JP2001130517A - マイクロ波加熱殺菌方法および装置 - Google Patents

マイクロ波加熱殺菌方法および装置

Info

Publication number
JP2001130517A
JP2001130517A JP31415699A JP31415699A JP2001130517A JP 2001130517 A JP2001130517 A JP 2001130517A JP 31415699 A JP31415699 A JP 31415699A JP 31415699 A JP31415699 A JP 31415699A JP 2001130517 A JP2001130517 A JP 2001130517A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
container
packaged food
microwave
food
packaged
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP31415699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4499855B2 (ja
Inventor
Hiroaki Iwata
洋明 磐田
Yoshio Hayakawa
喜郎 早川
Koji Yamamoto
康二 山本
Yoshio Akesaka
芳生 明坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kagome Co Ltd
Yamamoto Vinita Co Ltd
Original Assignee
Kagome Co Ltd
Yamamoto Vinita Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kagome Co Ltd, Yamamoto Vinita Co Ltd filed Critical Kagome Co Ltd
Priority to JP31415699A priority Critical patent/JP4499855B2/ja
Publication of JP2001130517A publication Critical patent/JP2001130517A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4499855B2 publication Critical patent/JP4499855B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Constitution Of High-Frequency Heating (AREA)
  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エッジ効果による包装食品の温度分布の不均
一を解消する。 【解決手段】 圧力容器1の装填室130内に収容され
た包装食品Fにマイクロ波を照射することにより包装食
品Fを加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌方法であって、
装填室130に包装食品Fを装填する食品装填工程P1
と、容器に包装食品Fが収容された状態で内部空間を満
たさない量の液体を充填する水充填工程P2と、容器を
密閉する容器密閉工程P3と、内部空間が所定の高圧に
なるように圧力設定する圧力設定工程P4とを有すると
ともに、容器を介して包装食品Fにマイクロ波を照射す
るマイクロ波照射工程P5を実行するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調理済みあるいは
半調理済みの食品が所定の容器に装填されたいわゆる包
装食品にマイクロ波を照射することによって容器内の食
品を加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌方法および装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】クリームシチューなどのスープやシチュ
ー類、さらには筑前炊きなどの和風惣菜などを主に対象
とする、調理済みあるいは半調理済みの食品を合成樹脂
製の包装部材に装填したいわゆる包装食品は、必要に応
じて加熱するだけで食事に供することができる他、調理
の専門家の調製した味を賞味することができるなど、簡
便さと美味しさとが兼ね備わっているため、現在では豊
かな食生活を満喫する上で必須の商品となっている。
【0003】かかる包装食品は、通常、所定の加熱調理
を行った後に食品を所定の包装部材に装填されて密封さ
れるが、出荷前に密封された包装部材ごと内部の食品を
加熱して殺菌処理することが行われる。
【0004】そして、大量の包装食品を対象とした殺菌
処理には、従来、熱源として熱水やスチームなどが利用
されていたが、近年、食品を迅速に加熱することができ
るマイクロ波照射による加熱殺菌が作業性、簡便性およ
び効率性の点で優れており、徐々に包装食品の加熱殺菌
処理にマイクロ波加熱が利用されつつある。
【0005】ところで、一般的にpH(水素イオン濃
度)値の高い調理済みあるいは半調理済みの包装食品を
長期間に亘って保存可能にしようとすれば、包装部材内
の食品を100℃以上に加熱する必要があるが、大気圧
中で食品を100℃以上に加熱すると、食品中の水分が
蒸発して包装部材内が1気圧以上に昇圧され、これによ
って包装部材が破袋してしまうという不都合が生じる。
【0006】このような不都合を解消するために、包装
食品を、その外形に対応した収容室を有する2体合わせ
のマイクロ波透過性を有する密着容器内に装填し、2体
が離反しないようにロックした状態でマイクロ波を照射
する方式(特公平7−114672号公報)や、包装食
品の装填されたマイクロ波透過性の圧力容器内に高圧流
体を導入した状態で包装食品にマイクロ波加熱を施す方
式などが提案されている。
【0007】密着容器を採用すると、食品が100℃以
上に加熱されて包装部材内が1気圧以上に昇圧されて
も、膨張しようとする包装部材が収容室の内壁面に阻止
されるため包装部材の破袋が防止される。また、圧力容
器を採用して内部に高圧流体を導入すると、この高圧流
体と包装部材内の昇圧された空気の圧力とがバランスし
て包装部材の破袋が防止される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、たとえ
上記のような密着容器や圧力容器を採用しても、マイク
ロ波加熱にあっては、その特質上、被加熱物の端の部分
にマイクロ波が集中してその部分のみが過加熱される、
いわゆるエッジ効果が生じるため、これによって食品の
温度分布にばらつきが生じ、均一で確実な殺菌処理が行
い難くなるという問題点を有している。
【0009】かかる問題点を解消するものとして、特開
昭58−13372号公報に記載された、マイクロ波加
熱における破袋防止方法を応用することが可能である。
すなわち、この公報には、包装食品の装填された圧力容
器の中に満杯になるまで水を注入した状態で圧力容器を
密封し、この密封された圧力容器にマイクロ波を照射す
ることにより、水を介して包装食品をマイクロ波加熱す
ることが記載されている。こうすることで、密封容器内
の包装食品は、周りの水の存在で破袋が防止されるので
あるが、同時に水が過加熱された包装食品のエッジ部分
の熱を伝熱吸収することによってエッジ効果が緩和さ
れ、包装部材内の食品の均一加熱が達成される。
【0010】しかしながら、密封された圧力容器内には
水が満杯に充填されているため、マイクロ波加熱で水の
温度が上昇すると、熱膨張で水の体積が増加する。熱膨
張による水の体積増加を抑えようとすれば、非常に大き
な力が必要になるため、圧力容器を極めて頑丈なものに
しなければならず、容器コストが嵩むという新たな問題
点が提起される。
【0011】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、容器コストを低く抑えた上
でエッジ効果による食品の温度分布の不均一を解消する
ことが可能であり、包装食品を低コストで確実に殺菌処
理することができるマイクロ波加熱殺菌方法および装置
を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
包装食品より大きい内部収容空間を有する密閉容器内に
収容された包装食品にマイクロ波を照射することにより
包装食品を加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌方法であっ
て、上記容器の内部に包装食品を装填する食品装填工程
と、容器に包装食品が収容された状態で内部空間を満た
さない量の液体を充填する液体充填工程と、内部空間が
所定の高圧になるように圧力設定する圧力設定工程と、
容器を密閉する容器密閉工程とを有するとともに、最終
工程として容器を介して包装食品にマイクロ波を照射す
るマイクロ波照射工程を実行することを特徴とするもの
である。
【0013】この発明によれば、食品装填工程において
容器の内部に包装食品を装填し、液体充填工程において
容器に包装食品が収容された状態で内部空間を満たさな
い量の液体を充填し、圧力設定工程において内部空間が
所定の高圧になるように圧力設定し、容器密閉工程にお
いて容器を密閉することにより、内部に包装食品および
液体が装填され、かつ、内部の圧力調整が行われた加熱
処理直前の食品装填済み容器が得られる。そして最終工
程であるマイクロ波照射工程で容器を介して包装食品に
マイクロ波を照射することにより、容器内の包装食品
は、容器を透過したマイクロ波により加熱されて殺菌処
理が施される。
【0014】そして、たとえ包装食品のエッジ部分が過
加熱される、いわゆるエッジ効果が発生しても、エッジ
