JP2001121166A - 有機塩素化合物の超臨界水処理方法及びその超臨界水反応装置 - Google Patents

有機塩素化合物の超臨界水処理方法及びその超臨界水反応装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機塩素化合物を含む被処理液を超臨界水処
理する超臨界水反応装置を提供する。 【解決手段】 本装置10は、超臨界水を収容する反応
器12を備え、有機塩素化合物を含有する被処理液を反
応器内の超臨界水中に導入して空気により酸化分解する
超臨界水反応装置である。本装置は、被処理液の送入流
量等を調整して、反応器内の温度を550℃以上650
℃以下の範囲に制御する温度制御装置32を備え、反応
器壁の表層にはチタン層又はチタン合金層からなる耐食
層を設けている。処理液が流れる処理液流路と、処理液
流路に合流してアルカリ水溶液を処理液中に注入するア
ルカリ水溶液流路とを備え、アルカリ水溶液によって処
理液を450℃以下に中和急冷する中和急冷部30を反
応器外に備えている。処理液流路及びアルカリ水溶液流
路の流路壁が、チタン壁と、チタン壁の外周に設けられ
たタンタル壁とで形成された耐食壁を内壁面に備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PCBの超臨界水
処理方法及びその超臨界水反応装置に関し、更に詳細に
は、PCBを完全に分解して無害化する超臨界水処理方
法、及び、超臨界水処理に際して高濃度塩酸を生成する
PCB等を超臨界水処理するのに最適な超臨界水反応装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】環境問題に対する認識の高まりと共に、
超臨界水反応装置の適用分野の一つとして、環境汚染物
質の分解、無害化が、注目されている。すなわち、超臨
界水の反応媒体的性質を利用した超臨界水反応により、
従来技術では分解することが難しかった有害な難分解性
の有機物、例えば、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)、
ダイオキシン、有機塩素系溶剤等を分解して、二酸化炭
素、水、無機塩などの無害な生成物に転化する試みであ
る。
【0003】超臨界水とは、超臨界状態にある水、即
ち、水の臨界点を越えた状態にある水を言い、詳しく
は、臨界温度、即ち374.1℃以上の温度で、かつ水
の臨界圧力、即ち22.04MPa以上の圧力下にある
状態の水を言う。超臨界水は、有機物を溶解する溶解能
が高く、有機化合物に多い非極性物質をも完全に溶解す
ることができる一方、逆に、金属、塩等の無機物に対す
る溶解能は著しく低い。また、超臨界水は、酸素や窒素
などの気体と任意の割合で混合して単一相を構成するこ
とができる。
【0004】ここで、図8を参照して、有機塩素系の化
合物を含む被処理液を超臨界水処理する、従来の超臨界
水反応装置の基本的な構成を説明する。図8は従来の超
臨界水反応装置の構成を示すフローシートである。超臨
界水反応装置100は、従来、超臨界水処理中に塩が析
出するような、有機塩素系の難分解性有機物の酸化分解
に最適な装置と言われていて、耐圧密閉型の縦型反応器
102を備え、超臨界水中に固形物として析出する塩を
反応容器下部に沈降、分離させる、いわゆるモダープロ
セス方式の装置である。
【0005】図8に示すように、反応器102の上部に
は、水の臨界点以上の条件、即ち超臨界条件が維持さ
れ、超臨界水を滞留させる超臨界水域104が形成さ
れ、超臨界水域104との仮想的界面106を介して反
応器102の下部には、水の臨界温度より低い温度に維
持され、亜臨界水を滞留させる亜臨界水域108が形成
されている。反応器102の上部には、超臨界水処理す
る被処理液及び酸化剤を超臨界水域104に流入させる
流入管110が接続されている。流入管110には、超
臨界水反応により処理すべき有機塩素系化合物を有する
被処理液を送入する被処理液ライン112、有機物を酸
化させる酸化剤として空気を送入する空気ライン11
4、及び、超臨界水又は超臨界水生成用の補給水を送入
する超臨界水ライン115が合流している。
【0006】また、被処理液中の有機塩素系化合物によ
って生成する塩酸を中和するためにアルカリ中和剤を供
給する中和剤ライン116が、被処理液ライン112に
接続されている。本例では、通常、被処理液及び中和剤
は、流入管110を通って反応器102に供給され、酸
化剤である空気により下方に向けてアトマイジングされ
て、反応器102内の超臨界水域104内に噴霧され
る。噴霧された被処理液中の有機塩素系化合物は超臨界
水域104内で瞬時に酸化分解される。超臨界水反応の
結果、被処理液に含有された有機塩素系化合物の塩素
は、アルカリ中和剤と中和して塩となり、超臨界水域か
ら亜臨界水域に移行する。反応器102の上部には、更
に、処理液ライン118が接続され、被処理液中の有機
物が、超臨界水反応により、主として水と二酸化炭素に
なって処理液と共に超臨界水域104から処理液ライン
118を通って流出する。尚、必要に応じて、超臨界水
域に超臨界水を供給する超臨界水ラインを流入管110
に接続することもある。
【0007】一方、反応器102の下部には、亜臨界水
ライン120及び亜臨界排水ライン122が接続され、
亜臨界水ライン120は亜臨界水域108に亜臨界水を
供給し、また亜臨界排水ライン122は超臨界水反応及
び中和反応により生成した塩を溶解している亜臨界水を
排水として亜臨界水域108から排出する。図示しない
が、また、処理液ライン118及び亜臨界排水ライン1
22には、処理液及び亜臨界排水を所定温度に降温する
冷却器、所定圧力に減圧する減圧装置、更には気液分離
装置が設けてある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の超臨界水反応装置によって、高濃度のPCBを含む被
処理液を超臨界水処理しようとすると、次のような問題
があった。第1には、従来のように、水の臨界温度(3
74.1℃)に近い反応温度、即ち450℃から500
℃の範囲の温度では、処理液のPCB含量を排出基準で
許容されている3ppb以下にすることが極めて難しか
った。逆に言えば、更に高い反応温度を必要とすること
が予想される。
【0009】第2には、超臨界水域と亜臨界水域とを反
応器内に形成する2ゾーン方式に起因する二つの問題で
ある。その一は、反応器壁の腐食、特に両域の境界近傍
での腐食が著しいという問題があった。通常は、超臨界
水反応と同時に中和反応が進行するので、腐食問題は起
きないのであるが、場合によって中和が不完全である
と、腐食が問題となる。従来の方法では、反応器内に高
温の超臨界水域と低温の亜臨界水域とが存在するので、
腐食の厳しい領域が必ず存在するから、PCBの超臨界
水処理の実用化が難しい。その二は、従来法では被処理
液の噴霧状態が良くないと、PCB等が完全に分解せず
に、亜臨界水域108に入ってしまうことがある。この
場合、亜臨界水域の温度が低いために、亜臨界水域に混
入した未分解物が、分解されることなくそのまま残留
し、亜臨界水域から排水として排出されるので、亜臨界
排水中のPCB含量が排出基準を超えることがあった。
【0010】第3には、PCBを処理する際のように被
処理液中の有機塩素濃度が高い場合には、中和反応及び
塩生成分離のメカニズムに不明な点が多く、PCBの超
臨界水処理ではPCBの有機塩素に由来して生成した塩
酸を従来のように反応器内で完全に中和させる処理は、
確実性に乏しいという問題があった。そこで、処理液に
アルカリ水溶液を注入して急冷中和する中和急冷部を反
応器出口に設け、アルカリ水溶液を注入して処理液を中
和急冷することが試みられているものの、この方法で
は、超臨界水反応により生成した多量の塩酸が中和され
ることなく反応器内に存在することになるので、従来か
ら耐食材として反応器の内壁に使用されてきたインコネ
ル625等のニッケル合金は、塩酸による腐食が著し
く、使用に耐えないという問題があった。また、急冷中
和部でも、アルカリ水溶液と処理液との中和反応が終了
する地点までの配管の腐食は著しく、同じくニッケル合
金の使用は難しいという問題がある。
【0011】そこで、本発明の目的は、PCB等の高有
機塩素濃度の被処理液を排出基準で許容される3ppb
以下のPCB濃度に超臨界水処理する方法及びその方法
を実施する超臨界水反応装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、(1)PCB等の高有機塩素濃度の被
処理液を排出基準で許容される3ppbのPCB濃度に
超臨界水処理できる反応温度を確立すること、(2)そ
の温度で使用できる反応器の材料を確立することが必要
であると考えた。
【0013】そこで、先ず、PCBの超臨界水処理によ
り生成する処理液のPCB含量を3ppb以下にするた
めに、PCBの分解率と超臨界水反応の反応温度との関
係を調べた。その結果、反応圧力が23MPaの下で、
反応時間を2分間以上4分間以下にすることにより、反
応温度500℃ではPCB濃度は3ppb以上であっ
て、排出基準である3ppbを満足しない。反応温度を
550℃及び650℃にすることにより、PCB濃度は
3ppb以下になった。従って、処理液のPCB含量を
3ppb以下にするには、PCBの超臨界水処理の反応
温度を550℃以上650℃以下の範囲にすることが必
要である。
【0014】次いで、550℃以上の温度で高濃度塩酸
に対して耐食性を有する材料を選定のために、種々の材
料で反応器を作製し、実際にPCBを超臨界水処理する
ことにより材料の耐食性評価を行うという腐食試験を行
った。ところで、例えば純度100%の三塩素化物から
五塩素化物までのPCBを超臨界水反応処理すると、生
成する塩酸の濃度は約10質量%〜15質量%程度とな
る。そこで、第1の腐食試験では、PCBの超臨界水処
理条件として、圧力を22MPa、及び反応温度を60
0℃に設定し、塩酸濃度20質量%の塩酸水溶液による
各種材料の腐食速度を以下のようにして測定した。
【0015】先ず、表1に示す材料でオートクレーブ状
の反応器をそれぞれ作製し、塩酸濃度20質量%の塩酸
水溶液を各反応器内に収容し、反応器内の塩酸水溶液を
圧力22MPaで温度600℃に昇温し、500時間か
ら600時間その温度に維持して、各反応器の容器壁の
腐食速度を測定した。容器壁の腐食速度が1mm/年未
満のときには、最適材料とし、腐食速度が1mm/年以
上5mm/年のときには、適用可材料とし、腐食速度が
5mm/年を越えるときには適用不可材料とする、腐食
試験の判定基準に従い、容器壁の腐食速度に基づいて、
次の表1に示す結果を得た。
【0016】表1 材質 判定 インコネル625 適用不可 ハステロイ276 適用不可 白金 適用不可 チタン 最適 タンタル 適用不可 アルミナ 適用不可(腐食速度が小さいが、割れ発生)
【0017】次いで、第2の腐食試験では、圧力が同じ
22MPaで、温度が第1の腐食試験の条件より低い4
00℃に設定し、塩酸濃度20質量%の塩酸水溶液によ
る腐食速度を測定した。第1の腐食試験と同じ材料でオ
ートクレーブ状の反応器をそれぞれ作製し、塩酸濃度2
0質量%の塩酸水溶液を各反応器内に収容し、反応器内
の塩酸水溶液を圧力22MPaで温度400℃に昇温
し、500時間から600時間その温度に維持して、各
反応器の容器壁の腐食速度を測定した。第1の腐食試験
と同じ腐食試験の判定基準に従い、容器壁の腐食速度に
基づいて、次の表2に示す結果を得た。
【0018】表2 材質 判定 インコネル625 適用不可 ハステロイ276 適用不可 白金 適用不可 チタン 適用可 タンタル 最適 アルミナ 適用不可(腐食速度が小さいが、割れ発生)
【0019】更に、第3の腐食試験では、第2の腐食試
験の条件より圧力及び温度がそれぞれ低い圧力18MP
a、及び温度350℃での塩酸濃度20質量%の塩酸水
溶液による腐食速度を測定した。第1の腐食試験と同じ
材料でオートクレーブ状の反応器をそれぞれ作製し、塩
酸濃度20質量%の塩酸水溶液を各反応器内に収容し、
反応器内の塩酸水溶液を圧力18MPaで温度350℃
に昇温し、500時間から600時間その温度に維持し
て、各反応器の容器壁の腐食速度を測定した。第1の腐
食試験と同じ腐食試験の判定基準に従い、容器壁の腐食
速度に基づいて、次の表3に示す結果を得た。
【0020】表3 材質 判定 インコネル625 適用不可 ハステロイ276 適用不可 白金 適用不可 チタン 適用不可 タンタル 最適 アルミナ 適用不可(腐食速度が小さいが、割れ発生) 尚、チタンに代えてチタン合金で、タンタルに代えてタ
ンタル合金で作製した反応器を作製し、同じ第1から第
3の腐食試験を行ったところ、同じ結果を得ることがで
きた。
【0021】以上の第1から第3の腐食試験の結果か
ら、次のような結論を得ることができる。 (1)チタンは、温度400℃以上の濃塩酸水溶液に接
触する容器壁に適用でき、特に600℃以上ではチタン
しか適用できない。しかし、350℃以下では腐食速度
が大きく適用できない。チタンは、酸化皮膜を形成し、
それが保護膜となるので、耐食性が高い。特に400℃
以上の温度では酸化皮膜の形成が良好であって、耐食性
が一層高くなる。よって、温度が400℃以上になる反
応器壁、例えば反応温度550℃になるPCB処理用の
反応器の反応器壁にチタンを好適に適用できる。しか
し、中和急冷部では、処理液流路の入口では温度は40
0℃以上であるものの、アルカリ水溶液流路との合流点
から下流の処理液流路では塩酸濃度が高いにもかかわら
ず400℃以下になることもあり得る。従って、中和急
冷部をチタンのみで形成するのは耐食性の面から好まし
くない。
【0022】(2)タンタルは、温度400℃以下の濃
塩酸水溶液に接触する容器壁に適用でき、特に350℃
以下ではタンタルしか適用できない。しかし、600℃
以上では腐食速度が大きく適用できない。タンタルは、
600℃以上の高温では五酸化タンタルとなって不安定
になるので、腐食速度が大きくなると思われる。よっ
て、温度の低い中和急冷部をタンタルで形成することが
考えられるが、処理液流路の入口では温度は400℃以
上になることもあると推定できるので、中和急冷部をタ
ンタルのみで形成するのは耐食性の面から好ましくな
い。
【0023】(3)そこで、図9に示すように、中和急
冷部の処理液流路及びアルカリ水溶液流路の流路壁を、
チタン又はチタン合金で形成され、流路壁の内壁を形成
するチタン管壁と、タンタル又はタンタル合金で形成さ
れ、チタン管壁の外周に設けられたタンタル管壁とで中
和急冷部を構成する。これにより、中和急冷部は、温度
が高い通常の状態では、チタン管壁で耐食性を維持し、
予期せずに温度が例えば400℃以下に低下した状態で
は、チタン管壁は腐食されるものの、その外側のタンタ
ル管壁で耐食性を維持することができる。尚、機械強度
的には、タンタル管壁を強度部材とすることもできる
し、また、タンタル管壁の外周にステンレス鋼製等の強
度部材を設けることもできる。
【0024】以上のようして得たPCB分解実験で得た
知見に基づいて、本発明に係る有機塩素化合物の超臨界
水処理方法は、有機塩素化合物を含有する被処理液を超
臨界水中に導入して所定の反応温度で酸化剤により酸化
分解する、有機塩素化合物の超臨界水処理方法であっ
て、所定の反応温度を550℃以上650℃以下の範囲
の温度に設定し、反応温度を設定温度に制御することを
特徴としている。
【0025】本発明では、被処理液の送入流量、超臨界
水の送入流量、超臨界水生成のために反応器に送入する
補給水の送入流量、及び補給水の温度の少なくともいず
れかを調整することにより、反応温度を設定温度に制御
する。所定の反応温度を550℃以上650℃以下の範
囲の温度に設定することにより、有機塩素化合物がPC
B又はPCB類似化合物である場合、被処理液の酸化分
解により生成した処理液中のPCB濃度を3ppb以下
にすることができる。本発明で、PCB類似化合物と
は、PCBとほぼ同じような化学構造を有する化合物で
あって、例えばダイオキシン類、クロロベンゼン系化合
物、クロロフェノール類等である。被処理液の送入流
量、超臨界水の送入流量、超臨界水生成のために反応器
に送入する補給水の送入流量、及び補給水の温度の少な
くともいずれかを調整することにより、反応温度を55
0℃以上650℃以下の範囲の設定温度に制御される。
【0026】上述の腐食試験の結果に基づいて、本発明
に係る超臨界水反応装置(以下、第1の発明という)
は、超臨界水を収容する反応器を備え、有機塩素を含有
する被処理液を反応器内の超臨界水中に導入して酸化剤
により酸化分解する超臨界水反応装置において、反応器
内の温度を550℃以上650℃以下の範囲に制御する
