JP2001108816A - 着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置 - Google Patents

着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置

Info

Publication number
JP2001108816A
JP2001108816A JP28789599A JP28789599A JP2001108816A JP 2001108816 A JP2001108816 A JP 2001108816A JP 28789599 A JP28789599 A JP 28789599A JP 28789599 A JP28789599 A JP 28789599A JP 2001108816 A JP2001108816 A JP 2001108816A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
forming
substrate
electrodeposition
colored
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28789599A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Akutsu
英一 圷
Shigemi Otsu
茂実 大津
Takao Tomono
孝夫 友野
Takashi Shimizu
敬司 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP28789599A priority Critical patent/JP2001108816A/ja
Publication of JP2001108816A publication Critical patent/JP2001108816A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Optical Filters (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 TFT駆動基板及びカラーフィルタの組合せ
によることなく、電子回路材料を有する基板上に直接高
解像度で表面平滑性に優れた着色膜を形成しうる着色膜
の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置を提供する。 【解決手段】 光透過性の基板上に、光透過性の導電膜
と光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜とをこ
の順に積層し、電子回路材料を設けて電着用基板を形成
する工程と、電着用基板の少なくとも光半導体薄膜を、
色材を含有する電着材料を含む水系電解液に接触させて
光照射し、前記光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起
電力を発生させ、電気化学的に前記電着材料を析出させ
て着色膜を形成する工程とを有する着色膜の形成方法、
前記着色膜を含む駆動素子及び該駆動素子を備えた液晶
表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着色膜の形成方
法、駆動素子及び液晶表示装置に関し、詳しくは、薄膜
トランジスタ(TFT)等の能動素子を備えた基板に直
接着色膜(カラーフィルタ膜)を形成する方法、該着色
膜を含む駆動素子、該駆動素子を備えた液晶表示装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、カラーフィルタの製造方法として
は、(1)染色法、(2)顔料分散法、(3)印刷法、
(4)インクジェット法(5)電着法等が知られてお
り、それぞれ固有の特徴及び利点を有するが、以下のよ
うな欠点がある。即ち、第一の染色法は、パターニング
にフォトリソグラフィ工程が必要であり、また染料を用
いるため耐光性に劣り、製造工程の数も多いという欠点
がある。第二の顔料分散法も、フォトリソグラフィ工程
によりパターニングし、かつ工程数も多いため、コスト
が高いという欠点がある。第三の印刷法及び第四のイン
クジェット法は、いずれもフォトリソグラフィ工程を要
しないが、前者は解像度や膜厚均一性の点で劣り、後者
は、隣接フィルタ層間で混色を生じやすく、解像度、位
置精度の点で劣る。第五の電着法は、共通電極を形成す
るなど、フォトリソグラフィによるパターニング工程を
要するため、パターン形状が限定され、TFTを備えた
液晶用には使えないという欠点がある。また、一般に液
晶用カラーフィルタは、カラーフィルタ層を形成するの
みでは使えず、各色のフィルタセル間をブラックマトリ
ックスで覆う必要があるが、該ブラックマトリックス形
成にも、通常、フォトリソグラフィ法が用いられ、コス
トアップの大きな要因の1つとなっている。
【0003】従って、フォトリソグラフィ工程を経るこ
となく、簡易な工程で低コストに、高解像度でパターン
精度に優れたカラーフィルタを製造しうる製造方法が望
まれており、近年では、映像情報及び通信情報を高解像
度に表示しうるディスプレイへの要求が高まり、より高
精細のパターン化されたカラーフィルタが求められてい
る。そこで、本発明者らは、前記問題点を解決するため
光電着法を利用した簡易な工程により、高解像度でパタ
ーン精度に優れたカラーフィルタを安定に製造しうる技
術について、既に出願中である(特願平9−13541
0号、特願平9−297466号等、特願平10−16
2170号、特願平10−197564号等)。
【0004】ところが、液晶表示装置は、一般に薄膜ト
ランジスタ(TFT)を備えたTFT駆動基板を用い、
該TFT駆動基板と、RGBカラーフィルタ基板との間
に透明導電膜を介して液晶材料を挟持し、透明導電膜へ
の電圧印加をON/OFF制御することにより、RGB
カラーフィルタへの光の透過性を制御しカラー液晶表示
を行うといった構成を採るため、TFT駆動基板とカラ
ーフィルタ基板の両方が必要であり、製造コストを高騰
させる要因となっていた。即ち、前記TFT駆動基板と
カラーフィルタ基板は異なる製造過程で別個に作製され
るため、これらを組合せてなる液晶表示装置の低コスト
化は困難であった。また、既述の通り、製造過程が異な
ることから、最終的な両者の位置決めも難しく、高解像
度の液晶表示装置の安定生産といった面においても問題
があった。
【0005】上記の通り、別個に作製されたTFT駆動
基板及びカラーフィルタの組合せによることなく、高解
像度な液晶表示装置を安定的に、かつ低コストに製造し
うる手段及び駆動素子は、未だ提供されていないのが現
状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、電子回路材料を有する基板
上に直接、微細な画素パターンよりなる、高解像度で表
面平滑性に優れた着色膜を、簡易な工程により安価に形
成しうる着色膜の形成方法を提供することを目的とす
る。本発明は、別個に作製されたTFT駆動基板及びカ
ラーフィルタの組合せによることなく、高解像度で表面
平滑性に優る着色膜を備えた駆動素子を安価に提供する
ことを目的とする。本発明は、微細で高解像度な画素パ
ターンを有する液晶表示装置を安価に提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜と、光
起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜と、をこの
順に積層し、電子回路材料を設けて電着用基板を形成す
る工程と、電着用基板の少なくとも光半導体薄膜を、色
材を含有する電着材料を含む水系電解液に接触させて光
照射し、前記光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起電
力を発生させ、電気化学的に前記電着材料を析出させて
着色膜を形成する工程と、を有することを特徴とする着
色膜の形成方法である。
【0008】<2> 電着用基板を形成する工程におい
て、絶縁性層を形成し、該絶縁性層上に電子回路材料を
設ける前記<1>に記載の着色膜の形成方法である。 <3> 電着用基板を形成する工程が、基体上に導電膜
を形成し、電子回路材料を設ける領域の導電膜を除去し
た後、該領域及び導電膜上に光半導体薄膜を形成し、導
電膜の形成されていない前記領域の光半導体薄膜上に電
子回路材料を設ける工程である前記<1>又は<2>に
記載の着色膜の形成方法である。
【0009】<4> 電着用基板を形成する工程が、基
体上に導電膜及び光半導体薄膜を積層し、電子回路材料
を設ける領域の導電膜及び光半導体薄膜を除去した後、
該領域の前記基体の表面上に電子回路材料を設ける工程
である前記<1>又は<2>に記載の着色膜の形成方法
である。 <5> 着色膜を形成する工程の後、少なくとも着色膜
上及び該着色膜と電子回路材料とを接合しうる領域に、
光透過性の導電層を形成する工程を有する前記<1>〜
<4>のいずれかに記載の着色膜の形成方法である。
【0010】<6> 光半導体薄膜が、酸化チタンを含
有する化合物光半導体薄膜である前記<1>〜<5>の
いずれかに記載の着色膜の形成方法である。 <7> 着色膜の体積電気抵抗値が、10-3〜1012Ω
・cmである前記<1>〜<6>のいずれかに記載の着
色膜の形成方法である。
【0011】<8> 着色膜の膜厚が、0.3〜4.5
μmである前記<1>〜<7>のいずれかに記載の着色
膜の形成方法である。 <9> 着色膜を形成する工程の後、80〜250℃の
温度下で熱処理する工程を有する前記<1>〜<8>の
いずれかに記載の着色膜の形成方法である。
【0012】<10> 電着材料が、カルボキシル基を
有する化合物を含む前記<1>〜<9>のいずれかに記
載の着色膜の形成方法である。 <11> カルボキシル基を有する化合物が、疎水ドメ
インと親水ドメインを有する重合体であって、疎水ドメ
インの数が疎水ドメインと親水ドメインの総数の30〜
75%である前記<10>に記載の着色膜の形成方法で
ある。
【0013】<12> 重合体における疎水ドメイン
が、スチレン又はスチレン誘導体である前記<11>に
記載の着色膜の形成方法である。 <13> 重合体の親水ドメインの数の50%以上が、
pHの変化により水溶性から非水溶性、或いは、この逆
に可逆的に変化しうる前記<11>又は<12>に記載
の着色膜の形成方法である。
【0014】<14> 重合体の酸価が、60から20
0である前記<11>〜<13>のいずれかに記載の着
色膜の形成方法である。重合体の酸価が、70から13
0である前記<11>〜<13>のいずれかに記載の着
色膜の形成方法が好ましい。 <15> 重合体の数平均分子量が、6000〜250
00である前記<11>〜<14>のいずれかに記載の
着色膜の形成方法である。重合体の数平均分子量が、9
000〜20000である前記<11>〜<14>のい
ずれかに記載の着色膜の形成方法が好ましい。
【0015】<16> 着色膜を形成する工程におい
て、水系電解液中に、電着特性に影響を与えないイオン
解離性の塩を加えて、水系電解液の体積固有抵抗率を1
0〜105Ω・cmとする前記<1>〜<15>のいず
れかに記載の着色膜の形成方法である。 <17> 水系電解液のpHが、電着材料が析出開始す
るpH値の±1.5の範囲にあり、かつ8.5以下であ
る前記<1>〜<16>のいずれかに記載の着色膜の形
成方法である。 <18> 色材が顔料であり、該顔料の平均粒径が、
0.2〜99nmである前記<1>〜<17>のいずれ
かに記載の着色膜の形成方法である。
【0016】<19> 水系電解液中の水系溶媒の含有
量が、水系電解液の全重量の65〜96重量%である前
記<1>〜<18>のいずれかに記載の着色膜の形成方
法である。 <20> 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜と、
少なくとも該導電膜を覆う、光起電力機能を有する光透
過性の光半導体薄膜と、電子回路材料と、前記光半導体
薄膜上に設けられる着色膜と、を備え、前記導電膜が電
子回路材料を構成するドレイン電極と接続されたことを
特徴とする駆動素子である。
【0017】<21> 電子回路材料が複数規則的に配
列され、基体上にさらに、各電子回路材料を構成するゲ
ート電極を共通に接続する第一共通電極と、各電子回路
材料を構成するソース電極を共通に接続する第二共通電
極とを備えた前記<20>に記載の駆動素子である。即
ち、光透過性の基体上に、光透過性の導電膜と、少なく
とも該導電膜を覆う、光起電力機能を有する光透過性の
光半導体薄膜と、規則的に配列された複数の電子回路材
料と、各電子回路材料を構成するゲート電極を共通に接
続する第一共通電極と、各電子回路材料を構成するソー
ス電極を共通に接続する第二共通電極と、前記光半導体
薄膜上に設けられる着色膜と、を備え、前記導電膜が各
電子回路材料を構成するドレイン電極と接続された駆動
素子である。
【0018】<22> 基体上に、導電膜と光半導体薄
膜とをこの順に積層し、前記光半導体薄膜上に電子回路
材料を備えた前記<20>又は<21>に記載の駆動素
子である。 <23> 基体と電子回路材料との間に、絶縁性層を備
えた前記<20>〜<22>のいずれかに記載の駆動素
子である。
【0019】<24> 基体上に、電子回路材料が設け
られる領域を除いて導電膜を形成し、少なくとも前記領
域及び導電膜上に光半導体薄膜を形成し、かつ前記領域
における光半導体薄膜上に電子回路材料を備えた前記<
20>〜<23>のいずれかに記載の駆動素子である。 <25> 基体上に、電子回路材料が設けられる領域を
除いて導電膜及び光半導体薄膜をこの順に積層し、前記
領域の基体上に電子回路材料を備えた前記<20>〜<
23>のいずれかに記載の駆動素子である。
【0020】<26> 少なくとも着色膜上及び該着色
膜と電子回路材料とを接合しうる領域に、さらに光透過
性の導電層を備えた前記<20>〜<25>のいずれか
に記載の駆動素子である。 <27> 前記<20>〜<26>のいずれかに記載の
駆動素子と、該駆動素子に対向して配置される透明導電
板と、前記駆動素子と透明導電板との間に配置される液
晶材料と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置であ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の着色膜の形成方
法においては、基板として、光透過性の基体上に導電
膜、光起電力機能を有する光半導体薄膜、及び液晶材料
を駆動する電子回路材料を備えた基板を用い、該基板上
に直接着色膜(着色電着膜)を形成する。以下、本発明
の着色膜の形成方法について説明し、該説明を通じて本
発明の駆動素子及びこれを含む液晶表示装置の詳細をも
明らかにする。
【0022】<着色膜の形成方法>本発明の着色膜の形
成方法は、光透過性の基体上に、光透過性の導電膜と、
光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜とをこの
順に積層し、電子回路材料を設けて電着用基板を形成す
る工程(以下、「電着用基板形成工程」ということがあ
る。)と、電着用基板の少なくとも光半導体薄膜を、色
材を含有する電着材料を含む水系電解液に接触させて光
照射し、前記光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起電
力を発生させ、電気化学的に前記電着材料を析出させて
着色膜を形成する工程(以下、「着色膜形成工程」とい
うことがある。)とを有してなり、必要に応じて、少な
くとも、前記着色膜上及び該着色膜と電子回路材料とを
接合しうる領域に光透過性の導電層を形成する工程(以
