JP4341282B2 - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサを例に従来のセラミック電子部品の製造方法について説明する。
【0003】
まず、支持体上にシリコンなどを用いて内部電極形状の離型層を作製する。
【0004】
次に、支持体上全体に薄膜形成法により、金属膜を作製する。
【0005】
次いで、セラミックシート上に支持体ごと金属膜を重ね合わせて、支持体上から加熱および加圧することにより離型層上の金属膜のみを転写する。
【0006】
次いで、支持体を剥離して内部電極付きセラミックシートを得る。
【0007】
これを所定枚数積層して、積層体を作製する。
【0008】
その後、積層体を焼成し、外部電極を作製することにより積層セラミックコンデンサを得る。
【0009】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−293626号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法によると、離型層を設けていない部分の金属膜もセラミックシート上に転写してしまうため、セラミックシートに精度良く内部電極を形成することが困難であるという問題点を有していた。
【0012】
そこで、本発明は、所望の形状の内部電極を精度良く作製することにより、優れた特性のセラミック電子部品を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0014】
本発明の請求項1に記載の発明は、特に、内部電極形状の樹脂からなる離型層を表面に有する支持体上において前記離型層と前記離型層を設けていない部分との上に金属膜を形成した後、前記金属膜において前記樹脂外周の少なくとも一部に対応するクラックを形成することにより、内部電極となるべき金属膜のみをセラミックシートに転写して作製することができ、優れた特性のセラミック電子部品を提供することができる。
【0015】
特に、クラックを離型層の外周全体に沿って設けることにより、精度良く内部電極を形成することができる。
【0016】
また、内部電極となる金属膜の外周を曲線とすることにより、セラミックシートとの接触面積が増加し、両者の接着性を向上させて、デラミネーションなどの構造欠陥の発生を抑制することができる。
【0017】
また、金属膜形成後、前記金属膜を熱処理して離型層と金属膜との間に空気を挿入することにより、セラミックシート上に精度良く内部電極を形成することができる。
【0018】
また、内部電極となる金属膜の内側にもクラックを形成することにより、焼成時、積層体中の有機物を容易に除去することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜5について説明する。
【0020】
図1、図2は本発明の実施の形態1における内部電極形成工程を説明するための上面図、図3は本発明の実施の形態1における積層体作製工程を説明するための断面図であり、10はポリエチレンテレフタレート製のベースフィルム、11はベースフィルム10の上に設けた内部電極形状の離型層、12は金属膜、13はセラミックシート、14は内部電極である。
【0021】
図4は本実施の形態における積層セラミックコンデンサの一部切欠斜視図であり、20は誘電体層、21は外部電極である。
【0022】
まず、図2に示すようにベースフィルム10上に内部電極形状の離型層11を所定の間隔を空けて複数形成する。離型層11は熱硬化性樹脂であるアクリル系樹脂で形成する。
【0023】
次に、ベースフィルム10上に蒸着、スパッタなどによりNiの金属膜12を作製する。
【0024】
次いで、ベースフィルム10ごと金属膜12を120℃程度に加熱して、加圧する。
【0025】
この加熱により、金属膜12に離型層11の外周形状つまり内部電極14の外周形状のクラック15を設けるとともに離型層11と金属膜12との間に空気を挿入し、離型層11と金属膜12との接着性を低下させる。また、内部電極14とならない金属膜12のベースフィルム10への付着力も向上させる。
【0026】
なお、クラック形成のための加熱温度は、ベースフィルム10及び離型層11の耐熱性を考慮した上で決定するが、上述した効果を得るためにはできるだけ高温で熱処理することが望ましい。
【0027】
また、加熱時に加圧することにより、加熱のみの場合と比較するとクラックを形成しやすくなる。
【0028】
