JP2001104673A - 上飾り縫い装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 上飾り縫い装置において、スプレッダーと糸
案内の作動が布送り操作の邪魔とか危険にならないよう
にする。また、それによって、オーバーロックミシンと
か本縫い２本針ミシンに取り付けられるようにする。 【構成】 ミシンの上軸１と、アームヘッドに付設した
第１の軸受部６に軸受けされて針棒の昇降位置の正面左
側に沿って横架した駆動軸５との間に第１の伝動機構３
を設け、駆動軸の先端に取り付けたスプレッダー13の下
部を針位置の正面手前側で左右に揺動させる一方、第１
の軸受部に直交させて針棒の昇降位置の背後側に第２の
軸受部８を付設し、該軸受部の背後側に第２の伝動機構
９を設けて、同軸受部の先端に取り付けた糸案内10を針
位置の右側側面に沿って前後に揺動させるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ミシンの上飾り
縫い装置に関し、針棒の昇降位置の左側に、針位置の正
面手前側に沿って左右に揺動するスプレッダーを設け、
右側に、針位置の右側に沿って前後に揺動する糸案内を
設けることにより、上飾り縫い装置を偏平縫いミシンの
他に、本縫い２本針ミシン、オーバーロックミシン等に
付設できるようにしたことを特長とするものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の上飾り縫い装置には、例えば本
出願人の先願に特開平１０−１３７４７４号公報があ
る。上記先願の装置を含めて、一般の上飾り縫い装置
は、水平方向の振り幅が大きい鎌形のスプレッダーを備
え、該スプレッダーと糸案内の作動位置が針板に接近し
た低い位置にあったので、使用者の指先に接するなどの
危険性が大きく、布送り操作の妨げになったり、機構的
に本縫いミシンとかオーバーロックミシンへの付設が困
難であるなどの不都合があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、ミシンの正面側で左右に往復するスプレッ
ダーと糸案内の駆動機構を、針棒の昇降位置を囲むよう
にしてアームヘッドに接近した高い位置に設けることに
よって、スプレッダーおよび糸案内の作動が布送り操作
の妨げにならないようにし、従来、上ルーパーとかメス
の作動に差し支えるとして上飾り縫い装置の付設が困難
であった本縫い２本針ミシンとか二重環偏平縫い装置付
きオーバーロックミシンへの付設を可能にすることにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで本発明は、上軸に
固定したクランクと、針棒の昇降位置の正面左側に沿っ
てアームヘッドに付設した第１の軸受部に回転自在に軸
受けさせてミシンの前後方向に沿って横架した駆動軸と
の間に、上軸の回転をリンクモーションによって上記駆
動軸の往復半回転運動に変換する第１の伝動機構を設
け、駆動軸の先端に、針位置の正面手前側に沿って左右
に揺動するスプレッダーを取り付ける一方、アームヘッ
ドに、針棒の昇降位置の背面側に沿う第２の軸受部を付
設し、この第２の軸受部の先端に、針の昇降位置の正面
右側に沿って前後に揺動する糸案内を軸受けし、該糸案
内と上記駆動軸に固定したアームとの間に、駆動軸の往
復半回転運動をリンクモーションによって上記糸案内の
揺動運動に変換する第２の伝動機構を設け、上記第１の
伝動機構に従動する前記スプレッダーの右行き揺動と、
上記第２の伝動機構に従動する前記糸案内の上向き揺動
を同調させて、スプレッダーに上飾り糸を掛けさせるよ
うにしたことを特徴とする上飾り縫装置を提供するもの
である。

【０００５】上記のように構成した本発明上飾り縫い装
置は、スプレッダーと糸案内の駆動軸がアームヘッドに
近接した比較的に高い位置に備えられ、該駆動軸に従動
するスプレッダーは、高い位置に支点を有して、下部に
具えた糸掛け部を針位置の正面手前側で左右に揺動さ
せ、同じく駆動軸に第２の伝動機構を介して高い位置に
備えられた糸案内は、針位置の正面右側に沿って前後
（上下）に揺動することになるので、使用上の危険性が
除かれるとともに布送り操作の妨げにならず、上ルーパ
ーおよびメスの作動と干渉しなくなる。