下、「導電層形成工程」ということがある。)、熱処理
する工程(以下、「熱処理工程」ということがあ
る。)、ブラックマトリックスを形成する工程(以下、
「ブラックマトリックス形成工程」ということがあ
る。)等の他の工程を有してなる。
【0023】−電着用基板形成工程− 前記電着用基板形成工程においては、光透過性の基体上
に、光透過性の導電膜を形成し、該導電膜上に光起電力
機能を有する光透過性の光半導体薄膜を積層し、所望の
位置に電子回路材料を設けることにより電着用基板を形
成する。前記電着用基板は、上記の通り、積層される導
電膜及び光半導体薄膜と、電子回路材料とを有してな
り、その構成態様としては特に制限はなく、例えば、以
下の態様(第一から第四の態様)で構成されていてもよ
い。以下、各態様について説明する。
【0024】−第一の態様− 本態様においては、例えば、図1−(a)〜(c)に示すよ
うに、光透過性の基体上に、光透過性の導電膜を形成
し、該導電膜上に光起電力機能を有する光透過性の光半
導体薄膜を積層した後、該光半導体薄膜上に電子回路材
料を設けることにより構成される。図1は、本発明の着
色膜の形成方法の一例を示す図である。この場合、導電
膜2及び光半導体薄膜3は、基体1の表面全体に形成し
てもよいし、公知の方法によりパターニングして一部の
領域に形成してもよい。但し、後に着色膜の形成を可能
とする観点から、着色膜を形成しようとする領域には、
両膜が積層されている必要がある。本態様は、必ずしも
パターニングの必要はなく、その構成が簡易であるた
め、容易にかつ低コストに電着用基板を得ることができ
る点で好ましい。
【0025】−第二の態様− 本態様においては、導電膜及び光半導体薄膜以外に絶縁
性層を形成し、該絶縁性層上に電子回路材料を設ける。
本態様は、駆動する電子回路材料へのノイズや誘導電解
の発生を防止することができる点で好ましい。例えば、
図2−(a)〜(c)に示すように、光透過性の基体上に、
光透過性の導電膜を形成し、該導電膜上に光起電力機能
を有する光透過性の光半導体薄膜を積層した後、電子回
路材料を設ける領域に絶縁性層を形成し、該絶縁性層上
に電子回路材料を設けることにより構成される。図2
は、本発明の着色膜の形成方法の一例を示す図である。
即ち、前記絶縁性層は、基体と電子回路材料の間に備え
られていることが好ましく、基体及び電子回路材料間で
あればその位置関係としては特に限定はなく、図2の態
様のほか、基体の表面上や導電膜上であってもよい。但
し、電子回路材料へのノイズや誘導電解の影響を回避す
る観点より導電膜上が特に好ましい。また、第一の態様
と同様、導電膜2及び光半導体薄膜3は、基体1の表面
全体に、或いは、一部の領域に形成することができる。
【0026】−第三の態様− 本態様においては、例えば、図3−(a)〜(c)に示すよ
うに、まず、基体1の表面全体に導電膜2を形成し、電
子回路材料を設ける領域の導電膜をホトリソグラフィ等
の公知の方法により除去した後、前記領域及び導電膜2
上に光半導体薄膜3を形成する。次いで、導電膜の除去
された前記領域に形成された光半導体薄膜3上に、電子
回路材料4を設けることにより構成される。前記導電膜
2は、予めパターニングされて部分的に形成されてもよ
い。また、光半導体薄膜は、必ずしも全体に形成する必
要はなく、着色膜を形成しようとする領域等の一部の領
域にのみ形成してもよい。前記絶縁性層を設け、該層上
に電子回路材料4を設けることもできる。本態様も、電
子回路材料下に導電膜が存在しないため、駆動する電子
回路材料へのノイズや誘導電解の発生を防止しうる点で
好ましい。
【0027】−第四の態様− 本態様においては、例えば、図4−(a)〜(c)に示すよ
うに、基体1の表面全体に導電膜2を形成し、該導電膜
2上にさらに光半導体薄膜3を形成した後、電子回路材
料を設けようとする領域の導電膜2及び光半導体薄膜3
をホトリソグラフィ等の公知の方法により除去し、該領
域の前記基体1の表面上に電子回路材料4を設けること
により構成される。前記導電膜2及び光半導体薄膜3
は、予めパターニングされて形成されてもよい。また、
前記絶縁性層を設け、該層上に電子回路材料4を設ける
こともできる。本態様は、前記第三の態様と同様、電子
回路材料へのノイズや誘導電解の発生を回避できる。
【0028】上記のような基板とすることにより、基板
自体簡易に作成でき、かつ着色膜形成後に別途用意した
電子回路材料を有する基板等を組合わせる必要がないた
め、同一の工程内で同一の基板に駆動機能とカラーフィ
ルタ機能とを付与でき、製造における工程の簡易化、高
速化が図れ、低コスト化を実現することができる。
【0029】前記電子回路材料とは、ゲート電極、該ゲ
ート電極上に設けられる絶縁膜、半導体薄膜、ソース電
極、ドレイン電極等が組合されてなり、前記光透過性の
導電膜と接合して着色膜を電着形成する際にスイッチン
グ機能を担う能動素子等をいい、例えば、薄膜トランジ
スタ(TFT;以下、単に「TFT」ということがあ
る。)等が挙げられる。
【0030】上記の通り、電着用基板は、導電膜及び光
半導体薄膜が形成され、必要に応じて各膜の除去が施さ
れた後、電子回路材料が設けられるが、以下のような態
様で構成できる。即ち、(1) 導電膜及び光半導体薄膜を
有する基体上に備えられた、ソース電極、ドレイン電極
及びゲート電極等を有する能動素子が、該能動素子を構
成する前記ドレイン電極を介して前記導電膜と電気的に
接合された態様、(2) 導電膜及び光半導体薄膜を有する
基体上に、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極等
を有する、複数の能動素子がマトリックス状に規則的に
配列され、該能動素子に対応した複数の表示素子(画
素)がマトリックス状に備えられ、各能動素子を構成す
るゲート電極は、同一基体上で各画素間を通ずる第一共
通電極と共通に接続され、各能動素子を構成するソース
電極も、同一基体上で各画素間を通ずる第二共通電極と
共通に接続され、さらに各能動素子を構成するドレイン
電極が前記導電膜と接続された態様等が挙げられ、これ
らの具体的態様としては特に制限はなく、例えば、図5
に示す態様で電子回路材料(能動素子)が配設されてい
てもよい。即ち、図5は、同一の基体上にゲート電極1
3と、該ゲート電極13上に絶縁膜を介して半導体とが
積層され、ドレイン電極17が該半導体と接合されてい
る。また、ドレイン電極17は、基体上に設けられる光
透過性の導電膜とも接合され、さらに前記半導体を介し
て電極18’でソース電極18と接続された態様のもの
である。
【0031】(基体)前記基体としては、光透過性の種
々の材料を用いることができ、例えば、ガラス、プラス
チック等が好適に挙げられる。 (導電膜)導電膜は、導電性を有し、かつ光透過性の材
料であれば広く用いることができる。例えば、Al、Z
n、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属、ITO
(インジュウム−スズ酸化物)、二酸化スズ等の金属酸
化物等が挙げられる。また、導電性カーボン材料、導電
性セラミックス材料等を用いることもできる。導電性膜
は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等従
来公知の方法により支持体上に形成することができる。
前記導電膜の膜厚としては、100Å〜3μmが好まし
く、300Å〜3000Åがより好ましい。
【0032】(光半導体薄膜)光半導体薄膜は、光照射
により光起電力を生じるものであればいずれも使用する
ことができる。光半導体は光照射による効果を一定期間
保有する光履歴効果を有するが、本発明に用いられる光
半導体は、光履歴効果の弱いものが好ましい。但し、光
履歴効果が強いものであっても、光半導体薄膜を薄くす
れば、光履歴効果を小さくなる傾向があるので、使用す
ることができる。光半導体には、n型光半導体とp型光
半導体があるが、本発明ではいずれの光半導体も使用可
能である。さらに、n型光半導体薄膜とp型光半導体薄
膜とを積層したpn接合を有する光半導体薄膜、又はn
型光半導体薄膜と、i型光半導体薄膜と、n型光半導体
薄膜とを積層したpin接合を有する光半導体薄膜等、
積層構造の光半導体薄膜を用いると、高出力の光電流が
確実に得られ、画像のコントラストがより高くなるので
好ましい。
【0033】また、本発明に用いられる光半導体薄膜
は、無機光半導体からなるものであっても、有機光半導
体からなるものであってもよい。無機光半導体として
は、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化
ニッケル、酸化錫、酸化モリブデン、Si、GaN、a
−C、BN、SiC、ZnSe、TiO2、GaAs系
化合物、CuS、Zn32等が挙げられる。有機光半導
体としては、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、
アゾ系顔料、ポリビニルカルバゾール、ポリアセチレン
等が挙げられる。これらは、単独では高純度又は単結晶
系のものが望まれるが、これらの混合物からなるもので
あってもよく、また、各々の材料からなる光半導体薄膜
を複数積層したものであってもよい。特に、酸化チタン
を含有する化合物光半導体薄膜は好ましい。
【0034】中でも、TiO2、ZnO等の金属酸化物
は、電着時の安定性に優れ、光照射効率も優れているの
で、繰り返し使用するような場合には好適である。ま
た、TiO2は、ゾル−ゲル法、スパッタリング法、電
子ビーム蒸着法等種々の方法により製膜すると、良好な
n型光半導体薄膜が得られることが近年の研究で明らか
になっている。光電流の変換効率を高めるには、還元処
理が有効であり、通常、水素ガス中で550℃程度で加
熱する。例えば、約300℃下で10分間、3%の水素
混合窒素ガスを用いて1分間に1L(リットル)の流量
を流しながら、加熱することにより達成できる。
【0035】光半導体薄膜は、従来公知のゾル−ゲル
法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンコー
ト法、グロー放電着膜法等により、導電性膜上に形成す
ることができる。前記光半導体薄膜の膜厚としては、特
に制約はないが、良好な特性が得られる点で、0.04
〜3.0μmが好ましい。前記膜厚が、0.04μm未
満であると、生じる光起電力による電流が弱すぎてパタ
ーン(像)形成に問題を生ずることがり、3.0μmを
超えると、光照射によって生じた電荷が膜内にトラップ
され、光履歴効果が大きくなるためパターン形成性が悪
化することがある。
【0036】光半導体薄膜は、微結晶性又は多結晶性の
膜質を有しているのが、光起電力発生効率の点で好まし
い。さらに、光半導体のみからなるものが好ましく、樹
脂等の絶縁性材料を含有していないものが好ましい。光
半導体薄膜に樹脂等の絶縁性材料を混合すると、光起電
力の発生効率が低下し、光履歴効果が高くなる。尚、光
半導体薄膜の光照射下での体積抵抗値としては、10-2
〜108Ω・cmが好ましく、100〜106Ω・cmが
より好ましい。前記光半導体薄膜の体積抵抗値が、10
8Ω・cmを越えると、通電するのに高い電圧が必要と
なるため、光起電力の発生効率が著しく低下することが
ある。
【0037】(絶縁膜)前記絶縁膜は、電気的に絶縁性
の膜であり、その材質としては、例えば、a−Si
x、a−SiO、SiO2、Si34等が挙げられ、ス
パッタリングやプラズマCVD法等の公知の方法により
形成することができる。前記絶縁膜の膜厚としては、5
00Å〜20μmが好ましく、200Å〜5μmがより
好ましい。
【0038】−着色膜形成工程− 前記着色膜形成工程においては、電着用基板の少なくと
も光半導体薄膜を、色材を含有する電着材料を含む水系
電解液に接触させて光照射し、前記光半導体薄膜の光照
射部に選択的に光起電力を発生させ、電気化学的に前記
電着材料を析出させて前記光照射部にのみ着色電着膜を
成膜し、着色膜(カラーフィルタ膜)を形成する。
【0039】まず、同一基体上に電子回路材料、導電膜
及び光半導体薄膜とを有する電着用基板の少なくとも前
記光半導体薄膜を、色材を含有する電着材料を含む水系
電解液に接触させる。水系電解液に接触させる場合、基
体上に設けられた電子回路材料、即ち、薄膜トランジス
タ(TFT)等を構成するソース電極、ドレイン電極及
びゲート電極等は水と接触すると劣化し易く、またTF
T駆動時にショートしやすいことから、予め絶縁処理し
ておくことが好ましい。但し、電子回路材料自体に絶縁
処理が施されている場合には、必ずしも別途上記のよう
な絶縁処理を行う必要はない。前記絶縁処理の方法につ
いては後述する。
【0040】前記電着用基板の少なくとも光半導体薄膜
を水系電解液に接触させる際の、水系電解液に対する位
置関係としては、任意の位置関係を適宜選択でき、例え
ば、基板全体を水系電解液中に浸漬して配置してもよい
し、基板の一部、例えば、着色膜を形成する光半導体薄
膜のみが接触するように配置してもよい。
【0041】絶縁処理の方法としては、適当な溶媒に紫
外線硬化樹脂を溶解した樹脂溶液を塗布し、光半導体薄
膜部分のみをマスクして紫外線ランプにより全面を照射
して硬化させた後、溶剤により分解、現像して不要部上
の樹脂溶液を溶解除去する方法、ネガ型フォトレジスト
液をスピナー等の塗布装置により表面被覆し、プリベー
クした後、光半導体薄膜上を露光し、溶剤により分解、
現像し、非露光部分をホストベークで硬化させる方法等
が挙げられる。上記のようにして絶縁処理を施す場合、
使用する絶縁材料中に黒色の色材を含有させ、黒色の絶
縁膜を形成することによりブラックマトリックスとして
もよい。この場合に使用可能な黒色の色材としては、カ
ーボンブラック、絶縁性顔料等が挙げられる。但し、能
動素子を配置した部分は光非透過性であるため、上記ブ
ラックマトリックスの形成は任意である。
【0042】本発明における着色膜形成工程では、上記
のように、電着用基板の少なくとも光半導体薄膜を水系
電解液に接触させた後、該基板を光照射し、前記光半導
体薄膜の光照射部に選択的に光起電力を発生させ、水系
電解液中の電着材料を析出させて着色膜(以下、「着色
電着膜」ということがある。)を形成する。即ち、着色
電着膜の形成原理は、電着技術を用いた膜形成技術によ
るものであり、水溶性分子のうち、酸化状態、中性状
態、還元状態で各々水への溶解度が大きく変化しうる分
子に注目し、水溶性分子を電気化学的に直接酸化還元す
るか、又は水溶性分子が溶解された水溶液のpHを適宜
変化させることにより、前記状態間の移動を可能とする
原理を利用したものである。
【0043】例えば、カルボキシル基を持つ高分子化合
物の一種である水溶性アクリル樹脂は、pHが7以上で
は水に溶解するが、それ以下の範囲では沈殿する。そこ
で、前記同様にこのアクリル樹脂と顔料を分散させ、電
極を浸し電圧を印加すると、陽極電極上に顔料とアクリ
ル樹脂が析出して顔料とアクリル樹脂とが混合された電
着膜が形成される。前記のようにして形成された電着膜
は、逆電圧を印加するか、或いは、pH10〜12の水
溶液に浸すことにより、水溶液中に再溶出させることが
できる。
【0044】ところが、着色電着膜の形成には、ある一
定のしきい値以上の電圧を印加する必要があり、単に電
流が流れても必ずしも電着膜が形成されるわけではな
い。従って、バイアス電圧を印加しておくことにより、
仮に外部から入力される電圧レベルが小さい場合でも着
色電着膜を形成することができ、用いる入力電圧レベル
を制御することにより所望の着色電着膜を形成すること
ができる。ここで、着色電着膜を形成しようとする基板
に半導体材料を利用し、電極として用いれば、入力信号
に光を用い、さらにこの光の照射を制御することにより
所望の位置に着色電着膜を形成することができ、任意の