次いで、セラミックシート13の上に金属膜12をベースフィルム10ごと重ね合わせて、120℃、15MPa加熱及び加圧する。
【0029】
セラミックシート13は、チタン酸バリウムを主成分とする無機粉末に、バインダ、可塑剤、溶剤を混合して作製したものである。また、内部電極14とセラミックシート13との接着強度を向上させるために、両者の間に接着作用のある樹脂などを設けることが望ましい。
【0030】
その後、ベースフィルム10を剥離し、内部電極14を有するセラミックシート13を得る。
【0031】
金属膜12にクラック15を形成しているので、不要な金属膜12まで転写することなく、精度良くセラミックシート13上に内部電極14を形成できる。
【0032】
その後、セラミックシート13を複数枚積層したものの上に、内部電極14付きセラミックシート13を所望の枚数積層し、再びセラミックシート10のみを複数枚積層し、積層体を得る。
【0033】
そして、積層体を所望の形状に切断後、脱脂、焼成する。
【0034】
脱脂は、大気中350℃で行い、焼成は、N2,H2の還元雰囲気中、最高温度1250℃で行う。還元雰囲気は、ニッケルの酸化反応の平衡酸素分圧を上回らず、かつチタン酸バリウムの還元反応の平衡酸素分圧を下回らないようにする。
【0035】
次に、焼結体の両端部に銅を主成分とする電極ペーストを塗布、焼付を行い、外部電極21を形成し、図4に示す積層セラミックコンデンサを得る。
【0036】
この積層セラミックコンデンサは、精度良く内部電極を形成できるので、所望の静電容量など優れた特性を有するものである。
【0037】
なお、内部電極14となる金属膜12の外周形状は曲線である。そのため、セラミックシート13との接触面積が増加し、接着力を有しない内部電極14との接着性を向上させて、デラミネーションなどの構造欠陥の発生を抑制することができる。
【0038】
また、金属膜12の形成後、熱処理して離型層11と金属膜12との間に空気を挿入しているので、セラミックシート13の上に内部電極14となる金属膜12を精度良く設けることができる。
【0039】
さらに、本実施の形態においては、金属膜12の熱処理により内部電極14となる金属膜12の内側にも微小なクラックを多数形成している。そのため、積層体の脱脂を行う際、この微小クラックから有機物を除去できるため、残留カーボンを低減でき、焼成時の構造欠陥の発生を抑制することができる。
【0040】
また、上記実施の形態においては、ベースフィルム10としてポリエチレンテレフタレート、離型層11としてアクリル樹脂、金属膜12としてニッケルを用いた。しかしながらこの組み合わせに限るものでなく、内部電極14を精度良く形成するためのクラックの作製が容易にできるようにベースフィルム10と離型層11の材質を決定することが望ましい。
【0041】
そして、本実施の形態においては積層セラミックコンデンサを例に説明したが、内部電極とセラミックシートとを交互に積層して形成する積層インダクタ、積層バリスタ、積層サーミスタ、積層セラミック基板などの積層セラミック電子部品においては同様の効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】
以上、本発明によると、薄層化した内部電極を精度良く作製できるので、優れた特性のセラミック電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセラミックコンデンサの製造方法の要部である内部電極形成工程を説明するための上面図
【図2】同要部である内部電極形成工程を説明するための上面図
【図3】同要部である積層体形成工程を説明するための断面図
【図4】同一部切欠斜視図
【符号の説明】
10 ベースフィルム
11 離型層
12 金属膜
13 セラミックシート
14 内部電極
20 誘電体層
21 外部電極
Claims (1)
- 内部電極形状の離型層を表面に有する支持体上において前記離型層と前記離型層を設けていない部分との上に金属膜を形成した後、前記金属膜において前記離型層の外周全体に沿ってクラックを形成する第1の工程と、無機粉末と有機物を含有するセラミックシートに前記金属膜を支持体ごと重ね合わせて前記離型層上の前記金属膜を前記セラミックシートに転写して内部電極を形成する第2の工程と、前記セラミックシートと前記内部電極とを交互に積層し積層体を作製する第3の工程と、を備えるセラミック電子部品の製造方法。
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