JP2002001089A - 超臨界水反応装置及び容器 - Google Patents

超臨界水反応装置及び容器

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JP2002001089A
JP2002001089A JP2000187364A JP2000187364A JP2002001089A JP 2002001089 A JP2002001089 A JP 2002001089A JP 2000187364 A JP2000187364 A JP 2000187364A JP 2000187364 A JP2000187364 A JP 2000187364A JP 2002001089 A JP2002001089 A JP 2002001089A
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Akira Suzuki
明 鈴木
Tomoyuki Iwamori
智之 岩森
Katsuo Yoda
勝男 依田
Yoshinao Ihara
義尚 伊原
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Organo Corp
Tosoh Corp
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Organo Corp
Tosoh Corp
Japan Organo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に有機塩素化合物を含む被処理液を超臨界
水処理する超臨界水反応装置を提供する。 【解決手段】 本装置10は、超臨界水を収容する反応
器12を備え、有機塩素化合物を含有する被処理液を反
応器内の超臨界水中に導入して空気により酸化分解する
超臨界水反応装置である。本装置は、被処理液の送入流
量等を調整して、反応器内の温度を550℃以上650
℃以下の範囲に制御する温度制御装置32を備え、反応
器壁の表層を石英ガラス層で被覆している。処理液が流
れる処理液流路と、処理液流路に合流してアルカリ水溶
液を処理液中に注入するアルカリ水溶液流路とを備え、
アルカリ水溶液によって処理液を450℃以下に中和急
冷する中和急冷部30を反応器外に備えている。中和急
冷部は、処理液と接する壁面が石英ガラス層で被覆され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理物、特にP
CB等の有機塩素系化合物を含む被処理液を超臨界水処
理する超臨界水反応装置に関し、更に詳細には、PCB
を完全に分解して無害化する超臨界水処理に最適な超臨
界水反応装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】環境問題に対する認識の高まりと共に、
超臨界水反応装置の適用分野の一つとして、環境汚染物
質の分解、無害化が、注目されている。すなわち、超臨
界水の反応媒体的性質を利用した超臨界水反応により、
従来技術では分解することが難しかった有害な難分解性
の有機物、例えば、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)、
ダイオキシン、有機塩素系溶剤等を分解して、二酸化炭
素、水、無機塩などの無害な生成物に転化する試みであ
る。
【0003】超臨界水とは、超臨界状態にある水、即
ち、水の臨界点を越えた状態にある水を言い、詳しく
は、臨界温度、即ち374.1℃以上の温度で、かつ水
の臨界圧力、即ち22.04MPa以上の圧力下にある
状態の水を言う。超臨界水は、有機物を溶解する溶解能
が高く、有機化合物に多い非極性物質をも完全に溶解す
ることができる一方、逆に、金属、塩等の無機物に対す
る溶解能は著しく低い。また、超臨界水は、酸素や窒素
などの気体と任意の割合で混合して単一相を構成するこ
とができる。
【0004】ここで、図8を参照して、有機塩素系化合
物を含む被処理液を超臨界水処理する、従来の超臨界水
反応装置の基本的な構成を説明する。図8は従来の超臨
界水反応装置の構成を示すフローシートである。超臨界
水反応装置100は、従来、超臨界水処理中に塩が析出
するような有機塩素系の難分解性有機物の酸化分解に最
適な装置と言われている、いわゆるモダープロセス方式
の装置であって、下部に亜臨界水域を有する耐圧密閉型
の縦型反応器102を備え、超臨界水中に固形物として
析出する塩を反応容器下部の亜臨界水域に沈降、分離さ
せるようになっている。
【0005】図8に示すように、反応器102の上部に
は、超臨界水を滞留させている超臨界水域104が形成
され、水の臨界点以上の条件、即ち超臨界条件を維持し
ている。一方、反応器102の下部には、亜臨界水域1
08が、超臨界水域104との仮想的界面106を介し
て形成され、水の臨界温度より低い亜臨界水を滞留させ
ている。反応器102の上部には、超臨界水処理する被
処理液及び酸化剤を超臨界水域104に流入させる流入
管110が接続されている。流入管110には、超臨界
水反応により処理すべき有機塩素系化合物を有する被処
理液を送入する被処理液ライン112、有機物を酸化さ
せる酸化剤として空気を送入する空気ライン114が合
流している。
【0006】また、被処理液中の有機塩素系化合物によ
って生成する塩酸を中和するためにアルカリ中和剤を供
給する中和剤ライン116が、被処理液ライン112に
接続されている。本例では、通常、被処理液及び中和剤
は、流入管110を通って反応器102に供給され、酸
化剤である空気により下方に向けてアトマイジングされ
て、反応器102内の超臨界水域104内に噴霧され
る。噴霧された被処理液中の有機塩素系化合物は超臨界
水域104内で瞬時に酸化分解される。超臨界水反応の
結果、被処理液に含有された有機塩素系化合物の塩素
は、アルカリ中和剤と中和して塩となり、超臨界水域か
ら亜臨界水域に移行する。反応器102の上部には、更
に、処理液ライン118が接続され、被処理液中の有機
物が、超臨界水反応により、主として水と二酸化炭素に
なって処理液と共に超臨界水域104から処理液ライン
118を通って流出する。尚、必要に応じて、超臨界水
又は超臨界水生成用の補給水を超臨界水域に供給する超
臨界水ライン115を流入管110に接続することもあ
る。
【0007】一方、反応器102の下部には、亜臨界水
ライン120及び亜臨界排水ライン122が接続され、
亜臨界水ライン120は亜臨界水域108に亜臨界水を
供給し、また亜臨界排水ライン122は超臨界水反応及
び中和反応により生成した塩を溶解している亜臨界水を
排水として亜臨界水域108から排出する。図示しない
が、また、処理液ライン118及び亜臨界排水ライン1
22には、反応器104内の圧力を所定圧力に維持する
圧力制御装置、処理液及び亜臨界排水を所定温度に降温
する冷却器、所定圧力に減圧する減圧装置、更には気液
分離装置が設けてある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の超臨界水処理装置によって、高濃度のPCBを含む被
処理液を超臨界水処理しようとすると、次のような問題
が生じていた。第1には、従来のように、水の臨界温度
(374.1℃)を超えた反応温度、即ち450℃から
500℃の範囲の温度では、処理液のPCB含量を排出
基準で許容されている3ppb以下にすることが極めて
難しかった。逆に言えば、更に高い反応温度を必要とす
ることが予想されることである。
【0009】第2には、超臨界水域と亜臨界水域とを反
応器内に形成する2ゾーン方式に起因する二つの問題で
ある。その一は、反応器壁の腐食、特に両域の境界近傍
での腐食が著しいという問題であった。通常は、超臨界
水反応と同時並行的に中和反応が進行するので、腐食問
題は起きないのであるが、場合によって中和が不完全で
あると、腐食が問題となる。従来の方法では、反応器内
に高温の超臨界水域と低温の亜臨界水域とが存在するた
めに、腐食の厳しい領域が必ず存在し、PCBの超臨界
水処理の実用化を図る上で障害となっていた。その二
は、従来法では被処理液の噴霧状態が良くないと、PC
B等が完全に分解せずに、亜臨界水域に入ってしまうこ
とがある。この場合、亜臨界水域の温度が低いために、
亜臨界水域に混入した未分解物が、分解されることなく
そのまま残留し、亜臨界水域から排水として排出される
ので、亜臨界排水中のPCB含量が排出基準を超えると
いう問題があった。
【0010】第3には、PCBを処理する際のように被
処理液中の有機塩素濃度が高い場合、中和反応及び塩生
成分離のメカニズムに不明な点が多く、PCBの超臨界
水処理ではPCBの有機塩素に由来して生成した塩酸を
従来のように反応器内で完全に中和させる処理は、実際
には難しく、確実性に乏しいという問題があった。
【0011】そこで、処理液にアルカリ水溶液を注入し
て急冷中和する中和急冷部を反応器出口又は下流に設
け、反応器外でアルカリ水溶液を注入して処理液を中和
急冷することが試みられている。しかし、この方法で
は、処理液が反応器から流出して中和急冷部に入って始
めて中和されるので、超臨界水反応により生成した多量
の塩酸が反応器内に存在することになる。そのために、
従来から耐食層として反応器の内壁に使用されてきたイ
ンコネル625等のニッケル合金は、塩酸による腐食が
著しく、使用に耐えないという問題があった。また、急
冷中和部でも、アルカリ水溶液と処理液との中和反応が
終了する地点までの配管の腐食が著しく、同じくニッケ
ル合金を配管に使用しても、長期の使用が難しいという
問題がある。
【0012】更には、中和急冷部と併用して、圧力バラ
ンス型反応器を採用する試みも行われている。圧力バラ
ンス型反応器130は、図9に示すように、圧力容器と