画像パターンを形成することができる。
【0045】即ち、具体的には、前述のように、液性変
化により溶解度が大きく変化する顔料や染料等を含有す
る電着材料を水系溶媒に溶解、分散した溶液(即ち、水
系電解液)を入れた水系電解液槽を用意し、該槽内の水
系電解液に電極として有機又は無機の半導体材料を接触
又は浸した状態で、光を所望の画像パターンに対応する
ように前記半導体材料上に照射することにより、水系電
解液中の電着材料を半導体材料上に析出させ、所望の画
像パターンのカラーフィルタ層を有する単色のカラーフ
ィルタを形成することができる。これを、赤色、緑色、
青色のそれぞれの水系電解液を用いて繰り返し行うこと
により、多色のカラーフィルタを形成することができ
る。従って、従来の電着法のように、予めパターニング
された導電膜が不要であり、フォトリソグラフィ工程を
経ることなく、簡易で低コストな方法で任意の画像パタ
ーンを平滑に、かつ高解像度に形成することができる。
また、前記水系電解液中の電着材料として、導電性の電
着材料を用いれば、電極とした半導体材料上に導電性の
電着材料を析出させ、導電性の着色膜を形成することも
できる。
【0046】光照射前の水系電解液のpH値は、陽極電
着の場合には、用いる電着材料の状態変化が生じるpH
値から+1.5以内、陰極電着の場合には、用いる電着
材料の状態変化が生じるpH値から−1.5以内の範囲
に設定することが好ましく、かつpH8.5以下である
ことが好ましい。即ち、電解液に用いる水系溶媒に対し
て電着材料が十分な溶解性を示すと同時に、その電解液
のpH変化により溶解若しくは分散状態から上澄みを生
じて沈殿を生ずる変化がpH3.0の範囲以内であるこ
とが好ましい。さらには、1.5以内であることがより
好ましい。水系電解液のpH値をこのような範囲に設定
しておけば、着色電着膜が形成される前に電着材料の水
系溶媒への溶解が飽和状態となる。その結果、一旦着色
電着膜を形成してしまえば、膜形成後に水系電解液中に
再溶解し難く安定的に、かつ透光性の高い着色電着膜を
形成することができる。一方、着色電着膜の形成時に、
電着材料が未飽和状態、即ち、電解液のpH値が上記範
囲にない場合には、着膜速度の低下を招いたり、或い
は、一旦着色電着膜が形成されても、電流等の供与を中
止した途端に膜の再溶解を生ずることがある。尚、電解
液のpH値を調整するには、電着特性に影響を与えない
酸性又はアルカリ性物質を添加し、バイアス電圧を5V
以下まで下げて着色膜を形成することが好ましく、2V
以下まで下げて着色膜を形成することがより好ましい。
【0047】また、エッジ部がシャープで、高鮮鋭な着
色膜を形成しうる観点から、電着時に用いる水系電解液
の温度を一定の温度に保持し、一定の電着速度で着色膜
を形成することが好ましい。後述するように、黒色の色
材や金属を含有する電解液を用いてブラックマトリック
スを形成する場合も同様である。
【0048】電解液中には、電着速度を速める目的で、
電着材料以外に電着特性に影響を与えないイオン解離性
の塩を添加してもよく、塩の添加により溶液の導電率が
増加する。水系液体中の導電率と、電着速度(換言すれ
ば、電着量)とは相関し、導電率が高くなればなるほど
一定時間に付着する電着膜の膜厚が厚くなり、導電率が
約100mS/cm2(10Ω・cmに相当する。)以
上になると飽和傾向にある。従って、電解液中に着色膜
の形成に影響しないイオン、例えば、Na+、NH4 +
Cl-、PO4 -、SO4 -等を加えれば、電着速度をコン
トロールすることができる。また、電解液のpHも着膜
形成性に影響する。例えば、膜形成を瞬時に行う条件下
で膜形成すれば、高分子の凝集が密になり膜形成後に再
溶解されにくく、一方、未飽和状態でゆっくりと膜形成
を行うと、膜形成後、通電を止めた途端に膜が再溶解し
始め、膜性の高い着色膜を得ることはできない。従っ
て、電着材料の水系溶媒への溶解が飽和状態となるpH
で着膜形成を行う方が望ましい。
【0049】上記塩を添加して電解液中の体積固有抵抗
率を調整する場合、該体積固有抵抗率としては、着膜を
良好に行いうる観点から、100〜105[Ω・cm]が
好ましい。前記体積固有抵抗率が、100Ω・cm未満
であると、付着する着膜量を制御することができないこ
とがあり、105Ω・cmを超えると、十分な電流が得
られず、十分な着膜量の着色膜を得ることができないこ
とがある。
【0050】顔料等の非イオン性分子と電着材料とを組
合せる場合には、膜形成能力のある透明な高分子材料で
ある、水溶性アクリル樹脂や水溶性スチレン樹脂等を用
い、顔料等とともに混合、分散した溶液を使用すれば、
顔料からなる着色膜を得ることができる。
【0051】本工程で形成する着色膜の膜厚としては、
0.3〜4.5μmが好ましく、0.6〜1.9μmが
より好ましい。前記膜厚が、0.4μm未満であると、
平滑な膜が形成できなかったり、膜に欠陥を生ずること
があり、4.5μmを超えると、膜厚制御性が低下する
ことがある。
【0052】また、着色膜の体積電気抵抗値としては、
10-3〜1012Ω・cmが好ましく、10-1〜105Ω
・cmがより好ましい。前記体積電気抵抗値が10-3Ω
・cm未満であると、電着時に安定に成膜できないこと
があり、1012Ω・cmを超えると、膜厚の制御が難し
く、厚膜化が困難となることがある。前記体積電気抵抗
値は、後述するように、電解液中に導電性の材料を含有
する等により調整することができる。
【0053】次に、水系電解液の基板近傍で生じるpH
変化、及びこれに伴う着色膜(着色電着膜)の形成機構
について説明する。一般的に、水溶液中に白金電極を浸
し電流又は電圧を供与すると、アノード近傍の水溶液中
のOH-イオンは消費されてO2になり、水素イオンが増
えてpHが低下する。これは、アノード近傍でホール
(p)とOH-イオンとが結び付く以下の反応が起こる
ためである。 2OH-+2p+ → 1/2(O2)+H2O 但し、この反応が起こるには、基板の電位が一定値(し
きい値電位)を超える必要がある。しきい値電位を超え
て始めて反応が進行し、水溶液中のpHが変化する(ア
ノード近傍ではpHが低下し、カソード近傍ではpHが
増加する)。本発明において着色膜を形成する場合、光
照射により光半導体に光起電力を起こさせ、光照射部の
みをしきい値電位を超える電位とし、基板の光照射部近
傍の水系電解液のみに前記の反応を進行させるものであ
る。反応が進行した結果、光照射部近傍の水系電解液の
pHは変化し、これに対応して電着材料の溶解度が変化
し、光照射部のみに着色膜が形成される。
【0054】このように、光起電力を利用して電気化学
反応を引き起こす試みは、今までに種々検討されてき
た。例えば、A.Fujishima,K.Hond
a,Nature vol.238,p37,(197
2)には、n型光半導体のTiO 2に光を照射して、生
じた光起電力により水の電気分解を行った例が報告され
ている。 また、 光起電力を利用した画像形成の例として
は、H.Yoneyama,et al,J.Elec
trochem.Soc.,p.2414(1985)
に、Si基板上に光を照射して、生じた光起電力により
ピロールを電解重合し、 ドーピング・ 脱ドーピングで画
像形成を行った例が報告されている。 また、我々も導電
性高分子のドーピング・ 脱ドーピングに色素を用い、 光
で画像形成する方法を特許出願中である。 しかし、光起
電力を利用して、導電性高分子により画像形成を行う場
合は、使用できる発色材料に限界がある。その結果、多
彩色の画像形成を行うのは困難であった。
【0055】導電性高分子が存在しない系であっても、
着色膜を形成することは可能であるが、着色膜の形成に
必要な電圧は、 導電性高分子がある場合に比較して大き
くなる。 例えば、 前記特開平5−119209号公報
「カラーフィルター製造方法及びカラーフィルター製造
用の電着基板」、及び特開平5−157905号公報
「カラーフィルター製造方法」では、 光半導体薄膜に光
照射を行い、該光照射部に発現した光導電性を利用して
着色電着膜を形成する技術が開示されているが、印加電
圧は、20Vから80Vであり、電着物質は高分子の酸
化還元反応を利用している。 一方、 光半導体薄膜の光起
電力は1V未満(例えば、Siで0.6V程度)であ
り、画像を形成するには光起電力だけでは不十分であ
る。 あらかじめ電流又は電圧の供与により電位を嵩上げ
しておくことも考えられるが、一定の電圧(用いる光半
導体のバンドギャップに対応する電圧)を超えて電圧を
印加すると(例えば、Siで5Vを越える電圧)、半導
体と電解液間のショトキーバリヤーが壊れてしまい、画
像形成ができなくなる。本発明では、電着に高分子等の
酸化還元反応を利用せず、前記のように、電解液中のp
H変化に対応した電着材料の溶解度変化を利用して着色
膜を形成しているので、ショットキーバリヤーを破壊し
ない範囲で、電着することが可能である。
【0056】本発明において、あらかじめ基板(基板上
の導電膜)に電圧を印加しておいてもよい。このときに
印加するバイアス電圧は、光半導体薄膜が発現する光起
電力により基板に生じる電位を補い、基板の電位がしき
い値電位に達するようにその大きさを設定する。また、
印加するバイアス電圧は、ショトキーバリアーを超えな
い大きさに設定する。あらかじめ基板に印加する電圧が
大きすぎると、ショトキーバリアーが壊れ、光照射され
ていない領域にも電流が流れ、光半導体基板の全領域に
電着膜が形成され、着色膜の形成位置を制御できなくな
るからである。例えば、TiO2の光起電力は、約0.
6Vであるので、2.0Vで電着する電着材料であれ
ば、1.5Vのバイアス電圧を印加しつつ光照射する
と、基板(光半導体膜)の光照射部の電位は0.6V+
1.5V=2.1Vとなり、電着に必要なしきい値電位
を越え、光照射部のみに着色膜が形成される。一方、こ
の基板に2.5V以上のバイアス電圧を印加すると、シ
ョトキーバリアーが壊れてしまう。
【0057】次に、光半導体と電着材料の組合わせにつ
いて説明する。本発明では、光起電力の形成に、光半導
体と接触した界面に生じるショトキーバリヤーや、pn
接合あるいはpin接合の障壁を利用している。図1に
n型光半導体と電解液との界面に生じるショトキーバリ
ヤーを、図2にpin接合のエネルギーバンドを模式的
に示す。例えば、n型光半導体を用いた場合、n型光半
導体側を負にした場合には、電流の流れは順方向である
ので電流は流れるが、逆に、n型光半導体側を正にした
場合は、n型光半導体と水系電解液とのショトキー接合
がバリヤーを形成して、電流は流れない。ところが、n
型光半導体側を正にして電流が流れない状態でも、光を
照射するとn型光半導体薄膜からエレクトロン・ホール
ペアが発生し、ホールが溶液側に移動して電流が流れ
る。この場合、n型光半導体を正電位にするのであるか
ら電着する材料はアニオン性分子でなければならない。
従って、n型光半導体とアニオン性分子の組合せとな
り、逆にp型光半導体ではカチオンが電着されることに
なる。特に、n型光半導体を用いた場合はカルボキシル
基を有するアニオン性分子、p型半導体を用いた場合は
アミノ基、又はイミノ基を有するカチオン性分子を含有
する着色電着材料を用いるのが好ましい。
【0058】導電性膜に電流又は電圧を供与するには、
導電性膜の側縁等に電流又は電圧が供与されるための通
電路を設ければよい。電流又は電圧の供給には、ポテン
ショスタット等が使用可能である。
【0059】<水系電解液>前記水系電解液としては、
水系溶媒に、色材を含有する電着材料を分散又は溶解さ
せた水系電解液を用いる。 −電着材料− 前記電着材料としては、少なくとも溶液のpH変化に対
応して溶解度が変化するイオン性分子と、電着膜を所望
の色に着色するための染料、顔料、色素等の色材と、を
含有してなり、必要に応じて、他の成分を含有してな
る。さらに、導電性の材料を含有して導電性の電着材料
としてもよく、前記導電性の材料を含有するとともに、
或いは、前記導電性の材料を含有させずに、前記色材と
して導電性の着色材を用いて構成することもできる。
【0060】前記色材自体は必ずしも電着能を有する必
要はなく、イオン性分子が電着する際に、色材を取り込
んで凝集、析出することにより着色膜等が形成されても
よい。また、色材自体がイオン性分子であって、電着能
を有する場合は、電着材料は色材のみからなっていても
よい。ここで、色材として顔料を含有するとともに、イ
オン性高分子を含有させた電着材料を用いると、形成し
た着色膜の耐光性を向上させることができ、特に好まし
い。前記イオン性分子としては、陰イオン解離性基を有
するアニオン性分子であっても、陽イオン解離性基を有
するカチオン性分子であってもよい。
【0061】いずれのイオン性分子を電着材料として選
択するかは、イオン性分子が有するpHの変化に対応し
た溶解度の変化特性を目安にすることができる。本発明
に用いられる電着材料は、溶液のpH変化に依存して、
急激に溶解度が変化する性質を有するものが好ましい。
例えば、溶液の±2.0のpH変化に対応して、より好
ましくは、±1.0のpH変化に対応して状態変化(溶
存状態→沈殿、又は沈殿→溶存状態)するものが好まし
い。このような溶解度特性を有するイオン性分子を電着
材料として用いれば、より迅速に電着膜を作製でき、ま
た強い凝集力により耐水性に優れた電着膜を作製するこ
とができる。さらに、電着材料として用いるイオン性分
子は、pHの変化に対応する状態変化(溶存状態→析出
の変化と析出→溶存状態の変化)にヒステリシスを示す
ものが好ましい。即ち、pHの減少又は増加に対応する
析出状態への変化は急峻であり、かつpHの増加又は減
少に対応する溶存状態への変化は緩慢であると、着色膜
の安定性が向上するので好ましい。
【0062】前記イオン性分子としては、例えば、陰イ
オン性解離基であるカルボキシル基等を有するアニオン
性高分子化合物;陽イオン性解離基であるアミノ基、イ
ミノ基等を有するカチオン性高分子化合物等が挙げられ
る。本発明においては、電着材料として用いるイオン性
分子としては、カルボキシ基を有する化合物が好まし
く、該カルボシキ基を有する化合物が疎水ドメインと親
水ドメインとを有する重合体であることが好ましい。上
記重合体のうち、イオン性解離基を有する親水性モノマ
ー(親水ドメイン)と疎水性モノマー(疎水ドメイン)
との共重合体が好ましく、中でも、ブロック共重合体、
ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はブロック共
重合体とグラフト共重合体若しくはランダム共重合体と
の混合物がより好ましい。さらに、基板として、光透過
性の導電膜と接合する能動素子を備えた基板を用い、該
能動素子を駆動する際の駆動電圧を利用して着色膜を形
成する場合には、色材の分散性を向上させうる観点か
ら、ブロック共重合体、又はブロック共重合体とグラフ
ト共重合体との混合物が最も好ましい。
【0063】前記ブロック共重合体としては、色材の分
散性が良好である点で、疎水性モノマーをA、親水性モ
ノマーをBとして表した場合、疎水性モノマーAよりな
るブロック部分と、親水性モノマーBよりなるブロック
部分とがAAA−BBBで表されるジブロック共重合
体、BBB−AAA−BBBで表されるトリブロック共
重合体が特に好ましい。また、グラフト共重合体として
は、AAAAAAで表されるポリマー主鎖に、BBBB
BBで表される複数の側鎖が結合したグラフト共重合体
が特に好ましい。
【0064】これは、色材としては主に顔料を用いる
が、Aよりなる疎水性ブロック部が、疎水性を示す顔料
表面に対する吸着基として作用すると同時に、顔料表面
において高分子鎖が適当に絡み合い、適当な厚みを持つ
高分子で覆われることにより、隣接する顔料同士の凝集
を防止することができるためと考えられる。この時、B
よりなる親水性ブロック部は溶媒である水と親和して、
水系電解液中での顔料の分散安定性を補助するように作
用する。従って、水不溶性の顔料は、互いに凝集するこ
となく、安定に分散された状態で保持される。
【0065】親水ドメインである、陰イオン性解離基を
有する親水性モノマーとしては、例えば、メタクリル
酸、アクリル酸、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アク
リルアミド、無水マレイン酸、無水トリメリト酸、無水
フタル酸、ヘミメリット酸、コハク酸、アジピン酸、プ
ロピオル酸、プロピオン酸、フマル酸、イタコン酸等の
カルボキシル基を有するモノマー、及びこれらの誘導体
が挙げられる。中でも、メタクリル酸、アクリル酸及び
これらの誘導体が、これらをモノマーとするイオン性高
分子は、pHの変化により状態変化が急峻であるととも
に、水系液体への親水性も高い点で好ましい。
【0066】陽イオン性解離基を有するモノマーとして
は、例えば、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4
級アミン、オキサゾリン、アルキルアミン、アルキルイ
ミン、ポリアミン、ポリイミン等のアミノ基又はイミノ
基を有するモノマー等が挙げられる。また、陽イオン性
解離基を有するカチオン性高分子は、高分子にアミノ
基、イミノ基等の陽イオン性解離基を導入したものであ
ってもよい。親水性モノマーは、その分子構造中に30
〜75重量%の割合でイオン解離性基を含有するものが
好ましい。また、親水性モノマーは、2種類以上を組合
わせて用いてもよい。
【0067】疎水性モノマー(疎水ドメイン)として
は、例えば、エチレン、ブタジエン等のオレフィン、ス
チレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル
等、及びこれらの誘導体、フェニレン誘導体、ナフタレ
ン誘導体等が挙げられる。中でも、スチレン、α−メチ
ルスチレン及びこれらの誘導体は、疎水化効率が高く、
電着析出効率が良好である点、また親水性モノマーとの
共重合の際の制御性が高い点で好ましい。尚、疎水性モ
ノマーは、2種類以上を組合わせて用いてもよい。
【0068】イオン性高分子を色材とともに使用する場
合は、イオン性高分子は、透明な電着膜を形成し得るも
のが、色材の発色を妨げないので好ましい。例えば、水
溶性アクリル樹脂が好ましい。上記より、pH変化によ
る状態変化が急峻で、親水性も高い観点から、上記イオ
ン性分子のうち、スチレン−(メタ)アクリル系共重合
体が特に好ましい。
【0069】前記イオン性高分子としては、電解液の液
安定性の観点からは、適度な親水性を有している必要が
あり、一方、電着膜の膜強度及び耐水性の観点からは、
適度な疎水性を有している必要がある。電着材料として
用いるイオン性高分子に要求される疎水性と親水性のバ
ランスは、例えば、以下のようなモノマー単位の疎水ド
メインの数と、親水ドメインの数とで表すことができ
る。即ち、イオン性高分子が、疎水性モノマーと親水性
モノマーとの共重合体である場合、モノマー単位の疎水
ドメインの数と親水ドメインの数との総和に対する疎水
ドメインの数としては、30〜75%が好ましく、55
〜70%がより好ましい。前記疎水ドメインの数の割合
が、30%未満であると、電着膜の耐水性や膜強度が不
十分となることがあり、75%を超えると、イオン性高
分子の水系溶媒に対する親和性が低下して適量を溶解で
きなかったり、沈殿を生じたり、或いは、電解液の粘度
が高くなりすぎて、均一な電着膜を形成できないことが
ある。一方、疎水ドメインの数が前記範囲にあると、水
系溶媒との親和性も高く、電解液の液性が安定化すると
ともに、電着効率も高いので好ましい。
【0070】一方、前記親水基としては、該親水基の数
の50%以上が、pHの変化により水溶性から非水溶
性、或いは、この逆に可逆的に変化しうる親水基である
ことが好ましい。前記親水基の数が、50%未満である
と、水に対する溶解度が低すぎて水に溶けなくなること
がある。
【0071】イオン性高分子の疎水性と親水性のバラン
スは、アニオン性高分子を用いる場合は、酸価によって
示すこともできる。アニオン性高分子の酸価は、電着特
性が良好となる点で、60〜200が好ましく、70〜
130が特に好ましい。前記アニオン性高分子の酸価
が、60未満であると、水系溶媒への親和性が低くな
り、アニオン性高分子が沈殿したり、電解液の粘度が高
くなりすぎて、均一な電着膜が形成できないことがあ
り、200を超えると、形成された電着膜の耐水性が低
下したり、電着効率が低下することがある。
【0072】前記イオン性分子の分子量としては、電着
膜の膜特性等の観点から、数平均分子量が6.0×10
3〜2.5×104が好ましく、9.0×103〜2.0
×104がより好ましい。前記数平均分子量が、6.0
×103未満であると、膜が不均一となり、耐水性が低
下する結果、電着膜中にクラックが発生したり、電着膜
が粉末化して、堅牢性の高い電着膜が得られないことが
あり、2.5×104を超えると、水系溶媒との親和性
が低下し、沈殿が生じたり、電解液の粘度が高すぎて電
着膜が不均一となることがある。
【0073】また、前記イオン性高分子は、ガラス転移
点が100℃以下であり、流動開始点が180℃以下で
あり、分解点が150℃以上、好ましくは220℃以上
であると、基板上に形成されたイオン性高分子からなる
電着膜の膜性が良好になり、その後に施す着膜等による
劣化を招き難くなる点で好ましい。
【0074】前記水系電解液に含有する色材としては、
染料や顔料等の色材が挙げられが、耐光性や、均一厚の
膜を安定に形成しうる点から顔料が好ましい。前記顔料
としては、汎用の公知の顔料を挙げることができ、例え
ば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔
料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料等が挙げら
れる。前記顔料の平均粒径としては、0.2〜99nm
が好ましく、40〜60nmがより好ましい。前記平均
粒径が、0.2nm未満であると、製造時のコストが高
くなると共に、安定した品質が得られないことがあり、
99nmを超えると、色相にズレが生じやすく、また濁
りも生ずることがある。
【0075】導電性の着色膜を形成する場合には、水系
電解液中に導電性の材料を含有する導電性の電着材料
や、導電性の着色材を用いる。前記導電性の材料として
は、光透過性の導電材料、光透過性の導電性高分子化合
物、塩、導電性の着色材等を挙げることができる。前記
光透過性の導電材料としては、ITO、SnO2等の透
明導電性材料、及びその混合物が挙げられる。
【0076】前記塩としては、電着特性に影響を与えな
い塩、例えば、NaCl、KCl、NH4Cl等の無機
塩、テトラエチルアンモニウムクロライドやテトラエチ
ルアンモニウムパークロレート等の有機塩等が挙げられ
る。塩の種類は様々な組合わせがあるが、カチオンとし
ては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、第4
級アンモニウム塩が挙げられ、アニオンとしては、ハロ
ゲンイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオ
ン、スルホン酸イオン、BF4-、PF4-等が挙げられ
る。中でも、導電性を付与する点で、それ自身が酸化還
元を受け難いイオンが好ましく、さらに水に対する溶解
度の点で、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、
スルホン酸イオンのアンモニウム塩や第4級アンモニウ
ム塩がより好ましい。一方、薄膜トランジスタ(TF
T)に悪影響を与えないという点においては、アルカリ
金属は避けた方がよい。
【0077】前記導電性の着色材としては、導電性の着
色材としては、前記イオン性の色材のほか、カーボンブ
ラック等が挙げられる。
【0078】水系電解液は、水系溶媒中に前記電着材料
を溶解又は分散させて用いるが、水系溶媒とは、水を主
成分とし、所望により本発明の効果を損なわない範囲で
アルコール等の水と親和性のある他の溶剤や、種々の塩
及び添加剤等を添加した溶媒をいう。水系電解液中にお
ける、前記水系溶媒の含有量(成分重量比)としては、
水系電解液の全重量に対し、65〜96重量%が好まし
い。
【0079】各色の着色膜形成工程、又は後述のブラッ
クマトリックス形成工程の後、基板に付着している、各
工程で用いた電解液を除去する目的で、基板を液体洗浄
してもよい。用いる洗浄液としては、透明で安全性の高
い不活性な液体が好ましい。しかし、着膜後すぐに行う
ため、形成された膜自体は強度が弱いことから洗浄除去
と同時に固化が促進されるような洗浄液体が有効であ
る。着色膜の固化が促進されるような洗浄液を用いる
と、着色膜の膜強度が向上するのでさらに好ましい。上
記のような洗浄液としては、電解液の析出開始pH値よ
り、含有される電着材料が析出し易いpHに調製されて
いる水系液体が好ましい。このようなpH調製液で着色
膜が形成された基板を洗浄すると、基板に付着している
前工程に使用した電解液等を除去できるとともに、着色
膜の膜強度を向上させることができる。このような洗浄
により、例えば、カルボキシルキ等の陰イオン性解離基
を有する電着材料を用いた場合は、洗浄液のpH値が電
着材料の析出開始のpH値よりも低く、アミノ基等の陽
イオン性解離基を有する電着材料の場合は、洗浄液のp
H値が電着材料の析出開始のpH値よりも高くすること
により、電着膜の堅牢性が向上し、結果として解像度の
高いカラーフィルターを作製できる。
【0080】(光源)光半導体薄膜への光照射の光源に
は、水銀灯、水銀キセノンランプ、He−Cdレーザ、
ガスレーザ、エキシマレーザ、He−Neレーザ、半導
体レーザ、赤外線レーザ等、従来知られている光源を広
く用いることができる。上記のうち、高圧水銀ランプや
DeepUVが出力される水銀キセンノンランプが好ま
しい。また、照射光は、光半導体薄膜に対して光起電力
を発生させる波長域の光である必要がある。例えば、二
酸化チタン、酸化亜鉛等の光半導体は、紫外線の照射に
より光起電力を発生する。他方、ポリシリコン、フタロ
シアニン系化合物等は、赤外線の照射により光起電力を
発生する。このように、用いる光半導体が感知する光の
光源を適宜選択すればよい。画像様に光照射する方法と
しては、フォトマスク等を介して水銀灯、水銀キセノン
ランプ等を用いて全面露光する方法や、レーザを用いて
走査露光する方法等がある。
【0081】−導電層形成工程− 前記導電層形成工程においては、前記着色膜形成工程及
び/又は後述のブラックマトリックス形成工程の後、少
なくとも前記着色膜上及び該着色膜と電子回路材料とを
接合しうる領域に光透過性の導電層を形成する。一般
に、着色膜は絶縁性の高い膜であるため、着色膜上部に
液晶表示用の電極となる導電層を設ける必要がある。前
記導電層は、スパッタリング法等の公知の方法により、
着色膜上及び該着色膜と電子回路材料とを接合しうる領
域を含む所望の領域に形成することができる。また、導
電性物質を含む水系電解液を用いて導電性を有する着色
膜を形成し、該着色膜をTFT若しくは導電膜と結線し
て通電路を確保することもでき、この場合には、少なく
とも着色膜と電子回路材料とを接合しうる領域に導電層
を形成すれば足りる。
【0082】例えば、図1−(e)、図2−(e)、図3−
(e)、図4−(e)に示すように設けることができる。電
子回路材料4と、導電層6上に設ける液晶材料を制御す
るための電極となる該導電層6とを接合することによ
り、液晶表示装置として、電子回路材料4を制御する
と、液晶分子が駆動して画像を表示することができる。
【0083】前記導電層6は、既述の電着用基板形成工
程において形成した導電膜と同様の材料を用いて、同様
の方法により設けることができる。本工程により設ける
導電層の層厚としては、500Å〜3μmが好ましく、
1000Å〜5000Åがより好ましい。
【0084】−熱処理工程− 前記熱処理工程においては、着色膜形成工程や、後述の
ブラックマトリックス形成工程を経た後、形成した膜に
熱処理を施すことにより、形成した膜の膜強度や耐溶剤
性を向上させることができる。膜強度や耐溶剤性の向上
を促進させる目的で、水系電解液中にラジカル発生剤や
酸発生剤を添加してもよい。
【0085】熱処理工程は、各色の着色膜を形成した後
に逐次設けてもよいし、RGB3色の着色膜を形成した
後に設けてもよいし、さらにブラックマトリックスを設
けた後に一括して設けてもよい。但し、各膜の膜性を十
分に向上させる観点からは、各色の着色膜を形成した後
に、逐次前記硬膜工程を設けることが好ましい。また、
光電着法により、ブラックマトリックスを先に設ける場
合には、ブラックマトリックスのみを形成した後に設け
てもよい。
【0086】加熱の方法としては、オーブン、真空加熱
器等の所望の温度に調整した中に入れて加熱する方法、
加熱ガスを表面に吹き付ける方法等が挙げられる。熱処
理する工程での加熱温度としては、80〜250℃が好
ましく、90〜200℃がより好ましい。前記加熱温度
が、80℃未満であると、十分な膜強度及び耐溶剤性が
得られないことがあり、250℃を超えると、樹脂等の
他の材料の耐熱限界を超えることがある。また、加熱時
間は、上記加熱温度に応じて、任意に設定することがで
きる。
【0087】本発明の着色膜の形成方法を、図6により
簡単に説明する。基体1上に、導電膜2と光半導体薄膜
3と図示されていない能動素子とがこの順に積層された
電着用基板35、対向電極38、制御電極43及び制御
電極用コントロールユニット44を図6に示すように配
置する。電着槽42には電解液37が満たされ、該電着
槽中に前記対向電極38が配置され、電源39と接続さ
れている。電着槽42上には、電着用基板35が、その
少なくとも光半導体薄膜3が電解液37と接触するよう
に配置されており、作用電極として導電膜2を介して電
源39と接続されている。水系電解液37には、少なく
とも色材を含有する電着材料が溶解又は分散されてい
る。
【0088】次に、導電膜2に電源39よりバイアス電
圧を供与しつつ、フォトマスク40を介して基板35に
光照射する。光半導体薄膜3の光照射部には、光起電力
が発生し、生じた光起電力とバイアス電圧により、光半
導体薄膜3の電位が水系電解液の電着材料の電着のしき
い値を超えると、光照射部のみに着色膜(着色電着膜)
34が形成される。上記操作を、R,G,Bのいずれか
の色材を含有する3種の電解液を順次変更して使用する
ことにより、所望の画像パターンを有する着色膜(カラ
ーフィルター膜)34を形成することができる。
【0089】着色膜34が形成された電着用基板35
を、図6に示すように再び配置し、該電着用基板35
を、黒色の色材若しくは金属を含有する電着材料を溶解
又は分散させた水系電解液に接触させ、パターン状に、
又は全面に光照射することにより、着色膜34の未形成
領域のみに黒色の電着膜、即ち、ブラックマトリックス
が形成される。
【0090】上記より、電子回路材料を有する基板上
に、簡易な工程で、微細で複雑な画素パターンを有す
る、高解像度で表面平滑性に優れた着色膜を直接かつ低
コストに形成することができる。
【0091】−ブラックマトリックス形成工程− 本発明においては、ブラックマトリックスを形成する工
程を設けることもできる。ブラックマトリックス形成工
程では、上述の着色膜形成工程と同様のプロセスによ
り、黒色の色材を含有する水系電解液を用いて光照射
し、該光照射部に選択的に黒色の着色膜、即ち、ブラッ
クマトリックスを形成してもよい。水系電解液として、
金属を含有する電着材料を含む水系電解液を用いて金属
メッキ薄膜を形成する工程であってもよい。また、フォ
トリソグラフィを用いることもできる。ブラックマトリ
ックス形成工程は、前記着色膜形成工程の前に設けても
よく、着色膜形成工程を経た後に設けてもよい。
【0092】ブラックマトリックス層の機能としては、
遮光性と光反射防止性の両方の特性を必要とされる。ま
た、薄膜で得られなければ、ブラックマトリックス層の
微細パターン化は難しくなる。即ち、光の透光性が高
く、かつ入射光を反射せずに吸収しうる、といった2つ
の機能を持つ薄膜を形成することにより、高い特性を示
す。上記のように、金属薄膜の持つ高い遮光能力と、黒
色顔料分散樹脂系薄膜の持つ高い光吸収性と、さらに薄
膜化とを満足しうるブラックマトリックス層を形成する
には、金属薄膜と黒色顔料分散樹脂系薄膜とを複合(積
層)した層構造のブラックマトリックス層を形成するこ
ともできる。
【0093】また、基板に形成された着色膜上に、ブラ
ックカーボン粉末等の黒色の色材を含む紫外線硬化樹脂
の溶液を塗布したり、或いは、着色膜を形成した基板を
前記溶液に接触させて、紫外線照射して黒色の色材を含
む樹脂薄膜を形成させることにより、ブラックマトリッ
クスを形成してもよい。
【0094】上記のように、黒色の色材を含有する水系
電解液を用いた方法の場合、前記黒色の色材としては、
公知の黒色の色材を適宜使用できるが、後述するように
ブラックマトリックスを形成した後に着色膜を重なり部
分を有するように形成させることができる観点からは、
導電性の黒色の色材が好ましく、中でも、カーボンブラ
ックが特に好ましい。その他、電着材料に含有される高
分子材料については、着色膜形成工程に用いる材料と同
様である。
【0095】金属メッキ薄膜を形成する場合において
は、水系電解液として金属を含む電着材料を含有する水
系電解液を用い、前記着色膜形成工程、及び黒色の色材
を含有する水系電解液を用いたブラックマトリックス形
成工程と同様のプロセスにより金属メッキ薄膜よりなる
ブラックマトリックスを形成できる。金属メッキ薄膜が
着膜した上層では、金属膜の抵抗が低いために、発生電
流の拡散が生じ、不要に電着膜が積層され難い傾向があ
り、ブラックマトリックスを薄層化できる点で好まし
い。
【0096】金属メッキ薄膜を、着色膜形成工程前に設
ける場合には、金属メッキ薄膜が着色膜形成工程に用い
る水系電解液に対して、耐性を持つことが好ましい。従
って、金属メッキ薄膜として、高い堅牢性を有する金属
を含む水系電解液を用いることが好ましく、該金属とし
ては、例えば、Ni,Cr,Cu,Au,Ag,Mo,
Sn,Zn,Co,Ti,Ta,Pb,Rr等が挙げら
れ、これらより選択される金属イオン1種又は複数種を
含有する水系電解液を用いることが好ましい。中でも、
Ni,Cr,Cu,Au,Ag,Mo,Sn,Zn,C
oより選択される金属イオンは、薄膜形成能及びメッキ
液安定性等の点で特に好ましい。
【0097】前記黒色の色材を含む紫外線硬化樹脂の溶
液を用いてブラックマトリックスを形成する場合には、
溶媒に紫外線硬化樹脂を溶解した溶液中に、黒色の色材
を分散させ、これを着色膜を形成した側の基板上の表面
全体に付着させ、ブラックマトリックスを形成する領域
のみに紫外線を照射して硬化させ、その後、溶媒で溶解
させて未硬化領域に存在する前記溶液を除去する。
【0098】基板上に着色膜及びブラックマトリックス
を設ける場合、該着色膜とブラックマトリックスとの隙
間を無くす目的で、フォトマスクを介してブラックマト
リックス又は単色若しくは複数色の着色膜を形成した
後、該ブラックマトリックス又は着色膜と互いに重なり
を有するように、単色若しくは複数色の着色膜又はブラ
ックマトリックスを形成することが好ましい。即ち、ブ
ラックマトリックスを形成した後に着色膜を形成する場
合、ブラックマトリックスと重なる領域ができるように
ブラックマトリックスの領域まで光照射することによ
り、光照射されたブラックマトリックス上にも着色膜を
形成する。逆に、着色膜を形成した後にブラックマトリ
ックスを形成する場合においても同様である。
【0099】上記のようにして、基板上に形成した着色
膜及びブラックマトリックス上には、保護層を設けるこ
とが好ましい。また、前記保護層表面には、ラビング処
理等の公知の方法により配向処理を施すこともできる。
【0100】<駆動素子>本発明の駆動素子は、光透過
性の基体上に、光透過性の導電膜と、少なくとも該導電
膜を覆う、光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄
膜と、電子回路材料と、前記光半導体薄膜上に設けられ
る着色膜と、を備えてなり、以下に示す態様(態様A及
びB)で好適に構成される。即ち、態様Aとしては、上
記のように基体上に導電膜等を備え、かつ該導電膜が電
子回路材料と接続されてなる。また、態様Bとしては、
上記のように基体上に導電膜等を備え、該導電膜等を備
えた同一基体上に前記電子回路材料が複数規則的に配列
され、さらに、各電子回路材料を構成するゲート電極を
共通に接続する第一共通電極と、各電子回路材料を構成
するソース電極を共通に接続する第二共通電極とを備
え、前記導電膜が各電子回路材料を構成するドレイン電
極と接続されてなる。ここで、電子回路材料は、既述の
通りである。
【0101】本発明の駆動素子の構成態様は、既述の電
着用基板の構成態様で異なり、該基板の範囲内であれば
特に制限はなく、例えば、既述の第一〜第四の態様に示
す電着用基板よりなる、図1〜4の各(d)〜(e)に示す
構成であってもよく、その電子回路材料(能動素子)
は、態様A若しくはBで好適に配設される。具体的に
は、以下の通りである。
【0102】前記態様Aの駆動素子は、導電膜及び光半
導体薄膜がこの順に積層された基板上に、ソース電極、
ドレイン電極及びゲート電極を有する能動素子が備えら
れ、前記導電膜がドレイン電極と電気的に結合されてな
り、さらに既述の本発明の着色膜の形成方法により、電
解液と接触する光半導体薄膜上に着色膜が電着形成され
た、着色膜付の駆動素子である。前記態様Bの駆動素子
は、導電膜及び光半導体薄膜がこの順に積層された基板
上に、マトリックス状に規則的に配列された、ソース電
極、ドレイン電極及びゲート電極を有する能動素子が、
前記導電膜とともに2次元的に配設され、前記ゲート電
極は第一共通電極と結合され、前記ソース電極は第二共
通電極と結合され、前記ドレイン電極は前記導電膜と結
合されてなり、さらに既述の本発明の着色膜の形成方法
により、電解液と接触する光半導体薄膜上に着色膜が電
着形成された、着色膜付の駆動素子である。前記ゲート
電極は、導電膜等や能動素子を備える各表示素子(画
素)に備えられ、実際には隣接する各表示素子間を通ず
る第一共通電極の一部を担っている。
【0103】本発明の駆動素子としては、上記の通り、
前記基体及び電子回路材料の間に絶縁性層を備えた態様
も好ましい。前記絶縁性層は、基体及び電子回路材料間
であればその位置関係としては特に限定はなく、図2に
示す態様のほか、基体の表面上や導電膜上であってもよ
い。前記絶縁性層を備えることは、電子回路材料へのノ
イズや誘導電解の影響を回避する点で好ましく、従っ
て、導電膜上、即ち、導電膜と電子回路材料との間がよ
り好ましい。また、同様の理由から、基体上に設けた導
電膜、或いは、導電膜及び光半導体薄膜の一部(即ち、
電子回路材料を設ける領域)を除去し、図3及び4の各
(d)のように、導電膜のない前記領域の光半導体薄膜
上、或いは、基体上に電子回路材料を備えた態様も好ま
しい。
【0104】また、前記着色膜上には、各表示素子(画
素)に設けられた着色膜に対応する個別電極として、さ
らに光透過性の導電層を設けた態様が好ましい。例え
ば、図1〜4の各(e)に示すように、導電層6を設ける
ことができる。前記導電層は、液晶材料を介して設けら
れる透明電極板との間で電界を与え、液晶分子を制御し
て画像表示を可能にする。
【0105】上記のように、能動素子を有する基板を用
い光電着法により着色膜を形成することにより、高解像
度でパターン精度に優れた着色膜を有する駆動素子を安
価に得ることができる。
【0106】<液晶表示装置>本発明の液晶表示装置
は、前記本発明の駆動素子と、着色膜が形成された側の
前記駆動素子の表面に対向して配置される透明導電板
と、前記駆動素子と透明導電板との間に狭持するように
配置される液晶材料と、を備えてなり、例えば、図7に
示す態様(前記態様Bの駆動素子を含む態様)の構成を
有するものであってもよい。図7は、本発明の液晶表示
装置の一例を説明するための概略断面図である。
【0107】本態様の液晶表示装置は、本発明の駆動素
子を含み、これに液晶材料及び透明導電板を組合せた構
造を有するものである。本態様の液晶表示装置は、液晶
材料11が第一の共通基体10と、ガラス基体である第
二の共通基体1との2枚の基体間に挟持されて構成され
ている。透明電極9は、第一の基体10上に形成された
単一の共通電極であり、透明電極9及び基体10は、透
明導電板21を構成する。基体1の表面には、導電膜2
と光半導体薄膜3とがこの順に積層されており、前記光
半導体薄膜3上に能動素子が備えられ、該能動素子が備
えられていない領域に着色膜5が形成されている。前記
共通電極である透明電極9と対向して、液晶材料11を
挟んで配置される他方の導電層6は、ドレイン電極17
を介してガラス基体1上の導電膜2と接続されている、
複数の表示素子(画素)に対応する個別電極である。
【0108】各能動素子を構成するドレイン電極17
は、基体1の側端部において導電膜2と接合されてお
り、各能動素子を構成するソース電極線18及びゲート
電極13は、図5に示すように二次元的に、即ち、マト
リックス状に配置されている。各能動素子は、図7に示
すように、ガラス基体1上に設けられたゲート電極1
3、該ゲート電極13上に設けられた絶縁膜15、半導
体16、ソース電極18’、ドレイン電極17等を備え
て構成され、マトリックス化されたソース電極18、ゲ
ート電極13が通電されアクティブになることにより、
対応するドレイン電極17が選択的にスイッチングされ
る。
【0109】本発明の液晶表示装置においては、上記能
動素子に隣接する、露出した個々の光半導体薄膜3上
に、選択的に着色膜(フィルタ膜)5が形成される。フ
ルカラーの液晶表示装置の場合には、隣接する3個の表
示素子(画素)に位置する各光半導体薄膜上に、それぞ
れ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の着色膜が形成され、
RGBの3画素で1つの表示単位を構成する。さらに、
形成した各着色膜5上には、導電層6がドレイン電極1
7と接合するように設けられ、導電層6及び透明電極9
の両電極間に電圧印加された表示素子領域の液晶材料1
1は、両電極間に生ずる電界によって変調され、その結
果これを透過する光が制御され、所望の画像が表示され
る。
【0110】前記着色膜5は、本発明の着色膜の形成方
法により能動素子を備えた基板上に直接形成され、該着
色膜5がカラーフィルタ膜としての役割を果たす。各画
素の個々の着色膜上に駆動のための電圧を印加する導電
層を設けているため、各画素に位置する導電層の面積に
対応して配向された液晶材料の、第一の基体に対する投
影面積に等しい面積に対応した透過光が着色されて表示
される。
【0111】本発明の液晶表示装置は、例えば、以下の
ように作製できる。まず、図1−(c)のように、基体1
上に導電膜2及び光半導体薄膜3がこの順に積層され、
かつ光半導体薄膜3上に、既述した能動素子としての薄
膜トランジスタ(TFT)4を備えた電着用基板を準備
する。次に、導電膜上に積層された光半導体薄膜上に
は、以下のようにして着色膜(カラーフィルタ膜)を形
成できる。マトリックス状に配列されたTFT4が設け
られた基体1を、光半導体薄膜3が露出して残るように
電気的にマスクする。これは、着色膜形成工程におい
て、基体1を電解液に接触若しくは浸漬し、ゲート電極
13及びソース電極18に通電した際に、各画素に対応
するTFTがショートしたり、各TFTを構成する各電
極や半導体が、水との接触により酸化されるのを防止す
るためである。尚、この場合においても、各画素におけ
る各TFTが接続されたソース電極18、ゲート電極1
3も、水との接触が絶縁されて基体1の端部にまで延
び、基体1の端部若しくは外部において、好ましくは基
体と一体化されたTFT駆動用のIC(駆動用IC)に
接続される。
【0112】駆動用ICは、基体1上に一体的に薄膜形
成プロセスで形成された薄膜ICであってもよい。この
場合、薄膜ICは基体1外の電源に接続される。また、
前記駆動用ICは、前記基体1の端部に別個に実装され
るか、又は基体1外に設けられた、前記ソース電極1
8、ゲート電極13に接続された駆動用ICチップであ
ってもよい。
【0113】次いで、図6に示すように、所望の色相に
対応する水系電解液37を入れた電解液槽42を準備
し、該電解液槽42の水系電解液37中には、電源39
に接続された対向電極38が配置されている。前記電源
39には、ポテンショスタット等を利用することができ
る。着色膜を形成しようとする領域の光半導体薄膜が露
出するように絶縁処置された基体1は、唯一電気的に絶
縁されていない、露出した前記光半導体薄膜上に着色膜
を形成するため、少なくとも該光半導体薄膜が水系電解
液37と接触又は浸漬するように配置する。この状態
で、フォトマスク40を介して該光半導体薄膜等が設け
られていない側の基体の上方に配置した光源より光照射
し、露出した光半導体薄膜にのみ選択的に光起電力を生
じさせ、その光半導体薄膜の表面でpH変化を生じて電
解液37中の電着材料が選択的に析出し、光照射され
た、露出している光半導体薄膜上に着色膜が形成され
る。pH変化を利用した析出現象により成膜されるた
め、均一厚で表面平滑性に優れた着色膜を形成でき、各
色に対応する水系電解液を用いて同様の操作を繰り返す
ことにより、TFTを備えた基板上に直接フルカラーの
フィルタ膜を形成することができる。これに液晶材料及
び透明導電板を組合せることにより、本発明の液晶表示
装置を得ることができる。
【0114】上記のように、能動素子を備えた基板上に
直接、高解像度で、かつ均一厚で表面平滑性に優れた着
色膜を形成するため、薄膜トランジスタ(TFT)等の
能動素子を備えた基板に、別個に作製したカラーフィル
タを組合せることなく、高解像度な液晶表示装置を安価
に得ることができる。
【0115】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、
実施例中の「%」は、全て「重量%」を表す。 (実施例1) −電着用基板形成工程− 厚さ0.7mmの石英ガラス基体の一方の表面に、スパ
ッタリング法により膜厚0.1μmのITOの透明な導
電膜(ITO薄膜)を製膜し、さらにスパッタリング法
により膜厚0.2μmのTiO2膜を製膜(TiO2
膜)して図1−(b)と同様の積層構造とし、その後50
0℃下で熱処理を行った。次いで、TiO2薄膜3の電
流特性を向上するために、4%の水素ガスを混合する純
窒素ガス中で、300℃下で10分間アニールして還元
処理を施した。次に、基体1上の前記TiO2膜3上
に、薄膜トランジスタ(TFT)4を配設して、図1−
(c)と同様の断面構造を有する電着用基板を得た。
【0116】−着色膜形成工程− 図6中の電着用基板35として上記より得られた電着用
基板を用い、このTiO2膜3上に着色膜(カラーフィ
ルタ膜)を形成しうる、図6と同様の構造を有する、電
気化学分野において一般的な三極式の配置を有する装置
を準備した。また、電着槽42には、以下のように調製
した水系電解液37を準備した。
【0117】前記水系電解液37として、まず純粋10
0g中に、スチレン−アクリル酸ランダム共重合体(数
平均分子量13000、疎水基/(親水基+疎水基)の
モル比73%、酸価90、ガラス転移点75℃、流動開
始点110℃、分解点247℃、析出開始点pH5.
