JP4275890B2 - 発光ダイオード及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高い耐久性を有する発光ダイオードおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光ダイオードの発光素子の被覆材(封止材あるいはモールド材)としては酸無水物系硬化剤を用いる透明エポキシ樹脂等が広く用いられてきた。これらの従来の被覆材は発光素子、リードフレーム等との接着性等が良好であるが、特に低波長の光に対する光線透過性が低いために耐光耐久性が低いという欠点を有していた。この点を改善するためにエポキシ樹脂系での改良が提案されている(特開2000−196151号公報、特開平11−274571号公報)。
一方、耐光耐久性が高い被覆材として、シリコーン樹脂が使用されているが、一般に軟質であり表面タック性を有しているため、実装する際に発光面に異物が付着したり実装用器具により発光面が損傷を受けるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、高い耐久性を有し、かつ、実装する際に発光面に異物が付着したり実装用器具により発光面が損傷を受けるという問題が生じない発光ダイオードおよびその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物と、SiH基を含有する化合物と、ヒドロシリル化触媒とを必須成分として含有する硬化性組成物を用いて発光素子を被覆し、さらにそれを第二の樹脂で被覆することにより、上記課題が解決できることを見出し本発明に至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
発光素子が第一の樹脂で被覆され、その第一の樹脂がさらに第二の樹脂で被覆されている発光ダイオードであって、該第一の樹脂が、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分として含有する硬化性組成物であることを特徴とする発光ダイオード(請求項1)であり、
発光素子の主発光ピーク波長が550nm以下である、請求項1に記載の発光ダイオード(請求項2)であり、
前記第二の樹脂がエポキシ樹脂である、請求項1あるいは2に記載の発光ダイオード(請求項3)であり、
前記発光素子は、珪素を含有する無機化合物層を表面に有し、前記無機化合物層に接して前記第一の樹脂が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発光ダイオード(請求項4)であり、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分として含有する硬化性組成物を用いて発光素子を被覆し、さらに第二の樹脂でそれを被覆することによる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光ダイオードを製造する方法(請求項5)である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
まず、本発明における(A)成分について説明する。
【0008】
(A)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
【0009】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0010】
(A)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
【0011】
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
【0012】
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0013】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(I)
【0014】
【化1】
【0015】
(式中R1は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0016】
【化2】
【0017】
で示される基が特に好ましい。
【0018】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)
【0019】
【化3】
【0020】
(式中R1は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0021】
【化4】
【0022】
で示される脂環式の基が特に好ましい。
【0023】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0027】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0028】
【化7】
【0029】
が挙げられる。
【0030】
(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0034】
(A)成分としては、上記のように骨格部分と炭素−炭素二重結合とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
【0035】
上記した(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものであればよいが、さらに、1gあたり0.005mol以上含有するものが好ましく、0.008mol以上含有するものが特に好ましい。
【0036】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
【0037】
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには100℃以下の温度において流動性があるものが好ましく、線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はないが、50〜100,000の任意のものが好適に使用できる。分子量が100,000以上では一般に原料が高粘度となり作業性に劣るとともに、炭素−炭素二重結合とSiH基との反応による架橋の効果が発現し難い。
【0038】
また、(A)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点からフェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものがより好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
【0039】
また複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるとともに耐候性が良好であるという観点からは、芳香環の(A)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
【0040】
得られる硬化物の着色性および光学特性から、(A)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
【0041】
次に、(B)成分であるSiH基を有する化合物について説明する。
【0042】
本発明に使用できるSiH基を有する化合物については特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
【0043】
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサンが好ましく、(A)成分との相溶性が良いという観点から、さらに、下記一般式(III)
【0044】
【化10】
【0045】
(式中、R2は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。なお、一般式(III)で表される化合物中の置換基R2は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましい。
【0046】
また、前記(A)成分と良好な相溶性を有するという観点からは、鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサンと、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物(以降(E)成分と称する)との反応物も好ましい。この場合、反応物の(A)成分との相溶性をさらに高めるために、反応物から未反応のシロキサン類等を脱揮等により除去したものを用いることもできる。
【0047】
(E)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機系骨格からなる有機化合物であって、前記(A)成分と同じ説明のものも使用できる。(E)成分の有機化合物は、(A)成分の有機化合物と同じであってもよく、異なっていてもよい。また単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。(B)成分の(A)成分に対する相溶性を高くしたい場合には、(E)成分は(A)成分と同一のものが好ましい。
【0048】
(E)成分の有機化合物と反応させる鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサンとしては、工業的入手性および反応させる場合の反応性が良好であるという観点からは、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンが好ましい。
【0049】
(B)成分としても(A)成分と同様に、着色特に黄変の抑制の観点からフェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものがより好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
【0050】
また複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるとともに耐候性が良好であるという観点からは、芳香環の(B)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
【0051】
光学特性が良好であるという観点からより好ましい(B)成分としては、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンとビニルシクロヘキセンの反応物、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンとジシクロペンタジエンの反応物、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンと2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテルの反応物、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンと1,2,4−トリビニルシクロヘキサンの反応物が挙げられ、特に好ましい(B)成分としては、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンと2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテルの反応物、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサンと1,2,4−トリビニルシクロヘキサンの反応物等が挙げられる。
【0052】
上記したような(A)成分と(B)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限りは特に限定されないが、(B)成分中のSiH基の数(Y)の(A)成分中の炭素−炭素二重結合の数(X)に対する比が、2.0≧Y/X≧0.9であることが好ましく、1.8≧Y/X≧1.0がより好ましい。2.0<Y/Xの場合は、十分な硬化性が得られず、充分な強度が得られない場合があり、Y/X<0.9の場合は炭素−炭素二重結合が過剰となり着色の原因となり得る。
【0053】
次に(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH2)2(PPh3)2、Pt(CH2=CH2)2Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4]m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh3)4、Pt(PBu3)4)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)3]4、Pt[P(OBu)3]4)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0054】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。
