JP2001124124A - 免震構造体 - Google Patents

免震構造体

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JP2001124124A
JP2001124124A JP30263799A JP30263799A JP2001124124A JP 2001124124 A JP2001124124 A JP 2001124124A JP 30263799 A JP30263799 A JP 30263799A JP 30263799 A JP30263799 A JP 30263799A JP 2001124124 A JP2001124124 A JP 2001124124A
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meth
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rubber
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JP30263799A
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Taihei Sugita
大平 杉田
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 季節の温度差により免震特性に影響を受けに
くく、安定した免震特性を有する免震構造体を提供する
こと。 【解決手段】 剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有
する軟質板とを交互に複数個積層した複合積層体からな
る免震構造体であって、前記粘弾性的性質を有する軟質
板が、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含有す
る組成物を、下記の重量組成で光重合して得られる重合
体からなることを特徴とする免震構造体。 (A)炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル
(メタ)アクリレート:100重量部 (B)天然ゴム及び/又は合成ゴム:3〜100重量部 (C)架橋剤もしくは架橋性モノマー:0.01〜5重
量部 (D)光重合開始剤:0.01〜5重量部

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は免震構造体に関す
る。さらに詳しくは、ビル、住宅などの建築構造物とそ
の基礎の間に設置して、地盤から構造物に伝わる地震エ
ネルギーを減少させることを目的とする免震構造体に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、高層ビル等の大型構造物を地震災
害から守るために、地震時の揺れを構造物に直接伝達さ
せない機構を有する免震装置が様々開発されている。こ
のような免震装置は、構造物とその基礎体(地盤など)
との間に免震装置を介在させることにより、地震入力エ
ネルギーの水平方向成分及び垂直方向成分とを弾性歪み
エネルギーとして吸収し、構造体への伝達率を小さくす
るものである。このような免震装置としては、従来か
ら、積層ゴムアイソレーター、空気バネ、金属コイルバ
ネ等が一般的に用いられている。
【0003】積層ゴムアイソレーターとしては、複数個
の金属などからなる剛性を有する硬質板とゴム等からな
る粘弾性的性質を有する軟質板とを、交互に積層した免
震構造体が一般的であり、ビルや橋梁等の免震装置とし
て広く用いられている。
【0004】このような免震構造体の軟質板を構成する
ゴム等の弾性体としては、天然ゴム系のゴムが用いられ
ているのが一般的であるが、他の材料としては、高価で
はあっても、耐老化性、耐熱性に優れていることから、
シリコーン系のゴムが用いられるようになった。
【0005】このような免震構造体に用いられるゴム
は、以下のようなバネ特性を有するように設計されてい
る。 fH=(1/2π)√KH/M KH=A・G/ntR 式中、KHはゴム等の水平方向バネ定数、Mは免震構造
体への搭載荷重、fHは水平方向への固有振動数、Aは
搭載荷重を受ける受圧面積、Gはゴムの剪断弾性係数、
Rは積層物のトータル厚さである。fHは、構造物の水
平方向での免震固有周期の逆数で、目的とする免震性能
にもよるが、通常固有周期が1〜10秒で設定される。
【0006】一方、低中層ビル、工場等の建築構造物で
あれば、搭載重量は数百tにも及ぶために、ゴムの剪断
弾性係数として、60〜150N/cm2のゴムが使用
される。しかしながら、戸建て住宅においては、搭載荷
重が軽量で数十tにしか及ばないために、免震性能確保
の為に、ゴムの剪断弾性係数を小さくする必要があり、
例えば、0.5〜60N/cm2の剪断弾性係数を有す
るゴムが必要であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これを
達成するためには、特開平8−93845号公報に記載
されているように、天然ゴムや合成ゴム系の材料を軟質
板として用いることが考えられるが、耐久性等の観点か
ら好ましくない。
【0008】このような観点から、本出願人は、天然ゴ
ムや合成ゴム系材料の代りに、アルキル基を有するアル
キル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体を軟質板
に用いることによって免震性能の確保を達成した。
【0009】アルキル(メタ)アクリレートの単独又は
共重合体を軟質板に用いると、軽量搭載重量に対しても
固有周期を目標値に対して満足することは可能である。
しかしながら、1995年に神戸で起きた阪神大地震の
ような大地震においては、非常に大きな水平移動を伴う
ことが予想され、免震構造体のゴムの剪断歪み率がかな
り大きなものとなる。これに対応するには、大きな歪み
に追随できるほどの硬質板への接着力を得るために、ア
ルキル(メタ)アクリレートに極性基を有するモノマー
等を共重合させ、硬質板への接着力を高める手段が最も
効果的である。
【0010】しかしながら、前述の極性基を有するモノ
マーを共重合させ軟質板として用いた場合、軟質板の弾
性率が温度により大きく変化する。したがって、前述の
軟質板から構成される免震構造体は、夏場と冬場の異な
る温度下で、その免震特性が大きく変化してしまうとい
う問題が生じる。
【0011】一方、天然ゴムや合成ゴム系の材料からな
る軟質板は、アルキル(メタ)アクリレートの単独又は
共重合体からなる軟質板と比較して、耐久性の点では劣
るもの、温度による剪断弾性係数の変化が少ないことが
知られている。
【0012】本発明は、上述の課題を解決することを目
的とするものであり、耐久性に優れ、かつ、温度変化に
より弾性率が大きく変化することがない軟質板を提供
し、温度変化に対して免震特性が変化することがない免
震構造体を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、剛
性を有する硬質板と粘弾性的性質を有する軟質板とを交
互に複数個積層した複合積層体からなる免震構造体であ
って、前記粘弾性的性質を有する軟質板が、下記
(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する組成物
を、下記の重量組成で光重合して得られる重合体からな
ることを特徴とする免震構造体を提供するものである。 (A)炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル
(メタ)アクリレート:100重量部 (B)天然ゴム及び/又は合成ゴム:3〜100重量部 (C)架橋剤もしくは架橋性モノマー:0.01〜5重
量部 (D)光重合開始剤:0.01〜5重量部
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について詳述
する。
【0015】本発明に使用する炭素数2〜20のアルキ
ル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(A)とし
ては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−
オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリ
スチル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)
アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、
セチル(メタ)アクリレート、n−ヘプタデシル(メ
タ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレ
ート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−オ
クタデシル(メタ)アクリレート、n−ノナデシル(メ
タ)アクリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。本発明においては、これらの一種又
は二種以上が単独重合または共重合される。
【0016】さらに上記モノマーと共重合可能な極性基
を有するモノマーを併せて使用することもできる。上記
モノマーと共重合可能な極性基を有するモノマーとして
は、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー、これ
らの無水物;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピ
ロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモ
ルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルア
ミド等の含窒素モノマー、2−ヒドロキシ(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4
−ヒドロキシブチルアクリレート、カプロラクトン変成
(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)ア
クリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレー
ト等の水酸基を有するモノマー; アシッドホスホキシエ
チル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホ
スホキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子内にリ
ン酸基を有するモノマー等が挙げられる。
【0017】本発明に使用する天然ゴム及び/又は合成
ゴム(B)において、合成ゴムとしては、例えば、ブタ
ジエンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、スチレン
ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレ
タンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、エ
チレンプロピレンゴム(ERPおよびEPDM)、クロ
ロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴ
ム、エピクロルヒドリン・エチレンオキサイド共重合ゴ
ム等が挙げられ、これを単独もしくは混合して用いる。
【0018】天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)は架橋
されていても、されていなくても構わない。非架橋ゴム
の中で、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、エ
ピクロルヒドリン・エチレンオキサイド共重合ゴム、ニ
トリルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム等の比較
的極性の高いものは、アルキル(メタ)アクリレート
(A)に溶解し、軟質板の生成が容易である。また、非
架橋ゴムであっても、ブタジエンゴムやブチルゴム等の
極性の低いものや架橋ゴムは、アルキル(メタ)アクリ
レート(A)に溶解しないために、一旦、粉砕して均一
分散させるのが好ましい。アルキル(メタ)アクリレー
ト(A)に溶解しないものは、粉砕し、均一分散させる
必要があるが、地震時に軟質板に変形が生じたとき、こ
のゴムとアクリレートの界面ですべり現象が起こり、減
衰を向上させることが出来るので、非架橋ゴムに関して
は、均一に分散されるのが好ましい。
【0019】上記炭素数2〜20のアルキル基を有する
アルキル(メタ)アクリレート(A)と天然ゴム及び/
又は合成ゴム(B)の添加量は、炭素数2〜20のアル
キル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(A)の
100重量部に対して、天然ゴム及び/又は合成ゴム
(B)を3〜100重量部、好ましくは5〜50重量部
である。3重量部未満であるとゴムの特性が現れず、温
度変化を少なくすることができない。また100重量部
を超えると、軟質板の特性にゴム特性が強く依存するた
めに、耐久性などが悪化する。
【0020】上記アルキル(メタ)アクリレート(A)
を重合して得られる重合体を架橋するために、組成物中
に添加される架橋剤もしくは架橋性モノマー(C)は、
アルキル(メタ)アクリレートの架橋のために一般に使
用されているものであれば特に限定されない。架橋剤と
しては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系
架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤等が挙
げられる。また、架橋性モノマーとしては、例えば、ヘ
キサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メ
タ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、エポキシア
クリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアク
リレート等が挙げられる。
【0021】架橋性モノマー又は架橋剤(C)の添加量
は、アルキル(メタ)アクリレート(A)100重量部
に対し、0.01〜5.0重量部が好ましい。0.01
重量部末満であると、架橋度合が不足し、必要な凝集力
が得られないため、共重合体の接着性が低下する。ま
た、5重量部を超えると、架橋密度が高くなりすぎ、得
られた共重合体がもろくなり、接着力が低下するととも
に大変形に対応できない。より好ましくは、0.02〜
3重量部である。
【0022】本発明で使用する光重合開始剤(D)とし
ては、一般に光重合で使用されている開始剤が使用で
き、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(ダロキュア
−2959:メルク社製);α−ヒドロキシ−α,α′
−ジメチル−アセトフェノン(ダロキュア1173:メ
ルク社製);メトキシアセトフェノン、2,2−ジメト
キシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュア65
1:チバガイギー社製)、2−ヒドロキシ−2−シクロ
ヘキシルアセトフェノン(イルガキュア184:チバガ
イギー社製)等のアセトフェノン系;ベンジルジメチル
ケタール等のケタール系;ハロゲン化ケトン、アシルホ
スフィノキシド、アシルホスフォナート等が挙げられ
る。
【0023】光重合開始剤(D)の添加量は、アルキル
(メタ)アクリレート(A)100重量部に対し0.0
1〜5重量部であり、好ましくは0.05〜3重量部で
ある。
【0024】光重合開始剤の添加量が0.01重量部未
満であると、重合転化率が低下し、モノマー臭のきつい
成形物しか得られず、5重量部を超えると、ラジカル発
生量が多くなり、分子量が低下してしまい、必要な剪断
弾性係数Gが得られなくなるおそれがある。
【0025】光重合において、光照射に用いられるラン
プ類も一般に光重合で使用されているランプが使用でき
るが、光波長450nm以下に発光分布を有するものが
好ましく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀
灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトラ
ンプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドラ
ンプ等が挙げられる。なかでも、ケミカルランプが、重
合開始剤の活性波長領域の光を効率よく発光すると共
に、重合開始剤以外の組成物の光吸収が少ないため、内
部まで、光が透過し、高厚膜の重合体を製造することが
できるので好ましい。
【0026】上記ランプによる光重合性組成物への光照
射強度は、得られる重合体の重合度を左右する因子であ
り、目的とする共重合体の性能毎に適宜制御されるもの
であるが、通常のアセトフェノン基を有する開裂型の重
合開始剤を配合した場合、0.1〜100mW/cm2
が好ましい。上記光重合開始剤の光分解に有効な波長領
域は、重合開始剤の種類により異なるが、通常、365
〜420nmである。
【0027】光重合反応は、空気中の酸素及び光重合性
組成物に溶解する酸素によって反応が阻害されるので、
光照射は、酸素の阻害を消去しうるような方法をとる必
要がある。上記方法としては、例えば、光重合性組成物
を表面離型処理したPETやテフロン等のフィルムによ
って覆い、このフィルムを介して光重合性組成物へ光を
照射する方法、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスによ
り酸素を置換した光透過性の窓を有するイナートゾーン
中で光重合性組成物へ光を照射する方法等が挙げられ
る。後者の方法において、光重合性組成物の重合転化率
が99.7%以上になる程度まで充分に重合反応を完結
させるためには、雰囲気中の酸素濃度は5000ppm
以下である必要がある。好ましくは、300ppm以下
である。
【0028】上記光重合により得られる重合体には、剪
断弾性係数Gの調整や、加工性の調整のために、充填剤
が含有されてもよい。充填剤は特に限定されないが、少
なくとも1種類以上の微粒子を添加すると、高減衰性を
増大することが出来るので好ましい。微粒子の添加は、
通常、重合時に上記のモノマー組成物に添加される。
【0029】微粒子は、内密充填型の微粒子であっても
中空型の微粒子であってもよく、また、その形状は特に
制限はなく、球状、扁平状、針状、繊維状などの形状が
用いられる。樹脂を粉砕した粉砕品のような不特定形状
であってもよい。粒子径としては、平均粒子径で0.5
μm〜1mmの範囲のものが一般に使用されるが、好ま
しくは平均粒子径2μm〜500μmのものである。
【0030】微粒子の具体例を挙げると、内密充填型微
粒子としては、例えば、ガラスビーズ、シリカビーズ、
アルミナ、合成雲母等の無機微粒子;ポリアクリル酸エ
チル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等
の有機微粒子等が挙げられる。中空型微粒子としては、
例えば、ガラスバルーン、シラスバルーン、フライアッ
シュバルーン等の無機中空微粒子;ポリメタクリル酸メ
チル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、ポ
リスチレン、フェノール樹脂等の有機中空微粒子等が挙
げられる。
【0031】微粒子の含有量は、共重合体100重量部
に対し、一般に10〜180重量部である。比重が小さ
い中空微粒子では好ましくは最大20重量部がより好ま
しく、比重が1前後の微粒子又は中空微粒子や有機微粒
子では、10〜60重量部がより好ましく、比重が2以
上あるような重い無機微粒子では、70〜150重量部
が好ましい。
【0032】上記によって得られる重合体は、剛性を有
する硬質板と重合体からなる軟質板とを交互に複数個積
層することにより複合積層体を構成し、免震構造体を製
造することが出来る。
【0033】前記剛性を有する硬質板としては特に限定
されず、例えば、金属、セラミックス、プラスチック
ス、FRP(繊維強化プラスチック)、ポリウレタン、
木材、紙板、スレート板、コンクリート板、化粧板等が
挙げられる。硬質板の剛性は、ヤング率で1×107
a以上が好ましい。
【0034】本発明の免震構造体は、剛性を有する硬質
板及び粘弾性的性質を有する軟質板とを、それぞれ複数
個、交互に積層した複合積層体からなるため、鉛直方向
に掛かる荷重に耐え、大きな変形を起こすことがない。
硬質板及び軟質板の一層の厚みは、掛かる荷重によって
異なるが、0.05〜100mmが好ましく、さらに好
ましくは、0.5〜50mmである。0.05mm未満
であると、積層枚数が飛躍的に増加し、製造コストがか
かり、100mmを超えると、鉛直方向の荷重に対して
大きな変形が生じ易くなる。各層の厚みは、それぞれ異
なっていてもよい。
【0035】複合積層体の積層枚数は、硬質板及び軟質
板の合計で、3〜50000枚が好ましく、用途や掛か
る荷重により適宜設定される。本発明の免震構造体に
は、その上下に貫通する孔が1カ所以上形成されていて
もよく、その孔の中に、例えば、鉛、錫、その他各種の
材料等が封入されていても良い。
【0036】
【実施例】次ぎに実施例を掲げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定される
ものではない。
【0037】「実施例1」イソオクチルアクリレート1
00重量部、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム
(日本ゼオン社製:Nipol DN401)10重量
部、ヘキサンジオールジアクリレート0.05重量部、
2、2−ジメチル−2フェニルアセトフェノン(イルガ
キュアー651:チバガイギー社製)0.1重量部を均
一拡散するまでセパラブルフラスコ中で撹拌した後、窒
素ガスパージすることにより溶存酸素を除去した。次
に、ブラックライトランプでこの原料組成物に光照射し
たところ、原料組成物の温度が上昇すると同時に粘度が
高くなった。そこで、原料組成物の温度が5℃上昇した
ところで、光照射をやめた。その結果得られた部分光重
合増粘組成物の転化率は3.7%、粘度2.2Pa・s
であった。次に、上記部分光重合増粘組成物にヘキサン
ジオールジアクリレート0.1重量部を配合し、この重
合組成物を離型処理の施された38μmの厚みのPET
フィルム上に、重合終了時の厚みが1.0±0.1mm
となるように塗工し、さらにおなじPETフィルムをそ
の離型処理面が塗工面と接するようにカバーした。次
に、ケミカルランプを用いて上記カバーPETフィルム
上の照射強度が2mw/cmとなるようにランプ高さを
調整し、光を8分間照射して光重合を行った。照射終了
後の試料の残存モノマーは0.1重量%未満であった。
得られたシートを200mm×200mmの形状に断裁
して軟質板とした。また、硬質板として、亜鉛メッキ鋼
板を用い、300mm×100mm×5mmの形状の硬
質板Aと、200mm×200mm×1mmの形状の硬
質板Bとを作製した。そして、フランジと、軟質板:3
を30枚、硬質板A:1を2枚、硬質板B:2を29枚
積層し、免震構造体を作製した。図1は、得られた免震
構造体を模式的に示した断面図である。得られた免震構
造体は温度変化に対して免震性能が変化することがない
優れた免震構造体である。
【0038】「実施例2〜3、比較例1〜2」「表1」
に示した所定量のイソオクチルアクリレート、合成ゴ
ム、ヘキサンジオールジアクリルレート、2、2−ジメ
チル−2フェニルアセトフェノン(イルガキュアー65
1:チバガイギー社製)を用いて、実施例1と同様にし
て光重合を行い、軟質板を得て、免震構造体を作製し
た。
【0039】<評価方法>得られたシートを20mm×
20mmの形状に断裁して軟質板Aとした。また硬質板
として、亜鉛メッキ鋼板を用い、30mm×100mm
×1mmの形状の硬質板Cとした。軟質板Aの両面に硬
質板Cを貼り付けて、図2に示す構造の剪断試験用試料
を作製した。 (1)剪断特性試験 得られた試料を、−10℃と40℃で、180度方向
に、引張り速度300mm/minで引っ張り剪断変形
試験を行った。最大振幅を3mmとした。破断したとき
の伸びと荷重を測定し、荷重(kgf)を伸び(mm)で
除して、剪断鋼性kを求めた。次いで、−10℃の剪断
剛性k-10を、40℃の剪断剛性k40で除して剪断特性
とした。
【0040】得られた結果を「表1」に示した。「表
1」から分かるように、各実施例に使用した軟質板は温
度変化による影響が少なく、したがって、実施例の免震
構造体は温度変化による影響が少ない安定した免震特性
を発揮することが可能である。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、温度による影響が少な
く、免震特性が季節による影響を受けにくく、かつ大地
震時の大変形にも追随可能な免震構造体を提供すること
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】免震構造体の構成図である。
【図2】剪断変形試験用試料の説明図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有
    する軟質板とを交互に複数個積層した複合積層体からな
    る免震構造体であって、前記粘弾性的性質を有する軟質
    板が、下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含有す
    る組成物を、下記の重量組成で光重合して得られる重合
    体からなることを特徴とする免震構造体。 (A)炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル
    (メタ)アクリレート:100重量部 (B)天然ゴム及び/又は合成ゴム:3〜100重量部 (C)架橋剤もしくは架橋性モノマー:0.01〜5重
    量部 (D)光重合開始剤:0.01〜5重量部
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