JPH1115106A - 樹脂被覆写真印画紙用支持体とその製造方法、及び紙基体に使用されるパルプの叩解方法 - Google Patents

樹脂被覆写真印画紙用支持体とその製造方法、及び紙基体に使用されるパルプの叩解方法

Info

Publication number
JPH1115106A
JPH1115106A JP16252197A JP16252197A JPH1115106A JP H1115106 A JPH1115106 A JP H1115106A JP 16252197 A JP16252197 A JP 16252197A JP 16252197 A JP16252197 A JP 16252197A JP H1115106 A JPH1115106 A JP H1115106A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulp
paper
resin
photographic printing
printing paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16252197A
Other languages
English (en)
Inventor
Akitoshi Kajiwara
明敏 梶原
Masayoshi Fukuzumi
正芳 福積
Takashi Suzuki
隆司 鈴木
Takeshi Yamazaki
健 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to JP16252197A priority Critical patent/JPH1115106A/ja
Publication of JPH1115106A publication Critical patent/JPH1115106A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ロール状の写真印画紙にした際、現像処理機適
性、即ち、裁断性、ホールパンチ性、搬送性等が改良さ
れ、また、面質、処理液の浸込みも良好な樹脂被覆写真
印画紙用支持体とその製造方法、及び紙基体に使用され
るパルプの叩解方法を提供する。 【解決手段】紙基体の両面をポリオレフィン樹脂で被覆
した写真印画紙用支持体において、紙基体を構成するパ
ルプとして限定された比引き裂き強さを示すパルプを用
い、これを主として遊離状叩解し、平均繊維長0.50
mm〜0.60mmとし、特定の両性ポリアクリルアミ
ド共重合体を添加し、添加する際、バッチ添加と連続添
加を併用し、かつ、バッチ添加量と連続添加量の比率を
規定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙基体の両面をポ
リオレフィン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体(以
下、樹脂被覆写真印画紙用支持体ということもある)に
関する。さらに詳細には、表面の平滑性および面質が良
好で、また、裁断性及びホールパンチ適性が良好であ
り、かつ、剛度が高い、高速現像処理適性が良好な樹脂
被覆写真印画紙用支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、写真印画紙用支持体としては、現
像処理の迅速化を目的として、紙基体の両面にポリオレ
フィン樹脂等の耐水性樹脂を被覆した支持体が用いられ
ている。また、このような耐水性樹脂被覆支持体を用い
た印画紙の表面の形状には、光沢面、マット面、あるい
は絹目面等の模様付けしたものもあるが、これらの形状
は、支持体の写真乳剤層側ポリオレフィン層の表面に型
付けされた模様がそのまま印画紙表面に現れたものであ
る。このような耐水性樹脂被覆紙支持体に写真乳剤を重
層塗布する際、紙基体の平滑性が乏しいと、高速になれ
ばなるほど塗布ムラ等の品質故障を発生することが知ら
れている。塗布ムラ等の品質故障を回避するためには、
紙基体表面の平滑性を良化させる必要がある。
【0003】紙基体表面の平滑性を改良する方法とし
て、特開昭64−59350号公報では、平均繊維長
0.4〜0.9mm、保水度120〜190mlに叩解
したパルプを用いる方法が開示されている。しかし、平
均繊維長を短くした場合、一般的に紙基体表面の平滑性
は改良されるものの、紙基体の強度物性、特に剛度が低
下するため、現像処理機での通紙性が低下してしまう。
そのため、パルプ繊維同士を結着する必要があり、特殊
な接着力の強い紙力増強剤を多量に添加する等の諸問題
が発生する。この手段は通常パルプスラリーの凝集を促
進する方向なので、平滑性の改良と、樹脂被覆写真印画
紙用支持体の強度物性の向上との微妙なバランスが要求
される。この発明では、この問題を保水度を規定するこ
とによって補っているが、充分な改良方法とは言えな
い。
【0004】また、特開平6−282037号公報で
は、平均繊維長0.5〜0.7mmに叩解したパルプを
用い、かつ、加熱ソフトカレンダー処理する方法が開示
されている。しかしながら、この発明でも上述の出願と
同じ問題点を抱えている。また、この発明では、工程に
おいて、金属ロールとゴムロールを使用するため、加熱
により、金属ロールの膨張、及びゴムロールの劣化によ
り、幅方向での線圧制御が非常に難しく、そのため故障
点が多く発生し、経済的なデメリットを有する。また、
加熱ソフトカレンダー処理を行った紙基体は、紙基体段
階では平滑性が良好であるが、ポリオレフィン樹脂等で
被覆すると、熱履歴のためか地合が悪化するので、実用
上の使用は難しい。
【0005】さらに、特開平8−82891号公報で
