JP2001105726A - 記録体およびその製造方法 - Google Patents

記録体およびその製造方法

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JP2001105726A
JP2001105726A JP2000256283A JP2000256283A JP2001105726A JP 2001105726 A JP2001105726 A JP 2001105726A JP 2000256283 A JP2000256283 A JP 2000256283A JP 2000256283 A JP2000256283 A JP 2000256283A JP 2001105726 A JP2001105726 A JP 2001105726A
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JP2000256283A
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Katsuya Ito
勝也 伊藤
Toru Kotani
徹 小谷
Toshitake Suzuki
利武 鈴木
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクを速やかに吸収し、インク受容層にイ
ンクが吸収した後に水をかけてもインクがとれにくく、
表面の光沢度が高い、カラーインクジェットプリンター
での記録ができ、銀塩写真のような光沢度の高い、高品
質、高品位の記録ができる記録体を提供する。 【解決手段】 基材層と、この基材層上に設けられたイ
ンク受容層とを含むインクジェット記録用媒体におい
て、インク受容層の浸水濃度保持率が30%以上、かつ
インク受容層の表面グロスが55%以上である記録体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録体およびその
製造方法に関し、より詳しくはインクジェット用の記録
体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子スチルカメラあるいはコンピ
ューターの普及とともに、それらの画像を紙面等に記録
するためのハードコピー技術が急速に発達した。これら
ハードコピーの究極の目標は銀塩写真であり、特に、色
再現性、画像密度、光沢、耐候性等を如何に銀塩写真に
近づけるかが、開発の課題となっている。ハードコピー
の記録方法には、銀塩写真によって画像を表示したディ
スプレーを直接撮影する方式のほか、昇華型熱転写方
式、インクジェット方式、静電転写型方式等多種多様の
方式が知られている。
【0003】インクジェット方式によるプリンターは、
フルカラー化が容易なことや印字騒音が低いこと等から
近年急速に普及しつつある。インクジェット方式はノズ
ルから被記録材に向けてインク液滴を高速で射出するも
のであり、インク中に多量の溶媒を含む。このため、イ
ンクジェット用の記録用媒体は、速やかにインクを吸収
し、しかも優れた発色性を有することが要求される。
【0004】しかし、従来のインクジェット用の記録用
媒体では、そのプリント物は、耐水性が悪いため、イン
ク受容層がインクを吸収した後に水をかけるとインクが
とれやすく、また速やかにインクを吸収しないため連続
プリントでは裏写りがあり、さらに表面の光沢度が劣り
銀塩写真のような高品質、高品位のものではないという
問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点を解
決しようとするもので、その目的は、耐水性に優れ、表
面の光沢度が高く、かつカラープリンターでの記録がで
き、銀塩写真のような光沢度が高く高品質、高品位の記
録ができる記録体およびその製造方法を提供するもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。即ち、本発明は、 (1) 基材層と、この基材層上に設けられたインク受容
層とを含み、インク受容層の浸水濃度保持率が30%以
上、かつインク受容層の表面グロスが55%以上である
ことを特徴とする記録体に関する。好適な実施態様は以
下の通りである。 (2) インク受容層の0.1〜1.0μl/cm2のイン
ク量におけるインク吸収時間が50秒以下である(1)の
記録体。 (3) インク受容層が、インク吸収性樹脂、硬化剤およ
び界面活性剤を含有する(1)の記録体。 (4) インク受容層が、さらにカチオン基を有する化合
物を含有する(3)の記録体。 (5) インク吸収性樹脂が、ポリビニルアルコールであ
る(3)の記録体。 (6) 硬化剤が、水溶性メラミン樹脂である(3)の記録
体。 (7) インク吸収性樹脂の含有量が、インク受容層を構
成する全成分に対して10〜99重量%である(3)の記
録体。 (8) 硬化剤の含有量が、インク吸収性樹脂に対して
0.1〜20重量%である(3)の記録体。 (9) 界面活性剤の含有量が、インク受容層を構成する
全成分に対して0.5〜20重量%である(3)の記録
体。 (10) 基材層が、ポリエステルフィルムである(1)の記
録体。また本発明は、インク吸収性樹脂、硬化剤、界面
活性剤および溶媒を含有する組成物を基材層上に塗布す
ること、この塗布層を該溶媒の沸点以上でかつ沸点+3
0℃以下の温度に加熱すること、さらに当該温度より高
い温度で加熱してインク受容層を形成することを包含す
る記録体の製造方法に関する。好適には、インク吸収性
樹脂、硬化剤、界面活性剤および水を含有する組成物を
基材層上に塗布すること、この塗布層を100〜130
℃の温度に加熱すること、さらに130〜180℃で加
熱してインク受容層を形成する記録体の製造方法であ
る。
【0007】本発明の記録体は、基材層と、この基材上
に設けられたインク受容層とを含む。基材層としては、
特に限定されないが、例えば天然紙、合成紙、布、不織
布、木材、金属、プラスチックフィルム、ガラス、人工
皮革、天然皮革およびこれらの任意の2種類以上のもの
を貼り合わせたものが挙げられる。基材層は、単層であ
っても、2層以上の複合体であってもよい。
【0008】基材層がプラスチックフィルムである場合
