JP2001123190A - グリース封入転がり軸受 - Google Patents

グリース封入転がり軸受

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JP2001123190A
JP2001123190A JP30555599A JP30555599A JP2001123190A JP 2001123190 A JP2001123190 A JP 2001123190A JP 30555599 A JP30555599 A JP 30555599A JP 30555599 A JP30555599 A JP 30555599A JP 2001123190 A JP2001123190 A JP 2001123190A
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rolling bearing
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lubricating
bearing
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JP30555599A
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Masakazu Hirata
正和 平田
Eishin Mikami
英信 三上
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速回転時にグリースを飛散させず安定して
低トルクで回転し、低騒音で長時間回転できる優れた音
響特性のグリース封入転がり軸受とすることである。 【解決手段】 潤滑グリースを転がり軸受内に封入した
グリース封入転がり軸受において、前記潤滑グリース
が、40℃における動粘度が30〜70mm2/sであ
りかつ溶解度パラメータが8.3〜9.0のエステル油
を基油とし、この基油に炭素数12〜24の脂肪酸リチ
ウム塩などからなる増ちょう剤を配合し、混和ちょう度
(JIS K2220)を175〜250に調整した潤
滑グリースであり、この潤滑グリースを転がり軸受内の
空間容積の5〜20%封入したグリース封入転がり軸受
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、グリース封入転
がり軸受に関し、特に電子情報等の記録や再生を行なう
電子情報の記録・再生装置または空調機器の送風機モー
タ等に適用できるグリース封入転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】近年開発されたハードディスクドライブ
(HDD)、ビデオテープレコーダ(VTR)などの磁
気記録・再生装置、レーザービームプリンタ(LBP)
などの印刷機器、コンパクトディスク(CD)、CD−
ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、DVD−
ROM等の光学的手段による記録・再生装置その他の電
子情報記録・再生装置において装着されている軸受は、
このような装置の小形化の要求に伴い、または装置の消
費電力を抑えるために装置内回転軸の低トルク化が要求
されている。
【0003】従来、上記したような電子情報記録・再生
装置等に使用される転がり軸受としては、ミニアチュア
軸受と呼ばれるような小径で高速回転する転がり軸受が
知られており、その潤滑には潤滑油や潤滑グリースなど
が用いられてきた。
【0004】潤滑グリースは、ちょう度に応じて潤滑
(攪拌)抵抗があり、回転軸にトルクを負荷すると共に
トルク変動の原因となるので、このような欠点を改良し
た潤滑グリースが要望されている。特に、転がり軸受を
高速で使用した場合に、低発塵化、長寿命化を図る潤滑
剤組成物として、特開平8−283767号公報には、
40℃での動粘度が10mm2 /s以上のエステル油を
必須成分とした潤滑剤組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
のグリース封入転がり軸受は、転がり軸受の回転トルク
を小さくするために、できるだけ少量の潤滑グリースを
要所に塗布または充填して用いるので、高速回転する電