【0055】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0056】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるために、SiH基1モルに対して、10−8〜10−1モルの範囲が好ましく、より好ましくは、10−6〜10−2モルの範囲である。
【0057】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1,2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、触媒1モルに対して、10−2〜102モルの範囲が好ましく、より好ましくは10−1〜10モルの範囲である。
【0058】
さらに本発明の組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパルギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
【0059】
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレエート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチンが好ましい。
【0060】
硬化遅延剤の添加量は、使用するヒドロシリル化触媒1molに対し、10−1〜103モルの範囲が好ましく、より好ましくは1〜50モルの範囲である。
【0061】
本発明の組成物としては上記したように各種組み合わせのものが使用できるが、耐熱性が良好であるという観点から、組成物を硬化させて得られる硬化物のTgが50℃以上となるものが好ましく、100℃以上となるものがさらに好ましく、150℃以上となるものが特に好ましい。
【0062】
本発明の組成物には必要に応じて無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーを添加すると、組成物の流動性の防止、材料の高強度化に効果がある。無機フィラーとしては光学特性を低下させない、微粒子状なものが好ましく、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカや疎水性超微粉シリカ、タルク、硫酸バリウム等を挙げることができる。
【0063】
フィラーを添加する方法としては、例えばアルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明の組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無機フィラーを生成させる方法も挙げることができる。
【0064】
また更に、本発明の組成物の特性を改質する目的で、種々の樹脂を添加することも可能である。樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びポリエステル樹脂等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、透明性が高く接着性等の実用特性に優れるという観点から、透明エポキシ樹脂が好ましい。透明エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、
【0065】
【化11】
【0066】
等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。
【0067】
本発明の組成物をそのままフィルム等に成形することも可能であるが、該組成物を有機溶剤に溶解してワニスとすることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量は、用いる(A)成分1gに対し、0〜10mLの範囲で用いるのが好ましく、0.5〜5mLの範囲で用いるのがさらに好ましく、1〜3mLの範囲で用いるのが特に好ましい。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
【0068】
本発明の組成物には、その他、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0069】
なお、カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0070】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0071】
さらに、本発明の組成物には種々の発光ダイオード特性改善のための添加剤を添加してもよい。添加剤としては例えば、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体等の蛍光体、ペリレン系誘導体、銅で付活されたセレン化亜鉛等や、特定の波長を吸収するブルーイング剤等の着色剤、光を拡散させるための酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、石英ガラス等の酸化ケイ素、タルク、炭酸カルシウム、メラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のような各種無機あるいは有機拡散材、ガラス、アルミノシリケート等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ボロン等の金属窒化物等の熱伝導性フィラー等を挙げることができる。
【0072】
発光ダイオード特性改善のための添加剤は均一に含有させても良いし、含有量に傾斜を付けて含有させてもよい。この様なフィラー含有樹脂部は発光面前面のモールド部材用の樹脂を型に流した後、引き続いて、フィラーを含有させた樹脂を流し、発光面後方のモールド部材として形成させることができる。また、モールド部材形成後、リード端子を表裏両面からテープを張り付けることによって覆い、この状態でリードフレーム全体をフィラー含有樹脂を溜めたタンク内に発光ダイオードのモールド部材の下半分を浸漬した後、引き上げて乾燥させフィラー含有樹脂部を形成させても良い。
【0073】
本発明の硬化性組成物は、あらかじめ混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合とSiH基の一部または全部を反応させることによって硬化させることができる。
【0074】
混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(A)成分に(C)成分を混合したものと、(B)成分を混合する方法が好ましい。(A)成分と(B)成分との混合物に(C)成分を混合する方法だと反応の制御が困難である。(B)成分に(C)成分を混合したものに(A)成分を混合する方法をとる場合は、(C)成分の存在下では(B)成分が水分と反応性を有するため、貯蔵中等に変質することもある。
【0075】
組成物を反応させて硬化させる場合において、(A)、(B)、(C)各成分それぞれの必要量を一度に混合して反応させてもよいが、一部を混合して反応させた後残量を混合してさらに反応させる方法や、混合した後反応条件の制御や置換基の反応性の差の利用により組成物中の官能基の一部のみを反応(Bステージ化)させてから成形等の処理を行いさらに硬化させる方法をとることもできる。これらの方法によれば成形時の粘度調整が容易となる。
【0076】
反応させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
【0077】
反応温度としては種々設定できるが、例えば30〜300℃の温度が適用でき、100〜250℃がより好ましく、150〜200℃がさらに好ましい。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
【0078】
反応時間も種々設定できるし、反応時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。
【0079】
成形時に必要に応じ各種処理を施すこともできる。例えば、成形時に発生するボイドの抑制のために組成物あるいは一部反応させた組成物を遠心、減圧、加圧等により脱泡する処理等を適用することもできる。
【0080】
次に第二の樹脂について述べる。第二の樹脂としては特に限定なく、例えば従来発光ダイオードの封止、モールドに使用される樹脂を使用することができる。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びポリエステル樹脂等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、透明性が高く接着性等の実用特性に優れるという観点から、透明エポキシ樹脂が好ましい。透明エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、
【0081】
【化12】
【0082】
等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらの内、透明性など、発光ダイオードの封止材としての特性がより良好であるという観点から、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレート、あるいは、
【0083】
【化13】
【0084】
をメチルヘキサヒドロ無水フタル酸で硬化させるものが好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレートをメチルヘキサヒドロ無水フタル酸で硬化させるものがより好ましい。
【0085】
上記のような透明エポキシ樹脂には必要に応じて種々の添加剤を添加しても良い。添加剤としては例えば、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体等の蛍光体、ペリレン系誘導体、銅で付活されたセレン化亜鉛等や、特定の波長を吸収するブルーイング剤等の着色剤、光を拡散させるための酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、石英ガラス等の酸化ケイ素、タルク、炭酸カルシウム、メラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のような各種無機あるいは有機拡散材、ガラス、アルミノシリケート等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ボロン等の金属窒化物等の熱伝導性フィラー等を挙げることができる。
【0086】
発光ダイオード特性改善のための添加剤は均一に含有させても良いし、含有量に傾斜を付けて含有させてもよい。この様なフィラー含有樹脂部は発光面前面のモールド部材用の樹脂を型に流した後、引き続いて、フィラーを含有させた樹脂を流し、発光面後方のモールド部材として形成させることができる。また、モールド部材形成後、リード端子を表裏両面からテープを張り付けることによって覆い、この状態でリードフレーム全体をフィラー含有樹脂を溜めたタンク内に発光ダイオードのモールド部材の下半分を浸漬した後、引き上げて乾燥させフィラー含有樹脂部を形成させても良い。
【0087】
第二の樹脂を反応させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
【0088】
反応温度としては種々設定できるが、例えば30〜300℃の温度が適用でき、100〜250℃がより好ましく、120〜200℃がさらに好ましい。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
【0089】
反応時間も種々設定できるし、反応時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。
【0090】
成形時に必要に応じ各種処理を施すこともできる。例えば、成形時に発生するボイドの抑制のために組成物あるいは一部反応させた組成物を遠心、減圧、加圧等により脱泡する処理等を適用することもできる。
【0091】
本発明の発光ダイオードは上記したような第一の樹脂及び第二の樹脂によって発光素子を被覆することによって製造することができる。
【0092】
この場合発光素子とは、特に限定なく従来公知の発光ダイオードに用いられる発光素子を用いることができる。このような発光素子としては、例えば、MOCVD法、HDVPE法、液相成長法といった各種方法によって、必要に応じてGaN、AlN等のバッファー層を設けた基板上に半導体材料を積層して作成したものが挙げられる。この場合の基板としては、各種材料を用いることができるが、例えばサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。これらのうち、結晶性の良好なGaNを容易に形成でき、工業的利用価値が高いという観点からは、サファイアを用いることが好ましい。
【0093】
積層される半導体材料としては、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。これらのうち、高輝度が得られるという観点からは、窒化物系化合物半導体(InxGayAlzN)が好ましい。このような材料には付活剤等を含んでいてもよい。
【0094】
発光素子の構造としては、MIS接合、pn接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合やダブルへテロ構造等が挙げられる。また、単一あるいは多重量子井戸構造とすることもできる。
【0095】
発光素子はパッシベーション層を設けていてもよいし、設けなくてもよい。
【0096】
発光素子には従来知られている方法によって電極を形成することができる。
【0097】
発光素子の発光波長は紫外域から赤外域まで種々のものを用いることができるが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に特に本発明の効果が顕著である。
【0098】
用いる発光素子は一種類で単色発光させても良いし、複数用いて単色或いは多色発光させても良い。
【0099】
発光素子上の電極は種々の方法でリード端子等と電気接続できる。電気接続部材としては、発光素子の電極とのオーミック性機械的接続性等が良いものが好ましく、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウムやそれらの合金等を用いたボンディングワイヤーが挙げられる。また、銀、カーボン等の導電性フィラーを樹脂で充填した導電性接着剤等を用いることもできる。これらのうち、作業性が良好であるという観点からは、アルミニウム線或いは金線を用いることが好ましい。
【0100】
本発明の発光ダイオードに用いられるリード端子としては、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましく、リード端子の電気抵抗としては、300μΩ−cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ−cm以下である。これらのリード端子材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅や、これらに銀、ニッケル等をメッキしたもの等が挙げられる。これらのリード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
【0101】
本発明の発光ダイオードは上記したような第一の樹脂及び第二の樹脂によって発光素子を被覆することによって製造することができるが、この場合被覆とは、上記発光素子を直接封止するものに限らず、間接的に被覆する場合も含む。
【0102】
被覆の方法としては、たとえば発光素子を本発明の第一の樹脂でコーティングした後、本発明の第二の樹脂を用いて通常の方法等でモールドする方法や、発光素子を本発明の第一の樹脂を用いて通常の方法等でモールドした後、さらに本発明の第二の樹脂を用いて通常の方法等でモールドする方法や、発光素子の周囲、例えば発光素子を低部に配置したカップ、キャビティ、パッケージ凹部等を本発明の第一の樹脂で封止した後、さらに本発明の第二の樹脂を用いて通常の方法等でモールドする方法や、発光素子を本発明の第一の樹脂を用いて通常の方法等でモールドした後、さらに本発明の第二の樹脂を用いてその周囲をコーティングする方法等を挙げることができる。
【0103】
その際、発光素子と本発明の第一の樹脂、あるいは本発明の第一の樹脂と本発明の第二の樹脂との接着性等を良好にするために、発光素子と第一の樹脂、あるいは本発明の第一の樹脂と本発明の第二の樹脂の間に別の材料からなる層を設けても良く、具体的には発光素子あるいは本発明の第一の樹脂の表面をカップリング剤(上記で記載したものと同様の化合物が使用できる)等で処理してから第一の樹脂あるいは第二の樹脂で被覆すること等が挙げられる。また、異種材料間の線膨張の差による応力の緩和等の目的のため、発光素子と本発明の第一の樹脂、あるいは本発明の第一の樹脂と本発明の第二の樹脂との間にシリコーン等の柔軟性材料層を設けてもよく、あるいは中空層を設けてもよい。
【0104】
また、被覆の方法により屈折率や比重の差によりレンズ効果等の種々の効果をもたせることも可能である。
【0105】
被覆の方法としても各種方法を適用することができる。例えば、底部に発光素子を配置させたカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に液状の硬化性組成物をディスペンサーその他の方法にて注入して加熱等により硬化させてもよいし、固体状あるいは高粘度液状の硬化性組成物を加熱する等して流動させ同様にパッケージ凹部等に注入してさらに加熱する等して硬化させてもよい。この場合のパッケージは種々の材料を用いて作成することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂等を挙げることができる。また、モールド型枠中に硬化性組成物をあらかじめ注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後硬化させる方法も適用することができるし、発光素子を挿入した型枠中にディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形等により硬化性組成物による封止層を成形、硬化させてもよい。さらに、単に液状または流動状態とした硬化性組成物を発光素子上に滴下あるいはコーティングして硬化させてもよい。あるいは、発光素子上に孔版印刷、スクリーン印刷、あるいはマスクを介して塗布すること等により硬化性樹脂を成形させて硬化させることもできる。その他、あらかじめ板状、あるいはレンズ形状等に部分硬化あるいは硬化させた硬化性組成物を発光素子上に固定する方法によってもよい。さらには、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド剤として用いることもできるし、発光素子上のパッシベーション膜として用いることもできる。また、パッケージ基板として用いることもできる。
【0106】
被覆部分の形状も特に限定されず種々の形状をとることができる。例えば、レンズ形状、板状、薄膜状、特開平6−244458記載の形状等が挙げられる。これらの形状は硬化性組成物を成形硬化させることによって形成してもよいし、硬化性組成物を硬化した後に後加工により形成してもよい。
【0107】
本発明の発光ダイオードは、種々のタイプとすることができ、例えば、ランプタイプ、SMDタイプ、チップタイプ等いずれのタイプでもよい。SMDタイプ、チップタイプのパッケージ基板としては、種々のものが用いられ、例えば、エポキシ樹脂、BTレジン、セラミック等が挙げられる。
【0108】
その他、本発明の発光ダイオードには従来公知の種々の方式が適用できる。例えば、発光素子背面に光を反射あるいは集光する層を設ける方式、封止樹脂の黄変に対応して補色着色部を底部に形成させる方式、主発光ピークより短波長の光を吸収する薄膜を発光素子上に設ける方式、発光素子を軟質あるいは液状の封止材で封止した後周囲を硬質材料でモールディングする方式、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す蛍光体を含む材料で発光素子を封止した後周囲をモールディングする方式、蛍光体を含む材料をあらかじめ成形してから発光素子とともにモールドする方式、特開平6−244458に記載のとおりモールディング材を特殊形状として発光効率を高める方式、輝度むらを低減させるためにパッケージを2段状の凹部とする方式、発光ダイオードを貫通孔に挿入して固定する方式、発光素子表面に主発光波長より短い波長の光を吸収する薄膜を形成する方式、発光素子をはんだバンプ等を用いたフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取出す方式、等を挙げることができる。
【0109】
本発明の発光ダイオードは従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、例えばバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
【0110】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(合成例1)
200mLの二口フラスコに、磁気攪拌子、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン50g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)11.3μL、トリアリルイソシアヌレート5.0g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン37.04gを加えて、90℃のオイルバス中で30分加温、攪拌した。さらに130℃のオイルバス中で2時間加熱還流させた。1−エチニル−1−シクロヘキサノール176mgを加えた。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびトルエンを減圧留去した。1H−NMRによりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応したもの(部分反応物Aと称す)であることがわかった。
(合成例2)
1Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、冷却管、滴下漏斗をセットした。このフラスコにトルエン190g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)48mg、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン236.2gを入れ、オイルバス中で70℃に加熱攪拌した。この溶液に1,2,4−トリビニルシクロヘキサン20.0gのトルエン10g溶液を1時間かけて滴下した。得られた溶液を70℃のオイルバス中で90分加温、攪拌した。1−エチニル−1−シクロヘキサノール9.2mgを加えた。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびトルエンを減圧留去した。1H−NMRによりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部が1,2,4−トリビニルシクロヘキサンと反応したもの(部分反応物Bと称す)であることがわかった。
(作成例1)
トリアリルイソシアヌレート2.5gと合成例1で合成した部分反応物A3.0g、とをカップ中で混合し、約1torrの減圧下で30分脱泡した。合成例1で示したように部分反応物Aは本発明の(C)成分としての白金ビニルシロキサン錯体を含有している。このものを、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作成したセルに流し、80℃/60分、100℃/60分、120℃/60分加熱を行い目視で均一かつ無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物は硬質で表面タックを有しないものであった。
(作成例2)
1,2,4−トリビニルシクロヘキサン1.00gと合成例2で合成した部分反応物B1.87g、とをカップ中で混合した。合成例2で示したように部分反応物Bは本発明の(C)成分としての白金ビニルシロキサン錯体を含有している。このものを、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作成したセルに流し、100℃/60分加熱した。得られたゴム状の部分硬化物をセルからはずしてあらためて2枚のガラス板にはさみこみ、120℃/180分、150℃/60分加熱を行い目視で均一かつ無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物は硬質で表面タックを有しないものであった。
(測定例1)
従来、発光ダイオードの封止に用いられている透明エポキシ樹脂の硬化物とともに、吸水率および低波長領域での光線透過性を評価した。
【0111】
吸水率:30mm×5mm×3mmのサイズの試験片を用いた以外はJISK6911に準拠した方法により吸水率を求めた。
【0112】
光線透過性:日立製作所製のU−3300形ダブルモノクロ分光光度計を用いて3mm厚のサンプルの各波長における光線透過率を測定した。
【0113】
【表1】
【0114】
表1から明らかなように、本発明の発光ダイオードに用いる第一の樹脂は特に低波長領域での光線透過性が高く、発光ダイオードの発光素子の被覆材として優れた特性を有している。
(測定例2)
作成例1および2で作成した硬化物をスガ試験機製のSX120型キセノンウェザーメーター(ブラックパネル温度63℃、照射2時間中降雨18分)にて70時間照射して硬化物が着色するかどうかを調べた。作成例1および作成例2で作成した硬化物とも着色がみられず無色透明の状態を保った。本発明の発光ダイオードに用いる第一の樹脂は優れた耐光性を有している。
(実施例1)
トリアリルイソシアヌレート2.5gと合成例1で合成した部分反応物A3.0g、とをカップ中で混合し、約1torrの減圧下で30分脱泡し、本発明の第一の樹脂とする。合成例1で示したように部分反応物Aは本発明の(C)成分としての白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
【0115】
ペルノックス社製ペルノックスME−510(ビスフェノールA型エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂および染料の混合物)およびペルキュアHV−511(脂環式酸無水物とエポキシ樹脂硬化促進剤の混合物)を1/1(重量/重量)で混合して本発明の第一の樹脂とする。
【0116】
洗浄したサファイア基板上にMOCVD(有機金属気相成長)法により、アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、Siドープのn型電極が形成されn型コンタクト層となるGaN層、アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、次に発光層を構成するバリア層となるGaN層、井戸層を構成するInGaN層、バリア層となるGaN層(量子井戸構造)、発光層上にMgがドープされたp型クラッド層としてAlGaN層、Mgがドープされたp型コンタクト層であるGaN層を順次積層させる。エッチングによりサファイア基板上の窒化物半導体に同一面側で、pn各コンタクト層表面を露出させる。各コンタクト層上に、スパッタリング法を用いてAlを蒸着し、正負各電極をそれぞれ形成させる。出来上がった半導体ウエハーをスクライブラインを引いた後、外力により分割させ発光素子を形成させる。
【0117】
表面に銀でメッキされた鉄入り銅から構成されるマウントリードのカップ底面上に、ダイボンド樹脂としてエポキシ樹脂組成物を利用して上記発光素子をダイボンドする。これを170℃で75分加熱しエポキシ樹脂組成物を硬化させ発光素子を固定する。次に、発光素子の正負各電極と、マウントリード及びインナーリードとをAu線によりワイヤーボンディングさせ電気的導通を取る。
【0118】
本発明の第一の樹脂をマウントリードのカップ内にディスペンサーを用いて充填して、100℃1時間、120℃1時間硬化させる。本発明の第二の樹脂を砲弾型の型枠であるキャスティングケース内に注入する。上記の発光素子が第一の樹脂で封止されたマウントリード及びインナーリードの一部をキャスティングケース内に挿入し100℃10時間の硬化を行う。キャスティングケースから発光ダイオードを抜き出す。これにより砲弾型等のランプタイプの発光ダイオードを作成することができる。
(実施例2)
実施例1に記載の方法で本発明の第一の樹脂、第二の樹脂、および発光素子を作成する。
【0119】
インサート成形によりPPS樹脂を用いてチップタイプ発光ダイオードのパッケージを形成させる。パッケージ内は、発光素子が配される開口部を備え、銀メッキした銅板を外部電極として配置させる。パッケージ内部で発光素子をエポキシ樹脂を用いてダイボンドして固定する。導電性ワイヤーであるAu線を発光素子の各電極とパッケージに設けられた各外部電極とにそれぞれワイヤーボンディングし電気的に接続させる。パッケージ開口部内に封止剤として本発明の第一の樹脂を発光素子が被覆される量だけ注入し、100℃1時間、さらに150℃1時間硬化させる。次にモールド部材として本発明の第二の樹脂をパッケージ開口部に充填する。この状態で、120℃10時間硬化させる。この様にして、チップタイプ発光ダイオードを作成することができる。
【0120】
(実施例3)
実施例1と同様に順次積層された窒化物半導体において、RIE(反応性イオンエッチング)装置でp型窒化物半導体層側からエッチングを行い、負電極が形成されるn型コンタクト層の表面を露出させる。次に、最上層にあるp型コンタクト層上のほぼ全面にリフトオフ法によりNi/Auを膜厚60/200Åにて積層し、オーミック接触が良好で且つ優れた透過性を有する第一の正電極を形成する。また、前記透光性第一の正電極上の一部にAuを膜厚1μm積層し、正極側ボンディング部となる第二の正電極を形成する。
【0121】
一方、エッチングにより露出されたn型コンタクト層の表面にレジスト膜をネガとして形成した後、それぞれターゲットを変えてスパッタリングによりW/Al/W/Auを膜厚200Å/2000Å/2000Å/3000Åとなるよう積層し、不要なレジスト膜を除去させ負電極を形成し、LED素子とする。これにより、アニーリングを行わなくとも良好なオーミック接触を有する負電極が形成される。また、負電極上にボンディング用電極を設けても良いが、本実施例で使用される負電極は強い機械的強度を有するため、ボンディング用電極を設けなくとも安定して駆動することが可能なLED素子が得られる。
【0122】
次に、パターニングにより、各電極のボンディング部のみを露出させ素子表面全体に接してSiO2からなる絶縁性無機化合物層を連続的に形成し、LED素子とする。前記絶縁性無機化合物層は少なくとも短絡を防止できるように形成されていればよく、前記正電極と前記負電極の間の半導体層上面に設けられていればよい。このように絶縁性無機化合物層を設けることは、小型化された発光素子を信頼性高く実装するにあたり非常に重要である。絶縁性無機化合物層の材料は、少なくとも絶縁性であれば良く、例えばSiO2、TiO2、Al2O3、Si3N4等からなる単層又は複数層を用いることができる。
【0123】
また、本実施例では、前記絶縁性無機化合物層を発光素子の端面まで連続して設けている。これにより、基板の削られた端面及び露出面を高温高湿から保護することができ、厳しい環境条件下での長期間使用に際しても高い信頼性を維持することが可能な発光素子が得られる。また、サファイア基板や窒化ガリウムと直接接して設けられる絶縁性無機化合物層は、それぞれ接する部材と近い熱膨張係数を有することが好ましく、これにより更に信頼性を高めることができる。ちなみに、各材料の熱膨張係数は、サファイア基板が7.5〜8.5×10−6/k、窒化ガリウムが3.2〜5.6×10−6/k、二酸化珪素が0.3〜0.5×10−6/k、窒化シリコンが2.5〜3.0×10−6/kである。
【0124】
本実施例で使用する発光素子は、発光層で発光された光の多くは上下の層との境界面にて全反射され、発光端部から光密度高く発光する傾向にある。このような発光素子を直接樹脂にて被覆すると、これらに発光素子からの光や熱が集中するため、隣接する樹脂部が局所的に著しく劣化される。これが起因となり、発光ダイオードに色調変化や信頼性低下が生じると考えられる。そこで本実施例では、絶縁性無機化合物層を表面に有する発光素子を、前記絶縁性無機化合物層と比較的密着性が高い傾向にあり且つ耐光性及び耐熱性に優れた本発明の第一の樹脂にて直接被覆することにより、前記発光領域端部から発光される光を効率よく外部へ取り出し、界面における劣化を抑制し、信頼性の高い発光装置を提供する。
【0125】
また、前記発光端部とは、発光層及びn型コンタクト層端部を示す。そこで、これらの端部に設けられる絶縁性無機化合物層は、n型コンタクト層としてよく用いられるGaNよりも屈折率が小さい無機物にて構成することが好ましい。これにより、第一の樹脂の劣化を抑制することができる。更に、前記絶縁性無機化合物を、例えば、発光素子の発光端部に直接接する第一の層としてSiO2を、該第一の層に接して該第一の層よりも屈折率の大きい第二の層としてTiO2を積層した2層構造や、SiO2/Al/SiO2のように絶縁膜と金属の積層によって形成した3層構造とすることにより、反射性を持たせることもできる。複数層の場合、膜厚は5000Å以上5μm以下が好ましく、1μm以上3μm以下がより好ましい。
【0126】
また、無機化合物層を表面に有する発光素子を直接本発明の第一の樹脂にて被覆する場合、光屈折や熱膨張を考慮し、前記無機化合物層は珪素を含有するものが好ましい。また、珪素を含有する無機化合物層を設けこの無機化合物層を本発明の第一の樹脂にて直接被覆すると、他の無機化合物層を設けた場合と比較して信頼性が向上し、高温高湿等の環境条件下においても高い信頼性及び光学特性を維持することができる傾向にある。この理由は定かでないが、珪素を有する無機化合物層が本発明の第一の樹脂と親和性が良く密着性の高い界面を形成し、水分や外気の侵入が抑制されているためだと考えられる。
【0127】
上記のように形成されたLED素子を有するウエハをスクライブ可能な基板厚まで研磨工程によって削り、基板面が粘着シートに接触するように粘着シート上に載置し、スクライブ工程によってチップ状に分割する。分割されたLEDチップを実施例1と同様のパッケージ内部に同様の方法にて固定し、Au線によりワイヤーボンディングさせ電気的に接続させる。
【0128】
本発明の第一の樹脂は、優れた耐熱性且つ強靱性を有している。本発明は、このような樹脂にて発光素子及びワイヤが被覆されることにより、実装時や点灯時の熱応力による樹脂及び発光素子におけるクラック発生やワイヤ断線を防止することができる。また、発光素子は点灯時に発熱を伴い、前記発光素子近傍は高温状態となる。本発明では、発光素子を直接被覆する樹脂として耐熱性に優れた本発明の硬化性樹脂を用いるため、樹脂が劣化されることなく長時間の使用に際しても高い信頼性を維持することができる。
【0129】
次に、本発明の第一の樹脂に対して中心粒径が1μmのSiO2からなる拡散剤を5wt%混合して充填する以外は、実施例1と同様にして発光ダイオードを形成する。このようにして得られた発光ダイオードは、発光素子の点光源を前記第一の樹脂の最上面を発光面とする面光源とすることができ、良好な指向特性を有することができる。また、面光源化されたことにより、前記第一の樹脂と前記第二の樹脂との界面での局所的な劣化を抑制することができ、比較的耐光性の弱い樹脂を第二の樹脂として使用することも可能となる。また、本発明の第一の樹脂は、比較的無機物との密着性に優れているため、前記拡散剤との密着性がよく、前記拡散剤の拡散効率を高めることができる。このように本実施例は、発光素子を直接被覆する樹脂として、耐熱性及び耐光性に優れた第一の樹脂を用い、該第一の樹脂中にて光量を分散化させ、前記第一の樹脂を直接被覆する第二の樹脂の劣化を抑制すると共に発光素子の指向特性を改善し、信頼性及び光学特性の優れた発光ダイオードを提供する。
【0130】
(実施例4)
ダイボンド樹脂として本発明の第一の樹脂を利用する以外は、実施例1と同様にして発光ダイオードを形成する。このように構成することにより、発光素子の周囲の部材を全て耐熱性及び耐光性に優れた第一の樹脂とすることができ、更に信頼性の高い発光ダイオードが得られる。
【0131】
【発明の効果】
本発明の発光ダイオードに用いる第一の樹脂は、特に低波長領域での光線透過性が高く、かつ、硬質であり表面タック性を有さず、発光ダイオードの発光素子の被覆材として優れた特性を有しているため、本発明の発光ダイオードは高い耐久性を有し、かつ、実装する際に発光面に異物が付着したり実装用器具により発光面が損傷を受けるという問題が生じない。
Claims (5)
- 発光素子が第一の樹脂で被覆され、その第一の樹脂がさらに第二の樹脂で被覆されている発光ダイオードであって、該第一の樹脂が、(A)ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、または、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分として含有する硬化性組成物であることを特徴とする発光ダイオード。
- 発光素子の主発光ピーク波長が550nm以下である、請求項1に記載の発光ダイオード。
- 前記第二の樹脂がエポキシ樹脂である、請求項1あるいは2に記載の発光ダイオード。
- 前記発光素子は、珪素を含有する無機化合物層を表面に有し、前記無機化合物層に接して前記第一の樹脂が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発光ダイオード。
- (A)ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、または、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分として含有する硬化性組成物を用いて発光素子を被覆し、さらに第二の樹脂でそれを被覆することによる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光ダイオードを製造する方法。
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