には、その材料は特に限定されるものではなく、例えば
ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
ポリビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン
系樹脂等が挙げられるが、これらの中でも特に好ましい
のは、以下に述べるポリエステル系樹脂である。
【0009】好ましいポリエステル系樹脂とは、テレフ
タル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール等のグリコールとを重縮合
させて製造されるポリエステルである。これらのポリエ
ステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反
応させる方法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエ
ステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮
合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコ
ールエステルを重縮合させる方法等によっても製造する
ことができる。
【0010】上記ポリエステルとして具体的には、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
またはポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げ
られる。当該ポリエステルはホモポリマーであってもよ
く、また酸成分および/またはグリコール成分を2種以
上用いて共重合させたものであってもよい。本発明にお
いては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフ
タレート単位あるいはエチレン−2,6−ナフタレート
単位が、ポリエステル全体の70モル%以上、好ましく
は80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であ
るポリエステルが好ましい。
【0011】また、基材フィルム中には、無機粒子また
は有機粒子を必要に応じて添加してもよい。添加可能な
粒子としては、例えばシリカ、カオリナイト、タルク、
炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウ
ム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、架橋ア
クリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。このような粒子を含
有することにより、得られる記録体の滑り性が良好とな
って取り扱い易くなり、プリンターでの搬送性が良好と
なる。また粒子を添加する代わりに、粒子を含有しない
フィルムの少なくとも片面に、取り扱い性を良好とする
ための極薄い層を設けてもよい。
【0012】上記の基材フィルムは透明であり、従って
このような基材フィルムを用いた記録体は、OHP、電
飾広告等の透かして見る用途に好適に使用される。本発
明の記録体が、不透明性を要求される場合には、内部に
微細な空洞を多数有する基材フィルムを用いることが好
ましい。その方法は特に限定されるものではないが、特
に好ましいのは後述するような方法であり、ポリエステ
ルに非相溶の熱可塑性樹脂及び/または粒子を多数添加
し、少なくとも1軸に配向することにより、内部に微細
な空洞を多数形成する方法である。このような不透明な
記録体は、裏が透けることがなく、プリント物の外観も
良好となる。
【0013】ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂は、
ポリエステルに非相溶であれば特に制限されないが、具
体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹
脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
スルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂
などが挙げられる。特にポリスチレン系樹脂あるいはポ
リメチルペンテン、ポリプロピレン、環状オレフィン等
のポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0014】ポリエステルに添加される非相溶性樹脂の
量は、目的とする空洞量によって異なってくるが、基材
フィルム中3〜39重量%が好ましく、特に5〜15重
量%が好ましい。3重量%未満では、空洞の生成量を多
くするのに限界があり、空洞形成によって与えられる柔
軟性や軽量性あるいは描画性が得にくくなる傾向があ
る。逆に、39重量%を超えると、フィルムの延伸性が
損なわれ、また耐熱性や強度、腰の強さが損なわれる傾
向にある。尚、上記非相溶性樹脂は単独で使用し得るほ
か、2種類以上を併用してもかまわない。また使用され
る粒子は、前述の無機および/または有機粒子が挙げら
れる。このような粒子の量は、上記非相溶性樹脂と同様
の理由により、基材フィルム中、好ましくは0.1〜2
0重量%、より好ましくは0.5〜10重量%であり、
また粒子の平均粒子径は好ましくは0.1〜10μmで
ある。
【0015】このような基材フィルムは、見かけ比重が
好ましくは0.7以上1.32未満、より好ましくは
1.0以上1.25未満、さらにより好ましくは1.0
5以上1.25未満の範囲である。見かけ比重が0.7
未満では空洞含有率が大きすぎ、フィルムの強度が著し
く損なわれたり、縦、横のバランスにかかわらずフィル
ムの表面のわれやしわが生じやすくなり好ましくない。
逆に、見かけ比重が1.32以上では、空洞含有率が小
さくなりすぎ、クッション性が劣り、得られる記録体の
鉛筆での描画性が劣り好ましくない。
【0016】また、このようなフィルムは、面内複屈折
率が好ましくは−0.02〜+0.04であり、より好
ましくは0〜+0.03である。面内複屈折率を−0.