子情報等記録・再生装置の軸受から遠心力で潤滑剤がご
く少量が飛散しただけでも潤滑不足を起こし易いという
問題点があった。
【0006】そして、高速回転する転がり軸受の摩擦面
に潤滑油が不足すると、軸受の回転トルクが急増して電
子情報等記録・再生装置の精密な機構に悪影響を与え、
その結果として電子情報の読み取りや書き込みにエラー
を生じやすくなり、情報の記録・再生時に信頼性がなく
なるという問題も生じるようになる。
【0007】さらに、転がり軸受の摩擦面に潤滑油が不
足すると、ほぼ同時に騒音が発生し軸受音響が悪くな
る。
【0008】特に、空調機器の送風機モータ用軸受で
は、空調機器の急速冷却運転後の低速運転状態において
空調機器内の冷却不足によって過熱しやすく、軸受が1
00〜120℃前後に加熱されるとグリースが軸受内で
流動し、トルクが安定しなくなり騒音も発生する場合が
あった。
【0009】そこで、本願のグリース封入転がり軸受に
係る発明の課題は、上記した問題点を解決して、高速回
転条件でもグリースを飛散させず安定して低トルクで回
転し、低騒音で長時間回転できる優れた音響特性のグリ
ース封入転がり軸受とすることである。
【0010】また、本願の電子情報の記録・再生装置用
のグリース封入転がり軸受に係る発明の課題は、高速回
転時にグリースを飛散せずに安定した低トルクで回転す
ると共に、低騒音で長時間回転し、これによって電子情
報の読み取りや書き込みにエラーを生じ難くする電子情
報の記録・再生装置用のグリース封入転がり軸受を提供
することである。
【0011】また、本願の空調機器の送風機モータ用の
グリース封入転がり軸受に係る発明の課題は、安定して
低トルクで回転し、これにより、空調機器の急速冷却運
転後の低速運転状態において低騒音で長時間回転する空
調機器の送風機モータ用のグリース封入転がり軸受とす
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本願のグリース封入転がり軸受に係る発明において
は、転がり軸受内の空間に、混和ちょう度(JIS K
2220)を175〜250に調整した潤滑グリースを
前記空間容積の5〜20%封入してなるグリース封入転
がり軸受としたのである。
【0013】上記のグリース封入転がり軸受における潤
滑グリースは、40℃における動粘度が30〜70mm
2 /sのエステル油を含有する基油に、リチウム石鹸ま
たはウレアからなる増ちょう剤を配合した潤滑グリース
を採用することが好ましい。
【0014】また、上記のグリース封入転がり軸受にお
いて、潤滑グリースは、40℃の動粘度が30〜70m
2 /sのエステル油を30重量%以上含有する基油
に、増ちょう剤として炭素数12〜24の脂肪酸リチウ
ム塩を配合し、かつ混和ちょう度(JIS K222
0)を175〜250に調整したものを採用し、この潤
滑グリースを転がり軸受内の空間容積の5〜20%量封
入してグリース封入転がり軸受を構成することが好まし
い。
【0015】混和ちょう度を所定範囲に調整したこの発
明のグリースは、転がり軸受内で攪拌されてせん断力を
受けた際にも軸受外に飛散または流出し難く、軸受の潤
滑不足を起こさないという所要のちょう度を維持する。
【0016】また、潤滑グリースを転がり軸受内に空間
容積の5〜20%封入することにより、高速回転する転
がり軸受または高温に加熱された状態で回転する転がり
軸受の摩擦面を潤滑グリースが確実に不足せず潤滑する
ようになり、かつ軸受内での流動によって軸受トルクに
変動が起こらないようになる。
【0017】また、40℃における動粘度が30〜70
mm2 /sのエステル油を好ましくは30重量%以上含
有する基油を採用した前記グリースは、グリースから摩
擦面に供給された潤滑油(基油)が所定の動粘度を有し
て摩擦面に所要厚みの潤滑油膜を形成し、転がり軸受の
高速回転状態での潤滑性を向上させ、回転トルクを低い
状態で安定させる。
【0018】また、リチウム石鹸またはウレアからなる
増ちょう剤、好ましくは炭素数12〜24の脂肪酸リチ
ウム塩を増ちょう剤とし、これを好ましくは50重量%
以上配合した前記グリースは、高温でちょう度が安定す
るという優れたグリースになり、上記作用が高温条件で
も安定する。
【0019】また、高速回転時にグリースを飛散せずに