8)と、アゾ系赤色超微粒子顔料(平均粒子径34n
m)とを固形分重量比5:5で分散混合した、固形分濃
度6%の水系電解液(pH7.9,体積固有抵抗率7.
1×101Ω・cm、水系溶媒の組成重量比(含有量)
7.8%)を調製した。
【0118】図6に示すように、上記より得られた電着
用基板を水系電解液37に接するように配置し、光半導
体薄膜(TiO2膜)を作用電極とし、該作用電極のバ
イアス電位差が飽和カロメル電極に対してプラス1.7
VとなるようにITO導電膜に電圧を印加した。また、
電着用基板の裏側(電着用基板の、光半導体薄膜の設け
られていない側の基体表面)からレッドフィルタ用のフ
ォトマスクを通して、水銀キセノンランプ(山下電装
製:波長365nm:光強度50mW/cm2)により
3秒間光を照射した(図6及び図1−(d)参照)。Ti
2表面に透過光が照射され、照射領域にのみ膜厚0.
9μmの均一厚の赤色のパターン、即ち、赤色の着色膜
(レッドフィルタ膜)が形成された。ここで、光照射時
におけるTFTは、光起電力が生じた際に着色膜を形成
しうるだけの基準電圧(バイアス電圧)がかかった駆動
状態にある。赤色の着色膜の微小面積部を測定した光学
透過濃度は、1.3であった。
【0119】次に、純粋100g中に、前記同様のスチ
レン−アクリル酸ランダム共重合体と、フタロシアニン
グリーン系超微粒子顔料(平均粒子径41nm)とを、
固形分比率5:5で分散混合した、固形分濃度6%の水
系電解液(pH7.8,体積固有抵抗率6.5×10Ω
・cm、水系溶媒の組成重量比(含有量)8.1%)を
調製した。水系電解液37を得られた水系電解液に代
え、赤色の着色膜を形成する場合と同様にしてグリーン
フィルタ用のフォトマスクを通して4秒間光照射する
と、図1−(d)に示すようにTiO2表面の光照射領域
にのみ緑色の着色膜(グリーンフィルタ膜)が形成され
た。その後、pH4.5のpH調整調整液体を用いて十
分にカスケイド洗浄を行った。緑色の着色膜の微小面積
部を測定した光学透過濃度は、1.4であり、膜厚は
1.0μmであった。
【0120】さらに、純粋100g中に、前記同様のス
チレン−アクリル酸ランダム共重合体と、フタロシアニ
ンブルー系超微粒子顔料(平均粒子径47nm)とを、
固形分比率5:5で分散混合した、固形分濃度6%の水
系電解液(pH7.8,体積固有抵抗率4.1×10Ω
・cm、水系溶媒の組成重量比(含有量)7.9%)を
調製した。作用電極のバイアス電位差を1.8Vとし、
水系電解液37を得られた水系電解液に代えた後、赤色
の着色膜を形成する場合と同様にしてブルーフィルタ用
のフォトマスクを通して光照射すると、図1−(d)に示
すようにTiO2表面の光照射領域にのみ青色の着色膜
(ブルーフィルタ膜)が形成された。青色の着色膜の微
小面積部を測定した光学透過濃度は、1.4であり、膜
厚は1.1μmであった。
【0121】−ブラックマトリックスの形成− 次に、純粋100g中に、前記同様のスチレン−アクリ
ル酸ランダム共重合体と、超微粒子のカーボンブラック
(pH3.5、平均粒子径34nm、吸油量(DPB)
70cc/100g)とを、固形分比率2:8で分散混
合した水系電解液(体積固有抵抗率3×10Ω・cm)
を調製した。作用電極のバイアス電位差を1.7Vと
し、水系電解液37を得られた水系電解液に代えた後、
赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の着色膜が形成された
電着用基板35の裏面(電着用基板の着色膜が形成され
ていない側)からその全面に3秒間光照射すると、着色
膜の未形成領域にのみ黒色の着色膜、即ち、ブラックマ
トリックスが形成された。ブラックマトリックスの微小
面積部を測定した光学透過濃度は2.5であり、膜厚は
0.7μmであった。
【0122】−熱処理工程− 次に、BGR3色の着色膜、及びブラックマトリックス
が形成された電着用基板35を、温度210℃のオーブ
ン中に入れて1時間加熱処理を施し、着色膜及びブラッ
クマトリックスを硬化させた。
【0123】−導電層形成工程− その後、着色膜及びブラックマトリックスを形成した側
の電着用基板35の表面に、スパッタリング法によりI
TO薄膜(膜厚0.08μm)を形成し、フォトリソグ
ラフィ工程により、着色膜上、ブラックマトリックス上
及び該着色膜とTFTとを接続しうる領域上以外のIT
O薄膜を除去して、着色膜とTFTとが接合するように
着色膜及びブラックマトリックス上にのみ導電層を形成
した。該導電層と、電着用基板の側端部において最下層
に形成したITO膜との導電路(図示していない)を設
け、図1−(e)と同様の構造を有する、本発明の駆動素
子を得た。得られた駆動素子の着色膜とブラックマトリ
ックスとの境界部の光学特性を評価したところ、境界部
におけるエッジのズレは4μm以内であり、極めて高精
度な画像パターンを形成することができた。
【0124】<液晶表示装置の作製>別のガラス基体上
の全面にITO膜が形成された透明導電板(対向基板)
を準備し、該透明導電板のITO膜表面と、上記より得
た駆動素子の着色膜の設けられた側の表面と、が対向す
るように樹脂ボールスペーサを介して配置し、所定の幅
の空間(ギャップ)を形成して固定した。該空間部にネ
マチック液晶材料を注入した後、密閉し、本発明の液晶
表示装置を得た。
【0125】上記の通り、電子回路材料を有する基板上
に直接着色膜を形成でき、簡易な工程で安価に着色膜
(カラーフィルタ膜)を形成することができた。得られ
た着色膜は、高解像度で表面平滑性に極めて優れてい
た。また、別個に作製されたTFT駆動基板及びカラー
フィルタを組合せることなく、高解像度で表面平滑性に
優る着色膜を備えた駆動素子をより安価に得ることがで
きた。得られた駆動素子を備えることにより、高解像度
な画素パターンを有する液晶表示装置をより安価にえる
ことができた。
【0126】(実施例2) −電着用基板形成工程− 厚さ0.5mmの無アルカリガラス基体の一方の表面
に、スパッタリング法により膜厚0.2μmのITOの
透明な導電膜(ITO薄膜)を製膜し、さらにスパッタ
リング法により膜厚0.15μmのTiO2膜を製膜
(TiO2薄膜)して図2−(b)と同様の積層構造と
し、その後330℃下で3%の水素ガスを含有する純窒
素ガスを流しながら、20分間TiO2膜に還元処理を
施した。次に、TiO2膜3上に、スパッタリング法に
よりSiO2膜を成膜して層厚0.2μmの絶縁性層7
を形成した。さらに、該絶縁性層7上に薄膜トランジス
タ(TFT)4を配設して、図2−(c)と同様の断面構
造を有する電着用基板を得た。
【0127】さらに、TFT等を設けた側の電着用基板
の表面に、スパッタリング法により、保護層として膜厚
0.1μmのSiO2膜を形成し、後に着色膜を形成し
ようとする領域のSiO2膜をドライエッチング法によ
り除去して、TiO2膜を露出させた。
【0128】−着色膜形成工程− 図6中の電着用基板35として上記より得られた電着用
基板を用い、露出するTiO2膜上に着色膜(カラーフ
ィルタ膜)を形成でき、図6と同様の構造を有する、電
気化学分野において一般的な三極式の配置を有する装置
を準備した。また、電着槽42には、以下のように調製
した水系電解液37を準備した。
【0129】前記水系電解液37として、まず純粋10
0g中に、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル
の共重合体(数平均分子量19000、疎水基/(親水
基+疎水基)のモル比74%、酸価100)と、アント
ラキノン系赤色微粒子顔料(平均粒子径36nm)とを
固形分重量比5:5で分散混合した、固形分濃度6%の
水系電解液(pH7.9、体積固有抵抗率3×10Ω・
cm、水系溶媒の組成重量比(含有量)86%)を調製
した。
【0130】図6に示すように、上記より得られた電着
用基板を水系電解液37に接するように配置し、光半導
体薄膜(TiO2膜)を作用電極とし、該作用電極のバ
イアス電位差が飽和カロメル電極に対してプラス1.7
VとなるようにITO導電膜に電圧を印加した。また、
電着用基板の裏側(電着用基板の、光半導体薄膜の設け
られていない側の基体表面)からレッドフィルタ用のフ
ォトマスクを通して、水銀キセノンランプ(山下電装
製:波長365nm:光強度50mW/cm2)により
6秒間光を照射した(図6及び図2−(d)参照)。Ti
2表面に透過光が照射され、照射領域にのみ膜厚1.
1μmの均一厚の赤色のパターン、即ち、赤色の着色膜
(レッドフィルタ膜)が形成された。赤色の着色膜の微
小面積部を測定した光学透過濃度は、1.2であった。
ここで、光照射時におけるTFTは、光起電力が生じた
際に着色膜を形成しうるだけの基準電圧(バイアス電
圧)がかかった駆動状態にある。その後、pH5.5の
pH調整液で十分にカスケイド洗浄を行った。
【0131】次に、純粋100g中に、前記同様のスチ
レン−アクリル酸−アクリル酸エステルの共重合体と、
フタロシアニングリーン系超微粒子顔料(平均粒子径2
7nm)とを、固形分比率5:5で分散混合した、固形
分濃度6%の水系電解液(pH7.9,体積固有抵抗率
6.5×10Ω・cm、水系溶媒の組成重量比(含有
量)86%)を調製した。水系電解液37を得られた分
散液に代え、赤色の着色膜を形成する場合と同様にして
グリーンフィルタ用のフォトマスクを通して光照射する
と、図2−(d)に示すようにTiO2表面の光照射領域
にのみ緑色の着色膜(グリーンフィルタ膜)が形成され
た。その後、pH6.0の洗浄水を用いて、電着用基板
に付着した不要な水系電解液を洗浄除去した。緑色の着
色膜の微小面積部を測定した光学透過濃度は、1.22
であり、膜厚は1.1μmであった。
【0132】さらに、純粋100g中に、前記同様のス
チレン−アクリル酸−アクリル酸エステルの共重合体
と、フタロシアニンブルー系超微粒子顔料(平均粒子径
24nm)とを、固形分比率5:5で分散混合した、固
形分濃度6%の水系電解液(pH7.9,体積固有抵抗
率8.1×10Ω・cm、水系溶媒の組成重量比(含有
量)86%)を調製した。水系電解液37を得られた分
散液に代え、赤色の着色膜を形成する場合と同様にして
ブルーフィルタ用のフォトマスクを通して光照射する
と、図2−(d)に示すようにTiO2表面の光照射領域
にのみ青色の着色膜(ブルーフィルタ膜)が形成され
た。その後、pH6.0の洗浄水を用いて、電着用基板
に付着した不要な水系電解液を洗浄除去した。青色の着
色膜の微小面積部を測定した光学透過濃度は、1.1で
あり、膜厚は1.0μmであった。
【0133】−熱処理工程、導電層形成工程− 次に、着色膜が形成された電着用基板35に対して、実
施例1と同様に熱処理工程及び導電層形成工程を施し、
図2−(e)と同様の構造を有する、本発明の駆動素子を
得た。
【0134】上記の通り、電子回路材料を有する基板上
に直接着色膜を形成でき、簡易な工程で安価に着色膜
(カラーフィルタ膜)を形成することができた。得られ
た着色膜は、高解像度で表面平滑性に極めて優れてい
た。また、別個に作製されたTFT駆動基板及びカラー
フィルタを組合せることなく、高解像度で表面平滑性に
優る着色膜を備えた駆動素子、及び高解像度な画素パタ
ーンを有する液晶表示装置をより安価に得ることができ
た。
【0135】(実施例3) −電着用基板形成工程− 厚さ0.7mmの無アルカリガラス基体を準備し、該基
体の一方の表面上における、薄膜トランジスタ(TF
T)を設けようとする領域に、絶縁性層として、高周波
スパッタリング法により膜厚0.3μmのSiO2膜を
形成した。次に、着色膜を形成しようとする領域にスパ
ッタリング法により、膜厚0.4μmのITOの透明な
導電膜(ITO薄膜)を製膜した。さらに、イオンプレ
ーティング法により膜厚0.2μmのTiO2膜を、I
TO薄膜等を形成した側の基体の表面全体に製膜(Ti
2薄膜)し、該TiO2薄膜に300℃下で水素還元処
理を施した。次に、前記絶縁性層上に薄膜トランジスタ
(TFT)を配設し、電着用基板を得た。さらに、TF
T等を設けた側の電着用基板の表面に、スパッタリング
法により、保護層として膜厚0.1μmのSiO2膜を
形成し、後に着色膜を形成しようとする領域のSiO2
膜をドライエッチング法により除去して、TiO2膜を
露出させた。
【0136】−着色膜形成工程− 図6中の電着用基板35として上記より得られた電着用
基板を用い、このTiO2膜上に着色膜(カラーフィル
タ膜)を形成しうる、図6と同様の構造を有する、電気
化学分野において一般的な三極式の配置を有する装置を
準備し、電着槽42には、以下のように調製した水系電
解液37を準備した。
【0137】前記水系電解液37として、まず純粋10
0g中に、スチレン−アクリル酸ランダム共重合体(数
平均分子量20000、疎水基/(親水基+疎水基)の
モル比76%、酸価95、ガラス転移点55℃、流動開
始点100℃、分解点237℃、析出開始点pH5.
