JPH11300893A - 複合積層体及びその製造方法 - Google Patents

複合積層体及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11300893A
JPH11300893A JP10471098A JP10471098A JPH11300893A JP H11300893 A JPH11300893 A JP H11300893A JP 10471098 A JP10471098 A JP 10471098A JP 10471098 A JP10471098 A JP 10471098A JP H11300893 A JPH11300893 A JP H11300893A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composite laminate
soft
plate
acrylate
photopolymerizable monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10471098A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Azuma
賢一 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP10471098A priority Critical patent/JPH11300893A/ja
Publication of JPH11300893A publication Critical patent/JPH11300893A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建物、住宅等の免震構造体として好適な複合
積層体及び該複合積層体を生産性よく短時間で製造する
ことができる複合積層体の製造方法を提供する。 【解決手段】 剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有
する軟質板とを交互に複数個積層した複合積層体であっ
て、上記粘弾性的性質を有する軟質板は、光重合性モノ
マーを含む配合物を光重合することにより得られる重合
体である複合積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフィスビル、住
宅、橋梁等の構造物の免震支持部材としての免震構造体
に用いられる複合積層体、及び、その製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】オフィスビル、住宅、橋梁等の構造物を
地震災害から守るために、地震時の揺れを抑制する免震
装置が種々開発されている。このような免震装置は、構
造物の基礎体と当該構造物との間に介在させることによ
り、地震入力エネルギーの水平成分と鉛直成分とを、弾
性歪みエネルギーとして吸収するものである。このよう
な免震装置としては、従来から、積層ゴムアイソレー
タ、空気バネ、金属コイルバネ等が一般に用いられてい
る。
【0003】積層ゴムアイソレータとしては、複数個の
鋼板等からなる剛性を有する硬質板と、ゴム等からなる
粘弾性的性質を有する軟質板とを、交互に積層した免震
構造体が一般的であり、ビルや橋梁等の免震装置として
広く用いられている。
【0004】このような免震構造体の軟質板を構成する
ゴム等の弾性体としては、天然ゴム系のゴムが用いられ
ているのが一般的であるが、他の材料としては、高価で
はあっても、耐老化性、耐熱性に優れていることから、
シリコーンゴム系のゴムが用いられるようになった。
【0005】このような複合積層体は、従来から、未加
硫のゴム材料からなるシートと、表面にアルカリ処理等
の接着性向上処理を行った金属とを積層し、加圧成形機
の金型内で加圧、加熱することにより、軟質板を構成す
る未加硫のゴム材料を加硫し、金属板と接着させて製造
されていた。
【0006】しかしながら、この方法によれば、加硫が
完了するまでに長時間を要し、表面粘着性を有する未加
硫ゴムシートを打ち抜いて積層するという煩雑な工程が
必須であり、生産性が悪いという欠点を有していた。
【0007】また、所望の形状に適合しかつ充分な強度
を有する金型の製造が必要であり、加硫プレス機、加硫
缶等の設備が必要であり、所望の大きさの複合積層体を
簡便に製造することが困難であった。
【0008】更に、未加硫ゴムシートを硬質板と積層し
た後に加硫するので、加熱方法や加熱温度によっては加
硫状態が不均一となり、接着力の不充分な部分が複合積
層体中に存在してしまうおそれがあり、加硫条件の厳密
な制御を必要としていた。
【0009】そこで、複合積層体中の各層を積層した
後、軟質板を構成するゴム材料を加硫接着する方法に代
えて、加硫ゴムのように予め成形された軟質板と硬質板
とを接着剤で接着する方法も試みられているが、軟質板
を構成する粘弾性材料、硬質板及び接着剤との適合性や
接着強度の持続性の問題等から、免震装置に適する信頼
性が高い複合積層体を得ることが難しく、汎用されるに
至っていない。
【0010】特開平9−295372号公報には、軟質
板の表面に、ハロゲン化処理、酸処理、低圧プラズマ処
