JP2001110674A - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法

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JP2001110674A
JP2001110674A JP28649499A JP28649499A JP2001110674A JP 2001110674 A JP2001110674 A JP 2001110674A JP 28649499 A JP28649499 A JP 28649499A JP 28649499 A JP28649499 A JP 28649499A JP 2001110674 A JP2001110674 A JP 2001110674A
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metal thin
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ceramic
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淳夫 長井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベースフィルムから金属薄膜のセラミックシ
ート上への転写性を向上させて安定した電気的特性を有
するセラミック電子部品の製造方法を提供することを目
的とする。 【解決手段】 ベースフィルム10上の第1の樹脂層1
1の上に第2の樹脂層12を形成し、この第2の樹脂層
12及び第1の樹脂層11上に薄膜形成法で金属薄膜1
3を形成し、セラミックシート16と金属薄膜13とを
ベースフィルム10,14ごと貼り合わせて、第2の樹
脂層12及びこの上に形成した内部電極2となる金属薄
膜13とをセラミックシート16に移行させて金属薄膜
13付きセラミックシート16を得、その後金属薄膜1
3付きセラミックシート16を積層して積層体を作製
し、焼成後外部電極を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば積層セラミッ
クコンデンサ等のセラミック電子部品の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図15はセラミック電子部品の一例とし
ての一般的な積層セラミックコンデンサの一部を破断し
て示す一部切欠斜視図である。図15において、1はセ
ラミック誘電体層、2は内部電極、3は外部電極であ
り、内部電極2は各々外部電極3に接続されている。
【0003】以下に従来の積層セラミックコンデンサの
製造方法について説明する。
【0004】まずセラミック誘電体層1となるセラミッ
クシートをチタン酸バリウム等の誘電体材料と、ポリビ
ニルブチラール等のバインダ成分と、ベンジルブチルフ
タレート等の可塑剤成分と、溶剤成分等とを混合し、ス
ラリー化した後ドクターブレード法を用いてポリエチレ
ンテレフタレート(以下PETとする)等のベースフィ
ルム上に形成する。
【0005】次に離型層を形成したPET等のベースフ
ィルム上に、所定のパターンの内部電極2となる金属薄
膜を薄膜形成法により複数形成する。
【0006】次いでベースフィルム上に形成した金属薄
膜をセラミックシート上に熱転写して積み重ねて積層体
を形成する。この積層体を所望の大きさに切断した後、
焼成し、両端面に外部電極3を設けることで積層セラミ
ックコンデンサとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この方法によるとベー
スフィルム上に離型層を介して金属薄膜を形成したにも
かかわらずセラミックシート上に熱転写する際、金属薄
膜がセラミックシート上に完全に転写しないことがあ
る。
【0008】この場合、内部電極2が非連続的な状態と
なり、十分な静電容量が得られなかったり、静電容量の
ばらつきが発生するといった問題点を有していた。
【0009】そこで本発明はベースフィルムから金属薄
膜のセラミックシート上への転写性を向上させて、安定
した電気的特性を有するセラミック電子部品の製造方法
を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のセラミック電子部品の製造方法は、支持体上
に第1の樹脂層を設ける第1工程と、次にこの第1の樹
脂層の上に所定のパターン形状を有する第2の樹脂層を
設ける第2工程と、次いで前記第2の樹脂層を覆うよう
に金属薄膜を薄膜形成法により形成する第3工程と、そ
の後前記金属薄膜がセラミックシートと接触するように
支持体ごとセラミックシートと重ね合わせて加圧する第
4工程と、次に前記支持体を剥離する第5工程と、次い
で前記セラミックシートと前記金属薄膜とが交互に積層
された積層体を作製する第6工程と、その後前記積層体
を焼成する第7工程とを備え、前記第1の樹脂層は前記
支持体との接着強度が前記第2の樹脂層との接着強度よ
りも大きく、前記第2の樹脂層は前記第1の樹脂層との
接着強度よりも前記金属薄膜との接着強度の方を大きく
したものであり、金属薄膜のベースフィルムからの離型
性が従来よりも向上するとともに所望の形状の金属薄膜
をセラミックシートに転写させることができるため上記
目的を達成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、支持体上に第1の樹脂層を設ける第1工程と、次に
この第1の樹脂層の上に所定のパターン形状を有する第
2の樹脂層を設ける第2工程と、次いで前記第2の樹脂
層を覆うように金属薄膜を薄膜形成法により金属薄膜を
形成する第3工程と、その後前記金属薄膜がセラミック
シートと接触するように支持体ごとセラミックシートと
重ね合わせて加圧する第4工程と、次に前記支持体を剥
離する第5工程と、次いで前記セラミックシートと前記
金属薄膜とが交互に積層された積層体を作製する第6工
程と、その後前記積層体を焼成する第7工程とを備え、
前記第1の樹脂層は前記支持体との接着強度が前記第2
の樹脂層との接着強度よりも大きく、前記第2の樹脂層
は前記第1の樹脂層との接着強度よりも前記金属薄膜と
の接着強度の方を大きくしたセラミック電子部品の製造
方法であり、所望の形状の金属薄膜をセラミックシート
に容易に転写することができ安定した電気的特性を有す
るセラミック電子部品を得ることができる。
【0012】請求項2に記載の発明は、セラミックシー
トの金属薄膜との接触面に第2の樹脂層よりも金属薄膜
との接着強度の大きな所定のパターンを有する第3の樹
脂層を設けた請求項1に記載のセラミック電子部品の製
造方法であり、さらに容易に所望の形状の金属薄膜をセ
ラミックシートに転写することができる。
【0013】請求項3に記載の発明は、第5工程後第6
工程前に金属薄膜に気体を吹き付ける工程を設けた請求
項1に記載のセラミック電子部品の製造方法であり、セ
ラミックシートに付着した所定のパターン以外の余分な
金属薄膜を容易に除去することができる。
【0014】請求項4に記載の発明は、第2の樹脂層よ
りも第3の樹脂層の方を大きくした請求項2に記載のセ
ラミック電子部品の製造方法であり、セラミックシート
に所望の形状の金属薄膜を転写することができる。
【0015】請求項5に記載の発明は、第3工程後第4
工程の前に金属薄膜上に第2の樹脂層と同じか大きい第
3の樹脂層を設ける請求項1に記載のセラミック電子部
品の製造方法であり、セラミックシートに所望の形状の
金属薄膜を転写することができる。
【0016】請求項6に記載の発明は、セラミックシー
トは少なくともセラミック原料とバインダと可塑剤とを
含有したものであり、第2、第3の樹脂層は前記セラミ
ックシート中に含まれるバインダと可塑剤とを含有した
ものである請求項1、請求項2または請求項5のいずれ
か一つに記載のセラミック電子部品の製造方法であり、
より容易にセラミックシートに金属薄膜を転写すること
ができる。
【0017】請求項7に記載の発明は、第1の樹脂層は
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン
樹脂、フッ素樹脂の内少なくとも1種類以上を含有した
ものである請求項1に記載のセラミック電子部品の製造
方法であり、支持体と第2の樹脂層との剥離を容易に行
うことができる。
【0018】以下、本発明の一実施の形態について、積
層セラミックコンデンサを例に図面を参照しながら説明
する。
【0019】図1は本発明の実施の形態1,4における
金属薄膜の製造工程を説明するための断面図、図2は本
発明の実施の形態1,2,3,5におけるセラミックシ
ートの製造工程を説明するための断面図、図3は本発明
の実施の形態1におけるセラミックシートへの金属薄膜
の転写工程を説明するための断面図、図4は本発明の実
施の形態1,2における金属薄膜付きセラミックシート
の断面図、図5は本発明の実施の形態1,2における積
層体の製造工程を説明するための断面図、図6は本発明
の実施の形態2,6における金属薄膜の製造工程を説明
するための断面図、図7は本発明の実施の形態2におけ
るセラミックシートへの金属薄膜の転写工程を説明する
ための断面図、図8は本発明の実施の形態3における金
属薄膜の製造工程を説明するための断面図、図9は本発
明の実施の形態3,4におけるセラミックシートへの金
属薄膜の転写工程を説明するための断面図、図10は本
発明の実施の形態3,4,5,6における金属薄膜付き
セラミックシートの断面図、図11は本発明の実施の形
態3,4,5,6における積層体の製造工程を説明する
ための断面図、図12は本発明の実施の形態4における
セラミックシートの作製工程を説明するための断面図、
図13は本発明の実施の形態5における金属薄膜の作製
工程を説明するための断面図、図14は本発明の実施の
形態5,6におけるセラミックシートへの金属薄膜の転
写工程を説明するための断面図であり、10は支持体と
してのベースフィルム、11は第1の樹脂層、12は第
2の樹脂層、13は金属薄膜、14は支持体としてのベ
ースフィルム、15は第4の樹脂層、16はセラミック
シート、17はプレス板、18は第3の樹脂層である。
【0020】また図15は一般的な積層セラミックコン
デンサの一部切欠斜視図であり、1はセラミック誘電体
層、2は内部電極、3は外部電極である。
【0021】(実施の形態1)まずチタン酸バリウム等
の誘電体材料と、ポリビニルブチラール系のバインダ成
分と、可塑剤成分としてジブチルフタレート、溶剤成分
として酢酸ブチルを混合し、スラリー化した後、ドクタ
ーブレード法を用いて図2に示すように第4の樹脂層1
5を形成したベースフィルム14上に厚み8μmのセラ
ミック誘電体層1となるセラミックシート16を形成す
る。この第4の樹脂層15はベースフィルム14からセ
ラミックシート16の離型性を良くするために設けたも
のであり、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂の内少なくとも1種類以
上を含有したものである。
【0022】一方、図1に示すようにベースフィルム1
0のほぼ全面に形成した厚み0.1〜1.0μm程度の
第1の樹脂層11の上に内部電極2となるようなパター
ンを有する第2の樹脂層12を形成する。次にこの第2
の樹脂層12及び第1の樹脂層11を被覆するように蒸
着法またはスパッタ法などの薄膜形成法で1.0μmと
均一な厚みを有するようにニッケルの金属薄膜13を形
成する。第1の樹脂層11はベースフィルム10から第
2の樹脂層12及び第2の樹脂層12上の金属薄膜13
の離型性を向上させるために設けたものであり、アクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、
フッ素樹脂の内少なくとも1種類以上を含有したもので
ある。第2の樹脂層12は、セラミックシート16中に
含有されるバインダ成分と可塑剤成分とを含有したもの
であり、本実施の形態1においてはポリビニルブチラー
ル系化合物とジブチルフタレートとを含有させたもので
ある。
【0023】次に図3に示すようにセラミックシート1
6と金属薄膜13とをベースフィルム10,14ごと貼
り合わせて、表面を平面のプレス板17で加熱すること
によりセラミックシート16および第2の樹脂層12中
のバインダ成分を軟化させ、また加圧することによりセ
ラミックシート16と金属薄膜13の接触面積を増大さ
せ、両者の接着性を誘発すると同時に第1の樹脂層11
から第2の樹脂層12およびこの第2の樹脂層12の上
に形成した内部電極2となる金属薄膜13のみをセラミ
ックシート16に移行させる。
【0024】次いで金属薄膜13側のベースフィルム1
0を第2の樹脂層12の形成されていない部分の金属薄
膜13をベースフィルム10に残した状態で剥離し、図
4に示すような金属薄膜13付きセラミックシート16
を得る。
【0025】次いでこの金属薄膜付きセラミックシート
16を所定の寸法に切断して、図5に示すようにセラミ
ックシート16と金属薄膜13とが交互に積層されるよ
うにベースフィルム14を剥がしながら100枚積層し
て積層体ブロックを得る。
【0026】その後積層体ブロックをチップ状に切断し
て積層体を得る。この積層体を大気中または窒素中で脱
脂した後、還元雰囲気中で焼成して焼結体を得る。次い
で内部電極2の露出した両端部に銅の外部電極3を形成
し、図15に示す積層セラミックコンデンサとなる。
【0027】この積層セラミックコンデンサについて、
セラミックシート16上への金属薄膜13の転写性およ
び積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、評価
を行った。
【0028】転写性については、第2の樹脂層12上の
金属薄膜13が転写後のベースフィルム10側に残留す
る割合を第2の樹脂層12上に形成した金属薄膜13の
全重量に対する割合で示している。
【0029】なお、比較のために、第2の樹脂層12を
形成していないベースフィルム10を用いて金属薄膜1
3を形成する従来の製造方法によるセラミックシート1
6への金属薄膜13の転写性及び積層セラミックコンデ
ンサの静電容量も測定した。この場合の転写性は、転写
されるべき金属薄膜13の全重量に対するベースフィル
ム10側に残留した割合で示した。
【0030】本実施の形態1及び比較例の転写性および
静電容量の測定結果を(表1)に示す。
【0031】
【表1】
【0032】(表1)を見るとわかるように本実施の形
態1のように第2の樹脂層12を設けた場合について
は、金属薄膜13の転写性が改善されていることがわか
る。
【0033】これは第1の樹脂層11と金属薄膜13の
接着強度よりも第1の樹脂層11と第2の樹脂層12と
の接着強度の方が小さく、かつ第2の樹脂層12と金属
薄膜13との接着強度が大きいためベースフィルム10
から第2の樹脂層12及びこの上に設けた金属薄膜13
のみを容易に離型させることができるためである。一
方、第2の樹脂層12を設けなかった比較例について
は、金属薄膜13の転写が不十分であるために十分な静
電容量が得られない。
【0034】さらに図5の積層工程に示すように第2の
樹脂層12が金属薄膜13と積層されるセラミックシー
ト16との接着強度を向上させることができる。
【0035】従って、ベースフィルム10上に第1の樹
脂層11及び第2の樹脂層12を介して金属薄膜13を
形成し、セラミックシート16上に転写することにより
内部電極2となる金属薄膜13の転写性を従来よりも向
上させることができる。その結果、金属薄膜13の転写
不良による静電容量のばらつきや低下といった積層セラ
ミックコンデンサとしての致命的な不良を抑制すること
ができ、歩留まりの向上に対して絶大な効果がある。
【0036】(実施の形態2)本実施の形態2が実施の
形態1と異なる点は金属薄膜13を内部電極2のパター
ンに形成するものである。すなわち、実施の形態1と同
様にして図2に示すセラミックシート16を作製する。
一方、図6に示すようにベースフィルム10のほぼ全面
に形成した厚み0.1〜1.0μm程度の第1の樹脂層
11の上に内部電極2と略同じパターンを有する第2の
樹脂層12を形成する。次にこの第2の樹脂層12上に
蒸着法またはスパッタ法などの薄膜形成法で内部電極2
と同じパターンの1.0μmと均一な厚みを有するニッ
ケルの金属薄膜13を形成する。
【0037】次に図7に示すようにセラミックシート1
6と金属薄膜13とをベースフィルム10,14ごと貼
り合わせて、表面を平面のプレス板17で加熱すること
によりセラミックシート16および第2の樹脂層12中
のバインダ成分を軟化させ、また加圧することによりセ
ラミックシート16と金属薄膜13の接触面積を増大さ
せ、両者の接着性を誘発すると同時に第1の樹脂層11
から第2の樹脂層12およびこの上に形成した内部電極
2となる金属薄膜13とをセラミックシート16に移行
させる。
【0038】次いで金属薄膜13側のベースフィルム1
0を剥離し、図4に示すような金属薄膜13付きセラミ
ックシート16を得る。
【0039】次いでこの金属薄膜13付きセラミックシ
ート16を所定の寸法に切断して、図5に示すようにセ
ラミックシート16と金属薄膜13とが交互に積層され
るようにベースフィルム14を剥がしながら100枚積
層して積層体ブロックを得る。
【0040】その後積層体ブロックをチップ状に切断し
て積層体を得る。この積層体を大気中または窒素中で脱
脂した後、還元雰囲気中で焼成して焼結体を得る。
【0041】次いで内部電極2の露出した両端部に銅の
外部電極3を形成し、図15に示す積層セラミックコン
デンサとする。
【0042】この積層セラミックコンデンサについて、
セラミックシート16上への金属薄膜13の転写性およ
び積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、評価
を行った。
【0043】転写性については、第2の樹脂層12上の
金属薄膜13が転写後のベースフィルム10側に残留す
る割合を第2の樹脂層12上に形成した金属薄膜13の
全重量に対する割合で示している。
【0044】なお比較のために、第2の樹脂層12を形
成していないベースフィルム10を用いて金属薄膜13
を形成する従来の製造方法によるセラミックシート16
への金属薄膜13の転写性及び積層セラミックコンデン
サの静電容量も測定した。この場合の転写性は、金属薄
膜13の全重量に対するベースフィルム10側に残留し
た割合で示した。
【0045】本実施の形態2及び比較例の転写性および
静電容量の測定結果を(表2)に示す。
【0046】
【表2】
【0047】(表2)を見るとわかるように本実施の形
態2のように第2の樹脂層12を設けた場合について
は、金属薄膜13の転写性が改善されていることがわか
る。
【0048】これは第1の樹脂層11と金属薄膜13の
接着強度よりも第1の樹脂層11と第2の樹脂層12と
の接着強度の方が小さく、かつ第2の樹脂層12と金属
薄膜13との接着強度が大きいためベースフィルム10
から第2の樹脂層12及びこの上に設けた金属薄膜13
を容易に離型させることができるためである。一方、第
2の樹脂層12を設けなかった比較例については、金属
薄膜13の転写が不十分であるために十分な静電容量が
得られない。
【0049】さらに図5の積層工程に示すように第2の
樹脂層12が金属薄膜13と積層されるセラミックシー
ト16との接着強度を向上させることができる。
【0050】従って、ベースフィルム10上に第1の樹
脂層11及び第2の樹脂層12を介して金属薄膜13を
形成し、セラミックシート16上に転写することにより
内部電極2となる金属薄膜13の転写性を従来よりも向
上させることができる。その結果、金属薄膜13の転写
不良による静電容量のばらつきや低下といった積層セラ
ミックコンデンサとしての致命的な不良を抑制すること
ができ、歩留まりの向上に対して絶大な効果がある。
【0051】(実施の形態3)実施の形態1と同様にし
て図2に示すようなセラミックシート16を作製する。
また図8に示すように第1及び第2の樹脂層11,12
を形成したベースフィルム10上に金属薄膜13を形成
した後、第2の樹脂層12上の金属薄膜13の上に第3
の樹脂層18を形成する。この第3の樹脂層18は第2
の樹脂層12と同じくセラミックシート16中のバイン
ダ成分及び可塑剤成分を含有したものである。
【0052】その後図9に示すように、セラミックシー
ト16と金属薄膜13とを第3の樹脂層18を介してベ
ースフィルム10,14ごと貼り合わせて、表面を平面
のプレス板で加熱することによりセラミックシート1
6、第2及び第3の樹脂層12,18中のバインダ成分
を軟化させ、また加圧することによりセラミックシート
16と第3の樹脂層18との接触面積を増大させ、両者
の接着性を誘発すると同時に第1の樹脂層11から第2
の樹脂層12と、この第2の樹脂層12の上に形成した
内部電極2となる金属薄膜13および第3の樹脂層18
とをセラミックシート16側に移行させる。
【0053】次いで金属薄膜13側のベースフィルム1
0を第2、第3の樹脂層12,18の形成されていない
部分の金属薄膜13をベースフィルム10に残した状態
で剥離し、図10に示すような金属薄膜13付きセラミ
ックシート16を得る。
【0054】次いでこの金属薄膜13付きセラミックシ
ート16を所定の寸法に切断して、図11に示すように
セラミックシート16と金属薄膜13とが交互に積層さ
れるようにベースフィルム14を剥がしながら100枚
積層して積層体ブロックを得る。
【0055】その後積層体ブロックをチップ状に切断し
て積層体を得る。この積層体を大気中または窒素中で脱
脂した後、還元雰囲気中で焼成して焼結体を得る。次い
で内部電極2の露出した両端部に銅の外部電極3を形成
し、図15に示す積層セラミックコンデンサとする。
【0056】この積層セラミックコンデンサについて、
セラミックシート16上への金属薄膜13の転写性およ
び積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、評価
を行った。
【0057】転写性については、第1、第2の樹脂層1
1,12上の金属薄膜13が転写後のベースフィルム1
0側に残留する割合を第2の樹脂層12上に形成した金
属薄膜13の全重量に対する割合で示している。
【0058】なお、比較のために、第2、第3の樹脂層
12,18を形成していないベースフィルム10を用い
て金属薄膜13を形成する従来の製造方法によるセラミ
ックシート16への金属薄膜13の転写性及び積層セラ
ミックコンデンサの静電容量も測定した。この場合の転
写性は、金属薄膜13の全重量に対するベースフィルム
10側に残留した割合で示した。
【0059】本実施の形態3及び比較例の転写性および
静電容量の測定結果を(表3)に示す。
【0060】
【表3】
【0061】(表3)を見るとわかるように本実施の形
態3のように第2の樹脂層12及び第3の樹脂層18を
設けた場合については、金属薄膜13の転写性が改善さ
れていることがわかる。一方、第2の樹脂層12を設け
なかった比較例については、金属薄膜13の転写が不十
分であるために十分な静電容量が得られない。
【0062】従って、ベースフィルム10上に第1の樹
脂層11及び第2の樹脂層12を介して金属薄膜13を
形成し、さらには第3の樹脂層18を形成してセラミッ
クシート16上に転写することにより内部電極2となる
金属薄膜13の転写性を従来よりも向上させることがで
きる。
【0063】また、図11に示すように第3の樹脂層1
8を設けたため積層体ブロック形成時には第2の樹脂層
12あるいは第3の樹脂層18を介してセラミックシー
ト16と金属薄膜13とが積層されることとなる。この
第2及び第3の樹脂層12,18は金属薄膜13とセラ
ミックシート16の接着性を向上させる結合剤の役割を
果たすこととなる。
【0064】従って実施の形態1,2よりもセラミック
シート16と金属薄膜13との接着性に優れた積層体ブ
ロックを得ることができるために、例えばデラミネーシ
ョンやヒビ割れといった構造欠陥の発生を抑制すること
ができる。
【0065】以上のことから、金属薄膜13の転写不良
による静電容量のばらつきや低下、構造欠陥の発生とい
った積層セラミックコンデンサとしての致命的な不良を
抑制することができ、歩留まりの向上に対して絶大な効
果がある。
【0066】(実施の形態4)まず図12に示すように
実施の形態1と同様にして第4の樹脂層15を形成した
ベースフィルム14上にセラミックシート16を作製す
る。実施の形態3では内部電極2と同じパターンの第3
の樹脂層18を金属薄膜13上に形成したが、本実施の
形態4ではセラミックシート16上に形成する。
【0067】また実施の形態1と同様にして図1に示す
ように第1及び第2の樹脂層11,12を形成したベー
スフィルム10上に金属薄膜13を形成する。
【0068】この第3の樹脂層18も実施の形態3で説
明した第3の樹脂層18と同様にセラミックシート16
中のバインダ成分及び可塑剤成分を含有したものであ
る。
【0069】次に図9に示すように、セラミックシート
16と金属薄膜13とを第3の樹脂層18を介してベー
スフィルム10,14ごと貼り合わせて、表面を平面の
プレス板で加熱することによりセラミックシート16、
第2及び第3の樹脂層12,18中のバインダ成分を軟
化させ、また加圧することにより第3の樹脂層18と金
属薄膜13との接触面積を増大させ、両者の接着性を誘
発すると同時に第1の樹脂層11から第2の樹脂層12
と、この第2の樹脂層12の上に形成した内部電極2と
なる金属薄膜13のみをセラミックシート16側に移行
させる。
【0070】次いで金属薄膜13側のベースフィルム1
0を、第2の樹脂層12の形成されていない部分の金属
薄膜13をベースフィルム10に残した状態で剥離し、
図10に示すような金属薄膜13付きセラミックシート
16を得る。
【0071】次いでこの金属薄膜13付きセラミックシ
ート16を所定の寸法に切断して、図11に示すように
セラミックシート16と金属薄膜13とが交互に積層さ
れるようにベースフィルム14を剥がしながら100枚
積層して積層体ブロックを得る。
【0072】その後積層体ブロックをチップ状に切断し
て積層体を得る。この積層体を大気中または窒素中で脱
脂した後、還元雰囲気中で焼成して焼結体を得る。次い
で内部電極2の露出した両端部に銅の外部電極3を形成
し、図15に示す積層セラミックコンデンサとする。
【0073】この積層セラミックコンデンサについて、
セラミックシート16上への金属薄膜13の転写性およ
び積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、評価
を行った。
【0074】転写性については、第1、第2の樹脂層1
1,12上の金属薄膜13が転写後のベースフィルム1
0側に残留する割合を第1、第2の樹脂層11,12上
に形成した金属薄膜13の全重量に対する割合で示して
いる。
【0075】なお、比較のために、第2、第3の樹脂層
12,18を形成していないベースフィルム10を用い
て金属薄膜13を形成する従来の製造方法によるセラミ
ックシート16への金属薄膜13の転写性及び積層セラ
ミックコンデンサの静電容量も測定した。この場合の転
写性は、転写されるべき金属薄膜13の全重量に対する
ベースフィルム10側に残留した割合で示した。
【0076】本実施の形態4及び比較例の転写性および
静電容量の測定結果を(表4)に示す。
【0077】
【表4】
【0078】(表4)を見るとわかるように本実施の形
態4のように第2の樹脂層12及び第3の樹脂層18を
設けた場合については、金属薄膜13の転写性が改善さ
れていることがわかる。一方、第2及び第3樹脂層1
2,18を設けなかった比較例については、金属薄膜1
3の転写が不十分であるために十分な静電容量が得られ
ない。
【0079】従って、ベースフィルム10上に第1の樹
脂層11及び第2の樹脂層12を介して金属薄膜13を
形成し、セラミックシート16上に転写することにより
内部電極2となる金属薄膜13の転写性を従来よりも向
上させることができる。
【0080】また、実施の形態3と同様に実施の形態
1,2と比較すると第3の樹脂層18を設けたため、図
11に示すように積層体ブロック形成時には第2の樹脂
層12あるいは第3の樹脂層18を介してセラミックシ
ート16と金属薄膜13とが積層されることとなる。こ
の第2及び第3の樹脂層12,18は金属薄膜13とセ
ラミックシート16の接着性を向上させる結合剤の役割
を果たすこととなる。
【0081】その結果実施の形態1,2よりもセラミッ
クシート16と金属薄膜13との接着性に優れた積層体
ブロックを得ることができるために、例えばデラミネー
ションやヒビ割れといった構造欠陥の発生を抑制するこ
とができる。
【0082】以上のことから、金属薄膜13の転写不良
による静電容量のばらつきや低下、構造欠陥の発生とい
った積層セラミックコンデンサとしての致命的な不良を
抑制することができ、歩留まりの向上に対して絶大な効
果がある。
【0083】(実施の形態5)実施の形態1と同様にし
て図2に示すように第4の樹脂層15を形成したベース
フィルム14上にセラミックシート16を作製する。
【0084】また、図13に示すようにベースフィルム
10上に実施の形態1と同様にして第1の樹脂層11を
形成した上に内部電極2と略同じパターンを有する第2
の樹脂層12を形成した上に、内部電極2と同じパター
ンを有する金属薄膜13及び第3の樹脂層18を順に形
成する。
【0085】次に図14に示すように、セラミックシー
ト16と金属薄膜13とを第3の樹脂層18を介してベ
ースフィルム10,14ごと貼り合わせて、表面を平面
のプレス板17で加熱することによりセラミックシート
16、第2及び第3の樹脂層12,18中のバインダ成
分を軟化させ、また、加圧することにより第3の樹脂層
18と金属薄膜13との接触面積を増大させ、両者の接
着性を誘発すると同時に第1の樹脂層11から第2の樹
脂層12、この上に形成した内部電極2となる金属薄膜
13をセラミックシート16側に移行させる。
【0086】次いで金属薄膜13側のベースフィルム1
0を剥離し、図10に示すような金属薄膜13付きセラ
ミックシート16を得る。
【0087】次いでこの金属薄膜13付きセラミックシ
ート16を所定の寸法に切断して、図11に示すように
セラミックシート16と金属薄膜13とが交互に積層さ
れるようにベースフィルム14を剥がしながら100枚
積層して積層体ブロックを得る。
【0088】その後積層体ブロックをチップ状に切断し
て積層体を得る。この積層体を大気中または窒素中で脱
脂した後、還元雰囲気中で焼成して焼結体を得る。次い
で内部電極2の露出した両端部に銅の外部電極3を形成
し、図15に示す積層セラミックコンデンサとする。
【0089】この積層セラミックコンデンサについて、
セラミックシート16上への金属薄膜13の転写性およ
び積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、評価
を行った。
【0090】転写性については、第2の樹脂層12上の
金属薄膜13が転写後のベースフィルム10側に残留す
る割合を第2の樹脂層12上に形成した金属薄膜13の
全重量に対する割合で示している。
【0091】なお、比較のために、第2、第3の樹脂層
12,18を形成していないベースフィルム10を用い
て金属薄膜13を形成する従来の製造方法によるセラミ
ックシート16への金属薄膜13の転写性及び積層セラ
ミックコンデンサの静電容量も測定した。この場合の転
写性は、金属薄膜13の全重量に対するベースフィルム
10側に残留した割合で示した。
【0092】本実施の形態5及び比較例の転写性および
静電容量の測定結果を(表5)に示す。
【0093】
【表5】
【0094】(表5)を見るとわかるように本実施の形
態5のように第2の樹脂層12及び第3の樹脂層18を
設けた場合については、金属薄膜13の転写性が改善さ
れていることがわかる。一方、第2及び第3樹脂層1
2,18を設けなかった比較例については、金属薄膜1
3の転写が不十分であるために十分な静電容量が得られ
ない。
【0095】従って、ベースフィルム10上に第1の樹
脂層11及び第2の樹脂層12を介して金属薄膜13を
形成し、セラミックシート16上に転写することにより
内部電極2となる金属薄膜13の転写性を従来よりも向
上させることができる。
【0096】また、実施の形態3,4と同様に実施の形
態1,2と比較すると第3の樹脂層18を設けたため、
図11に示すように積層体ブロック形成時には第2の樹
脂層12あるいは第3の樹脂層18を介してセラミック
シート16と金属薄膜13とが積層されることとなる。
この第2及び第3の樹脂層12,18は金属薄膜13と
セラミックシート16の接着性を向上させる結合剤の役
割を果たすこととなる。
【0097】その結果実施の形態1,2よりもセラミッ
クシート16と金属薄膜13との接着性に優れた積層体
ブロックを得ることができるために、例えばデラミネー
ションやヒビ割れといった構造欠陥の発生を抑制するこ
とができる。
【0098】以上のことから、金属薄膜13の転写不良
による静電容量のばらつきや低下、構造欠陥の発生とい
った積層セラミックコンデンサとしての致命的な不良を
抑制することができ、歩留まりの向上に対して絶大な効
果がある。
【0099】(実施の形態6)まず実施の形態4と同様
にして図12に示すように第4の樹脂層15を形成した
ベースフィルム14上にセラミックシート16を作製
し、この上に内部電極2と同じパターンを有する第3の
樹脂層18を形成する。この第3の樹脂層18は実施の
形態2で説明した第3の樹脂層18と同様にセラミック
シート16中のバインダ成分及び可塑剤成分を含有した
ものである。
【0100】また、実施の形態2と同様にして図6に示
すように第1及び第2の樹脂層11,12を形成したベ
ースフィルム10上に金属薄膜13を形成する。
【0101】次に図14に示すようにセラミックシート
16と金属薄膜13とを第3の樹脂層18を介してベー
スフィルム10,14ごと貼り合わせて、表面を平面の
プレス板17で加熱することによりセラミックシート1
6、第2及び第3の樹脂層12,18中のバインダ成分
を軟化させ、また、加圧することにより第3の樹脂層1
8と金属薄膜13との接触面積を増大させ、両者の接着
性を誘発すると同時に第1の樹脂層11から第2の樹脂
層12、この上に形成した内部電極2となる金属薄膜1
3をセラミックシート16側に移行させる。
【0102】次いで金属薄膜13側のベースフィルム1
0を剥離し、図10に示すような金属薄膜13付きセラ
ミックシート16を得る。
【0103】次いでこの金属薄膜13付きセラミックシ
ート16を所定の寸法に切断して、図11に示すように
セラミックシート16と金属薄膜13とが交互に積層さ
れるようにベースフィルム14を剥がしながら100枚
積層して積層体ブロックを得る。
【0104】その後積層体ブロックをチップ状に切断し
て積層体を得る。この積層体を大気中または窒素中で脱
脂した後、還元雰囲気中で焼成して焼結体を得る。次い
で内部電極2の露出した両端部に銅の外部電極3を形成
し、図15に示す積層セラミックコンデンサとする。
【0105】この積層セラミックコンデンサについて、
セラミックシート16上への金属薄膜13の転写性およ
び積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、評価
を行った。
【0106】転写性については、第2の樹脂層12上の
金属薄膜13が転写後のベースフィルム10側に残留す
る割合を第2の樹脂層12上に形成した金属薄膜13の
全重量に対する割合で示している。
【0107】なお、比較のために、第2、第3の樹脂層
12,18を形成していないベースフィルム10を用い
て金属薄膜13を形成する従来の製造方法によるセラミ
ックシート16への金属薄膜13の転写性及び積層セラ
ミックコンデンサの静電容量も測定した。この場合の転
写性は、金属薄膜13の全重量に対するベースフィルム
10側に残留した割合で示した。
【0108】本実施の形態6及び比較例の転写性および
静電容量の測定結果を(表6)に示す。
【0109】
【表6】
【0110】(表6)を見るとわかるように本実施の形
態6のように第2の樹脂層12及び第3の樹脂層18を
設けた場合については、金属薄膜13の転写性が改善さ
れていることがわかる。一方、第2及び第3樹脂層1
2,18を設けなかった比較例については、金属薄膜1
3の転写が不十分であるために十分な静電容量が得られ
ない。
【0111】従って、ベースフィルム10上に第1の樹
脂層11及び第2の樹脂層12を介して金属薄膜13を
形成し、セラミックシート16上に転写することにより
内部電極2となる金属薄膜13の転写性を従来よりも向
上させることができる。
【0112】また、実施の形態3,4,5と同様に実施
の形態1,2と比較すると第3の樹脂層18を設けたた
め、図11に示すように積層体ブロック形成時には第2
の樹脂層12あるいは第3の樹脂層18を介してセラミ
