JP2001104480A - プラスチック製プレフィルド注射器の密封に使用するゴム製ピストン - Google Patents

プラスチック製プレフィルド注射器の密封に使用するゴム製ピストン

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JP2001104480A JP28378899A JP28378899A JP2001104480A JP 2001104480 A JP2001104480 A JP 2001104480A JP 28378899 A JP28378899 A JP 28378899A JP 28378899 A JP28378899 A JP 28378899A JP 2001104480 A JP2001104480 A JP 2001104480A
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康 河内
Moriaki Sudo
盛皓 須藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬剤の異物汚染の発生や、容器の構成部材へ
の薬剤成分の吸着抑制、注射器の使便性として重要特性
である摺動性確保などは従来の技術水準は維持しなが
ら、前述したような微小間隙への浸透性の高い新薬への
適合性を有する、より高い水準の液体密封性を有するプ
ラスチック製プレフィルド注射器用ゴム製ピストンを提
供すること。 【解決手段】 表面の一部をフッ素系樹脂の薄膜で被覆
したゴム製ピストンにおいて、上記薄膜の表面にフッ素
系樹脂に対して親和性を有する液状ポリマーの薄膜が形
成されていることを特徴とするプラスチック製プレフィ
ルド注射器の密封に使用するゴム製ピストン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予め薬剤を充填し
たプラスチック製プレフィルド注射器に使用される密封
性が改善されたゴム製ピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、医療用具として投薬時に使用され
る使い捨てタイプの注射器(ディスポーザブルタイプの
注射器)では、注射筒の内面及びゴム製ピストンの前面
と側面に、医療用具の機器基準でその使用が認められて
いるシリコーンオイルを基準値内で塗布し、注射器の用
時の気密性と使便性である良好な摺動性を実現してい
る。
【0003】一方、最長3年間にわたり薬剤の品質や安
全衛生性を保持し、投薬時には代表的医療用具である注
射器としての機能を発揮することが目的の、予め薬剤を
充填した注射剤容器を兼ねた注射器、つまりプラスチッ
ク製プレフィルド注射器においては、機能上で最も重要
な要件として、薬局方にも規定された密封容器としての
機能が挙げられる。当然、前述した様に使用時には同時
に注射器として機能することが必須要件として要求され
る。これら2つの特性は互いに二律背反的な要求特性で
あって、密封度が高い状態では、ゴム製ピストンのプラ
スチック製注射筒の内壁への圧縮応力が、そのまま密封
性の保持に寄与すると同時に垂直抵抗力となって摺動性
は低下する。
【0004】シリコーンオイルは、従来から注射器の潤
滑剤として各国の薬局方で使用が認められているが、シ
リコーンオイルが要因となって引き起こされる医療上の
諸問題、例えば、それ自体の安全性に対する疑義、離脱
(剥離)したシリコーンオイルによる薬剤の異物汚染、
又、プレフィルドタイプの注射器においては薬剤成分の
吸着等が指摘され、シリコーンオイルを使用しない注射
器やプリフィルド注射器が種々提案されている。
【0005】例えば、本出願人は既に、特開昭63−9
7173号公報(「積層した注射器用栓」)において、
加硫ゴムの表面に特定なフッ素樹脂の薄膜を積層した注
射器のゴム製ピストンを、さらには 特開平10−31
4305号公報(「注射器用密封栓及びプレフィルド注
射器」)においては、その表面に被覆した特定なフッ素
系樹脂製又は超高分子量ポリエチレン製の膜の表面粗さ
を限定したゴム製ピストンを提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ここ数年来、
上記の提案技術では新しいタイプの注射剤に適用するこ
とが困難な事態になって来た。その理由は、薬液の液性
が低粘度で、さらに表面張力も低く、プラスチック製プ
レフィルド注射器とゴム製ピストンの慴動面等の容器の
部材間の間隙への浸透力が極めて高い製剤が開発された
ことに原因がある。
【0007】従って、本発明の目的は、薬剤の異物汚染
の発生や、容器の構成部材への薬剤成分の吸着抑制、注
射器の使便性として重要特性である摺動性確保などは従
来の技術水準は維持しながら、前述したような微小間隙
への浸透性の高い新薬への適合性を有する、より高い水
準の液体密封性を有するプラスチック製プレフィルド注
射器用ゴム製ピストンを提供することにある。本発明者
らは上記目的を達成すべく鋭意努力を重ねた結果、表面
の一部がフッ素系樹脂の薄膜で被覆されたゴム製ピスト
ンの表面に該薄膜と親和性を有する液状ポリマーを塗布
することで目的が達せられ、該液状ポリマーはゴム製ピ
ストンの洗浄及び滅菌時に剥離せずに残存することを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる本発明によれば、
表面の一部をフッ素系樹脂の薄膜で被覆したゴム製ピス
トンにおいて、上記薄膜の表面にフッ素系樹脂に対して
親和性を有する液状ポリマーの薄膜が形成されているこ
とを特徴とするプラスチック製プレフィルド注射器の密
封に使用するゴム製ピストン及び上記ピストンを有する
プラスチック製プレフィルド注射器が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】次に好ましい発明の実施の形態を
挙げて本発明を更に詳細に説明する。本発明のゴム製ピ
ストンは、従来からゴム製ピストンの製造に使用されて
いる合成ゴムの加硫物で形成され、合成ゴムの種類は特
に制限されない。合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴ
ム、塩素化又は臭素化等のハロゲン化ブチルゴム、ジビ
ニルベンゼン共重合部分架橋ブチルゴム等のブチル系ゴ
ム;エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPR)、エチ
レン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合ゴム(E
PDM)等の非共役ジエン系ゴム;ポリイソプレンゴ
ム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合
ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
ゴム(NBR)等の共役ジエン系ゴム等が挙げられる。
【0010】これらのゴム成分は、従来からゴム製ピス
トンの製造に使用されている各ゴム成分に適した加硫
剤、加硫促進剤、加硫助剤等の加硫系や必要に応じて充
填剤、補強剤、着色剤、酸化防止剤等の配合剤と混練さ
れ、加硫性ゴム組成物とされる。加硫性ゴム組成物は、
従来公知のゴム製ピストンの製造方法、例えば、プレス
成形(圧縮成形)、射出成形等により、種々の形状のゴ
ム製ピストンに成形される。
【0011】本発明のゴム製ピストン(以下では単にピ
ストンと称することがある。)は、上記の製造の過程で
その表面の一部、例えば、慴動面及び薬剤と接触する面
等がフッ素系樹脂の薄膜で被覆される。被覆材であるフ
ッ素系樹脂は、従来公知のフッ素系樹脂はいずれも使用
できるが、四フッ化ポリエチレン樹脂(以下、PTFE
樹脂という)及びその変性樹脂が好ましい。又、フッ素
系樹脂の好ましい被膜は、その表面の粗度が小さい、キ
ャスティング法で作られた薄膜を用いて形成されるもの
である。又、薄膜と加硫ゴム表面との接着は、未加硫ゴ
ム表面に積層する薄膜面を、化学エッチング法(ナフタ
レン法)やコロナ放電法、スパッタリング法、低温プラ
ズマ法などの従来公知の表面処理技術によって処理する
ことによって、強固なものとすることができる。薄膜の
ピストン表面への被覆は、例えば、薄膜とシート状の加
硫性ゴム組成物を重ねて金型内に配置する等の従来公知
の方法で行うことができ、特に限定されない。
【0012】しかし、上記で得られるゴム製ピストンに
は、表面の摩擦抵抗値が小さく、且つ対水接触角の大き
なフッ素系樹脂の被覆層が表面の一部に形成されている
が、この被覆層だけでは、近年、開発される多くの医薬
品の中の、極めて浸透力の大きな、低粘度の液剤を製剤
し、長期間にわたって密封性を保持して貯蔵・保管する
ことは困難である。従って、本発明においては、ゴム製
ピストンとプラスチック製注射筒の間の密着度をより高
くし、且つ、使用時には適度な摺動抵抗値を持たせるた
めに、ピストンのフッ素系樹脂薄膜被覆上に、更に、フ
ッ素系樹脂と親和性のある液状ポリマーの薄膜を形成す
ることが必要である。又、上記液状ポリマーの薄膜は、
ピストンの製造工程中及び製造後の滅菌工程で剥離した
り、変質しないものであることが必要である。
【0013】上記の相反する特性をピストンに具備させ
るために使用するフッ素系樹脂と親和性のある液状ポリ
マーとしては、液状フッ素系ポリマーが好ましい。液状
フッ素系ポリマー体としては、フッ素系モノマーの液状
オリゴマー〜分子量に関係なく液状であるポリマーが挙
げられる。例えば、三フッ化塩化エチレンの低重合物
(式1) 、パーフルオロポリエーテル(式2、3)、
パーフルオロアルキルポリエーテル(式4)等のパーフ
ルオロポリエーテル類等が挙げられる。
【0014】これらは、ダイフロイル#1(ダイキン工
業社製、三フッ化塩化エチレンの低重合物(式1)、平
均分子量500)、デムナムS−200(ダイキン工業
社製、パーフルオロポリエーテル油(式2)、平均分子
量8400)、フォンブリンZ(モンテフルオス社
(伊)製、パーフルオロポリエーテル油(式3)、平均
分子量3000)、フォンブリンY25(モンテフルオ
ス社(伊)製、パーフルオロポリエーテル油(式5)、
平均分子量3000)、ガルデンD40(モンテフルオ
ス社(伊)製、パーフルオロポリエーテル油(式5)、
平均分子量1550)、フロラードFC−732(住友
スリーエム社製、ハイドロフルオロエーテル)、クライ
トックスAZ(デュポン社(米)製、パーフルオロアル
キルポリエーテル(式4)、式中のnは10〜60、平
均分子量1850)等として市場から入手することがで
きる。
【0015】
【0016】該液状ポリマーのゴム製ピストンのフッ素
系重合体薄膜への塗布は、ゴム製ピストンを製造する際
に、予め片面に該液状ポリマーを塗布したフッ素系重合
体薄膜を用いてゴム製ピストンを製造する方法、ゴム製
ピストンの製造後に、そのフッ素系重合体薄膜上に該液
状ポリマーを浸漬法等の従来公知の方法で塗布すること
により行うことができるが、該液状ポリマーの塗布時期
や塗布方法は特に限定されない。又、塗布厚さ(膜厚)
は特に限定されないが、通常、0.1〜数μm程度であ
る。
【0017】本発明のプラスチック製プレフィルド注射
器は、注射器やプレフィルド注射器の製造に従来から使
用されているプラスチックはいずれも使用可能であり、
特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂や環状オレフィン
−エチレン共重合樹脂(例えば、特開平5−30093
9号公報等に記載の)等が挙げられるが、硬質で透明性
や耐熱性に優れ、医薬品との化学的相互作用のない環状
オレフィン系樹脂や環状オレフィン−エチレン共重合樹
脂の使用が好ましい。
【0018】プレフィルド注射器には、一室のもの、注
射筒にバイパスを形成し、バイパスを介してゴム製ピス
トンで区分けされた二室の内容物を混合、溶解して使用
する等の種々の態様のものがあるが、本発明においてプ
レフィルド注射器の画室の態様はどのようなものでもよ
く、全く任意である。従って、本発明のゴム製ピストン
も画室の区分け用に使用されるもの、注射筒のフランジ
部を密封し、プレフィルド注射器の使用に際してはプラ
スチック製ピストン押棒(プランジャーロッド)と連結
して使用されるもの等があるが、本発明においてはいず
れのゴム製ピストンも包含される。
【0019】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体
的に説明する。 実施例1、比較例1 ブチルゴム(バイエル社製バイエルブチルゴムXL−1
0000(ジビニルベンゼン共重合部分架橋ブチルゴ
ム)を用い、下記の配合処方に従ってゴム製ピストンの
本体を形成するための加硫性ゴム組成物を作製した。 配合処方 (重量部) ブチルゴム 100 湿式含水シリカ(1) 30 活性亜鉛華(2) 1.5 1,1-ヒ゛ス(t-フ゛チルハ゜ーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(3) 2 (注)(1) 日本シリカ工業社製ニプシールER (2) 正同化学工業社製活性亜鉛華AZO (3) 日本油脂社製パーヘキサ3M−40
【0020】一方、フッ素系樹脂被覆形成用に片面をス
パッタエッチングしたPTFEフィルム(膜厚20μ
m)を用意した。上記の加硫性ゴム組成物のシート及び
PTFEフィルムを成形用金型内に配置し、150℃、
10分の条件でプレス成形し、所定形状の慴動面及び薬
品と接触する面がPTFE薄膜で被覆されたピストン押
棒と連結される、種々のサイズのゴム製ピストンを作製
した。このゴム製ピストンの被覆面に液状フッ素系ポリ
マー(ダイキン工業社製デムナムS−200)又はシリ
コーンオイル(信越化学工業社製シリコーンKF−96
−350、ジメチルポリシロキサン)を浸漬法により膜
厚(乾燥)が約1μmとなるように塗布し、乾燥させ
た。
【0021】環状オレフィンポリマー製のプリフィルド
注射器に偽薬を充填し、上記のゴム製ピストンを用いて
下記の方法で液体密封性、慴動性、薬剤吸着性を試験し
た。又、ゴム製ピストンへの液状ポリマーの固着率(残
存率)、水中微粒子個数等も試験した。 (1)液体密封性試験 医療用具機器基準「ディスポーザブル注射筒基準」厚生
省告示第442号(昭和45年12月28日)及び英国
標準規格(British Standard)に準拠した加圧試験:各種
規定容量の清浄なプラスチック製注射筒を、容量5ml
以下は10本、容量10ml及び20mlは20本、そ
して容量50ml以上は10本それぞれ用意し、注射筒
の先端(ルアー部)にゴム製キャップを被せて封止す
る。下記の処方に従い調製した浸透性の高い液性を持つ
(メチレンブルーで着色した)偽薬を、規定容量分だけ
注射筒に注ぎ入れる。注射筒のフランジ側から表面に樹
脂フィルムを積層した本発明品及び比較品のゴム製ピス
トンを静かに押し込み、筒先を上に向けて、ルアー部の
ゴムキャップを外す。ゴム製ピストンの開口側ネジ取り
付け部にプラスチック製プランジャー(押棒)をねじ込
み、筒内の液が漏れない程度に静かに押し上げて、注射
筒の先端部の空気を押し出す。再びルアー部にゴムキャ
ップを被せて、圧力試験用の測定器具に装着する。加圧
条件を表1に示す。規定(一般医療用)の圧力を10秒
間加えた後、測定器具から注射筒を外し、密封栓と注射
筒の界面部分を10倍に拡大して観察し、青色の前記メ
チレンブルー水溶液の界面部分への漏れの有無を観察す
る。結果を表2に示す。結果は、注射筒100本当りに
換算して示した。
【0022】〔偽薬の調製〕無水クエン酸2g、Twe
en 80(ICI社(英)製ポリオキシエチレンジエ
ーテル)80g、マクロゴール(Macrogol)4
00(日本油脂社製、分子量200〜600のポリエチ
レングリコール)650g に無水エタノールを加えて
1,000mlとし、更にメチレンブルーを加えて0.
1重量/容量%濃度のメチレンブルー偽薬溶液を調製す
る。
【0023】表 1
【0024】表 2
【0025】(2)摺動抵抗値の測定:容量5mlと容
量100mlのプラスチック(環状オレフィンポリマ
ー)製注射筒と、各注射筒に対応するサイズのゴム製ピ
ストンを用意し、各ゴム製ピストンにピストン押棒をネ
ジ込み、注射筒に装着する。密封栓の先端がプラスチッ
ク注射筒の規定容量となる位置に至るまで、ゆっくりと
押し込み、試料注射筒とする。次に、該試料注射筒の先
端部に規定サイズの市販のディスポーザブル注射針をし
っかり挿入する。別に市販注射器に注射針を装着したも
のを用いて、該試料注射筒の先端部より当該注射筒の規
定容量の蒸留水を注入する。このとき空気を入れないよ
うに注意する。注射筒の先端を下に向けて、金属製治具
に挿入し、圧力センサー付き島津製作所製オートグラフ
AG−1KNDの球座式圧縮試験用圧盤により、100
mm/secの速度で密封栓を先端側に押し込み、この
時の摺動抵抗値を測定する。得られた摺動測定チャート
から最大値を読み取り、摺動抵抗値とする。シリコーン
オイルを塗布したゴム製ピストンを使用した場合の慴動
抵抗値を1とする指数で表示する。結果を表3に示す。
【0026】表 3
【0027】(3)薬剤吸着試験 (1)標準液の調製 500mlメスフラスコに市販のニトログリセリン(ミ
リスロール注 5mg/10ml、日本化薬製)100
mlを正確に秤り採り、5%ブドウ糖注射液500ml
を加えて標準液とする。(この標準液中のニトログリセ
リン濃度は100mg/mlである)
【0028】(2)薬剤吸着量の測定 先端ゴム栓で施栓した清浄なプラスチックバレルに、規
定容量の標準液を充填し、試料ピストンで密封する。4
0℃に設定した恒温器中に先端を上向きにして設置す
る。1時間、6時間、1日間、2日間、4日間、8日
間、16日間経過毎に充填した標準液を採取し、液体ク
ロマトグラフで標準液中のニトログリセリン濃度を測定
する。各測定値と標準液の濃度比から、ニトログリセリ
ンの吸着率(又は、残存率)を算出した。結果を表4に
示す。 測定条件(概要) HPLC:島津 LC−6A カラム :Shim−Pack CLC−ODS 溶離液A:メタノール 溶離液B:水 検出器 :UV 波 長 :212nm
【0029】表 4(薬剤吸着率(%))
【0030】(4)固着率(残存率)測定 ゴム成形工程、トリミング工程(製品切り離し)を経
た、フッ素系樹脂を被覆したゴム製ピストンの被覆材表
面に、液状フッ素系ポリマーを塗布したもの及びシリコ
ーンオイルを塗布したものの、それぞれの初期値を赤外
法で、各々の試料20個について測定して置く。一方各
500個のゴム製ピストンを、洗浄工程を通して製品と
して仕上げ、更に、オートクレー部にて121℃、30
分間の滅菌条件下に置いた後、各ゴム製ピストンから2
0個ランダムに採取した。これらのゴム製ピストンにつ
ぃて塗布された液状フッ素系ポリマー及びシリコーンオ
イルの量を上記と同様に測定して、初期値との比を求め
固着率(残存率)とした。結果を表5に示す。
【0031】表 5
【0032】(5)水中微粒子数測定 先端ゴム栓で施栓した清浄なプラスチックバレルに、規
定容量の無塵水(PFW)を充填し、試料ピストンで密
封する。40℃に設定した恒温器中に先端を上向きにし
て設置する。16日間経過後、光遮蔽型水中微粒子計測
器(リオン製、KL−1型)で無塵水10ml中の2μ
m以上の微粒子数を測定する。結果を表6に示す。
【0033】表 6
【0034】(6)溶出物試験と生物学試験:先端ゴム
栓で施栓した清浄な容量100mlのプラスチック製バ
レル(CZレジン製)2本を採り、それぞれに蒸留水
(DW)100mlを充填して、100mlバレル用試
料ゴム製ピストンで密封する。滅菌用治具に取り付け
て、オートクレーブで121℃、60分間加熱する。オ
ートクレーブより直ちに取り出した後、室温まで放怜す
る。ゴム製ピストンを外して、充填した蒸留水200m
lを清浄なビーカーに排出し、試験液とする。日本薬局
方第十三改正、輸液用ゴム栓試験法、溶出物試験に準拠
して試験液の液性変化を評価する。同様な手順で調製し
た試験液について、同公定法に規定する生物学的危険に
準拠して、安全衛生面から評価を行った。結果を表7に
示す。
【0035】表 7
【0036】以上の結果から明らかなように、フッ素系
樹脂薄膜の上に更に液状フッ素系ポリマーの薄膜が形成
されている本発明のゴム製ピストンは、洗浄及び滅菌工
程を経経ても該液状ポリマーの薄膜は、殆どこれらの処
理前の状態で残存し、シリコーンオイルとほぼ同等の摺
動性を有し、液体密封性もシリコーンオイルに比べて格
段に優れている。更に、薬剤吸着性もなく、剥離による
微粒子を形成することもない。衛生性及び生物学的にも
問題のないものである。
【0037】
【発明の効果】以上の本発明によれば、微小間隙への浸
透性の強い医薬品を使用した場合も、微小間隙への浸透
が抑制されて高度に液気密性が保持され、医薬品の吸着
着及び医薬品への塗布物の脱着(剥離)が防止され、シ
リコーンオイル塗布と同等の摺動性を有するプラスチッ
ク製プリフィルド注射器用ゴム製ピストンが提供され
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面の一部をフッ素系樹脂の薄膜で被覆
    したゴム製ピストンにおいて、上記薄膜の表面にフッ素
    系樹脂に対して親和性を有する液状ポリマーの薄膜が形
    成されていることを特徴とするプラスチック製プレフィ
    ルド注射器の密封に使用するゴム製ピストン。
  2. 【請求項2】 フッ素系樹脂に対して親和性を有する液
    状ポリマーが、液状フッ素系ポリマーである請求項1に
    記載のプラスチック製プレフィルド注射器の密封に使用
    するゴム製ピストン。
  3. 【請求項3】 フッ素系樹脂が四弗化エチレン樹脂ある
    いはその変性樹脂である請求項1又は2に記載のプラス
    チック製プレフィルド注射器の密封に使用するゴム製ピ
    ストン。
  4. 【請求項4】 液状フッ素系ポリマーが、液状パーフル
    オロポリエーテル類である請求項2又は3に記載のプラ
    スチック製プレフィルド注射器の密封に使用するゴム製
    ピストン。
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