理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、バフがけ処理等
の表面処理を施し、軟質板の表面処理を施した面と隣接
する硬質板とを接着剤により接着することにより、軟質
板を構成する粘弾性的性質を有する材料表面の親和性を
向上させて、汎用の接着剤を用いて軟質板と硬質板とを
均一にかつ強固に接着する方法が開示されている。しか
しながら、特殊な金型や大規模な製造設備が不要であ
り、短時間に簡便に複合積層体を製造することができる
利点はあるものの、軟質層と接着剤層との接着信頼性を
向上させているだけにすぎないので、大きな改善には至
っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、建物、住宅等の免震構造体として好適な複合積層
体及び該複合積層体を生産性よく短時間で製造すること
ができる複合積層体の製造方法を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、剛性を有する
硬質板と粘弾性的性質を有する軟質板とを交互に複数個
積層した複合積層体であって、上記粘弾性的性質を有す
る軟質板は、光重合性モノマーを含む配合物を光重合す
ることにより得られる重合体であることを特徴とする複
合積層体である。以下に本発明を詳述する。
【0013】本発明は、剛性を有する硬質板と粘弾性的
性質を有する軟質板とを交互に複数個積層した複合積層
体である。上記剛性を有する硬質板としては特に限定さ
れず、例えば、金属、セラミックス、プラスチックス、
FRP(繊維強化プラスチック)、ポリウレタン、木
材、紙板、スレート板、コンクリート板、化粧板等が挙
げられる。上記硬質板の剛性としては、ヤング率で1×
107 Pa以上が好ましい。
【0014】上記粘弾性的性質を有する軟質板は、光重
合性モノマーを含む配合物を光重合することにより得ら
れる重合体である。上記軟質板は、0.1〜1Hzにお
ける剪断弾性係数Gが、0.05〜6kgf/cm2
あるものが好ましい。0.05kgf/cm2 未満で
は、剪断弾性係数Gが小さすぎるため、クリープ性が低
下し、6kgf/cm2 を超えると、硬すぎるため、免
震性能が発揮されない。
【0015】上記重合体は、重量平均分子量が、40万
〜800万であるものが好ましい。40万未満である
と、分子量が小さくなりすぎてクリープ性が低下し、8
00万を超えると、硬すぎるため、免震性能が発揮され
ない。
【0016】上記光重合性モノマーを含む配合物は、上
記光重合性モノマーとして、炭素数が2〜20のアルキ
ル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含むもの
であるのが好ましい。
【0017】上記アルキル(メタ)アクリレートとして
は、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オク
チル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチ
ル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アク
リレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチ
ル(メタ)アクリレート、n−ヘプタデシル(メタ)ア
クリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、
n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデ
シル(メタ)アクリレート、n−ノナデシル(メタ)ア
クリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレート等が
挙げられる。
【0018】上記光重合性モノマーを含む配合物は、上
記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な極性基
を有するモノマーを含んでいてもよい。上記モノマーと
しては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー、
これらの無水物;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニ
ルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイ
ルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリ
ルアミド等の含窒素モノマー、2−ヒドロキシ(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、4−ヒドロキシブチルアクリレート、カプロラクト
ン変成(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メ
タ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アク
リレート等の水酸基を有するモノマー等が挙げられる。
【0019】上記共重合可能なモノマーは、上記硬質板
との接着力向上や、免震性能に関わる剪断弾性係数Gの
調整に用いられる。接着力向上とは、上記アルキル(メ
タ)アクリレート重合体に極性を付与することにより、
金属等の高極性の硬質板への接着力を向上させることを
いう。その他の共重合可能なモノマーとしては、例え
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、イソ
ボロニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記モ
ノマーは、主に剪断弾性係数Gの調整に用いられる。
【0020】上記光重合性モノマーを含む配合物は、製
造された重合体のクリープ特性を向上させるために、架
橋性モノマーを含むものであるのが好ましい。上記架橋
性モノマーは、従来のゴムの加硫の場合のように、製造
過程で加硫する工程を必要とせず、光重合の際に、他の
光重合性モノマーと共重合させることにより、短時間で
架橋構造体が形成される。
【0021】上記架橋性モノマーとしては特に限定され
ず、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリ
ル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベン
ゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレー
ト、ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0022】上記架橋性モノマーの含有量は、上記光重
合性モノマーを含む配合物100重量部に対し、0.0
1〜1.0重量部が好ましい。0.01重量部末満であ
ると、架橋度合が不足し、必要な凝集力が得られため、
クリープ特性が低下し、1重量部を超えると、架橋密度
が高くなりすぎ、得られた重合体がもろくなる。より好
ましくは、0.02〜0.8重量部である。
【0023】更に、上記光重合性モノマーを含む配合物
は、この配合物100重量部に対して、0.01〜5重
量部の光重合開始剤を含むものであるのが好ましい。
【0024】上記光重合開始剤としては特に限定され
ず、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(ダロキュア
−2959:メルク社製);α−ヒドロキシ−α,α′
−ジメチル−アセトフェノン(ダロキュア1173:メ
ルク社製);メトキシアセトフェノン、2,2−ジメト
キシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュア65
1:チバガイギー社製)、2−ヒドロキシ−2−シクロ
ヘキシルアセトフェノン(イルガキュア184:チバガ
イギー社製)等のアセトフェノン系;ベンジルジメチル
ケタール等のケタール系;ハロゲン化ケトン、アシルホ
スフィノキシド、アシルホスフォナート等が挙げられ
る。
【0025】上記光重合開始剤の含有量が0.01重量
部未満であると、重合転化率が低下し、モノマー臭のき
つい成形物しか得られず、5重量部を超えると、ラジカ
ル発生量が多くなり、分子量が低下してしまい、必要な
剪断弾性係数Gが得られなくなるおそれがある。より好
ましくは、0.05〜3重量部である。上記光重合開始
剤の量により、重量平均分子量を上記した値に調整する
ことができる。
【0026】上記光重合性モノマーを含む配合物には、
上記重合体の剪断弾性係数Gの調整や、加工性の調整の
ために、充填剤が含有されていてもよい。上記充填剤と
しては特に限定されず、例えば、微粒子又は中空微粒子
が挙げられる。上記微粒子としては、例えば、ガラスビ
ーズ、シリカビーズ、アルミナ、合成雲母等の無機微粒
子;ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等の有機微粒子等が挙げられる。上
記中空微粒子としては、例えば、ガラスバルーン、シラ
スバルーン、フライアッシュバルーン等の無機中空微粒
子;ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−塩化
ビニリデン共重合体、ポリスチレン、フェノール樹脂等
の有機中空微粒子等が挙げられる。
【0027】上記微粒子又は中空微粒子の含有量は、上
記重合体100重量部に対し、180重量部以下が好ま
しい。比重が小さい中空微粒子では、20重量部がより
好ましく、比重が1前後の微粒子又は中空微粒子では、
10〜60重量部がより好ましく、比重が2以上である
ような重い無機微粒子では、70〜150重量部がより
好ましい。
【0028】上記微粒子又は中空微粒子の含有量は、体
積分率において、50体積%以下であるのが好ましい。
50体積%を超えると、剪断弾性係数Gが大きくなり、
免震性能が低下する。
【0029】本発明の免震構造体は、上記硬質板及び上
記軟質板との複合積層体からなるので、鉛直方向にかか
る荷重に耐え、大きな変形を起こさない。上記硬質板及
び上記軟質板の1枚の厚みは、かかる荷重によって異な
るが、0.05〜100mmが好ましい。0.05mm
未満であると、積層枚数が飛躍的に増加し、製造コスト
がかかり、100mmを超えると、鉛直方向の荷重に対
して大きな変形が生じ易くなる。より好ましくは、0.
5〜50mmである。また、各層の厚みは、それぞれ異
なっていてもよい。
【0030】免震時の性能に必要な剪断変形を考慮する
と、上記硬質板の平面形状と上記軟質板の平面形状を同
じにするほうが、材料のコストとしては安くなるので好
ましい。剪断変形性能は、上記軟質板の剪断弾性係数に
大きく依存するため、上記硬質板の平面形状を上記軟質
板より大きくしても、剪断変形性能としては変化しな
い。上記硬質板の平面形状を上記軟質板より小さくする
と、上記軟質板と上記硬質板の接着していない部分が生
じ、上記部分での剪断変形がなされないため、剪断変形
性能としては低下する。
【0031】上記複合積層体の積層枚数は、上記硬質板
及び上記軟質板の合計で、3〜5万枚が好ましく、その
用途やかかる荷重により適宜設定される。本発明の免震
構造体には、その上下に貫通する孔が1カ所以上形成さ
れていてもよく、その孔の中に、例えば、鉛、錫、その
他各種の材料等が封入されていても良い。
【0032】本発明2は、上記剛性を有する硬質板と粘
弾性的性質を有する軟質板とを交互に複数個積層した複
合積層体の製造方法であって、光重合性モノマーを含む
配合物を調製した後、上記硬質板の上に上記光重合性モ
ノマーを含む配合物を塗工し、光重合させて、上記硬質
板の上に軟質板からなる層が形成された2層積層体を作
製し、その後、上記2層積層体を、順次、積層する複合
積層体の製造方法である。
【0033】本発明2においては、まず、光重合性モノ
マーを含む配合物を攪拌、混合等により調製する。次
に、上記硬質板の上に、上記光重合性モノマーを含む配
合物を塗工し、光重合させて、上記硬質板の上に軟質板
からなる層が形成された2層積層体を作製する。上記塗
工の際には、重合反応の終了時に必要な厚みになるよう
に上記配合物を塗工するが、硬質板上に塗工した組成物
が流れ落ちないように、組成物の粘度を1万〜50万c
psの高粘度に調整しておくことが好ましい。
【0034】上記硬質板の周囲に離型紙のフィルムや型
枠で堰を設ければ、1万cps未満の低粘度の組成物で
も流れ落ちずに所定の厚みに塗工することができる。
【0035】次に、塗工した配合物を光重合させるが、
光重合反応は、空気中の酸素及び光重合性組成物に溶解
する酸素によって反応が阻害されるので、光照射は、酸
素の阻害を消去しうるような方法をとる必要がある。上
記方法としては、例えば、光重合性組成物を表面離型処
理したPETやテフロン等のフィルムによって覆い、こ
のフィルムを介して光重合性組成物へ光を照射する方
法、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスにより酸素を置
換した光透過性の窓を有するイナートゾーン中で光重合
性組成物へ光を照射する方法等が挙げられる。後者の方
法において、光重合性組成物の重合転化率が99.7%
以上になる程度まで充分に重合反応を完結させるために
は、雰囲気中の酸素濃度は5000ppm以下である必
要がある。より好ましは、300ppm以下である。
【0036】上記光重合の際には、通常、ランプにより
光を上記塗工物に照射して、重合反応を行わせる。上記
ランプ類としては特に限定されないが、光波長450n
m以下に発光分布を有するものが好ましく、例えば、低
圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケ
ミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェー
ブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0037】なかでも、ケミカルランプが、重合開始剤
の活性波長領域の光を効率よく発光するとともに、重合
開始剤以外の組成物の光吸収が少ないため、内部まで、
光が透過し、高厚膜の重合体を製造することができるの
で好ましい。
【0038】上記ランプによる光重合性組成物への光照
射強度は、得られるポリマーの重合度を左右する因子で
あり、目的とする重合体の性能毎に適宜制御されるもの
であるが、通常のアセトフェノン基を有する開裂型の重
合開始剤を配合した場合、0.1〜100mW/cm2
が好ましい。また、重合開始剤の光分解に有効な波長領
域は、重合開始剤の種類により異なるが、通常、365
〜420nmである。
【0039】上記方法で光重合を行うことにより、上記
硬質板の上に軟質板からなる層が形成された2層積層体
が作製される。次に、同様にして作製された複数の2層
積層体を、必要な枚数及び高さになるように、順次積み
重ね、2〜100kgf/cm2 圧力で圧着することに
より複合積層体を製造する。
【0040】本発明3は、剛性を有する硬質板と粘弾性
的性質を有する軟質板とを交互に複数個積層した複合積
層体の製造方法であって、光重合性モノマーを含む配合
物を調製した後、離型性の支持体シート上に上記光重合
性モノマーを含む配合物を塗工し、光重合させて、上記
支持体シート上に軟質板を形成した後、上記支持体シー
トより軟質板を剥離させ、その後、上記軟質板と硬質板
とを、順次、積層する複合積層体の製造方法である。
【0041】本発明3においては、硬質板の上に軟質板
からなる層を形成する代わりに、離型性の支持体シート
上に上記光重合性モノマーを含む配合物を塗工するほか
は、上記本発明2と同様にして、軟質板を製造する。そ
の後、上記支持体シートより軟質板を剥離させることに
より、軟質板を得る。本発明3では、軟質板と硬質板と
は、別々に製造されているため、得られた軟質板と硬質
板とを、順次、積層し、本発明2の場合と同様の条件で
圧着して複合積層体を製造する。上記複合積層体の製造
方法においては、必要とする複合積層体の形状や種類に
よって、多品種少ロット生産方式も少品種大量生産方式
等の選択を行うことが好ましい。
【0042】
【実施例】以下に本発明の実施例を掲げて更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0043】実施例1 2−エチルヘキシルアクリレート68重量部、イソミリ
スチルアクリレート30重量部、アクリル酸2重量部、
及び、2,2−ジメチル−2−フェニルアセトフェノン
(イルガキュア651:チバガイギー社製)0.1重量
部を均一に分散するまでセパラプルフラスコ中で撹拌、
混合した後、窒素ガスでパージすることにより溶存酸素
を除去した。
【0044】次に、ブラックライトランプでこの原料組
成物に光を照射したところ、原料組成物の温度が上昇す
ると同時に粘度が高くなった。そこで、原料組成物の温
度が5℃上昇したところで、光照射をやめた。その結
果、得られた部分光重合増粘組成物の転化率は5.7
%、粘度は6200cpsであった。
【0045】次に、上記部分光重合増粘組成物に、ヘキ
サンジオールジアクリレート0.1重量部を配合し、重
合用組成物を得た。一方、厚みが1mmと5mmの亜鉛
メッキ鋼板を用いて、300mm×300mm×5mm
の形状の硬質板Aと、200mm×200mm×1mm
の形状の硬質板Bとを作製した。そして、作製した硬質
板Bの周囲に離型処理した50μ厚みのPETフィルム
を接着し、重合用組成物流出防止用の堰とした。
【0046】上記堰が設けられた硬質板Bを、酸素濃度
が50ppmに調整されたブース内に挿入し、重合用組
成物を塗工した後、ケミカルランプを用い、照射強度が
2mw/cm2 となるようにランプ高さを調整し、光を
8分問照射した。照射終了後の試料の残存モノマーは
0.1重量%未満であり、剪断弾性係数Gは0.4Hz
で0.8kgf/cm2 であった。
【0047】次に、図1に示すように、上記工程を繰り
返すことにより得られた、硬質板B2と軟質板3とから
なる複数の2層積層体1、硬質板A4、及び、フランジ
を、圧着機を用いて10kgf/cm2 の圧着力で圧着
し、複合積層体を製造した。上記複合積層体において、
硬質板B2と軟質板3との接着、及び2層積層体1同士
の接着は、軟質板の粘弾性特性のために、接着剤等を用
いずとも強固に接着されていた。
【0048】実施例2 ブチルアクリレート95重量部、アクリル酸5重量部、
2,2−ジメチル−2−フェニルアセトフェノン(イル
ガキュア651:チバガイギー社製)0.1重量部、比
重0.25のフライアッシュバルーン微粒子(XOL−
200:PQコーポレーション社製)5重量部、親水性
シリカ(アエロジル200CF:日本アエロジル社
製)、及び、ヘキサンジオールジアクリレート0.1重
量部を、均一に分散するまで攪拌槽中で撹拌、混合した
後、窒素ガスでパージすることにより溶存酸素を除去し
た。この重合用組成物の粘度は、8500cpsであっ
た。
【0049】次に、上記重合用組成物を、離型処理が施
された50μの厚みのPETフィルム上に、重合終了時
の厚みが1.0±0.1mmとなるように塗工し、更に
同じPETフィルムを、その離型処理面が塗工面に接す
るようにカバーした。
【0050】次に、ケミカルランプを用い、上記カバー
PETフィルム上の照射強度が2mw/cm2 となるよ
うにランプ高さを調整し、光を10分問照射した。照射
終了後の試料の残存モノマーは0.1%未満であり、剪
断弾性係数Gは0.4Hzで2.0kgf/cm2 であ
った。このようにして得られたシートを実施例1の場合
と同様の形状に断裁して軟質板とした。
【0051】次に、硬質板A4及び硬質板B2として、
実施例1で使用したものと同じものを使用し、軟質板
3、硬質板A4、硬質板B2及びフランジを積層した
後、圧着機を用いて10kgf/cm2 の圧着力で圧着
し、複合積層体を製造した。上記複合積層体において、
硬質板A4、硬質板B2と軟質板3との接着は、軟質板
3の粘弾性特性のために、接着剤等を用いずとも強固に
接着されていた。
【0052】比較例1 天然ゴム100重量部、カーボンブラック50重量部、
ポリブテン(100R:出光石油化学社製)95重量部
及び硫黄1.5重量部をバンバリーミキサーで10分問
混練りした後、2本のロールで圧延加工を行い、1mm
±0.1mmのゴムシートを得た。次に、上記ゴムシー
トに、130℃で4時間加硫を行い、加硫済みゴムシー
トを得た。得られた加硫済みゴムシートの0.4Hzで
の剪断弾性係数は3.0kgf/cm2 であった。
【0053】次に、上記加硫済みゴムシートを、200
mm×200mmの寸法に裁断し、軟質板とした。続い
て、実施例1の場合と同じ硬質板A及び硬質板Bを用
い、硬質板Bの軟質板と接触する側の表面に、サンドブ
ラストによる表面処理を行った。その後、被処理面に、
2液硬化型のエポキシ系接着剤(エスダイン3100:
積水化学工業社製)を乾燥後の膜厚が30μとなるよう
に塗布し、軟質板を貼り合わせた。その後、100℃で
1時間放置することにより、エポキシ系接着剤による硬
化反応を終了させ、複合積層体を得た。
【0054】比較例2 天然ゴム100重量部、カーボンブラック50重量部、
ポリブテン(100R:出光石油化学社製)95重量部
及び硫黄1.5重量部をバンバリーミキサーで10分問
混練りし、2本のロールで圧延加工を行い、1mm±
0.1mmのゴムシートを得た。
【0055】次に、比較例1の場合と同様に軟質板を作
製し、実施例1の場合と同様に硬質板A及び硬質板Bを
用い、表面処理を行った後、これらと軟質板とを接着剤
で貼り合わせ、複合積層体前駆体とした。
【0056】次に、80℃程度に予熱された加圧成型機
の金型に、上記複合積層体前駆体を装着し、高温水蒸気
を熱源とする加圧成型機内に金型をセットした後、13
0℃の温度、20kgf/cm2 の圧力で4時間放置
し、加硫成型及びエポキシ接着剤の反応を行い複合積層
体を製造した。上記複合積層体中のゴムシートの性能を
評価するために、複合積層体を解体して剪断弾性係数を
測定した。
【0057】評価方法 上記実施例及び比較例につき、以下のような生産サイク
ルの評価、及び、軟質板の剪断弾性係数Gの測定を行っ
た。
【0058】(1)生産サイクルの評価 原料組成物を調製した後、複合債層体を作成するまでの
時間を総計とし、総計の時間、原料組成物調製後(比
較例1、2では、混練り後)、軟質板の製造終了までの
時間、及び、軟質板と硬質板A、Bから複合積層体を
製造するまでの時間(加硫工程、接着剤工程を含む)を
測定した。結果を下記の表1に示した。
【0059】(2)軟質板の剪断弾性係数Gの測定 (A)複合積層体の最外周及び最上部の軟質板又はゴム
シート、(B)複合積層体の平面及び断面の中心、つま
り複合積層体中心部の軟質板又はゴムシートについて、
0.4Hzでの剪断弾性係数を測定した。結果を下記の
表1に示した。
【0060】
【表1】
【0061】上記表1の結果より明らかなように、実施
例1及び実施例2の場合は、比較例1及び比較例2の場
合と比較して、短時間に安定した品質の複合積層体を製
造することができた。
【0062】
【発明の効果】本発明の複合積層体は上述の構成からな
るので、建物、住宅等の免震構造体として好適な低コス
トの複合積層体を提供することができる。上記複合積層
体は、低コストであるため、特に、戸建住宅に好適に用
いられる。また、本発明の複合積層体の製造方法は、上
述の構成からなるので、従来のゴムを積層した複合積層
物に比ベ、加硫にかかる工程や接着剤の塗布乾燥にかか
る工程が短縮され、上記複合積層体を生産性よく短時間
で製造することができる。また、光重合では、均一に重
合が進行し、均一性能の軟質板が得られる。更に、硬質
板の平面形状に合わせた軟質板の層を作製でき、軟質板
の材料ロスが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製された複合積層体を模式的に表し
た断面図である。
【符号の説明】
1 2層積層体 2 硬質板B 3 軟質板 4 硬質板A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有
    する軟質板とを交互に複数個積層した複合積層体であっ
    て、前記粘弾性的性質を有する軟質板は、光重合性モノ
    マーを含む配合物を光重合することにより得られる重合
    体であることを特徴とする複合積層体。
  2. 【請求項2】 光重合性モノマーを含む配合物は、光重
    合性モノマーとして、炭素数が2〜20のアルキル基を
    有するアルキル(メタ)アクリレートを含むとともに、
    架橋性モノマーと、前記光重合性モノマーを含む配合物
    100重量部に対して、0.01〜5重量部の光重合開
    始剤とを含むものである請求項1記載の複合積層体。
  3. 【請求項3】 剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有
    する軟質板とを交互に複数個積層した複合積層体の製造
    方法であって、光重合性モノマーを含む配合物を調製し
    た後、前記硬質板の上に前記光重合性モノマーを含む配
    合物を塗工し、光重合させて、前記硬質板の上に軟質板
    からなる層が形成された2層積層体を作製し、その後、
    前記2層積層体を、順次、積層することを特徴とする複
    合積層体の製造方法。
  4. 【請求項4】 剛性を有する硬質板と粘弾性的性質を有
    する軟質板とを交互に複数個積層した複合積層体の製造
    方法であって、光重合性モノマーを含む配合物を調製し
    た後、離型性の支持体シート上に前記光重合性モノマー
    を含む配合物を塗工し、光重合させて、前記支持体シー
    ト上に軟質板を形成した後、前記支持体シートより前記
    軟質板を剥離させ、その後、前記軟質板と硬質板とを、
    順次、積層することを特徴とする複合積層体の製造方
    法。
JP10471098A 1998-04-15 1998-04-15 複合積層体及びその製造方法 Pending JPH11300893A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10471098A JPH11300893A (ja) 1998-04-15 1998-04-15 複合積層体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10471098A JPH11300893A (ja) 1998-04-15 1998-04-15 複合積層体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11300893A true JPH11300893A (ja) 1999-11-02

Family

ID=14388047

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10471098A Pending JPH11300893A (ja) 1998-04-15 1998-04-15 複合積層体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11300893A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002105385A (ja) * 2000-09-28 2002-04-10 Nisshin Sangyo:Kk 塗布式断熱材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002105385A (ja) * 2000-09-28 2002-04-10 Nisshin Sangyo:Kk 塗布式断熱材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8067475B2 (en) Adhesive sheet comprising hollow parts and method for preparing the same
JP5155738B2 (ja) アクリル系感圧接着テープ又はシート
JP6632115B2 (ja) 接着性樹脂層及び接着性樹脂フィルム
JP5227658B2 (ja) 基材付き光重合体層及びその製造方法
JP2009013361A (ja) 両面粘着テープ
JP2005179561A (ja) 気泡含有粘弾性組成物、及び感圧性接着テープまたはシート
JP2865534B2 (ja) 接着性テープおよび粘着性テープ
JP2010248353A (ja) (メタ)アクリル樹脂組成物及びこれを用いた解体方法
JPH08209083A (ja) アクリル系粘着剤およびアクリル系粘着テープ
JPH0790229A (ja) 光重合性組成物、それを用いた接着性テープおよび粘着性テープ
JPH08259908A (ja) 両面粘着テープ、両面粘着テープの積層体および両面粘着テープの製造方法
JPH07133467A (ja) アクリル系粘着テープ
JP2877678B2 (ja) 両面粘着テープ
JP2998874B2 (ja) 多層粘着剤構造物
JP3346638B2 (ja) 感圧性接着テ―プの製法
JPH11152457A (ja) アクリル系粘着テープもしくはシート
JP5350055B2 (ja) 接着剤用(メタ)アクリル系樹脂組成物
JPH08109356A (ja) アクリル系粘着テープ
JP3370428B2 (ja) アクリル系両面粘着テープ
JPH11300893A (ja) 複合積層体及びその製造方法
JPH08311414A (ja) アクリル系粘着テープ
JPH09221639A (ja) 難燃性粘着フィルムおよびテープ
JP2004059893A (ja) アクリル系粘着剤組成物及び粘着テープ
JP2001040165A (ja) 高減衰ゴム組成物及びこれを用いた免震構造体
JP2004051708A (ja) 装飾板材の固定方法及び両面粘着テープ