【０００６】したがって、従来上飾り縫い装置の作動に
妨げられていた布送り操作がスムーズにできるようにな
るとともに、上ルーパーおよびメスとの干渉が回避され
るので、上飾り縫い装置の付設が困難であった本縫い２
本針ミシンとか二重環偏平縫い装置付きオーバーロック
ミシンへの付設ができるようになる。

【０００７】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面について説明す
る。図１において、１は、ミシンの上軸、２は、上軸１
に固定されて該軸の回転とともに揺動するクランク、３
は、クランク２の先端に設けた伝動軸４とスプレッダー
１３の駆動軸５との間に設けた第１の伝動機構、６は、
駆動軸５を前後で軸受し、図２に示すようにミシンのア
ームヘッド７の左側面に付設される第１の軸受部、８
は、第１の軸受部６とともに同じくアームヘッド７の左
側面に付設される糸案内支持用の第２の軸受部、９は、
第２の軸受部８の背面側に設けられて、駆動軸５の往復
半回転運動を糸案内１０の揺動運動に変換するように備
えた第２の伝動機構である。

【０００８】図１に示すように、駆動軸５は、下向きに
コ字形に形成された第１の軸受部６を貫通して、図２に
示すように、押え棒１２および針棒１１の昇降位置の左
側に沿って水平に横架される。また、駆動軸５は、第１
の伝動機構３を介して上軸１の回転に従動して、先端
（図示右端）に垂下させたスプレッダー１３を揺動し、
下端に具えた糸掛け部１４を、図３に示すように、針位
置の正面手前側に沿わせて左右に往復させる。

【０００９】図１および図３に示すように、第２の軸受
部８の背面側に備えられた第２の伝動機構９は、駆動軸
５の中間に固定したレバー１５に設けた接続軸１６に二
股部１８’を嵌合して、中間を第２の軸受部８の中間に
備えた支点軸１７に支承されて駆動軸５の往復反転動作
をシーソー状に逆変換する変換レバー１８と、変換レバ
ー１８の先端面（図示右端面）に回転自在に連結され
て、軸方向に沿って設けた横長孔１９に、糸案内１０の
上端に一体形成したピン２０を嵌合して変換レバー１８
の揺動運動を糸案内１０の揺動運動に変換する糸案内駆
動部材２１とからなり、糸案内１０は、第２の軸受部８
の先端に軸受けされる取付軸２９を介して揺動自在に支
承されている。

【００１０】図１および図２に示すように、上軸１と駆
動軸５を連結する第１の伝動機構３は、両端に球面軸受
２２を備えて一方をクランク２の伝動軸４に連結し、他
方を駆動軸５から延設されたレバー２３の軸２３’に連
結することにより、軸線方向を互いに直交させた上軸１
の回転を駆動軸５の回転に伝達するよう設けた連結軸２
４によって構成されており、連結軸２４の中間に備えた
ねじ２５とねじ孔２６は、ねじ込み深さを加減すること
によって上軸１と駆動軸５の軸間距離に合わせて連結軸
２４の長さを調節できるようにしている。

【００１１】なお図示を省略しているが、上記駆動軸５
には、例えばレバー２３のボス部を軸線方向に２分割し
て一方を軸に固定し、他方にシフターを設けて遊嵌さ
せ、双方の回転面を接離させるようにしたクラッチを設
けて、上飾り縫い装置の使用時と不使用時を切り換えら
れるようにすることが望ましい。

【００１２】以上のように構成したこの上飾り縫い装置
は、上軸１の回転に従動して駆動軸５が往復半回転し、
駆動軸５の先端のスプレッダー１３が針棒１１の昇降動
作に同期して針２７の正面手前側を往復揺動し、１往復
毎に、同時に第２の伝動機構９を介して、図２、３に示
すように前後に揺動している糸案内１０から上飾り糸２
８を糸掛け部１４に掛けて、針２７と共同して所定の上
飾り縫いを行う。

【００１３】なお本上飾り縫い装置の縫製は、従来公知
のものと同一につき縫製動作の詳細な説明と図示を省略
する。また、第１の伝動機構３と第２の伝動機構９の構
成と、スプレッダー１３と糸案内１０の形状等は図示の
態様に限定されるものではなく、本発明の要旨に沿って
適宜に設計変更される場合もある。また、第１と第２の
軸受部６、８は、実施例に示すようなブラケット形に限
らず、例えばアームヘッドに直接一体的に付設したり、
両軸受部を一体形成したものをアームヘッドに取り付け
るようにする場合もある。