は、平均繊維長0.4〜0.8mm、保水度130〜1
80mlに叩解したパルプを用い、かつ、紙基体坪量1
20g〜150g/m2の条件の下で、紙厚さを150
〜180μに保つ方法が開示されている。しかし、この
発明もまた、特開昭64−59350号公報と同じ問題
点を抱えている。
【0006】また、写真乳剤層を有するロール状写真印
画紙から写真プリントを作成するには、まず、この写真
印画紙ロールを小幅ロールにスリットし、その上に焼付
処理および現像処理を施し、これを所定の寸法のプリン
ト片に裁断する。一般に、この裁断工程は自動化されて
いるので、裁断前に、プリントされた印画紙小幅ロール
に小さい穴をあける、あるいは表面に印を付けることに
よりカッティングマークが設けられる。小さい穴をホー
ルパンチしてこの穴を読みとることにより裁断する場合
に、樹脂被覆写真印画紙用支持体のホールパンチ適性が
不良であるため、およそ0.5〜1mmの直径を有する
円形、又はそれと同等の大きさの四角形の穴がパルプ繊
維、又はポリオレフィン樹脂のひげ状にのびた毛羽立ち
によってふさがれてしまい、光電管等による検知が不可
能になり、印画紙が切断されないというトラブルが発生
することがある。
【0007】また、乳剤が塗布されたロール状印画紙
は、プリントされ現像処理された後、所定の大きさのシ
ートに裁断されるが、この裁断工程において、樹脂被覆
写真印画紙用支持体の裁断性が不良であると、所定の大
きさにシートが部分的に切れなかったり、極端な場合、
所定の大きさに裁断できず、繋がった状態で排出される
ことがある。前述のように、印画紙処理システムはほど
んど自動化されているので、切断不良が発生すると、マ
シンを止めて調整しなければならず、マシン全体が停滞
してしまい、マシンの運転効率が著しく低下してしま
う。この裁断不良は、現像処理の迅速化に伴い、裁断工
程での処理速度が早くなればなるほど、発生頻度が増加
する傾向にある。
【0008】次に、通常使用される裁断工程におけるカ
ッター部分について簡単に説明すると、カッターの構造
としては、可動式の上刃と固定式の下刃の2つの刃から
構成されている。印画紙は、高速で連続に搬送されなが
ら、押し切りカッターのように、挟むような形で、所定
の大きさのシートに裁断される。当然、上刃と下刃の間
には、所定の間隔をもって、裁断工程に配置されてい
る。裁断不良を発生した樹脂被覆印画紙の切口の断面写
真を観察すると、カッター上刃(前述の通り下刃は固定
しているので動かない)は、樹脂被覆層の厚み方向に対
して垂直に進入しているが、紙基体特定の厚みまで進入
すると、垂直に進入せず、厚み方向に対して斜めに進入
し、切口の断面部分が乱れており、パルプ繊維が裁断さ
れておらず、パルプ繊維が抜けていることがわかった。
この結果から、カッター上刃が紙基体の特定の厚み、す
なわち、カッターの上刃と下刃との間隔程度裁断される
と、紙基体の剛度が低下して、紙基体がたわむため、上
刃は、パルプ繊維を裁断する方向(紙基体に垂直な方向)
に力が加わらず、厚み方向に対して斜めに逃げる形とな
り、パルプ繊維を引き抜くようになるが、最後は、両カ
ッター刃の隙間に挟まれる結果、裁断できなくなること
が判明した。
【0009】原因としては、(1)迅速処理化に伴う単
位時間内の処理枚数の増加によるカッター刃の摩耗促
進、(2)長時間連続使用時に、カッター刃の固定部分
に緩みが発生し、上下カッター刃の間隔が拡大すること
による、最適なカッター間隔の調整不良の発生、(3)
裁断される際に、パルプ繊維間の滑りにより、繊維が抜
けるようになるため、裁断面に掛かる力が分散され、パ
ルプ繊維自体が裁断されるのではなく、パルプ繊維が引
き千切られる、等の結果、紙基体の裁断不良が発生する
ことが判明した。
【0010】裁断性、ならびに毛羽立ち性を改良する方
法として、特公平7−50315号公報では、ゼロスパ
ン引張り強さ(Z)と引張り強さ(T)の間に(Z−
T)≦8kgなる関係があるパルプを使用する方法が開
示されている。また、特開昭63−173045号公報
では、TappiT230 om−82で規定する粘度
が5〜12センチポイズのパルプを配合する方法が開示
されている。さらに、特開平1−229246号公報で
は、乾燥重量で5〜30%の針葉樹材と95〜70%の
広葉樹材とを原料チップの段階で混合して蒸解したパル
プを使用する方法等が開示されている。しかしながら、
これらの方法では、裁断後の毛羽立ち、ならびにホール
パンチ適性は改善されるが、裁断性については不十分で
あり、また、剛度が低下することによって現像処理機内
で搬送不良トラブルが発生するなど、現像処理時の作業
効率が低下するなどの問題が依然残る。
【0011】更に、印画紙に対する高速現像性、水洗、
裁断、印字、積層などの諸操作が自動的に行われる印画
紙処理システムにおいては、印画紙は適度の剛度を有す
ることが必要で、印画紙の剛度が不足すると、処理シス
テム内で搬送トラブルの発生の原因となる。印画紙の剛
度は、その支持体の紙基体の剛度に依存する。また、樹
脂被覆写真印画紙用支持体の剛度が低い場合には、現像
処理機内で、搬送不良トラブルが発生するため、諸対策
により紙基体の剛度を高くする必要がある。このトラブ
ルは特に高速現像処理機において、頻繁に発生する。
【0012】剛度を向上する方法として、よく知られて
いることは、紙基体の強度物性を向上させることであ
る。前述の公報にも述べられているように、パルプの種
類、叩解方法の最適化も有効な方法ではあるが、紙力増
強剤の選択、及び/または、紙力増強剤の増量が最も自
由度が高いと言える。
【0013】また、樹脂被覆写真印画紙用支持体は、現
像処理機での現像、定着工程において、支持体両端の切
り口からの処理液の浸込み量が多い場合、この部分が着
色し、かつ、膨れる、という問題が生ずる。このような
状態になった場合、商品価値はなくなってしまう。この
浸込み改良には、適切な紙力増強剤を用いる方法が多数
開示されている。
【0014】特公平1−23772号公報では、両性ポ
リ(メタ)アクリルアミド、及び反応性サイズ剤を用い
る方法が開示されている。また、特開平2−5040号
公報では、両性ポリ(メタ)アクリルアミド、サイズ
剤、及び湿潤強度増強剤を用いる方法が開示されてい
る。また、特開平6−167767号公報では、平均分
子量200万〜500万のポリアクリルアミドを用いる
方法が開示されている。また、特開平4−267250
号公報では、両性ポリアクリルアミド(A)、カチオン
性澱粉(B)、及び中性サイズ剤を用い、かつ、A/B
の重量比が1/20以上、1/1以下に保つ方法が開示
されている。しかしながら、いずれの公報でも、浸込み
の改良のみが追求されており、裁断性については一切述
べられていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ロー
ル状写真印画紙を所定の大きさに裁断する際に、一部分
が裁断されていなかったり、全く裁断されていないよう
な裁断不良トラブルの発生しない裁断性が良好である樹
脂被覆写真印画紙用支持体を提供することにある。ま
た、本発明の第二の目的は表面の平滑性が良好であり、
かつ、剛度が高いことにより現像処理機内で搬送不良が
発生せず、印画紙両端部の現像処理液の浸込み量が少な
い樹脂被覆写真印画紙用支持体を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、紙基体の両面
をポリオレフィン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体に
おいて、紙基体を構成するパルプの平均繊維長が0.5
0mm〜0.60mmであり、サイズ剤添加量が、対パ
ルプ0.20〜0.35重量%である樹脂被覆写真印画
紙用支持体により達成される。また、本発明は、紙基体
の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した写真印画紙用支
持体において、紙基体を構成するパルプの平均繊維長が
0.50mm〜0.60mmであり、サイズ剤が対パル
プ0.20〜0.35重量%添加され、かつ、両性ポリ
アクリルアミド共重合体が対パルプ0.1〜5.0重量
%添加された樹脂被覆写真印画紙用支持体により達成さ
れる。
【0017】本発明は、紙基体の両面をポリオレフィン
樹脂で被覆した写真印画紙用支持体において、紙基体を
構成するパルプの叩解に際し、2種以上のダブルディス
クリファイナーの叩解段を直列に接続し、前段に下式で
示す比I/Nが5から50の叩解段を用いて叩解し、し
かる後、後段に比I/Nが5未満の叩解段を用いて叩解
を行い、カナディアン・スタンダード・フリーネステス
ターで、濾水度が300ml以上になるよう、遊離状叩
解を主体とする叩解を行ったパルプを使用した紙基体で
あり、かつ、紙基体を構成するパルプの平均繊維長が
0.50mm〜0.60mmであり、サイズ剤を、対パ
ルプ0.20〜0.35重量%添加し、かつ、両性ポリ
アクリルアミド共重合体を対パルプ0.1〜5.0重量
%添加して得た紙基体を使用する樹脂被覆写真印画紙用
支持体により達成される。 N=(C/F)×10-10 I=(P/C)×106 C=8π2 GDqFln3ω(1+2tanφr)(R2 3
−R1 3)/3w(l+D) (但し、Iはインパクト強度、Nはインパクト回数、C
はCファクター、Fはパルプ通過量[Kg/S]、Pは
実効動力[W]、CFはパルプ濃度[比率]、Dはダブ
ルディスクリファイナーの溝の深さ[m]、qは水の密
度[kg/m3]、Gはダブルディスクリファイナーの溝の
巾[m]、lはパルプの繊維長[m]、nはダブルディ
スクリファイナーの単位当たりのバーの数[m-1]、ω
は角速度[S-1]、φrは数1で示される刃の角度[r
ad]、R1は刃の内径[m]、R2は刃の外径[m]、
wはパルプ繊維の粗度[Kg/m]である。) φr=(φ1+φ2)/2 (但し、φ1,φ2はプレートの扇形の直線と刃のなす
角度)
【0018】また、本発明は、紙基体の両面をポリオレ
フィン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体において、紙
基体を構成するパルプが、ビーターを用いて、カナディ
アン・スタンダード・フリーネステスターで濾水度が2
20mlになるように叩解し、JIS−P8210製紙
用パルプの強さ試験方法に準じて試料を作成し、JIS
−P8116紙及び板紙の引き裂き強さ試験方法により
測定した、坪量100g/m2換算の比引き裂き強さが
70〜100gfであるパルプ使用して、紙基体を構成
するパルプの平均繊維長が0.50mm〜0.60mm
であり、サイズ剤を、対パルプ0.20〜0.35重量
%添加し、かつ、両性ポリアクリルアミド共重合体を対
パルプ0.1〜5.0重量%添加して得た紙基体を使用
する樹脂被覆写真印画紙用支持体により達成される。
【0019】本発明は、紙基体の両面をポリオレフィン
樹脂で被覆した写真印画紙用支持体において、紙基体を
構成するパルプの平均繊維長が0.50mm〜0.60
mmであり、サイズ剤を、対パルプ0.20〜0.35
重量%添加し、かつ、平均分子量が70万〜250万で
あり、かつ粘度が6000〜25000cpsである両
性ポリアクリルアミド共重合体を対パルプ0.1〜5.
0重量%添加して得た紙基体を使用する樹脂被覆写真印
画紙用支持体により達成される。
【0020】本発明は、紙基体の両面をポリオレフィン
樹脂で被覆した写真印画紙用支持体の製造方法におい
て、パルプを平均繊維長0.50mm〜0.60mmに
叩解し、サイズ剤を対パルプ0.20〜0.35重量%
添加し、両性ポリアクリルアミド共重合体を対パルプ
0.1〜5.0重量%添加し、且つ、ポリアクリルアミ
ド共重合体を添加する手段において、バッチ添加手段と
連続添加手段を併用し、バッチ添加量と連続添加量との
比率が1:5〜1:1の条件で紙基体を製造することを
特徴とする樹脂被覆写真印画紙用支持体の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の紙基体を構成するパルプ
は、通常製紙用に使用される晒ケミカルパルプ、即ち、
針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹
サルファイトパルプ、広葉樹サルファイトパルプ等のい
ずれでも良く、また、2種以上のパルプを混合して用い
てもよい。本発明における平均繊維長は、偏光透過式繊
維長分析計で測定した重量平均繊維長である。重量平均
繊維長Lwは下記数1によって定義される。
【0022】
【数1】 但し、数1中のn1は、測定可能な長さをn等分したと
きの、i番目の区間に入る繊維の本数であり、liはi
番目の区間の中央値を表す。
【0023】パルプは、平均繊維長が0.50〜0.6
0mmになるよう、遊離状叩解を主体とする叩解を行な
い、これにパルプに対して0.20〜0.35%のサイ
ズ剤を添加する。平均繊維長が0.50mm未満である
と、紙基体の剛度が著しく低下して、現像処理機内での
搬送性が悪くなるので、実用に耐えない。逆に、平均繊
維長が0.60mmを超えると、樹脂被覆写真印画紙用
支持体の裁断性が著しく悪くなり、印画紙ロールが現像
処理機のカッターで切れないというトラブルが発生す
る。
【0024】本発明に用いられるサイズ剤としては、高
級脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導
体、ジアルキルケテンダイマー、アルケニルあるいはア
ルキルコハク酸塩、エポキシ化脂肪酸アミド、多糖類エ
ステルなどが使用される。特に好ましくは、アルキルケ
テンダイマーと高級脂肪酸塩との組み合わせで使用する
のが良い。
【0025】また、サイズ剤の添加率がパルプに対して
0.20%以下である場合、現像処理機での現像、定着
工程で印画紙ロールの両サイドの切り口からの処理液の
浸込み巾が著しく大きくなり、実用に耐えない。逆に、
サイズ剤の添加率がパルプに対して0.35%を超えた
場合、パルプ繊維間の滑り性が著しく上昇し、パルプ繊
維は切断されるよりも、抜けるようになり、繊維同士が
ずれて、紙基体が伸びて変形するような様態となり、カ
ッターの上刃と下刃の隙間に挟まることがあり、カッタ
ーでの裁断トラブルが発生する。
【0026】本発明において、紙基体の裁断性の改良効
果、ならびに、現像処理機内での搬送性の改良効果を一
層確実なものとするためには、紙基体を構成するパルプ
として、ビーターを用い、濾水度をカナディアン・スタ
ンダード・フリーネスで220mlに叩解した後、JI
S−P8210製紙用パルプの強さ試験方法に準じて作
成した試料を、JIS−P8116紙及び板紙の引き裂
き強さ試験方法によって測定した比引き裂き強さが、坪
量100g/m2換算で70〜100gfであるパルプ
を用いることが最も望ましい。比引き裂き強さが70g
f未満のパルプの場合は、裁断性は良化するが、剛度が
著しく低下し、現像処理機内で搬送不良が発生すること
があるので、現像時の作業性が低下する。比引き裂き強
さが、100gfを越えるパルプの場合は、剛度は高い
ものの、裁断性が悪くなるとともに、叩解における負荷
が増大するばかりか、叩解刃型の交換頻度が増大し、操
業上も、経済上も好ましくない。
【0027】本発明の、遊離状叩解を主体とする叩解に
よって、パルプの平均繊維長を0.50mm〜0.60
mmにカッティングする方法としては、下記方法が最適
である。即ち、パルプを、2種以上のダブルディスクリ
ファイナーの叩解段を直列に接続し、前段に下式で示す
比I/Nが5〜50の叩解段を用いて叩解し、しかる
後、後段に比I/Nが1未満の叩解段を用いて叩解を行
い、カナディアン・スタンダード・フリーネステスター
で、濾水度が300ml以上になるよう叩解する。 N=(C/F)×10-10 I=(P/C)×106 C=8π2 GDqFln3ω(1+2tanφr)(R2 3
−R1 3)/3w(l+D) (但し、Iはインパクト強度、Nはインパクト回数、C
はCファクター、Fはパルプ通過量[Kg/S]、Pは
実効動力[W]、CFはパルプ濃度[比率]、Dはダブ
ルディスクリファイナーの溝の深さ[m]、qは水の密
度[kg/m3]、Gはダブルディスクリファイナーの溝の
巾[m]、lはパルプの繊維長[m]、nはダブルディ
スクリファイナーの単位当たりのバーの数[m-1]、ω
は角速度[S-1]、φrは数1で示される刃の角度[r
ad]、R1は刃の内径[m]、 R2は刃の外径
[m]、wはパルプ繊維の粗度[Kg/m]である。) φr=(φ1+φ2)/2 (但し、φ1,φ2はプレートの扇形の直線と刃のなす
角度) 上記の式は、各種の叩解条件より叩解の内容を説明す
る、KereskesR.J.の理論式であり(Nor
dic Pulp and Paper Resear
ch Journal No.1/1990)、比I/
Nにより叩解段が遊離状叩解(パルプ繊維のカッティン
グが主体)であるか、粘状叩解(フィブリル化が主体)
であるか、その程度を表すことができる。比I/Nが大
きいほど遊離状叩解の程度が高くなる。叩解段の順を逆
にして、前段の比I/Nを5未満にすると、フィブリル
化が過度に進行して、パルプ繊維間の強度が強くなりす
ぎ、裁断性が悪化する。
【0028】本発明の両性ポリアクリルアミド共重合体
は、アクリルアミドあるいはメタアクリルアミドを主要
な単量体成分とし、かつ、カチオン基とアニオン基を有
する水溶性共重合体である。本共重合体はまた、ポリエ
チレンオキサイドを標準物質として、東洋曹達製TSK
−GEL PWタイプのカラムを使用したGPC法によ
って測定した共重合体の分子量が、70〜250万(以
下、本条件の下で測定した分子量を、単に分子量と略記
する。)であり、かつ、不揮発成分20%の水溶液、液
温25℃の条件下で、BM型粘度計のNo.3ローター
を使用し6rpmで測定した粘度が6000〜2500
0cps(以下、本条件の下で測定した粘度を、単に粘
度と略記する。)である共重合体である。
【0029】分子量が70万未満であり、粘度が600
0cps未満の場合は、樹脂被覆写真印画紙用支持体の
剛度の向上効果が認められない。剛度が低い樹脂被覆写
真印画紙用支持体を使用すると、現像処理機内で搬送不
