。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
吸収棒(請求項1)によれば、原子炉内において炉心の
反応度制御に用いる円柱のPWR用制御棒の形状とほぼ
同じ形状をもち、中性子遮蔽能を有する吸収棒を設け、
この吸収棒を使用済み核燃料集合体の制御棒案内管ある
いは計測管を含む制御棒案内管に挿入するようにしてい
るので、使用済み核燃料集合体内部で有効に中性子遮蔽
を行うことができるという効果を奏する。
【0079】また、この発明にかかる吸収棒(請求項
2)によれば、PWR用使用済み核燃料集合体の制御棒
案内管あるいは計測管を含む制御棒案内管の断面位置に
対応した位置に前記吸収棒を固定する固定部材を設け、
この固定部材によって、複数の吸収棒を一括して使用済
み核燃料集合体の制御棒案内管あるいは計測管を含む制
御棒案内管に挿入することができるので、複数の吸収棒
を容易かつ確実に使用済み核燃料集合体の制御棒案内管
あるいは計測管を含む制御棒案内管に挿入することがで
きるという効果を奏する。
【0080】また、この発明にかかる吸収棒(請求項
3)によれば、吸収棒を、AlまたはAl合金粉末に中
性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した
Al複合材またはAl合金によって構成し、使用済み核
燃料集合体内部において中性子吸収を行うようにしてい
るので、使用済み核燃料集合体内部における中性子吸収
を有効に行うことができるとともに、吸収棒は使用済み
核燃料集合体内部に挿入されるため、強度上要求される
性能が低くなり、軽量化を促進することができるという
効果を奏する。
【0081】また、この発明にかかるキャスク(請求項
4)によれば、原子炉内において炉心の反応度制御に用
いる円柱のPWR用制御棒の形状とほぼ同じ形状をも
ち、中性子遮蔽能を有した吸収棒群を、使用済み核燃料
集合体の制御棒案内管あるいは計測管を含む制御棒案内
管群に挿入した使用済み核燃料集合体をキャスク内に収
納し、使用済み核燃料集合体から外部に放射される中性
子数を減少し、使用済み核燃料集合体間の離隔距離を小
さくすることができるので、外周に中性子遮蔽体を有し
且つγ線の遮蔽を行う胴本体のキャビティ内に格納でき
る使用済み核燃料集合体の数を増大することができる効
果を有し、あるいは、従来例と同じ収容体数でよけれ
ば、胴本体のキャビティ形状を小さくすることができ、
あるいは外周の中性子遮蔽体の厚みを小さくすることが
でき、結果的にキャスク全体の大きさを小さくすること
ができるという効果を奏する。
【0082】また、この発明にかかるキャスク(請求項
5)によれば、PWR用制御棒自体が回収されるような
場合に、吸収棒をPWR用制御棒自体とし、制御棒を挿
入したままの使用済み核燃料集合体としているので、回
収される制御棒の有効利用を図ることができるという効
果を奏する。
【0083】また、この発明にかかるキャスク(請求項
6)によれば、前記使用済み核燃料集合体に挿入された
吸収棒の断面積の対応分、当該キャスク内部において前
記使用済み核燃料集合体を保持するバスケットを構成す
るプレートあるいは角パイプの中性子吸収能あるいは中
性子減速能に対応した等価厚みを、前記使用済み核燃料
集合体に挿入された吸収棒の中性子吸収能あるいは中性
子減速能に対応した等価断面積分、薄くしたバスケット
形状にし、特にウラン濃縮度の高いPWRのバスケット
に設けられるウォーターゾーンを一層狭くでき、もしく
はウォーターゾーンを削除したバスケット形状とするこ
とができようにしているので、ウラン濃縮度の高いPW
R用のバスケット形状を単純なBWR用のバスケットと
同様な形状とすることができ、バスケット生成の効率化
を図れることができるという効果を奏する。
【0084】また、この発明にかかるキャスク(請求項
7)によれば、吸収棒およびバスケットを、Alまたは
Al合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物
の粉末を添加したAl複合材またはAl合金によって構
成し、使用済み核燃料集合体内部および周囲において中
性子吸収を行うようにしているので、使用済み核燃料集
合体内部および周囲における中性子吸収を有効に行うこ
とができるとともに、吸収棒は使用済み核燃料集合体内
部に挿入されるため、強度上要求される性能が低くな
り、軽量化を促進することができるという効果を奏す
る。
【0085】また、この発明にかかる挿入装置(請求項
8)によれば、位置検出手段の検出結果をもとに案内部
材の貫通孔群と使用済み核燃料集合体の制御棒案内管群
との相対位置とを合わせ、前記吸収棒体を降下させるこ
とによって貫通孔群が案内孔として作用し、長い吸収棒
群を確実に制御棒案内管あるいは計測管を含む制御棒案
内管の中に挿入させることができるので、制御棒案内管
等に対する吸収棒群の挿入を容易かつ確実に行うことが
でき、挿入作業の効率化を図ることができるという効果
を奏する。
【0086】また、この発明にかかる挿入装置(請求項
9)によれば、距離検出手段が、吊り部と固定部材との
距離が所定距離内になったことを検出し、制御棒案内管
等に吸収棒群が確実に挿入されたことを検知し、挿入途
中における吸収棒群の落下を防止するので、挿入作業の
効率化を図ることができるとともに、一連の挿入作業の
終了を確実に検知でき、挿入作業を安全に実施できると
いう効果を奏する。
【0087】また、この発明にかかる使用済み核燃料集
合体の搬送・貯蔵方法(請求項10)によれば、挿入工
程によって、原子炉内において炉心の反応度制御に用い
る円柱のPWR用制御棒の形状とほぼ同じ形状をもち、
中性子遮蔽能を有した吸収棒群を、PWR用使用済み核
燃料集合体の計測管を含む制御棒案内管群に挿入し、そ
の後、搬送・貯蔵工程によって、前記吸収棒群が挿入さ
れた状態で前記PWR用使用済み核燃料集合体を搬送
し、貯蔵するようにし、使用済み核燃料集合体間の離隔
距離を小さくできるようにしているので、PWR用使用
済み核燃料集合体の搬送あるいは貯蔵時における該PW
R用使用済み核燃料集合体の密度を高くすることがで
き、効率的な搬送あるいは貯蔵を行うことができるとい
う効果を奏する。
【0088】また、この発明にかかる使用済み核燃料集
合体の搬送・貯蔵方法(請求項11)によれば、PWR
用制御棒が回収されるような場合に、吸収棒をPWR用
制御棒自体とし、PWR用制御棒を挿入したままの使用
済み核燃料集合体となるようにしているので、回収され
る制御棒の有効利用を図ることができるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】PWR用の使用済み核燃料集合体の構成を示す
斜視図である。
【図2】使用済み核燃料集合体に挿入される吸収ロッド
体の構成と挿入関係を示す図である。
【図3】使用済み核燃料集合体を示す平面図である。
【図4】支持格子のA−A線断面図である。
【図5】燃料棒の構成を示す図である。
【図6】この発明が適用されるキャスクの構成を示す径
方向断面図である。
【図7】この発明が適用される挿入装置の構成を示す図
である。
【図8】下部端板のB−B線断面図である。
【図9】撮像された画像情報の一例を示す図である。
【図10】挿入が完了した直後における挿入装置の状態
を示す図である。
【図11】挿入が完了した使用済み核燃料集合体の構成
および吊り部の構成を示す図である。
【図12】貯蔵プールにおける使用済み核燃料集合体の
貯蔵配置関係を示す模式図である。
【図13】BWR用のキャスクの構成を示す斜視図であ
る。
【図14】図13に示したキャスクの構成を示す径方向
断面図である。
【図15】BWR用の核燃料集合体の構成を示す図であ
る。
【図16】PWR用の核燃料集合体の構成を示す図であ
る。
【図17】従来におけるPWR用のキャスクの構成を示
す径方向断面図である。
【符号の説明】
1 核燃料集合体 2 上部ノズル 3 下部ノズル 4 燃料棒 5 制御棒案内管 6 計測管 10 吸収ロッド体 11 吸収ロッド 12 端板 60 吊り板 61 上部端板 62 下部端板 63 吊り具 64 吊り部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂下 毅一郎 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 伊藤 智博 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉内において炉心の反応度制御に用
    いる円柱のPWR用制御棒の形状とほぼ同じ形状をも
    ち、中性子遮蔽能を有することを特徴とする吸収棒。
  2. 【請求項2】 PWR用使用済み核燃料集合体の制御棒
    案内管あるいは計測管を含む制御棒案内管の断面位置に
    対応した位置に前記吸収棒を固定する固定部材をさらに
    有したことを特徴とする請求項1に記載の吸収棒。
  3. 【請求項3】 前記吸収棒は、AlまたはAl合金粉末
    に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加
    したAl複合材またはAl合金によって構成されること
    を特徴とする請求項1または2に記載の吸収棒。
  4. 【請求項4】 原子炉内において炉心の反応度制御に用
    いる円柱のPWR用制御棒の形状とほぼ同じ形状をも
    ち、中性子遮蔽能を有した吸収棒群と、 前記吸収棒群が挿入される制御棒案内管あるいは計測管
    を含む制御棒案内管群を有したPWR用使用済み核燃料
    集合体と、 前記吸収棒群が挿入されたPWR用使用済み核燃料集合
    体を収納する格子状セルを形成したバスケットと、 前記バスケットを内部に収納し、外周に中性子遮蔽体を
    有し且つγ線の遮蔽を行う胴本体と、 前記吸収棒群が挿入されたPWR用使用済み核燃料集合
    体を前記格子状セルに出し入れするために前記胴本体の
    開口部に設けられた着脱可能な蓋部と、 を備えたことを特徴とするキャスク。
  5. 【請求項5】 前記吸収棒はPWR用制御棒であること
    を特徴とする請求項4に記載のキャスク。
  6. 【請求項6】 前記PWR用使用済み核燃料集合体に挿
    入された吸収棒の断面積の対応分、当該キャスク内部に
    おいて前記PWR用使用済み核燃料集合体を保持するバ
    スケットを構成するプレートあるいは角パイプの中性子
    吸収能あるいは中性子減速能に対応した等価厚みを、前
    記PWR用使用済み核燃料集合体に挿入された吸収棒の
    中性子吸収能あるいは中性子減速能に対応した等価断面
    積分、薄くしたことを特徴とする請求項4または5に記
    載のキャスク。
  7. 【請求項7】 前記吸収棒は、AlまたはAl合金粉末
    に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加
    したAl複合材またはAl合金によって構成されること
    を特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載したキ
    ャスク。
  8. 【請求項8】 PWR用使用済み核燃料集合体の制御棒
    案内管あるいは計測管を含む制御棒案内管の断面位置に
    対応した位置に、炉心の反応度制御に用いる円柱のPW
    R用制御棒の形状とほぼ同じ形状をもち、中性子遮蔽能
    を有した吸収棒群を固定部材によって固定し、PWR用
    使用済み核燃料集合体の上部ノズル開口部を介して該上
    部ノズル内部に前記固定部材が挿入可能な吸収棒体と、 PWR用使用済み核燃料集合体の上部ノズル開口部を介
    して該上部ノズル内部に挿入可能で、前記制御棒案内管
    あるいは計測管を含む制御棒案内管の断面位置に対応し
    た位置に前記吸収棒群が挿入可能な貫通孔を有し、静止
    時に前記吸収棒群の先端が該貫通孔に挿入された状態で
    前記固定部材に懸装される案内部材と、 前記吸収棒体の固定部材を着脱自在に懸吊し、着装時に
    該吸収棒体を上下動させる吊り部と、 前記案内部材に設けられ、前記案内部材に設けられた貫
    通孔群の配置位置とこれに対応する前記PWR用使用済
    み核燃料集合体の制御棒案内管群の配置位置との相対位
    置関係を検出する位置検出手段と、 を備え、 前記位置検出手段の検出結果をもとに前記貫通孔群と前
    記制御棒案内管群との相対位置とを合わせ、前記吸収棒
    群を降下させて前記吸収棒群を前記制御棒案内管あるい
    は計測管を含む制御棒案内管に挿入させることを特徴と
    する挿入装置。
  9. 【請求項9】 前記吊り部と前記固定部材との距離が所
    定距離内になったことを検出する距離検出手段をさらに
    備えたことを特徴とする請求項8に記載の挿入装置。
  10. 【請求項10】 原子炉内において炉心の反応度制御に
    用いる円柱のPWR用制御棒の形状とほぼ同じ形状をも
    ち、中性子遮蔽能を有した吸収棒群を、PWR用使用済
    み核燃料集合体の計測管を含む制御棒案内管群に挿入す
    る挿入工程と、 前記吸収棒群が挿入された状態で前記PWR用使用済み
    核燃料集合体を搬送し、貯蔵する搬送・貯蔵工程と、 を含むことを特徴とする使用済み核燃料集合体の搬送・
    貯蔵方法。
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