JP2001114565A - 窒化珪素質焼結体とこれを用いた耐摩耗性部材 - Google Patents

窒化珪素質焼結体とこれを用いた耐摩耗性部材

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JP2001114565A
JP2001114565A JP29103699A JP29103699A JP2001114565A JP 2001114565 A JP2001114565 A JP 2001114565A JP 29103699 A JP29103699 A JP 29103699A JP 29103699 A JP29103699 A JP 29103699A JP 2001114565 A JP2001114565 A JP 2001114565A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】寿命のばらつきの少ない高信頼性の窒化珪素質
焼結体と耐摩耗性部品を提供する。 【解決手段】JIS Z 8729におけるL
表色系において表面または断面の明度Lが40〜8
5、彩度Cが30以下であり、かつ炭素成分が500
0ppm以下として窒化珪素質焼結体を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化珪素質焼結体
とこれを用いた耐摩耗性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素質焼結体は、高強度であり、耐
摩耗性に優れているため、耐摩耗部品の材料として期待
されている。耐摩耗部品としては、工作機械、自動車、
航空機、宇宙産業などで使用される軸受としての高負荷
用セラミックベアリングボールのニーズや、HDD用軸
受けとしてのセラミックベアリングボールのニーズが高
まっている。また、自動車の燃料噴射ポンプの高圧化に
伴うローラーなどの耐摩耗部品としても使用されてい
る。
【0003】窒化珪素質焼結体の焼結に際しては、窒化
珪素質焼結体の原材料である窒化珪素に自己焼結性がな
いため焼結助剤を添加して焼結を行っている。上記焼結
助剤としては、一般にY23などの希土類酸化物や、A
23、MgO、CaOなどの酸化物が組み合わされて
用いられている。そして、窒化珪素粉末にこれらの焼結
助剤を混合して成形した後、焼結を行うことにより窒化
珪素質焼結体を得ている。
【0004】上記焼結する方法としては、常圧下で行う
常圧焼結や窒素等による雰囲気加圧焼結などがある。さ
らに、高温で高いガス圧力で処理して機械的強度を向上
させるため、HIP(熱間静水圧加圧)処理を行う場合
もある。特に、軸受材料のような耐摩耗部品として用い
る場合は、材料に内在する微少な欠陥(気孔等)が転が
り疲労によって表面で剥離を起こす原因となるため、雰
囲気加圧焼結やHIP処理が用いられている。
【0005】このようにして得られた焼結体は、製品と
して精密加工された後、軸受部品などの耐摩耗部品とし
て使用される。
【0006】耐摩耗部部品は、表面ないしはその近傍の
表層に高い引っ張り応力を受けるために、表面ないしは
その近傍の表層に欠陥が存在しないことが重要であり、
特に、キズ、カケ、ボイド、気孔、異物、組織の異常な
どがないことが要求されている。これは、耐摩耗部品に
限定されるものではなく、構造用セラミック全般にいえ
ることである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、窒化
珪素質焼結体は、表面ないしはその近傍の表層に欠陥が
存在しないことが重要であり、キズ、カケ、ボイド、気
孔、異物、組織の異常などがないことが要求されてい
る。
【0008】しかしながら、窒化珪素質焼結体中に、一
次原料や製造工程時に混入したFe、Cr、Niの金属
異物が存在すると、焼結後に黒い斑点(以下、黒点と
略)となって、製品の表面に現れることがあり、軸受材
料として使用した場合に疲労による剥離を生じるという
問題がある。また、表面にキズ、カケ、ボイド等が存在
すると、破壊や、疲労による剥離の発生源となり、セラ
ミック焼結体としての性能が十分に発揮されない。
【0009】混入した金属異物を除去するために、スラ
リーを磁界に通して、鉄を除去する脱鉄方法が用いられ
ているが、金属不純物が珪化物であったりすると、磁石
に吸着されないため除去が不可能であり、また、脱鉄工
程以降に混入したものは除去が不可能であった。
【0010】また、キズ、カケ、ボイドは成形の段階で
発生する場合もあるが、焼成後の取り扱いによっても発
生する。
【0011】以上のような理由により、最終製品として
使用する前の段階で、いかに不良品を検査によって除去
できるかが重要なポイントとなるが、従来の窒化珪素質
焼結体は、色調的に明度が低いものが多く、黒点や、キ
ズ、カケ、ボイド等を判別しにくいという欠点があっ
た。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題に鑑
み、種々検討した結果、JIS Z 8729における
表色系において表面または断面の明度L
が40〜85、かつ色度a、bによって決定される
彩度C(C=((a2+(b21/ 2)が3
0以下の範囲内にある窒化珪素質焼結体であれば、黒点
やキズ、カケ、ボイド等を判別しやすく、不良品が良品
中に混入することが少なく、高信頼性のものを提供可能
であることを見出した。
【0013】また、上記範囲の明度、彩度にするために
は、含有するW、Fe、Cr、Moの含有量を合計20
00ppm以下、かつ炭素成分が5000ppm以下と
するか、または、Tiの窒化物を5〜50重量%含み、
かつ炭素成分を5000ppm以下とすることが重要で
あることを見出した。
【0014】また、酸化物換算で1〜30重量%の希土
類元素化合物から構成され、また、添加成分としてアル
ミニウム化合物を含み、酸化物換算した酸化アルミニウ
ム/希土類元素酸化物の重量比が0.1〜3であれば高
信頼性の窒化珪素質焼結体を提供可能である事を見出し
た。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】まず、本発明の窒化珪素焼結体は、JIS
Z 8729におけるL 表色系において表
面または断面の明度Lが40〜80、彩度Cが30
以下であることが特に重要である。
【0017】前述したように、高信頼性の窒化珪素質焼
結体を得るためには、黒点、キズ、カケ、ボイドの発生
した不良品を検査によって除去できるかが重要である。
そのためには、いかに不良品を判別しやすい製品を発明
するかが重要なポイントとなるが、明度L40〜8
5、彩度Cを30以下にすることで、黒点や、キズ、
カケ、ボイド等を容易に判別でき、高信頼性の焼結体と
なることを見出した。
【0018】まず、明度Lが40以上でなければなら
ない理由について説明する。
【0019】窒化珪素質焼結体の明度Lが40未満で
あれば、光のスペクトルを吸収し、焼結体自体の反射率
が低下し、黒点を識別することができず、良品の中に黒
点が露出したものが混入する。また、明度Lが40未
満であれば、光の反射が悪くなるため、製品のキズ、カ
ケ、ボイドなどが見にくくなるため、明度Lは40以
上が必要である。
【0020】明度Lの上限を85とした理由は、明度
が85を越える場合は緻密化不十分であり、窒化珪
素焼結体としての機械的特性を十分に発揮できないから
である。
【0021】したがって、焼結体の明度Lを40〜8
5、望ましくは50〜85にすることで、目視や自動外
観検査機で容易に黒点や、キズ、カケ、ボイドを識別で
き、かつ十分な機械的特性を有するようになり、耐摩耗
部品としての性能と信頼性が向上するのである。
【0022】さらには、JIS Z 8729における
表色系において、表面または断面の彩度C
が30以下であることが必要である。
【0023】彩度Cは次式によって表される。
【0024】C=((a2+(b21/2 ここでa※、b※は色度を表す。
【0025】彩度C※が30を越える場合は鮮やかな色
に近づく。このような色は、特に目視検査を行う場合
に、人の目の疲労が生じやすくなるためと思われるが、
不良品の見落としが多くなる傾向にあり、良品中に不良
品が混入しやすくなり、耐摩耗部品としての信頼性が低
下する傾向にあるが、自動検査装置を用いる場合には、
明度によって黒点を判別するため、彩度がこの範囲を越
えても判別は可能である。 また、製品が激しく湾曲し
たりして表面の観察が困難な場合、製品の一部を抜き取
り、その一部を切断して平滑にした面(断面)を観察し
ても良い。
【0026】また、上記色調の窒化珪素質焼結体を得る
ための第一の手段は、W、Fe、Cr、Moの含有量を
合計2000ppm以下とすることが重要である。これ
らの不純物は窒化珪素と反応し、珪化物として粒界に点
在する場合が多い。ところが、金属珪化物は光を吸収す
るため、セラミック焼結体の反射率が低下することが判
明した。したがって、これらの金属不純物を、2000
ppm以下にすることが、明度Lを40〜85、彩度
を30以下にするためには非常に重要である。
【0027】W、Fe、Cr、Moの含有量の測定は、
窒化珪素磁器を粉砕した後、フッ酸や硝酸等を含む20
0℃程度の加圧水溶液中で溶解して、原子吸光分析装置
もしくはICP(誘導結合プラズマ)分析装置等の装置
を用いて定量分析した。
【0028】また、金属不純物だけでなく、炭素成分を
5000ppm以下とすることも重要である。ここでい
う炭素成分とは、原料中に最初から混入しているもの
や、原料混合時に混入したもの、バインダーの脱脂不十
分のために残る炭素成分(残炭)、カーボンヒーターや
カーボン断熱材を用いた焼成炉から混入する炭素成分、
焼成時に成形体近くにおいてある炭化物やカーボンフェ
ルトなどからの混入などを指す。金属炭化物を添加した
場合は、ICPなどで金属成分を定量分析し、化学量論
比に相当する炭素量を、全炭素量から差し引いたものが
相当する。炭化珪素を添加した場合は、炭化珪素の化学
量論比に相当する炭素量を添加量から換算し、全炭素量
から差し引いたものが相当する。このような炭素成分が
焼結体中に5000ppm以上存在すると、明度L
小さくなり、黒点、キズ、カケ、ボイドなどが判別しに
くくなる。焼成前に存在する炭素成分は、350〜80
0℃程度の酸化処理を施したり、焼成時の雰囲気からの
炭素成分の混入防止については、焼成鉢(サヤ)内で焼
結させるなどの工夫が必要である。
【0029】上記色調とするための第二の手段として
は、Tiの窒化物を含み、その含有量が5〜50重量%
であり、かつ炭素成分が5000ppm以下であること
が重要である。Tiの窒化物(TiNまたはTi2N、
TiCを固溶したTiNC)は窒化珪素質焼結体中では
窒化珪素粒子の粒界として粒子状に点在する。
【0030】Ti窒化物の含有量と明度の関係は、明度
が大きな窒化珪素質焼結体に5重量%未満のTi窒化物
を含有すると明度が低下し、明度Lが40未満となる
が、5重量%を越えるとまた明度が大きくなる現象を発
見した。したがって、Ti窒化物は5重量%未満では明
度が小さくなり、黒点、キズ、カケ、ボイドなどが判別
しにくくなる。また、50重量%を越えると彩度C
30を越えるため、不良品の混入が増える。これに対
し、本発明の請求項のように含有するTiの窒化物を5
〜50重量%とすると、明度Lが40以上となり、黒
点、キズ、カケ、ボイドなどが判別しやすくなり、不良
品の混入の少ない、窒化珪素質焼結体が得られる。
【0031】Ti窒化物粒子を含有すると、その粒子分
散効果と窒化珪素粒子との熱膨張差による応力生成によ
る破壊靭性の向上という副産物も得られることが判っ
た。
【0032】Ti窒化物を含有する場合は、W、Fe、
Cr、Mo等の金属成分を2000ppm以上含んでも
よく、特にWを0.2〜5重量%の範囲で含有すると、
他の金属成分の偏析を防止しこれらを起点とした破壊を
防止することができる。また、添加物としてW化合物を
添加するとFe、Cr等の不純物をトラップし、これら
が破壊源となって強度が低下したり脱落が発生するのを
防止できる。
【0033】また、本発明の窒化珪素質焼結体は、酸化
物換算で1〜30重量%の希土類元素化合物を含有する
ことが好ましい。焼結助剤として希土類元素酸化物を用
いると、焼結助剤を酸化マグネシウムや酸化カルシウム
などを用いる場合より耐摩耗部品として好ましい。理由
は明確ではないが、粒界相の性質が異なり破壊靭性値に
差が生じるためと思われる。
【0034】特に希土類元素酸化物は焼結助剤として重
要であり、その量は1〜30重量%が望ましい。この範
囲を選んだ理由は、1重量%未満では緻密化させるため
に焼成温度を高温にする必要があるため、機械的特性が
低下する傾向にあるからであり、また、30重量%を越
えると窒化珪素の本来の特性、即ち機械的特性が低下す
る傾向にあるからである。
【0035】なお、本発明に用いられる希土類元素とし
ては、Y、Er、Yb、Luが望ましい。Ti窒化物を
含まない場合、Y、Luを使用すると薄い灰色を呈し、
Ybを使用した場合、薄い茶色を呈し、Erを使用した
場合は薄い桃色を呈し、いずれの場合も明度Lが40
以上となって、黒点、キズ、カケ、ボイドを容易に判別
できる。これらの元素中で、白い模様(粒界の脱落した
組織=樹枝状白色模様)が発生し難くなる点で特にY
b、Er等の重希土類元素が最も望ましい。
【0036】また、本発明の窒化珪素質焼結体を分析す
る事によって求めた酸素量から、SiO2以外の添加し
た酸化物の含有する酸素量を差し引き、残りの酸素がS
iO2となっていると仮定して計算したときに、SiO2
/希土類元素酸化物の重量比が5を越えると、焼成時に
分解成分が増加して表面にボイドが発生しやすくなり、
また、0.1未満であれば、SiO2−希土類元素酸化
物の反応による低融点組成から大幅に外れるため液相生
成が十分ではなく、焼結不良が発生して機械的特性の低
い焼結体になる。これに対し、該重量比が0.1〜5と
なるようにすると、耐摩耗性が良好な窒化珪素質セラミ
ック焼結体を得ることができる。なお、添加物を酸化物
以外の形態で添加したものは、焼成中に酸化物に変化し
たものとして酸化物換算の酸素量を差し引き計算した。
【0037】特に上記重量比(SiO2/希土類元素酸
化物)が0.3〜5であることが好ましく、この組成範
囲であると、Ti窒化物を除く粒界相が結晶化しにくい
ことを発見した。
【0038】Ti窒化物を除く粒界相が結晶化すると次
のような問題が生じる。
【0039】焼成中に液相となっている焼結助剤を主と
する成分が、冷却に伴いその一部または全てが結晶化す
ると、結晶化に伴う急激な体積収縮(体積収縮で数%)
が生じ、隣接する粒界の結晶あるいは過冷却状態の非晶
質部との間に隙間が生じ粒界相の欠落部(隙間)が発生
する。この粒界相の欠落部は、焼結体中で三次元的に連
なっており、焼結体断面を観察したときに樹枝上の白色
模様となる。この樹枝状白色模様は、一種のボイドであ
るため、窒化珪素質焼結体の機械的特性の低下をもたら
す。
【0040】したがって、Ti窒化物を除く粒界相が非
晶質化することによって、結晶化による粒界相の隙間が
生じず、樹枝状白色模様が発生しにくく、機械的特性が
向上することを発見した。重量比が、0.3未満であっ
ても焼成条件や、冷却条件、0.002〜2重量%のホ
ウ素の存在などによって、粒界相の非晶質化は達成でき
るが、0.3以上の組成域であると、更に非晶質化が容
易となる。重量比が5を越えると、前述したように、焼
成時に分解成分が増加して表面にボイドが発生しやすく
なる。
【0041】なお、SiO2は窒化珪素原料中に最初か
ら含まれていたものに加え、場合によっては焼結助剤と
して加えても構わないし、製造工程中で原料の酸化等に
よる増加や焼成分解等による減少が生じても構わない。
最終的な焼結体として、上記重量比(SiO2/希土類
元素酸化物)が0.1〜5の範囲にあることが重要であ
る。
【0042】さらに、副成分としてアルミニウム化合
物、好ましくは酸化アルミニウムを添加する方が焼結性
の点で望ましい。好ましい酸化アルミニウム量は、酸化
アルミニウム/希土類元素酸化物の重量比が0.1〜
3、さらに好ましくは、0.2〜2の範囲に選ばれる。
【0043】その理由は、酸化アルミニウム/希土類元
素酸化物比が3を越えると、破壊靭性値が低下するため
と思われるが機械的特性が低下する傾向にある。また、
酸化アルミニウム/希土類元素酸化物比が0.1未満に
なると、焼結性が悪くなり、圧砕荷重が低くなる傾向に
ある。
【0044】なお、酸化アルミニウムの一部を窒化アル
ミニウムに置き換えても構わないが、窒化アルミニウム
はTi窒化物以外の粒界相の結晶化を助長するので、酸
化アルミニウムの10重量%程度に留めた方がよい。
【0045】また、本発明の窒化珪素焼結体は、少なく
とも表面より1mmの範囲内の表層部において、10μ
m以上のボイドを含まないことが好ましい。耐摩耗性部
材として用いる窒化珪素焼結体は、すでに述べたよう
に、表面及び表面近傍の1mm付近までが特に重要であ
る。この領域にボイドが存在すると、剥離が発生した
り、また、表面を研削した際に10μm以上のボイドが
表面に露出して耐磨耗性部材が破壊したり、摺動時に異
音が発生し、製品として不適となる。該ボイドの大きさ
としては、10μm以下、さらに好ましくは5μm以下
であることが望ましい。
【0046】さらに、本発明の窒化珪素質焼結体は、四
点曲げ強度(JIS R 1601)が700MPa以
上、破壊靭性が4.0MPa√m以上、かつ、Hv10
硬度が13.0GPa以上の高強度、高靭性、かつ、高
硬度の機械的特性を有することができる。この特性以上
であれば、耐摩耗部品として優れた寿命を有することが
出来る。
【0047】次に、本発明の窒化珪素質焼結体の製造方
法を説明する。
【0048】出発原料は、W、Fe、Cr、Niの混入
が2000ppm以下、遊離炭素が5000ppm以下
の原料を使用する方が望ましい。
【0049】これらの原料粉末を所定量秤量し、公知の
混合方法、例えば回転ミルや振動ミル、バレルミルでI
PAやメタノール、水等を溶媒として混合する。場合に
よっては、溶媒を使わない乾式混合でも構わない。
【0050】できあがった混合粉末を所望の成形手段、
例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成
形、射出成形、鋳込み成形等により任意の形状にする。
成形手段によっては、スプレードライ等による造粒や、
水、有機バインダーと共にある一定粘度の杯土を作製す
るなどの準備も必要であるが、通常のセラッミクスの成
形手順に従えばよい。
【0051】成形後、乾燥、脱脂が必要な場合、窒素中
や真空中、大気中で、50℃〜1400℃の温度で加熱
処理する。
【0052】本発明では、明度Lを40〜85とする
ために、炭素成分を5000ppm以下とする必要があ
り、焼成前の段階で含有される炭素成分は、350〜8
00℃程度の酸化処理を施したり、焼成時の炭素成分の
混入には、焼成鉢(サヤ)内で焼結させるなどの工夫が
必要である。これは、バインダーの脱脂不十分のために
残る炭素成分(残炭)や、カーボンヒーターやカーボン
断熱材を用いた焼成炉から混入する炭素成分などが焼結
体に混入すると、明度が小さくなり、黒点などが判別し
にくくなるためである。焼成は、金属不純物を揮発させ
るために、少なくとも1100〜1400℃の温度域を
13Pa以下の真空中で処理した後、緻密化させること
も効果的である。
【0053】1100〜1400℃の温度域を13Pa
以下の真空中で焼成する理由について説明する。W、F
e、Cr、Mo等の金属不純物は、通常表面または内部
まで酸化された粒子の状態で存在する。これらの酸化物
は1100〜1400℃の温度域において13Pa以下
の真空にすることで蒸発し、金属不純物の含有量が減少
するのである。この温度域より低温の場合、または、真
空度が13Paより高い場合は、金属不純物の減少が不
十分であるが、少なくとも1100〜1400℃の温度
域を13Pa以下の真空状態であれば良いので、それよ
り低温から真空であっても構わない。また、1400℃
以上になると、焼結助剤成分が蒸発する場合があるが、
蒸気圧が高い成分を添加した場合は焼結助剤成分が蒸発
しにくいため、その場合は1400℃以上で真空であっ
ても構わない。また、金属不純物を蒸発させることが主
目的であるため、脱脂中に1100〜1400℃、13
Pa以下の状態に保持した後、別途焼成を行っても何ら
問題はない。
【0054】その後、窒素を含有した非酸化物雰囲気中
で1600℃〜2000℃で相対密度98%以上まで緻
密化させる。1800℃以上で焼成を行う場合は、窒化
珪素の分解が生じるので、100〜900kPa程度の
窒素分圧下で焼成する必要がある。
【0055】さらにこれらの焼成後、3〜200MPa
のN2ガス圧力中で焼成することによりより緻密な焼結
体を得ることができる。特に、耐摩耗部品としては、ボ
イドが小さいことが要求されるため3〜200MPaで
焼成することが重要となる。この際、3〜20MPaで
焼成する場合は1750〜2000℃が望ましく、20
MPaを越える場合は窒化珪素粒子の粒界滑りによる緻
密化が期待できるので、1600〜1750℃で焼成す
ることにより粒成長を抑制した焼結が可能となる。ま
た、成形体をガラス浴HIP法で焼成すると低温短時間
で緻密な焼結体が作製できるので、特に高強度を必要と
するセラミック部品や、耐摩耗性部品には好適である。
【0056】粒界相欠落部は、粒界相が結晶化すること
により生じる体積収縮に起因するものであるので、焼成
後の冷却速度は速いほうが良く、特に1600〜800
℃の温度領域を6時間、望ましくは3時間、さらに望ま
しくは30分以内で冷却させる方がよい。
【0057】また、特にホウ素を含有すると、粒界相の
ガラス化が促進され、焼成時に大量に製品を投入して
も、粒界相の結晶化が生じにくくなり、粒界相欠落部の
集合である樹脂状白色模様の発生が生じにくい。
【0058】この焼成により窒化珪素は、原料がα、β
のいずれの場合においても最終的にはβ−窒化珪素主結
晶相と粒界相を含む焼結体が得られる。特に希土類元素
酸化物、酸化アルミニウムを焼結助剤として用いた場合
は、希土類元素、アルミニウム、酸素および窒素を含む
粒界相からなり、またさらにホウ素を含有する場合は希
土類元素、アルミニウム、酸素、窒素およびホウ素を含
む粒界相からなる。
【0059】得られたセラミック製焼結体において、窒
化珪素の平均結晶粒径が(長径)が30μm以下、少な
くとも表面から1mmの範囲内の平均ボイド径が10μ
m以下の範囲内のものが、耐摩耗部品として好適に使用
される。また、Ti窒化物を含有する場合は、粒界相中
に1〜20μmのTi窒化物粒子が点在した組織のもの
が耐摩耗部品として好適に使用される。
【0060】以上のようにして作製された本発明の窒化
珪素質製焼結体は、優れた機械的特性を有する結果、耐
摩耗性材料として好適であり、かつ、検査工程で容易に
黒点、キズ、カケ、ボイドを選別できるため、不良品の
少ない信頼性の優れた耐摩耗部品となる。
【0061】以上の本発明のセラミック製焼結体は、種
々のセラミックス部品、例えばピストンピン、ローラー
ピン、ロッカーアームチップ、ローラーブッシュ、カム
ローラー、バルブ、高圧燃料噴射用ポンプのローラー等
の耐摩耗性部品、切削工具等の耐摩耗性部品、ベアリン
グボールなどに広く使用できる。
【0062】
【実施例】実施例1 以下、実施例を説明する。
【0063】金属不純物の含有量の異なる数種類の窒化
珪素粉末に表1に示す添加物を所定量加え、イソプロピ
ルアルコールとともにバレルミルで40Hr混合した。
混合後#500メッシュを通した後、乾燥した。この混
合粉末に水、有機バインダーを加え、20Hr混合後、
スプレードライにより原料顆粒を得た。この原料顆粒を
用いて、プレス成形により球状成形体を作製した。球状
成形体は、78.4MPaの圧力のCIPにより成形体
密度を均一化させた。
【0064】次にこの成形体を、窒素中500℃で脱脂
した後、大気中500℃で脱脂後、さらに表1に示した
条件で、8MPaのN2加圧中で相対比重98%以上ま
で緻密化させて、直径3/8インチの本発明セラミック
ボール焼結体を得た。
【0065】これらの焼結体の表面には、黒点やキズ、
カケ、ボイドが生じているものが見られたので、これを
不良品と判断して目視検査にて取り除き、残りを良品と
した。目視検査での不良品の判断基準は、倍率50倍の
暗視野像において見える約20μmの黒点、キズ、カ
ケ、ボイドが1個でもあるものを不良品とした。
【0066】良品と思われるセラミックボール10個に
ついて圧砕荷重を測定した。同じ寸法の2個の球を重ね
て圧縮荷重を加え、JIS−B−1501に準じ、イン
ストロン万能試験機によりクロスヘッドスピード5mm
/分で測定した。
【0067】また、セラミックボールの表面および断面
を、JIS Z 8729(L 表色系)に基
づき、分光測色計にて明度L、彩度Cを測定した。
なお、彩度Cは色度aを用いて、次式により換
算した。
【0068】 彩度C (C=((a2+(b21/2) 金属不純物の分析は、焼結体を粉砕し、ICP発光分光
分析法により定量分析した。
【0069】炭素成分の分析はJIS R 1603に
準じた方法により測定した。
【0070】これらの評価結果を表1にまとめた。
【0071】
【表1】
【0072】表1から明らかなように、金属不純物が2
000ppmを越える試料6、炭素成分が5000pp
mを越える試料7、8は明度が小さく、圧砕荷重のばら
つきが大きかった。また、明度が85を越える試料1は
緻密化不足であった。また、彩度が30を越える試料1
0も圧砕荷重のばらつきが大きかった。
【0073】本発明の範囲内である試料2〜5、9は圧
砕荷重のばらつきが小さく、高い信頼性を示した。
【0074】圧砕荷重が20kN未満のセラミックボー
ルの剥離の発生源は、Feが核となったボール表面の黒
点または、表面のキズ、カケ、ボイドであった。すなわ
ち、試料6、7、8、10は明度が小さい、または、彩
度が大きいために目視検査で黒点、キズ、カケ、ボイド
を判別できず、不良品を良品中として判断してしまった
ために、寿命の短いものが混入したものである。
【0075】この不良品が良品中に混入した割合を数値
化すると、本発明品の試料2、3、4、5、9が全て1
0個中1個以下であるのに対し、本発明の範囲外の試料
6、7、8、10はそれぞれ10個中6個、7個、7
個、4個となった。すなわち、本発明の範囲外の試料
は、黒点、キズ、カケ、ボイドの見落としが発生し、圧
砕荷重のばらつきが大きく、信頼性の低い試料となって
しまった。
【0076】以上の結果より、明度Lが40〜85、
彩度Cが30以下であり、W、Fe、Cr、Moの含
有量が合計2000ppm以下、かつ炭素成分が500
0ppm以下である本発明の窒化珪素質焼結体は、不良
品の混入が少なく、高信頼性となる。尚、炭素含有量に
関して、現行の炭素分析装置の検出限界は10ppm程
度であるが、検出限界よりも炭素量が少ないものがさら
に好ましいことは言うまでもない。
【0077】実施例2 平均粒径1μm、β率50%、Fe3000ppmの窒
化珪素粉末に表2に示す添加物を所定量加え、イソプロ
ピルアルコールとともにバレルミルで40Hr混合し
た。混合後#500メッシュを通した後、乾燥した。こ
の混合粉末に水、有機バインダーを加え、20Hr混合
後、スプレードライにより原料顆粒を得た。この原料顆
粒を用いて、プレス成形により球状成形体を作製した。
球状成形体は、78.4MPaの圧力のCIPにより成
形体密度を均一化させた。
【0078】次にこの成形体を、窒素中500℃で脱脂
した後、大気中350℃で脱脂後、さらに1900℃−
8MPaN2 加圧下のカーボンヒーター炉内で、窒化珪
素製サヤ中にセットして、相対比重98%以上まで緻密
化させて、直径3/8インチの本発明セラミックボール
焼結体を得た。
【0079】これらの焼結体の表面には、黒点やキズ、
カケ、ボイドが生じているものが見られたので、これを
不良品と判断して目視検査にて取り除き、残りを良品と
した。目視検査での不良品の判断基準は、倍率50倍の
暗視野像において見える約20μmの黒点、キズ、カ
ケ、ボイドが1個でもあるものを不良品とした。
【0080】良品と思われるセラミックボール10個に
ついて圧砕荷重を測定した。同じ寸法の2個の球を重ね
て圧縮荷重を加え、JIS−B−1501に準じ、イン
ストロン万能試験機によりクロスヘッドスピード5mm
/分で測定した。
【0081】また、セラミックボールの表面および断面
を、JIS Z 8729(L 表色系)に基
づき、分光測色計にて明度L、彩度Cを測定した。
なお、彩度Cは色度aを用いて、次式により換
算した。
【0082】 彩度C(C=((a2+(b21/2) Tiの分析は、焼結体を粉砕し、ICP発光分光分析法
により定量分析した。Tiの結晶相は粉末X線回折法に
より同定した。
【0083】炭素成分の分析はJIS R 1603に
準じた方法により測定した。
【0084】これらの評価結果を表2にまとめた。
【0085】
【表2】
【0086】表2から明らかなように、Ti窒化物が5
重量%未満の試料11、Ti窒化物を含まない試料1
9、Ti窒化物が50重量%を越える試料16、炭素成
分が5000ppmを越える試料20は明度、彩度が本
発明の範囲外であり、圧砕荷重のばらつきが大きかっ
た。
【0087】これに対し、本発明の範囲内である試料1
2〜15、17、18は圧砕荷重のばらつきが小さく、
高信頼性のものであった。特に、WO3を添加した試料
13、14は、Fe等が核となった黒点は全く見られず
良好な圧砕荷重を示した。
【0088】圧砕荷重が20kN未満のセラミックボー
ルの剥離の発生源は、Feが核となったボール表面の黒
点または、表面のキズ、カケ、ボイドであった。すなわ
ち、試料11、16、19、20は明度または彩度が本
発明の範囲外であるために目視検査で黒点、キズ、カ
ケ、ボイドを判別できず、不良品を良品中として判断し
てしまったために、寿命の短いものが混入したものであ
る。
【0089】この不良品が良品中に混入した割合を数値
化すると、本発明の範囲外の試料11、16、19、2
0はそれぞれ10個中5個、6個、7個、6個となった
のに対し、本発明品の請求範囲内の試料12〜15、1
7、18は全て10個中1個以下となった。すなわち、
本発明の範囲外の試料は、黒点、キズ、カケ、ボイドの
見落としが発生し、圧砕荷重のばらつきが大きく、信頼
性の低い試料となってしまった。
【0090】以上の結果より、明度Lが40〜85、
彩度Cが30以下であり、Ti窒化物の含有量が5〜
50重量%の範囲内で、かつ炭素成分が5000ppm
以下である本発明の窒化珪素質焼結体は、不良品の混入
が少なく、高信頼性となることが判った。
【0091】実施例3 平均粒径1μm、β率90%の窒化珪素粉末に表3に示
す添加物を所定量加え、イソプロピルアルコールととも
にバレルミルで40Hr混合した。その後#500メッ
シュを通した後、乾燥した。この混合粉末に水、有機バ
インダーを加え、20Hr混合後、スプレードライによ
り原料顆粒を得た。この原料顆粒を用いて、プレス成形
により球状成形体を作製した。球状成形体は、78.4
MPaの圧力のCIPにより成形体密度を均一化させ
た。
【0092】次にこの成形体を、N2中500℃で脱脂
した後、大気中350℃で脱脂後、さらに1950℃−
8MPaのN2加圧下のカーボンヒーター炉内で、窒化
珪素製サヤ中にセットして、相対比重98%以上まで緻
密化させて、直径3/8インチの本発明セラミックボー
ル焼結体を得た。
【0093】これらの焼結体の表面には、黒点やキズ、
カケ、ボイドが生じているものが見られたので、これを
不良品と判断して目視検査にて取り除き、残りを良品と
した。目視検査での不良品の判断基準は、倍率50倍の
暗視野像において見える約20μmの黒点、キズ、カ
ケ、ボイドが1個でもあるものを不良品とした。
【0094】良品と思われるセラミックボール10個に
ついて圧砕荷重を測定した。同じ寸法の2個の球を重ね
て圧縮荷重を加え、JIS−B−1501に準じ、イン
ストロン万能試験機によりクロスヘッドスピード5mm
/分で測定した。
【0095】また、セラミックボールの表面および断面
を、JIS Z 8729(L 表色系)に基
づき、分光測色計にて明度L、彩度Cを測定した。
なお、彩度Cは色度aを用いて、次式により換
算した。
【0096】 彩度C(C=((a2+(b21/2) 金属不純物(Fe、Cr、Ni、Wの合計)、Tiの分
析は、焼結体を粉砕し、ICP発光分光分析法により定
量分析した。
【0097】希土類元素やアルミニウム等の焼結助剤成
分は、ICP発光分光分析法により金属元素としての定
量分析を行い、それらが酸化物として存在すると仮定し
て算出した。
【0098】SiO2量は、JIS R 1603に準
じた方法により測定した酸素量から、SiO2以外の添
加した酸化物(焼結助剤酸化物など)の含有する酸素量
を差し引き、残りの酸素がSiO2となっていると仮定
して計算した。
【0099】Tiの結晶相は粉末X線回折法により同定
した。
【0100】炭素成分の分析はJIS R 1603に
準じた方法により測定した。
【0101】これらの評価結果を表3にまとめた。
【0102】
【表3】
【0103】表3から明らかなように、希土類酸化物の
量が1重量%未満の試料22は緻密化不足であり、窒化
珪素質焼結体として評価できなかった。また、希土類酸
化物を用いない試料21と、希土類酸化物の量が30重
量%を越え、SiO2/希土類酸化物の重量比が0.1
未満の試料28は、圧砕荷重が低く、機械的特性が低い
ものであった。
【0104】これに対し、本発明の範囲内である試料2
3〜27、29〜31は明度、彩度ともに発明の範囲内
であるため、圧砕荷重のばらつきが小さく、不良品の混
入率も10個中1個以下と少なかった。また、圧砕荷重
が高く、機械的特性に優れた窒化珪素質焼結体となっ
た。
【0105】以上の結果より、酸化物換算で1〜30重
量%の希土類元素化合物を含有する窒化珪素質焼結体
は、機械的特性に優れたものとなる。
【0106】さらには、SiO2/希土類酸化物の重量
比が0.3〜5の範囲内にある試料23〜26、29〜
31はさらに圧砕荷重が高く、いずれも最低値が20k
Nを越えていた。重量比が0.3未満の試料27は圧砕
荷重が比較的低く、その破壊の起点は、SEMで確認し
たところ、10個中7個が粒界相の脱落した組織の集合
体である樹枝状白色模様であった。
【0107】このことより、含有するSiO2成分と希
土類元素酸化物の重量比(SiO2/希土類元素酸化
物)が0.3〜5の範囲内にある窒化珪素質焼結体は粒
界相の脱落した樹枝状白色模様の生じることのない、さ
らに優れた機械的特性を有することが確認された。
【0108】実施例4 平均粒径1μm、β率90%の窒化珪素粉末に、表4に
示す添加物を所定量加え、イソプロピルアルコールとと
もにバレルミルで40Hr混合した。混合後#500メ
ッシュを通した後、乾燥した。この混合粉末に水、有機
バインダーを加え、20Hr混合後スプレードライによ
り原料顆粒を得た。この原料顆粒を用いて、プレス成形
により球状成形体を作製した。球状成形体は、圧力7
8.4MPaのCIPにより成形体密度を均一化させ
た。
【0109】次に、この成形体を窒素中500℃で脱脂
した後、大気中350℃で脱脂後、さらに1850℃−
8MPaのN2加圧下のカーボンヒーター炉内で、窒化
珪素製サヤ中にセットして、相対比重98%以上まで緻
密化させて、直径3/8インチの本発明セラミックボー
ル焼結体を得た。
【0110】これらの焼結体の表面には、黒点やキズ、
カケ、ボイドが生じているものが見られたので、これを
不良品と判断して目視検査にて取り除き、残りを良品と
した。目視検査での不良品の判断基準は、倍率50倍の
暗視野像において見える約20μmの黒点、キズ、カ
ケ、ボイドが1個でもあるものを不良品とした。
【0111】良品と思われるセラミックボール10個に
ついて圧砕荷重を測定した。同じ寸法の2個の球を重ね
て圧縮荷重を加え、JIS−B−1501に準じ、イン
ストロン万能試験機によりクロスヘッドスピード5mm
/分で測定した。
【0112】また、セラミックボールの表面および断面
を、JIS Z 8729(L 表色系)に基
づき、分光測色計にて明度L、彩度Cを測定した。
なお、彩度Cは色度aを用いて、次式により換
算した。
【0113】 彩度C(C=((a2+(b21/2 ) 金属不純物(Fe、Cr、Ni、Wの合計)、Tiの分
析は、焼結体を粉砕し、ICP発光分光分析法により定
量分析した。
【0114】希土類元素やアルミニウム等の焼結助剤成
分は、ICP発光分光分析法により金属元素としての定
量分析を行い、それらが酸化物として存在すると仮定し
て算出した。
【0115】SiO2量は、JIS R 1603に準
じた方法により測定した酸素量から、SiO2以外の添
加した酸化物(焼結助剤酸化物など)の含有する酸素量
を差し引き、残りの酸素がSiO2となっていると仮定
して計算した。
【0116】Tiの結晶相は粉末X線回折法により同定
した。
【0117】炭素成分の分析はJIS R 1603に
準じた方法により測定した。
【0118】これらの評価結果を表4にまとめた。
【0119】
【表4】
【0120】表4から明らかなように、酸化アルミニウ
ム/希土類酸化物の重量比が0.1未満の試料32は緻
密化不足であり、窒化珪素質焼結体として評価できなか
った。それ以外の試料は、明度、彩度ともに発明の範囲
内であるため、圧砕荷重のばらつきが小さく、不良品の
混入率も10個中1個以下と少なかったが、酸化アルミ
ニウム/希土類酸化物の重量比が3を越える試料40
は、圧砕荷重が低く、機械的特性が低いものであった。
【0121】これに対し、酸化アルミニウム/希土類酸
化物の重量比が0.1〜3である本発明の範囲内の試料
33〜39は圧砕荷重が高く、機械的特性に優れた窒化
珪素質焼結体となった。さらには、酸化アルミニウム/
希土類酸化物の重量比が0.2〜2である試料34〜3
8はさらに圧砕荷重が高く、いずれも最低値が20kN
を越えていた。
【0122】以上の結果より、酸化アルミニウム/希土
類酸化物の重量比が0.1〜3である窒化珪素質焼結体
は、機械的特性に優れたものになることが判明した。
【0123】実施例5 平均粒径1μm、β率90%の窒化珪素粉末に表5に示
す添加物を所定量加え、イソプロピルアルコールととも
にバレルミルで40Hr混合した。混合後#500メッ
シュを通した後、乾燥した。この混合粉末に水、有機バ
インダーを加え、20Hr混合後、スプレードライによ
り原料顆粒を得た。この原料顆粒を用いて、プレス成形
により球状成形体と抗折試験片を作製した。球状成形体
は、78.4MPaの圧力のCIPにより成形体密度を
均一化させた。抗折用試験片は78.4MPaの圧力に
て金型プレスした。
【0124】次にこの成形体を、窒素中500℃で脱脂
した後、大気中350℃で脱脂後、さらにカーボンヒー
ター炉内で、窒化珪素製サヤ中にセットして、表5に示
す温度条件、N2圧力下で相対比重98%以上まで緻密
化させて、直径3/8インチの本発明セラミックボール
焼結体と、4×5×40mmの抗折用試験片を得た。抗
折用試験片は、焼成した表面より1.0mm研削した部
分が抗折面になるように研削し、最終的には3×4×4
0mmのJIS R1601に準じる形状とした。
【0125】これらの焼結体の表面には、黒点やキズ、
カケ、ボイドが生じているものが見られたので、これを
不良品と判断して目視検査にて取り除き、残りを良品と
した。目視検査での不良品の判断基準は、倍率50倍の
暗視野像において見える約20μmの黒点、キズ、カ
ケ、ボイドが1個でもあるものを不良品とした。
【0126】良品と思われるセラミックボール5個につ
いて、スラスト型軸受試験機を用いて、SUJ板上で荷
重3920N、回転数1200rpmで回転させ寿命
(転がり疲労試験)を測定した。
【0127】また、セラミックボールの表面および断面
を、JIS Z 8729(L 表色系)に基
づき、分光測色計にて明度L、彩度Cを測定した。
なお、彩度Cは色度aを用いて、次式により換
算した。
【0128】 彩度C(C=((a2+(b21/2 ) 金属不純物(Fe、Cr、Ni、Wの合計)、Tiの分
析は、焼結体を粉砕し、ICP発光分光分析法により定
量分析した。
【0129】希土類元素やアルミニウム等の焼結助剤成
分は、ICP発光分光分析法により金属元素としての定
量分析を行い、それらが酸化物として存在すると仮定し
て算出した。
【0130】SiO2量は、JIS R 1603に準
じた方法により測定した酸素量から、SiO2以外の添
加した酸化物(焼結助剤酸化物など)の含有する酸素量
を差し引き、残りの酸素がSiO2となっていると仮定
して計算した。
【0131】Tiの結晶相は粉末X線回折法により同定
した。
【0132】炭素成分の分析はJIS R 1603に
準じた方法により測定した。
【0133】強度測定は、JIS R1601に準ずる
4点曲げ(抗折)試験を行い、10本の平均値を取っ
た。
【0134】抗折面であった部分を、1μmのダイヤモ
ンドペーストを用いて鏡面研磨した後、JIS B77
25に準じてHv10硬度を測定した。
【0135】破壊靭性値は、JIS R1607に準じ
た。
【0136】ボイドの平均サイズは、Hv10硬度測定
後の鏡面研磨された面にて、3000倍のSEM写真を
100μm×100μmの面積に相当するように撮影
し、画像解析を行って測定した。
【0137】強度、Hv10硬度、破壊靭性値、最大ボ
イドサイズは焼成時の表面より1mm研削した部分であ
るので、表面より1mm部分の特性に相当する。
【0138】これらの評価結果を表5にまとめた。
【0139】
【表5】
【0140】表5から明らかなように、焼成温度が16
00℃未満であり、最大ボイド径が10μmを越える試
料41は、強度が700MPa未満、破壊靭性値が4.
0MPa√m未満、かつ、HV10硬度が13.0GP
a未満の機械的特性の低い窒化珪素質焼結体となった。
その結果、寿命が最大120Hrであり非常に低寿命の
耐摩耗部品となった。また、焼成温度が2000℃を越
える試料49は、強度が700MPa未満、かつ、HV
10硬度が13.0GPa未満の機械的特性の低い窒化
珪素質焼結体となった。その結果、寿命が最大160H
rであり非常に低寿命の耐摩耗部品となった。また、T
i窒化物を含有せず炭素量が5000ppmを越え、金
属不純物が2000ppmを越えた試料50は、平均強
度(ばらつきは大)、Hv10硬度、破壊靭性値は本発
明の範囲内であったが、明度Lが40未満であり、寿
命のばらつきの非常に大きい耐摩耗部品となった。
【0141】これに対し、少なくともN2を含む5〜2
00MPaの非酸化性雰囲気中で1600〜2000℃
の温度で焼成し、表面より1mmの表層部において、平
均10μm以上のボイドを含まず、四点曲げ強度が70
0MPa以上、破壊靭性値が4.0MPa√m以上、か
つ、HV10硬度が13.0GPa以上である試料42
〜48は、寿命が全て300Hrを越えており、ばらつ
きの少ない、優れた耐摩耗性部品となった。
【0142】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、J
IS Z 8729におけるL表色系におい
て表面または断面の明度Lが40〜85、彩度C
30以下であり、炭素成分が5000ppm以下である
窒化珪素質焼結体とすることによって、黒点やキズ、カ
ケ、ボイド等を判別しやすく、不良品が良品中に混入す
ることが少なく、高信頼性の窒化珪素質焼結体と耐摩耗
部品を提供することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】JIS Z 8729におけるL
    表色系において表面または断面の明度Lが40〜8
    5、彩度Cが30以下であり、かつ炭素成分が500
    0ppm以下であることを特徴とする窒化珪素質焼結
    体。
  2. 【請求項2】W、Fe、Cr、Moの含有量が合計20
    00ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の窒化珪素質焼結体。
  3. 【請求項3】Tiの窒化物の含有量が5〜50重量%で
    あることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素質焼結
    体。
  4. 【請求項4】酸化物換算で1〜30重量%の希土類元素
    化合物を含有する請求項1〜3記載の窒化珪素質焼結
    体。
  5. 【請求項5】含有するSiO2成分と希土類元素酸化物
    の重量比(SiO2/希土類元素酸化物)が0.3〜5
    であることを特徴とする請求項4記載の窒化珪素質焼結
    体。
  6. 【請求項6】アルミニウムを含み、アルミニウムを酸化
    物換算した酸化アルミニウム/希土類元素酸化物の重量
    比が0.1〜3であることを特徴とする請求項4、5記
    載の窒化珪素質焼結体。
  7. 【請求項7】少なくとも表面より1mmの範囲内の表層
    部において、10μm以上のボイドを含まないことを特
    徴とする請求項1〜6記載の窒化珪素質焼結体。
  8. 【請求項8】四点曲げ強度(JIS R 1601)が
    700MPa以上、破壊靭性値(JIS R1607)
    が4.0MPa√m以上、かつ、HV10硬度(JIS
    B7725)が13.0GPa以上であることを特徴
    とする請求項1〜7記載の窒化珪素質焼結体。
  9. 【請求項9】請求項1〜8記載の窒化珪素質焼結体から
    なることを特徴とする耐摩耗性部材。
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