ックシート16と金属薄膜13とが積層されることとな
る。この第2及び第3の樹脂層12,18は金属薄膜1
3とセラミックシート16の接着性を向上させる結合剤
の役割を果たすこととなる。
【0113】その結果実施の形態1,2よりもセラミッ
クシート16と金属薄膜13との接着性に優れた積層体
ブロックを得ることができるために、例えばデラミネー
ションやヒビ割れといった構造欠陥の発生を抑制するこ
とができる。
【0114】以上のことから、金属薄膜13の転写不良
による静電容量のばらつきや低下、構造欠陥の発生とい
った積層セラミックコンデンサとしての致命的な不良を
抑制することができ、歩留まりの向上に対して絶大な効
果がある。
【0115】以下本発明のポイントについて説明する。
【0116】(1)第1及び第4の樹脂層11,15は
ベースフィルム10,14からセラミックシート16、
第2の樹脂層12及びこの上に形成した金属薄膜13を
剥離しやすくするために形成するものである。また、金
属薄膜13の形成時及び転写時の圧力及び熱によって軟
化したり、変質したりしないことが重要である。第1及
び第4の樹脂層11,15が軟化した場合には、内部電
極2となる金属薄膜13のパターン精度や積層精度が悪
くなり良好な積層体を得ることができない。従ってこの
ような性能を満足するためにアクリル樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂またはそ
れらの混合系樹脂を第1及び第4の樹脂層11,15と
して用いることが有効である。
【0117】アクリル樹脂についてはエポキシ樹脂、メ
ラミン樹脂と混合させて用いることでさらに熱的安定性
が向上し、好ましい。シリコン樹脂については熱的安定
性に加えて、離型性の経時変化が小さいといった特徴を
有している。フッ素樹脂については、上記樹脂の中で最
も熱的に安定かつ金属薄膜13の離型性に優れている。
また逆に第1及び第4の樹脂層11,15の軟化を防ぐ
ために、金属薄膜13の形成時および転写時の熱は第1
及び第4の樹脂層11,15の軟化点以下で行う必要が
ある。
【0118】さらにアクリル樹脂はセラミックシート1
6中のバインダ成分をして用いることがある。この場合
は第1及び第4の樹脂層11,15はアクリル樹脂以外
の樹脂を用いて形成する必要がある。すなわち離型性を
向上させるためには、第1及び第4の樹脂層11,15
はセラミックシート16、第2,3の樹脂層12,18
中に含まれる樹脂とは異なる樹脂で相溶性に劣る樹脂を
用いて形成する必要がある。
【0119】また、第1及び第4の樹脂層11,15が
セラミックシート11よりも小さい場合には金属薄膜1
3を転写するときにベースフィルム10,14とセラミ
ックシート16が直接接触し、セラミックシート16を
剥離させてしまうおそれが有るからである。このとき、
焼結体の構造欠陥となり、良品を得ることができなくな
る。従って第1及び第4の樹脂層11,15はセラミッ
クシート16よりも大きくしておくことが、構造欠陥の
発生を抑制するために好ましい。
【0120】(2)金属薄膜13をセラミックシート1
6側に転写させる時に、加熱してセラミックシート16
中に含まれるバインダ成分を十分に軟化させてセラミッ
クシート16と金属薄膜13との接着強度が向上するよ
うにする必要がある。従ってこの時の加熱温度はセラミ
ックシート16中のバインダ成分の軟化温度以上とする
ことが好ましい。
【0121】(3)実施の形態1,2における第2の樹
脂層12及び実施の形態3〜6の第3の樹脂層18は、
形成しようとする内部電極2と同じパターンを有するよ
うに形成することにより、金属薄膜13から内部電極2
となる部分だけをセラミックシート16側に転写するこ
とができる。
【0122】また、実施の形態3,4,5,6において
精度良く内部電極2を形成するために、第3の樹脂層1
8を所望の内部電極2と同じパターン形状とし、第2の
樹脂層12は第3の樹脂層18と同じか相似形でそれよ
りも小さく形成することが望ましい。
【0123】(4)上記実施の形態においてはセラミッ
クシート16側に金属薄膜13を転写したが金属薄膜1
3側にセラミックシート16を転写しても同様の効果が
得られるものである。
【0124】(5)金属薄膜13とセラミックシート1
6を貼り合わせてベースフィルム10を除去したとき
に、余分な金属薄膜13がセラミックシート16に付着
した場合、金属薄膜13を転写したセラミックシート1
6に気体を吹き付けることにより余分な金属薄膜13を
容易に除去でき所望の形状の内部電極2を形成すること
ができる。
【0125】(6)上記各実施の形態においてはセラミ
ックシート16を誘電体材料とバインダ、可塑剤、溶剤
を混合してベースフィルム14上に形成したが、例えば
誘電体材料とポリエチレンとを用いて作製したセラミッ
クシート16についても同様の効果が得られる。
【0126】なぜならばこのセラミックシート16は上
記各実施の形態で示したようなセラミックシート16と
比較すると空孔率が高いため第2、第3の樹脂層12,
18を形成するバインダ成分がセラミックシート16の
空孔に浸入することによりセラミックシート16と金属
薄膜13との接着強度を向上させることができるからで
ある。
【0127】また、このセラミックシート16は上記各
実施の形態で示したようなセラミックシート16と比較
すると強度が高いため、ベースフィルム14上に形成す
る必要が無く、扱いが非常に容易である。
【0128】(7)金属薄膜13は、スパッタ法、蒸着
法、メッキ法などの薄膜形成法を単独であるいは組み合
わせて形成することが望ましい。ただし0.1〜1.0
μm程度の厚みの金属薄膜13を形成しようとするとス
パッタ法よりも蒸着法で形成する方が効率良く形成する
ことができる。
【0129】(8)また、高積層のセラミック電子部品
を作製する場合には、転写時の熱が積層体ブロック内部
に蓄積し、セラミックシート16が伸びて精度良く積層
を行うことができなくなるおそれがある。したがって、
高積層の積層体ブロックを作製する場合は、セラミック
シート16が伸びないように適宜冷却しながら積層体ブ
ロックを作製することが好ましい。
【0130】(9)上記各実施の形態においては積層セ
ラミックコンデンサについて説明したが、本発明は例え
ば積層チップバリスタや積層型のコイル、セラミック多
層基板等積層工程を有する一般的なセラミック電子部品
の製造方法についても同様の効果が得られる。
【0131】
【発明の効果】以上本発明によると、ベースフィルムか
ら金属薄膜のセラミックシート上への転写性を向上させ
ることができる。また、セラミックシートと金属薄膜と
の接着強度も向上させることができる。従って安定した
電気的特性を有するセラミック電子部品の製造方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1,4における金属薄膜の
製造工程を説明するための断面図
【図2】本発明の実施の形態1,2,3,5におけるセ
ラミックシートの製造工程を説明するための断面図
【図3】本発明の実施の形態1におけるセラミックシー
トへの金属薄膜の転写工程を説明するための断面図
【図4】本発明の実施の形態1,2における金属薄膜付
きセラミックシートの断面図
【図5】本発明の実施の形態1,2における積層体の製
造工程を説明するための断面図
【図6】本発明の実施の形態2,6における金属薄膜の
製造工程を説明するための断面図
【図7】本発明の実施の形態2におけるセラミックシー
トへの金属薄膜の転写工程を説明するための断面図
【図8】本発明の実施の形態3における金属薄膜の製造
工程を説明するための断面図
【図9】本発明の実施の形態3,4におけるセラミック
シートへの金属薄膜の転写工程を説明するための断面図
【図10】本発明の実施の形態3,4,5,6における
金属薄膜付きセラミックシートの断面図
【図11】本発明の実施の形態3,4,5,6における
積層体の製造工程を説明するための断面図
【図12】本発明の実施の形態4におけるセラミックシ
ートの作製工程を説明するための断面図
【図13】本発明の実施の形態5における金属薄膜の作
製工程を説明するための断面図
【図14】本発明の実施の形態5,6におけるセラミッ
クシートへの金属薄膜の転写工程を説明するための断面
【図15】一般的な積層セラミックコンデンサの一部切
欠斜視図
【符号の説明】
1 セラミック誘電体層 2 内部電極 3 外部電極 10 ベースフィルム 11 第1の樹脂層 12 第2の樹脂層 13 金属薄膜 14 ベースフィルム 15 第4の樹脂層 16 セラミックシート 17 プレス板 18 第3の樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E001 AB03 AH00 AH03 AH05 AH09 AJ01 AJ02 5E082 AB02 BC40 EE05 EE23 EE37 EE41 FG06 FG26 FG54 GG10 GG11 LL02 LL03 MM12 MM13 MM22 MM24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に第1の樹脂層を設ける第1工
    程と、次にこの第1の樹脂層の上に所定のパターン形状
    を有する第2の樹脂層を設ける第2工程と、次いで前記
    第2の樹脂層上に薄膜形成法により金属薄膜を形成する
    第3工程と、その後前記金属薄膜がセラミックシートと
    接触するように支持体ごとセラミックシートと重ね合わ
    せて加圧する第4工程と、次に前記支持体を剥離する第
    5工程と、次いで前記セラミックシートと前記金属薄膜
    とが交互に積層された積層体を作製する第6工程と、そ
    の後前記積層体を焼成する第7工程とを備え、前記第1
    の樹脂層は前記支持体との接着強度が前記第2の樹脂層
    との接着強度よりも大きく、前記第2の樹脂層は前記第
    1の樹脂層との接着強度よりも前記金属薄膜との接着強
    度の方を大きくしたセラミック電子部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 セラミックシートの金属薄膜との接触面
    に第2の樹脂層よりも金属薄膜との接着強度の大きな所
    定のパターンを有する第3の樹脂層を設けた請求項1に
    記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 第5工程後第6工程前に金属薄膜に気体
    を吹き付ける工程を設けた請求項1に記載のセラミック
    電子部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 第2の樹脂層よりも第3の樹脂層の方を
    大きくした請求項2に記載のセラミック電子部品の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 第3工程後第4工程の前に金属薄膜上に
    第2の樹脂層と同じか大きい第3の樹脂層を設ける請求
    項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 セラミックシートは少なくともセラミッ
    ク原料とバインダと可塑剤とを含有したものであり、第
    2、第3の樹脂層は前記セラミックシート中に含まれる
    バインダと可塑剤とを含有したものである請求項1、請
    求項2または請求項5のいずれか一つに記載のセラミッ
    ク電子部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 第1の樹脂層はアクリル樹脂、エポキシ
    樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂の内少
    なくとも1種類以上を含有したものである請求項1に記
    載のセラミック電子部品の製造方法。
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JP2009529233A (ja) * 2006-03-10 2009-08-13 ジョインセット カンパニー リミテッド セラミック部品要素、セラミック部品及びその製造方法
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