9)と、アゾ系赤色微粒子顔料(平均粒子径42nm)
とを固形分重量比5:5で分散混合し、その後、この分
散液中にメチルアミノエタノールを210mmol/L
(リットル)の割合で加えてpH7.9の水系電解液
(体積固有抵抗率1×102Ω・cm、水系溶媒の組成
重量比(含有量)8.1%)を調製した。
【0138】図6に示すように、上記より得られた電着
用基板を水系電解液37に接するように配置し、光半導
体薄膜(TiO2膜)を作用電極とし、該作用電極のバ
イアス電位差が飽和カロメル電極に対してプラス1.6
VとなるようにITO導電膜に電圧を印加した。また、
電着用基板の裏側(電着用基板の、光半導体薄膜の設け
られていない側の基体表面)からレッドフィルタ用のフ
ォトマスクを通して、水銀キセノンランプ(山下電装
製:波長365nm:光強度50mW/cm2)により
6秒間光を照射した。TiO2表面に透過光が照射さ
れ、その照射領域にのみ膜厚1.0μmの均一厚の赤色
のパターン、即ち、赤色の着色膜(レッドフィルタ膜)
が形成された。赤色の着色膜の微小面積部を測定した光
学透過濃度は、1.6であった。ここで、光照射時にお
けるTFTは、光起電力が生じた際に着色膜を形成しう
るだけの基準電圧(バイアス電圧)がかかった駆動状態
にある。その後、pH4.9のpH調整液で十分にカス
ケイド洗浄を行った。
【0139】次に、前記同様のスチレン−アクリル酸ラ
ンダム共重合体と、フタロシアニングリーン系超微粒子
顔料(平均粒子径35nm)とを、固形分比率5:5で
分散混合し、その後、この分散液中にメチルアミノエタ
ノールを205mmol/L(リットル)の割合で加え
て水系電解液(pH7.7、体積固有抵抗率8.4×1
0Ω・cm、水系溶媒の組成重量比(含有量)9.1
%)を調製した。作用電極のバイアス電位差を1.8V
とし、水系電解液37を得られた水系電解液に代えた
後、赤色の着色膜を形成する場合と同様にしてグリーン
フィルタ用のフォトマスクを通して光照射すると、その
TiO2表面の光照射領域にのみ緑色の着色膜が形成さ
れた。その後、pH4.9のpH調整液で十分に洗浄を
行い、さらにpH5.2のpH調整液で十分にカスケイ
ド洗浄を行った。緑色の着色膜の微小面積部を測定した
光学透過濃度は、1.4であり、膜厚は1.0μmであ
った。
【0140】さらに、前記同様のスチレン−アクリル酸
ランダム共重合体と、フタロシアニンブルー系超微粒子
顔料(平均粒子径34nm)とを、固形分比率5:5で
分散混合し、その後、この分散液中にメチルアミノエタ
ノールを195mmol/L(リットル)の割合で加え
て水系電解液(pH7.8、体積固有抵抗率6.6×1
0Ω・cm、水系溶媒の組成重量比(含有量)9.2
%)を調製した。作用電極のバイアス電位差を1.7V
とし、水系電解液37を得られた水系電解液に代えた
後、赤色の着色膜を形成する場合と同様にしてブルーフ
ィルタ用のフォトマスクを通して5秒間光照射すると、
そのTiO2表面の光照射領域にのみ青色の着色膜が形
成された。その後、pH4.8のpH調整液で十分に洗
浄を行った。青色の着色膜の微小面積部を測定した光学
透過濃度は、1.41であり、膜厚は1.2μmであっ
た。
【0141】−ブラックマトリックス形成工程− 次いで、下記組成の化合物を超音波分散した分散液中
に、上記より得られた3色の着色膜が形成された基板を
浸漬、塗布し、取り出した基板上にさらにパターン露光
した後、アルカリ現像を施して、着色膜の未形成な導電
性部分に0.6μmのブラックマトリックスを形成し
た。ここで、該ブラックマトリックスは、保護層として
の機能も有する。前記ブラックマトリックスの微小面積
部を測定した光学透過濃度は、2.2であった。
【0142】〔分散液の組成〕下記含有率は、分散液全
重量に対する含有率(重量%)を示す。 ・粒子表面にカルボキシル基を有するカーボンブラック顔料粒子 (平均粒子径13nm) ・・・ 5% ・感光性高分子材料(ナフトキノンジアゾ化合物) ・・・ 0.8% ・クレゾールノボラック樹脂 ・・・ 4.0% ・アルキルエーテルアセテート ・・・90.2%
【0143】−熱処理工程− 次に、BGR3色の着色膜、及びブラックマトリックス
が形成された電着用基板35を、温度220℃のオーブ
ン中に入れて1時間加熱処理を施し、着色膜及びブラッ
クマトリックスを硬化させた。
【0144】−導電層形成工程− その後、着色膜及びブラックマトリックスを形成した側
の電着用基板35の表面に、スパッタリング法によりI
TO薄膜(膜厚0.08μm)を形成し、フォトリソグ
ラフィ工程により、着色膜上、ブラックマトリックス上
及び該着色膜とTFTとを接続しうる領域上以外のIT
O薄膜を除去して、着色膜とTFTとが接合するように
着色膜及びブラックマトリックス上に導電層を形成し、
該導電層と、電着用基板の側端部において最下層に形成
したITO膜との導電路を設け、本発明の駆動素子を得
た。得られた駆動素子の着色膜とブラックマトリックス
との境界部の光学特性を評価したところ、境界部におけ
るエッジのズレは2μm以内であり、極めて高精度な画
像パターンを形成することができた。
【0145】上記より得た本発明の駆動素子を用い、実
施例1と同様にして本発明の液晶表示素子を得た。
【0146】上記の通り、電子回路材料を有する基板上
に直接着色膜を形成でき、簡易な工程で安価に着色膜
(カラーフィルタ膜)を形成することができた。得られ
た着色膜は、高解像度で表面平滑性に極めて優れてい
た。また、別個に作製されたTFT駆動基板及びカラー
フィルタを組合せることなく、高解像度で表面平滑性に
優る着色膜を備えた駆動素子、及び高解像度な画素パタ
ーンを有する液晶表示装置をより安価に得ることができ
た。
【0147】(実施例4) −電着用基板形成工程− 厚さ1.5mmの石英ガラス基体の一方の表面に、スパ
ッタリング法により膜厚0.2μmのITOの透明な導
電膜(ITO薄膜)を製膜し、さらにスパッタリング法
により膜厚0.2μmのTiO2膜を製膜(TiO2
膜)して図1−(b)と同様の積層構造とし、その後50
0℃下で熱処理を行った。次いで、TiO2薄膜3の電
流特性を向上するために、4%の水素ガスを混合する純
窒素ガス中で、460℃下で10分間アニールして還元
処理を施した。次に、基体1上の前記TiO2膜3上
に、薄膜トランジスタ(TFT)4を配設して、図1−
(c)と同様の断面構造を有する電着用基板を得た。
【0148】さらに、得られた電着用基板に対して、そ
のTFT等を設けた側の表面全体に真空蒸着法により膜
厚0.5μmのSiO2膜を形成した。その後、エッチ
ングにより着色膜を形成しようとする領域のSiO2
のみを除去し、その領域のTiO2薄膜を露出させた。
【0149】−着色膜形成工程− 図6中の電着用基板35として上記より得られた電着用
基板を用い、このTiO2膜3上に着色膜(カラーフィ
ルタ膜)を形成しうる、図6と同様の構造を有する、電
気化学分野において一般的な三極式の配置を有する装置
を準備した。また、電着槽42には、以下のように調製
した水系電解液37を準備した。
【0150】前記水系電解液37として、まず純粋10
0g中に、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル
のランダム共重合体(数平均分子量17000、疎水基
/(親水基+疎水基)のモル比71%、酸価98、ガラ
ス転移点65℃、流動開始点90℃、分解点239℃、
析出開始点pH6.1)と、アゾ系赤色超微粒子顔料
(平均粒子径61nm)とを固形分重量比5:5で分散
混合した、固形分濃度4%の水系電解液(pH7.8,
体積固有抵抗率6.9×10Ω・cm、水系溶媒の組成
重量比(含有量)90%)を調製した。
【0151】図6に示すように、上記より得られた電着
用基板を水系電解液37に接するように配置し、光半導
体薄膜(TiO2膜)を作用電極とし、該作用電極のバ
イアス電位差が飽和カロメル電極に対してプラス1.7
VとなるようにITO導電膜に電圧を印加した。また、
電着用基板の裏側(電着用基板の、光半導体薄膜の設け
られていない側の基体表面)からレッドフィルタ用のフ
ォトマスクを通して、水銀キセノンランプ(山下電装
製:波長365nm:光強度50mW/cm2)により
5秒間光を照射した(図6参照)。TiO2表面に透過
光が照射され、照射領域にのみ膜厚0.09μmの均一
厚の赤色のパターン、即ち、赤色の着色膜(レッドフィ
ルタ膜)が形成された。ここで、光照射時におけるTF
Tは、光起電力が生じた際に着色膜を形成しうるだけの
基準電圧(バイアス電圧)がかかった駆動状態にある。
赤色の着色膜の微小面積部を測定した光学透過濃度は、
1.36であった。
【0152】次に、純粋100g中に、前記同様のスチ
レン−アクリル酸−アクリル酸エステルのランダム共重
合体と、フタロシアニングリーン系超微粒子顔料(平均
粒子径51nm)とを、固形分比率5:5で分散混合し
た、固形分濃度4%の水系電解液(pH7.8,体積固
有抵抗率8.1×10Ω・cm、水系溶媒の組成重量比
(含有量)90%)を調製した。水系電解液37を得ら
れた水系電解液に代え、赤色の着色膜を形成する場合と
同様にしてグリーンフィルタ用のフォトマスクを通して
4秒間光照射すると、TiO2表面の光照射領域にのみ
緑色の着色膜(グリーンフィルタ膜)が形成された。そ
の後、pH6.5のpH調整調整液体を用いて十分にカ
スケイド洗浄を行った。緑色の着色膜の微小面積部を測
定した光学透過濃度は、1.31であり、膜厚は0.9
1μmであった。
【0153】さらに、純粋100g中に、前記同様のス
チレン−アクリル酸−アクリル酸エステルのランダム共
重合体と、フタロシアニンブルー系超微粒子顔料(平均
粒子径49nm)とを、固形分比率5:5で分散混合し
た、固形分濃度5%の水系電解液(pH7.8,体積固
有抵抗率7.1×10Ω・cm、水系溶媒の組成重量比
(含有量)90%)を調製した。水系電解液37を得ら
れた水系電解液に代え、赤色の着色膜を形成する場合と
同様にしてブルーフィルタ用のフォトマスクを通して光
照射すると、TiO2表面の光照射領域にのみ青色の着
色膜(ブルーフィルタ膜)が形成された。青色の着色膜
の微小面積部を測定した光学透過濃度は、1.30であ
り、膜厚は1.1μmであった。
【0154】−ブラックマトリックスの形成− 次に、純粋100g中に、前記同様のスチレン−アクリ
ル酸酸−アクリル酸エステルのランダム共重合体と、超
微粒子のカーボンブラック(pH3.5、平均粒子径3
4nm、吸油量(DPB)70cc/100g)とを、
固形分比率2:8で分散混合した水系電解液(体積固有
抵抗率2×10Ω・cm)を調製した。作用電極のバイ
アス電位差を1.7Vとし、水系電解液37を得られた
水系電解液に代えた後、赤色(R)、緑色(G)及び青色
(B)の着色膜が形成された電着用基板35の裏面(電着
用基板の着色膜が形成されていない側)からその全面に
3秒間光照射すると、着色膜の未形成領域にのみ黒色の
着色膜、即ち、ブラックマトリックスが形成された。ブ
ラックマトリックスの微小面積部を測定した光学透過濃
度は、2.5であり、膜厚は0.7μmであった。
【0155】−熱処理工程− 次に、BGR3色の着色膜、及びブラックマトリックス
が形成された電着用基板35を、温度230℃のオーブ
ン中に入れて0.4時間加熱処理を施し、着色膜及びブ
ラックマトリックスを硬化させた。
【0156】その後、着色膜及びブラックマトリックス
を形成した側の電着用基板35の表面に、アクリル樹脂
よりなる保護層(膜厚1.8μm)を形成し、本発明の
駆動素子を得た。得られた駆動素子の着色膜とブラック
マトリックスとの境界部の光学特性を評価したところ、
境界部におけるエッジのズレは5μm以内であり、極め
て高精度な画像パターンを形成することができた。
【0157】上記より得た本発明の駆動素子を用い、実
施例1と同様にして本発明の液晶表示素子を得た。
【0158】上記の通り、電子回路材料を有する基板上
に直接着色膜を形成でき、簡易な工程で安価に着色膜
(カラーフィルタ膜)を形成することができた。得られ
た着色膜は、高解像度で表面平滑性に極めて優れてい
た。また、別個に作製されたTFT駆動基板及びカラー
フィルタを組合せることなく、高解像度で表面平滑性に
優る着色膜を備えた駆動素子、及び高解像度な画素パタ
ーンを有する液晶表示装置をより安価に得ることができ
た。
【0159】(実施例5) −電着用基板形成工程− 厚さ0.5mmの無アルカリガラス基体の一方の表面
に、スパッタリング法により膜厚0.1μmのITOの
透明な導電膜(ITO薄膜)を製膜し、さらに真空蒸着
法により膜厚0.1μmのTiO2膜を製膜(TiO2
膜)して図1−(b)と同様の積層構造とした。次いで、
TiO2薄膜3の電流特性を向上するために、5%の水
素ガスを混合する純窒素ガス中で、300℃下で5分間
アニールして還元処理を施した。次に、ドライエッチン
グ法により、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられる
領域(導電路形成部分を含む)のITO薄膜及びTiO
2薄膜を除去し、図4−(b)のように基体1を露出させ
た。この基体1の露出部上に、薄膜トランジスタ(TF
T)4を配設して、図4−(c)と同様の断面構造を有す
る電着用基板を得た。
【0160】−ブラックマトリックス形成工程− 図6中の電着用基板35として上記より得られた電着用
基板を用い、このTiO2膜上に着色膜(カラーフィル
タ膜)を形成する、図6と同様の構造を有する、電気化
学分野において一般的な三極式の配置を有する装置を準
備した。また、電着槽42には、水系電解液37を準備
した。
【0161】前記水系電解液37として、まず純粋10
0g中に、スチレン−アクリル酸ランダム共重合体(数
平均分子量21000、疎水基/(親水基+疎水基)の
モル比79%、酸価93、ガラス転移点75℃、流動開
始点111℃、分解点264℃、析出開始点pH6.
1)と、カーボンブラックの微粒子顔料(pH3.5、
平均粒子径29nm、吸油量(DPB):150cc/
100g)とを固形分重量比3:7で分散混合した、固
形分濃度6%の電解液(pH7.7,体積固有抵抗率
1.2×10Ω・cm)を調製した。
【0162】図6に示すように、上記より得られた電着
用基板を水系電解液37に接するように配置し、光半導
体薄膜(TiO2膜)を作用電極とし、該作用電極のバ
イアス電位差が飽和カロメル電極に対してプラス1.7
VとなるようにITO導電膜に電圧を印加した。また、
電着用基板の裏側(電着用基板の、光半導体薄膜の設け
られていない側の基体表面)からレッドフィルタ用のフ
ォトマスクを通して、水銀キセノンランプ(山下電装
製:波長365nm:光強度50mW/cm2)により
5秒間光を照射した。TiO2表面に透過光が照射さ
れ、照射領域にのみ膜厚0.9μmの均一厚の黒色のパ
ターン、即ち、ブラックマトリックスが形成された。そ
の後、pH5.5のpH調整液で十分にカスケイド洗浄
を行った。黒色の着色膜の微小面積部を測定した光学透
過濃度は、2.6であった。
【0163】−着色膜形成工程− 次に、着色膜形成用の水系電解液37として、純粋10
0g中に、αメチルスチレン−アクリル酸共重合体(数
平均分子量19000、疎水基/(親水基+疎水基)の
モル比78%、酸価90、ガラス転移点62℃、流動開
始点97℃、分解点238℃、析出開始点pH6.1)
と、アゾ系赤色微粒子顔料(平均粒子径41nm)と、
透明導電性粉体(ITO微粉末)と、を固形分重量比
6:4:4で分散混合した、固形分濃度6%の電解液
(pH7.7,体積固有抵抗率1.2×10Ω・cm)
を調製した。
【0164】作用電極のバイアス電位差を1.8Vと
し、水系電解液37を得られた水系電解液に代えた後、
電着用基板の裏側(電着用基板の、光半導体薄膜の設け
られていない側の基体表面)からレッドフィルタ用のフ
ォトマスクを通して、水銀キセノンランプ(山下電装
製:波長365nm:光強度50mW/cm2)により
6秒間光を照射した。TiO2表面に透過光が照射さ
れ、図4−(d)に示すように、照射領域にのみ膜厚0.