して形成された外円筒体131と、外円筒体131と相
互に連通する内円筒体として設けられ、超臨界水を収容
して反応域を形成する反応カートリッジ132との2重
円筒体として形成されている。流入管110(図8参
照)に接続された入口ノズル133から、被処理液と、
酸化剤として酸素含有ガス、例えば空気とを反応カート
リッジ132内の反応域134に流入させ、かつ、圧力
バランス用ガス送入口135から外円筒体131と反応
カートリッジ132との間の環状部136に、圧力バラ
ンス用ガスとして、例えば空気を供給する。圧力バラン
ス用ガスは、圧力容器131と反応カートリッジ132
との上部間隙137を介して環状部136から反応域1
34に流入し、酸化剤の一部として消費される。
【0013】反応カートリッジ132内の反応域134
に流入した被処理液は、超臨界水中で空気中の酸素によ
り酸化分解され、反応器流出管138から流出する。中
和急冷部は、反応カートリッジ132の下流で、圧力容
器132の内側又は外側に設けられる。従来の圧力バラ
ンス型反応器では、内外の圧力差は殆ど無いため、反応
カートリッジ132を非圧力容器として薄い肉厚で形成
できるので、反応カートリッジ132を高価な耐食性金
属、例えばインコネル625等のニッケル合金で形成し
ても、コストが嵩まないという利点がある。また、環状
部136は腐食性が強い雰囲気ではないので、外円筒体
131は必ずしも反応カートリッジ132と同じ材質で
形成する必要はなく、通常、耐熱、耐圧性炭素鋼、或い
はステンレス鋼で形成される。しかし、高価なニッケル
合金で形成した反応カートリッジであっても、塩酸によ
る腐食が著しく、短期間で交換せざるを得ないと言う問
題があった。
【0014】そこで、本発明の目的は、被処理物、特
に、PCB等を高濃度で含有する被処理液を排出基準で
許容される3ppb以下のPCB濃度に超臨界水処理す
る装置であって、長期間にわたり安定して運転できる超
臨界水処理装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、(1)PCB等の高有機塩素濃度の被
処理液を排出基準で許容される3ppbのPCB濃度に
超臨界水処理できる反応温度を確立すること、(2)そ
の温度で使用できる反応器の材料を確立することが必要
であると考えた。
【0016】そこで、先ず、PCBの超臨界水処理によ
り生成する処理液のPCB含量を3ppb以下にするた
めに、PCBの分解率と超臨界水反応の反応温度との関
係を調べた。その結果、23MPaの反応圧力、及び2
分間以上4分間以下の反応時間の条件では、反応温度が
500℃のときには、PCB濃度は3ppb以上であっ
て、排出基準である3ppbを満足させることはできな
いこと、そして反応温度を550℃及び650℃にする
ことにより、PCB濃度を3ppb以下にすることがで
きることが判った。尚、反応温度が500℃のときに
は、反応時間を4分間以上にしても、PCB濃度を3p
pb以下にすることができないことも判った。
【0017】すなわち、反応温度を550℃以上650
℃以下の範囲の温度に設定することにより、処理液中の
PCB濃度が3ppb以下になるように、PCB又はP
CB類似化合物からなる有機塩素系化合物を含む被処理
液を超臨界水反応により酸化分解することができる。P
CB類似化合物とは、PCBとほぼ同じような化学構造
を有する化合物であって、例えばダイオキシン類、クロ
ロベンゼン系化合物、クロロフェノール類等である。
【0018】次いで、550℃以上の温度で高濃度塩酸
に対して耐食性を有する材料を選定するために、種々の
材料で反応器を作製し、実際にPCBを超臨界水処理す
ることにより材料の耐食性評価を行うという腐食試験を
行った。ところで、例えば純度100%の三塩素化物か
ら五塩素化物までのPCBを超臨界水処理すると、生成
する塩酸の濃度は約10質量%〜15質量%程度とな
る。そこで、腐食試験では、塩酸水溶液の塩酸濃度を2
0質量%とし、各種材料の腐食速度を以下のようにして
測定した。
【0019】先ず、下記に挙げる材料でオートクレーブ
状の反応器をそれぞれ作製し、塩酸濃度20質量%の塩
酸水溶液を各反応器内に収容し、反応器内の塩酸水溶液
を圧力22MPaで実験温度200℃に昇温し、500
時間から600時間その温度に維持して、各反応器の容
器壁の腐食速度を測定した。その結果は、表1に示す通
りである。尚、表1で−の表示は、反応器の単位面積当
たりの重量が塩化物の生成により増えたことを示す。従
って、マイナス表示の腐食速度も、腐食が進行している
ことを意味する。
【表1】
【0020】次いで、温度300℃から650℃まで、
550℃を除いて50℃刻みに実験温度を設定し、同様
の腐食実験を行ったところ、表1及び図10に示す腐食
実験結果を得た。図10は表1の数字をグラフ化したも
のである。実験に供した材料は、耐食性が高いと評価さ
れている白金族元素のうちの白金(Pt)、イリジウム
(Ir)、ルテニウム(Ru)、及びロジウム(Rh)
と、白金族に次いで耐食性が高いと評価されているチタ
ン{Ti(ASTMグレード12)}、タンタル(T
a)、及び石英ガラス、並びに酸化アルミナ(Al2
3 )の8種類である。
【0021】石英ガラスは、溶融石英、シリカガラスな
どとも呼ばれる、純度がほぼ100%の二酸化珪素(S
iO2 )からなるガラスであって、密度が2.20g・
cm -3、軟化点が1650℃である。尚、ロジウム(R
h)は、塩酸濃度20質量%の塩酸水溶液に溶解し易
く、反応器を作製して実物による腐食実験を行うことが
できないことが判ったので、他の材料の腐食条件と同じ
条件でテストピースを塩酸水溶液に浸漬して、耐食性を
評価した。ロジウムの腐食実験の結果は、表1で、30
0℃で27mm/yの腐食速度と表されているが、ロジ
ウムが300℃では塩酸水溶液に溶解してしまうので、
その溶解速度を腐食速度として表示したものである。
【0022】ところで、実際の超臨界水処理では、反応
器の容器壁の腐食速度が1mm/年未満であれば、腐食
性が低く、反応器の材料として最も好ましい耐食性材料
であると評価できる。また、腐食速度が1mm/年以上
5mm/年未満のときには、その腐食速度は許容できる
範囲内の腐食性であって、反応器の材料として採用可能
な耐食性材料であると評価できる。しかし、腐食速度が
5mm/年を越えるときには、その腐食速度は許容でき
る範囲を超えており、反応器の材料として採用できる耐
食性材料とは評価できない。
【0023】上述した腐食性(耐食性)の判定基準に従
い、腐食試験で得た容器壁の腐食速度に基づいて、腐食
試験に供した各材料が反応器に使えるかどうかについ
て、以下のように評価した。石英ガラス及びイリジウム
以外の材料、即ちチタン、タンタル(Ta)、白金(P
t)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、及び酸
化アルミナ(Al23 )の腐食性は、特定の温度範囲
では、腐食速度が1mm/年以上5mm/年未満であっ
て、許容できる範囲内に収まるものの、その温度範囲外
では腐食速度が高く、そのままでは採用できない。例え
ば、チタン、ルテニウム、ロジウムは、高温領域では、
腐食速度が低いものの、400℃以下の温度、特に30
0℃では、腐食速度が極めて高い。逆に、タンタルは、
400℃以下の温度領域では、腐食速度が低いものの、
400℃以上の高温領域では、腐食速度が極めて高い。
また、酸化アルミナは、高温領域で、腐食速度は低いも
のの、割れが発生するので、反応器の耐食材料として使
うことはできない。
【0024】一方、石英ガラスは、イリジウムと共に、
200℃から650℃にわたる全温度領域で、腐食速度
が極めて低い。例えば、腐食速度は、300℃で1.5
mm/y、600℃で1.3mm/yである。つまり、
常温から650℃までの温度範囲にわたり、腐食速度が
許容できる範囲内(1mm/年以上5mm/年未満)に
あると認められる。更に言えば、耐食性の高いと評価さ
れている白金族元素であっても、イリジウム以外の白
金、ルテニウム(Ru)、及びロジウム(Rh)は特定
の温度範囲を除いて耐食性に乏しく、イリジウムのみが
常温から650℃までの温度範囲にわたり良好な耐食性
を有する。
【0025】反応器内は、全域にわたって550〜65
0℃の温度範囲にあることが望まれるが、実際の運転に
おいては、ノズル噴霧が悪化した場合に、反応器の一
部、特に下部が400℃以下の温度となることが考えら
れ、この範囲で、腐食速度が許容範囲以内であることが
必要である。例えば、チタンを使った反応器であれば、
チタンの耐食性を機能させるためには、反応器を常に高
温域に維持することが必要であって、特別の温度維持装
置が必要になる。これでは、設備コストが嵩み、しかも
運転が複雑になるという問題がある。
【0026】よって、本発明者は、反応器材料として石
英ガラスを選択し、反応器の表層を石英ガラス層で被覆
することにより、常温から650℃までの温度範囲にわ
たり、腐食速度の許容できる限度内で、即ち長期間にわ
たり安全に、有機塩素系化合物の超臨界水処理を行うこ
とができることを見い出した。
【0027】上記目的を達成するために、上述の知見に
基づいて、本発明に係る超臨界水反応装置(以下、第1
の発明と言う)は、超臨界水を収容する反応器を備え、
被処理物を反応器内の超臨界水中に導入して酸化剤によ
り酸化分解する超臨界水反応装置において、反応器内の
温度を550℃以上650℃以下の範囲に制御する温度
制御装置を備え、反応器の被処理液と接する反応器壁面
が、石英ガラス層で被覆されていることを特徴としてい
る。
【0028】上述のように、反応温度を550℃以上6
50℃以下の範囲の温度に設定することにより、被処理
物が難分解性の有機塩素系化合物、例えばPCB又はP
CB類似化合物等を含んでいても、被処理液の酸化分解
により生成した処理液中のPCB濃度を3ppb以下に
することができる。本明細書で、PCB類似化合物と
は、PCBとほぼ同じような化学構造を有する化合物で
あって、例えばダイオキシン類、クロロベンゼン系化合
物、クロロフェノール類等である。石英ガラス層で被覆
する方法には制約はなく、例えば反応器壁面に石英ガラ
ス層をライニングすることにより、石英ガラス層で被覆
することができる。
【0029】反応器が圧力バランス型反応器である場合
には、本発明に係る別の超臨界水反応装置(以下、第2
の発明という)は、圧力容器と、圧力容器と相互に連通
する反応カートリッジとの2重筒体からなる圧力バラン
ス型反応器を備え、被処理物及び酸化剤を反応カートリ
ッジ内に供給し、かつ、圧力容器と反応カートリッジと
の間に圧力バランス用ガスとして酸素含有ガスを供給し
て、反応カートリッジ内の超臨界水中で被処理物を酸化
剤及び酸化含有ガスにより酸化分解するようにした超臨
界水反応装置において、反応器内の温度を550℃以上
650℃以下の範囲に制御する温度制御装置を備え、反
応カートリッジが石英ガラスで形成されているか、又は
反応カートリッジの被処理液と接する反応カートリッジ
壁面が、石英ガラス層で被覆されていることを特徴とし
ている。
【0030】第1及び第2の発明では、温度制御装置に
よって、被処理液の送入流量、超臨界水の送入流量、超
臨界水生成のために反応器に送入する補給水の送入流
量、及び補給水の温度の少なくともいずれかを調整する
ことにより、反応器内の温度を550℃以上650℃以
下の範囲に制御することができる。
【0031】第1及び第2の発明の好適な実施態様で
は、処理液が流れる処理液流路と、処理液流路に合流し
てアルカリ水溶液を処理液中に注入するアルカリ水溶液
流路とを備え、アルカリ水溶液によって処理液を450
℃以下に中和急冷するようにした中和急冷部を反応器外
に備え、中和急冷部の処理液流路及びアルカリ水溶液流
路の処理液と接する流路壁面が、石英ガラス層で被覆さ
れている。
【0032】圧力バランス型反応器では、中和急冷部を
反応器の圧力容器と反応カートリッジとの間の環状部に
備えて良い。また、中和急冷部が反応器の圧力容器と反
応カートリッジとの間の環状部に設けられているときに
は、中和急冷部の処理液流路及びアルカリ水溶液流路の
流路壁面、及び中和急冷部の処理液と接する外壁面が、
石英ガラス層で被覆されている。尚、第1及び第2の発
明の超臨界水装置では、反応器は反応器内全域にわたり
超臨界水域のみを形成し、亜臨界水域を形成しないよう
になっている。
【0033】更には、超臨界水反応に限らず、石英ガラ
ス層を耐食層として有する容器は、常温から700℃の
温度範囲で、高濃度の塩酸水溶液、例えば20質量%程
度の塩酸水溶液を取り扱う容器、例えば反応器にも適用
できる。即ち、本発明に係る容器(以下、第3の発明と
言う)は、塩酸水溶液を含む700℃以下の流体を収容
する容器、又は容器内で塩酸水溶液を含む反応流体を7
00℃以下の温度範囲で反応させる反応器として構成さ
れた容器であって、容器の流体又は反応流体と接する容
器壁が、石英ガラス層で被覆されていることを特徴とし
ている。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照し、実施
形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に
説明する。実施形態例1 本実施形態例は、第1の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図1は本実施形態例の超臨界
水反応装置の構成を示すフローシート、及び図2は反応
器の詳細を示す断面図である。本実施形態例の超臨界水
反応装置は、超臨界水の存在下で超臨界水反応により主
としてPCBを含む被処理液を処理する装置であって、
図1に示すように、超臨界水反応を行う反応器として、
縦型の耐圧密閉型反応器12を備え、反応器12から処
理液を流出させる処理液管14に、順次、処理液を冷却
する冷却器16、反応器12内の圧力を制御する圧力制
御弁18、及び、処理液をガスと液体とに気液分離する
気液分離器20を備えている。
【0035】超臨界水反応装置10は、超臨界水反応に
供する反応物を反応器12に供給する供給系統として、
インバータ制御あるいはストローク制御によって吐出量
の調節が可能な被処理液ポンプ24と、空気圧縮機28
とを備え、被処理液管22を介してPCBを含む被処理
液を反応器12に送入し、かつ、空気送入管26及び被
処理液管22を介して酸化剤として空気を被処理液と共
に反応器12に送入する。図示しないが、必要に応じて
超臨界水又は超臨界水生成用の補給水を反応器12に補
充するようにしてもよく、また、補給水を所望の温度に
加熱する加熱器を設けることもできる。更に、超臨界水
反応装置10は、反応器12から出た直後の処理液管1
4に中和急冷部30を備え、注入管31から処理液にア
ルカリ水溶液を注入して処理液を温度450℃以下、好
ましくは350℃以下に中和急冷するようになってい
る。
【0036】また、超臨界水反応装置10は、被処理液
の送入流量を調整することにより、反応器12内の反応
温度を550℃以上650℃以下の範囲の設定温度、例
えば600℃に制御する温度制御装置32を備えてい
る。温度制御装置32は、反応器12内の温度を計測す
る温度計34を有し、温度計34の温度に基づいて被処
理液ポンプ24の吐出量を調節して被処理液の送入流量
を調整することにより、反応温度を600℃に制御す
る。温度制御装置32の構成は、これに限らず、例えば
超臨界水の送入流量を調整することにより、或いは超臨
界水生成用の補給水の送入流量を調整することにより、
更には補給水の送入温度を調整することにより、反応器
12内の反応温度を550℃以上650℃以下の範囲に
制御することができる。
【0037】反応器12は、図2に示すように、超臨界
水処理時の圧力、例えば23MPaに抗する機械的強度
を有する縦型筒状容器12aであって、容器12aの内
壁は石英ガラス層12bで被覆されている。反応器12
は、被処理液管22と接続し、被処理液及び空気を反応
器12内に流入させる流入口36を上部に、処理液管1
4に接続し、処理液を流出させる流出口38を側壁に備
えている。容器12aの内壁に石英ガラス層12bを被
着させるライニング加工を施すことにより、反応器12
を形成することができる。
【0038】中和急冷部30は、図3に示すように、中
和急冷部本体がステンレス鋼で形成され、処理液流路4
0及びアルカリ水溶液流路42の流路壁面が石英ガラス
層30aでライニングされている。尚、反応器12の処
理液出口38から中和急冷部30までの処理液管14
は、処理液流路40と同様に、その管内壁が石英ガラス
でライニングされた石英ガラス・ライニング管路として
形成されている。
【0039】本実施形態例では、温度制御装置32によ
って反応器12内の温度を600℃に制御することによ
り、PCBを含む被処理液を超臨界水処理により完全に
分解して処理液のPCBの残留量を3ppb以下に抑え
ることができる。また、被処理液と接触する反応器12
の反応器壁及び中和急冷部30の流路内壁が、石英ガラ
ス層でライニングされているので、反応器12及び中和
急冷部30は長期間にわたり安全に機能することができ
る。
【0040】実施形態例2 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図4は本実施形態例の超臨界
水反応装置の構成を示すフローシート、図5は反応器の
詳細を示す断面図である。図4及び図5中、図1から図
3に示す部位、部品と同じものには同じ符号を付し、そ
の説明を省略する。本実施形態例の超臨界水反応装置5
0は、圧力容器と、圧力容器と相互に連通する反応カー
トリッジとからなる圧力バランス型反応器を反応器とし
て備えた超臨界水反応装置であって、図4及び図5に示
すように、反応器52の構成と、中和急冷部が反応器5
2内に内蔵されていること、及び反応器52に圧力バラ
ンス用のガスとして空気が送入されていることを除い
て、実施形態例1と同じ構成を有する。
【0041】圧力バランス型反応器52は、図5に示す
ように、外筒として設けられた圧力容器54と、圧力容
器54内に内筒として設けられた反応カートリッジ56
との2重筒体として形成され、反応カートリッジ56の
内部58は、超臨界水反応の反応域として構成されてい
る。圧力容器54は、反応圧力に対抗するために、厚肉
の高強度鋼製耐圧円筒型容器として形成されている。一
方、反応カートリッジ56は、薄肉の有蓋有底円筒体と
して石英ガラスで形成され、反応カートリッジ56の底
部と圧力容器54の底部との間に多少の間隙を有するよ
うに、圧力容器54内に配置されている。尚、反応カー
トリッジ56を石英ガラスで形成する代わりに、反応カ
ートリッジ56の被処理液と接する反応カートリッジ壁
面を石英ガラス層でライニングしても良い。圧力容器5
4と反応カートリッジ56との間には、連通孔60を介
して反応カートリッジ56の内部と連通する環状部62
が形成されており、環状部62と反応カートリッジ56
内とは、圧力がバランスしている。換言すれば、圧力容
器54は、超臨界水処理時の圧力、例えば23MPaに
抗する強度を備え、反応カートリッジ56は、反応器5
2の内圧力を受けないようにして反応域を区画する耐腐
食性の隔壁として機能している。
【0042】反応器52は、圧力容器54と反応カート
リッジ56とを貫通して反応カートリッジ56の内部に
突出したノズル64と、反応カートリッジ56から環状
部62を通って反応器52外に処理液を流出させる処理
液導管66と、環状部62内の処理液導管66に設けら
れた中和急冷部68と、環状部62に空気を送入する空
気送入ノズル70とを備えている。中和急冷部68は、
実施形態例1の中和急冷部30と同じ構造(図3参照)
であって、反応カートリッジ56から中和急冷部30ま
での処理液導管66を含めて、処理液と接する壁面が石
英ガラス層でライニングされている。また、中和急冷部
68には、注入管31が接続され、処理液にアルカリ水
溶液を注入し、450℃以下に中和急冷するようになっ
ている。ノズル64は被処理液管22(図4参照)に、
処理液導管66は処理液管14に、それぞれ、接続され
ている。また、空気送入ノズル70は、空気送入管26
から分岐した空気送入枝管72(図4参照)に接続さ
れ、空気を環状部62に導入し、次いで連通孔60を介
して反応カートリッジ56内部に流入させ、酸化剤の一
部とする。
【0043】圧力バランス型反応器52では、ノズル6
4を経て反応カートリッジ56に流入した空気と同じ圧
力の空気が環状部62に導入されているので、反応カー
トリッジ56の内外では圧力差が殆ど生じない。尚、環
状部62に空気を導入するのは、空気が非腐食性流体で
あると同時に酸化剤として使用できるからである。
【0044】本実施形態例では、実施形態例1と同様
に、温度制御装置32によって反応器52、正確には反
応カートリッジ56内の温度を例えば600℃に制御す
ることにより、PCBを含む被処理液を超臨界水処理に
より完全に分解して処理液のPCBの残留量を3ppb
以下に抑えることができる。また、処理液と接触する反
応カートリッジ56が石英ガラスで形成され、かつ中和
急冷部30の壁面が石英ガラス層で被覆されているの
で、反応器12及び中和急冷部30は長期間にわたり安
全に機能することができる。
【0045】実施形態例3 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図6は反応器の詳細を示す断
面図である。図6中、図5と同じ部位、部品には同じ符
号を付し、その説明を省略している。本実施形態例の超
臨界水反応装置は、反応器76の構成が、図5で示す反
応器52と異なり反応カートリッジ内に内筒を有するこ
とを除いて、実施形態例2と同じ構成を有する。反応器
76は、図6に示すように、圧力容器54と、圧力容器
54と相互に連通する反応カートリッジ80とからなる
圧力バランス型反応器であって、反応カートリッジ80
が、実施形態例2の反応カートリッジ56とほぼ同じ形
状で、石英ガラス製の外筒82と、上端が開口し、底部
が逆円錐状の石英ガラス製の内筒84とから構成され、
内筒84の内部が超臨界水反応の反応域として構成され
ている。尚、外筒82及び内筒84を石英ガラスで形成
する代わりに、外筒82及び内筒84の筒壁面を石英ガ
ラス層でライニングしても良い。尚、内筒84はこの形
状に限るものではなく、傘を上下逆にしたような形状の
ものなど、ノズル64から噴出して下方に向かう被処理
液流体の流れを反転させて上方に向かわせるようにでき
る限り、その形状に制約はない。
【0046】ノズル64から流入した被処理液は、内筒
84の内部で超臨界水処理され、処理液となって上端の
開口から外筒82と内筒84との間の環状部86に流入
し、環状部86を流下して外筒82の底部に入り、外筒
82の底部に接続された処理液導管88を介して処理液
管14に流出する。圧力容器54内の処理液導管88に
は、中和急冷部90が設けてあって、注入管31が接続
され、処理液にアルカリ水溶液を注入し、450℃以下
に中和急冷するようになっている。中和急冷部90は、
アルカリ水溶液流路31が処理液導管88に直交方向で
合流していることを除いて、実施形態例1の中和急冷部
30と同じ構造(図3参照)であって、外筒82から中
和急冷部90までの処理液導管88を含めて処理液と接
する壁面が石英ガラス層でライニングされている。空気
送入ノズル70は、空気を環状部62に導入し、次いで
連通孔60を介して内筒84の上端開口から内筒84内
部に流入させ、酸化剤の一部とする。以上の構成によ
り、本実施形態例の超臨界水反応装置も、実施形態例2
と同じ効果を有する。
【0047】実施形態例4 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図7は反応器の詳細を示す断
面図である。図7中、図6と同じ部位、部品には同じ符
号を付し、その説明を省略する。本実施形態例の超臨界
水反応装置は、中和急冷部92が反応器外に設けられて
いること、及びそれに関連して反応器94の構成が異な
ることを除いて、実施形態例3と同じ構成を有する。反
応器94は、図7に示すように、中和急冷部92が反応
器の外部に設けてあることを除いて、実施形態例3の反
応器76と同じ構成を備え、反応カートリッジの外筒8
2は圧力容器54の底部に接し、処理液管14が直接圧
力容器54の底部を貫通して外筒82の内部に連通して
いる。中和急冷部92は圧力容器54の底部に接するよ
うにして処理液管14に設けてある。
【0048】本実施形態例の反応器94では、実施形態
例3の反応器76に比べて中和急冷部92の取り付けが
容易である。尚、実施形態例2の超臨界水反応装置の反
応器52で、反応カートリッジ56の底部を圧力容器5
4の底部上に配置し、環状部62に設けた中和急冷部6
8に代えて、図7に示すように中和急冷部92を圧力容
器54の底部に接するように設けることもできる。
【0049】実施形態例1の反応器12、実施形態例2
から実施形態例4の反応器52、76、及び94は、第
3の発明に係る容器の実施形態例として解釈することで
きる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、反応温度を550℃以
上650℃以下の範囲に制御することにより、被処理
物、特に有機塩素系化合物を含有する被処理液を超臨界
水処理して無害化することができ、例えばPCB又はP
CB類似化合物等の場合、処理液中のPCB濃度を3p
pb以下にすることができる。また、本発明によれば、
被処理液の送入流量等を調整して、反応器内の温度を5
50℃以上650℃以下の範囲に制御する温度制御装置
を備え、反応器壁の表層を石英ガラス層で被覆し、又は
反応カートリッジを石英ガラスで形成し、或いは石英ガ
ラス層で被覆することにより、有機塩素系化合物、例え
ばPCB又はPCB類似化合物を含有する被処理液を超
臨界水処理して処理液中のPCB濃度を3ppb以下に
することができる装置であって、しかも長期間にわたり
安定して運転を継続できる信頼性の高い超臨界水反応装
置を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1の超臨界水反応装置の構成を示す
フローシートである。
【図2】実施形態例1の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図3】中和急冷部の断面図である。
【図4】実施形態例2の超臨界水反応装置の構成を示す
フローシートである。
【図5】実施形態例2の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図6】実施形態例3の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図7】実施形態例4の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図8】従来の超臨界水反応装置の構成を示すフローシ
ートである。
【図9】圧力バランス型反応器の構成を示す断面図であ
る。
【図10】腐食実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 実施形態例1の超臨界水反応装置 12 反応器 14 処理液管 16 冷却器 18 圧力制御弁 20 気液分離器 22 被処理液管 24 被処理液ポンプ 26 空気送入管 28 空気圧縮機 30 中和急冷部 30a 石英ガラス層 31 注入管 32 温度制御装置 34 温度計 36 流入口 38 流出口 40 処理液流路 42 アルカリ水溶液流路 50 実施形態例2の超臨界水反応装置 52 反応器 54 圧力容器 56 反応カートリッジ 58 反応カートリッジの内部 60 連通孔 62 環状部 64 ノズル 66 処理液導管 68 中和急冷部 70 空気送入ノズル 72 空気送入枝管 76 実施形態例3の反応器 80 反応カートリッジ 82 外筒 84 内筒 86 環状部 88 処理液導管 90 中和急冷部 92 実施形態例4の中和急冷部 94 実施形態例4の反応器 100 従来の超臨界水反応装置 102 反応器 104 超臨界水領域 106 仮想的界面 108 亜臨界水領域 110 流入管 112 被処理液ライン 114 空気ライン 115 超臨界水ライン 116 中和剤ライン 118 処理液ライン 120 亜臨界水ライン 122 亜臨界排水ライン 130 圧力バランス型反応器 131 外円筒体 132 反応カートリッジ 133 入口ノズル 134 反応域 135 圧力バランス用ガス送入口 136 環状部 137 上部間隙 138 反応器流出管
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月8日(2001.5.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 超臨界水反応装置及び容器
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理物、特にP
CB等の有機塩素系化合物を含む被処理液を超臨界水処
理する超臨界水反応装置に関し、更に詳細には、PCB
を完全に分解して無害化する超臨界水処理に最適な超臨
界水反応装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】環境問題に対する認識の高まりと共に、
超臨界水反応装置の適用分野の一つとして、環境汚染物
質の分解、無害化が、注目されている。すなわち、超臨
界水の反応媒体的性質を利用した超臨界水反応により、
従来技術では分解することが難しかった有害な難分解性
の有機物、例えば、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)、
ダイオキシン、有機塩素系溶剤等を分解して、二酸化炭
素、水、無機塩などの無害な生成物に転化する試みであ
る。
【0003】超臨界水とは、超臨界状態にある水、即
ち、水の臨界点を越えた状態にある水を言い、詳しく
は、臨界温度、即ち374.1℃以上の温度で、かつ水
の臨界圧力、即ち22.04MPa以上の圧力下にある
状態の水を言う。超臨界水は、有機物を溶解する溶解能
が高く、有機化合物に多い非極性物質をも完全に溶解す
ることができる一方、逆に、金属、塩等の無機物に対す
る溶解能は著しく低い。また、超臨界水は、酸素や窒素
などの気体と任意の割合で混合して単一相を構成するこ
とができる。
【0004】ここで、図8を参照して、有機塩素系化合
物を含む被処理液を超臨界水処理する、従来の超臨界水
反応装置の基本的な構成を説明する。図8は従来の超臨
界水反応装置の構成を示すフローシートである。超臨界
水反応装置100は、従来、超臨界水処理中に塩が析出
するような有機塩素系の難分解性有機物の酸化分解に最
適な装置と言われている、いわゆるモダープロセス方式
の装置であって、下部に亜臨界水域を有する耐圧密閉型
の縦型反応器102を備え、超臨界水中に固形物として
析出する塩を反応容器下部の亜臨界水域に沈降、分離さ
せるようになっている。
【0005】図8に示すように、反応器102の上部に
は、超臨界水を滞留させている超臨界水域104が形成
され、水の臨界点以上の条件、即ち超臨界条件を維持し
ている。一方、反応器102の下部には、亜臨界水域1
08が、超臨界水域104との仮想的界面106を介し
て形成され、水の臨界温度より低い亜臨界水を滞留させ
ている。反応器102の上部には、超臨界水処理する被
処理液及び酸化剤を超臨界水域104に流入させる流入
管110が接続されている。流入管110には、超臨界
水反応により処理すべき有機塩素系化合物を有する被処
理液を送入する被処理液ライン112、有機物を酸化さ
せる酸化剤として空気を送入する空気ライン114が合
流している。
【0006】また、被処理液中の有機塩素系化合物によ
って生成する塩酸を中和するためにアルカリ中和剤を供
給する中和剤ライン116が、被処理液ライン112に
接続されている。本例では、通常、被処理液及び中和剤
は、流入管110を通って反応器102に供給され、酸
化剤である空気により下方に向けてアトマイジングされ
て、反応器102内の超臨界水域104内に噴霧され
る。噴霧された被処理液中の有機塩素系化合物は超臨界
水域104内で瞬時に酸化分解される。超臨界水反応の
結果、被処理液に含有された有機塩素系化合物の塩素
は、アルカリ中和剤と中和して塩となり、超臨界水域か
ら亜臨界水域に移行する。反応器102の上部には、更
に、処理液ライン118が接続され、被処理液中の有機
物が、超臨界水反応により、主として水と二酸化炭素に
なって処理液と共に超臨界水域104から処理液ライン
118を通って流出する。尚、必要に応じて、超臨界水
又は超臨界水生成用の補給水を超臨界水域に供給する超
臨界水ライン115を流入管110に接続することもあ
る。
【0007】一方、反応器102の下部には、亜臨界水
ライン120及び亜臨界排水ライン122が接続され、
亜臨界水ライン120は亜臨界水域108に亜臨界水を
供給し、また亜臨界排水ライン122は超臨界水反応及
び中和反応により生成した塩を溶解している亜臨界水を
排水として亜臨界水域108から排出する。図示しない
が、また、処理液ライン118及び亜臨界排水ライン1
22には、反応器104内の圧力を所定圧力に維持する
圧力制御装置、処理液及び亜臨界排水を所定温度に降温
する冷却器、所定圧力に減圧する減圧装置、更には気液
分離装置が設けてある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の超臨界水処理装置によって、高濃度のPCBを含む被
処理液を超臨界水処理しようとすると、次のような問題
が生じていた。第1には、従来のように、水の臨界温度
(374.1℃)を超えた反応温度、即ち450℃から
500℃の範囲の温度では、処理液のPCB含量を排出
基準で許容されている3ppb以下にすることが極めて
難しかった。逆に言えば、更に高い反応温度を必要とす
ることが予想されることである。
【0009】第2には、超臨界水域と亜臨界水域とを反
応器内に形成する2ゾーン方式に起因する二つの問題で
ある。その一は、反応器壁の腐食、特に両域の境界近傍
での腐食が著しいという問題であった。通常は、超臨界
水反応と同時並行的に中和反応が進行するので、腐食問
題は起きないのであるが、場合によって中和が不完全で
あると、腐食が問題となる。従来の方法では、反応器内
に高温の超臨界水域と低温の亜臨界水域とが存在するた
めに、腐食の厳しい領域が必ず存在し、PCBの超臨界
水処理の実用化を図る上で障害となっていた。その二
は、従来法では被処理液の噴霧状態が良くないと、PC
B等が完全に分解せずに、亜臨界水域に入ってしまうこ
とがある。この場合、亜臨界水域の温度が低いために、
亜臨界水域に混入した未分解物が、分解されることなく
そのまま残留し、亜臨界水域から排水として排出される
ので、亜臨界排水中のPCB含量が排出基準を超えると
いう問題があった。
【0010】第3には、PCBを処理する際のように被
処理液中の塩素濃度が高い場合、中和反応及び塩生成分
離のメカニズムに不明な点が多く、PCBの超臨界水処
理ではPCBの塩素に由来して生成した塩酸を従来のよ
うに反応器内で完全に中和させる処理は、実際には難し
く、確実性に乏しいという問題があった。
【0011】そこで、処理液にアルカリ水溶液を注入し
て急冷中和する中和急冷部を反応器出口又は下流に設
け、反応器外でアルカリ水溶液を注入して処理液を中和
急冷することが試みられている。しかし、この方法で
は、処理液が反応器から流出して中和急冷部に入って始
めて中和されるので、超臨界水反応により生成した多量
の塩酸が反応器内に存在することになる。そのために、
従来から耐食層として反応器の内壁に使用されてきたイ
ンコネル625等のニッケル合金は、塩酸による腐食が
著しく、使用に耐えないという問題があった。また、急
冷中和部でも、アルカリ水溶液と処理液との中和反応が
終了する地点までの配管の腐食が著しく、同じくニッケ
ル合金を配管に使用しても、長期の使用が難しいという
問題がある。
【0012】更には、中和急冷部と併用して、圧力バラ
ンス型反応器を採用する試みも行われている。圧力バラ
ンス型反応器130は、図9に示すように、圧力容器と
して形成された外円筒体131と、外円筒体131と相
互に連通する内円筒体として設けられ、超臨界水を収容
して反応域を形成する反応カートリッジ132との2重
円筒体として形成されている。流入管110(図8参
照)に接続された入口ノズル133から、被処理液と、
酸化剤として酸素含有ガス、例えば空気とを反応カート
リッジ132内の反応域134に流入させ、かつ、圧力
バランス用ガス送入口135から外円筒体131と反応
カートリッジ132との間の環状部136に、圧力バラ
ンス用ガスとして、例えば空気を供給する。圧力バラン
ス用ガスは、圧力容器131と反応カートリッジ132
との上部間隙137を介して環状部136から反応域1
34に流入し、酸化剤の一部として消費される。
【0013】反応カートリッジ132内の反応域134
に流入した被処理液は、超臨界水中で空気中の酸素によ
り酸化分解され、反応器流出管138から流出する。中
和急冷部は、反応カートリッジ132の下流で、圧力容
器132の内側又は外側に設けられる。従来の圧力バラ
ンス型反応器では、内外の圧力差は殆ど無いため、反応
カートリッジ132を非圧力容器として薄い肉厚で形成
できるので、反応カートリッジ132を高価な耐食性金
属、例えばインコネル625等のニッケル合金で形成し
ても、コストが嵩まないという利点がある。また、環状
部136は腐食性が強い雰囲気ではないので、外円筒体
131は必ずしも反応カートリッジ132と同じ材質で
形成する必要はなく、通常、耐熱、耐圧性炭素鋼、或い
はステンレス鋼で形成される。しかし、高価なニッケル
合金で形成した反応カートリッジであっても、塩酸によ
る腐食が著しく、短期間で交換せざるを得ないと言う問
題があった。
【0014】そこで、本発明の目的は、被処理物、特
に、PCB等を高濃度で含有する被処理液を排出基準で
許容される3ppb以下のPCB濃度に超臨界水処理す
る装置であって、長期間にわたり安定して運転できる超
臨界水処理装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、(1)PCB等の高塩素濃度の被処理
液を排出基準で許容される3ppbのPCB濃度に超臨
界水処理できる反応温度を確立すること、(2)その温
度で使用できる反応器の材料を確立することが必要であ
ると考えた。
【0016】そこで、先ず、PCBの超臨界水処理によ
り生成する処理液のPCB含量を3ppb以下にするた
めに、PCBの分解率と超臨界水反応の反応温度との関
係を調べた。その結果、23MPaの反応圧力、及び2
分間以上4分間以下の反応時間の条件では、反応温度が
500℃のときには、PCB濃度は3ppb以上であっ
て、排出基準である3ppbを満足させることはできな
いこと、そして反応温度を550℃及び650℃にする
ことにより、PCB濃度を3ppb以下にすることがで
きることが判った。尚、反応温度が500℃のときに
は、反応時間を4分間以上にしても、PCB濃度を3p
pb以下にすることができないことも判った。
【0017】すなわち、反応温度を550℃以上650
℃以下の範囲の温度に設定することにより、処理液中の
PCB濃度が3ppb以下になるように、PCB又はP
CB類似化合物からなる有機塩素系化合物を含む被処理
液を超臨界水反応により酸化分解することができる。P
CB類似化合物とは、PCBとほぼ同じような化学構造
を有する化合物であって、例えばダイオキシン類、クロ
ロベンゼン系化合物、クロロフェノール類等である。
【0018】次いで、550℃以上の温度で高濃度塩酸
に対して耐食性を有する材料を選定するために、種々の
材料で反応器を作製し、実際にPCBを超臨界水処理す
ることにより材料の耐食性評価を行うという腐食試験を
行った。ところで、例えば純度100%の三塩素化物か
ら五塩素化物までのPCBを超臨界水処理すると、生成
する塩酸の濃度は約10質量%〜15質量%程度とな
る。そこで、腐食試験では、塩酸水溶液の塩酸濃度を2
0質量%とし、各種材料の腐食速度を以下のようにして
測定した。
【0019】先ず、下記に挙げる材料でオートクレーブ
状の反応器をそれぞれ作製し、塩酸濃度20質量%の塩
酸水溶液を各反応器内に収容し、反応器内の塩酸水溶液
を圧力22MPaで実験温度200℃に昇温し、500
時間から600時間その温度に維持して、各反応器の容
器壁の腐食速度を測定した。その結果は、表1に示す通
りである。尚、表1で−の表示は、反応器の単位面積当
たりの重量が塩化物の生成により増えたことを示す。従
って、マイナス表示の腐食速度も、腐食が進行している
ことを意味する。
【表1】
【0020】次いで、温度300℃から650℃まで、
550℃を除いて50℃刻みに実験温度を設定し、同様
の腐食実験を行ったところ、表1及び図10に示す腐食
実験結果を得た。図10は表1の数字をグラフ化したも
のである。実験に供した材料は、耐食性が高いと評価さ
れている白金族元素のうちの白金(Pt)、イリジウム
(Ir)、ルテニウム(Ru)、及びロジウム(Rh)
と、白金族に次いで耐食性が高いと評価されているチタ
ン{Ti(ASTMグレード12)}、タンタル(T
a)、及び石英ガラス、並びに酸化アルミナ(Al2
3 )の8種類である。
【0021】石英ガラスは、溶融石英、シリカガラスな
どとも呼ばれる、純度がほぼ100%の二酸化珪素(S
iO2 )からなるガラスであって、密度が2.20g・
cm -3、軟化点が1650℃である。尚、ロジウム(R
h)は、塩酸濃度20質量%の塩酸水溶液に溶解し易
く、反応器を作製して実物による腐食実験を行うことが
できないことが判ったので、他の材料の腐食条件と同じ
条件でテストピースを塩酸水溶液に浸漬して、耐食性を
評価した。ロジウムの腐食実験の結果は、表1で、30
0℃で27mm/yの腐食速度と表されているが、ロジ
ウムが300℃では塩酸水溶液に溶解してしまうので、
その溶解速度を腐食速度として表示したものである。
【0022】ところで、実際の超臨界水処理では、反応
器の容器壁の腐食速度が1mm/年未満であれば、腐食
性が低く、反応器の材料として最も好ましい耐食性材料
であると評価できる。また、腐食速度が1mm/年以上
5mm/年未満のときには、その腐食速度は許容できる
範囲内の腐食性であって、反応器の材料として採用可能
な耐食性材料であると評価できる。しかし、腐食速度が
5mm/年を越えるときには、その腐食速度は許容でき
る範囲を超えており、反応器の材料として採用できる耐
食性材料とは評価できない。
【0023】上述した腐食性(耐食性)の判定基準に従
い、腐食試験で得た容器壁の腐食速度に基づいて、腐食
試験に供した各材料が反応器に使えるかどうかについ
て、以下のように評価した。石英ガラス及びイリジウム
以外の材料、即ちチタン、タンタル(Ta)、白金(P
t)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、及び酸
化アルミナ(Al23 )の腐食性は、特定の温度範囲
では、腐食速度が1mm/年以上5mm/年未満であっ
て、許容できる範囲内に収まるものの、その温度範囲外
では腐食速度が高く、そのままでは採用できない。例え
ば、チタン、ルテニウム、ロジウムは、高温領域では、
腐食速度が低いものの、400℃以下の温度、特に30
0℃では、腐食速度が極めて高い。逆に、タンタルは、
400℃以下の温度領域では、腐食速度が低いものの、
400℃以上の高温領域では、腐食速度が極めて高い。
また、酸化アルミナは、高温領域で、腐食速度は低いも
のの、割れが発生するので、反応器の耐食材料として使
うことはできない。
【0024】一方、石英ガラスは、イリジウムと共に、
200℃から650℃にわたる全温度領域で、腐食速度
が極めて低い。例えば、腐食速度は、300℃で1.5
mm/y、600℃で1.3mm/yである。つまり、
常温から650℃までの温度範囲にわたり、腐食速度が
許容できる範囲内(1mm/年以上5mm/年未満)に
あると認められる。更に言えば、耐食性の高いと評価さ
れている白金族元素であっても、イリジウム以外の白
金、ルテニウム(Ru)、及びロジウム(Rh)は特定
の温度範囲を除いて耐食性に乏しく、イリジウムのみが
常温から650℃までの温度範囲にわたり良好な耐食性
を有する。
【0025】反応器内は、全域にわたって550〜65
0℃の温度範囲にあることが望まれるが、実際の運転に
おいては、ノズル噴霧が悪化した場合に、反応器の一
部、特に下部が400℃以下の温度となることが考えら
れ、この範囲で、腐食速度が許容範囲以内であることが
必要である。例えば、チタンを使った反応器であれば、
チタンの耐食性を機能させるためには、反応器を常に高
温域に維持することが必要であって、特別の温度維持装
置が必要になる。これでは、設備コストが嵩み、しかも
運転が複雑になるという問題がある。
【0026】よって、本発明者は、反応器材料として石
英ガラスを選択し、反応器の表層を石英ガラス層で被覆
することにより、常温から650℃までの温度範囲にわ
たり、腐食速度の許容できる限度内で、即ち長期間にわ
たり安全に、有機塩素系化合物の超臨界水処理を行うこ
とができることを見い出した。
【0027】上記目的を達成するために、上述の知見に
基づいて、本発明に係る超臨界水反応装置(以下、第1
の発明と言う)は、超臨界水を収容する反応器を備え、
被処理物を反応器内の超臨界水中に導入して酸化剤によ
り酸化分解する超臨界水反応装置において、反応器内の
温度を550℃以上650℃以下の範囲に制御する温度
制御装置を備え、反応器の被処理液と接する反応器壁面
が、石英ガラス層で被覆されていることを特徴としてい
る。
【0028】上述のように、反応温度を550℃以上6
50℃以下の範囲の温度に設定することにより、被処理
物が難分解性の有機塩素系化合物、例えばPCB又はP
CB類似化合物等を含んでいても、処理液中のPCB濃
度を3ppb以下にすることができる。本明細書で、P
CB類似化合物とは、PCBとほぼ同じような化学構造
を有する化合物であって、例えばダイオキシン類、クロ
ロベンゼン系化合物、クロロフェノール類等である。石
英ガラス層で被覆する方法には制約はなく、例えば反応
器壁面に石英ガラス層をライニングすることにより、石
英ガラス層で被覆することができる。
【0029】反応器が圧力バランス型反応器である場合
には、本発明に係る別の超臨界水反応装置(以下、第2
の発明という)は、圧力容器と、圧力容器と相互に連通
する反応カートリッジとの2重筒体からなる圧力バラン
ス型反応器を備え、被処理物及び酸化剤を反応カートリ
ッジ内に供給し、かつ、圧力容器と反応カートリッジと
の間に圧力バランス用ガスとして酸素含有ガスを供給し
て、反応カートリッジ内の超臨界水中で被処理物を酸化
剤及び酸化含有ガスにより酸化分解するようにした超臨
界水反応装置において、反応器内の温度を550℃以上
650℃以下の範囲に制御する温度制御装置を備え、反
応カートリッジが石英ガラスで形成されているか、又は
反応カートリッジの被処理液と接する反応カートリッジ
壁面が、石英ガラス層で被覆されていることを特徴とし
ている。
【0030】第1及び第2の発明では、温度制御装置に
よって、被処理液の送入流量、超臨界水の送入流量、超
臨界水生成のために反応器に送入する補給水の送入流
量、及び補給水の温度の少なくともいずれかを調整する
ことにより、反応器内の温度を550℃以上650℃以
下の範囲に制御することができる。
【0031】第1及び第2の発明の好適な実施態様で
は、処理液が流れる処理液流路と、処理液流路に合流し
てアルカリ水溶液を処理液中に注入するアルカリ水溶液
流路とを備え、アルカリ水溶液によって処理液を450
℃以下に中和急冷するようにした中和急冷部を反応器外
に備え、中和急冷部の処理液流路及びアルカリ水溶液流
路の処理液と接する流路壁面が、石英ガラス層で被覆さ
れている。
【0032】圧力バランス型反応器では、中和急冷部を
反応器の圧力容器と反応カートリッジとの間の環状部に
備えて良い。また、中和急冷部が反応器の圧力容器と反
応カートリッジとの間の環状部に設けられているときに
は、中和急冷部の処理液流路及びアルカリ水溶液流路の
流路壁面、及び中和急冷部の処理液と接する外壁面が、
石英ガラス層で被覆されている。尚、第1及び第2の発
明の超臨界水装置では、反応器は反応器内全域にわたり
超臨界水域のみを形成し、亜臨界水域を形成しないよう
になっている。
【0033】更には、超臨界水反応に限らず、石英ガラ
ス層を耐食層として有する容器は、常温から700℃の
温度範囲で、高濃度の塩酸水溶液、例えば20質量%程
度の塩酸水溶液を取り扱う容器、例えば反応器にも適用
できる。即ち、本発明に係る容器(以下、第3の発明と
言う)は、塩酸水溶液を含む700℃以下の流体を収容
する容器、又は容器内で塩酸水溶液を含む反応流体を7
00℃以下の温度範囲で反応させる反応器として構成さ
れた容器であって、容器の流体又は反応流体と接する容
器壁が、石英ガラス層で被覆されていることを特徴とし
ている。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照し、実施
形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に
説明する。実施形態例1 本実施形態例は、第1の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図1は本実施形態例の超臨界
水反応装置の構成を示すフローシート、及び図2は反応
器の詳細を示す断面図である。本実施形態例の超臨界水
反応装置は、超臨界水の存在下で超臨界水反応により主
としてPCBを含む被処理液を処理する装置であって、
図1に示すように、超臨界水反応を行う反応器として、
縦型の耐圧密閉型反応器12を備え、反応器12から処
理液を流出させる処理液管14に、順次、処理液を冷却
する冷却器16、反応器12内の圧力を制御する圧力制
御弁18、及び、処理液をガスと液体とに気液分離する
気液分離器20を備えている。
【0035】超臨界水反応装置10は、超臨界水反応に
供する反応物を反応器12に供給する供給系統として、
インバータ制御あるいはストローク制御によって吐出量
の調節が可能な被処理液ポンプ24と、空気圧縮機28
とを備え、被処理液管22を介してPCBを含む被処理
液を反応器12に送入し、かつ、空気送入管26及び被
処理液管22を介して酸化剤として空気を被処理液と共
に反応器12に送入する。図示しないが、必要に応じて
超臨界水又は超臨界水生成用の補給水を反応器12に補
充するようにしてもよく、また、補給水を所望の温度に
加熱する加熱器を設けることもできる。更に、超臨界水
反応装置10は、反応器12から出た直後の処理液管1
4に中和急冷部30を備え、注入管31から処理液にア
ルカリ水溶液を注入して処理液を温度450℃以下、好
ましくは350℃以下に中和急冷するようになってい
る。
【0036】また、超臨界水反応装置10は、被処理液
の送入流量を調整することにより、反応器12内の反応
温度を550℃以上650℃以下の範囲の設定温度、例
えば600℃に制御する温度制御装置32を備えてい
る。温度制御装置32は、反応器12内の温度を計測す
る温度計34を有し、温度計34の温度に基づいて被処
理液ポンプ24の吐出量を調節して被処理液の送入流量
を調整することにより、反応温度を600℃に制御す
る。温度制御装置32の構成は、これに限らず、例えば
超臨界水の送入流量を調整することにより、或いは超臨
界水生成用の補給水の送入流量を調整することにより、
更には補給水の送入温度を調整することにより、反応器
12内の反応温度を550℃以上650℃以下の範囲に
制御することができる。
【0037】反応器12は、図2に示すように、超臨界
水処理時の圧力、例えば23MPaに抗する機械的強度
を有する縦型筒状容器12aであって、容器12aの内
壁は石英ガラス層12bで被覆されている。反応器12
は、被処理液管22と接続し、被処理液及び空気を反応
器12内に流入させる流入口36を上部に、処理液管1
4に接続し、処理液を流出させる流出口38を側壁に備
えている。容器12aの内壁に石英ガラス層12bを被
着させるライニング加工を施すことにより、反応器12
を形成することができる。
【0038】中和急冷部30は、図3に示すように、中
和急冷部本体がステンレス鋼で形成され、処理液流路4
0及びアルカリ水溶液流路42の流路壁面が石英ガラス
層30aでライニングされている。尚、反応器12の処
理液出口38から中和急冷部30までの処理液管14
は、処理液流路40と同様に、その管内壁が石英ガラス
でライニングされた石英ガラス・ライニング管路として
形成されている。
【0039】本実施形態例では、温度制御装置32によ
って反応器12内の温度を600℃に制御することによ
り、PCBを含む被処理液を超臨界水処理により完全に
分解して処理液のPCBの残留量を3ppb以下に抑え
ることができる。また、被処理液と接触する反応器12
の反応器壁及び中和急冷部30の流路内壁が、石英ガラ
ス層でライニングされているので、反応器12及び中和
急冷部30は長期間にわたり安全に機能することができ
る。
【0040】実施形態例2 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図4は本実施形態例の超臨界
水反応装置の構成を示すフローシート、図5は反応器の
詳細を示す断面図である。図4及び図5中、図1から図
3に示す部位、部品と同じものには同じ符号を付し、そ
の説明を省略する。本実施形態例の超臨界水反応装置5
0は、圧力容器と、圧力容器と相互に連通する反応カー
トリッジとからなる圧力バランス型反応器を反応器とし
て備えた超臨界水反応装置であって、図4及び図5に示
すように、反応器52の構成と、中和急冷部が反応器5
2内に内蔵されていること、及び反応器52に圧力バラ
ンス用のガスとして空気が送入されていることを除い
て、実施形態例1と同じ構成を有する。
【0041】圧力バランス型反応器52は、図5に示す
ように、外筒として設けられた圧力容器54と、圧力容
器54内に内筒として設けられた反応カートリッジ56
との2重筒体として形成され、反応カートリッジ56の
内部58は、超臨界水反応の反応域として構成されてい
る。圧力容器54は、反応圧力に対抗するために、厚肉
の高強度鋼製耐圧円筒型容器として形成されている。一
方、反応カートリッジ56は、薄肉の有蓋有底円筒体と
して石英ガラスで形成され、反応カートリッジ56の底
部と圧力容器54の底部との間に多少の間隙を有するよ
うに、圧力容器54内に配置されている。尚、反応カー
トリッジ56を石英ガラスで形成する代わりに、反応カ
ートリッジ56の被処理液と接する反応カートリッジ壁
面を石英ガラス層でライニングしても良い。圧力容器5
4と反応カートリッジ56との間には、連通孔60を介
して反応カートリッジ56の内部と連通する環状部62
が形成されており、環状部62と反応カートリッジ56
内とは、圧力がバランスしている。換言すれば、圧力容
器54は、超臨界水処理時の圧力、例えば23MPaに
抗する強度を備え、反応カートリッジ56は、反応器5
2の内圧力を受けないようにして反応域を区画する耐腐
食性の隔壁として機能している。
【0042】反応器52は、圧力容器54と反応カート
リッジ56とを貫通して反応カートリッジ56の内部に
突出したノズル64と、反応カートリッジ56から環状
部62を通って反応器52外に処理液を流出させる処理
液導管66と、環状部62内の処理液導管66に設けら
れた中和急冷部68と、環状部62に空気を送入する空
気送入ノズル70とを備えている。中和急冷部68は、
実施形態例1の中和急冷部30と同じ構造(図3参照)
であって、反応カートリッジ56から中和急冷部68
での処理液導管66を含めて、処理液と接する壁面が石
英ガラス層でライニングされている。また、中和急冷部
68には、注入管31が接続され、処理液にアルカリ水
溶液を注入し、450℃以下に中和急冷するようになっ
ている。ノズル64は被処理液管22(図4参照)に、
処理液導管66は処理液管14に、それぞれ、接続され
ている。また、空気送入ノズル70は、空気送入管26
から分岐した空気送入枝管72(図4参照)に接続さ
れ、空気を環状部62に導入し、次いで連通孔60を介
して反応カートリッジ56内部に流入させ、酸化剤の一
部とする。
【0043】圧力バランス型反応器52では、ノズル6
4を経て反応カートリッジ56に流入した空気と同じ圧
力の空気が環状部62に導入されているので、反応カー
トリッジ56の内外では圧力差が殆ど生じない。尚、環
状部62に空気を導入するのは、空気が非腐食性流体で
あると同時に酸化剤として使用できるからである。
【0044】本実施形態例では、実施形態例1と同様
に、温度制御装置32によって反応器52、正確には反
応カートリッジ56内の温度を例えば600℃に制御す
ることにより、PCBを含む被処理液を超臨界水処理に
より完全に分解して処理液のPCBの残留量を3ppb
以下に抑えることができる。また、処理液と接触する反
応カートリッジ56が石英ガラスで形成され、かつ中和
急冷部68の壁面が石英ガラス層で被覆されているの
で、反応器52及び中和急冷部68は長期間にわたり安
全に機能することができる。
【0045】実施形態例3 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図6は反応器の詳細を示す断
面図である。図6中、図5と同じ部位、部品には同じ符
号を付し、その説明を省略している。本実施形態例の超
臨界水反応装置は、反応器76の構成が、図5で示す反
応器52と異なり反応カートリッジ内に内筒を有するこ
とを除いて、実施形態例2と同じ構成を有する。反応器
76は、図6に示すように、圧力容器54と、圧力容器
54と相互に連通する反応カートリッジ80とからなる
圧力バランス型反応器であって、反応カートリッジ80
が、実施形態例2の反応カートリッジ56とほぼ同じ形
状で、石英ガラス製の外筒82と、上端が開口し、底部
が逆円錐状の石英ガラス製の内筒84とから構成され、
内筒84の内部が超臨界水反応の反応域として構成され
ている。尚、外筒82及び内筒84を石英ガラスで形成
する代わりに、外筒82及び内筒84の筒壁面を石英ガ
ラス層でライニングしても良い。尚、内筒84はこの形
状に限るものではなく、傘を上下逆にしたような形状の
ものなど、ノズル64から噴出して下方に向かう被処理
液流体の流れを反転させて上方に向かわせるようにでき
る限り、その形状に制約はない。
【0046】ノズル64から流入した被処理液は、内筒
84の内部で超臨界水処理され、処理液となって上端の
開口から外筒82と内筒84との間の環状部86に流入
し、環状部86を流下して外筒82の底部に入り、外筒
82の底部に接続された処理液導管88を介して処理液
管14に流出する。圧力容器54内の処理液導管88に
は、中和急冷部90が設けてあって、注入管31が接続
され、処理液にアルカリ水溶液を注入し、450℃以下
に中和急冷するようになっている。中和急冷部90は、
注入管31が処理液導管88に直交方向で合流している
ことを除いて、実施形態例1の中和急冷部30と同じ構
造(図3参照)であって、外筒82から中和急冷部90
までの処理液導管88を含めて処理液と接する壁面が石
英ガラス層でライニングされている。空気送入ノズル7
0は、空気を環状部62に導入し、次いで連通孔60を
介して内筒84の上端開口から内筒84内部に流入さ
せ、酸化剤の一部とする。以上の構成により、本実施形
態例の超臨界水反応装置も、実施形態例2と同じ効果を
有する。
【0047】実施形態例4 本実施形態例は、第2の発明に係る超臨界水反応装置の
実施形態の一例であって、図7は反応器の詳細を示す断
面図である。図7中、図6と同じ部位、部品には同じ符
号を付し、その説明を省略する。本実施形態例の超臨界
水反応装置は、中和急冷部92が反応器外に設けられて
いること、及びそれに関連して反応器94の構成が異な
ることを除いて、実施形態例3と同じ構成を有する。反
応器94は、図7に示すように、中和急冷部92が反応
器の外部に設けてあることを除いて、実施形態例3の反
応器76と同じ構成を備え、反応カートリッジの外筒8
2は圧力容器54の底部に接し、処理液管14が直接圧
力容器54の底部を貫通して外筒82の内部に連通して
いる。中和急冷部92は圧力容器54の底部に接するよ
うにして処理液管14に設けてある。
【0048】本実施形態例の反応器94では、実施形態
例3の反応器76に比べて中和急冷部92の取り付けが
容易である。尚、実施形態例2の超臨界水反応装置の反
応器52で、反応カートリッジ56の底部を圧力容器5
4の底部上に配置し、環状部62に設けた中和急冷部6
8に代えて、図7に示すように中和急冷部92を圧力容
器54の底部に接するように設けることもできる。
【0049】実施形態例1の反応器12、実施形態例2
から実施形態例4の反応器52、76、及び94は、第
3の発明に係る容器の実施形態例として解釈すること
できる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、反応温度を550℃以
上650℃以下の範囲に制御することにより、被処理
物、特に有機塩素系化合物を含有する被処理液を超臨界
水処理して無害化することができ、例えばPCB又はP
CB類似化合物等の場合、処理液中のPCB濃度を3p
pb以下にすることができる。また、本発明によれば、
被処理液の送入流量等を調整して、反応器内の温度を5
50℃以上650℃以下の範囲に制御する温度制御装置
を備え、反応器壁の表層を石英ガラス層で被覆し、又は
反応カートリッジを石英ガラスで形成し、或いは石英ガ
ラス層で被覆することにより、有機塩素系化合物、例え
ばPCB又はPCB類似化合物を含有する被処理液を超
臨界水処理して処理液中のPCB濃度を3ppb以下に
することができる装置であって、しかも長期間にわたり
安定して運転を継続できる信頼性の高い超臨界水反応装
置を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1の超臨界水反応装置の構成を示す
フローシートである。
【図2】実施形態例1の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図3】中和急冷部の断面図である。
【図4】実施形態例2の超臨界水反応装置の構成を示す
フローシートである。
【図5】実施形態例2の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図6】実施形態例3の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図7】実施形態例4の反応器の詳細を示す断面図であ
る。
【図8】従来の超臨界水反応装置の構成を示すフローシ
ートである。
【図9】圧力バランス型反応器の構成を示す断面図であ
る。
【図10】腐食実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】 10 実施形態例1の超臨界水反応装置 12 反応器 14 処理液管 16 冷却器 18 圧力制御弁 20 気液分離器 22 被処理液管 24 被処理液ポンプ 26 空気送入管 28 空気圧縮機 30 中和急冷部 30a 石英ガラス層 31 注入管 32 温度制御装置 34 温度計 36 流入口 38 流出口 40 処理液流路 42 アルカリ水溶液流路 50 実施形態例2の超臨界水反応装置 52 反応器 54 圧力容器 56 反応カートリッジ 58 反応カートリッジの内部 60 連通孔 62 環状部 64 ノズル 66 処理液導管 68 中和急冷部 70 空気送入ノズル 72 空気送入枝管 76 実施形態例3の反応器 80 反応カートリッジ 82 外筒 84 内筒 86 環状部 88 処理液導管 90 中和急冷部 92 実施形態例4の中和急冷部 94 実施形態例4の反応器 100 従来の超臨界水反応装置 102 反応器 104 超臨界水領域 106 仮想的界面 108 亜臨界水領域 110 流入管 112 被処理液ライン 114 空気ライン 115 超臨界水ライン 116 中和剤ライン 118 処理液ライン 120 亜臨界水ライン 122 亜臨界排水ライン 130 圧力バランス型反応器 131 外円筒体 132 反応カートリッジ 133 入口ノズル 134 反応域 135 圧力バランス用ガス送入口 136 環状部 137 上部間隙 138 反応器流出管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07D 319/24 C07D 319/24 (72)発明者 岩森 智之 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 (72)発明者 依田 勝男 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 (72)発明者 伊原 義尚 山口県新南陽市富田1丁目11−17 Fターム(参考) 2E191 BA12 BA13 BD11 4H006 AA05 AC26 BB31 BC10 BD81 BD83 BE30 EA22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超臨界水を収容する反応器を備え、被処
    理物を反応器内の超臨界水中に導入して酸化剤により酸
    化分解する超臨界水反応装置において、 反応器内の温度を550℃以上650℃以下の範囲に制
    御する温度制御装置を備え、 反応器の被処理液と接する反応器壁面が、石英ガラス層
    で被覆されていることを特徴とする超臨界水反応装置。
  2. 【請求項2】 圧力容器と、圧力容器と相互に連通する
    反応カートリッジとの2重筒体からなる圧力バランス型
    反応器を備え、被処理物及び酸化剤を反応カートリッジ
    内に供給し、かつ、圧力容器と反応カートリッジとの間
    に圧力バランス用ガスを供給して、反応カートリッジ内
    の超臨界水中で有機塩素を含有する被処理物を酸化剤及
    び酸化含有ガスにより酸化分解するようにした超臨界水
    反応装置において、 反応器内の温度を550℃以上650℃以下の範囲に制
    御する温度制御装置を備え、 反応カートリッジが石英ガラスで形成されているか、又
    は反応カートリッジの被処理液と接する反応カートリッ
    ジ壁面が、石英ガラス層で被覆されていることを特徴と
    する超臨界水反応装置。
  3. 【請求項3】 被処理物が有機塩素を含有する被処理液
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超臨界
    水反応装置。
  4. 【請求項4】 処理液が流れる処理液流路と、処理液流
    路に合流してアルカリ水溶液を処理液中に注入するアル
    カリ水溶液流路とを備え、アルカリ水溶液によって処理
    液を450℃以下に中和急冷するようにした中和急冷部
    を反応器外に備え、 中和急冷部の処理液流路及びアルカリ水溶液流路の流路
    壁面が、石英ガラス層で被覆されていることを特徴とす
    る請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の超臨界
    水反応装置。
  5. 【請求項5】 処理液が流れる処理液流路と、処理液流
    路に合流してアルカリ水溶液を処理液中に注入するアル
    カリ水溶液流路とを有し、アルカリ水溶液によって処理
    液を450℃以下に中和急冷するようにした中和急冷部
    を反応器の圧力容器と反応カートリッジとの間の環状部
    に備え、 中和急冷部の処理液流路及びアルカリ水溶液流路の流路
    壁面、及び中和急冷部の処理液と接する外壁面が、石英
    ガラス層で被覆されていることを特徴とする請求項2又
    は3に記載の超臨界水反応装置。
  6. 【請求項6】 塩酸水溶液を含む700℃以下の流体を
    収容する容器、又は容器内で塩酸水溶液を含む反応流体
    を700℃以下の温度範囲で反応させる反応器として構
    成された容器であって、 容器の流体又は反応流体と接する容器壁が、石英ガラス
    層で被覆されていることを特徴とする容器。
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