部分あるいはその近傍は容器内に充填された液体に接触
しているため、過加熱された部分の熱が液体に伝熱され
ることによって温度が降下し、これによって従来起こっ
ていた食品温度の不均一が抑制される。
【0015】また、包装食品のエッジ部分が液没してい
る場合には、エッジ部分はマイクロ波加熱の面からは周
りに存在する液によって実質的にエッジ部分でなくなっ
ているため、エッジ効果は生じない。
【0016】また、容器の中には液体の他に空気も装填
されているため、マイクロ波加熱で昇温した液体が熱膨
張しても、この熱膨張が空気の圧縮によって吸収される
ため、容器を液体の熱膨張に耐える程に頑丈なものにす
る必要がなく、その分容器コストが廉価になる。
【0017】さらに、容器の内部空間は所定の高圧にな
るように圧力設定されるが、この所定の高圧を水の飽和
蒸気圧に見合う圧力に設定することにより、たとえ包装
食品を100℃以上にまでマイクロ波加熱して殺菌効果
を高めても、食品中の水の蒸発で起こる包装食品の膨張
が抑えられ、これによって包装食品の破袋が防止され
る。
【0018】このように、請求項1記載の発明にあって
は、容器に装填された包装食品を100℃以上にマイク
ロ波加熱しても包装食品が破袋することがないため、破
袋が起こらないように100℃以下で行われていたマイ
クロ波加熱による従来の殺菌処理に比較してより確実で
迅速な殺菌処理が実現し、マイクロ波加熱による殺菌処
理コストの低減化に貢献する。
【0019】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記液体は、誘電加熱されるものであるこ
とを特徴とするものである。
【0020】この発明によれば、容器にマイクロ波が照
射されると、容器内は包装食品の周りに存在する誘電加
熱が可能な液体も含めて全体的にマイクロ波加熱される
ため、液体が存在しないときに包装食品のエッジ部分が
過加熱される、いわゆるエッジ効果が起こらなくなり、
これによって包装食品の均一加熱が実現する。
【0021】そして、液体の誘電損失係数を種々変更す
ることにより、包装食品のエッジ効果を防いだ上で、よ
り効率的に、かつ、均一に包装食品に殺菌処理を施すこ
とが可能になる。すなわち、誘電損失係数の大きな液体
を使用すると、マイクロ波のエネルギーはより多くが熱
エネルギーに変換されて液体の温度を高めるため、これ
によって包装食品の表面がこの高温の液体から伝熱加熱
されることにより、一般に包装食品の表面が放熱により
加熱され難いという不都合が解消される。
【0022】また、誘電損失係数の小さい液体を使用す
ると、マイクロ波のエネルギーはその多くが熱エネルギ
ーに変わることなく液体を透過するため、容器内に装填
された液体は加熱されることなく冷たい状態が維持さ
れ、これによって液体をエッジ効果で過加熱される部分
の冷却用に利用することが可能になる。
【0023】液体を、加熱用に使用するか冷却用に使用
するかについては、包装食品の種類によって決めること
ができる。すなわち、包装食品の形状が円形や楕円形状
のプラスチックトレイの場合、また包装袋に食品を装填
したタイプのいわゆるパウチ食品のようなものである場
合には、エッジ効果は生じ難く、従って、より効率的な
加熱処理を優先させることができることから、液体をも
加熱用の材料として使用するべく、誘電損失係数を大き
くする方が有利である。
【0024】これに対し、包装食品が例えば角部を持つ
長方形状のプラスチックトレイに装填されているような
場合にはトレイの角部にエッジ効果が発生し易い。さら
に、食品の塩分濃度が高い場合はよりエッジ効果が顕著
となり、このような状態を解消するために誘電損失係数
の低い液体が採用され、液体が冷却用に使用されるので
ある。
【0025】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、上記液体を予め所定の温度に調節
した状態で上記容器に注入することを特徴とするもので
ある。
【0026】この発明によれば、包装食品にマイクロ波
が照射される時点で、液体はマイクロ波加熱されるまで
もなくすでに包装食品より高い所定の温度に調節されて
いるため、包装食品はこの所定温度の液体から伝熱で熱
を受けて加熱され、マイクロ波加熱との相加作用でより
迅速で確実な殺菌処理が行われる。逆に液体温度を包装
食品より低い所定の温度に制御することにより、エッジ
効果を抑制する冷却効果が増長される。
【0027】なお、包装食品は、調理された後にそれ自
体が60℃〜70℃に加熱された状態になっているた
め、液体がこれより高温度に設定されている場合は、液
体を包装食品の補助加熱用として利用することができる
一方、液体がこの温度より低温である場合は、液体をエ
ッジ効果防止用として利用することができる。
【0028】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
いずれかに記載の発明において、包装食品へのマイクロ
波照射中に上記容器を少なくとも1回上下反転させるこ
とを特徴とするものである。
【0029】この発明によれば、包装部材に装填された
内部食品の温度分布の不均一が、容器を反転させること
による食品の攪拌効果で解消され、包装食品の温度分布
の均一化が達成される。
【0030】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
いずれかに記載の発明において、上記液体充填工程で充
填される液体の量は、少なくとも上記内部空間の1/2
以上であることを特徴とするものである。
【0031】この発明によれば、包装食品の半分以上が
液体に浸されるため、例えば包装食品が袋に食品の装填
されたいわゆるパウチ食品の場合など、エッジ部分が液
体に浸された状態になり、これによってエッジ効果が確
実に回避される。
【0032】請求項6記載の発明は、密閉容器内に収容
された包装食品にマイクロ波を照射することにより包装
食品を加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌装置であって、
上記容器の内部に1または複数の包装食品を装填すると
ともに包装食品が収容された内部空間を満たさない量の
液体を注入して容器を密閉する包装食品装填機構と、こ
の密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入する空気
圧入機構と、空気の圧入された容器を介して包装食品に
マイクロ波を照射するマイクロ波照射手段とが備えられ
ていることを特徴とするものである。
【0033】この発明によれば、包装食品装填機構の駆
動によって容器の内部に1または複数の包装食品が装填
されるとともに、包装食品が収容された状態で容器の内
部空間を満たさない量の誘電損失を有する液体が注入さ
れ、その後容器が密閉されることによって容器内への包
装食品の装填が完了する。引き続き空気圧入機構の駆動
で包装食品が装填され密閉された容器の内部空間に所定
圧力の空気を圧入しながらマイクロ波照射手段の駆動で
空気の圧入された容器を介して包装食品にマイクロ波を
照射することにより、容器内の包装食品はマイクロ波加
熱されて昇温し、殺菌処理が施される。
【0034】空気圧入機構による容器内への空気の圧入
操作は、包装食品装填後の密閉容器内に液体および空気
が同時に圧入されるか、あるいは包装食品と液体とが予
め装填された密閉容器内に空気のみが圧入され、引き続
きマイクロ波加熱処理が行われる。
【0035】因みに、マイクロ波照射手段によるマイク
ロ波加熱で包装食品が100℃に到達するまでは空気の
圧入操作を行わず、100℃を越えた時点から開始する
とともに、その後は、昇温する包装食品の温度の上昇に
従って内部空間の圧力を順次高めていき、内部空間を常
に水の飽和蒸気圧と等しい圧力にしておくことが好まし
い。
【0036】こうすることによって、包装食品に含まれ
ている水分が蒸発することにより到達する水蒸気による
包装食品内の圧力と、容器の内部空間の空気圧力とが常
に拮抗した状態になるため、包装食品を形成している包
装部材の膨張による破袋が確実に防止される。
【0037】そして、マイクロ波照射手段の駆動による
マイクロ波の照射で、包装食品にたとえエッジ効果が発
生してエッジ部分が過加熱されても、エッジ部分あるい
はその近傍は容器内に充填された液体に接触しているた
め、過加熱された部分の熱が液体に伝熱されることによ
って温度が降下し、これによって従来起こっていた食品
温度の不均一が抑制される。
【0038】また、たとえマイクロ波加熱で昇温した液
体が熱膨張しても、この熱膨張が容器の中に導入された
空気の圧縮で吸収されるため、容器を液体の熱膨張に耐
える程に頑丈なものにする必要がなく、その分容器コス
トが廉価になる。
【0039】このように、請求項6記載の発明にあって
は、容器に装填された包装食品を100℃以上にマイク
ロ波加熱しても包装食品が破袋することがないため、破
袋が起こらないように100℃以下で行われていたマイ
クロ波加熱装置による従来の殺菌処理に比較してより確
実で迅速な殺菌処理が実現し、マイクロ波加熱による殺
菌処理コストの低減化に貢献する。
【0040】請求項7記載の発明は、請求項6記載の発
明において、複数個の上記容器を所定の移動路に沿って
移動させる容器移動手段が設けられ、上記移動路に沿っ
て上記包装食品装填手段と、上記マイクロ波照射手段と
が配設されていることを特徴とするものである。
【0041】この発明によれば、容器移動手段の駆動で
複数個の容器を移動路に沿って移動させながら、包装食
品装填手段およびマイクロ波照射手段を駆動することに
より、包装食品に対して連続的に殺菌処理を施すことが
可能になり、殺菌処理効率の向上が達成される。
【0042】請求項8記載の発明は、請求項7記載の発
明において、上記マイクロ波照射手段の下流側に容器を
介して包装食品を冷却する冷却機構と、冷却された包装
食品を容器から取り出す食品取出し機構とがそれぞれ設
けられていることを特徴とするものである。
【0043】この発明によれば、マイクロ波加熱で加熱
された包装食品が装填されている容器は、マイクロ波照
射手段の下流側に設けられた冷却機構によって冷却され
ることにより、容器を介して内部の包装食品も冷却され
るため、包装食品内で発生していた水蒸気が凝縮し、こ
れによって包装食品内の圧力が低下する。従って、つぎ
の食品取出し機構の駆動で容器から包装食品を取り出し
ても、包装食品が破袋することはない。
【0044】請求項9記載の発明は、請求項6乃至8の
いずれかに記載の発明において、包装食品へのマイクロ
波照射位置に上記容器を上下反転させる容器反転機構が
設けられていることを特徴とするものである。
【0045】この発明によれば、マイクロ波加熱中の容
器を容器反転機構の駆動で上下反転させることにより、
包装部材に装填された内部食品の温度分布の不均一が、
反転による食品の攪拌効果で解消され、包装食品の温度
分布の均一化が達成される。
【0046】請求項10記載の発明は、請求項6乃至9
のいずれかに記載の発明において、上記容器は、底板
と、天板と、これら底板および天板間に介設された環状
の外壁部と、外壁部が底板および天板間に介設された状
態をロックするロック手段とから構成され、上記底板お
よび天板の少なくとも一方は金属材料で形成されている
とともに、上記外壁部はマイクロ波が透過する材料で形
成されていることを特徴とするものである。
【0047】この発明によれば、底板の上に環状の外壁
部を載置した状態で、外壁部内に包装食品を装填する内
部収容空間が形成された状態になる。この状態で内部収
容空間に包装食品および所定量の水を装填し、その後天
板で内部収容空間を閉止してからロック手段の操作で外
壁部を介して天板を底板にロックすることにより、包装
食品が容器に装填された状態になる。そして、外壁部は
マイクロ波が透過する材料で形成されているため、容器
に向けてマイクロ波を照射することにより、マイクロ波
は外壁部を透過して内部の包装食品に到達し、これによ
って包装食品はマイクロ波加熱される。
【0048】また、容器は、底板、天板および環状の側
壁部とで構成されているため、構造が簡単でありなが
ら、これらの構成要素の厚み寸法を適切に設定すること
により容易に圧力容器となり、容器の製造コストの低減
化を図る上で有効である。
【0049】さらに、容器は、底板および天板の少なく
とも一方を金属材料で形成しているため、この金属材料
を構造材として使用することにより、他の部分が金属材
料でなくても、容器を全体的に耐圧構造にすることが可
能になる。特にロック手段は、それを支持する部分を金
属材料からなる底板または天板に設けることにより、構
造的に安定したものになる。
【0050】
【発明の実施の形態】まず、本発明で適用される圧力容
器について説明する。図1は、本発明に係るマイクロ波
加熱殺菌装置に適用される圧力容器の一実施形態を示す
一部切欠き分解斜視図であり、図2は、その組立て斜視
図である。また、図3は、図2のA−A線断面図であ
り、(イ)は天板が開放された状態、(ロ)は天板が閉
止された状態をそれぞれ示している。図1〜図3に示す
ように、圧力容器1は、金属製(例えばステンレススチ
ール製)の底板11と、底板11と同一材料で形成され
た天板12と、これら底板11および天板12間に介設
されるマイクロ波透過材料からなる容器本体13基本構
成を備えている。容器本体13を底板11および天板1
2間に挟持して、後述するロック部材15によって締結
することにより圧力容器1が形成されるようになってい
る。
【0051】底板11は、平面視で長辺側の中央部が互
いに反対方向に膨出した異形の矩形状を呈している。か
かる底板11には、長尺方向の一側部に底板11と天板
12とを互いに曲折自在に連結する蝶番部材14が設け
られているとともに、他側部に、容器本体13を挟持し
た状態の底板11および天板12をロックして容器本体
13内を密閉状態にするロック部材15が設けられてい
る。
【0052】上記蝶番部材14は、U字形状のブラケッ
ト14aと、このブラケット14aの側板間に挟持され
支持軸14c回りに回動自在に軸支されたT字形状を呈
するT字部材14bとからなっている。上記T字部材1
4bは、ねじ止めで天板12にに固定されるものであ
り、これによって天板12は底板11に対して支持軸1
4c回りに正逆回動し得るようになっている。
【0053】上記ロック部材15は、蝶番部材14に対
向して底板11の反対側の側部に設けられるものであ
り、上記蝶番部材14のブラケット14aと同一形状の
ブラケット15aと、このブラケット15aの側板間に
支持軸15c回りに回動自在に軸支された、上記蝶番部
材14のT字部材14bと略同一形状のT字部材15b
と、このT字部材15bの頂面にねじ込み可能に螺着さ
れたロックボルト15dとからなっている。上記ロック
ボルト15dは、容器本体13が底板11と天板12と
で挟持された状態で天板12の後述する挿通孔12aに
嵌め込んで締結するためのものである。
【0054】上記天板12は、平面視の形状が底板11
と略同一に形成され、蝶番部材14に対応する端部にね
じ12cを挿通する2つの挿通孔12aが穿設されてい
るとともに、ロック部材15に対応する端縁部に上記ロ
ックボルト15dに対応したロック溝12bが凹設され
ている。そして、ねじ12cを挿通孔12aに挿通して
蝶番部材14のT字部材14b頂面に螺着締結すること
により、図2および図3に示すように、天板12が蝶番
部材14を介して底板11に結合されるようになってい
る。
【0055】上記ロック溝12bは、天板12の図1に
おける右縁部中央位置から内側に向かって真っ直ぐに切
り込まれた状態で形成されている。かかるロック溝12
bは、溝幅寸法がロックボルト15dの本体部分を摺接
状態で内嵌させ得るように寸法設定され、容器本体13
が底板11および天板12間に挟持された状態でT字部
材15bを図1に示す状態から支持軸15c回りに反時
計方向に90°回動させることにより、ロックボルト1
5dの本体がロック溝12bに嵌まり込むように位置設
定されている。そして、ボルト本体がロック溝12bに
嵌まり込んだ状態で頭部を所定の工具で回して締め付け
ることにより、頭部がロック溝12bの縁部に当止して
天板12がロック部材15に締結されるようになってい
る。
【0056】上記容器本体13は、その内部(装填室1
30)に殺菌処理を施す包装食品Fを装填するものであ
り、本実施形態においては、ポリテトラフルオロエチレ
ン製のものが採用されて高圧に耐えるように非常に強靭
につくられている。かかる容器本体13は、径寸法が蝶
番部材14およびロック部材15間の距離より若干短く
寸法設定された円形の底部13aと、この底部13aの
周縁から上方に向けて延設された周壁13bとからなっ
ている。
【0057】周壁13bの上下寸法は、図3に示すよう
に、T字部材14b,15bが立直姿勢に姿勢設定され
た状態でT字部材14b,15bの頂面と底板11の表
面との間の寸法と略等しくなるように寸法設定されてい
る。かかる周壁13bの上縁部には、外周縁の角部が全
周に亘って径方向に切り込まれることによって形成した
環状切欠き部13cと環状突起13d(図1)とが設け
られている。
【0058】そして、上記環状突起13dに、断面視で
L字形状を呈した合成ゴム等の弾性部材からなるOリン
グ16が嵌め込まれてOリング16の周方向外方の肉厚
部分が環状切欠き部13cの上面に当接するとともに、
同肉薄部分が環状突起13dの上面に当接し、これによ
って容器本体13の頂部がOリング16によって覆われ
た状態になるようにしている。
【0059】また、容器本体13の外周面の適所には、
外部から装填室130内に略3000ヘクトPaの高圧
空気を導入するための圧空導入管17が設けられてい
る。この圧空導入管17の先端部には、普段は閉弁され
ているが、他の管を差し込むことによって開弁するとと
もに他の管との接続が自動的に果たされる接続継手(ク
イックカプラー18)が取り付けられている。
【0060】このような圧力容器1によれば、図3の
(イ)に示す天板12が開放された状態で、装填室13
0内に包装食品Fおよび水Wを装填し、引き続き天板1
2を蝶番部材14回りに時計方向に回動して閉止した
後、ロック部材15のT字部材15bを支持軸15c回
りに反時計方向に回動すれば、ロックボルト15dが天
板12のロック溝12bに嵌まり込み(図2参照)、こ
れによって容器本体13が底板11および天板12間に
挟持された状態になる。この状態で、ロックボルト15
dを締め付けることにより、ロックボルト15dの頭部
が天板12の上面を押圧し、図3の(ロ)に示すよう
に、天板12がロック部材15によって容器本体13を
介して底板11に締結された状態になる。
【0061】ロック部材15により天板12が底板11
に締結された状態では、天板12の下面がOリング16
を押圧当接しているため、Oリング16は圧縮弾性変形
し、これによって装填室130内の密封状態が維持され
ることになる。
【0062】そして、本発明において容器本体13内に
水Wが装填されるのは、その後のマイクロ波加熱で包装
食品Fが加熱されるとき、包装食品Fの端の部分が過加
熱される、いわゆるエッジ効果を防ぐためである。すな
わち、通常、被加熱物にマイクロ波を照射すると、被加
熱物の表面の尖った部分や周縁部等にマイクロ波が集中
してその部分が他の部分に比べて過加熱される、いわゆ
るエッジ効果が発生するが、本発明のように、包装食品
Fの端の部分を水中に沈めると、水が誘電物質であるこ
とから端の部分の周りに同じ誘電物質が存在してマイク
ロ波加熱的には今までの端の部分が端ではなくなり、そ
の結果エッジ効果を回避することができるのである。な
お、包装食品Fの端の部分がたとえ水中に没しなくて
も、その近傍に水Wが存在すると、伝熱によって端の部
分の熱が水Wに吸収されるため、過加熱を抑えることが
可能になる。
【0063】また、装填室130内への水Wの装填量
は、装填室130に包装食品Fが収容された状態で装填
室130の残りの内部空間が満杯にならず、かつ、包装
食品Fのエッジ部分が水中に没する程度の量とされる。
このような水量が採用されるのは、その後のマイクロ波
加熱で装填室130内の水Wが熱膨張したときに、その
熱膨張を残された空間内の空気の圧縮で吸収するためで
ある。
【0064】また、本発明においては、装填室130内
に包装食品Fおよび水Wが装填され、かつ、装填室13
0が天板12によって密閉された後に圧空導入管17を
介して装填室130内に略3000ヘクトPaに圧力調
節された圧縮空気が圧入される。このような圧縮空気が
導入されるのは、その後のマイクロ波加熱で容器本体1
3内に装填されている包装食品F内の水分が100℃以
上(本実施形態では130℃)に加熱されると、これに
よる水の飽和蒸気圧によって包装食品F内が高圧にな
り、これによって包装食品Fの包装袋が破袋する恐れが
あるが、かかる不都合を予め防ぐためである。なお、包
装食品F内の水分が130℃に加熱されると、その飽和
蒸気圧は略3000ヘクトPaになる。
【0065】因みに、装填室130内に高圧空気を導入
しなくても、装填室130には水Wが装填されているた
め、この水Wの昇温によって容器本体13内は上昇した
温度に見合う水の飽和蒸気圧に昇圧されているため、こ
の圧力と包装食品F内の水分の蒸発による圧力とが平衡
状態になり、包装食品Fの破袋は起こらないが、実際の
操業においては、Oリング16のシール性が完全でなか
ったり、包装食品Fが水Wより先に加熱されてしまうな
どの思わぬ事態に対応するために装填室130内に高圧
空気を導入するようにしている。
【0066】そして、本発明のマイクロ波加熱殺菌方法
は、上記のような圧力容器1が採用されることによって
成立するものである。以下図4を基に本発明方法につい
て説明する。図4は、本発明方法の一実施形態を示す工
程図である。この図に示すように、マイクロ波加熱殺菌
は、圧力容器1の装填室130に包装食品Fを装填する
食品装填工程P1と、装填室130に包装食品Fが収容
された状態で、装填室130の内部空間を満たさない量
の水Wを充填する水充填工程P2と、容器本体13の装
填室130を密閉する容器密閉工程P3と、130内に
高圧空気を導入して装填室130内を所定の高圧環境に
する圧力設定工程P4と、圧力容器1を介して包装食品
Fにマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程P5とを
順次経て実行されるようにしている。
【0067】また、マイクロ波照射工程P5で加熱殺菌
処理が完了した後、冷却工程P6が実行されて包装食品
Fが圧力容器1ごと冷却され、引き続き食品取出し工程
P7で圧力容器1内の殺菌処理済みの包装食品Fが取出
され、次工程に向けて送り出される。次工程でさらにシ
ャワー水を直接散布する等の方法で包装食品Fをより低
温に冷却してもよい。出された残りの圧力容器1は、食
品装填工程P1に戻されて再度使用される。
【0068】そして、上記水充填工程P2においては、
通常、常温の水が容器本体13内に装填されるが、予め
所定の温度(例えば90℃)に加熱された水Wが装填さ
れる場合もある。このようにするのは、マイクロ波を照
射するまでの包装食品Fに予め加熱水からの熱を与えて
予熱しておき、マイクロ波照射工程P5でのマイクロ波
照射時間を短縮させ、これによって殺菌処理の迅速化を
図るためである。
【0069】また、上記水充填工程P2では、内部空間
の少なくとも1/2以上になるように水Wが装填室13
0に装填される。このようにされるのは、内部空間の1
/2以上が水で満たされると、包装食品Fが例えば包装
袋に食品の充填されたパウチ食品である場合、図3に示
すように、それを装填室130に装填すると、エッジ効
果が起こりやすいエッジ部分が水Wに浸るからである。
【0070】また、マイクロ波照射工程P5において
は、圧力容器1を上下180°反転させる容器反転工程
P51が実行されることもある。かかる容器反転工程P
51が実行されるのは、包装食品Fを上下反転させるこ
とにより包装袋内の食品を逆転によって攪拌し、これに
よって包装食品Fの温度の均一化を図るためである。
【0071】そして、マイクロ波照射工程P5において
は、圧力容器1にマイクロ波が照射されることによっ
て、マイクロ波は、その透過性を有する容器本体13の
周壁13bを通って容器本体13内に侵入し、また、後
述する図6に示す圧力容器の場合は、底板11の穴11
a抜けたマイクロ波は、マイクロ波透過性を有する容器
本体13の底部13aを通って容器本体13内に侵入
し、装填室130内の水Wおよび包装食品Fをマイクロ
波加熱する。
【0072】このマイクロ波加熱によって包装食品Fが
100℃以上に昇温され(本実施形態では130℃に昇
温される)、包装食品F内の水分が蒸発することにより
包装食品F内が130℃の水の飽和水蒸気圧である略3
000ヘクトPaに昇圧されても、先の圧力設定工程P
4において容器本体13内に略3000ヘクトPaの圧
力の空気が封入されているため、包装食品Fの包装袋の
内外で圧力が拮抗し、従って包装袋が破袋することはな
い。
【0073】また、包装食品Fのエッジ部分は、水Wに
浸かった状態になっているため、周りの水によってマイ
クロ波加熱の面からは実質的にエッジではなくなってお
り、従って、エッジ効果でこの部分が過加熱されるとい
う不都合は回避される。
【0074】このような殺菌処置工程を実行するため
に、図5に示すようなマイクロ波加熱殺菌装置が採用さ
れる。図5は、本発明に係るマイクロ波加熱殺菌装置の
一実施形態を示す説明図である。この図に示すように、
マイクロ波加熱殺菌装置2は、複数の圧力容器1を搬送
する搬送手段3と、この搬送手段3に沿って下流側に向
かって順次配設される食品装填機構4と、水装填機構5
と、容器密閉機構6と、圧力設定機構7と、マイクロ波
照射装置8と、冷却機構9と、食品取出し機構10とか
ら構成されている。
【0075】上記搬送手段3は、上流端および下流端に
設けられたプーリ31間に張設される搬送ベルト32に
よって形成されている。この搬送ベルト32は、一方の
プーリ31を回転駆動する駆動モータ33の駆動によっ
てプーリ31間を周回移動し、上流端(図5の左方)に
順次載置される圧力容器1を下流側に向けて搬送するよ
うになっている。
【0076】上記食品装填機構4は、搬送ベルト32上
に載置された圧力容器1の装填室130(図3)内に包
装食品Fを装填するものであり、搬送手段3の最上流位
置に設けられている。かかる食品装填機構4は、天板1
2を開放する天板開放手段41および容器本体13の装
填室130内に包装食品Fを装填する装填手段42を有
し、包装食品Fは、天板開閉手段41によって開放され
た装填室130に装填手段42の駆動で装填されるよう
になっている。
【0077】上記水装填機構5は、装填室130内に包
装食品Fの装填された、天板12が開放状態の装填室1
30内に水を装填する工程であり食品装填機構4の直ぐ
下流側に設けられている。この水装填機構5は、圧力容
器1の装填室130内に水を注入する、制御バルブ51
を有しているとともに、水道水を受け入れて貯水する貯
水槽52および水処理装置53を有し、貯水槽52に一
旦貯留された水道水は、水処理装置53で所定の処理が
施された後に、制御バルブ51の開閉動作によって制御
バルブ51直下に位置した圧力容器1の装填室130内
に所定量(包装食品Fが装填された装填室130が水W
で満杯にならない量)が装填されるようになっている。
【0078】水処理装置53は、水Wに所定の処理を施
してその損失係数および温度を調節するものである。例
えば、損失係数調節の混入剤として食塩が用いられる。
食塩の混入率を大きくすると水Wの導電性が良好になる
ため、マイクロ波によって加熱され難くなる。また、純
水を使用した場合は、一般の水道水に比べて損失係数が
低く、加熱され難い。
【0079】すなわち、マイクロ波で水Wを積極的に加
熱し、水の有する熱を包装食品Fに伝熱することによっ
てマイクロ波加熱で低温になりがちな包装食品Fの表面
側を昇温させることを目的とする場合には、誘電損失係
数の高い水が使用される(すなわち水W自身もマイクロ
波加熱され易いようにされる)一方、包装食品Fのエッ
ジ部分がエッジ効果で過加熱するのを水Wへの伝熱で抑
えることを目的とするときは、水Wに食塩が添加され、
損失係数を低くすることにより、マイクロ波が照射され
ても水Wの温度が上がり難くされ、これによって低温の
水で包装食品Fのエッジ部分の熱を吸収するようになさ
れる。
【0080】また、包装食品は、調理された後にそれ自
体が60℃〜70℃に加熱された状態になっているた
め、液体がこれより高温度に設定されている場合は、液
体を包装食品Fの補助加熱用として利用することができ
る一方、液体がこの温度より低温である場合は、液体を
エッジ効果防止用として利用することができる。
【0081】また、水Wは、満杯にならない程度に装填
室130内に装填される。従って、後のマイクロ波照射
装置8でのマイクロ波加熱による水Wの熱膨張が装填室
130内の空気の圧縮によって吸収され、水Wが圧力容
器1から漏れ出す不都合が確実に防止される。
【0082】上記容器密閉機構6は、装填室130内に
包装食品Fおよび水Wの装填された圧力容器1の天板1
2を閉止して密閉する動作を行うものであり、天板閉止
手段61を有し、この天板閉止手段61の動作で開放し
ている天板12(図3の(イ))が閉止されるととも
に、ロック部材15が操作されてロック溝12bに嵌ま
り込んでいるロックボルト15dが締結されることによ
り、図3の(ロ)に示すように、装填室130内が密閉
される。
【0083】上記圧力設定機構7は、密閉状態の圧力容
器1内に高圧空気を導入して装填室130内を所定の高
圧に設定するものであり、取り入れた空気を圧縮して排
出する圧縮ポンプ71と、この圧縮ポンプ71からの圧
縮空気を上記クイックカプラー18および圧空導入管1
7(図1)を介して装填室130内に導入する圧空配管
72と、この圧空配管72をクイックカプラー18に対
して接離させる接離手段73とからなっている。上記圧
空配管72の先端部にはクイックカプラー18に対応し
た口金が設けられ、この口金が接離手段73の動作でク
イックカプラー18に接続されることにより、駆動中の
圧縮ポンプ71からの高圧空気が圧空配管72および圧
空導入管17を通って装填室130内に導入されるよう
になっている。本実施形態では、圧縮ポンプ71で略3
000ヘクトPaに昇圧された空気を装填室130内に
導入するようにしている。
【0084】上記マイクロ波照射装置8は、搬送手段3
の近傍に設けられたマイクロ波発振機81と、容器密閉
機構6の下流側に設けられた、搬送中の圧力容器1を覆
うマイクロ波照射フード82と、このマイクロ波照射フ
ード82と上記マイクロ波発振機81との間に介設され
た導波管83と、搬送中の圧力容器1を180°反転さ
せる容器反転手段84とからなっている。マイクロ波発
振機81で発生したマイクロ波は、導波管83を通って
マイクロ波照射フード82内に導波され、ここで搬送中
の圧力容器1の容器本体13を透過して装填室130内
に装填されている水Wおよび包装食品Fに照射され、こ
れによるマイクロ波加熱で包装食品Fは殺菌処理され
る。
【0085】そして、圧力容器1は、マイクロ波照射フ
ード82内を搬送中に容器反転手段84によって上下1
80°反転されることにより、包装食品F内の食品が攪
拌され、これによって包装食品Fの温度分布の均一化が
達成される。上記圧力容器1の反転は、包装食品Fが目
的温度に到達するまでの間に少なくとも1回行われる
が、3〜4回行うのが望ましい。
【0086】上記冷却機構9は、搬送ベルト32の直ぐ
下流側にプーリ31に隣接して設けられている。この冷
却機構9は、冷却水の装填された冷却水槽91と、この
冷却水槽91の下流端に配設された、冷却済みの圧力容
器1を引き上げる引上げベルト92とを備えている。そ
して、マイクロ波照射フード82から導出された圧力容
器1は、搬送ベルト32の下流端から冷却水槽91内に
順次落下し、水冷されつつ順次落下してくる後続の圧力
容器1に押されて下流側に向かって移動し、引上げベル
ト92によって引き上げられて食品取出し機構10に供
給されるようになっている。
【0087】そして、冷却機構9では、圧力容器1内の
包装食品Fが100℃以下まで冷却されて包装食品F内
の圧力が略1000ヘクトPaにまで降圧され、これに
よって天板12を開放しても包装食品Fが破袋しないよ
うにされる。
【0088】上記食品取出し機構10は、ロック部材1
5による圧力容器1の閉止ロックを解除して天板12を
開放するロック解除手段101と、このロック解除手段
101によって開放された装填室130から包装食品F
を取り出して空の圧力容器1と包装食品Fとに分離する
分離手段102とを備えている。
【0089】そして、包装食品Fは、ロック解除手段1
01の動作で開放された装填室130から分離手段10
2の動作で取り出されて次工程に向けて送り出される一
方、空になった圧力容器1は、搬送ベルト32の上流側
に返送されて循環使用されるようになっている。なお、
次工程に送り出されるまでの包装食品Fに対して第2次
冷却処理を施し、これによって包装食品Fをさらに低温
にまで冷却するようにしてもよい。
【0090】このようなマイクロ波加熱殺菌装置2によ
れば、搬送手段3の上流端に空の圧力容器1を順次供給
していくことにより、搬送ベルト32の周回移動で下流
側に向けて順次搬送されながら、食品装填機構4で包装
食品Fが圧力容器1の装填室130内に装填され、水装
填機構5で所定量の水が装填室130内に供給され、容
器密閉機構6で包装食品Fおよび水Wの装填された装填
室130が天板12によって密閉され、圧力設定機構7
で密閉状態の装填室130内に所定圧力の空気が導入さ
れ、圧力容器1がマイクロ波照射フード82内に入る
と、マイクロ波発振機81から導波管83を通って導波
されたマイクロ波が合成樹脂製の容器本体13を透過し
て装填室130内に侵入することにより包装食品Fがマ
イクロ波加熱で殺菌処理される。
【0091】なお、圧力容器1の底板11および天板1
2のいずれか一方または双方にマイクロ波が透過する1
または複数の孔を穿設しておけば、マイクロ波はこの孔
を通って容器本体13内に侵入するため、包装食品Fに
対するより均一で迅速なマイクロ波加熱が実現する。
【0092】そして、内部の包装食品Fが殺菌処理され
た圧力容器1は、搬送ベルト32の下流端からつぎの冷
却機構9に供給されて所定温度まで冷却され、食品取出
し機構10で殺菌処理済みの包装食品Fが装填室130
から取り出されてつぎの工程に送り出されるとともに、
空の圧力容器1は搬送ベルト32の上流端に戻されて再
使用される。
【0093】このように、包装食品Fは、搬送手段3に
より上流端から下流端に向けて搬送されつつ各種の処理
が施されるため、ほとんど人手を介することはなく自動
的に殺菌処理を施すことが可能になり、大量の包装食品
Fを対象に殺菌処理を効率的に行う上で有効である。
【0094】本発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0095】(1)上記の実施形態においては、容器本
体13の装填室130に水が装填されるようにしている
が、本発明は、装填室130に装填される液体が水であ
ることに限定されるものではなく、食塩水、酢酸溶液、
アンモニア水、炭酸ソーダ溶液、重炭酸ソーダ溶液、ア
ルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール
等)、各種のオイル類等、誘電加熱され得る液体であれ
ばどのようなものでもよい。
【0096】(2)上記の実施形態においては、容器密
閉工程P3における圧力容器1の密閉処理が完了した後
の圧力設定工程P4で圧力容器1の装填室130内に水
の飽和蒸気圧に相当する圧力(すなわち水が130℃に
まで加熱されるときは略3000ヘクトPa)の高圧空
気を注入するようにしているが、本発明は、圧力設定工
程P4で水の飽和蒸気圧と同一の圧力の高圧空気導入す
ることに必ずしも限定されるものではなく、飽和蒸気圧
以下の圧力の空気を導入してもよい。その理由は、圧力
容器1にマイクロ波が照射されると、装填室130内の
包装食品Fがマイクロ波加熱されると同時に装填室13
0内に充填されている水Wも同様にマイクロ波加熱さ
れ、装填室130内が確実に密閉状態になっている場合
には装填室130内の圧力は包装食品F内の圧力と略同
一になっているはずであり、包装食品F内外の圧力が拮
抗していることにより包装食品Fが破袋することがない
からである。
【0097】しかしながら、装填室130内が完全な密
閉状態になっていない場合や密閉状態になっているか否
か不安要素があるとき、あるいは装填室130内にマイ
クロ波加熱され難い液を注入する場合には、上記実施形
態で説明したとおり、装填室130内を所定の高圧に維
持するための高圧空気を装填室130内に導入する必要
がある。
【0098】(3)上記の実施形態においては、圧力容
器1内に1つの包装食品Fが装填された例について説明
したが、本発明は、圧力容器1内に装填される包装食品
Fが1つであることに限定されるものではなく、複数個
であってもよい。但し、装填個数が多すぎると均一加熱
が困難になるため、1〜5個の範囲内に留めておくこと
が好ましい。
【0099】(4)上記の実施形態で説明した圧力容器
1に代えて図6に示すような圧力容器1aを採用しても
よい。この圧力容器1aは、食品が丼形包装容器F1に
装填された包装食品F0を対象とするものであり、底板
11と天板12と容器本体13とで構成されている点は
先の実施形態と同様であるが、底板11の中央位置にマ
イクロ波を透過させるための穴11aが穿設されている
点と、容器本体13の上端内周縁部に丼形包装容器F1
のフランジ部F2を嵌め込む環状段差部13eが形成さ
れている点とが先の実施形態のものと相違している。
【0100】かかる圧力容器1aによれば、穴11aの
存在によってマイクロ波がこの部分からも包装食品F0
内に侵入することが可能になり、包装食品F0のより均
一なマイクロは加熱をより迅速に行うことが可能になる
とともに、フランジ部F2が天板12と容器本体13と
の間に押圧挟持された状態になるため、包装食品F0の
圧力容器1内への装填状態を安定させることができる。
さらに、天板12と包装食品F0とが密着しているた
め、冷却工程において包装食品F0を熱伝導率の高い金
属製の天板12を通じて迅速に冷却することができる。
【0101】(5)上記の実施形態においては、図5に
示すように、圧力容器1を冷却水槽91に投入して圧力
容器1ごと内部の包装食品Fを冷却するようにしている
が、こうする代わりに装填室130内に冷却水を注入し
て包装食品Fを冷却水で直接冷却するようにしてもよ
い。
【0102】
【実施例】(1)第1実施例 本発明の効果を確認するために、実施例として合成樹脂
製のトレー内に流動性食品の装填された包装食品を圧力
容器1(図1)の装填室130内に装填するとともに、
装填室130内が満杯にならないように水を注入したの
ち圧力容器1を密閉し、この圧力容器1を介して装填室
130内の流動性食品にマイクロ波を照射しながら圧力
容器1内の包装食品の温度の経時変化を測定する効果確
認試験を行った。
【0103】また、比較例として装填室内に水を注入し
ない他は実施例と同一条件で同様に流動性食品の温度の
経時変化を測定する比較試験を行った。
【0104】試験条件は以下の通りであった。
【0105】マイクロ波の周波数:2,450MHz マイクロ波出力:480W 包装食品の重量:250g 流動性食品の粘度:400CP トレー内への水の注入量:30ml(実施例のみ) 試験結果を図7に示す。因みに、図7は、包装食品の温
度上昇の経時変化を示すグラフであり、(イ)は実施例
のグラフ、(ロ)は比較例のグラフである。
【0106】図7のグラフに示すように、実施例におい
ては、包装食品の中心位置の温度はその上面および下面
とも時間の経過とともに上に凸の2次曲線的カーブを描
いていずれの時点でもほとんど温度差なく経時的に昇温
しており、略120℃で温度が平衡状態に達している。
また、包装食品のエッジ部分についても中心位置より若
干低温ではあるが、同様の傾向で昇温しており、いずれ
の時点でもエッジ上面とエッジ下面との間でほとんど温
度差が認められなかった。
【0107】これに対し比較例の場合、包装食品の中心
位置の経時的な温度上昇は略40℃に到達するまでは緩
やかであり、その後は中心位置の上面の昇温速度が急に
速くなっているのに対し、中心位置の下面の昇温速度は
変化がなく、これによってマイクロ波加熱が終了した時
点では包装食品の中心位置の上面と下面とで略25℃の
温度差が生じていることが確認された。また、包装食品
のエッジ部分の経時的な温度変化についても、急激に昇
温速度が速くなる時点が中心位置の場合より早期に訪れ
る他は、中心位置の場合と同様の昇温傾向を示してお
り、マイクロ波加熱が終了した時点で上面および下面間
に略10℃の温度差の存在することが確認された。
【0108】また、比較例の場合は、マイクロ波加熱後
の包装食品を開封して内部の流動性食品を点検したとこ
ろ、エッジ部分に焦げ目が発生していることが確認され
た。これは、包装食品は中心部分よりエッジ部分の方が
高温になり、かつ、この高温状態が長時間に亘って継続
するためであると考えられる。
【0109】これに対し、実施例の場合は、マイクロ波
加熱が終了した時点で中央位置の方がエッジ部分よりも
略10℃高温であり、かつ、エッジ部分は略100℃で
あるから、流動性食品に焦げ目が生じることはなく、中
心温度およびエッジ温度ともに安定した状態で100℃
以上で加熱処理することができた。
【0110】以上より、圧力容器内に満杯にならないよ
うに水を注入する本発明は、非常にばらつきの少ない状
態で均一に包装食品のマイクロ波加熱を行い得るもので
あることを実証することができた。
【0111】(2)第2実施例 食品を装填する容器としてトレーの代わりに合成樹脂製
のカップ(容量400ml)を用いるとともに、食品と
してホワイトソースを採用し、第1実施例と同様の試験
を実施した。試験結果は以下の通りである。
【0112】
【0113】 第2実施例からも、本発明が優れたものであることが判
る。
【0114】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、容器の内
部に包装食品を装填する食品装填工程と、容器に包装食
品が収容された状態で内部空間を満たさない量の液体を
充填する液体充填工程と、内部空間が所定の高圧になる
ように圧力設定する圧力設定工程と、容器を密閉する容
器密閉工程とを有し、かつ、最終工程として容器を介し
て包装食品にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程
を実行するようにしているため、食品装填工程において
容器の内部に包装食品を装填し、液体充填工程において
容器に包装食品が収容された状態で内部空間を満たさな
い量の液体を充填し、圧力設定工程において内部空間が
所定の高圧になるように圧力設定し、容器密閉工程にお
いて容器を密閉することにより、内部に包装食品および
液体が装填され、かつ、内部の圧力調整が行われた加熱
処理直前の食品装填済み容器をえることができる。そし
て最終工程であるマイクロ波照射工程で容器を介して包
装食品にマイクロ波を照射することにより、容器内の包
装食品に対し容器を透過したマイクロ波により加熱殺菌
処理を施すことができる。
【0115】そして、たとえ包装食品のエッジ部分が過
加熱される、いわゆるエッジ効果が発生しても、エッジ
部分あるいはその近傍は容器内に充填された液体に接触
しているため、過加熱された部分の熱が液体に伝熱され
ることによって温度が降下し、これによって従来起こっ
ていた食品温度の不均一を抑制することができる。
【0116】また、包装食品のエッジ部分が水没してい
る場合には、エッジ部分はマイクロ波加熱の面からは実
質的にエッジ部分でなくなっているため、エッジ効果を
生じないようにすることができる。
【0117】また、容器の中には液体の他に空気も装填
されているため、マイクロ波加熱で昇温した液体が熱膨
張しても、この熱膨張が空気の圧縮によって吸収される
ため、容器を液体の熱膨張に耐える程に頑丈なものにす
る必要がなく、その分容器コストを廉価にすることがで
きる。
【0118】さらに、容器の内部空間は所定の高圧にな
るように圧力設定されるが、この所定の高圧を水の飽和
蒸気圧に見合う圧力に設定することにより、殺菌効果を
高めるために包装食品を100℃以上にマイクロ波加熱
しても食品中の水の蒸発で起こる包装食品の膨張が抑え
られ、これによって包装食品の破袋を防止することがで
きる。
【0119】このように、請求項1記載の発明にあって
は、容器に装填された包装食品を100℃以上にマイク
ロ波加熱しても包装食品が破袋することがないため、破
袋が起こらないように100℃以下で行われていたマイ
クロ波加熱による従来の殺菌処理に比較してより確実で
迅速な殺菌処理が実現し、マイクロ波加熱による殺菌処
理コストの低減化に貢献することができる。
【0120】請求項2記載の発明によれば、容器内に装
填する液体として誘電加熱されるものを採用したため、
容器にマイクロ波が照射されると、容器内は包装食品の
周りに存在する誘電加熱が可能な液体も含めて全体的に
マイクロ波加熱されるため、液体が存在しないときに包
装食品のエッジ部分が過加熱される、いわゆるエッジ効
果が起こらなくなり、これによって包装食品の均一加熱
を実現することができる。
【0121】請求項3記載の発明によれば、液体を予め
所定の温度に調節した状態で容器に注入するようにした
ため、包装食品にマイクロ波が照射される時点で、液体
はマイクロ波加熱されるまでもなくすでに所定の温度に
調節されおり、包装食品はこの所定温度の液体から伝熱
で熱を受けて加熱され、マイクロは加熱との相加作用で
より迅速な殺菌処理を行うことができる。
【0122】請求項4記載の発明によれば、包装食品へ
のマイクロ波照射中に容器を少なくとも1回上下反転さ
せるようにしたため、包装部材に装填された内部食品の
温度分布の不均一が、容器を反転させることによる食品
の攪拌効果で解消され、包装食品の温度分布の均一化を
達成することができる。
【0123】請求項5記載の発明によれば、液体充填工
程で充填される液体の量は、少なくとも内部空間の1/
2以上に設定したため、例えば包装食品が袋に食品の装
填されたいわゆるパウチ食品の場合など、エッジ部分が
液体に浸された状態になり、これによってエッジ効果を
確実に回避することができる。
【0124】請求項6記載の発明によれば、容器の内部
に1または複数の包装食品を装填するとともに包装食品
が収容された内部空間を満たさない量の液体を注入して
容器を密閉する包装食品装填機構と、この密閉された内
部空間に所定圧力の空気を圧入する空気圧入機構と、空
気の圧入された容器を介して包装食品にマイクロ波を照
射するマイクロ波照射手段とを備えたため、包装食品装
填機構の駆動によって容器の内部に1または複数の包装
食品が装填されるとともに、包装食品が収容された状態
で容器の内部空間を満たさない量の誘電性を有する液体
が注入され、その後容器が密閉されることによって容器
内への包装食品の装填を完了させることができる。引き
続き空気圧入機構の駆動で包装食品が装填され密閉され
た容器の内部空間に所定圧力の空気を圧入しながらマイ
クロ波照射手段の駆動で空気の圧入された容器を介して
包装食品にマイクロ波を照射することにより、容器内の
包装食品をマイクロ波加熱による昇温で殺菌処理するこ
とができる。
【0125】そして、包装食品に含まれている水分が蒸
発することによって到達する水蒸気による包装食品内の
圧力と、容器の内部空間の空気圧力とが常に拮抗した状
態になるため、包装食品を形成している包装部材の膨張
による破袋が確実に防止される。
【0126】また、マイクロ波照射手段の駆動によるマ
イクロ波の照射で、包装食品にたとえエッジ効果が発生
してエッジ部分が過加熱されても、エッジ部分あるいは
その近傍は容器内に充填された液体に接触しているた
め、過加熱された部分の熱が液体に伝熱されることによ
って温度が降下し、これによって従来起こっていた食品
温度の不均一を抑制することができる。
【0127】また、たとえマイクロ波加熱で昇温した液
体が熱膨張しても、この熱膨張が容器の中に導入された
空気の圧縮で吸収されるため、容器を液体の熱膨張に耐
える程に頑丈なものにする必要がなく、その分容器のコ
ストを安価にすることができる。
【0128】このように、請求項6記載の発明にあって
は、容器に装填された包装食品を100℃以上にマイク
ロ波加熱しても包装食品が破袋することがないため、破
袋が起こらないように100℃以下で行われていたマイ
クロ波加熱装置による従来の殺菌処理に比較してより確
実で迅速な殺菌処理が実現し、マイクロ波加熱による殺
菌処理コストの低減化に貢献することができる。
【0129】請求項7記載の発明によれば、複数個の容
器を所定の移動路に沿って移動させる容器移動手段を設
け、移動路に沿って包装食品装填手段と、マイクロ波照
射手段とを配設したため、容器移動手段の駆動で複数個
の容器を移動路に沿って移動させながら、包装食品装填
手段およびマイクロ波照射手段を駆動することにより包
装食品に対して連続的に殺菌処理を施すことが可能にな
り、殺菌処理効率の向上を達成することができる。
【0130】請求項8記載の発明によれば、マイクロ波
照射手段の下流側に容器を介して包装食品を冷却する冷
却機構と、冷却された包装食品を容器から取り出す食品
取出し機構とをそれぞれ設けたため、マイクロ波加熱で
加熱された包装食品が装填されている容器は、マイクロ
波照射手段の下流側に設けられた冷却機構によって冷却
されることにより、容器を介して内部の包装食品も冷却
され、これによる包装食品内で発生していた水蒸気の凝
縮で包装食品内の圧力を低下させることができる。従っ
て、つぎの食品取出し機構の駆動で容器から包装食品を
取り出すに際し、包装食品の破袋を防止することができ
る。
【0131】請求項9記載の発明によれば、マイクロ波
加熱中の容器を容器反転機構の駆動で上下反転させるこ
とにより、包装部材に装填された内部食品の温度分布の
不均一が、反転による食品の攪拌効果で解消され、包装
食品の温度分布の均一化を達成することができる。
【0132】請求項10記載の発明によれば、容器を、
底板と、天板と、これら底板および天板間に介設された
環状の外壁部と、外壁部が底板および天板間に介設され
た状態をロックするロック手段とから構成したため、底
板の上に環状の外壁部を載置した状態で、外壁部内に包
装食品を装填する内部収容空間を形成することができ
る。この状態で内部収容空間に包装食品および所定量の
水を装填し、その後天板で内部収容空間を閉止してから
ロック手段の操作で外壁部を介して天板を底板にロック
することにより、包装食品を容器に装填した状態にする
ことができる。そして、外壁部をマイクロ波が透過する
材料で形成したため、容器に向けてマイクロ波を照射す
ることにより、マイクロ波は外壁部を透過して内部の包
装食品に到達し、これによって包装食品をマイクロ波加
熱することができる。
【0133】また、容器は、底板、天板および環状の側
壁部とで構成されているため、構造が簡単でありなが
ら、これらの構成要素の厚み寸法を適切に設定すること
により容易に圧力容器となり、容器の製造コストの低減
化を図ることができる。
【0134】さらに、容器は、底板および天板の少なく
とも一方を金属材料で形成しているため、この金属材料
を構造材として使用することにより、他の部分が金属材
料でなくても、容器を全体的に耐圧構造にすることがで
きる。特にロック手段は、それを支持する部分を金属材
料からなる底板または天板に設けることにより、構造的
に安定したものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロ波加熱殺菌装置に適用さ
れる圧力容器の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図
である。
【図2】図1に示す圧力容器の組立て斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図であり、(イ)は天板が
開放された状態、(ロ)は天板が閉止された状態をそれ
ぞれ示している。
【図4】本発明方法の一実施形態を示す工程図である。
【図5】本発明に係るマイクロ波加熱殺菌装置の一実施
形態を示す説明図である。
【図6】圧力容器の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】包装食品の温度上昇の経時変化を示すグラフで
あり、(イ)は実施例のグラフ、(ロ)は比較例のグラ
フである。
【符号の説明】 F 包装食品 1 圧力容器 11 底板 12 天板 12b ロック溝 13 容器本体 130 装填室 14 蝶番部材 15 ロック部材 15d ロックボルト 16 Oリング 17 圧空導入管 18 クイックカプラー 2 マイクロ波加熱殺菌装置 3 搬送手段 32 搬送ベルト 4 食品装填機構 41 天板開放手段 42 装填手段 5 水装填機構 51 制御バルブ 52 貯水槽 53 水処理装置 6 容器密閉機構 61 天板閉止手段 7 圧力設定機構 71 圧縮ポンプ 72 圧空配管 73 接離手段 8 マイクロ波照射装置 81 マイクロ波発振機 82 マイクロ波照射フード 83 導波管 84 容器反転手段 9 冷却機構 91 冷却水槽 92 引上げベルト 10 食品取出し機構 101 ロック解除手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早川 喜郎 栃木県那須郡西那須野町大字西富山17番地 カゴメ株式会社総合研究所内 (72)発明者 山本 康二 大阪市天王寺区上汐6丁目3番12号 山本 ビニター株式会社内 (72)発明者 明坂 芳生 大阪市天王寺区上汐6丁目3番12号 山本 ビニター株式会社内 Fターム(参考) 3K090 AA01 AA06 AA20 AB05 BB13 BB19 CA01 EB21 EB29 FA05 FA07 4C058 AA21 BB03 BB06 CC02 DD06 EE26 KK04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 包装食品より大きい内部収容空間を有す
    る密閉容器内に収容された包装食品にマイクロ波を照射
    することにより包装食品を加熱殺菌するマイクロ波加熱
    殺菌方法であって、上記容器の内部に包装食品を装填す
    る食品装填工程と、容器に包装食品が収容された状態で
    内部空間を満たさない量の液体を充填する液体充填工程
    と、内部空間が所定の高圧になるように圧力設定する圧
    力設定工程と、容器を密閉する容器密閉工程とを有する
    とともに、最終工程として容器を介して包装食品にマイ
    クロ波を照射するマイクロ波照射工程を実行することを
    特徴とするマイクロ波加熱殺菌方法。
  2. 【請求項2】 上記液体は、誘電加熱されるものである
    ことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波加熱殺菌方
    法。
  3. 【請求項3】 上記液体を予め所定の温度に調節した状
    態で上記容器に注入することを特徴とする請求項1また
    は2記載のマイクロ波加熱殺菌方法。
  4. 【請求項4】 包装食品へのマイクロ波照射中に上記容
    器を少なくとも1回上下反転させることを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロ波加熱殺菌方
    法。
  5. 【請求項5】 上記液体充填工程で充填される液体の量
    は、少なくとも上記内部空間の1/2以上であることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロ
    波加熱方法。
  6. 【請求項6】 密閉容器内に収容された包装食品にマイ
    クロ波を照射することにより包装食品を加熱殺菌するマ
    イクロ波加熱殺菌装置であって、上記容器の内部に1ま
    たは複数の包装食品を装填するとともに包装食品が収容
    された内部空間を満たさない量の液体を注入して容器を
    密閉する包装食品装填機構と、この密閉された内部空間
    に所定圧力の空気を圧入する空気圧入機構と、空気の圧
    入された容器を介して包装食品にマイクロ波を照射する
    マイクロ波照射手段とが備えられていることを特徴とす
    るマイクロ波加熱殺菌装置。
  7. 【請求項7】 複数個の上記容器を所定の移動路に沿っ
    て移動させる容器移動手段が設けられ、上記移動路に沿
    って上記包装食品装填手段と、上記マイクロ波照射手段
    とが配設されていることを特徴とする請求項6記載のマ
    イクロ波加熱殺菌装置。
  8. 【請求項8】 上記マイクロ波照射手段の下流側に容器
    を介して包装食品を冷却する冷却機構と、冷却された包
    装食品を容器から取り出す食品取出し機構とがそれぞれ
    設けられていることを特徴とする請求項7記載のマイク
    ロ波加熱殺菌装置。
  9. 【請求項9】 包装食品へのマイクロ波照射位置に上記
    容器を上下反転させる容器反転機構が設けられているこ
    とを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のマイ
    クロ波加熱殺菌装置。
  10. 【請求項10】 上記容器は、底板と、天板と、これら
    底板および天板間に介設された環状の外壁部と、外壁部
    が底板および天板間に介設された状態をロックするロッ
    ク手段とから構成され、上記底板および天板の少なくと
    も一方は金属材料で形成されているとともに、上記外壁
    部はマイクロ波が透過する材料で形成されていることを
    特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のマイクロ
    波加熱殺菌装置。
JP31415699A 1999-11-04 1999-11-04 マイクロ波加熱殺菌方法および装置 Expired - Fee Related JP4499855B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31415699A JP4499855B2 (ja) 1999-11-04 1999-11-04 マイクロ波加熱殺菌方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31415699A JP4499855B2 (ja) 1999-11-04 1999-11-04 マイクロ波加熱殺菌方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001130517A true JP2001130517A (ja) 2001-05-15
JP4499855B2 JP4499855B2 (ja) 2010-07-07

Family

ID=18049922

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31415699A Expired - Fee Related JP4499855B2 (ja) 1999-11-04 1999-11-04 マイクロ波加熱殺菌方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4499855B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006314407A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Mitsubishi Heavy Industries Food & Packaging Machinery Co Ltd 電子線殺菌システム
CN106347771A (zh) * 2016-08-26 2017-01-25 张瑞华 一种微波灭菌方法及其辅助器械
CN109349493A (zh) * 2018-09-28 2019-02-19 柳州市清旭贸易有限责任公司 一种微波预包装食品二次回温杀菌设备

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11229095B2 (en) 2014-12-17 2022-01-18 Campbell Soup Company Electromagnetic wave food processing system and methods

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5813372A (ja) * 1981-07-16 1983-01-25 Mitsubishi Monsanto Chem Co マイクロ波による加熱殺菌方法
JPS5831977A (ja) * 1981-08-19 1983-02-24 Mitsubishi Monsanto Chem Co マイクロ波による連続加熱装置
JPS6152266A (ja) * 1984-08-16 1986-03-14 Nichirei:Kk マイクロ波による包装食品の加熱方法および耐圧容器
JPH01247071A (ja) * 1988-03-28 1989-10-02 Toppan Printing Co Ltd マイクロ波加熱殺菌装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5813372A (ja) * 1981-07-16 1983-01-25 Mitsubishi Monsanto Chem Co マイクロ波による加熱殺菌方法
JPS5831977A (ja) * 1981-08-19 1983-02-24 Mitsubishi Monsanto Chem Co マイクロ波による連続加熱装置
JPS6152266A (ja) * 1984-08-16 1986-03-14 Nichirei:Kk マイクロ波による包装食品の加熱方法および耐圧容器
JPH01247071A (ja) * 1988-03-28 1989-10-02 Toppan Printing Co Ltd マイクロ波加熱殺菌装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006314407A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Mitsubishi Heavy Industries Food & Packaging Machinery Co Ltd 電子線殺菌システム
CN106347771A (zh) * 2016-08-26 2017-01-25 张瑞华 一种微波灭菌方法及其辅助器械
CN109349493A (zh) * 2018-09-28 2019-02-19 柳州市清旭贸易有限责任公司 一种微波预包装食品二次回温杀菌设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP4499855B2 (ja) 2010-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0330288A (ja) 含水物質などにマイクロ波エネルギーを放射して殺菌する方法と装置
US11856976B2 (en) Contact members for packaged articles heated with radio frequency energy
JP4499855B2 (ja) マイクロ波加熱殺菌方法および装置
JP3420707B2 (ja) 連続式マイクロ波加熱滅菌装置
US20220095652A1 (en) Pasteurization of convenience meals in hermetically sealed containers
JP2020503922A (ja) 液体および半液体材料のマイクロ波支援滅菌および殺菌
WO1996037112A1 (en) Method and apparatus for sterilizing biological liquids, particularly milk and its by-products
JPH07255388A (ja) 食品加熱処理方法及び装置
US6752958B2 (en) Disinfecting wooden elements in contact with foodstuffs
JP6915785B2 (ja) マイクロ波加熱装置、マイクロ波加熱方法、及び包装食品の製造方法
JP2001009009A (ja) マイクロ波殺菌方法
JPH08242783A (ja) 密封包装品の加熱方法及びその装置
JP3250324B2 (ja) 食品の加熱殺菌処理方法および装置
JPS60120970A (ja) 高周波加圧加熱による食品の連続加工方法及び装置
US20200054046A1 (en) Thermally processing food products with highly-uniform electromagnetic energy fields
JP3601570B2 (ja) 食品の殺菌方法
JPH08173115A (ja) レトルト殺菌方法並びにその装置
JP3999407B2 (ja) 密封包装物品の加熱方法、密封包装物品収容ケース及び密封包装物品加熱装置
JPS59166068A (ja) マイクロ波による加熱殺菌方法
JPH0824318A (ja) 流動性物質のマイクロ波加熱滅菌方法およびマイクロ波加熱滅菌装置
JP2006217840A (ja) 食品の鮮度保持安全供給システム
JPH09275954A (ja) 流動性を有する食品の加熱方法および装置
JP2001137115A (ja) 調理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090317

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090512

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100224

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100319

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100406

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100416

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140423

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees