JP2001107814A - 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置 - Google Patents

蒸発燃料パージシステムの故障診断装置

Info

Publication number
JP2001107814A
JP2001107814A JP2000044706A JP2000044706A JP2001107814A JP 2001107814 A JP2001107814 A JP 2001107814A JP 2000044706 A JP2000044706 A JP 2000044706A JP 2000044706 A JP2000044706 A JP 2000044706A JP 2001107814 A JP2001107814 A JP 2001107814A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
failure diagnosis
diagnosis
purge
measurement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000044706A
Other languages
English (en)
Inventor
衛 ▲吉▼岡
Mamoru Yoshioka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2000044706A priority Critical patent/JP2001107814A/ja
Publication of JP2001107814A publication Critical patent/JP2001107814A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Supplying Secondary Fuel Or The Like To Fuel, Air Or Fuel-Air Mixtures (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Testing Of Engines (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】故障診断時の作動音が乗員に与える不快感を好
適に解消することのできる蒸発燃料パージシステムの故
障診断装置を提供する。 【解決手段】蒸発燃料パージシステムは、燃料タンク1
内で発生する燃料蒸気をキャニスタ2に捕集し、捕集し
た燃料蒸気をパージ通路8を介して内燃機関の吸気通路
9へパージする。ECU10は、燃料タンク1及びキャ
ニスタ2を密閉して測定した燃料タンク1内での燃料蒸
気の発生量と、パージ経路の内圧と外圧との間に差圧を
設けてパージ経路を密閉して測定した内圧の挙動とに基
づいてパージ経路の故障診断を行う。この際、ECU1
0は車両の運行に伴う発生音が小となる所定の条件のも
とで故障診断の実行を禁止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
搭載される内燃機関に用いられる蒸発燃料パージシステ
ムの故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両に搭載される装置とし
て、燃料タンク内で発生する燃料蒸気をキャニスタに捕
集し、その捕集された燃料蒸気を適宜キャニスタから吸
気通路へパージし、蒸発した燃料が大気中へ放出される
のを防止するようにした蒸発燃料パージシステムがあ
る。こうした蒸発燃料パージシステムとして、燃料タン
ク内にて発生した燃料蒸気を捕集するキャニスタと、燃
料タンクとキャニスタとを常時連通する燃料蒸気導入通
路と、キャニスタと内燃機関の吸気通路とを連通するパ
ージ通路とを備えるものがある。
【0003】また、同システムにおいて、パージ通路の
通路途中には開閉制御の可能なパージ制御弁が備えら
れ、キャニスタには大気放出や大気導入の可能な大気側
制御弁や、キャニスタを大気側に連通・遮断する開閉制
御の可能な圧力封鎖弁が備えられる。このような、圧力
封鎖弁は燃料給油時に発生するタンク内ベーパ(燃料蒸
気)とともにキャニスタに流入する空気を大気に速やか
に逃がす必要上、大型のものが使用される。従って、圧
力封鎖弁が開閉されるときの作動音は必然的に大きなも
のとなる。
【0004】このような蒸発燃料パージシステムを備え
た内燃機関においては、何らかの原因で配管に穴が空い
たり配管が外れた場合には燃料蒸気がキャニスタや燃料
タンクからリークして大気中に放出されてしまう。
【0005】したがって、このような蒸発燃料パージシ
ステムのリーク発生の有無を自動的に診断することが必
要とされる。このため、従来では、蒸発燃料パージシス
テムの内圧と外圧との間に差圧を設けた後、その内圧の
挙動を検出することで、リーク故障を診断するシステム
が提案されている。例えば、蒸発燃料パージシステム内
に内燃機関の吸気系の負圧を導いた後、パージ制御弁及
び圧力封鎖弁を閉鎖することによりパージ経路内を密閉
し、その後のパージ経路の内圧変化を測定するものであ
る(特許第2748723号公報)。
【0006】また、蒸発燃料パージシステムの故障を正
確に判定するためには、燃料タンク内の燃料蒸気の発生
量が所定範囲内に収まっていることが必要とされる。こ
れは、蒸発燃料パージシステムの故障診断を行う際にパ
ージ経路を負圧状態にして密閉し、同経路内における内
圧の経時変化を検出するのであるが、パージ経路の穴開
きや裂傷等に起因して大気圧が導入されてパージ経路内
の内圧が上昇したのか、燃料蒸気の発生量が多いために
パージ経路内の内圧が上昇したのかを診断することがで
きないことによる。燃料タンク内の燃料蒸気の発生量を
測定するためには、故障診断時と同様にパージ制御弁及
び圧力封鎖弁を閉鎖することによりパージ経路を密閉す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
蒸発燃料パージシステムにおいて、燃料蒸気発生量の測
定や故障診断が行われる場合、圧力封鎖弁等の作動音が
乗員に不快感を与える心配がある。
【0008】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、故障診断時の作動音が乗員に与え
る不快感を好適に解消することのできる蒸発燃料パージ
システムの故障診断装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1に記載の発明は、燃料タンク内で発生する燃料蒸気
をキャニスタに捕集し、該捕集した燃料蒸気を燃料タン
クを含むパージ経路を介して車載内燃機関の吸気通路へ
パージする蒸発燃料パージシステムにあって、そのシス
テム故障の有無を診断する蒸発燃料パージシステムの故
障診断装置において、車両の運行に伴う発生音が小とな
る所定の条件のもとでの前記故障診断の少なくとも一部
の実行を禁止する診断実行禁止手段を備えることをその
要旨とする。
【0010】こうした蒸発燃料パージシステムにあって
は通常、上記パージ経路の経路面積を可変とする弁や、
上記キャニスタへの大気導入の有無を切り換えるための
弁等が設けられ、その故障診断装置としても、それら弁
を適宜操作することによってパージ経路内のリークの有
無や弁故障の有無等を診断することとなる。そして、そ
れら診断の実行に際しては自ずと、上記弁の開閉に伴う
作動音が発生するようになるが、車両のおかれる環境に
よっては前述のように、こうした作動音が乗員に不快感
を与えることともなる。
【0011】この点、請求項1に記載の発明の上記構成
によれば、車両の運行に伴う発生音が小となる所定の条
件のもとでの、こうした診断の少なくとも一部の実行が
禁止されるため、上記作動音が乗員に不快感を与えるよ
うなこともなくなる。また勿論、上記作動音がマスキン
グされる程度に車両の運行に伴う発生音が大となって、
この禁止条件が満たされなくなれば、上記診断も通常に
実行されるため、同故障診断装置としての機能も好適に
確保される。
【0012】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の蒸発燃料パージシステムの故障診断装置におい
て、前記診断実行禁止手段は、前記内燃機関の停止中に
おいて前記故障診断の少なくとも一部の実行を禁止する
ものであることをその要旨とする。
【0013】車両において内燃機関の停止中には車室音
は小さくなるが、請求項2に記載の発明の同構成によれ
ば、内燃機関の停止中において故障診断の少なくとも一
部の実行が禁止されるため、上記作動音がなくなり、車
両の乗員に不快感を与えるようなこともなくなる。
【0014】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
に記載の蒸発燃料パージシステムの故障診断装置におい
て、前記診断実行禁止手段は、前記車両の走行速度が所
定速度以下となる条件で前記故障診断の少なくとも一部
の実行を禁止するものであることをその要旨とする。
【0015】通常、車両の走行速度が高まるほど、その
騒音すなわち車両の運行に伴う発生音も大きくなる。こ
のため、車両の走行速度が所定速度以下となる条件で故
障診断の少なくとも一部の実行を禁止する請求項3に記
載の発明の同構成によれば、上記診断実行の禁止条件
(しきい値)を明確化することができるとともに、上記
作動音による不快感についても、これをより的確に回避
することができるようになる。
【0016】また、請求項4に記載の発明は、請求項3
に記載の蒸発燃料パージシステムの故障診断装置におい
て、前記車両は内燃機関と電動機と備え、かつ車輪の駆
動力を少なくとも電動機から取り出して走行するもので
あり、前記診断実行禁止手段は、前記所定速度を前記内
燃機関の停止中には運転中よりも高く設定することをそ
の要旨とする。
【0017】通常、内燃機関と電動機とを備え、かつ車
輪の駆動力を少なくとも電動機から取り出して走行する
車両においては、車両の運行状態に応じて内燃機関が始
動されたり停止されたりするようになっている。こうし
た車両が所定の速度で走行している際、内燃機関が停止
されている時の走行音は、内燃機関が運転されている時
の走行音よりも小さくなる。そのため、内燃機関の運転
中の走行状態における走行音によりマスクされていた前
記診断における作動音は、内燃機関の停止中の走行状態
における走行音によってマスクされなくなることがあ
り、車両の乗員に不快感を与えることともなる。この
点、内燃機関の停止中には運転中よりも所定速度を高く
設定する請求項4に記載の発明によれば、車両の走行速
度が高くなって走行音が大きくならないと故障診断を実
行させないので、上記作動音がなくなり、車両の乗員に
不快感を与えるようなこともなくなる。
【0018】また、請求項5に記載の発明は、請求項1
〜4のいずれかに記載の蒸発燃料パージシステムの故障
診断装置において、前記故障診断の実行経過を監視する
手段と、該監視される故障診断の実行経過が同診断処理
の後期の処理にあたる旨判断されるとき、前記診断実行
禁止手段による禁止を解除若しくは緩和する手段とを更
に備えることをその要旨とする。
【0019】故障診断とはいえ、同処理は通常、種々の
制限の中で実行されることが多い。このため、一旦故障
診断が開始された後、特に、同診断処理が後期の処理ま
で進んでいるような場合には、同処理が確実に終了され
ることが望ましい。
【0020】この点、請求項5に記載の発明の同構成に
よれば、上記診断処理が後期の処理にあることを条件に
診断実行禁止手段による禁止が解除若しくは緩和される
ため、同診断処理が中断されることなく最後まで早期に
遂行される確率が高められるようになる。
【0021】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
〜4のいずれかに記載の蒸発燃料パージシステムの故障
診断装置において、前記診断実行禁止手段の禁止条件が
満たされずに診断が実行されるとき、同診断実行禁止手
段による禁止を解除若しくは緩和する手段を更に備える
ことをその要旨とする。
【0022】上記構成によっても、一旦故障診断が開始
された後は診断実行禁止手段による禁止が解除若しくは
緩和される。このため、同構成によっても、上記診断処
理が中断されることなく最後まで早期に遂行される確率
が高められるようになる。
【0023】また、請求項7に記載の発明は、請求項1
〜6のいずれかに記載の蒸発燃料パージシステムの故障
診断装置において、前記診断実行禁止手段が禁止条件の
対象とする前記車両の運行に伴う発生音以外の車室音が
大となるとき、同診断実行禁止手段による禁止を解除若
しくは緩和する手段を更に備えることをその要旨とす
る。
【0024】例えば車両の走行音以外にも、車室内のオ
ーディオ機器の音、雨天に際してのワイパーの音、路面
の凹凸に起因する振動音、内燃機関の高負荷に起因する
振動音等々、種々の車室音が存在する。そして、それら
車室音のすべてが、上記各種弁等、蒸発燃料パージシス
テムの故障診断に際して作動する作動部材からの作動音
をマスキングする上で有効である。
【0025】この点、請求項7に記載の発明の同構成に
よれば、診断実行禁止手段が禁止条件の対象とする音以
外の車室音が大となることに基づいて診断実行禁止手段
による禁止が解除若しくは緩和されるため、上記作動音
による不快感を解消した上で、診断が実行される機会を
増やすことができるようになる。
【0026】また、請求項8に記載の発明は、請求項1
〜7のいずれかに記載の蒸発燃料パージシステムの故障
診断装置において、前記蒸発燃料パージシステムの作動
部材近傍の席への乗員の有無を検出する手段と、該手段
によって前記席への乗員無しが検出されるとき、前記診
断実行禁止手段による禁止を解除若しくは緩和する手段
とを更に備えることをその要旨とする。
【0027】一般に、燃料タンクは車両の後方に置かれ
ることが多いため、上記各種弁等、蒸発燃料パージシス
テムの故障診断に際して作動する作動部材も車両の後部
座席近傍に位置するようになることが多い。このため、
診断に際しての上記作動部材からの作動音も、実際には
車両の後部座席にいる乗員に対してより強い不快感を与
えることとなるが、この後部座席には常に乗員がいると
は限らない。
【0028】この点、請求項8に記載の発明の同構成に
よれば、上記作動部材近傍の席への乗員無しが検出され
ることをもって診断実行禁止手段による禁止が解除若し
くは緩和されるため、この場合も上記作動音による不快
感を解消した上で、診断が実行される機会を増やすこと
ができるようになる。勿論、席は後部座席に限定され
ず、前部座席を対象としてもよい。
【0029】また請求項9に記載の発明は、請求項1〜
8のいずれかに記載の蒸発燃料パージシステムの故障診
断装置において、当該故障診断装置は、前記パージ経路
と大気との間に所定の差圧を設けてパージ経路を密閉し
て測定した経路内圧力の挙動に基づいて前記パージ経路
の穴開きの有無を診断するものであり、前記診断実行禁
止手段は、前記パージ経路と大気との間に所定の差圧を
設定しての同経路内圧の挙動測定を前記所定の条件のも
とに禁止するものであることをその要旨とする。
【0030】上記構成にあっては、パージ経路と大気と
の間に所定の差圧を設けての同経路内圧の挙動測定に際
して上記キャニスタへの大気導入の有無を切り換えるた
めの弁操作が必要となる。そして上述のように、車両の
おかれる環境によってはその作動音が無視できないもの
となる。
【0031】この点、請求項9に記載の発明の同構成に
よれば、車両の運行に伴う発生音が小となる上記所定の
条件のもとでの、こうした測定の実行が禁止されるた
め、上記作動音が乗員に不快感を与えるようなこともな
くなる。
【0032】また、請求項10に記載の発明は、請求項
1〜8のいずれかに記載の蒸発燃料パージシステムの故
障診断装置において、当該故障診断装置は、前記パージ
経路に大気圧を導入してパージ経路を密閉して測定した
同経路の圧力変化度合いに基づいて燃料蒸気の発生量を
判定するものであり、前記診断実行禁止手段は、前記パ
ージ経路に大気圧を導入しての燃料蒸気の発生量の判定
を前記所定の条件のもとに禁止するものであることをそ
の要旨とする。
【0033】上記構成にあっても、パージ経路内での燃
料蒸気の発生量の判定に際して上記キャニスタへの大気
導入の有無を切り換えるための弁操作が必要となる。そ
してこの場合も、車両のおかれる環境によってはその作
動音が無視できないものとなる。
【0034】この点、請求項10に記載の発明の同構成
によれば、車両の運行に伴う発生音が小となる上記所定
の条件のもとでの、こうした測定の実行が禁止されるた
め、上記作動音が乗員に不快感を与えるようなこともな
くなる。
【0035】なお、これら請求項9及び10のいずれか
に記載の発明において、上記作動音がマスキングされる
程度に車両の運行に伴う発生音が大となって、上記禁止
条件が満たされなくなれば、上記測定も通常に実行され
るため、それら故障診断装置としての機能も好適に確保
される。
【0036】また、請求項11に記載の発明は、請求項
1に記載の蒸発燃料パージシステムの故障診断装置にお
いて、当該故障診断装置は、前記パージ経路に大気圧よ
りも低い所定圧力を導入してパージ経路を密閉して測定
した経路内圧力の挙動に基づいてパージ経路の穴開きの
有無を仮診断するとともに、前記パージ経路に大気圧を
導入してパージ経路を密閉して測定した同経路の圧力変
化度合いに基づいて燃料蒸気の発生量を判定し、この燃
料蒸気の発生量と前記仮診断の結果とに基づいて前記パ
ージ経路のリーク診断を行うものであり、前記診断実行
禁止手段は、前記パージ経路への前記所定圧力の導入後
に前記内燃機関が停止したときには前記仮診断及び燃料
蒸気の発生量の判定、並びに仮診断の結果と燃料蒸気の
発生量とに基づく故障診断を継続させ、その後の内燃機
関の始動時及び停止時のいずれかに合わせて故障診断を
停止させるものであることをその要旨とする。
【0037】故障診断とはいえ、同処理は通常、種々の
制限の中で実行されることが多い。このため、一旦故障
診断が開始された後には、同処理が早期に終了されるこ
とが望ましい。
【0038】この故障診断において、パージ経路に大気
圧よりも低い所定圧力を導入してパージ経路を密閉して
パージ経路の穴開きの有無の仮診断を行う場合には、仮
診断の後、パージ経路を密閉した状態にしておけば、発
生した燃料蒸気又はパージ経路の漏れに基づいてパージ
経路内圧はいずれ大気圧に等しくなる。従って、燃料蒸
気の発生量の判定を行い、仮診断の結果と燃料蒸気の発
生量とに基づいてパージ経路のリーク診断を早期に完了
させることができる。また、これらの診断中及び診断後
において内燃機関の始動時及び停止時のいずれかに合わ
せて作動部材を動作させれば、その発生する作動音は内
燃機関の始動及び停止に伴う発生音によってマスクされ
るため、上記作動音が乗員に不快感を与えることもな
い。
【0039】また、請求項12に記載の発明は、請求項
11に記載の蒸発燃料パージシステムの故障診断装置に
おいて、前記車両は、内燃機関と電動機と備えかつ車輪
の駆動力を少なくとも電動機から取り出して走行するも
の、及び所定の走行停止条件下において内燃機関を停止
させるシステムを備えるもののいずれかであることをそ
の要旨とする。
【0040】請求項12に記載の発明によれば、前者の
車両においてはその運行状態に応じて内燃機関が停止さ
れたり運転されたりし、後者の車両においては所定の走
行停止条件下において内燃機関が停止されその走行停止
条件の解除に伴って内燃機関が運転されるため、これら
の診断中及び診断後において内燃機関の始動時及び内燃
機関の停止時のいずれかに合わせて作動部材を動作させ
れば、その発生する作動音は内燃機関の始動及び停止に
伴う発生音によってマスクされるため、上記作動音が乗
員に不快感を与えることもなく、パージ経路のリーク診
断を早期に完了させることができるようになる。
【0041】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
にかかる蒸発燃料パージシステムの故障診断装置の第1
の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0042】図1は、本実施形態としての蒸発燃料パー
ジシステム全体を表す概略説明図である。本蒸発燃料パ
ージシステムは車両に搭載されるガソリンエンジンに対
して取り付けられている。
【0043】燃料蒸気パージシステムは車両に搭載され
ているガソリンエンジンに取り付けられており、大きく
は、燃料タンク1内で発生する燃料蒸気を捕集するキャ
ニスタ2、その捕集された燃料蒸気をエンジン吸気通路
9にパージするためのパージ通路8、このパージを行う
際にキャニスタ2内に大気を導入する大気導入通路27
等を備えて構成される。
【0044】ガソリンエンジンの燃料タンク1には、そ
の内部で発生する燃料蒸気をキャニスタ2に導入する蒸
発燃料導入通路3の一端がフロート3aを介して開口し
接続されている。この蒸発燃料導入通路3の他端はキャ
ニスタ2上部に設けられた圧力緩衝室4を介して、キャ
ニスタ2と接続されている。この圧力緩衝室4内にはオ
リフィス4aが設けられ、オリフィス4aは燃料タンク
1内部とキャニスタ2内部とを常時連通させ、燃料タン
ク1の内部空間の圧力とキャニスタ2の内圧とを等しく
するようになっている。
【0045】また、燃料タンク1には給油時に開弁する
差圧弁5が設けられている。この差圧弁5はブリーザ通
路7によりキャニスタ2と接続されている。したがっ
て、給油時に差圧弁5が開弁すると、燃料タンク1内の
燃料蒸気はブリーザ通路7を通じてキャニスタ2内に導
入される。
【0046】キャニスタ2の内部はパージ通路8によっ
てエンジン吸気通路9の一部をなすサージタンク9aと
連通されている。このパージ通路8には、パージ制御弁
11が設けられている。パージ制御弁11はマイクロコ
ンピュータとして構成されているECU(電子制御ユニ
ット)10からの制御信号に基づいて駆動回路11aに
より開閉駆動されている。
【0047】例えば、パージ制御弁11は、パージ制御
において、パージによりキャニスタ2側からエンジン吸
気通路9へ供給される燃料量を調整し、故障診断制御で
はパージ通路8の遮断・開放を行う。このパージ制御弁
11としては例えばバキュームスイッチングバルブ(V
SV)等が用いられる。
【0048】キャニスタ2の内部は上下方向に延びる仕
切板15によって、2つの室に区画され、圧力緩衝室4
の下方に位置する主室16と、大気側制御弁14の下方
に位置し内容積が前記主室16より小さい副室17とが
それぞれ形成されている。また、主室16および副室1
7上部にはそれぞれ空気層18a,18bが形成され、
空気層18a,18bの下方には活性炭吸着材19a,
19bが充填された吸着材層20a,20bがそれぞれ
形成されている。
【0049】吸着材層20a,20bの上方および下方
にはフィルタ20c,20dが設けられており、活性炭
吸着材19a,19bは両フィルタ20c,20dの間
に充填されている。また、フィルタ20dから下方の空
間は拡散室21とされ、この拡散室21により主室16
と副室17とは連通されている。
【0050】主室16の上方におけるキャニスタ2上面
にはブリーザ通路7の一端が接続されている。ブリーザ
通路7の開口位置の図示左側にはパージ通路8が同様に
主室16に接続されている。
【0051】そして、特にパージ制御弁11が開弁状態
にあり、キャニスタ2内に大気圧よりも低い圧力が導入
されている状態で、パージ通路8内の空間が、順次、主
室16→圧力緩衝室4→蒸発燃料導入通路3→燃料タン
ク1に連通することとなる。また、ブリーザ通路7内の
空間も本来主室16と連通しているため、パージ通路8
と同一空間を共有することとなる。以下、本明細書にお
いて、大気圧を基準としてそれよりも低い圧力を負圧と
いい、大気圧を基準としてそれよりも高い圧力を正圧と
いう。このように、キャニスタ2内に負圧が導入されて
いる状態で互いに連通する蒸発燃料パージシステム内の
共有空間がパージ経路となる。本実施の形態にかかる蒸
発燃料パージシステムの故障診断装置は、このパージ経
路の漏れの有無を判定することによってその故障の有無
を診断することとなる。
【0052】更に、副室17の上方におけるキャニスタ
2上面には、通気ポート25が形成されている。この通
気ポート25に連通するように大気側制御弁14が設け
られている。なお、通気ポート25の中間部には圧力封
鎖弁25aが配置されている。この圧力封鎖弁25aは
通常は開かれているが、ECU10により後述のごとく
故障診断時に開閉制御される。圧力封鎖弁25aとして
は例えばVSV等が用いられる。
【0053】図2に示すように、大気側制御弁14は、
大気開放制御弁12と大気導入制御弁13とが図示左右
に対向して配置されることで形成されている。大気開放
制御弁12に備えられたダイヤフラム12aの図示左側
には大気圧室12bが形成され、大気導入制御弁13に
備えられたダイヤフラム13aの図示右側には負圧室1
3bが形成されている。これら2つのダイヤフラム12
a,13aによって挟まれた空間は、隔壁28により2
つの圧力室に区画されている。そして、両圧力室の一方
は大気開放制御弁12の正圧室12dとされ、他方は大
気導入制御弁13の大気圧室13dとされている。ま
た、負圧室13bはパージ通路8に連通されており、負
圧室13b内にはパージ通路8に発生する圧力が導入さ
れている。
【0054】前記隔壁28の一部には圧力ポート28a
が形成されるとともに、その先端開口部はダイヤフラム
13aによって閉塞可能とされている。大気圧室13d
には大気導入通路27が連通している。そして、ダイヤ
フラム13aは負圧室13bに配設されたスプリング1
3cの付勢力によって圧力ポート28aの先端開口部側
に押圧されているため、大気導入制御弁13は閉弁状態
となっている。
【0055】また、大気側制御弁14の上部には大気開
放制御弁12の大気圧室12bに通じる大気開放ポート
29が形成され、大気圧室12bの内部は常時大気圧と
されている。大気側制御弁14にはキャニスタ2内で燃
料成分が捕集された後の気体を外部に導出する大気排出
ポート26が設けられている。ORVR(Onboard Refu
eling Vapor Recovery)処理時においては大量の空気
(燃料成分が捕集された気体)が大気排出ポート26を
通じて外部に放出されるため、大気排出ポート26はブ
リーザ通路7とほぼ等しい通路断面積を有している。大
気排出ポート26の先端開口部は大気開放制御弁12の
ダイヤフラム12aによって閉塞可能とされている。そ
して、ダイヤフラム12aは、大気圧室12bに配設さ
れたスプリング12cの付勢力により大気排出ポート2
6の開口部側に押圧されている。このため、大気開放制
御弁12はキャニスタ2の内圧が規定圧以上になるまで
閉弁状態に保持される。
【0056】給油時にブリーザ通路7からキャニスタ2
内にキャニスタ2内の圧力よりも高い圧力がかかると、
大気開放制御弁12の正圧室12dの圧力が高まる。そ
して、この正圧室12d内の圧力と大気開放ポート29
から大気圧室12bに導入される大気圧との差圧が、規
定圧差に達した時に大気開放制御弁12が開弁する。こ
のことにより、主室16と副室17とを経て燃料蒸気が
吸着されて除かれた気体が通気ポート25および大気排
出ポート26を介して外部に排出される。
【0057】次に、燃料タンク1の上部には嵌挿孔31
が形成され、この嵌挿孔31にはブリーザ通路7の一部
をなす筒状のブリーザ管32が挿入され固定されてい
る。ブリーザ管32の下部にはフロート弁33が形成さ
れている。また、燃料タンク1の上部にはブリーザ管3
2の上端開口部32aを覆うように差圧弁5が配設され
ている。差圧弁5の内部はダイヤフラム5aによって上
下に区画され、ダイヤフラム5aの上側には第1圧力室
5bが、下側には第2圧力室5cがそれぞれ形成されて
いる。ダイヤフラム5aは第1圧力室5bに配設された
スプリング5dの付勢力により、第2圧力室5c内に導
入されたブリーザ通路7の上端開口部7a側に押圧され
ている。このようにダイヤフラム5aによってブリーザ
通路7の上端開口部7aは閉塞可能とされている。
【0058】差圧弁5の第1圧力室5bは、圧力通路3
4によって燃料タンク1に設けられた燃料注入管36の
上部と連通されている。この燃料注入管36の下部側先
端部には絞り36aが形成されている。給油された燃料
がこの絞り36aを通過すると、燃料注入管36内部の
燃料蒸気の流れ方向は給油口36bから燃料タンク1側
に流れる方向に規制される。したがって、給油口36b
から燃料蒸気が外部に漏出することを防止できる。な
お、燃料タンク1の上部と燃料注入管36の上部とを連
通させる循環ライン管37が設けられており、給油時に
おいて燃料タンク1内の燃料蒸気を燃料注入管36との
間で循環させて円滑な注油を可能としている。
【0059】また、燃料タンク1の上部には燃料タンク
1内の圧力を検出するための圧力センサ1aが設けられ
ている。本実施形態において、圧力センサ1aには大気
圧を基準とする相対圧力を検出するものが用いられてい
る。圧力センサ1aによる検出信号はパージ制御や故障
診断制御を行っているECU10に出力されている。な
お、ECU10へはエンジン吸気通路9に設けられたエ
アフローメータ9c等の各種センサからの信号も出力さ
れている。
【0060】上記構成を備える蒸発燃料パージシステム
は以下のように機能する。燃料タンク1内において燃料
が蒸発し、燃料タンク1の内圧が規定圧力値以上に増加
すると、蒸発燃料導入通路3内には燃料タンク1からキ
ャニスタ2に向かう燃料蒸気の流れが形成される。この
ため、燃料タンク1の燃料蒸気は圧力緩衝室4のオリフ
ィス4aを介してキャニスタ2側に導入される。この場
合、差圧弁5の第1圧力室5bと第2圧力室5cの内圧
は等しいため、差圧弁5は閉弁状態に保持されブリーザ
通路7は閉鎖されている。
【0061】蒸発燃料導入通路3を介してキャニスタ2
内部に到達した燃料蒸気は、まず、主室16側の吸着材
層20aに充填された活性炭吸着材19aによって燃料
成分が捕集される。続いて、燃料蒸気は吸着材層20a
を抜けて拡散室21に達する。さらに、燃料蒸気は拡散
室21を通過して副室17に導入され、副室17側の吸
着材層20bにおいて、主室16側の吸着材層20aで
捕集しきれなかった燃料成分が捕集される。このように
燃料蒸気はキャニスタ2内部をU字状の移動経路に沿っ
て流れるため、吸着材層20a,20bの活性炭吸着材
19a,19bに接触する時間が長くなり燃料成分が効
果的に捕集される。
【0062】そして、燃料成分の大部分が吸着材層20
a,20bの活性炭吸着材19a,19bによって捕集
された気体は大気開放制御弁12を開弁するとともに、
大気排出ポート26を通じて外部に放出される。この
時、大気導入制御弁13の負圧室13bの内圧は大気圧
室13dの内圧より大きい正圧となっているため、大気
導入制御弁13は開弁しない。したがって、大気導入制
御弁13を介して、大気導入通路27から燃料蒸気が外
部に漏出することはない。
【0063】次に、キャニスタ2内に捕集された燃料成
分は以下のようにしてエンジン吸気通路9に供給され
る。エンジンが始動されるとパージ通路8のサージタン
ク9a側開口部近傍は負圧に転じる。そして、ECU1
0の制御信号によりパージ制御弁11が開放駆動される
毎に、パージ通路8の内部にはキャニスタ2側からサー
ジタンク9a側へ向かう燃料蒸気の流れが形成される。
【0064】したがって、キャニスタ2内部は負圧とな
り、大気導入制御弁13が開弁するとともに、大気導入
通路27を通してキャニスタ2内部に副室17側から空
気が導入される。そして、活性炭吸着材19a,19b
に吸着されている燃料成分はその空気により離脱され、
空気中に吸収される。
【0065】このようにして導入された空気により燃料
蒸気はパージ通路8内に導かれ、パージ制御弁11を介
してサージタンク9a内に放出される。サージタンク9
a内において、燃料蒸気はエアクリーナ9b、エアフロ
ーメータ9cおよびスロットルバルブ9dを通過した吸
入空気と混合され、シリンダ(図示略)内に供給され
る。そして、吸入空気と混合された燃料蒸気は、燃料タ
ンク1内の燃料ポンプ38を介し燃料噴射弁39から吐
出された燃料とともに、シリンダ内において燃焼され
る。
【0066】一方、エンジン停止状態での長時間の駐車
等により、燃料タンク1が冷却され、燃料タンク1内の
燃料蒸気の発生が止まり、燃料タンク1内部の圧力が相
対的にキャニスタ2内部より低くなった場合には、圧力
緩衝室4の圧力は負圧となる。したがって、キャニスタ
2内の燃料蒸気はオリフィス4a及び蒸発燃料導入通路
3を通じて燃料タンク1に戻される。
【0067】次に、ECU10により実行される蒸発燃
料パージシステムの故障診断処理について説明する。こ
の故障診断処理は大きくは、燃料タンク1の内圧の変化
量(以下、「圧力変化量ΔP1」という)の測定、パー
ジ経路への負圧の導入及び同経路の密閉、密閉後におけ
る燃料タンク1の内圧の変化速度(以下、「圧力変化速
度ΔP15」という)の測定、上記圧力変化量ΔP1並
びに圧力変化速度ΔP15に基づくリーク診断といった
各処理に分けられる。以下、これら各処理の概要、並び
にその実行に伴う圧力封鎖弁25aの開閉動作等につい
て図3のタイミングチャートを参照して説明する。
【0068】<圧力変化量ΔP1の測定>この圧力変化
量ΔP1は、燃料タンク1内におけるベーパの発生量を
示すものであり、その測定は、パージ制御の開始前に行
われる他、同パージ制御の開始後にあっては、上記故障
判定を行う際に前回の測定時から所定時間(例えば「3
min.」)経過していることを条件に行われる。
【0069】また、その測定に際しては、パージ制御の
開始前にあっては、圧力封鎖弁25aが強制的に閉じら
れ(図3のタイミングt1)、パージ制御の開始後にあ
っては、この圧力封鎖弁25aの他、パージ制御弁11
も強制的に閉じられるようになる。そして、このように
パージ経路が密閉された状態のもとでの所定時間(例え
ば「15sec.」)内における燃料タンク1の内圧の変化
量が圧力変化量ΔP1として測定される。
【0070】尚、本実施形態の故障診断処理において
は、この圧力変化量ΔP1の測定を車速が一定の範囲に
あることを条件に行うようにしている。こうした圧力変
化量ΔP1の測定の詳細については後述する。
【0071】<パージ経路への負圧の導入及び同経路の
密閉>パージ経路に負圧を導入する際には、まず、故障
診断の前提条件が成立している否かが判断される。この
前提条件としては、パージ経路のリーク診断が未完了で
あること、パージ制御実行中であること、標高が所定高
さ(例えば2400m)以下、すなわち気圧が所定値以
上であること、エンジンの始動時の冷却水温が所定の範
囲(例えば、−10℃〜35℃)内にあること、登降坂
走行中でないこと等々が含まれ、それらが全て満たされ
ているときに前提条件が成立しているものとみなされ
る。
【0072】そして、上記前提条件が成立している場合
には、圧力封鎖弁25aが閉弁される(タイミングt
4)。その結果、サージタンク9a内の負圧がパージ通
路8を通じてパージ経路内に導入され、燃料タンク1の
内圧、換言すればパージ経路の内圧が徐々に低下するよ
うになる。その後、この燃料タンク1の内圧が所定圧
(例えば「−2.67kPa」=「−20mmHg」)
に達したことを条件に、パージ制御弁11が閉じられる
(タイミングt5)。その結果、パージ経路への負圧の
導入が停止されるとともに、同経路内が密閉されること
となる。
【0073】また、上記のようにパージ経路内に負圧が
導入される際、燃料タンク1の内圧は、キャニスタ2の
内圧よりも遅れて低下する傾向がある。このため、パー
ジ経路を密閉しても、燃料タンク1の内圧は、キャニス
タ2との間の内圧差によって更に低下するようになる。
このようにキャニスタ2と燃料タンク1との内圧の不均
衡に起因して、パージ経路の密閉後においても燃料タン
ク1の内圧が大きく変化することがあると、その後に行
われる圧力変化速度ΔP15の測定に悪影響を及ぼすお
それがある。
【0074】このため、本実施形態では、上記のように
燃料タンク1の内圧が上記所定圧に達した後、圧力封鎖
弁25aを所定期間(タイミングt5〜t6)の間だけ
一時的に開弁させることで、キャニスタ2の内圧を強制
的に増大させるようにしている。即ち、キャニスタ2と
燃料タンク1との間の内圧の不均衡を速やかに是正する
ことにより、こうした内圧の不均衡に伴う燃料タンク1
の内圧の変化を極力抑制するようにしている。
【0075】<圧力変化速度ΔP15の測定>上記のよ
うにしてパージ経路内に負圧を導入して密閉した後、圧
力変化速度ΔP15を測定する。例えば、この測定に際
しては、燃料タンク1の内圧が、負圧の導入を終了した
ときの圧力値よりも高い所定圧(例えば「−2.0kP
a」=「−15mmHg」)に達したとき(タイミング
t7)から、所定時間(例えば「5sec.」)が経過する
までの間(タイミングt7〜t8)の圧力変化量が圧力
変化速度ΔP15として測定される。圧力変化速度ΔP
15の測定が終了した後(タイミングt8)、圧力封鎖
弁25aは再び開弁状態に保持される。
【0076】<圧力変化量ΔP1並びに圧力変化速度Δ
P15に基づくリーク診断>この故障判定に際しては、
まず、圧力変化速度ΔP15と所定の正常判定値とが比
較される。ここで圧力変化速度ΔP15が正常判定値未
満である場合には、パージ経路に穴によるリークの発生
は無いと判断できるため、システムは正常である旨診断
される。
【0077】一方、圧力変化速度ΔP15が正常判定値
以上である場合には、同圧力変化速度ΔP15が正常判
定値よりも大きく設定された異常判定値と比較される。
ここで圧力変化速度ΔP15が異常判定値以上である場
合には、更に圧力変化量ΔP1と所定値(例えば「0.
267kPa」=「2mmHg」)とを比較する。そし
て、ここで圧力変化量ΔP1が所定値以下である場合、
即ち、ベーパの発生に伴う燃料タンク1の内圧上昇が小
さい場合には、圧力変化速度ΔP15が異常判定値以上
になった原因がパージ経路のリークに起因するものと判
断できるため、システムが異常である旨診断される。
【0078】これに対して、圧力変化速度ΔP15が異
常判定値以上であっても圧力変化量ΔP1が所定値より
大きい場合、或いは圧力変化速度ΔP15が異常判定値
未満である場合にはいずれも、正確なリーク診断が困難
であるため、システムの正常或いは異常の診断は一旦保
留される。
【0079】次に、上記圧力変化量ΔP1を測定する際
の処理手順について図4に示すフローチャート並びに先
の図3に示すタイミングチャートを併せ参照して説明す
る。図4のフローチャートに示す一連の処理は、ECU
10により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0080】この処理に際し、ECU10は、ステップ
100において、エンジンを始動した時の冷却水温が所
定の範囲(例えば、−10℃〜35℃)内にあったか否
かを判断する。ここで、始動時の冷却水温が所定の範囲
にない旨判断すると、ECU10は処理を一旦終了す
る。
【0081】一方、始動時の冷却水温が所定の範囲にあ
る旨判断すると、ECU10は、ステップ110におい
て、現在の冷却水温に基づきパージ制御が既に開始され
ているか否か(パージ制御の実行条件が成立しているか
否か)を判断する。ここで、現在の冷却水温がパージ制
御が開始される温度(例えば「75℃」)未満であり、
パージ制御の開始前であると判断すると、ECU10
は、処理をステップ120に移行する(図3のタイミン
グt0〜t3)。
【0082】そして、ステップ120において、ECU
10は、車速判定フラグXSPDが「0」であるか否か
を判断する。この車速判定フラグXSPDは、車両の走
行等に伴って車室内に発生する音(以下、「車室音」と
いう)が圧力封鎖弁25aの作動音をマスキングする上
で十分なレベルにあるか否かを示すものであり、車室音
が上記レベル以上であるときには「1」に、同レベル以
下であるときには「0」に設定されるフラグである。
【0083】このステップ120において、車速判定フ
ラグXSPDが「0」であると判断すると、ECU10
は、ステップ130において、車速(SPD)と第1の
判定速度(例えば「40km/h」)とを比較する。こ
こで、車速がこの第1の判定速度以下である場合、EC
U10は、車室音によるマスキング効果が期待できない
ものと判断し、処理をステップ170に移行する。そし
て、ECU10は、このステップ170において圧力封
鎖弁25aを開弁状態のまま保持する(図3のタイミン
グt0〜t1)。従って、上記圧力変化量ΔP1の測定
が禁止されることとなる。また、この場合には、圧力封
鎖弁25aの開閉に伴う作動音が生じることはない。
【0084】これに対して、ステップ130において、
車速が第1の判定速度を上回っている場合、ECU10
は、車室音により圧力封鎖弁25aの作動音がマスキン
グされるものと判断し、ステップ140において上記車
速判定フラグXSPDを「1」に設定する。
【0085】このように上記車速判定フラグXSPDを
「1」に設定した後、ECU10は、ステップ150に
おいて圧力封鎖弁25aを閉弁させ、続くステップ16
0において圧力変化量ΔP1の測定を実行する(図3の
タイミングt1〜t2)。
【0086】また、先のステップ120において車速判
定フラグXSPDが「0」ではない、即ち同フラグが
「1」であると判断すると、ECU10は、ステップ1
22において、上記第1の判定速度よりも低い第2の判
定速度(例えば「30km/h)と車速とを比較する。
ここで、車速が第2の判定速度を上回っていると判断す
ると、ECU10は、先のステップ150以降の処理を
実行する。即ちこの場合には、圧力封鎖弁25aは閉弁
状態のまま保持され、圧力変化量ΔP1の測定は継続し
て実行されることとなる。
【0087】一方、ステップ122において、車速が第
2の判定速度以下である場合、ECU10は、車速が減
速傾向にあって、その後の減速により車室音が圧力封鎖
弁25aの作動音をマスキングできないレベルにまで低
下するものと判断し、処理をステップ124に移行す
る。そして、ECU10は、このステップ124におい
て車速判定フラグXSPDを「0」に設定し、更にステ
ップ170において圧力封鎖弁25aを開弁させる(図
3のタイミングt2以降)。即ちこの場合には、車速が
車室音によるマスキング効果が期待できなくなる速度域
(例えば「30km/h以下」)に達する前に、圧力封
鎖弁25aが予め開弁させられるとともに、圧力変化量
ΔP1の測定が禁止されることとなる。
【0088】ECU10は、上記ステップ160或いは
ステップ170の処理を実行した後、一連の処理を一旦
終了する。また、同様に、ECU10は、前述したステ
ップ110においてパージ制御が開始されたと判断する
と(ステップ110:NO)、一連の処理を一旦終了す
る。このようにパージ制御が開始されると、ECU10
は、その後、以下の手順に従って圧力変化量ΔP1を測
定する。
【0089】即ち、ECU10は、前述した圧力変化速
度ΔP15の測定を終了した後、圧力変化量ΔP1の測
定が終了したことを示すフラグが「0」であるか否かを
判断する。このフラグは、圧力変化量ΔP1の測定が終
了した時点で初期値「0」から「1」に設定されるとと
もに、別の時間割込処理を通じて、その測定の終了時か
ら所定時間(例えば「3min.」)が経過したときに
「0」に設定されるものである。
【0090】そして、ECU10は、このフラグが
「0」であることを条件に、上記ステップ120以降の
各処理と同様の手順に従って圧力変化量ΔP1を測定す
る。その結果、圧力変化量ΔP1の測定は、パージ制御
の開始前であれ、或いは同制御の開始後であれ、その測
定に伴う圧力封鎖弁25aの作動音が車室音によってマ
スキングされることを条件に行われ、車速が所定速度
(第1の判定速度、測定が一旦開始された後は第2の判
定速度)以下となるときには禁止されるようになる。
【0091】以上説明した本実施形態によれば以下に記
載した効果を奏することができるようになる。 (1)圧力変化量ΔP1の測定を所定速度(第1の判定
速度又は第2の判定速度)以下となるときには禁止する
ようにしている。従って、圧力封鎖弁25aの作動音が
乗員に不快感を与えるようなこともなくなる。
【0092】(2)更に、車速が第1の判定速度以下で
あることを条件に圧力変化量ΔP1の測定を開始すると
ともに、その測定の開始後は、車速が上記第1の判定速
度よりも低い第2の判定速度以下になるまで同測定を継
続するようにしている。即ち、圧力変化量ΔP1の測定
を一旦開始した後は、その測定の禁止条件を制限し、測
定処理の禁止が行われ難くなるようにしている。従っ
て、同測定処理が中断されることなく最後まで早期に遂
行される確率が高められるようになる。
【0093】(3)圧力変化量ΔP1の測定実行を禁止
する条件として車速SPDを用いることで、禁止条件成
立の判断基準が明確となり、また不快感を与える作動音
についてもこれをより的確に回避することができるよう
になる。
【0094】(第2の実施形態)次に、本発明に係る第
2の実施形態について説明する。本実施形態では、上記
圧力変化量ΔP1の測定を一旦開始した後は、車速に拘
わらず、その測定を継続するようにしている点が第1の
実施形態と相違している。以下、この相違点を中心に図
5並びに図6を併せ参照して説明する。
【0095】図5は、上記圧力変化量ΔP1を測定する
際の処理手順を示すフローチャートであり、先の図4と
同一の符号を付したステップについては同一の処理が実
行されるものとする。また、図6は、車速の変化並びに
圧力封鎖弁25aの開閉状態の一例を示すタイミングチ
ャートである。
【0096】ECU10は、図5に示す各ステップ10
0,110において、始動時の冷却水温が所定範囲内に
あってパージ制御の開始前であると判断すると、更にス
テップ120において車速判定フラグXSPDが「0」
であるか否かを判断する。
【0097】ここで、ECU10は、車速判定フラグX
SPDが「1」に設定されており、上記圧力変化量ΔP
1の測定が開始されていると判断すると(ステップ12
0:NO)、ステップ150,160の処理を順次実行
する。即ちこの場合、車速が低下しても圧力変化量ΔP
1の測定が中断されることはなく、圧力封鎖弁25aが
閉弁状態に保持されて同測定が継続されるようになる。
【0098】そして、ステップ110において、パージ
制御が開始されたと判断すると、ECU10は、更にス
テップ121において車速判定フラグXSPDが「0」
であるか否かを判断する。ここで、車速判定フラグXS
PDが「0」でない場合、ECU10は、ステップ12
4においてこの車速判定フラグXSPDを「0」に設定
した後、ステップ170において圧力封鎖弁25aを開
弁させて圧力変化量ΔP1の測定を終了させる。また、
ステップ121において車速判定フラグXSPDが
「0」であると判断した場合、ECU10は一連の処理
を一旦終了する。
【0099】また、このようにパージ制御が開始される
と、ECU10は、その後、第1の実施形態において説
明した手順と略同様の手順に従って圧力変化量ΔP1を
測定する。
【0100】即ち、ECU10は、圧力変化速度ΔP1
5の測定を終了した後、圧力変化量ΔP1の測定が終了
したことを示すフラグが「0」であるか否かを判断す
る。そして、ECU10は、このフラグが「0」である
ことを条件に、図5に示すステップ120以降の処理と
同様の手順に従って圧力変化量ΔP1を測定する。また
この際、ECU10は、車速が上記第1の判定速度を上
回っていると判断して圧力変化量ΔP1の測定を一旦開
始した場合には、それが完了するまで同測定を継続す
る。
【0101】その結果、圧力変化量ΔP1の測定は、圧
力封鎖弁25aの作動音が車室音によってマスキングさ
れることを条件に開始されるとともに、その測定が一旦
開始された場合には、パージ制御の開始前であれば同制
御が開始されるまで、また、同制御の開始後であればそ
の測定が完了するまで、同測定は継続されるようにな
る。
【0102】従って、車速が上記各判定速度の近傍で大
きく変化するような場合、前述した第1の実施形態にお
いては、図6に一点鎖線で示されるように、圧力封鎖弁
25aが開弁されて圧力変化量ΔP1の測定が実行され
る期間(タイミングt1〜t2、タイミングt3〜t
4)が短く制限されてしまうのに対し、本実施形態にあ
っては、圧力変化量ΔP1の測定が一旦開始されると、
その測定が禁止されないようにしているため、同図に実
線で示されるように、同測定期間(タイミングt1〜t
5)がより長く確保されるようになる。
【0103】このため、本実施形態によれば、第1の実
施形態において記載した(1)の効果に加えて、更に、 (4)圧力変化量ΔP1の測定を一旦開始した後は、同
測定が禁止しないようにしているため、同測定処理が中
断されることなく最後まで早期に遂行される確率が更に
高められるようになる。
【0104】(第3の実施形態)次に、本発明にかかる
蒸発燃料パージシステムの故障診断装置を具体化した第
3の実施形態について、先の第1及び第2の実施形態と
異なる点を中心に説明する。
【0105】上述のように、圧力封鎖弁25aの作動を
伴う圧力変化量ΔP1の測定にあたり、車速SPDに応
じて測定を禁止するようにすれば、車両の走行音が小さ
な低速走行時における同弁25aの作動を禁止若しくは
低減することができ、その作動音による乗員の違和感や
不快感を効果的に低減することができる。なお一方で、
上記故障診断における圧力変化速度ΔP15の測定に際
しても、こうした圧力封鎖弁25aの作動、即ちパージ
経路へ負圧を導入する際の圧力封鎖弁25aの閉弁動作
と、負圧導入後におけるパージ経路内の圧力不均衡を是
正する際の圧力封鎖弁25aの開閉動作、圧力変化速度
ΔP15を測定した後の圧力封鎖弁25aの開弁動作が
それぞれ行われることは上述した通りである。
【0106】そこで、この第3の実施形態の装置では、
こうした圧力変化速度ΔP15の測定に際しても、上記
第1及び第2の実施形態の如く、車速SPDに応じて同
測定を適宜に禁止するようにして、圧力封鎖弁25aの
作動音による不快感を低減するようにしている。
【0107】図7は、この第3の実施形態において圧力
変化速度ΔP15を測定する際の手順を示すフローチャ
ートであり、以下この図7を参照して同測定処理の詳細
を説明する。なお、この測定処理は、ECU10により
所定時間毎に周期的に実行される。
【0108】さて、処理が本ルーチンに移行すると、ま
ずECU10は、ステップ200において、検出済フラ
グXEVAPに基づいてリーク診断が既に終了している
か否かを判断する。この検出済フラグXEVAPは、上
記リーク診断が終了することを条件としてセットされ、
その値が「1」とされる。
【0109】ここでリーク診断が既に終了していると判
断されれば(ステップ200:YES)、ECU10は
本ルーチンの処理を一旦終了し、通常のパージ制御実行
のための処理に移行する。
【0110】一方、ここでリーク診断が未完了であれば
(ステップ200:NO)、ECU10は、続くステッ
プ210において、上述の負圧導入にかかる前提条件が
成立しているか否かを判断する。ここで前提条件が満た
されていなければ(ステップ210:NO)、ECU1
0は、ステップ280において、圧力封鎖弁25aを開
弁して上記圧力変化速度ΔP15の測定を禁止した後、
今回の本ルーチンの処理を終了する。
【0111】また、ここで上記前提条件が満たされてい
れば(ステップ210:YES)、ECU10は続くス
テップ220において、前述の車速判定フラグXSPD
がクリアされているか否かを、すなわち同フラグXSP
Dの値が「0」であるか否かを判断する。ここで、この
車速判定フラグXSPDがセットされている、すなわち
少なくとも前回の本ルーチンの実行時に車速条件が成立
していれば(ステップ:NO)、ECU10はその処理
をステップ260に移行する。
【0112】一方、ここで上記車速条件が不成立であれ
ば(ステップ220:YES)、ECU10は続くステ
ップ230において、そのときの車速SPDが前述の第
1の判定速度αよりも大きいか否かを判断する。
【0113】さて、ここで車速SPDが上記第1の判定
速度α以下であれば(ステップ230:NO)、ECU
10はこうした車速条件が未成立であると判断し、上記
ステップ280において、圧力封鎖弁25aを開弁して
測定を禁止した後、処理を一旦終了する。
【0114】これに対して、ここで車速SPDが上記第
1の判定速度αよりも大きければ(ステップ230:Y
ES)、ECU10は上記車速条件が成立したものと判
断し、続くステップ240において、車速判定フラグX
SPDをセット(XSPD=「1」)する。そしてEC
U10は、続くステップ250において、上記車速条件
の成立をもって圧力変化速度ΔP15の測定を開始す
る。このように、本実施形態の装置では、車速SPDが
第1の判定速度αよりも大きなことを条件として、上記
測定を開始するようにしている。
【0115】さて、こうして車速条件が成立することを
もって測定が一旦開始されると、その後の本ルーチンの
実行に際してECU10の処理は、車速判定フラグXS
PDがセットされているため、リーク診断が既に終了し
ている場合、或いは上記前提条件が不成立となった場合
を除き、ステップ260に移行する。そしてこのステッ
プ260において、ECU10は上記車速条件が継続し
て成立しているか否かを判断する。
【0116】なお、本実施形態では、ここでの車速条件
成立の判断に際して、そのときの車速SPDが、上記第
1の判定速度αよりも低い前記第2の判定速度βよりも
大きいことを同条件成立の判断基準としている。
【0117】ここで、車速SPDが第2の判定速度β以
下であって車速条件が不成立となれば(ステップ26
0:NO)、ECU10はステップ270において、車
速判定フラグXSPDをクリア(XSPD=「0」)
し、ステップ280において圧力封鎖弁25aを開弁し
て上記測定を禁止した後、処理を一旦終了する。
【0118】一方、ここで車速SPDが第2の判定速度
βよりも大きく、車速条件が継続して成立している旨判
断されれば(ステップ260:YES)、ECU10
は、ステップ290において、上記測定を継続して実行
した後、処理を一旦終了する。
【0119】図8は、本実施形態の故障診断装置の制御
態様を示している。ここで、図8(a)はエンジンの冷
却水温度の推移を、図8(b)は車速SPDの推移を、
図8(c)は上記負圧導入前提条件の成立の有無をそれ
ぞれ示している。
【0120】この図8に示すように、本実施形態の故障
診断装置では、図8(c)の前提条件が成立し、且つ図
8(b)の車速SPDが第1の判定速度αよりも大きく
なり車速条件が成立した時点で、図8(f)にその開閉
状態を示す圧力封鎖弁25aが閉弁されるようになる。
このとき、上記前提条件にもあるように、パージ制御の
実行中であって、図8(e)にその開度の推移を示され
るパージ制御弁11が開かれているため、パージ経路内
に負圧が導入されて、図8(d)にその推移を示す燃料
タンク1内の圧力(タンク内圧)が低下する。そして、
タンク内圧が所定圧に達した時点で圧力封鎖弁25aが
再び閉弁され、パージ経路が密閉されて、同タンク内圧
の変化速度ΔP15の測定が開始される。
【0121】なお、負圧の導入開始から圧力変化速度Δ
P15の測定終了までの期間に、図8(b)に実線で示
すように、車速SPDが一度も上記第2の判定速度βを
下回らず、車速条件が成立した状態が継続されていれ
ば、そのまま上記測定が継続して行われ、上記圧力変化
速度Δ15の測定が終了した時点でリーク診断が行わ
れ、図8(h)にその推移を示す検出済フラグXEVA
Pがセットされる。
【0122】一方、図8(b)に一点鎖線で示すよう
に、こうした負圧導入期間に車速SPDが第2の判定速
度βを下回ると、図8(f)に一点鎖線で示すようにそ
の時点で圧力封鎖弁25aが開弁され、測定が一時中断
される。そしてその後、車速SPDが第1の判定速度α
を再び上回った時点で、パージ経路への負圧の導入から
始まる一連の圧力変化速度ΔP15の測定にかかる処理
を再実行している。
【0123】ちなみに、こうした診断処理の一時中断の
影響等によって、圧力変化速度ΔP15の測定された時
刻が、前述したパージ制御の実行前における圧力変化量
ΔP1の測定時刻から所定時間T以上経過した時刻とな
ってしまった場合には、図8(g)に示すように、上記
変化速度ΔP15の測定終了後に圧力変化量ΔP1を再
測定してリーク診断を行うようにしている。
【0124】以上説明した本実施形態によれば、以下に
記載する効果を奏することができる。 (5)圧力変化速度ΔP15の測定にかかる一連の処理
(パージ経路への負圧の導入及び同経路の密閉、圧力変
化速度ΔP15の測定)を車速が所定速度(第1の判定
速度αまたは第2の判定速度β)以下となるときには禁
止するようにしている。したがって、車室音が小となる
低速走行時には、測定が禁止されるため、作動部材(圧
力封鎖弁25a)の作動音が乗員に不快感を与えること
もなくなる。また勿論、上記作動音がマスキングされる
程度に車室音が大となる高速走行時には、禁止条件が満
たされなくなり、同測定も通常に実行されるため、故障
診断装置としての機能も好適に確保される。
【0125】(6)圧力変化速度ΔP15の測定実行を
禁止する条件として車速SPDを用いることで、禁止条
件成立の判断基準が明確となり、また不快感を与える作
動音についてもこれをより的確に回避することができる
ようになる。
【0126】(7)更に、車速SPDが第1の判定速度
α以下であることを条件に上記測定にかかる処理の開始
を禁止すると共に、同処理の開始後は、車速SPDがそ
の第1の判定速度αよりも低い第2の判定速度β以下と
なるまで上記測定にかかる処理を継続するようにしてい
る。すなわち、圧力変化速度ΔP15の測定にかかる処
理が一旦開始された後は、その処理の実行が禁止され難
いようにしている。したがって、測定にかかる処理に伴
う作動音による不快感を解消した上で、同測定が中断さ
れることなく最後まで早期に遂行される確率が高められ
る。
【0127】(第4の実施形態)続いて、本発明にかか
る蒸発燃料パージシステムの故障診断装置を具体化した
第4の実施形態について、上記第3の実施形態と異なる
点を中心として説明する。
【0128】上述のように、車速SPDに基づき圧力封
鎖弁25aの開閉動作を伴うリーク診断にかかる処理を
禁止するようにすれば、車両の運行に伴う発生音が小と
なり、ひいては車室音が小となる状況下での診断処理が
禁止されて、乗員の不快感を適切に低減することができ
るようになる。なお、上記圧力封鎖弁25aの作動音を
マスキングする車室音の大きさは、車速SPDのみに依
存して変化する訳ではない。例えば、エンジン自体の発
生音は、エンジンの回転数や負荷に依って変化し、これ
ら回転数や負荷も車室音の大きさに影響を及ぼすパラメ
ータとなる。また車両には、それ以外にも例えば車室内
のオーディオ機器の音や雨天に際してのワイパーの作動
音などの種々の車室音が存在しており、こうした車室音
のすべてが上記作動音をマスキングする上で有効であ
る。
【0129】そこで、この第4の実施形態では、こうし
た車速SPD以外のパラメータに依存した車室音の大き
さの変化の影響も考慮して、上記診断の禁止にかかる条
件を設定するようにしている。詳しくは、先の第3の実
施形態の圧力変化速度ΔP15の測定にかかるECU1
0の処理において、車速条件の成立基準となる所定の速
度α,βを、例えば、 ・エンジン回転数センサによって検出されるエンジン回
転数。 ・エンジンの吸気量や吸気圧、燃料噴射量などから把握
されるエンジン負荷。 ・車室内のオーディオ機器の音量。 ・例えば雨天時などにおけるワイパーの作動速度(作動
回数/min.)。 ・路面センサによって検出される路面の凹凸度。 などの車室音の大きさに影響を及ぼすパラメータに応じ
て可変設定するようにしている。また本実施形態では、
上記各パラメータのいずれかに応じて、例えば図9に例
示するような制御マップを予め用意しておき、上記車速
条件の判定(図7のステップ230及びステップ26
0)に際して、ECU10は、こうした制御マップに基
づき算出した各判定速度α,βに基づき車速条件を判定
するようにしている。
【0130】図9は、こうした制御マップの一例を示
し、上記各パラメータのいずれかと各判定速度α,βと
の関係が示されている。例えば、エンジン回転数或いは
エンジン負荷について云えば、上述のように、これらの
値が大きければエンジン自体の発生音も大きくなり、ひ
いてはリーク診断にかかる作動音をマスキングする車室
音も大きくなる。また、例えば雨天時などにおけるワイ
パーの作動について云えば、その作動速度が大きければ
ワイパー自体の作動音が大きくなることは勿論である
が、ワイパー作動時には車体に降りかかる雨音によって
も車室音が増大する。更に、路面の凹凸度が大きけれ
ば、路面からの振動等の増大によって車室音が増大する
し、また云うまでもなくオーディオ機器の音量に応じて
も車室音の大きさは変化する。
【0131】この実施形態では、図9に例示するよう
に、上記パラメータのそれぞれによって車室音がより大
きくなる状況にあるときには、上記各判定速度α,βは
より低速に設定されるようになり、診断の実行が禁止さ
れ難くなる。こうして本実施形態の装置では、車速SP
D以外のパラメータの影響によって、リーク診断にかか
る作動音をマスキングする車室音が大となる状況におい
ては、診断機会を増大するようにしている。
【0132】以上説明した本実施形態によれば、上記
(5)〜(7)に記載の効果に加え、以下に記載する効
果を奏することができる。 (8)リーク診断の禁止条件にかかる所定速度(第1の
判定速度αまたは第2の判定速度β)を、車室音の大き
さに影響するパラメータ(エンジン回転数、エンジン負
荷、車載オーディオの音量、ワイパーの作動速度、路面
の凹凸度)に応じて可変設定している。そして、こうし
たパラメータの影響により車室音が大となるときには上
記判定速度を低く設定するようにして、リーク診断実行
が禁止され難くするようにしている。したがって、リー
ク診断にかかる作動音による不快感を解消した上で、診
断が実行される機会を増やすことができる。
【0133】なお、以上説明した本実施形態の蒸発燃料
パージシステムの故障診断装置は、以下のように変更す
ることもできる。 ・上記実施形態では、先に列記したような車室音の大き
さに影響を及ぼす車速SPD以外のパラメータのいずれ
かに応じてリーク診断の禁止条件にかかる所定速度を可
変設定する構成としたが、例えば走行中の車窓の開閉状
態などの同様に車室音の大きさに影響を及ぼすこれら以
外のパラメータに応じて上記所定速度を設定するように
してもよい。
【0134】・また、上記実施形態では、こうしたパラ
メータのいずれかに応じて上記所定の速度を可変設定す
る構成としたが、これらパラメータの複数に応じて同所
定の速度を可変設定する構成としてもよい。
【0135】・上記実施形態では、リーク診断実行の禁
止条件の判定にかかる所定車速として第1及び第2の判
定速度α、βを設定して、上記診断の開始前及び診断の
実施中との如何に依っても同診断の禁止にかかる条件を
緩和する構成としたが、両判定速度を同一の速度として
診断開始後もその禁止条件を変更せず、こうした禁止条
件を上記各パラメータによってのみ変更する構成として
もよい。
【0136】・また、上記実施形態では、リーク診断実
行の禁止にかかる禁止条件を上記車室音に影響を及ぼす
パラメータに応じて適宜に変更する構成としたが、上述
のような燃料タンク内での燃料蒸気の発生量の測定(Δ
P1の測定)にかかる処理を車速に応じて禁止する故障
診断装置において、その測定の禁止条件をこうしたパラ
メータに応じて変更する構成としてもよい。
【0137】(第5の実施形態)次に、本発明にかかる
蒸発燃料パージシステムの故障診断装置を具体化した第
5の実施形態について、先の第3及び第4の実施形態と
異なる点を中心に説明する。
【0138】上述のように、車速SPDなどに基づき把
握される車室音が小さなときに故障診断にかかる処理の
実行を禁止するようにすることで、診断時の例えば圧力
封鎖弁25aの作動音による乗員の不快感を効果的に低
減することができる。ちなみに、こうしたパージシステ
ムの故障診断に際して動作する作動部材の作動音による
不快感は、当然のことながらこうした作動部材により近
い席に着座した乗員ほど強くなる。
【0139】なお、こうした蒸発燃料パージシステムの
故障診断装置を備える乗用車では一般に、燃料タンクが
車両後部側に位置するようにレイアウトされていること
から、上記圧力封鎖弁25aなどの作動部材も車両後部
側に位置されていることが多い。こうした車両において
は、車両の後部座席に着座した乗員ほど、故障診断にか
かる上記不快感が強くなる。
【0140】一方、これを逆手に取れば、こうした乗用
車において前部座席のみに乗員が搭乗しているときに
は、上記車室音が比較的小さな状況でも乗員に不快感を
与えずに故障診断を実行することができるようになる。
【0141】そこで、この第5の実施形態では、こうし
た蒸発燃料パージシステムの作動部材により近い席の乗
員の有無を検出すると共に、同席への乗員無しが検出さ
れていれば、故障診断が禁止され難いようにして、故障
診断の機会をより増大させるようにしている。以下、本
実施形態の故障診断装置の詳細について図10を参照し
て説明する。
【0142】なお、この第5の実施形態の故障診断装置
の適用対象となる車両では、燃料タンク1やキャニスタ
2などが車両後部側にレイアウトされており、これに伴
い圧力封鎖弁25aも車両後部側にレイアウトされてい
る。したがって、この車両においては、車両の後部座席
が蒸発燃料パージシステムの故障診断に際して動作する
作動部材近傍の席に対応している。また更に、この車両
には、こうした後部座席への乗員の有無を検出するセン
サが設けられている。ちなみにこうしたセンサとして
は、後部座席におけるシートベルトの使用の有無を検出
するためのシートベルトスイッチや、後部座席の座面な
どにかかる圧力を検出する圧力センサ、或いは後部座席
を赤外線や音波などを用いて走査して乗員の有無を検出
する赤外線センサや音波センサなど、乗員の有無を検出
可能な適切な任意の手段を用いることができる。
【0143】さて、本実施形態では、圧力変化速度ΔP
15の測定にかかる一連の処理における車速条件の判定
(図7のステップ230及びステップ260)に際し
て、ECU10は、上記後部座席の乗員の有無に応じ、
例えば図10に例示するような態様にてそれぞれ設定さ
れた各判定速度α,βに基づき判定を行うようにしてい
る。
【0144】図10は、こうした後部座席の乗員の有無
に応じた上記判定速度α,βの設定態様の一例を示して
いる。この図10に例示するように、ここでは後部座席
への乗員無しが検出されていれば、各判定速度α,βは
それぞれ、より低速となるよう設定されている。この結
果、後部座席への乗員無しが検出されていれば、乗員有
りが検出されているときと比べ、車速SPDが低速でも
故障診断にかかる処理が禁止され難いようになる。
【0145】以上説明した本実施形態によれば、上記
(5)〜(7)に記載の効果に加え、以下に記載する効
果を奏することができる。 (9)リーク診断に伴い作動音を発生する作動部材(圧
力封鎖弁25a)近傍の席(後部座席)への乗員の有無
の検出すると共に、同席への乗員無しの検出に応じて上
記リーク診断の実行が禁止され難いようにしている。し
たがって、リーク診断にかかる作動音による不快感を解
消した上で、リーク診断が実行される機会を増やすこと
ができる。
【0146】なお、以上説明した本実施形態の蒸発燃料
パージシステムの故障診断装置は、以下のように変更す
ることもできる。 ・上記実施形態では、リーク診断実行の禁止条件の判定
にかかる所定車速として第1及び第2の判定速度α、β
を設定して、上記診断の開始前及び診断の実施中との如
何に依っても同診断の禁止にかかる条件を変更する構成
としたが、両判定速度を同一の速度として診断開始後も
その禁止条件を緩和せず、こうした禁止条件を上記席へ
の乗員の有無の検出に応じて変更する構成としてもよ
い。
【0147】・また、上記実施形態では、リーク診断実
行の禁止にかかる禁止条件を上記作動部材近傍の席への
乗員の着座の有無に応じて適宜に変更する構成とした
が、上述のような燃料タンク内での圧力変化量ΔP1の
測定にかかる処理を車速に応じて禁止する故障診断装置
において、その測定の禁止条件をこうした上記席への乗
員有無の検出に応じて変更する構成としてもよい。
【0148】(第6の実施形態)次に、本発明の第6の
実施形態を図11及び図12に基づき説明する。前述し
たようにリーク診断を行うためには圧力変化量ΔP1及
び圧力変化速度ΔP15の双方の測定を行う必要があ
る。こうした故障診断にかかる処理は上述のように種々
の制限の中で実行されており、したがって一旦診断が開
始された後、特に、同診断処理が後期の処理まで進んで
いるような場合には、同処理が確実に終了されることが
望ましい。そこで、この実施形態では、診断処理が後期
の処理にあたるときには、上記車速条件を変更して、こ
れら測定処理が更に禁止され難くしている点が上記各実
施形態と相違している。以下、この相違点を中心に説明
する。
【0149】ちなみに上記各実施形態では、通常、圧力
変化速度ΔP15の測定終了時に予めパージ制御の開始
前に測定された圧力変化量ΔP1との対比に基づきリー
ク診断が行われる。したがってこの場合、圧力変化速度
ΔP15の測定にかかる処理が上記後期の処理にあた
る。一方、圧力変化速度ΔP15の測定終了時に有意な
圧力変化量ΔP1が測定されていない場合には、同変化
速度ΔP15の測定後、即ちパージ制御の開始後に圧力
変化量ΔP1の測定を行い、この測定後に上記リーク診
断が行われる。したがってこの場合、こうしたパージ制
御の開始後の圧力変化量ΔP1の測定にかかる処理が上
記後期の処理にあたる。
【0150】図11及び図12は、本実施形態の故障診
断ルーチンを示すフローチャートである。この故障診断
ルーチンは、ECU10を通じて例えば所定時間毎の時
間割り込みにて実行される。
【0151】故障診断ルーチンにおいて、ECU10
は、ステップ301(図11)の処理として、上記検出
済フラグXEVAPが「0」となっているか否かを判断
する。この検出済フラグは、故障診断処理のうちの一つ
の処理である圧力変化量ΔP1及び圧力変化速度ΔP1
5に基づくリーク診断が完了しているか否かを判断する
ためのものである。そして、ステップ301において、
「XEVAP=1(完了済)」であれば当該故障診断ル
ーチンを一旦終了し、「XEVAP=0(未完了)」で
あればステップ302に進む。
【0152】ECU10は、ステップ302の処理とし
て、故障診断処理のうちの一つの処理であるパージ経路
内への負圧の導入を行うための上記の前提条件(負圧導
入前提条件)が成立しているか否かを判断する。そし
て、負圧導入前提条件が成立していなければ、ECU1
0は、ステップ316の処理として故障診断を禁止す
る。このように故障診断が禁止されると、圧力封鎖弁2
5aが開かれるようになる。
【0153】一方、上記負圧導入前提条件が成立してい
れば、ECU10は、ステップ303の処理として上記
の車速判定フラグXSPDが「0」に設定されているか
否かを判断する。この車速判定フラグXSPDは、車速
SPDが一旦例えば40km/hよりも大きくなったか
否かを判断するためのものである。そして、ステップ3
03の処理において、「XSPD=0」でなければステ
ップ310(図12)に進み、「XSPD=0」であれ
ばステップ304に進む。
【0154】ECU10は、ステップ304の処理とし
て、車速SPDが上記の第1の判定速度αよりも大きい
か否かを判断する。そして、ステップ304の処理にお
いて、「SPD>α」でなければステップ316の処理
を行い、「SPD>α」であればステップ305に進
む。ECU10は、ステップ305の処理において、上
記車速判定フラグXSPDを「1」に設定する。このよ
うに車速SPDがαよりも大きくなると、車速判定フラ
グXSPDが「1」に設定されて上記ステップ303の
処理で否定判定がなされ、ステップ310(図12)に
進むようになる。
【0155】上記ステップ305の処理が行われた後、
ECU10は、ステップ306の処理として、故障診断
処理のうちの一つの処理であるパージ経路内への負圧の
導入を開始する。このように負圧導入が開始されるとき
には、圧力封鎖弁25aが閉じられるようになる。EC
U10は、続くステップ307の処理として、故障診断
処理のうちの一つの処理である圧力変化量ΔP1及び圧
力変化速度ΔP15に基づくリーク診断が実行中である
か否かを判断し、実行中であればこの故障診断ルーチン
を一旦終了する。また、上記リーク診断が実行中でない
旨判断された場合には、ステップ308に進む。
【0156】ECU10は、ステップ308の処理とし
て、上記リーク診断が完了しているか否か、即ち圧力変
化量ΔP1及び圧力変化速度ΔP15に基づくリークに
関する異常判定、或いは正常判定がなされているか否か
を判断する。そして、こうしたリーク診断が完了してい
れはステップ309の処理で上記検出済フラグXEVA
Pを「1(完了済)」に設定した後、この故障診断ルー
チンを一旦終了する。また、上記ステップ308の処理
において、圧力変化量ΔP1及び圧力変化速度ΔP15
に基づく異常判定或いは正常判定がなされていなけれ
ば、判定保留の状態である旨判断して当該故障診断ルー
チンを一旦終了する。
【0157】ここで、車速SPDが一旦第1の判定速度
αよりも大きくなって車速判定フラグXSPDが「1」
になり、上記ステップ303の処理で否定判定がなされ
る場合について説明する。
【0158】上記のように否定判断がなされると、ステ
ップ310(図12)に進むこととなる。ステップ31
0〜312の処理は、故障診断を通じて行われる圧力封
鎖弁25aの閉から開への動作が一回残っている状況で
あるか否か、即ち同故障診断の後期にあたる処理が行わ
れている状況であるか否かを判断するためのものであ
る。
【0159】なお、こうした状況でない場合にはステッ
プ313の判断処理が実行され、車速SPDが第2の判
定速度β以下に低下することを条件に、ステップ316
(図11)の処理により故障診断が禁止される。また、
上記のような状況である場合にはステップ314の処理
が実行され、車速SPDが第2の判定速度βよりも更に
低い第3の判定速度γ(例えば「15km/h」)以下
に低下することを条件に、ステップ316(図11)の
処理により故障診断が禁止される。このように故障診断
の実行を禁止させ難いようにすることで、上記故障診断
処理の後期にあたる処理が行われている状況では車速S
PDが第2の判定速度β以下に低下しても故障診断が続
行されるようになり、同診断を早期に完了することが可
能になる。
【0160】上記のようにステップ310に進むと、E
CU10は、パージ開始前の圧力変化量ΔP1が測定さ
れてからの時間が上記所定時間T(例えば3min.)以内
であるか否かを判断する。そして、所定時間T以内であ
ればステップ311の処理として、圧力変化速度ΔP1
5の測定中であるか否かを判断する。パージ開始前にお
ける圧力変化量ΔP1が測定されてからの時間が所定時
間T以内で圧力変化速度ΔP15の測定中にあっては、
故障診断にかかる処理が後期まで進んでいることとな
る。この場合、上記ステップ310,311の処理で共
に肯定判断がなされ、ステップ314の処理として車速
SPDが第3の判定速度γよりも大きいか否かを判断す
る。
【0161】そして、「SPD>γ」であれば、この故
障診断ルーチンを一旦終了する。また、「SPD>γ」
でなければ、ステップ315の処理として車速判定フラ
グXSPDを「0」に設定し、続いてステップ316
(図12)の処理として故障診断を禁止した後、この故
障診断ルーチンを一旦終了する。
【0162】また、上記ステップ310で否定判断がな
されてステップ312に進むと、ECU10は、パージ
開始後の圧力変化量ΔP1の測定中であるか否かを判断
する。こうしたパージ開始後の圧力変化量ΔP1の測定
中にあっては、故障診断にかかる処理が後期まで進んで
いることとなる。この場合、上記ステップ312の処理
で肯定判断がなされ、上記と同様にステップ314以降
の処理が実行される。
【0163】一方、上記ステップ311若しくはステッ
プ312の処理で否定判断がなされ、同故障診断処理の
後期にあたる処理が行われている状況にない旨判断され
てステップ313に進む。ECU10は、ステップ31
3の処理として、車速SPDが第2の判定速度βよりも
大きいか否かを判断する。
【0164】そして、「SPD>β」であれば、この故
障診断ルーチンを一旦終了する。また、「SPD>β」
でなければ、ステップ315の処理として車速判定フラ
グXSPDを「0」に設定し、続いてステップ316
(図12)の処理として故障診断を禁止した後、この故
障診断ルーチンを一旦終了する。
【0165】以上詳述した処理が行われる本実施形態に
よれば、以下に示す効果が得られるようになる。 (10)故障診断の後期にあたる処理が行われている状
況では、上記故障診断の禁止を決定するための基準とな
る車速SPDを第2の判定速度βから第3の判定速度γ
へと下げ、故障診断が更に禁止され難くする。そのた
め、故障診断処理の後期にあたる処理が行われている状
況では、車速SPDが第2の判定速度β以下に低下して
も故障診断が続行され、同診断を早期に完了することが
可能になる。従って、種々の制限(前提条件)のもとに
実行される故障診断をやり直す必要が生じることは少な
くなり、故障診断が最後まで遂行される確率も低くなる
という不具合を解消することができる。
【0166】・ 第6の実施形態では、故障診断の後期
にあたる処理が行われている状況のとき、故障診断の禁
止を決定するための基準となる車速SPDを第2の判定
速度βから第3の判定速度へと下げたが、本発明はこれ
に限定されない。即ち、故障診断の後期にあたる処理が
行われている状況のとき、上記のように基準となる車速
SPDを下げる代わりに、車速SPDに基づく故障診断
の禁止を行わないようにしてもよい。
【0167】(第7の実施形態)次に、本発明にかかる
蒸発燃料パージシステムの故障診断装置を具体化した第
7の実施形態について、図13〜図16を参照して説明
する。
【0168】図13は、本実施形態としての蒸発燃料パ
ージシステム全体を表す概略説明図である。本実施形態
の車両は、ガソリンエンジン50及び電動機(モータ)
51備え、かつ車輪の駆動力を少なくともモータ51か
ら取り出して走行する車両(以下、ハイブリッド車両と
いう)である。このようなハイブリッド車両では、車両
の運行状態に応じてエンジン50が始動されたり停止さ
れたりするようになっている。
【0169】また、本蒸発燃料パージシステムは、その
エンジン50に対して取り付けられており、同パージシ
ステムの構成は図1に示した蒸発燃料パージシステムの
構成と同様である。
【0170】上記構成を備える蒸発燃料パージシステム
においても、燃料タンク1内において燃料が蒸発して燃
料タンク1の内圧が規定圧力値以上に増加すると、燃料
タンク1の燃料蒸気は圧力緩衝室4を介してキャニスタ
2側に導入され、吸着材層20a,20bの活性炭吸着
材19a,19bに燃料成分が捕集される。
【0171】そして、上記のようなエンジン50の始動
時及び運転時において、パージ制御弁11が開放駆動さ
れると、サージタンク9aに生じた負圧によってパージ
通路8の内部にはキャニスタ2側からサージタンク9a
側へ向かう燃料蒸気の流れが形成され、活性炭吸着材1
9a,19bに吸着されている燃料成分はパージ通路8
内に導かれ、パージ制御弁11を介してサージタンク9
a内に放出される。
【0172】上述のように、上記第1〜第6の実施形態
はそれぞれエンジンから駆動力を取り出して走行する車
両であって、そのエンジンの運転中に故障診断が実行さ
れ、故障診断の開始後には、車速SPDに基づき圧力封
鎖弁25aの開閉動作を伴うリーク診断にかかる処理を
禁止するようにすれば、車両の運行に伴う発生音が小と
なり、ひいては車室音が小となる状況下での診断処理が
禁止されて、乗員の不快感を適切に低減することができ
るようになる。
【0173】これに対し、本実施形態のハイブリッド車
両は、同車両の種々の運行状態に応じてエンジン50が
停止されたり、始動されたりする態様がある。モータ5
1の駆動による発生音は静粛であるため、エンジン50
を停止した状態での走行時の走行音は小さくなる。従っ
て、本実施形態の故障診断装置においては、故障診断の
開始後において、故障診断の禁止条件である車速SPD
の判定速度を、エンジン停止中とエンジン運転中とで異
なる値に設定するとともに、エンジン停止中の判定速度
をエンジン運転中の判定速度よりも大きな値に設定する
ことにより、車両の運行に伴う発生音が小となる状況下
での診断処理を禁止するようにしている。
【0174】図14及び図15は、本実施形態の故障診
断ルーチンを示すフローチャートである。この故障診断
ルーチンは、ECU10を通じて例えば所定時間毎の時
間割り込みにて実行される。
【0175】故障診断ルーチンにおいて、ECU10
は、ステップ401において、上記検出済フラグXEV
APが「0」となっているか否かを判断する。この検出
済フラグは、故障診断処理のうちの一つの処理である圧
力変化量ΔP1及び圧力変化速度ΔP15に基づくリー
ク診断が完了しているか否かを判断するためのものであ
る。そして、ステップ401において、「XEVAP=
1(完了済)」であれば当該故障診断ルーチンを一旦終
了し、「XEVAP=0(未完了)」であればステップ
402に進む。
【0176】ステップ402において、ECU10は、
負圧導入済フラグXP20が「0」となっているか否か
を判断する。この負圧導入済フラグXP20は、パージ
経路内への負圧導入時において、燃料タンク1の内圧が
所定圧(例えば「−2.67kPa」=「−20mmH
g」)に達して負圧導入が完了しているか否かを判断す
るためのものである。そして、ステップ402におい
て、「XP20=1(完了済)」であればステップ42
0に進み、「XP20=0(未完了)」であればステッ
プ403に進む。
【0177】ステップ403において、ECU10は故
障診断処理のうちの一つの処理であるパージ経路内への
負圧の導入を行うための上記負圧導入前提条件が成立し
ているか否かを判断する。そして、負圧導入前提条件が
成立していなければ、処理はステップ423に進み、負
圧導入前提条件が成立していれば、ステップ404に進
む。
【0178】ステップ404において、ECU10は、
上記の車速判定フラグXSPDが「0」に設定されてい
るか否かを判断する。この車速判定フラグXSPDは、
車速SPDが一旦例えば40km/hよりも大きくなっ
たか否かを判断するためのものである。そして、ステッ
プ404の処理において、「XSPD=0」でなければ
ステップ430に進み、「XSPD=0」であればステ
ップ405に進む。
【0179】ステップ405では、ECU10は車速S
PDが上記の第1の判定速度αよりも大きいか否かを判
断する。そして、ステップ405の処理において、「S
PD>α」でなければステップ423に進み、「SPD
>α」であればステップ406に進む。ステップ406
において、ECU10は、上記車速判定フラグXSPD
を「1」に設定する。このように車速SPDがαよりも
大きくなると、車速判定フラグXSPDが「1」に設定
されて上記ステップ404の処理で否定判断がなされ、
ステップ430に進むようになる。
【0180】上記ステップ406の処理が行われた後、
ECU10は、ステップ407において、故障診断処理
のうちの一つの処理であるパージ経路内への負圧の導入
を開始する。このように負圧導入が開始されるときに
は、圧力封鎖弁25aが閉じられるようになる。
【0181】続くステップ408において、ECU10
はパージ経路への負圧導入が完了したか否かをそのとき
のタンク内圧に基づいて判断する。ステップ408にお
いて、負圧導入未完了であれば当該故障診断ルーチンを
一旦終了し、負圧導入完了済であればステップ409に
進む。ステップ409において、ECU10は上記負圧
導入済フラグXP20を「1」に設定する。このように
負圧導入済フラグXP20が「1」に設定されると、上
記ステップ402の処理で否定判断がなされ、ステップ
420に進むようになる。
【0182】ECU10は、続くステップ410におい
て、故障診断処理のうちの一つの処理である圧力変化速
度ΔP15及び圧力変化量ΔP1に基づくリーク診断が
実行中であるか否かを判断し、実行中であればこの故障
診断ルーチンを一旦終了する。また、上記リーク診断が
実行中でない旨判断された場合には、ステップ411に
進む。
【0183】ステップ411において、ECU10は、
上記リーク診断が完了しているか否か、即ち圧力変化速
度ΔP15及び圧力変化量ΔP1に基づくリークに関す
る異常判定、或いは正常判定がなされているか否かを判
断する。そして、こうしたリーク診断が完了していれは
ステップ412の処理で上記検出済フラグXEVAPを
「1(完了済)」に設定した後、この故障診断ルーチン
を一旦終了する。また、上記ステップ411の処理にお
いて、圧力変化速度ΔP15及び圧力変化量ΔP1に基
づく異常判定或いは正常判定がなされていなければ、判
定保留の状態である旨判断して当該故障診断ルーチンを
一旦終了する。
【0184】車速SPDが一旦第1の判定速度αよりも
大きくなって車速判定フラグXSPDが「1」になり、
上記ステップ404の処理で否定判断がなされると、ス
テップ430に進むこととなる。ステップ430におい
て、ECU10はエンジン50が運転中であるか否かを
判断する。なお、本実施形態において、エンジンの運転
中とはエンジン始動時及びエンジン停止時を含まない状
態をいい、エンジンの停止中とはエンジン始動時及びエ
ンジン停止時を含まない状態をいう。ステップ430に
おいて、エンジンが運転中である旨判断するとステップ
431に進み、エンジンが運転中でない旨判断するとス
テップ432に進む。
【0185】ステップ431において、ECU10は車
速SPDが第2の判定速度βより大きいか否かを判断
し、車速SPDが第2の判定速度βより大きいと判断す
るとステップ408に進み、車速SPDが第2の判定速
度β以下であると判断するとステップ423に進む。す
なわち、一旦車速判定フラグXSPDが「1」に設定さ
れると、エンジン運転中においては車速SPDが第2の
判定速度βより大きい場合には故障診断処理が継続され
ることになる。
【0186】また、ステップ432では、ECU10は
車速SPDが第1の判定速度αより大きいか否かを判断
し、車速SPDが第1の判定速度αより大きいと判断す
るとステップ408に進み、車速SPDが第1の判定速
度α以下であると判断するとステップ423に進む。す
なわち、一旦車速判定フラグXSPDが「1」に設定さ
れると、エンジン停止中及びエンジン始動時並びにエン
ジン停止時においては車速SPDが第1の判定速度αよ
り大きい、すなわちこのときの走行音が圧力封鎖弁25
aの作動音をマスクすることができる程度に大きい場合
には故障診断処理が継続されることになる。
【0187】そして、ステップ423において、ECU
10は上記車速判定フラグXSPD及び負圧導入済フラ
グXP20をそれぞれ「0」に設定する。続くステップ
424において、ECU10は故障診断を禁止する。こ
のように故障診断が禁止されると、圧力封鎖弁25aが
開かれるようになる。
【0188】また、故障診断処理においてパージ経路内
圧が所定負圧になって一旦負圧導入済フラグXP20が
「1」になり、上記ステップ402の処理で否定判断が
なされると、ステップ420に進むこととなる。ステッ
プ420において、ECU10はエンジン50が運転中
であるか否かを判断する。ステップ420において、エ
ンジンが運転中である旨判断するとステップ421に進
み、エンジンが運転中でない旨判断するとステップ42
2に進む。
【0189】ステップ421において、ECU10は車
速SPDが第2の判定速度βより大きいか否かを判断
し、車速SPDが第2の判定速度βより大きいと判断す
るとステップ408に進み、車速SPDが第2の判定速
度β以下であると判断するとステップ423に進む。す
なわち、一旦負圧導入済フラグXP20が「1」に設定
されると、エンジン運転中においては車速SPDが第2
の判定速度βより大きい場合には故障診断処理が継続さ
れることになる。
【0190】また、ステップ422では、ECU10は
車速SPDが第1の判定速度αより大きいか否かを判断
し、車速SPDが第1の判定速度αより大きいと判断す
るとステップ410に進み、車速SPDが第1の判定速
度α以下であると判断するとステップ423に進む。す
なわち、一旦負圧導入済フラグXP20が「1」に設定
されると、エンジン停止中及びエンジン始動時並びにエ
ンジン停止時においては車速SPDが第1の判定速度α
より大きい、すなわちこのときの走行音が圧力封鎖弁2
5aの作動音をマスクすることができる程度に大きい場
合には故障診断処理が継続され、ステップ410以降の
リーク検出が行われることになる。
【0191】そして、ステップ423において、ECU
10は上記車速判定フラグXSPD及び負圧導入済フラ
グXP20をそれぞれ「0」に設定する。続くステップ
424において、ECU10は故障診断を禁止する。こ
のように故障診断が禁止されると、圧力封鎖弁25aが
開かれるようになる。
【0192】図16は、本実施形態の故障診断装置の制
御態様を示している。図16において一点鎖線で示され
る推移はエンジン運転中が継続された場合の推移であ
り、実線で示される推移はエンジンの停止及び始動が行
われた場合の推移である。なお、車速SPDは実線のよ
うに変化するものとする。
【0193】いま、一点鎖線で示すようにエンジン運転
中が継続された場合、タイミングt10において負圧導
入前提条件が成立すると、車速SPDが第1の判定速度
αよりも大きく車速条件が成立するため、圧力封鎖弁2
5aが閉弁される。このとき、上記負圧導入前提条件に
もあるように、パージ制御の実行中であって、パージ制
御弁11が開かれているため、パージ経路内に負圧が導
入されて、燃料タンク1内の圧力(タンク内圧)が低下
する。そして、タンク内圧が所定圧に達した時点で圧力
封鎖弁25aが再び閉弁され、パージ経路が密閉され
て、同タンク内圧の変化速度ΔP15の測定が開始され
る。
【0194】そして、タイミングt13において圧力変
化速度ΔP15の測定が完了した時、車速SPDが第2
の判定速度βより大きいため、圧力封鎖弁25aが開弁
されて、大気導入が開始される。そして、タイミングt
15においてタンク内圧が大気圧に達すると圧力封鎖弁
25aが閉弁され、圧力変化量ΔP1の測定が開始され
る。タイミングt17で圧力変化量ΔP1の測定が完了
した時、車速SPDが第2の判定速度βより大きいた
め、圧力封鎖弁25aが開弁される。上記圧力変化量Δ
P1の測定が終了した時点でリーク診断が行われ、検出
済フラグXEVAPが完了にセットされる。この時点で
負圧導入前提条件が不成立になり、パージが開始される
こととなる。
【0195】次に、実線で示すようにエンジンの停止及
び始動が行われる場合について説明する。タイミングt
10において負圧導入前提条件が成立すると、車速SP
Dが第1の判定速度αよりも大きく車速条件が成立する
ため、圧力封鎖弁25aが閉弁される。上記負圧導入前
提条件にもあるように、パージ制御の実行中であって、
パージ制御弁11が開かれているため、パージ経路内に
負圧が導入されて、燃料タンク1内の圧力(タンク内
圧)が低下する。そして、タンク内圧が所定圧に達した
時点で圧力封鎖弁25aが再び閉弁され、パージ経路が
密閉されて、同タンク内圧の変化速度ΔP15の測定が
開始される。タイミングt11でエンジンが停止された
とき、車速SPDが第1の判定速度αよりも大きく車速
条件が成立するため、圧力封鎖弁25aは閉弁状態に保
持されて変化速度ΔP15の測定が継続される。エンジ
ン停止後、タイミングt12にて車速SPDが低下して
第1の判定速度α以下になって負圧導入前提条件が不成
立となるため、圧力封鎖弁25aが開弁されて故障診断
が禁止されることとなる。
【0196】この後、車速SPDが第1の判定速度αを
上回ってもエンジン停止中の場合には負圧導入前提条件
が成立しないため、故障診断は開始されない。タイミン
グt14においてエンジンが始動されると、負圧導入前
提条件が成立し、車速SPDが第1の判定速度αよりも
大きく車速条件が成立するため、圧力封鎖弁25aが閉
弁され、パージ経路内に負圧が導入された後パージ経路
が密閉され、変化速度ΔP15の測定が開始される。タ
イミングt16でエンジンが停止されて以降、車速SP
Dが第1の判定速度αよりも大きく車速条件が成立する
ため、圧力封鎖弁25aは閉弁状態に保持されて変化速
度ΔP15の測定が継続される。
【0197】そして、タイミングt18において圧力変
化速度ΔP15の測定が完了した時、車速SPDが第1
の判定速度αより大きいため、圧力封鎖弁25aが開弁
されて、大気導入が開始される。そして、タイミングt
19においてタンク内圧が大気圧に達すると圧力封鎖弁
25aが閉弁され、圧力変化量ΔP1の測定が開始され
る。タイミングt20で圧力変化量ΔP1の測定が完了
した時、車速SPDが第1の判定速度αより大きいた
め、圧力封鎖弁25aが開弁される。上記圧力変化量Δ
P1の測定が終了した時点でリーク診断が行われ、検出
済フラグXEVAPが完了にセットされる。この時点で
負圧導入前提条件が不成立になる。また、タイミングt
20においてエンジンが始動されると、パージ制御弁が
開かれてパージが実行されることになる。
【0198】以上詳述した処理が行われる本実施形態に
よれば、以下に示す効果が得られるようになる。 (11)ハイブリッド車両が所定の速度で走行している
際、エンジンが停止されている時の走行音は、エンジン
が運転されている時の走行音よりも小さくなり、エンジ
ン運転中の走行状態における走行音によりマスクされて
いた故障診断における作動部材の作動音は、エンジン停
止中の走行状態における走行音によってマスクされなく
なることがある。これに対して本実施形態のハイブリッ
ド車両においては、蒸発燃料パージシステムの故障診断
にかかる一連の処理を、車速SPDが所定速度(第1の
判定速度αまたは第2の判定速度β)以下となるときに
は禁止するようにしているとともに、その判定速度をエ
ンジンの停止中には運転中よりも高く設定している。そ
のため、エンジン停止中には車両の走行速度が高くなっ
て走行音が大きくならないと故障診断の実行を禁止する
ようにしているので、作動部材(圧力封鎖弁25a)の
作動音が乗員に不快感を与えることもなくなる。勿論、
エンジン停止中であっても上記作動音がマスキングされ
る程度に車室音が大となる高速走行時には、禁止条件が
満たされなくなり、同測定も通常に実行されるため、故
障診断装置としての機能も好適に確保することができ
る。
【0199】(12)故障診断(圧力変化速度ΔP15
の測定、及び圧力変化量ΔP1の測定、並びにこれらの
測定結果に基づくリーク判定)を禁止する条件として車
速SPDを用いることで、禁止条件成立の判断基準が明
確となり、また不快感を与える作動音についてもこれを
より的確に回避することができるようになる。
【0200】(13)更に、エンジンの運転中において
は車速SPDが第1の判定速度α以下であることを条件
に上記測定にかかる処理の開始を禁止すると共に、同処
理の開始後は、車速SPDがその第1の判定速度αより
も低い第2の判定速度β以下となるまで上記測定にかか
る処理を継続するようにしている。すなわち、圧力変化
速度ΔP15の測定にかかる処理が一旦開始された後
は、その処理の実行が禁止され難いようにしている。し
たがって、エンジン運転中においては測定にかかる処理
に伴う作動音による不快感を解消した上で、同測定が中
断されることなく最後まで早期に遂行される確率が高め
られる。
【0201】(第8の実施形態)次に、本発明にかかる
蒸発燃料パージシステムの故障診断装置を具体化した第
8の実施形態について、図17〜図26を参照して説明
する。先の第7の実施形態と異なる点を中心に説明す
る。
【0202】本実施形態の車両も上記第7の実施形態と
同様にガソリンエンジン50及びモータ51を備えたハ
イブリッド車両であり、その蒸発燃料パージシステムの
構成も図13に示す蒸発燃料パージシステムの故障診断
装置と同様である。
【0203】前述したようにハイブリッド車両において
も、蒸発燃料パージシステムのパージ経路のリーク診断
を行うためには圧力変化速度ΔP15及び圧力変化量Δ
P1の双方の測定を行う必要がある。こうした故障診断
にかかる処理は上述のように種々の制限の中で実行され
ており、一旦故障診断が開始された後には、同処理が早
期に終了されることが望ましい。そこで、本実施形態で
は、診断処理が開始されてパージ経路への所定負圧の導
入が完了している場合には、圧力変化速度ΔP15の測
定、及び圧力変化量ΔP1の測定、並びに圧力変化速度
ΔP15と圧力変化量ΔP1とに基づくパージ経路のリ
ーク診断を最後まで遂行し、これらの診断中及び診断後
においてエンジン始動時及びエンジン停止時のいずれか
に合わせて作動部材(圧力封鎖弁25a)を動作させる
ようにしている点が上記第7の実施形態と相違してい
る。これはパージ経路への所定負圧の導入が完了した後
はパージ経路を密閉状態に保持しておけば、発生した燃
料蒸気又はパージ経路の漏れに基づいて燃料タンク内圧
が上昇していずれ大気圧に等しくなるため、その燃料タ
ンク内圧の上昇途中において圧力変化速度ΔP15を測
定することができるとともに、燃料タンク内圧が大気圧
に達した時点で圧力変化量ΔP1を測定することができ
るという理由によるものである。
【0204】図17〜図23は、本実施形態の故障診断
ルーチンを示すフローチャートである。この故障診断ル
ーチンは、ECU10を通じて例えば所定時間毎の時間
割り込みにて実行される。
【0205】故障診断ルーチンにおいて、ECU10
は、ステップ501(図17)において、上記記検出済
フラグXEVAPが「1」となっているか否かを判断す
る。この検出済フラグは、故障診断処理のうちの一つの
処理である圧力変化速度ΔP15及び圧力変化量ΔP1
に基づくリーク診断が完了しているか否かを判断するた
めのものである。そして、ステップ501において、
「XEVAP=1(完了済)」であれば当該故障診断ル
ーチンを一旦終了し、「XEVAP=0(未完了)」で
あればステップ502に進む。
【0206】ステップ502において、ECU10は、
負圧導入済フラグXP20が「0」となっているか否か
を判断する。この負圧導入済フラグXP20は、パージ
経路内への負圧導入時において、燃料タンク1の内圧が
所定圧(例えば「−2.67kPa」=「−20mmH
g」)に達して負圧導入が完了しているか否かを判断す
るためのものである。そして、ステップ502におい
て、「XP20=1(完了済)」であればステップ54
0(図19)に進み、「XP20=0(未完了)」であ
ればステップ503に進む。
【0207】ステップ503において、ECU10は故
障診断処理のうちの一つの処理であるパージ経路内への
負圧の導入を行うための上記負圧導入前提条件が成立し
ているか否かを判断する。そして、負圧導入前提条件が
成立していなければ、処理はステップ533(図18)
に進み、負圧導入前提条件が成立していれば、ステップ
504に進む。
【0208】ステップ504において、ECU10は、
上記の車速判定フラグXSPDが「0」に設定されてい
るか否かを判断する。この車速判定フラグXSPDは、
車速SPDが一旦前記第1の判定速度α(例えば40k
m/h)よりも大きくなったか否かを判断するためのも
のである。そして、ステップ504の処理において、
「XSPD=0」でなければステップ530に進み、
「XSPD=0」であればステップ505に進む。
【0209】ステップ505では、ECU10は車速S
PDが上記の第1の判定速度αよりも大きいか否かを判
断する。そして、ステップ505の処理において、「S
PD>α」でなければ当該故障診断ルーチンを一旦終了
し、「SPD>α」であればステップ506に進む。ス
テップ506において、ECU10は、上記車速判定フ
ラグXSPDを「1」に設定する。このように車速SP
Dがαよりも大きくなると、車速判定フラグXSPDが
「1」に設定されて上記ステップ504の処理で否定判
断がなされ、ステップ530に進むようになる。
【0210】上記ステップ506の処理が行われた後、
ECU10は、ステップ507において、故障診断処理
のうちの一つの処理であるパージ経路内への負圧の導入
を開始する。このように負圧導入が開始されるときに
は、圧力封鎖弁25aが閉じられるようになる。
【0211】車速SPDが一旦第1の判定速度αよりも
大きくなって車速判定フラグXSPDが「1」になり、
上記ステップ504の処理で否定判断がなされると、ス
テップ530に進むこととなる。このステップ530に
おいて、ECU10はエンジン50が運転中であるか否
かを判断する。なお、本実施形態において、エンジンの
運転中とはエンジン始動時及びエンジン停止時を含まな
い状態をいい、エンジンの停止中とはエンジン始動時及
びエンジン停止時を含まない状態をいう。ステップ53
0において、エンジンが運転中である旨判断するとステ
ップ531に進み、エンジンが運転中でない旨判断する
とステップ532に進む。
【0212】ステップ531において、ECU10は車
速SPDが第2の判定速度βより大きいか否かを判断
し、車速SPDが第2の判定速度βより大きいと判断す
るとステップ508に進み、車速SPDが第2の判定速
度β以下であると判断するとステップ533に進む。す
なわち、一旦車速判定フラグXSPDが「1」に設定さ
れると、エンジン運転中においては車速SPDが第2の
判定速度βより大きい場合には故障診断処理が継続され
ることになる。
【0213】また、ステップ532では、ECU10は
車速SPDが第1の判定速度αより大きいか否かを判断
し、車速SPDが第1の判定速度αより大きいと判断す
るとステップ508に進み、車速SPDが第1の判定速
度α以下であると判断するとステップ533に進む。す
なわち、一旦車速判定フラグXSPDが「1」に設定さ
れると、エンジン停止中及びエンジン始動時並びにエン
ジン停止時においては車速SPDが第1の判定速度αよ
り大きい、すなわちこのときの走行音が圧力封鎖弁25
aの作動音をマスクすることができる程度に大きい場合
には故障診断処理が継続されることになる。
【0214】ステップ508(図18)において、EC
U10はパージ経路への負圧導入が完了したか否かをそ
のときのタンク内圧Ptが所定の負圧判定値Pr(=−
2.67kPa)未満になったか否かに基づいて判断す
る。ステップ508において、タンク内圧Ptが判定値
Pr以上であれば当該故障診断ルーチンを一旦終了し、
タンク内圧Ptが判定値Pr未満であればステップ50
9に進む。ステップ509において、ECU10は上記
負圧導入済フラグXP20を「1」に設定する。このよ
うに負圧導入済フラグXP20が「1」に設定される
と、上記ステップ502の処理で否定判断がなされ、ス
テップ540に進むようになる。
【0215】ステップ510において、ECU10は、
圧力変化速度ΔP15の測定済フラグXP15が「0」
となっているか否かを判断する。この測定済フラグXP
15は、パージ経路内への負圧導入後において、燃料タ
ンク1の内圧が所定圧(例えば「−2.0kPa」=
「−15mmHg」)に達した時点を基準とする所定時
間(5秒間)後における圧力変化速度ΔP15の測定が
完了しているか否かを判断するためのものである。そし
て、ステップ510において、「XP15=1(完了
済)」であればステップ513に進み、「XP15=0
(未完了)」であればステップ511に進む。
【0216】ステップ511では、ECU10は、圧力
変化速度ΔP15の測定が完了したか否かを判断し、こ
のステップ511において圧力変化速度ΔP15の測定
が未完了であると判断すると当該故障診断ルーチンを一
旦終了し、圧力変化速度ΔP15の測定が完了したと判
断するとステップ512に進む。
【0217】ステップ512において、ECU10は上
記圧力変化速度の測定済フラグXP15を「1」に設定
するとともに、圧力封鎖弁25aを開弁させた後、当該
故障診断ルーチンを一旦終了する。こうして圧力封鎖弁
25aが開弁されることにより、パージ経路への大気導
入が開始される。また、このように測定済フラグXP1
5が「1」に設定されると上記ステップ510の処理で
否定判断がなされ、ステップ513に進むようになる。
【0218】圧力変化速度の測定済フラグXP15が
「1」になり、上記ステップ510の処理で否定判断が
なされると、ステップ513に進むこととなる。ステッ
プ513において、ECU10は、圧力変化量ΔP1の
測定済フラグXΔP1が「0」となっているか否かを判
断する。この測定済フラグXΔP1は、燃料タンク1の
内圧が大気圧以上である任意の時点を基準とする所定時
間(15秒間)後における圧力変化量ΔP1、すなわち
燃料タンク1内での燃料蒸気の発生量の測定が完了して
いるか否かを判断するためのものである。そして、ステ
ップ513において、「XΔP1=0(未完了)」であ
ればステップ514に進み、「XΔP1=1(完了
済)」であれば上記圧力変化速度ΔP15及び圧力変化
量ΔP1に基づくリーク診断が可能であると判断してス
テップ518に進む。
【0219】ステップ514において、ECU10はそ
のときのタンク内圧Ptが大気圧以上か否かを判断す
る。ステップ514において、タンク内圧Ptが大気圧
未満であれば当該故障診断ルーチンを一旦終了し、タン
ク内圧Ptが大気圧以上であれば燃料タンク1内での燃
料蒸気の発生に基づく圧力変化量ΔP1の測定が可能で
あると判断してステップ515に進む。
【0220】ステップ515において、ECU10は圧
力封鎖弁25aを閉弁させるとともに、圧力変化量ΔP
1の測定開始フラグXΔP1inを「1」に設定する。
この測定開始フラグXΔP1inは圧力封鎖弁25aの
閉弁状態であってタンク内圧が大気圧以上になって圧力
変化量ΔP1の測定が開始されたか否かを判断するため
のものである。
【0221】続くステップ516において、ECU10
は圧力変化量ΔP1の測定が完了したか否かを判断し、
このステップ516において圧力変化量ΔP1の測定が
未完了であると判断すると当該故障診断ルーチンを一旦
終了し、圧力変化量ΔP1の測定が完了したと判断する
とステップ517に進む。
【0222】ステップ517において、ECU10は圧
力封鎖弁25aを開弁させるとともに、上記圧力変化量
の測定済フラグXΔP1を「1」に設定する。このよう
に測定済フラグXΔP1が「1」に設定されると、上記
ステップ513の処理では否定判断がなされてステップ
518に進むようになる。
【0223】続くステップ518において、ECU10
は、故障診断処理のうちの一つの処理である圧力変化速
度ΔP15及び圧力変化量ΔP1に基づくリーク診断が
完了しているか否か、即ち圧力変化速度ΔP15及び圧
力変化量ΔP1に基づくリークに関する異常判定、或い
は正常判定がなされているか否かを判断する。そして、
こうしたリーク診断が完了していなければ当該故障診断
ルーチンを一旦終了し、リーク診断が完了していれば処
理はステップ519に進む。ステップ519において、
ECU10は上記検出済フラグXEVAPを「1(完了
済)」に設定した後、この故障診断ルーチンを一旦終了
する。このように上記検出済フラグXEVAPが「1」
に設定されると、上記ステップ501の処理では否定判
断がなされてステップ550(図23)に進むようにな
る。
【0224】上記ステップ503においてパージ経路内
への負圧の導入を行うための負圧導入前提条件が成立し
ていないと判断されたとき、及び上記ステップ531に
てエンジン運転中の車速SPDが第2の判定速度β以下
であると判断されたとき、並びに上記ステップ532に
てエンジン運転中でないときの車速SPDが第1の判定
速度α以下であると判定されたときのいずれかの場合に
は、処理はステップ533に進む。
【0225】そして、ステップ533において、ECU
10は上記車速判定フラグXSPD、負圧導入済フラグ
XP20、圧力変化速度の測定済フラグXP15、圧力
変化量の測定開始フラグXΔP1in、及び圧力変化量
ΔP1の測定済フラグXΔP1をそれぞれ「0」に設定
する。続くステップ534において、ECU10は故障
診断を禁止する。このように故障診断が禁止されると、
圧力封鎖弁25aが開かれるようになる。
【0226】また、故障診断処理においてパージ経路内
圧が所定負圧になって一旦負圧導入済フラグXP20が
「1」になり、上記ステップ502の処理で否定判断が
なされると、ステップ540に進むこととなる。ステッ
プ540において、ECU10は車速SPDが第1の判
定速度αより大きいか否かを判断する。車速SPDが第
1の判定速度αより大きければ処理は上記ステップ51
0に進み、車速SPDが第1の判定速度α以下であれば
処理はステップ541に進む。
【0227】ステップ541において、ECU10はエ
ンジン停止命令が発行されているか否かを判断する。エ
ンジン停止命令が発行されていなければステップ542
に進む。停止命令が発行されていれば、ECU10は図
20に示す停止時検出処理を実行する。
【0228】ステップ542においては、ECU10は
エンジン始動命令が発行されているか否かを判断する。
エンジン始動命令が発行されていなければステップ54
3に進む。始動命令が発行されていれば、ECU10は
図21に示す始動時検出処理を実行する。
【0229】ステップ543においては、ECU10は
エンジン50が運転中であるか否かを判断する。エンジ
ン運転中であればステップ544に進む。エンジン停止
中であれば、ECU10は図22に示す走行形態継続中
検出処理(以下、継続中検出処理という)を実行する。
なお、走行形態継続中とは、エンジン運転中及びエンジ
ン停止中のいずれかである。また、処理がステップ54
4に移行すると、ECU10は車速SPDが第2の判定
速度βより大きいか否かを判断する。車速SPDが第2
の判定速度βより大きければ処理は上記ステップ510
に進み、車速SPDが第2の判定速度β以下であれば、
ECU10は図22に示す継続中検出処理を実行する。
【0230】ここで、上記停止時検出処理の詳細を図2
0に従って説明する。この停止時検出処理において、上
記圧力変化速度ΔP15の測定、及び圧力変化量ΔP1
の測定、並びに圧力変化速度ΔP15と圧力変化量ΔP
1とに基づくパージ経路のリーク診断のいずれかが実行
されるとともに、エンジン停止に合わせて上記圧力封鎖
弁25aの開閉制御が行われる。
【0231】まず、ステップ601において、ECU1
0は、上記圧力変化速度ΔP15の測定済フラグXP1
5が「0」となっているか否かを判断する。ステップ6
01において、「XP15=1(完了済)」であればス
テップ604に進み、「XP15=0(未完了)」であ
ればステップ602に進む。
【0232】ステップ602にて、ECU10は、圧力
変化速度ΔP15の測定が完了したか否かを判断し、こ
のステップ602において圧力変化速度ΔP15の測定
が未完了であると判断すると当該故障診断ルーチンを一
旦終了し、圧力変化速度ΔP15の測定が完了したと判
断するとステップ603に進む。
【0233】そして、ステップ603において、ECU
10は、上記測定済フラグXP15を「1」に設定する
とともに、エンジン停止に合わせて圧力封鎖弁25aを
開弁させて当該故障診断ルーチンを一旦終了する。こう
して圧力封鎖弁25aが開弁されることにより、パージ
経路への大気導入が開始される。また、このように上記
圧力変化速度ΔP15の測定済フラグXP15が「1」
に設定されると、上記ステップ510の処理においては
否定判断がなされてステップ513に進み、上記ステッ
プ601の処理においては否定判断がなされてステップ
604に進むようになる。
【0234】ステップ604において、ECU10は上
記圧力変化量ΔP1の測定開始フラグXΔP1inが
「0」となっているか否かを判断する。測定開始フラグ
XΔP1inが「1」であればステップ607に進み、
測定開始フラグXΔP1inが「0」であればステップ
605に進む。
【0235】ステップ605において、ECU10はそ
のときのタンク内圧Ptが大気圧以上か否かを判断す
る。ステップ605において、タンク内圧Ptが大気圧
未満であれば当該故障診断ルーチンを一旦終了し、タン
ク内圧Ptが大気圧以上であれば上記圧力変化量ΔP1
の測定が可能であると判断してステップ606に進む。
【0236】そして、ステップ606において、ECU
10は、上記測定開始フラグXΔP1inを「1」に設
定するとともに、エンジン停止に合わせて圧力封鎖弁2
5aを閉弁させて当該故障診断ルーチンを一旦終了す
る。このように測定済フラグXP15が「1」に設定さ
れると、上記ステップ604の処理において否定判断が
なされてステップ607に進むようになる。
【0237】ステップ607において、ECU10は、
上記圧力変化量ΔP1の測定済フラグXΔP1が「0」
となっているか否かを判断する。ステップ607におい
て、「XΔP1=0(未完了)」であればステップ60
8に進み、「XΔP1=1(完了済)」であれば上記圧
力変化速度ΔP15及び圧力変化量ΔP1に基づくリー
ク診断が可能であると判断して上記ステップ518に進
む。
【0238】ステップ608において、ECU10は圧
力変化量ΔP1の測定が完了したか否かを判断し、この
ステップ608において圧力変化量ΔP1の測定が未完
了であると判断すると当該故障診断ルーチンを一旦終了
し、圧力変化量ΔP1の測定が完了したと判断するとス
テップ609に進む。
【0239】そして、ステップ609において、ECU
10は、上記圧力変化量ΔP1の測定済フラグXΔP1
を「1」に設定するとともに、エンジン停止に合わせて
圧力封鎖弁25aを開弁させる。また、このように上記
圧力変化量ΔP1の測定済フラグXΔP1が「1」に設
定されると、上記ステップ513の処理及びステップ6
07の処理においては否定判断がなされて上記ステップ
518に進むようになる。
【0240】次に、上記始動時検出処理を図21に従っ
て説明する。この始動時検出処理においても、上記圧力
変化速度ΔP15の測定、及び圧力変化量ΔP1の測
定、並びに圧力変化速度ΔP15と圧力変化量ΔP1と
に基づくパージ経路のリーク診断のいずれかが実行され
るとともに、エンジン始動に合わせて上記圧力封鎖弁2
5aの開閉制御が行われる。なお、この始動時検出処理
は上記停止時検出処理とほぼ同様の処理であるため、同
始動時検出処理の各ステップの符号の先頭の数字には、
上記停止時検出処理の各ステップの符号の先頭の数字
「6」に代えて「7」を付して説明する。
【0241】まず、ステップ701において「XP15
=0(未完了)」であり、ステップ702にて圧力変化
速度ΔP15の測定が完了していればステップ703に
進む。そして、ステップ703において、ECU10
は、上記測定済フラグXP15を「1」に設定するとと
もに、エンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aを開弁
させて当該故障診断ルーチンを一旦終了する。こうして
圧力封鎖弁25aが開弁されることにより、パージ経路
への大気導入が開始される。なお、このように上記測定
済フラグXP15が「1」に設定されると、上記ステッ
プ701の処理においては否定判断がなされてステップ
704に進むようになる。
【0242】ステップ704において測定開始フラグX
ΔP1inが「0」であり、ステップ705においてタ
ンク内圧Ptが大気圧以上であればステップ706に進
む。そして、ステップ706において、ECU10は、
上記測定開始フラグXΔP1inを「1」に設定すると
ともに、エンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aを閉
弁させて当該故障診断ルーチンを一旦終了する。なお、
このように測定済フラグXP15が「1」に設定される
と、上記ステップ704の処理において否定判断がなさ
れてステップ707に進むようになる。
【0243】ステップ707において上記測定済フラグ
XΔP1が「0」であり、ステップ608において圧力
変化量ΔP1の測定が未完了であればステップ709に
進む。そして、ステップ709において、ECU10
は、上記測定済フラグXΔP1を「1」に設定するとと
もに、エンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aを開弁
させる。なお、このように上記測定済フラグXΔP1が
「1」に設定されると、上記ステップ513の処理及び
ステップ707の処理においては否定判断がなされて上
記ステップ518に進むようになる。
【0244】次に、上記継続中検出処理を図22に従っ
て説明する。この継続中検出処理においても、上記圧力
変化速度ΔP15の測定、及び圧力変化量ΔP1の測
定、並びに圧力変化速度ΔP15と圧力変化量ΔP1と
に基づくパージ経路のリーク診断のいずれかが実行され
る。なお、この継続中検出処理も上記停止時検出処理と
ほぼ同様の処理であるため、同継続中検出処理の各ステ
ップの符号の先頭の数字には、上記停止時検出処理の各
ステップの符号の先頭の数字「6」に代えて「8」を付
して説明する。
【0245】まず、ステップ801において「XP15
=0(未完了)」であり、ステップ802にて圧力変化
速度ΔP15の測定が完了していればステップ803に
進む。そして、ステップ803において、ECU10
は、上記測定済フラグXP15を「1」に設定するのみ
で、圧力封鎖弁25aの開閉を行わず当該故障診断ルー
チンを一旦終了する。なお、このように上記測定済フラ
グXP15が「1」に設定されると、上記ステップ80
1の処理においては否定判断がなされてステップ804
に進むようになる。
【0246】ステップ804において測定開始フラグX
ΔP1inが「0」であり、ステップ805においてタ
ンク内圧Ptが大気圧以上であればステップ806に進
む。そして、ステップ806において、ECU10は、
上記測定開始フラグXΔP1inを「1」に設定するの
みで、圧力封鎖弁25aの開閉を行わず当該故障診断ル
ーチンを一旦終了する。なお、このように測定済フラグ
XP15が「1」に設定されると、上記ステップ804
の処理において否定判断がなされてステップ807に進
むようになる。
【0247】ステップ807において上記測定済フラグ
XΔP1が「0」であり、ステップ808において圧力
変化量ΔP1の測定が未完了であればステップ809に
進む。そして、ステップ809において、ECU10
は、上記測定済フラグXΔP1を「1」に設定するのみ
で、圧力封鎖弁25aの開閉を行わない。なお、このよ
うに上記測定済フラグXΔP1が「1」に設定される
と、上記ステップ513の処理及びステップ807の処
理においては否定判断がなされて上記ステップ518に
進むようになる。
【0248】従って、本実施形態においては、故障診断
処理が開始されて上記ステップ509にて一旦負圧導入
済フラグXP20が「1」に設定された場合には、車速
SPDの大きさやエンジン50の状態(始動時、停止
時、運転中及び停止中)に拘わらず、少なくとも圧力封
鎖弁25aの開閉作動以外の診断処理である上記圧力変
化速度ΔP15の測定、及び圧力変化量ΔP1の測定、
並びに圧力変化速度ΔP15と圧力変化量ΔP1とに基
づくパージ経路のリーク診断のすべてが最後まで継続し
て実行されるようになる。
【0249】そして、上記した一連の処理が繰り返し実
行されて上記リーク診断が完了すると検出済フラグXE
VAPが「1」になり、上記ステップ501の処理で否
定判断がなされると、ステップ550に進むこととな
る。このステップ550において、ECU10は圧力封
鎖弁25aが閉弁しているか否かを判断する。圧力封鎖
弁25aが開弁していれば当該故障診断ルーチンを一旦
終了し、圧力封鎖弁25aが閉弁していればステップ5
51に進む。
【0250】ステップ540において、ECU10は車
速SPDが第1の判定速度αより大きいか否かを判断す
る。車速SPDが第1の判定速度α以下であれば処理は
ステップ551に進む。車速SPDが第1の判定速度α
より大きければこのときの走行音が圧力封鎖弁25aの
作動音をマスクすることができる程度に大きいと判断し
ステップ554に進む。そして、ステップ554におい
てECU10は圧力封鎖弁25aを開弁させた後、当該
故障診断ルーチンを終了する。
【0251】また、処理がステップ552に移行する
と、ECU10はエンジン50が運転中であるか否かを
判断する。エンジンが運転中である旨判断するとステッ
プ553に進み、エンジンが運転中でない旨判断すると
ステップ555に進む。
【0252】ステップ553において、ECU10は車
速SPDが第2の判定速度βより大きいか否かを判断す
る。車速SPDが第2の判定速度β以下であればECU
10は当該故障診断ルーチンを一旦終了する。車速SP
Dが第2の判定速度βより大きければこのときの走行音
が圧力封鎖弁25aの作動音をマスクすることができる
程度に大きいと判断し上記ステップ554に進む。
【0253】また、上記ステップ552においてエンジ
ンが運転中でないと判断されて処理がステップ555に
移行すると、ECU10はエンジン始動命令が発行され
ているか否かを判断する。エンジン始動命令が発行され
ていなければECU10は当該故障診断ルーチンを一旦
終了する。始動命令が発行されていれば処理はステップ
556に進む。そして、ステップ556においてECU
10はエンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aを開弁
させた後、当該故障診断ルーチンを終了する。このよう
にリーク診断完了後に圧力封鎖弁25aが開弁されるこ
とにより、エンジン50の始動に合わせてエンジン吸気
通路9へのパージを開始することができるようになる。
【0254】次に、本実施形態の故障診断装置の制御態
様を図24〜図26に従って説明する。図24は故障診
断が開始され、負圧導入完了後であって圧力変化速度Δ
P15の測定前にエンジンが停止された場合を示す。図
24において、車速SPDは実線のように変化するもの
とする。
【0255】実線で示される第1のパターンにてエンジ
ンの停止及び始動が行われる場合には、タイミングt2
1において負圧導入前提条件が成立すると、車速SPD
が第1の判定速度αよりも大きく車速条件が成立するた
め、圧力封鎖弁25aが閉弁される。上記負圧導入前提
条件にもあるように、パージ制御の実行中であって、パ
ージ制御弁11が開かれているため、パージ経路内に負
圧が導入されて、燃料タンク1内の圧力(タンク内圧)
が低下する。そして、タンク内圧が所定圧に達した時点
で圧力封鎖弁25aが再び閉弁され、パージ経路が密閉
される。タイミングt22でエンジンが停止されたと
き、タンク内圧は所定値(−2.0kPa)に達してい
ないため、圧力封鎖弁25aは作動されず閉弁状態に保
持される。タンク内圧が上記所定値に達すると圧力変化
速度ΔP15の測定が開始される。そして、タイミング
t23にて変化速度ΔP15の測定が完了するが、この
ときエンジンは停止中であり車速SPDが低下して第1
の判定速度α以下であるため、圧力封鎖弁25aは作動
されず閉弁状態に保持される。
【0256】この後、タイミングt24においてエンジ
ンが始動されると、変化速度ΔP15の測定が完了して
いるため、エンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aが
開弁されて、大気導入が開始される。タイミングt25
でタンク内圧が大気圧に達しても車速SPDが第2の判
定速度β以下であるため、圧力封鎖弁25aは作動され
ず開弁状態に保持される。そして、タイミングt26で
エンジンが停止されると、タンク内圧は大気圧に達して
いるため、エンジン停止に合わせて圧力封鎖弁25aが
閉弁されて、圧力変化量ΔP1の測定が開始される。そ
して、タイミングt27にて圧力変化量ΔP1の測定が
完了するが、このときエンジンは停止中であり車速SP
Dが第1の判定速度α以下であるため、圧力封鎖弁25
aは作動されず閉弁状態に保持される。上記圧力変化量
ΔP1の測定が終了した時点でリーク診断が行われ、検
出済フラグXEVAPが完了にセットされる。
【0257】そして、タイミングt28においてエンジ
ンが始動されると、リーク診断が完了しているため、エ
ンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aが開弁されて、
パージが実行されることになる。
【0258】また、一点鎖線で示される第2のパターン
にてエンジンの停止及び始動が行われる場合には、タイ
ミングt21において負圧導入前提条件が成立すると、
車速SPDが第1の判定速度αよりも大きく車速条件が
成立するため、圧力封鎖弁25aが閉弁され、パージ経
路内に負圧が導入されてタンク内圧が所定圧に達した時
点でパージ経路が密閉される。タイミングt22でエン
ジンが停止されて以後、タイミングt29でエンジンが
始動され、タイミングt22〜t29において車速SP
Dは第1の判定速度α以下となる。従って、タンク内圧
が上記所定値(−2.0kPa)に達すると圧力変化速
度ΔP15の測定が開始され、タイミングt23にて変
化速度ΔP15の測定が完了する。このときエンジンは
停止中であり車速SPDが低下して第1の判定速度α以
下であるため、圧力封鎖弁25aは作動されず閉弁状態
に保持され、大気導入が行われることはない。
【0259】この後、タイミングt29においてエンジ
ンが始動されるが、このときタンク内圧が大気圧に達し
ていないため、圧力封鎖弁25aは作動されず閉弁状態
に保持される。この後、タンク内圧が大気圧に達すると
圧力封鎖弁25aは閉弁状態であるため、圧力変化量Δ
P1の測定が開始される。そして、タイミングt30に
て圧力変化量ΔP1の測定が完了するとリーク診断が行
われ、検出済フラグXEVAPが完了にセットされる。
このとき、車速SPDが第1の判定速度αより大きいと
圧力封鎖弁25aが開弁されてパージが実行されること
になる。
【0260】また、図25は圧力変化速度ΔP15の測
定後であって圧力変化量ΔP1の測定開始前にエンジン
が停止された場合を示す。図25において、車速SPD
は実線のように変化するものとする。
【0261】実線で示される第1のパターンにてエンジ
ンの停止及び始動が行われる場合には、タイミングt3
1において負圧導入前提条件が成立すると、車速SPD
が第1の判定速度αよりも大きく車速条件が成立するた
め、圧力封鎖弁25aが閉弁され、パージ経路内に負圧
が導入されてタンク内圧が所定圧に達した時点でパージ
経路が密閉される。タンク内圧が上記所定値(−2.0
kPa)に達すると圧力変化速度ΔP15の測定が開始
され圧力変化速度ΔP15の測定が開始され、タイミン
グt32にて変化速度ΔP15の測定が完了する。この
ときエンジンは運転中であり車速SPDが第2の判定速
度βより大きいため、圧力封鎖弁25aが開弁されて、
大気導入が開始される。タンク内圧が上昇して大気圧に
達したときエンジン運転中であっても車速SPDが第2
の判定速度β以下であるため、圧力封鎖弁25aは作動
されず開弁状態に保持される。
【0262】この後、タイミングt34においてエンジ
ンが停止されると、タンク内圧は大気圧に達しているた
め、エンジン停止に合わせて圧力封鎖弁25aが閉弁さ
れて、圧力変化量ΔP1の測定が開始される。そして、
タイミングt36にて圧力変化量ΔP1の測定が完了す
るが、このときエンジンは停止中であり車速SPDが第
1の判定速度α以下であるため、圧力封鎖弁25aは作
動されず閉弁状態に保持される。上記圧力変化量ΔP1
の測定が終了した時点でリーク診断が行われ、検出済フ
ラグXEVAPが完了にセットされる。
【0263】そして、タイミングt39においてエンジ
ンが始動されると、リーク診断が完了しているため、エ
ンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aが開弁されて、
パージが実行されることになる。
【0264】また、一点鎖線で示される第2のパターン
にてエンジンの停止及び始動が行われる場合には、タイ
ミングt32の変化速度ΔP15の測定が完了した後、
タイミングt33においてエンジンが停止されたとき、
タンク内圧は大気圧に達していないため、圧力封鎖弁2
5aは作動されず開弁状態に保持される。タンク内圧が
上昇して大気圧に達したときエンジン停止中であり車速
SPDが第1の判定速度α以下であるため、圧力封鎖弁
25aは作動されず開弁状態に保持される。
【0265】この後、タイミングt35においてエンジ
ンが始動されると、タンク内圧は大気圧に達しているた
め、エンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aが閉弁さ
れて、圧力変化量ΔP1の測定が開始される。そして、
タイミングt37にて圧力変化量ΔP1の測定が完了す
るが、このときエンジンは停止中であり車速SPDが第
1の判定速度α以下であるため、圧力封鎖弁25aは作
動されず閉弁状態に保持される。上記圧力変化量ΔP1
の測定が終了した時点でリーク診断が行われ、検出済フ
ラグXEVAPが完了にセットされる。
【0266】そして、タイミングt38においてエンジ
ンが停止されると、リーク診断が完了しているため、エ
ンジン停止に合わせて圧力封鎖弁25aが開弁される。
この後、タイミングt40にてエンジンが始動される
と、パージが実行されることになる。
【0267】さらに図26は圧力変化量ΔP1の測定開
始後であって圧力変化量ΔP1の測定開始前にエンジン
が停止された場合を示す。図26において、車速SPD
は実線のように変化するものとする。
【0268】実線で示されるパターンにてエンジンの停
止及び始動が行われる場合には、タイミングt51にお
いて負圧導入前提条件が成立すると、車速SPDが第1
の判定速度αよりも大きく車速条件が成立するため、圧
力封鎖弁25aが閉弁され、パージ経路内に負圧が導入
されてタンク内圧が所定圧に達した時点でパージ経路が
密閉される。タンク内圧が上記所定値(−2.0kP
a)に達すると圧力変化速度ΔP15の測定が開始され
圧力変化速度ΔP15の測定が開始され、タイミングt
52にて変化速度ΔP15の測定が完了する。このとき
エンジンは運転中であり車速SPDが第2の判定速度β
より大きいため、圧力封鎖弁25aが開弁されて、大気
導入が開始される。タイミングt53においてタンク内
圧が上昇して大気圧に達すると、車速SPDが第1の判
定速度αより大きいため、圧力封鎖弁25aが閉弁され
て、圧力変化量ΔP1の測定が開始される。
【0269】この後、タイミングt54においてエンジ
ンが停止されるが、圧力変化量ΔP1の測定中であるた
め、圧力封鎖弁25aは作動されず閉弁状態に保持され
る。タイミングt55にて圧力変化量ΔP1の測定が完
了するが、このときエンジンは停止中であり車速SPD
が第1の判定速度α以下であるため、圧力封鎖弁25a
は作動されず閉弁状態に保持される。上記圧力変化量Δ
P1の測定が終了した時点でリーク診断が行われ、検出
済フラグXEVAPが完了にセットされる。
【0270】そして、タイミングt56においてエンジ
ンが始動されると、リーク診断が完了しているため、エ
ンジン始動に合わせて圧力封鎖弁25aが開弁されて、
パージが実行されることになる。
【0271】また、一点鎖線で示すようにエンジン運転
中が継続される場合には、タイミングt52の変化速度
ΔP15の測定が完了した後、タイミングt53におい
て圧力封鎖弁25aが閉弁されて、圧力変化量ΔP1の
測定が開始される。タイミングt55にて圧力変化量Δ
P1の測定が完了した時、エンジン運転中であり車速S
PDが第2の判定速度βより大きいため、圧力封鎖弁2
5aが開弁される。上記圧力変化量ΔP1の測定が終了
した時点でリーク診断が行われ、検出済フラグXEVA
Pが完了にセットされる。この時点で負圧導入前提条件
が不成立になり、パージが開始されることとなる。
【0272】以上詳述した処理が行われる本実施形態に
よれば、以下に記載する効果が得られるようになる。 (14)故障診断が開始されてパージ経路への所定負圧
の導入が完了している場合には、圧力封鎖弁25aを作
動させずに閉弁状態に保持したまま、圧力変化速度ΔP
15の測定、及び圧力変化量ΔP1の測定、並びに圧力
変化速度ΔP15と圧力変化量ΔP1とに基づくパージ
経路のリーク診断を最後まで遂行し、これらの診断中及
び診断後においてエンジン始動時及びエンジン停止時の
いずれかに合わせて作動部材(圧力封鎖弁25a)を動
作させるようにしているため、故障診断を早期に完了さ
せることができる。また、これらの診断中及び診断後に
おいてエンジン始動時及びエンジン停止時のいずれかに
合わせて作動部材(圧力封鎖弁25a)を動作させるよ
うにしているので、その発生する作動音はエンジン始動
及び停止に伴う発生音によってマスクすることができ、
上記作動音が乗員に不快感を与えることもない。
【0273】なお、実施形態は上記に限定されるもので
はなく、次のように変更してもよく、その場合でも同様
の作用および効果を得ることができる。 ・ 上記第1〜第6の実施形態の実施形態ではそれぞれ
単独の処理としたが、上記第1〜第6の実施形態の処理
の任意の複数の処理を適宜組み合わせた処理を実施して
もよい。
【0274】・ 上記各実施形態では、第1の判定速度
αを40km/h、第2の判定速度βを30km/h、
第3の判定速度γを15km/hに設定したが、第1〜
第3の判定速度α,β,γは任意の値に設定してもよ
い。
【0275】・ 上記各実施形態において、第1〜第3
の判定速度α,β,γは車室内の音に基づいてマスキン
グし、その音量に対応する車速は適宜設定してもよい。 ・ 対象とする車両の運行に伴う発生音は車速に基づい
て設定したが、任意の車室音に基づいて設定するように
してもよい。
【0276】・ 上記第1〜第6の実施形態では蒸発燃
料パージシステムとして燃料タンク1とキャニスタ2と
を常時連通するタイプのものに具体化したが、これに代
えてキャニスタにはタンク内圧制御弁を設けて通常時に
は燃料タンク内とキャニスタとを遮断するタイプの蒸発
燃料パージシステムに具体化してもよい。
【0277】・ 上記各実施形態では故障診断としてリ
ーク診断に実施したが、パージ制御弁11や圧力封鎖弁
25aの診断等の故障診断に実施する場合にも有効であ
る。 ・ 上記第7の実施形態及び第8の実施形態ではエンジ
ン50とモータ51とを備えかつかつ車輪の駆動力を少
なくとも電動機から取り出して走行するハイブリッド車
両における蒸発燃料パージシステムの故障診断に実施し
たが、エンジンの駆動力によって走行し所定の走行停止
条件下においてエンジンを停止させかつ該所定の走行停
止条件の解除に応じてエンジンが再始動されるシステム
を備えた車両における蒸発燃料パージシステムの故障診
断に実施してもよい。
【0278】・ 上記第1〜第7の実施形態ではパージ
経路に負圧を導入してパージ経路の仮診断を実施するリ
ーク診断に実施したが、パージ経路に正圧を導入してパ
ージ経路の仮診断を実施するリーク診断に実施してもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の蒸発燃料パージシステム全体を
表す概略説明図。
【図2】同じく大気側制御弁を示す概略図。
【図3】第1実施形態の制御態様を示すタイムチャー
ト。
【図4】第1実施形態の測定処理の手順を示すフローチ
ャート。
【図5】第2実施形態の測定処理の手順を示すフローチ
ャート。
【図6】第2実施形態の制御態様を示すタイムチャー
ト。
【図7】第3実施形態の測定処理の手順を示すフローチ
ャート。
【図8】第3実施形態の制御態様を示すタイムチャー
ト。
【図9】第4実施形態の測定処理にかかる制御マップの
一例を示すグラフ。
【図10】第5実施形態の測定処理にかかる判定速度の
設定態様の一例を示すグラフ。
【図11】第6実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図12】第6実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図13】第7実施形態の蒸発燃料パージシステム全体
を表す概略説明図。
【図14】第7実施形態の測定処理の手順を示すフロー
チャート。
【図15】第7実施形態の測定処理の手順を示すフロー
チャート。
【図16】第7実施形態の制御態様を示すタイムチャー
ト。
【図17】第8実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図18】第8実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図19】第8実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図20】第8実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図21】第8実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図22】第8実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図23】第8実施形態の故障診断処理の手順を示すフ
ローチャート。
【図24】第8実施形態の制御態様を示すタイムチャー
ト。
【図25】第8実施形態の制御態様を示すタイムチャー
ト。
【図26】第8実施形態の制御態様を示すタイムチャー
ト。
【符号の説明】
1…燃料タンク、2…キャニスタ、3…蒸発燃料導入通
路、4…圧力緩衝室、4a…オリフィス、9…エンジン
吸気通路、10…診断実行禁止手段、監視する手段及び
変更する手段としてのECU(電子制御ユニット)、1
1…パージ制御弁、25a…作動部材としての圧力封鎖
弁、27…大気導入通路、51…モータ(電動機)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 345 F02D 45/00 345Z G01M 15/00 G01M 15/00 Z

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料タンク内で発生する燃料蒸気をキャニ
    スタに捕集し、該捕集した燃料蒸気を燃料タンクを含む
    パージ経路を介して車載内燃機関の吸気通路へパージす
    る蒸発燃料パージシステムにあって、そのシステム故障
    の有無を診断する蒸発燃料パージシステムの故障診断装
    置において、 車両の運行に伴う発生音が小となる所定の条件のもとで
    の前記故障診断の少なくとも一部の実行を禁止する診断
    実行禁止手段を備えることを特徴とする蒸発燃料パージ
    システムの故障診断装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の蒸発燃料パージシステム
    の故障診断装置において、 前記診断実行禁止手段は、前記内燃機関の停止中におい
    て前記故障診断の少なくとも一部の実行を禁止するもの
    であることを特徴とする蒸発燃料パージシステムの故障
    診断装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の蒸発燃料パージシステム
    の故障診断装置において、 前記診断実行禁止手段は、前記車両の走行速度が所定速
    度以下となる条件で前記故障診断の少なくとも一部の実
    行を禁止するものであることを特徴とする蒸発燃料パー
    ジシステムの故障診断装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の蒸発燃料パージシステム
    の故障診断装置において、 前記車両は内燃機関と電動機とを備え、かつ車輪の駆動
    力を少なくとも電動機から取り出して走行するものであ
    り、 前記診断実行禁止手段は、前記所定速度を前記内燃機関
    の停止中にはその運転中よりも高く設定することを特徴
    とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の蒸発燃料
    パージシステムの故障診断装置において、 前記故障診断の実行経過を監視する手段と、該監視され
    る故障診断の実行経過が同診断処理の後期の処理にあた
    る旨判断されるとき、前記診断実行禁止手段による禁止
    を解除若しくは緩和する手段とを更に備えることを特徴
    とする蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の蒸発燃料
    パージシステムの故障診断装置において、 前記診断実行禁止手段の禁止条件が満たされずに診断が
    実行されるとき、同診断実行禁止手段による禁止を解除
    若しくは緩和する手段を更に備えることを特徴とする蒸
    発燃料パージシステムの故障診断装置。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の蒸発燃料
    パージシステムの故障診断装置において、 前記診断実行禁止手段が禁止条件の対象とする前記車両
    の運行に伴う発生音以外の車室音が大となるとき、同診
    断実行禁止手段による禁止を解除若しくは緩和する手段
    を更に備えることを特徴とする蒸発燃料パージシステム
    の故障診断装置。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の蒸発燃料
    パージシステムの故障診断装置において、 前記蒸発燃料パージシステムの故障診断に際して作動す
    る作動部材近傍の席への乗員の有無を検出する手段と、
    該手段によって前記席への乗員無しが検出されるとき、
    前記診断実行禁止手段による禁止を解除若しくは緩和す
    る手段とを更に備えることを特徴とする蒸発燃料パージ
    システムの故障診断装置。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の蒸発燃料
    パージシステムの故障診断装置において、 当該故障診断装置は、前記パージ経路と大気との間に所
    定の差圧を設けてパージ経路を密閉して測定した経路内
    圧力の挙動に基づいて前記パージ経路の穴開きの有無を
    診断するものであり、 前記診断実行禁止手段は、前記パージ経路と大気との間
    に所定の差圧を設定しての同経路内圧の挙動測定を前記
    所定の条件のもとに禁止するものであることを特徴とす
    る蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれかに記載の蒸発燃
    料パージシステムの故障診断装置において、 当該故障診断装置は、前記パージ経路に大気圧を導入し
    てパージ経路を密閉して測定した同経路の圧力変化度合
    いに基づいて燃料蒸気の発生量を判定するものであり、 前記診断実行禁止手段は、前記パージ経路に大気圧を導
    入しての燃料蒸気の発生量の判定を前記所定の条件のも
    とに禁止するものであることを特徴とする蒸発燃料パー
    ジシステムの故障診断装置。
  11. 【請求項11】請求項1に記載の蒸発燃料パージシステ
    ムの故障診断装置において、 当該故障診断装置は、前記パージ経路に大気圧よりも低
    い所定圧力を導入してパージ経路を密閉して測定した経
    路内圧力の挙動に基づいてパージ経路の穴開きの有無を
    仮診断するとともに、前記パージ経路に大気圧を導入し
    てパージ経路を密閉して測定した同経路の圧力変化度合
    いに基づいて燃料蒸気の発生量を判定し、この燃料蒸気
    の発生量と前記仮診断の結果とに基づいて前記パージ経
    路のリーク診断を行うものであり、 前記診断実行禁止手段は、前記パージ経路への前記所定
    圧力の導入後に前記内燃機関が停止したときには前記仮
    診断及び燃料蒸気の発生量の判定、並びに仮診断の結果
    と燃料蒸気の発生量とに基づく故障診断を継続させ、そ
    の後の内燃機関の始動時及び停止時のいずれかに合わせ
    て故障診断を停止させるものであることを特徴とする蒸
    発燃料パージシステムの故障診断装置。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の蒸発燃料パージシス
    テムの故障診断装置において、 前記車両は、内燃機関と電動機と備えかつ車輪の駆動力
    を少なくとも電動機から取り出して走行するもの、及び
    所定の走行停止条件下において内燃機関を停止させるシ
    ステムを備えるもののいずれかであることを特徴とする
    蒸発燃料パージシステムの故障診断装置。
JP2000044706A 1999-07-30 2000-02-22 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置 Pending JP2001107814A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000044706A JP2001107814A (ja) 1999-07-30 2000-02-22 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21801199 1999-07-30
JP11-218011 1999-07-30
JP2000044706A JP2001107814A (ja) 1999-07-30 2000-02-22 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001107814A true JP2001107814A (ja) 2001-04-17

Family

ID=26522347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000044706A Pending JP2001107814A (ja) 1999-07-30 2000-02-22 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001107814A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016117314A (ja) * 2014-12-18 2016-06-30 三菱自動車工業株式会社 ハイブリッド車の故障判定装置
JP2016121674A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 トヨタ自動車株式会社 車両用燃料タンクの圧力制御装置
JP2017193226A (ja) * 2016-04-19 2017-10-26 トヨタ自動車株式会社 燃圧センサ診断装置
US9909539B2 (en) 2014-12-25 2018-03-06 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Pressure control apparatus of fuel tank for vehicle
US10364770B2 (en) 2015-03-26 2019-07-30 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fuel pressure sensor diagnostic during engine stopping
JP2019205268A (ja) * 2018-05-23 2019-11-28 株式会社Gsユアサ 管理装置、及び、故障診断方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016117314A (ja) * 2014-12-18 2016-06-30 三菱自動車工業株式会社 ハイブリッド車の故障判定装置
JP2016121674A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 トヨタ自動車株式会社 車両用燃料タンクの圧力制御装置
US9909539B2 (en) 2014-12-25 2018-03-06 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Pressure control apparatus of fuel tank for vehicle
US10364770B2 (en) 2015-03-26 2019-07-30 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fuel pressure sensor diagnostic during engine stopping
JP2017193226A (ja) * 2016-04-19 2017-10-26 トヨタ自動車株式会社 燃圧センサ診断装置
US10344731B2 (en) 2016-04-19 2019-07-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fuel pressure sensor diagnosis device
JP2019205268A (ja) * 2018-05-23 2019-11-28 株式会社Gsユアサ 管理装置、及び、故障診断方法
JP7214979B2 (ja) 2018-05-23 2023-01-31 株式会社Gsユアサ 管理装置、及び、故障判断方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3407566B2 (ja) 蒸発燃料処理装置の診断装置
JP3503584B2 (ja) 燃料蒸気パージシステムの故障診断装置
US7584651B2 (en) Procedure to diagnose a leak in the fuel tank in a fuel tank ventilation system
JPH0932659A (ja) 燃料蒸発ガス排出抑止システムの故障診断装置
JP2001041115A (ja) 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置
US20160186699A1 (en) Pressure control apparatus of fuel tank for vehicle
JP3501020B2 (ja) 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置
AU671834B2 (en) Method of detecting faults for fuel evaporative emission treatment system
JP3367373B2 (ja) 蒸発燃料処理装置の診断装置
JP4487440B2 (ja) 蒸発燃料処理装置の故障診断装置
US6487892B1 (en) Fault detection apparatus and method for fuel vapor purge system
JP2001107814A (ja) 蒸発燃料パージシステムの故障診断装置
JP3703015B2 (ja) 燃料蒸散防止装置の異常検出装置
JP3277774B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料蒸散防止装置の故障診断装置及び燃料給油中検出装置
US5857447A (en) Testing apparatus for fuel vapor treating device
JP6314928B2 (ja) 車両用燃料タンクの圧力制御装置
JP3707520B2 (ja) 蒸発燃料処理装置の診断装置
JP4352945B2 (ja) 内燃機関の蒸発燃料処理装置
JP3428506B2 (ja) エバポパージシステムの故障診断装置
JP2002039021A (ja) 燃料蒸気パージシステムの故障診断装置
JP2001193582A (ja) 燃料蒸気パージシステムの故障診断装置
JPH11148430A (ja) 燃料蒸発ガスパージシステムのリーク判定装置
JP2001193581A (ja) 燃料蒸気パージシステムの故障診断装置
JP2002081349A (ja) 燃料蒸気パージシステムの故障診断装置
JP2002256988A (ja) エバポパージシステムの故障診断装置