安定した低トルク、低騒音で長時間回転させるという課
題を確実に解決するために、潤滑グリースを転がり軸受
内に封入したグリース封入転がり軸受において、前記潤
滑グリースが、40℃における動粘度が30〜70mm
2 /sでありかつ溶解度パラメータが8.3〜9.0の
エステル油を基油とし、この基油に炭素数12〜24の
脂肪酸リチウム塩からなる増ちょう剤を配合し、混和ち
ょう度(JIS K2220)を175〜250に調整
した潤滑グリースであり、この潤滑グリースを転がり軸
受内の空間容積の5〜20%封入したグリース封入転が
り軸受としたのである。
【0020】上記発明においては、グリースの基油とし
て所定溶解度パラメータのエステル油を使用すること以
外についての作用は前述の通りである。そして、所定溶
解度パラメータのエステル油をグリースの基油としたこ
とにより、このグリースは、基油と増ちょう剤の親和性
が極めて高くなって、軸受回転時にせん断を受けても過
剰に軟化せず、すなわち飛散し難いものになり、潤滑不
足が防止される。そして、このようなグリースを封入し
た転がり軸受は、長時間低騒音状態で回転軸を支持でき
るものになる。
【0021】このように本願の発明に係るグリース封入
転がり軸受は、潤滑グリースが飛散・流出し難く、軸受
内での流動によるトルク変動がなく、高速回転しても潤
滑不足を起こさずに安定して低トルクで騒音を発するこ
となく回転する。
【0022】また、上記潤滑グリースの作用によって、
グリース封入転がり軸受の騒音は防止され、転がり軸受
は長寿命化し、電子情報等の記録再生装置の情報の記録
・再生時の誤動作を防止する。
【0023】また、同様に、低騒音で長時間回転する空
調機器の送風機モータ用のグリース封入転がり軸受にな
る。
【0024】
【発明の実施の形態】本願の各請求項に記載された発明
に用いる転がり軸受は、通常、内輪と外輪の間に「こ
ろ」または「玉(ボール)」からなる多数の転動体を配
置し、回転軸のラジアル方向もしくはスラスト方向また
は両方向から支持する転がり軸受であり、前記各転動体
同士の間隔を保持器で配置したものである。因みに、電
子情報等の記録・再生装置には、通常、軸受の内径が1
0mm未満で外径3〜30mm程度の転がり軸受が用い
られる場合が多く、ミニアチュア軸受と呼ばれる軸受も
このような軸受用途に使用される場合が多い。
【0025】このような転がり軸受内の内輪と外輪の間
には、転動体および保持器の体積を除いた容積の空間
(空隙)が存在する。
【0026】潤滑グリースは、転がり軸受内の空間にそ
の容積の5〜20%だけ封入する。なぜなら、転がり軸
受内の空間容積の5%未満の封入量では、所期した寿命
(通常の使用状態での耐久性)の軸受が得られない。ま
た、前記空間容積の20%を越える封入量では、軸受内
でのグリースの流動性が大きくなって軸受トルクが安定
せず、また封入量をこれ以上多くしても長寿命にならな
い。
【0027】本願の各請求項に記載された発明に用いる
潤滑グリースは、混和ちょう度(JIS K2220)
を175〜250に調整したものである。混和ちょう度
は、基油や増ちょう剤の種類を選択的に採用する手法に
より調整できる。前記混和ちょう度が175未満では、
これを保持した転がり軸受の軸受トルクが大きくなり、
また小径の転がり軸受に対して潤滑グリースの封入が困
難になる。前記混和ちょう度が250を越えると、高速
回転時に転がり軸受に潤滑不足が起こり、高速回転する
転がり軸受に騒音が発生するようになる。
【0028】グリースの基油は、種類を限定せずに使用
できるが、電子情報等の記録再生装置における転がり軸
受が、例えば10000rpm を越えるような高速回転条
件で使用され、かつ100℃以上に加熱される場合があ
ることを想定し、そのような温度以上の使用限界温度の
耐熱性を有するものを採用することが好ましい。好まし
いものとしては、エステル系潤滑油、合成炭化水素油、
エーテル油などが挙げられる。
【0029】上記したエステル系潤滑油の種類は、例え
ば二塩基酸と分岐アルコールの反応から得られるジエス
テル油、芳香族系三塩基酸と分岐アルコールとの反応か
ら得られる芳香族エステル油、多価アルコールと一塩基
酸の反応から得られるポリオールエステル油が挙げられ
る。
【0030】ジエステル油としては、ジオクチルアジペ
ート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIB)、
ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアゼレート
(DOZ)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチ
ルセバケート(DOS)等が挙げられる。
【0031】芳香族エステル油としては、トリオクチル
トリメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテー
ト、テトラオクチルピロメリテートなどが挙げられる。
【0032】ポリオールエステル油としては、以下に示
す多価アルコールと一塩基酸を反応させて得られるもの
が挙げられる。多価アルコールに反応させる一塩基酸は
単独でもよいし複数用いても良い。さらに、多価アルコ
ールと二塩基酸・一塩基酸も混合脂肪酸とオリゴエステ
ルのコンプレックスエステルとして用いても良い。
【0033】多価アルコールエステルとしては、トリメ
チロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール
(PE)、ジペンタエリスリトール(DPE)、ネオペ
ンチルグリコール(NPG)、2−メチル−2−プロピ
ル−1,3−プロパンジオール(MPPD)などが挙げ
られる。
【0034】一塩基酸としては、主に炭素数4〜18の
一価の脂肪酸であり、具体例としては、酢酸、吉草酸、
カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、
カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、牛脂酸、ステアリン酸、カプロレイ
ン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテ
リン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロ
セリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン
酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン
酸、サビニン酸、リシノール酸などが挙げられる。
【0035】この発明では、基油として溶解度パラメー
タが8.3〜9.0のエステル油を採用し、かつ炭素数
12〜24の脂肪酸リチウム塩からなる増ちょう剤を採
用することが好ましい。溶解度パラメータが8.3未満
または9.0を越えるエステル油を採用すると、グリー
スは、基油と増ちょう剤の親和性が低くて軸受回転時に
せん断を受けた際に過剰に軟化し、すなわち飛散しやす
いものになり、潤滑不足が起こりやすい。
【0036】そして、溶解度パラメータが8.3〜9.
0のエステル油を採用し、所定の増ちょう剤を採用して
なるグリースを封入した転がり軸受は、長時間低騒音状
態で回転軸を支持できるものになる。
【0037】ここで、溶解度パラメータ(δ)は、Sm
all[P.A.Small,J.Appl.Chem., 3,71(1953) など] に
よると、分子を構成する原子または原子団、結合型など
の構成グループから算出したモル吸引力(Fi)から分
子に対して各々Fiの加成性を認めると、下記の式1に
よって溶解度パラメータδが算出できる。 δ=ρΣFi/M …(式1) (式中、ρは密度、Mは分子量である。) 前記したモル吸引力(Fi)は、Hoy[K.L.Hoy,J.Pai
nt Technol.,42,76(1970) など] により各原子団別に下
記の表1に示すように算出されている。なお、Fiの単
位は、[(cal/cm3)1/2mole]である。
【0038】
【表1】
【0039】上記以外の基油である合成炭化水素油とし
ては、ポリ−α−オレフィン油、α−オレフィンとエチ
レンのコオリゴマー合成油などが挙げられる。
【0040】エーテル油としては、ジフェニル、トリフ
ェニル、テトラフェニルのC12〜C 20の(ジ)アルキル
基が導入されたフェニルエーテル油が好ましい。
【0041】この発明に用いる基油の動粘度の条件は、
40℃で30〜70mm2 /sである。40℃動粘度が
30mm2 /s未満のエステル系潤滑油等の基油は、軸
受回転の初期に潤滑油膜が充分に成膜せず、潤滑油膜が
途切れることなどにより軸受トルクが安定しない。ま
た、この発明に用いる基油の40℃動粘度の上限は、回
転軸のトルクを考慮して70mm2 /s以下である。
【0042】この発明におけるグリースに用いる増ちょ
う剤は、リチウム石鹸またはウレアが適当なものとして
例示でき、これを所定の混和ちょう度になるよう配合す
る。
【0043】リチウム石鹸としては、例えばラウリン酸
(C12)リチウム、ミリスチン酸(C14)リチウム、パ
ルミチン酸(C16)リチウム、マルガリン酸(C17)リ
チウム、ステアリン酸(C18)リチウム、アラキジン酸
(C20)リチウム、ベヘン酸(C22)リチウム、リグノ
セリン酸(C24)リチウム、牛脂脂肪酸リチウム、9−
ヒドロキシステアリン酸リチウム、10−ヒドロキシス
テアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リ
チウム、9,10−ヒドロキシステアリン酸リチウム、
リシノール酸リチウム、リシノエライジン酸リチウムな
どが挙げられる。このうち、特に好ましいリチウム石鹸
としては、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシス
テアリン酸リチウムのような炭素数12〜24の脂肪酸
リチウムであり、リチウム石鹸以外に他の増ちょう剤を
併用する場合は、リチウム石鹸を増ちょう剤全量の50
重量%以上に配合することが好ましい。
【0044】増ちょう剤のウレアとしては、下記の式で
示されるような周知のジウレア、またはポリウレアを使
用することができる。
【0045】
【化1】
【0046】(式中、R2 は炭素数6〜15の芳香族系
炭化水素基、脂肪族系炭化水素基または脂環族系炭化水
素基であり、R1 およびR3 は炭素数6〜12の芳香族
系炭化水素基、シクロヘキシル基、炭素数7〜12のシ
クロヘキシル誘導体、炭素数6〜20のアルキル基のい
ずれかを示している。) なお、この発明のグリースには、所期の目的を阻害しな
いように周知の防錆剤や酸化防止剤、極圧添加剤、摩耗
抑制剤などの添加剤を配合してもよい。
【0047】因みに、防錆剤としては有機系スルホン酸
金属塩やエステル類などがあり、このうち有機スルホン
酸塩としては、ジノニルナフタレンスルホン酸、重質ア
ルキルベンゼンスルホン酸などの金属塩があり、具体例
としてカルシウムスルホネート、バリウムスルホネー
ト、ナトリウムスルホネートなどが挙げられる。
【0048】前記エステル類としては、ソルビタン誘導
体の多塩基カルボン酸および多価アルコールの部分エス
テルであるソルビタンモノラウレート、ソルビタントリ
ラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタン
モノオレートなどが挙げられる。
【0049】酸化防止剤としては、含窒素化合物系酸化
防止剤とフェノール系酸化防止剤のそれぞれ単独または
両者混合したものが挙げられる。窒素化合物系の酸化防
止剤としては、フェニルαナフチルアミン、ジフェニル
アミン、フェニレンジアミン、オレイルアミドアミン、
フェノチアジンなどが挙げられる。フェノール系酸化防
止剤としては、p−tert−ブチルフェニサリシレー
ト、2,6−ジ−tert−ブチル−p−フェニルフェ
ノールなどが挙げられる。
【0050】
【実施例】〔実施例1〜3、比較例1〜4〕表2に示す
配合割合で基油、増ちょう剤および添加剤を配合してグ
リース組成物を調製し、このグリース組成物を684軸
受(深溝玉軸受、寸法:内径4mm、外径9mm)の軸
受内空間にその空間容積の所定%(表2中に示す。)だ
け封入した。
【0051】なお、表中の各配合成分は、組成物全体を
100重量%とした場合の含有率(重量%)であり、エ
ステル油(1)は、FMC社製:レオルーブLPE60
2、エステル油(2)は、FMC社製:レオルーブOT
M、PAOはポリαオレフィン油、増ちょう剤は、12
−ヒドロキシステアリン酸リチウム、酸化防止剤は、ア
ルキル化ジフェニルアミンを採用した。
【0052】得られたグリース組成物(実施例1〜3、
比較例1〜3)に対して、以下に示す軸受音響測定試験
