JP3807228B2 - 電子装置及び電子装置封止用組成物 - Google Patents

電子装置及び電子装置封止用組成物 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、特にLSI(大規模集積回路)及びIC(集積回路)などのシリコンチップ、トランス、コイル、トランジスタ、ダイオード、電源スイッチ類などの素子を含む部品に好適な、樹脂封止型電子装置に関する。
【0002】
(背景技術)
電気・電子機器の小型化、薄型化に伴い、使用される部品の高密度化、高集積化が進んできている。特に、樹脂封止型半導体装置といった半導体関連部品におけるその進歩は、目覚しいものがある。
【0003】
これらの電気・電子部品では、一般に絶縁性、耐湿性、耐熱衝撃性、耐リフロークラック性などの信頼性を向上させるため、金、銀、銅、アルミ、真鍮、亜鉛、シリコン、ゲルマニウム、42アロイ、ステンレスなどの無機材料からなる部材は、高分子材料で封止される。
【0004】
例えばIC部品では、通常、素子(シリコンチップ)がエポキシ樹脂により封止されており、イグニッションコイル部品では、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂によってコイルが封止されている。また、セラミックやエポキシ樹脂などからなる支持基板に素子(IC、ベアチップなど)が搭載された電気・電子部品は、使用される環境に応じてアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂などにより素子が封止されている。
【0005】
これらの電気・電子部品において封止に用いられる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、及び、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイドなどのエンジニアリングプラスチック(熱可塑性樹脂)が挙げられる。これらの封止用樹脂のうちでも、無機材料との接着性に最も優れていることからエポキシ樹脂が最も頻繁に使用されている。
【0006】
これら電気・電子部品の封止に用いる樹脂には、無機部材とポリマーとの界面の剥離を防止するため、低線膨張係数であること、すなわち、線膨張係数がシリコンチップ、アルミ電極、銅線などの無機部材に近いことが、一般に求められる。また、例えば半導体作動時に発生するジュール熱や銅線コイルの電気抵抗による発熱といった、電気・電子部品の発する熱を拡散して、電気・電子部品の耐久寿命及び信頼性を向上させるため、熱伝導率を高めることが一般に求められる。そこで、一般に、低線膨張係数化及び高熱伝導率化のため、封止用樹脂組成物には、シリカや水酸化アルミニウムのような無機充填材が添加される。
【0007】
しかし、充填材の添加は、樹脂を硬くて脆いものにしてしまうため、クラックを発生しやすくし、部品の耐ヒートサイクル性を低下させてしまう。また、一般に、無機充填材を添加すると、重合性組成物(重合硬化前の樹脂原料)は、室温で固形になるか、又は、数〜数十N・s・m-2以上の高粘度になってしまい、流動性に乏しくなる。したがって、従来の重合性組成物は、充填材を添加すると、高密度集積回路や微細回路などの封止には適用できなかった。例えば、特開平10−219080号公報では、低粘度化エポキシ樹脂プレポリマーが提案されている。このプレポリマーでは、例えば2.9N・s・m-2という低い粘度が実現されている。しかし、この水準の粘度では、依然、高密度集積回路や微細回路を十分に封止できない。さらに、硬化物(樹脂)のガラス転移温度が110℃であり、実使用温度下では機械的に硬くて脆い性質を示すため、耐ヒートサイクル試験においてクラックが発生しやすいという問題がある。
【0008】
そこで、機械的な靭性に優れるエンジニアリングプラスチックを用いて封止する方法も検討されてきている。例えば、特開平10−292118号公報では、ポリフェニレンサルファイドを用いて、シリンダー温度300℃の押出成形でICチップなどの電子部品を封止する方法が提案されている。しかし、エンジニアリングプラスチックは熱可塑性樹脂であり、その成形には一般に300℃以上の高温を必要とし、さらに、そのような高温下でもなお数十N・s・m-2程度の高い溶融粘度を示すため、このようなプラスチックを用いて微細回路を十分に含浸させるのは極めて困難である。
【0009】
一方、封止樹脂の剥離やクラックによる電気・電子部品の信頼性低下を防ぐため、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの低弾性率のポリマーを封止樹脂として用いる場合もある。しかし、シリコーン樹脂やウレタン樹脂のプレポリマーは一般的に粘度が高く含浸性が悪い。また、これらのポリマーの誘電率はオレフィン系樹脂に比べて高く、電気的特性に劣る。このため、特開平8−316373号公報記載の技術では成形時の樹脂充填方法を最適化し、特開平10−233472号公報では部品の構造を最適化する方法が提案されているが、これらの改良方法だけでは未だ微細回路を十分含浸できない。また、特開平5−287077号公報ではプレポリマーの粘度を下げたシリコーン樹脂が提案されているが、それでも粘度は0.3N・s・m-2以上あり、依然微細回路を十分に含浸できる水準まで至っていない。
【0010】
一方、ノルボルネン系化合物をメタセシス重合して得られるシクロオレフィン系樹脂は、機械的特性、電気的特性及び耐水性などに優れることが知られており、特公平5−41088号公報ではノルボルネン系化合物の反応射出成形により電気・電子部品を封止する製造方法が提案されている。また特開平9−183833号公報では、新たなメタセシス重合触媒による電気・電子部品の封止に好適なノルボルネン系化合物が提案されている。さらに、特開平10-182922号公報では、メタセシス重合性シクロオレフィン系化合物(プレポリマー)は充填材を添加しても粘度が低く、電気・電子部品の封止に好適であることが示されている。しかし、これらは全てジシクロペンタジエンなどのノルボルネン系化合物と無機充填材とを組み合わせたプレポリマーの硬化物を封止材とするものであり、得られる硬化物はガラス転移温度が高い反面、無機部材への接着性に乏しく、かつ弾性率も高いため、無機部材との界面で容易に剥離してしまうという問題がある。
【0011】
また、上述の特公平5−41088号公報に記載されたメタセシス重合触媒系は、特開昭59−51911号公報に示された、触媒成分であるタングステン又はモリブデンの有機アンモニウム塩と、活性化剤であるアルコキシアルキルアルミニウムハライド又はアリールオキシアルミニウムハライドとを組み合わせた触媒系と同様のものであり、酸素で失活しやすいため、成形を不活性ガス雰囲気で行わなければならないという問題もある。
【0012】
上述したように、エポキシ樹脂など弾性率が高い硬質な樹脂では、剥離やクラックという問題が発生しやすく、電気・電子部品の信頼性に問題がある。また、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの弾性率が低い軟質な樹脂では、プレポリマーの粘度が高いため含浸性が悪く、高密度集積回路や微細回路を十分に封止できないという問題がある。また、シクロオレフィン系樹脂としてジシクロペンタジエンを用い、これをメタセシス重合させて得られるポリマーも、弾性率が高いため剥離という問題がある。さらにメタセシス重合触媒を用いたシクロオレフィン系樹脂による封止は、成形を完全に不活性ガス雰囲気で行わなければならないという問題がある。
【0013】
(発明の開示)
上述の問題を解決するため、本発明では、無機充填材と、メタセシス重合性の単環シクロオレフィン化合物と、双環または多環シクロオレフィン化合物と、メタセシス重合触媒とを含む重合性組成物を重合させて得られる封止部材を備え、当該封止部材の23℃における曲げ弾性率が500MPa以下である電子装置が提供される。ただし、曲げ弾性率は、JIS−K−7203に規定される。このような封止部材を用いれば、良好な精密注型成形性及び耐はんだリフロー性が得られる。なお、重合性組成物は、粘度が23℃において0.3N・s・m-2未満である重合性液状物である
【0014】
なお、本発明の電子装置は、例えば樹脂封止型半導体装置やイグニッションコイルといった、他の製品の部品となるものであってもよく、電気部品及び電子部品のいずれであってもよい。本発明に好適な電子装置としては、例えば、磁性体からなる中心コアと、該中心コアの外周に巻かれた一次コイル及び二次コイルと、該二次コイルの外側に配設された磁性体からなる外部コアとを備えるイグニッションコイルが挙げられる。
【0015】
本発明において封止部材は、つぎの(1)〜(4)の少なくともいずれかであることが望ましい。
【0016】
(1)ガラス転移温度が80℃以下であること。
【0017】
(2)線膨張係数が23℃において100ppm以上であること。
【0018】
(3)吸水率が23℃で24時間水浸漬時に0.1重量%未満であること。
【0019】
(4)誘電率が23℃において3.0以下であること。
【0020】
なお、封止部材の原料である重合性組成物は、溶剤を含まないことが望ましく、充填材を含み、添加剤(すなわち、改質剤、重合速度調節剤、発泡剤、消泡剤、着色剤、安定化剤、接着性付与剤、難燃剤、カップリング剤及び/又は有機過酸化物)を含んでいてもよい。添加剤は、一種類でもよく、必要に応じて2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、充填材と添加剤とを組み合わせて用いてもよい。
【0021】
重合性組成物は、1種以上のメタセシス重合性シクロオレフィン化合物を含むことが望ましく、分子量300未満のメタセシス重合性シクロオレフィン化合物から選ばれる2種以上の化合物を含むことがさらに望ましい。
【0022】
重合性組成物は、メタセシス重合性シクロオレフィン化合物を含み、メタセシス重合触媒をさらに含む。用いることのできるメタセシス重合触媒としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
【0023】
【化7】
Figure 0003807228
ただし、一般式(1)〜(3)において、Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びXはそれぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びLはそれぞれ独立に中性の配位子を示し、Q及びQはそれぞれ独立に水素、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アルケニル基、置換基を有するアルケニル基、芳香族基又は置換基を有する芳香族基を示す。R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、炭素数1〜18のカルボキシレート基、炭素数1〜18のアルコキシル基、炭素数2〜18のアルケニルオキシ基、炭素数2〜18のアルキニルオキシ基、炭素数2〜18のアリルオキシ基、炭素数2〜18のアルコキシカルボニル、炭素数1〜18のアルキルチオ基、炭素数1〜18のアルキルスルホニル基又は炭素数1〜18のアルキルスルフィニル基を示し、Rは水素、アリール基又は炭素数1〜18のアルキル基を示す。
【0024】
オレフィン系樹脂を得るための反応にこれらのメタセシス重合触媒を用いると、空気中の酸素や水分の影響を受け難いため、成形バラツキを少なくできる。したがって、これらの触媒は本発明に好適である。本発明の電子装置では、封止部材として、酸素を含む雰囲気内で成形されたものを用いることができる。
【0025】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の電子装置は、重合性組成物の重合物である封止部材を備える。封止部材は、JIS−K−7203に規定される23℃における曲げ弾性率が500MPa以下である。以下、本明細書では、封止部材を構成する樹脂組成物を、低弾性率樹脂と呼ぶ場合がある。
【0026】
上記重合性組成物は、23℃で液状の重合性液状物であることが望ましい。重合性液状物の粘度は、0.005N・s・m-2〜0.2N・s・m-2であることが好ましい。フライバックトランスやイグニッションコイルなどの電子装置の場合、重合性液状物の粘度が0.3N・s・m-2を超えると巻線コイル内部への含浸性が悪くなり、未充填部分が発生して絶縁性が低下することがある。また、同様に粘度が0.3N・s・m-2を超える重合性液状物を、DIP(Dual Inline Package)に代表される半導体装置における半導体素子の封止材として用いた場合、チップとリードフレーム又は基板(ポリイミドフィルムやセラミックなど)との間の接続配線を切断してしまうことがある。
【0027】
本発明で用いられる封止用樹脂の曲げ弾性率は、300MPa以下であることが好ましく、100MPa以下であることがさらに好ましい。500MPaを超えると剥離やクラックが発生しやすくなる。
【0028】
I.封止部材
本発明で封止部材に用いられる封止用樹脂の種類は、電気特性が優れる点から、オレフィン系樹脂が特に好ましい。
【0029】
本発明の電子装置に用いられる封止部材のガラス転移温度は、80℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、25℃以下が特に好ましい。ガラス転移温度が80℃を超えると、封止部材の内部にクラックが発生しやすくなる。同様の理由から、封止部材の線膨張係数は100ppm以上が好ましい。
【0030】
さらに、封止部材の吸水率は、23℃で24時間水浸漬時に0.1重量%未満が好ましい。吸水率が0.1重量%以上では、絶縁性や耐はんだリフロー性が低下する傾向にある。
【0031】
また、電子装置の高密度化、高集積化に伴い、封止部材は、電磁波の相互干渉がないよう、誘電率が2.0〜3.0であることが好ましく、2.0〜2.9であることがより好ましい。
【0032】
II.封止用重合性組成物の組成
以下、本発明の電子装置に用いられる封止部材の原料である封止用重合性組成物の組成について、具体的に説明する。なお、封止用重合性組成物は、粘度が23℃において0.3N・s・m-2未満である重合性液状物であるか、又は、オレフィン化合物を樹脂原料(モノマ又はオリゴマ)として含むことが望ましい。
【0033】
A.樹脂モノマ・オリゴマ
本発明で封止部材に用いられる封止用樹脂の種類は特に制限されないが、オレフィン系樹脂が特に好ましい。
【0034】
本発明に好適なオレフィン系樹脂の原料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンなど一般公知の汎用樹脂も挙げられるが、シクロオレフィン系化合物が好ましく、特に好ましくはメタセシス重合可能なシクロオレフィン化合物である。
【0035】
メタセシス重合可能なシクロオレフィン化合物は、ノルボルネン系シクロオレフィン化合物と非ノルボルネン系シクロオレフィン化合物とに大別される。
【0036】
ノルボルネン系シクロオレフィン化合物としては、例えば置換又は非置換の、
ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノルボルネンなどの二環ノルボルネン、
ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエンなどの三環ノルボルネン、
テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセンなどの四環ノルボルネン、
トリシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの三量体)、テトラシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの四量体)などの五環以上のノルボルネン
などが挙げられる。
【0037】
非ノルボルネン系シクロオレフィン化合物としては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデンなどが挙げられる。
【0038】
また、2個以上のノルボルネン基を有する化合物、例えばテトラシクロドデカジエン、対称型トリシクロペンタジエン等を多官能架橋剤として用いることもできる。さらに、ハイミック酸、無水ハイミック酸、ノルボルナジエンなどのノルボルネン誘導体も用いることが可能である。
【0039】
これらのメタセシス重合性シクロオレフィン化合物は、2種以上を組み合わせて用いる。
これらのうち、入手の容易さ、経済性などからは、ジシクロペンタジエン、メチルテトラシクロドデセン、エチリデンノルボルネン、トリシクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエンなどが好ましい。
【0040】
なお、ジシクロペンタジエンは、事前に加熱処理することで、ジシクロペンタジエンの一部をトリシクロペンタジエンやテトラシクロペンタジエン等のシクロペンタジエンオリゴマーにしたり、不純物であるビニルノルボルネンやメチルビニルノルボルネンをテトラヒドロインデンやメチルテトラヒドロインデンに異性化したりすることができる。この事前の加熱処理は、通常、120〜250℃で0.5〜10時間程度行う。
【0041】
なお、通常の市販されているオレフィン樹脂原料は、不純物を含んでいることがあり、種々の純度のシクロオレフィン化合物が市販されている。例えば、ジシクロペンタジエンにはビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、メチルビニルノルボルネン、メチルテトラヒドロインデン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン等が含まれており、シクロオクタジエンには未反応ブタジエンやシクロオクタンなどが不純物として含まれていることがある。しかし、これらの市販品を特に精製することなく用いてもよい。なお、本発明の電子装置に用いる場合、樹脂原料(モノマ又はオリゴマ)としては、通常90%以上のものを用いればよく、好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の純度のものを用いる。
【0042】
これらのシクロオレフィン化合物は、分子量300未満のものを2種以上併用して用いることが望ましい。このようにすれば、弾性率を制御することができるためである。
【0043】
例えば、ジシクロペンタジエンやトリシクロペンタジエンなどの双環体又は多環体を重合して得られる樹脂は硬質であるが、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエン、シクロオクタテトラエンなどの単環体を併用することにより、弾性率を低下させることができる。
【0044】
弾性率を低下させるために用いられるこれら単環シクロオレフィン化合物は、多環体と単環体の配合総モル数に対して、40モル%以上99モル%未満の範囲で配合することが好ましい。単環体が40モル%未満では弾性率が500MPa以上になってしまう。また、99モル%以上使用すると架橋密度が低いため、樹脂の靭性が低くなってしまう。
【0045】
B.メタセシス重合触媒
本発明に好適な封止用樹脂は、メタセシス重合により硬化したものであることが望ましい。このメタセシス重合に用いられるメタセシス重合触媒としては、シクロオレフィン系化合物の開環メタセシス重合用触媒として公知の触媒系を用いることができ、例えば、2成分型触媒や1成分型触媒が挙げられるが、特に制限はなない。ただし、空気中での安定性の良さから、1成分型の金属カルベン型触媒が好ましい。
【0046】
メタセシス触媒の添加量は、通常、シクロオレフィン系重合性組成物に対し0.001〜20重量%であるが、経済性及び硬化速度の理由から0.01〜5重量%の範囲が好ましい。
【0047】
2成分型メタタセシス重合触媒は、触媒成分と活性化剤とを組み合わせた触媒系である。本発明に用いられる2成分型メタタセシス重合触媒としては、チタン、バナジウム、モリブデン、タングステン、レニウム、イリジウム、ルテニウム及びオスミウムなどの遷移金属類を含む、錯体金属ハロゲン化物、金属カルベン又はチーグラーナッタ型の配位触媒などがある。
【0048】
具体的には、六塩化タングステン、オキシ四塩化タングステン、酸化タングステン、トリデシルアンモニウムタングステートなどのタングステン化合物、五塩化モリブデン、オキシ三塩化モリブデン、酸化モリブデン、トリデシルアンモニウムモリブデートなどのモリブデン化合物、五塩化タンタルなどのタンタル化合物、及び、[(シクロヘキシル)3P]2RuCl2、[(フェニル)3P]3RuCl2、(シクロヘキシル)3P(p-シメン)RuCl2、[(フェニル)3P]3(CO)RuH2などのルテニウム化合物などが挙げられる。
【0049】
これら2成分系メタセシス重合触媒系には、必要に応じて公知の共触媒(活性化剤)が併用される。その具体例としては、アルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド、アリールオキシアルキルアルミニウムハライド、有機スズ化合物などが挙げられる。
【0050】
1成分型メタセシス重合触媒は、2成分型の触媒系とは異なり、空気中の水分や固体表面の吸着水によって容易に触媒活性を失うことなくシクロオレフィン系化合物をメタセシス反応で開環メタセシス重合させることができる。このような1成分型メタセシス重合触媒として、具体的には、ルテニウム又はオスミウムの金属カルベン構造を中心骨格として立体障害の大きい配位子が中心金属へ配位した構造をとることにより水分に対して安定化された金属カルベン型配位触媒が挙げられる。
【0051】
これらルテニウム又はオスミウムの金属カルベン型配位触媒の好ましい例としては、下記一般式(1)〜(3)のいずれかにより表される化合物が挙げられる。これらのうち、触媒活性の高さ、合成収率の高さ及び経済性などの点からは、特に一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0052】
【化8】
Figure 0003807228
ここで、Mは、ルテニウム又はオスミウムを示す。
【0053】
及びXは、それぞれ独立に選ばれるアニオン性配位子を示す。アニオン性配位子とは、中心金属への配位をはずしたときに陰性電荷をもつ原子又は原子団のことである。このアニオン性配位子としては、例えば、水素、ハロゲン、CF3CO2、CH3CO2、CFH2CO2、(CH3)3CO、(CF3)2(CH3)CO、(CF3)(CH3)2CO、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、フェニル基、フェノキシル基、トシル基、メシル基、トリフルオロメタンスルホネート基等がある。X及びXは、両方が共にハロゲン(特に、塩素)であることが特に好ましい。
【0054】
及びLは、それぞれ独立に選ばれる中性の配位子を示す。なお、中性の配位子とは、中心金属への配位をはずしたときに中性電荷をもつ原子又は原子団のことである。このような基としては、例えばPR(ここで、Rは2級のアルキル基又はシクロアルキル基であり、R及びRは、アリール基、炭素数1〜10の1級アルキル基及び2級アルキル基、並びに、シクロアルキル基からそれぞれ独立に選ばれる基である)で表されるホスフィン系電子供与体が挙げられる。L及びLは、両方が共にP(シクロヘキシル)、P(シクロペンチル)、又はP(イソプロピル)であることが好ましく、互いに異なっていてもよい。
【0055】
さらに、配位子として、ピリジン、p−フルオロピリジン、イミダゾリリデン等も挙げられる。イミダゾリリデン化合物としては、下記一般式(4)又は(5)で表される複素環式化合物が好ましい。これらのうち、式(5)で表される化合物を配位子とすることが特に好ましい。
【0056】
【化9】
Figure 0003807228
ここで、R及びRは、それぞれ独立に選ばれる、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、シクロアルキル基、アリール基である。なお、R及びRは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、アリール基で置換されていてもよく、さらにこれらの基はハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、フェニル基で置換されていてもよい。熱安定性の点からは、R及びRの少なくとも片方が下記一般式(6)で示される基であることが好ましい。
【0057】
【化10】
Figure 0003807228
この式(6)において、R及びR10は、それぞれ水素、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシル基であり、R11は水素、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、チオール基、チオエーテル基、ケトン基、アルデヒド基、エステル基、エーテル基、アミン基、イミン基、アミド基、ニトロ基、カルボン酸基、ジスルフィド基、カルボネート基、イソシアネート基、カルボジイミド基、カルボアルコキシ基、カルバメート基、ハロゲンなどである。
【0058】
配位子として用いることのできる具体的なイミダゾリリデン化合物としては、下記構造式(7)又は構造式(8)で示されるカルベンが挙げられる。これらのうち、重合活性の点から構造式(7)のイミダゾリリデン化合物が特に好ましい。
【0059】
【化11】
Figure 0003807228
及びQはそれぞれ独立に選ばれる水素、アルキル基、アルケニル基又は芳香族基を示し、アルキル基、アルケニル基又は芳香族基は置換基を有していてもよい。
【0060】
及びRはそれぞれ独立に選ばれる炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、炭素数1〜18のカルボキシレート基、炭素数1〜18のアルコキシル基、炭素数2〜18のアルケニルオキシ基、炭素数2〜18のアルキニルオキシ基、炭素数2〜18のアリルオキシ基、炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、炭素数1〜18のアルキルスルホニル基又は炭素数1〜18のアルキルスルフィニル基を示し、Rは水素、アリール基又は炭素数1〜18のアルキル基を示す。
【0061】
本発明に好適な触媒の具体例としては、つぎの構造式(9)〜(11)が挙げられる。
【0062】
【化12】
Figure 0003807228
【化13】
Figure 0003807228
【化14】
Figure 0003807228
また、下記一般式(12)により表される化合物も、本発明に好適である。
【0063】
【化15】
Figure 0003807228
なお、一般式(12)において、R11はフェニル基、イソプロピル基又はシクロヘキシル基である。
【0064】
このような金属カルベン化合物は、公知の合成法により得ることができる。例えば、Organometallics第16巻、18号、3867頁(1997年)に示されているプロパギルクロライドを使用する方法が挙げられる。以下に、上記構造式(9)で表される化合物の合成例を示す(参考文献:Organometallics第16巻18号3867頁(1997年))。なお、cyはシクロヘキシル基を表す。
【0065】
<合成例>
500mlのFisher-Porter bottleに、シクロオクタジエンルテニウムジクロライド(21mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(42mmol)、水酸化ナトリウム(7.2g)、及び、酸素を除去したsec−ブタノール250mlを入れ、200kPaの水素雰囲気下で90℃で加熱する。水素の吸収が終了するまで数回加圧を繰り返し、一晩撹拌を続ける。水素の圧力をかけたままで室温まで冷却し、淡黄色の沈殿物を得る。水30mlを加え沈殿物を濾過し、水素気流中で乾燥して、Ru(H)2(H2)2(P(cy)3)2を得る(収率約80%)。次に、このRu(H)2(H2)2(P(cy)3)2(1.5mmol)をジクロロエタン30mlに溶解し、−30℃に冷却する。3−クロロ−3−メチル−1−ブチン(1.5mmol)を加える。溶液は即座に赤紫に変わり、そのまま15分反応させた後、冷却浴をはずし、脱ガスしたメタノール(20ml)を加えると、紫色の結晶が沈殿する。メタノールで洗浄し、乾燥させてRuカルベン触媒(Cl)2(P(cy)3)2Ru=CH-CH=C(CH3)2を得る(収率95%)。
【0066】
【化16】
Figure 0003807228
C.添加剤
封止用重合性組成物(好ましくは重合性液状物)には、硬化物の物性及び外観、組成物の成形性等を考慮し、必要に応じて充填材、改質剤、重合速度調節剤、発泡剤、消泡剤、着色剤、安定化剤、接着性付与剤、難燃剤、カップリング剤及び有機過酸化物などを任意に添加することができる。
【0067】
(1)充填材
本発明で用いられる充填材とは、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、珪砂、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、クレー及び無機イオン交換体などの無機系充填材と、木粉、ポリエステル、シリコーン、ポリスチレンアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)などのビーズ状の有機系充填材とが挙げられる。このうち、電気特性及び熱伝導性の点から、シリカ及び水酸化アルミニウムが好ましい。
【0068】
本発明に好適な充填材の市販品としては、CRT−AA、CRT−D、RD−8(以上、(株)龍森製 商品名)、COX−31((株)マイクロ製商品名)、C−303H、C−315H、C−308(以上、住友化学工業(株)製商品名)、SL−700(竹原化学工業(株)製商品名)などが挙げられる。
【0069】
これら無機充填材の配合量は、樹脂中0〜95重量%、好ましくは10〜95重量%、さらに好ましくは30〜95重量%である。30〜75重量%の配合量とすることが、特に好ましい。配合量が95重量%を超えると封止部材の誘電率が3.0を超えてしまうため、電気的特性が低下してしまう。
【0070】
充填材の粒径、形状、品位などは製造する電子装置の用途に応じて適宜決めることができるが、無機充填材の形状は球状であることが好ましい。平均粒径は0.1〜100μmの間のものが好ましく、1〜50μmのものが特に好ましい。これらの平均粒径の異なるものを組み合わせた方が、密充填性及び流動性を向上できる。
【0071】
また、本発明に好適な充填材としては、ミルドガラス、カットファイバー、マイクロファイバー、マイクロバルーン、鱗片状ガラス粉、炭素繊維、アラミド繊維などの無機・有機繊維状充填材も挙げられ、上述の充填材にこれら繊維状充填材を併用することもできる。アスペクト比や形状は、目的に応じて適宜選択することができる。これら繊維状充填材の配合量は、封止用樹脂100重量部に対し通常0〜20重量部であり、好ましくは0〜10重量部である。
【0072】
(2)改質剤
本発明で用いられる改質剤としては、例えばエラストマー、天然ゴム、ブタジエンゴムや、共重合体(スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)及び熱可塑性樹脂(ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレンなど)が挙げられる。
【0073】
これらの共重合体及び熱可塑性樹脂はエステル化されていてもよく、極性基がグラフトされていてもよい。また、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びこれらの誘導体を配合して物性を改良することもできる。
【0074】
さらに、例えばエポキシ化合物とノルボルネンモノカルボン酸とを反応させて得られる化合物、イソシアネート化合物とノルボルネン−オールを反応させて得られる化合物、ハイミック酸変性ポリエステル、石油樹脂なども、本発明に適用可能な改質剤として挙げることができる。
【0075】
なお、石油樹脂には、エチレンプラントから精製される公知のC5又はC9留分を原料に製造されるものが挙げられ、例えば、クイントン(日本ゼオン(株)製商品名)や熱可塑性ポリノルボルネン樹脂ノルソレックス(日本ゼオン(株)製商品名)などを用いることができる。これら石油樹脂は、数平均分子量が1000以上であることが好ましく、樹脂骨格中に水酸基やエステル基などの官能基を有しているものがより好ましい。
【0076】
これら改質剤の配合量は、目的とする樹脂の物性にもよるが、一般に重合性組成物100重量部に対し0.2〜50重量部とすることができる。好ましくは0.5〜40重量部の範囲である。0.2重量部未満では改質剤の効果が発現し難く、50重量部以上では重合性が低下してしまう傾向にある。
【0077】
(3)重合速度調節剤
封止用樹脂がアクリル樹脂やポリエステル樹脂などのラジカル重合性樹脂の場合は、重合速度調節剤としてメチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤を用いることができる。
【0078】
また、封止用樹脂がオレフィン系樹脂の場合は、トリイソプロピルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのリン酸塩を重合速度調節剤として用いることができる。
【0079】
これらの重合速度調節剤は、重合性組成物100重量部に対し0.005〜20重量部用いることができる。これら重合速度調節剤の配合量は、成形のための可使時間を制御する目的であり、可使時間が短くてもよいときにはその使用量を少なくし、長くしたいときは多くする。
【0080】
(4)消泡剤・発泡剤
消泡剤としては、例えば、シリコン系オイル、フッ素オイル、ポリカルボン酸系ポリマーなど公知の消泡剤を用いることができる。消泡剤は、通常重合性組成物100重量部に対し0.001〜5重量部添加することができる。
【0081】
発泡剤としては、例えば、ペンタン、プロパン、ヘキサンなどの低沸点炭化水素系化合物、物理発泡剤(炭酸ガス、水蒸気などの)、化学発泡剤(分解により窒素ガスを発生する化合物(アゾビスイソブチロニトリルやN',N-ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのアゾ系化合物や、ニトロソ化合物など))などが挙げられる。
【0082】
(5)着色剤
本発明に好適な着色剤としては、二酸化チタン、コバルトブルー、カドミウムエローなどの無機顔料、カーボンブラック、アニリンブラック、β−ナフトール、フタロシアニン、キナクリドン、アゾ系、キノフタロン、インダンスレンブルーなどの有機系顔料が挙げられ、所望する色調に応じて配合することができる。これらは、2種以上組み合わせて使用してもよい。通常、これら顔料の添加量は重合性組成物100重量部に対し、0.1〜50重量部添加することができる。
【0083】
(6)安定化剤
本発明に用いられる安定化剤としては、紫外線吸収剤、光安定化剤及び酸化防止剤が挙げられる。
【0084】
紫外線吸収剤としては、例えば、
フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系紫外線吸収剤、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ(t−ブチル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ(t−アミル)フェニル}ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート系紫外線吸収剤が挙げられる。これらは単独又は2種類以上併用してもよい。
【0085】
これら紫外線吸収剤の添加量は電子装置の使用環境、ハウジングの有無、要求特性により適宜決められるが、通常、重合性組成物100重量部に対し、0.05〜20重量部使用することができる。
【0086】
光安定化剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物などのヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。この光安定剤は通常重合性組成物100重量部に対し0.05〜20重量部添加できる。
【0087】
さらに本発明に用いられる酸化防止剤としては、
パラベンゾキノン、トルキノン、ナフトキノンなどのキノン類、
ハイドロキノン、パラ−t−ブチルカテコール、2,5−ジ(t−ブチル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、
ジ(t−ブチル)・パラクレゾールハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロールなどのフェノール類、
ナフテン酸銅やオクテン酸銅などの銅塩、
トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムマレエート、フェニルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩類、
キノンジオキシムやメチルエチルケトオキシムなどのオキシム類、トリエチルアミン塩酸塩やジブチルアミン塩酸塩などのアミン塩酸塩類、
鉱油、精油、脂肪油などの油類
などが挙げられる。これら酸化防止剤は充填材との相性や目的とする成形作業性及び樹脂保存安定性などの条件により種類、量を変えて添加する。通常、添加量は重合性組成物100重量部に対し10〜10,000ppm使用することができる。
【0088】
(7)接着性付与剤
本発明で用いられる接着性付与剤としては、シラン系カップリング剤が挙げられる。シラン系カップリング剤は、通常、下記一般式(13)で表される。
【0089】
【化17】
Figure 0003807228
ただし、Yは官能基を有しSiに結合する1価の基、Xは加水分解性を有しSiに結合する1価の基である。nは、1〜3の整数である。
【0090】
Y中の官能基としては、例えばビニル、アミノ、エポキシ、クロロ、メルカプト、メタクリルオキシ、シアノ、カルバメート、ピリジン、スルホニルアジド、尿素、スチリル、クロロメチル、アンモニウム塩、アルコール等の基がある。
【0091】
Xとしては、例えばクロル、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ等がある。
【0092】
このようなシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩等が挙げられ,これらを混合して使用することも可能である。シラン系カップリング剤は重合性組成物100重量部に対し通常0.001〜5重量部添加することができる。
【0093】
(8)難燃剤
難燃剤としては、ヘキサブロムベンゼン、テトラブロムビスフェノールA、デカブロムジフェニルオキサイド、トリブロムフェノール、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、パークロロペンタシクロデカン、ヘット酸誘導体等のハロゲン系化合物を用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0094】
また、リン酸トリス(ジクロロプロピル)、リン酸トリス(ジブロモプロピル)などのリン酸化合物、ホウ酸化合物なども併用できる。
【0095】
さらに、助難燃剤としては、三酸化アンチモン、酸化鉄、水素化アルミなどが挙げられ、これらを難燃剤と併用するとより難燃効果が高められる。
【0096】
通常ハロゲン系難燃剤はシクロオレフィン系化合物100重量部に対し1〜50重量部で三酸化アンチモン等の助難燃剤は1〜15重量部の範囲で用いられる。
【0097】
また、プラスチック用充填材として市販の水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの水和物も難燃を目的とした充填材として用いることができる。これらの添加量は重合性組成物100重量部に対し10〜300重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0098】
(9)有機過酸化物
さらに有機過酸化物も添加することができる。有機過酸化物としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、ビス−4−ターシャリブチルシクロヘキサンジカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキシン−3など公知のものが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。その添加量は、通常、重合性組成物100重量部に対して0.1〜10重量部用いることが好ましい。
【0099】
(10)反応性希釈剤
本発明の電子装置において封止に用いられる重合性組成物は、当該組成物の粘度や封止部材の機械的特性及び電気的特性を調整するため、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニル系モノマー、ジアリルフタレートなどの低粘度の反応性希釈剤を用いてもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0100】
ただし、本発明の電子装置において封止に用いられる重合性組成物は、溶剤を含まないことが望ましい。ここで溶剤とは、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなど一般公知の非反応性希釈溶剤のことである。
【0101】
なお、添加剤として市販品を用いる場合、溶剤が含まれていることがある。このような市販品に含まれる溶剤は、無視するものとする。しかし、この場合でも、硬化時の膨れを防止する上で、溶剤の含有量は重合性組成物に対し2重量部未満であることが好ましい。
【0102】
(11)その他
本発明において用いられる封止用重合性組成物では、以上の成分の他、必要に応じて適宜成分を追加することができる。例えば、充填材の濡れ性を改良するためカップリング剤(例えばビックケミー社製BYKシリーズなどの市販の湿潤剤や分散剤に代表される)を添加することができる。また、作業性を改良するためにはシリコン系オイルやステアリン酸亜鉛などの離型剤なども添加することができる。
【0103】
D.成形方法
本発明の電子装置の成形方法としては、例えば、真空注入成形法、加圧注入成形法、含浸成形法、RTM成形法、ディッピング、ハンドレイアップやスプレイアップなどの積層成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング法、遠心成形法、真空又は加圧バック法、連続成形法、引抜き成形法、射出成形法、トランスファー成形などを用いることができる。上記一般式(1)〜(3)に示すメタセシス重合触媒を用いる場合は、これらの成形を不活性ガス雰囲気で行う必要はない。
【0104】
シクロオレフィン系重合性組成物を用いる場合、重合は、メタセシス重合触媒を組成物に加えて溶かした後、加熱することにより行うことができる。
【0105】
重合性組成物にメタセシス重合触媒を加えて溶かす際の温度は、通常は0〜80℃、好ましくは室温〜50℃である。
【0106】
重合体を得るための加熱の操作は、1段階加熱でも2段階以上の多段加熱でもよい。1段階加熱とする場合、その温度は、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃である。2段階加熱とする場合は、1段階目の温度を通常は0〜150℃、好ましくは10〜100℃とし、2段階目の温度を通常は20〜200℃、好ましくは30〜180℃とする。
【0107】
また、重合時間は、触媒の量及び重合温度に応じて適宜決めることができるが、通常1分〜50時間である。
【0108】
III.ハウジング
本発明の電子装置は、上述の重合性組成物の硬化物である封止部材を備えるが、これがさらにハウジングによって覆われていてもよい。この場合、封止部材とハウジングとが一体成形されているものであってもよい。さらに、素子を搭載した基板をハウジングに入れて樹脂封止してもよい。
【0109】
なお、ハウジングの材質は、SUS、銅、鉄、アルミ、セラミックスなどの無機材料、及び、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、生分解性樹脂、天然樹脂などの有機材料の中から目的、用途によって選ばれるものであって、特に制限はない。また、ハウジング及び電子装置の形状や寸法も、目的等に応じて任意に設計される。
【0110】
(実施例)
以下、本発明を実施例により説明する。なお以下の実施例及び比較例中、「部」とは特に限定しない限り「重量部」を意味する。
【0111】
I.樹脂の調製
<樹脂1:オレフィン系低弾性率樹脂>
高純度ジシクロペンタジエン(丸善石油化学(株)製、純度99%以上)50重量部、シクロオクタジエン(HULS社製 純度98.5%以上)50重量部、及びシランカップリング剤(日本ユニカー(株)製FZ−3778)0.1重量部を混合した。次いで、平均粒径15μmの溶融シリカ((株)龍森製ヒューズレックスRD−8)又は平均粒径8μmの水酸化アルミニウム(住友化学工業(株)製C−308)を表1に示す所定量添加し、コンパウンドを得た。このコンパウンドに上記構造式(9)で示されるメタセシス重合触媒0.2重量部を注型直前に添加して供試した。硬化条件は、特に記載しない限り、38℃2時間+100℃1時間+125℃1時間とした。
【0112】
<樹脂2:アクリル系低弾性率樹脂>
ラウリルメタクリレート90部(共栄社化学(株)製ライトエステルL)にポリプロピレングリコールジメタクリレート(共栄社化学(株)製NKエステル9PG)10部を混合し、さらにシランカップリング剤(日本ユニカー(株)製FZ−3778)0.1重量部を混合した。次いで、平均粒径15μmの溶融シリカ((株)龍森製ヒューズレックスRD−8)を表1に示す所定量添加し、コンパウンドを得た。このコンパウンドに、重合触媒としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5部を注型直前に添加して供試した。硬化条件は、特に記載しない限り、40℃1時間+60℃3時間+80℃1時間+100℃1時間とした。
【0113】
<樹脂3:ポリエステル系低弾性率樹脂>
撹拌機、コンデンサ、窒素ガス導入管及び温度計を取り付けた2リットルの4つ口フラスコに、ジエチレングリコール463部、ネオペンチルグリコール454部、アジピン酸927部、無水マレイン酸156部を仕込み、窒素ガスをゆっくり流しながらマントルヒータを用い1時間かけて150℃に昇温し、1時間保温後、5時間かけて220℃に昇温した。その温度で6時間保温し、酸価30の不飽和ポリエステルを得た。
【0114】
これに、ハイドロキノン0.01%溶解したスチレンモノマーを、不飽和ポリエステル分が70重量%となるように添加して溶解させ、25℃の粘度が0.19Pa・s(0.19N・s/m)の不飽和ポリエステル樹脂液とした。
【0115】
この樹脂液100部に有機過酸化物として、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.15部、クメンハイドロパーオキサイド0.45部、過酸化ベンゾイル0.8部を添加した。硬化条件は、特に記載しない限り、80℃3時間+125℃3時間とした。
【0116】
<樹脂4:ジシクロペンタジエン系樹脂1>
樹脂1と同様の高純度ジシクロペンタジエン100重量部、及びシランカップリング剤(日本ユニカー(株)製FZ−3778)0.1重量部を混合した。次いで、平均粒径15μmの溶融シリカ((株)龍森製ヒューズレックスRD−8)を表2に示す所定量添加し、撹拌混合しコンパウンドを得た。硬化は、構造式(9)に示されるメタセシス重合触媒を用いて、樹脂1と同様にして行った。
【0117】
<樹脂5:ジシクロペンタジエン系樹脂2>
樹脂1で用いたジシクロペンタジエンに、ジエチルアルミニウムクロライドを40ミリモル濃度、n−プロピルアルコールを52ミリモル濃度、及び、四塩化ケイ素20ミリモル濃度、それぞれを窒素パージしたドライボックス内で添加し、A液とした。
【0118】
また、A液と同様にジシクロペンタジエンに対しトリデシルアンモニウムモリブデネートを10ミリモル濃度添加し、B液を調製した。
【0119】
このA液及びB液を50重量部づつ混合し、速やかに平均粒径15μmの溶融シリカ((株)龍森製ヒューズレックスRD−8)100重量部を窒素雰囲気下で等量づつ混合して供試した。硬化条件は、特に記載しない限り、50℃0.5時間+125℃3時間とした。
【0120】
<樹脂6:エポキシ樹脂>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部(東都化成(株)製YD−128)にシランカップリング剤0.1重量部(東芝シリコーン(株)製、TSA−720)を混合してA液とした。
【0121】
一方、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸(日立化成工業(株)製HN−2200)87重量部に2−エチル−4−メチルイミダゾールを2部配合しB液とした。
【0122】
このA液50重量部及びB液を45重量部を混合し、さらに平均粒径15μmの溶融シリカ100重量部((株)龍森製ヒューズレックスRD−8)を混合して十分に攪拌し供試した。硬化条件は、特に記載しない限り、100℃1時間、125℃2時間及び140℃3時間とした。
【0123】
<樹脂7:シリコーン樹脂>
市販の放熱タイプシリコーン樹脂(信越シリコーン(株)製KE−1223)を供試した。硬化条件は、特に記載しない限り、100℃1時間とした。
【0124】
<樹脂8:ウレタン樹脂>
市販の注型用ウレタン樹脂(日立化成工業(株)製KU−707)100重量部に、シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製AZ−6171)を0.1重量部混合攪拌し、加熱により付着水分を除去した平均粒径15μmの溶融シリカ((株)龍森製ヒューズレックスRD−8)100重量部をさらに混合した。硬化条件は、特に記載しない限り、50℃3時間+100℃2時間とした。
【0125】
<樹脂9:オレフィン系低弾性率樹脂>
高純度ジシクロペンタジエン25重量部、シクロオクタジエン75重量部、シランカップリング剤(日本ユニカー製FZ−3778)0.1重量部を配合した。次いで、平均粒径0.5μmの高純度合成シリカ((株)龍森製 アドマファインSO−25H)を表1に示す所定量添加しコンパウンドを得た。このコンパウンドに一般式(10)で示されるメタセシス重合触媒0.01重量部を注型直前に添加し供試した。硬化条件は、特に記載しない限り、25℃1時間+100℃1時間とした。
【0126】
<樹脂10:オレフィン系低弾性率樹脂>
高純度ジシクロペンタジエン25重量部、シクロオクタジエン37.5重量部、シクロオクテン(HULS社製 純度97%)37.5重量部を配合した後、一般式(10)で示されるメタセシス重合触媒0.01重量部を注型直前に添加し供試した。硬化条件は、特に記載しない限り、25℃1時間+100℃1時間とした。
【0127】
II.試験方法
<粘度>
B型粘度計を用い、23℃、ロータNo.3で、60rpmの条件で粘度を測定した。
【0128】
<曲げ弾性率>
上記の樹脂1〜10について、それぞれ、厚さ3mmの注型板を作製し、JIS−K−7203に準拠して測定した。なお、試験片形状は25×80×3mmとし、試験スパンは48mmとし、試験速度は100mm/分とした。
【0129】
<モデル含浸試験>
直径15mmのポリプロピレン製試験管に、100℃で1時間乾燥させたガラスビーズ(平均粒径80μm)を高さ約60mmになるように振動させながら充填した後、秤量してガラスビーズの重量W0(g)を測定した。
【0130】
次いで、ガラスビーズ充填済みのポリプロピレン製試験管に、重合性組成物を液面の高さが約60mmになるよう注入し、1.3kPaに減圧して10分間放置した後、規定の条件で熱硬化させた。
【0131】
この後、含浸されずに硬化物から分離されるガラスビーズを集めてその重量W1(g)を測定した。次式よりモデル含浸率を算出した。
【0132】
モデル含浸率(%)={(W0−W1)/W0}×100
<出力特性>
装置モデル1〜3について、(−40℃30分+125℃30分)を1サイクルとするヒートサイクル試験を400サイクル行い、試験後に一次電圧として12V印加した時に、二次電圧として20KV以上の出力が得られるか試験した。また、試験後の部品を切断して剥離の有無を光学顕微鏡により観察した。
【0133】
<成形性>
装置モデル4について、金線ワイヤーの切断状態を軟質X線で確認し、断線の有無により評価した。
【0134】
<耐はんだリフロー性>
装置モデル4及び5を用い、85℃/85%RHの雰囲気に168時間放置した後、240℃10秒間の加熱を3回行いクラック発生の観察及び通電試験を行った。
【0135】
<装置モデルの作製方法>
(1)装置モデル1:イグニッションコイル
本実施例において作製したイグニッションコイルは、図1に示すように、磁性体の中心コア11、外部コア12、一次ボビン13、一次コイル14、二次ボビン15、二次コイル16、端子17、点火タイミング制御回路部品18、一次端子20、ハウジング(ケース)21、及び、封止樹脂からなる封止部材23を備える。点火タイミング制御回路部品18は、IC付セラミック基板19をエポキシ樹脂22で封止したものである。なお、図1では、図を見やすくするため、一部を除きハッチングは省略した。
【0136】
一次コイル14は直径0.5mm程度のエナメル線を約200回、二次コイル16は直径0.05mm程度のエナメル細線を20000回程度、それぞれボビン13,15に巻線したものである。一次コイル14はバッテリーに接続され直流電流が流れるが、点火タイミング調整電子回路部品18及びパワースイッチにより流れる電流を断続させて磁束を変化させ、自己誘導作用により一次電圧を得るようになっている。イグニッションコイルは、この一次電圧を一次コイル14と二次コイル16の相互誘導作用により20〜40KVの高電圧を発生させることにより、端子に接続した点火プラグに火花放電を起こさせるものである。
【0137】
装置モデル1は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)製ケース21に磁性体コア11,12、アルミ電極、点火タイミング制御回路部品18、変性ポリフェニレンオキサイド(PPO)製ボビン13,15に巻回された一次コイル14及び二次コイル16等を組み込んだ組立品に、封止用重合性組成物として表1及び表2に示した供試試料(0.67kPaで1分間脱泡させたもの)を注型し、30℃1時間+50℃1時間+80℃1時間+120℃1時間の硬化条件で硬化させて封止部材23を形成し、イグニッションコイルを得た。
【0138】
(2)装置モデル2:一括封止したイグニッションコイル
点火タイミング制御回路部品18として、ベアチップIC付セラミック基板(部品未封止)を用いた以外は、装置モデル1と同様の構成の組立品に、封止用重合性組成物として表1に示した供試試料(0.67kPaで1分間の脱泡したもの)を注型し、30℃1時間+50℃1時間+80℃1時間+120℃1時間の硬化条件で硬化させて封止部材23を形成し、電子回路部品とコイルとを一括封止したイグニッションコイルを得た。
【0139】
(3)装置モデル3:ケースレスイグニッションコイル
磁性体コア11,12、真鍮電極、点火タイミング制御回路部品18(ベアチップIC付セラミック基板(部品未封止))及び変性PPO製ボビン13,15に巻回された一次コイル14及び二次コイル16を、必要な配線を行った上で、金型中央の所定位置に配置し、封止用重合性組成物として表1に示した供試試料(0.67kPaで1分間脱泡させたもの)を注型し、30℃1時間+50℃1時間+80℃1時間+120℃1時間の硬化条件で硬化させて封止部材23を形成した後、金型より取り出して一括封止ケースレスイグニッションコイルを得た。
【0140】
(4)装置モデル4:IC部品
縦25mm、横25mm、厚さ5mmの変性PPO製凹型ケース21の中央に縦横各15mmのエポキシ樹脂封止16ピンDIP型IC付セラミック基板を配し、あらかじめ脱泡した供試試料を流し込んで封止部材を形成して、樹脂封止型半導体装置を得た。
【0141】
(5)装置モデル5:DIP型ICパッケージ
テスト用素子(縦横各5mmの酸化膜を有するシリコンチップにアルミ配線を施したもの)を使用し、これを部分銀メッキを施した42アロイのリードフレームにエポキシ系銀ペーストで接続し、サーモソニック型ワイヤボンダを用い、10μmの金線にて素子のボンディングパッドとインナーリードとを200℃で接続した。その後、あらかじめ脱泡した供試試料をポッティングし、硬化させて封止部材を形成し、樹脂封止16ピン型DIP型半導体パッケージを得た。
【0142】
<ガラス転移温度(Tg)>
(株)リガク製TMA8310を用いて測定した。
【0143】
<線膨張係数>
(株)リガク製TMA8310を用い、−100℃〜200℃まで測定した。
【0144】
<誘電率>
安藤電気(株)製TR−10C型誘電体損積測定器を用いて1MHzで測定した。
【0145】
<吸水率>
JIS K7114に準拠して測定した。
【0146】
III.試験結果
実施例及び比較例の結果を表1及び表2に示す。各実施例の電子装置は、弾性率の高いエポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン系樹脂や、弾性率の低いシリコーン樹脂及びウレタン樹脂を用いて封止した各比較例の装置よりも優れた出力特性、成形性及び耐はんだリフロー性を有していた。この結果は、本発明の電子装置が優れた信頼性を有していることを示している。
【0147】
【表1】
Figure 0003807228
【表2】
Figure 0003807228
(産業上の利用可能性)
上述のように、本発明の電子装置は耐水性、耐リフロークラック性等に優れ、高い信頼性を備えている。このため、本発明の電子装置を用いれば、高密度化、高集積化に対応した長寿命、高耐久性の電気・電子機器を広く提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、イグニッションコイルの構造例を示す断面図である。

Claims (22)

  1. 無機充填材と、メタセシス重合性の単環シクロオレフィン化合物と、双環または多環シクロオレフィン化合物と、メタセシス重合触媒とを含む重合性組成物を重合させて得られる封止部材を備え、
    上記重合性組成物は、粘度が23℃において0.3N・s・m-2未満である重合性液状物であり、
    上記封止部材は、23℃における曲げ弾性率が500MPa以下である電子装置。
  2. 上記重合性組成物は下記一般式(1)で表される構造を備えるメタセシス重合触媒を0.001〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
    Figure 0003807228
    (ここで、Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びXはそれぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びLはそれぞれ独立に中性の配位子を示し、Q及びQはそれぞれ独立に水素、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アルケニル基、置換基を有するアルケニル基、芳香族基又は置換基を有する芳香族基を示す。)
  3. 上記重合性組成物は下記一般式(2)で表される構造を備えるメタセシス重合触媒を0.001〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
    Figure 0003807228
    (ここで、Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びXはそれぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びLはそれぞれ独立に中性の配位子を示し、Q及びQはそれぞれ独立に水素、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アルケニル基、置換基を有するアルケニル基、芳香族基又は置換基を有する芳香族基を示す。)
  4. 上記重合性組成物は下記一般式(3)で表される構造を備えるメタセシス重合触媒を0.001〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
    Figure 0003807228
    (ここで、Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びXはそれぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びLはそれぞれ独立に中性の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、炭素数1〜18のカルボキシレート基、炭素数1〜18のアルコキシル基、炭素数2〜18のアルケニルオキシ基、炭素数2〜18のアルキニルオキシ基、炭素数2〜18のアリルオキシ基、炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、炭素数1〜18のアルキルスルホニル基又は炭素数1〜18のアルキルスルフィニル基を示し、Rは水素、アリール基又は炭素数1〜18のアルキル基を示す。)
  5. 上記重合性組成物は、メタセシス重合性の単環シクロオレフィン化合物を、メタセシス重合性の単環シクロオレフィン化合物と双環または多環シクロオレフィン化合物との配合総モル数に対して、40〜99モル%含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子装置。
  6. 上記封止部材は、ガラス転移温度が80℃以下である請求項1〜のいずれかに記載の電子装置。
  7. 上記封止部材は、線膨張係数が23℃において100×10−6/K以上である請求項1〜のいずれかに記載の電子装置。
  8. 上記封止部材は、吸水率が23℃で24時間水浸漬時に0.1重量%未満である請求項1〜のいずれかに記載の電子装置。
  9. 上記封止部材は、誘電率が23℃において3.0以下である請求項1〜のいずれかに記載の電子装置。
  10. 上記封止部材が、酸素を含む雰囲気内で成形されたものである請求項1〜のいずれかに記載の電子装置。
  11. 上記電子装置は、磁性体からなる中心コアと、該中心コアの外周に巻かれた一次コイル及び二次コイルと、該二次コイルの外側に配設された磁性体からなる外部コアとを備えるイグニッションコイルである請求項1〜10のいずれかに記載の電子装置。
  12. 重合させて電子装置用封止部材を得るための重合性組成物であって、
    上記重合性組成物は、粘度が23℃において0.3N・s・m−2未満である液状の重合性液状物であって、無機充填材と、メタセシス重合性の単環シクロオレフィン化合物と、双環または多環シクロオレフィン化合物と、メタセシス重合触媒とを含み、
    上記封止部材23℃における曲げ弾性率が500MPa以下である重合性組成物。
  13. 下記一般式(1)で表される構造を備えるメタセシス重合触媒を0.001〜20重量%含むことを特徴とする請求項12記載の重合性組成物。
    Figure 0003807228
    (ここで、Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びXはそれぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びLはそれぞれ独立に中性の配位子を示し、Q及びQはそれぞれ独立に水素、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アルケニル基、置換基を有するアルケニル基、芳香族基又は置換基を有する芳香族基を示す。)
  14. 下記一般式(2)で表される構造を備えるメタセシス重合触媒を0.001〜20重量%含むことを特徴とする請求項12記載の重合性組成物。
    Figure 0003807228
    (ここで、Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びXはそれぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びLはそれぞれ独立に中性の配位子を示し、Q及びQはそれぞれ独立に水素、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アルケニル基、置換基を有するアルケニル基、芳香族基又は置換基を有する芳香族基を示す。)
  15. 下記一般式(3)で表される構造を備えるメタセシス重合触媒を0.001〜20重量%含むことを特徴とする請求項12記載の重合性組成物。
    Figure 0003807228
    (ここで、Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びXはそれぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びLはそれぞれ独立に中性の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、炭素数1〜18のカルボキシレート基、炭素数1〜18のアルコキシル基、炭素数2〜18のアルケニルオキシ基、炭素数2〜18のアルキニルオキシ基、炭素数2〜18のアリルオキシ基、炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、炭素数1〜18のアルキルスルホニル基又は炭素数1〜18のアルキルスルフィニル基を示し、Rは水素、アリール基又は炭素数1〜18のアルキル基を示す。)
  16. メタセシス重合性の単環シクロオレフィン化合物を、メタセシス重合性の単環シクロオレフィン化合物と双環または多環シクロオレフィン化合物との配合総モル数に対して、40〜99モル%含むことを特徴とする請求項1215のいずれかに記載の重合性組成物。
  17. 上記封止部材ガラス転移温度が80℃以下である請求項1216のいずれかに記載の重合性組成物。
  18. 上記封止部材線膨張係数が23℃において100×10−6/K以上である請求項1217のいずれかに記載の重合性組成物。
  19. 上記封止部材吸水率が23℃で24時間水浸漬時に0.1重量%未満である請求項1218のいずれかに記載の重合性組成物。
  20. 上記封止部材誘電率が23℃において3.0以下である請求項1219のいずれかに記載の重合性組成物。
  21. 上記封止部材を、酸素を含む雰囲気内で成形することができる、請求項1220のいずれかに記載の重合性組成物。
  22. 磁性体からなる中心コアと、該中心コアの外周に巻かれた一次コイル及び二次コイルと、該二次コイルの外側に配設された磁性体からなる外部コアとを備えるイグニッションコイルの封止部材を形成するための封止材であることを特徴とする請求項1221のいずれかに記載の重合性組成物。
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