JPH11142582A - 燃料交換装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料装荷ないし交換作業中、４本の燃料集合
体を同時に扱うことにより能率を格段させること。 【解決手段】 燃料集合体把持器１は上方に延びる４本
のガイド部材２を備えている。このガイド部材２に沿っ
て垂直方向に制御棒ホルダ３が滑動可能に設けられる。
この制御棒ホルダ３は下方に延びる４本のダミー制御棒
４を有する。さらに、燃料集合体把持器１を支持するた
めのアーム７が設けられる。アーム７の他端にはバラン
スウェイト１１が設けられる。燃料集合体把持器１は燃
料集合体を把持する４個のつかみ具１３を備えている。
つかみ具１３はそれぞれクラップル１４を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は原子力発電プラント
の燃料装荷ないし交換作業において用いられる燃料交換
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、原子力発電プラントでは、たと
えば建設時に未使用の燃料を原子炉内へ装荷し、あるい
は定期検査時に原子炉内にある燃料のうち、使用済みの
燃料を交換する作業を必要としており、これらの作業を
確実に遂行するために燃料交換装置が用いられている。
通常、沸騰水形の原子炉においては、上部格子板内の１
個の枠内に４本の燃料集合体が備えられ、その中央部に
はその燃料集合体の核反応を制御するための制御棒が挿
入されている。

【０００３】また、上部格子板内の１枠に収められる４
本の燃料集合体はそこに制御棒が入っていないときは転
倒し、一方、制御棒は４本の燃料集合体のうち、対角線
上に並ぶ２本の燃料集合体がなければ転倒する。このた
め、未使用の燃料の装荷時には燃料集合体を炉心に装荷
する前に、まず燃料集合体と同寸法であるダミーの燃料
集合体が対角に２本並び、一体としたダブルブレードガ
イドを上部格子板内の枠内に入れておき、さらに、制御
棒を挿入した後に、空いている箇所に２本の燃料集合体
を１本ずつ装荷し、その後、ダブルブレードガイドを抜
き取り、その空いた箇所に２本の燃料集合体を１本ずつ
装荷して１枠分の装荷作業を終了することになる。

【０００４】一方、定期検査時に炉心にある使用済み燃
料を交換するときは上部格子板内の１枠にある使用済み
の４本の燃料集合体のうち、対角上にある２本の燃料集
合体を１本ずつ抜き取り、その空いた箇所にダブルブレ
ードガイドを挿入し、その後残りの２本の燃料集合体を
抜き取り、さらに制御棒を引き上げ、最後にダブルブレ
ードを抜き取ることにより１枠分の抜き取り作業を終了
することができる。

【０００５】また、抜き取り後、未使用の燃料を装荷す
るときは建設時の装荷作業と同様な手順で実施する。つ
まり、ダブルブレードガイドを上部格子板内の１枠に入
れ、制御棒を挿入して空いている箇所に２本の燃料集合
体を装荷し、さらにダブルブレードガイドを抜き出し、
その空いた箇所に２本の燃料集合体を装荷して１枠分を
終了させる。このような燃料の装荷ないし交換作業にお
いて燃料交換装置は１本の燃料集合体に限って扱うこと
ができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のように燃料交換
装置は作業中、１本の燃料集合体だけを扱うことが可能
である。１本ずつの取り扱いは作業の確実性は高いもの
の、余りにも能率が低い。このため多数の燃料集合体を
装荷するのに多大の時間を費やし、たとえば定期点検で
は燃料交換作業が著しく長引いてしまう。より能率を高
めるために駆動速度をこれまで以上に上げることも考え
られるが、燃料集合体の振動ないし揺れが大きくなり、
好ましくない。

【０００７】一方、従来、制御棒の転倒防止のためにダ
ブルブレードガイドを用いているが、その挿入、取り外
しに費やす時間も決して小さくない。能率向上のために
はこうした手段を使用しない方法が望ましいが、未だこ
れに代わる有効な方法が見出せない。