良が発生するので、現像時の作業性が低下する。分子量
が70万未満であり、粘度が25000cpsを越えた
場合、十分な剛度が得られないばかりではなく、紙を抄
造する際、パルプが凝集しやすくなる。その結果、パル
プスラリー中に大きなフロックが生成され、地合が悪く
なり、面質が低下するので、写真印画紙としての商品価
値が著しく低下する。また、分子量が250万を越え
て、粘度が6000cps未満の場合は、剛度向上効果
が乏しい。分子量が250万を越え、粘度が25000
cpsを越えると、十分な剛度は得られるが、紙を抄造
する際、パルプが凝集しやすくなる。その結果、パルプ
スラリー中に大きなフロックが生成され、紙基体の地合
が悪くなり、面質が低下するので、最終的に得られる写
真印画紙の商品価値が低下する。上記の如く、粘度は高
くなりすぎればこれに伴ってパルプが凝集し易くなり、
低くなりすぎればこれに伴って剛度向上効果が低下する
ので、更に好ましい粘度の範囲は8000〜15000
cpsである。
【0030】本発明の両性ポリアクリルアミド共重合体
の添加率は、パルプに対して0.1%〜5.0%が適当
であり、更に好ましくは0.1%〜1.5%である。
0.1%より剛度の改良効果が認められる。以後、添加
量に伴って剛度をはじめ紙の強度物性も改良されるが、
過剰になれば剛度の改良効果は低くなり、一方、紙の強
度物性が上昇する結果、裁断性が悪化する傾向を示すの
で好ましくない。
【0031】本発明の両性ポリアクリルアミド共重合体
の効果を最大限に引き出す、すなわち、必要にして、か
つ、充分な添加量を最少にして、充分な紙基体の特性を
得る為には、添加方法は、バッチ添加と連続添加を併用
し、かつ、バッチ添加量と連続添加量の比率を、1:5
〜1:1の範囲に保つ必要がある。バッチ添加、或い
は、連続添加の一方を選択し、1ヶ所で添加した場合、
両性ポリアクリルアミド共重合体の定着率が低下する結
果、2ヶ所で添加した場合と比較して紙基体の剛度が低
くなる。これを補うために添加率を上げた場合、両性ポ
リアクリルアミド共重合体の量が一時的に大過剰になる
ため、フロックが生成し易くなるので、紙基体の面質が
悪くなる傾向を示す。結局、バッチ添加量と連続添加量
を特定の比率に規定することにより、1ヶ所で全量を添
加した場合と比較して、同じ添加率で剛度がより高くな
る。また、それぞれの箇所における添加量が分散、低減
されるので、フロックも生成し難くなる利点を有する。
【0032】本発明の紙基体を抄造する際、その他通常
の抄紙工程で用いられる紙力増強剤、例えば植物性ガ
ム、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び、アニ
オン性ポリアクリルアミド等のアニオン性紙力増強剤、
カチオン性澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリ
アミドポリアミンエピクロルヒドリン等のカチオン性紙
力増強剤、さらには同一分子内にアニオン基とカチオン
基の両方を持つ両性紙力増強剤を併用することも可能で
ある。
【0033】また、湿潤紙力増強剤として、メラミン樹
脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、エピクロル
ヒドリン化樹脂などを適宜使用することが可能である。
また、定着剤として、硫酸アルミニウム、塩化アルミニ
ウムなどの多価金属塩、カチオン化澱粉などのカチオン
性ポリマーなど、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸
ソーダなどを、その他染料、有色顔料及び蛍光増白剤な
どを適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。さ
らに、填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウムなどを添加しても良い。
【0034】本発明により得られる紙基体は、填料、染
料、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、写真乳剤用カ
ブリ防止剤等、通常の抄紙工程で用いられる添加剤を必
要に応じて添加してもよい。
【0035】また、本発明の実施に用いられる紙基体
は、水溶性高分子添加剤をはじめとする各種の添加剤を
含有する液で、タブサイズもしくはサイズプレスするこ
とも可能である。本発明で使用される水溶性高分子添加
剤としては、例えば、澱粉、カチオン化澱粉、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフ
ェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、
ポリスチレンスルフォン酸ナトリウムなどが用いられ、
さらに、サイズ剤として、石油樹脂エマルジョン、スチ
レンー無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアン
モニウム塩、アルキルケテンダイマー乳化物、スチレン
−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体などのラテ
ックスまたはエマルション類が、帯電防止剤として、無
機電解質である、食塩、塩化カルシウム、ぼう硝など
が、吸湿性物質として、グリセリン、ポリエチレングリ
コールなどが、顔料として、クレー、カオリン、タル
ク、硫酸バリウム、酸化チタンなどが、pH調節剤とし
て、塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダなどが用いられ、そ
の他染料、着色顔料、蛍光増白剤などの添加剤を組み合
わせて使用することもできる。
【0036】紙基体の両面を被覆するために用いられる
ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン
等のα−オレフィンの単独重合体、α−オレフィンの共
重合体、及びそれらの各種重合体の混合物などから選ぶ
ことができる。特に好ましいポリオレフィン樹脂は、低
密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンを主体とする
これらの混合物である。ポリオレフィン樹脂の分子量に
は、特に制限はないが、通常は20,000〜200,
000の範囲であれば良い。ポリオレフィン樹脂被覆層
の厚さについては、特に制限はなく、従来の樹脂被覆写
真印画紙用支持体の樹脂層の厚さに準じて決めることが
できる。その厚さは通常10〜100μm、そして特に
15〜50μmの範囲から選ばれる。写真乳剤の塗布さ
れる表面を形成するポリオレフィン樹脂被覆層には、通
常用いられる二酸化チタンをはじめとする白色顔料、充
填剤等が混合可能であり、さらに、蛍光増白剤、または
その他の公知の添加剤が少量添加されていてもよい。本
発明のポリオレフィン樹脂で被覆した印画紙用支持体