【００１４】

【発明の効果】以上のように構成した本発明によれば、
スプレッダーの取付け位置がアームヘッドに近接した高
い位置に設けられ、かつ、針棒、押え棒の昇降位置の正
面左側に位置し、そこから垂下された糸掛け部が針位置
の正面手前側を往復する。一方、糸案内は、スプレッダ
ーの駆動軸から分岐して針棒の昇降位置の背後側から正
面右手にその取付け位置を有して、高い位置から前後に
揺動することになり、上飾り縫い装置の作動時における
危険性が回避される。また、両部材の作動が布送りの妨
げにならない。そのため、スムーズな布送りができて、
縫製操作が容易になるとともに、オーバーロックミシン
に付設されている上ルーパーとメスの作動に干渉しない
ようになるので、従来付設が困難とされてきた本縫い２
本針ミシンとか二重環偏平縫い装置付きオーバーロック
ミシンへの付設もできるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の実施例を示す斜視図

【図２】図２はミシンへの取付け状態と作動を説明する
左側面図

【図３】図３は取付けとともに糸掛け状態を説明する拡
大正面である。

【符号の説明】

１ 上軸 ２ クランク ３ 第１の伝動機構 ４ 伝動軸 ５ 駆動軸 ６ 第１の軸受部 ７ アームヘッド ８ 第２の軸受部 ９ 第２の伝動機構 １０ 糸案内 １１ 針棒 １２ 押え棒 １３ スプレッダー １４ 糸掛け部 １５ レバー １６ 接続軸 １７ 支点軸 １８ 変換レバー １８’ 二股部 １９ 横長孔 ２０ ピン ２１ 糸案内駆動部材 ２２ 球面軸受 ２３ レバー ２３’ 軸 ２４ 連結軸 ２５ ねじ ２６ ねじ孔 ２７ 針 ２８ 上飾り糸 ２９ 取付軸

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上軸に固定したクランクと、針棒の昇降
   位置の正面左側に沿ってアームヘッドに付設した第１の
   軸受部に回転自在に軸受けさせてミシンの前後方向に沿
   って横架した駆動軸との間に、上軸の回転をリンクモー
   ションによって上記駆動軸の往復半回転運動に変換する
   第１の伝動機構を設け、駆動軸の先端に、針位置の正面
   手前側に沿って左右に揺動するスプレッダーを取り付け
   る一方、アームヘッドに、針棒の昇降位置の背面側に沿
   う第２の軸受部を付設し、この第２の軸受部の先端に、
   針の昇降位置の正面右側に沿って前後に揺動する糸案内
   を軸受けし、該糸案内と上記駆動軸に固定したアームと
   の間に、駆動軸の往復半回転運動をリンクモーションに
   よって上記糸案内の揺動運動に変換する第２の伝動機構
   を設け、上記第１の伝動機構に従動する前記スプレッダ
   ーの右行き揺動と、上記第２の伝動機構に従動する前記
   糸案内の上向き揺動を同調させて、スプレッダーに上飾
   り糸を掛けさせるようにしたことを特徴とする上飾り縫
   装置。
2. 【請求項２】 前記第１の伝動機構は、上下の両端に球
   面軸受を備えて、上端を前記クランクに設けた伝動軸に
   連結し、下端を前記駆動軸の一端に備えたレバーの先端
   の軸に連結して、互いに軸線が直交する上軸の回転運動
   を駆動軸の往復半回転運動に変換する連結杆を備え、前
   記第２の伝動機構は、上記駆動軸の中間に備えたレバー
   に設けた連結軸に二股部を嵌合し、中間を前記第２の軸
   受部に設けた支点軸に軸受けされて駆動軸の反転動作を
   逆の反転動作に変換する変換レバーと、該レバーの他端
   面に回転自在に軸受けされ、側面に具えた長孔に、前記
   糸案内の上端に具えたピンを遊嵌して、上記変換レバー
   の揺動動作を、第２の軸受部の他端に備えた支点軸に支
   持させた前記糸案内の揺動動作に変換する糸案内駆動部
   材とによって構成されていることを特徴とする請求項１
   記載の上飾り縫い装置。