JP2001123817A - 消音器用バルブ装置 - Google Patents

消音器用バルブ装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弁孔41を有するハウジング42に一端部4
3aを固定した、弾性的に撓み変形可能な板状弁43を
有する消音器用バルブ装置において、板状弁43の開閉
振動を抑制して、安定した消音効果を得られるようにす
る。 【解決手段】 板状弁43の開き側の面に一端を当接さ
せる板ばね47を設ける。板ばね47を板状弁43に対
し傾斜させて当接させ、板状弁43の開き側への撓み量
が増加するのに伴い板状弁43に対する板ばね47の当
接位置が板状弁43の固定端たる一端部43a側に変位
するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として車両用エ
ンジンの排気系に介設する消音器用のバルブ装置に関
し、更に詳細には、消音器内の排気ガスのバイパス経路
を排気圧が所定圧に上昇したときに開くバルブ装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、先に、この種のバルブ装
置として、特願平10−110580号や特願平10−
177414号により、排気ガスが流通する弁孔を有す
るハウジングと、弁孔を開閉するバルブとを備え、バル
ブを弾性的に撓み変形可能で一端部をハウジングに固定
した板状弁で構成するものを提案している。
【0003】尚、特願平10−110580号のバルブ
装置では、ハウジングに、板状弁が自己の撓み変形によ
る弾性復元力で閉じ側に付勢された状態で着座する弁座
部を形成し、この弾性復元力を上回る排気圧が板状弁に
作用したときに板状弁が開き側に撓んで弁孔が開かれる
ようにし、また、特願平10−177414号のバルブ
装置では、ハウジングに、板状弁を囲って板状弁の開き
側にのびる囲い壁を設けて、囲い壁の内周空間で弁孔を
構成し、排気圧が所定圧を越えたとき板状弁が囲い壁の
開口端を越える位置まで撓んで弁孔が開かれるようにし
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記先願のものでは、
排気圧が板状弁をかろうじて開かせる程度の圧力である
場合、板状弁が開いてもその開度が小さいため板状弁を
通過する排気流量は少なく、そのため、板状弁の開きを
保持できる程の排気流の動圧は板状弁に作用せず、その
結果、板状弁は閉じ、その後再び排気の静圧により板状
弁が開くという開閉動作を繰返し、板状弁の開閉振動を
生ずる。そして、このような開閉振動を生ずると、排気
音の減衰量が変動し、安定した消音効果が得られなくな
る。
【0005】本発明は、以上の点に鑑み、板状弁の開閉
振動を抑制し得るようにした、上記先願の改良装置を提
供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明は、消音器内の排気ガスのバイパス経路を排気圧
が所定圧に上昇したときに開くバルブ装置であって、排
気ガスが流通する弁孔を有するハウジングと、弁孔を開
閉するバルブとを備え、バルブを弾性的に撓み変形可能
で一端部をハウジングに固定した板状弁で構成するもの
において、板状弁を閉じ側に付勢する付勢手段を備えて
いる。
【0007】本発明によれば、付勢手段により板状弁が
押え付けられてその開閉振動が抑制される。ここで、付
勢手段は、板状弁に付勢手段の付勢力によって付与され
る閉じ側への曲げモーメントが板状弁の開き側への撓み
量が増加するのに伴い減少するように構成することが望
ましい。これによれば、排気圧が上昇して板状弁が開き
側に撓み出すと、付勢手段により付与される閉じ側への
曲げモーメントが減少するため、板状弁は一気に開き、
逆に、排気圧が低下して板状弁が閉じ側に復元し出す
と、付勢手段により付与される閉じ側への曲げモーメン
トが増加するため、板状弁は一気に閉じる。このよう
に、板状弁は開状態と閉状態とに瞬時に切換わり、過渡
状態で開閉を繰返すことがない。かくて、板状弁の開閉
振動が効果的に抑制され、安定した消音効果が得られ
る。
【0008】尚、板状弁の開き側の面に一端を当接させ
る板ばねを用い、板状弁の開き側への撓み量が増加する
のに伴い板状弁に対する板ばねの当接位置が板状弁の前
記一端部側に変位するように、板ばねを板状弁に対し傾
斜させて当接させれば、板ばねだけで上記付勢手段を構
成でき、構造の簡素化を図れる。
【0009】また、板状弁が過度に撓むことを防止する
ため、板状弁の開き側への撓みを定位置で規制するスト
ッパ部材を設ける場合、このストッパ部材に板ばねの他
端を固定し、ストッパ部材を板ばねの取付ブラケットに
兼用することが望ましい。ここで、ストッパ部材は、板
状弁の応力を適切に分散できるような形状に形成する
が、板状弁がストッパ部材に当接するとき、板状弁とス
トッパ部材との間に板ばねが介在すると、ストッパ部材
に対しその形状通りに板状弁が当接しなくなり、応力分
散効果が薄れる。この場合、板状弁がストッパ部材に当
接したときに板ばねが収納される開口部をストッパ部材
に形成しておけば、板状弁がストッパ部材に板ばねを介