02以上、好ましくは0以上とすることによって、初め
て、実質的な等方性を有する基材フィルムが得られる。
ここで、面内複屈折率が+(−)であるとは、縦延伸の
履歴を横延伸の履歴よりも大きく(小さく)残している
という意味であって、横延伸時のいわゆるボーイング現
象によって生じる若干の屈折率主軸の歪みを伴っていて
も構わない。そして、面内複屈折率を−0.02以上、
好ましくは0以上とすることによって、フィルムを横方
向に裂けにくくすることができる。一方、面内複屈折率
が+0.04を超えると、逆にフィルムの縦裂けが生じ
やすくなり、フィルムのスリット時に破断が生じたり、
シートへの裁断時にフィルムの縦方向へのワレが生じや
すくなり好ましくない。また、面内複屈折率が−0.0
2未満あるいは+0.04を超えると得られる記録体の
プリンターでのしわやカールの原因となり好ましくな
い。
【0017】このような基材フィルムの製造方法は、特
に制限されるものではないが、最も好ましい製造方法
は、未延伸フィルムを縦方向に1段または多段で3.0
倍以上延伸した後、縦方向に3%以上の緩和処理を施
し、次いで緩和処理後の縦延伸倍率以上の倍率で横延伸
・熱処理を行う方法である。
【0018】まず、最初の縦延伸工程では、周速が異な
る2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このとき
の加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接
触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用して
もよい。ただし、非相溶樹脂界面に空洞を多数発現させ
るためには、延伸温度をポリエステルの2次転移温度T
g+10℃〜Tg+50℃以下で、3.0倍以上、好ま
しくは3.2〜5.0倍の範囲で延伸する。延伸倍率が
3.0未満では、基材フィルム内部に微細空洞を十分に
発現させ、見かけ比重を1.32未満とすることが困難
となり好ましくない。また、縦倍率が5.0倍を越える
と、その後の緩和処理を十分に行うことが困難になり、
基材フィルムの面内複屈折率を+0.04以下とするこ
とが実質的に困難となり好ましくない。
【0019】次いで、縦方向に3%以上、好ましくは5
%以上の緩和処理を施す。より好ましい緩和率は、緩和
に先立って行われた縦延伸倍率によって異なるが、緩和
後の縦延伸倍率が2.8〜3.5倍となるように決定す
ることが好ましい。そして、3%以上の緩和処理を施す
ことによって初めて、面内複屈折率が−0.02〜+
0.04の基材フィルムを工業的に安定して製造するこ
とが可能となる。逆に、3%以上の緩和処理を施さない
場合には、次工程での横延伸性が著しく不良となり、面
内複屈折率が−0.02〜+0.04のフィルムを作成
することはできない。しかも、見かけ比重が1.32以
上のフィルム(微細空洞含有量が乏しいフィルム)を製
造する場合には、緩和処理を行わずとも、等方性を有す
るフィルムの製造は可能である。ただし、この場合に
は、好ましい見かけ比重を有する基材フィルムを製造す
ることはできない。
【0020】また、縦緩和後の好ましい延伸倍率は2.
8〜3.5倍である。緩和後の縦延伸倍率が2.8倍未
満の場合には、緩和が均一に行われず不均一な基材フィ
ルムとなったり、2軸延伸後の面内複屈折率が−0.0
2未満となる場合が生じることがあるため、好ましくな
い。逆に緩和後の縦延伸倍率が3.5を越える場合に
は、横延伸時の延伸性が不良となったり、2軸延伸後の
面内複屈折率が+0.04を越える場合があるため、好
ましくない。
【0021】緩和処理を行う方法としては、一旦フィル
ムを冷却した後オーブン中で80℃〜150℃に再加熱
して実施する方法や、縦延伸直後に冷却することなくロ
ール間で緩和処理を施す方法、あるいは60℃〜100
℃に加熱した駆動ロール群あるいはフリーロール群の間
で緩和処理を施す方法。あるいはこれらを適当に組み合
わせた方法等を採用することができる。ただし、縦延伸
直後に冷却することなく緩和処理を施す方法を主体とし
て緩和処理を行う方法が好ましく、均一な緩和処理を効
率よく行うことができる。
【0022】次いで、縦緩和処理後のフィルムをテンタ
ーに導入し、緩和処理後の縦延伸倍率以上の倍率で横延
伸・熱処理を行う。好ましい横延伸温度は、縦延伸・緩
和処理の最高温度以上、ポリエステルの融点Tm−10
℃以下である。横延伸倍率が緩和処理後の縦延伸倍率よ
り小さいと、面内複屈折率を+0.04以下とすること
が困難である。横延伸倍率の上限は特に限定されない
が、緩和処理後の縦延伸倍率を1.0倍以下の倍率で行
うことが、延伸性を確保し、面内複屈折率を−0.02
以上とするためには好ましい。
【0023】このようにして得られた2軸延伸フィルム
に対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター
内で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50
℃〜Tmの範囲で行うのが好ましい。また、熱処理と並
行して、再横延伸や横方向の緩和を実施してもかまわな
い。
【0024】インク受容層は、インク吸収性樹脂、硬化
剤および界面活性剤を含有する層であることが好まし
い。インク吸収性樹脂としては、インク吸収性を有する
樹脂ならば、公知のものを使用でき、例えば、ポリビニ
ルアルコール、アクリル樹脂、スチレン−アクリル重合
体、エチレン−酢酸ビニル重合体、デンプン、ポリビニ
ルブチラール、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー(例
えば、ポリエステル、ポリオレフィン等のアイオノマ
ー)、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポ
リビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエステ
ル樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等の樹脂のうち、1
種以上が所望により使用できる。中でもポリビニルアル
コールが好ましく、重合度1400〜2500、ケン化
度85〜90のものが最も好ましい。インク吸収性樹脂
の含有量は、インク受容層を構成する全成分に対して、
好ましくは10〜99重量%、より好ましくは50〜9
9重量%である。含有量が10重量%未満の場合、イン
ク受容層の0.1〜1.0μl/cm2のインク量にお
