JP2001117200A - 写真印画紙用支持体及びその製造方法 - Google Patents

写真印画紙用支持体及びその製造方法

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JP2001117200A
JP2001117200A JP29253299A JP29253299A JP2001117200A JP 2001117200 A JP2001117200 A JP 2001117200A JP 29253299 A JP29253299 A JP 29253299A JP 29253299 A JP29253299 A JP 29253299A JP 2001117200 A JP2001117200 A JP 2001117200A
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Akitoshi Kajiwara
明敏 梶原
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紙基体を連続製造する際の故障点を著しく減少
させ、紙基体のポリオレフィン樹脂被覆する際の高速加
工性に優れ、ロール状の写真印画紙にした際、現像処理
機適性、即ち、裁断性、搬送性等が改良され、また、面
質、現像処理液の浸込みも良好な写真印画紙用支持体と
その製造方法を提供する。 【解決手段】紙基体の両面をポリオレフィン樹脂で被覆
した写真印画紙用支持体において、紙基体中にpH7.
0においてカチオン強度が0.0を超えて+15.0m
eq/gである両性ポリアクリルアミド共重合体を含有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙基体の両面をポ
リオレフィン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体に関す
る。詳細には、現像して絵焼きした写真印画紙切断面の
現像液汚れが小さいばかりでなく、焼き付けた印画紙を
重ねた時の切断面の着色汚れが極めて少ない写真印画紙
用支持体に関するものである。また、剛度が高く、自動
現像機における高速処理適性に優れた写真印画紙用支持
体に関する。さらに、紙基体にポリオレフィン樹脂を高
速に被覆する際の加工適性に優れた鏡面タイプの写真印
画紙用支持体に最適な製造方法であり、紙基体の連続抄
造時の操業適性に優れている製造方法である。
【0002】
【従来の技術】以前、写真印画紙用支持体としては、紙
の片面に硫酸バリウムを主体とするバライタ層を塗布し
た、いわゆるバライタ紙が使用されていた。しかしなが
ら、現像処理の自動化と迅速化を図るため、原紙の両面
を疎水性の樹脂、例えばポリオレフィン樹脂で被覆した
写真印画紙用支持体が使用されるようになり、現在では
これが写真印画紙用支持体としてほとんど使用されてお
り、バライタ紙よりも、現像処理液に対する支持体の
表、裏の吸収性が防止されている。しかし、端部の切断
面からの浸透は防止することは難しく、顧客の要望をす
べて満足することは非常に難しい状況となっている。
【0003】最近においては、写真印画紙の低価格化に
伴い、顧客の焼き増しする枚数は増加する一方であり、
顧客は、現像所からかなりの枚数の写真印画紙を1度に
引き取ることになる。従来は、比較的高価なので、顧客
が1度に引き受ける枚数が少なかったため、写真印画紙
を束にして切断面の着色を見る機会はそれほどなく、気
にすることはなかったが、顧客一人当たりの焼き増し枚
数の増加により、重ねて束でまとめて引き取ることによ
り、切断面の着色を気にする顧客が多くなり、切断面の
着色改善に関する要望も高くなってきた。
【0004】写真印画紙用支持体は、端部からの処理液
の浸透を防止するために、紙基体にサイズ剤を添加して
いる。サイズ剤を添加すれば、静的な処理液抵抗性を付
与することが可能である。しかしながら、自動現像機で
処理を行う場合には、ロール状の写真印画紙は、現像液
漕中に付設されるロール間に挟まれ加圧され、圧縮され
た状態から通過後解放されるとき、ポリオレフィン樹脂
で被覆されていない端部は、広がる方向に応力が働き、
紙基体部分であるパルプ部分に通常の静的状態よりも現
像液が浸込み、吸収するようになり写真印画紙の切断面
はより現像液で汚染され、切断面の着色が強くなり、処
理液の浸透を防止するには不十分である。ロール間で加
圧されることによる動的な影響による現像処理液の浸透
を防止するためには、紙力を増強させ現像処理液に対す
る抵抗性を高める必要がある。そのため、紙基体にサイ
ズ剤と紙力増強剤を添加する必要がある。
【0005】また、写真印画紙用支持体は、現像処理機
での現像、定着工程において、支持体両端の切り口から
の処理液の浸込み量が多い場合、この部分が着色し、か
つ、膨れる、という問題が生ずる。このような状態にな
った場合、商品価値はなくなってしまう。この浸込み改
良には、適切な紙力増強剤を用いる方法が多数開示され
ている。
【0006】更に、写真印画紙に対する高速現像性、水
洗、裁断、印字、積みなどの諸操作が自動的に行われる
写真印画紙現像処理システムにおいては、写真印画紙は
適度の剛度を有することが必要で、写真印画紙の剛度が
不足すると、現像処理システム内で搬送トラブルの発生
の原因となる。また、自動化、迅速化を図るためには現
像時の現像処理機内の搬送で、強い剛度、強度が必要と
されており、写真印画紙の剛度は、その紙基体の剛度に
依存する。また、写真印画紙用支持体の剛度が低い場合
には、現像処理機内で、搬送不良トラブルが発生するた
め、諸対策により紙基体の剛度を高くする必要がある。
このトラブルは特に高速現像処理機において、頻繁に発
生する。
【0007】剛度を向上する方法として、よく知られて
いることは、紙基体の強度物性を向上させることであ
る。種々の公報にも述べられているように、パルプの種
類、叩解方法の最適化も有効な方法ではあるが、紙力増
強剤の選択、及び/または、紙力増強剤の増量が最も自
由度が高いと言える。また、写真印画紙用支持体の剛
度、強度が低い場合、自動現像処理機内でトラブルが発
生するため、紙基体に紙力増強剤を添加し、剛度、強度
を高くする必要がある。
【0008】写真印画紙用支持体の紙基体に使用する紙
力増強剤としては、 (1)十分な紙力増強効果がある。 (2)現像処理液を吸着して着色の原因にならない。 (3)中性サイズ剤のサイズ性を阻害しない。 (4)カブリ等の写真性に悪影響を及ぼさない。 等が挙げられる。紙力増強剤としては、植物性ガム、カ
ルボキシル変性ポリビニルアルコール、アニオン性ポリ
アクリルアミドのようなアニオン性紙力増強剤、カチオ
ン性澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリアミド
・ポリアミンエピクロルヒドリンのようなカチオン性紙
力増強剤、さらには同一分子内にアニオン基とカチオン
基の両方を持つ両性紙力増強剤が知られている。
【0009】アニオン性あるいは両性の紙力増強剤は、
硫酸バンドを使用した酸性抄紙では十分な紙力増強効果
を得ることができるが、中性抄紙の場合はほとんど効果
を示さない。特開昭57−185432号公報には、カ
チオン性ポリアクリルアミドを含有すると、端部からの
現像深さが小さくなることが提案されているが、十分な
紙力増強効果が得られないのみでなく、現像処理液を吸
着しやくすく、着色の原因になり、写真としての価値を