を行い、この結果を表1中に併記した。
【0053】<軸受音響測定試験>グリース組成物を封
入した684軸受2個を一つのスピンドルに組み込み、
このスピンドルを駆動して軸受回転数20000rp
m、雰囲気温度100℃、アキシャル荷重0.8kgf
で回転させた。この回転条件でJIS B1548−1
960に準拠して100時間毎に騒音値(dBA)を測
定した。各測定時に騒音値が42dBA未満である場合
は、再度前記同条件で軸受を回転させ、さらに100時
間後の騒音値を測定した。そして、騒音値が42dBA
に到達するまで同様な測定を繰り返し、最終的に42d
BAに到達した時間を調べた。この結果は、下記のよう
に4段階に評価し、その結果を表2中に記号で併記し
た。 ◎印 :42dBAに到達した時間が500時間以上 ○印 :42dBAに到達した時間が300時間以上500時間未満 △印 :42dBAに到達した時間が100時間以上300時間未満 ×印 :42dBAに到達した時間が100時間未満
【0054】<トルク特性>グリース組成物を封入した
684軸受を軸受回転数7200rpm、室温雰囲気、
アキシャル荷重0.8kgfで10分間回転させ、その
直後の回転トルクを5分間計測し、回転トルクの平均値
を算出した。因みにこの平均値は、5分間の計測中に発
生した急激なトルク上昇(トルクスパイク)も含むた
め、この値により軸受回転トルクの大小と回転トルク安
定性の両者をまとめて比較できるものである。そして、
算出された回転トルクの平均値は、下記のように4段階
に評価し、その結果を表1中に記号で併記した。 ◎印 :回転トルクの平均値が1gf・cm未満 ○印 :回転トルクの平均値が1gf・cm以上、4gf・cm未満 △印 :回転トルクの平均値が4gf・cm以上、6gf・cm未満 ×印 :回転トルクの平均値が6gf・cm以上
【0055】
【表2】
【0056】表2の結果からも明らかなように、グリー
スの軸受内封入量が過剰の比較例1は、トルク特性が安
定せず、回転トルクの平均値が6gf・cm以上であっ
た。また、基油動粘度の特性値が、所定範囲を越える比
較例2は、音響特性とトルク安定性が共に不良である。
また、混和ちょう度が265以上(ちょう度No. 2)の
比較例3のグリースは、試験時間100時間未満で42
dBAに達する騒音が回転する軸受から発生した。この
場合、回転時に遠心力でグリースが飛散して摩擦面に充
分な潤滑油膜が形成されなかったと認められる。また、
エステル油ではない基油を使用した比較例4は、音響特
性のみが劣っていた。
【0057】これに対して、混和ちょう度が175〜2
50(ちょう度No. 3〜4)であり、グリースの軸受内
封入量が適量の実施例1〜3のグリースは、軸受の騒音
値が42dBAに到達した時間が500時間以上であ
り、転がり軸受を長寿命化し、特に電子情報等の記録再
生装置の誤動作や騒音が抑制できるものと認められる。
【0058】また、このような潤滑グリースを適量封入
した転がり軸受を、低速運転状態において低騒音で長時
間回転する空調機器の送風機モータ用のグリース封入転
がり軸受に使用すれば、低騒音で長時間回転する空調機
器が得られる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、グリースの混和ち
ょう度を所定範囲に調整し、かつ転がり軸受内にその空
間容積の所定割合を封入したグリース封入転がり軸受に
係る発明は、高速回転時にグリースを飛散させず、軸受
内の流動によるトルク変動も小さくて安定して低トルク
で回転し、低騒音で長時間回転できる優れた音響特性の
グリース封入転がり軸受になるという利点がある。
【0060】また、所定動粘度のエステル油を所定量含
有する基油を採用し、リチウム石鹸またはウレアからな
る増ちょう剤を採用したグリースを封入した転がり軸受
は、上記利点を有すると共に、摩擦面に所要厚みの潤滑
油膜を形成し、転がり軸受の高温および高速回転状態で
の潤滑性を向上させ、回転トルクを低い状態で安定させ
る点が優れている。
【0061】また、潤滑グリースが、所定の動粘度で所
定の溶解度パラメータのエステル油を基油とし、この基
油に脂肪酸リチウム塩からなる増ちょう剤を配合し、混
和ちょう度を調整した潤滑グリースを所定量封入したグ
リース封入転がり軸受は、上記した利点と共に、基油と