けるインク吸収時間が50秒を超える場合があり、イン
クを速やかに吸収せず、連続プリント物の裏写りが生じ
る場合があり好ましくない。一方、含有量が99重量%
を超える場合、インク受容層の硬化剤の含有率が低くな
って浸水濃度保持率が30%未満となる場合があり、耐
水性が不充分となり好ましくない。
【0025】硬化剤としては、メラミン樹脂、エポキシ
樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシア
ネート化合物、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体
等の架橋性官能基を有し、上述のインク吸収性樹脂を架
橋し得る化合物が挙げられ、中でも水溶性メラミン樹脂
が好ましい。このような硬化剤を含有することによりイ
ンク受容層の硬化度が上がり、耐水性が良好になる。硬
化剤の含有量は、インク吸収性樹脂に対して好ましくは
0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量
%である。含有量が0.1重量%未満の場合、インク受
容層の浸水濃度保持率が30%未満となる場合があり、
耐水性が不充分となって、インク受容層がインクを吸収
した後に水をかけるとインクがとれるので好ましくな
い。一方、含有量が20重量%を超える場合、インク受
容層のインク吸収性樹脂の含有率が低くなって0.1〜
1.0μl/cm2のインク量におけるインク吸収時間
が50秒を超える場合があり、インク吸収性が不充分と
なり好ましくない。また必要に応じて、反応促進のため
に触媒を含有してもよい。
【0026】界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、
ノニオン系および非イオン性等いずれのものでも構わな
いが、シリコン系またはフッ素系界面活性剤が好まし
い。シリコン系界面活性剤としては、例えばジメチルシ
リコン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジ
ルシラン、ビニルベンジルアミノシラン、グリシドシラ
ン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチル
シロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエ
ン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ヒドロキシ
変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル
変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ
変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メル
カプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキ
ル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキ
レンオキシド変性シロキサン等が挙げられる。フッ素系
界面活性剤としては、例えば4フッ化エチレン、パーフ
ルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル
スルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナ
トリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフル
オロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスル
ホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加
物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、
パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオ
ロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアル
キル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、
パーフルオロアルキルハロゲン化物等が挙げられる。こ
れらの界面活性剤の含有量は、インク受容層を構成する
全成分に対して、好ましくは0.5〜20重量%、より
好ましくは1〜10重量%である。含有量が20重量%
を超える場合や0.5重量%未満の場合、インク受容層
のインク吸収性および耐水性両立が困難となり好ましく
ない。
【0027】上記量の界面活性剤を含有することによ
り、インク受容層の優れたインク吸収性および耐水性を
維持したままで、表面グロスの高いものとすることが可
能となる。
【0028】インク受容層は、カチオン基を有する化合
物をさらに含有することが好ましく、中でもカチオン基
を有するポリビニルアルコール、カチオン基を有する染
着剤を含有することがより好ましい。これによりインク
吸収性をさらに良好とすることができる。また上記カチ
オン性基を有する化合物に代えて、前述のインク吸収性
樹脂をカチオン変性したものを用いてもよく、例えばカ
チオン基を有するポリビニルアルコールや下記の化合物
が好適に用いられる。
【0029】
【化1】
【0030】このような化合物の含有量は、上記インク
吸収性樹脂と併用する場合、インク受容層を構成する全
成分に対して、好ましくは0.1〜30重量%、より好
ましくは1〜20重量%である。
【0031】インク受容層に、必要に応じて、シリカ、
カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、
アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜
鉛、酸化チタン、有機白色顔料、ベンゾグアナミン粒
子、架橋ポリスチレン、架橋アクリル粒子、水酸化アル
ミニウム等の粒子を表面光沢で損なわれない程度に添加
してもよく、本発明の記録体が透明性が要求される場合
や不透明性が要求される場合に応じてその添加量を適宜
選択する。この粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μ
m以上、より好ましくは0.3μm以上である。このよ
