JP2001118962A - 電気・電子部品 - Google Patents

電気・電子部品

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JP2001118962A
JP2001118962A JP29808599A JP29808599A JP2001118962A JP 2001118962 A JP2001118962 A JP 2001118962A JP 29808599 A JP29808599 A JP 29808599A JP 29808599 A JP29808599 A JP 29808599A JP 2001118962 A JP2001118962 A JP 2001118962A
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electric
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resin
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JP29808599A
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Katsuhiko Yasu
克彦 安
Tomoaki Aoki
知明 青木
Masahiro Suzuki
雅博 鈴木
Takuya Sugishita
拓也 杉下
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Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不活性雰囲気下でのハンドリングを必要とし
ないで容易に製造でき、内装された樹脂部材とこれを封
止するポリマとの接着性が優れ、これらの間の剥離が起
こらず、高密度化、高集積化に対応する長寿命、高耐久
性を備えた電気・電子部品を提供する。 【解決手段】 内装される樹脂部材がスチレン誘導体を
必須の構成成分としてなる化合物から少なくとも構成さ
れ、その樹脂部材がオレフィン系ポリマで封止されてな
る電気・電子部品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は収納容器にプリント
回路基板を内装した制御部品、シリコンチップを搭載し
た基板を内装した半導体モジュール、コイルを内装した
高圧トランスなどの電気・電子部品において内装する部
材に特定の樹脂製部材を用い、オレフィン系ポリマで封
止した電気・電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気・電子機器の小型化、薄型化に伴
い、使用される部品の高密度化、高集積化が進んできて
おり、特に半導体関連部品におけるその進歩は目覚しい
ものがある。これらの電気・電子部品は一般にケース材
および内装される構成部材とから成る。
【0003】構成部材とは、制御部品であればプリント
配線板およびその配線板に接続されたICやダイオー
ド、ケーブルやコネクタ類が挙げられる。また、イグニ
ッションコイルやフライバックトランスなどの高圧トラ
ンスについては、コイルを巻きつけるためのボビン材や
内装される部品同士の衝突を防止するための緩衝材など
が挙げられる。これらの構成部材には金属、セラミック
などの無機材料のほか、高分子材料に代表される有機材
料がある。
【0004】構成部材のなかでも高分子材料を使用した
ものを樹脂部材とすると、この樹脂部材としては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、
ポリテトラフルオロエチレンなどの熱可塑性樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹
脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱硬化性
樹脂が使用されている。一般に、電気・電子部品の耐久
性ならびに絶縁性を向上させるためには、ケース材と樹
脂部材を内装した部品にエポキシ樹脂、シリコーン樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などを注型
封止している。これらの注型用樹脂のうち絶縁性、耐湿
性、耐熱衝撃性、耐リフロークラック性および構成部材
との接着性に優れる点からエポキシ樹脂が最も代表的な
ものとして使用されている。しかし電気・電子部品の小
型化、高密度化と、より厳しい使用環境に適応する耐ヒ
ートサイクル性の要求の高まりから、エポキシ樹脂では
絶縁性を維持しながら耐クラック性を改良するのは限界
に近い。また、シリコーン樹脂は接着性に、ウレタン樹
脂は絶縁性に問題がある。
【0005】一方、ノルボルネン系化合物をメタセシス
重合して得られるシクロオレフィン系樹脂は、機械的特
性、電気的特性および耐水性などに優れることが知られ
ており、特公平5−41088号公報ではノルボルネン
系化合物の反応射出成形により電気・電子部品を封止す
る製造方法が提案されている。また、特開平9−183
833号公報では、新たなメタセシス重合触媒による電
気・電子部品の封止に好適なノルボルネン系化合物が提
案されている。さらに、特開平10−182922号公
報では、メタセシス重合性シクロオレフィン系化合物
(プレポリマー)は、充填材を添加しても粘度が低く、
電気・電子部品の封止に好適であることが示されてい
る。しかし、これらに記載のシクロオレフィン系化合物
の重合体(硬化物)は接着性に乏しいため、該樹脂で注
型された電気・電子部品の耐久性は低い。
【0006】また、前記特公平5−41088号公報で
記載のメタセシス重合触媒系は、特開昭59−5191
1号公報に示されるタングステン及びモリブデンの有機
アンモニウム塩から選ばれた触媒成分とアルコキシアル
キルアルミニウムハライド及びアリールオキシアルミニ
ウムハライドから選ばれた活性化剤とを組み合わせたも
のと同様のものであり、酸素で失活しやすいため、成形
は不活性雰囲気にしなければならないという問題もあ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】請求項1〜8記載の発
明は、不活性雰囲気下でのハンドリングを必要としない
で容易に製造でき、内装された樹脂部材とこれを封止す
るポリマとの接着性が優れ、これらの間の剥離が起こら
ず、高密度化、高集積化に対応する長寿命、高耐久性を
備えた電気・電子部品を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、内装される樹
脂部材がスチレン誘導体を必須の構成成分としてなる化
合物から少なくとも構成され、その樹脂部材がオレフィ
ン系ポリマで封止されてなる電気・電子部品に関するも
のである。また、本発明は、スチレン誘導体を必須の構
成成分としてなる化合物が、ポリスチレン系樹脂である
前記の電気・電子部品に関するものである。また、本発
明は、樹脂部材が、スチレン誘導体を必須の構成成分と
してなる化合物に加えてさらにポリフェニレンエーテル
から構成され、スチレン誘導体を必須の構成成分として
なる化合物の配合比率がスチレン誘導体を必須の構成成
分としてなる化合物とポリフェニレンエーテルの合計量
の5〜50重量%である前記の電気・電子部品に関する
ものである。
【0009】また、本発明は、オレフィン系ポリマの曲
げ弾性率が、23℃において500MPa以下である前記
の電気・電子部品に関するものである。また、本発明
は、オレフィン系ポリマがシクロオレフィン系化合物を
メタセシス重合して得られるポリマである前記の電気・
電子部品に関するものである。また、本発明は、オレフ
ィン系ポリマが充填材を含む前記の電気・電子部品に関
するものである。また、本発明は、磁性体コア、1次コ
イル、2次コイルおよび外部接続端子からなる高圧トラ
ンスである前記の電子・電気部品に関するものである。
また、本発明は、エンジン用点火コイルである前記の電
子・電気部品に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の電気・電子部品の樹脂部
材に用いられるスチレン誘導体を必須の構成成分として
なる化合物としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル
エステル樹脂などのスチレンを架橋成分とした熱硬化性
樹脂の硬化物が挙げられる。また、スチレン、α−メチ
ルスチレン、4−メチルスチレン、ジブロモスチレンな
どのモノマをラジカル重合、イオン重合または配位重合
して得られるポリスチレン系樹脂、スチレン−メタクリ
ル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体
(SA)、SA/ブタジエンゴム樹脂(ABS)、SA
/アクリルゴム樹脂(AAS)、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体(SMA)などの熱可塑性樹脂も挙げられ
る。また、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレ
ン−イソプレン−スチレン共重合体ゴムなどのエラスト
マー類も挙げられる。
【0011】これらスチレン誘導体を必須の構成成分と
してなる化合物において、スチレン誘導体成分の含有量
は、化合物製造時におけるモノマ換算で、スチレン成分
を5重量%以上含んでいることが接着性の点から好まし
い。これらのなかで、接着性、取り扱い性等の点からポ
リスチレン系樹脂が好ましい。
【0012】本発明では、内装される樹脂部材がスチレ
ン誘導体を必須の構成成分としてなる化合物から少なく
とも構成され、樹脂部材にはスチレン誘導体を必須の構
成成分としてなる化合物のみを使用してもよいが、接着
性、強度、耐熱性等の点から、さらにポリフェニレンエ
ーテル(PPE、変性ポリフェニレンオキサイドを含
む)を使用することが好ましい。この場合は、ポリスチ
レン系樹脂等のスチレン誘導体を必須の構成成分として
なる化合物とポリフェニレンエーテルとをブレンドして
用いることができる。
【0013】PPEとポリスチレン系樹脂がブレンドさ
れたものとしては、例えば、ノリル(商品名、日本ジー
イープラスチック(株)製)、ザイロン(商品名、旭化成
工業(株)製)などが挙げられる。ポリフェニレンエーテ
ル以外にも、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン
(PE)などをブレンドできる。PCとのブレンドとし
てはユーピロン(商品名、三菱瓦斯化学(株)製)やマル
チロン(商品名、帝人化成(株)製)などが挙げられる。
また、スチレン−無水マレイン酸−イソブチレンやスチ
レン−無水マレイン酸−アクリロニトリルなどの三成分
共重合体とABSおよびポリスチレン系樹脂をブレンド
したものなども用いることができる。
【0014】さらに、耐衝撃性ポリスチレン(HIP
S)と呼ばれるゴム変性ポリスチレンもブレンドするこ
とができる。ブレンドする場合、ポリスチレン系樹脂等
のスチレン誘導体を必須の構成成分としてなる化合物の
配合比率が、スチレン誘導体を必須の構成成分としてな
る化合物とポリフェニレンエーテル等の他の化合物との
合計量の5〜50重量%であることが好ましく、20〜
50重量%であることがより好ましい。5重量%未満で
あると、注型封止するオレフィン系ポリマとの接着性が
低くなる傾向があり、50重量%を越えると強度が低く
なる傾向がある。
【0015】樹脂部材に用いるスチレン誘導体を必須の
構成成分としてなる化合物は、慣用の添加剤を含むこと
ができる。かかる添加剤としては、シリカ、炭酸カルシ
ウム、カーボンブラック、酸化チタンなど無機充填材や
ガラス、アラミド、カーボンのような補強材、顔料・染
料、酸化防止剤、流動性改良剤、難燃剤、帯電防止剤、
エラストマ類などの改質剤などが挙げられる。
【0016】また、本発明に用いられる樹脂部材は公知
の方法で成形、製造される。例えば射出成形、プレス成
形、押出成形、ブロー成形、回転成形、真空成形などの
成形方法が使用できる。成形温度は、用いる材料の溶融
温度によるが、通常、150〜400℃の間である。
【0017】樹脂部材の形状には特に制限はない。例え
ば、部材がプリント配線板であれば板状であるし、コイ
ル用のボビンであれば円筒状であり、光通信用ケーブル
配線であれば線状、コネクタやスイッチ類であれば直方
体の形状である。
【0018】本発明で用いられるオレフィン系ポリマと
しては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブタジエンなどの炭化水素系樹脂が挙げられるが、その
重合前の反応性混合物が、常温で液状であり、注型時に
取り扱い性が優れる点から、シクロオレフィン系化合物
の重合体が好ましく、メタセシス重合可能なシクロオレ
フィン化合物がより好ましい。メタセシス重合可能なシ
クロオレフィン化合物としては、ノルボルネン系シクロ
オレフィン化合物と非ノルボルネン系シクロオレフィン
化合物に大別される。
【0019】ノルボルネン系シクロオレフィン化合物と
しては、例えば、ノルボルネン、メチルノルボルネン、
ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデ
ンノルボルネン、ブチルノルボルネンなどの二環ノルボ
ルネン、ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの
二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシ
クロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエンなど
の三環ノルボルネン、テトラシクロドデセン、メチルテ
トラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセンな
どの四環ノルボルネン、トリシクロペンタジエン(シク
ロペンタジエンの三量体)、テトラシクロペンタジエン
(シクロペンタジエンの四量体)などの五環以上のノル
ボルネンなどが挙げられる。非ノルボルネン系シクロオ
レフィン化合物としては、例えば、シクロブテン、シク
ロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、テトラ
ヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデンなどが挙
げられる。
【0020】また、2個以上のノルボルネン基を有する
化合物、例えば、テトラシクロドデカジエン、対称型ト
リシクロペンタジエン等を多官能架橋剤として用いるこ
ともできる。さらに、ハイミック酸、無水ハイミック
酸、ノルボルナジエンなどのノルボルネン誘導体も用い
ることが可能である。これらのメタセシス重合性シクロ
オレフィン化合物を1種または2種以上組み合わせて用
いることができる。
【0021】これらの中で、入手の容易さ、経済性など
からジシクロペンタジエン、メチルテトラシクロドデセ
ン、エチリデンノルボルネン、トリシクロペンタジエ
ン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデ
カトリエンなどが好ましい。
【0022】ジシクロペンタジエンは、事前に加熱処理
することで、ジシクロペンタジエンの一部をトリシクロ
ペンタジエンやテトラシクロペンタジエン等のシクロペ
ンタジエンオリゴマーにしたり、不純物であるビニルノ
ルボルネンやメチルビニルノルボルネンをテトラヒドロ
インデンやメチルテトラヒドロインデンに異性化したり
することができる。加熱処理は、通常、120〜250
℃で、0.5〜10時間程度である。
【0023】なお、市販されているこれらシクロオレフ
ィン化合物は、不純物を含んでいることがある。例え
ば、ジシクロペンタジエンには、ビニルノルボルネン、
テトラヒドロインデン、メチルビニルノルボルネン、メ
チルテトラヒドロインデン、メチルジシクロペンタジエ
ン、ジメチルジシクロペンタジエン、トリシクロペンタ
ジエン等を含んでおり、シクロオクタジエンには未反応
ブタジエンやシクロオクタンなどを不純物として含んで
いることがある。種々の純度のシクロオレフィン化合物
が市販されているが、特に精製をしなくてもよい。本発
明の電気・電子部品に用いるこれら原料としては、通
常、90重量%以上、好ましくは95重量%以上、特に
好ましくは98重量%以上の純度ものである。
【0024】オレフィン系ポリマは、耐冷熱衝撃性、接
着性等の点から、曲げ弾性率が23℃において500MP
a以下であることが好ましい。
【0025】シクロオレフィン化合物の中で、分子量3
00未満のシクロオレフィン化合物を2種以上併用し
て、樹脂の弾性率を制御することができる。ジシクロペ
ンタジエンやトリシクロペンタジエンなどの双環体ある
いは多環体を重合して得られる樹脂は硬質なため、シク
ロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シ
クロドデカトリエン、シクロオクタテトラエンなどの単
環体を併用して、弾性率を低下させることができる。弾
性率を低下するために用いられるこれら単環シクロオレ
フィン化合物は、多環体と単環体の配合総モル数に対し
て、40〜99モル%の範囲で配合することが好まし
い。単環体が40モル%未満では弾性率が高くなりすぎ
る傾向がある。また、99モル%を越えて使用すると架
橋密度が低いため、樹脂の靭性が低くなる傾向がある。
【0026】本発明において用いるメタセシス重合触媒
は、WCl6、MoCl5、RuCl3などの金属触媒単
独の場合や、特開昭59−51911号公報に示されて
いるような前記触媒成分とアルキルアルミニウムなどの
活性化剤とを組み合わせた2液系のメタセシス触媒系が
挙げられる。また、Shrock型、Fischer型の金属カルベ
ン触媒や金属カルビン触媒、メタラシクロブタン系触媒
なども用いることができる。
【0027】一方、一般式(1)
【化1】 (式中、Mは、ルテニウムまたはオスミウムを示し、X
およびX1はそれぞれ独立にアニオン配位子を示し、L
およびL1はそれぞれ独立に中性の電子供与基を示し、
Q及びQ1は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、
アルケニル基または芳香族基を示す)に示すような1成
分系のメタセシス重合触媒も、空気中の酸素や水分によ
って容易にその触媒活性を失わずに、メタセシス重合性
シクロオレフィン系化合物を複分解(メタセシス)反応
で開環重合させることができるため好適に用いることが
できる。
【0028】上記一般式(1)中、XおよびX1で示さ
れるアニオン配位子は、中心金属への配位を外したとき
に陰性電荷をもつ基のことである。このような基として
は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、CF3CO3、C
3CO2、CFH2CO2、(CH3)3CO、(CF3)2(C
3)CO、(CF3)(CH3)2CO、炭素数1〜5のアル
キル基、端素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、フ
ェノキシ基、トシル基、メシル基、トルフルオロメタン
スルホネート基等が挙げられ、特に好ましいものとして
は、XおよびX1共にハロゲン原子(特に、塩素)であ
る。
【0029】上記一般式(1)中、LおよびL1で示さ
れる中性の電子供与基は、中心金属への配位を外したと
きに中性電荷をもつ基のことである。このような基とし
ては、例えば、PR234(ここで、R2は2級のアル
キル基またはシクロアルキル基を示し、R3およびR4
それぞれ独立に、アリール基、炭素数1〜10の1級ア
ルキル基もしくは2級アルキル基、シクロアルキル基を
示す)で表されるホスフィン系電子供与基や、ピリジ
ン、p−フルオロピリジン、イミダゾリリデン化合物等
が挙げられ、好ましいものとしては、LおよびL1両方
共に、−P(C611)3、−P(C59)3、または−P(is
o-C37)3であるが、LおよびL1は、互いに異なる電
子供与基であってもよい。
【0030】上記一般式(1)中、Q及びQ1はで示さ
れるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基
等が挙げられ、アルケニル基としては、炭素数2〜20
のアルケニル基等が挙げられ、芳香族基としては、アリ
ール基等が挙げられ、前記アルキル基、アルケニル基ま
たは芳香族基は、それぞれ置換基を有していてもよい。
【0031】さらに好ましい触媒の具体的なものとして
は、下記式(2)(参考文献:Organometallics、第16
巻、18号、3867ページ(1997年))、下記式(3)(参考
文献:Angew.Chem.Int.Ed.,37,2490(1998年))、下記式
(4)等に示すようなカルベン触媒などが挙げられる。
【0032】
【化2】
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】このメタセシス重合触媒の添加量として
は、シクロオレフィン系化合物に対し、0.001〜2
0重量%の範囲とすることが好ましく、経済性および硬
化速度の理由から、0.01〜5重量%の範囲とするこ
とがより好ましい。
【0036】シクロオレフィン系化合物の重合体の機械
的特性は、シクロオレフィン系化合物の種類、組み合わ
せおよびその配合量、改質剤の添加により任意に制御で
きるが、種々の異なる材質から成る電気・電子部品の耐
久性を向上する目的で使用する場合、その機械的特性
は、23℃の曲げ弾性率で、0.01MPa〜10GPaの範
囲とすることが好ましく、0.1MPa〜3GPaの範囲とす
ることがより好ましく、1MPa〜2GPaの範囲とすること
が特に好ましい。この曲げ弾性率が、0.01MPa未満
では、保護するための強度が発現しない傾向がある。ま
た、2GPaを超えると、異種材料との界面で剥離などが
起こり易くなる傾向がある。接着性を考慮する目的の場
合では、1GPa未満の低弾性であることが好ましい。
【0037】弾性率を小さくすることは、例えば、シク
ロオレフィン系化合物において、多環体に単環体を併用
することで可能となる。接着性を考慮した場合の配合と
しては、シクロオレフィン化合物において多環体と単環
体の配合総モル数に対して、単環体を40モル%〜99
モル%未満の範囲で配合することが好ましい。単環体が
40モル%未満では、弾性率が1GPa以上になってしま
う傾向があり、99モル%以上使用すると、重合体の架
橋密度が低くなる傾向があるため、強度が発現しない傾
向がある。
【0038】本発明では、一般に、室温で液状であるシ
クロオレフィン系化合物にメタセシス重合触媒を所定量
添加し、メタセシス重合反応により重合体(硬化物、成
形体)を得る。この場合、具体的な処理方法としては、
例えば、大気圧での注入成形、真空注入成形法、加圧注
入成形法、含浸成形法、RTM成形法、ディッピング、
ハンドレイアップやスプレイアップなどの積層成形法、
プレス成形法、フィラメントワインディング法、遠心成
形法、真空または加圧バック法、連続成形法、引抜き成
形法、射出成形法、トランスファー成形など一般公知の
熱硬化性または熱可塑性樹脂の成形方法が挙げられる。
また、上記処理方法により、フィルム、多孔質フィル
ム、シール部材、パッキンなどを予め成形しておき、そ
の部材を電気・電子部品に使用することも処理方法の中
に挙げられる。さらには接着剤として使用することも含
まれる。
【0039】上記の処理は室温で放置しておくことも可
能だが、一般に加熱が行われる。シクロオレフィン系化
合物にメタセシス重合触媒を添加する際の温度は、通
常、0〜80℃であり、好ましくは室温〜50℃であ
る。硬化物を得るための加熱の操作は、1段階加熱でも
2段階加熱あるいは多段加熱でもよい。1段階加熱とす
る場合は、その温度は、通常、0〜250℃であり、好
ましくは20〜200℃であり、2段階加熱とする場合
は、1段階目の温度は、通常、0〜150℃であり、好
ましくは10〜100℃であり、2段階目の温度は、通
常、20〜200℃であり、好ましくは30〜180℃
である。また、重合時間は触媒の量および重合温度によ
り適宜決めることができるが、通常、1分〜50時間で
ある。
【0040】本発明において、内装される樹脂部材は、
オレフィン系ポリマで封止される。このオレフィン系ポ
リマは充填材を含んでいることが、電気特性の点から好
ましい。シクロオレフィン系化合物を重合させてオレフ
ィン系ポリマを製造できるが、この重合前あるいは重合
時にシクロオレフィン系化合物に充填材を混合すること
により得られるオレフィン系ポリマに充填材を含ませる
ことができる。
【0041】シクロオレフィン系化合物には、充填材を
添加することができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリ
カ、珪砂、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化
マグネシウム、クレー、膨張黒鉛などの無機系充填材と
木粉、ポリエステル、シリコーン、ポリスチレンアクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)などのビ
ーズ状の有機系充填材が挙げられる。また、塩化ビニリ
デン−ポリアクリロニトリルセルにイソブタンガスがコ
ア内に封入された発泡性有機充填材((株)日本フェライ
ト製 エクスパンセル)なども挙げられる。この中で、
電気特性および熱伝導性の点から、シリカおよび水酸化
アルミニウムが好ましい。この市販品としては、CRT
−AA、CRT−D、RD−8((株)龍森製 商品
名)、COX−31((株)マイクロ製商品名)、C−3
03H、C−315H、C−308(住友化学工業(株)
製商品名)、SL−700(竹原化学工業(株)製商品
名)などが挙げられる。
【0042】これら無機系及び有機系充填材の配合量
は、シクロオレフィン系化合物に対して、0〜95重量
%とすることが好ましく、10〜95重量%とすること
がより好ましく、30〜95重量%とすることが特に好
ましく、30〜75重量%とすることがさらに好まし
い。この配合量が、95重量%を超えると、誘電率が
3.0を超えてしまう傾向があるため、電気的特性が低
下してしまう傾向がある。
【0043】これら無機系及び有機系充填材の粒径、形
状、品位などは、電気・電子部品の用途により、適宜決
めることができるが、平均粒径は0.1〜100μmの
ものが好ましく、1〜50μmのものが特に好ましい。
また、これらの平均粒径の異なるものを組み合わせるこ
とにより、細密充填性および流動性を向上することがで
きる。さらに、これら無機系及び有機系充填材の形状
は、球状であることが好ましい。
【0044】また、ミルドガラス、カットファイバー、
マイクロファイバー、マイクロバルーン、鱗片状ガラス
粉、炭素繊維、アラミド繊維などの無機・有機繊維状充
填材も挙げられ、これらを併用することもできる。ま
た、目的に応じ、適宜、アスペクト比や形状を選ぶこと
ができる。これら繊維状充填材の配合量は、シクロオレ
フィン系化合物100重量部に対し、0〜20重量部と
することが好ましく、0〜10重量部とすることがより
好ましい。
【0045】オレフィン系ポリマには、充填剤の他に、
物性、外観、成形性を考慮し、必要に応じて、改質剤、
重合速度調節剤、発泡剤、消泡剤、着色剤、安定化剤、
接着性付与剤、難燃剤、カップリング剤、有機過酸化物
などを含有させることができる。シクロオレフィン系化
合物を重合させてオレフィン系ポリマを製造できるが、
この重合前あるいは重合時に、シクロオレフィン系化合
物に、改質剤、重合速度調節剤、発泡剤、消泡剤、着色
剤、安定化剤、接着性付与剤、難燃剤、カップリング
剤、有機過酸化物などを混合することによりオレフィン
系ポリマにそれらを含ませることができる。
【0046】本発明で用いられる改質剤としては、例え
ばエラストマー、天然ゴム、ブタジエン系ゴムおよびス
チレンーブタジエン共重合体(SBR)、スチレンーブ
タジエンースチレンブロック共重合体(SBS)、スチ
レン−マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体などの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢
酸ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂などが挙げ
られる。また、これらの共重合体および熱可塑性樹脂は
エステル化されていてもよく、極性基がグラフトされて
いてもよい。また、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリ
イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂お
よびこれらの誘導体を配合し、物性を改良することもで
きる。
【0047】さらに、例えば、エポキシとノルボルネン
モノカルボキシリックアシッドを反応させて得られる化
合物、イソシアネート化合物とノルボルネン−オールを
反応させて得られる化合物、ハイミック酸変性ポリエス
テル、石油樹脂なども挙げられる。石油樹脂には、エチ
レンプラントから精製される公知のC5またはC9留分
を原料に製造されるものが挙げられ、例えば、クイント
ン(日本ゼオン(株)製商品名)や熱可塑性ポリノルボル
ネン樹脂ノルソレックス(日本ゼオン(株)製商品名)な
どが挙げられる。これら石油樹脂は、数平均分子量(ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定
し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値)が、
1000以上であることが好ましく、また、樹脂骨格中
に水酸基やエステル基などの官能基を有しているもので
あることがより好ましい。
【0048】これら改質剤の配合量は、目的とする樹脂
の物性にもよるが、一般に、シクロオレフィン系化合物
100重量部に対し、0.2〜50重量部の範囲で用い
ることが好ましく、0.5〜40重量部の範囲で用いる
ことがより好ましい。この配合量が、0.2重量部未満
では、改質剤の効果が発現し難くい傾向があり、50重
量部以上では、重合性が低下してしまう傾向がある。
【0049】本発明で用いられる重合速度調節剤として
は、トリイソプロピルフォスフィン、トリフェニルフォ
スフィン、トリシクロヘキシルフォスフィンなどのリン
酸塩、1−ヘキセンやアリル化合物などが挙げられ、こ
れらはシクロオレフィン系化合物100重量部に対し、
0.005〜20重量部用いることが好ましい。これら
重合速度調節剤は、成形のための可使時間を制御する目
的で使用するものであり、可使時間が短くてもよい時に
はその使用量を少なくし、長くしたいときは多くするな
ど、適宜、配合量を調整することができる。
【0050】消泡剤としては、例えば、シリコン系オイ
ル、フッ素オイル、ポリカルボン酸系ポリマーなど公知
の消泡剤が挙げられ、通常、シクロオレフィン系化合物
100重量部に対し、0.001〜5重量部添加するこ
とが好ましい。
【0051】発泡剤としては、例えば、ペンタン、プロ
パン、ヘキサンなどの低沸点炭化水素系化合物、炭酸ガ
ス、水蒸気などの一般公知の物理発泡剤、アゾビスイソ
ブチロニトリルやN′,N−ジニトロソペンタメチレン
テトラミンなどのアゾ系化合物やニトロソ化合物などの
分解により窒素ガスを発生する化合物など一般公知の化
学発泡剤等が挙げられる。
【0052】着色剤としては、二酸化チタン、コバルト
ブルー、カドミウムエローなどの無機顔料、カーボンブ
ラック、アニリンブラック、β−ナフトール、フタロシ
アニン、キナクリドン、アゾ系、キノフタロン、インダ
ンスレンブルーなどの有機系顔料が挙げられ、所望する
色調に応じてそれぞれを配合することができる。これら
は、2種以上組み合わせて使用しても良い。これら顔料
の添加量は、シクロオレフィン系化合物100重量部に
対し、0.1〜50重量部添加することが好ましい。
【0053】本発明に用いられる安定化剤としては、紫
外線吸収剤、光安定化剤および酸化防止剤が挙げられ
る。紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサリシレー
ト、パラ−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリ
チル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′ジメトキシベン
ゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−
(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ
−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール2−(2′
−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)
ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−
ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,
3′−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレー
ト系紫外線吸収剤が挙げられる。これらは単独または2
種類以上併用しても良い。これら紫外線吸収剤の添加量
は、電気・電子部品の使用環境、ハウジングの有無、要
求特性により適宜決められるが、通常、シクロオレフィ
ン系化合物100重量部に対し、0.05〜20重量部
とされる。
【0054】また、光安定化剤としては、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジニル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2
−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン重縮合物などのヒンダード
アミン系光安定剤が挙げられる。この光安定剤は、通
常、シクロオレフィン系化合物100重量部に対し、
0.05〜20重量部添加できる。
【0055】さらに、本発明に用いられる酸化防止剤と
しては、パラベンゾキノン、トルキノン、ナフトキノン
などのキノン類、ハイドロキノン、パラ−t−ブチルカ
テコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノンなど
のハイドロキノン類、ジ−t−ブチル・パラクレゾール
ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロールなど
のフェノール類、ナフテン酸銅やオクテン酸銅などの銅
塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリ
メチルベンジルアンモニウムマレエート、フェニルトリ
メチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウ
ム塩類、キノンジオキシムやメチルエチルケトオキシム
などのオキシム類、トリエチルアミン塩酸塩やジブチル
アミン塩酸塩などのアミン塩酸塩類、鉱油、精油、脂肪
油などの油類などが挙げられる。これら酸化防止剤は、
充填材との相性や目的とする成形作業性および樹脂保存
安定性などの条件により種類、量を変えて添加すること
ができ、通常、その添加量は、シクロオレフィン系化合
物100重量部に対し、10〜10,000ppmであ
る。
【0056】本発明で用いられる接着性付与剤として
は、シラン系カップリング剤が挙げられる。シランカッ
プリング剤としては、通常、(Y)a−Si−(X)4-a(式
中、Yは、Siに結合する1価の官能基を示し、Xは、
加水分解性を有し、Siに結合する1価の基を示し、a
は、1〜4の整数である)で表されるものが挙げれら
る。上記Y中の官能基としては、例えば、ビニル基、ア
ミノ基、エポキシ基、クロロ基、メルカプト基、メタク
リルオキシ基、シアノ基、カルバメート基、ピリジン
基、スルホニルアジド基、尿素、スチリル基、クロロメ
チル基、アンモニウム塩、アルコール等の基がある。X
としては、例えば、塩素、メトキシ基、エトキシ基、メ
トキシエトキシ基等がある。
【0057】具体例としては、例えば、ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シ
ラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、N,N−ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラ
ン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、メタクリル
オキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピ
ル)アンモニウムクロライド、3−(N−スチリルメチ
ル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシ
ラン塩酸塩等が挙げられ、これらを混合して使用するこ
とも可能である。シラン系カップリング剤は、シクロオ
レフィン系化合物100重量部に対し、通常、0.00
1〜5重量部添加する。
【0058】難燃剤としては、例えば、ヘキサブロムベ
ンゼン、テトラブロムビスフェノールA、デカブロムジ
フェニルオキサイド、トリブロムフェノール、ジブロモ
フェニルグリシジルエーテル、パークロロペンタシクロ
デカン、ヘット酸誘導体等のハロゲン系化合物が単独ま
たは2種以上併用される。また、リン酸トリス(ジクロ
ロプロピル)、リン酸トリス(ジブロモプロピル)など
のリン酸化合物、ホウ酸化合物なども併用できる。さら
に、助難燃剤としては、三酸化アンチモン、酸化鉄、水
素化アルミなどが挙げられ、これらを難燃剤と併用する
とより難燃効果を高めることができる。ハロゲン系難燃
剤は、シクロオレフィン系化合物100重量部に対し、
通常、1〜50重量部で使用する。三酸化アンチモン等
の助難燃剤は、シクロオレフィン系化合物100重量部
に対し、通常、1〜15重量部の範囲で用いられる。ま
た、プラスチック用充填材として市販の水酸化アルミニ
ウムや水酸化マグネシウムなどの水和物も難燃を目的と
した充填材として用いることができる。これらの添加量
は、シクロオレフィン系化合物100重量部に対し、1
0〜300重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0059】これらのほかにも、充填材の濡れ性を改良
するため、例えば、ビックケミー社製BYKシリーズな
どの市販の湿潤剤や分散剤に代表されるカップリング剤
を添加することができる。また、作業性を改良するため
には、シリコン系オイルやステアリン酸亜鉛などの離型
剤、ポリマ中の塩素イオンやナトリウムイオンなどの遊
離イオンを捕捉する無機イオン交換体(イオン捕捉剤)
なども必要に応じて硬化を阻害しない程度に添加するこ
とができる。
【0060】さらに有機過酸化物も添加することができ
る。有機過酸化物としては、例えば、クメンハイドロパ
ーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキ
サイド、ビス−4−ターシャリブチルシクロヘキサンジ
カーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ター
シャリブチルパーオキシ)ヘキシン−3など公知のもの
が挙げられ、これらは2種以上併用してもよい。これら
の添加量は、シクロオレフィン系化合物100重量部に
対して、通常、0.1〜10重量部とされる。
【0061】本発明に用いられるシクロオレフィン系化
合物には、溶剤を含まない。この溶剤とは、ベンゼン、
トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン
など一般公知の非反応性希釈溶剤のことである。但し、
上記添加剤の中で、市販品に含まれる溶剤は、これを無
視するものとする。しかし、この場合でも溶剤は、シク
ロオレフィン系化合物に対し、2重量部未満であること
が、硬化時の膨れを防止する上で好ましい。
【0062】シクロオレフィン系化合物の粘度やポリマ
ーの機械的特性や電気的特性を調整するため、アクリル
系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニル系モノマ
ー、ジアリルフタレートなどの低粘度の反応性希釈剤を
用いてもよく、これらは1種あるいは2種以上を併用し
てもよい。
【0063】本発明の電気・電子部品の製造において、
樹脂部材をオレフィン系ポリマで封止することは、例え
ば、シクロオレフィン系化合物と重合触媒を含む反応性
混合物を、大気圧での注入成形法、真空注入成形法、加
圧注入成形法、含浸成形法、RTM成形法、ディッピン
グ、ハンドレイアップやスプレイアップなどの積層成形
法、プレス成形法、フィラメントワインディング法、遠
心成形法、真空または加圧バック法、連続成形法、引抜
き成形法、射出成形法、トランスファー成形法などで成
形することにより行うことができる。本発明で、一般式
(2)〜(4)に示すメタセシス重合触媒を用いる場合
は、これらの成形で不活性雰囲気にする必要はない。
【0064】本発明の電気・電子部品において収納容器
(ケース)はSUS、銅、鉄、アルミ、セラミックスな
どの無機材料および熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、生分
解性樹脂、天然樹脂などの有機材料の中から目的、用途
によって選ばれるもので制限はない。また、部品の形状
や寸法も目的により任意に設計される。ケースがなくて
もよい。
【0065】本発明の電気・電子部品の一例である高圧
トランスとは、数ボルト〜数100ボルトの一次電圧
を、1次コイルと2次コイルの相互誘導作用により目的
に応じて数千ボルトから数万ボルトの二次電圧を取り出
すための電気部品である。例えば、大型のものであれ
ば、送電設備における変電用トランス、小型のものであ
ればテレビ、モニタなどの映像機器に使用されるフライ
バックトランス、自動車エンジン用として点火コイルな
どが挙げられる。点火コイルの一例の断面構造を模式的
に示すと、図1のようになる。ここで、点火コイルは、
コアa、1次ボビンb、1次コイルc、2次ボビンd、
2次コイルe、端子fなどで構成されている。
【0066】1次コイルは、Φ0.5程度のエナメル線
を約200回、2次コイルは、Φ0.05程度のエナメ
ル細線を20000回程度ボビンに巻線されている。1
次コイルは、バッテリーに接続され直流電流が流れる
が、点火タイミング調整電子回路部品およびパワースイ
ッチにより流れる電流を断続させて磁束を変化させ、自
己誘導作用により一次電圧を得る。この一次電圧を、1
次コイルと2次コイルの相互誘導作用により、20〜4
0KVの高電圧とし、端子に接続した点火プラグに、火
花放電を起こさせる電気・電子部品である。
【0067】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。な
お、実施例中、部とは特に限定しない限り重量部を意味
する。
【0068】<樹脂1:オレフィン系ポリマ>高純度ジ
シクロペンタジエン(丸善石油化学(株)製、純度99重
量%以上)50重量部、シクロオクタジエン(HULS
社製 純度98.5重量%以上)50重量部、トリフェ
ニルフォスフィン0.1重量部および2,5ジ−ターシ
ャリブチルフェノール1重量部を配合し、この配合ワニ
スに、式(2)で示されるメタセシス重合触媒0.1重
量部を注型直前に添加し供試した。硬化条件は、38℃
×2時間+100℃×1時間+125℃×1時間とし
た。
【0069】<樹脂2:充填材入りオレフィン系ポリマ
>樹脂1と同様の高純度ジシクロペンタジエン100重
量部およびシランカップリング剤(日本ユニカー(株)製
FZ−3778)0.1重量部を、約35℃に加温しな
がら混合した。次いで、平均粒径15μmの溶融シリカ
((株)龍森製ヒューズレックスRD−8)を所定量攪拌
混合しコンパウンドを得た。式(2)に示されるメタセ
シス重合触媒を用いて、樹脂1と同様に硬化させた。
【0070】<樹脂3:オレフィン系ポリマ>1リット
ルのセパラブルフラスコに、高純度ジシクロペンタジエ
ン500重量部および2,5−ジ−ターシャリブチルフ
ェノール0.5重量部を仕込み、窒素雰囲気下で約16
5〜170℃で8時間加熱還流し、加熱処理ワニスを得
た。このワニスに、ジエチルアルミニウムクロライドを
40ミリモル濃度、n−プロピルアルコールを52ミリ
モル濃度および四塩化ケイ素20ミリモル濃度、それぞ
れを窒素パージしたドライボックス内で添加しA液とし
た。また、A液と同様に、加熱処理ワニスに対し、トリ
デシルアンモニウムモリブデネートを10ミリモル濃度
添加しB液を作製した。このA液およびB液を50重量
部ずつ窒素雰囲気下で混合して供試した。硬化条件は5
0℃×0.5h+125℃×1hとした。
【0071】<樹脂4:エポキシ樹脂>ビスフェノール
A型エポキシ樹脂100重量部(東都化成(株)製YD−
128)に、シランカップリング剤0.1重量部(東芝
シリコーン(株)製、TSA−720)を混合してA液と
した。一方、硬化剤として、メチルテトラヒドロ無水フ
タル酸(日立化成工業(株)製HN−2200)87重量
部に、2−エチル−4−メチルイミダゾールを2部配合
しB液とした。このA液50重量部およびB液を45重
量部を混合し、さらに、平均粒径15μmの溶融シリカ
100重量部((株)龍森製ヒューズレックスRD−8)
を混合し十分に攪拌し、60℃に加温しながら400Pa
(3torr)の真空下で注入した。硬化条件は100℃×
1h+125℃×2h+140℃×3hとした。
【0072】<樹脂5:シリコーン樹脂>市販の放熱タ
イプシリコーン樹脂(信越シリコーン(株)製 商品名K
E−1223)を供試した。硬化条件は100℃×1h
とした。
【0073】・試験方法 <出力特性試験>注型封止した部品モデル1および3を
(−55℃×60分+150℃×60分)を1サイクル
とするヒートサイクル試験を100サイクル行い、試験
後に一次電圧として12V印加したときに、2次電圧と
して20KV以上の出力が得られるか試験した。また、
試験後の部品を切断して剥離の有無を光学顕微鏡により
観察した。 <制御部品導通試験>注型封止した部品モデル2および
4について121℃×2気圧、500hのPCT処理を
行った後、導通試験を行った。
【0074】<部品モデル1>ポリフェニレンサルファ
イド(PPS)製ケース材に、磁性体コア、アルミ電
極、点火タイミング制御回路部品(構成:IC付セラミ
ック基板/エポキシ樹脂で部品封止)、ボビン(日本ジ
ーイープラスチック(株)製、商品名GFN2J、ポリフ
ェニレンエーテル/ポリスチレン(重量比60/40の
ブレンド)使用、強化材入り)の1次コイルおよび2次
コイルを組み込んだ点火コイルに、表1に示した供試試
料を注型した。
【0075】<部品モデル2>ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT)製ケース材に、150×150×2mmt
の基材がビニルエステル樹脂(ビスフェノールAジグリ
シジルエーテルのジメタクリレート/スチレン(重量比
60/40)の硬化物)製のプリント配線板回路部品を
内装した制御部品に、表1に示した供試試料を注型し
た。
【0076】<部品モデル3>ボビン材をPPS製にし
た以外、部品モデル1と同様にし、表1に示した供試試
料を注型して点火コイルを作製した。
【0077】<部品モデル4>プリント配線板の基材
を、フェノール樹脂製とした以外、部品モデル2と同様
にして、表1に示した供試試料を注型して制御部品を作
製した。
【0078】実施例1〜3および比較例1〜3 表1に示す封止ポリマを用いて作製した、それぞれの部
品モデルについて、出力特性試験及び制御部品導通試験
を行い、結果を表1に示した。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】請求項1〜8記載の電気・電子部品は、
不活性雰囲気下でのハンドリングを必要としないで容易
に製造でき、内装された樹脂部材とこれを封止するポリ
マとの接着性が優れ、これらの間の剥離が起こらず、高
密度化、高集積化に対応する長寿命、高耐久性を備えた
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気・電子部品の一例の点火コイルの
断面構造模式図である。
【符号の説明】
a コア b 1次ボビン c 1次コイル d 2次ボビン e 2次コイル f 端子
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 雅博 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 杉下 拓也 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社山崎事業所内 Fターム(参考) 4F206 AA12 AD05 AH33 JB17 4M109 AA01 BA04 CA02 CA21 DB10 EA11 EA12 EB06 EB07 EB08 EB09 EB12 EB19 EC09 EC15 GA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内装される樹脂部材がスチレン誘導体を
    必須の構成成分としてなる化合物から少なくとも構成さ
    れ、その樹脂部材がオレフィン系ポリマで封止されてな
    る電気・電子部品。
  2. 【請求項2】 スチレン誘導体を必須の構成成分として
    なる化合物が、ポリスチレン系樹脂である請求項1記載
    の電気・電子部品。
  3. 【請求項3】 樹脂部材が、スチレン誘導体を必須の構
    成成分としてなる化合物に加えてさらにポリフェニレン
    エーテルから構成され、スチレン誘導体を必須の構成成
    分としてなる化合物の配合比率がスチレン誘導体を必須
    の構成成分としてなる化合物とポリフェニレンエーテル
    の合計量の5〜50重量%である請求項1または2記載
    の電気・電子部品。
  4. 【請求項4】 オレフィン系ポリマの曲げ弾性率が、2
    3℃において500MPa以下である請求項1、2又は3
    記載の電気・電子部品。
  5. 【請求項5】 オレフィン系ポリマが、シクロオレフィ
    ン系化合物をメタセシス重合して得られるポリマである
    請求項1、2、3又は4記載の電気・電子部品。
  6. 【請求項6】 オレフィン系ポリマが、充填材を含む請
    求項5記載の電気・電子部品。
  7. 【請求項7】 磁性体コア、1次コイル、2次コイルお
    よび外部接続端子からなる高圧トランスである請求項
    1、2、3、4、5又は6記載の電子・電気部品。
  8. 【請求項8】 エンジン用点火コイルである請求項7記
    載の電子・電気部品。
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