増ちょう剤の親和性が極めて高くなったグリースが、軸
受回転時にせん断を受けても飛散し難くなり、高速回転
時にも長時間にわたって確実に低騒音で回転軸を支持で
きるという利点がある。
【0062】また、電子情報等の記録・再生装置に使用
されるこの種のグリース封入転がり軸受は、高速回転し
た時に潤滑不足を起こさず、安定した低トルクで騒音を
発することなく回転し、電子情報の読み取りや書き込み
にエラーを生じ難くする電子情報の記録・再生装置用の
グリース封入転がり軸受になるという利点がある。
【0063】また、空調機器の送風機モータ用のグリー
ス封入転がり軸受は、上記同様の利点を有すると共に、
低騒音で長時間回転する空調機器の送風機モータ用のグ
リース封入転がり軸受になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/66 F16C 33/66 Z G11B 19/20 G11B 19/20 E H02K 5/173 H02K 5/173 A B // C10N 10:02 C10N 10:02 20:00 20:00 Z 20:02 20:02 30:00 30:00 E Z 40:02 40:02 50:10 50:10 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA42 AA54 AA62 EA63 FA01 FA32 GA24 GA53 GA60 4H104 BB17B BB31A BB33A BB34A BE13B CE14B EA01A EA01Z EA02A FA01 LA15 LA20 PA01 QA18 5D109 BB01 BB15 BB21 BB22 BB31 5H605 AA05 BB05 CC04 EB04 EB10 EB23 GG21

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転がり軸受内の空間に、混和ちょう度
    (JIS K2220)を175〜250に調整した潤
    滑グリースを前記空間容積の5〜20%封入してなるグ
    リース封入転がり軸受。
  2. 【請求項2】 潤滑グリースが、40℃における動粘度
    30〜70mm2 /sのエステル油を含有する基油に、
    リチウム石鹸またはウレアからなる増ちょう剤を配合し
    た潤滑グリースである請求項1記載のグリース封入転が
    り軸受。
  3. 【請求項3】 潤滑グリースを転がり軸受内に封入した
    グリース封入転がり軸受において、前記潤滑グリース
    が、40℃における動粘度30〜70mm2 /sのエス
    テル油を30重量%以上含有する基油に、増ちょう剤と
    して炭素数12〜24の脂肪酸リチウム塩を配合し、か
    つ混和ちょう度(JIS K2220)を175〜25
    0に調整したものからなり、この潤滑グリースを転がり
    軸受内の空間容積の5〜20%量封入したことを特徴と
    するグリース封入転がり軸受。
  4. 【請求項4】 潤滑グリースを転がり軸受内に封入した
    グリース封入転がり軸受において、前記潤滑グリース
    が、40℃における動粘度30〜70mm2 /sであり
    かつ溶解度パラメータが8.3〜9.0のエステル油を
    基油とし、この基油に炭素数12〜24の脂肪酸リチウ
    ム塩からなる増ちょう剤を配合し、混和ちょう度(JI
    S K2220)を175〜250に調整した潤滑グリ
    ースであり、この潤滑グリースを転がり軸受内の空間容
    積の5〜20%封入したことを特徴とするグリース封入
    転がり軸受。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のグリー
    ス封入転がり軸受からなり、電子情報の記録・再生装置
    用のグリース封入転がり軸受。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のグリー
    ス封入転がり軸受からなり、空調機器の送風機モータ用
    のグリース封入転がり軸受。
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