JP2001129095A - カテーテル - Google Patents
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Abstract
の外周面を被覆する外側ポリマー層とを有するカテーテ
ルにおいて、上記カテーテル本体の先端から軸方向に沿
って少なくとも1箇所のカット部を設けたことを特徴と
するカテーテル。 【効果】 本発明によれば、カテーテル本体にカット部
を設けることにより、熱可塑性樹脂チューブを取り付け
る必要がなく、このため先端部の段差がなくなり、操作
性、安全性に優れると共に、カテーテル径を容易に調整
し得、高い製造コストパフォーマンスを備えたカテーテ
ルに関するものである。
Description
先端から基端までが一体に形成されているので従来の先
端部に熱可塑性樹脂チューブを取り付けたカテーテルに
比べて段差がなく、また従来の径方向乃至は螺旋状にカ
ットを設けたカテーテルのように血管内や尿管内等で折
れ易くなく、操作性及び安全性に優れると共に、カテー
テル径を容易に細径に調整し得、高い製造コストパフォ
ーマンスを備えたカテーテルに関する。
血管や尿管内等に挿入され、検査、治療等に用いられる
カテーテル、例えば血管造影用カテーテル、血管内薬剤
投与用カテーテル、血管内手術用カテーテル、尿管結石
用カテーテル、経内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERC
P)用カテーテルなどとしては、可撓性を有するポリマ
ー製チューブに誘導用の金属製ガイドワイヤーを挿入し
たもの、ポリエチレン製チューブにステンレス線をメュ
シュ状に編み込んだもの、及びステンレスチューブをヘ
リカルカットし、これを合成樹脂で包み込んだものなど
が知られている(特開平6−134034号公報、特開
平7−96037号公報等)。
複雑に曲がりくねった微細な血管や尿管に挿入し、目的
部位まで導入することが困難であると共に、柔軟性、し
なやかさ、こし、及び操作性などのカテーテルに要求さ
れる特性を総て備えたものではない。
併用し、カテーテル本体に要求される特性を補うと共
に、特に、カテーテルの先端部が血管や尿管内壁に与え
る損傷をできる限りなくし、かつ複雑に曲がりくねった
血管や尿管内を円滑に進行可能とすべく、可能な限り柔
軟で、かつ復元力に優れたものが望まれており、上記従
来のステンレス線等をカテーテルの中心に編み込んだ
り、ステンレスチューブにカットを入れたヘリカルカテ
ーテルでは、この先端部数mm〜数cmは誘導用の熱可
塑性ポリマーを主体としたチューブを取り付けることに
より形成されていた。
端に取り付けたカテーテルでは、先端部の熱可塑性樹脂
チューブとその後端に続く金属製のカテーテル本体との
境界部において段差が生じ、操作性、安全性が低下する
という問題があった。
ーブを有するカテーテルでは、先端部の熱可塑性樹脂チ
ューブと該熱可塑性樹脂チューブの後部に続く金属製の
カテーテル本体との境界部が、複雑に曲がりくねった血
管壁や尿管壁に当たると、柔軟な熱可塑性樹脂製の先端
部は急峻な血管や尿管の中に入ることができるが、次に
進んでくる金属製カテーテル本体との境界部が血管壁や
尿管壁に当たると、この境界部でカテーテルの先端部が
折れたり破損してしまい、痛みや違和感が生じたり、場
合によっては脆弱な血管や尿管内に傷害を与えてしまう
おそれがある。
は、図16に示したように、ステンレス、形状記憶合金
などの金属チューブaの先端部に全体として螺旋状又は
所定間隔で形成された環状をなし、ところどころが連結
部によって途切れた形状をなす溝bを形成し、金属チュ
ーブaの外周には樹脂膜又は樹脂チューブcを被覆した
先端部における柔軟性に優れた医療用チューブが提案さ
れている。
は、図17に示したように、金属チューブaの先端部を
基部に比べて薄肉に形成すると共に、先端部に連結した
螺旋状の溝b又は全体として螺旋状又は所定間隔で配列
された環状をなし、ところどころが連結部によって途切
れた形状をなす溝bを形成し、この金属チューブaの外
周を樹脂チューブ又は樹脂被膜cで被覆した基部側では
適度な剛性を有し、先端部では柔軟性に優れた医療用チ
ューブが提案されている。
28号公報及び特開平8−308933号公報記載の医
療用チューブによれば、径方向乃至は螺旋状の溝により
先端部にある程度の柔軟性は付与されるが、必ずしも十
分なものではなく、複雑に曲りくねった血管や尿管等に
用いると先端部が折れたり、破損してしまう場合がある
と共に、溝の隙間により外周樹脂チューブ又は樹脂被膜
を咬んでしまうおそれがある。特に、特開平8−308
933号公報のように金属チューブの先端部を薄肉に形
成すると更に折れ易くなってしまい、いずれにしても安
全性、操作性の点で十分満足し得るものではなかった。
で、カテーテル本体にカット部を設けて先端から基端ま
でを一体に形成することにより誘導用の熱可塑性樹脂チ
ューブが不要となり、段差がなく、しかも折れにくく、
操作性及び安全性に優れると共に、カテーテル径を目的
部位の太さに合せて容易に調整し得る高い製造コストパ
フォーマンスを備えたカテーテルを提供することを目的
とする。
成するため、下記カテーテルを提供する。 請求項1:カテーテル本体と、このカテーテル本体の外
周面を被覆する外側ポリマー層とを有するカテーテルに
おいて、上記カテーテル本体の先端から軸方向に沿って
少なくとも1箇所のカット部を設けたことを特徴とする
カテーテル。 請求項2:上記カット部の隙間を狭めてカテーテル本体
を先端に向って細径に形成した請求項1記載のカテーテ
ル。 請求項3:上記カテーテル本体に設けたカット部の側面
形状が略長方形乃至楔形である請求項1又は2記載のカ
テーテル。 請求項4:上記カット部形成箇所の軸方向長さがカテー
テル本体の先端から2cm以上である請求項1,2又は
3記載のカテーテル。 請求項5:カテーテル本体の先端部及び該先端部に続く
中間部にカット部を形成すると共に、上記先端部に中間
部より多くのカット部を設けた請求項1乃至4のいずれ
か1項記載のカテーテル。 請求項6:カテーテル本体の少なくともカット部形成箇
所の内周面を被覆して内側ポリマー層を形成した請求項
1乃至5のいずれか1項記載のカテーテル。 請求項7:カテーテル本体の少なくともカット部形成箇
所を外側から金属線、有機質線及び無機質線から選ばれ
る線状弾性材料でコイル状に巻くか又はメッシュ状に編
むか或いは両者を組み合わせて補強した請求項1乃至6
のいずれか1項記載のカテーテル。 請求項8:カテーテル本体の少なくとも先端側が、少な
くとも生体温度において形状記憶性を有すると共に、超
弾性又は擬弾性を有さない形状記憶性合金にて形成され
た請求項1乃至7のいずれか1項記載のカテーテル。 請求項9:カテーテル本体の少なくとも先端側を生体温
度で変形させたとき、復元するのに0.3秒以上要する
請求項8記載のカテーテル。 請求項10:カテーテル本体の少なくとも先端側を、外
径875μm、内径750μmの管体を用いて三点曲げ
試験を行った場合の降伏荷重が8.8N以下、回復荷重
が2.9N以下、残留歪みが0.2mm以上である金属
材料により形成した請求項8記載のカテーテル。
カテーテル本体の外周面を被覆する外側ポリマー層とを
有するカテーテルにおいて、上記カテーテル本体の先端
から軸方向に沿って少なくとも1箇所のカット部を設け
ること、好ましくはカット部の隙間を狭めてカテーテル
本体を先端部に向って細径、特に漸次細径になるように
形成したことにより、カテーテル本体を先端から基端ま
で一体に形成し得、従来の先端部をテーパー状(薄肉)
として細径にしたカテーテルに比べて極めて折れにく
く、またカテーテルの先端部に誘導用の熱可塑性チュー
ブを取り付けていないので境界部に段差が生じたり、操
作中に折れたり破損したりすることが可及的に防止でき
ると共に、カテーテル本体に設けられたカット部の隙間
は狭められて(ほぼ閉じられている)いるので、従来の
径方向乃至は螺旋状に溝を設けたカテーテルのように内
外層を被覆するポリマーが溝に咬合してしまうという問
題もなく、操作性及び安全性に優れたカテーテルが得ら
れるものである。
テル本体の先端から軸方向に沿って少なくとも1箇所の
カット部を設けると共に、該カット部の隙間を狭めて細
径にすることにより、従来は作成することが極めて困難
であった先端部(先端から2cm以上)が超細径のカテ
ーテル本体(例えば内径200μm,外径300μmの
カテーテル本体、内径100μm,外径200μmのカ
テーテル本体など)を作成することが可能となるもので
ある。
テル本体の先端から軸方向に沿って少なくとも1箇所の
カット部を設けると共に、このカット部の隙間を狭めて
カテーテル本体を先端に向って細径に形成することによ
り、1種又は2種の基本的なカテーテル本体(例えば外
径800μm,内径650μmのカテーテル本体、外径
600μm,内径500μmのカテーテル本体など)を
作成しておくだけで、目的部位の内径に対応した複数種
類の径を有するカテーテルに自由に作り変えることがで
きると共に、カテーテルの基端部の径は共通なのでカテ
ーテルの基端部に取り付けるハブの種類をカテーテル径
に合せて複数種類作成する必要がなくなり、製造コスト
パフォーマンスが飛躍的に向上するものである。
ら基端部まで均一な太さであることは必ずしも要求され
ておらず、目的とする内径を有する先端部の長さが一定
以上あれば、基端部の太さと異なっていても問題はな
く、血管や尿管等の内径は千差万別であり、また、通常
血管等は深部に行くに従って次第に細くなるものである
ことからも、先端部に向って細径、好ましくは漸次細径
となる本発明のカテーテルは好適なものである。
ット部の形成に加えて、カテーテル本体の少なくとも先
端側が、少なくとも生体温度において形状記憶性を有
し、かつ超弾性又は擬弾性を有さない形状記憶性金属に
て形成することにより、更に倍増され、これらが相俟っ
て、血管、尿管、膵胆管等の検査や治療等に最適な医用
カテーテルが得られることを知見した。
ル本体に用いられる形状記憶合金、例えばNi−Ti合
金は熱弾性マルテンサイト変態の逆変態に付随して、超
弾性効果(擬弾性効果ともいう)と形状記憶効果という
2つの性質を有することが知られている。この形状記憶
効果とは、Ni−Ti合金が見かけ上の塑性変形を受け
た場合、いわゆる逆変態温度にこの合金を加熱すると初
期の形状に復帰する性質のことである。一方、超弾性効
果乃至は擬弾性効果とは、逆変態温度以上の温度におい
てNi−Ti合金に応力負荷をかけて、見かけ上の塑性
変形を与える場合、応力除去と同時に合金の形状は完全
に復元する性質のことである。
つの性質のうち、血管等の脆弱かつ曲がりくねった部位
に挿入するカテーテルにおいては、生体温度で形状記憶
効果を有することは極めて有利であるが、生体温度で超
弾性効果を有することは却って不利に働くことを知見し
た。
内等にカテーテルを挿入する場合、上記2つの性質を有
した形状記憶合金管からなるカテーテル本体を用いる
と、複雑に曲がりくねった血管壁等に先端部が当たった
場合、変形して先端部が急峻な血管等の中に入ることが
できたとしても、超弾性効果による強い復元力を有して
いるため、その急激な復元力で血管等に強い力が加わ
り、血管や尿管損傷(例えば、血管や尿管破裂,穿孔,
解離等)を起こすおそれがある。
結果、形状記憶合金製のカテーテル本体の少なくとも先
端側を熱処理等することにより形状記憶合金の生体温度
における超弾性効果乃至擬弾性効果を喪失させること
で、血管内等である程度の応力をカテーテルに加えた場
合、簡単につぶれるか、折れ曲がってしまうと共に、直
ちに復元力が作用しないので血管壁等を傷付けるおそれ
が低下すること、しかも、形状記憶合金の形状記憶効果
はそのまま十分残っている(形状記憶性合金)ので、た
とえ血管内や尿管内等で無理な力が加わってカテーテル
がつぶれたり折れたりしても、自然な状態で徐々に元の
形状に復元することを知見した。
存在領域は必ずしも一致せず、生体温度において(A)
超弾性効果を示す設定温度と、生体温度において(B)
形状記憶効果を示す設定温度は異なる。仮に、(A)超
弾性効果を示す設定温度を90℃にすると、37℃付近
では軟らかい状態となり、かつ形状記憶効果を発現する
ように熱処理条件を設定するものである。もし、(A)
超弾性効果を示す設定温度を37℃付近とすると、
(B)形状記憶効果を示す設定温度はこれより低くな
り、本発明の目的にそぐわない。またこの場合、(A)
超弾性効果を示す設定温度と(B)形状記憶効果を示す
設定温度との間には、超弾性効果を示し且つ形状記憶効
果も示す領域が存在する。カテーテル本体を生体温度で
変形させた場合、その変形力を解除すると、元の形状に
復元するが、この復元力が超弾性効果であるか、形状記
憶効果で復元したかについては、0.3秒未満で瞬時に
復元した場合は超弾性効果が強く作用しているとみられ
るものであり、実際、0.3秒未満で瞬時に復元する場
合、本発明者の知見によると、強い弾性によってカテー
テル操作時に血管内や尿管内を傷付けてしまうおそれが
多分にある。
弾性乃至擬弾性を有さない”とは、超弾性を示す設定温
度、及び超弾性効果を示し且つ形状記憶効果を示す領域
が生体温度より高い温度域にあり、図1(A)に示した
ように、一端を固定したカテーテル本体1の少なくとも
先端側(少なくとも先端から5mmまでの部分、特に先
端から15cmまでの部分)を生体温度(通常36〜3
7℃付近、好ましくは33〜42℃の範囲)において角
度α=30〜90度、好ましくは45〜90度に変形し
たとき(図1(B))、その変形力を解除した場合(或
いはカテーテルの操作中に手を離した場合)、超弾性乃
至擬弾性により戻るのではなく、形状記憶性で緩やかに
(徐々に)戻る(図1(C))ものであり、この復元力
を時間で表すと0.3秒以上、好ましくは0.5秒以
上、より好ましくは1秒以上、更に好ましくは1.5秒
以上、最も好ましくは2秒以上要することを意味する。
間で規定する以外の別の角度から更に鋭意検討した結
果、“生体温度で超弾性乃至擬弾性を有さない”ことに
ついて所定の三点曲げ試験における降伏荷重、回復荷重
及び残留歪みによっても説明できることを知見した。
形状記憶効果とを有する又は形状記憶効果のみを有する
外径875μm、内径750μmの金属管体Tを治具に
支点a〜支点dでセットし、下記測定条件にしたがっ
て、図3に示した各測定部位の1mm変位時の降伏荷
重、回復荷重、荷重解放後の残留変位量から残留歪みを
求めた結果、降伏荷重と回復荷重と残留歪みとの間に
は、図4〜6に示す関係が認められる。
伏荷重が約5.9N以上においてほぼ比例関係を示し、
図5から降伏荷重と残留歪みとは降伏荷重が8.8N以
下においてほぼ逆比例関係を示すこと、つまり、降伏荷
重が大きいほど、回復荷重が大きくなり、残留歪みが小
さくなること、また、降伏荷重が8.8N以下、回復荷
重が2.9N以下、残留歪みが0.2mm以上の場合、
変形させた状態を保ち得、変位時に強い戻りが生じるこ
とを防止できること、つまり超弾性乃至擬弾性効果が生
じないことを知見した。
テル本体の先端側(少なくとも先端から5mmまでの部
分、特に先端から15cmまでの部分)の三点曲げ試験
における降伏荷重、回復荷重、及び残留歪みが上記範囲
を外れる場合には超弾性乃至擬弾性効果が強く作用し、
その強い弾性によってカテーテル操作時に血管内や尿管
内を傷付けてしまうおそれが多分にあることが認められ
る。
性乃至擬弾性を有さない”とは、超弾性を示す設定温
度、及び超弾性効果を示し且つ形状記憶効果を示す領域
が生体温度より高い温度域にあり、カテーテル本体の少
なくとも先端側(少なくとも先端から5mmまでの部
分、特に先端から15cmまでの部分)を、少なくとも
生体温度において変形したとき、その変形力を解除した
場合(或いはカテーテルの操作中に手を離した場合)、
回復に0.3秒以上、好ましくは0.5秒、より好まし
くは1秒以上、更に好ましくは1.5秒以上、最も好ま
しくは2秒以上要することを意味する。この場合、更に
カテーテル本体の少なくとも先端側を、上述したよう
に、外径875μm、内径750μmの管体を用いて三
点曲げ試験を行った場合の降伏荷重が8.8N以下、回
復荷重が2.9N以下、残留歪みが0.2mm以上であ
る金属材料で形成することが好ましい。
おける降伏荷重、回復荷重、及び残留歪みの好適範囲
は、カテーテル本体の内径、外径などにより異なり、以
下に示す範囲であることが好ましい。
上、外径が950μm以上である場合> (i)降伏荷重が10.8N以下、好ましくは7.4N
以下、より好ましくは6.4N以下、更に好ましくは
5.4N以下、最も好ましくは4.4N以下であること
が好ましい。 (ii)回復荷重が3.9N以下、好ましくは2.9N
以下、より好ましくは2.0N以下、更に好ましくは
1.0N以下であることが好ましい。 (iii)残留歪みが0.2mm以上、好ましくは0.
5mm以上、より好ましくは0.9mm以上、更に好ま
しくは1.2mm以上であることが好ましい。
μm、外径が700〜950μmである場合> (i)降伏荷重が8.8N以下、好ましくは6.4N以
下、より好ましくは5.4N以下、更に好ましく4.4
N以下、最も好ましくは2.9N以下であり、この場
合、下限値は特に制限されないが、0.1N以上である
ことが好ましい。 (ii)回復荷重が2.9N以下、好ましくは1N以
下、より好ましくは0.5N以下であり、この場合、下
限値は特に制限されないが、0Nであることが好まし
い。 (iii)残留歪みが0.2mm以上、好ましくは0.
5mm以上、より好ましくは0.9mm以上、更に好ま
しくは1.2mm以上であり、この場合、上限値は特に
制限されないが、1.8mm以下であることが好まし
い。
600μm未満、外径が350μm以上700μm未満
である場合> (i)降伏荷重が6.9N以下、好ましくは4.9N以
下、より好ましくは3.9N以下、更に好ましくは2.
9N以下、最も好ましくは2N以下であり、この場合、
下限値は特に制限されないが、0.1N以上であること
が好ましい。 (ii)回復荷重が2N以下、好ましくは1N以下、よ
り好ましくは0.5N以下、最も好ましくは0.1N以
下であることが好ましい。 (iii)残留歪みが0.2mm以上、好ましくは0.
5mm以上、より好ましくは0.9mm以上、更に好ま
しくは1.2mm以上であることが好ましい。
満、外径が350μm未満である場合> (i)降伏荷重が2N以下、好ましくは1N以下、より
好ましくは0.9N以下であることが好ましい。 (ii)回復荷重が1N以下、好ましくは0.6N以
下、より好ましくは0.1N以下であることが好まし
い。 (iii)残留歪みが0.2mm以上、好ましくは0.
5mm以上、より好ましくは0.9mm以上、更に好ま
しくは1.2mm以上であることが好ましい。
も生体温度において、本質的に形状記憶効果で元に戻る
ものであり、超弾性乃至擬弾性効果を出す前の温度で形
状記憶効果を発現させるものである。これに対し、従来
の超弾性金属管或いは形状記憶合金管のカテーテル本体
においては、変形後の復元力が0.3秒未満であり、か
つ降伏荷重がかなり大きく(即ち、回復荷重が大き
い)、超弾性乃至擬弾性効果で瞬時に復元するものであ
り、本発明のカテーテル本体は、従来のこの種のカテー
テルの超弾性乃至擬弾性効果を奏しないものである。
テーテル本体の先端から軸方向に沿って少なくとも1個
のカット部を設けると共に、カテーテル本体の少なくと
も先端側が形状記憶効果を有しながら、超弾性効果乃至
擬弾性効果をなくすこと、即ち、カテーテル本体の少な
くとも先端側を生体温度で変形したとき、復元するのに
0.3秒以上要すること、特にカテーテル本体の少なく
とも先端側を外径875μm、内径750μmの管体を
用いて三点曲げ試験を行った場合の降伏荷重が8.8N
以下、回復荷重が2.9N以下、残留歪みが0.2mm
以上である金属材料を用いることにより、複雑に曲りく
ねった微細な血管や尿管等であっても円滑に目的部位ま
で導入でき、従来のカテーテルに比べて血管や尿管損傷
を与えるおそれが極めて小さく、違和感、痛みを可及的
に防止できると共に、カテーテルの先端部(先端から2
cm以上)を目的部位の内径に応じて自由に細径に調整
し得るものである。
体の先端から軸方向に沿って少なくとも1箇所のカット
部を設け、このカット部の隙間を狭めることにより、今
までにはない超細径のカテーテル本体(例えば内径20
0μm,外径300μmのカテーテル本体、内径100
μm,外径200μmのカテーテル本体など)を作成す
ることができる。また、1種又は2種の基本的なカテー
テル本体(例えば外径800μm,内径650μmのカ
テーテル本体、外径600μm,内径500μmのカテ
ーテル本体など)を作成しておくだけで、血管等の目的
部位の内径に対応した複数種類の径を有するカテーテル
に自由に作り変えることができると共に、カテーテルの
基端部に取り付けるハブの種類をカテーテル径に合せて
複数種類作成する必要がなくなり、製造コストパフォー
マンスが飛躍的に向上するものである。
本体の先端から基端まで一体に形成されているので、従
来の熱可塑性チューブを先端に取り付けたカテーテルの
ように境界部で段差が生じることがないものであると共
に、特開平8−257128号公報及び特開平8−30
8933号公報記載のカテーテルのように径方向乃至は
螺旋状に溝を設けた先端部が折れやすかったり、この溝
で内外層ポリマーを咬んでしまうという欠点がなく、安
全性及び操作性に優れた医用カテーテルが得られるもの
である。
面を参照して更に詳しく説明する。本発明のカテーテル
Kは、図7に示したように、カテーテル本体1の外周面
に外側ポリマー層2を被覆形成すると共に、カテーテル
本体1の先端から軸方向に沿って少なくとも1箇所のカ
ット部3を設けたものである。この場合、カテーテル本
体1の肉厚は、カテーテル本体の先端部から基端部にか
けて均一な20〜200μm程度であることが好まし
い。これは、カテーテル本体にカット部を設けたことに
よる折れ易さを防止するためである。
端から軸方向に沿って少なくとも1箇所、好ましくは2
箇所以上、より好ましくは2〜8箇所形成する。カット
部3を2箇所以上形成する場合には、図9に示したよう
に、径方向に対称となる位置にカット部3を設けること
が好ましい。なお、図8,9ではカット部3をカテーテ
ル本体1に4箇所設けた場合を示している。
ように、その側面形状が略長方形乃至楔形であることが
好ましい。即ち、カテーテル本体の先端側から基端側に
向けて隙間間隔が漸次狭くなるようにカット部3を形成
することが好ましく、このカット部の隙間を狭めること
により、基端側から先端に向けて漸次細径に形成された
カテーテルが得られる。なお、場合によっては、カテー
テル本体に設けたカット部の間隔を狭めることなくその
ままの状態でポリマー層を被覆することによりカテーテ
ルに柔軟性を付与するように形成することもできる。
成箇所の長さ)L1はカテーテル本体1の先端から2c
m以上、好ましくは5cm以上、より好ましくは10c
m以上、更に好ましくは20cm以上、最も好ましくは
40cm以上であり、最大でも100cm以下であるこ
とが好ましい。なお、カット部3の幅L2はカット部の
形状及び個数、カテーテルの内径、調整後のカテーテル
内径等により異なり一概には規定できないが、カテーテ
ル先端で通常10〜1500μm程度である。
体の先端部に、該先端部に続く中間部より多くのカット
部を設けることが好ましい。例えば、図11に示したカ
テーテルは、カテーテル本体の先端部に中間部より1箇
所以上、好ましくは2箇所以上多くのカット部を設ける
と共に、これら先端部及び中間部に設けたカット部の間
隔を狭めて先端に向かって2段階に細径となるように形
成したものである。なお、図11では、カテーテル本体
の先端から15cm未満の部分(先端部)にカット部を
4箇所、15cm以上の部分(中間部)にカット部を2
箇所設けている。この場合、カテーテル本体の先端部と
はカテーテル本体の先端から15cm未満の部分をい
い、中間部とはカテーテル本体の先端から15cm以上
の部分をいい、カテーテル本体の先端部にはカット部を
2箇所以上、好ましくは4箇所以上、より好ましくは4
〜8箇所設けると共に、中間部にはカット部を1箇所以
上、好ましくは2箇所以上、より好ましくは2〜4箇所
設けることが好ましい。
テーテル本体の中間部より多くのカット部を設け、これ
ら先端部及び中間部のカット部の間隔を狭めて先端に向
かって2段階に細径となるように形成したカテーテルに
よれば、更にカテーテルの先端部を細径に調整すること
ができ、微細な血管や尿管等の内径に対応した太さのカ
テーテルを作成することができるものである。なお、カ
テーテル本体の先端から10cm未満、10cm以上2
0cm未満、20cm以上30cm未満の3段階に分
け、カット部の数を先端に行くほど減らして3段階に太
さの変わるカテーテルを作成することもできる。
限されず、例えば金属製のカテーテル本体の場合には、
エッチングによる方法、放電加工、電子ビーム加工、レ
ーザー加工、切削加工等の機械加工及びこれらを組み合
わせた方法などにより形成することができる。また樹脂
製のカテーテル本体の場合には、金型による一体成形、
切削加工等の機械加工及びこれらを組み合わせた方法に
より形成することができる。
に、予め、カット部を形成可能な断片状部材4を作成し
ておき、これら断片状部材4をカテーテル本体1の先端
に溶接、接着等の方法で貼り付けることによりカット部
3を形成することもできる。また、図13に示したよう
に、カテーテル本体1の先端周囲にワイヤー状部材5を
張り巡らせることにより、カット部3を形成することも
できる。
ルは、例えば図14(A)〜(C)に示したように、カ
ット部3を形成したカテーテル本体1の内腔に、目的と
するカテーテル内径と同じ外径を有するガイドチューブ
又はガイド棒6を挿入し(図14(A)参照)、このガ
イドチューブ又はガイド棒6に合せてカテーテル本体1
のカット部3の隙間を狭めて(図14(B)中矢印方
向)、カテーテル本体1を先端部に向って漸次細径とな
るように形成する。その後、図14(C)に示したよう
に、カテーテル本体1の外周面に外側ポリマー層2を被
覆することにより、先端部(先端から少なくとも2cm
以上)が目的とする内径を有するカテーテルを作成する
ことができる。
本体の内周面、特にカット部形成箇所の内周面には、ポ
リウレタン系、ナイロン系、ポリオレフィン系等の熱可
塑性樹脂を塗布又は内側ポリマー管を内挿して内側ポリ
マー層を形成することが好ましいが、カット部の長さが
短い場合などには、カテーテル本体の内周面を研磨処理
するだけでも構わない。
くともカット部形成箇所を外側から金属線、有機質線及
び無機質線から選ばれる線状弾性材料でコイル状に巻く
か又はメッシュ状に編むか或いは両者を組み合わせてカ
ット部を設けることが,先端部を補強すると共に、先端
部に柔軟性を付与して折れを防止する点から好ましい。
例えば、図15に示したように、カット部を設けて先端
部に向って細径となるように形成したカテーテル本体1
のカット部形成箇所を外側から金属線、有機質線及び無
機質線から選ばれる線状弾性材料7でコイル状に巻くこ
とにより先端部を補強し、柔軟性を付与することができ
る。
から選ばれる線状弾性材料としては、プラチナコイル、
ステンレスコイル、タングステンコイル等の金属線、ポ
リスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポ
リウレタン系等の各種熱可塑性エラストマー等を線状に
形成したもの、特にナイロン6、芳香族ポリエステル
(商品名:ベクトラン、クラレ社製)、アラミド(商品
名:ケブラー、デュポン社製)などを線状に形成したも
のが好ましい。更に、牛の腱等から抽出したコラーゲン
等の繊維状蛋白質、カーボンファイバー、グラスファイ
バー、その他の無機質線などを用いることができる。
とにより、1種又は2種の基本的な内径(例えば内径4
00μm,500μm,600μmなど)を有するカテ
ーテル本体を作成しておくだけで、目的部位の内径に対
応した複数種類のカテーテル本体に自由に作り変えるこ
とができる。例えば、300μm、400μm、500
μmの3種類の内径を有するカテーテル本体を作成する
場合、まず、内径500μmのカテーテル本体を作成し
ておき、このカテーテル本体にカット部を形成し、カッ
ト部の隙間を狭めることにより先端部の内径が400μ
m又は300μmのカテーテル本体に調整することがで
きると共に、カテーテルの基端部に取り付けるハブにつ
いても基本的な1種又は2種の内径を有するものでハブ
を作成しておけば、カテーテル径に合せて複数種類作成
する必要がなくなり、従来に比べて製造コストパフォー
マンスが飛躍的に向上するものである。
が極めて困難であった先端部(先端から2cm以上)が
超細径のカテーテル本体(例えば内径200μm,外径
300μmのカテーテル本体、内径100μm,外径2
00μmのカテーテル本体など)を作成することが可能
となるものである。
材料としては、上述したように、カテーテル本体の軸方
向に沿ってカット部を形成することができるものであれ
ば特に制限されず、従来からカテーテル本体を形成する
のに用いられているポリスチレン系、ポリオレフィン
系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の可撓性のある
樹脂製チューブ、ステンレス、形状記憶合金等の金属管
などを用いることができる。
れた柔軟性を付与し、更に操作性、安全性を高めるため
には、カテーテル本体の少なくとも先端側を、少なくと
も生体温度(通常36〜37℃付近、好ましくは33〜
42℃の範囲)において形状記憶性を有するが、超弾性
乃至擬弾性を有さない形状記憶性金属にて形成したもの
を用いることが好ましい。
温度で超弾性乃至擬弾性を有さない”とは、図1(A)
〜(C)に示したように、生体温度(通常36〜37℃
付近、好ましくは33〜42℃の範囲)においてカテー
テル本体1の少なくとも先端側(少なくとも先端から5
mmまでの部分、特に先端から15cmまでの部分)を
角度α=30〜90度、好ましくは45〜90度に変形
し、この変形力を解除した場合、元の形状に復元するの
に0.3秒以上、好ましくは0.5秒以上、より好まし
くは1秒以上、更に好ましくは1.5秒以上、最も好ま
しくは2秒以上要するものであると共に、三点曲げ試験
における降伏荷重、回復荷重及び残留歪みによっても表
わすことができる。
は、図2に示したように管体Tを支点a〜dでセット
し、所定の測定条件で1mm変位時の降伏荷重、回復荷
重を測定し、荷重解放後の残留変位量から残留歪みを求
めるものである。
も先端側(少なくとも先端から5mmまでの部分)を、
外径875μm、内径750μmの管体を用いて三点曲
げ試験を行った場合の降伏荷重が8.8N以下、回復荷
重が2.9N以下、残留歪みが0.2mm以上である金
属材料を用いることが好ましい。
おける降伏荷重、回復荷重及び残留歪みの好適範囲は、
カテーテル本体の内径、外径に応じて異なり、以下に示
す範囲であることが好ましい。
上、外径が950μm以上である場合> (i)降伏荷重が10.8N以下、好ましくは7.4N
以下、より好ましくは6.4N以下、更に好ましくは
5.4N以下、最も好ましくは4.4N以下であること
が好ましい。 (ii)回復荷重が3.9N以下、好ましくは2.9N
以下、より好ましくは2.0N以下、更に好ましくは
1.0N以下であることが好ましい。 (iii)残留歪みが0.2mm以上、好ましくは0.
5mm以上、より好ましくは0.9mm以上、更に好ま
しくは1.2mm以上であることが好ましい。
μm、外径が700〜950μmである場合> (i)降伏荷重が8.8N以下、好ましくは6.4N以
下、より好ましくは5.4N以下、更に好ましく4.4
N以下、最も好ましくは2.9N以下であり、この場
合、下限値は特に制限されないが、0.1N以上である
ことが好ましい。 (ii)回復荷重が2.9N以下、好ましくは1N以
下、より好ましくは0.5N以下であり、この場合、下
限値は特に制限されないが、0Nであることが好まし
い。 (iii)残留歪みが0.2mm以上、好ましくは0.
5mm以上、より好ましくは0.9mm以上、更に好ま
しくは1.2mm以上であり、この場合、上限値は特に
制限されないが、1.8mm以下であることが好まし
い。
600μm未満、外径が350μm以上700μm未満
である場合> (i)降伏荷重が6.9N以下、好ましくは4.9N以
下、より好ましくは3.9N以下、更に好ましくは2.
9N以下、最も好ましくは2N以下であり、この場合、
下限値は特に制限されないが、0.1N以上であること
が好ましい。 (ii)回復荷重が2N以下、好ましくは1N以下、よ
り好ましくは0.5N以下、最も好ましくは0.1N以
下であることが好ましい。 (iii)残留歪みが0.2mm以上、好ましくは0.
5mm以上、より好ましくは0.9mm以上、更に好ま
しくは1.2mm以上であることが好ましい。
満、外径が350μm未満である場合> (i)降伏荷重が2N以下、好ましくは1N以下、より
好ましくは0.9N以下であることが好ましい。 (ii)回復荷重が1N以下、好ましくは0.6N以
下、より好ましくは0.1N以下であることが好まし
い。 (iii)残留歪みが0.2mm以上、好ましくは0.
5mm以上、より好ましくは0.9mm以上、更に好ま
しくは1.2mm以上であることが好ましい。
荷重、回復荷重及び残留歪みが上記範囲を下回るとカテ
ーテル本体の先端側が柔らかくなりすぎると共に、カテ
ーテル本体の基端側の剛(強)性が弱くなり、操作性に
問題が生じる場合がある。一方、降伏荷重、回復荷重及
び残留歪みが上記範囲を上回るとカテーテル本体の先端
側の回復力が強すぎ、血管や尿管などの損傷を生じた
り、基端側の剛(強)性が強くなりすぎ、操作性に問題
が生じる場合がある。
も基端から5mmまでの部分)を外径875μm、内径
750μmの管体を用いて三点曲げ試験を行った場合の
降伏荷重は8.9N以上、回復荷重は3.0N以上、残
留歪みは0.2mm未満であり、十分な剛性を有するも
のである。この場合、カテーテル本体の先端側と基端側
との間の降伏荷重、回復荷重及び残留歪みは操作性など
に応じて適宜設定することができる。
全体を上記形状記憶性金属にて形成してもよく、カテー
テル本体の先端側のみを上記形状記憶性金属にて形成
し、残りの部分を少なくとも生体温度において形状記憶
性を有すると共に、超弾性乃至擬弾性を有する形状記憶
合金などにて形成することができる。
部形成箇所の長さに対応させ、少なくともカテーテル本
体の先端から2cm以上の部分、好ましくは約5cmま
での部分、より好ましくは10cm以上、更に好ましく
は20cm以上までの部分とすることが、本発明の目的
をより効果的に達成する点から推奨される。
なくとも生体温度において形状記憶性を有し、かつ超弾
性乃至擬弾性を喪失させた形状記憶合金、特にNi−T
i系、Fe系、Cu系などの形状記憶合金にて形成する
ことができる。具体的にこのような形状記憶合金として
は、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−T
i−Fe合金、Ni−Ti−Mn合金、Ni−Ti−C
r合金、Ni−Ti−V合金、Ni−Ti−Al合金、
Ni−Ti−Nb合金、Cu−Zn系合金、Cu−Zn
−Be合金、Cu−Zn−Si合金、Cu−Zn−Sn
合金、Cu−Zn−Ga合金、Cu−Al−Ni系合
金、Cu−Al−Zn系合金などが挙げられ、用途、形
状記憶性等の程度などに応じて合金濃度を変えて用いる
ことができる。中でもNi濃度が49〜58原子%、好
ましくは50〜51原子%、より好ましくは50.3〜
50.7原子%のNi−Ti合金が好ましい。
憶合金管は、所定の太さの形状記憶合金製管体を通常の
冷間加工を施し(例えば、冷間加工率30〜50%)、
常法に従って延伸することによって形成することができ
るものであり、その後、形状記憶合金の種類、或いはN
i−Ti合金の場合、Ni濃度によっても相違し、一義
的に決定できないが、好ましくは350〜700℃の温
度で1分〜数十時間加熱を行うことが好ましく、これに
より強靭でしなやかさを与えることができる。
も先端側)の形状記憶性を残し、超弾性乃至擬弾性を喪
失させるためには更に熱処理を与えることが好ましい。
この場合、熱処理条件は適宜選定され、形状記憶合金の
種類によっても相違し、限定されるものではなく、Ni
−Ti合金の場合も上記のようにNi濃度によって異な
るが、アルゴンガス等の不活性雰囲気中で350℃以
上、特に450℃以上で1分〜数十時間程度加熱する方
法を採用することができ、場合によってはアルゴンガス
等の不活性雰囲気中で500℃以上で10時間以上加熱
することもできる。
示したように、その先端側が上記形状記憶性金属よりな
るカテーテル本体1の外周面を被覆して外側ポリマー層
2を形成したものである。なお、図示を省略している
が、カテーテル本体1の内周面には内側ポリマー層を形
成することができる。また更に、外側ポリマー層2(最
外層)上、及び内側ポリマー層(最内層)上には、操作
性を増し、表面に耐久性の高くかつ良好な抗血栓性と水
中潤滑性とぬめり性とを与えるポリウレタン系、ナイロ
ン系、ポリオレフィン系等の親水性ポリマーをコーティ
ングすることができる。
構成する樹脂としては、特に制限されず、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体等のポリ
オレフィン系ポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタ
クリレート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン等のフ
ッ素樹脂、セルロース、ポリカーボネート、シリコー
ン、天然ゴムラテックス、その他のゴム等のガス滅菌以
外にも電子線やγ線といった放射線電子滅菌に耐えられ
るポリマーなどが挙げられる。
5〜300μm、特に10〜200μm程度とすること
ができ、外側ポリマー層2の厚みは1〜300μm、好
ましくは20〜300μm、特に50〜150μmとす
ることができる。内側ポリマー層の厚みは内側ポリマー
管を内挿することにより内側ポリマー層を形成する場合
には10〜100μmであり、カテーテル本体の内周面
に熱可塑性樹脂ポリマーを塗布して内側ポリマー層を形
成する場合は0.2〜30μm程度とすることができ
る。
び外側ポリマー層を形成する熱可塑性樹脂には、X線造
影剤を含有させることができる。この場合、X線造影剤
としては公知のものを使用することができるが、本発明
においては、タングステン粉末が好ましい。また、X線
造影剤の含有量は20〜69質量%程度とすることがで
きる。
どに応じて適宜選定することができる。
温度で曲率半径(R)0〜200mm程度の範囲で湾曲
するように形状記憶させることができ、また、0〜12
0°、特に30〜90°屈曲するように形状記憶させる
ことができる。なお、曲率半径(R)0mmとは、湾曲
させないストレートな状態を指し、これは使用目的によ
っては必要となるものである。このようにカテーテルを
形状記憶させることにより、曲がりくねった急峻な血管
や尿管内等によりスムーズに、より容易に導くことがで
きる。
性)を与えることにより、誘導用のガイドワイヤーを不
要とすることができる。また、カテーテル先端部にカッ
ト部を設けることによりカテーテル径を目的部位に応じ
て極めて細く形成できると共に、少なくともカテーテル
本体の先端部が、少なくとも生体温度において超弾性効
果乃至擬弾性効果をなくしているので、血管内等で一定
の応力がカテーテルに加わると、簡単につぶれるか、折
れ曲がり、また元に戻る力が小さいために血管壁等を傷
付けることがないものであるが、形状記憶効果はそのま
ま十分有しているので、その後、徐々に元の形状に復元
することができ、従来に比べて操作性、安全性が飛躍的
に向上したものである。
管造影等の検査や、脳、心臓、腹部等の血管狭窄等の治
療、尿管、尿道等尿路系の結石治療、更には膵胆管の検
査やERCPの治療、異物除去回収などに通常のカテー
テルと同様に用いることができる。具体的には、通常の
方法によって、カテーテルの先端部を生体内の目的部位
まで挿入し、局所的に血管造影剤や塞栓物質等の各種薬
剤などを注入したり、その先端部に膨張及び収縮可能な
バルーンを取り付けて種々の血管、尿管、及び膵胆管の
治療などに用いることができる。
面に親水性ポリマーをコーティングしたものは抗血栓
性、表面のすべり性に優れ、現場において必要とされる
操作性を総て兼ね備えたものである。
本体の先端から軸方向に沿って少なくとも1箇所のカッ
ト部を設けることによりカテーテル径をある程度の太さ
の径のものから、細径のものまでに幅広く自由に作成し
得るものであり、特に今までには困難であった超細径の
カテーテル本体(例えば内径200μm,外径300μ
mのカテーテル本体、内径100μm,外径200μm
のカテーテル本体など)を作成することできるので、心
臓、脳、腹部、尿路系などの曲がりくねった微細な血管
や尿管であっても、血管や尿管損傷を起こすことなく、
目的部位までスムーズかつ安全に挿入することができる
ものである。
のではないが、尿管結石などの破砕、補脱用の尿管カテ
ーテルや、異物の回収用のリトリーバー部材に用いるカ
テーテルや、内視鏡に関するカテーテル(血管内内視鏡
に用いるカテーテル)、脳、心臓、腹部等の血管造影等
の検査や、脳、心臓、腹部等の動脈瘤などの塞栓治療、
脳、心臓、腹部等の血管内手術用、更には経内視鏡的逆
行性膵胆管造影(ERCP)用及び治療用カテーテルに
好適なものである。
58原子%のNi−Ti合金製筒体に冷間加工を施し、
常法に従って延伸することにより、外径875μm、内
径750μm、厚さ約63μmのカテーテル本体を作成
した。このカテーテル本体を400℃において10〜3
0分間熱処理を行った。次に、カテーテル本体の先端か
ら30cmまでの先端側をアルゴンガス中で500℃に
おいて数時間熱処理し、更にカテーテル本体の先端から
12.5cmまでをアルゴンガス中で400℃において
24時間熱処理を行った。これによって、カテーテル本
体の基端側は比較的剛性を有し、しなやかさを有する一
方、カテーテル本体の先端側は先端に向かうに従って柔
軟性を持ち、生体温度において形状記憶性を有するが、
超弾性乃至擬弾性のないカテーテル本体を得た。
Ni−Ti合金製筒体に冷間加工を施し、常法に従って
延伸することにより、外径875μm、内径750μ
m、厚さ約63μmのカテーテル本体を作成した。この
カテーテル本体を400℃において10〜30分間熱処
理を行っただけの形状記憶性と超弾性乃至擬弾性を有す
るカテーテル本体を作成した(比較例1)。
本体について、図1に示したように、カテーテル本体の
先端から15cmまでの部分をゴム板上で支え、角度α
=90度に変形し、変形力を解除した場合、実施例のカ
テーテル本体は生体温度(通常36〜37℃付近、好ま
しくは33〜42℃の範囲)において約2秒で緩やかに
(徐々に)復元した。これに対して比較例1のカテーテ
ル本体は0.3秒未満で瞬時に復元した。また、下記三
点曲げ試験により降伏荷重、回復荷重及び残留歪みを測
定した。結果を表1に示す。
にセットし、各測定部位について下記測定条件で1mm
変位時の降伏荷重、回復荷重を測定し、荷重解放後の残
留変位量から残留歪みを求めた。
ーテル本体の先端から20cmまで達する側面形状が楔
形のカット部を4箇所形成し、図14(A)〜(C)に
示した方法により、内径600μm(実施例1)、内径
500μm(実施例2)のカテーテル本体を作成した。
なお、カテーテル本体の内周面には熱可塑性ポリマーを
塗布することにより、内側ポリマー層を形成した。
ク性)を効かせるため、カテーテルの先端部に半径
(R)約1mm(細動脈)から50mm程度(大動脈弓
部等)の丸みを与え、0〜120°、特に30〜90°
の範囲で形状記憶させた。また、目的に応じ、先端部に
丸みをつけないカテーテルも作成した(実施例3)。
管内にカテーテルをスムーズに誘導できる。またカテー
テル本体がしなやかであり、柔軟性が高く、しかも実施
例3のカテーテルはその先端部1〜50mm程度までが
目的の血管にカテーテルが入った後、スムーズに挿入で
きるように角度が形成されているので、血管内に損傷を
与えることがないものである。更に、これらカテーテル
本体の先端側は、超弾性乃至擬弾性がなく、この点から
も血管の損傷を極力抑えることができるものである。な
お、上記カテーテル本体の先端側は、折曲乃至屈曲が生
じても、36〜37℃の体温下で自然に徐々に回復する
形状記憶効果を有する。また、カテーテルの基端部は十
分な剛性を有し、ガイドワイヤーがなくても操作し得る
ものである。
特に先端側に超弾性乃至擬弾性を有しているので剛性が
強く、曲がりくねった微細な血管等に挿入することが困
難であり、また無理に挿入すると血管等を傷付けてしま
うおそれがあり、操作性、安全性に劣るものであった。
i−Ti合金製筒体に冷間加工を施し、常法に従って延
伸することにより、外径725μm、内径625μm、
厚さ50μmのカテーテル本体を作成した。このカテー
テル本体を400℃において10〜30分間熱処理を行
った。次に、カテーテル本体の先端から30cmまでの
先端側を400℃において24時間熱処理した。
示した方法により、先端から15cmまでの部分を角度
α=90度に変形し、変形力を解除した場合、生体温度
において約2秒で緩やかに(徐々に)復元した。また、
上記同様の三点曲げ試験を行った。結果を表2に示す。
まで達する側面形状が楔形のカット部を4箇所形成し、
内径500μmのカテーテル本体を作成し、カテーテル
本体の内外周面に熱可塑性ポリマーを塗布することによ
り、内外側ポリマー層を形成したカテーテルを作成し
た。このカテーテルはしなやかであり、特に先端部が優
れた柔軟性を備えた高品質なものである。
i−Ti合金製筒体に冷間加工を施し、常法に従って延
伸することにより、外径600μm、内径500μm、
厚さ50μmのカテーテル本体を作成した。このカテー
テル本体を400℃において10〜30分間熱処理を行
った。次に、カテーテル本体の先端から30cmまでの
先端側を400℃において24時間熱処理した。
示した方法により、先端から15cmまでの部分を角度
α=90度に変形し、変形力を解除した場合、生体温度
において約2秒で緩やかに(徐々に)復元した。また上
記同様の三点曲げ試験を行った。結果を表2に示す。
まで達する側面形状が楔形のカット部を4箇所形成し、
内径400μmのカテーテル本体を作成し、カテーテル
本体の内外周面に熱可塑性ポリマーを塗布することによ
り、内外側ポリマー層を形成したカテーテルを作成し
た。得られたカテーテルはしなやかであり、特に先端部
が優れた柔軟性を備えた高品質なものである。
i−Ti合金製筒体に冷間加工を施し、常法に従って延
伸することにより、外径320μm、内径220μm、
厚さ50μmのカテーテル本体を作成した。このカテー
テル本体を400℃において10〜30分間熱処理を行
った。次に、カテーテル本体の先端から30cmまでの
先端側を400℃において24時間熱処理した。
示した方法により、先端から15cmまでの部分を角度
α=90度に変形し、変形力を解除した場合、生体温度
において約2秒で緩やかに(徐々に)復元した。また上
記同様の三点曲げ試験を行った。結果を表2に示す。
まで達する側面形状が楔形のカット部を4箇所形成し、
内径150μmのカテーテル本体を作成し、カテーテル
本体の内外周面に熱可塑性ポリマーを塗布することによ
り、内外側ポリマー層を形成したカテーテルを作成し
た。得られたカテーテルはしなやかであり、特に先端部
が優れた柔軟性を備えた高品質なものである。
から基端までが一体に形成されているので従来のカテー
テルのように先端部に熱可塑性樹脂チューブを取り付け
る必要がなく、このため先端部の段差がなくなり、違和
感、痛みの発生が極めて少なく、操作上血管内や尿管内
等を傷付けることを可及的に防止できるものである。
本体の先端から軸方向に沿ってカット部を設けることに
より、今までにはない超細径のカテーテルを作成するこ
とができると共に、1種又は2種の基本的な内径を有す
るカテーテル本体及びハブを作成しておくだけで、目的
部位の内径に対応した複数種類のカテーテルに自由に作
り変えることができ、製造コストパフォーマンスが飛躍
的に向上するものである。
テル本体の少なくとも先端側において、形状記憶効果を
残したままで、超弾性効果乃至は擬弾性効果をなくすと
共に、カテーテル本体の基端側を剛性を有するように形
成することにより、優れた柔軟性、しなやかさと十分な
こしを有し、誘導用ガイドワイヤーなしでも操作し得、
安全性及び操作性に優れたものである。
図である。
る。
ある。
ある。
た概念図である。
である。
面図である。
る。
方法の一例を示し、(A)カット部を設けたカテーテル
本体にガイドチューブを挿入した状態を示した断面図、
(B)はガイドチューブに合せてカット部の隙間を狭め
た状態を示した断面図、(C)はカテーテル本体の外周
面に外側ポリマー層を被覆した状態を示した断面図であ
る。
た状態を示した側面図である。
図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 カテーテル本体と、このカテーテル本体
の外周面を被覆する外側ポリマー層とを有するカテーテ
ルにおいて、上記カテーテル本体の先端から軸方向に沿
って少なくとも1箇所のカット部を設けたことを特徴と
するカテーテル。 - 【請求項2】 上記カット部の隙間を狭めてカテーテル
本体を先端に向って細径に形成した請求項1記載のカテ
ーテル。 - 【請求項3】 上記カテーテル本体に設けたカット部の
側面形状が略長方形乃至楔形である請求項1又は2記載
のカテーテル。 - 【請求項4】 上記カット部形成箇所の軸方向長さがカ
テーテル本体の先端から2cm以上である請求項1,2
又は3記載のカテーテル。 - 【請求項5】 カテーテル本体の先端部及び該先端部に
続く中間部にカット部を形成すると共に、上記先端部に
中間部より多くのカット部を設けた請求項1乃至4のい
ずれか1項記載のカテーテル。 - 【請求項6】 カテーテル本体の少なくともカット部形
成箇所の内周面を被覆して内側ポリマー層を形成した請
求項1乃至5のいずれか1項記載のカテーテル。 - 【請求項7】 カテーテル本体の少なくともカット部形
成箇所を外側から金属線、有機質線及び無機質線から選
ばれる線状弾性材料でコイル状に巻くか又はメッシュ状
に編むか或いは両者を組み合わせて補強した請求項1乃
至6のいずれか1項記載のカテーテル。 - 【請求項8】 カテーテル本体の少なくとも先端側が、
少なくとも生体温度において形状記憶性を有すると共
に、超弾性又は擬弾性を有さない形状記憶性合金にて形
成された請求項1乃至7のいずれか1項記載のカテーテ
ル。 - 【請求項9】 カテーテル本体の少なくとも先端側を生
体温度で変形させたとき、復元するのに0.3秒以上要
する請求項8記載のカテーテル。 - 【請求項10】 カテーテル本体の少なくとも先端側
を、外径875μm、内径750μmの管体を用いて三
点曲げ試験を行った場合の降伏荷重が8.8N以下、回
復荷重が2.9N以下、残留歪みが0.2mm以上であ
る金属材料により形成した請求項8記載のカテーテル。
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- 1999-11-09 JP JP31794999A patent/JP4396789B2/ja not_active Expired - Lifetime
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