さずに直に当接し、応力分散効果が充分に発揮されて、
板状弁の耐久性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1を参照して、1は内燃機関の
排気系の途中に介設される消音器であり、筒状のシェル
11と、シェル11の一端と他端とを閉塞する端壁1
2、13とで構成される消音器本体内に、第1と第2の
1対のセパレータ14、15を設け、本体内の空間を、
一端壁12と第1セパレータ14との間の第1消音室3
1と、第1セパレータ14と第2セパレータ15との間
の第2消音室32と、第2セパレータ15と他端壁13
との間の第3消音室33とに区劃している。更に、消音
器1に、一端壁12と第1セパレータ14と第2セパレ
ータ15とを夫々貫通して第3消音室33に連通する排
気流入管21と、第2セパレータ15と第1セパレータ
14とを夫々貫通して第3消音室33と第1消音室31
とを連通するインナーパイプ22と、他端壁13と第2
セパレータ15と第1セパレータ14とを夫々貫通して
第1消音室31に連通する排気流出管23とを設けてい
る。そして、排気流入管21の第2消音室32部分の管
壁に多数の透孔21aを穿設すると共に、インナーパイ
プ22の第2消音室32部分の管壁にも多数の透孔22
aを穿設して、排気流入管21とインナーパイプ22と
を第2消音室32を介して連通できる構造にしている。
【0011】これによれば、排気流入管21に流入した
排気ガスの流通経路は、第3消音室33とインナーパイ
プ22と第1消音室31とを介して排気流出管23に至
る経路と、透孔21aと第2消音室32と透孔22aと
インナーパイプ22と第1消音室31とを介して排気流
出管23に至る経路との2系統になる。
【0012】ところで、内燃機関の高速回転に伴って多
量の排気ガスが排気流入管21に流入すると、上記2系
統だけの排気ガスの流通経路では消音室32,33内の
排気圧が高くなり、ひいては、内燃機関の出力が低下す
る。
【0013】このため、第1セパレータ14に、第2消
音室32と第1消音室31とを連通するバイパス経路用
の開口部14aを設け、この開口部14aに、排気圧が
所定圧に上昇したときにバイパス経路を開くバルブ装置
4を設け、内燃機関の高回転域では、上記した2系統に
バイパス経路を追加した3系統の流通経路で多量の排気
ガスが大気にスムーズに排出されるようにしている。
【0014】バルブ装置4は、図2に示すように、弁孔
41を有するハウジング42と、弁孔41を開閉するバ
ルブたる、弾性的に撓み変形可能な板状弁43とを備え
ており、ハウジング42を第1セパレータ14に弁孔4
1が前記開口部14aに合致するようにねじ44止めし
ている。
【0015】ハウジング42は、鍛造または鋳造品から
成る角形部材で形成され、その中央部に弁孔41と、こ
れに隣接するバルブ固定部42bとを設け、板状弁43
の一端部43aをバルブ固定部42bにねじ45で固定
している。そして、ハウジング42に、一端部43aを
除く板状弁43の周縁、即ち、板状弁43の他端部43
b及び両側縁部43cを囲む略コの字形の囲い壁42a
を、ハウジング42の表面から板状弁43の開き側に延
出し、この囲い壁42aの内周空間で前記弁孔41を構
成している。
【0016】尚、囲い壁42aの内周面と板状弁43の
周縁との間には、板状弁43の開閉動作に際してのこじ
りを防止するために隙間が確保されるようにしている
が、この隙間の幅は僅かであり、板状弁43が囲い壁4
2aで囲われる空間、即ち、弁孔41内に位置する限
り、弁孔41における排気ガスの流通は実質的に遮断さ
れる。
【0017】また、板状弁43の開き側への撓みを規制
する板状のストッパ部材46を前記ねじ45でハウジン
グ42に板状弁43と共に共締めし、板状弁43が開き
側に過度に撓むことを防止している。
【0018】以上の構成によれば、第2消音室32内の
排気圧を受けて板状弁43が撓むが、排気圧が低いうち
は板状弁43が弁孔41内に位置しており、弁孔41は
実質的に閉鎖されている。そして、第2消音室32内の
排気圧が所定圧に上昇すると、板状弁43が囲い壁42
aの開口端を越える位置まで撓んで弁孔41が開放さ
れ、排気ガスがバイパス経路に流れることになる。
【0019】ここで、本実施形態では、板状弁43を閉
じ側に付勢する付勢手段として働く板ばね47を設けて
いる。板ばね47は、その一端が板状弁43の開き側の
面に当接するように、その他端においてストッパ部材4
6に固定されている。そして、板ばね47を板状弁43
に対し板状弁43の固定端たる一端部43a側に傾斜さ
せて当接させ、板状弁43の開き側への撓み量が増加す
るのに伴い板状弁43に対する板ばね47の当接位置が
板状弁43の一端部43a側に変位するようにしてい
る。
【0020】ここで、板状弁43には、板ばね47の付
勢力により閉じ側への曲げモーメントが付与される。そ
して、板状弁43に対する板ばね47の当接位置が上記
の如く変位するのに対し板ばね47の付勢力は左程変化
しないため、板状弁43に付与される閉じ側への曲げモ
ーメントは板状弁43の開き側への撓み量が増加するの
に伴い減少することになる。かくて、排気圧が上昇して
板状弁43が開き側に撓み出すと、板ばね47により付
与される閉じ側への曲げモーメントが減少し、その結
果、板状弁43は一気に開くことになる。また、排気圧
が低下して板状弁43が閉じ側に撓み出すと、板ばね4
7により付与される閉じ側への曲げモーメントが増加
し、その結果、板状弁43は一気に閉じることになる。
このように、板状弁43は開状態と閉状態とに瞬時に切
換わるため、過渡状態で開閉を繰返すことがなく、板状
弁43の開閉振動が抑制される。
【0021】尚、板ばね47の他端は、その外面に板状
のリテーナ47aを重ね合わせた状態でストッパ部材4
6の先端部にスポット溶接等で固定さてれおり、板ばね
47の固定点に応力が集中することをリテーナ47aで
防止して、耐久性を向上させている。また、本実施形態
において、板状弁43と板ばね47とは同材質(例えば
INCO718(高温・高強度ニッケル系合金))と
し、板状弁43の板厚を例えば0.15mm、板ばね4
7の板厚を例えば0.10mmに設定している。このよ
うに板状弁43の板厚を板ばね47よりも厚くするの
は、板状弁43が板ばね47の当接箇所で折れ曲るよう
にして撓むことを防止するためである。
【0022】図3は第2実施形態を示しており、上記第
1実施形態と同一の部材には上記符号と同一の符号を付
している。第2実施形態では、ストッパ部材46の先端
部背面に板ばね47の他端を固定し、ストッパ部材46
に、板状弁43がストッパ部材46に当接したときに板
ばね47が収納される開口部46aを形成している。
【0023】第1実施形態のものでは、板状弁43がス
トッパ部材46との間に板ばね47を挟み込んだ状態で
ストッパ部材46に当接するが、第2実施形態のもので
は、板状弁43がストッパ部材46に板ばね47を介さ
ず直に当接する。ここで、ストッパ部材46は、板状弁
43の応力を適切に分散できるような形状に形成する
が、第1実施形態のものでは、板状弁43とストッパ部
材46との間に板ばね47が挟み込まれるため、ストッ
パ部材46に対しその形状通りに板状弁43が当接せ
ず、応力分散効果が薄れる。一方、第2実施形態のもの
では、板状弁43がストッパ部材46に直に当接するた
め、応力分散効果が充分に発揮され、板状弁43の耐久
性が向上する。
【0024】以上、ハウジング42に板状弁43を囲う
囲い壁42aを形成したバルブ装置4に本発明を適用し
た実施形態について説明したが、ハウジングに板状弁が
着座する弁座を形成したバルブ装置にも同様に本発明を
適用できる。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から明からように、本発明に
よれば、板状弁の開閉振動を抑制でき、排気音の減衰量
の変動が防止されて安定した消音効果が得られ、商品性
が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明バルブ装置を具備する消音器の一例の
断面図
【図2】 (A)本発明バルブ装置の第1実施形態の断
面図、(B)図2(A)の左側面図
【図3】 (A)本発明バルブ装置の第2実施形態の断
面図、(B)図3(A)の左側面図
【符号の説明】
1 消音器 4 バルブ装置 41 弁孔 42 ハウジング 43 板状弁 43a 一端部 46 ストッパ部材 46a 開口部 47 板ばね

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消音器内の排気ガスのバイパス経路を排
    気圧が所定圧に上昇したときに開くバルブ装置であっ
    て、 排気ガスが流通する弁孔を有するハウジングと、弁孔を
    開閉するバルブとを備え、バルブを弾性的に撓み変形可
    能で一端部をハウジングに固定した板状弁で構成するも
    のにおいて、 板状弁を閉じ側に付勢する付勢手段を備えることを特徴
    とする消音器用バルブ装置。
  2. 【請求項2】 前記付勢手段は、前記板状弁に前記付勢
    手段の付勢力によって付与される閉じ側への曲げモーメ
    ントが板状弁の開き側への撓み量が増加するのに伴い減
    少するように構成されることを特徴とする請求項1に記
    載の消音器用バルブ装置。
  3. 【請求項3】 前記付勢手段の構成部材として前記板状
    弁の開き側の面に一端を当接させる板ばねを用い、板状
    弁の開き側への撓み量が増加するのに伴い板状弁に対す
    る板ばねの当接位置が板状弁の前記一端部側に変位する
    ように、板ばねを板状弁に対し傾斜させて当接させるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の消音器用バルブ装置。
  4. 【請求項4】 前記板状弁の開き側への撓みを定位置で
    規制するストッパ部材を設け、このストッパ部材に前記
    板ばねの他端を固定すると共に、板状弁がストッパ部材
    に当接したときに板ばねが収納される開口部をストッパ
    部材に形成することを特徴とする請求項3に記載の消音
    器用バルブ装置。
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