は、カラー印画紙用紙、白黒印画紙用紙などに使用する
ことができる。
【0037】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳細に説明す
る。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0038】実施例1〜12,及び比較例1〜5 比引き裂き強さが100gfである広葉樹晒クラフトパ
ルプ(LBKP)を、濃度4%で、比I/Nが10の叩
解段を前段とし、比I/Nが5の叩解段を後段とする、
直列に接続した2台のダブルディスクリファイナーを用
いて、平均繊維長が表1に示す値になるよう叩解した。
濾水度は、カナディアン・スタンダード・フリーネス・
テスターで280ml(平均繊維長0.47mmの場
合)、300ml(同0.50mm)、320ml(同
0.55mm)、340ml(同0.60mm)、36
0ml(同0.63mm)であった。得られたパルプス
ラリーに、サイズ剤としてアルキルケテンケテンダイマ
ーを、また、紙力増強剤として、分子量70万、粘度1
2000CPSの両性ポリアクリルアミド共重合体(以
下ポリアクリルアミド共重合体をPAMと略す:両性P
AM)を添加した。その後、パルプ成分が1%になるよ
うに水で希釈した。このパルプスラリーを長網式抄紙機
を用いて170g/m2になるように抄紙し、紙基体と
した。
【0039】抄造した紙基体の表面には、密度0.91
8の低密度ポリエチレン100重量部に対して、10重
量部のアナターゼ型酸化チタンを均一に分散したポリエ
チレン樹脂組成物を、裏面には上記低密度ポリエチレン
50重量%、密度0.962の高密度ポリエチレン50
重量%を混合したポリエチレン樹脂組成物を、それぞれ
30μmになるように320℃で押し出し溶融コーティ
ングし、樹脂被覆写真印画紙用支持体を得た。各実施
例、及び比較例の叩解後の平均繊維長、パルプに対する
サイズ剤添加率、及び両性PAM添加率、並びに、得ら
れた樹脂被覆写真印画紙用支持体の評価結果を表1に示
す。
【0040】
【表1】
【0041】次に、評価方法について詳細に説明する。 平均繊維長 本発明における平均繊維長は、偏光透過式繊維長分析計
で測定した重量平均繊維長である。測定は、フィンラン
ドのカヤーニ社製FS−100型機で行った。
【0042】裁断性 裁断性は、ノウリツ鋼機製ペーパーカッターC−20を
用いて評価を行った。ペーパーカッターの上刃と下刃と
の間隔を隙間ゲージにより、40,50,60,70,
80,90及び100μmの間隔に合わせ、樹脂被覆写
真印画紙用支持体を約2〜3mm間隔に10回裁断し
た。カット間隔は、40μmから順番に、10μm毎に
上刃と下刃の間隔を広げていき、支持体が切れなくなる
ようにして、支持体の切れ易さの指標とした。カット間
隔は、それぞれのカット間隔で、支持体が完全に切れた
カット間隔と切れなくなったカット間隔で平均を行い、
数値処理を行った。すなわち、それぞれの間隔で10回
切れた場合、それを間隔とし、また、その間隔での切れ
た回数に、10回切れた間隔を加えるにより、これをカ
ット間隔とした。現像処理機処理後の裁断機において、
評価すると、カット間隔が60μm以上あれば、通常の
現像処理機で切断できないことはない。さらに、好まし
くは、70μm以上のカット間隔を有せば、現像処理機
の裁断機の刃が鈍っても、切断することが可能である。
目安として、下記の評価基準を示す。 40μm…裁断機で切れなくなる状態が頻繁に起こる 50μm…裁断機で切れなくなることが偶に起こる 60μm…裁断機の刃の状態により、希に切れないこと
がある 70μm…裁断機で切れないことはない 70μm以上を合格とした。
【0043】剛度 テーバー剛度については、JIS−P−8125(テー
バー剛度試験機により測定される紙の剛度の尺度)に準
じて測定した。現像処理機内でトラブルのない優れた搬
送性を有する樹脂被覆写真印画紙用支持体にするには、
少なくともテーバー剛度で16.0gf・cm以上が必
要である。
【0044】写真印画紙は、SRP2014(FC製)
により現像〜乾燥された後、各評価に供された。 浸込み 浸込みについては、10倍のルーペで観察して、評価す
るべき写真印画紙の4辺で、着色している部分の長さを
測定した。0.50mmが許容される上限である。
【0045】面質 面質についてはプリント表面の目視観察により、面質の
非常に良いものを1、良いものを2、市場に流通されて
いる印画紙の通常レベルのものを3、やや悪いものを
4、そして悪いものを5としてグレード付けした。即ち
3が許容限度である。
【0046】表1記載の実施例2,3,4,及び比較例
1,2より、平均繊維長が0.50mm〜0.60mm
の範囲内であれば、カット間隔をはじめいずれの特性も
良好であるが、0.50mm未満である場合、剛度が低
下し、0.60mmを超えた場合、剛度は高いがカット
間隔が許容範囲に達しないことが判る。また、実施例
3,5,6,7,及び比較例3,4,5より、サイズ剤
添加率が0.20%〜0.35%の範囲内であれば、カ
ット間隔をはじめいずれの特性も良好であるが、0.2
0%未満である場合、浸込みが悪くなり、0.35%を
超えた場合、カット間隔が許容範囲に達しないことが判
る。また、実施例8,9,5,10,11,12より、
両性PAMの添加率が0.10%〜5.00%の範囲内
であれば、カット間隔をはじめいずれの特性も良好であ
る。未添加である実施例1と比較して、実施例8はサイ
ズ剤が多いにもかかわらず0.10%添加するのみで剛
度の改良効果が認められる。また、添加率1.20%迄
は増量による剛度の改良効果は大きいが、これを超えた
場合の効果は余り変わらない。
【0047】実施例3、13〜16 前段と後段のダブルディスクリファイナーの比I/N
を、それぞれ変化させた他の条件は、実施例3の条件に
準じて、パルプの平均繊維長0.55mm、サイズ剤を
対パルプ0.20%、両性PAMを対パルプ0.8%添
加して紙基体を製造し、樹脂被覆写真印画紙用支持体を
製造した。その評価結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】前段の比I/Nが10〜50で、かつ後段
の比I/Nが5未満である場合、カット間隔、剛度、面
質はいずれも良いレベルであるが、前段の比I/Nが
5、かつ、後段の比I/Nが10では紙基体の強度物性
が向上した結果、カット間隔がレベルとして悪くなると
共に、面質も許容限界まで低下した。また、前段の比I
/Nが60で、かつ、後段の比I/Nが5以上である場
合は、紙基体の強度物性が低下した結果、剛度がレベル
として低下すると共に、面質も許容限界まで低下した。
したがって、比I/Nの範囲は、本願が規定する範囲が
およそ限界であると考えられる。
【0050】実施例17〜20、5 5種の異なる比引き裂き強さを持つパルプを用いた他
は、実施例5の条件に準じて、パルプの平均繊維長0.
55mm、サイズ剤を対パルプ0.20%、両性ポリア
クリルアミド共重合体を対パルプ0.8%添加して紙基
体を製造し、樹脂被覆写真印画紙用支持体を製造した。
使用したパルプの比引き裂き強さ等、ならびにその評価
結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】樹脂被覆写真印画紙用支持体の剛度を、現
像処理機適性上必要な70gf以上に保つには、比引き
裂き強さがおよそ70gf以上のパルプを用いればよい
ことが判る。また、更に比引き裂き強さが強いパルプを
用いた場合、これに伴って樹脂被覆写真印画紙用支持体
の剛度は更に向上するが、同時にカット間隔もまた低下
し、比引き裂き強さが100gfを超えたパルプを用い
た場合、カット間隔がレベルとして低下することがわか
る。
【0053】実施例21,22,6,23〜25 分子量、及び粘度が異なる両性PAMを用いた他は実施
例6の条件に準じて、パルプの平均繊維長0.55m
m、サイズ剤を対パルプ0.30%、両性PAMを対パ
ルプ0.8%添加して紙基体を製造し、樹脂被覆写真印
画紙用支持体を製造した。このとき使用した両性PAM
の物性等、ならびに諸評価結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】表4より明らかな如く、両性PAMの分子
量が60万で、粘度が5000cpsである場合、樹脂
被覆写真印画紙用支持体の剛度が許容限度を僅かである
が下まわる。また、両性PAMの分子量が270万で、
粘度が28000cpsである場合、写真印画紙の面質
が許容限度まで低下する。以上より、およそ両性PAM
の分子量は70万〜250万、粘度は6000〜250
00cpsの範囲にあることが望ましいことが判る。ま
た、実施例6,23,24,25では、全ての特性値が
きわめて良いレベルを示していることから、更に好まし
い両性PAMの粘度の範囲は8000〜12000cp
s、多少の余裕を設ければ8000〜15000である
ことが判る。
【0056】実施例10,26〜30 両性PAMの添加場所を2箇所に分け、バッチ添加と連
続添加を併用した他は実施例10の条件に準じて、パル
プの平均繊維長0.55mm、サイズ剤を対パルプ0.
25%、両性PAMを合計対パルプ1.2%になるよ
う、表5記載のようにバッチ添加と連続添加に分けて添
加して、紙基体を製造し、樹脂被覆写真印画紙用支持体
を製造した。バッチ添加と連続添加それぞれの添加率
等、ならびに諸評価結果を表5に示す。バッチ添加はス
タッフチェストに至る前に行い、連続添加はヘッドボッ
クスの直前に行った。
【0057】
【表5】
【0058】両性PAMの添加をバッチ添加、または、
連続添加の何れか1箇所で行う場合と比較して、2箇所
で行う場合は樹脂被覆写真印画紙用支持体の剛度、並び
に処理液の浸込みが改良され、更に、バッチ添加の量と
連続添加の量の比率を1:1〜1:5の範囲に保つこと
により、その効果は一層確実になることが判る。
【0059】
【発明の効果】以上より、紙基体を構成するパルプの平
均繊維長が0.50mm〜0.60mmであり、かつ、
サイズ剤添加量が、対パルプ0.20〜0.35重量%
である紙基体を用いた樹脂被覆写真印画紙用支持体で
は、基本的に平滑性、処理液の浸込み性、裁断性、なら
びに剛度が改良される。また、上記構成要素に加え、両
性PAMを対パルプ0.1〜5.0重量%添加すること
によって、処理液の浸込み性、ならびに剛度の改良効果
が、更に確実なものとなる。また、紙基体を構成するパ
ルプの平均繊維長を0.50mm〜0.60mmにする
叩解の方法として、2種以上のダブルディスクリファイ
ナーの叩解段を直列に接続し、前述の比I/Nが5から
50の叩解段を用いて叩解し、しかる後、後段に比I/
Nが5未満の叩解段を用いて叩解を行い、カナディアン
・スタンダード・フリーネステスターで、濾水度が30
0ml以上になるよう、遊離状叩解を主体とする叩解を
行うことによって、裁断性と剛度の改良効果が、更に確
実なものとなる。また、紙基体を構成するパルプとし
て、比引き裂き強さが70〜100gfであるパルプを
選択することによって、裁断性と剛度の改良効果が、更
に確実なものとなる。また、紙基体に添加される両性P
AMとして、平均分子量が70万〜250万であり、か
つ粘度が6000〜25000cpsである両性PAM
を選択する事によって、剛度と平滑性の改良効果が、更
に確実なものとなる。また、両性PAMは、バッチ添加
と連続添加を併用し、かつ、バッチ添加量と連続添加量
との比率を、1:5〜1:1に保持することによって、
剛度と平滑性の改良効果が、更に確実なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図は本願発明に関わるダブルディスクリファイ
ナーに用いられる刃型の形状を示した概略図(平面
図)。
【符号の説明】
1 ダブルディスクリファイナーの刃 2 ダブルディスクリファイナーの溝 φ1 プレートの弦に対する刃の角度1 φ2 プレートの弦に対する刃の角度2 R1 プレートの内径 R2 プレートの外径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 健 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱 製紙株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙基体の両面をポリオレフィン樹脂で被
    覆した写真印画紙用支持体において、紙基体を構成する
    パルプの平均繊維長が0.50mm〜0.60mmであ
    り、サイズ剤添加量が、対パルプ0.20〜0.35重
    量%であることを特徴とする樹脂被覆写真印画紙用支持
    体。
  2. 【請求項2】 紙基体を構成するパルプの平均繊維長が
    0.50mm〜0.60mmであり、サイズ剤が対パル
    プ0.20〜0.35重量%添加され、かつ、両性ポリ
    アクリルアミド共重合体が対パルプ0.1〜5.0重量
    %添加されたことを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆
    写真印画紙用支持体。
  3. 【請求項3】 2種以上のダブルディスクリファイナー
    の叩解段を直列に接続し、前段に下式で示す比I/Nが
    5から50の叩解段を用いて叩解し、しかる後、後段に
    比I/Nが5未満の叩解段を用いて叩解を行い、カナデ
    ィアン・スタンダード・フリーネステスターで、濾水度
    が300ml以上になるよう、遊離状叩解を主体とする
    叩解を行うことを特徴とする請求項1または2記載の樹
    脂被覆写真印画紙用支持体に使用される紙基体のパルプ
    の叩解方法。 N=(C/F)×10-10 I=(P/C)×106 C=8π2 GDqFln3ω(1+2tanφr)(R2 3
    −R1 3)/3w(l+D) (但し、Iはインパクト強度、Nはインパクト回数、C
    はCファクター、Fはパルプ通過量[Kg/S]、Pは
    実効動力[W]、CFはパルプ濃度[比率]、Dはダブ
    ルディスクリファイナーの溝の深さ[m]、qは水の密
    度[kg/m3]、Gはダブルディスクリファイナーの溝の
    巾[m]、lはパルプの繊維長[m]、nはダブルディ
    スクリファイナーの単位当たりのバーの数[m-1]、ω
    は角速度[S-1]、φrは数1で示される刃の角度[r
    ad]、R1は刃の内径[m]、R2は刃の外径[m]、
    wはパルプ繊維の粗度[Kg/m]である。) φr=(φ1+φ2)/2 (但し、φ1,φ2はプレートの扇形の直線と刃のなす
    角度)
  4. 【請求項4】 紙基体を構成するパルプが、ビーターを
    用いて、カナディアン・スタンダード・フリーネステス
    ターで濾水度が220mlになるように叩解し、JIS
    −P8210製紙用パルプの強さ試験方法に準じて試料
    を作成し、JIS−P8116紙及び板紙の引き裂き強
    さ試験方法により測定した、坪量100g/m2換算の
    引き裂き強さが70〜100gfであるパルプであるこ
    とを特徴とする請求項2記載の樹脂被覆写真印画紙用支
    持体。
  5. 【請求項5】 紙基体に添加される両性ポリアクリルア
    ミド共重合体の平均分子量が70万〜250万であり、
    かつ粘度が6000〜25000cpsであることを特
    徴とする請求項2記載の樹脂被覆写真印画紙用支持体。
  6. 【請求項6】 紙基体の両面をポリオレフィン樹脂で被
    覆した写真印画紙用支持体の製造方法において、パルプ
    を平均繊維長0.50mm〜0.60mmに叩解し、サ
    イズ剤を対パルプ0.20〜0.35重量%添加し、両
    性ポリアクリルアミド共重合体を対パルプ0.1〜5.
    0重量%添加し、且つ、ポリアクリルアミド共重合体を
    添加する手段において、バッチ添加手段と連続添加手段
    を併用し、バッチ添加量と連続添加量との比率が1:5
    〜1:1の条件で紙基体を製造することを特徴とする樹
    脂被覆写真印画紙用支持体の製造方法。
JP16252197A 1997-06-19 1997-06-19 樹脂被覆写真印画紙用支持体とその製造方法、及び紙基体に使用されるパルプの叩解方法 Pending JPH1115106A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16252197A JPH1115106A (ja) 1997-06-19 1997-06-19 樹脂被覆写真印画紙用支持体とその製造方法、及び紙基体に使用されるパルプの叩解方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16252197A JPH1115106A (ja) 1997-06-19 1997-06-19 樹脂被覆写真印画紙用支持体とその製造方法、及び紙基体に使用されるパルプの叩解方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1115106A true JPH1115106A (ja) 1999-01-22

Family

ID=15756210

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16252197A Pending JPH1115106A (ja) 1997-06-19 1997-06-19 樹脂被覆写真印画紙用支持体とその製造方法、及び紙基体に使用されるパルプの叩解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1115106A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008231645A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Harima Chem Inc 紙用剛度向上剤並びに当該剛度向上剤を塗工した紙

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008231645A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Harima Chem Inc 紙用剛度向上剤並びに当該剛度向上剤を塗工した紙

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4331508A (en) Photographic support
JPH0913298A (ja) 吸水性を改良した印刷用紙、新聞印刷用紙、並びにその製造方法
JP3512647B2 (ja) 印刷用塗工紙
JPH0970570A (ja) 記録材料用支持体の製造方法
JP3067332B2 (ja) オフセット用中質塗工紙
JPH1115106A (ja) 樹脂被覆写真印画紙用支持体とその製造方法、及び紙基体に使用されるパルプの叩解方法
US4927495A (en) Support for photographic printing paper
JP4523255B2 (ja) オフセット印刷用新聞用紙とその評価方法
JP2770949B2 (ja) 写真印画紙用支持体
JP2671154B2 (ja) 写真印画紙用支持体
JPS63173045A (ja) 写真印画紙用支持体
JP2004277900A (ja) 写真印画紙用紙の製造方法
JPS63210841A (ja) 写真印画紙用支持体
JPH0657686A (ja) オフセット輪転印刷用塗被紙用原紙
JPH0642048B2 (ja) 写真印画紙用支持体
JP2001117200A (ja) 写真印画紙用支持体及びその製造方法
JP2001180100A (ja) オフセット印刷用塗被紙
JPH06158579A (ja) 紙の製造方法
JP4180984B2 (ja) 写真印画紙用支持体の支持体用原紙
JP3017555B2 (ja) 写真用印画紙支持体
JPH0720604A (ja) 写真印画紙用支持体
JPH0841792A (ja) 画像記録媒体の製造方法
JPH0862777A (ja) 画像記録媒体の製造方法
JP2023121214A (ja) クラフト紙
JPH06146197A (ja) 軽量顔料塗工紙の製造方法