うな粒子を添加することにより、記録体の滑り性が良好
となってプリンターでの搬送性が良好となる。また鉛筆
での描画性が良好となる。
【0032】インク受容層は、一層からなるものでもま
た2層以上の構成をとっても構わない。
【0033】インク受容層は例えば以下のように製造さ
れる。まず、インク吸収性樹脂、硬化剤、界面活性剤お
よび溶剤を含有するインク受容層塗布液を調製する。こ
こで溶剤としては、水や、アルコール、グリコール、ア
セトン等の水と混和する極性溶剤が挙げられる。次いで
この塗布液を基材層上に塗布する。この塗布方法は、特
に限定されないが、グラビアコート方式、キスコート方
式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコー
ト方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、
リバースロールコート方式、バーコート方式等通常用い
られる方法が適用できる。この時の塗布量は、乾燥後に
インク受容層が8〜50g/m2となるような量である
ことが好ましい。塗布量が8g/m2未満の場合、イン
ク受容層が薄くインクを完全に吸収することができず好
ましくない。一方、塗布量が50g/m2未満を超える
場合、インクが深く吸収されて印字濃度が低下するため
好ましくない。
【0034】次いで、この塗布層を加熱することにより
乾燥および硬化させる。この加熱工程においては、硬化
を十分に行うとインク受容層のインク吸収性が不良とな
り、逆にインク受容層のインク吸収性が十分となる程度
に硬化を止めるとインク受容層の耐水性が不良になる。
従って、インク受容層のインク吸収性および耐水性を両
立させるような加熱条件を採用することが必要である。
【0035】本発明では、好ましくは2段階に分けて溶
媒の沸点以上で順次上昇せしめる温度で加熱される。第
1段階は乾燥開始直後に好ましくは溶媒の沸点を基準と
して+30℃以下で加熱されて主に溶媒が除去される。
またこの時の時間は1〜10分の範囲が好ましい。第2
段階は、好ましくは当該温度より高い温度で行われて溶
媒の除去が完全に行われ、所望の程度までインク受容層
が熱硬化され、同時に界面活性剤を表面に移動して局在
化する。またこの時の時間は0.5〜10分の範囲が好
ましい。このような加熱方法は、水溶性メラミン樹脂を
硬化剤として含有した記録体の製造では特に有効であ
る。このような加熱条件を採用することにより、インク
吸収性と耐水性が両立し、かつ表面光沢に優れたインク
受容層を形成することができる。
【0036】基材層と受容層の間に中間層を設けること
により、基材層と受容層の接着性を向上させることもで
きる。中間層を構成する化合物としては、ポリエステル
系樹脂が好ましいが、この他にも、ポリウレタン樹脂、
ポリアクリル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂などの通
常のポリエステルフィルムの接着性を向上させる手段と
して開示されている化合物等が適用可能である。これら
の樹脂は単独でも混合しても使用できる。
【0037】中間層のポリエステル系樹脂は二塩基酸と
グリコールからなり、水に可溶、乳化または分散できる
ポリエステル樹脂である。例えば二塩基酸は全ジカルボ
ン酸の50〜0.5モル%がスルホン酸金属塩基を有す
るジカルボン酸であり、これら2層のジカルボン酸成分
とグリコール成分が共重合されたポリエステル共重合体
である。上記スルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸
としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル
酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,
7−ジカルボン酸、5−〔4−スルホフェノキシ〕イソ
フタル酸等の金属塩が挙げられ、特に好ましいのは5−
ナトリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホテレ
フタル酸である。これらのスルホン酸金属塩基を有する
ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分に対して50〜
0.5モル%、好ましくは20〜1モル%である。50
モル%を超えると水に対する分散性は良くなるとしても
共重合体の耐水性が低下し、好ましくない。ポリエステ
ル共重合体の水に対する分散性は、共重合組成、水溶性
有機化合物の種類及び量などによって異なるが、上記ス
ルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸成分の量は水に
対する分散性を損なわない限り、少ない方がよい。
【0038】スルホン酸金属塩基を有しない通常のジカ
ルボン酸としては、芳香族、脂肪族、脂環族のそれぞれ
のジカルボン酸が用いられる。芳香族ジカルボン酸とし
ては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸などを挙げることがで
きる。これらの芳香族ジカルボン酸は全ジカルボン酸成
分の40モル%以上であることが好ましい。40モル%
未満であるとポリエステル共重合体の機械的強度や耐水
性が低下し、好ましくない。脂肪族、脂環族のジカルボ
ン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、
1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙
げられる。これらの脂肪族、脂環族ジカルボン酸成分を
加えると接着性が高められる場合もあるが、一般にはポ
リエステル共重合体の機械的強度や耐水性は悪くなる。
【0039】上記ジカルボン酸混合物に反応させるグリ
コール成分としては、炭素数2〜8個の脂肪族グリコー
ル、及び6〜12個の脂環族グリコール、及び両者の混
合物であり、例えばエチレングリコール、1,2−プロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−
ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレ
ングリコールなどが挙げられる。炭素数4個以上の脂肪
族ジオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコールなどが挙げられ、またポリエーテルとし
てはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0040】上記のポリエチレン共重合体は、通常の溶
融重縮合によって得られる。すなわち前述のジカルボン
酸成分及びグリコール成分を直接反応させ、水を留去し
てエステル化したのち重縮合を行う直接エステル化法、
あるいはジカルボン酸成分のジメチルエステルとグリコ
ール成分を反応させ、メチルアルコールを留去してエス
テル交換を行ったのち重縮合を行うエステル交換法によ
って得られる。このほかに溶液重縮合や界面重縮合など
によっても重合体が得られる。但し本発明は上記いずれ
かの方法に限定されるものではない。溶融重縮合の際に
は、必要に応じて酸化防止剤、滑り剤、無機微粒子、帯
電防止剤を加えることができる。前述したポリエチレン
グリコールなどのポリエーテルは、溶融重縮合の際ある
いは重合後に溶融ブレンドして添加することができる。
【0041】中間層のポリウレタン樹脂としては、
(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する化合
物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有す
る有機ポリイソシアネート、あるいは必要に応じて
(3)分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する
鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端にイソシアネー
ト基を有するポリウレタンが使用できる。
【0042】上記(1)の化合物として一般に知られて
いるのは、末端又は分子内に2個以上のヒドロキシル
基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を
有するものであり、特に好ましいものとして、ポリエー
テルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエー
テルエステルポリオールなどが挙げられる。ポリエーテ
ルポリオールとしては、例えばエチレンオキサイド及び
プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、
あるいはスチレンオキサイド、エピクロルヒドリンなど
を重合した化合物、あるいはそれらのランダム共重合、
ブロック共重合あるいは多価アルコールへの付加重合に
よって得られた化合物などがある。ポリエステルポリオ
ール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主
として直鎖状あるいは分枝状の化合物が挙げられ、コハ
ク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸などの
多価の飽和及び不飽和カルボン酸無水物などと、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサン
ジオール及びトリメチロールプロパンなどの多価の飽和
及び不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリ
アルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアル
コール類の混合物とを縮合することにより生成すること
ができる。さらにポリエステルポリオールとしては、ラ
クトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類が
挙げられ、ポリエーテルエステルポリオールとしては予
め製造されたポリエステル類に、エチレンオキサイドあ
るいはプロピレンオキサイドなどを付加したポリエーテ
ルエステル類が挙げられる。
【0043】上記(2)の有機ポリイソシアネートとし
ては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族
ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなど
の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソ
シアネート及び4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、あるい
はそれら化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプ
ロパンなどと予め付加させたポリイソシアネート類が挙
げられる。
【0044】上記(3)の少なくとも2個の活性水素原
子を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,
6−ヘキサンジオールなどのグリコール類、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール
などの多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメ
チレンジアミン及びピペラジンなどのジアミン類、モノ
エタノールアミン及びジエタノールアミンなどのアミノ
アルコール類、チオジエチレングリコールなどのチオジ
グリコール類あるいは水などが挙げられる。
【0045】また中間層のポリアクリル系樹脂はアクリ
ル酸もしくはその誘導体及び必要に応じてビニル基を有
するアクリル酸(誘導体)以外の単量体を重合させて得
られる。使用される単量体として、アクリル酸、メタク
リル酸(以下、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を
(メタ)アクリル酸とする)(メタ)アクリル酸の低級
アルキルエステル(例えばメチル、エチル、プロピル、
ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−
エチルヘキシルエステル)、メチルメタアクリレート、
ヒドロキシメチルアクリレート、スチレン、グリシジル
メタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ートなどを用いて調製される。
【0046】また必要に応じて、平均粒径0.1μm以
上の粒子、好ましくは0.3μm以上の粒子を中間層に
配合しても構わない。添加可能な粒子としては、シリ
カ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライ
ト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化
亜鉛、酸化チタン、有機白色顔料(架橋アクリル粒子、
架橋スチレン粒子)等が例示されるが、これらに限定さ
れるものではない。粒子の平均粒径が0.1μm未満で
は鉛筆での描画性が不足し、好ましくない。
【0047】また中間層を設ける方法としては、グラビ
アコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレ
イコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート
方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式
など通常用いられている方法が適用できる。塗布する段
階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸
後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に
塗布する方法などのいずれの方法も可能である。
【0048】本発明において、基材層上のインク受容層
との反対面に易滑層を設けることもできる。この易滑層
は前述した中間層を設ける技術がそのまま適用できる。
またこの易滑層は内部に帯電防止剤、蛍光増白剤、紫外
線吸収剤などを含有しても構わない。これらは通常使用
されているものが用いられる。この場合、この易滑層の
中心線2次元表面粗さはインク受容層のそれよりも大き
い方が好ましい。そのため前述したような粒子を含有す
ることが好ましい。前記粗さが小さいとインク受容層と
易滑層の滑りが劣り、プリンター内部での用紙の搬送性
が劣り、好ましくない。
【0049】かくして得られた記録媒体は、インクを速
やかに吸収し、インク受容層にインクが吸収した後に水
をかけてもインクがとれにくく、カラーインクジェット
プリンターでの記録ができ、銀塩写真のような光沢度の
高い、高品質、高品位の記録ができるものとなる。
【0050】本発明の記録体のインク受容層の浸水濃度
保持率は、30%以上、好ましくは40%以上、より好
ましくは50%以上である。浸水濃度保持率が30%未
満の場合、インク受容層の耐水性が悪く、プリント物に
水がかかったときにインクが流れ出すか、またはインク
受容層が基材から剥離し、もとのプリント物が見えなく
なる。浸水濃度保持率を上記範囲とする方法としては、
特に限定されないが、上述したように、インク受容層に
特定量の硬化剤を含有させる方法、インク受容層形成工
程で特定の加熱条件を採用する方法等が好適に採用され
る。ここで浸水保持率とは、記録体にプリントした後、
そのプリント面を水に浸し、浸水前後のインク濃度を求
めたものである。
【0051】また本発明の記録体のインク受容層の表面
グロスは、55%以上、好ましくは70%以上、より好
ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であ
る。表面グロスが55%未満の場合、プリント物が銀塩
写真に類似した光沢度の高く、高品質、高画質のものと
ならない。表面グロスを上記範囲とする方法としては、
特に限定されないが、上述したように、インク受容層に
特定量の界面活性剤を含有させる方法、インク受容層形
成工程で特定の加熱条件を採用する方法等が好適に採用
される。
【0052】本発明の記録体のインク受容層のインク吸
収性は、記録媒体にインクジェットプリンターにてプリ
ントしたときの乾燥時間、すなわち、0.1〜1.0μ
l/cm2のインク量のインク吸収時間が、好ましくは
50秒以下、より好ましくは30秒以下、さらに好まし
くは15秒以下、特に好ましくは5秒以下である。この
インク吸収時間が50秒を超える場合、インク吸収性が
悪く複数枚プリントした時に裏写りする場合がある。イ
ンク吸収時間を上記範囲とする方法としては、特に限定
されないが、上述したように、インク受容層に特定量の
インク吸収性樹脂を含有させる方法、インク受容層形成
工程で特定の加熱条件を採用する方法等が好適に採用さ
れる。
【0053】本発明の記録体は、OHP等の透明性が要
求される用途に使用される場合には、その光線透過率
が、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上
である。光線透過率が60%未満の場合、プリント物を
透かして見た時に見づらいのでOHP等の用途には適さ
ない。光線透過率を上記範囲とする方法としては、ベー
スフィルムの取り扱いのために添加する粒子量を少なく
する方法等が挙げられる。また本発明の記録体が、不透
明性が要求される場合には、その光線透過率が、好まし
くは60%を超えない、より好ましくは20%以下、さ
らに好ましくは15%以下である。光線透過率が60%
以上の場合、裏が透けてみえるため、プリント物の外観
が不良となり好ましくない。光線透過率を上記範囲とす
る方法としては、上述のように、基材層を微細な空洞を
含有するフィルムとする方法等があり、その際に非相溶
樹脂や粒子の添加量を適宜選択し、製造工程での特定の
延伸・緩和条件を採用する。
【0054】
【実施例】次に本発明を実施例および比較例を挙げて説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。
【0055】1)インク吸収時間 インクジェット用プリンター(セイコーエプソン製 M
J−700V2C)にて幅3mm、長さ15cmの線を
シアンおよびブラックにて記録体にプリントする。プリ
ント終了後からその線を指でこすり、線がこすれなくな
った時間を求めた。なおこのときのインク量は約0.4
μl/cm2とした。
【0056】2)裏写り 1)と同様のプリントをシアン、マゼンタ、イエローお
よびブラック(B)インクにて記録体に行ない、プリン
ト終了後に紙(リコー(株)製 PPC用紙TYPE6
000)を上にのせ、その紙にインクが写らなければ
○、写れば×とした。
【0057】3)浸水濃度保持率 1)のプリンターで記録体にシアン(C)、マゼンタ
(M)、イエロー(Y)およびブラック(B)インクを
5×5cmプリントし、そのプリント面を3分間流水
につける。その流水につける前後の各色の濃度をマクベ
ス濃度計(TR−927)で反射濃度を測定し、 浸水濃度保持率=(浸水後の濃度/浸水前の濃度)×1
00(%)で求めた。
【0058】4)表面グロス 日本電色工業(株) VGS−1001DPを用いて、
記録体について、入射光、反射光60度での反射率を求
めた。
【0059】5)光線透過率 JIS−K6714に準じ、ポイック積分球式H.T.
Rメーター(日本精密光学製)を用い、記録体の光線透
過率を測定した。この値が小さいほど隠ぺい性が高い。
【0060】6)見かけ比重 基材フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に
正確に切り出し、その厚みを50点測定して平均厚みを
t(μm)とし、その重さを0.1mg単位まで測定し
てw(g)とし、下記式によって計算した。 見かけ比重(−)= w×10000/(5×5×t)
【0061】7)ESCAによるフッ素原子表面被覆率 島津(株)製ESCA(850)により、光源にMg−
Kα線(1254eV)を用い、出力9kV×30mA
で、インク受容層のフッ素、炭素、酸素、窒素、水素に
由来するピークの面積を求め、この面積に各元素の検出
感度による係数をかけ、原子数に換算してその比率を求
めた。これにより、界面活性剤として使用したフッ素化
合物のインク受容層表面の局在化の程度がわかる。
【0062】実施例1 インク受容層塗布液を構成する全成分に対して、ポリビ
ニルアルコール(カチオン性、(株)クラレ製 CM−
318)9.2重量%、水溶性メラミン樹脂(住友化学
工業(株)製 スミマール)0.6重量%、界面活性剤
(パーフルオロ化合物、住友3M社製 フロラッド F
C−430)0.2重量%、および水90重量%を混合
してインク受容層塗布液を調製した。一方、基材フィル
ム(東洋紡績(株)製 クリスパーG2312 125
μm)の光沢の高い面に、予めポリエステル樹脂(東洋
紡績(株)製 バイロンMD−16)を0.2g/m2
塗布し、中間層を形成した。この基材フィルムの中間層
上に、乾燥後の塗布量が18g/m2となるように上記
のインク受容層塗布液を塗布し、120℃で1分間、1
50℃で3分間乾燥することにより記録体を得た。この
媒体について、インク受容層のインク吸収時間、裏写
り、浸水濃度保持率および表面グロスを評価した。その
結果を表1に示す。
【0063】比較例1 実施例1において、乾燥が120℃で4分間のみとした
こと以外は実施例1と同様の方法により記録体を得た。
【0064】実施例2 実施例1において、インク受容層塗布液を構成する全成
分に対して、ポリビニルアルコール(日本合成化学
(株)製 GH−20)9.0重量%、水溶性メラミン
樹脂(住友化学工業(株)製 スミマール)0.7重量
%、カチオン性化合物(ジメチルジアリルアンモニウム
クロライド、日本化薬(株)製 カヤフィックスUR)
0.1重量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチ
レンオキサイド付加物、大日本インキ化学(株)製 メ
ガファック F−142D)0.2重量%および水89
重量%を混合してインク受容層塗布液としたこと以外
は、実施例1と同様の方法により記録体を得た。
【0065】実施例3 実施例2において、インク受容層の界面活性剤をシリコ
ン系(ダウ・コーニング・アジア(株)製、ペインタッ
ドPT−32)としたこと以外は、実施例2と同様の方
法により記録体を得た。
【0066】実施例1〜3および比較例1で得られた記
録体およびセイコーエプソン(株)製の専用光沢フィル
ム(比較例2)について評価した。その結果を表1に示
す。
【0067】
【表1】
【0068】実施例1〜3の記録体は、インク吸収時間
が短く、裏写りがなく、かつ浸水濃度保持率および表面
グロスが高いものであり、インクジェット用プリンター
(セイコーエプソン製 MJ−700V2C)でプリン
トしたものは、銀塩写真に類似した光沢度の高く、高品
質、高品位で美観の良好なものであった。しかし、比較
例1の記録体は、浸水濃度保持率が低く、比較例2の記
録体は、表面グロスが低く、品位が不足していた。
【0069】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、インクを速やかに吸収し、インク受容層にイン
クが吸収した後に水をかけてもインクがとれにくく、表
面の光沢度が高い、カラープリンターでの記録ができる
インクジェット記録に好適な記録体を提供することがで
き、銀塩写真のような光沢度の高い、高品質、高品位の
記録ができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルムからなる基材層
    と、この基材層上に設けられたインク受容層とを含み、
    インク受容層の浸水濃度保持率が30%以上、インク受
    容層の表面グロスが55%以上、かつインク受容層の
    0.1〜1.0μl/cm2のインク量におけるインク
    吸収時間が50秒以下であることを特徴とする記録体。
  2. 【請求項2】 インク受容層が、インク吸収性樹脂、硬
    化剤および界面活性剤を含有することを特徴とする請求
    項1に記載の記録体。
  3. 【請求項3】 インク受容層が、さらにカチオン基を有
    する化合物を含有することを特徴とする請求項2に記載
    の記録体。
  4. 【請求項4】 インク吸収性樹脂が、ポリビニルアルコ
    ールであることを特徴とする請求項2に記載の記録体。
  5. 【請求項5】 硬化剤が、水溶性メラミン樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の記録体。
  6. 【請求項6】 インク吸収性樹脂の含有量が、インク受
    容層を構成する全成分に対して10〜99重量%である
    ことを特徴とする請求項2に記載の記録体。
  7. 【請求項7】 硬化剤の含有量が、インク吸収性樹脂に
    対して0.1〜20重量%であることを特徴とする請求
    項2に記載の記録体。
  8. 【請求項8】 界面活性剤の含有量が、インク受容層を
    構成する全成分に対して0.5〜20重量%であること
    を特徴とする請求項2に記載の記録体。
  9. 【請求項9】 インク吸収性樹脂、硬化剤、界面活性剤
    および溶媒を含有する組成物を基材層上に塗布するこ
    と、この塗布層を該溶媒の沸点以上でかつ沸点+30℃
    以下の温度に加熱すること、さらに当該温度より高い温
    度で加熱してインク受容層を形成することを包含する記
    録体の製造方法。
  10. 【請求項10】 インク吸収性樹脂、硬化剤、界面活性
    剤および水を含有する組成物を基材層上に塗布するこ
    と、この塗布層を100〜130℃の温度に加熱するこ
    と、さらに130〜180℃で加熱してインク受容層を
    形成することを包含する請求項9に記載の記録体の製造
    方法。
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