9μmの均一厚の赤色のパターン、即ち、導電性を有す
る赤色の着色膜(レッドフィルタ膜)が形成された。そ
の後、pH4.9のpH調整液で十分に洗浄を行った。
赤色の着色膜の微小面積部を測定した光学透過濃度は、
1.5であった。また、赤色の着色膜の体積電気抵抗値
は、3×10Ω・cmであった。
【0165】次に、前記同様のαメチルスチレン−アク
リル酸共重合体と、フタロシアニングリーン系超微粒子
顔料(平均粒子径30nm)と、透明導電性粉体(酸化
スズ微粉末)とを固形分比率6:4:4で分散混合し
た、固形分重量6%の電解液(pH7.8,体積固有抵
抗率3×10Ω・cm)を調製した。水系電解液37を
得られた水系電解液に代え、赤色の着色膜を形成する場
合と同様にしてグリーンフィルタ用のフォトマスクを通
して光照射すると、図4−(d)に示すように、そのTi
2表面の光照射領域のみに導電性を有する緑色の着色
膜が形成された。その後、pH4.7のpH調整液で十
分に洗浄を行った。緑色の着色膜の微小面積部を測定し
た光学透過濃度は、1.38であり、膜厚は1.2μm
であった。また、緑色の着色膜の体積電気抵抗値は、5
×100Ω・cmであった。
【0166】さらに、前記同様のαメチルスチレン−ア
クリル酸共重合体と、フタロシアニンブルー系超微粒子
顔料(平均粒子径31nm)と、透明導電性粉体(IT
O微粉末)と、を固形分比率6:4:4で分散混合し
た、固形分重量6%の電解液(pH7.8,体積固有抵
抗率2×10Ω・cm)を調製した。作用電極のバイア
ス電位差を1.9Vとし、水系電解液37を得られた水
系電解液に代えた後、赤色の着色膜を形成する場合と同
様にしてブルーフィルタ用のフォトマスクを通して光照
射すると、図4−(d)に示すように、そのTiO2表面
の光照射領域のみに導電性を有する青色の着色膜が形成
された。その後、pH4.2のpH調整液で十分に洗浄
を行った。青色の着色膜の微小面積部を測定した光学透
過濃度は、1.42であり、膜厚は1.0μmであっ
た。また、青色の着色膜の体積電気抵抗値は、9×10
Ω・cmであった。
【0167】−熱処理工程− 次に、BGR3色の着色膜、及びブラックマトリックス
が形成された電着用基板35を、温度220℃のオーブ
ン中に入れて0.5時間加熱処理を施し、着色膜及びブ
ラックマトリックスを硬化させた。さらに、前記各色の
着色膜上には、偏光膜をコーティングした。尚、各色の
着色膜自体に導電性を付与したことにより、各着色膜上
には別途導電層は設けなかった。上記の通り、水系電解
液中に導電性の物質を含有させることにより、着色膜上
の液晶材料を駆動するのに十分な導電性を持つ着色膜を
形成することができた。
【0168】上記より得た本発明の駆動素子を用い、実
施例1と同様にして本発明の液晶表示素子を得た。
【0169】上記の通り、電子回路材料を有する基板上
に直接着色膜を形成でき、簡易な工程で安価に着色膜
(カラーフィルタ膜)を形成することができた。得られ
た着色膜は、高解像度で表面平滑性に極めて優れてい
た。また、別個に作製されたTFT駆動基板及びカラー
フィルタを組合せることなく、高解像度で表面平滑性に
優る着色膜を備えた駆動素子、及び高解像度な画素パタ
ーンを有する液晶表示装置をより安価に得ることができ
た。
【0170】<超音波耐久性試験>実施例1〜5で形成
した着色膜及びブラックマトリックスをイソプロピルア
ルコール中に浸漬した状態で20時間超音波振動をあ
て、その後の着色電着膜の表面状態を目視により評価し
た。試験後の着色膜及びブラックマトリックスの膜表面
には、一部に極少量のクラックや剥離等の欠陥が認めら
れたが、実用上問題はなく高い耐溶剤性を示した。
【0171】<引っ掻き試験>実施例1〜5で形成した
着色膜及びブラックマトリックスに対して、その膜表面
を鉛筆(2H)により一定の圧力で押圧しながら引っ掻
き、引っ掻いた後の着色膜等の表面状態を目視により評
価した。試験後の着色膜及びブラックマトリックスの膜
表面には、いずれも傷等の発生はなく、十分な膜強度を
有していた。
【0172】
【発明の効果】本発明によれば、電子回路材料を有する
基板上に直接、微細な画素パターンよりなる、高解像度
で表面平滑性に優れた着色膜を、簡易な工程で安価に形
成しうる着色膜の形成方法を提供することができる。ま
た、本発明によれば、別個に作製されたTFT駆動基板
及びカラーフィルタの組合せによることなく、高解像度
で表面平滑性に優る着色膜を備えた駆動素子をより安価
に提供することができ、さらに微細で高解像度な画素パ
ターンを有する液晶表示装置をより安価に提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の着色膜の形成方法の一例を示す図で
ある。
【図2】 本発明の着色膜の形成方法の一例を示す図で
ある。
【図3】 本発明の着色膜の形成方法の一例を示す図で
ある。
【図4】 本発明の着色膜の形成方法の一例を示す図で
ある。
【図5】 電子回路材料の構成の一例を示す図である。
【図6】 光電着法によりフィルタを作製するための装
置の一例を示す模式図である。
【図7】 本発明の液晶表示装置の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 基体 2 導電膜 3 光半導体薄膜 4 電子回路材料 5 着色膜 6 導電層 7 絶縁膜 13 第二共通電極(ゲート電極) 17 ドレイン電極 18 第一共通電極 18’ ソース電極 34 着色膜(又はブラックマトリックス) 35 電着用基板 40 フォトマスク
フロントページの続き (72)発明者 友野 孝夫 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 清水 敬司 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2H048 BA11 BA62 BB02 BB14 BB37 BB43 2H091 FA02Y FC06 FC10 FC23 FC29 FD06 GA02 GA12 GA13 GA14 LA12

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性の基体上に、光透過性の導電膜
    と、光起電力機能を有する光透過性の光半導体薄膜とを
    この順に積層し、電子回路材料を設けて電着用基板を形
    成する工程と、 電着用基板の少なくとも光半導体薄膜を、色材を含有す
    る電着材料を含む水系電解液に接触させて光照射し、前
    記光半導体薄膜の光照射部に選択的に光起電力を発生さ
    せ、電気化学的に前記電着材料を析出させて着色膜を形
    成する工程と、 を有することを特徴とする着色膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 電着用基板を形成する工程において、絶
    縁性層を形成し、該絶縁性層上に電子回路材料を設ける
    請求項1に記載の着色膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 電着用基板を形成する工程が、基体上に
    導電膜を形成し、電子回路材料を設ける領域の導電膜を
    除去した後、該領域及び導電膜上に光半導体薄膜を形成
    し、導電膜の形成されていない前記領域の光半導体薄膜
    上に電子回路材料を設ける工程である請求項1又は2に
    記載の着色膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 電着用基板を形成する工程が、基体上に
    導電膜及び光半導体薄膜を積層し、電子回路材料を設け
    る領域の導電膜及び光半導体薄膜を除去した後、該領域
    の前記基体の表面上に電子回路材料を設ける工程である
    請求項1又は2に記載の着色膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 着色膜を形成する工程の後、少なくとも
    着色膜上及び該着色膜と電子回路材料とを接合しうる領
    域に、光透過性の導電層を形成する工程を有する請求項
    1から4のいずれかに記載の着色膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 光半導体薄膜が、酸化チタンを含有する
    化合物光半導体薄膜である請求項1から5のいずれかに
    記載の着色膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 着色膜の体積電気抵抗値が、10-3〜1
    12Ω・cmである請求項1から6のいずれかに記載の
    着色膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 着色膜の膜厚が、0.3〜4.5μmで
    ある請求項1から7のいずれかに記載の着色膜の形成方
    法。
  9. 【請求項9】 着色膜を形成する工程の後、80〜25
    0℃の温度下で熱処理する工程を有する請求項1から8
    のいずれかに記載の着色膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 電着材料が、カルボキシル基を有する
    化合物を含む請求項1から9のいずれかに記載の着色膜
    の形成方法。
  11. 【請求項11】 カルボキシル基を有する化合物が、疎
    水ドメインと親水ドメインを有する重合体であって、疎
    水ドメインの数が疎水ドメインと親水ドメインの総数の
    30〜75%である請求項10に記載の着色膜の形成方
    法。
  12. 【請求項12】 重合体における疎水ドメインが、スチ
    レン又はスチレン誘導体である請求項11に記載の着色
    膜の形成方法。
  13. 【請求項13】 重合体の親水ドメインの数の50%以
    上が、pHの変化により水溶性から非水溶性、或いは、
    この逆に可逆的に変化しうる請求項11又は12に記載
    の着色膜の形成方法。
  14. 【請求項14】 重合体の酸価が、60から200であ
    る請求項11から13のいずれかに記載の着色膜の形成
    方法。
  15. 【請求項15】 重合体の数平均分子量が、6000〜
    25000である請求項11から14のいずれかに記載
    の着色膜の形成方法。
  16. 【請求項16】 着色膜を形成する工程において、水系
    電解液中に、電着特性に影響を与えないイオン解離性の
    塩を加えて、水系電解液の体積固有抵抗率を100〜1
    5Ω・cmとする請求項1から15のいずれかに記載
    の着色膜の形成方法。
  17. 【請求項17】 水系電解液のpHが、電着材料が析出
    開始するpH値の±1.5の範囲にあり、かつ8.5以
    下である請求項1から16のいずれかに記載の着色膜の
    形成方法。
  18. 【請求項18】 色材が顔料であり、該顔料の平均粒径
    が、0.2〜99nmである請求項1から17のいずれ
    かに記載の着色膜の形成方法。
  19. 【請求項19】 水系電解液中の水系溶媒の含有量が、
    水系電解液の全重量の65〜96重量%である請求項1
    から18のいずれかに記載の着色膜の形成方法。
  20. 【請求項20】 光透過性の基体上に、光透過性の導電
    膜と、少なくとも該導電膜を覆う、光起電力機能を有す
    る光透過性の光半導体薄膜と、電子回路材料と、前記光
    半導体薄膜上に設けられる着色膜と、を備え、前記導電
    膜が電子回路材料を構成するドレイン電極と接続された
    ことを特徴とする駆動素子。
  21. 【請求項21】 電子回路材料が複数規則的に配列さ
    れ、基体上にさらに、 各電子回路材料を構成するゲート電極を共通に接続する
    第一共通電極と、各電子回路材料を構成するソース電極
    を共通に接続する第二共通電極とを備えた請求項20に
    記載の駆動素子。
  22. 【請求項22】 基体上に、導電膜と光半導体薄膜とを
    この順に積層し、前記光半導体薄膜上に電子回路材料を
    備えた請求項20又は21に記載の駆動素子。
  23. 【請求項23】 基体と電子回路材料との間に、絶縁性
    層を備えた請求項20から22のいずれかに記載の駆動
    素子。
  24. 【請求項24】 基体上に、電子回路材料が設けられる
    領域を除いて導電膜を形成し、少なくとも前記領域及び
    導電膜上に光半導体薄膜を形成し、かつ前記領域におけ
    る光半導体薄膜上に電子回路材料を備えた請求項20か
    ら23のいずれかに記載の駆動素子。
  25. 【請求項25】 基体上に、電子回路材料が設けられる
    領域を除いて導電膜及び光半導体薄膜をこの順に積層
    し、前記領域の基体上に電子回路材料を備えた請求項2
    0から23のいずれかに記載の駆動素子。
  26. 【請求項26】 少なくとも着色膜上及び該着色膜と電
    子回路材料とを接合しうる領域に、さらに光透過性の導
    電層を備えた請求項20から25のいずれかに記載の駆
    動素子。
  27. 【請求項27】 請求項20から26のいずれかに記載
    の駆動素子と、該駆動素子に対向して配置される透明導
    電板と、前記駆動素子と透明導電板との間に配置される
    液晶材料と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
JP28789599A 1999-10-08 1999-10-08 着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置 Pending JP2001108816A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28789599A JP2001108816A (ja) 1999-10-08 1999-10-08 着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28789599A JP2001108816A (ja) 1999-10-08 1999-10-08 着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001108816A true JP2001108816A (ja) 2001-04-20

Family

ID=17723115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28789599A Pending JP2001108816A (ja) 1999-10-08 1999-10-08 着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001108816A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001074927A (ja) 着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置
JP4172149B2 (ja) 低電位電着用電着液及びこれを用いた電着方法
JP3125748B2 (ja) 画像記録方法
JP3237667B2 (ja) 光触媒を用いた新規な着膜方法およびこの方法を使用するカラーフィルターの製造方法、それに使用する電解液、ならびに製造装置
US6503772B1 (en) Method of manufacturing a thin film transistor-integrated color filter
US6255025B1 (en) Filter and process for producing same
US6436591B1 (en) Conductive color filter, method for manufacturing the same, and liquid crystal display element
JP3364418B2 (ja) カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター及びその製造装置
JP3237668B2 (ja) 光触媒を用いるtft一体型のカラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、および液晶表示装置
JP2001108816A (ja) 着色膜の形成方法、駆動素子及び液晶表示装置
JP3815061B2 (ja) フィルターの製造方法及びフィルター
US6309782B1 (en) Color filter and method for manufacturing the same
JP3932725B2 (ja) 着色膜の形成方法
JP2000275429A (ja) フィルターの製造方法
JP2002243929A (ja) 光電着法および光触媒法によるカラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、液晶表示装置およびカラーフィルターの製造装置
JP2001202027A (ja) カラーフィルタ付駆動基板及びその製造方法、及び液晶表示素子
JP2000147238A (ja) カラーフィルターの作製方法およびカラーフィルター
JP3941261B2 (ja) 画像記録方法
JP2001164399A (ja) 高分子膜の形成方法
JP2000275428A (ja) フィルターの製造方法
JP3575284B2 (ja) 酸化チタン薄膜、光透過性の画像形成用基板、及びカラーフィルターの製造方法、並びにカラーフィルター製造装置
JP2001255521A (ja) カラーフィルタ一体型tft基板の製造方法
JP2001255523A (ja) 電着装置
JP2002040226A (ja) プラスチックカラーフィルタ及びその製造方法、製造装置、液晶表示装置
JP2001059964A (ja) 着色膜の形成方法、駆動素子、アクティブマトリクス素子及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071128

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081128

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091128

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees