JP2000120781A - 免震構造体 - Google Patents

免震構造体

Info

Publication number
JP2000120781A
JP2000120781A JP29223898A JP29223898A JP2000120781A JP 2000120781 A JP2000120781 A JP 2000120781A JP 29223898 A JP29223898 A JP 29223898A JP 29223898 A JP29223898 A JP 29223898A JP 2000120781 A JP2000120781 A JP 2000120781A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seismic isolation
composite laminate
support member
meth
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29223898A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Azuma
賢一 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP29223898A priority Critical patent/JP2000120781A/ja
Publication of JP2000120781A publication Critical patent/JP2000120781A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Springs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、優れた免震性能を有するとともに
クリープ特性及び耐候性に優れ、更に、床面に振動が生
ずることのない免震構造体を提供する。 【解決手段】 本発明の免震構造体1は、硬質板21と軟
質板22とが交互に複数個積層されてなる複合積層体2
と、支持機構3よりなる免震構造体1であって、上記軟
質板は、炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル
(メタ)アクリレートの単独重合体又は共重合体からな
り、上記支持機構3は、上記複合積層体2の上下方向の
厚みを一定の圧縮厚みに保持するとともに、地震時には
上下方向に伸縮するように構成されていることを特徴と
するので、優れた免震性能を有するとともに、クリープ
特性及び耐候性に優れ、更に、常に快適な歩行感を保持
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフィスビル、住
宅、橋梁等の構造物の免震支持部材として用いられる免
震構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】オフィスビル、住宅、橋梁等の構造物を
地震災害から守るために、地震時の揺れを抑制する免震
装置が種々開発されている。このような免震装置は、構
造物の基礎体と当該構造物との間に介在させることによ
り、地震入力エネルギーの水平成分と鉛直成分とを、弾
性歪みエネルギーとして吸収するものである。このよう
な免震装置としては、従来から、積層ゴムアイソレー
タ、空気バネ、金属コイルバネ等が一般に用いられてい
る。
【0003】積層ゴムアイソレータとしては、複数個の
鋼板等からなる剛性を有する硬質板と、ゴム等からなる
粘弾性的性質を有する軟質板とを、交互に積層した免震
構造体が一般的であり、ビルや橋梁等の免震装置として
広く用いられている。
【0004】このような免震構造体の軟質板を構成する
ゴム等の弾性体としては、天然ゴム系のゴムが用いられ
ているのが一般的であるが、他の材料としては、高価で
はあっても、耐老化性、耐熱性に優れていることから、
シリコーンゴム系のゴムが用いられるようになった。
【0005】このような免震構造体に用いられるゴム
は、以下のようなバネ特性を有するように設計されてい
る。すなわち、ゴム等の水平方向のバネ定数KH は、搭
載荷重をMとして、水平方向の固有振動数fH が下記式
を満たすように設計されている。
【0006】fH =(1/2π)(KH /M)1/2
【0007】fH は、構造物の水平方向での免震固有周
期の逆数で、目的とする免震性能にもよるが、免震固有
周期が1〜10秒の間で設定される。ゴムの水平方向の
バネ定数KH は、搭載荷重を受ける受圧面積Aとゴムの
剪断弾性係数Gとゴムの積層物トータルの厚さntR
を用いて下記式で表される。
【0008】KH =A・G/ntR
【0009】即ち、fH =(1/2π)〔(A・G/n
R )/M〕1/2 となる。
【0010】低中層ビル、工場等の建築構造物であれ
ば、搭載重量は数百tにも及ぶため、ゴムの剪断弾性係
数Gとしては、6〜15kgf/cm2 のものが使用さ
れている。しかしながら、戸建住宅においては、搭載重
量が軽量であるため、数十tにしかならず、免震性能を
確保しようとすると、上記式から明らかなように、ゴム
の剪断弾性係数Gを小さくする必要があり、例えば、
0.05〜6のGを有するゴムが必要であった。
【0011】しかしながら、天然ゴム系のゴムの配合
は、天然ゴムのクリープ性を向上させるために、加硫剤
を配合し、硬さの向上やゴムの加工性や熱膨張を抑制す
るために、充填剤としてカーボンブラック、炭酸カルシ
ウム、クレー、タルク等の無機充填剤を配合することが
多く、また、ゴムの加工性や配合剤の分散性向上や柔ら
かさの調整のために、軟化剤を配合することが多い。更
に、酸化劣化や紫外線劣化防止のために老化防止剤を配
合することが多い。
【0012】又、天然ゴム以外のゴムとして、耐候性改
善のために、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム
(CR)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPD
M)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NB
R)を、耐熱性改善のために、ケイ素ゴム(シリコンゴ
ム)等を配合することもあるが、基本的には、軟化剤、
充填剤、加硫剤(架橋剤)等が配合されるのが一般的で
ある。
【0013】このような配合を前提とすると、ゴムの剪
断弾性係数Gを小さくするためには、軟化剤の配合量を
多くする以外になく、この場合、クリープ特性が低下
し、長期の搭載荷重に対して、ゴムのへたりが生じて本
来の免震性能を発揮することができなくなるおそれがあ
った。
【0014】特開平8−93845号公報には、複数個
の鋼板等の剛性を有する硬質板と、粘弾性的性質を有す
る軟質板とを交互に積層した免震構造体において、内側
が硬いゴムで形成され、外側が柔らかいゴムで形成され
た軟質板が開示されている。しかしながら、構造が複雑
で高価になることやゴムの機能を2分化するので各々の
剪断変形上でのバランスをとることが困難になる欠点が
あった。例えば、ゴム材料の剪断弾性係数は、温度の影
響を受けて変化するが、上記発明では、二つのゴム材料
の温度変化に対する剪断変形割合が同一でない場合に
は、温度免震性能が温度によって変化することとなり実
用上の問題があった。
【0015】又、上記免震構造体は、一戸建て住宅にお
いては一般的に梁と基礎面との間に所定間隔毎に配設さ
れて使用される。しかしながら、床面を歩行等すること
によって床面に上方から荷重をかけると、上記免震構造
体が上下方向に圧縮され、この免震構造体の上下方向の
圧縮によって床面が下方に撓み床面に振動が生じ歩行感
損なわれるといった問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた免震
性能を有するとともにクリープ特性及び耐候性に優れ、
更に、床面を歩行する等して床面に上方から荷重をかけ
た場合にあっても床面が下方に向かって撓み床面に振動
が生ずることのない免震構造体を提供する。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の免震構
造体は、剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有する軟
質板とが交互に複数個積層されてなる複合積層体と、支
持機構よりなる免震構造体であって、上記軟質板は、炭
素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)ア
クリレートの単独重合体又は共重合体からなり、上記支
持機構は、常態においては上下方向に一定長さを保持し
て上記複合積層体の上下方向の厚みを一定の圧縮厚みに
保持するとともに、上記複合積層体が地震時に水平方向
に歪んだ場合には該複合積層体の歪み変形に追従して上
下方向に伸縮するように構成されていることを特徴とす
る。
【0018】そして、請求項2に記載の免震構造体は、
請求項1に記載の免震構造体において、複合積層体の上
下面に上下固定板が一体に積層され、上側固定板を梁
に、下側固定板を基礎面に固定するように構成されてお
り、上記上下固定板の対向面間に支持機構が配設されて
いることを特徴とする。
【0019】又、請求項3に記載の免震構造体は、請求
項2に記載の免震構造体において、支持機構は、上下方
向に伸縮自在に接続された上側支持部材と下側支持部材
とからなり、上記上下支持部材のいずれか一方の端部に
はシリンダが一体に設けられているとともに、他方の端
部には上記シリンダに上下方向に変位可能に挿嵌された
ピストンが一体に設けられ、上記ピストンの先端面を上
記シリンダの内底面に当接、受止させることによって上
記上側支持部材の上端部と上記下側支持部材の下端部と
の間の間隔を複合積層体の圧縮厚み寸法に保持するよう
に構成しており、更に、上側支持部材の上端部を上側固
定板の下面に自在継ぎ手を介して連結しているととも
に、下側支持部材の下端部を下側固定板の上面に自在継
ぎ手を介して連結していることを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明の免震構造体を使用するには、免震構造
体を基礎面と梁との間に所定間隔毎に配設、固定する。
上記免震構造体は、常態において上下方向に一定高さを
保持して複合積層体の上下方向の厚みを一定圧縮厚みに
保持する支持機構を備えているので、上記免震構造体に
上記梁を介して上方から下方に向かって押圧力が加えら
れた場合にあっても上記免震構造体の複合積層体は上下
方向に圧縮することはない。よって、上記免震構造体が
受止している梁が免震構造体の圧縮に起因して下方に撓
み、該梁に架設している床面が下方に撓み、床面に振動
を生じ歩行感を損ねるといったことはない。
【0021】一方、地震が発生して基礎面が水平方向に
振動すると、上記免震構造体の複合積層体を構成する炭
素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)ア
クリレートの単独重合体又は共重合体からなる軟質板が
水平方向に弾性歪みを起こして地震の水平振動エネルギ
ーを弾性歪みエネルギーとして吸収する。この際、上記
支持機構は、上記複合積層体の水平方向への弾性歪みに
追従して上下方向に伸縮し上記複合積層体の水平方向の
歪み変形を阻害することはなく上記複合積層体の免震性
能は完全且つ確実に発揮される。
【0022】そして、地震が収まった場合には、上記免
震構造体の複合積層体は元の状態に弾性復元するととも
に上記支持機構も元の状態に復帰して次の地震に備える
ものである。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の免震構造体の一例を図面
を参照しつつ説明する。免震構造体1は、図1に示した
ように、剛性を有する硬質板21と粘弾性的性質を有する
軟質板22とが交互に複数個積層されてなる複合積層体2
と、支持機構3より構成される。
【0024】上記複合積層体2の剛性を有する硬質板21
としては特に限定されず、例えば、金属、セラミック
ス、プラスチックス、FRP(繊維強化プラスチッ
ク)、ポリウレタン、木材、紙板、スレート板、コンク
リート板、化粧板等が挙げられ、硬質板21の剛性は、ヤ
ング率で1×107 Pa以上が好ましい。
【0025】上記粘弾性的性質を有する軟質板22は、炭
素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)ア
クリレートの単独重合体又は共重合体(以下、アルキル
(メタ)アクリレート重合体ともいう)からなる。
【0026】上記アルキル(メタ)アクリレートとして
は、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オク
チル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチ
ル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アク
リレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチ
ル(メタ)アクリレート、n−ヘプタデシル(メタ)ア
クリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、
n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデ
シル(メタ)アクリレート、n−ノナデシル(メタ)ア
クリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレート等が
挙げられる。
【0027】上記アルキル(メタ)アクリレートの共重
合体は、上記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可
能なモノマーと上記アルキル(メタ)アクリレートとの
共重合体であり、共重合可能なモノマーとしては粘着剤
の合成に一般に使用されているモノマーが使用される。
【0028】上記共重合可能なモノマーとしては、例え
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、イソ
ボロニル(メタ)アクリレート等の他、極性基を有する
モノマーが挙げられる。
【0029】上記極性基を有するモノマーとしては、例
えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸等のカルボキシル基含有モノマー、これらの無
水物;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリ
ン、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
等の含窒素モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、カプロラク
トン変成(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン
(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)
アクリレート等の水酸基を有するモノマー; アシッドホ
スホキシエチル( メタ) アクリレート、3ークロロー2
ーアシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート等
の分子内にリン酸基を有する、炭素数2〜20のアルキ
ル基を有するアルキル(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。
【0030】上記共重合可能なモノマーは、上記硬質板
21との接着力向上や、免震性能に関わる剪断弾性係数G
の調整に用いられるが、硬質板21が金属の場合は分子内
にリン酸基を有する、炭素数2〜20のアルキル基を有
するアルキル(メタ)アクリレートが好適に使用でき
る。
【0031】この場合、分子内にリン酸基を有する、炭
素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)ア
クリレートの共重合比率が少なくなると、極性が低下し
金属に対する接着性が低下し、多くなると凝集力が高く
なり接着性が低下するので、分子内にリン酸基を有さな
い、上記炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル
(メタ)アクリレート95〜99.8重量%と分子内に
リン酸基を有する、炭素数2〜20のアルキル基を有す
るアルキル(メタ)アクリレート0.2〜5重量%が共
重合されるのが好ましく、より好ましくは、それぞれ9
6〜99.5重量%と0.5〜4重量%である。
【0032】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
は、重量平均分子量が、40万〜800万であるものが
好ましい。40万未満であると、分子量が小さくなりす
ぎてクリープ性が低下し、800万を超えると、硬すぎ
るため、免震性能が低下する。
【0033】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
は、クリープ特性を向上させるために、架橋剤又は架橋
性モノマーによって架橋処理が施されているものが好ま
しい。上記架橋剤としては特に限定されず、例えば、イ
ソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン
系架橋剤、メラミン系架橋剤等が挙げられる。
【0034】上記架橋性モノマーとしては特に限定され
ず、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリ
ル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベン
ゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレー
ト、ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0035】上記架橋性モノマー又は架橋剤の含有量
は、上記アルキル(メタ)アクリレート重合体100重
量部に対し、0.01〜5.0重量部が好ましい。0.
01重量部末満であると、架橋度合が不足し、必要な凝
集力が得られため、クリープ特性が低下し、5重量部を
超えると、架橋密度が高くなりすぎ、得られた重合体が
もろくなる。より好ましくは、0.02〜3重量部であ
る。
【0036】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
は、ゲル分率が60〜100重量%であるものが好まし
い。60重量%未満であると、クリープ性が低下する。
上記ゲル分率とは、上記重合体1gをテトラヒドロフラ
ン(THF)100gに浸漬し、23℃で1週間振とう
機にかけた後、不溶分の量を測定した際の、上記重合体
1gに対する不溶分の割合を百分率で表したものであ
る。
【0037】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
中には、上記重合体の剪断弾性係数Gの調整や、加工性
の調整のために、充填剤が含有されていてもよい。該充
填剤としては特に限定されず、例えば、微粒子又は中空
微粒子が挙げられる。上記微粒子としては、例えば、ガ
ラスビーズ、シリカビーズ、アルミナ、合成雲母等の無
機微粒子;ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン等の有機微粒子等が挙げられ
る。上記中空微粒子としては、例えば、ガラスバルー
ン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン等の無機
中空微粒子;ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリ
ル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、フェノー
ル樹脂等の有機中空微粒子等が挙げられる。
【0038】上記微粒子又は中空微粒子の含有量は、上
記アルキル(メタ)アクリレート重合体100重量部に
対し、180重量部以下が好ましい。比重が小さい中空
微粒子では、20重量部がより好ましく、比重が1前後
の微粒子又は中空微粒子では、10〜60重量部がより
好ましく、比重が2以上であるような重い無機微粒子で
は、70〜150重量部がより好ましい。
【0039】上記微粒子又は中空微粒子の含有量は、体
積分率において、50体積%以下であるのが好ましい。
50体積%を超えると、剪断弾性係数Gが大きくなり、
免震性能が低下する。
【0040】上記軟質板22は、0.1〜1Hzにおける
剪断弾性係数Gが、0.05〜6kgf/cm2 である
ものが好ましい。0.05kgf/cm2 未満では、剪
断弾性係数Gが小さすぎるため、クリープ性が低下し、
6kgf/cm2 を超えると、硬すぎるため、免震性能
が発揮されない。より好ましくは、0.06〜3kgf
/cm2 である。
【0041】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
の製造方法としては特に限定されず、例えば、溶液重合
法、乳化重合法、塊状重合法等が挙げられるが、軟質板
22の厚みは、0.5〜5mmといった高厚みが必要な場
合があり、このような高厚みを得るためには、塊状重合
法の1つである光重合法が好ましい。他の重合法では、
有機溶剤や水にアルキル(メタ)アクリレートのモノマ
ーを数十%の割合で希釈して重合するため、板状に成形
するためには、後に有機溶剤や水を揮発させる必要があ
り、そのため、高厚みで板状にして揮発させると、製造
された板状品に、揮発時の発泡によって形成された気泡
が残るといった問題がある。一方、気泡をなくすために
は、長時間かけて低温でゆっくり揮発させなければなら
ず、経済的に不利である。
【0042】上記光重合法においては、上記炭素数2〜
20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレー
トを含むモノマー組成物100重量部に対して、光重合
開始剤を0.01〜5重量部含む組成物を光重合させ、
上記アルキル(メタ)アクリレート重合体を製造するの
が好ましい。
【0043】上記光重合開始剤としては特に限定され
ず、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(ダロキュア
−2959:メルク社製);α−ヒドロキシ−α,α′
−ジメチル−アセトフェノン(ダロキュア1173:メ
ルク社製);メトキシアセトフェノン、2,2−ジメト
キシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュア65
1:チバガイギー社製)、2−ヒドロキシ−2−シクロ
ヘキシルアセトフェノン(イルガキュア184:チバガ
イギー社製)等のアセトフェノン系;ベンジルジメチル
ケタール等のケタール系;ハロゲン化ケトン、アシルホ
スフィノキシド、アシルホスフォナート等が挙げられ
る。
【0044】上記光重合開始剤の含有量が0.01重量
部未満であると、重合転化率が低下し、モノマー臭のき
つい成形物しか得られず、5重量部を超えると、ラジカ
ル発生量が多くなり、分子量が低下してしまい、必要な
剪断弾性係数Gが得られなくなるおそれがある。より好
ましくは、0.05〜3重量部である。上記光開始剤の
量により、重量平均分子量を上記した値に調整すること
ができる。
【0045】上記光重合において、光照射に用いられる
ランプ類としては特に限定されないが、光波長450n
m以下に発光分布を有するものが好ましく、例えば、低
圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケ
ミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェー
ブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0046】なかでも、ケミカルランプが、重合開始剤
の活性波長領域の光を効率よく発光すると共に、重合開
始剤以外の組成物の光吸収が少ないため、内部まで、光
が透過し、高厚膜の重合体を製造することができるので
好ましい。
【0047】上記ランプによる光重合性組成物への光照
射強度は、得られるポリマーの重合度を左右する因子で
あり、目的とする重合体の性能毎に適宜制御されるもの
であるが、通常のアセトフェノン基を有する開裂型の重
合開始剤を配合した場合、0.1〜100mW/cm2
が好ましい。上記重合開始剤の光分解に有効な波長領域
は、重合開始剤の種類により異なるが、通常、365〜
420nmである。
【0048】上記光重合反応は、空気中の酸素及び光重
合性組成物に溶解する酸素によって反応が阻害されるの
で、光照射は、酸素の阻害を消去しうるような方法を採
る必要がある。上記方法としては、例えば、光重合性組
成物を表面離型処理したPETやテフロン等のフィルム
によって覆い、このフィルムを介して光重合性組成物へ
光を照射する方法、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス
により酸素を置換した光透過性の窓を有するイナートゾ
ーン中で光重合性組成物へ光を照射する方法等が挙げら
れる。後者の方法において、光重合性組成物の重合転化
率が99.7%以上になる程度まで充分に重合反応を完
結させるためには、雰囲気中の酸素濃度は5000pp
m以下である必要がある。好ましくは、300ppm以
下である。
【0049】本発明の免震構造体1は、上記硬質板21と
上記軟質板22とを複数枚交互に積層一体化して円柱体や
角柱体等の柱状体に形成されてなり、鉛直方向にかかる
荷重に耐え、大きな変形を起こさない。上記硬質板21及
び上記軟質板22の1枚の厚みは、かかる荷重によって異
なるが、0.05〜100mmが好ましい。0.05m
m未満であると、積層枚数が飛躍的に増加し、製造コス
トがかかり、100mmを超えると、鉛直方向の荷重に
対して大きな変形が生じ易くなる。より好ましくは、
0.5〜50mmである。各層の厚みは、それぞれ異な
っていてもよい。
【0050】上記複合積層体2の積層枚数は、上記硬質
板21及び上記軟質板22の合計で、3〜5万枚が好まし
く、その用途やかかる荷重により適宜設定される。本発
明の免震構造体には、その上下に貫通する孔が1カ所以
上形成されていてもよく、その孔の中に、例えば、鉛、
錫、その他各種の材料等が封入されていても良い。
【0051】上記柱状体の複合積層体2の上下面には、
図1に示したように、一定厚みを有する上下固定板41、
42が積層一体化されてなる。上記上下固定板41、42は、
平面形状が上記複合積層体2の平面形状よりも一回り大
きい大きさを有し且つ上下面が平坦面に形成されている
ものであれば、特に限定されることはなく、例えば、平
面円形状、平面矩形状等が挙げられる。
【0052】そして、具体的には、上記上下固定板41、
42は、梁B又は基礎面Cに固定可能なものであれば特に
限定されず、例えば、金属、セラミックス、プラスチッ
クス、FRP(繊維強化プラスチック)、ポリウレタ
ン、木材、紙板、スレート板、コンクリート板、化粧板
等が挙げられる。
【0053】そして、上記上下固定板41、42の上記複合
積層体2よりも外側部分における対向面間には複数個の
支持機構3、3・・・が配設されている。該支持機構3
を上記固定板41、42の対向面間に配設する態様は、特に
限定されるものではないが、上記複合積層体2を中心と
して対称的に配設することが好ましく、例えば、上下固
定板41、42が平面円形状である場合には上記複合積層体
2を中心として線対称となるように一対の支持機構3を
配設することが好ましく、上下固定板41、42が平面矩形
状である場合には、上下固定板41、42の互いに対角線状
に位置する隅部に一対の支持機構3を配設することが好
ましく、四隅部全てに支持機構3を配設するのが更に好
ましい。
【0054】上記支持機構3は、図1に示したように、
上下方向に伸縮自在に接続され且つ一定長さを有する上
下支持部材31、32からなる。上記下側支持部材32の上端
部には上方に向かって開口した有底円筒状のシリンダ32
1 が一体に設けられてあり、該シリンダ321 の内底面を
後述するピストン311 の先端面を受止する受止面321aに
形成している。
【0055】上記上側支持部材31の下端部には上記シリ
ンダ321 の上端開口部よりも僅かに小さい平面形状を有
する円柱状体からなるピストン311 が一体に設けられて
おり、このピストン311 を上記下側支持部材32のシリン
ダ321 に該シリンダ321 に対して上下方向に摺動変位可
能に挿嵌している。
【0056】なお、シリンダ321 を有底角筒状とすると
ともに、ピストン311 を該シリンダ321 に対応させた角
柱状としてもよいが、地震時における水平方向の捻じり
変形に対応すべく、シリンダ321 を有底円筒状に、ピス
トン311 を該シリンダ311 に対応した円柱状に形成する
ことが好ましい。
【0057】更に、上記上側支持部材31の上端部を上記
上側固定板41の下面に自在継ぎ手5を介して連結してい
るとともに、上記下側支持部材32の下端部を上記下側固
定板42の上面に自在継ぎ手5を介して連結して、上記支
持機構3をその上下支持部材31、32が鉛直方向に起立し
た状態に上記上下固定板41、42の対向面間に配設してい
る。
【0058】そして、複合積層体2が載荷重により圧縮
した時に、ピストン311 の先端面(下端面)がシリンダ
321 の受止面321aに当接して複合積層体2がそれ以上圧
縮しないように構成されている。即ち、上記上側支持部
材31の上端部と上記下側支持部材32の下端部との間の間
隔、換言すれば、上記上下固定板41、42の対向面間の常
態における間隔は上記複合積層体2の圧縮厚み寸法に合
致して構成されている。従って、上記複合積層体2は常
態においては鉛直方向に起立状態の上記上下支持部材3
1、32によって上下方向の圧縮を規制されており、上記
複合積層体2に上記載荷重以上の動荷重や静荷重が作用
しても上記複合積層体2はそれ以上圧縮することはな
い。
【0059】次に、上記免震構造体1の使用要領を説明
する。先ず、上記免震構造体1をその下側固定板42の下
面が基礎面Cに当接した状態で基礎面C上に所定間隔毎
に載置した後、その下側固定面42と上記基礎面Cとを釘
やボルト等の公知の手段を用いて固定、一体化する。し
かる後、上記免震構造体1の上側固定板41の上面に梁B
を載置し、該梁Bと上記上側固定板41とを釘やボルト等
の公知の手段を用いて固定、一体化する。そして、上記
梁B上に床板を架設することによって床面を形成する。
この状態にすると、上側固定板41に梁Bや床材等の上部
構造体の載荷重がかかって複合積層体2が圧縮し、上側
支持部材31のピストン311 の先端面が下側支持部材32の
シリンダ321 の受止面321aに当接して複合積層体2がそ
れ以上圧縮し得ない形態を維持する。
【0060】上記床面上を歩行すると、上記梁Bを介し
て上記免震構造体1に荷重がかかるが、上記の如く、常
態においては、上記支持機構3の上下支持部材31、32が
起立状態で且つこれ以上収縮できない状態で上記上下固
定板41、42間に配設されており、上記上下固定板41、42
の対向面間の間隔を一定間隔、即ち、上記複合積層体2
の厚み寸法に保持していることから、上記複合積層体2
は上記荷重にもかかわらず上下方向に圧縮することはな
く、よって、上記梁Bが下方に向かって撓み、床面に振
動が生ずるといった不測の事態は生じない。
【0061】又、地震が発生して基礎面Cが水平方向に
揺れた場合、図2に示したように、上記複合積層体2は
一定の圧縮厚みを維持した状態で水平方向に歪んで地震
の水平方向のエネルギーを弾性歪みエネルギーとして吸
収する。この際、この複合積層体2の歪み変形に応じ
て、該複合積層体2の上下面に積層一体化した上下固定
板41、42も水平方向にずれた状態となる。そして、この
上下固定板41、42の水平方向のずれに対応して、該上下
固定板41、42の対向面間に配設されている支持機構3の
上側支持部材31のピストン311 が上記下側支持部材32の
シリンダ321 から所定長さだけ離間して上記支持機構3
は円滑に伸長するとともに、上記上下支持部材31、32は
上記自在継ぎ手5、5を介して上記上下固定板41、42に
対して上記複合積層体2の歪み方向に円滑に傾倒し、上
記支持機構3は上記複合積層体2の歪み変形方向に円滑
に伸長、傾倒する。よって、上記支持機構3が地震時の
複合積層体2の歪み変形を阻害し免震性能を損なうとい
った不測の事態は生じない。
【0062】そして、地震が収まって基礎面Cの水平方
向の振動が収まった時には、上記水平方向に歪んでいた
複合積層体2は元の柱状体に弾性復元し、この複合積層
体2の元の状態への復帰に伴って、該複合積層体2の上
下面に固定した上下固定板41、42も元の状態に復帰する
とともに、上記上下支持部材31、32も上記自在継ぎ手
5、5を介して鉛直に起立した状態となり、更に、上記
上側支持部材31のピストン311 はその先端面を上記下側
支持部材32のシリンダ321 の受止面321aに当接した状態
に復帰し、上記上側支持部材31の上端部と上記下側支持
部材32の下端部との間の間隔、即ち、上記上下固定板4
1、42の対向面の間の間隔は上記複合積層体2の厚み寸
法に合致した状態となり地震前の状態に完全に復帰し次
の地震に備える(図1参照)。
【0063】上記では、上記複合積層体2を柱状体と
し、該複合積層体2の上下面に該複合積層体2の平面形
状よりも大きい大きさを有する上下固定板41、42を積層
一体化して、該上下固定板41、42の上記複合積層体2よ
りも外側部分における対向面間に上記支持機構3を配設
した場合を説明したが、図3に示したように、上記複合
積層体2を筒状体に形成して、この筒状体の内側空間部
内における上下固定板41、42の対向面間に上記支持機構
3を配設してもよい。なお、図1に示した免震構造体1
と同様の構造の部分については同一符号を付してその説
明を省略する。
【0064】又、上記では、上記支持機構3の上記上側
支持部材31のピストン311 と上記下側支持部材のシリン
ダ321 とはその対向面において面接触しながら互いに上
下方向に摺動変位していたが、図4乃至図6に示したよ
うに、上記支持機構3の上記上側支持部材31のピストン
311 と上記下側支持部材のシリンダ321 との対向面にベ
アリングを介在させておけば、上記支持機構3(上下支
持部材31、32)の伸縮をより円滑に行うことができる。
【0065】即ち、上記下側支持部材32のシリンダ321
の内周面を平坦面に形成する一方、上記上側支持部材31
のピストン311 の外周面にベアリング311aを上下方向に
所定間隔毎に複数列配設し、上記ピストン311 のベアリ
ング311aを上記シリンダ321の内面に転動させながら、
上記ピストン311 を上記シリンダ321 に対して相対的に
上下動させることによって、上記支持機構3(上下支持
部材31、32)の伸縮を、その上下支持部材31、32が水平
方向に妄動することなくより円滑に行うことができる。
なお、図1に示した免震構造体1と同様の構造の部分に
ついては同一符号を付してその説明を省略する。
【0066】更に、上記ベアリング311aの代わりに、図
7乃至図9に示したように、上記下側支持部材32のシリ
ンダ321 の内周面に所定間隔毎に内底面(受止面321a)
から上端開口端面に亘って上下方向に延びるレール321b
を配設するとともに、上記上側支持部材31のピストン31
1 の外周面に上下方向に回動自在に軸支され且つ上記レ
ール321bに噛合する転子311bを配設し、上記ピストン31
1 の転子311bを上記シリンダ321 のレール321b上に沿っ
て回動させながら、上記ピストン311 を上記シリンダ32
1 に対して相対的に上下動させることによって、上記支
持機構3(上下支持部材31、32)の伸縮を、その上下支
持部材31、32が水平方向に妄動することなくより円滑に
行うことができる。
【0067】
【実施例】以下に本発明の実施例を掲げて更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0068】(実施例1)ブチルアクリレート95重量
部、アクリル酸5重量部、2,2−ジメチル−2−フェ
ニルアセトフェノン(イルガキュア651:チバガイギ
ー社製)0.1重量部、及び、比重0.25のフライア
ッシュバルーン微粒子(XOL−200:PQコーポレ
ーション社製)5重量部を、均一に分散するまでセパラ
ブルフラスコ中で撹拌、混合した後、窒素ガスでパージ
することにより溶存酸素を除去した。
【0069】次に、ブラックライトランプでこの原料組
成物に光を照射したところ、原料組成物の温度が上昇す
ると同時に粘度が高くなった。そこで、原料組成物の温
度が5℃上昇したところで、光照射をやめた。その結
果、得られた部分光重合増粘組成物の転化率は3.7
%、粘度は2200cpsであった。
【0070】更に、上記部分光重合増粘組成物に、ヘキ
サンジオールジアクリレート0.1重量部を配合し、こ
の重合用組成物を、離型処理が施された38μmの厚み
のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上
に、重合終了時の厚みが1.0±0.1mmとなるよう
に塗工し、更に同じポリエチレンテレフタレート(PE
T)フィルムを、その離型処理面が塗工面と接するよう
にカバーした。
【0071】次に、ケミカルランプを用い、上記カバー
PETフィルム上の照射強度が2mw/cm2 となるよ
うにランプ高さを調整し、光を8分間照射して、厚み
1.2mmの軟質板22が2枚のPETフィルムで保護さ
れた積層体を得た。得られた軟質板22の残存モノマーは
0.1重量%未満であり、ゲルパーメーションクロマト
グラフィー(GPC)を用いてスチレン換算法で測定し
た重量平均分子量は200万、ゲル分率は95%、剪断
弾性係数Gは0.4Hzで2.0kgf/cm2であっ
た。
【0072】上記軟質板22を直径200mmの平面円形
状に切断形成するとともに、上下固定板41、42として直
径400mmで且つ厚みが10mmの平面円形状の亜鉛
メッキ鋼板を、硬質板21として直径200mmで且つ厚
みが1.0mmの平面円形状の亜鉛メッキ鋼板を用意し
た。
【0073】上記上下固定板41、42の中央部における対
向面間に、上記軟質板100枚と上記硬質板99枚とを
交互に円柱状に積層一体化して、上記硬質板21と上記軟
質板22とが交互に積層一体化されてなる複合積層体2の
上下面に上下固定板41、42が積層一体化されてなるもの
を得た。なお、上記上側固定板41の下面及び上記下側固
定板42の上面には上記軟質板22が当接するようにした。
そして、上記上下固定板41、42の上記複合積層体2より
も外側部分、詳しくは、上記複合積層体2の上下端面の
互いに直角に交叉する直径と上記上下固定板41、42の外
周縁とが交叉する部分の内側近傍部における対向面間の
夫々には、図1に示したような上側支持部材31と下側支
持部材32とがシリンダ321 とピストン311 とを介して上
下方向に伸縮自在に接続されてなる上記支持機構3を配
設することにより免震構造体1を得た。
【0074】(実施例2)支持機構として図4乃至図6
に示したようなピストン311 の外周面にベアリング311a
を備えた支持機構を用いたこと以外は実施例1と同様に
して免震構造体を得た。
【0075】(実施例3)支持機構として、図7乃至図
9に示したように、シリンダ321 の内周面にレール321b
を、ピストン311 の外周面に転子311bを備えた支持機構
を用いたこと以外は実施例1と同様にして免震構造体を
得た。
【0076】(比較例1)支持機構を上下固定板の対向
面間に配設しなかったこと以外は実施例1と同様にして
免震構造体を得た。
【0077】(比較例2)天然ゴム100重量部、カー
ボンブラック50重量部、ポリブテン(100R:出光
石油化学社製)95重量部、硫黄1.5重量部をブレン
ドし、1.2mm厚みに成形して加硫された軟質板を得
た。軟質板の剪断弾性係数Gは3.0kgf/cm2
あった。軟質板として上記加硫された軟質板を用いたこ
と以外は比較例1と同様にして免震構造体を得た。
【0078】実施例1乃至実施例3及び比較例1、2で
得られた免震構造体の静撓み量と床振動性能を以下に示
した方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0079】(静撓み量)免震構造体1の上側固定板41
上に800kgfの荷重をかけた時の23℃での免震構
造体1全体の鉛直方向への沈み量を測定し、静撓み量と
した。
【0080】(床振動性能)落錐試験器を用いて5kg
fの円形の重りを30cmの高さから落下させた時の上
側固定板41の振動を加速度ピックアップで検出し、0.
2秒後の振動レベルを測定し、床振動性能とした。な
お、周波数としては、20〜30Hz付近の周波数での
振動レベルを測定した。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】本発明の免震構造体の構成は上述の通り
なので、複合積層体に起因して優れた免震性能を有する
とともに、クリープ特性及び耐候性に優れている。しか
も、本発明の免震構造体では、常態においては上下方向
に一定長さを保持して上記複合積層体の上下方向の厚み
を一定厚みに保持するとともに、上記複合積層体が地震
時に水平方向に歪んだ場合には該複合積層体の歪み変形
に追従して上下方向に伸縮するように構成されている支
持機構を配設しているので、常態においては、上記支持
機構によって上記複合積層体が上方からの荷重によって
上下方向に圧縮されるのを防止し、上記免震構造体が受
止している梁が不用意に下方に撓み、この梁の下方への
撓みに起因して床面が振動するといった不測の事態は発
生せず、常に快適な歩行感を保持することができる。
【0083】一方、地震時には、上記支持機構は上記複
合積層体の歪み変形に追従して上下方向に伸縮するよう
に構成され、該支持機構が上記複合積層体の歪み変形を
阻害することはなく、上記複合積層体の免震性能を完全
且つ確実に発揮し得る。
【0084】そして、上記複合積層体を構成する軟質板
が、炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メ
タ)アクリレート共重合体が、炭素数2〜20のアルキ
ル基を有するアルキル(メタ)アクリレート95〜9
9.8重量%と分子内にリン酸基を有する、炭素数2〜
20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレー
ト0.2〜5重量%との共重合体であると金属板との接
着性が優れ、変形能力が高く免震性能が優れている。従
って、特に、戸建住宅等の軽量構造物の免震構造体とし
て、好適に使用することができる。
【0085】又、請求項2に記載の免震構造体のよう
に、複合積層体の上下面に上下固定板が一体に積層さ
れ、上側固定板を梁に、下側固定板を基礎面に固定する
ように構成されており、上記上下固定板の対向面間に支
持機構が配設されている場合には、上側固定板を梁に、
下側固定板を基礎面に固定することによって直ちに基礎
面と梁との間に免震構造体を配設することができ施工効
率を向上させることができる。
【0086】更に、請求項3に記載の免震構造体のよう
な支持機構を用いた場合には、上下支持部材のいずれか
一方の端部に一体設けたシリンダの内底面に、他方の端
部に一体に設けたピストンの先端面を当接、受止させる
ことによって、複合積層体の圧縮厚み寸法を確実に一定
厚みに保持することができ、床面の振動等を確実に防止
し快適な歩行感を得ることができる。
【0087】又、上下支持部材は上下固定板に自在継ぎ
手を介して接続されており、全方向への円滑な変位が確
保されているので、水平方向のあらゆる方向の地震に対
応することができ、よって、複合積層体の免震性能を阻
害することなく常に完全且つ確実に複合積層体の免震性
能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免震構造体の側面模式図である。
【図2】地震時における免震構造体の歪み状態を示した
側面模式図である。
【図3】本発明の免震構造体の他の一例を示した側面模
式図である。
【図4】本発明の免震構造体の他の一例を示した側面模
式図である。
【図5】図4の支持機構の一部縦断面図である。
【図6】図4の支持機構の一部横縦断面図である。
【図7】本発明の免震構造体の他の一例を示した側面模
式図である。
【図8】図7の支持機構の一部縦断面図である。
【図9】図7の支持機構の一部横縦断面図である。
【符号の説明】
1 免震構造体 2 複合積層体 21 硬質板 22 軟質板 3 支持機構 31 上側支持部材 311 ピストン 311aベアリング 311b転子 32 下側支持部材 321 シリンダ 321a受止面 321bレール 41 上側固定板 42 下側固定板 5 自在継ぎ手 B 梁 C 基礎面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有
    する軟質板とが交互に複数個積層されてなる複合積層体
    と、支持機構よりなる免震構造体であって、上記軟質板
    は、炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メ
    タ)アクリレートの単独重合体又は共重合体からなり、
    上記支持機構は、常態においては上下方向に一定長さを
    保持して上記複合積層体の上下方向の厚みを一定の圧縮
    厚みに保持するとともに、上記複合積層体が地震時に水
    平方向に歪んだ場合には該複合積層体の歪み変形に追従
    して上下方向に伸縮するように構成されていることを特
    徴とする免震構造体。
  2. 【請求項2】 複合積層体の上下面に上下固定板が一体
    に積層され、上側固定板を梁に、下側固定板を基礎面に
    固定するように構成されており、上記上下固定板の対向
    面間に支持機構が配設されていることを特徴とする請求
    項1に記載の免震構造体。
  3. 【請求項3】 支持機構は、上下方向に伸縮自在に接続
    された上側支持部材と下側支持部材とからなり、上記上
    下支持部材のいずれか一方の端部にはシリンダが一体に
    設けられているとともに、他方の端部には上記シリンダ
    に上下方向に変位可能に挿嵌されたピストンが一体に設
    けられ、上記ピストンの先端面を上記シリンダの内底面
    に当接、受止させることによって上記上側支持部材の上
    端部と上記下側支持部材の下端部との間の間隔を複合積
    層体の圧縮厚み寸法に保持するように構成しており、更
    に、上側支持部材の上端部を上側固定板の下面に自在継
    ぎ手を介して連結しているとともに、下側支持部材の下
    端部を下側固定板の上面に自在継ぎ手を介して連結して
    いることを特徴とする請求項2に記載の免震構造体。
JP29223898A 1998-10-14 1998-10-14 免震構造体 Pending JP2000120781A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29223898A JP2000120781A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 免震構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29223898A JP2000120781A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 免震構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000120781A true JP2000120781A (ja) 2000-04-25

Family

ID=17779266

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29223898A Pending JP2000120781A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 免震構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000120781A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010096243A (ja) * 2008-10-15 2010-04-30 Polsys Kenkyusho:Kk 免震構造体及びその製造方法
JP2013164135A (ja) * 2012-02-10 2013-08-22 Bridgestone Corp 免震構造体
KR20190100841A (ko) * 2018-02-21 2019-08-29 한국과학기술원 고강성-고인성 복합 소재 및 이의 설계 방법
CN113982350A (zh) * 2021-11-18 2022-01-28 广东科学技术职业学院 一种土木工程减震装置及其使用方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010096243A (ja) * 2008-10-15 2010-04-30 Polsys Kenkyusho:Kk 免震構造体及びその製造方法
JP2013164135A (ja) * 2012-02-10 2013-08-22 Bridgestone Corp 免震構造体
KR20190100841A (ko) * 2018-02-21 2019-08-29 한국과학기술원 고강성-고인성 복합 소재 및 이의 설계 방법
KR102121005B1 (ko) * 2018-02-21 2020-06-09 한국과학기술원 고강성-고인성 복합 소재 및 이의 설계 방법
CN113982350A (zh) * 2021-11-18 2022-01-28 广东科学技术职业学院 一种土木工程减震装置及其使用方法
CN113982350B (zh) * 2021-11-18 2023-05-05 广东科学技术职业学院 一种土木工程减震装置及其使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8067475B2 (en) Adhesive sheet comprising hollow parts and method for preparing the same
EP0957116B1 (en) Energy-curable ethylenically unsaturated compositions
CN101772808B (zh) 硬盘装置用垫片形成材料及使用该材料的硬盘装置用垫片
WO2003070798A1 (fr) Composition de resine et elements optiques
WO2003078491A1 (fr) Composition de resine et element optique
JP2009141808A (ja) スピーカーエッジ用硬化性制振材料
JPWO2019066020A1 (ja) 衝撃吸収シート
JPH09241589A (ja) 衝撃緩和性粘着シート及び衝撃緩和構造体
JP2000120781A (ja) 免震構造体
JPH0790028A (ja) 光重合性組成物、それを用いた接着性テープおよび粘着性テープ
JP4284469B2 (ja) アクリルシロップ樹脂組成物、それを用いるuv硬化アクリルシート及びその製造方法。
JPH0790229A (ja) 光重合性組成物、それを用いた接着性テープおよび粘着性テープ
JP3577172B2 (ja) 難燃性光重合性組成物及びこれを用いた難燃性粘着テープ
JP3346638B2 (ja) 感圧性接着テ―プの製法
WO1999024519A1 (en) Adhesive sheet for a window glass structure
JP2000291709A (ja) 免震装置
CN113166357A (zh) 可固化的树脂组合物
JP2000002280A (ja) 免震構造体
JP2001040165A (ja) 高減衰ゴム組成物及びこれを用いた免震構造体
JP2000266097A (ja) 複合積層体
JP2000297842A (ja) 積層ゴムアイソレーター
KR102313902B1 (ko) 압축 성능이 우수한 광경화성 아크릴 폼 점착테이프 및 이의 제조방법
JP2001287315A (ja) 免震積層体
JP2001108000A (ja) 免震構造体
JP2002089080A (ja) 免震装置