損ねる為、写真印画紙用支持体の紙基体に単独で内添す
るには問題がある。また、特開昭57−197539号
公報および特開平5−173287号公報では、カチオ
ン性ポリアクリルアミドとアニオン性ポリアクリルアミ
ドを併用することにより、現像液浸透深さが小さくなる
ことが提案されているが、紙力増強の点では不十分であ
る。さらに、特開昭57−157240号公報おいて
は、カチオン化澱粉とアニオン性ポリアクリルアミドを
含有することにより現像液浸透深さが小さくなることが
提案されているが、紙力増強の点で不十分である。
【0010】特開昭59−31949号公報には、N−
ビニルピラゾール化合物または、N−アルキルアクリロ
イルピペラジンまたは、N,N−ジアルキルアミノアル
キルアミドとアクリルアミドまたはメタクリルアミドと
の共重合体構造を有する水溶性合成樹脂とサイズ剤を含
有することにより、現像液浸透深さを軽減する方法が提
案されている。しかしながら、この方法では、平均分子
量として5000以上100万以下のものが好ましく、
平均分子量が100万以上であれば、パルプスラリーが
凝集を起こす傾向となって好ましくないことが開示され
ている。しかしながら、この公報では、現像液の切断面
への浸込みについて検討され、紙基体へのポリオレフィ
ン樹脂を被覆する際の高速塗布性の記載はなく、切断面
の現像液浸透性について検討されるが、着色自体につい
ては、考慮されていない。
【0011】特開平2−5040号公報では、両性ポリ
(メタ)アクリルアミド、サイズ剤、及び湿潤強度増強
剤を用いる方法が開示されている。両性ポリアクリルア
ミドの分子量は、10万〜200万の範囲内、有利には
50万〜150万の間が良いとされ、地合の良化、内部
結合強度の増強および浸込みが改良されることが開示さ
れている。しかしながら、前公報同様紙基体へのポリオ
レフィン樹脂を被覆する際の高速塗布性、現像液の浸透
性について検討されるが、写真印画紙用支持体としての
剛度やその切断面の着色自体については、何ら考慮され
ていない。
【0012】特開平6−167767号公報では、平均
分子量200万〜500万の両性ポリアクリルアミドを
用いる方法が開示されている。また、特開平6−175
277号公報では、紙基体に、アニオン性ポリアクリル
アミド、両性ポリアクリルアミドおよび水溶性アルミニ
ウム塩を含有する方法が開示されている。それぞれ公報
では、ワイヤー上の水切れ性の向上、工程汚れ防止の対
策が述べられている。しかしながら、紙基体へのポリオ
レフィン樹脂の高速塗布性、写真印画紙用支持体として
の剛度、また、現像処理時の切断面の着色自体について
は検討されていない。
【0013】特開平6−324432号公報には、平均
分子量200万〜500万のポリアクリルアミド系共重
合体を含有する水溶液によって、表面サイズする方法が
開示され、表面強度の向上、平滑性の向上が述べられて
いるが、表面サイズにもかかわらず切断面からの浸込
み、およびその着色自体に関して何ら検討されていな
い。また、写真印画紙用支持体としての剛度、および紙
基体へのポリオレフィン樹脂の高速塗布性に関しても何
ら検討されていない。
【0014】特開平7−248574号公報には、紙基
体中に分子量が300〜400万、編目構造を有する両
性ポリアクリルアミドと中性サイズ剤を共に含有する方
法が開示され、BOD負荷の軽減、浸込みの改良、平滑
性の向上が述べられている。しかしながら、写真印画紙
用支持体としての剛度、および紙基体へのポリオレフィ
ン樹脂の高速塗布性に関しては、何ら検討されていな
い。
【0015】特開平11−15106号公報では、平均
分子量が、70万〜250万であり、かつ粘度が600
0〜25000cpsの両性ポリアクリルアミドを添加
する方法が開示され、写真印画紙としての剛度の向上に
ついて提案されている。しかしながら、切断面への現像
液浸込みによる着色性、および紙基体へのポリオレフィ
ン樹脂の高速塗布性に関しては、何ら検討されていな
い。
【0016】以上の公報に記載されている従来技術はい
ずれも両性ポリアクリルアミドが現像処理時の切断面の
浸込み防止で使用されることが主に記載されているだけ
で、写真印画紙の枚数を重ねた時の切断面の着色自体に
ついて何ら検討されていないばかりか、切断面への現像
液浸込みによる着色性、写真印画紙用支持体としての剛
度および紙基体へのポリオレフィン樹脂の高速塗布性を
同時に満足する写真印画紙用支持体については記載され
ていない。
【0017】特開平4−131843号公報では、分子
量が50万〜150万であって、カチオン価が1.5〜
5.0(ml/g)のカチオン性ポリアクリルアミドを含
有する方法が開示され、浸込み防止、ワイヤー上の水切
れ性および工程汚れ防止について検討されている。しか
しながら、同公報においては、分子量についての記載は
あるが、カチオン性ポリアクリルアミドであるので、両
性ポリアクリルアミドと異なり、カチオン強度が強過
ぎ、添加手順により、アニオン性の薬品との凝集が懸念
される。また、紙基体へのポリオレフィン樹脂を被覆す
る際の高速塗布性、写真印画紙用支持体の剛度に関して
は何ら検討されていないばかりか、現像液の切断面の着
色については、現像液の浸透性について検討されるが、
着色自体については、何ら考慮されていない。
【0018】特開平7−319109号公報には、紙基
体中にサイズ剤としてアルキルケテンダイマーもしくは
アルケニル琥珀酸無水物の少なくとも1種類、サイズ剤
の定着剤として、ビニルアミンが20モル%以上、か
つ、重量平均分子量が50000以上であるポリビニル
アミン共重合体を含有し、紙力剤としてアニオン性もし
くは両性ポリアクリルアミドを含有する方法が開示さ
れ、浸込み防止、白色度が低下せず、高い強度が得られ
ると述べてられている。また、この公報では使用される
両性ポリアクリルアミドが、pH9.0で測定したコロ
イド滴定値が、−0.5meq/g以下がより好ましい
と述べている。
【0019】特開平8−146555公報には、紙基体
中にサイズ剤としてアルキルケテンダイマーもしくはア
ルケニル琥珀酸無水物の少なくとも1種以上、サイズ剤
のサイズ定着剤としてビニルアミン単位が50モル%以
上、重合平均分子量が5万〜15万であるN−ビニルホ
ルムアミド・ビニルアミン共重合体を含有し、紙力剤と
して、アニオン性もしくは両性ポリアクリルアミドを含
有する方法が開示され、浸込み防止、白色度が低下せ
ず、高い強度と地合に優れていると述べてられている。
この公報においても、先述の特開平7−319109号
公報と同様に、使用される両性ポリアクリルアミドが、
pH9.0で測定したコロイド滴定値が、−0.5me
q/g以下がより好ましいと述べている。しかしなが
ら、pH9.0というアルカリ性領域でのコロイド滴定
値が−0.5meq/g以下であるので、アニオン性を
有しており、パルプ自体が通常アニオン性を有すること
を考慮すると、中性領域での抄紙では両性ポリアクリル
アミドが紙料中に定着し難い状況にある。また、これら
の公報においては、写真印画紙用支持体としての剛度の
向上効果に関しては検討されているが、現像液侵入によ
る切断面の着色性や、紙基体へのポリオレフィン樹脂の
高速塗布性に関しては、何ら検討されていない。また、
前述の特開平7−319109号公報、および特開平8
−146555公報では、カチオン強度が記載されてい
るものの、両性ポリアクリルアミドの分子量に関する記
載がない。いずれの方法でも現像処理での端部への現像
液の浸込み深さを少なくし、紙基体の強度(剛度)を高
くする方法が開示されている。しかしながら、紙基体へ
のポリオレフィン樹脂を被覆する際の高速塗布性に関し
ては何ら検討されていないばかりか、現像液の切断面へ
の浸透性について検討されるが、着色自体については、
何ら考慮されていない。
【0020】また、特開平4−267250号公報で
は、両性ポリアクリルアミド(A)、カチオン性澱粉
(B)、及び中性サイズ剤を用い、かつ、A/Bの重量
比が1/20以上、1/1以下に保つ方法が開示されて
おり、現像処理後の写真印画紙の浸込み深さやその着色
性について検討されている。しかしながら、両性ポリア
クリルアミドの分子量や、カチオン化強度については何
も検討されていないばかりでなく、紙基体へのポリオレ
フィン樹脂の高速塗布加工性や写真印画紙用支持体の裁
断性についても検討されていない。
【0021】前述の通り、写真印画紙用支持体として
は、現像処理の迅速化を目的として、紙基体の両面にポ
リオレフィン樹脂等の耐水性樹脂を被覆した支持体が用
いられている。このような写真印画紙用支持体を用いた
写真印画紙の表面の形状には、光沢面、マット面、ある
いは絹目面等の模様付けしたものもあるが、これらの形
状は、支持体の写真乳剤層側ポリオレフィン層の表面に
型付けされた模様がそのまま写真印画紙表面に現れたも
のである。このような写真印画紙用支持体に写真乳剤を
重層塗布する際、紙基体の平滑性が乏しいと、高速にな
ればなるほど塗布ムラ等の品質故障を発生することが知
られている。塗布ムラ等の品質故障を回避するために
は、紙基体表面の平滑性を良化させる必要がある。
【0022】写真印画紙には、前述の通り、樹脂被覆層
上の表面形状により種々のものがあるが、この中で最も
用いられているものは「光沢面」と呼ばれる表面の凹凸
がなく、極めて平滑な面を有する写真印画紙である。こ
の「光沢面」は、現像処理をされた後の乳剤面の光沢感
が強く要求される。
【0023】この光沢感は紙基体表面の微細な凹凸に支
配される。つまり、紙基体表面の微細な凹凸はこれをポ
リオレフィン樹脂層で被覆しても写真印画紙用支持体の
表面に残存し、光沢感を低下させる。両性ポリアクリル
アミドには凝集性があり、この性質が写真印画紙用支持
体として剛度、また、現像処理時の浸込みにも影響を及
ぼすものと考えられる。両性ポリアクリルアミドの分子
量が大きくなるとその傾向が強くなり、ワイヤー上での
水切れ性が良化する反面、パルプとともに凝集するフロ
ック自体が大きくなるため、地合が取り難くなり、悪化
する傾向を有する。地合が悪くなる結果、紙基体表面の
平滑性も悪化するが、特にうねりのような大きな凹凸が
顕著となり、さらに、それより細かい領域の微細な凹凸
が増加する結果、紙基体にポリオレフィン樹脂を高速塗
布加工する際に、樹脂被覆層表面にクレーター状細孔が
多発してしまう。高速塗布する場合、150m/分以上
となるとクレーター状細孔が発生し易くなり、200m
/分以上となると実用的に問題があり、製品レベルに達
しないようになり、生産性の障害となってきている。
【0024】特に、「光沢面」の写真印画紙用支持体の
紙基体を製造する場合、特に150m/分以上の高速塗
布速度で、紙基体上にポリオレフィン樹脂で被覆する場
合、ポリオレフィン樹脂被覆層の表面に直径10〜10
0μmのクレーター状細孔が多数発生することがある。
この現象は、諸説が唱えられているが、ポリオレフィン
層と塗布する際、紙基体面が充分に平滑ではないため、
ポリオレフィン層とクーリングロールの間に空気が巻き
込まれ、逃げ場を失った空気がポリオレフィン層上に存
在することにより生じると考えられている。したがっ
て、紙基体がより平坦であれば乳剤光沢も良く、クレー
ター状細孔も少なくなるわけである。
【0025】しかしながら、両性ポリアクリルアミドを
含有した紙基体は、ポリアクリルアミド自体が有するそ
の凝集性により、大きなフロックを形成する傾向があ
り、大きなフロックは地合や、紙基体表面の平滑性を崩
す。両性ポリアクリルアミドを添加することにより、パ
ルプスラリーはフロックを形成し、地合や平滑性を決定
する。大きなフロックは、紙基体表面の大きなうねりに
よる凹凸や、小さなフロックについては微細な凹凸を形
成し、紙基体の表面を構成する。しかしながら、上記の
大きなフロックが多い場合、当然、紙基体表面のうねり
が大きくなるため、紙基体表面の平滑性は失われ、満足
できる地合は得られない。このため、大きなうねりの凹
凸が紙基体表面に存在するため、クレーター状際細孔は
あまり良化しない。この結果、写真印画紙の乳剤光沢に
ムラが生じ全体の光沢感が上がらず、クレーター状際細
孔のレベルは変わらない。
【0026】また、紙基体を連続的に長時間抄造する場
合、両性ポリアクリルアミドは、水溶性高分子である
が、極めて粘度が高い物質であり、また凝集性を有する
ため、パルプスラリーへの添加には注意を要する。高濃
度の両性ポリアクリルアミドとパルプスラリーが添加時
に凝集すると、粘性があるため、周りの微細繊維状のパ
ルプやその他薬品、例えばサイズ剤等を取り込み、配管
等の壁に付着し易い。これらの付着物は、操業初期には
特に問題を発生しないが、操業時間が長くなるとともに
両性ポリアクリルアミドを核にして、凝集・吸着を続け
大きく成長する。これら成長した異物は、ある程度大き
くなると、パルプスラリーの流速に負け、配管内側壁か
ら脱離することになる。この脱離した異物は、パルプス
ラリーに混入され抄紙される。ところが、これらの異物
は、抄紙機のプレスパートやカレンダーパートで潰され
ても、紙基体に残存して故障点として存在する。これら
の故障点を有する紙基体にポリオレフィン樹脂を被覆し
ても、樹脂被覆層上に現れる重大な欠点であり、写真印
画紙用支持体としては致命的な欠点を有し、その製品と
しての実用価値は失われる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の第1の目的
は、現像処理後の写真印画紙切り口の浸込みが小さいば
かりでなく、着色汚れなく極めて良好な写真印画紙用支
持体に関するものである。本願発明の第2の目的は、剛
度が高く、高速自動現像での高速処理で詰まったりする
ことがなく、装置内での搬送性が非常に優れている写真
印画紙用支持体を提供することにある。本願発明の第3
の目的は、表面の平滑性および面質が良好で、鏡面タイ
プの写真印画紙に最適な写真印画紙用支持体を提供する
ことにあり、紙基体をポリオレフィン樹脂で高速に被覆
加工する際に発生するクレーター状細孔による表面故障
点を著しく軽減でき、写真印画紙にした場合、光沢に優
れた写真印画紙用支持体を提供することにある。本願発
明の第4の目的は、紙基体の連続抄造時に発生する表面
故障点を著しく軽減し、停機することなく、連続操業時
間を延長することができる写真印画紙用支持体の紙基体
の製造方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】本願発明は、紙基体の両
面をポリオレフィン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体
において、該紙基体中に、pH7.0において、カチオ
ン強度が0.0を超えて+15.0meq/g以下の両
性ポリアクリルアミド共重合体を含有した写真印画紙用
支持体により達成される。
【0029】本願発明は、紙基体の両面をポリオレフィ
ン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体において、該紙基
体中に、分子量が200万を超えて、250万未満、か
つ、pH7.0において、カチオン強度が0.0を超え
て+15.0meq/gの両性ポリアクリルアミド共重
合体を含有した写真印画紙用支持体により達成される。
【0030】本願発明は、紙基体の両面をポリオレフィ
ン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体において、紙基体
中に、分子量が200万を超えて、250万未満、か
つ、pH7.0において、カチオン強度が0.0を超え
て+15.0meq/g以下の両性ポリアクリルアミド
共重合体を、紙基体中に、対パルプ0.3〜5.0重量
%含有した写真印画紙用支持体により達成される。
【0031】本願発明は、紙基体の両面をポリオレフィ
ン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体において、紙基体
抄造時、pH7.0において、紙基体中にカチオン強度
が0.0を超えて+15.0meq/g以下の両性ポリ
アクリルアミド共重合体をバッチ添加/連続添加=1/
4〜1/50の比率で添加する写真印画紙用支持体の製
造方法により達成される。
【0032】本願発明は、紙基体の両面をポリオレフィ
ン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体において、紙基体
抄造時、pH7.0において、紙基体中にカチオン強度
が0.0を超えて+15.0meq/g以下の両性ポリ
アクリルアミド共重合体をバッチ添加/連続添加=1/
4〜1/50の比率で、対パルプ0.3〜5.0重量%
添加する写真印画紙用支持体の製造方法により達成され
る。
【0033】本願発明は、紙基体の両面をポリオレフィ
ン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体において、紙基体
抄造時、pH7.0において、紙基体中にカチオン強度
が0.0を超えて+15meq/g以下の両性ポリアク
リルアミド共重合体をバッチ添加/連続添加=1/4〜
1/50の比率で添加する際に、両性ポリアクリルアミ
ド共重合体を10cps以下の粘度まで希釈してから、
パルプスラリーに添加する写真印画紙用支持体の製造方
法により達成される。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の紙基体を構成するパルプ
は、通常製紙用に使用される晒ケミカルパルプ、即ち、
針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹
サルファイトパルプ、広葉樹サルファイトパルプ等のい
ずれでも良く、また、2種以上のパルプを混合して用い
てもよい。
【0035】本願発明の両性ポリアクリルアミド共重合
体のカチオン強度の範囲は0.0を超えて+15.0m
eq/g以下である。本発明のカチオン強度は、コロイ
ド滴定を用い、流動電流法でコロイド粒子と高分子電解
質の両方の持っている荷電の測定を行う。本発明で使用
した装置は、英国のRANK BROTHERS社製C
harge AnalyzerIIである。測定原理は、
測定セルが閉塞されたシリンダー、ピストンと2つのリ
ングの電極から構成されいる。このセルをサンプルが入
っている溶液に入れる。このシリンダーの中で、ピスト
ンが上方向に動いた場合はシリンダー内の溶液は下方向
に移動し、溶液をシリンダー内に吸入し、反対にピスト
ンが下方向に動いた場合にはシリンダー内の溶液は上方
向に移動し、溶液をシリンダー外に排出する。また、サ
ンプルは常にシリンダー内壁やピストンに可逆的に吸着
する。この付着したサンプルの周りには電気二重層が存
在し、ピストンの動きによる溶液の移動の剪断力で強制
的に電気二重層の移動によって2つのリングの電極間に
電流が生じ、回路が完成することによりこの電流値を読
み取る。滴定終点ではこの電流が生じなくなり、また、
初期電荷の符号と反対の電荷の場合にはピストンと電流
の位相差により滴定が終了していると判断できる。
【0036】コロイド滴定は、高濃度で滴定を行うと試
薬とサンプルの立体障害により反応が化学量論的に進行
せず、再現性と精度が悪くなる。呈色法で行った滴定で
推奨する滴定試薬の濃度は、1/50〜1/500Nで
あるが、Charge AnalyzerIIは、滴定試
薬濃度を1/2000Nで行い、通常の呈色法よりも更
に精度良く滴定が可能である。具体的には、滴定用の標
準試薬をカチオン・アニオン共に1/2000Nに希釈
する。両性ポリアクリルアミド共重合体は、約200m
lのプラスチック性の容器に蒸留水を140ml取り、
そこに100メッシュフィルターで濾過した両性ポリア
クリルアミド共重合体を正確に1ml添加する。そし
て、逆滴定を行うためにサンプルと反対符号の滴定試薬
を既知量添加する。サンプルと滴定試薬を十分に反応さ
れた後、pHが7.0になったことを確認し、滴定を開
始する。滴定値から算出された値をカチオン強度とす
る。
【0037】本願発明において、カチオン強度をpHを
7.0において、0.0を超えて+15.0meq/g
以下にする理由は、切断面の着色性および剛度向上を図
るためである。本願発明で使用する両性ポリアクリルア
ミド共重合体は、硫酸バンド等の存在なしに定着するも
のであり、pH7.0付近で紙中への定着率が急激に上
昇し、pH7.0にピークがある。両性ポリアクリルア
ミド共重合体の定着率と密接な関係があり、最適かつ効
果的に、剛度と現像液の着色性を改善するには、pH
7.0においてカチオン強度を決定することにほかなら
ない。
【0038】カチオン強度が0.0meq/g以下の場
合は、適度な凝集が得られないため、微細なフロック
や、フロックが十分に形成されない。しかしながら、フ
ロックが小さいため、フロック−フロック間の空隙は小
さいが、小さいがために現像処理液がより深く浸透して
しまうか、フロックが未形成のため、紙質が疎な状態で
形成してしまい、現像処理液の進入を妨害できない。そ
の結果、写真印画紙の切断面の着色自体は薄いが、より
深く現像処理液が浸透してしまい、商品価値は低下して
しまい、余りに深く現像処理液が浸透してしまう場合
は、顧客からのクレームになる可能性は非常に高くな
る。逆に、カチオン強度が+15.0meq/gを超え
た場合、添加薬品の凝集や、その凝集物を介在して、パ
ルプスラリーを凝集する効果が強くなるため、フロック
が大きくなり、フロック−フロック間の空隙は大きくな
る。こうした状態で製造された紙基体は、比較的大きな
空隙が存在するため、フロック−フロック間への現像処
理液の浸込みがより進行してしまい、結果的に現像液の
着色が強い結果になってしまい、商品価値は著しく低下
し、実用性さえ失われてしまう。
【0039】本発明の両性ポリアクリルアミド共重合体
は、アクリルアミドあるいはメタアクリルアミドを主要
な単量体成分とし、かつ、カチオン基とアニオン基を有
する水溶性共重合体である。本共重合体は、ポリエチレ
ンオキサイドを標準物質として、東洋曹達製TSK−G
EL PWタイプのカラムを使用したGPC法によって
測定した共重合体の分子量(本願発明では、分子量分布
曲線により算出された重量平均分子量を分子量とし、以
下、本条件の下で測定した分子量を、単に分子量と略記
する。)を有する共重合体である。
【0040】本願発明の両性ポリアクリルアミド共重合
体の分子量は、100万〜450万が良好で、さらに好
ましくは200万を超えて、250万未満の範囲にあ
る。両性ポリアクリルアミド共重合体の分子量が100
万未満の場合、紙力増強剤としての剛度向上効果が小さ
く、また、写真印画紙用支持体切断面への現像処理液の
浸込みを抑える効果が小さくなる傾向を示し、有用では
ない。また、紙力増強剤として剛度向上の効果を強くす
るため、両性ポリアクリルアミド共重合体の分子量をよ
り高分子化させると、粘度が高くなり添加時の作業性が
悪くなるばかりではなく、パルプスラリーの凝集が強く
なり、フロック自体が大きくなる結果、抄紙する際の操
業性が悪くなったり、紙基体自体の地合が悪くなり、表
面の平滑性が著しく低下するばかりでなく、地合悪化に
伴い写真印画紙用支持体切断面への現像処理液の浸込み
を抑える効果が弱くなる傾向を示す。特に、分子量が4
50万を超える場合は、剛度の向上は得られるものの、
紙基体を抄造する際に、パルプスラリーが凝集し易くな
り、パルプスラリー中に大きなフロックが生成され、水
切れ性は良くなるが、紙基体の地合が悪くなり、面質が
低下するので、最終的に得られる写真印画紙の商品価値
が低下する傾向を示し有用ではなくなる。
【0041】本発明の両性ポリアクリルアミド共重合体
の添加率は、パルプに対して0.3%〜5.0重量%が
好ましく、更に好ましくは0.5%〜2.0%である。
0.3%以上添加することにより、剛度の改良効果が認
められる。両性ポリアクリルアミド共重合体の添加量
が、0.3%未満であると、紙基体の剛度が向上しない
ため、現像処理機内での搬送性が良化されず、薬品のコ
ストだけが上乗せされるだけで経済性が乏しく、実用性
は失われる。両性ポリアクリルアミド共重合体の添加量
に伴って、剛度をはじめ紙の強度物性も改良されるが、
添加量が5.0重量%を超えて過剰に添加すれば、添加
量に見合う剛度向上効果はなくなり、経済性が劣るばか
りか、剛度だけでなく、紙基体としての諸強度物性が向
上していまい、強度物性が行き過ぎて、強過ぎてしまう
と、自動現像機におけるカッターで、写真印画紙の裁断
性が悪化する傾向を示すので好ましくない。
【0042】本願発明の両性ポリアクリルアミド共重合
体の効果を最大限に引き出す、すなわち、必要にして、
かつ、充分な添加量を最少にして、充分な紙基体の特性
を得る為には、バッチ添加と連続添加を併用し、かつ、
連続添加量とバッチ添加量の比率を、1/4〜1/50
の範囲に保つ必要がある。本願発明におけるバッチ添加
とは、一定量のパルプスラリーをチェスト内に、薬品を
添加し、撹拌して混合することをいう。これに対し、連
続添加とは、チェスト等で添加・撹拌することなしに、
ヘッドボックスに至るまでのパルプスラリーの流路内
へ、一定量の薬品を連続的に供給して、添加することを
意味する。
【0043】両性ポリアクリルアミドの連続添加量とバ
ッチ添加量の比率が1/4を超える場合、バッチ添加に
おける定着量が少なくなるため、実質的な添加量が減少
する。そのため、フロック形成が十分とならないため、
現像処理液の浸透を防ぐことができないばかりでなく、
抄紙機において地合が取り難く、紙基体の平滑性が得ら
れない。また、連続添加ではバッチ添加と異なり、撹拌
することができなく、薬品とパルプスラリーの分散が不
十分であるため、均一なフロックを形成することができ
ない。不均一なフロックは、現像処理液の浸透を悪化さ
せるだけでなく、地合が悪くなるため、紙基体の平滑性
が得られなくなる。さらに、連続添加における両性ポリ
アクリルアミド共重合体が過剰に添加されるため、薬品
自体の歩留まりが悪くなり、経済性が劣るばかりでな
く、工程内の汚れを増加させたり、環境に対する排水負
荷が大きくなる。連続添加量とバッチ添加量の比率が1
/50未満の場合、バッチ添加時、均一なフロックを形
成でき、現像処理液の浸透は軽減され、切断面の浸込
み、着色について、問題のないレベルを維持できるが、
連続添加における微細繊維や薬品の定着が少なくなる傾
向があるため、紙基体の剛度や表面の平滑性を向上させ
る効果はなくなってしまう。
【0044】両性ポリアクリルアミド共重合体のバッチ
添加、或いは、連続添加の一方を選択し、1ヶ所で添加
した場合、両性ポリアクリルアミド共重合体の定着率が
低下する結果、2ヶ所で添加した場合と比較して紙基体
の剛度が低くなる。これを補うために添加率を上げた場
合、両性ポリアクリルアミド共重合体の量が一時的に大
過剰になるため、フロックが生成し易くなるので、紙基
体の面質が悪くなる傾向を示す。結局、本願発明で用い
るpH7.0において、カチオン強度が0.0を超えて
+15.0meq/gの両性ポリアクリルアミド共重合
体を、バッチ添加量と連続添加量とを特定の比率に規定
することにより、1ヶ所で全量を添加した場合と比較し
て、同じ添加率で剛度がより高くなる。また、それぞれ
の箇所における添加量が分散、低減されるので、フロッ
クも生成し難くなる利点を有する。
【0045】本願発明に使用する両性ポリアクリルアミ
ドは、pH7.0において、カチオン強度が0.0me
q/gを超えて15.0meq/g以下の水溶性高分子
化合物であり、それ自体は高粘度物質であるので、パル
プスラリーに添加する場合、両性ポリアクリルアミドを
10cps以下に希釈してから添加することが好まし
い。両性ポリアクリルアミドを10cpsを超える粘度
で添加する場合、パルプスラリー配管内で、両性ポリア
クリルアミドの有する粘度により、パルプ繊維やその他
の薬品を取り込み大きく凝集させ、巨大なフロックを形
成することがある。凝集した両性ポリアクリルアミドの
巨大フロックを核とした異物を形成し、配管壁等に付着
する。付着した異物は、経過時間とともに、操業時間が
長くなるにつれて、これらの異物は大きく成長する。あ
る程度の大きさに成長した異物は、配管壁等から脱離し
てパルプスラリーに混入される。この異物は、プレスパ
ートやカレンダーパートでも潰れることがなく、紙基体
上に故障点として存在し、この故障点は、表面にポリオ
レフィン樹脂を被覆しても大きな凹凸を有する故障点と
して存在し、写真印画紙用支持体としては致命的な品質
故障となる。これら故障点を有する写真印画紙用支持体
に、写真乳剤を重層すると、その部分で乳剤の塗布ムラ
が発生したり、さらに悪い状態では、乳剤カスレが発生
して、写真印画紙としての商品価値は全く失ってしまう
ことがある。紙基体を連続的に抄造するには、両性ポリ
アクリルアミドの添加するには、希釈後の粘度を10c
ps以下に制御しなければならない。
【0046】本願発明においては、両性ポリアクリルア
ミド共重合体を連続添加する際の好ましい様態として
は、パルプスラリーの配管内に添加口が配管流路方向に
対して、反対側方向に添加口を設け、両性ポリアクリル
アミドを添加すると、パルプスラリーの流速とともに、
配管内で撹拌添加されるので、フロックの生成は少なく
なる。また、本願発明の両性ポリアクリルアミド共重合
体をスラリーに連続添加する場合の好ましい様態として
は、ヘッドボックスへスラリーをポンプアップ際に、フ
ァンポンプ前で添加することにより、パルプスラリー中
に生成したフロックが分散され、凝集物が生成されない
ように添加するので好ましい。
【0047】本発明の紙基体を抄造する際、その他通常
の抄紙工程で用いられる紙力増強剤、例えば植物性ガ
ム、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び、アニ
オン性ポリアクリルアミド等のアニオン性紙力増強剤、
カチオン性澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリ
アミドポリアミンエピクロルヒドリン等のカチオン性紙
力増強剤、さらには同一分子内にアニオン基とカチオン
基の両方を持つ両性紙力増強剤を併用することも可能で
ある。
【0048】また、湿潤紙力増強剤として、メラミン樹
脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、エピクロル
ヒドリン化樹脂などを適宜使用することが可能である。
また、定着剤として、硫酸アルミニウム、塩化アルミニ
ウムなどの多価金属塩、カチオン化澱粉などのカチオン
性ポリマーなど、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸
ソーダなどを、その他染料、有色顔料及び蛍光増白剤な
どを適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。さ
らに、填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウムなどを添加しても良い。
【0049】本発明により得られる紙基体は、填料、染
料、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、写真乳剤用カ
ブリ防止剤等、通常の抄紙工程で用いられる添加剤を必
要に応じて添加してもよい。
【0050】本発明に用いられるサイズ剤としては、高
級脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導
体、ジアルキルケテンダイマー、アルケニルあるいはア
ルキルコハク酸塩、エポキシ化脂肪酸アミド、多糖類エ
ステルなどが使用される。特に好ましくは、アルキルケ
テンダイマーと高級脂肪酸塩との組み合わせで使用する
のが良い。
【0051】また、本発明の実施に用いられる紙基体
は、水溶性高分子添加剤をはじめとする各種の添加剤を
含有する液で、タブサイズもしくはサイズプレスするこ
とも可能である。本発明で使用される水溶性高分子添加
剤としては、例えば、澱粉、カチオン化澱粉、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフ
ェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、
ポリスチレンスルフォン酸ナトリウムなどが用いられ、
さらに、サイズ剤として、石油樹脂エマルジョン、スチ
レンー無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアン
モニウム塩、アルキルケテンダイマー乳化物、スチレン
−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体などのラテ
ックスまたはエマルション類が、帯電防止剤として、無
機電解質である、食塩、塩化カルシウム、ぼう硝など
が、吸湿性物質として、グリセリン、ポリエチレングリ
コールなどが、顔料として、クレー、カオリン、タル
ク、硫酸バリウム、酸化チタンなどが、pH調節剤とし
て、塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダなどが用いられ、そ
の他染料、着色顔料、蛍光増白剤などの添加剤を組み合
わせて使用することもできる。
【0052】紙基体の両面を被覆するために用いられる
ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン
等のα−オレフィンの単独重合体、α−オレフィンの共
重合体、及びそれらの各種重合体の混合物などから選ぶ
ことができる。特に好ましいポリオレフィン樹脂は、低
密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンを主体とする
これらの混合物である。ポリオレフィン樹脂の分子量に
は、特に制限はないが、通常は20,000〜200,
000の範囲であれば良い。ポリオレフィン樹脂被覆層
の厚さについては、特に制限はなく、従来の写真印画紙
用支持体の樹脂層の厚さに準じて決めることができる。
その厚さは通常10〜100μm、そして特に15〜5
0μmの範囲から選ばれる。写真乳剤の塗布される表面
を形成するポリオレフィン樹脂被覆層には、通常用いら
れる二酸化チタンをはじめとする白色顔料、充填剤等が
混合可能であり、さらに、蛍光増白剤、またはその他の
公知の添加剤が少量添加されていてもよい。本発明のポ
リオレフィン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体は、カ
ラー写真印画紙用紙、白黒写真印画紙用紙などに使用す
ることができる。
【0053】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳細に説明す
る。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0054】実施例1〜5および比較例1〜5 直列に接続した2台のダブルディスクリファイナーを用
いて、平均繊維長が0.55mmになるようパルプを叩
解した。濾水度は、カナディアン・スタンダード・フリ
ーネス・テスターで340mlに調節した。得られたパ
ルプスラリーに、サイズ剤としてアルキルケテンケテン
ダイマーを、また、紙力増強剤として、分子量が200
万、表1に記載されるカチオン強度を有する両性ポリア
クリルアミド共重合体(以下、表では、両性PAMと略
す)を、20cpsまで希釈して対パルプ1.0重量%
添加した。その後、パルプ成分が1重量%になるように
水で希釈した。このパルプスラリーを長網式抄紙機を用
いて170g/m2になるように抄紙し、紙基体とし
た。
【0055】抄造した紙基体の表面には、密度0.91
8g/cm3の低密度ポリエチレン100重量部に対し
て、10重量部のアナターゼ型酸化チタンを均一に分散
したポリエチレン樹脂組成物を、裏面には上記低密度ポ
リエチレン50重量部、密度0.962g/cm3の高
密度ポリエチレン50重量部を混合したポリエチレン樹
脂組成物を、それぞれ30μmになるように320℃
で、連続にそれぞれ樹脂塗工速度200m/分で溶融押
出コーティングし、写真印画紙用支持体を得た。
【0056】次に、評価方法について詳細に説明する。
写真印画紙は、SRP2014(FC製)により現像〜
乾燥された後、各評価に供された。 [浸込み] (1)浸込み深さ 浸込みについては、10倍のルーペで観察して、評価す
るべき写真印画紙の4辺で、着色している部分の長さを
測定した。0.50mmが許容される上限である。 (2)着色 さらに、現像処理後の写真印画紙用支持体を100枚重
ねて、裁断した面の着色について目視判定を行った。裁
断面の着色が全くないものを1、僅かに着色が認められ
るものを2、市場に流通されている写真印画紙の平均的
な着色レベルのものを3、市場に流通されているよりも
やや悪く着色しているものを4、そして製品として実用
に適さない着色をするものを5としてグレード付けし
た。本願発明においては、3が許容限度である。
【0057】実施例1〜5、及び比較例1〜5につい
て、得られた写真印画紙用支持体の現像処理液の浸込み
深さ、着色についての評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜5において、両性ポリアクリルアミド共重合体のカチ
オン強度が、pH7.0において、0.0meq/gを
超えて15.0meq/g以下の範囲で、写真印画紙用
支持体の現像処理後の切断面の浸込みや着色が優れてい
ることがわかる。これに対して、比較例1、2、3のカ
チオン強度が0.0meq/g未満である場合、また、
カチオン強度が15.0meq/gを超える場合である
比較例4、5については、写真印画紙用支持体の切断面
への現像処理液の浸込みや着色が著しく悪いため、製品
としての実用性は失われる。比較例3は、像処理液の浸
込みや着色に関しては、多少良いレベルであるが、実用
レベルまでは達しないので製品としては不可である。
【0060】実施例6〜13 実施例3と同様に、平均繊維長が0.55mmになるよ
うパルプを叩解し、濾水度は、カナディアン・スタンダ
ード・フリーネス・テスターで340mlに調整した。
得られたパルプスラリーに、サイズ剤としてアルキルケ
テンケテンダイマーを、また、紙力増強剤として、カチ
オン強度がpH7.0において+7.0meq/gで、
表2に記載される分子量を有する両性ポリアクリルアミ
ド共重合体を20cpsまで希釈後、対パルプ1.0重
量%添加した。その後、パルプ成分が1重量%になるよ
うに水で希釈した。このパルプスラリーを長網式抄紙機
を用いて170g/m2になるように抄紙し、紙基体と
した。これらの紙基体に、実施例3と同様にポリオレフ
ィン樹脂で被覆し、同様な手段で、浸込み深さおよび着
色性を評価した。これらの結果を、実施例3とともに表
2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】カチオン強度が+7.0meq/gにおい
て、両性ポリアクリルアミド共重合体の分子量が200
万以下の実施例6,7の場合、写真印画紙用支持体の切
断面への現像処理液の浸込み深さに関しては、特に支障
はないが、着色を抑える効果が少なくなる傾向を示す。
逆に、分子量が250万以上となる実施例11〜13の
場合、分子量が増大するとともに、浸込み深さおよび着
色が悪化する傾向を示し、製品レベルまでは改善されな
いばかりでなく、分子量が大きくなるほど、両性PAM
自体が有する凝集性が強く作用するため、着色が悪化す
る傾向を示し、分子量が450万の実施例13では、写
真印画紙用支持体の切断面が現像処理液により、着色す
るため、実用限度にあり、分子量が450万を超えると
さらに悪化することが予想され、製品としての実用性は
失われる可能性が高い。したがって、分子量が250万
を超えて大きくなるほど、現像処理液の浸込み深さはよ
り深くなり、着色は強くなるため、写真印画紙用支持体
の切断面への現像処理液の浸込みは低下する傾向を示
し、分子量200万を超えて250万未満が最適であ
る。
【0063】実施例14〜18 実施例3と同様に、平均繊維長が0.55mmになるよ
うパルプを叩解し、濾水度は、カナディアン・スタンダ
ード・フリーネス・テスターで340mlに調整した。
得られたパルプスラリーに、サイズ剤としてアルキルケ
テンケテンダイマーを、また、紙力増強剤として、カチ
オン強度がpH7.0において、+7.0meq/g
で、分子量が230万の両性ポリアクリルアミド共重合
体を20cpsまで希釈し、パルプに対して、表2に記
載される添加量をパルプスラリーに添加した。その後、
パルプ成分が1重量%になるように水で希釈した。この
パルプスラリーを長網式抄紙機を用いて170g/m2
になるように抄紙し、紙基体とし、実施例3と同様にポ
リエチレン樹脂で被覆し、写真印画紙用支持体を製造し
た。
【0064】次に、評価方法を詳細に説明する。 [剛度]テーバー剛度については、JIS−P−8125
(テーバー剛度試験機により測定される紙の剛度の尺
度)に準じて測定した。現像処理機内でトラブルのない
優れた搬送性を有する写真印画紙用支持体にするには、
少なくともテーバー剛度で16.0gf・cm以上が必
要であり、製品として合格とした。実施例14〜18の
評価結果を、実施例3とともに表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】表3の結果から明らかなように、実施例1
4のように両性ポリアクリルアミド添加量が少ないと、
浸込み深さが深くなるとともに、剛度向上の効果が少な
い。また、添加量が多くなると実施例18のように、写
真用支持体の切断面への現像処理液の着色が増加する傾
向を示す。さらに、実施例18のように両性ポリアクリ
ルアミド共重合体をパルプに対して6.0重量%と多く
添加しても、添加量に見合った剛度向上の効果は認めら
れず、頭打ち状態になり、経済性や工程内の汚れ等を考
慮すると、両性ポリアクリルアミド共重合体の添加量
は、実施例15〜17により、パルプに対して、0.3
重量%以上5.0重量%以下で添加することが好ましい
ことがわかる。
【0067】実施例19〜25 実施例3と同様に、平均繊維長が0.55mmになるよ
うパルプを叩解し、濾水度は、カナディアン・スタンダ
ード・フリーネス・テスターで340mlに調整した。
得られたパルプスラリーに、サイズ剤としてアルキルケ
テンケテンダイマーを、また、紙力増強剤として、カチ
オン強度がpH7.0において、+7.0meq/g
で、分子量が230万の両性ポリアクリルアミド共重合
体を20cpsまで希釈して、パルプ総量に対して1重
量%添加する際、表4に記載される比率でバッチ添加量
と連続添加に分けて添加した。バッチ添加と連続添加そ
れぞれの添加率等、ならびに諸評価結果を表4に示す。
バッチ添加はスタッフチェストに至る前に行い、連続添
加はヘッドボックスの直前に行った。その後、パルプ成
分が1重量%になるように水で希釈したパルプスラリー
を長網式抄紙機で170g/m2になるように抄紙し
た。得られた紙基体に、実施例3と同様に、加工処理速
度200m/分の高速でポリエチレン樹脂で被覆し、写
真印画紙用支持体を製造した。
【0068】次に、評価方法を詳細に説明する。 [クレーター状細孔]クレーター状細孔の評価は写真用
支持体の表面の2.0cm四方を10倍のルーペで拡大
して観察し、径0.04mm(実測40μm)以上の細孔
の数でグレード評価とし、クレーター状細孔グレードが
4以上になると写真用印画紙表面の光沢の低下等外観上
の支障をきたす。 グレード1:表面上に細孔は見られない グレード2:1〜10個見られる グレード3:11〜50個見られる グレード4:51〜100個見られる グレード5:101個以上見られる なお、測定は4箇所行い、その平均値で示す。実施例1
9〜25の評価結果を表4に、実施例3も合わせて示
す。
【0069】
【表4】
【0070】表4より明らかなように、実施例3は、両
性ポリアクリルアミド共重合体の添加手段として、バッ
チ添加だけで行う場合においても、写真印画紙用支持体
の切断面への現像処理液の浸込みおよび着色性も満足で
きる製品を製造することができる。実施例3のように、
バッチ添加の1箇所で添加を行う場合と比較して、実施
例19〜25のようにバッチ添加と連続添加の2箇所の
添加手段で行う場合は、ポリオレフィン樹脂被覆層の表
面のクレーター状細孔の減少だけでなく、写真印画紙用
支持体の剛度向上の効果は一層確実になることが判る。
実施例19および25においても、満足できる製品を製
造することが可能ではあるが、実施例19では、連続添
加量を増加させると、剛度が低下する傾向を示し、ま
た、実施例25のように連続添加量を少なくすると、ク
レーター状細孔が増加する傾向を示す。さらに、現像処
理液による写真印画紙用支持体の切断面への浸込み深さ
はかわりがないが、切断面への着色を考慮すると、好ま
しくは、実施例20〜24のように、バッチ添加量/連
続添加量の比率が1/4〜1/50の範囲に分けて両性
ポリアクリルアミド共重合体を添加することが好ましい
ことがわかる。
【0071】実施例26〜31 実施例22と同様に、平均繊維長が0.55mmになる
ようパルプを叩解し、濾水度は、カナディアン・スタン
ダード・フリーネス・テスターで340mlに調整し
た。得られたパルプスラリーに、サイズ剤としてアルキ
ルケテンケテンダイマーを、また、紙力増強剤として、
カチオン強度が+7.0meq/gで、分子量が230
万の両性ポリアクリルアミド共重合体を対パルプ総量1
重量%添加に対して、バッチ添加量90%と連続添加1
0%に分けて添加した。その際、両性ポリアクリルアミ
ド共重合体の希釈率を変更し、表5記載の粘度になるま
で希釈してから添加した。その後、パルプ成分が1重量
%になるように水で希釈したパルプスラリーを長網式抄
紙機で170g/m2になるように抄紙し、表5記載の
両性ポリアクリルアミド共重合体希釈粘度で添加し、紙
基体をそれぞれ抄造速度、200m/分で2週間連続し
て製造し、その間に紙基体に発生する異物故障により抄
紙機が停機した回数、および異物故障率を評価した。さ
らに、得られた紙基体に、実施例3と同様にポリエチレ
ン樹脂で被覆し、写真印画紙用支持体を製造した。これ
らの評価結果を表5に、実施例22も合わせて示す。
【0072】操業性に関する評価方法は、次の通りであ
る。製造時については、操業適性と故障点発生率で評価
を行った。 [操業適性] 操業適性の評価については、連続14日間操業を目標
に、その期間に紙基体に発生した故障点により、抄紙機
を何回停機させたかで評価した。 ◎:連続操業中停機なし ○:連続操業中停機1回 △:連続操業中停機2回 ×:連続操業中停機3回以上 [故障点発生率]写真印画紙用紙基体の故障点発生率に
ついては、抄紙機に敷設したオンライン検出器により、
紙基体に発生した故障点を、連続操業中の全故障点数÷
全巻取り本数×100として計算した。
【0073】
【表5】
【0074】なお、得られた写真印画紙用支持体、実施
例22、および26〜31については、現像処理液の切
断面へ浸込み深さは、0.30mm、着色グレード1〜
2、剛度18.8〜19.2cm・g、また、クレータ
ー状細孔グレードが1〜2と同じ水準で得られ、有意差
は認められなかった。実施例22においても、両性ポリ
アクリルアミド共重合体を20cpsの粘度まで希釈し
添加するだけでも、現像処理液の切断面への深さ、およ
び着色、剛度、クレーター状細孔および高速カッターに
おける裁断性も満足できる製品を製造することができ
る。しかしながら、連続的に紙基体を製造する場合に
は、紙基体に発生する異物故障のため、抄紙機の停機回
数が多くなり、操業性が著しく低下させてしまい、工程
における作業者の負担が増加するばかりでなく、操業性
が低下するため、経済性が非常に劣ることになってしま
い、いくら良い商品が生産できても、商業的には、致命
的な欠陥をすることになる。前述の通り、実施例26〜
31において、写真印画紙用支持体切断面への現像処理
液の浸込み深さ、および着色、剛度、クレーター状細孔
および高速カッターにおける裁断性について、特に品質
上の問題はない。ところが、表5より明らかなように、
長時間の連続操業においては、両性ポリアクリルアミド
共重合体を希釈粘度が20cps以上で添加する実施例
19の場合、両性ポリアクリルアミド共重合体を起因と
する異物故障が発生し易く、著しく操業性を低下させ
る。しかしながら、両性ポリアクリルアミド共重合体の
添加希釈粘度を下げていくと、紙基体の故障点が減少す
るとともに、欠点率も著しく軽減され操業性が良好にな
ることがわかる。
【0075】
【発明の効果】以上より、紙基体中に、pH7.0にお
いて、カチオン強度が0.0〜15.0meq/gの両
性ポリアクリルアミド共重合体を含有する写真印画紙用
支持体では、現像処理液の浸込み、特に切断面における
着色が改善される。また、両性ポリアクリルアミド共重
合体の分子量は、100万〜450万が良好で、さらに
好ましくは200万を超えて、250万未満の範囲にあ
る。また、上記構成要素に加え、両性ポリアクリルアミ
ドを対パルプ0.3〜5.0重量%添加することによっ
て、さらに写真印画紙用支持体の剛度が向上して、自動
現像処理機内での搬送性が良化できる。、更に確実なも
のとなる。紙基体を連続的に製造する場合、紙基体に添
加されるpH7.0において、カチオン強度が0.0を
超えて15.0meq/g以下である両性ポリアクリル
アミドを添加する際、両性ポリアクリルアミド共重合体
は、バッチ添加と連続添加を併用し、かつ、連続添加量
/バッチ添加量との比率を、1/4〜1/50の比率に
保持することによって、現像処理液の浸込み、自動現像
機内での搬送性が改良されるばかりでなく、溶融ポリオ
レフィン樹脂を高速加工時、樹脂被覆表面上の故障点で
あるクレーター状細孔を著しく軽減することができる。
また、両性ポリアクリルアミドを希釈粘度10cps以
下で添加することにより、紙基体の連続操業時の故障点
を著しく減少することができ、操業性を良化させる効果
を確実なものにできる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙基体の両面をポリオレフィン樹脂で被
    覆した写真印画紙用支持体において、該紙基体中に、p
    H7.0において、カチオン強度が0.0を超えて+1
    5.0meq/g以下の両性ポリアクリルアミド共重合
    体を含有してなることを特徴とする写真印画紙用支持
    体。
  2. 【請求項2】 該紙基体中に含まれる両性ポリアクリル
    アミド共重合体の分子量が200万を超えて、250万
    未満であることを特徴とする請求項1記載の写真印画紙
    用支持体。
  3. 【請求項3】 該紙基体中に、該両性ポリアクリルアミ
    ド共重合体を対パルプ0.3〜5.0重量%含有するこ
    とを特徴とする請求項2記載の写真印画紙用支持体。
  4. 【請求項4】 紙基体の両面をポリオレフィン樹脂で被
    覆した写真印画紙用支持体の製造方法において、該紙基
    体抄造時、pH7.0において、カチオン強度が0.0
    を超えて+15.0meq/g以下の両性ポリアクリル
    アミド共重合体を連続添加/バッチ添加=1/4〜1/
    50の比率で、添加することを特徴とする写真印画紙用
    支持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 該両性ポリアクリルアミド共重合体を、
    添加総量で、対パルプ0.3〜5.0重量%添加するこ
    とを特徴とする請求項4記載の写真印画紙用支持体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 該両性ポリアクリルアミド共重合体を1
    0cps以下の粘度まで希釈してから、パルプスラリー
    に添加することを特徴とする請求項4記載の写真印画紙
    用支持体の製造方法。
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