【０００８】そこで、本発明の目的は燃料装荷ないし交
換作業中、同時に４本の燃料集合体を扱うことにより能
率を格段に高めるようにした燃料交換装置を提供するこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１に係る発明は水平のアームの一端に設けら
れ、上面に上方に突出している複数本の案内部材を有す
る燃料集合体把持器と、この燃料集合体把持器の下面に
それぞれ設けられ、燃料集合体を把持するグラップルを
有する４個のつかみ具と、燃料集合体把持器の案内部材
に沿って滑動可能に設けられた制御棒ホルダと、この制
御棒ホルダの下面に燃料集合体把持器を貫いてそれぞれ
設けられ、両面に倣い燃料集合体を添わせて固定する４
本のダミー制御棒と、アームの他端に設けられ、燃料集
合体把持器およびつかみ具にそれぞれつかまれた燃料集
合体の重さと平衡させるバランスウェイトとを備えてな
るものである。

【００１０】上記構成からなる燃料交換装置において
は、たとえば炉心部から使用済み燃料を抜き取るとき、
上部格子板内の１枠に収められた４本の燃料集合体を燃
料集合体把持器の４個のつかみ具を用いて同時につか
み、一度の操作で効率よく抜き取ることができる。同時
につかみ取られた燃料集合体は４本のダミー制御棒の両
面に倣い添わせて固定するので、移動中に傾くことな
く、また大きく動揺することなく運ぶことが可能であ
る。これにより４本の燃料集合体を同時に扱うことによ
り装荷ないし交換作業における能率を格段に向上させる
ことができる。

【００１１】さらに、請求項２に係る発明は燃料集合体
把持器のつかみ具が燃料集合体把持器の中心から外周端
にかけて放射状にそれぞれ移動可能に設けられると共
に、グラップルがつかみ具に対して回動自在に装着され
ることを特徴とするものである。

【００１２】上記構成からなる装置においては各つかみ
具がそれぞれ燃料集合体把持器の中心から外周端にかけ
て動き、燃料プールの仮置き間隔、あるいは燃料ラック
間隔に容易に合わせることができる。また、各グラップ
ルがつかみ具に対して回動するので、それぞれグラップ
ルの向きを変えて同じ方向に揃えることができ、燃料集
合体を燃料ラックの一定した方向に合わせて置くことが
可能になる。

【００１３】また、請求項３に係る発明はダミー制御棒
がそれの下端に燃料集合体の移動中、燃料集合体の動揺
を抑えるためのクランプ装置をそれぞれ備えるものであ
る。

【００１４】上記構成からなる燃料交換装置においては
燃料集合体がクランプ装置によって固定されるので、移
動中に燃料集合体の下端側が大きく動揺するのを確実に
防止することができる。

【００１５】さらに、請求項４に係る発明はバランスウ
ェイトに作業を監視するための監視用カメラを設けたこ
とを特徴とするものである。

【００１６】上記構成からなる燃料交換装置においては
作業中、監視用カメラによって撮られた燃料交換装置の
動作をディスプレイ装置に表示させることができ、作業
者の視覚的に見極めができない炉心内での作業の様子を
確認しつつ、安全に作業を進めることが可能になる。

【００１７】また、請求項５に係る発明はアームがコネ
クターを介して燃料交換装置のマストに連結されるよう
に構成したことを特徴とするものである。

【００１８】上記構成からなる燃料交換装置においては
従来から使用されている燃料交換装置を大幅に交換する
ことなく、追加部分だけを新たに製作することにより極
めて安価な装置を提供することができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図１において、燃料交換装置は後
に詳述される４個のつかみ具を支持する燃料集合体把持
器１を有する。この燃料集合体把持器１はそれの上面に
上方に延びる４本のガイド部材２を備えている。この４
本のガイド部材２は断面円形に形成されており、それに
沿って後記のダミー制御棒を支持する制御棒ホルダ３が
滑動可能に構成されている。

【００２０】この制御棒ホルダ３はそれの下面に下方に
延びる４本のダミー制御棒４を備えている。この４本の
ダミー制御棒４は帯状に縦に長く形成されており、後記
の燃料集合体をその両面に添わせて保持するためにそれ
ぞれ９０°ずつ向きを変えて制御棒ホルダ３に固定され
ている。これらの４本のダミー制御棒４はそれぞれ燃料
集合体把持器１を貫いて下方に延びている。

【００２１】さらに、制御棒ホルダ３はそれの上面で図
示しない巻き取り装置と結ばれるワイヤ５と連結してい
る。このワイヤ５の繰り出し、巻き上げにより制御棒ホ
ルダ３が上下に動作し、これに伴ってダミー制御棒４が
垂直方向に位置を変えるようになっている。それぞれダ
ミー制御棒４はその動きを滑らかにする回転自在のロー
ラ６と燃料集合体把持器１の上面で接している。

【００２２】また、燃料集合体把持器１を支持するため
のアーム７が設けられている。このアーム７は従来から
使用されている燃料交換装置のマスト８の先端にあるグ
ラップル９に保持されるコネクタ１０を通して水平に延
びており、他端にバランスウェイト１１を備えている。

【００２３】このバランスウェイト１１は燃料集合体把
持器１の全体重量に見合う重さを有し、さらに燃料集合
体の移動中は燃料集合体把持器１と共に４本分の燃料集
合体の重さを含めて平衡させるためにバランスウェイト
１１に図示しない着脱自在ののウェイトを付加して平衡
が維持できるように構成されている。

【００２４】さらに、バランスウェイト１１には作業を
監視するための監視用カメラ１２が設けられている。こ
の監視用カメラ１２は図示しない制御装置およびディス
プレー装置と接続されており、燃料交換装置の動作を逐
一ディスプレー装置に表示できるようになっている。

【００２５】一方、図２に燃料集合体把持器１の詳細を
示している。この燃料集合体把持器１はそれぞれ燃料集
合体を把持する４個のつかみ具１３を有する。このつか
み具１３は燃料集合体把持器１の下面に突出している４
本のダミー制御棒４の中間に位置しており、それぞれに
燃料集合体をつかむためのグラップル１４を備えてい
る。

【００２６】また、このつかみ具１３はそれの摺動部
（図示せず）が燃料集合体把持器１の下面に刻まれる、
十字状の４本のガイド溝１５とそれぞれ係合しており、
それに沿って滑動可能に構成されている。各ガイド溝１
５はダミー制御棒４との間の角度が正確に４５°になる
ように刻まれており、それぞれつかみ具１３が燃料集合
体把持器１の中心寄りに移動したとき、それの内側２面
が図３に示すようにダミー制御棒４と正しく平行に並ぶ
位置にくる。それぞれつかみ具１３に備えられるグラッ
フル１４はつかみ具１３に対してそれの枢軸（図示せ
ず）を中心として回動することができ、図３に示すよう
に自身の方向を自由に変えられるようになっている。

【００２７】また、図４に燃料集合体用クランプ装置の
詳細を示している。このクランプ装置はダミー制御棒４
の下端にクランプ１６を備えている。このクランプ１６
はダミー制御棒４の下端に設けられるピン１７の動作に
応じて９０°回動することができ、この回動した位置で
燃料集合体を固定するようになっている。さらに、ダミ
ー制御棒４はそれの下端に燃料制御棒との接触を検出す
るためのスイッチ１８を有する。このスイッチ１８は図
示しない制御装置と接続されており、燃料交換装置およ
び燃料制御棒の動作を制御することができる。

【００２８】本実施の形態は上記構成からなり、たとえ
ば燃料交換にあたり、燃料交換装置を原子炉の上方に移
動し、炉心内の燃料集合体の上面まで下降させる。予め
４個の把持器１３はそれぞれ４本の燃料集合体１９（図
５参照）の間隔に合わせて芯出しされており、燃料集合
体把持器１の下面のガイド溝１５に沿って動かす必要は
ない。４個のつかみ具１３のグラップル１４でそれぞれ
直立している燃料集合体１９をつかみ、さらにガイド部
材２に沿って制御棒ホルダ３を送りつつ、ダミー制御棒
４の下端が燃料制御棒（図示せず）の上端に触れるとこ
ろまで下降させる。ダミー制御棒４の下端が制御棒に接
触したとき、スイッチ１８が入り、ダミー制御棒４の移
動速度が変わり、同時に制御棒が移動し始め、ダミー制
御棒４はこれを追うように同速度を保って下降する。

【００２９】さらに、燃料集合体１９から制御棒が引き
抜かれ（運転状態における全引き抜き状態）ると、ダミ
ー制御棒４の移動は停止し、制御棒をその位置に残して
ダミー制御棒４だけが上昇を開始する。この上昇の開始
に合わせて燃料集合体１９の引き抜きを開始する。燃料
交換装置全体を炉心から離すように上方に移動させる
と、４本の燃料集合体１９も同時に炉心から出て上部格
子板（図示せず）まで上昇する。そして上部格子板を抜
け出た位置で各ダミー制御棒４の下端にあるクランプ１
６をそれぞれ９０°回動させ（図５参照）、燃料集合体
１９をしっかり固定する。たとえば、つかみ具１３のグ
ラップル１４による上端側のみの固定では燃料集合体１
９の下端側が動揺する可能性があり、双方の端部を共に
固定することにより移動中の燃料集合体同士の衝突など
の不測事態が発生するのを確実に防止することが可能に
なる。

【００３０】通常、炉心から抜き出した燃料集合体１９
は燃料プールに仮置きするが、このとき炉心で並ぶ間隔
と燃料プールに置く間隔が一致しない場合が多い。この
ような場合、燃料集合体把持器１の下面に形成したガイ
ド溝１５に沿って４個のつかみ具１３を動かし、それぞ
れ燃料プールの仮置き間隔と合わせるようにする。ま
た、使用済み燃料として燃料ラックに保管するときも、
同様に操作して間隔を燃料ラックの間隔と一致させるよ
うにする。

【００３１】さらに、４本の燃料集合体１９を同時に扱
うために燃料集合体１９は炉心に並ぶ向きと燃料プール
の燃料ラックに並べる向きが一致しなくなる。そこで、
本実施の形態においては燃料集合体１９をつかむクラッ
プル１４の向きを変えて同じ方向に揃えるようにする
（図３参照）。かくして、炉心から抜き出した燃料集合
体１９を燃料プールに仮置きするとき、仮置き間隔に、
また燃料ラックの一定した間隔に容易に合わせることが
でき、また方向を一定させて置くことが可能になる。

【００３２】さらに、バランスウェイト１１に装着した
監視用カメラ１２で撮られた作業の様子をディスプレー
装置上に表示させることにより作業者が視覚的に異常の
有無を見極めることが可能であって、安全に作業を進め
ることができる。

【００３３】また、本実施の形態の燃料集合体把持器１
は従来から使用されているマスト８に連結したもので、
それに備えられる駆動装置等をそのまま利用すること
で、極めて安価な装置を提供することが可能である。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように本発明は燃料集合体
把持器の４個のつかみ具を用いて上部格子板内の１枠に
収められた４本の燃料集合体を同時につかみ、一度の操
作で効率よく抜き取ることができ、装荷ないし交換作業
における能率を格段させることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による燃料交換装置の実施の形態を示す
斜視図。

【図２】図１に示される燃料集合体把持器の詳細を示す
底面図。

【図３】燃料集合体把持器の動作を説明するための図。

【図４】本発明による燃料集合体用クランプ装置を示す
斜視図。

【図５】図４に示されるクランプ装置の動作を説明する
ための図。

【符号の説明】

１ 燃料集合体把持器 ３ 制御棒ホルダ ４ ダミー制御棒 ７ アーム １１ バランスウェイト １３ つかみ具 １４ グラップル １６ クランプ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平のアームの一端に設けられ、上面に
   上方に突出している複数本の案内部材を有する燃料集合
   体把持器と、この燃料集合体把持器の下面にそれぞれ設
   けられ、燃料集合体を把持するグラップルを有する４個
   のつかみ具と、前記燃料集合体把持器の該案内部材に沿
   って滑動可能に設けられた制御棒ホルダと、この制御棒
   ホルダの下面に前記燃料集合体把持器を貫いてそれぞれ
   設けられ、両面に倣い前記燃料集合体を添わせて固定す
   る４本のダミー制御棒と、前記アームの他端に設けら
   れ、前記燃料集合体把持器および前記つかみ具にそれぞ
   れつかまれた前記燃料集合体の重さと平衡させるバラン
   スウェイトとを備えてなる燃料交換装置。
2. 【請求項２】 前記燃料集合体把持器の前記つかみ具が
   該燃料集合体把持器の中心から外周端にかけて放射状に
   それぞれ移動可能に設けられると共に、前記グラップル
   が該つかみ具に対して回動自在に装着されることを特徴
   とする請求項１記載の燃料交換装置。
3. 【請求項３】 前記ダミー制御棒がそれの下端に前記燃
   料集合体の移動中、該燃料集合体の動揺を抑えるための
   クランプ装置をそれぞれ備えることを特徴とする請求項
   １記載の燃料交換装置。
4. 【請求項４】 前記バランスウェイトに作業を監視する
   ための監視用カメラを設けたことを特徴とする請求項１
   記載の燃料交換装置。
5. 【請求項５】 前記アームがコネクターを介して燃料交
   換装置のマストに連結されるように構成したことを特徴
   とする請求項１記載の燃料交換装置。