温度制御装置を備え、反応器壁の少なくとも表層にはチ
タン層又はチタン合金層からなる耐食層を設けているこ
とを特徴としている。
【0027】第1の発明では、温度制御装置が、被処理
液の送入流量、超臨界水の送入流量、超臨界水生成のた
めに反応器に送入する補給水の送入流量、及び補給水の
温度の少なくともいずれかを調整することにより、反応
器内の温度を550℃以上650℃以下の範囲に制御す
ることができる。
【0028】本発明の好適な実施態様では、反応器壁の
少なくとも表層には、チタン層又はチタン合金層からな
るチタン壁と、チタン壁の内側に設けられ、タンタル層
又はタンタル合金層からなるタンタル壁との2層耐食層
を設けている。これにより、不測の事情により反応器の
温度が400℃より低下してチタン層又はチタン合金層
が腐食した時にも、内側のタンタル又はタンタル合金層
で耐腐食性を維持することができる。また、反応器内の
温度分布に基づいて算出した温度が400℃未満である
領域の反応器壁の少なくとも表層には、タンタル層又は
タンタル合金層からなる耐食層を設けることもできる。
これにより、反応器の耐食性を更に高めることができ
る。
【0029】本発明で使用するチタン及びチタン合金
は、JIS規格又はASTM規格で規定されるものであ
って、例えばJIS規格では、純チタンはJIS1種か
ら3種で規定されるチタン金属、チタン合金はチタンパ
ラジウム合金として規定されるJIS11種から13種
のチタン合金、及び他のチタン合金としてTi−6Al
−4V合金及びTi−6Al−4VELI合金がある。
また、ASTM規格では、純チタンはASTM Gra
de1からGrade4で規定されるチタン金属、チタ
ン合金はチタンパラジウム合金として規定されるAST
M Grade7とGrade11のチタン合金であ
る。また、ASTM規格でGrade12なども適用で
きる。
【0030】本発明で使用するタンタル及びタンタル合
金は、JIS規格又はASTM規格で規定されるもので
あって、純タンタルの他にも、タンタル−タングステン
合金なども適用できる。第1の発明で、チタン層又はチ
タン合金層、及びタンタル層又はタンタル合金層は、反
応器の容器壁にライニングしても良く、また溶接法によ
り肉盛りしても良い。また、HIP処理によって反応器
の容器壁に接合することもできる。
【0031】反応器が圧力バランス型反応器である場合
には、本発明に係る超臨界水反応装置(以下、第2の発
明という)は、超臨界水を収容する反応器を備え、有機
塩素を含有する被処理液を反応器内の超臨界水中に導入
して酸化剤により酸化分解する超臨界水反応装置におい
て、反応器内の温度を550℃以上650℃以下の範囲
に制御する温度制御装置を備え、反応器が、相互に連通
する圧力容器と、チタン又はチタン合金で形成された反
応カートリッジとからなる2重筒体であって、被処理液
と、酸化剤として酸素含有ガスとを反応カートリッジ内
に供給し、かつ、圧力容器と反応カートリッジとの間に
圧力バランス用ガスとして酸素含有ガスを供給して、反
応カートリッジ内の超臨界水中で被処理液を酸化含有ガ
スにより酸化分解する圧力バランス型反応器として構成
されていることを特徴としている。
【0032】第2の発明では、温度制御装置が、被処理
液の送入流量、超臨界水の送入流量、超臨界水生成のた
めに反応器に送入する補給水の送入流量、及び補給水の
温度の少なくともいずれかを調整することにより、反応
器内の温度を550℃以上650℃以下の範囲に制御す
ることができる。
【0033】また、別法として、反応カートリッジを、
チタン層又はチタン合金層からなる内層と、タンタル層
又はタンタル合金層からなる外層との2層構造で形成し
ても良い。これにより、不測の事情により反応器の温度
が400℃より低下してチタン層又はチタン合金層が腐
食した時にも、内側のタンタル又はタンタル合金層で耐
腐食性を維持することができる。
【0034】本発明の好適な実施態様では、処理液が流
れる処理液流路と、処理液流路に合流してアルカリ水溶
液を処理液中に注入するアルカリ水溶液流路とを有し、
アルカリ水溶液によって処理液を450℃以下に中和急
冷するようにした中和急冷部を反応器外に備え、処理液
流路及びアルカリ水溶液流路の流路壁が、チタン又はチ
タン合金で形成されたチタン管壁と、タンタル又はタン
タル合金で形成され、チタン管壁の外周に設けられたタ
ンタル管壁とを備えている。
【0035】圧力バランス型反応器では、中和急冷部を
反応器の圧力容器と反応カートリッジとの間の環状部に
備えて良い。尚、第1及び第2の発明の超臨界水装置で
は、反応器は反応器内全域にわたり超臨界水域のみを形
成し、亜臨界水域を形成しないようになっている。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照し、実施
形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に
説明する。実施形態例1 本実施形態例は、第1の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図1は本実施形態例の超臨界
水反応装置の構成を示すフローシート、及び図2は反応
器の詳細を示す断面図である。本実施形態例の超臨界水
反応装置は、超臨界水の存在下で超臨界水反応により主
としてPCBを含む被処理液を処理する装置であって、
図1に示すように、超臨界水反応を行う反応器として、
縦型の耐圧密閉型反応器12を備え、反応器12から処
理液を流出させる処理液管14に、順次、処理液を冷却
する冷却器16、反応器12内の圧力を制御する圧力制
御弁18、及び、処理液をガスと液体とに気液分離する
気液分離器20を備えている。
【0037】超臨界水反応装置10は、超臨界水反応に
供する反応物を反応器12に供給する供給系統として、
インバータ制御あるいはストローク制御によって吐出量
の調節が可能な被処理液ポンプ24と、空気圧縮機28
とを備え、被処理液管22を介してPCBを含む被処理
液を反応器12に送入し、かつ、空気送入管26及び被
処理液管22を介して酸化剤として空気を被処理液と共
に反応器12に送入する。図示しないが、必要に応じて
超臨界水又は超臨界水生成用の補給水を反応器12に補
充するようにしてもよく、また、補給水を所望の温度に
加熱する加熱器を設けることもできる。更に、超臨界水
反応装置10は、反応器12から出た直後の処理液管1
4に中和急冷部30を備え、注入管31から処理液にア
ルカリ水溶液を注入して処理液を温度450℃以下、好
ましくは350℃以下に中和急冷するようになってい
る。
【0038】また、超臨界水反応装置10は、被処理液
の送入流量を調整することにより、反応器12内の反応
温度を例えば550℃に制御する温度制御装置32を備
えている。温度制御装置32は、反応器12内の温度を
計測する温度計34を有し、温度計34の温度に基づい
て被処理液ポンプ24の吐出量を調節して被処理液の出
口温度を調整することにより、反応温度を550℃以上
650℃以下の範囲の設定温度に制御する。温度制御装
置32の構成は、これに限らず、例えば超臨界水の送入
流量を調整することにより、或いは超臨界水生成用の補
給水の送入流量を調整することにより、更には補給水の
送入温度を調整することにより、反応器12内の反応温
度を550℃以上650℃以下の範囲に制御することが
できる。
【0039】反応器12は、図2に示すように、超臨界
水処理時の圧力、例えば23MPaに抗する機械的強度
を有する縦型筒状容器12aと、容器12aの内壁に耐
食層としてライニングされたチタン合金層12bとで形
成されている。反応器12は、被処理液管22と接続
し、被処理液及び空気を反応器12内に流入させる流入
口36を上部に、処理液管14に接続し、処理液を流出
させる流出口38を側壁に備えている。チタン合金層1
2bは、純チタン又はチタン合金によって形成されてい
る。また、チタン合金層12bに代えて、チタン層又は
チタン合金層からなるチタン壁と、チタン壁と圧力容器
内壁との間に設けられた、タンタル層又はタンタル合金
層からなるタンタル壁との2層耐食層を備えるようにし
ても良い。
【0040】中和急冷部30は、図3に示すように、処
理液が流れる処理液流路40と、注入管31を処理液流
路40に合流してアルカリ水溶液を処理液中に注入する
アルカリ水溶液流路42とから構成されている。本実施
形態例では、処理液流路40とアルカリ水溶液流路42
とは、Y字状に合流しているが、直角に合流しても良
い。処理液流路40及びアルカリ水溶液流路42の流路
壁は、それぞれ、チタン合金で形成されたチタン管壁4
4と、タンタル合金で形成され、チタン管壁44の外周
に設けられたタンタル管壁46とを備えている。チタン
管壁44及びタンタル管壁46は、それぞれ、純チタ
ン、又はチタン合金、及び純タンタル又はタンタル合金
によって形成されている。
【0041】中和急冷部30を作製するには、例えば、
先ず、タンタル合金の円柱体を形成し、次いで円柱体を
ドリリングして、処理液流路40及びアルカリ水溶液流
路42形成用の貫通路を設ける。次いで、貫通路内にチ
タン合金の溶融液を流し込み、放冷して固化させた後、
HIP処理を施して、タンタル合金相とチタン合金相と
の接合を確実にする。次いで、チタン合金相をドリリン
グして、チタン管壁44と、チタン管壁44の外周に設
けられたタンタル管壁46とを備える、処理液流路40
及びアルカリ水溶液流路42を形成する。また、別の作
製方法として、タンタル合金の円柱体を形成し、次いで
円柱体をドリリングして、処理液流路40及びアルカリ
水溶液流路42形成用の貫通路の壁にチタン合金を溶接
法等により肉盛りしてチタン壁44を設けることもでき
る。
【0042】本実施形態例では、温度制御装置32によ
って反応器12内の温度を600℃に制御することによ
り、PCBを含む被処理液を超臨界水処理により完全に
分解して処理液のPCBの残留量を3ppb以下に抑え
ることができる。また、反応器12内の温度が600℃
に制御されているので、チタン合金層12bは反応器1
2の耐食層として確実に機能する。中和急冷部30は、
温度が高い通常の状態では、チタン管壁44が耐食性を
維持し、予期せずに、温度が例えば400℃以下に低下
した状態では、チタン管壁44は腐食されるものの、そ
の外側のタンタル管壁46が耐食性を維持する。
【0043】実施形態例2 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図4は本実施形態例の超臨界
水反応装置の構成を示すフローシート、図5は反応器の
詳細を示す断面図である。図4及び図5中、図1から図
3に示す部位、部品と同じものには同じ符号を付し、そ
の説明を省略する。本実施形態例の超臨界水反応装置5
0は、相互に連通する圧力容器と反応カートリッジとか
らなる圧力バランス型反応器を反応器として備えた超臨
界水反応装置であって、図4及び図5に示すように、反
応器52の構成と、中和急冷部が反応器52内に内蔵さ
れていること、及び反応器52に圧力バランス用の空気
が送入されていることを除いて、実施形態例1と同じ構
成を有する。
【0044】圧力バランス型反応器52は、図5に示す
ように、外筒として設けられた圧力容器54と、圧力容
器54内に内筒として設けられた反応カートリッジ56
との2重筒体として形成され、反応カートリッジ56の
内部58は、超臨界水反応の反応域として構成されてい
る。圧力容器54は、反応圧力に対抗するために、厚肉
の高強度鋼製耐圧円筒型容器として形成されている。一
方、反応カートリッジ56は、純チタン又はチタン合金
で形成された薄肉の有蓋有底円筒体として形成され、反
応カートリッジ56の底部と圧力容器54の底部との間
に多少の間隙を有するように圧力容器54内に配置され
ている。圧力容器54と反応カートリッジ56との間
に、連通孔60を介して反応カートリッジ56の内部と
連通する環状部62が形成されており、環状部62と反
応カートリッジ56内とは、圧力がバランスしている。
換言すれば、圧力容器54は、超臨界水処理時の圧力、
例えば23MPaに抗する強度を備え、反応カートリッ
ジ56は、反応器52の内圧力を受けないようにして反
応域を区画する耐腐食性の隔壁として機能している。
【0045】反応器52は、圧力容器54と反応カート
リッジ56とを貫通して反応カートリッジ56の内部に
突出したノズル64と、反応カートリッジ56から環状
部62を通って反応器52外に処理液を流出させる処理
液導管66と、環状部62内の処理液導管66に設けら
れた中和急冷部68と、環状部62に空気を送入する空
気送入ノズル70とを備えている。中和急冷部68は、
実施形態例1の中和急冷部30と同じ構造(図3参照)
であって、注入管31が接続され、処理液にアルカリ水
溶液を注入し、450℃以下に中和急冷するようになっ
ている。ノズル64は被処理液管22(図4参照)に、
処理液導管66は処理液管14に、それぞれ、接続され
ている。また、空気送入ノズル70は、空気送入管26
から分岐した空気送入枝管72(図4参照)に接続さ
れ、空気を環状部62に導入し、次いで連通孔60を介
して反応カートリッジ56内部に流入させ、酸化剤の一
部とする。
【0046】圧力バランス型反応器52では、ノズル6
4を経て反応カートリッジ56に流入した空気と同じ圧
力の空気が環状部62に導入されているので、反応カー
トリッジ56の内外では圧力差が殆ど生じない。尚、環
状部62に空気を導入するのは、空気が非腐食性流体で
あるからである。
【0047】本実施形態例では、実施形態例1と同様
に、温度制御装置32によって反応器52、正確には反
応カートリッジ56内の温度を例えば600℃に制御す
ることにより、PCBを含む被処理液を超臨界水処理に
より完全に分解して処理液のPCBの残留量を3ppb
以下に抑えることができる。また、反応器12内の温度
が600℃に制御されているので、チタン合金で形成さ
れた反応カートリッジ56は、反応域を確保する耐食壁
として確実に機能する。中和急冷部68も、実施形態例
1と同様に機能し、同様の効果を有する。
【0048】実施形態例3 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図6は反応器の詳細を示す断
面図である。図6中、図5と同じ部位、部品には同じ符
号を付し、その説明を省略している。本実施形態例の超
臨界水反応装置は、反応器76の構成が、反応器52と
異なり反応カートリッジ内に内筒を有することを除い
て、実施形態例2と同じ構成を有する。反応器76は、
図6に示すように、相互に連通する圧力容器54と反応
カートリッジ80とからなる圧力バランス型反応器であ
って、反応カートリッジ80が、実施形態例2の反応カ
ートリッジ56とほぼ同じように形成された純チタン又
はチタン合金製の外筒82と、上端が開口し、底部が逆
円錐状のチタン合金製の内筒84とから構成され、内筒
84の内部が超臨界水反応の反応域として構成されてい
る。尚、内筒84はこの形状に限るものではなく、傘を
上下逆にしたような形状のものなど、ノズルから噴出し
下方に向かう流体の流れを反転させて上方に向かわせる
ようにできる限り、その形状は制約はない。
【0049】ノズル64から流入した被処理液は、内筒
84の内部で超臨界水処理され、処理液となって上端の
開口から外筒82と内筒84との間の環状部86に流入
し、環状部86を流下して外筒82の底部に入り、外筒
82の底部に接続された処理液導管88を介して処理液
管14に流出する。圧力容器78内の処理液導管88に
は、実施形態例1の中和急冷部30と同じ構造(図3参
照)の中和急冷部90が設けてあって、注入管31が接
続され、処理液にアルカリ水溶液を注入し、450℃以
下に中和急冷するようになっている。空気送入ノズル7
0は、空気を環状部62に導入し、次いで連通孔60を
介して内筒84の上端開口から内筒84内部に流入さ
せ、酸化剤の一部とする。以上の構成により、本実施形
態例の超臨界水反応装置も、実施形態例2と同じ効果を
有する。
【0050】実施形態例4 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図7は反応器の詳細を示す断
面図である。図7中、図6と同じ部位、部品には同じ符
号を付し、その説明を省略する。本実施形態例の超臨界
水反応装置は、中和急冷部92が反応器外に設けられて
いること、及びそれに関連して反応器94の構成が異な
ることを除いて、実施形態例3と同じ構成を有する。反
応器94は、図7に示すように、中和急冷部92が反応
器の外部に設けてあることを除いて、実施形態例3の反
応器76と同じ構成を備え、反応カートリッジの外筒8
2は圧力容器54の底部に接し、処理液管14が直接圧
力容器54の底部を貫通して外筒82の内部に連通して
いる。中和急冷部92は圧力容器54の底部に接するよ
うにして処理液管14に設けてある。本実施形態例の反
応器94では、実施形態例3の反応器76に比べて中和
急冷部92の取り付けが容易である。尚、実施形態例2
の超臨界水反応装置の反応器52で、反応カートリッジ
56の底部を圧力容器54の底部上に配置し、環状部6
2に設けた中和急冷部68に代えて、図7に示すように
中和急冷部92を圧力容器54の底部に接するように設
けることもできる。
【0051】
【発明の効果】本発明方法によれば、反応温度を550
℃以上650℃以下の範囲に制御することにより、有機
塩素化合物を含有する被処理液を超臨界水処理して無害
化することができ、例えばPCB又はPCB類似化合物
等の場合、処理液中のPCB濃度を3ppb以下にする
ことができる。また、本発明によれば、被処理液の送入
流量等を調整して、反応器内の温度を550℃以上65
0℃以下の範囲に制御する温度制御装置を備え、反応器
壁の少なくとも表層又は反応カートリッジを特定する耐
食層で形成することにより、有機塩素化合物、例えばP
CB又はPCB類似化合物を含有する被処理液を超臨界
水処理して処理液中のPCB濃度を3ppb以下にする
ことができる、超臨界水反応装置を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1の超臨界水反応装置の構成を示す
フローシートである。
【図2】実施形態例1の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図3】中和急冷部の断面図である。
【図4】実施形態例2の超臨界水反応装置の構成を示す
フローシートである。
【図5】実施形態例2の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図6】実施形態例3の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図7】実施形態例4の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図8】従来の超臨界水反応装置の構成を示すフローシ
ートである。
【図9】中和急冷部の断面図である。
【符号の説明】
10 実施形態例1の超臨界水反応装置 12 反応器 14 処理液管 16 冷却器 18 圧力制御弁 20 気液分離器 22 被処理液管 24 被処理液ポンプ 26 空気送入管 28 空気圧縮機 30 中和急冷部 31 注入管 32 温度制御装置 34 温度計 36 流入口 38 流出口 40 処理液流路 42 アルカリ水溶液流路 44 チタン管壁 46 タンタル管壁 50 実施形態例2の超臨界水反応装置 52 反応器 54 圧力容器 56 反応カートリッジ 58 反応カートリッジの内部 60 連通孔 62 環状部 64 ノズル 66 処理液導管 68 中和急冷部 70 空気送入ノズル 72 空気送入枝管 76 実施形態例3の反応器 80 反応カートリッジ 82 外筒 84 内筒 86 環状部 88 処理液導管 90 中和急冷部 92 実施形態例4の中和急冷部 94 実施形態例4の反応器 100 従来の超臨界水反応装置 102 反応器 104 超臨界水領域 106 仮想的界面 108 亜臨界水領域 110 流入管 112 被処理液ライン 114 空気ライン 115 超臨界水ライン 116 中和剤ライン 118 処理液ライン 120 亜臨界水ライン 122 亜臨界排水ライン
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月11日(2000.8.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、(1)PCB等の高有機塩素濃度の被
処理液を排出基準で許容される3ppb以下のPCB濃
度に超臨界水処理できる反応温度を確立すること、
(2)その温度で使用できる反応器の材料を確立するこ
とが必要であると考えた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】上述の腐食試験の結果に基づいて、本発明
に係る超臨界水反応装置(以下、第1の発明という)
は、超臨界水を収容する反応器を備え、有機塩素化合物
を含有する被処理液を反応器内の超臨界水中に導入して
酸化剤により酸化分解する超臨界水反応装置において、
反応器内の温度を550℃以上650℃以下の範囲に制
御する温度制御装置を備え、反応器壁の少なくとも表層
にはチタン層又はチタン合金層からなる耐食層を設けて
いることを特徴としている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】反応器が圧力バランス型反応器である場合
には、本発明に係る超臨界水反応装置(以下、第2の発
明という)は、超臨界水を収容する反応器を備え、有機
塩素化合物を含有する被処理液を反応器内の超臨界水中
に導入して酸化剤により酸化分解する超臨界水反応装置
において、反応器内の温度を550℃以上650℃以下
の範囲に制御する温度制御装置を備え、反応器が、相互
に連通する圧力容器と、チタン又はチタン合金で形成さ
れた反応カートリッジとからなる2重筒体であって、被
処理液と、酸化剤として酸素含有ガスとを反応カートリ
ッジ内に供給し、かつ、圧力容器と反応カートリッジと
の間に圧力バランス用ガスとして酸素含有ガスを供給し
て、反応カートリッジ内の超臨界水中で被処理液を酸
含有ガスにより酸化分解する圧力バランス型反応器とし
て構成されていることを特徴としている。
フロントページの続き (72)発明者 岩森 智之 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 (72)発明者 川崎 慎一朗 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 Fターム(参考) 4D038 AA08 AB14 BA02 BA04 BA06 BB01 BB13 BB16 BB20 4D050 AA12 AB19 BB01 BC01 BC02 BD02 BD03 BD06 BD08 CA13 CA20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機塩素化合物を含有する被処理液を超
    臨界水中に導入して所定の反応温度で酸化剤により酸化
    分解する、有機塩素化合物の超臨界水処理方法であっ
    て、 所定の反応温度を550℃以上650℃以下の範囲の温
    度に設定し、反応温度を設定温度に制御することを特徴
    とする有機塩素化合物の超臨界水処理方法。
  2. 【請求項2】 被処理液の送入流量、超臨界水の送入流
    量、超臨界水生成のために反応器に送入する補給水の送
    入流量、及び補給水の温度の少なくともいずれかを調整
    することにより、反応温度を設定温度に制御することを
    特徴とする請求項1に記載の有機塩素化合物の超臨界水
    処理方法。
  3. 【請求項3】 有機塩素化合物がPCB又はPCB類似
    化合物であって、被処理液の酸化分解により生成した処
    理液中のPCB濃度を3ppb以下にすることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の有機塩素化合物の超臨界水
    処理方法。
  4. 【請求項4】 超臨界水を収容する反応器を備え、有機
    塩素を含有する被処理液を反応器内の超臨界水中に導入
    して酸化剤により酸化分解する超臨界水反応装置におい
    て、 反応器内の温度を550℃以上650℃以下の範囲に制
    御する温度制御装置を備え、 反応器壁の少なくとも表層にはチタン層又はチタン合金
    層からなる耐食層を設けていることを特徴とする超臨界
    水反応装置。
  5. 【請求項5】 反応器壁の少なくとも表層には、チタン
    層又はチタン合金層からなるチタン壁と、チタン壁の内
    側に設けられ、タンタル層又はタンタル合金層からなる
    タンタル壁との2層耐食層を設けていることを特徴とす
    る請求項4に記載の超臨界水反応装置。
  6. 【請求項6】 反応器内の温度分布に基づいて算出した
    温度が400℃未満である領域の反応器壁の少なくとも
    表層には、タンタル層又はタンタル合金層からなる耐食
    層を設けていることを特徴とする請求項4に記載の超臨
    界水反応装置。
  7. 【請求項7】 超臨界水を収容する反応器を備え、有機
    塩素を含有する被処理液を反応器内の超臨界水中に導入
    して酸化剤により酸化分解する超臨界水反応装置におい
    て、 反応器内の温度を550℃以上650℃以下の範囲に制
    御する温度制御装置を備え、 反応器が、相互に連通する圧力容器と、チタン又はチタ
    ン合金で形成された反応カートリッジとからなる2重筒
    体であって、被処理液と、酸化剤として酸素含有ガスと
    を反応カートリッジ内に供給し、かつ、圧力容器と反応
    カートリッジとの間に圧力バランス用ガスとして酸素含
    有ガスを供給して、反応カートリッジ内の超臨界水中で
    被処理液を酸化含有ガスにより酸化分解する圧力バラン
    ス型反応器として構成されていることを特徴とする超臨
    界水反応装置。
  8. 【請求項8】 反応カートリッジが、チタン層又はチタ
    ン合金層からなる内層と、タンタル層又はタンタル合金
    層からなる外層との2層構造で形成されていることを特
    徴とする請求項4に記載の超臨界水反応装置。
  9. 【請求項9】 処理液が流れる処理液流路と、処理液流
    路に合流してアルカリ水溶液を処理液中に注入するアル
    カリ水溶液流路とを備え、アルカリ水溶液によって処理
    液を450℃以下に中和急冷するようにした中和急冷部
    を反応器外に備え、 処理液流路及びアルカリ水溶液流路の流路壁が、チタン
    又はチタン合金からなるチタン壁と、チタン壁の外周に
    設けられ、タンタル又はタンタル合金からなるタンタル
    壁とで形成された耐食壁を内壁面に備えているいること
    を特徴とする請求項4から8のうちのいずれか1項に記
    載の超臨界水反応装置。
  10. 【請求項10】 処理液が流れる処理液流路と、処理液
    流路に合流してアルカリ水溶液を処理液中に注入するア
    ルカリ水溶液流路とを有し、アルカリ水溶液によって処
    理液を450℃以下に中和急冷するようにした中和急冷
    部を反応器の圧力容器と反応カートリッジとの間の環状
    部に備え、 処理液流路及びアルカリ水溶液流路の流路壁が、チタン
    又はチタン合金からなるチタン壁と、チタン壁の外周に
    設けられ、タンタル又はタンタル合金からなるタンタル
    壁とで形成された耐食壁を内壁面に備えているいること
    を特徴とする請求項7又は8に記載の超臨界水反応装
    置。
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